説明

二次元シート材料で形成されるヒンジ連結三次元構造

実質的に二次元シート材料は、屈曲線に沿ってヒンジを有する三次元構造を形成するように、屈曲線に沿って屈曲するために構成される。シート材料は、屈曲が行われる領域中で実質的に二次元である、シート材料と、屈曲線の対向側に沿った、シート材料の厚さ方向への複数の変位とを含み、各変位は、その端部分の間に延在し、かつ屈曲線に実質的に平行である、剪断縁を有する。隣接する剪断縁は、屈曲線に沿ってその間に延在するヒンジ構造を形成するように、屈曲線に対して互いに重複し、ヒンジ構造は、端部分と形状が一致するヒンジ端を有する。ヒンジ構造は、複数回の屈曲および伸長サイクルのために寸法決定および構成され、それにより、屈曲線の対向側でシート材料の対向パネルを接続する一体型ヒンジを提供する。ヒンジ連結三次元構造を作成および使用する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は、概して、ヒンジを有する三次元構造を形成するために構成される二次元シート材料、およびその利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
所望の屈曲線に沿った精密な折り畳みのためのシート材料を作成する種々の方法が、開発されている。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5は、実質的に平坦な二次元シートから比較的高い寸法許容差を有する三次元の物体を形成するために、シート材料の作成および折り畳みを行う種々の方法について記載する。
【0003】
上記特許において図示および記載される屈曲構造は、いわゆる、縁と面との係合および、所望の屈曲線に沿った折り畳みを容易にするための他の現象を促進する。例えば、上記の発明に記載されるように、所望の屈曲線に沿った折り畳みを容易にするために、変位が形成され得る。
【0004】
形成される三次元の物体は、筺体、および区画の内部および/または他の形態を有する、他の構造的なアイテムであり得る。多くの例において、組み立ておよび構築、メンテナンスおよびサービス、および/または他の目的で、内部への定期的なアクセスが必要となり得る。概して、内部にアクセスするためには、ある程度の分解が必要である。あるいは、アクセスを容易にするために、ドアまたは他の個別のヒンジを有する部材を備え得る。不利な面として、こうした部材は、個別のドア、個別のヒンジ、および、部品数を増加させ、組み立てを複雑化し、また、概して、さらなる時空間および労力を要する他の部品および締め付け具を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,877,349号明細書
【特許文献2】米国特許第6,877,349号明細書
【特許文献3】米国特許第7,032,426号明細書
【特許文献4】米国特許第7,152,449号明細書
【特許文献5】米国特許第7,152,450号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、組み立てのための屈曲を容易にするだけでなく、さらに、部品数を減少させ、組み立てを簡略化し、および/またはアクセスを容易にするために、一体型のヒンジ構造を提供する、屈曲制御構造を有する材料シートを提供することが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(本発明の簡潔な概要)
本発明の一局面は、屈曲線に沿ってヒンジを有する三次元構造を形成するために、屈曲線に沿った屈曲のための実質的に二次元シート材料を作成する方法に関する。方法は、以下のステップ、すなわち、屈曲が行われる領域中で実質的に二次元であるシート材料を取得するステップ、および屈曲線の対向側に沿って、シート材料の厚さ方向に複数の変位を形成するステップ、のうちの1つ以上を含んでもよく、各変位は、その端部分の間に延在し、かつ屈曲線に実質的に平行である剪断縁を有する。隣接する剪断縁は、屈曲線に沿ってその間に延在するヒンジ構造を形成するように、屈曲線に対して互いに重複し、ヒンジ構造は、端部分と形状が一致するヒンジ端を有する。ヒンジ構造は、複数回の屈曲および伸長サイクルのために寸法決定および構成され、それにより、屈曲線の対向側でシート材料の対向パネルを接続する一体型ヒンジを提供する。
【0008】
取得するステップは、軟鋼シート材料を取得することによって達成され得る。形成するステップは、剪断縁が、シート材料の厚さ(「T」)の少なくとも75%であり得る屈曲線からの距離にあり得るように、変位を形成することによって達成され得る。形成するステップは、湾曲部分の間に延在する実質的に直線状部分を伴って変位剪断縁を形成することによって、かつ、隣接する剪断直線状部分および湾曲部分が、少なくとも約6Tであり得る距離にわたって互いに重複するように、達成され得る。形成するステップは、変位剪断縁に対向する変位面を形成することによって達成されてもよく、方法は、剪断縁の少なくとも一部分と各変位面の一部分との間の縁と面との係合を生じさせるように、屈曲線を中心に、対向パネルのうちの1つを他方の対向パネルに対して屈曲させるステップをさらに含み得る。
【0009】
方法は、屈曲線を中心に、対向パネルのうちの1つを他方の対向パネルに対して屈曲させるステップをさらに含み得る。屈曲線を中心に、対向パネルのうちの1つを他方の対向パネルに対して屈曲させるステップをさらに含み得る。方法は、屈曲線を中心に、1つの対向パネルを他方の対向パネルに対して、少なくとも25回、好適には少なくとも35回、および最も好適には少なくとも50回、屈曲および伸長させるステップをさらに含み得る。方法は、シート材料を三次元構造に組み立てるステップをさらに含んでもよく、対向パネルのうちの1つは、開閉することができる三次元構造のためのヒンジ連結パネルを提供する。
【0010】
本発明の別の局面は、屈曲線に沿ってヒンジを有する三次元構造を形成するように、屈曲線に沿って屈曲するために構成される、実質的に二次元シート材料に関する。シート材料は、屈曲が行われる領域中で実質的に二次元である、シート材料と、屈曲線の対向側に沿った、シート材料の厚さ方向への複数の変位とを含み、各変位は、その端部分の間に延在し、かつ屈曲線に実質的に平行である剪断縁を有する。隣接する剪断縁は、屈曲線に沿ってその間に延在するヒンジ構造を形成するように、屈曲線に対して互いに重複してもよく、ヒンジ構造は、端部分と形状が一致するヒンジ端を有する。ヒンジ構造は、複数回の屈曲および伸長サイクルのために寸法決定および構成され、それにより、屈曲線の対向側でシート材料の対向パネルを接続する一体型ヒンジを提供する。
【0011】
シート材料は、軟鋼であり得る。剪断縁は、シート材料の厚さ(「T」)の少なくとも75%であり得る、屈曲線からの距離にあり得る。実質的に直線状部分は、湾曲部分の間に延在してもよく、隣接する剪断直線状および湾曲部分は、少なくとも約6Tであり得る距離にわたって互いに重複する。
【0012】
シート材料は、変位剪断縁に対向する変位面をさらに備え、変位は、屈曲線を中心として、対向パネルのうちの1つを他方の対向パネルに対して屈曲させながら、剪断縁の少なくとも一部分と各変位面の一部分との間で、縁と面との係合を生じさせるように構成される。ヒンジ構造は、少なくとも25回、屈曲および伸長するように構成し得る。ヒンジ構造は、少なくとも50回、屈曲および伸長するように構成し得る。
【0013】
他の実施形態において、三次元構造は、上記のシート材料を含んでもよく、対向パネルのうちの1つは、三次元構造の一部分にアクセスするためのヒンジ連結アクセスカバーを形成する。三次元構造はボックスであってもよく、ヒンジ連結アクセスカバーは、三次元構造の内部部分へのアクセスを提供する蓋であってもよい。
【0014】
本発明のさらなる局面は、屈曲線に沿ってヒンジを有する三次元構造を形成するように、屈曲線に沿って屈曲するために構成される、実質的に二次元シート材料に関する。シート材料は、屈曲が行われる領域中で実質的に二次元である、シート材料と、屈曲線の対向側に沿って位置付けられる複数の舌状部とを含み、各舌状部は、屈曲線に向かって方向付けられ、かつ屈曲線に実質的に平行に延在する面を有し、舌状部は、屈曲線から離れて分岐する端部分の間に延在する。隣接する面は、屈曲線に沿ってその間に延在するヒンジ構造を形成するように、屈曲線に対して互いに重複してもよく、ヒンジ構造は、端部分と形状が一致するヒンジ根を有する。ヒンジ構造は、複数回の屈曲および伸長サイクルのために寸法決定および構成されてもよく、それにより、屈曲線の対向側でシート材料の対向パネルを接続する一体型ヒンジを提供する。
【0015】
本発明の方法およびシートは、共に、本発明の特定の原則を説明するよう働き、本明細書に援用される、添付の図面および以下の発明の詳細な説明から明らかである、またはこれらにおいてさらに詳細に記載される、他の特徴および利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、本発明の種々の局面に従う、ヒンジを有する三次元構造を形成するために位置決定および構成される、例示的な二次元シート材料の平面図であり、図1Bは、その詳細な拡大図である。
【図1B】図1Aは、本発明の種々の局面に従う、ヒンジを有する三次元構造を形成するために位置決定および構成される、例示的な二次元シート材料の平面図であり、図1Bは、その詳細な拡大図である。
【図2】図2は、本発明の種々の局面に従って、自身の間にヒンジ構造を形成する屈曲線に沿って、シート材料の変位を示す、図1のシート材料の一部分の等角投影図、および、その詳細な拡大図である。
【図3】図3は、屈曲位置にある、自身のフランジを示す、図1のシート材料の等角投影図である。
【図4】図4は、屈曲位置にある、自身の側面を示す、図1のシート材料の等角投影図である。
【図5】図5は、屈曲位置にある、自身の上部を示す、図1のシート材料の等角投影図である。
【図6】図6は、閉じた位置における上部を示す、図1のシート材料の等角投影図であり、それにより筺体の形態の三次元構造を形成する。
【図7】図7は、開いた位置における上部を示す、図1のシート材料の等角投影図であり、それにより三次元構造の内部にアクセスできるようにする。
【図8】図8は、図1のシート材料の一部分の等角投影図、および、その詳細な拡大図であり、シート材料が屈曲線に沿って屈曲された後のヒンジ構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(本発明の詳細な説明)
次に、本発明の種々の実施形態について詳細に参照するが、その実施例は、添付の図面に示され、かつ、以下に記載される。本発明は例示的な実施形態と共に記載されるが、本説明は、発明をこうした例示的な実施形態に限定することを意図するものではないことが理解される。逆に、本発明は、例示的な実施形態のみを範囲の対象とすることを意図するものではなく、種々の改良、修正、均等物、および他の実施形態も含むことを意図しており、これは、添付の請求項で規定されるように、本発明の精神および範囲に含まれ得る。
【0018】
次に、種々の図を通して、同様の構成要素が同様の参照数字によって指定される図面を参照し、ヒンジ連結アクセスカバー33を有する筺体32の形式の、三次元(3D)構造を形成するために位置決定および構成された、例示的な二次元(2D)シート材料30を開示する図1Aおよび図1Bおよび図2に注目する。以下の発明および発明の応用例に記載されるように、2Dシート材料を3D構造に形成可能な数多くの応用例が存在する。
【0019】
筺体の描写は例示的なものに過ぎず、精密な屈曲のための本発明の教示は、電気部品、自動車部品、輸送部品、建築部品、器具部品、トラック部品、RFシールド、HVAC部品、航空部品、およびその他を含むが、これに限定されないヒンジ連結パネルを有する、数多くの他の3D構造の製造にも適用可能である。すなわち、本発明の教示は、2Dシート材料を折り畳むことによって形成され、ヒンジ連結アクセスカバーを備えることによって利益を得られる、広範囲の3D製品および構造に適用可能である。こうした3D構造は、本発明が、再パッケージングおよび再発送を容易にするために、3D構造をその平坦な形態に削減することを可能にするという点で、さらに有利であり得る。こうした特徴は、特に再使用可能な発送用コンテナ等を製造するために適している。
【0020】
多くの局面において、本発明のシート材料は、米国特許第6,481,259号、米国特許第6,877,349号、米国特許第7,152,449号、米国特許第7,152,450号、米国特許出願第10/821,818号(公開第2005/0005670号)、米国特許第7,032,426号、米国特許第7,263,869号、米国特許第7,222,511号、米国特許出願第11/357,934号(公開第2006/0261139号)、米国特許出願第10/952,357号(公開第2005/0064138号)、米国特許出願第11/384,216号(公開第2006/0207212号)、米国特許出願第11/080,288号(公開第2005/0257589号)、米国特許出願第11/374,828号(公開第2006/0213245号)、米国特許出願第11/180,398号(公開第2006/0021413号)、米国特許出願第11/290,968号(公開第2006/0075798号)、米国特許出願第11/411,440号(公開第2007/0113614号)、米国仮特許出願第60/665,577号、米国特許出願第11/386,463号(公開第2006/0277965号)、および米国仮特許出願第60/854,846号によって開示されるものと同様であり、これらの特許および特許出願の全内容が本明細書に参考として援用される。
【0021】
シート材料は、非圧縮性材料で形成される。適した材料は、亜鉛メッキ鋼、ステンレススチール、アルミニウム、およびその合金等の、軟鋼、粗鋼、および加工鋼を含むがこれに限定されない、金属等の比較的延性の高い材料を含む。
【0022】
シート材料30は、上記の特許および特許出願において記載されるものと同様に、屈曲線37に沿って位置付けられるシート材料に形成される複数の屈曲構造35を含む。図示された実施形態において、屈曲線は、アクセスカバー33から延在する筺体側39’と同様に、筺体ベース42から延在する筺体側39および筺体端40を画定するために構成される。屈曲構造は、3D筺体を形成するために、所望の関係で、ベース、側端およびアクセスカバーを最終的に位置付けるために、屈曲線に沿って、シート材料の精密な折り畳みを可能にするように、形成および方向付けられる。また、屈曲構造および屈曲線の数、位置、および相対的な向きは、所望の3D構造の所望の形状によって変動することが理解される。
【0023】
図示された実施形態において、図1Aに示されるように、屈曲構造35は、2Dのシート材料を3D構造に屈曲させるために、それに沿った屈曲を容易にするために、屈曲線37の1つの側に沿って延在する。上記の特許および特許出願に記載されるように、屈曲を容易にするために、屈曲線の対向する側に沿って屈曲構造を形成し得ることが理解される。例示的な実施形態において、屈曲構造は変位であるが、上記の特許および特許出願に記載されるスリット、変位、溝、および/または他の屈曲を促す構造等、他の屈曲構造を使用し得ることが理解される。
【0024】
本発明に従い、シート材料のその他の部分と共に一体的に形成されるヒンジとしての役割を果たすように、特定の屈曲線を構成され得る。例えば、例示的な実施形態は、アクセスカバー33を複数回、互い違いに屈曲することを可能にし、これにより、筺体32に、筺体内部へのアクセスを可能にするヒンジ連結アクセスカバーを提供する、ヒンジ46として働くように構成される、1つのヒンジを有する屈曲線44を含む(例えば、図5、図6および図7を参照)。複数のヒンジを有するパネルが所望である場合には、材料シートは、1個、2個、3個またはそれ以上のヒンジを有する屈曲線を備え得ることが理解される。さらに、2Dシート材料は、部分的なアクセスを可能にする、1つ以上のヒンジを有する型抜き部分を備え得る。例えば、ヒンジを有する屈曲線44’は、ヒンジ46’として働くように構成されており、ノックアウトパネルを、同様に互い違いに屈曲させることを可能にする。
【0025】
ヒンジを有する屈曲線44は、ヒンジを有する屈曲線44の両側に配置される変位47を含む。多くの点において、変位は、上記の特許および特許出願において記載されているものと同様である。例えば、各変位47は、シート材料30の全体的な平坦な表面上から変位される舌状部49を含む。図2および図1Bに舌状部の例示的な実施形態が示され、図2は、舌状部49がシート材料の上記の全体的な平坦な表面上でどのように変位しているかを示す上面図であり、図1Bは、舌状部の変位によって形成されるシート材料への凹みを示す底面図である。
【0026】
例示的な舌状部は、シート材料の平坦な部分に実質的に平行に延在し、傾斜移行ゾーン51によって、シート材料の残り部分への接続を保っている。例示的な舌状部の平坦および平行な構成は、ツールの寿命および他の利点を促進し得るが、舌状部は平坦、および/またはシート材料の残り部分に正確に平行である必要はないことが理解される。対向する移行ゾーン51は、変位47の長さに沿って延在する剪断された面53である。例示的な実施形態において、剪断された面は、屈曲線から離れて分岐される比較的まっすぐな中央部分53’および湾曲端部分53’’を有する。変位は、打刻、型抜き、ロール形成および/または、上記の特許および特許出願において記載されるものと同様の他の適した手段によって、形成され得る。
【0027】
ヒンジを有する屈曲線44に沿った変位47は、シート材料のその他の場所で利用される変位として、同様の一般的な構成を有し得るが、ヒンジを有する屈曲線に対する、および、互いに対する、変位47の位置および配置は、特にヒンジ46として機能するために適している。特に、変位47は、図1Aおよび図1Bに示されるように、ヒンジを有する屈曲線44に互い違いに位置付けられる。より具体的には、変位47は、隣接する変位に対して重複するように、ヒンジを有する屈曲線から離隔される。好適には、重複の長さは、シート材料の厚さ(「T」)の約6〜7倍よりも大きい。重複の長さを長くすると、より大きい長さにおいて軸方向のねじれが分散され、こうして、種々の応用例のための良好なヒンジ形状が得られる。
【0028】
さらに、変位は、好適には、ヒンジ構造の屈曲線から、シート材料の厚さの少なくとも約75%から100%〜125%の距離隔てて配置され、これは、約1.5T〜2Tの重複の間の湾曲(「J」)距離に相当する。いくつかの実施形態において、湾曲は、3Tまたは4Tと同程度の幅であり得る。こうした配置により、従来の打刻、型抜きおよびロール形成技術を使用した製造が可能になる。
【0029】
変位のこうした構成は、概して、隣接する変位47の重複部分の間に延在するヒンジ構造54を画定する。ヒンジ構造の一部分は、対向するパネル部分を相互接続する、例示的な実施形態の場合、筺体端40’をアクセスカバー33へ相互接続する、ヒンジを有する屈曲線44に沿って延在する。さらに、ヒンジ構造は、剪断された面の湾曲端部分53’’によって形成され、かつ、この形状と一致する屈曲線から離れて分岐する、分岐部分またはルート56を含む。さらに、折り畳み後のルートの姿勢は、隣接する変位47との接触によって大部分が形成される。好適には、湾曲端部分は、ヒンジ構造54の端における応力を分散するために、応力分散装置として働く、比較的大きい曲率半径を有する。湾曲端部分53’’の曲率半径は、好適には、シート材料の厚さよりも大きく、好適には、シート材料の厚さよりも2、3倍大きく、より好適には、厚さの約3倍以上である。
【0030】
湾曲端部分は、シート材料の残りの部分と接続するため、ヒンジ構造の断面積を大きくする働きがある。こうした構成は、ねじれ応力が図1Bの矢印「T」として概略的に図示される、屈曲(および伸長)中のヒンジ構造内のねじれ応力を分散すると考えられている。さらに、こうした構成は、シートの残り部分の隣接材料によって、ヒンジ構造の端の材料応力を再調整すると考えられており、材料の応力は、図1Bの矢印「B」で概略的に図示される。
【0031】
こうした構成は、屈曲/伸長のサイクル数を大幅に向上させ、ヒンジ構造は、不具合なく耐え得ることが明らかになっている。例えば、ヒンジ構造を組み込む軟鋼シート金属の例示的な構成は、不具合なく25回以上の屈曲/伸長サイクルに耐えることができ、いくつかの例では、ヒンジを有する屈曲線における軸方向の剪断なく、および/またはこの屈曲線に隣接する剪断の他の伝播なく、50を超えるサイクルに耐えることができる。好適には、ヒンジは、少なくとも35サイクル、より好適には少なくとも45サイクルに耐えるように構成されている。
【0032】
こうした構成は、さらに、大きな半径端にすぐ隣接するシート材料のルート56に、張力およびねじれ(例:図1Bの矢印「B」を参照)を与える、「巻き付け」動作を容易にし得る。ルートは、さらに、屈曲線が交差する方向の屈曲支援の張力およびねじれを促進しているように見えることから、屈曲線に沿った精密な屈曲を容易にするために役立ち得る。
【0033】
すなわち、上記のシート材料の折り畳みは、上記の特許出願および特許において幅広く記載される方法と、ほとんど同様である。主要な違いとして、折り畳みの完了時において、ヒンジ構造54は、湾曲(例:ヒンジ幅)および重複の大きさ(例:ヒンジ長さ)を含む特定のパラメータを変動させることによって、構造で「設計」可能な特定のサイクル数の材質的な不具合なしに、ヒンジを有する屈曲線44に沿って、繰り返し、屈曲および伸長することを可能にする。
【0034】
次に、図3〜図7を参照し、2Dのシート材料を3D構造に折り畳む方法について説明する。例示的なシート材料30には、多くの組み立て側面フランジ58およびアクセスカバーフランジ60が設けられている。その各屈曲線に沿ってシート材料が屈曲されると、側面フランジは、側部および端を互いに固定するように、位置決定および構成される。例示的な実施形態では、側面フランジおよび組み立て側面フランジは、その全体内容が本明細書に参考として援用される、米国特許出願第11/386,463号(現在、公開第2006/0277965号)で記載されるものと同様に、一体的に形成される協働するラッチ手段を備えている。対向する筺体端40上に配置される同様のラッチ手段によって、アクセスカバーフランジ60が位置決定および構成される。他の適したラッチ手段も利用し得ること、さらに、そのように所望する場合には、ラッチ手段を備える必要はないことが理解される。
【0035】
好適には、側面フランジおよびパネルフランジは、打刻、型抜き、圧搾ロールまたは他の適した手段によって屈曲され、結果として図3に示される向きになる。しかし、こうしたフランジの屈曲による位置決定を容易にするために、屈曲構造を備え得ることが理解される。
【0036】
図4および図5に示すように、次に、筺体側39および筺体端40が筺体ベース42に対して屈曲され得る。側面および端部が折り畳まれて位置決定されると、協働するラッチ手段は係合し、それによって、側面フランジ58は筺体側39に固定される。あるいは、公知の締め付け手段によって、側面フランジを筺体側に固定し得る。
【0037】
最後に、図6に示されるように、アクセスカバーがその閉じた位置まで旋回するように、アクセスカバー33が、ヒンジ屈曲線44を中心に折り畳まれ得る。好適には、アクセスカバーをその閉じた位置に固定的に保持するために、対向する筺体端40上に備えられるラッチ手段と協働するように、アクセスカバーフランジが位置決定および構成される。こうしたラッチ手段は自動ロックとしてもよいが、アクセスカバーを再び開くのを容易にするために、こうした自動ロック構成を使用しないことが好適であり得る。あるいは、公知の締め付け手段によって、アクセスカバーフランジは、対向する筺体端に固定され得る。
【0038】
所望されるように、筺体内のアクセスを可能にするために、図7に示されるように、アクセスカバー33を再び開け得る。例えば、筺体32が電気部品の筺体である場合、筺体内部に定期的にアクセスできることが望ましい場合がある。ヒンジ46は、アクセスカバーを筺体の残り部分と連結させる個別のヒンジを不要にし、これにより、部品数、組み立てコストおよび複雑性を低減させながら、こうしたアクセスを可能にする。
【0039】
再び図1Aを参照すると、アクセスカバーと同様に、ノックアウトパネル33’を利用し得る。さらに、2Dシート材料には、1つ以上のノックアウト61、シートの残り部分と共に、パネル33’のリモート端を相互接続させる一体的に形成されたタブが、設けられ得る。タブが壊れると個別の部材となる従来の型抜きパネルとは違い、パネル33’は、一体的に形成されたヒンジ46’により、シート材料の他の部分への接続を保つ。
【0040】
添付の請求項における説明および正確な規定の便宜を図るため、「上」または「上の」、「下」または「下の」、「内部」および「外側」という用語は、図に示されるこうした特徴の位置を参照して、例示的な実施形態の特徴を説明するために使用される。
【0041】
本発明の特定の例示的な実施形態の上記の記載は、説明および記述を目的として示されている。これらは、包括的であること、または、開示されている厳密な形態に本発明を限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして、多くの修正および変更が可能であることが明らかである。本発明の特定の原則およびその実用的な応用例について説明し、それにより、その種々の代替例および修正例と同様に、同業者が本発明の種々の例示的な実施形態を作成および利用できるようにするために、例示的な実施形態が選択および記載されている。本発明の範囲は、本明細書に添付の請求項およびその均等物によって規定されるべきであることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲線に沿ってヒンジを有する三次元構造を形成するように、該屈曲線に沿って屈曲する実質的に二次元シート材料を作成する方法であって、該方法は、
屈曲が行われる領域中で実質的に二次元であるシート材料を取得することと、
該屈曲線の対向側に沿って、該シート材料の厚さ方向に複数の変位を形成することであって、各変位は、その端部分の間に延在し、かつ該屈曲線に実質的に平行である剪断縁を有し、隣接する剪断縁は、該屈曲線に沿ってその間に延在するヒンジ構造を形成するように、該屈曲線に対して互いに重複し、該ヒンジ構造は、該端部分と形状が一致するヒンジ端を有する、ことと
を含み、該ヒンジ構造は、複数回の屈曲および伸長サイクルのために寸法決定および構成され、それにより、該屈曲線の対向側で該シート材料の対向パネルを接続する一体型ヒンジを提供する、方法。
【請求項2】
前記取得するステップは、軟鋼シート材料を取得することによって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記形成するステップは、前記剪断縁が、前記屈曲線から前記シート材料の厚さ(「T」)の少なくとも75%の距離にあるように、前記変位を形成することによって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記形成するステップは、湾曲部分の間に延在する実質的に直線状部分を伴って前記変位剪断縁を形成することによって達成され、それにより、隣接する剪断直線状部分および湾曲部分が、少なくとも約6Tである距離にわたって互いに重複する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記形成するステップは、前記変位剪断縁に対向する変位面を形成することによって達成され、前記方法は、該剪断縁の少なくとも一部分とそれぞれの変位面の一部分との間の縁と面との係合を生じさせるように、前記屈曲線を中心に、前記対向パネルのうちの一方を他方の対向パネルに対して屈曲させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記屈曲線を中心に、前記対向パネルのうちの一方を他方の対向パネルに対して屈曲させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記屈曲線を中心に、前記対向パネルのうちの一方を他方の対向パネルに対して屈曲させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記屈曲線を中心に、前記一方の対向パネルを他方の対向パネルに対して、少なくとも10回、屈曲および伸長させるステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シート材料を三次元構造に組み立てるステップをさらに含み、前記対向パネルのうちの一方は、開閉することができる該三次元構造のためのヒンジ連結パネルを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
屈曲線に沿ってヒンジを有する三次元構造を形成するように、該屈曲線に沿って屈曲するために構成される、実質的に二次元シート材料であって、該シート材料は、
屈曲が行われる領域中で実質的に二次元である、シート材料と、
該屈曲線の対向側に沿った、該シート材料の厚さ方向への複数の変位であって、各変位は、その端部分の間に延在し、かつ該屈曲線に実質的に平行である剪断縁を有する、変位と
を備え、
隣接する剪断縁は、該屈曲線に沿ってその間に延在するヒンジ構造を形成するように、該屈曲線に対して互いに重複し、該ヒンジ構造は、該端部分と形状が一致するヒンジ端を有し、
該ヒンジ構造は、複数回の屈曲および伸長サイクルのために寸法決定および構成され、それにより、該屈曲線の対向側で該シート材料の対向パネルを接続する一体型ヒンジを提供する、シート材料。
【請求項11】
前記シート材料は、軟鋼である、請求項10に記載のシート材料。
【請求項12】
前記剪断縁は、前記屈曲線から前記シート材料の厚さ(「T」)の少なくとも75%の距離にある、請求項10に記載のシート材料。
【請求項13】
前記変位剪断縁は、実質的に直線状部分を備え、隣接する剪断直線状部分は、少なくとも約3Tである距離にわたって互いに重複する、請求項10に記載のシート材料。
【請求項14】
前記実質的に直線状部分は、湾曲部分の間に延在し、隣接する剪断直線状および湾曲部分は、少なくとも約5Tである距離にわたって互いに重複する、請求項13に記載のシート材料。
【請求項15】
前記変位剪断縁に対向する変位面をさらに備え、前記変位は、前記屈曲線を中心として、前記対向パネルのうちの一方を他方の対向パネルに対して屈曲させながら、該剪断縁の少なくとも一部分と各変位面の一部分との間で、縁と面との係合を生じさせるように構成される、請求項10に記載のシート材料。
【請求項16】
前記ヒンジ構造は、少なくとも10回、屈曲および伸長するように構成される、請求項10に記載のシート材料。
【請求項17】
前記ヒンジ構造は、少なくとも50回、屈曲および伸長するように構成される、請求項10に記載のシート材料。
【請求項18】
請求項10に記載のシート材料を含む三次元構造であって、前記対向パネルのうちの一方は、該三次元構造の一部分にアクセスするためのヒンジ連結アクセスカバーを形成する、三次元構造。
【請求項19】
請求項18に記載の三次元構造であって、該構造はボックスであり、前記ヒンジ連結アクセスカバーは、該三次元構造の内部へのアクセスを提供する蓋である、三次元構造。
【請求項20】
屈曲線に沿ってヒンジを有する三次元構造を形成するように、該屈曲線に沿って屈曲するために構成される、実質的に二次元シート材料であって、該シート材料は、
屈曲が行われる領域中で実質的に二次元である、シート材料と、
該屈曲線の対向側に沿って位置付けられる複数の舌状部であって、各舌状部は、該屈曲線に向かって方向付けられ、かつ該屈曲線に実質的に平行に延在する面を有し、該舌状部は、該屈曲線から離れて分岐する端部分の間に延在する、舌状部と
を備え、
隣接する面は、該屈曲線に沿ってその間に延在するヒンジ構造を形成するように、該屈曲線に対して互いに重複し、該ヒンジ構造は、該端部分と形状が一致するヒンジ根を有し、
該ヒンジ構造は、複数回の屈曲および伸長サイクルのために寸法決定および構成され、それにより、該屈曲線の対向側で該シート材料の対向パネルを接続する一体型ヒンジを提供する、シート材料。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−540360(P2010−540360A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526055(P2010−526055)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/077291
【国際公開番号】WO2009/039529
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(503064198)インダストリアル オリガミ インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】