乾癬及び他の皮膚疾患治療におけるシクロパミンの使用
【課題】細胞分化の障害に関連する一般的疾患である乾癬等、細胞分化の阻害に関連した一様な特徴を有する多くの疾患に対して、良好な治療効果を達成することができるシクロプロパミンの組成物を提供する。
【解決手段】基底細胞癌だけでなく他の皮膚腫瘍においても、腫瘍細胞の分化とアポトーシスの誘導を行うシクロパミンとコルチコステロイドを適切な製薬担体中に含有する治療組成物。シクロパミンはエタノール又は他の適切な溶媒に溶解することができ、所望適用様式に依存して適切な製薬担体と混合することができる。局所適用のためには、シクロパミンをエタノール又は他の適切な溶媒に溶解し、適切な基剤クリーム、軟膏又はゲルと混合することができる。シクロパミンはまた、皮膚パッチに吸着させることができる。
【解決手段】基底細胞癌だけでなく他の皮膚腫瘍においても、腫瘍細胞の分化とアポトーシスの誘導を行うシクロパミンとコルチコステロイドを適切な製薬担体中に含有する治療組成物。シクロパミンはエタノール又は他の適切な溶媒に溶解することができ、所望適用様式に依存して適切な製薬担体と混合することができる。局所適用のためには、シクロパミンをエタノール又は他の適切な溶媒に溶解し、適切な基剤クリーム、軟膏又はゲルと混合することができる。シクロパミンはまた、皮膚パッチに吸着させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
細胞分化は多細胞生物の発生において重要な役割を果たす。ヒトでは、発達の間だけでなく出生後生活期間にも、多くの組織中の細胞が分化を受けて、生物の適切な機能遂行に必要な新しい細胞型を生成する。ある細胞型がもう1つ別の細胞型に分化するためのシグナルは、近接環境中及び/又はより離れた組織及び器官(例えばホルモンの形態で)からの他の細胞及び非細胞組織成分から誘導されうる。入ってきたシグナルに対する細胞応答の決定も複雑であり、シグナルの性質又はシグナルのセット(the set of signals)ならびに問題の細胞のより内因的な特徴(例えばその分化状態及び染色質の構造)に依存する。ヒトの毎日の生活の間に、様々な機構によって数多くの細胞が失われる(急性及び慢性傷害及び損傷のため及び他の理由によるプログラム細胞死の結果として)。これらの失われた細胞は一般に、それらの前駆体、前駆細胞及び幹細胞の調節された増殖と分化によって置き換えられる。ヒトの皮膚は多くの内組織よりも環境的傷害(例えば物理的外傷)に対して比較的大きな感受性を有するが、状況に良好に適応し、一定の喪失とその最上層の置換を示す。表皮の最上層から剥離した死細胞は、正常には、表皮の基底層細胞の増殖によって及び基底上細胞を生成するためのこれらの細胞の分化によって置き換えられる。環境的及び/又は遺伝的理由による、この分化過程における異常は、皮膚症状が一般に容易に検出される様々な疾患をもたらす。非表皮皮膚細胞の分化障害を含む皮膚疾患も多様である。これらの疾患の基礎となる原因の相違が様々な症状発現及び臨床症候をもたらすが、細胞分化の異常はそれらの一貫した特徴である。細胞分化の異常を示すことが知られる皮膚疾患の非制限的な例は、尋常性魚鱗癬、葉状魚鱗癬、掌蹠角皮症、毛孔性紅色ひこう疹、ダリエ病及びいくつかのタイプの皮膚腫瘍を含む。これらの皮膚疾患の原因は概してよく理解されていない。しかしながら、細胞分化の調節の複雑さ及び多数の調節因子の存在は、分化の異常が時として、主に他のプロセスに影響を及ぼす異常に続発しうることを意味する。原因及び機構についての明瞭な理解がない状況において、これらの疾患のために使用しうる治療戦略は一般にほとんど有効ではない(ブラウン−ファルコO.ら(2000)Dermatology、第2版、Springer−Verlag,Berlin)。
【背景技術】
【0002】
シクロパミンはバイケイソウ属(Veratrum)植物において天然に生じるステロイドアルカロイドである。妊娠草食動物へのこれらの植物の催奇形性が活性化合物としてのシクロパミンの特定を導いた(キーラーR.F.(1969)Phytochemistry 8:223−225)。シクロパミンがどのようにして催奇形性を及ぼしうるかは、それがヘッジホッグ/スムーズンド(smoothened)シグナル伝達の阻害因子であるという所見によって明らかにされた(Incardona J.P.ら(1998)Development 125:3553−3562;クーパーM.K.ら(1998)Science 280:1603−1607)。ソニックヘッジホッグタンパク質は発育中の中枢神経系において腹部細胞の前駆体の分化を誘導することが認められた(グッドリッチL.V.ら(1998)Neuron 21:1243−1257)。そこで、発育中のニワトリ脳におけるシクロパミンによるヘッジホッグ/スムーズンドシグナル伝達経路の阻害は腹部細胞の形成の防止、及びそれ故、全前脳症に関係付けられた(Incardona J.P.ら(1998)Development 125:3553−3562;クーパーM.K.ら(1998)Science 280:1603−1607)。全前脳症はバイケイソウを食べるヒツジの仔における一般的な奇形であることが知られている(ビンスW.ら(1963)Am J.Vet.Res.24:1164−1175)。シクロパミンは、骨髄細胞の赤血球細胞への分化(Detrner K.ら(2000)Dev.Biol.222:242)及び尿生殖洞の前立腺への分化(バーマンD.M.ら(2000)J.Urol.163:204)を含む、他の系における細胞分化も阻害することが報告された。
【0003】
シクロパミンが細胞分化を阻害するように働くという上記に要約した先行技術の教示(Incardona J.P.ら(1998)Development 125:3553−3562;クーパーM.K.ら(1998)Science 280:1603−1607;Detrner K.ら(2000)Dev.Biol.222:242;バーマンD.M.ら(2000)J.Urol.163:204)からは予想されず且つそれに反して、我々は、シクロパミンはむしろ、細胞分化の停止を示している基底細胞癌細胞の分化を誘導することを見出した(タスS.ら(2001)PCT/TR01/00027号、国際公開公報第02/078703号)。同様にシクロパミンは、乾癬病変表皮の表皮細胞が再び正常な分化を開始することを可能にした(タスS.ら(2002)PCT/TR02/00017号、国際公開公報第02/078704号)。シクロパミンは形質転換細胞の生存能に有害作用を及ぼさないというこれまでの報告(Taipale J.ら(2000)Nature 406:1005−1009)からはやはり予想外に、シクロパミンが誘導する基底癌細胞の分化はこれらの細胞の大量のアポトーシスを伴った(タスS.ら(2001)PCT/TR01/00027号、国際公開公報第02/078703号)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シクロパミンは、基底細胞癌だけでなく他の皮膚腫瘍においても、腫瘍細胞の分化とアポトーシスの誘導において有効である。毛包/表皮細胞系統(例えば毛包上皮腫)及びメラニン細胞(例えばメラノサイト性母斑)に由来する腫瘍がシクロパミンによる治療後速やかに消失した。シクロパミンが誘導する、乾癬を有する患者の皮膚からの乾癬病巣の清掃も、病巣表皮における細胞分化の誘導に関連する。我々は、乾癬の治療におけるシクロパミンの有効性が、シクロパミン及びコルチコステロイドを含有する治療組成物の使用によって及び/又はコルチコステロイドによる病変の前処置によって、さらに有意に増強されることを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
我々は、細胞分化の阻害に関連した一様な特徴を有する多くの疾患に対して良好な治療効果を達成することができるように、シクロパミンがいくつかの細胞型の分化を誘導する上で有効であること及びこの分化の誘導は、我々が開示する条件下で、インビボで十分な選択性でもって得られること(不当な副作用を伴わずに)を開示する。腫瘍(悪性及び良性腫瘍の両方)においてシクロパミンによる腫瘍細胞の分化の誘導は一般に腫瘍細胞のアポトーシス(プログラム死)に結びついており、それによってシクロパミンの抗腫瘍治療効果が増強されることを開示する。乾癬におけるシクロパミンの新しい治療効果(先にPCR/TR02/00017号、国際公開公報第02/078704号に開示されている)は、適切な製薬担体中にシクロパミンとコルチコステロイドを含有する治療組成物の使用によってさらに一層高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
シクロパミンはエタノール又は他の適切な溶媒に溶解することができ、所望適用様式に依存して適切な製薬担体と混合することができる。局所適用のためには、シクロパミンをエタノール又は他の適切な溶媒に溶解し、適切な基剤クリーム、軟膏又はゲルと混合することができる。シクロパミンはまた、ヒドロゲル又は制御放出を可能にする他の製薬形態中に捕捉することもでき、それを皮膚パッチに吸着させることができる。ここで図1A−図1I及び図2A−図2D及び図3A−図3Fの図面に示す作用は、シクロパミンの指示最終濃度が得られるようにエタノール中のシクロパミンの溶液を基剤クリームと混合して得たクリーム製剤によって得られたものである。使用した基剤クリームは、主として重パラフィン油(10%w/w)、ワセリン(10%w/w)、ステアリルアルコール(8%w/w)、ポリオキシルステアレス−40(3%w/w)及び水(68%w/w)で作られるが、他の適切に製剤された基剤クリームも使用できる。シクロパミンとコルチコステロイド(どちらもステロイド分子である)の脂質対水の溶解度特性及び分子構造の類似性は、それらを同じ製薬担体中で混合することを容易にする。製薬形態でのシクロパミンとコルチコステロイドの最適濃度ならびに最適用量及び適用スケジュールは、明らかに、個々の製薬形態、個々のコルチコステロイド及び治療する病変の局在と特徴などの因子によって影響されうる;しかし、これらは、周知の公表されている最適化方法に従うことによって決定できる。図1C及び図1Dの図面に示す作用を得るために使用したコルチコステロイドは、基剤クリーム中最終濃度〜0.55mMのクロベタゾール17−プロピオネートであった(同じクリーム中のシクロパミンの濃度は〜9mMであった)。図1Eに示す病変の前処置のために使用したコルチコステロイドは、基剤クリーム中最終濃度〜1.1mMのクロベタゾール17−プロピオネートであった。このクリーム中のクロベタゾール17−プロピオネートを〜50mMのヒドロコルチゾンに置き換えることによって同様のコルチコステロイド作用が得られる。当技術分野で周知の他のコルチコステロイド分子も適切であると考えられ、適切な濃度で上記コルチコステロイド分子の代わりに使用することができる(所与のコルチコステロイドについての適切な濃度範囲も当技術分野において既知である)。
【0007】
図1Aは、治療前の29歳の男性の肘前領域の乾癬プラークを示す。シクロパミンクリーム約20μl(上述した基剤クリーム中18mMシクロパミン)を4時間ごとに24時間にわたってこの病変に適用した。その後治療を中止し、病変を追跡した。病変は、治療の8時間目に紅斑の減少を示し、治療を行わなかったフォローアップ期間中も後退を続けて3日目に図1Bに示す状態に至り、4日目には検出不能となった。
【0008】
図1Cは、治療前の同じ患者の三角筋部皮膚上に位置するもう1つの乾癬プラークを示す。〜9mMシクロパミン及び〜0.55mMクロベタゾール17−プロピオネート(基剤クリーム中)を含有するクリーム製剤約20μlを4時間ごとにこの病変に適用した。この病変も8時間目に紅斑の減少を示し、3日目に検出不能となった(図1Dは68時間目のその様相を示す)。同じ患者において、4時間ごと又は8時間ごとに〜1.1mMクロベタゾール17−プロピオネートを含有するクリーム製剤(但しシクロパミンは含まない)で被覆した他の乾癬病変は、同じ期間中に検出可能な変化を示さなかった(すなわち病変は3日目にも残存していた)。同じ患者の他の病変に我々が使用した濃度の半分でも、シクロパミンに対する高い治療応答は、シクロパミンとコルチコステロイドを含有する治療組成物のさらなる評価を促した。我々はそれに加えて、局所コルチコステロイドによる乾癬病変の前処置とそれに続くシクロパミンクリーム(基剤クリーム中18mMシクロパミン)による治療を評価した。図1Eは、シクロパミンの適用前の同じ患者の下肋部の乾癬プラークを示す。この病変をコルチコステロイドクリームだけで48時間治療し、その後コルチコステロイドを中止して、治療を4時間ごとのシクロパミンクリーム〜20μl(基剤クリーム中18mMシクロパミン)の適用に切り換えた。図1Fは、シクロパミンクリーム適用の24時間目の病変を示し、この時間までに病変がほぼ完全に消失したことを示している。
【0009】
乾癬病変の重症度は、紅斑、病変の隆起及び落屑について別々のスコアを与えること、次にそれらのスコアを合計して、その病変のEESスコアと呼ばれるスコアを得ることにより、半定量的測定尺度で評価することができる(ボーマンP.H.ら(2002)J.Am.Acad.Dermatol.46:907−913)。表Iは、EES評点によって評価した、様々な形態の処置に対する治療応答の比較を示す。乾癬病変の治療におけるシクロパミン及びコルチコステロイドを含有する治療組成物の使用は、有効成分としてシクロパミンだけを含有する組成物の使用と比較して治療効果を有意に増強したことがわかる。1日間のコルチコステロイドによる病変の前処置とそれに続くシクロパミンクリーム(基剤クリーム中18mMシクロパミン)による処置は、同様に治療効果を増強している。表Iは、シクロパミンを含有する組成物で1日間治療し、その後全く治療を行わずにフォローアップした乾癬病変も同じく後退したが、概して比較的緩やかな速度であったことを示している。この後者の特性は臨床の場である種の用途を有すると考えられるが、大部分の患者は病変のより速い除去を選択すると予想できる。
【0010】
以前に(PCT/TR02/00017号、国際公開公報第02/078704号)及びここでも述べたように、シクロパミンクリーム単独で、従来の治療によって得られるよりもはるかに速い速度で乾癬病変の後退と除去(clearance)を生じさせた。しかしながら、シクロパミンをコルチコステロイドと共に、あるいはコルチコステロイドによる前処置のすぐ後に使用したとき、治療応答のさらなる増強が可能であった。この特性はシクロパミン治療の臨床的有用性を高め、それは一部には、コルチコステロイドの抗炎症作用に関連付けられるであろう。乾癬病変の発現への炎症細胞及びサイトカインの寄与は広く認識されている(クリューガーJ.G.ら(1990)J.Invest.Dermatol.94:135S−140S)。乾癬病変表皮においては、上皮増殖因子受容体(EGFR)及びそのリガンド(例えばトランスフォーミング増殖因子α)の1又はそれ以上の発現が著明に上昇することが知られている。これらは、炎症による表皮EGFRの増加の誘導がさらに寄与する、自己分泌刺激ループを開始させると考えられる(クリューガーJ.G.ら(1990)J.Invest.Dermatol.94:135S−140S)。しかし、シクロパミンクリーム単独に対する(しかしコルチコステロイド単独に対しては見られない)異常に速い治療応答、及び実際に、シクロパミン適用の中止後の乾癬病変の後退の持続は、鍵となる/近位病原事象へのシクロパミンによる(しかしコルチコステロイドによっては生じない)有効な介入処置と一致する。乾癬病変表皮の基底上層におけるEGFRの過剰発現は自己分泌刺激ループを開始させると考えられるため、及びEGFR発現の表皮基底層への回帰が様々な様式による乾癬の有効治療の最初の徴候の1つとみなされるので(キングL.E.Jrら(1990)J.Invest.Dermatol.95:10S−12S)、シクロパミン治療に対するEGFR発現パターンの応答を評価した。このために、ヒトEGFRに対するマウスモノクローナルEGFR.113(英国ノボカストラ・ラボラトリーズ社(Novocastra Labs.Ltd.,U.K.))を一次抗体として使用し、製造者が推奨するように免疫組織化学アッセイを実施した。図1Iは、乾癬病変へのシクロパミンクリームの適用がEGRR発現パターンの速やかな正常化を生じさせたこと及び免疫組織化学で検出したEGFRが治療の24時間目までに再び主として表皮の基底層に限定されるようになったことを示している(図1I)。病変のシクロパミン治療後のEGFR発現パターン(図1I)は、非病変皮膚で見られるもの(図1G)と区別できなかった。プラセボクリーム(すなわちシクロパミンを含まない基剤クリーム)で処置した乾癬病変皮膚は、他方で、表皮の基底上層においてEGFRの著明に異なる病的パターンと過剰発現を継続して示した(図1H)。それ故シクロパミン治療は、EGFR発現の判定基準によっても乾癬病変への速やかな治療効果を有していた(キングL.E.Jrら(1990)J.Invest.Dermatol.95:10S−12S)。
【0011】
シクロパミンによる基底細胞癌細胞の分化の誘導はそれらのアポトーシス(プログラム死)に結びつくことが認められた(PCT/TR01/00027号、国際公開公報第02/078703号)。図2A−図2Dの図面は、シクロパミンのそのような作用が基底細胞癌に限定されないことを示している。毛包上皮腫は、ヘッジホッグ−スムーズンドシグナル伝達の上昇を生じさせる遺伝子変化に関連する腫瘍である(Vorechovsky I.ら(1997)Cancer Res.57:4677−4681;ニルソンM.ら(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:3438−3443)。図2Aは、治療前の82歳の男性の頬の毛包上皮種を示し、図2Bは、シクロパミンクリーム(基剤クリーム中18mMシクロパミン;クリーム〜25μlを3時間ごとに直接腫瘍に適用した)への24時間だけの暴露後の同じ皮膚領域を示す。速やかな後退のため、24時間目に治療を中止し、もとの腫瘍に相当する皮膚領域全体を検査のために切除した。図2C及び図2Dは、24時間目の残存腫瘍細胞を含む組織領域を示し、これらの残存腫瘍細胞における著明なアポトーシス作用を明らかにしている。腫瘍細胞のアポトーシス除去から生じる嚢胞腔(図2C、図2D)ならびに腫瘍の単核細胞浸潤(図2D)が見られる。この患者におけるもう1つの注目すべき所見は、治療24時間目の、治療した腫瘍の近くに位置する母斑の大きさと色素沈着の減少であった(図2B対図2A)。シクロパミンは適用の隣接領域から拡散したと考えられるので、母斑(良性メラノサイト腫瘍)は比較的低い濃度のシクロパミンに対して感受性であると思われる。実際に、もう1名の志願者におけるシクロパミンクリーム(基剤クリーム中18mMシクロパミン)によるメラノサイト母斑の治療も、同様に速やかな色素脱失と母斑の消失を生じさせた(データは示していない)。
【0012】
図3Aは、治療前の59歳の男性の下眼瞼の色素性基底細胞癌(BCC)を示す。この患者において矢印で示した1つを除くすべての小結節にシクロパミンクリーム(基剤クリーム中18mMシクロパミン)を適用した。隣接治療領域からの拡散によってのみシクロパミンを摂取したと考えられるこの小結節は、比較的低い濃度のシクロパミンに暴露されるはずである。この腫瘍の色素沈着特性から臨床フォローアップが容易であったので、治療領域の腫瘍が大きく後退したが、まだ可視部分を含んでいた3日目に、治療(4時間ごとにシクロパミンクリーム〜20μlの適用)を中止した(図3B)。その後可能性のある遅発効果の検討のために治療なしで腫瘍を追跡した。治療なしでは、明らかなさらなる臨床的後退は認められず、フォローアップの6日目(治療開始から9日目)にもとの腫瘍に相当する皮膚領域を切除した。腫瘍の治療領域からのヘマトキシリン−エオシン染色切片は、腫瘍細胞が存在しない多くの嚢胞腔を明らかにした(図3C)。これらの嚢胞を裏打ちする上皮が存在しないこと(図3C)は、それまで腫瘍細胞で占められていた組織領域がこれらの嚢胞で示されていることと一致する。この時点で(治療なしでのフォローアップの6日目)組織切片は、既知である、生組織からのアポトーシス細胞の清掃の迅速性と一致する、相対的に少ないアポトーシス細胞を示した(図3C)。他方で、特に嚢胞の縁近くの残存腫瘍細胞は、棘状分化の特徴(例えば図3Cの左下付近の領域;図3Dにおいてもう1つ別の部分から例示されるように、より高い倍率でより明瞭に認められる)を示す細胞の異常に高い発生率を示した。同様の分化又は嚢胞の領域は、治療開始前に同じ腫瘍から採取したパンチ生検材料には存在しなかった(図3E)。比較的低い濃度のシクロパミンを摂取した腫瘍小結節(図3Aにおいて矢印で示す)は、フォローアップの6日目に大きな嚢胞中心を有していた(図3F)。しかしながら小結節の残存末梢は、分化の特徴を有する(例えば拡大した、より好酸性の細胞質を有する)細胞の発生率がやはり高く、より小さな嚢胞がこの末梢内に存在したが、典型的なBCC形態を備えた細胞を引き続き有していた(図3F)。それ故、最適濃度のシクロパミンに対する腫瘍応答は比較的迅速であるが、最適下濃度に対する暴露はフォローアップ期間中も存続する腫瘍細胞を残した。
【0013】
これらの例は、腫瘍細胞の分化とアポトーシスの誘導において、及び高いヘッジホッグ/スムーズンドシグナル伝達(hedgehog-smoothened signaling)を示す腫瘍の速やかな臨床的後退を得る上での、上述した治療の有効性をさらに例証する。様々な遺伝子型を有する無関係な患者でのいくつかの独立した腫瘍に対する有効性は、上記治療の一般的有用性と一致する。上述した条件下でのシクロパミンによる治療は、我々が以前にも開示したように(PCT/TR01/00027号、国際公開公報第02/078704号)、組織学的/免疫組織化学的判定基準により正常組織成分(推定上の幹細胞を含む)への不当な有害作用を示さなかった。さらに、本明細書の時点で2年間以上追跡した、以前のシクロパミン適用の皮膚部位は、健常な外観の正常皮膚と毛を継続して示し、幹細胞の機能的保存と長期的な安全性を示唆している。
【0014】
ここで及び以前に(国際公開公報第02/078703号、国際公開公報第02/078704号)開示したシクロパミンの生物学的及び治療的作用の大部分は、細胞分化の誘導に関連するという一様な特徴を有している。それ故特に、シクロパミンと同様の受容体結合特性及び生物学的及び治療的作用を及ぼす他の分子をシクロパミンから誘導する又は合成することができると想定される。そのような分子をここでは「シクロパミンの誘導体」と称する。ここで使用する「シクロパミンの誘導体」の語は次のように定義される: その生物学的標的へのシクロパミンの結合に関与するシクロパミン分子の領域を含むが、それに加えて、新たに誘導される分子が引き続き同じ生物学的標的(すなわちスムーズンドタンパク質)に特異的に結合して本発明及び国際公開公報第02/078703号及び国際公開公報第02/078704号の中で開示されるシクロパミンの生物学的作用を及ぼすことができるような、親シクロパミン分子の修飾を含む分子。シクロパミンのそのような修飾は、生じる分子が安定であり、シクロパミンと同じ生物学的標的に特異的に結合して本発明及び国際公開公報第02/078703号及び国際公開公報第02/078704号の中で開示されるシクロパミンの生物学的作用を及ぼす能力を有することを条件として、シクロパミン分子内の分子基の1又はそれ以上の置換又は欠失又はシクロパミン分子への分子基(特に小分子基、例えばメチル基)の付加を含みうる。シクロパミンからのそのような新しい分子の誘導は当業者によって容易に実現することができ、また新たに誘導された分子におけるシクロパミンの生物学的作用の保持の継続又は廃止も、例えば本明細書及び国際公開公報第02/078703号及び国際公開公報第02/078704号の中で開示される生物学的作用に関して試験することにより、当業者によって容易に決定されうる。
【0015】
【表1】
*紅斑、隆起及び落屑のスコアの合計(ボーマンP.H.ら(2002)J.Am.Acad.Dermatol.46:907−913が述べたように、各々0.5ずつの増分で0−4の測定尺度)。「1日だけ」の治療では、シクロパミンによる治療を1日間だけ継続した。その後治療なしで病変を追跡し、EESスコアを決定した。各々の治療分類において評点付けた病変の数を示している。組織病理学的/免疫化学的分析のために4日目以前に切除した病変のスコアは、この評価及び算定には含めていない(シクロパミン+CS)クリームは、〜9mMシクロパミン及び〜0.55mMクロベタゾール17−プロピオネートを含有するクリーム製剤による治療、又は〜1.1mMクロベタゾール17−プロピオネートを含有するクリーム製剤による1日間の前処置後の〜18mMシクロパミンを含有するクリーム製剤による治療を指す。これら2つのタイプの治療の結果は同様であり、それ故単一の群として算定した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、治療前の29歳の男性の肘前領域における乾癬病変の外観(〜7×8mm)を示す。
【図1B】図1Bは、24時間のシクロパミンクリームによる治療及び44時間の治療なしでのフォローアップ後(治療開始から68時間目)の図1Bと同じ病変を示す。
【図1C】図1Cは、治療前の29歳の男性の三角筋部における乾癬病変(〜9×11mm)を示す。
【図1D】図1Dは、等しい容量のシクロパミンクリーム及びクロベタゾール17−プロピオネートのクリーム製剤(0.5mg/g)を含む既混合クリームによる治療68時間目の、図1Cと同じ病変を示す。
【図1E】図1Eは、クロベタゾール17−プロピオネートのクリーム製剤(0.5mg/g)による治療の48時間後の29歳の男性の下肋部における乾癬病変(〜11×12mm)を示す。
【図1F】図1Fは、治療をクロベタゾール17−プロピオネート(0.5mg/g)からシクロパミンクリームに切り換えてから24時間目の、図1Eと同じ病変を示す。
【図1G】図1Gは、免疫組織化学で検出されたEGFRを有する非病変皮膚組織を示す。表皮中のEGFRを示す細胞は基底層に限定されることが認められる。原倍率200倍。
【図1H】図1Hは、免疫組織化学で検出されたEGFRを有する未処置乾癬病変皮膚組織を示す。病変表皮中の基底上細胞は著明に高いEGFR発現を示すことが認められる。原倍率200倍。
【図1I】図1Iは、切除前24時間にわたってシクロパミンクリームで治療し、その後EGFRについて免疫組織化学的に染色した乾癬病変皮膚組織を示す。表皮中のEGFRを示す細胞は基底層に限定されることが認められる。原倍率200倍。
【図2A】図2Aは、治療前の82歳の男性の頬の毛包上皮腫及び近接する母斑を示す。
【図2B】図2Bは、24時間のシクロパミンクリームによる治療後の図2Aと同じ皮膚領域を示す。
【図2C】図2Cは、残存腫瘍細胞を伴う、図2Bで示した切除皮膚領域からの切片を示す。H&E、原倍率400倍。
【図2D】図2Dは、図2Cと同じ組織からの別の部分を示す。数多くのアポトーシス細胞及びそれらの除去による嚢胞構造の形成に加えて、腫瘍が単核細胞によって浸潤されていることが認められる。H&E、原倍率400倍。
【図3A】図3Aは、治療前の59歳の男性の下眼瞼における色素沈着BCCを示す。
【図3B】図3Bは、シクロパミンによる治療の3日目の、図3Aと同じBCCを示す。
【図3C】図3Cは、図3Bに示したBCCの治療領域からの切片を示す。H&E、原倍率400倍。
【図3D】図3Dは、図3Bに示したBCCの治療領域からの切片における残存腫瘍細胞の部分の拡大図を示す。H&E、原倍率400倍。
【図3E】図3Eは、治療前の、図3Aに示すBCCから得たパンチ生検材料からの切片を示す。H&E、原倍率400倍。
【図3F】図3Fは、図3Aにおいて矢印で示したBCC小結節の部分を含む切片を示す。3日間の治療及び6日間の治療なしでのフォローアップ後に組織を切除した。H&E、原倍率400倍。(カラー写真) 免疫組織化学データ及び所見は、それらの性質上、モノクロよりもカラーで最もよく伝えることができるので、p.14、15と同じ図(図1A、図1B、図1C、図1D、図1E、図1F、図1G、図1H、図1I、図2A、図2B、図2C、図2D、図3A、図3B、図3C、図3D、図3E、図3F)のカラー写真をp.14a、15aとして添付した;特許庁にこの事実を配慮して頂き、それらのページをこの特許出願の一部として保持して頂くことを謹んで要請するものである。しかし、特許庁が必要と判断される場合は、p.14a、15aを本特許出願から除いてもよい。
【技術分野】
【0001】
細胞分化は多細胞生物の発生において重要な役割を果たす。ヒトでは、発達の間だけでなく出生後生活期間にも、多くの組織中の細胞が分化を受けて、生物の適切な機能遂行に必要な新しい細胞型を生成する。ある細胞型がもう1つ別の細胞型に分化するためのシグナルは、近接環境中及び/又はより離れた組織及び器官(例えばホルモンの形態で)からの他の細胞及び非細胞組織成分から誘導されうる。入ってきたシグナルに対する細胞応答の決定も複雑であり、シグナルの性質又はシグナルのセット(the set of signals)ならびに問題の細胞のより内因的な特徴(例えばその分化状態及び染色質の構造)に依存する。ヒトの毎日の生活の間に、様々な機構によって数多くの細胞が失われる(急性及び慢性傷害及び損傷のため及び他の理由によるプログラム細胞死の結果として)。これらの失われた細胞は一般に、それらの前駆体、前駆細胞及び幹細胞の調節された増殖と分化によって置き換えられる。ヒトの皮膚は多くの内組織よりも環境的傷害(例えば物理的外傷)に対して比較的大きな感受性を有するが、状況に良好に適応し、一定の喪失とその最上層の置換を示す。表皮の最上層から剥離した死細胞は、正常には、表皮の基底層細胞の増殖によって及び基底上細胞を生成するためのこれらの細胞の分化によって置き換えられる。環境的及び/又は遺伝的理由による、この分化過程における異常は、皮膚症状が一般に容易に検出される様々な疾患をもたらす。非表皮皮膚細胞の分化障害を含む皮膚疾患も多様である。これらの疾患の基礎となる原因の相違が様々な症状発現及び臨床症候をもたらすが、細胞分化の異常はそれらの一貫した特徴である。細胞分化の異常を示すことが知られる皮膚疾患の非制限的な例は、尋常性魚鱗癬、葉状魚鱗癬、掌蹠角皮症、毛孔性紅色ひこう疹、ダリエ病及びいくつかのタイプの皮膚腫瘍を含む。これらの皮膚疾患の原因は概してよく理解されていない。しかしながら、細胞分化の調節の複雑さ及び多数の調節因子の存在は、分化の異常が時として、主に他のプロセスに影響を及ぼす異常に続発しうることを意味する。原因及び機構についての明瞭な理解がない状況において、これらの疾患のために使用しうる治療戦略は一般にほとんど有効ではない(ブラウン−ファルコO.ら(2000)Dermatology、第2版、Springer−Verlag,Berlin)。
【背景技術】
【0002】
シクロパミンはバイケイソウ属(Veratrum)植物において天然に生じるステロイドアルカロイドである。妊娠草食動物へのこれらの植物の催奇形性が活性化合物としてのシクロパミンの特定を導いた(キーラーR.F.(1969)Phytochemistry 8:223−225)。シクロパミンがどのようにして催奇形性を及ぼしうるかは、それがヘッジホッグ/スムーズンド(smoothened)シグナル伝達の阻害因子であるという所見によって明らかにされた(Incardona J.P.ら(1998)Development 125:3553−3562;クーパーM.K.ら(1998)Science 280:1603−1607)。ソニックヘッジホッグタンパク質は発育中の中枢神経系において腹部細胞の前駆体の分化を誘導することが認められた(グッドリッチL.V.ら(1998)Neuron 21:1243−1257)。そこで、発育中のニワトリ脳におけるシクロパミンによるヘッジホッグ/スムーズンドシグナル伝達経路の阻害は腹部細胞の形成の防止、及びそれ故、全前脳症に関係付けられた(Incardona J.P.ら(1998)Development 125:3553−3562;クーパーM.K.ら(1998)Science 280:1603−1607)。全前脳症はバイケイソウを食べるヒツジの仔における一般的な奇形であることが知られている(ビンスW.ら(1963)Am J.Vet.Res.24:1164−1175)。シクロパミンは、骨髄細胞の赤血球細胞への分化(Detrner K.ら(2000)Dev.Biol.222:242)及び尿生殖洞の前立腺への分化(バーマンD.M.ら(2000)J.Urol.163:204)を含む、他の系における細胞分化も阻害することが報告された。
【0003】
シクロパミンが細胞分化を阻害するように働くという上記に要約した先行技術の教示(Incardona J.P.ら(1998)Development 125:3553−3562;クーパーM.K.ら(1998)Science 280:1603−1607;Detrner K.ら(2000)Dev.Biol.222:242;バーマンD.M.ら(2000)J.Urol.163:204)からは予想されず且つそれに反して、我々は、シクロパミンはむしろ、細胞分化の停止を示している基底細胞癌細胞の分化を誘導することを見出した(タスS.ら(2001)PCT/TR01/00027号、国際公開公報第02/078703号)。同様にシクロパミンは、乾癬病変表皮の表皮細胞が再び正常な分化を開始することを可能にした(タスS.ら(2002)PCT/TR02/00017号、国際公開公報第02/078704号)。シクロパミンは形質転換細胞の生存能に有害作用を及ぼさないというこれまでの報告(Taipale J.ら(2000)Nature 406:1005−1009)からはやはり予想外に、シクロパミンが誘導する基底癌細胞の分化はこれらの細胞の大量のアポトーシスを伴った(タスS.ら(2001)PCT/TR01/00027号、国際公開公報第02/078703号)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シクロパミンは、基底細胞癌だけでなく他の皮膚腫瘍においても、腫瘍細胞の分化とアポトーシスの誘導において有効である。毛包/表皮細胞系統(例えば毛包上皮腫)及びメラニン細胞(例えばメラノサイト性母斑)に由来する腫瘍がシクロパミンによる治療後速やかに消失した。シクロパミンが誘導する、乾癬を有する患者の皮膚からの乾癬病巣の清掃も、病巣表皮における細胞分化の誘導に関連する。我々は、乾癬の治療におけるシクロパミンの有効性が、シクロパミン及びコルチコステロイドを含有する治療組成物の使用によって及び/又はコルチコステロイドによる病変の前処置によって、さらに有意に増強されることを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
我々は、細胞分化の阻害に関連した一様な特徴を有する多くの疾患に対して良好な治療効果を達成することができるように、シクロパミンがいくつかの細胞型の分化を誘導する上で有効であること及びこの分化の誘導は、我々が開示する条件下で、インビボで十分な選択性でもって得られること(不当な副作用を伴わずに)を開示する。腫瘍(悪性及び良性腫瘍の両方)においてシクロパミンによる腫瘍細胞の分化の誘導は一般に腫瘍細胞のアポトーシス(プログラム死)に結びついており、それによってシクロパミンの抗腫瘍治療効果が増強されることを開示する。乾癬におけるシクロパミンの新しい治療効果(先にPCR/TR02/00017号、国際公開公報第02/078704号に開示されている)は、適切な製薬担体中にシクロパミンとコルチコステロイドを含有する治療組成物の使用によってさらに一層高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
シクロパミンはエタノール又は他の適切な溶媒に溶解することができ、所望適用様式に依存して適切な製薬担体と混合することができる。局所適用のためには、シクロパミンをエタノール又は他の適切な溶媒に溶解し、適切な基剤クリーム、軟膏又はゲルと混合することができる。シクロパミンはまた、ヒドロゲル又は制御放出を可能にする他の製薬形態中に捕捉することもでき、それを皮膚パッチに吸着させることができる。ここで図1A−図1I及び図2A−図2D及び図3A−図3Fの図面に示す作用は、シクロパミンの指示最終濃度が得られるようにエタノール中のシクロパミンの溶液を基剤クリームと混合して得たクリーム製剤によって得られたものである。使用した基剤クリームは、主として重パラフィン油(10%w/w)、ワセリン(10%w/w)、ステアリルアルコール(8%w/w)、ポリオキシルステアレス−40(3%w/w)及び水(68%w/w)で作られるが、他の適切に製剤された基剤クリームも使用できる。シクロパミンとコルチコステロイド(どちらもステロイド分子である)の脂質対水の溶解度特性及び分子構造の類似性は、それらを同じ製薬担体中で混合することを容易にする。製薬形態でのシクロパミンとコルチコステロイドの最適濃度ならびに最適用量及び適用スケジュールは、明らかに、個々の製薬形態、個々のコルチコステロイド及び治療する病変の局在と特徴などの因子によって影響されうる;しかし、これらは、周知の公表されている最適化方法に従うことによって決定できる。図1C及び図1Dの図面に示す作用を得るために使用したコルチコステロイドは、基剤クリーム中最終濃度〜0.55mMのクロベタゾール17−プロピオネートであった(同じクリーム中のシクロパミンの濃度は〜9mMであった)。図1Eに示す病変の前処置のために使用したコルチコステロイドは、基剤クリーム中最終濃度〜1.1mMのクロベタゾール17−プロピオネートであった。このクリーム中のクロベタゾール17−プロピオネートを〜50mMのヒドロコルチゾンに置き換えることによって同様のコルチコステロイド作用が得られる。当技術分野で周知の他のコルチコステロイド分子も適切であると考えられ、適切な濃度で上記コルチコステロイド分子の代わりに使用することができる(所与のコルチコステロイドについての適切な濃度範囲も当技術分野において既知である)。
【0007】
図1Aは、治療前の29歳の男性の肘前領域の乾癬プラークを示す。シクロパミンクリーム約20μl(上述した基剤クリーム中18mMシクロパミン)を4時間ごとに24時間にわたってこの病変に適用した。その後治療を中止し、病変を追跡した。病変は、治療の8時間目に紅斑の減少を示し、治療を行わなかったフォローアップ期間中も後退を続けて3日目に図1Bに示す状態に至り、4日目には検出不能となった。
【0008】
図1Cは、治療前の同じ患者の三角筋部皮膚上に位置するもう1つの乾癬プラークを示す。〜9mMシクロパミン及び〜0.55mMクロベタゾール17−プロピオネート(基剤クリーム中)を含有するクリーム製剤約20μlを4時間ごとにこの病変に適用した。この病変も8時間目に紅斑の減少を示し、3日目に検出不能となった(図1Dは68時間目のその様相を示す)。同じ患者において、4時間ごと又は8時間ごとに〜1.1mMクロベタゾール17−プロピオネートを含有するクリーム製剤(但しシクロパミンは含まない)で被覆した他の乾癬病変は、同じ期間中に検出可能な変化を示さなかった(すなわち病変は3日目にも残存していた)。同じ患者の他の病変に我々が使用した濃度の半分でも、シクロパミンに対する高い治療応答は、シクロパミンとコルチコステロイドを含有する治療組成物のさらなる評価を促した。我々はそれに加えて、局所コルチコステロイドによる乾癬病変の前処置とそれに続くシクロパミンクリーム(基剤クリーム中18mMシクロパミン)による治療を評価した。図1Eは、シクロパミンの適用前の同じ患者の下肋部の乾癬プラークを示す。この病変をコルチコステロイドクリームだけで48時間治療し、その後コルチコステロイドを中止して、治療を4時間ごとのシクロパミンクリーム〜20μl(基剤クリーム中18mMシクロパミン)の適用に切り換えた。図1Fは、シクロパミンクリーム適用の24時間目の病変を示し、この時間までに病変がほぼ完全に消失したことを示している。
【0009】
乾癬病変の重症度は、紅斑、病変の隆起及び落屑について別々のスコアを与えること、次にそれらのスコアを合計して、その病変のEESスコアと呼ばれるスコアを得ることにより、半定量的測定尺度で評価することができる(ボーマンP.H.ら(2002)J.Am.Acad.Dermatol.46:907−913)。表Iは、EES評点によって評価した、様々な形態の処置に対する治療応答の比較を示す。乾癬病変の治療におけるシクロパミン及びコルチコステロイドを含有する治療組成物の使用は、有効成分としてシクロパミンだけを含有する組成物の使用と比較して治療効果を有意に増強したことがわかる。1日間のコルチコステロイドによる病変の前処置とそれに続くシクロパミンクリーム(基剤クリーム中18mMシクロパミン)による処置は、同様に治療効果を増強している。表Iは、シクロパミンを含有する組成物で1日間治療し、その後全く治療を行わずにフォローアップした乾癬病変も同じく後退したが、概して比較的緩やかな速度であったことを示している。この後者の特性は臨床の場である種の用途を有すると考えられるが、大部分の患者は病変のより速い除去を選択すると予想できる。
【0010】
以前に(PCT/TR02/00017号、国際公開公報第02/078704号)及びここでも述べたように、シクロパミンクリーム単独で、従来の治療によって得られるよりもはるかに速い速度で乾癬病変の後退と除去(clearance)を生じさせた。しかしながら、シクロパミンをコルチコステロイドと共に、あるいはコルチコステロイドによる前処置のすぐ後に使用したとき、治療応答のさらなる増強が可能であった。この特性はシクロパミン治療の臨床的有用性を高め、それは一部には、コルチコステロイドの抗炎症作用に関連付けられるであろう。乾癬病変の発現への炎症細胞及びサイトカインの寄与は広く認識されている(クリューガーJ.G.ら(1990)J.Invest.Dermatol.94:135S−140S)。乾癬病変表皮においては、上皮増殖因子受容体(EGFR)及びそのリガンド(例えばトランスフォーミング増殖因子α)の1又はそれ以上の発現が著明に上昇することが知られている。これらは、炎症による表皮EGFRの増加の誘導がさらに寄与する、自己分泌刺激ループを開始させると考えられる(クリューガーJ.G.ら(1990)J.Invest.Dermatol.94:135S−140S)。しかし、シクロパミンクリーム単独に対する(しかしコルチコステロイド単独に対しては見られない)異常に速い治療応答、及び実際に、シクロパミン適用の中止後の乾癬病変の後退の持続は、鍵となる/近位病原事象へのシクロパミンによる(しかしコルチコステロイドによっては生じない)有効な介入処置と一致する。乾癬病変表皮の基底上層におけるEGFRの過剰発現は自己分泌刺激ループを開始させると考えられるため、及びEGFR発現の表皮基底層への回帰が様々な様式による乾癬の有効治療の最初の徴候の1つとみなされるので(キングL.E.Jrら(1990)J.Invest.Dermatol.95:10S−12S)、シクロパミン治療に対するEGFR発現パターンの応答を評価した。このために、ヒトEGFRに対するマウスモノクローナルEGFR.113(英国ノボカストラ・ラボラトリーズ社(Novocastra Labs.Ltd.,U.K.))を一次抗体として使用し、製造者が推奨するように免疫組織化学アッセイを実施した。図1Iは、乾癬病変へのシクロパミンクリームの適用がEGRR発現パターンの速やかな正常化を生じさせたこと及び免疫組織化学で検出したEGFRが治療の24時間目までに再び主として表皮の基底層に限定されるようになったことを示している(図1I)。病変のシクロパミン治療後のEGFR発現パターン(図1I)は、非病変皮膚で見られるもの(図1G)と区別できなかった。プラセボクリーム(すなわちシクロパミンを含まない基剤クリーム)で処置した乾癬病変皮膚は、他方で、表皮の基底上層においてEGFRの著明に異なる病的パターンと過剰発現を継続して示した(図1H)。それ故シクロパミン治療は、EGFR発現の判定基準によっても乾癬病変への速やかな治療効果を有していた(キングL.E.Jrら(1990)J.Invest.Dermatol.95:10S−12S)。
【0011】
シクロパミンによる基底細胞癌細胞の分化の誘導はそれらのアポトーシス(プログラム死)に結びつくことが認められた(PCT/TR01/00027号、国際公開公報第02/078703号)。図2A−図2Dの図面は、シクロパミンのそのような作用が基底細胞癌に限定されないことを示している。毛包上皮腫は、ヘッジホッグ−スムーズンドシグナル伝達の上昇を生じさせる遺伝子変化に関連する腫瘍である(Vorechovsky I.ら(1997)Cancer Res.57:4677−4681;ニルソンM.ら(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:3438−3443)。図2Aは、治療前の82歳の男性の頬の毛包上皮種を示し、図2Bは、シクロパミンクリーム(基剤クリーム中18mMシクロパミン;クリーム〜25μlを3時間ごとに直接腫瘍に適用した)への24時間だけの暴露後の同じ皮膚領域を示す。速やかな後退のため、24時間目に治療を中止し、もとの腫瘍に相当する皮膚領域全体を検査のために切除した。図2C及び図2Dは、24時間目の残存腫瘍細胞を含む組織領域を示し、これらの残存腫瘍細胞における著明なアポトーシス作用を明らかにしている。腫瘍細胞のアポトーシス除去から生じる嚢胞腔(図2C、図2D)ならびに腫瘍の単核細胞浸潤(図2D)が見られる。この患者におけるもう1つの注目すべき所見は、治療24時間目の、治療した腫瘍の近くに位置する母斑の大きさと色素沈着の減少であった(図2B対図2A)。シクロパミンは適用の隣接領域から拡散したと考えられるので、母斑(良性メラノサイト腫瘍)は比較的低い濃度のシクロパミンに対して感受性であると思われる。実際に、もう1名の志願者におけるシクロパミンクリーム(基剤クリーム中18mMシクロパミン)によるメラノサイト母斑の治療も、同様に速やかな色素脱失と母斑の消失を生じさせた(データは示していない)。
【0012】
図3Aは、治療前の59歳の男性の下眼瞼の色素性基底細胞癌(BCC)を示す。この患者において矢印で示した1つを除くすべての小結節にシクロパミンクリーム(基剤クリーム中18mMシクロパミン)を適用した。隣接治療領域からの拡散によってのみシクロパミンを摂取したと考えられるこの小結節は、比較的低い濃度のシクロパミンに暴露されるはずである。この腫瘍の色素沈着特性から臨床フォローアップが容易であったので、治療領域の腫瘍が大きく後退したが、まだ可視部分を含んでいた3日目に、治療(4時間ごとにシクロパミンクリーム〜20μlの適用)を中止した(図3B)。その後可能性のある遅発効果の検討のために治療なしで腫瘍を追跡した。治療なしでは、明らかなさらなる臨床的後退は認められず、フォローアップの6日目(治療開始から9日目)にもとの腫瘍に相当する皮膚領域を切除した。腫瘍の治療領域からのヘマトキシリン−エオシン染色切片は、腫瘍細胞が存在しない多くの嚢胞腔を明らかにした(図3C)。これらの嚢胞を裏打ちする上皮が存在しないこと(図3C)は、それまで腫瘍細胞で占められていた組織領域がこれらの嚢胞で示されていることと一致する。この時点で(治療なしでのフォローアップの6日目)組織切片は、既知である、生組織からのアポトーシス細胞の清掃の迅速性と一致する、相対的に少ないアポトーシス細胞を示した(図3C)。他方で、特に嚢胞の縁近くの残存腫瘍細胞は、棘状分化の特徴(例えば図3Cの左下付近の領域;図3Dにおいてもう1つ別の部分から例示されるように、より高い倍率でより明瞭に認められる)を示す細胞の異常に高い発生率を示した。同様の分化又は嚢胞の領域は、治療開始前に同じ腫瘍から採取したパンチ生検材料には存在しなかった(図3E)。比較的低い濃度のシクロパミンを摂取した腫瘍小結節(図3Aにおいて矢印で示す)は、フォローアップの6日目に大きな嚢胞中心を有していた(図3F)。しかしながら小結節の残存末梢は、分化の特徴を有する(例えば拡大した、より好酸性の細胞質を有する)細胞の発生率がやはり高く、より小さな嚢胞がこの末梢内に存在したが、典型的なBCC形態を備えた細胞を引き続き有していた(図3F)。それ故、最適濃度のシクロパミンに対する腫瘍応答は比較的迅速であるが、最適下濃度に対する暴露はフォローアップ期間中も存続する腫瘍細胞を残した。
【0013】
これらの例は、腫瘍細胞の分化とアポトーシスの誘導において、及び高いヘッジホッグ/スムーズンドシグナル伝達(hedgehog-smoothened signaling)を示す腫瘍の速やかな臨床的後退を得る上での、上述した治療の有効性をさらに例証する。様々な遺伝子型を有する無関係な患者でのいくつかの独立した腫瘍に対する有効性は、上記治療の一般的有用性と一致する。上述した条件下でのシクロパミンによる治療は、我々が以前にも開示したように(PCT/TR01/00027号、国際公開公報第02/078704号)、組織学的/免疫組織化学的判定基準により正常組織成分(推定上の幹細胞を含む)への不当な有害作用を示さなかった。さらに、本明細書の時点で2年間以上追跡した、以前のシクロパミン適用の皮膚部位は、健常な外観の正常皮膚と毛を継続して示し、幹細胞の機能的保存と長期的な安全性を示唆している。
【0014】
ここで及び以前に(国際公開公報第02/078703号、国際公開公報第02/078704号)開示したシクロパミンの生物学的及び治療的作用の大部分は、細胞分化の誘導に関連するという一様な特徴を有している。それ故特に、シクロパミンと同様の受容体結合特性及び生物学的及び治療的作用を及ぼす他の分子をシクロパミンから誘導する又は合成することができると想定される。そのような分子をここでは「シクロパミンの誘導体」と称する。ここで使用する「シクロパミンの誘導体」の語は次のように定義される: その生物学的標的へのシクロパミンの結合に関与するシクロパミン分子の領域を含むが、それに加えて、新たに誘導される分子が引き続き同じ生物学的標的(すなわちスムーズンドタンパク質)に特異的に結合して本発明及び国際公開公報第02/078703号及び国際公開公報第02/078704号の中で開示されるシクロパミンの生物学的作用を及ぼすことができるような、親シクロパミン分子の修飾を含む分子。シクロパミンのそのような修飾は、生じる分子が安定であり、シクロパミンと同じ生物学的標的に特異的に結合して本発明及び国際公開公報第02/078703号及び国際公開公報第02/078704号の中で開示されるシクロパミンの生物学的作用を及ぼす能力を有することを条件として、シクロパミン分子内の分子基の1又はそれ以上の置換又は欠失又はシクロパミン分子への分子基(特に小分子基、例えばメチル基)の付加を含みうる。シクロパミンからのそのような新しい分子の誘導は当業者によって容易に実現することができ、また新たに誘導された分子におけるシクロパミンの生物学的作用の保持の継続又は廃止も、例えば本明細書及び国際公開公報第02/078703号及び国際公開公報第02/078704号の中で開示される生物学的作用に関して試験することにより、当業者によって容易に決定されうる。
【0015】
【表1】
*紅斑、隆起及び落屑のスコアの合計(ボーマンP.H.ら(2002)J.Am.Acad.Dermatol.46:907−913が述べたように、各々0.5ずつの増分で0−4の測定尺度)。「1日だけ」の治療では、シクロパミンによる治療を1日間だけ継続した。その後治療なしで病変を追跡し、EESスコアを決定した。各々の治療分類において評点付けた病変の数を示している。組織病理学的/免疫化学的分析のために4日目以前に切除した病変のスコアは、この評価及び算定には含めていない(シクロパミン+CS)クリームは、〜9mMシクロパミン及び〜0.55mMクロベタゾール17−プロピオネートを含有するクリーム製剤による治療、又は〜1.1mMクロベタゾール17−プロピオネートを含有するクリーム製剤による1日間の前処置後の〜18mMシクロパミンを含有するクリーム製剤による治療を指す。これら2つのタイプの治療の結果は同様であり、それ故単一の群として算定した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、治療前の29歳の男性の肘前領域における乾癬病変の外観(〜7×8mm)を示す。
【図1B】図1Bは、24時間のシクロパミンクリームによる治療及び44時間の治療なしでのフォローアップ後(治療開始から68時間目)の図1Bと同じ病変を示す。
【図1C】図1Cは、治療前の29歳の男性の三角筋部における乾癬病変(〜9×11mm)を示す。
【図1D】図1Dは、等しい容量のシクロパミンクリーム及びクロベタゾール17−プロピオネートのクリーム製剤(0.5mg/g)を含む既混合クリームによる治療68時間目の、図1Cと同じ病変を示す。
【図1E】図1Eは、クロベタゾール17−プロピオネートのクリーム製剤(0.5mg/g)による治療の48時間後の29歳の男性の下肋部における乾癬病変(〜11×12mm)を示す。
【図1F】図1Fは、治療をクロベタゾール17−プロピオネート(0.5mg/g)からシクロパミンクリームに切り換えてから24時間目の、図1Eと同じ病変を示す。
【図1G】図1Gは、免疫組織化学で検出されたEGFRを有する非病変皮膚組織を示す。表皮中のEGFRを示す細胞は基底層に限定されることが認められる。原倍率200倍。
【図1H】図1Hは、免疫組織化学で検出されたEGFRを有する未処置乾癬病変皮膚組織を示す。病変表皮中の基底上細胞は著明に高いEGFR発現を示すことが認められる。原倍率200倍。
【図1I】図1Iは、切除前24時間にわたってシクロパミンクリームで治療し、その後EGFRについて免疫組織化学的に染色した乾癬病変皮膚組織を示す。表皮中のEGFRを示す細胞は基底層に限定されることが認められる。原倍率200倍。
【図2A】図2Aは、治療前の82歳の男性の頬の毛包上皮腫及び近接する母斑を示す。
【図2B】図2Bは、24時間のシクロパミンクリームによる治療後の図2Aと同じ皮膚領域を示す。
【図2C】図2Cは、残存腫瘍細胞を伴う、図2Bで示した切除皮膚領域からの切片を示す。H&E、原倍率400倍。
【図2D】図2Dは、図2Cと同じ組織からの別の部分を示す。数多くのアポトーシス細胞及びそれらの除去による嚢胞構造の形成に加えて、腫瘍が単核細胞によって浸潤されていることが認められる。H&E、原倍率400倍。
【図3A】図3Aは、治療前の59歳の男性の下眼瞼における色素沈着BCCを示す。
【図3B】図3Bは、シクロパミンによる治療の3日目の、図3Aと同じBCCを示す。
【図3C】図3Cは、図3Bに示したBCCの治療領域からの切片を示す。H&E、原倍率400倍。
【図3D】図3Dは、図3Bに示したBCCの治療領域からの切片における残存腫瘍細胞の部分の拡大図を示す。H&E、原倍率400倍。
【図3E】図3Eは、治療前の、図3Aに示すBCCから得たパンチ生検材料からの切片を示す。H&E、原倍率400倍。
【図3F】図3Fは、図3Aにおいて矢印で示したBCC小結節の部分を含む切片を示す。3日間の治療及び6日間の治療なしでのフォローアップ後に組織を切除した。H&E、原倍率400倍。(カラー写真) 免疫組織化学データ及び所見は、それらの性質上、モノクロよりもカラーで最もよく伝えることができるので、p.14、15と同じ図(図1A、図1B、図1C、図1D、図1E、図1F、図1G、図1H、図1I、図2A、図2B、図2C、図2D、図3A、図3B、図3C、図3D、図3E、図3F)のカラー写真をp.14a、15aとして添付した;特許庁にこの事実を配慮して頂き、それらのページをこの特許出願の一部として保持して頂くことを謹んで要請するものである。しかし、特許庁が必要と判断される場合は、p.14a、15aを本特許出願から除いてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の増加した色素沈着を示す人の治療用製薬組成物であって、シクロパミンもしくはその製薬上許容される塩又はヘッジホッグ/スムーズンドシグナル伝達を選択的に抑制する他の分子を含み、十分な量の前記組成物の投与が、皮膚の色素沈着の減少をもたらす、製薬組成物。
【請求項2】
前記他の分子が、ヘッジホッグ/スムーズンドシグナル伝達を抑制するようにスムーズンドタンパク質に結合する分子である、請求項1記載の製薬組成物。
【請求項3】
前記皮膚の増加した色素沈着が、メラノサイト腫瘍により引き起こされる請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
制御放出を可能にする、請求項1に記載の製薬組成物。
【請求項5】
局所投与形態である、請求項1に記載の製薬組成物。
【請求項6】
非局所投与形態である、請求項1に記載の製薬組成物。
【請求項7】
皮膚パッチに吸着させた、請求項1に記載の製薬組成物。
【請求項1】
皮膚の増加した色素沈着を示す人の治療用製薬組成物であって、シクロパミンもしくはその製薬上許容される塩又はヘッジホッグ/スムーズンドシグナル伝達を選択的に抑制する他の分子を含み、十分な量の前記組成物の投与が、皮膚の色素沈着の減少をもたらす、製薬組成物。
【請求項2】
前記他の分子が、ヘッジホッグ/スムーズンドシグナル伝達を抑制するようにスムーズンドタンパク質に結合する分子である、請求項1記載の製薬組成物。
【請求項3】
前記皮膚の増加した色素沈着が、メラノサイト腫瘍により引き起こされる請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
制御放出を可能にする、請求項1に記載の製薬組成物。
【請求項5】
局所投与形態である、請求項1に記載の製薬組成物。
【請求項6】
非局所投与形態である、請求項1に記載の製薬組成物。
【請求項7】
皮膚パッチに吸着させた、請求項1に記載の製薬組成物。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【公開番号】特開2010−132691(P2010−132691A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28010(P2010−28010)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【分割の表示】特願2003−585716(P2003−585716)の分割
【原出願日】平成15年3月17日(2003.3.17)
【出願人】(504385650)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【分割の表示】特願2003−585716(P2003−585716)の分割
【原出願日】平成15年3月17日(2003.3.17)
【出願人】(504385650)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]