説明

乾燥装置

【課題】 大量の被乾燥物を迅速かつ均一に乾燥でき、被乾燥物の取り扱いに優れた乾燥装置を提供する。
【解決手段】 一方の面11および一方の面11に対向する他方の面12を共に通風可能に構成し、少なくとも何れかの面は被乾燥物Zを保持可能に構成し、さらに、一方の面11或いは他方の面12と隣接する側面13は気密に構成してある被乾燥物収容部材10と、一方の面11に対して着脱自在な第一ダクト部材30と、他方の面12に対して着脱自在な第二ダクト部材40と、第一ダクト部材30および第二ダクト部材40によって被乾燥物収容部材10を挟持した状態で、第一ダクト部材30或いは第二ダクト部材40を経由して被乾燥物収容部材10に送風する送風手段20とを設けた乾燥装置X。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種籾・農作物等の乾燥に使用する乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水稲の育苗作業は、育苗床土の準備・種籾の予措・播種・育苗等が行われていた。予措工程は、播種の前に行われる前処理であり、脱芒・種籾の比重選別・消毒・浸種・催芽の順に行われる。
脱芒は、種籾の芒および枝梗を除去する処理であり、比重選別は、病気や不揃いの原因となる種籾を塩水等に漬けて選別する処理である。比重選別で選抜された種籾は、水洗後に種子消毒される。種子消毒は、ばかなえ病・いもち病などを予防するために、種子消毒剤に一定時間浸漬することにより行われる。種子消毒した種籾は水で浸種した後、催芽させ、播種する。
【0003】
特許文献1には、種子消毒に際して、上述したように薬剤を使用する方法の他に、温湯に浸漬する温湯消毒を行うことが記載してある。そして、この温湯消毒を行った後、種籾を自然乾燥することにより乾燥させている。種子消毒において薬剤を用いない温湯消毒は、薬害の発生等、自然環境に対する負荷が無いため優れた手法である。
【0004】
【特許文献1】特開2003−23815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
温湯消毒の後に行う種籾の自然乾燥は、乾燥に要する時間が天候・湿度・温度等に左右される。仮に自然乾燥を行う時期に雨天が継続すると、乾燥した種籾を迅速に得るのが困難である。そして、種籾が充分に乾燥されない状態が継続すると、湿った種籾が腐敗する虞があるという問題点があった。
【0006】
また、水稲の育苗作業を大規模なスケールで行う場合、大量の種籾の予措工程を行うこととなる。そのため、例えば温湯消毒を行った後の種籾の乾燥処理を大規模なスケールで行える乾燥装置が必要となる。
このとき、乾燥処理の対象となる種籾等の被乾燥物は、大量に被乾燥物収容部に収容された状態で乾燥処理が行われるが、当該被乾燥物収容部の内方に位置する被乾燥物は乾燥し難くなる。
【0007】
また、乾燥処理の前後に行う前処理・後処理においても同様に大量の被乾燥物を扱うこととなる。そのため、前処理が完了した大量の被乾燥物を乾燥装置に容易にセッティングできる構成、或いは、乾燥処理が完了した大量の被乾燥物を容易に後処理できる構成であれば、被乾燥物の取り扱いに優れた乾燥装置となる。
【0008】
従って、本発明の目的は、大量の被乾燥物を迅速かつ均一に乾燥でき、被乾燥物の取り扱いに優れた乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る乾燥装置の第一特徴構成は、一方の面および前記一方の面に対向する他方の面を共に通風可能に構成し、少なくとも何れかの面は被乾燥物を保持可能に構成し、さらに、前記一方の面或いは前記他方の面と隣接する側面は気密に構成してある被乾燥物収容部材と、前記一方の面に対して着脱自在な第一ダクト部材と、前記他方の面に対して着脱自在な第二ダクト部材と、前記第一ダクト部材および前記第二ダクト部材によって前記被乾燥物収容部材を挟持した状態で、前記第一ダクト部材或いは前記第二ダクト部材を経由して前記被乾燥物収容部材に送風する送風手段と、を設けた点にある。
【0010】
上記第一特徴構成によれば、被乾燥物収容部材には被乾燥物が保持されるため、送風手段によって被乾燥物収納部材に送風すると、天候等に左右されることなく、大量の被乾燥物を安定かつ迅速に乾燥することができる。
【0011】
被乾燥物収容部材は、一方の面および前記一方の面に対向する他方の面を共に通風可能に構成し、かつ、側面が気密に構成してあるため、一方の面から他方の面に向けて、或いは、その逆方向で、当該被乾燥物収容部材の内部は通風自在となる。そして、第一ダクト部材および第二ダクト部材によって被乾燥物収容部材を挟持し、送風手段によって第一ダクト部材或いは第二ダクト部材の側から送風すれば、被乾燥物収容部材をダクトの一部材とすることができる。
即ち、本構成では、ダクトの一部材である被乾燥物収容部材を、乾燥装置から着脱自在に構成できる。そのため、被乾燥物収容部材を、乾燥装置における被乾燥物の収容容器として使用するだけでなく、他の処理においても当該収容容器として使用できるため、当該収容容器を他の処理と共通化した仕様とすることができる。
【0012】
乾燥処理と他の処理とにおいて共通の収容部材を用いることができるため、乾燥処理を行うときには、単に乾燥装置の定位置に他の処理が済んだ収容部材を載置するだけでよいので、大量の被乾燥物を乾燥装置に容易にセッティングできる。また、乾燥処理が終了したときには、単に乾燥装置の定位置から収容部材を除去して、当該収容部材ごと他の処理が行われる設備に移送するだけでよい。そのため、処理毎に設置される収容容器間における被乾燥物の移し変えの手間が省けることとなり、大量の被乾燥物の取り扱いに優れた乾燥装置となる。
また、従来必要であった他の処理を行う際に使用した収容容器を保管するスペースを省略することができる。
【0013】
本発明に係る乾燥装置の第二特徴構成は、前記送風手段の送風方向を切り換える制御手段を設けた点にある。
【0014】
上記第二特徴構成によれば、送風手段の送風方向を、第一ダクト部材から被乾燥物収容部材に向けて、或いは、第二ダクト部材から被乾燥物収容部材に向けた方向に切り換えることができる。この切り換えは、例えば所定時間毎に行うよう設定できる。これにより、被乾燥物収容部材の内部に収容してある被乾燥物を複数の方面から送風して均一に乾燥することができる。
【0015】
本発明に係る乾燥装置の第三特徴構成は、前記第一ダクト部材或いは前記第二ダクト部材の少なくとも一方を伸縮自在に構成した点にある。
【0016】
上記第三特徴構成によれば、第一ダクト部材或いは第二ダクト部材の少なくとも一方を伸縮すれば、第一ダクト部材と第二ダクト部材との間隔を変更できるため、種々の大きさの被乾燥物収納部材を乾燥装置にダクトの一部材として取付けることができる。
【0017】
また、被乾燥物収納部材を乾燥装置の定位置に載置するときは、位置決めを確実に行った状態で第一ダクト部材或いは第二ダクト部材を被乾燥物収納部材に確実に装着できる。そのため、送風手段から被乾燥物収納部材へ漏洩することなく送風できることとなり、確実な乾燥処理が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の乾燥装置は、例えば、被乾燥物である種籾・農作物等の乾燥に使用する。本実施形態では、乾燥装置を水稲の育苗作業における予措工程で使用する場合について説明する。予措工程では種籾の消毒を行うが、当該消毒を温湯浸漬で行った場合、種籾を保存に適した含水量にするため、或いは、種籾の腐敗を防ぐために乾燥する必要がある。当該乾燥装置は、この乾燥を大規模なスケールで、かつ、迅速に行えるものである。
【0019】
図1に示したように、被乾燥物である種籾の予措工程は、脱芒処理・種籾の比重選別処理・消毒処理・浸種処理・催芽処理の順に行われる。予措工程の後に種籾の育苗床土への播種が行われる。
【0020】
脱芒処理は、脱芒装置によって種籾の芒および枝梗を除去する処理であり、比重選別処理は、比重選別装置によって、病気等の原因となる種籾を塩水等に漬けて選別する処理である。
【0021】
比重選別処理で選抜された種籾は、水洗後に種子消毒される。消毒処理は、温湯消毒装置を使用した温湯消毒により行われる。このように種籾を温水に浸すことにより、種籾の表面に付着、または籾殻と果皮との間に潜む病原菌を殺菌する。具体的には、比重選別で選抜された種籾を袋詰めした状態で、例えば60℃の温湯に10分間浸漬する。
その後、冷水に浸して冷却し、種籾の水を切る脱水を行い、本発明の乾燥装置を用いて乾燥処理を行う。種籾の乾燥後、保存或いは次の処理を行う。
【0022】
消毒処理した種籾は、冷水に所定時間浸して発芽しやすい状態にする浸種処理を行う。その後、浸種処理した種籾を発芽が促される温度の温水に浸す催芽処理を行う。
【0023】
上述した乾燥装置の構成を以下に説明する。
図2に示したように、本発明の乾燥装置Xは、被乾燥物Zである種籾を収容する被乾燥物収容部材10と、この被乾燥物収容部材10に送風する送風手段20とを設けてある。被乾燥物収容部材10の数は、適宜設定することができる。図2には3つの被乾燥物収容部材10を並べて乾燥装置Xに設置する場合を例示してある。被乾燥物収容部材10を並べる場合、一列或いは複数列とすることが可能である。
被乾燥物収容部材10の寸法は適宜設定可能であるが、フォークリフト等の運搬手段によって運搬するときに運搬しやすい寸法、例えば縦・横・高さが、それぞれ1〜2m程度に設定するのが好ましい。
【0024】
図3に示したように、被乾燥物収容部材10は、一方の面11および一方の面11に対向する他方の面12を共に通風可能に構成し、少なくとも何れかの面は種籾を保持可能に構成し、さらに、一方の面11或いは他方の面12と隣接する側面13は気密に構成してある。
【0025】
被乾燥物収容部材10は、例えば矩形状の容器であって、上面(一方の面)11および下面(他方の面)12は、メッシュやハニカムネット等の部材で構成される通気性を有する面である。このとき、下面12は種籾を保持可能にする。種籾は、例えば、ある分量を計量して、通気性を有する袋などの容器に収容した状態で被乾燥物収容部材10に収容する。このとき、下面12は種籾を収容した容器を保持可能に構成する。また、種籾を当該容器に収容せず、直接被乾燥物収容部材10に収容することが可能である。このとき、下面12は、種籾が通過しない程度の大きさの目を有する部材で構成する。上面11においても種籾を保持可能に構成してもよい。この場合、種籾を被乾燥物収容部材10に投入できるように上面11を開閉自在な蓋部材として構成する。
上面11には、被乾燥物収容部材10を運搬手段によって運搬するときに、当該運搬手段と連結する連結部材14を取付ける。
【0026】
側面13は通気性のない気密な板状部材で構成する。ただし、複数の被乾燥物収容部材10を隣接して乾燥処理を行う場合、各被乾燥物収容部材10において隣接する側面は、通気性を有するように構成してもよい。
【0027】
以上の構成により、上面11から下面12に向けて、或いは、その逆方向で、被乾燥物収容部材10の内部は通風自在となる。
【0028】
通気の方向は上述したように上下方向に限られるものではなく、左右方向とすることも可能である。このとき、左右の面が通気性を有する面となり、この両面において種籾を保持可能に構成する。そして、他の面を通気性のない気密な板状部材で構成する。
【0029】
第一ダクト部材30は被乾燥物収容部材10の上面11と着脱自在であり、第二ダクト部材30は被乾燥物収容部材10の下面と着脱自在に構成してある。即ち、被乾燥物収容部材10は、第一ダクト部材30および第二ダクト部材40に対して取り外し自在に構成できる。本実施形態では、第一ダクト部材30は上側のダクト、第二ダクト部材40は下側のダクトとした場合について説明するが、これに限られるものではない。
【0030】
複数の被乾燥物収容部材10を設置する場合、被乾燥物収容部材10の個数によって、被乾燥物収容部材10と第一ダクト部材30および第二ダクト部材40との接続面の大きさは異なる。そのため、複数の被乾燥物収容部材10と第一ダクト部材30および第二ダクト部材40とは、それぞれを気密に接続可能なアダプター(図外)を介して接続する必要がある。当該アダプターは、被乾燥物収容部材10の個数に応じて異なる大きさの接続面を有する。
【0031】
本発明の乾燥装置Xでは被乾燥物収容部材10をダクトの一部材とすることができるため、当該被乾燥物収容部材10を乾燥装置Xにおける被乾燥物Zの収容容器として使用するだけでなく、他の処理においても当該収容容器として使用できるため、当該収容容器を他の処理と共通化した仕様とすることができる。
例えば、被乾燥物収容部材10を、例えば、乾燥処理の前に行う前処理(温湯消毒処理等)を実行する装置から乾燥装置Xまで種籾を搬入する際に用いる収容容器として、或いは、温湯消毒処理の際に種籾を収容する収容容器として用いることができる。
【0032】
このとき、第一ダクト部材30或いは第二ダクト部材40の少なくとも一方を伸縮自在に構成することが可能である(図2参照)。
例えば、第一ダクト部材30において、被乾燥物収容部材10が装着する側に昇降ダクトユニット31を設ける。昇降ダクトユニット31はフレーム部材32を有し、このフレーム部材32が被乾燥物収容部材10に対して着脱することとなる。当該フレーム部材32は、被乾燥物収容部材10の数に応じた寸法の部材とする。そして、フレーム部材32を蛇腹式の伸縮ダクト部材33と接続する。フレーム部材32の昇降は油圧のシリンダ部材34によって行うことができる。昇降ダクトユニット31を適用した実施形態の詳細については後述する。
【0033】
このように第一ダクト部材30或いは第二ダクト部材40の少なくとも一方を伸縮自在に構成すれば、第一ダクト部材30と第二ダクト部材40との間隔を変更できるため、種々の大きさの被乾燥物収納部材10を乾燥装置Xにダクトの一部材として取付けることができる。
【0034】
上述したように、第一ダクト部材30或いは第二ダクト部材40の少なくとも一方を伸縮自在に構成するだけでなく、被乾燥物収容部材10を、第一ダクト部材30或いは第二ダクト部材40の側に伸縮自在に構成してもよい。このとき、被乾燥物収容部材10において上下方向に伸縮自在となる昇降ユニット(図外)を設けることとなる。
【0035】
送風手段20は、第一ダクト部材30および第二ダクト部材40によって被乾燥物収容部材10を挟持した状態で、第一ダクト部材30或いは第二ダクト部材40を経由して被乾燥物収納部材10に送風する。
【0036】
送風手段20は、例えば乾燥空気を送気できるブロワーなどにより構成する。送風手段20は、第一ダクト部材30或いは第二ダクト部材40とそれぞれ送風管21〜22によって接続してある。また、被乾燥物収容部材10を経由した空気は、排出管23により排気される。
【0037】
乾燥空気の温度は適宜設定して、温風・冷風が送気できるように構成する。被乾燥物Zが種籾である場合、送気された空気の温度が高いと発芽のタイミング等に影響を与える虞がある。そのため、被乾燥物Zに応じて適切な乾燥空気の温度を設定する必要がある。
【0038】
送風手段20の送風方向を切り換える制御手段50を設けることが可能である。
制御手段50は、例えばタイマーを内蔵し、所定時間毎に送風方向の切り換えを行うように構成する。送風方向の切り替えは弁手段(図外)を利用する。この弁手段を送風手段20と接続し、所定時間毎に弁手段を切り換える。
【0039】
このようにして、送風手段20の送風方向を、第一ダクト部材30から被乾燥物収容部材10に向けて、或いは、第二ダクト部材40から被乾燥物収容部材10に向けた方向に切り換えることができる。これにより、被乾燥物収容部材10の内部に収容してある種籾を複数の方面から送風して均一に乾燥することができる。
【0040】
以上のように、本発明の乾燥装置Xによれば、送風手段によって被乾燥物収納部材に送風すると、天候等に左右されることなく、大量の種籾を安定かつ迅速に乾燥することができる。
【実施例】
【0041】
本発明の乾燥装置Xを用いて種籾の予措工程を行う場合において、特に、消毒処理から乾燥処理について詳細に説明する(図4参照)。
【0042】
まず、脱芒処理・比重選別処理した後の種籾Zを計量機によって計量し、5kg単位で袋詰めする(工程A)。次に、種籾Zを温湯消毒処理するため、工程Aで作成した種籾入り籾袋を、温湯消毒装置に投入する。種籾入り籾袋を60℃の温湯に10分間浸漬して殺菌し、冷水に浸漬した後、種籾の水を切る水切りを行う(工程B)。水切りした種籾入り籾袋を、そのまま脱水機に投入して脱水する(工程C)。
【0043】
そして、脱水機から乾燥装置Xまで種籾入り籾袋を搬入する際に用いる収容容器として、被乾燥物収容部材10を利用する。このとき、できるだけ大量の種籾Zを乾燥処理できるようにするため、被乾燥物収容部材10の内部において一定の高さになるまで複数個の種籾入り籾袋を投入するとよい(工程D)。
【0044】
このとき、種籾Zを品種毎に異なる籾袋に入れておけば、異なる品種の種籾が混ざることなく同時に乾燥処理を行うことができる。
【0045】
種籾入り籾袋が投入してある被乾燥物収容部材10は、フォークリフト等の運搬手段60によって乾燥装置Xの第二ダクト部材40の上に載置する(図5参照)。このとき、第二ダクト部材40を被乾燥物収容部材10の下面12に対して装着する。このとき、被乾燥物収容部材10を第二ダクト部材40の上に載置するだけで第二ダクト部材40と被乾燥物収容部材10の下面12とにおいて密着状態が得られるようであれば、単に、被乾燥物収容部材10を第二ダクト部材40の上に載置するだけでよい。また、第二ダクト部材40と被乾燥物収容部材10の下面12とが密着するように、これらの装着面に弾性材などのシーリング部材(図外)を設けることが可能である。
良好な密着状態が得られると、送風手段20による送風時に乾燥空気が第二ダクト部材40と被乾燥物収容部材10の下面12との間から漏洩し難くなり、効率よく乾燥処理を行うことができる。
【0046】
そして、第一ダクト部材30における昇降ダクトユニット31を駆動させ、被乾燥物収容部材10の上面11をフレーム部材32に対して装着する(図2参照)。このとき、第二ダクト部材40の場合と同様に、フレーム部材32と被乾燥物収容部材10の上面11とが密着するように構成することが可能である。
【0047】
被乾燥物収容部材10が、第一ダクト部材30および第二ダクト部材40によって挟持された状態となると、送風手段20により被乾燥物収容部材10に送風可能となる。このとき、まず、第一ダクト部材30を経由して被乾燥物収納部材10に送風するように制御手段50を設定する。そして、所定時間経過後、第二ダクト部材40を経由して被乾燥物収納部材10に送風するように制御手段50を設定する。例えば、乾燥開始から暫くは1分間隔で送風方向を切り替え、乾燥が進行する従って切り替えの時間間隔を長くし、乾燥終了直前には10分間隔で切り替えが行われるように設定する。
【0048】
このように、適宜、送風手段20の送風方向を切り換えることで、被乾燥物収納部材10に収容してある種籾を均一に乾燥し易くする。これにより、種籾の発芽率を均一にすることができる。
また、種籾は、含水量は15〜20%程度が保管に適しており、本発明の乾燥装置Xを用いることで、天候に左右されることなく、大量の種籾を、迅速に保管に適した状態とすることができる。
【0049】
乾燥処理が終了すると、被乾燥物収容部材10を乾燥装置Xから運搬手段60によって除去し、次の処理(浸種処理・出荷処理等)が行われる設備に当該被乾燥物収容部材10ごとに移送する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の乾燥装置は、種籾・農作物等の乾燥に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】種籾の予措工程の流れ図
【図2】本発明の乾燥装置の概略図
【図3】被乾燥物収容部材の概略図
【図4】消毒処理から乾燥処理の概略を示した図
【図5】乾燥装置に被乾燥物収容部材を載置するときの概略図
【符号の説明】
【0052】
X 乾燥装置
Z 被乾燥物
10 被乾燥物収容部材
11 一方の面
12 他方の面
13 側面
20 送風手段
30 第一ダクト部材
40 第二ダクト部材
50 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面および前記一方の面に対向する他方の面を共に通風可能に構成し、少なくとも何れかの面は被乾燥物を保持可能に構成し、さらに、前記一方の面或いは前記他方の面と隣接する側面は気密に構成してある被乾燥物収容部材と、
前記一方の面に対して着脱自在な第一ダクト部材と、前記他方の面に対して着脱自在な第二ダクト部材と、前記第一ダクト部材および前記第二ダクト部材によって前記被乾燥物収容部材を挟持した状態で、前記第一ダクト部材或いは前記第二ダクト部材を経由して前記被乾燥物収容部材に送風する送風手段と、を設けた乾燥装置。
【請求項2】
前記送風手段の送風方向を切り換える制御手段を設けた請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記第一ダクト部材或いは前記第二ダクト部材の少なくとも一方を伸縮自在に構成してある請求項1又は2に記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−85674(P2007−85674A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275961(P2005−275961)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(599019177)株式会社川辺機械 (1)
【Fターム(参考)】