説明

二次転写ローラおよび画像形成装置

【課題】重力方向と逆方向に記録媒体を搬送する二次転写時において記録媒体の優れた搬送安定性を発揮しながらも、記録媒体詰まり等の処理時に発生するねじれによる発泡層の破壊を防止する二次転写ローラおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】少なくとも発泡層42および該発泡層の外側に積層された非発泡弾性層43を有し、発泡層は平均セル数が25個/inch以上90個/inch以下であり、該セルの平均円形度が0.7以上であることを特徴とする二次転写ローラ、および該二次転写ローラを備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用したプリンタや複写機などの画像形成装置および該装置に搭載される二次転写ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置においては、無機または有機材料からなる光導電性の潜像担持体に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像してトナー像を得る。そして、上記トナー像を中間転写体を介して、あるいは直接的に記録紙等の記録媒体に静電的に転写することにより所要の再生画像を得る。特に、上記潜像担持体上に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、さらに中間転写体上のトナー像を記録媒体に二次転写する方式を採用したものでは、導電性の二次転写ローラを用いて記録媒体を押圧し、電界を印加して、トナー像を静電的に転写する転写ローラ方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
上記の中間転写方式を採用した従来の画像形成装置の二次転写ローラとしては、例えば特許文献1では金属からなるローラが使用され、特許文献2では芯金の周囲にゴム層を有するローラが使用されている。しかし、金属ローラを用いた場合には、トナーへの圧力が大きくなるため、トナーに凝集が発生し、特にラインのような画像の場合には画像の中央部が抜ける現象(中抜け)が生じた。また、周囲にゴム層を有するローラの場合、金属ローラと比較すると、ライン画像の中抜けの発生は抑制される。金属ローラと比較してゴム層のほうが弾性があり、トナーへの圧力が低下するからである。しかし、より小型の画像形成装置とするために、より小径なローラを用いる場合には、所望の弾性を得ることが難しくなる。
【0004】
このような状況を鑑みて、特許文献3に示すように、芯金の周囲に発泡弾性層を有するローラを用いる方法が提案されている。しかし、中間転写体上に形成された未定着トナー像のサイズよりも小さい記録媒体を誤って供給する場合や記録媒体が供給されなかった場合、発泡弾性層にトナーが付着した。特許文献4や特許文献5などに発泡転写ローラのクリーニング方法が示されているが、いずれの方法でも、発泡層の内部に付着したトナーを完全に取り除くことは不可能であり、裏汚れが生じた。
【0005】
そこで、特許文献6では、芯金の周囲に発泡層を有し、その周囲に弾性層を、更に表面に離型層を有するような少なくとも2層以上の層からなる転写ローラが提案されている。このローラを用いることにより、小径になっても内部の発泡層により十分な弾性を得ることができ、更に外周の弾性層と表面層によりクリーニング性も確保可能である。しかも、ローラ表面が平滑であり弾性ももつため、用紙との密着性が非常に高く画像品質も向上した。
【特許文献1】特開平06−095521号公報
【特許文献2】W097−03122号公報
【特許文献3】特開平2003−226773号公報
【特許文献4】特開平5−119646号公報
【特許文献5】特開平7−261579号公報
【特許文献6】特開平2000−181251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、そのような転写ローラを、転写時に記録媒体が重力と逆方向に搬送されるシステムで用いた場合、記録用紙の搬送ムラが発生するという課題が生じた。また、記録用紙の詰りが発生した際に記録用紙を無理に引き抜いた場合、発泡層表面と比較して弾性層表面の摩擦力が大きいことから転写ローラ内でねじれによる発泡層の破壊が生じた。発泡層の周囲に弾性層を有する転写ローラにおいて、発泡層のみの転写ローラのローラ硬度と同等にすると、表面に弾性層がある以上、発泡層の硬度を低くしなければならない。硬度を低くするにはセル径を大きくすることが一般的であり、発泡層が破壊されやすくなる。
【0007】
本発明は、重力方向と逆方向に記録媒体を搬送する二次転写時において記録媒体の優れた搬送安定性を発揮しながらも、記録媒体詰まり等の処理時に発生するねじれによる発泡層の破壊を防止する二次転写ローラおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも発泡層および該発泡層の外側に積層された非発泡弾性層を有し、発泡層は平均セル数が25個/inch以上90個/inch以下であり、該セルの平均円形度が0.7以上であることを特徴とする二次転写ローラ、および該二次転写ローラを備えた画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の二次転写ローラは、二次転写時において重力方向と逆方向に記録媒体を搬送するシステムで使用されても、記録媒体の優れた搬送安定性を発揮する。しかも、記録媒体詰まり等の処理時において、ねじれを付与されても、発泡層の破壊を有効に防止できる。また本発明の二次転写ローラによれば、発泡層の凹凸による印字画像への影響を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る画像形成装置は特定の二次転写ローラを備えたものであり、詳しくは潜像担持体から一次転写ローラによって一次転写されたトナー像を担持し、担持したトナー像を記録紙等の記録媒体に二次転写ローラによって二次転写させる中間転写体を備えたものである。以下、本発明の画像形成装置を、潜像担持体上にトナー像を形成する各色の現像部ごとに潜像担持体を有するタンデム型フルカラー画像形成装置を例に挙げて説明するが、中間転写体および二次転写ローラを有する限り、他の構造のものであってよく、例えば、1つの潜像担持体に対して各色の現像部を有する4サイクル型フルカラー画像形成装置であってもよい。
【0011】
図1は、本発明の画像形成装置の一例の概略構成図である。図1のタンデム型フルカラー画像形成装置において、各現像部(1a、1b、1c、1d)では通常、潜像担持体(10a、10b、10c、10d)の周りに、少なくとも帯電装置(11a、11b、11c、11d)、露光装置(12a、12b、12c、12d)、現像装置(13a、13b、13c、13d)、潜像担持体用クリーニング装置(14a、14b、14c、14d)および除電装置(15a、15b、15c、15d)等が配置されている。そのような現像部(1a、1b、1c、1d)は、少なくとも2つの張架ローラ(図中では21,22,23)によって張架された中間転写体2に並列して配置されている。各現像部で潜像担持体(10a、10b、10c、10d)の表面に形成されたトナー像はそれぞれ、一次転写ローラ(3a、3b、3c、3d)を用いて中間転写体2に一次転写され、当該中間転写体上で重ねられてフルカラー画像が形成される。中間転写体2の表面に転写されたフルカラー画像は二次転写ローラ4を用いて一括して紙等の記録媒体5に二次転写された後、定着装置6を通過させて、記録媒体上にフルカラー画像を得る。一方、中間転写体上に残留した転写残トナーはクリーニングブレード7によって除去されるようになっている。
【0012】
本発明において使用される二次転写ローラ4は、少なくとも発泡層および該発泡層の外側に積層された非発泡弾性層を有するものである。そのような二次転写ローラ4の一例を図2に示す。図2は、二次転写ローラの軸方向に対する垂直断面模式図である。
【0013】
二次転写ローラ4は芯金41の外周面に発泡層42および非発泡弾性層43を順次積層してなるものである。
芯金41は発泡層42を支持可能で、良好な導電性を示すものであれば、特に制限されることはない。芯金は通常、鉄、アルミ、ステンレスなどの金属からなる円筒体である。
【0014】
発泡層42はセル(気泡)が分散されて存在する弾性層であり、いわゆる独立気泡型の発泡体からなっていても、連続気泡型の発泡体からなっていてもよい。硬度の均一性、抵抗の均一性の観点からは、独立気泡型の発泡体からなっていることが好ましい。
【0015】
発泡層42は平均セル数が25個/inch以上90個/inch以下、好ましくは30個/inch以上80個/inch以下であり、より好ましくは40個/inch以上70個/inch以下である。平均セル数が少なすぎると、いかなる構成材料を用いても、セルの凹凸の影響が画像に出やすくなる。平均セル数が多すぎると、セルを構成する柱の径が小さくなるため発泡層の強度が低下し、詰まった記録用紙を無理に引き抜いた場合、発泡層の破壊が生じる。
【0016】
平均セル数は以下の方法によって測定された値である。
発泡層の表面において軸方向の両端部と中央部とで測定箇所を任意に3点選択する(両端部2点、中央部1点)。図3(A)中、50が端部の測定箇所、51が中央部の測定箇所である。次いで、各測定箇所において周方向にさらに2点づつ選択して、合計9点の測定箇所を決定する。次に、マイクロスコープ(VHX−900;Keyence社製)を用い、それぞれの測定箇所の写真画面を観察する。そして、図3(B)に示すように、写真画面の中心部に実寸1インチに対応する長さの線52を引き、その線内に何個のセルがあるかをカウントし、9点の平均値を求める。たとえわずかでも1インチの線に接触したセルは1つとしてカウントする。例えば、図3(B)に示すようなケースではセル数は16個である。なお、発泡層表面に、例えば後述するような非発泡弾性層等の他の層が形成されたローラから、平均セル数を求める場合には、非発泡部を切り出し、発泡面の表面をマイクロスコープで観察した。
【0017】
発泡層42はセルの平均円形度が0.7以上、好ましくは0.70〜0.98、より好ましくは0.8〜0.95である。平均円形度が小さすぎると、二次転写時において重力方向と逆方向に記録媒体を搬送するシステムにおいて、記録媒体の搬送ムラが起こり、定着部を通紙時に生じる紙づまりや、排紙後の用紙の重なりに乱れが生じる。
【0018】
セルの平均円形度は、平均セル数の測定時に撮影した写真画面を観察し、セル(空間)の部分とゴムの部分とをわけ、画面内の全てのセルの部分の面積と周長を求める。マイクロスコープを用いれば、非常に簡単に面積と周長が求まる。円形度は、それぞれのセルの面積に相当する真円を想定し、その真円の円周(B)と実際のセルの周長(A)の比(B/A)で求められる。測定箇所9点の写真画面から平均円周長から±50%のセルの円形度を求め、それらの平均値を求める。
【0019】
発泡層42が有するセルの平均径は、画像品質および記録媒体の搬送安定性の観点から、10〜500μmが好ましく、より好ましくは100〜350μmである。このように径が比較的小さく、かつ円形度が比較的高いセルを適度な個数範囲で発泡層中に有することにより、画像品質が向上するだけでなく、発泡層のねじれ破壊がより有効に防止され、記録媒体の搬送安定性が一層向上する。
【0020】
セルの平均径は、平均セル数の測定時に撮影した写真画面を観察し、セル(空間)の部分とゴムの部分とをわけ、画面内の全てのセルの部分の面積を求める。それぞれのセルの面積に相当する真円を想定し、その真円の直径(C)を求める。測定箇所9点の写真画面から上記円周長を求めたものと同一のセルの直径(C)を求め、それらの平均値を求める。
【0021】
発泡層を構成する材料としてはゴムが使用される。そのようなゴムとしては、例えば、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレ−プロピレン−ジエン共重合ゴム、アクリルニトリル−ブタジエン共重合ゴムの水素化物、天然ゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン単独重合ゴム、ニトリルゴムの水素化物、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シリコーン−エチレンプロピレン混合ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。好ましくはウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴムである。これらは単独で又は2種以上が混合されて用いられる。
【0022】
通常これらのゴムは、架橋して用いられる。架橋には、例えば硫黄、有機含硫黄化合物、過酸化物等が架橋剤として用いられる。有機含硫黄化合物としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリン等が挙げられる。また、過酸化物としては、例えばべンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。加硫とともに発泡を行う場合は、加硫速度と発泡速度のバランスが良くなるという理由から硫黄を用いるのが好ましく、また、硫黄とともに加硫促進剤を配合するのが好ましい。
【0023】
加硫促進剤としては、例えば消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤や、有機促進剤が挙げられる。有機促進剤としては、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェン等のチアゾール系加硫促進剤;n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、プロピルアミン等の脂肪族第1アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピペリジン等の脂肪族第2アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、脂環式第1アミンと2−メルカプトペンゾチアゾールとの酸化縮合物、モリフォリン系化合物と2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物等のスルフェンアミド系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジモノスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジモノスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛 (ZnMDC) 、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、ジ−n−ブチルカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が挙げられる。また、加硫促進助剤を配合することもでき、例えば、亜鉛華などの金属化合物やステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸を用いることができる。
【0024】
発泡層のセル(気泡)は、ゴム中で、中空樹脂粒子を分散させたり、または発泡剤を発泡させたりすることによって形成される。好ましくは中空樹脂粒子を分散させることによってセルを形成する。中空樹脂粒子を用いると、前記した平均セル数、セルの平均円形度および大きさを容易に制御できるためである。しかも、中空樹脂粒子の中空部が発泡層のセルを構成するようになるため、中空樹脂粒子を分散させることにより容易に独立気泡を得ることができる。また発泡剤を補助的に用いることにより連泡にすることも可能である。
【0025】
中空樹脂粒子は、発泡層の架橋時でも軟化して潰れることがないような合成樹脂から構成される。例えば、架橋温度は一般に130〜140℃であるので、軟化点が140℃以上の合成樹脂を用いるのが好ましい。そのような合成樹脂からなる中空樹脂粒子としては、例えば、アクリロニトリル−メタアクリロニトリル−メチルメタアクリロニトリル共重合体を発泡させて得られる中空樹脂粒子が挙げられる。
中空樹脂粒子は、公知の方法(特公昭42−26524号公報等)に準じて製造することができ、例えば、アクリルモノマー、揮発性液体、並びに必要により重合開始剤、アクリルモノマーの官能基と反応する反応基を有する化合物を混合し、この混合物を界面活性剤及び分散安定剤である粒子を含む水性溶媒中に分散させた後、懸濁重合させる方法などにより得られる。
重合温度(℃)は、50〜120℃が好ましく、さらに好ましくは55〜90℃、特に好ましくは60〜80℃である。重合は、大気圧下で行ってもよいが、揮発性液体などを気体状にさせないようにするため加圧下(大気圧+0.1〜1MPa)で行うことが好ましい。懸濁重合は、耐圧容器を用い、密閉下で行うことが好ましい。また、分散機などで懸濁してから、耐圧容器に移して懸濁重合してもよく、耐圧容器内で懸濁させてもよい。
【0026】
中空樹脂粒子は形状を変更することが容易である。よって、中空樹脂粒子の形状を予め調整して、中空樹脂粒子の中空部の形状を調整することにより、発泡層におけるセルの平均円形度を容易に制御できる。例えば、中空樹脂粒子の平均円形度を上げると、発泡層におけるセルの平均円形度を上げることができる。中空樹脂粒子の平均円形度を下げると、発泡層におけるセルの平均円形度を下げることができる。中空樹脂粒子の平均円形度は、前記セルの平均円形度を達成できる限り特に制限されず、通常は0.5〜1.0が好ましい。中空樹脂粒子の平均円形度は、真球の中空粒子を作製したのち、プレス加工を施すことによって制御できる。
【0027】
発泡層における平均セル数は、中空樹脂粒子のゴムに対する配合比を調整することによっても制御できる。例えば、中空樹脂粒子の配合比を上げると、平均セル数を増加させることができる。中空樹脂粒子の配合比を下げると、平均セル数を低減できる。中空樹脂粒子の配合比は、前記平均セル数を達成できる限り特に制限されず、通常は中空樹脂粒子とゴムとの体積比率が35/65〜70/30となるような範囲内である。
【0028】
発泡剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾカルボンアミド、N,N’−ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、炭酸水素カリウム、尿素、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等があげられる。なお、本発明においては、発泡補助剤を補助的に用いてもよい。
発泡助剤としては、例えば、尿素系発泡助剤、金属酸化物系発泡助剤、金属石鹸系発泡助剤、サリチル酸系発泡助剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられ、上記発泡剤の種類に応じて最適なものが選択される。上記金属酸化物系発泡助剤としては、例えば、酸化亜鉛(II)等があげられる。上記金属石鹸系発泡助剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム等があげられる。上記サリチル酸系発泡助剤としては、例えば、サリチル酸があげられる。
【0029】
発泡層には通常、導電性物質としてカーボンブラックが用いられる。カーボンブラックの種類は特に限定されず、例えば、ケッチェンブラック(ライオン社製)、トーカブラック♯5500(東海カーボン)等が挙げられる。発泡層における導電性物質の配合量は特に制限されず、材料により異なる。ゴム材料に対して2〜40重量%であり、特に4〜30重量%が好適であり、特に、ウレタンゴムを用いた場合、イソシアネート成分に対して10〜40重量%であり、特に20〜30重量%が好適である。
【0030】
発泡層の厚みは通常、0.5〜20mm、特に2〜10mmが好適である。
【0031】
非発泡弾性層43は非発泡性のゴム層である。非発泡弾性層を構成するゴムは発泡層を構成するゴムが使用可能である。そのようなゴムは、発泡層においてと同様に、架橋して用いられ、前記した架橋剤および加硫促進剤が使用可能である。非発泡弾性層は発泡層に使用されたゴムと同様のゴムからなっていることが好ましい。そのような好ましい非発泡弾性層構成材料として、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。
【0032】
非発泡弾性層は、発泡層をローラ形状に研磨したのち、当該発泡層上に、ゴム材料および架橋剤等を含む非発泡弾性層用ゴム組成物を塗布し、加熱により架橋させることによって形成できる。また上記発泡層の形成の際の発泡および架橋を型内で行うことによって非発泡弾性層を形成することができる。発泡層の形成を型内で行うと、型と接している領域はすべて非発泡層になる。
非発泡弾性層には、発泡層と同様に上記した導電性物質等の添加剤が配合されてよい。非発泡弾性層における導電性物質の配合量は特に制限されず、通常は、ゴム材料に対して2〜40重量%であり、特に4〜30重量%が好適である。
【0033】
非発泡弾性層の厚みは通常、100〜2000μm、特に500〜1000μmが好適である。
【0034】
非発泡弾性層の表面には、フッ素系樹脂などの低表面エネルギの材料を塗布することにより、離型層を設け、クリーニング性を向上させてもよい。
芯金41と発泡層42との間および/または発泡層42と非発泡弾性層43との間には、接着剤を塗布してなる接着層または環境変動を小さくするための抵抗層を設けても良い。
【0035】
中間転写体2、一次転写ローラ3、潜像担持体10およびその他の部材は、画像形成装置の分野で従来から使用されているものが使用できる。
【実施例】
【0036】
<実験例1;二次転写ローラの製造>
(転写ローラA1〜A50の製造;ウレタンゴム系)
表1に示す所定の平均セル数およびセル平均円形度を有する弾性発泡体に直径10mmの孔をあけ、この孔に芯材として外周直径10mm、長さ390mmのステンレススチール(SUS304)製円柱状棒体を通し接着剤により接着した。次に、発泡層の厚さが8mmになるように、弾性発泡体を切削、研磨した。次いで、非発泡層は、エピクロルヒドリンゴムを100重量部、酸化亜鉛を5重量部、導電剤としてケッチェンブラックEC(ライオン社製)を5重量部、加硫剤として、2メルカプトイミダゾリン2重量部とロールミキサーで混練し、これを押し出し成形後、150℃×1hで加硫を行い、冷却後、研磨により、厚さ0.5mmのゴムチューブを作製した。その後、発砲ローラに接着した。
【0037】
表1に示す平均セル数、セル平均円形度を有する各種弾性発泡体は以下の方法により製造した。その際、中空樹脂粒子の混合量は、用いたウレタンゴム材料から最終的に得られるウレタンゴムの体積に対し、所定の平均セル数となるために必要な中空樹脂粒子の量を算出して求めた。セル平均円形度は中空樹脂粒子の平均円形度を調整することによって制御した。セル平均径は中空樹脂粒子の平均粒径を調整することによって制御した。すなわち、転写ローラA1〜A10の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.96の中空樹脂粒子を用い、転写ローラA11〜A20の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.86の中空樹脂粒子を用い、転写ローラA21〜A30の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.76の中空樹脂粒子を用い、転写ローラA31〜A40の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.66の中空樹脂粒子を用い、転写ローラA41〜A50の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.55の中空樹脂粒子を用いた。
【0038】
・ウレタンゴム系発泡体
ポリオール(ニッポラン;日本ポリウレタン製)とイソシアネート(コロネートC−HX;日本ポリウレタン製)の混合物に、中空樹脂粒子およびケッチェンブラックEC(ライオン社製)を混合し、ゴム材メーカーの推奨製法に従って形成し、弾性発泡体を得た。
【0039】
中空樹脂粒子は、アクリルモノマーとしてメチルメタクリレート、揮発性液体としてネオペンタンを用いて前記の公知の方法により製造し、各種平均円形度を有する中空樹脂粒子を得た。ここで、懸濁重合時の回転数や界面活性剤種類を調整することによって所定の平均円形度および平均粒径を有する中空樹脂粒子を得た。
【0040】
【表1】

【0041】
(転写ローラB1〜B50の製造;シリコーンゴム系)
表2に示す所定の平均セル数およびセル平均円形度を有する弾性発泡体を用いたこと以外、転写ローラA1の製造方法と同様の方法により、転写ローラを製造した。
【0042】
表2に示す平均セル数、セル平均円形度を有する各種弾性発泡体は以下の方法により製造した。その際、中空樹脂粒子の混合量は、用いた液状シリコーンゴム材から最終的に得られるシリコーンゴムの体積に対し、所定の平均セル数となるために必要な中空樹脂粒子の量を算出して求めた。セル平均円形度は中空樹脂粒子の平均円形度を調整することによって制御した。セル平均径は中空樹脂粒子の平均粒径を調整することによって制御した。すなわち、転写ローラB1〜B10の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.96の中空樹脂粒子を用い、転写ローラB11〜B20の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.86中空樹脂粒子を用い、転写ローラB21〜B30の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.76の中空樹脂粒子を用い、転写ローラB31〜B40の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.66の中空樹脂粒子を用い、転写ローラB41〜B50の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.55の中空樹脂粒子を用いた。
【0043】
・シリコーンゴム系発泡体
液状シリコーンゴム材(F−618、信越化学社製)に対し、中空樹脂粒子およびケッチェンブラックEC(ライオン社製)を混合し、ゴム材メーカーの推奨製法に従って形成し、弾性発泡体を得た。
【0044】
中空樹脂粒子は、転写ローラA1〜A50の製造の際に使用した各種平均円形度を有する中空樹脂粒子の製造方法と同様の方法により製造した。
【0045】
【表2】

【0046】
(転写ローラC1〜C50の製造;NBR)
表3に示す所定の平均セル数およびセル平均円形度を有する弾性発泡体を用いたこと以外、転写ローラA1の製造方法と同様の方法により、転写ローラを製造した。
【0047】
表3に示す平均セル数、セル平均円形度を有する各種弾性発泡体は以下の方法により製造した。その際、中空樹脂粒子の混合量は、用いた中高ニトリルNBR素材から最終的に得られるNBRの体積に対し、所定の平均セル数となるために必要な中空樹脂粒子の量を算出して求めた。セル平均円形度は中空樹脂粒子の平均円形度を調整することによって制御した。セル平均径は中空樹脂粒子の平均粒径を調整することによって制御した。すなわち、転写ローラC1〜C10の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.96の中空樹脂粒子を用い、転写ローラC11〜C20の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.86の中空樹脂粒子を用い、転写ローラC21〜C30の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.76中空樹脂粒子を用い、転写ローラC31〜C40の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.66の中空樹脂粒子を用い、転写ローラC41〜C50の製造に使用する発泡体の製造には平均円形度0.55の中空樹脂粒子を用いた。
【0048】
・NBR系発泡体
中高ニトリルNBR素材(X1280、JSR社製)に対し、中空樹脂粒子およびケッチェンブラックEC(ライオン社製)を混合し、ゴム材メーカーの推奨製法に従って形成し、弾性発泡体を得た。
【0049】
中空樹脂粒子は、転写ローラA1〜A50の製造の際に使用した各種平均円形度および平均粒径を有する中空樹脂粒子の製造方法と同様の方法により製造した。
【0050】
【表3】

【0051】
<実験例2;記録媒体搬送性評価>
本実験例においては、実験例1において製造した転写ローラの非発泡弾性層表面に、以下の方法により離型層を形成したものを用いた。離型性を設けると、後述の評価対象である排紙方向の角度の差θが大きくなる傾向があり、離型性のないときと比較して苛酷な条件である。フッ素離型剤(ダイフリ−ME−313(ダイキン工業製))に蒸留水を体積比1:10の割合で混合した離型剤を塗布して115℃で5分間加熱硬化させた。厚みは0.8μmであった。
【0052】
所定の転写ローラを、図4に示す実験装置の二次転写ローラ4として用い、転写ローラ4と対向ローラ21との間の圧力を基準圧力から±20%変化させたときの排紙方向の角度の差θを求めた。実験装置を横方向からビデオカメラで測定し、用紙が5cm排出した時点での角度を比較した。θがコニカミノルタ基準(30°)以下になった場合を「○」と評価した。θがコニカミノルタ基準(30°)より大きくなった場合、および観察する中で、あきらかに用紙のぶれが大きい、もしくは、長手方向で用紙の排紙の角度にズレが生じる場合を「×」と評価した。転写ローラと対向ローラ間の基準圧力は、NIP幅が3mmとなるようにそれぞれのローラごとにバネによる押圧力を調節した。
【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
記録媒体搬送性は、発泡層のセルの円形度に大きく影響をうけており、平均円形度が0.7以上であれば、材料がかわっても、搬送性が安定する。
【0057】
<実験例3;ねじれ試験評価>
本実験例においては、実験例1において製造した転写ローラをそのまま用いた。
ねじれ試験を図5に示すような実験装置を用いて行った。詳しくは、各ローラの片側を固定した。逆側の表面に力を加える箇所を設け、30度回転させ、戻す作業を100回繰り返し行った。ねじれによりシワが生じた領域の任意の5点についてAskerFP硬度計(高分子計器株式会社製)により硬度を測定し、平均値を求めた。当該平均値について、予め試験前に測定した任意の5点の初期硬度平均値からの差が生じなかった場合は「○」と評価し、生じた場合は「×」と評価した。
【0058】
【表7】

【0059】
【表8】

【0060】
【表9】

【0061】
ねじれ破壊は、平均セル数が多くなるほど生じやすくなる。これは、セル数が多くなるほど、セルを構成するゴムの太さが小さくなることに起因しているものと考えられ、ゴム材料の物性の変化以上に影響が大きいことがわかる。
【0062】
<実験例4;画像評価>
本実験例においては、非発泡弾性層の厚みを0.1mmとしたこと以外、実験例1において製造した転写ローラをそのまま用いた。非発泡弾性層を薄くすると、発泡層の影響が画像に現れやすくなる傾向があり、非発泡弾性層が厚いときと比較して苛酷な条件である。なお、実験例1と同様の発泡層を有する転写ローラについては実験例1の番号をそのまま流用する。
【0063】
所定の転写ローラを二次転写ローラとして、プリンター(Bizhub C550;コニカミノルタ社製)に搭載し、ベタ画像を印字した。画像に発泡層の影響がでない場合を「○」と評価し、画像濃度にムラが発生した場合を「×」と評価した。
【0064】
【表10】

【0065】
【表11】

【0066】
【表12】

【0067】
セル数が小さくなると、セルの凹凸の影響がでやすくなり、その影響は材料に依存することなく、20[個数/inch]以下で画像品質に支障をきたす。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の画像形成装置の一例の概略構成図である。
【図2】本発明の二次転写ローラの一例の概略構成図である。
【図3】平均セル数の測定方法を説明するための概略模式図である。
【図4】記録媒体搬送性を評価するための実験装置の概略図である。
【図5】ねじれ試験を行うための実験装置の概略図である。
【符号の説明】
【0069】
1:現像部、2:中間転写体、3:一次転写ローラ、4:二次転写ローラ、5:記録媒体、6:定着装置、7:クリーニングブレード、10:潜像担持体、11:帯電装置、12:露光装置、13:現像装置、14:クリーニング装置、15:除電装置、21:22:23:張架ローラ、41:芯金、42:発泡層、43:非発泡弾性層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも発泡層および該発泡層の外側に積層された非発泡弾性層を有し、発泡層は平均セル数が25個/inch以上90個/inch以下であり、該セルの平均円形度が0.7以上であることを特徴とする二次転写ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の二次転写ローラを備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−69752(P2009−69752A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240703(P2007−240703)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】