説明

事件記録システムおよび方法

一次サブシステムは、二次サブシステムに、事件の記述を伝達する。一次サブシステムは、検出器と、ユーザ・インターフェースと、レコーダとを含む。検出器は、事件に関するデータを検出する。ユーザ・インターフェースは、データに関する改訂を決定する。レコーダは、第2サブシステムに伝達するために、データおよび改訂を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互引用
本願は、2008年4月6日に出願された米国仮特許出願第61/042,751号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
事件とは、人または動物の活動、ならびにこれらの活動が行われた時間期間のことを言う。例えば、事件は、同意の形成、手続き(transaction)、交渉、議論、祭事、会議、犯罪、犯罪未遂、不同意、攻撃、紛争、発見、研究、調査、および監視を含む。事件は、改良、修理、建築のような資産(property)に対する変化、生産、製造、成長、収穫、損傷、損失、窃盗、強盗、放火、出荷中における商品の損傷、不動産の状態、および/または農地や森林地の状態を含む結果も含むことができる。事件は、所有権に対する損害、および/または人間または動物に対する傷害も含むことができる。所有権に対する損害あるいは人間または動物に対する傷害は、偶発的の場合も、一人以上の人間の行為または行為の失敗によってもたらされる場合もある。
【0003】
事件の事実に関する記述があれば、他の人が、影響を受けた資産の個別情報(identity)および/または傷害を受けた人間の個人情報(identity)、目撃者の個人情報、法執行要員、および損失またはその損失の範囲あるいは傷害またはその傷害の範囲に寄与するあらゆる者の特定、所有権のあらゆる変化または所有権の価値の変化、ならびに物体、人間、植物、または動物の状態のあらゆる変化を判断するのに役立つことができる。
【0004】
また、事件の記述があると、損失に対する責任を確定するために用いることができる。例えば、事件の事実が、保険証券の下における支払いを要するか否かは、事件報告に基づいて決定することができる。事件において兵器が用いられた場合、損失または傷害に対する責任は、部分的に、法執行官庁の指針、その兵器の製造業者によって明記された指針、あるいは当地の税関、裁判所、および教育/訓練機関によって決定された方針および正当な行為または過失の範囲内でその兵器が用いられたか否かに基づくことができる。
【0005】
多くの場合、事件の報告は、その事件に関する事実の証拠となる。証拠は、同意(agreement)の下における遂行の証明、同意の下における遂行未遂の解明、損害、傷害、または損失の証明、あるいは習慣、規則、規制、法律、裁判による命令の施行、あるいは雇用者、仲間(partner)、管理人、保護者、親戚、役人(official)、または上級官公吏(officer)というような上官からの指令の施行に必要となることがある。
【0006】
根拠および補強証拠が、裁判において事件の報告の使用を支援する。事件報告の妥当性判断は、その事件報告を支援する根拠および補強証拠の精度および完全性を検証することを含む。
【発明の概要】
【0007】
事件を取り巻く事実の精度が高く完璧な報告は、社会的、経済的、および法的重要性を有する。先行技術において実用化されている事件報告には、精度および完全性に悪影響を及ぼす欠点がある。事件報告の精度を高め完璧に近付けることが必要であり、本発明によるシステムおよび方法は、そのような事件報告を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図面では、同様の参照符号は同様の要素を示すものとする。
【図1】図1は、本発明の種々の態様による証拠収集および証拠管理システムの二次サブシステムの機能ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の種々の態様による証拠収集および管理システムのそれぞれの一次サブシステムを各執行官が操作している間に、容疑者を逮捕する2人の法執行官が関与する仮説的事件の図式表現である。
【図3A】図3Aは、図2の、本明細書では事件レコーダとも呼ばれている、一次サブシステムの1つの一実施態様の機能ブロック図である。
【図3B】図3Bは、本発明の種々の態様による証拠収集および管理システムの、本明細書ではアクティベータとも呼ばれる、別の一次サブシステムの一実施態様の機能ブロック図である。
【図3C】図3Cは、本発明の種々の態様による証拠収集および管理システムの、本明細書では電子制御デバイスとも呼ばれる、別の一次サブシステムの一実施態様の機能ブロック図である。
【図4】図4は、図3Aのハンドセットの一実施態様におけるメモリの内容を記述するデータ構造図である。
【図5】図5は、図3Aのハンドセットの一実施態様における制御部およびディスプレイを有するユーザ・インターフェースの図である。
【図6】図6は、図5のユーザ・インターフェースの状態の状態変化図である。
【図7】図7は、各執行官が一次サブシステムを操作し、本発明の種々の態様による証拠収集および管理システムの一次サブシステムに容疑者が接触している間に、容疑者を逮捕する3人の法執行官が関与する別の仮説的事件の平面図である。
【図8】図8は、図7の一次サブシステム間における、本発明の種々の態様による通信についての通信シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において論ずる事件報告とは、事件を取り巻く事実の報告である。好適な実施態様では、事件報告は、法廷において証拠として採用され得ることを意図している。事件報告は、1つ又は複数の適した電子フォーマットで格納および伝達される情報全体から成る。
【0010】
本発明の種々の態様によれば、作業報告は、オーディオ、写真、ビデオ、記入様式(form)、テキスト、グラフィクス、走査、検出信号、および電子文書(例えば、電子メール、ワープロ、表計算、グラフィカル・モデル、写真、機器構成データ、機器動作イベント・ログ)を含む、情報の組み合わせ(本明細書では事件情報と呼ぶ)を含むことができる。走査は、例えば、走査した紙の文書(例えば、チケット、タイトル)、走査したバー・コード(例えば、製品やバッジの上にあるバー・コード)、走査した磁気帯状体(例えば、銀行カード、運転免許書)、走査した磁気媒体)例えば、テープ、ディスク)、走査した光学媒体(例えば、CD、DVD)、および走査した絵文字(例えば、文書、製品、バッジ上にある絵文字)を含む。絵文字は、シンボル表示および読み取り技術(例えば、ECC200 DataMatrix, PDF417)を含む。検出信号は、傍受した遠隔制御信号(例えば、機械式および電気式機器のため)、陸線電話、セル・フォン、ページャ、無線機、追跡デバイス、メディア・ブロードキャスティング局、ワイヤレスおよび有線コンピュータ・ネットワーク・リンク、およびこれらのシステムの妨害源というような、事件の間に同時に動作するシステムから傍受した通信、ならびに測定値(例えば、温度用環境センサ、有害状態用センサ、物理的状態用モニタ)を含む。
【0011】
事件情報は、人、動物、および、例えば、法執行官によって事件現場に持ち込まれたサブシステムを含む、事件現場における物の記述を含むことができる。これらの記述は、便利な態様であればいずれでも取り込むことができる(例えば、記録音声、ビデオ、写真、物体上にある印の走査)。
【0012】
第1事件情報が記録され精査のために入手可能になった後、この事件情報に基づく事件報告が、選択、追加、補足、編成、強調、および編集を通じて作成することができる。ここでは、これらの動作はいずれも改訂(revise)と呼ぶ。改訂した結果は、ここでは、改訂(revision)と呼ぶ。
【0013】
事件報告の各校訂の結果、事件報告の新バージョンが作成されることもある。以前のバージョンは、新バージョンと置き換えればよい。好ましくは、原初のバージョンは、最新バージョンを参照して比較および分析するために保持される。全てのバージョンを保持しておいてもよい。事件報告の基礎を形成する事件情報は、著作者によって取り込むことができる。著作者は、本発明の種々の実施形態による一次サブシステムを走査し、ここでは著作−操作者または単に操作者と呼ぶ。本発明の種々の態様による一次サブシステムは、著作−操作者による以下の行為のいずれをも容易にすることができる。1つ又は複数の事件報告を適時作成すること、事件報告を適時精査すること、事件報告を適時改訂すること。
【0014】
事件報告は、その全体または一部を、ディスプレイを含む本発明の一次サブシステム上および/または二次サブシステムのワークステーション上においてユーザに描写することができる。二次サブシステムは、証拠管理部を含むことができる。証拠管理部のユーザは、データベース照会および報告技術を用いて、多数の事件報告の概要を入手することができ、ワークステーション上で結果を見ることができる。事件報告は、既定のワーク・フロー(predefined work flow)の主題である場合もある。従来のワーク・フロー管理プロセスであればいずれでも、事件報告を完成し、妥当性を判断し、および/またはその使用を許可するために用いることができる。これらの機能は、管理しようとするワーク・フローに沿って異なる個人によって遂行することもできる。事件報告を組み合わせて新たなバージョンを製作するワーク・フローを集束する際に、事件報告の一部を管理することができる。
【0015】
例えば、事件の現場の近くにいる間、複数の一次サブシステムを用いて、事件に関するデータを収集することができる。複数の一次サブシステムの各著作−操作者は、彼らが収集したそれぞれのデータに改訂を加えることができる。それぞれの一次サブシステムの各改訂は、著作−操作者の個々の観点からの事件または事件の一部の記述を含み、これによって複数のそれぞれの事件報告を形成する。それぞれの事件報告を二次サブシステムに送信することができる。二次サブシステムによって受信される事件報告のためのワーク・フローの一態様は、一人の個人またはそれぞれの事件報告に注釈を付ける個人の委員会による、それぞれの事件報告の精査を含むことができる。個人または委員会によって追加される注釈または改訂は、最終事件報告を形成するために用いることができる。
【0016】
更に、個人または委員会は、それぞれの事件報告を精査し、それらの妥当性、証拠としての価値、事件記録および改訂に関する部署規則に対する遵守を評価し、更に証拠を覆い隠すまたは隠滅しようとする虞れのある試みを検出することができる。
【0017】
いずれの情報源でも、本発明の種々の態様による一次サブシステムの動作によって、証拠報告に寄与することができる。事件情報(ここでは、データとも呼ぶ)は、著作−操作者が見たこと、聴いたこと、理解したことを含むことができる。情報源は、先に論じた事件情報の内いずれのものの検出器も含むことができる。
【0018】
生憎、これらの情報源からの記録では、著作−操作者が見たこと、聴いたこと、感じたことの全てを取り込むことができず、および/または著作−操作者が、起こったことをどのように解釈したかを曖昧に示すに過ぎない場合がある。人間の記憶のはかなさのために、多くの場合、人間の著作−操作者は、長時間の間に、記録における曖昧さおよび/または記録からの遺漏を認識する能力、ならびに曖昧さを解明するまたは遺漏を説明する情報を供給する能力が減少する。
【0019】
このような記憶の喪失を回避し、事件報告の精度を高めるために、本発明のシステムおよび方法は、事件において記録された情報を精査し補足する著作−操作者能力(capabilities)を提供する。言い換えると、本発明の種々の態様によるシステムおよび方法は、最初の事件記録を行った直後の時点で通常記録される追加情報を用いて、記録された情報を精査し補足し易くする構造および動作を採用することができる。補足の結果は、本明細書では改訂とも呼ぶ。改訂を行った結果、一層完璧で一層精度が高い事件報告が得られる。
【0020】
本明細書において論ずる場合、記録および補足記録は、適した記録技術であればいずれによってでも、または検知、検出、フォーマット、通信、および記録技術の組み合わせによって行うことができる。本明細書において用いる場合、オーディオおよび/またはビデオ・コンテンツ(ここではムービーとも呼ぶ)の第1描写は、第1描写に関する補足情報を提供する第2描写の追加のための時点を操作者が指示することができる期間中再生する。第1描写は、原初の記録時における事件の描写を含むことができる。第2描写は、比較的短い期間でもよく、第1描写からの情報(例えば、例外)または他の情報源からの補足情報を含むことができる。第2描写は、オーディオのない静止写真(例えば、第1描写のビデオからの1フレーム)、一瞬または数回の瞬間の短いループ(例えば、第1描写のビデオからの1場面、1つ又は複数のフレーム)に限定してもよい。短い期間とは、操作者が第1描写の抜粋から、第1描写のオーディオの一部(例えば、銃発射、数単語)および動きの一部(例えば、一瞥、顔の表現)を認知できる程の長さであればよい。ビデオ情報との類推によって、他のいずれの形態の事件情報(例えば、オーディオ、文書)であっても、ムービーおよび/または場面を構成することができ、著作−操作者によって補足することができる。
【0021】
好適な実施態様では、事件の記録および補足情報の記録によって生成される情報は、MPEG-4として知られる"Coding of Moving Pictures and Audio"(動画およびオーディオのコード化)、ISO/IEC規格にしたがって、格納、精査、改訂(例えば、補足)、および伝達される。これらのコンテナから呼び出された情報は、本明細書において論じられる描写のために、場面、ムービー、記述、および補足情報を組み立てるために用いることができる。
【0022】
本発明の種々の態様による証拠収集および管理システムは、通常事件の時点および場所において用いられるサブシステム(本明細書では、一次サブシステムと呼ぶ)、および事件の時点および場所では通常用いられない他のサブシステム(本明細書では、二次サブシステムと呼ぶ)を含む。これらのサブシステムは、証拠を収集し管理するシステムとして協同して動作する。
【0023】
協同機能には、主および二次サブシステムが協同して実行する機能が含まれる。協同機能には、証拠が収集される前に一次サブシステムの著作−操作者を特定すること、事件の前、最中、および/または後に協同して動作する一次サブシステムに合わせて構成すること、そして一次サブシステムから二次サブシステムに収集した証拠を転送することが含まれる。
【0024】
一次サブシステムは、適した組み合わせであればいずれでも、以下の機能の内いずれの1つ又は複数を実行することができる。人または動物(本明細書では目標と呼ぶ)の現在の行動を中断させようとするために容疑者に力(致命的なまたは致命的未満の力)を発射(launch)および/または展開(deploy)する、目標の組織を通じて電流で目標を刺激して、目標によるその骨格筋の自発的使用を妨害する(本明細書では、電気刺激と呼ぶ)、証拠を収集するために発射および/または刺激、検出に関するイベントを記録する、証拠を収集するために記録する、記録した証拠を改訂する、特定したコンポーネント間で同じ操作者に通信する(本明細書では、個人的一次サブシステムとも呼ぶ)、一次サブシステム間で通信する、一次サブシステムと二次サブシステムとの間で通信する、操作者の個人情報を格納する、通信用アドレスを格納する、ソフトウェアおよびデータを二次サブシステムから受信する、ならびにステータス、データ、および証拠を二次サブシステムに送信する。
【0025】
一次サブシステムには、中央機能を有するもの、または一次サブシステムに特有の名称が付くことに寄与するタイプのもの(例えば、ランチャー、発射体、シミュレータ、データ・ロガー、検出器、収集装置、レコーダ、ディスプレイ、編集機、送受信機、ハブ、ストア、識別装置、報告装置)があってもよい。しかしながら、証拠収集および管理システムにおける一次サブシステムの組み合わせは、1つの名称になり難い場合もある(例えば、ランチャー−シミュレータ−データ・ロガーの組み合わせ、レコーダ−編集機−送受信機−報告装置の組み合わせ)。したがって、本明細書では、一次サブシステムという用語は、いずれの1機能を実現する装置や、機能のいずれの組み合わせでも実現するあらゆる装置を記述するために用いることとする。
【0026】
一次サブシステムは、一次サブシステムの1組の機能を実行する際に関与するために、有線リンクまたはワイヤレス・リンクによって協同して動作する、様々なユニット(例えば、個別に販売されるまたは扱われる生産物)(本明細書ではコンポーネントと呼ぶ)にパッケージ化することもできる。コンポーネントは、一次サブシステムの一部として通信せずに何らかの機能のための動作が可能であればよい(例えば、デバイス識別をデバイス識別検出器に供給する)。
【0027】
二次サブシステムは、適した組み合わせであればいずれでも、以下の機能の内いずれの1つ又は複数を実行することができる。再割り当ておよび再使用のために一次サブシステムのコンポーネントを用意する、個人的一次サブシステムの1つ又は複数のコンポーネントの操作者の役割が割り当てられる人の識別を検出する、個人的一次サブシステムの一部をなすコンポーネントの識別を検出する、識別情報を個人的一次サブシステムのコンポーネントに送信する、追加の一次サブシステムの識別を検出し、追加の一次サブシステムの各々に、操作者識別および/または個人的一次サブシステム識別を関連付ける、識別情報を追加の一次サブシステムに送信する、一次サブシステムから証拠を受け取る目的でこの一次サブシステムの識別を判定する、証拠を受け取る、証拠を格納する、そして証拠を管理する。これらの機能から適したグループを作ると、人間、コンポーネント、一次サブシステム、および事件報告のチェック・アウトおよびチェック・インを含む、一般的なプロビジョニング・プロセスの一部となることができる。
【0028】
本発明の種々の態様によれば、通信は、個人的一次サブシステムのコンポーネント間の通信、一次サブシステム間の通信、および一次サブシステムと二次サブシステムとの間の通信を含む。サブシステム間の通信またはサブシステムのコンポーネント間の通信については、ここではリンクを参照して論ずる。リンクは、一般に、伝達される情報に適したチャネルおよびプロトコルを含む。チャネルは、受信および/または送信に対して周波数および/またはタイミングの規準を有する場合がある。チャネルは、有線でもワイヤレスでもよい。専用有線チャネルは、アドレスを用いない受信および/または常時送信を含むことができる。共有有線チャネルは、ワイヤレス・チャネルと同様のチャネルおよびプロトコルを用いることができる。ワイヤレス・チャネルは専用であってもよく、その場合、通信は専用有線チャネルと同様であってもよい。一方、プロトコルは、アドレスのみに応じて送信および受信のためのチャネル使用競争を調整する。
【0029】
サブシステムは、1つのアドレスまたは数個のアドレスに応答することができる。アドレスは、一次サブシステムを一意に特定するために用いることができる。アドレスは、一次サブシステムの機能を制御するために用いることができる。
【0030】
アドレスは、1つのサブシステムに対して一意であっても、数台のサブシステムまたは全てのサブシステムに対して汎用(例えば、グループ・アドレシング)であってもよい。アドレシングは、例えば、匿名送信および/または数台のサブシステムへのブロードキャストの同時受信のために、グループ・アドレスを含むこともできる。送信プロトコルは、ランダムな時点(例えば、ビーコン)、受信後のランダムな時点(例えば、ポールされる)、既定の時点(例えば、専用スロット)、および/または受信後の既定の時点(割り当てられたスロット)における送信を許可することができる。第1サブシステムの送信機は、任意の時間期間または所定の時間期間第2サブシステムによる送信を停止するコマンドを送信することができ、第2サブシステムの受信機は、このコマンドを受信することができる。
【0031】
操作者は、彼または彼女の一次サブシステムを用いて、独力で証拠を収集することができる。例えば、操作者は、経路をナビゲートし、施錠されたドアやしかるべき証明というような機器およびセキュリティ・メカニズムのステータスを記録することができる。
【0032】
複数の操作者が一緒に事件に立ち会い、チームとなって証拠を収集することもできる。各チーム構成員は、通常通りに彼または彼女の個人的な一次サブシステムを操作する。この一次サブシステムは、他の一次サブシステムによる動作または他の一次サブシステムとの調和を、しかるべく範囲で認定されていると良い。例えば、各チーム構成員は、先に論じたように、目標の電気的刺激のための兵器(例えば、一次サブシステム)を有することもできる。各チーム構成員は、彼らの個人的兵器の動作を制御し、各兵器は、他のチーム構成員の兵器に連携し、いずれのチーム構成員であっても、他のいずれのチーム構成員の兵器によって供給される刺激でも制御することを可能にすることができる。
【0033】
イベントを記録する、および/または事件情報を検出し更に二次サブシステムと直接または間接的に通信する一次サブシステムを、本明細書ではデータ源と呼ぶ。種々の実施態様では、データ源は、事件情報を記録すること、事件情報を改訂すること、データ源のコンポーネント間で有線リンクまたはワイヤレス・リンクを用いて通信すること、および/または他の一次サブシステムと通信することもできる。
【0034】
データ源は、事件が起きそうな場所に永続的に配置することができ(例えば、セキュリティ・カメラ、入口インタビュー・マイクロフォン、文書スキャナ、アクセス制御システム)、先に論じたように(例えば、データ源コンポーネント間で有線ネットワークを通じて)通信することもできる。法執行のための典型的なデータ源は、赤色光、および過剰速度交通監視システムを含むことができる。設備のセキュリティに関係するデータ源は、バッジ・リーダ、ビデオ監視、オーディオ監視、生物特定システム、ならびに周囲条件検出器および周囲条件における変化の検出器を含むことができる。例えば、周囲環境には、監視対象の環境における現状の温度、振動、可聴および可視指示を含むことができる。
【0035】
周囲環境の変化には、人または動物による進入、不法侵入、通行、ならびに設備および周囲エリアにおける機器の通常動作のあらゆる混乱を含むことができる。データ源によって監視される機器は、測定値および/またはステータス報告を供給することができる。機器から情報を受信するように構成されているデータ源は、観察可能な機器状態を監視し、この機器との双方向の電気通信によって、このような情報を受信することができる。例えば、事件の近傍にあるエレベータの動作を観察し、エレベータを動作させる信号を検出することができる。
【0036】
データ源は、犠牲者、目撃者、共犯者、容疑者、および/または法執行要員によって、事件の現場に持ち込まれる場合もあり得る。データ源は公然でも秘密でもよい。このような機器は、警察のパトロール・カーのダッシュ・ボード上にあるビデオおよびオーディオ・システム、人に装着するオーディオおよびビデオ機器、静止画像および/またはビデオ記録能力を有するセルラ電話機、ならびに従来の犯罪場面調査機器(例えば、科学捜査データ収集測定および分析システム)を含むことができる。
【0037】
目標の組織を刺激する、および/または目標に向けて力を発射または展開する一次サブシステムを、本明細書では、電気刺激デバイスまたは電子制御デバイス(ECD)と呼ぶ。ECDは、更に、データ源について先に確認した能力の適した組み合わせであればいずれでも有するデータ源も含むことができる。兵器(例えば、ECD)は、固定または可搬型のいずれでもよい。固定兵器は、設備または車両に取り付けられるターレット装着兵器、および/または地雷を含むことができる。可搬形兵器は、拳銃、ライフル、棍棒、手榴弾、ミサイル、電子制御デバイス、および帯電発射体(例えば、TASER International, Inc.によってモデルM26、X26、およびXREPとして製造される、例えば、電子制御デバイスおよび帯電発射体があり、その仕様書およびユーザ・マニュアルが発行されており、ここで引用したことにより、本コンテキストを限定することなく、その内容は本願にも含まれるものとする)を含むことができる。
【0038】
例えば、兵器およびデータ源を備えている一次サブシステムは、レーザ目標指定装置または照準器、目標を照明する照明装置、目標を照準とするビデオ・レコーダ、目標を照準とするマイクロフォン、電気刺激回路、発射体、および電気的刺激のために発射体を展開する推進体を含むことができる。このような一次サブシステムは、力を供給するその中心的な機能から、兵器と呼ぶこともできる。一次サブシステムは、ステータス信号を送信すること、および/またはそのステータスや使用情報(例えば、タイム・スタンプを付けたイベント・レコードを格納する)を記録することができる。したがって、この一次サブシステムは、周囲状態のオーディオ、目標の音声、目撃者および/または兵器操作者の音声、および/または目標のビデオを送信および/または記録することができる。一次サブシステムは、静止写真を記録および/または送信することができる。一次サブシステムは、ストリーミング・ビデオを記録および/または送信することができる。例えば、ビデオは、兵器の引き金の操作よりも数十秒前の時点で開始し、引き金の操作後数十秒または数分継続することができる。
【0039】
一次サブシステムは、事件の現場を記録および/または送信することができる。一次サブシステムは、オーディオおよび/またはビデオ記録におけるまたはこれらに付随するコンパス方位情報を含む、地球の磁場(例えば、アジマス)を検出することができる。一次サブシステムは、直線または極座標系において方位を検出することができる(例えば、ピッチ、ロール、速度、加速度、運動量、角運動量)。位置は、一次サブシステムの検出器によって、汎地球測位システム(GPS)受信機を用いて決定することができる。GPSは、一次サブシステム(例えば、データ源、兵器およびデータ源の組み合わせ)内に組み込むこともできる。一次サブシステムは、一次サブシステムと事件の現場との間の距離を検出するための測距能力(例えば、距離計)を含むことができる。一次サブシステムは、事件の現場を決定するための計算を実行することができる。
【0040】
データ源は、先に論じたように、信号を走査し検出する、そして文書にアクセスするために用いることができる。走査、検出、および/またはアクセスは、関連情報を事件報告に含ませることを目的とすることができる。例えば、特定物体の収集のために、ある人の財布の中身をデータ源によって走査することができる。設備または車両の運転の使用許諾に関する文書業務を走査することもできる。電話またはインターネット通信のオーディオおよびビデオ部分を取り込むこともできる。電子メール、テキスト・メッセージ、および留守番電話機から再生したオーディオ・メッセージも、データ源によって取り込むことができる。
【0041】
一次サブシステムは、検出器、レコーダ、送受信機、ならびに事件報告を精査および改訂するためのユーザ・インターフェースを含むことができる。検出器は、ビデオ、オーディオ、伝達された情報(例えば、盗み聞き)、および/または走査された情報といった、いずれの周囲状態でも検出することができる。ビデオ検出器は、著作−操作者の視野の中にあるものを記録するために、著作−操作者によって向きが変えられるビデオ・カメラを含むことができる。
【0042】
一次サブシステムは、検出した情報を、記録媒体を形成するおよび/または記録情報を伝達する目的で、フォーマットすることができる。好ましくは、検出した情報は、データ源の著作−操作者によって、事件報告を補足するためにフォーマットされる(例えば、MPEG−4フォーマットによって)。
【0043】
送受信機は、検出器からの検出情報を、リアル・タイムの伝達のために受信することができる。レコーダは、リンクを通じて他の一次サブシステム(例えば、チーム構成員による精査および改訂のため)および/または二次サブシステムに伝達するために、記録情報および/または改訂情報を送受信機に供給することができる。送受信機は、あらゆる従来の無線機、電話機、またはディジタル・ネットワーク送受信機を含むことができる。一実施態様では、送受信機は、一次サブシステムおよび/または二次サブシステムとの通信のために、アドホック・ネットワークへのリンクをサポートする。ユーザ・インターフェースは、レコーダによって記録された情報から、事件報告を用意し易くする、および/または改訂し易くすることができる。
【0044】
ユーザ・インターフェースは、ディスプレイと、このディスプレイに隣接する制御部とを含むことができる。ディスプレイは、当該ディスプレイの縁に沿って配列された凡例を設けることができる。ユーザ操作スイッチをディスプレイの縁に沿って配列し、凡例によって記述される目的に合わせて識別することができる。要求される情報は、真/偽または多数の選択プロンプト(choice prompt)を含むことができる。このようなプロンプトに対する回答は、操作者によって、ディスプレイの縁にあるスイッチを操作することによって行うことができ、また操作者の音声応答によって行うことができ、あるいはユーザ・インターフェースの一部であるポインタ制御部の操作によって行うことができる。
【0045】
一次サブシステムは、情報を検出するために、人間情報源(human source)と対話することができる。例えば、一次サブシステムは、一次サブシステムの著作−操作者と対話することができる。対話には、質問、示唆、または談話の要求の提示を含むことができる。ユーザ・インターフェースは、視覚的に(例えば、ディスプレイ上で)および/またはオーディオ形態で(例えば、対話型音声応答(「IVR」)情報を著作−操作者に描写することができる。著作−操作者は、ユーザ・インターフェースを通じて応答し(例えば、制御部を操作し、オーディオおよび/またはビデオ回答を与える)、要求された情報を提供することができる。要求された情報は、階層状の診断として編成することができる。各診断は、情報の要求、質問(多数の選択肢または真/偽、あるいは具体的な名前、日付、年齢の要求)、または情報を確認する要求とすることができる。一連の診断は、一次サブシステムによって予め決めておくことができる。一次サブシステムは、著作−操作者によって与えられる回答を解釈し、別の階層および/または診断の下位階層を提示するか否か判断することができる。データ源の操作者との対話は、したがって、一次サブシステムによって設けられるプロンプトによって誘導されるようにすることができる。プロンプトは、報告される事件の種類、一次サブシステムの種類、および/または操作者による回答に応じて、異なってもよい。一実施態様では、診断階層はIVRスクリプトを含む。
【0046】
二次サブシステムは、1つ又は複数の一次サブシステムからデータを受信し、そのデータを格納し、操作し、証拠として報告するコンピュータ・システム(例えば、パーソナル・コンピュータ、サーバ、サーバのネットワーク)であればいずれでも含む。二次サブシステムは、データを事件報告として受信することができる。二次サブシステムは、格納、選択、分解、分類、並べ替え、組み合わせ、比較、分析、調節、編成、および/または事件報告へのアクセス制御を行うことができる。二次サブシステムは、階層状のコンポーネントを備えることができる。
【0047】
本発明の種々の態様による方法は、事件報告が完全であり、精度が高く、裏付けがあり、検証可能であり、アクセス可能であり、他の情報源と統合され、証拠として使用するために確実に格納される可能性を高める。これらの機能および利点は、事件報告の種々のエレメント(例えば、音響、ムービー、記入書式、テキスト、グラフィクス、信号、文書、走査)、および一次サブシステムの著作−操作者によるこれらのいずれかまたは全てに基づいて場面(scene)を改訂する能力によって得ることができる。事件報告または改訂における事件情報の各エレメントは、生であっても派生物であってもよい(例えば、クリッピング(clipping)、クロッピング(cropping)、強調、補足情報、相互相関、シーケンス、集合、年代順配列、関連意見、証明、三段論法、成果の予測、および論理的成果から価値のあるものを選択および編成して提示する)。
【0048】
一般に、事件報告の2つのエレメントが論理的または物理的に関連付けられる。2つ以上のエレメントが関連付けられることもある。この関連付けは、例えば、エレメントに対する参照またはエレメント自体が同じ物理的レコードに格納されるときには、物理的となり得る。関連付けは、所与の関係を満たすレコードについての照会から、その関係が、報告されたエレメントにも該当することを示す報告が得られるとき、論理的となり得る。データベース管理に用いられる用語における関連は、タプル(tuple)と呼ぶことができる。本発明の種々の態様によれば、情報のタプルは、問題に対する解決策、および前述の便益をもたらす。例えば、事件報告は、兵器使用情報、ビデオ情報、および人間情報源とのインタービューの間に収集された応答のタプルを含むとよい。
【0049】
例えば、ビデオ・クリップを兵器(例えば、電子制御デバイス)の引き金を引く日付および時刻、ならびに目標を記述するプロンプトに応答して法執行官によって供給される目標(例えば、人間の容疑者または動物)の行動の聴覚記述(audio description)と関連付けることができる。別の例として、オーディオ・クリップは、前述の例におけるビデオ・クリップの代わりに用いることもできる。更に別の例では、ビデオ・クリップは、目標の行動を記述する執行官によって、聴覚補助記述および応答と関連付けることができる。先に論じたように、ビデオ情報、兵器情報、およびインタービュー応答は、1つの一次サブシステムにおいて、二次サブシステムに報告する一次サブシステム群のハブまたはマスタとして動作する一次サブシステムにおいて、あるいは関連付けを特定する前に個々のデータ項目を個々の一次サブシステムから受信する二次サブシステムにおいて関連付けることができる。関連付けの基準は、事件識別子または一次サブシステムにおけるデータの同時取得の結果とすることができる。
【0050】
本発明の種々の態様によるデータ構造は、前述のように、タプルを実現することができる。データ構造は、データベースのレコードとして格納することができる。データ構造は、ワーク・フロー・プロセッサによって実行されるプロセスが参照するメモリに一時的に存在することができる。データ構造は、エレメントおよびその他のデータのタプルを含むことができる。エレメントのタプルは、例えば、メタデータ、1日の時刻、執行官の識別、兵器の識別、オーディオおよび/またはビデオ・データから現れるまたは観察可能な個人または動物の識別、ビデオを記録するために用いられたカメラの識別、オーディオ情報を収集するために用いられたマイクロフォンのオーディオの識別、兵器の識別および兵器使用情報を提供するこの構成、ならびに統計的分析の暫定的結果を含むことができる。暫定的結果は、適用可能な兵器使用方針についての結論、データ収集または兵器使用に対して適用可能な指針、メタデータ、インデックス序数、位置の記述、管轄権の記述、ならびにリアル・タイムでは容易に入手できなかったまたは事件によってカバーされる時間期間では記録できなかった事件に該当するそのほかの情報を含むことができる。
【0051】
本発明の種々の態様によれば、二次サブシステムに転送されるデータは、一次サブシステムの著作−操作者によって行われた改訂を含む。
改訂は、事件報告の強調または明確さを改良することができる。ビデオ画像は、不要部分を削除すること(crop)、選り分けること(pan)、および/または大きさを調整すること(zoom)ができる。ムービーを切り詰めること(clip)もできる。写真は、不要部分を削除すること、および/または倍率を調整すること(scale)ができる。オーディオ・ストリームを切り詰めることもできる。印刷した情報は、明確にするために、修正することまたは部分的に書き換えることができる。原初の記録に関する補足情報を、著作−操作者によって提供することができる。これらの改訂の全ては、ユーザ・インターフェースの動作によって、一次サブシステム上で行うことができる。改訂を行う時間(例えば、1日の時間、日付)も記録することができる。原初の記録を保持し、改訂は、事件報告の新バージョンに組み込むことが好ましい。
【0052】
事件は、最初に、その事件および/または事件の調査が行われた日付および時間期間によって特定することができる。従来の識別であればいずれでも用いることができる。各一次サブシステムに、事件識別子を知らせることができる。例えば、正当に同期が取られた日付/時間クロックを有する一次サブシステムは、単に日付/時間スタンプを、これらが提供する情報に追加することができる。ユーザ・インターフェースを有する一次サブシステムは、著作−操作者からユーザが定義した事件識別子を受け入れることができる。
【0053】
事件報告は、事件において用いられ事件報告に記録された全てのタイム・キーピング・デバイス(time keeping device)の報告によって補足することができる。全てのタイム・キーピング・デバイスの報告は、関連する時間のずれを比較するために、一度に行うことができる。報告は、数回行い、各デバイスを信頼性のある時間基準と比較することができる。電子通信を欠くデバイスは、適したユーザ・インターフェース・プロンプト、制御部、または記録部(recordings)を含んでいればよい。例えば、一次サブシステムは、著作−操作者に、彼または彼女の腕時計によって示される1日の時刻を聞こえるように発声することを頼むプロンプトを設けることができる。
【0054】
一次サブシステムからの間接データの転送のために、一次サブシステムはリムーバブル・メモリ(例えば、半導体メモリ、磁気テープまたはディスク、光媒体)を含むとよい。二次サブシステムは、リムーバブル・メモリに適したリーダを含むとよい。一次サブシステムは、リムーバブルまたは非リムーバブル・メモリから二次サブシステムへの直接データ転送のために、有線またはワイヤレス通信能力を含むとよい。例えば、証拠転送および管理システムは、データを一次サブシステムから受信するためにドッキング・ステーションおよび/または送受信機を含むとよい。
【0055】
証拠管理は、一次サブシステムから受信したデータ(例えば、事件報告および改訂事件報告)の妥当性判断、更に改訂を行うこと(例えば、派生事件報告を作成する)、2つ以上の事件報告の部分を組み合わせること、そして事件報告を比較することを含むことができる。二次サブシステムへの転送には、いずれのデータ・フォーマットでも用いることができる。データを二次サブシステムに格納するためには、いずれのデータ・フォーマットでも用いることができる。本発明の種々の態様によれば、二次サブシステムの全てのデータ転送および格納機能に、数個または1つのみのデータ・フォーマットを用いると、特別の相乗効果が実現する。好ましくは、転送および格納は、MPEG−4の構造および機能の、全てではないにしても、その殆どを有するフォーマットを使用する。例えば、MPEG−4オブジェクト、記述、およびメタデータを用いて、改訂オブジェクトに記述、および/または1つよりも多い一次サブシステムから発生したメタデータを含ませることによって、組み合わせを行うこともできる。
【0056】
先に論じたような二次サブシステムの機能は、証拠の収集および管理の異なる部分に責任がある様々な要員によって便利に用いられるように整理するとよい。一次サブシステムおよびその操作者に関する全ての機能は、第1の位置において行えるようにし、そのほかの全ての機能(例えば、証拠格納および分析)は第2の位置において行えるようにするとよい。
【0057】
例えば、証拠収集および管理システムは、いかなる数のシフト・ハブにネットワークによって結合されたいかなる数のステーション・ハブを含んでもよい。ステーション・ハブは、証拠管理部の安全な動作を提供する。ネットワークは、データおよびプロセス間通信をサポートする。従来のプロトコルはいずれでも用いることができる(例えば、インターネットまたはイントラネット・プロトコル・スタック)。シフト・ハブは、一次サブシステムからのデータ転送(例えば、事件記録および改訂)に備えており、更に物理的格納(例えば、個人的項目または兵器室によって制御される項目の非番(off-shift)安全格納)、再充電可能バッテリの再充電、および/または一次サブシステムへのデータ転送(例えば、図7および図8を参照して以下で論ずる、ソフトウェア・アップグレード、戦術的タスク、証拠収集タスク、通信タスクに関する情報)にも備えることができる。
【0058】
例えば、図1の証拠収集および管理システム100は、ネットワーク114によってシフト・ハブ120に結合されているステーション・ハブ110を含む。ステーション・ハブ110は、証拠管理部112(例えば、本明細書で論ずるように証拠を管理するために従来の態様で構成されているデータベース管理部)をホストする。ホスティング(hosting)には、従来の安全な計算環境(例えば、物理的セキュリティ、通信セキュリティ、アクセス制御、暗号化)が含まれる。ネットワーク114は、いずれの数のステーション・ハブ110とシフト・ハブ120との間においても安全な通信を提供する。シフト・ハブ120は、プロセッサ122、ワイヤレス・データ転送のために配備された、適した数であればいくつでもよい一次サブシステムとのワイヤレス通信のためのアドホック送受信機124、適した数であればいくつでもよい一次サブシステムへの有線接続のためのドック126、デバイス識別検出器128、および人間識別検出器129を含む。
【0059】
プロセッサ122は、アドホック送受信機124および/またはドック126を通じて、1つ又は複数の適した通信チャネル(例えば、従来のIR、無線、またはワイヤレス・ネットワーク・チャネル)に基づいて、1つ又は複数の適した通信プロトコル(例えば、従来のIEEE802)を用いて、それらの間にアドホック・ネットワークを維持する範囲以内にある一次サブシステムおよび/またはコンポーネントにポールすることができる。このようなネットワークが「アドホック」であるのは、ネットワークの候補が、プロセッサ122に前もって通知せずに、通信のゾーンに入ることができ、ネットワークの構成機器がこの通信ゾーンから退出する(例えば、人間によって移動させられる)ことができるからである。プロセッサ122は、一次サブシステムおよび/またはコンポーネントのアドホック・ネットワークへの進入およびアドホック・ネットワークからの退出を検出し、プロセッサ122の能力に合った実用上できるだけ多い構成機器によってアドホック・ネットワークを維持する。
【0060】
アドホック送受信機は、異なる時点において異なるアドホック・ネットワークに参加することができる。例えば、事件現場にないアドホック送受信機は、事件報告を副システムに転送するために、アドホック・ネットワークに加入することができる(例えば、図1における132)。アドホック送受信機は、別の時点において、事件情報を記録するためにアドホック・ネットワークに加入することができる(例えば、図2における132)。アドホック送受信機は、別の時点において、タスクを他の一次サブシステム(例えば、図7の360および209)に命令するために、アドホック・ネットワークに加入することができる。他の実施態様では、チャネルおよび/またはプロトコルの相違に対処するために、これらの形式の通信の一部または全てに合わせて、異なる送受信機を用いることもできる。
【0061】
デバイス識別検出器は、一次サブシステムに対するコンポーネントの識別または一次サブシステム全体(例えば、個人的一次サブシステム)の識別を検出する。例えば、シフト・ハブ120へのチェック・インの際(例えば、連結またはローカル・アドホック通信を通じて)、デバイス識別検出器128は、コンポーネントまたは主システムを識別し、検出した固体情報(identity)を、これらのコンポーネントまたは主システムからシフト・ハブ120に転送された事件報告に関連付ける。識別および関連付けによって、証拠の妥当性判断に備える。シフト・ハブ120からのチェック・アウトの際(例えば、切り離し、またはローカル・アドホック通信からの離脱)、デバイス識別検出器128は、コンポーネントを一次サブシステムに対して識別し(例えば、同じまたは別のコンポーネントにおいて)、事件報告がそのコンポーネントの識別と関連付けて記録されるようにする。この場合も、証拠の妥当性判断が目的である。
【0062】
人間識別検出器は、一次サブシステムと関連のある人間、または一次サブシステムと関連付けられるべき人間の識別を検出する。例えば、一次サブシステムのシフト・ハブ120へのチェック・インの際に、一次サブシステムの適したコンポーネントをドック126に差し込んだ人間を、人間識別検出器129によって特定し、証拠の妥当性判断の目的で、一次サブシステムから転送される事件報告に関連付けることができる。一次サブシステムのシフト・ハブ120のドック126からチェック・アウトの際に、一次サブシステムのコンポーネントをドック126から取り外した人間を、一次サブシステムに対して特定し、その人間の識別と関連付けて事件報告を記録することができる。この場合も、証拠の妥当性判断が目的である。
【0063】
以下で図7および図8を参照して論ずるが、アクティベータ360および電子制御デバイス370をドック126に差し込むか、またはアドホック送受信機124を通じて通信して、アドレス可能な刺激制御のためにアドレスを交換することができる。プロセッサ122は、第1アクティベータに格納されているこのようなアドレスを読み取り、これらのアドレスを第2アクティベータに書き込むことができる。プロセッサ122は、ネットワーク114を通じて、刺激制御のためにアドレスを受信することができる。
【0064】
デバイス識別検出器128は、図7および図8を参照して以下で論ずる、アドレス可能な刺激制御のためのアドレスを得るために識別を検出することができる。例えば、アドレス可能な刺激制御(例えば、帯電発射体)のための信号に応答する兵器を、バー・コード、絵文字、または無線周波数識別(RFID)技術によって、識別検出器128に対して特定することができる。兵器識別は、アクティベータへの天昇に必要なアドレスを直接または間接的に決定することができる。別の例として、アドレス可能な刺激制御のための信号に応答する特定の兵器を有するアクティベータを用いようとする人間(例えば、操作者)を、いずれかの従来の態様で(例えば、バッジ・リーダ、生物測定検出)人間識別検出器129に対して特定することができる。刺激制御のためのアドレスは、意図する操作者の識別と関連付けることができる。
【0065】
意図する操作者の識別を1つ又は複数のこのようなアドレスと関連付けるには、シフト・ハブ120のユーザ・インターフェース(図示せず)によって、または例えば、刺激制御のためのアドレスを有する帯電発射体を投下するときに兵器室によって用いられるネットワーク114に接続されているユーザ・インターフェースによって行うことができる。兵器室は、アクティベータの識別と関連付けて、および/またはアクティベータを用いるために選出された人間の識別と関連付けて、投下される帯電発射体の刺激制御のためのアドレスを指定することができる。アクティベータの特定された人間へのチェック・アウトの一部として、アクティベータは、特定の兵器(例えば、帯電発射体)または兵器の一群を制御するためのアドレスを受信することができ、更に、アクティベータは、当該アクティベータ、したがって兵器を制御することを許可された人間の識別を受信することができる。
【0066】
ドック126は、有線ネットワークへの差し込みによって、適した数であればあらゆる数の一次サブシステムおよび/またはそのコンポーネントを受け入れる。また、ドックは、アドホック送受信機124の範囲内に場所(例えば、ビン)を設け、送受信機124を介したプロセッサ122と、その場所(例えば、ビンの中)に置かれた、適した数であればあらゆる数の一次サブシステムおよび/またはそのコンポーネントとの間における通信を可能にする。この場所は、デバイス識別検出器128によってデバイス識別を検出するのに適していればよい。例えば、ハンドセット132および134、アクティベータ360、ならびにECD210をドック126に差し込むことができる。デバイス識別検出器128による走査および/またはプログラミングのために、ヘッドセット222および232、パーソナル・ハブ224および234、ならびにECD発射体370をビン(図示せず)に配置することができる。
【0067】
ドック126は、プロセッサ122および証拠管理部112によって調整されるように、二次サブシステム110へのデータ転送のために、通信コンポーネントおよび一次サブシステムを配置および/またはリンクする。データ転送は、事件報告および/または使用ログを含むことができる。他のコンポーネントおよび/または一次サブシステムが近隣にあるがドック126に差し込まれていない場合、他のコンポーネントおよび一次サブシステムとの通信のためにプロセッサ122によって制御されるように、アドホック送受信機124を通じてデータ転送を行うこともできる。
【0068】
コンポーネントおよび一次サブシステムは、ドック126を通じて再充電することができる。例えば、ハンドセット132および134、アクティベータ360、ならびにECD370をドック126に差し込めば、プロセッサ122の制御によって、その内部バッテリに再充電することができる。プロセッサ122は、システム100の操作者に、連結によって利益を得ることができるが連結されていないコンポーネントおよび一次サブシステムを知らせることができる(例えば、信頼性のあるデータ転送速度の向上、再充電)。
【0069】
シフト・ハブ120と協同して動作する各主システム(例えば、ハンドセット、アクティベータ、ECD発射体)は、シフト・ハブ120から、一次サブシステムについて意図する操作者を特定するデータを受信することができる(例えば、人間識別検出器129から)。次いで、意図する操作者の識別を、一次サブシステムの著作−操作者によって、事件記録を証拠として基礎を築く目的のために、データに追加することができる。一次サブシステムのいずれのコンポーネントでもまたは全てのコンポーネントでも、一次サブシステムの他のコンポーネントのいずれにでもまたは全てにでも特定することができる(例えば、一意の一次サブシステム識別子および/または一次サブシステムの一意のアドホック・アドレスを用いて)。
【0070】
シフト・ハブの機能は、ここではロッカー・ドック(locker dock)と呼ぶ、他の二次サブシステムのコンポーネント(図示せず)と協同して動作するために、縮減することもできる。例えば、縮減したシフト・ハブは、1つ又は複数のアドホック送受信機124およびプロセッサ122を含み、ドック126、デバイス識別検出器128、および人間識別検出器129を省略する。多数のロッカー・ドック(図示せず)が、ネットワーク114によって1つ又は複数の縮減シフト・ハブに接続されている。各縮減シフト・ハブは、ネットワーク114によってステーション・ハブ110に接続する。各ロッカー・ドックは、特定された人間のロッカー内に配置される。このロッカーは、通常、その人間が勤務中であるときに、私物のために用いられる。別の実施態様では、ロッカー・ドックは、プロセッサ122、ドック126、およびデバイス識別検出器128を含む。これらのデバイスは、ドック126に差し込むことによって特定することができず、デバイス識別検出器128によって特定される。
【0071】
デバイス識別検出器は、デバイスから、当該デバイスの識別の識別(an identification of the identification of that device)を走査する(例えば、光学リーダ、磁気リーダ)または受信する(例えば、無線リンク、IRリンク)ことができる。デバイス識別検出器は、デバイスの識別を変更または補足することができる。例えば、デバイス識別は、人間および機械読み取り可能識別(例えば、マーク、印刷、消去、磁化、再磁化、送信)に適した態様であればいずれとでも交換すること、いずれにでも追加すること、いずれによっても改訂することができる。デバイスからの識別またはデバイスへの識別は、一意のアドレス、グループ・アドレス、またはこれらのアドレスの1つ又は複数のあらゆる組み合わせを含むことができる。
【0072】
仮説的な事件、ならびに本発明の種々の態様によるシステムおよび方法の適用を図2に示す。図2は、容疑者202を逮捕する2人の法執行官206および204が関与し、各執行官が、本発明の種々の実施形態による、それぞれの一次サブシステムを操作する仮説的事件の図式表現である。ここでは、一次サブシステムを事件記録システム208および209と呼ぶ(また、事件レコーダとも呼ぶ)。執行官204は電子制御デバイス210(例えば、TASER International model M26またはX26)を操作する。電子制御デバイス210は、2つのワイヤ係留電極を展開し、これらは接触点212および214において容疑者202に当たる。この電子制御デバイスによって発生する電流が、ワイヤ、電極、および容疑者の組織に流れて、無意識の筋肉収縮を発生させ、容疑者の運動を停止させ、容疑者の逮捕をし易くする。執行官204が装着している事件レコーダ208は、対決の間ムービーを記録する(例えば、オーディオおよびビデオ)。執行官206が装着する事件記録システム209も、対決の間異なる視点からムービーを記録する。この例では、システム208および209は同一であり、各々、ヘッドセット222(232)、パーソナル・ハブ224(234)、ハンドセット132(134)、および公務用送受信機228(238)を含む。各ヘッドセット222(232)は、執行官から離れて執行官の目の視野に向けられているカメラおよびマイクロフォンを含む。容疑者202が逮捕された後直ちに(例えば、手錠をかける、足枷をかける、監禁する)、執行官204(206)は個々に記録されたムービーを精査し、補足的記述をいずれの場面にでもつけ加えることができる。
【0073】
精査は、ハンドセットをパーソナル・ハブから外し、ハンドセットのディスプレイ上でムービーを見ることによって行われる。記述の追加は、とりわけ、場面を特定し、オーディオを追加し(ヘッドセットまたはパーソナル・ハブに向かって場面について話す)、ビデオを追加し(例えば、ヘッドセットからカメラを取り外し、何らかの関心事に向ける)、および/またはグラフィカル情報を追加する(例えば、容疑者の身体のどこに、接触点212および214が生じたか、標準的な方法で記述する)ことによって行われる。ハンドセットがパーソナル・ハブから離れている間、執行官はパーソナル・ハブのマイクロフォンおよびスピーカを用いて、例えば、派遣代理人(dispatch agent)に公務用送受信機を通じて通信することができる。
【0074】
一実施態様では、図3の事件記録システム(本明細書では、一次サブシステム、個人的一次サブシステム、または事件レコーダとも呼ぶ)208は、ハンドセット132、公務用送受信機228、パーソナル・ハブ224、およびヘッドセット222を含む。ハンドセット132は、プロセッサ340、メモリ341、ビデオ・モニタ(ここでは、ディスプレイとも呼ぶ)342、制御部343、アドホック送受信機344、オーディオ入力回路345、オーディオ出力回路346、ローカル・リンク送受信機347、および有線インターフェース348を含む。公務用送受信機228は、送信機312および受信機314を含む。パーソナル・ハブ224は、プッシュ・ツー・トーク回路322、ハブ・マイクロフォン324、ハブ・スピーカ326、ミキサ328、ミキサ330、およびローカル・リンク送受信機332を含む。ヘッドセット222は、ヘッド・マイクロフォン334、ヘッド・スピーカ336、定方位(oriented)マイクロフォン335、定方位カメラ337、および方位検出器338を含む。これらのコンポーネントの機能および機能的協同について、以下で論ずる。
【0075】
本発明の種々の態様によるハンドセットは、ディスプレイを備えており、更にユーザの指および/または親指による操作に合わせた大きさおよび位置に設けられた制御部を備えている。ハンドセットは、記録された情報(ここではムービーとも呼ぶ)を、ユーザによって決定された(例えば、作成、定義、選択、指定された)記述で補足するように動作する。記述(ここでは、補足、補足情報、および/または改訂とも呼ぶ)は、追加のビデオ情報、オーディオ情報、グラフィクス情報、テキスト、ステータス、ログ、測定値、計算、文書、および/またはデータを含むことができる。
【0076】
更に、ハンドセットは、構造を含み、本明細書において記載するようなデータ源の機能を実行することもできる。ハンドセットは情報を記録することができる。ハンドセットは、当該ハンドセットが記録すべき情報を受信することができる。ハンドセットは、記録した情報および/または補足記録情報を、事件レコーダの他の部分、および/または証拠転送システムおよび管理システムに伝達することができる。例えば、ハンドセット132は、パーソナル・ハブ224から、オーディオおよびビデオ情報を伝える信号を受信し、そのオーディオおよびビデオ情報をMPEG−4フォーマットでメモリ341に記録する。別の実施態様では、パーソナル・ハブ224および公務用送受信機228を省略し、ハンドセット132は、有線またはワイヤレス・インターフェースを通じて、ヘッドセット222と直接協同動作する。別の実施態様では、ヘッドセット222を省略し、ハンドセット132が、ハンドセットの著作−操作者によって用いるためのマイクロフォンおよびスピーカを含み、更にハンドセットの著作−操作者によって方位が決定される定方位マイクロフォンおよび定方位カメラを含む。
【0077】
公務用送受信機(on-duty transceiver)は、個人間(inter-personal)通信を提供する。公務用送受信機は、証拠を収集するために一緒に作業している人々の間で通信を調整して提供することができる。公務用送受信機は、監視およびセキュリティ、法執行、および/または軍の活動のために、人々の間で調整した通信をサポートすることができる。通信は、適した従来の形態であればいずれでもよい。公務用送受信機は、無線による双方向半二重オーディオ通信を提供することができる。別の実施態様では、公務用送受信機は、無線に加えてまたは無線の代わりに、全二重セルラ電話通信を提供する。別の実施態様では、公務用送受信機は、ワイヤレス・コンピュータ・ネットワーク技術によるオーディオおよび/またはビデオ通信を提供する。例えば、公務用送受信機228は、専用の緊急応答および警察チャネルにおいて、無線による双方向半二重オーディオ通信を含む。
【0078】
本発明の種々の態様によるパーソナル・ハブは、公務用送受信機、ヘッドセット、およびハンドセットの内1つ又は複数を結合する。パーソナル・ハブは、公務用送受信機と協同動作して、オーディオ入力および出力変換器を備え、著作−操作者の口および耳の近くに便利さのために配置することができる。パーソナル・ハブは、ヘッドセットへの有線インターフェースまたはワイヤレス・インターフェースを含むことができる。パーソナル・ハブは、ハンドセットへの有線インターフェースまたはワイヤレス・インターフェースを備えることができる。例えば、パーソナル・ハブ224は、公務用送受信機228への有線インターフェースを備え、公務用送受信機228と共に用いるためのプッシュ・ツー・トーク・スイッチを備え、公務用送受信機228と共に用いるためにパーソナル・ハブにおけるマイクロフォンおよびスピーカをサポートし、ヘッドセット222への有線インターフェースを備え、ハンドセット132へのワイヤレス・インターフェースを備える。別の実施態様では、パーソナル・ハブ224は、データ源を参照して先に論じたような、1つ又は複数の検出器および/または1つ又は複数のレコーダを含む。
【0079】
ヘッドセットは、著作−操作者の頭部に結合するように構成されている。本発明の種々の態様によるヘッドセットは、視覚、聴覚、および方位検出器をサポートする。方位検出器は、ヘッドセットの方位(例えば、方位角、仰角)を検出する。ヘッドセットと著作−操作者の頭部との間の所定の位置決め(例えば、ヘッドセットの前面を前方に位置付ける)が、方位検出器が著作−操作者の感覚(例えば、目、耳、鼻、口の方位の方向)の方位を検出できることを暗示する。方位検出器は、電気、電子、および機械的コンポーネントならびにシステムを含むことができる。方位検出器は、微小電気機械システム(「MEMS」)製造技法を用いて形成された機械的デバイスを含み、加速度または方位変化を検出することができる(例えば、ジャイロスコープ)。一実施態様では、ヘッドセットは、ヘッドセットの方位の方位角を検出する電子コンパスを含む。
【0080】
検出器は、ヘッドセットに対して、したがって著作−操作者の頭部に対して方位を決めることができる。定方位検出器は、著作−操作者の感覚と同じ概略的な方向に沿って方位付けられる(例えば、位置付けられる)物理的現象を検出するためのあらゆるデバイスを含むことができる。
【0081】
例えば、ヘッドセットは、定方位検出器として、音響を検出するマイクロフォンを含むことができる。マイクロフォンは、著作−操作者の聴覚の方向に方位を決めることができる。ヘッドセットは、定方位検出器として、著作−操作者の視覚(sight)の方向において、あらゆる適したチャネルまたはスペクトルにおける放射エネルギを検出するカメラを含むことができる。ヘッドセットは、定方位検出器として、著作−操作者の嗅腺および/または口に入るかもしれないあらゆる適した種類の粒子を検出するために位置付けられた化学検出器を含むことができる。
【0082】
ヘッドセットは、放射エネルギ源、およびエネルギ源からヘッドセットに向かって行き反射した放射エネルギを検出する検出器を含むことができる。ヘッドセットは、基準位置を特定するため、および/またはデータ源および/または目標兵器の方位を決めるための指定装置(designator)として用いるために、レーザを含むことができる。
【0083】
例えば、ヘッドセット222は、人間の操作者の頭部に装着するように設計される。ヘッドセット222は、操作者が彼または彼女の顔を回すに連れて、操作者に面する方向から聴覚および視覚(または赤外線)情報を連続的に検出するために、定方位マイクロフォンおよび定方位カメラを含む。ヘッドセット222は、定方位マイクロフォンおよび定方位カメラの方位の絶対的または相対的変化をヘッドセットに報告するために、方位検出器を含む。更に、ヘッドセット222は、記録情報の見直しのため、および著作−操作者からの記録情報の記述を受信するために、人間の操作者の口および耳の近くに配置したマイクロフォンおよびスピーカも含む。
【0084】
プロセッサは、格納されているプログラムを実行する回路またはサブシステムであればいずれでも含む。プロセッサは、専用ディジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、特定用途集積回路、ロジック回路、MEMSデバイス、信号コンディショニング回路、通信回路、コンピュータ、無線機、ネットワーク機器、これらの組み合わせを、1つ又は複数の格納されているプログラムを実行するのに適したあらゆる量で含むことができる。
【0085】
例えば、プロセッサ340は、オーディオ信号をディジタル化するためのディジタル信号プロセッサ、ビデオ・ディスプレイおよびユーザ・インターフェース制御部をサポートするためのマイクロコントローラ、アドホック送受信機をサポートするためのディジタル信号プロセッサ、パーソナル・ハブ224へのワイヤレス・リンクをサポートするためのネットワーク・コントローラ、ならびにオペレーティング・システムおよびハンドセット132の他の全ての機能を実行するためのアプリケーション・ソフトウェアを有するマイクロコンピュータを含む。別の実施態様では、並列処理回路および技術を追加するに連れて、より大きな信号処理スループットがサポートされる。異なるデータ源の用途に合わせた別の実施態様では、異なるデータ源の異なる検出および記録機能のスループットに適した1つまたは数個の汎用処理回路を優先して用い、専用回路を少なくする。
【0086】
メモリは、あらゆる半導体、磁気、または光学技術、あるいは情報を格納するための組み合わせを含む。メモリの全部または一部は、ハンドセット132からデータを転送するため、またはハンドセット132にデータ(例えば、ソフトウェア・アップグレード、刺激制御のためのアドレス、図4を参照して説明したあらゆる情報に対する置換情報)を導入するために、ハンドセット132から取り除かれるリムーバブル媒体上にあってもよい。例えば、メモリ341は、図4を参照して説明したような情報を、非リムーバブル半導体技術を用いて格納する。メモリ341の一部を不揮発性メモリで維持して、故障またはハンドセット132へのバッテリ電力の消滅という事態においてデータの損失を回避するとよい。
【0087】
ビデオ・モニタは、ディスプレイを備えている。ディスプレイは、ユーザ・インターフェースの制御部に対して凡例を提示することができる。ディスプレイは、精査のためにビデオ情報を提示することができる。ディスプレイは、記述を決定するためにビデオ情報を提示することができる。ビデオ・モニタは、ディスプレイをサポートするためにプロセッサまたは回路を含むことができる。ビデオ・モニタは、ハンドセット132を用いるのに適した表示技術であればいずれでも採用することができる。一実施態様では、ビデオ・モニタ342は、戸外での視認性のために緑色の濃淡でビデオを提示する従来のLCDディスプレイを含む。別の実施態様では、ビデオ・モニタ342、またはビデオ・モニタ342に追加するモニタはヘッドセット222に含まれ、ディスプレイ上の凡例がユーザ・インターフェースの制御部と相関付けられることによって、訓練を受けたユーザは、制御部を操作するときに、彼または彼女の手を見る必要がなくなる。
【0088】
本発明の種々の態様による制御部は、著作−操作者による行為に応答して入力をプロセッサに供給するユーザ・インターフェースの一部である。制御部は、操作者によるあらゆる筋肉収縮の結果動作させることができる。制御部は、操作者が装着する衣服(例えば、手袋、袖、靴)に組み込むことができる。制御部は、アナログまたは二進情報をプロセッサに供給することができる。制御部は、二進状態の検出器、またはアナログ状態の検出器を備えることができる。制御部は、ポインタ制御部を含むことができる。ポインタ制御部は、プロセッサに、ディスプレイの描写(presentation)上に重畳されているポインタを、特定の方向に描写の別の地点まで移動させる操作者の意図の指示を与える。ポインタは、いずれの記号またはアイコンでもよい。方向は、上向き、下向き、左、右、対角線方向を含むことができる。更に、方向は、現在のポインタ位置から任意の方位(bearing)を含むことができる。更に、ポインタ制御部は、プロセッサに、ポインタが現在特定する描写の部分を、プロセッサに「受け入れ」させるまたはその部分を参照して行為を行わせる操作者の意図の二進指示を与えることができる。
【0089】
例えば、制御部343は、ビデオ・モニタ342のディスプレイの縁に沿って配列された第1複数の多目的二進スイッチと、プロセッサに上、下、左、右、対角線方向、および「受け入れ」を示す従来のポインタ制御部を含む。制御部343のスイッチは、操作者の指および/または親指による操作に合った大きさになっており、ハンドセット132上に位置付けられている。また、制御部343のスイッチは、ビデオ・モニタ342のディスプレイ上に提示されている凡例と相関付けるように位置付けられている。その結果、複数のスイッチの機能は、プロセッサによって、適した動作コンテキスト、状態、または動作モードであればいずれにおいても定義することおよび再定義することができる。更に、制御部343は、専用スイッチも含むことができ、これらを操作すると、専用機能(例えば、記録中に対象時点を示すスイッチ、いずれかの兵器の刺激を制御するために操作するスイッチ、著作−操作者のプライバシーのために記録をオン/オフに切り換えるスイッチ)および専用アナログ制御(例えば、ディスプレイの明るさ、オーディオ再生の音量)を実行する。
【0090】
アドホック送受信機は、アドホック・ネットワークの候補または構成機器による通信をサポートする。ノイズ源ならびに予期される構成機器候補およびアドホック・ネットワークの構成機器の存在下で、信頼性のある動作(performance)を遂行するように限定されるアドホック送受信機を実現するためには、適した通信技術であればいずれでも組み合わせることができる。候補による送信は、同じチャネル上における同時送信のため、変形(garbling)を受ける可能性がある。構成機器の送信の調整は、適した従来のプロトコルおよび/またはチャネル割り当て技法であればいずれを用いても遂行することができる。アドホック送受信機は、適した安全通信技術であればいずれでも用いることができる。例えば、アドホック送受信機344は、700および1200MHzの間の周波数チャネルにおいて比較的低いパワー(例えば、1ミリワット未満)で比較的短距離(5000メートル未満)の通信を提供する。構成機器による送信には、スペクトル拡散技法が採用される。
【0091】
オーディオ入力回路は、適した信号フォーマットでオーディオ情報をプロセッサに供給する。信号のコンディショニング、アナログ/ディジタル変換、サンプリング、多重化、および/またはフィルタリングは、オーディオ入力回路によって行うことができる。例えば、オーディオ入力回路345は、プロセッサ340に、ハブ・マイク324、受信機314、ヘッド・マイク334、および定方位マイク335を含むアナログ・マイクロフォンに応答してオーディオ情報を供給する。MPEG−4フォーマットへの変換は、プロセッサ340および/またはオーディオ入力回路345によって行うことができる。
【0092】
オーディオ出力回路は、通信および/または音響への変換に適した信号フォーマットで、オーディオ情報をプロセッサから受け取る。例えば、オーディオ出力回路346は、プロセッサ340と協同して、オーディオ情報をMPEG−4から従来のスピーカ(例えば、ヘッド・スピーカ336)によって用いるためのアナログ・フォーマットに変換する。別の実施態様では、オーディオ入力回路345、プロセッサ340、およびオーディオ出力回路346は、協同して動作して、ハブ・スピーカ326および/またはヘッド・スピーカ336において実施される従来のノイズ・キャンセレーション技術と共に用いるためのオーディオ出力を供給する。一実施態様では、追加のマイクロフォンをスピーカの近くに一緒に配置して、ノイズ・キャンセレーションを行うために追加の信号をオーディオ入力回路345およびプロセッサ340に供給する。プロセッサ340および/またはオーディオ入力回路345は、ノイズ・キャンセレーション処理回路および/またはソフトウェアを含むことができる。
【0093】
ローカル・リンク送受信機は、1つの他のローカル・リンク送受信機への二点間通信を提供する。ローカル・リンク送受信機は、数個のフォーマットの通信情報のために多重化および多重分解機能を含むことができる。ローカル・リンク送受信機は、適した安全通信技法であればいずれでも用いることができる。一実施態様では、ローカル・リンク送受信機347および332は協同して動作して、ハンドセット132とパーソナル・ハブ224との間にある有線インターフェースを、安全ワイヤレス・インターフェースと置換する。
【0094】
送受信機は、送信機および受信機を含む。送信機および受信機が1つの通信チャネルを共有する場合、送信機および受信機は協同して動作して1つのアンテナを用いる。送受信機は、いずれの数のチャネルでも順次(例えば、スペクトル拡散通信の場合)または同時に(例えば、ローカル処理のために、アドレスされているか否かには関わらず受信した全てのメッセージに対して中継および導出機能を実行するネットワーク・ノードとして動作する場合)用いることができる。送受信機344、347、332、および228は、送信機および受信機を含む。送信機312は、パーソナル・ハブ224のプッシュ・ツー・トーク回路322に応答し、ミキサ328に応答して情報を送信する。受信機314は、オーディオ情報をミキサ330に供給する。
【0095】
本明細書において用いる場合、信号は情報を伝達するものとする。機能ブロックが情報に応答するとき、この機能ブロックを実現する回路は、情報を伝達する信号を受信し、当該ブロックの機能の実行のために、この情報を復調するかまたはそれ以外の方法で判断する。受信は、連続でも不連続でもよい。機能の実行は、十分な情報が受信されたときにはいつでも行うことができる。
【0096】
一次サブシステム(例えば、208、209)のコンポーネント(例えば、ハンドセット132、パーソナル・ハブ224、ヘッドセット222、公務用送受信機228)は、各々、それぞれのデバイス識別機能を含むことができる。デバイス識別機能は、先に論じたように、一次サブシステムのコンポーネントをシフト・ハブに対して識別するために、何らかの従来の態様で実現することができる。識別は、人間が読み取り可能であり、更に機械が読み取り可能であるとよい。コンポーネントがユーザ・インターフェースを含む場合、デバイス識別は、操作者によって入力、編集、増強、または検証することができる。
【0097】
プッシュ・ツー・トーク回路は、送信イネーブル信号を送信機に供給する。プッシュ・ツー・トーク回路は、従来のプッシュ・ツー・トーク・スイッチを有するユーザ・インターフェースを含むことができる。操作者は、プッシュ・ツー・トーク・スイッチを作動させて、送信し始める。例えば、プッシュ・ツー・トーク回路322は、著作−操作者の親指の1つで操作するような大きさおよび位置付けとした手動二進スイッチを含む。別の実施態様では、従来の音声動作スイッチ(VOX)が、プッシュ・ツー・トーク・スイッチの代用をするか、またはこれと協同して動作する。
【0098】
ハブ・マイクロフォン324およびハブ・スピーカ326は、それぞれ、操作者の音声を拾い上げ、オーディオを操作者の耳に向けて再生する。ハブ・マイクロフォン324は、オーディオ情報を伝達するアナログ信号をミキサ328にそしてローカル・リンク送受信機332に供給する。ハブ・スピーカ326は、ミキサ330から受信した信号に応答して、可聴音響を供給する。ハブ・マイクロフォン324およびハブ・スピーカ326は、ヘッド・マイクロフォン334およびヘッド・スピーカ336と冗長機能を備える。
【0099】
ミキサ328は、ハブ・マイク324、ヘッド・マイク334、および定方位マイク335からオーディオ情報を受信する。これらのオーディオ源の間で適した相対的音量で、そしてオーディオ源の優先順位に基づいた適した時点において、ミキサ328はオーディオ情報を送信機312に供給する。
【0100】
ミキサ330は、受信機314およびオーディオ出力回路346から、ローカル・リンク送受信機347および332を通じて、オーディオ情報を受信する。これらのオーディオ源の間で適した相対的音量で、そしてオーディオ源の優先順位に基づいた適した時点において、ミキサ330はオーディオ情報をハブ・スピーカ326およびヘッド・スピーカ336に供給する。
【0101】
ヘッド・マイクロフォン334およびヘッド・スピーカ336は、それぞれ、操作者の音声を拾い上げ、オーディオを操作者の耳に向けて再生する。ヘッド・マイクロフォン334は、オーディオ情報を伝達するアナログ信号を、ミキサ328およびローカル・リンク送受信機332に供給する。ヘッド・スピーカ336は、ミキサ330から受信した信号に応答して、可聴音響を発生する。操作者の頭部の位置のために、ヘッド・マイクロフォン334およびヘッド・スピーカ336は、ハブ・マイクロフォン324およびハブ・スピーカ326によって可能なオーディオ通信よりも秘匿性高く、著作−操作者とのオーディオ通信を提供することができる。
【0102】
定方位マイクロフォンは、著作−操作者の頭部の移動と共に移動して、操作者の顔に近づく音響を受信する。定方位カメラは、著作−操作者の頭部と共に移動して、操作者の顔に近づく放射エネルギ(例えば、周囲光あるいは可視光またはIR光の照明)を取り込む。したがって、著作−操作者が彼または彼女のルーチンを実行すると、記録のために取り込まれるオーディオおよびビジュアル情報は、著作−操作者の感覚に到達するオーディオおよびビジュアル情報に概略的に対応する。定方位マイク335は、著作−操作者が聞き取り応答することを意図した発話(speech)を取り込むのに適した、著作−操作者の前方に投射される、比較的狭い感度範囲を有することができる。定方位カメラ337は、人間の著作−操作者の視野と一層密接に対応するように、比較的広い感度範囲を有することができる。定方位マイクロフォン335は、全方向マイクロフォンまたはステレオ・マイクロフォンとして実現することができ、したがって、定方位カメラ337が方位付けられているのと同様に「方位付け」られなくてもよい。
【0103】
ヘッドセットは、感覚の方向と一致していない情報、または人間の著作−操作者の感覚では検出できない可能性がある情報を検出するように方位付けられた他の定方位検出器を含むことができる。先に明記したように、一実施態様では、人間の裸眼では直接検出することができない赤外線光を検出するカメラを含むことができる。別の実施態様では、カメラは、著作−操作者の背後において情報を検出するように方位付けることもできる。また、著作−操作者が、検出器を一次サブシステムから取り外して、手動でいずれの方向にでも方位付け検出することもできる。
【0104】
方位検出器は、定方位カメラ337の方位に関する情報を提供する。方位検出器は、更に、定方位マイクロフォン335の方位に関する情報も提供する。更に、方位検出器は、著作−操作者の地理的位置についての情報も提供することができる(例えば、GPS受信機からの経度および緯度座標)。他の実施態様では、位置についての情報は、公務用送受信機228、パーソナル・ハブ224、またはハンドセット132の中にあるGPS受信機(図示せず)の位置検出によって、プロセッサ340のために決定される。位置および方位に関する情報は、方位角(例えば、著作−操作者が面している基軸方向)、および仰角(例えば、著作−操作者が重力に対して垂直に面しているか、ある程度見上げているか、またはある程度見おろしているか)を含む。
【0105】
メモリ341は、適した編成およびフォーマットのいずれかで格納されたデータを含む。一実施態様では、メモリ341の内容は、図4を参照して以下で説明するようなデータ構造400を含む。データは、値、リスト、レコードの表、ファイル、ツリー、グラフ、レコードの階層、またはマークアップ言語と一致するタグ付きストリングの階層を含む、従来のいずれかのタイプのデータ構造で格納するのに合わせて編成することができる。いずれの編成および複数の編成のデータでも、コンテナに格納することができる。図4に示すメモリ341の記述は、データ構造またはコンテナの記述よりも機能ブロックの記述に似ている。しかしながら、メモリ341に格納されるデータ、およびプロセッサ340がそれにアクセスする態様によって、メモリ341の構造が特定される。
【0106】
データ構造400は、プログラム・コード402、ローカル・ログ404、環境ログ406、オーディオ・ハブ・マイク・ストリーム408、オーディオ・ヘッド・マイク・ストリーム410、オーディオ定方位マイク・ストリーム412、オーディオ公務用受信機ストリーム414、ビデオ定方位カメラ・ストリーム416、場面記述文書418、場面記述オーディオ・ストリーム420、場面記述ビデオ・ストリーム422、メニュー424、対話型音声応答ストリーム426、データ収集書式428、データ収集グラフィクス430、およびそのほかのデータ432を含む。
【0107】
プログラム・コード402は、プロセッサ340が、当該プロセッサ340またはハンドセット132に割り当てられるあらゆる方法および機能を遂行するために実行する命令を含む。プログラム・コード402は、プロセッサ340のオペレーティング・システム、およびアプリケーション・ソフトウェアを含む。アプリケーション・ソフトウェアは、オーディオおよびビデオをMPEG−4フォーマットで記録するソフトウェア、本明細書で論じたようなハンドセットに合わせてユーザ・インターフェースを動作させるソフトウェア、記録情報の精査のためのソフトウェア、MPEG−4フォーマットで改訂を判断するためのソフトウェア、および通信用ソフトウェアを含む。
【0108】
証拠収集および転送の改善のために、アプリケーション・ソフトウェアは、更に、ノイズ・キャンセレーション、ビデオ増強(例えば、安定化、反射光除去、光レベル補償)、事件レコーダの位置判定(例えば、地球上の位置、推測航法)、カメラ(例えば、記録中)およびハンドセット(例えば、改訂中)の著作−操作者の識別、事件レコーダのそのほかのコンポーネントの識別(例えば、連番、種類、製造業者)、対話型音声応答、発話のテキストへの転記、ならびにデータ収集グラフィクスを含むグラフィック・描写のための3Dモデリングのソフトウェアも含むことができる。
【0109】
記録されたオーディオおよびビデオは、少なくとも2つの目的のために格納することができる。プレムービー・バッファは、連続的に記録されたオーディオおよびビデオ情報をサーキュラ・バッファ(例えば、60秒間)に保持して、操作者がムービーを記録し始める時点を指示したときに(例えば、制御部343の操作)、例えば、ユーザが何故ムービーを記録し始めることを決定したかについての情報を提供するために、操作者が指示した時点よりも前のオーディオおよびビデオが利用可能になるようにすることができる。
【0110】
いかなる数のムービーでも記録することができるが、好ましくは1度に1つのムービーを記録するのがよい。各ムービーの終点は、著作−操作者によって、いずれかの制御部343の操作により、またはある時間期間の経過後における対話型音声応答との協同動作によって示すことができる。制御部343は、ムービーの終点を示す専用スイッチを含むことができる。メニューによって、ユーザは、ムービーの終点を示すために、汎用スイッチを作動させることができる。
【0111】
事件報告は、改訂したムービーを備えることができる。事件報告は、改訂したムービーを、ログ、対話型音声応答ストリーム、データ収集書式またはオーバーレイ、データ収集グラフィクスまたはオーバーレイの一部と共に備えることもでき、これらの情報のいずれかまたは全てが、改訂したムービーに含まれているか否かは問わない。好適な実施態様では、改訂したムービーは、1つ又は複数のムービー、全ての場面記述、ログの一部、対話型音声応答ストリーム、データ収集書式またはオーバーレイ、およびデータ収集グラフィクスまたはオーバーレイを含む、全ての関連情報を含む。
【0112】
本明細書で述べたように、記録したオーディオまたはビデオを「バッファ」に格納する際、格納のためのフォーマットは指定しない。言い換えると、本明細書において用いる場合、バッファは、いずれのオーディオまたはビデオ・ストリームでも、いずれのフォーマット(例えば、MPEG−4フォーマット)ででも保持することができる。プレムービーまたはムービーをバッファに格納する際、メモリの連続領域を指定しない。プレムービーの一部であるストリームは、同じバッファまたは異なるバッファに格納することができる。ムービーの一部であるストリームは、同じバッファまたは異なるバッファに格納することができる。記述または改訂したムービーの一部であるストリームは、同じバッファまたは異なるバッファに格納することができる。一実施態様では、バッファはMPEG−4コンテナと共存する。
【0113】
ログとは、レコードのリストであり、各レコードは変化を記述し、その変化が起きた時点を記す。事件レコーダ208およびハンドセット132の構成または動作に変化が起きたときに、ローカル・ログ404を更新する。例えば、ローカル・ログ404は、ハンドセット132への電力供給についての記入(entry)、ハンドセット132への電力停止、ハンドセット132が用いる時間基準の調節(例えば、1日の時間、日付の同期)、プライバシー・モードの加入および退出(プレムービー、ムービー、または改訂のためにオーディオまたはビデオを記録しない。プライバシー機能とも呼ぶ)、および記録または改訂に影響を及ぼすパラメータの調節または確定(例えば、プレムービー・バッファ長、プレムービーおよび/またはムービーのビデオ分解能、IVRスクリプト変更、ソフトウェアのアップグレード)を含むことができる。
【0114】
環境ログ406は、事件レコーダ208が用いられている環境に変化があったときに更新される。例えば、環境ログ406は、候補ビーコン・メッセージ受信の通知、事件レコーダがアドホック・ネットワークの一部であることを示すメッセージ、メンバーシップの変更またはアドホック・ネットワークの構成機器のGPS位置の大きな変化の通知、事件レコーダ208に近接する兵器の特定、著作−操作者の識別の変更の通知、兵器活性化メッセージの送付(どのアドレスまたはグループ・アドレスが送られたか)、刺激制御メッセージの送付(意図したタイプの電子制御デバイス、制御情報の送付、それが送られた先のアドレスまたはグループ・アドレス)、証拠収集の調整のために受信された指令(どのタイプおよび個別情報のデバイスから、この事件レコーダまたは操作者にはどんな指令が必要か)、および指令にしたがって再方位付けが行われたことの通知に応答して、更新することができる。
【0115】
オーディオ・ハブ・マイク・ストリーム408は、プレムービー、ムービー、場面記述、操作者による対話型音声応答回答、および改訂したムービーのいずれの1つ又は複数についてもそのオーディオを格納するためのバッファを含む。
【0116】
オーディオ・ヘッド・マイク・ストリーム410は、プレムービー、ムービー、場面記述、操作者による対話型音声応答回答、および改訂したムービーのいずれの1つ又は複数についてもそのオーディオを格納するためのバッファを含む。
【0117】
オーディオ定方位マイク・ストリーム412は、プレムービー、ムービー、および改訂したムービーのいずれの1つ又は複数についてもそのオーディオを格納するためのバッファを含む。
【0118】
オーディオ公務用受信機ストリーム414は、プレムービー、ムービー、および改訂したムービーのいずれの1つ又は複数についてもそのオーディオを格納するためのバッファを含む。
【0119】
ビデオ定方位カメラ・ストリーム416は、プレムービー、ムービー、および改訂したムービーのいずれの1つ又は複数についてもそのビデオを格納するためのバッファを含む。
【0120】
場面記述文書418は、改訂および改訂したムービーのテキスト入力または走査した書類作成のためにバッファを含む。
場面記述オーディオ・ストリーム420は、改訂および改訂したムービーについて著作−操作者からの補助オーディオ(発話した即興(impromptu)または対話型音声応答スクリプトに応答して)のためにバッファを含む。
【0121】
場面記述ビデオ・ストリーム422は、改訂および改訂したムービーについて補助ビデオのためのバッファを含む。
メニュー424は、表1を参照して以下で説明するような凡例を含む。
【0122】
対話型音声応答(IVR)ストリーム426は、著作−操作者のIVRプロンプトに対する発話応答を認識するように、著作−操作者および用いられたストリームを催促するために用いられるオーディオ・ストリームを含む。
【0123】
データ収集書式428は、空白書式および記入済み書式を含む。書式は、パラメータ名、ならびに値の選択リストが当該書式の一部である場合の選択値のためのストレージおよび/または自由書式値のためのストレージ(例えば、オーディオ・ストリーム、ビデオ・ストリーム、転記したテキスト、発話認識またはIVR機能からのテキスト)を含む。
【0124】
データ収集グラフィクス430は、空白グラフィクスおよびマーク済みグラフィクスを含む。マークは、制御部343(例えば、ポインタ制御部)および/またはオーディオ・ストリーム(例えば、発話即興、対話型音声応答スクリプトに応答して)のいずれの動作によってでも示すことができる。
【0125】
データ432は、プログラム・コード402の実行に必要な全ての変数および一時的ストレージを含む。更に、データは、データ構造を格納するコンポーネント(例えば、ハンドセット132)および/またはそれが一部をなす一次サブシステム(例えば、208)、および/またはそのコンポーネントのいずれかまたは全て(例えば、パーソナル・ハブ224、ヘッドセット222、公務用送受信機228)についてのデバイス識別も含む。
【0126】
ハンドセットは、記録したオーディオおよび/またはビデオの精査および記述を容易にするのであればいずれのデバイスでも含む。例えば、図1、図2、図3A、および図5のハンドセット132は、図5の前面図に示すように実現することができる。図示のように、上側、右側、および下側は空白(blank)になっている。後ろ側は、シフト・ハブ120のバッテリ充電器を、ハンドセット132の内部にあるバッテリに接続するための端子を含む。アドホック送受信機およびローカル・リンク送受信機のためのアンテナは、示されていない。ハンドセット132は、図示のように、専用制御部(532、534、および536)および汎用制御部(504および508)の双方を含む。汎用制御部は、ディスプレイ、例えば、ディスプレイ506に隣接している。全ての制御部は、著作−操作者の指または親指による操作に合わせた大きさおよび位置付けとなっている。例えば、ハンドセット132をパーソナル・ハブ224(図2)に取り付けた場合、制御部532、534、および536のみが、操作者の指で到達することができ操作される。ハンドセット132をパーソナル・ハブ224から取り外すと、全ての制御部に到達可能となり、操作者の親指によって操作するような大きさおよび位置付けとなる。操作者の指は、ハンドセットを通常操作者の掌の間に保持し支えるために用いられる。
【0127】
ユーザ・インターフェース500は、一例として、ハンドセット132の前面図を示し、エンクロージャ502、ディスプレイ506、ディスプレイ506一方の縁に沿った1列のボタン504、ポインタ制御部508、刺激制御ボタン532、マーク・ボタン534、およびプライバシー・ボタン536を含む。ディスプレイ506は、凡例512の提示、データ収集グラフィクス522の描写、および元のビデオ524の描写を、現在著作−操作者によって記述されている場面のピクチャ・イン・ピクチャ(PIP)フォーマットで設けるように示されている。
【0128】
エンクロージャ502は、耐衝撃性のプラスチックで作られている。エンクロージャ502は、ハンドセット132の全ての機能を、雨天時または偶発的な水没の間損傷から保護するために、防水型にするとよい。エンクロージャ502は、水中において事件記録ができるために、防水型にするとよい。
【0129】
ディスプレイ506は、先に論じたビデオ・モニタ342の一部である。
ディスプレイ506一方の縁に沿った1列のボタン504は、多目的ユーザ・インターフェースの制御部を備える。各凡例(5つの凡例が示されている)512は、それぞれのボタンの現在の機能を記述する。凡例は、階層型メニューで編成してもよい。
【0130】
ポインタ制御部508は、カーソル方向、上、下、左、右、および対角線方向の入力を容易にする。中央の「受け入れ」機能も設けられている。ポインタ制御部は、従来のようにその中心より多少揺動するとよい。
【0131】
刺激制御ボタン532は、操作者が、アドレス可能であり、通信範囲内(例えば、アドホック送受信機344の範囲内)にある電子制御デバイスの刺激制御機能(あるいは適したデータ源または兵器の何らかの機能)を開始することまたは変更することを可能にする。
【0132】
プレムービーを記録するとき、マーク・ボタン534の操作によって、操作者はムービーを記録し始めることができる。オーディオおよび/またはビデオ記録の分解能は、ムービー記録の構成に対応するように変更することができる(好ましくは、プレムービー記録よりは高い分解能)。ムービーを記録するとき、マーク・ボタン523の操作によって、操作者は、ムービーの精査時に記述を追加するのに望ましい時刻(例えば、現在の時刻)を指定することができる。記録の間、ハンドセット132は、ボタン534の操作を記録することができる(例えば、ローカル・ログ404の汎用または特殊目的ログに)。ムービーを記録している間におけるボタン534の各操作を、本明細書では、マークを付ける、マークを記録する、あるいは精査または記述のために場面を指定すると呼ぶ。ムービーの精査中、ボタン534を作動させた時刻を記録したリストを用いて(例えば、ハイパーテキスト・リンクと類似した態様で)、素早くそれぞれの場面をナビゲートすることができる。また、ログは、記録されたマーク毎に記述が行われたか否か追跡することもできる。ムービーの精査中、記述のないマークを記録したリストを提示して、改訂を完了する際に役立てることができる。ムービーの精査中、記述のあるマークを記録したリストを提示して、記述を精査する際に役立てることができる。
【0133】
プライバシー・ボタン536は、オーディオおよびビデオ記録を停止させることによって、プライバシー機能を実行する。プレムービー記録中にユーザによって作動させられると、その作動によってプレムービーの記録が停止する。ムービー記録中に作動させられると、その作動によってムービーおよびプレムービーの記録が停止する。
【0134】
図4を参照して論じた同じタイプまたは異なるタイプの2つのビデオ・ストリームのいずれの組み合わせを精査するにも、ピクチャ・イン・ピクチャ・フォーマットを用いることができる。図5に示すように、場面(524)について、データ収集グラフィクス522上のカーソル位置の入力によって、記述が行われている。データ収集グラフィクス522は、容疑者526(202)のどこに電子兵器の係留電極が衝撃528(212および214)を与えたかについての記述を収集するために、人間の前面図を描画する。この情報はビデオから明白に見える場合もあるが、書式上で入力することにより、統計的分析をし易くすることができる。著作−操作者は、ポインタ制御部508を操作して、接触点(例えば、212)に対応するグラフィック522の点上にカーソルを置き、先に論じたように、ポインタ制御部508の「受け入れ」機能を作動させて、接触点の位置を示すことができる。著作−操作者は、このステップを第2の接触点(例えば、214)について繰り返すことができる。グラフィクス522を参照したデータ収集の完了は、操作者が凡例にしたがって適したボタン504を作動させることによって示すことができる(表1を参照して以下で論ずるメニューを見ること)。
【0135】
図6の状態変化図600は、図1、図2、図3、および図5のハンドセット132の一実施態様におけるユーザ・インターフェースの状態を定義する。状態は、設定状態602、記録状態604、再生状態606、記述状態608、オーディオ/ビデオ入力状態610、グラフィクス入力状態614、および対話型音声応答状態616を含む。動作は、状態変化についての全ての条件が満たされるまで、1つの状態において継続する。表1は、凡例と、凡例に対応するスイッチの操作後に入る次の状態を記述する。表1において番号が付いている凡例は、図5の上から下に番号が振られている1列のスイッチ504に対応する。各状態において全てのスイッチが用いられる訳ではない。
【0136】
【表1】

表2は、各状態におけるポインタ制御部508の機能を記述する。記録状態604において、ポインタ制御部は、記録が監視されていなければ、何の機能も有さない。再生状態606では、ポインタ制御部の機能は、ムービーが記述なしで(生)再生されているかまたは記述付きで(記述付き)再生されているかに応じて異なる。
【0137】
【表2】

ハンドセットをパーソナル・ハブ224から取り外すと、全ての状態が得られるようになる。電力を最初にハンドセット132に印加したときに、動作は設定状態602において開始する。プライバシー機能によって許可されないのでなければ、プレムービー記録は、ハンドセット132がパーソナル・ハブ224に取り付けられていようがいまいが、設定状態602において開始または継続する。マーク・ボタン532の操作に応答して、プレムービー記録が停止し、ムービー記録が開始する。ハンドセット132のメモリ・サイズおよび意図する使用に応じて、ムービーの記録は数時間(例えば、4時間)継続することが好ましい。ムービーの記録中に、後に改訂作成を簡略化するためにマークを記録する。ムービー記録を停止した後、精査および改訂を行うことができる。
【0138】
設定状態602において、先に表1に示したように、ハンドセット132の構成を設定するために、5つの凡例が5つのサブメニューを識別する。設定状態において適用されるサブメニューの記述については、表3を参照のこと。各サブメニューにおいて、パラメータのリストの提示が表示される。設定すべきパラメータが、ディスプレイの行上に並べられる。代替値に対する現在の設定を強調することができ、数値および日付値に対する現在値を示すことができる。新たな代替値について、所望の代替地を強調し、表2において設定状態602について説明したように、ポインタ制御部508の操作によって「受け入れる」ことができる。新たな数値または日付値について、ポインタ制御部508は、しかるべき値まで「スクロール」するために用いることができる。IVRは、所望の値を指定するために用いることができる。IVRスクリプトは、書き込んだ代替値の提示を遂行することができる。表3の設定サブメニューに対する値の指定の後、表1の設定メイン・メニューを再度提示する。
【0139】
【表3】

表3の記録サブメニューでは、記録は、オーディオおよびビデオ、ビデオのみ、オーディオのみが可能であり、またはプライバシーを選択することにより、いずれも不可能になる。ビデオ分解能は、標準的分解能(最大)またはヘッドセット132におけるメモリを保存するために、規定された低い方の分解能(制限)に設定することができる。ディスプレイ506は、能動的に定方位カメラを監視することができ、無効にしてもよい。オーディオ出力は、定方位マイクロフォンを監視することができ、あるいは無音でもよい。
【0140】
表3の再生サブメニューでは、再生の内容を、元のムービー(生)または最新の改訂版ムービー(記述付き)として選択することができる。改訂版ムービーの再生中、再生は、記録された各マーク、および記述がある場合にはこれが再生される毎に停止する。記述の再生が終了すると、次に記録されたマークまで、ムービーが再生する。再生中、オーディオ情報を組み立てて、ヘッド・スピーカ336およびハブ・スピーカ326に音響を生成しつつ、ビデオ情報を組み立てて、ディスプレイ506上に描写を生成する。凡例512を、ディスプレイ506上のビデオ情報の上に表示することもできる。
【0141】
表3のデバイス・サブメニューでは、通信(アドホック送受信機344による)のチャネルおよび電力レベルを指定することができる。ヘッドセット132は、サポート・タスク(リード)を受け入れて委任すること、サポート・タスクを受け入れること(フォロー)、あるいはサポート・タスクを受け入れも委任もしないことを許可することができる。サポート・タスクは、戦術(例えば、刺激制御部のアクチュエータとして動作する)、通信(例えば、ルーティング能力を有するアドホック・ネットワーク・ノードとしての役割を果たす)、および/または証拠収集(例えば、事件に関する行動の過程においてまたはそれに先だって、事件の追加証拠収集のために、定方位マイクロフォンまたは定方位カメラの方位を決め直す指令)に関係することができる。
【0142】
表3のパーソナル・サブメニューでは、著作−操作者自身によるオーディオおよびビデオ記録を、現在または今後の操作者認証および/または文書化のために、ハンドセット132によって要求されたものとして行うことができる。著作−操作者情報を記録する日付が示される。テキスト入力の誤りを避けるために、全ての可能なユーザの名前の正しい綴りをリストで提供し、操作者がこのリストから彼または彼女自身の名前を選択するとよい。
【0143】
表3のエージェンシ・サブメニューでは、記録量を所望に応じて最大期間(例えば、8時間)未満に制限することができる。記録を制限することによって、記述および改訂に利用可能なメモリを増やすことができる。プレムービー記録は、オーディオ記録を省略することもできる。戦術的タスク(例えば、刺激制御)のために、アドレスを、例えば、単一ラウンド帯電発射体を再活性化するために用いられるユニット・アドレス(例えば、リスト、範囲、または範囲のリスト)として指定することもできる。更に、アドレスは、グループ・アドレスとして指定することもでき、例えば、このグループの中にあるアドレスを有するラウンドであればいずれでも再活性化するために用いられる。
【0144】
電子制御デバイス(例えば、帯電発射体)の機能は、アドレスによって特定することができる。電子制御デバイスの機能の制御は、機能アドレスを電子制御デバイスに供給する(例えば、送る、送信する)ことによって遂行することができる。アドレスを受信すると、電子制御デバイスは、そのアドレスによって制御される機能を実行する。電子制御デバイスは、個々の刺激制御機能のために、いずれの数のアドレスでも有することができる。例えば、帯電発射体は、1つのみの刺激制御機能を有するのであってもよく、それは、初期刺激期間が経過した後に、容疑者を制圧するために刺激を再度活性化することである。他の刺激制御機能には、刺激信号のあらゆるパラメータを指定することを含むことができる(例えば、パルス毎の電荷、パルス繰り返し率、パルス・グループ当たりのパルス数、パルス期間、パルス当たり利用可能なエネルギ、パルスの振幅)。
【0145】
電子制御デバイスは、個々のデバイスに特定的なアドレスまたはデバイスの1群に共通のアドレスに応答することができる。例えば、単一ラウンド帯電発射体は、グループ・アドレス(例えば、1010)および個別ユニット・アドレス(例えば、265)を有することができる。グループ・アドレスは、同じグループ・アドレスを有する全ての発射体を制御するために用いることができる。個別アドレスは、同じグループまたは別のグループの他の発射体を除外して、個々の発射体を制御するために用いることができる。グループ・アドレスは、例えば、特定のエージェンシによって発せられる全ての発射体に割り当てることができる。ユニット・アドレスは、グループ・アドレスの範囲に入っていればよい。例えば、グループ・アドレスがある範囲(例えば、グループ・アドレス200)を示すことが分かっている場合、その範囲内にある全ての個別ユニット(例えば、201および299の間にあり、265を含む全てのユニット・アドレス)は、グループ・アドレスによって制御することができる。
【0146】
ECDの機能は、地理的規準(例えば、ECDがある地理的エリア内にある間だけの再活性化)を用いて制御することもできる。複数のECDが、それらの各位置の座標を、一意の識別子と共に送信することもできる。一次サブシステム、例えば、アクティベータは、種々の電子制御デバイスの座標および識別子を受信することができる。それ自体のPGS位置の座標を用いて、アクティベータは、各電子制御デバイスの近傍を判断することができる。更に、アクティベータは、再活性化のための地理的エリアを特定することもできる。この地理的エリア内における活性化は、一意の識別子をECDアドレスと相関付け、どのECDがその地理的エリア内にあるか特定し、この地理的エリア内に位置するECDのアドレスのみを送信することによって遂行することができる。数個の電子制御デバイスが同じグループに属する場合、アクティベータは、グループ・アドレスを送信することによって、地理的エリア内にあるこれらのECDのみを活性化することはできない。何故なら、このアドレス・グループの構成機器である一部のECDがこの地理的エリア内にないかもしれないからである。つまり、ECDの地理的アドレシングは、当該地理的エリア内の個々のECDアドレスの送信によって遂行することができる。
【0147】
記録状態604において、プレムービー記録を停止し、ムービー記録を開始する。設定状態602から記録状態604への移行は、専用制御部(例えば、534)の操作によって行うことができる。一実施態様では、設定状態602に戻るための記録状態604からの退出は、操作者が少なくとも最短期間だけ専用制御部を押し続ける(例えば、534を3秒間)ことに応答する。記録状態604において、ディスプレイは、アクティブ、静止、またはブランクであってもよい。プライバシー機能がアクティブである場合、ディスプレイ506は静止バナー(例えば、「プライバシー」)を提示する。プライバシー機能がアクティブではなく、監視機能(表1のモニタ・トグルに言及する)がアクティブである場合、ディスプレイ506は、定方位カメラ337からの生ビデオ・ストリームを提示する。プライバシー機能がアクティブでなく、監視機能もアクティブでない場合、ディスプレイ506はブランクとなる。
【0148】
記録状態604において、プライバシ・トグルは、プライバシー・ボタン536と同様に機能する。モニタ・トグル機能は、記録されたムービーの生提示のために、ディスプレイ506および少なくとも1つのスピーカ326または336を活性化するために用いられる。
【0149】
再生状態606への移行に先だって、ムービーおよび改訂版ムービー(例えば、開始時刻および日付によって特定される)のリストの提示を、選択のために、操作者に提供することができる。このリストおよびその制御部は、表2を参照して説明した、設定モード602においてリストに纏められたパラメータと同様であってもよい。
【0150】
再生状態606にある間、記述状態608への移行は、マーク・ボタン534の操作によって行うことができる。速度/スキップ関数(表1の速度/スキップを参照のこと)によって、ポインタ制御部508を用い、その2組の能力の内1つによって、再生速度および方向の操作者による制御が可能になる。スキップ・モードにおいて、ポインタ制御部508を用いた再生の制御は、記録されたマークを参照する。速度モードにおいて、再生の制御は、記録されたマークを参照しない。生/記述付き関数(表1の生/記述付きを参照のこと)は、再生が記述を無視するか(生モード)または記録されたマーク毎に停止して記述を再生するか(記述付きモード)のどちらかを指定する。
【0151】
記述付きで再生する場合、ディスプレイ506上における提示には、記述を再生している間、ピクチャ・イン・ピクチャ・フォーマットで記述される場面のサムネイルを含むことができる。ディスプレイの上縁または下縁に沿ったそのほかの情報は、以下の内いずれでも含むことができる。記録を行ったときの事件レコーダの位置(例えば、GPS作法)、方位検出器338によって記述される方位(例えば、方位角および仰角)、再生されている場面についての記述が入手可能か否か(例えば、生モードにおいてのみ)、記録を行ったときまたは記述を行ったときの日時、ムービーまたは改訂版ムービー全体の時間を基準とした、現在再生中の場面の時刻。再生の間(生または記述付き)、マーク機能によって、操作者は直ちに記述状態608に移行して、記録されたマークがムービーのこの時点に存在するか否かについての新たな記述を入力することができる。
【0152】
記述状態608では、記述のために特定された現場面と関連付けて、マークを記録する。3つのタイプの記述を加えるために、3つの機能を利用することができる。即ち、グラフィクス、オーディオおよび/またはビデオ記録、ならびに対話型音声応答(IVR)スクリプトを伴う案内付き論述(guided discussion)である。記述の入力中、記述される場面のサムネイルを、ディスプレイ上にピクチャ・イン・ピクチャ(PIP)フォーマットで示すことができる。グラフィック追加機能は、グラフィクス入力状態614に移行し、適したデータ集合グラフィクス430の選択の後、著作−操作者がグラフィック書式にマークを付け、記録されたマークまたは特定された場面と関連付けてそれを改訂版ムービーに追加することができる。オーディオ/ビデオ追加機能は、オーディオ/ビデオ入力状態610に移行し、定方位カメラおよびヘッド・マイクロフォンからの記録を直ちに開始する。記録された情報は、記録されたマークと関連付けて、改訂版ムービーに追加されるか、あるいは場面に対して特定される。IVR追加機能は、IVR状態616に移行し、著作−操作者からオーディオ情報を収集するために、IVRスクリプトを開始する。加えて、PIPの描写により、IVRスクリプトの間に書き込まれたプロンプトを提示することができる。
【0153】
ムービーまたはPIP描写の脇に凡例を提示することができる。別の実施態様では、表示エリア全体をムービーまたはPIP描写に用いられる。
本発明の種々の態様による事件レコーダは、周期的にその一意の通信アドレスおよびその位置(例えば、GPS座標)を送信することができる。例えば、先に論じたような事件レコーダが、リード(Lead:先導)に構成されている場合、対象の位置に近接する位置を有する他の事件レコーダに応答する。対象の位置とは、アドレス可能な刺激制御の影響を受ける電子制御デバイス(例えば、370)の位置とすることができる。対象の位置は、このような電子制御デバイス(例えば、無線帯電発射体)によって撃つことを計画している人間または動物(ここでは目標と呼ぶ)(例えば、710)の位置とすることができる。
【0154】
リード事件レコーダは、数個のサポート・タスクの内いずれでも、フォロー(Follow:追従)に構成されている他のサブシステムが受け入れるように要求することができる。戦術的サポート・タスクを要求することもできる。戦術的サポート・タスクは、容疑者の逮捕に関するタスクであればいずれでも含むことができる。戦術的サポート・タスクは、刺激制御信号を、アドレス可能な刺激制御が可能な電子制御デバイスに送信することを含むことができる。通信サポート・タスクを要求することもできる。通信サポート・タスクは、アドホック通信において、通信を強化するためのタスクであればいずれでも含むことができる(例えば、新たな構成機器をネットワークに受け入れる、ネットワークのノードまでまたはノードを経由してトラフィックを導出する、経路を発見する、他のノードに構成機器およびしかるべき経路について知らせる、ネットワークの範囲を拡大する)。収集サポート・タスクを要求することもできる。収集サポート・タスクは、事件レコーダの動作についてのあらゆる指令を含むことができる。例えば、フォローに向きを変えて、容疑者がいそうな場所に面してムービーを記録するように要求する。証拠収集の援助をし易くすることができる。刺激制御の援助をし易くすることができる。事件レコーダ間の通信の援助をし易くすることができる。
【0155】
アドレス可能な刺激制御に関してフォローの役割を果たすのに適したサブシステムを、本明細書ではアクティベータと呼ぶ。アクティベータは、ハンドセット(しかし、プロセッサおよびローカル・リンク送受信機の相応する簡略化により、記録用ソフトウェアのためのメモリを省略することができる)、ヘッドセット(しかし、定方位マイク、定方位カメラ、および方位検出器を省略することができる)、パーソナル・ハブ(しかし、ハンドセットおよびヘッドセットの省略した機能に対するサポートを省略することができる)、および公務用送受信機を備えることができる。これらのコンポーネントは、省略した機能を除いて、以上で論じた構造および機能を含むことができる。
【0156】
例えば、図3Bのアクティベータ360は、プロセッサ361、メモリ362、ビデオ・モニタ363、制御部364、アドホック送受信機365、および有線インターフェース366を含む。プロセッサ361は、ハンドセットと比較して、アクティベータの1組の機能および特殊機能を削減したことによる相応の簡略化があるが、プロセッサ340に類似している。メモリ362は、先に論じたデータ構造400を含むことができるが、プロセッサ361の機能と相応する簡略化を伴う。ビデオ・モニタ363および制御部364は、ビデオ・カメラとの動作が必要でない場合は、ハンドセット132における対応物と比較して簡略化することができる。アクティベータのユーザ・インターフェース(363、364)のメニューは、プロセッサ361の機能に応じて簡略化することができる。アドホック送受信機365は、先に論じたシフト・ハブ120、ハンドセット132、およびECD370とのアドホック通信と互換性がある。有線インターフェース366は、ドック126におけるドッキングを容易にするが、アドホック送受信機365が必要な構成設定(例えば、アドレス)およびデータ転送機能(例えば、ログ)を行うときには、省略することもできる。
【0157】
一実施態様では、制御部364は、少なくとも1つの電子制御デバイスのアドレスを受信する前では、操作者による操作がイネーブルされない。
電子制御デバイス(ECD)は、先に論じたような電気刺激用回路を有するのであればいずれの装置でも含む。一次サブシステムは、ECDで構成することもできる。ECDは、拳銃(図2におけるように発射体を発射する)、スタン・バトン(stun baton)、またはワイヤレス帯電発射体(図7におけるように、ランチャーから推進される)としてパッケージ化することもできる。1つ又は複数のECD回路を、地雷、手榴弾、検問所ターレット(turret)、またはエリア否定施設(area denial installation)としてパッケージ化することもできる。1つ又は複数のECD回路を、衣服、手錠、足枷、防盾、または網に組み込むこともできる。例えば、図3CのECD370は、プロセッサ371、メモリ372、送受信機373、刺激発生器374、展開ユニット375、および有線インターフェース376を含む。これらの機能については、引用したことにより内容が本願に含まれるものとした米国特許において記載されている。
【0158】
送受信機373は、アドホック送受信機の全ての機能を必要としないときは、能力を縮減した送受信機を含むこともできる。送受信機373は、送信機能が望まれない場合、受信機と置き換えることもできる。
【0159】
有線インターフェース376は、アドレスをECDに書き込むことや、内部バッテリを再充電することが必要でない場合、省略することができる。
展開ユニット375は、プローブを展開することができる(ECD210におけるように、または発射体電極の展開におけるように)。展開ユニット375は、ECD(例えば、ECDはランチャーである)から有線係留プローブ(図示せず)を推進すること、または電極(図示せず)を、目標と接触する位置に展開することができる(例えば、ECD自体がワイヤレス帯電発射体である)。展開ユニット375は、例えば、ECD自体が外部推進体から目標に向けて発射され、電極の更に別の展開が必要でない場合には、省略することができる。
【0160】
ECDには、1つのアドレスまたは複数のアドレスを割り当てることができる。アドレスは、ECDに対して一意であることができる。先に明記したように、ECDの機能は、アドレスの受信によって特定および制御することができる。一実施態様では、帯電発射体はECDとして動作する。帯電発射体には、刺激信号の配信を制御する一意のアドレスが割り当てられる。発射前では、アドレスの受信には関係なく、刺激信号の配信を禁止する。帯電発射体の発射が、アドレスの受信がなくても、刺激信号の1回の配信を活性化するようにしてもよい。発射の後、刺激信号の次の配信は、その一意のアドレス、または帯電発射体の一意のアドレスのグループ・アドレス部分を含むアドレスの帯電発射体による受信によって活性化することができる。帯電発射体は、アドレスを送信することがイネーブルされた一次サブシステムであればいずれからでもアドレスを受信することができる。つまり、この帯電発射体に加えて、帯電発射体のアドレスがロードされている他のいずれかの帯電発射体も発射した一次サブシステムは、刺激信号の次の配信を制御するアドレスも送信することができる。アドレスの送信は、許可プロトコル、例えば、以下で説明する、リード、リードおよびフォロー、ならびにフォロー許可プロトコルによって統御することができる。
【0161】
シフト・ハブ120、ハンドセット132、アクティベータ360、およびECD370において、アドホック送受信機、メモリ、およびプロセッサは、表4の該当するコマンドにしたがって協同して動作することができる。送信は、更に別の送信のためのアドレスを送信することを含むことができる。送信は、受信したコマンドに対する承認および/または回答を送信することを含むことができる。受信は、受信し適した行動を起こすことを含むことができる。SSは、二次サブシステムを意味し、シフト・ハブ(SH)(例えば、120)およびロッカ・ドック(LD)を含む。PSは、一次サブシステムを意味し、事件レコーダ(INR)(例えば、208)、アクティベータ(AVR)(例えば、360)、および電子制御デバイス(ECD)(例えば、370)を含む。
【0162】
【表4−1】

【表4−2】

図7は、3人の法執行官が関与し、各執行官が本発明のそれぞれの一次サブシステムを操作しながら、容疑者を逮捕するという別の仮説的事件の平面図である。これらのサブシステムは、異なる位置にいる執行官に装着されている。サブシステム208は、サブシステム360の北西にある。サブシステム360は、サブシステム209の北西にある。容疑者710は、ワイヤレス帯電発射体型EDC370によって撃たれる。双方共、サブシステム360の北西にある。サブシステム208、360、209および発射体370間における一連の通信例について、図8において説明する。
【0163】
事件700において、事件レコーダ208はリードに構成され、アクティベータ360はフォローに構成され、事件レコーダ209はフォローに構成されている。この論述の簡略化のために、リード、リードおよびフォロー、ならびにフォローの役割は、刺激制御に関する全ての許可に関して一般的、そして証拠収集および通信に関して全て指令的であるとする。別の実施態様では、これらの役割は、更に、刺激制御、証拠収集、および通信のカテゴリの各々において、特定の機能に限定することもできる。また、特定の予期されるセキュリティ、法執行、または軍事事件に適するように、1つの事件レコーダに、あらゆるタイプの様々な役割を設定できるように、構成を拡大することもできる。
【0164】
事件レコーダ、アクティベータ、および電子制御デバイス間における刺激制御機能のための通信は、各サブシステムにおける1つのアドホック送受信機によって行うことができる。別の実施態様では、異なる送受信機が異なる通信リンクに用いられる。1つのアドホック送受信機の使用は、全ての通信が1つの通信チャネルおよびプロトコルを用いる場合に適している。通信に信頼性があるべきことを期待される環境において、通信能力の向上が要求される場合、デバイスのタイプ毎に、即ち、事件レコーダ、アクティベータ、電子制御デバイス毎に、異なるチャネルを用い、異なる送受信機を用いることもできる。
【0165】
図8に示した一連の通信800は、通信サポート、戦術的サポート、および記録サポートを、仮説的事件に適用される実施態様例において行う。
時点802において、アクティベータ360は、それ自体の開始に際して、その位置および一意のアドレスを全方向に(例えば、ビーコン)または偶発的に事件レコーダ208の方向に送信する。例えば、アクティベータ360は、一連の方向に周期的に送信することができる。周期は、別のビーコン・ブロードキャストからの干渉を低減するためにランダムにするとよい。時点802において、事件レコーダ208がアクティベータ360からの送信を受信する。別の実施態様では、アクティベータ360は、更に、前述した目的のいずれかのために通信するシステムのタイプの既知のリストにしたがって、その構成(例えば、アクティベータのメーカT、モデルxyz)を送信する。
【0166】
時点804において、事件レコーダ208は、アクティベータ360の容疑者710までの近接度を検査する。容疑者710の位置は、事件レコーダ208によって、方位角および距離の尺度を用いることによって決定されている。アクティベータ360の位置は、時点802においてアクティベータ360から受信したメッセージから明白である。アクティベータ360と容疑者710との間の距離が制限未満であるので(例えば、レコーダ280から容疑者710までよりも近い)この検査は合格となる。
【0167】
距離は、操作者によって決定し、ECDによって設けられる事件レコーダ208に(例えば、飛行検出器の時間)、自動的に(例えば、事件レコーダ208と関連のある電子距離計)入力することができる。更に、距離は、三角測量によって数個の事件レコーダの協同動作によって供給することもできる(例えば、交点の位置を計算するために用いられる数個の事件レコーダから目標までの方位角)。事件レコーダ208の方位角、距離、およびGPS座標は、送信するためおよび/またはアクティベータ360の位置と比較するために、容疑者710の位置のGPS座標を計算する際に用いることができる。
【0168】
時点806において、事件レコーダ209は、その位置、一意のアドレスを送信し、更に、時点802におけるメッセージに類似した態様で、その構成も送信することができる。送信は、全方向性でも指向性でもよい。時点806において、アクティベータ360は、事件レコーダ209からの送信を受信する。
【0169】
時点808において、アクティベータ360は、事件レコーダ209から受信した位置情報および時点802において送られたそれ自体の位置情報を用いて、それ自体の事件レコーダ209に対する近接度を検査する。検査は合格となる。
【0170】
時点810において、事件レコーダ208は、アクティベータ360に当てられた戦術的サポート要求を送信する。この戦術的サポート要求は、再活性化能力を有し更に一致するアドレスを有する電子制御デバイス(例えば、発射体370)のアドレスに対して、アクティベータ360の操作者が、アドレス可能な刺激制御を開始することを許可する。ECD370のアドレスは、一意のアドレスであっても、またはグループ・アドレスであってもよい(例えば、事件レコーダ208の動作に対してチェック・アウトされる全てのECD、チームに対してチェック・アウトされる全てのECD、特定の日付に対してチェック・アウトされる全てのECD、特定の構成の全てのECD)。事件レコーダ208によって送信される要求は、ECD370の一意のアドレスおよび/またはグループ・アドレス、ならびに容疑者710の位置を含む。発射体が未だ発射されていないという事実も、要求に含めてもよい。
【0171】
時点812において、事件レコーダ208は、証拠収集の補助を要請する記録サポート要求を送信する。この要求はアクティベータ360に宛てられる。時点810および時点812における要求は双方共、これらのタスクを受け入れることが利用可能なリソースの範囲内のことであるか否かアクティベータ360が判断するための情報を伴うことができる。
【0172】
時点814において、アクティベータ360は、時点810において受信した委任戦術的タスクの受け入れを送信する。
時点816において、アクティベータ360は、その操作者に、彼または彼女が容疑者710の位置に合わせた発射体に対して刺激機能を再活性化することを許可されたことを通知する。許可は、アクティベータ360の有効アドレスの受信によって暗示することもできる。更に、この通知は、要求から得られた特定のタイプの電子制御デバイス(発射体)に対する特定のタイプの刺激制御(再活性化)の識別も含む。更にまた、この通知は、要求において既定された発射体の位置から得られる、発射体に対する方位角も含む。このため、操作者は、彼または彼女が再活性化が必要であると見なしたときはいつでも、ユーザ・インターフェース制御部(例えば、ボタン532)が再活性化を実行することがイネーブルされていることが分かる。この通知は、スピーカ(例えば、ヘッド・スピーカ336)に配信される合成音声によって、またはディスプレイ(例えば、506)上において表示を精査しメッセージを確認する警報を伴う提示によって行うことができる。
【0173】
時点818において、アクティベータ360は、事件レコーダ209に宛てた記録サポート要求を送信し、事件レコーダの位置710に向けた再方位付けを要請する。
時点820において、事件レコーダ209は、記録サポート・タスクの受け入れを送信する。この送信は、アクティベータ360に宛てられる。
【0174】
時点822において、事件レコーダ209は、その操作者に、彼または彼女の定方位マイクロフォンおよび定方位カメラの向きを変える準備ができたことを通知する。別の実施形態では、事件レコーダ209の操作者は、要求が通知され、タスクを受け入れる前に、この要求を承認しなければならない。
【0175】
時点824において、アクティベータ360は、記録サポート・タスクの受け入れを送信する。この送信は、事件レコーダ208に宛てられる。
時点826において、事件レコーダ208は、時点812における記録サポート・タスクに関して事件レコーダ209に向けた情報を、アクティベータ360に宛てて送信する。事件レコーダ209は、事件レコーダ208から範囲外にあってもよい。
【0176】
時点828において、アクティベータ360は、応答して、事件レコーダ209に送信をアドレスし、アクティベータ360が受信したばかりの情報のコピーを送信する(例えば、転送する)。この情報を転送することによって、アクティベータ360は通信サポート・タスクを実行していることになる。他の通信サポート・タスク(例えば、多数のビデオ・ストリームの集中精査をサポートするために、ルーティング表を作成および管理する目的で、ネットワークのマスタになるため)も要求することができ、リソースがこのタスクを遂行した充足度について評価し、図示しない同様の要求/受け入れ通信を用いて受け入れることができる。
【0177】
転送された情報を受信すると、事件レコーダ209は、その操作者に、転送情報にしたがって、位置710に向けて再方位付けすることを通知する。現在の方位と所望の方位との間で測定した現在の方位誤差の可聴指示および/または可視指示を発生し(例えば、方位検出器338、送受信機332、347、プロセッサ340、オーディオ出力回路346、ミキサ330、およびヘッド・スピーカ336に対応する事件レコーダ209の部分によって)、ゼロになるまで継続することができる。誤差の可聴および/または可視指示は、適正な方位が得られるまで再方位する作業によって、変化していくであろう(例えば、ピッチ、パルス・レート、色、明るさ)。
【0178】
時点830において、事件レコーダ208の操作者は、ECD370(ワイヤレス帯電発射体)を目標710に向けて発射するランチャーも動作させる。発射体370は、目標710に当たり、目標710の骨格筋を妨害する電気刺激を含む30秒サイクルを開始する。目標710の歩行が停止する。何故なら、彼または彼女の脚部のあらゆる骨格筋が30秒サイクルの間継続して収縮するからである。また、事件レコーダ208は、委任され受け入れられた戦術的タスクをサポートする情報を、アクティベータ360に宛てて送信することができる。このメッセージは、必要な情報全てが既に要求と共に送信された場合、省略することもできる。
【0179】
時点832において、アクティベータ360の操作者は、彼または彼女の訓練および判断にしたがって、ECD370の電気刺激発生機能を再活性化することを決定する。再活性化によって、アクティベータ360の操作者には、容疑者の位置に到達し逮捕を完了する(例えば、容疑者に手錠(図示せず)をかける)のに十分な時間を与えることができる。この操作者は、アクティベータ360のユーザ・インターフェースの制御部364(例えば、ハンドセット132のボタン532に類似する)を作動させる。作動に応答して、アクティベータ360はECD370に送信をアドレスし、刺激制御コマンドを送信する。
【0180】
時点832において、ECD370はその信号発生器374を再活性化する。再活性化の効果は、30秒サイクルを、余分に30秒延長させること(例えば、59秒まで延ばす)、またはサイクルの間に合間(例えば、3秒)を組み入れること、そして最初の30秒サイクルと全ての観点において同様に2回目の30秒サイクルを実行することができる。別の実施態様では、再活性化の結果、電気刺激電流が調節される。これは、時点830において事件レコーダ208から送信された情報にしたがって行うとよい。
【0181】
以下の特許および特許出願をここで引用することにより、この声明の文脈に限定されることなく、あらゆる目的に対して、その内容全体が本願にも含まれるものとする。米国特許第7042696号、第7280340号、第7234262号、第7057872号、第7145762号、第7102870号、第7409912号、第7143539号、第7218077号、第7336472号、第7363742号、および第7305787号、米国公開特許出願第2007/0075261号、第2007/0271830号、第2008/0158769号、第2007/0070574号、および第2007/0188972号、米国特許出願連番第11/771126号および第11/771240号、ならびにWIPO公開出願WO2008/097377号。本明細書において開示した教示および引用したことによって本願にも含まれるものとした教示は、いずれの実用的な態様でも組み合わせて、本発明の構造、機能および組み合わせの種々の実施態様に想到することができる。
【0182】
以上の説明では、本発明の好適な実施形態について論じた。これらの実施形態は、特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、変更または修正することもできる。説明の明確さのために、本発明の数個の具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲は、以下に明記する特許請求の範囲によって判定することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事件を記録および注釈するための一次サブシステムであって、
前記記録に関する元のデータを記録する手段と、
前記元のデータに関する改訂を決定する手段と、
前記改訂を記録する手段と、
を備えている、一次サブシステム。
【請求項2】
請求項1記載の一次サブシステムであって、更に、前記元のデータを検出し前記記録手段に供給する手段を備えている、一次サブシステム。
【請求項3】
請求項2記載の一次サブシステムにおいて、前記検出手段は音響を検出する、一次サブシステム。
【請求項4】
請求項2記載の一次サブシステムにおいて、前記検出手段は光を検出する、一次サブシステム。
【請求項5】
請求項1記載の一次サブシステムであって、更に、追加データを検出し、前記決定手段に供給する手段を備えている、一次サブシステム。
【請求項6】
請求項1記載の一次サブシステムにおいて、前記記録手段は、前記決定手段の動作に応答して、元のデータの記録中に、前記データの一部と関連付けられたマークと、前記動作の時刻とを記録する、一次サブシステム。
【請求項7】
請求項6記載の一次サブシステムにおいて、
前記決定手段は、リンクのリストを提示するディスプレイを備えており、
前記リンクのリストにおける各リンクは、それぞれのマークと関連付けられており、
リンクを選択することにより、前記それぞれのマークと関連付けられているデータの一部を呼び出す、一次サブシステム。
【請求項8】
請求項7記載の一次サブシステムにおいて、前記リストは、更に、前記それぞれのマークと関連して改訂が存在するか否かの指標を備えている、一次サブシステム。
【請求項9】
請求項1記載の一次サブシステムにおいて、前記決定手段は、前記改訂の記録中に、前記データの一部の提示を与えるディスプレイを備えている、一次サブシステム。
【請求項10】
請求項1記載の一次サブシステムにおいて、前記決定手段は、一連の可聴質問を操作者に対して行い、前記改訂を決定するために、各質問に対する口頭の応答を前記操作者から受け取る、一次サブシステム。
【請求項11】
事件を記録し注釈するための一次サブシステムであって、
前記事件に関する元のデータを記録するレコーダと、
前記元のデータに関する改訂を決定するユーザ・インターフェースと、
を備えており、前記レコーダが前記改訂を記録する、一次サブシステム。
【請求項12】
請求項11記載の一次サブシステムであって、更に、前記元のデータを検出し、元のデータを前記レコーダに供給する検出器を備えている、一次サブシステム。
【請求項13】
請求項12記載の一次サブシステムにおいて、前記検出器は音響を検出する、一次サブシステム。
【請求項14】
請求項12記載の一次サブシステムにおいて、前記検出器は光を検出する、一次サブシステム。
【請求項15】
請求項11記載の一次サブシステムであって、更に、追加データを検出し、前記改訂を決定するために前記追加データを前記ユーザ・インターフェースに供給する検出器を備えている、一次サブシステム。
【請求項16】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、前記改訂は、前記元のデータの一部ではない音響を備えている、一次サブシステム。
【請求項17】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、前記改訂は、前記元のデータの一部ではない記述を備えている、一次サブシステム。
【請求項18】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、前記改訂は、前記元のデータの一部ではない画像を備えている、一次サブシステム。
【請求項19】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、前記改訂は、前記元のデータの一部ではない印刷画像の情報を備えている、一次サブシステム。
【請求項20】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、前記改訂は、前記元のデータの一部ではないビデオを備えている、一次サブシステム。
【請求項21】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、前記改訂は、前記元のデータの一部ではないテキストを備えている、一次サブシステム。
【請求項22】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、前記改訂は、前記元のデータの一部ではない走査画像を備えている、一次サブシステム。
【請求項23】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、前記改訂は前記事件を記述する、一次サブシステム。
【請求項24】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、改訂を決定することは、前記元のデータに音響を補足することを含む、一次サブシステム。
【請求項25】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、改訂を決定することは、前記元のデータに画像を補足することを含む、一次サブシステム。
【請求項26】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、改訂を決定することは、前記元のデータに印刷画像の情報を補足することを含む、一次サブシステム。
【請求項27】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、改訂を決定することは、前記元のデータに走査文書を補足することを含む、一次サブシステム。
【請求項28】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、改訂を決定することは、前記元のデータにテキストを補足することを含む、一次サブシステム。
【請求項29】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、改訂を決定することは、前記元のデータを再編成することを含む、一次サブシステム。
【請求項30】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、改訂を決定することは、前記元のデータから選択することを含む、一次サブシステム。
【請求項31】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、改訂を決定することは、前記元のデータの少なくとも一部と強調を関連付けることを含む、一次サブシステム。
【請求項32】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、改訂を決定することは、
一連の可聴質問を操作者に与え、
操作者から各質問に対する口頭の応答を受けることを含む、
一次サブシステム。
【請求項33】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、改訂を決定することは、
人間または動物の目標の形態または画像と、
操作者から与えられる、前記目標との電極接点を記述するマークアップと、
を備えている、一次サブシステム。
【請求項34】
請求項1または11記載の一次サブシステムにおいて、前記改訂は、場面の記述を備えている、一次サブシステム。
【請求項35】
請求項11記載の一次サブシステムにおいて、前記レコーダは、前記ユーザ・インターフェースの動作に応答して、前記データの記録中に、前記データの一部と関連付けられたマークと、前記動作の時刻とを記録する、一次サブシステム。
【請求項36】
請求項35記載の一次サブシステムにおいて、
前記ユーザ・インターフェースは、リンクのリストを提示するディスプレイを備えており、
前記リンクのリストにおける各リンクは、それぞれのマークと関連付けられており、
リンクを選択することにより、前記それぞれのマークと関連付けられているデータの一部を呼び出す、一次サブシステム。
【請求項37】
請求項36記載の一次サブシステムにおいて、前記リストは、更に、前記それぞれのマークと関連して改訂が存在するか否かの指標を備えている、一次サブシステム。
【請求項38】
請求項11記載の一次サブシステムにおいて、前記ユーザ・インターフェースは、前記改訂の記録中に、前記データの一部の提示を与えるディスプレイを備えている、一次サブシステム。
【請求項39】
事件時に人間の操作者によって用いるためのレコーダであって、該レコーダは、操作者の頭部と共に向きを変えるように装着するために設けられたヘッドセットと共に用い、前記ヘッドセットは、操作者から離れるように方位付けられたカメラと、操作者からの音声を受信するマイクロフォンとを備えており、前記レコーダは、
操作者の手の中で操作するハンドセットを備えており、該ハンドセットが、
(1)複数の凡例を提示するためのディスプレイと、
(2)前記カメラ、前記マイクロフォン、および前記ディスプレイに結合されている処理回路と、
を備えており、前記処理回路が、
(a)一連のコンテナを格納し、前記一連のコンテナの内1つのコンテナが、第1期間において前記カメラに応答する第1データを含む、命令と、
(b)複数の場面を備えている第1描写を提示するために、前記一連のコンテナにしたがって前記ディスプレイを駆動する命令と、
(c)前記複数の場面の内1つの特定場面を備えている第2描写を提示するために、前記一連のコンテナにしたがって前記ディスプレイを駆動し、前記特定場面が、前記一連のコンテナの内1つ又は複数の特定のコンテナに対応する、命令と、
(d)前記1つ又は複数の特定のコンテナの内1つのコンテナと関連付けて、第2期間において前記マイクロフォンに応答する第2データを格納する命令と、
を実行する、レコーダ。

【図2】
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【図5】
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【図1】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−517900(P2011−517900A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503032(P2011−503032)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/038093
【国際公開番号】WO2009/126432
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(505305422)テイサー・インターナショナル・インコーポレーテッド (22)
【Fターム(参考)】