説明

予測誤差補填方法、予測誤差補填装置、気象発電計画方法、気象発電計画装置およびプログラム

【課題】気象に基づく発電の利用を促進する。
【解決手段】予測誤差補填方法であって、前記発電出力予測誤差に対する前記発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額を回帰演算することにより、前記気象予測誤差に対して前記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出ステップと、前記補填額の関数を求めるのに用いられた前記気象条件よりも後の時点での気象条件による気象の予測値および実測値から前記予測値および前記実測値の気象予測誤差を算出し、前記補填関数算出ステップにより算出された前記補填額の関数に代入して、前記予測値および前記実測値の前記気象予測誤差に対する前記補填額を算出し、前記発電装置に対応付けて出力する補填額出力ステップとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測誤差補填方法、予測誤差補填装置、気象発電計画方法、気象発電計画装置およびプログラムに関する。本発明は、特に、気象予測誤差と発電出力予測誤差とを用いた予測誤差補填方法、予測誤差補填装置、気象発電計画方法、気象発電計画装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして、世界規模で風力発電が注目されている。また、国内でも、今後、さらなる風力発電事業の拡大が見込まれる。ここで、風力発電の実用化における問題点として、発電出力が発電時点での風速および風向等の風況に依存するので、実際に発電するまで発電出力が不確定である点が挙げられる。この問題を解決することを目的として、風況の予測値に基づいて、発電出力の予測値を算出する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2007−9804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、風況は自然現象なので、正確に予測することができず、発電出力の予測には予測誤差が存在する。この予測誤差は、発電事業者等の電力供給者にとって損失となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、予測誤差補填方法であって、気象条件に基づいた特定の気象の予測値を取得し、取得した気象の予測値から、気象に基づく発電装置の発電出力の予測値を算出するとともに、発電出力の予測値を発電装置に対応付けて出力する発電出力予測ステップと、気象の実測値および発電装置の発電出力の実測値を取得する実測値取得ステップと、気象の実測値に対する気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出ステップと、発電出力の実測値に対する発電出力の予測値の誤差である発電出力予測誤差を算出する発電出力予測誤差算出ステップと、発電出力予測誤差に対する発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、気象予測誤差を説明変数として損失額を回帰演算することにより、気象予測誤差に対して損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出ステップと、補填額の関数を求めるのに用いられた気象の予測値よりも後の時点での気象の予測値および実測値に基づいて予測値および実測値の気象予測誤差を算出し、補填関数算出ステップにより算出された補填額の関数に基づいて、予測値および実測値の気象予測誤差に対する補填額を算出し、発電装置に対応付けて出力する補填額出力ステップとを備える。
【0005】
本発明の第2の形態においては、予測誤差補填方法であって、特定の気象に基づいて発電する発電装置が設置された地域の気象の予測値を取得し、取得した気象の予測値を発電装置に対応付けて出力する気象予測ステップと、気象の実測値を取得し、気象の実測値に対する気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出ステップと、発電装置の発電出力の実測値を取得し、気象の予測値を説明変数として発電出力の実測値をスプライン回帰した場合の残差を発電出力予測誤差として算出する発電出力予測誤差算出ステップと、発電出力予測誤差に対する発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、気象予測誤差を説明変数として損失額を回帰演算することにより、気象予測誤差に対して損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出ステップと、補填額の関数を求めるのに用いられた気象の予測値よりも後の時点での気象の予測値および実測値から予測値および実測値の気象予測誤差を算出し、補填関数算出ステップにより算出された補填額の関数に代入して、予測値および実測値の気象予測誤差に対する補填額を算出し、発電装置に対応付けて出力する補填額出力ステップとを備える。
【0006】
本発明の第3の形態においては、気象発電計画方法であって、気象条件を入力し、特定の気象の予測値を予測する気象予測ステップと、気象予測ステップで予測された気象の予測値から気象に基づく発電装置の発電出力の予測値を算出するとともに、発電出力の予測値を発電装置に対応付けて出力する発電出力予測ステップと、気象の実測値および発電装置の発電出力の実測値を取得する実測値取得ステップと、気象の予測値に対する気象の実測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出ステップと、発電出力の予測値に対する発電出力の実測値の誤差である発電出力予測誤差を算出する発電出力予測誤差算出ステップと、発電出力予測誤差に対する発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、気象予測誤差を説明変数として損失額を回帰演算することにより、気象予測誤差に対して損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出ステップと、発電出力予測誤差に対する損失額と気象予測誤差に対する補填額との相関を算出する損失補填額相関算出ステップと、損失補填額相関算出ステップにより算出された相関に基づいて、気象に基づく発電装置および他の発電装置による発電計画を出力する発電計画出力ステップとを備える。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1および第2の形態によれば、発電出力予測誤差に基づく損失の一部を、気象予測誤差に基づいて補填する場合に、適切な補填額を算出することができる。これにより、気象に基づく発電装置の利用を促進することができる。また、本発明の第3の形態によれば、気象に基づく発電装置と他の発電装置とを組み合わせて電力を供給する場合に、安定して電力を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態を示す電力供給システム全体を示す概念図である。この電力供給システムにおいて、出力予測提供事業者10は、気象情報サーバ50から取得した気象条件に基づいて、風力発電事業者20の将来の発電出力の予測値である発電出力予測値を風力発電事業者20に提供する。風力発電事業者20は、出力予測提供事業者10から提供された発電出力予測値を電力の供給に先立って、例えば前日に、特定規模電気事業者30に通知し、特定規模電気事業者30に実際に当日の電力を供給する。特定規模電気事業者30は供給された電力を他の電力と組み合わせて、電力使用者40に供給する。
【0011】
風力発電事業者20は、風速の大きさに基づいて発電する風力発電装置22、並びに、当該風力発電装置22の風力の実測値である風力実測値および発電出力の実測値である発電出力実測値を計測する情報処理装置24を有する。ここで風力発電装置22は、風力発電機単体でもよいし、複数の風力発電機が組み合わされたいわゆるウィドウファームであってもよい。
【0012】
特定規模電気事業者30は、火力発電装置32等、気象条件に左右されずに電力を供給できる調整発電装置、および、情報処理装置24から風力発電装置22から供給される発電出力予測値を受信するともに、当該発電出力予測値に基づいて風力発電装置22および火力発電装置32からの電力の組み合わせを制御する情報処理装置24を有する。気象情報サーバ50は、気象庁により管理され、所定の地理間隔ごとおよび所定の時間ごとに、過去の気象条件の実測値、および、当該気象条件の予測値を提供する。ここで、気象条件には、気温、気圧、風向、風速、湿度等が含まれる。
【0013】
出力予測提供事業者10は、予測誤差補填装置100を有する。予測誤差補填装置100は、気象情報サーバ50から気象条件を取得し、取得した気象条件に基づいて風力発電装置22の発電出力予測値を予測し、情報処理装置24に提供する。また、予測誤差補填装置100は、情報処理装置24により計測された風力実測値および発電出力実測値を受信する。なお、予測誤差補填装置100、気象情報サーバ50、情報処理装置24および情報処理装置34は、ネットワーク70を介して互いに通信する。
【0014】
ここで、風力発電装置22の発電出力は、風速を含む風况、その他の自然環境に左右され、この自然環境の変化を完全に予測することは困難である。よって、予測誤差補填装置100が計算によって予測した発電出力予測値は、風力発電装置22により実際に発電された発電出力実測値に対して誤差を有する。この誤差により、風力発電事業者20に損失が生じることがある。すなわち、風力発電事業者20は、予測誤差補填装置100から提供された翌日の風力発電装置22の発電出力予測値を、特定規模電気事業者30に対して供給できる電力量として特定規模電気事業者30に通知する。特定規模電気事業者30は当該通知に基づいて、電力使用者40に対して翌日に供給する電力の計画を策定する。よって、風力発電装置22の当日の発電出力実測値が上記発電出力予測値を下回った場合に、特定規模電気事業者30は、電力使用者40に対して計画通りの電力を供給すべく、火力発電装置32等の他の電力を必要とし、対処にコストがかかり、このコストは本来的に、風力発電事業者20が負担すべきものとされる。
【0015】
図2は、出力予測提供事業者10、風力発電事業者20および特定規模電気事業者30の電力取引の関係の一例を示す概念図である。出力予測提供事業者10は、風力発電事業者20に風力発電装置22の発電出力予測値を予測情報として提供し、その対価として風力発電事業者20からサービス料金を受け取る。また、風力発電事業者20は、風力発電装置22の電力を特定規模電気事業者30に供給し、その対価として特定規模電気事業者30から売電料金を受け取る。
【0016】
また、本実施形態においては、風力発電装置22の発電出力予測値と発電出力実測値との誤差による風力発電事業者20の損失を、出力予測提供事業者10の風速予測値の誤差に基づく補填額で補填する。すなわち、風力発電事業者20は、出力予測提供事業者10にオプション料金を支払うとともに、風速予測誤差に対する補填額を受け取る。この場合に、本実施形態は、予測誤差補填装置100により、風速予測誤差に対する適切な補填額の関数を算出し、実際の風速予測誤差に対する適切な補填額を算出することを目的とする。なお、出力予測提供事業者10と特定規模電気事業者30との間でオプション料金の支払いと補填額の受け取りとが行われてもよい。
【0017】
図3は、本発明の実施形態にかかる予測誤差補填装置100の機能ブロックを示す。予測誤差補填装置100はPC等の情報処理装置であって、出力予測提供事業者10により管理される。図3に示すように、予測誤差補填装置100は、風速予測部110、発電出力予測部120、風速予測誤差算出部130、発電出力予測誤差算出部140、補填関数算出部160、補填関数記憶部162、補填額出力部170および情報記憶部180を備える。ここで、風速は本発明における気象の一例であり、風速予測部110、風速予測誤差算出部130は、本発明における気象予測部および気象予測誤差算出部の一例である。
【0018】
風速予測部110は、気象条件を気象情報サーバ50から取得し、風力発電装置22が設置されている地域の風速予測値を算出する。この場合に、風速予測部110は、将来の一定期間ごとの平均風速、例えば、翌日の一時間ごとの平均風速を風速予測値として算出する。風速予測部110は、風速予測値を発電出力予測部120に受け渡すとともに、日時および風力発電装置22を識別する情報に対応づけて、情報記憶部180に格納する。
【0019】
発電出力予測部120は、風速予測部110から取得した風速予測値に基づいて、風力発電装置22の発電出力予測値を算出する。この場合に、発電出力予測部120は、例えば、風速予測部110が予測する風速予測値の上記一定期間と同じ期間の平均発電出力を、発電出力予測値として算出する。発電出力予測部120は、発電出力予測値を日時および風力発電装置22を識別する情報に対応づけて情報処理装置24に送信する。さらに、発電出力予測部120は、当該発電出力予測値を発電出力予測誤差算出部140に受け渡すとともに、情報記憶部180に格納する。
【0020】
風速予測誤差算出部130は、風速予測部110から風速予測値を取得するとともに、情報処理装置24から風力発電装置22の地域の風速実測値を取得する。さらに、風速予測誤差算出部130は、過去の所定の期間、例えば、1年間における一時間ごとの風速予測値および風速実測値に基づいて、風速予測値に対する風速実測値の誤差である風速予測誤差を算出する。風速予測誤差算出部130は、当該風速予測誤差を補填関数算出部160に受け渡す。ここで、風速予測誤差算出部130は、当該風速予測誤差を情報記憶部180に格納してもよい。また、風速予測誤差算出部130は、情報処理装置24に代えてまたは加えて、気象情報サーバ50から風速実測値を取得してもよい。なお、風速予測誤差算出部130は、風速予測部110から風速予測値を取得することに代えて、情報記憶部180から風速予測値を読み出してもよい。
【0021】
発電出力予測誤差算出部140は、発電出力予測部120から発電出力予測値を取得するとともに、情報処理装置24から風力発電装置22の発電出力実測値を取得する。さらに、発電出力予測誤差算出部140は、上記風速予測誤差算出部130における過去の所定の期間ごとの発電出力予測値および発電出力実測値に基づいて、発電出力予測値に対する発電出力実測値の誤差である発電出力予測誤差を算出する。発電出力予測誤差算出部140は、当該発電出力予測誤差を補填関数算出部160に受け渡す。ここで、発電出力予測誤差算出部140は、当該発電出力予測誤差を情報記憶部180に格納してもよい。なお、発電出力予測誤差算出部140は、発電出力予測部120から発電出力予測値を取得することに代えて、情報記憶部180から発電出力予測値を読み出してもよい。
【0022】
補填関数算出部160は、風速予測誤差算出部130から風速予測誤差を取得するとともに、発電出力予測誤差算出部140から発電出力予測誤差を取得する。さらに、補填関数算出部160は、発電出力予測誤差に対する発電装置の損失額の関数を外部から取得する。この場合に、例えば、当該関数はユーザにより入力される。次に、補填関数算出部160は、取得した関数を用いて、風速予測誤差を説明変数として損失額を回帰演算することにより、風速予測誤差に対して損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する。補填関数算出部160は、風速予測誤差と補填額との関数を数値的なテーブルとして算出してもよいし、その場合に当該テーブルを補填関数記憶部162に格納してもよい。
【0023】
補填額出力部170は、上記補填関数算出部160で補填額の関数を求めるのに用いられた気象条件よりも後の時点での気象条件による風速予測値および風速実測値を取得する。この場合に、補填額出力部170は、風速予測部110により算出されて情報記憶部180に格納された当該風速予測値を読み出すとともに、当該風速実測値を情報処理装置24または情報記憶部180から取得する。これにより、補填額出力部170は、補填関数算出部160において上記関数を求めるにあたり用いられた予測の方法と同じ方法を用いて予測された風速予測値を取得することができる。さらに、補填額出力部170は、当該風速予測値および風速実測値の風速予測誤差を算出し、当該風速予測誤差を上記補填額の関数に代入して、補填額を算出する。補填額出力部170は、算出した補填額をし、情報処理装置24に出力する。なおこの場合に、補填額出力部170は、補填関数記憶部162に格納されたテーブルを参照することにより、補填額を算出してもよい。また、補填額出力部170は算出した補填額を情報処理装置24との間で決済処理してもよい。
【0024】
なお上記風速予測部110および発電出力予測部120の一方または両方が予測誤差補填装置100の外部に設けられて、発電出力予測部120および発電出力予測誤差算出部140が風速予測値および発電出力予測値を当該外部から取得してもよい。
【0025】
記憶媒体60は、コンピュータに予測誤差補填装置100の各機能を実行させるプログラムを格納する。予測誤差補填装置100は、記憶媒体60から当該プログラムがインストールされることにより、各機能、すなわち、風速予測部110、発電出力予測部120、風速予測誤差算出部130、発電出力予測誤差算出部140、補填関数算出部160、補填関数記憶部162、補填額出力部170および情報記憶部180の機能を実行してもよい。また、予測誤差補填装置100は当該プログラムをインターネット等のネットワークから取得してもよい。
【0026】
図4は、情報記憶部180に格納されるデータの一例を示す。図4に示すように、情報記憶部180は、対象となる風力発電装置22ごとに、日時、風力予測値、風速実測値、発電出力予測値および発電出力実測値が格納される。図4に示す例においては、一時間ごとに、風力発電装置22の設置点における風速予測値および風速実測値、並びに、風力発電装置22の発電出力予測値および発電出力実測値が格納されている。
【0027】
図5は、予測誤差補填装置100の動作を示すフローチャートの一例である。図5に示すように、予測誤差補填装置100は、気象情報サーバ50から気象条件を取得して発電出力予測値を算出して情報処理装置24に出力する予測処理(S10)と、風速予測誤差と補填額との関係を示す関数を算出する算出処理(S20)と、当該関数を用いて特定の時点における風速予測誤差に対する補填額を算出して情報処理装置24に出力する補填額算出処理(S30)とを実行する。
【0028】
図6は、図5の予測処理(S10)の動作の詳細を示すフローチャートの一例である。当該予測処理(S10)は、一定時間ごと、例えば毎日の所定時刻に動作を開始する。
【0029】
まず、風速予測部110は、気象情報サーバ50から気象条件を読み出す(S110)。この場合に、例えば、風速予測部110は、予測の対象日をk日とした場合に、その前々日(k−2)の21時を初期値として、前日(k−1)の12時までの気象条件を気象情報サーバ50から取得する。
【0030】
次に、風速予測部110は、ステップS110で取得した気象条件を用いて、風力発電装置22の地域における風速予測値を予測する(S120)。この場合に、風速予測部110は、気象条件に対する熱力学および流体力学的ふるまいを考慮した物理モデル、過去の気象の実測値を統計的に考慮した統計モデル、または、これらの組み合わせ等を用いて、風速予測値予測する。また、気象情報サーバ50から提供される気象条件は、所定間隔のグリッドを用いて予測された予測データであるが、グリッドの間隔が小さいほど予測が正確になるので、風速予測部110は、気象情報サーバ50におけるグリッドの間隔よりも、対象となる地域のグリッドの間隔を狭めながら、前日(k−1)の12時までに、当日(k)の24時間分の一時間ごとの風速予測値を算出する。さらに、風速予測部110は、当該風速予測値を発電出力予測部120へ受け渡すとともに、情報記憶部180に格納する(同ステップ)。
【0031】
次に、発電出力予測部120は、ステップS120により算出された風速予測値を用いて、風力発電装置22の発電出力予測値を予測する(S130)。この場合に、発電出力予測部120は、風速に対する風力発電装置22の発電出力の関係を示す既知の関数を予め格納しておき、当該関数に基づいて、上記風速予測部110で予測された風速予測値の時間間隔に対応して、風力発電装置22の一時間ごとの発電出力予測値を、前日に算出する。
【0032】
さらに、発電出力予測部120は、時刻およびその時刻において発電されることが予測される風力発電装置22の発電出力予測値を情報処理装置24に送信し(S140)。当該時刻および発電出力予測値を情報記憶部180に格納する。以上により、本フローチャートの動作が終了する。
【0033】
図7は、図5の関数算出処理(S20)の動作の詳細を示すフローチャートの一例である。当該関数算出処理(S20)は、前回の関数算出から所定期間経過した場合に、実行される(S210)。
【0034】
前回の関数算出から所定期間経過した場合に(S210:Yes)、風速予測誤差算出部130は、風力発電装置22の地域における過去の一定期間における風速実測値を、気象情報サーバ50、情報処理装置24および情報記憶部180のいずれかから取得する(S220)。また、風速予測誤差算出部130は、同地域の同期間における風速予測値を風速予測部110または情報記憶部180から取得する(S230)。
【0035】
次に、風速予測誤差算出部130は、風速実測値に対する風速予測値の誤差である風速予測誤差を算出し、補填関数算出部160に受け渡す(S240)。この場合に、風速予測誤差算出部130は、風速予測値W^を説明変数とし、風速実測値Wを被説明変数として回帰演算したときの残差変動εw,nを風速予測誤差とする。例えば、風速予測誤差算出部130は、回帰演算としてスプライン回帰を用いてもよい。ここで、スプライン回帰とは、下記数1において、数2で示されるペナルティー付き残差平方和(PRSS)を最小にする関数fを求めることである。だだし、数2において、y、x、hはそれぞれ数1のW^、W、fに対応する。また、λは平滑化パラメータであり、この値を大きく選ぶほど、想定される関数fが滑らかになる。
【数1】

【0036】
【数2】

【0037】
また、発電出力予測誤差算出部140は、ステップS220で取得されたのと同地域の同期間における発電出力実測値を情報処理装置24または情報記憶部180から取得する(S250)。同様に、発電出力予測誤差算出部140は、同地域の同期間における発電出力予測値を発電出力予測部120または情報記憶部180から取得する(S260)。
【0038】
次に、発電出力予測誤差算出部140は、発電出力実測値に対する発電出力予測値の誤差である発電出力予測誤差を算出し、補填関数算出部160に受け渡す(S270)。この場合に、発電出力予測誤差算出部140は、発電出力予測値P^を説明変数とし、発電出力実測値Pを被説明変数として回帰演算したときの残差変動εp,nを発電出力予測誤差とする。ここで、発電出力予測誤差算出部140は、風速予測誤差算出部130と同様に、回帰演算としてスプライン回帰を用いてもよい。この場合のスプライン回帰は、下記数3において、数2のPRSSを最小にする関数gを求めることである。だだし、数2において、y、x、hはそれぞれ数3のP^、P、gに対応する。
【数3】

【0039】
次に、補填関数算出部160は、発電出力予測誤差に対する風力発電装置22の損失額の関数を取得する(S280)。この関数はモデル化されていてもよく、一例として、発電出力予測誤差εp,nの絶対値が大きくなるほど損失額Lが大きくなる下記数4に示す単調増加関数φが考えられる。
【数4】

【0040】
さらに、補填関数算出部160は、ステップS160で取得した損失額Lの関数を用いて、風速予測誤差を説明変数として上記損失額を回帰演算することにより、風速予測誤差に対して上記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する(S290)。この場合に、補填関数算出部160は、回帰演算としてスプライン回帰を用いてもよい。この場合のスプライン回帰は、下記数5において、PRSSを最小にする関数ψを求めることである。
【数5】

【0041】
上記スプライン回帰は、下記数6で示される、損失額Lおよびψによって構成されるポートフォリオの分散を平滑化条件の下で最小化することに対応する。
【数6】

【0042】
すなわち、上記数6を最小化する関数ψは、風速予測誤差を原資産とする派生証券契約において、平滑化条件付き最小分散の意味で最適な支払構造を与える。
【0043】
さらに、補填関数算出部160は、算出した関数ψを補填関数記憶部162に格納する(S292)。この場合に、補填関数算出部160は風速予測誤差に対する補填額の関数を数値的に示したテーブルを補填関数記憶部162に格納してもよい。以上により、本フローチャートの動作が終了する。
【0044】
なお、図7の上記ステップS210において、所定期間は、例えば、出力予測提供事業者10と風力発電事業者20との間の契約更新期間に連動していてもよいし、契約更新期間とは別個の期間が設定されていてもよく、その場合に、月ごと、季節ごとであってもよい。また、所定期間を設定することに代えてまたはそれに加えて、ステップS220以降を、予測誤差補填装置100のユーザ等の指示に従って実行してもよい。また、ステップS220以降を、風速予測誤差および発電出力予測誤差の少なくとも一方が予め設定された所定値以上になった場合に実行してもよいし、ステップS160において新たな関数が取得された場合に実行してもよい。
【実施例1】
【0045】
図7に示す動作に基づいて、実際のデータを用いて、補填額の関数を算出した。ここで用いたデータは、2002年12月2日午前0時から2003年11月30日午前11時までの約1年分の風速予測値、風速実測値、発電出力予測値および発電出力実測値である。これらのデータのうち、測定結果に欠損値が含まれるものを除いて、サンプル数N=8645のデータを用いた。
【0046】
図8は、風速予測誤差εw,nに対する発電出力予測誤差εp,nの散布図を示す。ここで、風速予測誤差εw,nに対する発電出力予測誤差εp,nは、図7の関数算出処理(S20)における、ステップS240、S270においてスプライン回帰により算出した。また、図8に示す直線は、風速予測誤差εw,nを説明変数、発電出力予測誤差εp,nを被説明変数とする回帰直線である。この場合、風速予測誤差εw,nと発電出力予測誤差εp,nとの相関係数は0.7であり、両者に強い相関があることが確認された。
【0047】
図9は、風速予測誤差εw,nに対する補填額の関数を示す。ここで、この関数は、図7の関数算出処理(S20)におけるステップS290においてスプライン回帰により算出した。その場合に、単調増加関数φとして、損失額Lが電予測誤差εp,nの絶対値に比例し、比例定数を1と仮定した。図9に示す実線は最適なスプライン関数を示し、縦軸は補填額を示す。なお、補填額のマイナスは風力発電事業者20から出力予測提供事業者10への支払いを示す。
【0048】
図9に示す補填額の関数において、分散低減化率は、下記数7に示す通りである。
【数7】

【0049】
これにより、発電出力予測誤差に伴う損失が低減化されたことが分かる。
【0050】
図10は、図5の補填額算出処理(S30)の動作の詳細を示すフローチャートの一例である。図10の補填額算出処理(S30)は、予測誤差補填装置100に対して補填額算出の指示があった場合に、実行される(S302)。
【0051】
予測誤差補填装置100に対して補填額算出の指示があった場合(S302:Yes)、補填額出力部170は、過去の一定期間における風力発電装置22の地域の風速実測値を情報記憶部180から取得する(S310)。また、補填額出力部170は、同期間における風力発電装置22の地域の風速予測値を情報記憶部180から取得する(S320)。
【0052】
次に、補填額出力部170は、風速実測値に対する風速予測値の誤差である風速予測誤差を算出する(S330)。この場合に、補填額出力部170は、同時刻における風速実測値から風速予測値を差し引くことにより同時刻における風速予測誤差を算出する。
【0053】
さらに、補填額出力部170は、風速予測誤差に対する補填額の関数を補填関数記憶部162から読み出し(S340)、ステップS330により算出した風速予測誤差を当該関数に代入することにより風力発電装置22の補填額を算出する(S350)。補填額出力部170は算出した補填額を風力発電装置22に対する補填額として情報処理装置24に出力する(S350)。この場合に、補填額出力部170は、一定期間における補填額を積算し、その結果を情報処理装置24に出力してもよい。以上により本フローチャートが終了する。
【0054】
以上、図1から図10に示す実施形態によれば、発電出力予測誤差に基づく損失の一部を、風力予測誤差に基づいて補填する場合に、適切な補填額を算出することができる。特に、風力予測誤差、発電出力予測誤差および損害額の関数を算出するのにスプライン回帰を用いることにより、より適切な補填額を算出することができる。これにより、気象に基づく発電装置の利用を促進することができる。
【0055】
図11は、本発明の他の実施形態にかかる気象発電計画装置102の機能ブロックを示す。図11の気象発電計画装置102において、図3の予測誤差補填装置100と同じ機能については同じ参照番号を付して説明を省略する。気象発電計画装置102は、予測誤差補填装置100の補填額出力部170に代えて、または、加えて、損失補填額相関算出部150および発電計画出力部190を有する。
【0056】
損失補填額相関算出部150は、補填関数算出部160により取得された損失関数および、同補填関数算出部160により算出された補填額の関数に基づいて、損失額と補填額の相関である損失補填額相関を算出し、損失補填額相関記憶部152に格納する。また、発電計画出力部190は、誤差相関算出部150により算出された相関が弱いほど、風力発電装置22とは異なる発電装置による発電の割合を高くすべき旨の発電計画を情報処理装置24または情報処理装置34に出力する。
【0057】
記憶媒体62は、コンピュータに気象発電計画装置102の各機能を実行させるプログラムを格納する。気象発電計画装置102は、記憶媒体62から当該プログラムがインストールされることにより、各機能、すなわち、風速予測部110、発電出力予測部120、風速予測誤差算出部130、発電出力予測誤差算出部140、損失補填額相関算出部150、損失補填額相関記憶部152、補填関数算出部160および発電計画出力部190の機能を実行してもよい。また、気象発電計画装置102は当該プログラムをインターネット等のネットワークから取得してもよい。
【0058】
図12は、気象発電計画装置102の動作を示すフローチャートの一例である。図12に示すように、気象発電計画装置102は、図5で説明した予測処理(S10)、および、発電計画を作成して出力する発電計画処理(S40)を実行する。
【0059】
図13は、図12の発電計画処理(S40)の動作の詳細を示すフローチャートの一例である。当該発電計画処理(S40)は、発電計画の出力の指示が気象発電計画装置102に入力された場合に実行される(S410)。
【0060】
発電計画の出力の指示が気象発電計画装置102に入力された場合に(S410:Yes)は、ステップS420からS490までの処理を実行する。ここで、当該ステップS420からS490までの処理は、図7のステップS220からS290までの処理と同一であるので、説明を省略する。
【0061】
上記ステップS490の後に、損失補填額相関算出部150は、発電出力予測誤差による損失額と風速予測誤差に基づく補填額との相関を算出する(S492)。この場合に、損失補填額相関150は、例えば、あらかじめ与えられた損失額関数から得られる発電出力予測誤差による損失額と風速予測誤差を説明変数とするスプライン回帰関数から得られる補填額の相関係数を算出する。さらに、誤差相関算出部150は算出した相関係数を損失補填額相関記憶部152に格納する。
【0062】
次に、発電計画出力部190は、損失補填額相関算出部150により算出された相関係数に基づいて、風力発電および他の発電を含む発電計画を作成して出力する(S494)。この場合に、発電計画出力部190は、風力発電以外の発電として情報処理装置34が制御できる火力発電装置32等の調整発電の種類を情報処理装置34から取得してもよい。この場合に発電計画出力部190は、上記相関係数に反比例して風力発電の割合を下げて、情報処理装置34が制御できる火力発電装置32等の調整発電の割合を上げることにより、発電計画を作成し、情報処理装置34等に出力してもよい。
【0063】
以上、図11から図13に示す気象発電計画装置102によれば、気象に基づく発電装置と他の発電装置とを組み合わせて電力を供給する場合に、安定して電力を供給することができる。これにより、気象に基づく発電装置の利用を促進することができる。
【0064】
なお、図13のステップS410において、発電計画の出力の指示に基づいて発電計画出力処理(S40)を実行しているが、発電計画出力処理(S40)は他の場合に実行されてもよい。例えば、発電出力予測誤差が予め設定された値を超えた場合に、発電計画書津緑処理(S40)が実行されてもよい。
【0065】
上記実施形態において、図7および図13のステップS260、S460で発電出力予測値を取得して、ステップS270、S470で当該発電出力予測値を説明変数として発電出力予測誤差を算出しているが、発電出力予測誤差の算出の方法はこれに限られない。他の例として、ステップS260、S460を省略するとともに、ステップS230、S430において取得した風速予測値を説明変数としてステップS270、S470で発電出力予測誤差を算出してもよい。また、図7のステップS240、S270、S290および図13のステップS440、S470、S490において、スプライン回帰が用いられているが、線形回帰が用いられてもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、気象および当該気象に基づく発電として風速および風力発電を説明したが、これに限られない。他に風速を利用した発電として、潮汐発電および波力発電が挙げられる。また、他の気象に基づく発電として、日照に基づく太陽発電が挙げられる。この場合には、気象予測値および気象実測値は、日照時間の予測値および実測値である。さらに他の気象に基づく発電として、降水に基づく水力発電が挙げられる。この場合には、気象予測値および気象実測値は、降水量の予測値および実測値である。
【0067】
また、上記実施形態においては、出力予測提供事業者10が気象予測値と発電出力予測値とを提供しているが、これに限られず、出力予測提供事業者10が気象予測値のみを提供し、予測誤差補填装置100は、気象予測値に対する発電出力実測値を発電出力予測誤差として、補填額の関数を算出してもよい。
【0068】
さらに、また、上記実施形態においては、損失額Lnの関数が与えられるとしたが、この逆の設定として、補填額の関数が与えられるとして発電出力予測誤差を説明変数としてスプライン回帰を行い、損失額の関数を求めることも可能である。これは、標準化された補填関数に基づく契約が与えられているとの仮定のもとで、このような契約が最も効果的な損失関数を求めることに対応する。
【0069】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態を示す電力供給システム全体を示す概念図である。
【図2】出力予測提供事業者10、風力発電事業者20および特定規模電気事業者30の電力取引の関係の一例を示す概念図である。
【図3】実施形態にかかる予測誤差補填装置100の機能ブロックを示す。
【図4】情報記憶部180に格納されるデータの一例を示す。
【図5】予測誤差補填装置100の動作を示すフローチャートの一例である。
【図6】予測処理(S10)の動作の詳細を示すフローチャートの一例である。
【図7】関数算出処理(S20)の動作の詳細を示すフローチャートの一例である。
【図8】風速予測誤差εw,nに対する発電出力予測誤差εp,nの散布図を示す。
【図9】風速予測誤差εw,nに対する補填額の関数を示す。
【図10】補填額算出処理(S30)の動作の詳細を示すフローチャートの一例である。
【図11】他の実施形態にかかる気象発電計画装置102の機能ブロックを示す。
【図12】気象発電計画装置102の動作を示すフローチャートの一例である。
【図13】発電計画処理(S40)の動作の詳細を示すフローチャートの一例である。
【符号の説明】
【0071】
10 出力予測提供事業者、20 風力発電事業者、22 風力発電装置、24 情報処理装置、30 特定規模電気事業者、32 火力発電装置、34 情報処理装置、40 電力使用者、50 気象情報サーバ、60 記憶媒体、62 記憶媒体、70 ネットワーク、100 予測誤差補填装置、102 気象発電計画装置、110 風速予測部、120 発電出力予測部、130 風速予測誤差算出部、140 発電出力予測誤差算出部、150 損失補填額相関算出部、152 損失補填額相関記憶部、160 補填関数算出部、162 補填関数記憶部、170 補填額出力部、180 情報記憶部、190 発電計画出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の気象に基づいて発電する発電装置が設置された地域の前記気象の予測値を取得し、取得した前記気象の予測値から、前記発電装置の発電出力の予測値を算出するとともに、前記発電出力の予測値を前記発電装置に対応付けて出力する発電出力予測ステップと、
前記気象の実測値を取得し、前記気象の実測値に対する前記気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出ステップと、
前記発電装置の発電出力の実測値を取得し、前記発電出力の実測値に対する前記発電の予測値の誤差である発電出力予測誤差を算出する発電出力予測誤差算出ステップと、
前記発電出力予測誤差に対する前記発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額を回帰演算することにより、前記気象予測誤差に対して前記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出ステップと、
前記補填額の関数を求めるのに用いられた前記気象の予測値よりも後の時点での気象の予測値および実測値から前記予測値および前記実測値の気象予測誤差を算出し、前記補填関数算出ステップにより算出された前記補填額の関数に代入して、前記予測値および前記実測値の前記気象予測誤差に対する前記補填額を算出し、前記発電装置に対応付けて出力する補填額出力ステップと
を備える予測誤差補填方法。
【請求項2】
気象条件を外部から取得し、前記特定の気象の予測値を予測する気象予測ステップをさらに備え、
前記補填額出力ステップは、前記気象の予測値を前記気象予測ステップにおける予測と同じ方法を用いて予測する請求項1に記載の予測誤差補填方法。
【請求項3】
前記気象予測誤差算出ステップは、前記気象の予測値を説明関数として前記気象の実測値をスプライン回帰した場合の残差を前記気象予測誤差として算出する請求項1に記載の予測誤差補填方法。
【請求項4】
前記発電出力予測誤差算出ステップは、前記発電の予測値を説明変数として前記発電出力の実測値をスプライン回帰した場合の残差を前記発電出力予測誤差として算出する請求項1に記載の予測誤差補填方法。
【請求項5】
前記補填関数算出ステップは、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額をスプライン回帰することにより、前記補填額の関数を算出する請求項1に記載の予測誤差補填方法。
【請求項6】
特定の気象に基づいて発電する発電装置が設置された地域の前記気象の予測値を取得し、取得した前記気象の予測値を前記発電装置に対応付けて出力する気象予測ステップと、
前記気象の実測値を取得し、前記気象の実測値に対する前記気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出ステップと、
前記発電装置の発電出力の実測値を取得し、前記気象の予測値を説明変数として前記発電出力の実測値をスプライン回帰した場合の残差を発電出力予測誤差として算出する発電出力予測誤差算出ステップと、
前記発電出力予測誤差に対する前記発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額を回帰演算することにより、前記気象予測誤差に対して前記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出ステップと、
前記補填額の関数を求めるのに用いられた前記気象の予測値よりも後の時点での気象の予測値および実測値から前記予測値および前記実測値の気象予測誤差を算出し、前記補填関数算出ステップにより算出された前記補填額の関数に代入して、前記予測値および前記実測値の前記気象予測誤差に対する前記補填額を算出し、前記発電装置に対応付けて出力する補填額出力ステップと
を備える予測誤差補填方法。
【請求項7】
気象条件を入力し、特定の気象の予測値を予測する気象予測ステップと、
前記気象予測ステップで予測された前記気象の予測値から前記気象に基づく発電装置の発電出力の予測値を算出するとともに、前記発電出力の予測値を前記発電装置に対応付けて出力する発電出力予測ステップと、
前記気象の実測値を取得し、前記気象の実測値に対する前記気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出ステップと、
前記発電装置の発電出力の実測値を取得し、前記発電出力の実測値に対する前記発電出力の予測値の誤差である発電出力予測誤差を算出する発電出力予測誤差算出ステップと、
前記発電出力予測誤差に対する前記発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額を回帰演算することにより、前記気象予測誤差に対して前記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出ステップと、
前記発電出力予測誤差に対する損失額と前記気象予測誤差に対する補填額との相関を算出する損失補填額相関算出ステップと、
前記損失補填額相関算出ステップにより算出された前記相関に基づいて、前記気象に基づく発電装置および他の発電装置による発電計画を出力する発電計画出力ステップと
を備える気象発電計画方法。
【請求項8】
特定の気象に基づいて発電する発電装置が設置された地域の前記気象の予測値を取得し、取得した前記気象の予測値から、前記発電装置の発電出力の予測値を算出するとともに、前記発電出力の予測値を前記発電装置に対応付けて出力する発電出力予測部と、
前記気象の実測値を取得し、前記気象の実測値に対する前記気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出部と、
前記発電装置の発電出力の実測値を取得し、前記発電出力の実測値に対する前記発電出力の予測値の誤差である発電出力予測誤差を算出する発電出力予測誤差算出部と、
前記発電出力予測誤差に対する前記発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額を回帰演算することにより、前記気象予測誤差に対して前記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出部と、
前記補填額の関数を求めるのに用いられた前記気象の予測値よりも後の時点での気象の予測値および実測値の入力を受け付けた場合に、前記予測値および前記実測値の気象予測誤差を算出し、前記補填関数算出部により算出された前記補填額の関数に代入して、前記予測値および前記実測値の前記気象予測誤差に対する前記補填額を算出し、前記発電装置に対応付けて出力する補填額出力部と
を備える予測誤差補填装置。
【請求項9】
コンピュータを制御するプログラムであって、前記コンピュータに、
特定の気象に基づいて発電する発電装置が設定された地域の前記気象の予測値を取得し、取得した前記気象の予測値から、前記発電装置の発電出力の予測値を算出するとともに、前記発電出力の予測値を前記発電装置に対応付けて出力する発電出力予測ステップと、
前記気象の実測値を取得し、前記気象の実測値に対する前記気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出ステップと、
前記発電装置の発電出力の実測値を取得し、前記発電出力の実測値に対する前記発電出力の予測値の誤差である発電出力予測誤差を算出する発電出力予測誤差算出ステップと、
前記発電出力予測誤差に対する前記発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額を回帰演算することにより、前記気象予測誤差に対して前記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出ステップと、
前記補填額の関数を求めるのに用いられた前記気象の予測値よりも後の時点での気象の予測値および実測値から前記予測値および前記実測値の気象予測誤差を算出し、前記補填関数算出ステップにより算出された前記補填額の関数に代入して、前記予測値および前記実測値の前記気象予測誤差に対する前記補填額を算出し、前記発電装置に対応付けて出力する補填額出力ステップと
を実行させるプログラム。
【請求項10】
特定の気象に基づいて発電する発電装置が設置された地域の前記気象の予測値を取得し、取得した前記気象の予測値を前記発電装置に対応付けて出力する気象予測部と、
前記気象の実測値を取得し、前記気象の実測値に対する前記気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出部と、
前記発電装置の発電出力の実測値を取得し、前記気象の予測値を説明変数として前記発電出力の実測値をスプライン回帰した場合の残差を発電出力予測誤差として算出する発電出力予測誤差算出部と、
前記発電出力予測誤差に対する前記発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額を回帰演算することにより、前記気象予測誤差に対して前記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出部と、
前記補填額の関数を求めるのに用いられた前記気象の予測値よりも後の時点での気象の予測値および実測値から前記予測値および前記実測値の気象予測誤差を算出し、前記補填関数算出部により算出された前記補填額の関数に代入して、前記予測値および前記実測値の前記気象予測誤差に対する前記補填額を算出し、前記発電装置に対応付けて出力する補填額出力部と
を備える予測誤差補填装置。
【請求項11】
コンピュータを制御するプログラムであって、前記コンピュータに、
特定の気象に基づいて発電する発電装置が設置された地域の前記気象の予測値を取得し、取得した前記気象の予測値を前記発電装置に対応付けて出力する気象予測ステップと、
前記気象の実測値を取得し、前記気象の実測値に対する前記気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出ステップと、
前記発電装置の発電出力の実測値を取得し、前記気象の予測値を説明変数として前記発電出力の実測値をスプライン回帰した場合の残差を発電出力予測誤差として算出する発電出力予測誤差算出ステップと、
前記発電出力予測誤差に対する前記発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額を回帰演算することにより、前記気象予測誤差に対して前記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出ステップと、
前記補填額の関数を求めるのに用いられた前記気象の予測値よりも後の時点での気象の予測値および実測値から前記予測値および前記実測値の気象予測誤差を算出し、前記補填関数算出ステップにより算出された前記補填額の関数に代入して、前記予測値および前記実測値の前記気象予測誤差に対する前記補填額を算出し、前記発電装置に対応付けて出力する補填額出力ステップと
を実行させるプログラム。
【請求項12】
気象条件を入力し、特定の気象の予測値を予測する気象予測部と、
前記気象予測部で予測された前記気象の予測値から前記気象に基づく発電装置の発電出力の予測値を算出するとともに、前記発電出力の予測値を前記発電装置に対応付けて出力する発電出力予測部と、
前記気象の実測値を取得し、前記気象の実測値に対する前記気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出部と、
前記発電装置の発電の実測値を取得し、前記発電の実測値に対する前記発電の予測値の誤差である発電予測誤差を算出する発電予測誤差算出部と、
前記発電予測誤差に対する前記発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額を回帰演算することにより、前記気象予測誤差に対して前記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出部と、
前記発電出力予測誤差に対する損失額と前記気象予測誤差に対する補填額との相関を算出する損失補填額相関算出部と、
前記損失補填額相関算出部により算出された前記相関に基づいて、前記気象に基づく発電装置および他の発電装置による発電計画を出力する発電計画出部と
を備える気象発電計画装置。
【請求項13】
コンピュータを制御するプログラムであって、前記コンピュータに、
気象条件を入力し、特定の気象の予測値を予測する気象予測ステップと、
前記気象予測ステップで予測された前記気象の予測値から前記気象に基づく発電装置の発電出力の予測値を算出するとともに、前記発電出力の予測値を前記発電装置に対応付けて出力する発電出力予測ステップと、
前記気象の実測値を取得し、前記気象の実測値に対する前記気象の予測値の誤差である気象予測誤差を算出する気象予測誤差算出ステップと、
前記発電装置の前記発電出力の実測値を取得し、前記発電出力の実測値に対する前記発電出力の予測値の誤差である発電出力予測誤差を算出する発電出力予測誤差算出ステップと、
前記発電出力予測誤差に対する前記発電装置の損失額の関数を取得し、取得した関数を用いて、前記気象予測誤差を説明変数として前記損失額を回帰演算することにより、前記気象予測誤差に対して前記損失額の少なくとも一部を補填する補填額の関数を算出する補填関数算出ステップと、
前記発電出力予測誤差に対する損失額と前記気象予測誤差に対する補填額との相関を算出する損失補填額相関算出ステップと、
前記損失補填額相関算出ステップにより算出された前記相関に基づいて、前記気象に基づく発電装置および他の発電装置による発電計画を出力する発電計画出力ステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−225646(P2008−225646A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60186(P2007−60186)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【出願人】(592001975)伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】