説明

二次電池、単量体および重合体

【課題】高容量で充放電サイクルの安定性に優れた二次電池の活物質として好適な重合体を提供する。
【解決手段】式(6)または(7)で表される重合体(式中のR1〜R3、X、n、YおよびZは明細書中に定義される)。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関するものであり、特にエネルギー密度が高く、高容量で安定性に優れた二次電池に関する。およびその活物質材料となりうる重合体、およびその重合体の原料となりうる単量体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコン、携帯電話など小型あるいは携帯電子機器の急速な市場拡大に伴い、これらに用いられる電池に対して軽量化、高容量化に対する要求が高まっている。この要求に応えるために、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンを荷電担体として、その電荷授受に伴う電気化学反応を利用した二次電池が盛んに開発されている。なかでも、リチウムイオン二次電池は安定性に優れたエネルギー密度の大きな高容量電池として種々の電子機器に利用されている。このようなリチウムイオン二次電池は活物質として正極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムといったリチウム含有遷移金属酸化物、負極に炭素を用いたものであり、これら活物質へのリチウムイオンの挿入、脱離反応を利用して充放電を行っている。
【0003】
しかしながら、このリチウムイオン二次電池は特に正極に比重の大きな金属酸化物を用いているため、単位質量当たりの電池容量には改善の余地があり、より軽量の電極材料を用いて高容量電池を開発しようとする試みが検討されてきた。例えば、特許文献1および2にはジスルフィド結合を有する有機化合物を正極に用いた電池が開示されている。これはジスルフィド結合の生成、解離を伴う電気化学的酸化還元反応を電池の原理として利用したものである。この電池は硫黄や炭素といった比重の小さな元素を主成分とする電極材料から構成されているため、高エネルギー密度の大容量電池という点において一定の効果を奏している。しかし、解離した結合が再度結合する効率が小さいことや活物質の電解液への拡散のため、充放電サイクルを重ねると容量が低下しやすい。
【0004】
一方、同じく有機化合物を利用した電池として、導電性高分子を電極材料に用いた電池が提案されている。これは導電性高分子に対する電解質イオンのドープ、脱ドープ反応を原理とした電池である。ここで述べるドープ反応とは、導電性高分子の酸化もしくは還元によって生ずる荷電ソリトンやポーラロン等のエキシトンを、対イオンによって安定化させる反応のことである。一方、脱ドープ反応とはその逆反応に相当し、対イオンによって安定化されたエキシトンを電気化学的に酸化もしくは還元する反応のことを示している。特許文献3には、このような導電性高分子を正極もしくは負極の材料とする電池が開示されている。この電池は、炭素や窒素といった比重の小さな元素のみから構成されたものであり、高容量電池として開発が期待された。しかし、導電性高分子には、酸化還元によって生じるエキシトンがπ電子共役系の広い範囲に亘って非局在化し、それらが相互作用するという性質がある。これは発生するエキシトンの濃度に限界をもたらすものであり、電池の容量を制限するものである。このため、導電性高分子を電極材料とする電池では軽量化という点では一定の効果を奏しているものの、大容量化という点においては未だ改善の余地があった。
【0005】
以上述べてきたように、高容量電池を実現するために、遷移金属含有活物質を利用しない様々な電池の提案がなされている。しかし、エネルギー密度、容量、安定性において一層優れた二次電池が求められていた。
【特許文献1】米国特許第4,833,048号公報
【特許文献2】特許第2715778号公報
【特許文献3】米国特許第4,442,187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、エネルギー密度が高く、高容量で充放電サイクルの安定性に優れた新規な二次電池を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の他の目的は、このような二次電池の材料として好適な単量体および重合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、低質量の原子のみから構成され、今までに電極の活物質として利用されなかった特定の有機化合物、すなわち式(1)もしくは式(5)で表される繰り返し単位を分子中に有する新規な重合体が電極の活物質として利用できることを見出した。本発明によれば、式(1)もしくは式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体を電極活物質として用いることにより高容量密度の電極を得ることができるため、高エネルギー密度かつ安定性に優れた新規な電池を提供することができる。
【0009】
本発明により、少なくとも正極、負極および電解質を有する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、式(1)で表される構造単位を分子中に有する重合体を含むことを特徴とする二次電池が提供される。
【0010】
【化1】

【0011】
(式(1)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは式(2)で表される構造を表す。)
【0012】
【化2】

【0013】
(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0014】
【化3】

【0015】
(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【0016】
【化4】

【0017】
(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)
本発明により、少なくとも正極、負極および電解質を有する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体を含むことを特徴とする二次電池が提供される。
【0018】
【化5】

【0019】
(式(5)において、YおよびZの一方もしくは両方が式(2)で表される構造を表し、一方のみが式(2)で表される構造を表す場合他方は水素原子もしくはメチル基を表す。)
【0020】
【化6】

【0021】
(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0022】
【化7】

【0023】
(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【0024】
【化8】

【0025】
(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)
本発明により、少なくとも正極、負極および電解質を有する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、式(6)で表される重合体を含むことを特徴とする二次電池が提供される。
【0026】
【化9】

【0027】
(式(6)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは式(2)で表される構造を表し、nは2以上の整数を表す。)
【0028】
【化10】

【0029】
(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0030】
【化11】

【0031】
(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【0032】
【化12】

【0033】
(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)
本発明により、少なくとも正極、負極および電解質を有する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、式(7)で表される重合体を含むことを特徴とする二次電池が提供される。
【0034】
【化13】

【0035】
(式(7)において、YおよびZの一方もしくは両方が式(2)で表される構造を表し、一方のみが式(2)で表される構造を表す場合他方は水素原子もしくはメチル基を表し、nは2以上の整数を表す。)
【0036】
【化14】

【0037】
(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0038】
【化15】

【0039】
(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【0040】
【化16】

【0041】
(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)
上記二次電池において、前記活物質が、正極活物質であることが好ましい。
【0042】
本発明により、活物質の電極反応を利用する二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の電極反応が、式(1)もしくは式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体を反応物もしくは生成物とすることを特徴とする二次電池が提供される。
【0043】
【化17】

【0044】
(式(1)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは式(2)で表される構造を表す。)
【0045】
【化18】

【0046】
(式(5)において、YおよびZの一方もしくは両方が式(2)で表される構造を表し、一方のみが式(2)で表される構造を表す場合他方は水素原子もしくはメチル基を表す。)
【0047】
【化19】

【0048】
(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0049】
【化20】

【0050】
(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【0051】
【化21】

【0052】
(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)
上記二次電池が、リチウム二次電池であることが好ましい。
【0053】
本発明により、式(8)で表される単量体が提供される。
【0054】
【化22】

【0055】
(式(8)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは式(2)で表される構造を表す。)
【0056】
【化23】

【0057】
(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0058】
【化24】

【0059】
(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【0060】
【化25】

【0061】
(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)
本発明により、式(9)で表される単量体が提供される。
【0062】
【化26】

【0063】
(式(9)において、YおよびZの一方もしくは両方が式(2)で表される構造を表し、一方のみが式(2)で表される構造を表す場合他方は水素原子もしくはメチル基を表す。)
【0064】
【化27】

【0065】
(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0066】
【化28】

【0067】
(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【0068】
【化29】

【0069】
(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)
本発明により、式(6)で表される重合体が提供される。
【0070】
【化30】

【0071】
(式(6)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは式(2)で表される構造を表し、nは2以上の整数を表す。)
【0072】
【化31】

【0073】
(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0074】
【化32】

【0075】
(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【0076】
【化33】

【0077】
(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)
本発明により、式(7)で表される重合体が提供される。
【0078】
【化34】

【0079】
(式(7)において、YおよびZの一方もしくは両方が式(2)で表される構造を表し、一方のみが式(2)で表される構造を表す場合他方は水素原子もしくはメチル基を表し、nは2以上の整数を表す。)
【0080】
【化35】

【0081】
(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0082】
【化36】

【0083】
(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【0084】
【化37】

【0085】
(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)
二次電池において電極活物質は電極反応により酸化もしくは還元されるため、電極活物質は出発状態と酸化もしくは還元状態の二つの状態を取る。本発明において、前記活物質は出発状態と酸化もしくは還元された状態の何れかの状態で、式(1)もしくは式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体とすることができる。
【0086】
本発明は、上記の化合物が電極活物質として優れていることを見出したことに基づいてなされたものである。これは、式(1)もしくは式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体が、副反応をほとんどおこさない、ほぼ100%の割合で可逆に安定した酸化還元反応を起こすことによる。すなわち、式(1)もしくは式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体を活物質として用いた二次電池は、充放電を安定して行うことができ、サイクル特性に優れた二次電池となる。また、式(1)もしくは式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体は、炭素、窒素、水素、酸素という質量の小さい元素のみから構成することができる。このため、活物質の質量を小さくでき、これを用いて製造した電極の単位質量あたりの容量密度はおおきくなり、その結果、この活物質を用い電池を作製した場合、質量当たりのエネルギー密度が大きな電池となる。
【0087】
また、本発明では、正極、もしくは負極での電極反応に、前記式(1)もしくは式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体が直接寄与しており、これらを活物質材料として用いる電極は正極もしくは負極のいずれかに限定されるものではない。ただし、エネルギー密度の観点から、特に正極の電極活物質としてこの重合体を用いることが好ましい。また、本発明の二次電池は、高容量が得られるという点から特にリチウム二次電池であることが好ましい。
【発明の効果】
【0088】
本発明は、活物質として式(1)または(5)で表される単位を分子中に有する重合体を用いた新規な電池を提案したものである。これにより、電極活物質として重金属を含まない軽くて安全な元素から構成される電池を作製することを可能とするものであり、また、高容量(質量当たり)で充放電サイクルの安定性に優れた二次電池を実現できる。
【0089】
また本発明により、二次電池の活物質に好適に用いることのできる重合体、およびこの重合体を得るために好適に用いることのできる単量体が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0090】
図1に本発明の電池の一実施形態の構成を示す。図1に示された電池は、正極5と負極集電体1上に配置した負極3とを電解質を含むセパレーター4を介して対向するように重ね合わせ、さらに正極5上に正極集電体6を重ね合わせた構成を有している。負極集電体1と正極集電体6との間には、両者の電気的接触を防ぐ目的で、プラスティック樹脂等の絶縁性材料からなる絶縁パッキン2が配置される。なお、固体電解質やゲル電解質を用いる場合は、セパレータに代えてこれら電解質を電極間に介在させる形態にすることもできる。
【0091】
本実施形態では、このような構成において、負極3もしくは正極5または両電極に用いられる活物質が、前記式(1)もしくは式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体である。
【0092】
本発明の電池は、電池容量の点から、正極活物質として前記式(1)もしくは式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体を含有する正極を有するリチウム二次電池とすることが好ましい。
【0093】
なお、本明細書において、化学式中に記載されるnおよびmは、それぞれ独立に2以上の整数を表す。
【0094】
[1]活物質
本発明における電極の活物質とは、充電反応および放電反応等の電極反応に直接寄与する物質のことであり、電池システムの中心的役割を果たすものである。
【0095】
[1−1]式(1)で表される部分構造を有する化合物
本発明では活物質として式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体を用いることができる。
【0096】
【化38】

【0097】
(式(1)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは式(2)で表される構造を表す。)
【0098】
【化39】

【0099】
(式(5)において、YおよびZの一方もしくは両方が式(2)で表される構造を表し、一方のみが式(2)で表される構造を表す場合他方は水素原子もしくはメチル基を表す。)
本発明において活物質として用いられる式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体の形状は鎖状、分岐状、網目状であってよい。活物質が電池用電解液に不溶であると、充放電サイクルの安定性が高くなる。この観点から、活物質は高分子化合物であることが好ましく、重量平均分子量が1000以上の高分子化合物であることがより好ましい。また製造のしやすさという観点から重量平均分子量100万以下が好ましい。
【0100】
式(1)または式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体は、式(1)または式(5)で表される構造を繰り返し単位とするホモポリマーでもよく、また他の構造の繰り返し単位との共重合体でもよい。しかし、電池の容量が大きくなるという観点から、式(1)または式(5)で表される構造を有する繰り返し単位は、すべての単位に対して30%(モル比)以上の重合率であることが望ましい。活物質は式(1)または式(5)で表される構造を有する化合物のみから構成されていても、他の活物質と組み合わせ活物質の一部として構成されていてもよい。二次電池の特性がよくなる(高エネルギー密度、高容量、高安定性がすぐれる)という観点からすると(1)、または式(5)で表される構造を有する化合物のみから構成されるほうがよい。
【0101】
また、活物質は式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体のみから構成されていても、他の活物質と組み合わせ活物質の一部として構成されていてもよい。式(1)で表される構造単位を有する重合体と式(5)で表される構造単位を有する重合体とを混合して用いることもできる。式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体の量(式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体を複数用いる場合はそれらの合計量)は、活物質の総量に対して、高容量化の観点から10質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましい。
【0102】
式(1)で表される構造単位を有する重合体の例として、以下の式(10)から式(18)の構造をもつ重合体が挙げられる。
【0103】
【化40】

【0104】
【化41】

【0105】
【化42】

【0106】
【化43】

【0107】
【化44】

【0108】
【化45】

【0109】
【化46】

【0110】
【化47】

【0111】
【化48】

【0112】
式(5)で表される構造単位を有する重合体の例として、以下の式(19)から式(24)の構造を持つ重合体が挙げられる。
【0113】
【化49】

【0114】
【化50】

【0115】
【化51】

【0116】
【化52】

【0117】
【化53】

【0118】
【化54】

【0119】
本発明における式(1)で表される構造単位を重合体に有する重合体は、以下の方法で得ることができる。例えば1,3,5−トリブロモベンゼンより式(25)で表される化合物を合成し、この化合物のヒドロキシル基を適当な保護基により保護し、これにウイティッヒ(wittig)反応、鈴木ビニルカップリング反応、スチル(Stille)クロスカップリング反応などにより式(26)で表される化合物を合成する。適当な重合法(ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合)によりこれのみを単独重合、または他の構造の単量体と共重合し、重合体を得た後、保護基を脱離し、式(27)で表される構造単位を有する重合体とする。これを、トルエン、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中で酸化銀、酸化鉛、酢酸鉛、塩化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等の酸化剤により酸化し、式(1)で表される構造単位を有する重合体を得ることができる。
【0120】
【化55】

【0121】
(式(25)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0122】
【化56】

【0123】
(式(26)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表し、Aは保護基を表す。)
【0124】
【化57】

【0125】
(式(27)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
具体的には、式(10)で表される重合体は以下の合成ルートで得ることができる。1,3,5−トリブロモベンゼンを出発物質とし、t−ブチルリチウムおよび2−メチル−2−ニトロソプロパンにより3、5−ジ−(N,N−t−ブチルヒドロキシアミノ)ブロモベンゼンとし、さらにt−ブチルジメチルシリルクロリドによりヒドロキシル基を保護し、3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)ブロモベンゼンとする。これにパラジウム触媒を用いてトリブチルビニルスズとスチル(Stille)クロスカップリング反応させビニル基を構築し、3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)スチレンを合成する。これをテトラヒドロフラン中開始剤としてアゾイソブチロニトリルを用いラジカル重合により重合した後、テトラヒドロフラン中テトラブチルアンモニウムフルオライドを用いt−ブチルジメチルシリル基を脱保護し、ポリ(3、5−ジ−(N,N−t−ブチルヒドロキシアミノ)スチレン)する。このポリマーをテトラヒドロフラン中酸化銀により酸化し、式(10)で表される重合体を得る。
【0126】
また、式(11)、式(12)で表される重合体は、3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)スチレンとそれぞれ無水マレイン酸、アクリロニトリルと共重合したのち、同様な操作を行えば得ることができる。
【0127】
そのほかの重合体に関しても、例えば、式(14)で表される重合体は、式(10)で表される重合体を得る方法と同様にして、ただし、2−メチル−2−ニトロプロパンの代わりに、2−フェニル−2−ニトロソプロパンを用いることにより得ることができる。また、式(15)で表される重合体も、同様に、ニトロソトリフルオロメタンを用いることにより合成できる。また、式(16)、式(17)、式(18)で表される重合体も、2−メチル−2−ニトロプロパンの代わりに、同様にそれぞれニトロソベンゼン、1−フルオロ−4−ニトロソベンゼン、p−ニトロソアニソールを用いることにより合成できる。
【0128】
また、式(1)で表される構造単位を分子中に有する重合体は、ニトロキシル構造を有する式(8)で表される単量体を重合することによっても得られる。例えば、式(28)で表されるヒドロキシルアミン化合物をトルエン、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中で酸化銀、酸化鉛、酢酸鉛、塩化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等の酸化剤により酸化し、式(8)で表されるニトロキシル構造を有する単量体とし、これをアニオン重合などで重合することにより得ることもできる。
【0129】
【化58】

【0130】
(式(28)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表し、Aは保護基を表す。)
【0131】
【化59】

【0132】
(式(8)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは式(2)で表される構造を表す。)
また、式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体は以下の方法で得ることができる。式(25)で表される化合物のヒドロキシル基を適当な保護基により保護し、これに薗頭−萩原アセチレンカップリング反応やスチル(Stille)アセチレンカップリング反応などにより式(29)で表される化合物を合成する。遷移金属触媒によりこれのみを単独重合、または他の構造の単量体と共重合し、重合体を得る。使用可能な重合触媒としてはノルボルナジエンロジウム(I)クロリドダイマーなどのロジウム触媒、五塩化タンタルなどのタンタル触媒、六塩化タングステンなどのタングステン触媒などが挙げられる。得られた重合体を脱保護し、式(31)で表される構造単位を分子中に有する重合体とする。これを、トルエン、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中で酸化銀、酸化鉛、酢酸鉛、塩化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等の酸化剤により酸化し、式(5)で表される構造単位を有する重合体を得ることができる。
【0133】
【化60】

【0134】
(式(29)において、Y2およびZ2の一方もしくは両方が式(30)で表される構造を表し、一方のみが式(30)で表される構造を表す場合、他方は水素原子もしくはメチル基を表す。)
【0135】
【化61】

【0136】
(式(30)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表し、Aは保護基を表す。)
【0137】
【化62】

【0138】
(式(31)において、Y3およびZ3の一方もしくは両方が式(32)で表される構造を表し、一方のみが式(32)で表される構造を表す場合、他方は水素原子もしくはメチル基を表す。)
【0139】
【化63】

【0140】
(式(32)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
具体的には、式(19)、式(20)で表される重合体は以下の合成ルートで得ることができる。3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)ブロモベンゼンを出発物質とし、薗頭−萩原アセチレンカップリング反応で3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)エチニルベンゼンを合成し、これをノルボルナジエンロジウム(I)クロリドダイマーで重合する。得られたポリマーのt−ブチルジメチルシリル基をテトラブチルアンモニウムフルオライドなどで脱保護したのち、酸化銀、酸化鉛、酢酸鉛、塩化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等により酸化する。これにより安定ラジカルを発生させ式(19)で表される重合体を得る。また、同様に、3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)ブロモベンゼンを出発物質とし、薗頭−萩原アセチレンカップリング反応で3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)プロピニルベンゼンを合成し、重合、脱保護、酸化することにより式(20)で表される重合体を得ることができる。
【0141】
また、式(5)で表される構造単位を分子中に有する重合体は、ニトロキシル構造を有する式(9)で表される単量体を重合することによっても得られる。例えば、式(33)で表されるヒドロキシルアミン化合物をトルエン、ジクロロメタンなどの適当な溶媒中で酸化銀、酸化鉛、酢酸鉛、塩化鉄(III)、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム等の酸化剤により酸化し、式(9)で表されるニトロキシル構造を有する単量体とし、これをアニオン重合などで重合することにより得ることもできる。
【0142】
【化64】

【0143】
(式(33)において、Y3およびZ3の一方もしくは両方が式(32)で表される構造を表し、一方のみが式(32)で表される構造を表す場合、他方は水素原子もしくはメチル基を表す。)
【0144】
【化65】

【0145】
(式(32)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【0146】
【化66】

【0147】
(式(9)において、YおよびZの一方もしくは両方が式(2)で表される構造を表し、一方のみが式(2)で表される構造を表す場合他方は水素原子もしくはメチル基を表す。)
本発明の二次電池において活物質は固体状態であっても、また、電解質へ溶解または分散した状態であってもよい。ただし、固体状態で用いる場合、電解液への溶解による容量低下が少ないため、電解液に対し不溶性または低溶解性のものが好ましい。また、本発明の電池の一つの極において、活物質である式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体は、単独で用いることができるが、二種類以上を組み合わせて用いても良い。また、他の活物質と組み合わせて用いても良い。
【0148】
本発明の電池は正極もしくは負極の一方の電極反応、または両方の電極反応における活物質として前記式(1)または式(5)で表される部分構造を有する化合物を用いるが、このうち、一方の電極反応に活物質として用いる場合、もう一方の電極に電池の活物質として従来公知のものが利用できる。
【0149】
例えば負極に式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体を用いる場合には、正極として金属酸化物粒子、ジスルフィド化合物、および導電性高分子等を用いることができる。ここで、金属酸化物としては例えばLiMnO2、LiXMn24(0<x<2)等のマンガン酸リチウムあるいはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO2、LiCoO2、LiNiO2、あるいはLiX25(0<x<2)等が、ジスルフィド化合物としてはジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオール等が、また、導電性高分子にはポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。本発明ではこれらの正極材料を単独、もしくは組み合わせて使用することもできる。また、正極において従来公知の活物質であるLiMnO2、LiXMn24(0<x<2)等のマンガン酸リチウムあるいはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO2、LiCoO2、LiNiO2、あるいはLiX25(0<x<2)等の金属酸化物、ジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオール等のジスルフィド化合物、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子や他のラジカル化合物と前記ニトロキシルラジカル化合物とを混合して複合活物質として用いてもよい。
【0150】
一方、前記式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体を正極に用いた場合には負極としてグラファイトや非晶質カーボン、リチウム金属やリチウム合金、リチウムイオン吸蔵炭素、導電性高分子等を用いることができる。これらの形状としては特に限定されず、例えばリチウム金属では薄膜状のものに限らず、バルク状のもの、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等であっても良い。また、これらの負極活物質を単独、もしくは組み合わせて使用できる。また、負極において従来公知の活物質と組み合わせて用いても良い。
【0151】
[2]補助導電材およびイオン伝導補助材
前記式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体を用いて電極を形成する場合に、インピーダンスを低下させる目的で、補助導電材やイオン伝導補助材を混合させることもできる。これらの材料としては、補助導電材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられ、イオン伝導補助材としては高分子ゲル電解質、高分子固体電解質等が挙げられる。
【0152】
[3]結着剤
電極の各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。
【0153】
[4]触媒
電極反応をより円滑に行うために、酸化還元反応を助ける触媒を用いることもできる。このような触媒としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子、ピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、アクリジン誘導体等の塩基性化合物、金属イオン錯体等が挙げられる。
【0154】
[5]集電体およびセパレータ
負極集電体、正極集電体として、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔、金属平板、メッシュ状などの形状のものを用いることができる。また、集電体に触媒効果を持たせたり、活物質と集電体とを化学結合させたりしてもよい。一方、上記の正極、および負極が接触しないようにポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルムや不織布などのセパレーターを用いることもできる。
【0155】
[6]電解質
本発明において、電解質は、負極と正極の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、20℃で10-5〜10-1S/cmのイオン伝導性を有していることが好ましい。電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。電解質塩として、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、Li(C25SO22N、Li(CF3SO23C、Li(C25SO23C等の従来公知の材料を用いることができる。
【0156】
また,電解液に溶剤を用いる場合、溶剤としては例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶剤を単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。
【0157】
さらに、本発明では電解質として固体電解質を用いることもできる。これら固体電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体や、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、これらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体などが挙げられる。これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを用いても、高分子化合物のみをそのまま用いても良い。
【0158】
[7]電池形状
本発明において、電池の形状は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。電池形状としては、電極積層体、あるいは巻回体を金属ケース、樹脂ケース、あるいはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムからなるラミネートフィルム等によって封止したもの等が挙げられ、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等で作製されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0159】
[8]電池の製造方法
電池の製造方法としては特に限定されず、材料に応じて様々な方法を用いることができる。例えば、活物質に溶剤を加えスラリー状にして電極集電体に塗布し、加熱もしくは常温で溶剤を揮発させたのちに、対極、セパレータを挟んで積層または巻回して外装体で包み、電解液を注入して封止するといった方法である。スラリー化のための溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等のアミン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素等が挙げられる。
【0160】
電池を製造する際には、活物質として前記式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体そのものを用いて電池を製造する場合と、電極反応によって前記式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体に変化する化合物を用いて電池を製造する場合とがある。このような電極反応によって前記式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体に変化する化合物の例としては、前記式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体を還元したアニオン体とリチウムイオンやナトリウムイオンといった電解質カチオンとからなるリチウム塩やナトリウム塩、あるいは、前記式(1)または式(5)で表される構造単位を有する重合体を酸化したカチオン体とPF6-やBF4-といった電解質アニオンとからなる塩などが挙げられる。
【0161】
本発明に於いて、電極からのリードの取り出し、外装等のその他の製造条件は二次電池の製造方法として従来公知の方法を用いることができる。
【実施例】
【0162】
以下、本発明の詳細について合成例、実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0163】
(合成例1)
1,3,5−トリブロモベンゼン10gを乾燥エーテル318mlに溶解した。これをドライアイスーメタノール浴にて冷却し、tert−ブチルリチウムを徐々に加えた。冷却浴をとり、室温になるまで放置した後、再びドライアイスーメタノール浴にて冷却し、2−メチル−2−ニトロソプロパン6.7gのエーテル溶液67mlを加えた。冷却浴をとり、室温にした後、10時間攪拌した。塩化アンモニウムを加え反応を終了した後、分液ロートに移し、水洗を3回行った。エーテル層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、エバポレーターにて溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒(ヘキサン/酢酸エチル=1/3(体積比))を溶出液としたフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカラム)により分離精製し、3、5−ジ−(N−t−ブチルヒドロキシアミノ)ブロモベンゼンを1.78g得た。
【0164】
3、5−ジ−(N−t−ブチルヒドロキシアミノ)ブロモベンゼン3.1gをN,N−ジメチルホルムアミド13.9ml溶解した。ここへtert−ブチルジメチルシリルクロライド6.93gを加え、さらにイミダゾール3.21gを加えた。60℃で加熱しながら15時間攪拌した後、室温まで放冷した。
【0165】
これをエーテル100mlに溶解し、分液ロートで水洗を3回行った。エーテル層を硫酸ナトリウム上で一晩乾燥後、エバポレーターにてエーテルを減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラム(溶離液ヘキサン)にて精製を行った。この結果、3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)ブロモベンゼン5.27gを得た。
【0166】
3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)ブロモベンゼン1.47g、テトラキス(トリフェニルホスホニウム)パラジウム78.1mg、ビスヒドロキシトルエン2.7mgをトルエン9.6mlに溶解した。トリブチルビニルスズ1gを加え、15時間100℃に加熱した。室温まで冷却後、エーテル100mlを加え、分液ロートにて水洗を3回行った。エーテル層を硫酸ナトリウムにて一晩乾燥後、エバポレーターにて溶媒を減圧留去し、残渣を溶離液としてヘキサンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲルカラム)にて分離精製した。これにより3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)スチレン(粘性液体)を1.47g得た。
【0167】
50mlナス型フラスコ中に3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)スチレン2.43gを入れ、ここへベンゼンを少量加えドラアイス−メタノール浴を用い凍結乾燥を行った。マグネット攪拌子を入れ、セプタムラバーでふたをした後、アルゴンガスを通じることにより、フラスコ内をアルゴン雰囲気とした。そこへ注射器を用いジブチルマグネシウムのヘプタン溶液(濃度0.97mol/L)0.25mlを加え、室温で30分間攪拌した。ドライアイスーメタノール浴にて−78℃とした後、注射器によりs−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液(濃度0.97mol/L)0.5mlを加え、3時間攪拌した。メタノール0.2mlを加え、室温にした後、メタノール300mlに少しづつ注ぐことにより再沈精製を行った。生じた白色粉末をグラスフィルター4Gでろ集し、40℃で6時間減圧乾燥を行うことによりポリ[3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)スチレン]1.14gを白色粉末で得た。得られたポリ[3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)スチレン]の分子量をクロロホルムを溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(カラム 東ソー株式会社製TSKgelGMHXL)を用いて測定した結果、数平均分子量2500(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.07であった。
【0168】
ポリ[3、5−ジ−(N,N−t−ブチル−t−ブチルジメチルシリルオキシアミノ)スチレン]1.0gを50mlナス型フラスコ中テトラヒドロフラン5.8mlに溶解し、ここへテトラブチルアンモニウムフルオライド2.06gを加え、室温で3時間攪拌した。反応液をエーテル300mlに少しづつ注ぐことにより再沈精製を行った。沈殿をろ収し、24時間40℃にて減圧乾燥を行うことにより、ポリ[3、5−ジ−(N−t−ブチルヒドロキシアミノ)スチレン0.83gを得た。
【0169】
ポリ[3、5−ジ−(N−t−ブチルヒドロキシアミノ)スチレン]0.5gをトルエン20mlに溶解した。ここへ酸化銀(I)0.3gを加え、24時間攪拌した。ろ過により酸化銀をろ別した後、メタノール100mlに少量づつ注ぐことにより再沈精製を行った。沈殿をろ収し、24時間40℃にて減圧乾燥を行うことにより、式(A)で表されるポリ[3、5−ジ−(N−t−ブチルヒドロキシアミノ)スチレン]0.36gを得た。
【0170】
(実施例1)
ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン](式(A)で表される化合物)300mg、グラファイト粉末600mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢を用い10分間混練することにより乾式混合した。なお、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の分子量をGPCにより測定した結果、重量平均分子量は820(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.12だった。得られた混合体を、圧力を掛けてローラー延伸することにより薄膜とした。これを、真空中80℃で一晩乾燥した後、直径12mmの円形に打ち抜き、コイン電池用電極を成型した。なお、この正極の質量は18.1mgだった。
【0171】
次に、得られた電極を電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1mol/lのLiPF6電解質塩を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合比3:7(体積比))を用いた。電解液を含浸させた電極は、正極集電体(アルミニウム)上に置き、その上に同じく電解液を含浸させたポリプロピレン多孔質フィルムセパレータを積層した。さらに負極となるリチウム張り合わせ銅箔を積層し、絶縁パッキンで周囲を被覆された負極集電体(ニッケル)を重ね合わせた。これを、かしめ機によって圧力を加えることにより密閉し、正極活物質としてポリ[3,5−ジ−(N−tert−ブチルニトロキシル)スチレン]、負極活物質として金属リチウムを用いたコイン電池とした。
【0172】
作製したコイン電池を1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.3V付近で42分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.2〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.3V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン電池の容量は、正極活物質1gあたり162mAhだった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は97.7%だった。
【0173】
【化67】

【0174】
(実施例2)
ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン](式(A)で表される化合物)の粉末600mg、アセチレンブラック粉末225mg、人造黒鉛粉末548mg、スチレン・ブタジエンラテックス粉末の40重量%水溶液160mg、メチルセルロースの2重量%溶液3.19g、水1.5mlを混ぜ合わせ、さらにホモジナイザーを用い均一化することによりスラリーを得た。スラリー15mgをドクターブレード法によりアルミニウム箔表面において薄膜とした。これを直径12mmの円形に打ち抜き電極とした。得られた電極を電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1mol/lのLiN(C25SO22を含有するエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合体積比3:7)を用いた。電解液を含浸させた電極上に、その上に同じく電解液を含浸させたポリプロピレン多孔質フィルムセパレータを積層した。さらに負極となるリチウム金属板を積層し、絶縁パッキンで被覆された銅箔(負極集電体)を重ね合わせた。こうして作られた積層体をかしめ機によって圧力を加えることにより、密閉型のコイン型電池とした。
【0175】
以上のように作製したコイン電池を1mAの定電流で充電し、4.2Vまで電圧が上昇した直後に、1mAの定電流で放電を行った。その結果、放電時に3.3V付近で電圧が約52分間、一定となった。その後、急激に電圧は低下した。さらに4.2V〜2.2Vの範囲で充放電を10回繰り返した結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.3V付近で電圧が一定になることが確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。正極活物質単位質量あたりの容量を計算したところ160mAh/gだった。
【0176】
(実施例3)
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)−α−メチルスチレン](式(B)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は20.2mgであった。なお、用いたポリ(3,5−ジ−t−ブチルニトロキシル−α−メチルスチレン)の数平均分子量は、1280(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.32だった。
【0177】
作製したコイン電池を1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.3V付近で45分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.2〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.3V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン電池の容量は、正極活物質1gあたり134mAhだった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は93.7%だった。
【0178】
【化68】

【0179】
(実施例4)
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−t−トリフルオロメタンニトロキシル)スチレン](式(C)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は20.4mgであった。なお、用いたポリ[3,5−ジ−(N−t−トリフルオロメタンニトロキシル)スチレン]の数平均分子量は、930(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.24だった。
【0180】
作製したコイン電池を1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.3V付近で45分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.2〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.3V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン電池の容量は、正極活物質1gあたり143mAhだった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は94.2%だった。
【0181】
【化69】

【0182】
(実施例5)
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−p−メトキシフェニルニトロキシル)スチレン](式(D)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は22mgであった。なお、用いたポリ[3,5−ジ−(N−p−メトキシフェニルニトロキシル)スチレン]の重量平均分子量は、7800(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.85だった。
【0183】
作製したコイン電池を0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.8V付近で41分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.4〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.8V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン電池の容量は、正極活物質1gあたり141mAhだった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は90.5%だった。
【0184】
【化70】

【0185】
(実施例6)
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)エチニルベンゼン](式(E)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は19.6mgであった。なお、用いたポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)エチニルベンゼン]の重量平均分子量は、802000(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.74だった。
【0186】
作製したコイン電池を0.1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、0.1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.3V付近で40分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.2〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.3V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン電池の容量は、正極活物質1gあたり137mAhだった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は92.7%だった。
【0187】
【化71】

【0188】
(実施例7)
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−(N−tブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン−alt−無水マレイン酸](式(F)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は19.1mgであった。なお、用いたポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン−alt−無水マレイン酸]の重量平均分子量は、24000(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は2.35だった。
【0189】
作製したコイン電池を1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.3V付近で35分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.2〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.3V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン電池の容量は、正極活物質1gあたり108mAhだった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は95.7%だった。
【0190】
【化72】

【0191】
(実施例8)
実施例1と同様にして、ただし、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]の代わりに、ポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン−co−アクリロニトリル)(共重合比3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン/アクリロニトリル=3/1)(式(G)で表される重合体)を用いて、コイン電池を作製した。このコイン電池の正極の質量は19.1mgであった。なお、用いたポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン−co−アクリロニトリル)の重量平均分子量は、42000(ポリスチレン換算)、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は2.12だった。
【0192】
作製したコイン電池を1mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.3V付近で38分間ほぼ一定となり、その後急激に低下した。これにより電池として動作していることを確認した。電圧が2.2Vまで低下したところで再び充電を行い、さらに、4.2〜2.2Vの範囲で充放電を50回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.3V付近で電圧が一定になることを確認し、この電池が二次電池として動作していることを確認した。このコイン電池の容量は、正極活物質1gあたり108mAhだった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は97.7%だった。
【0193】
【化73】

【0194】
(比較例1)
実施例1と同様な方法で、ただしポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]を用いず、代わりにグラファイト粉末を1.8gに増やして、コイン電池を作成した。さらに、作製した電池に対して、実施例1と同様にして充放電を行った。その結果、放電時に電圧平坦部はみられず電圧は急速に低下し、電池として十分に動作しなかった。
【0195】
また、この電池に対して、1mAの定電流を流して充電を試みたところ、電圧は瞬間的に上昇して4.5Vを超えたが、これをさらに放電したところ、電圧曲線に平坦部は認められず、この電池は二次電池として動作しないことが確認された。
【0196】
(比較例2)
実施例1と同様な方法で、ただしポリ[3,5−ジ−(N−t−ブチルニトロキシル)スチレン]を用いず、代わりにLiCoO2を0.3g用いて、コイン電池を作製した。作製した電池に対して、実施例1と同様にして50回充放電を繰り返した。その結果、活物質あたりの容量を計算したところ、94mAh/gであった。また、(50回目の放電容量)/(1回目の放電容量)は87%だった。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】本発明の電池の構成の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0198】
1 負極集電体
2 絶縁パッキン
3 負極
4 セパレータ
5 正極
6 正極集電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(6)で表される重合体。
【化1】

(式(6)において、R1〜R3はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは式(2)で表される構造を表し、nは2以上の整数を表す。)
【化2】

(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【化3】

(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【化4】

(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)
【請求項2】
式(7)で表される重合体。
【化5】

(式(7)において、YおよびZの一方もしくは両方が式(2)で表される構造を表し、一方のみが式(2)で表される構造を表す場合他方は水素原子もしくはメチル基を表し、nは2以上の整数を表す。)
【化6】

(式(2)において、R4およびR5はそれぞれ独立して式(3)もしくは式(4)で表される構造を表す。)
【化7】

(式(3)において、R6〜R8はそれぞれ独立してメチル基、フェニル基またはフッ素原子を表す。)
【化8】

(式(4)において、R9は水素原子、メチル基、tert−ブチル基、メトキシ基またはフッ素原子を表す。)

【図1】
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【公開番号】特開2008−150612(P2008−150612A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5617(P2008−5617)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【分割の表示】特願2003−16636(P2003−16636)の分割
【原出願日】平成15年1月24日(2003.1.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】