説明

二次電池用電極体及び二次電池並びに車両

【課題】巻回型の複数の発電要素を有する二次電池のデッドスペースを低減して体積エネルギー密度の向上を図ることができ、しかも過放電・過充電になる発電要素が発生し難くなる二次電池用電極体を提供する。
【解決手段】二次電池用電極体10は、活物質層11aを有する帯状正極11及び活物質層12aを有する帯状負極12が、両者の間に帯状のセパレータ13が介在する状態で巻回された巻回型の二次電池用電極体である。帯状正極11及び帯状負極12は、それぞれ1枚の帯状電極により巻回部14が2個存在するように巻回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用電極体及び二次電池並びに車両に係り、詳しくは複数の巻回型の電極部を有する二次電池用電極体及び二次電池並びにその二次電池を搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は再充電が可能であり、繰り返し使用することができるため電源として広く利用されている。近年、化石燃料の使用削減(二酸化炭素排出規制)が求められており、電気自動車やハイブリッド車等の主電源や補助電源に使用される二次電池では、大電流での充電及び放電や二次電池の大容量化が要求されるようになっている。
【0003】
そして、一般に大容量の二次電池は四角箱形の電池ケース内に巻回型の発電要素(電極体)を収容している。ところが、図8(a)に示すように、四角箱形の電池ケース51内に円筒状の巻回型の発電要素52を収容すると、電池ケース51の四隅の側面部に隙間(デッドスペース)が生じ、体積エネルギー密度が低下するという問題がある。隙間をなくすため電池ケース51を円筒形にしたとしても、二次電池を搭載する場所にスペースの無駄が生じ易く、特に電気自動車等の用途では多数の電池を並べて配置するために、このスペースの無駄をなくすことが困難になる。
【0004】
また、発電要素52として長円筒状の発電要素を1個だけ電池ケース51内に収容した場合にも、この長円筒状の湾曲した側面部に大きな隙間が生じるのを避けることはできない。図8(b),(c)に示すように、同じ大きさの電池ケース51内に長円筒状の2個の発電要素52を収容した場合と、4個の発電要素52を収容した場合とを比較すると、4個の発電要素52を収容した場合の方が隙間(ハッチングを施した部分)の合計が小さくなる。
【0005】
そこで、従来、帯状の正負の電極を帯状のセパレータを介して長円筒形に巻回した巻回型の発電要素を複数個(例えば2個)、長円筒形の平坦な側面同士を合わせて配置し並列に接続することにより単電池を構成した電池が提案されている。複数個の発電要素は、一方の端面側の活物質非塗布部に金属板を波板状に繰り返し屈曲させた正極集電体(正極集電端子)が接続され、他方の端面側の活物質非塗布部に金属板を波板状に繰り返し屈曲させた負極集電体(負極集電端子)が接続されている。従って、2個の発電要素は、電池ケース内で並列に接続されて1個の単電池を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−223109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された二次電池は、巻回型の複数の発電要素を1個の電池ケース51に収容して1個の単電池を構成しているため、同じ大きさの1個の電池ケース51内に1個の巻回型の発電要素を収容した場合に比べてデッドスペースを小さくすることはきる。しかし、複数個の発電要素が集電端子で並列に接続された構成のため、各発電要素に内部抵抗の差があることに起因して、各発電要素の容量バランスに差が出るため、過放電・過充電になる発電要素が発生し易い。
【0008】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、巻回型の複数の発電素子を有する二次電池のデッドスペースを低減して体積エネルギー密度の向上を図ることができ、しかも過放電・過充電になる発電要素が発生し難い二次電池用電極体及び二次電池並びにその二次電池を搭載した車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、活物質層を有する帯状正極及び活物質層を有する帯状負極が、両者の間に帯状のセパレータが介在する状態で巻回された巻回型の二次電池用電極体であって、前記帯状正極及び前記帯状負極は、それぞれ1枚の帯状電極により巻回部が2個存在するように巻回されている。
【0010】
この発明の二次電池用電極体を四角箱状の電池ケースに収容して構成された二次電池は、同じ電池ケースに1個の巻回部で形成された二次電池用電極体を収容して構成された二次電池に比べて、デッドスペースが小さくなる。したがって、巻回型の複数の発電要素を有する二次電池のデッドスペースを低減して体積エネルギー密度の向上を図ることができ、しかも過放電・過充電になる発電要素が発生し難くなる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記帯状正極及び前記帯状負極は、それぞれ継ぎ目のない1枚の帯状電極で形成されている。したがって、この発明では、各巻回部を構成する帯状正極及び帯状負極の長さを同じにすることにより、二次電池21を構成したときに各巻回部の容量を同じにすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記帯状正極及び前記帯状負極は、それぞれ2枚の帯状電極の端部同士が接合された1枚の帯状電極で形成されている。2個の巻回部が存在するように帯状電極を巻回するには1個の巻回部を巻回する巻回装置では巻回することができず、新たな装置が必要になる。しかし、帯状正極及び帯状負極がそれぞれ2枚の帯状電極の端部同士が接合された1枚の帯状電極で構成されたことを許容すると、1個の巻回部を巻回する巻回装置で形成された2個の巻回部を構成する帯状正極同士及び帯状負極同士をそれぞれ接合することで、2個の巻回部を有する二次電池用電極体を製造することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記帯状正極及び前記帯状負極には、それぞれ巻回された状態で、それぞれ複数の正極用タブ部と複数の負極用タブ部が一体に巻回軸方向の同じ側に突出形成されているとともに、複数の前記正極用タブ部同士と複数の前記負極用タブ部同士はそれぞれ巻回軸に対する径方向に重なる。この発明の二次電池用電極体を使用すると、帯状正極の正極用タブ部及び帯状負極の負極用タブ部が巻回軸方向の反対側に突出形成されている二次電池用電極体を使用した場合に比べて、二次電池のデッドスペースを低減して体積エネルギー密度の向上を図ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の二次電池用電極体が複数個、1個の正極用集電端子及び1個の負極用集電端子を介して並列に接続されている二次電池用電極体である。この発明の二次電池用電極体は、1個の巻回部を有する二次電池用電極体が混在する状態で1個の正極用集電端子及び1個の負極用集電端子を介して並列に接続した二次電池用電極体に比べて、正極用集電端子及び負極用集電端子との接続の手間が少なくなる。また、この発明の二次電池用電極体を使用して二次電池を構成した場合は、後者の二次電池用電極体を使用して構成した二次電池に比べて、各発電要素の内部抵抗の差に起因して容量バランスに差が出難く、過放電・過充電になる発電要素が発生し難くなる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の二次電池用電極体を備えた二次電池である。この発明の二次電池は、1個の巻回部を有する複数の二次電池用電極体を1個の正極用集電端子及び1個の負極用集電端子を介して並列に接続した二次電池用電極体を備えた二次電池に比べて、過放電・過充電になる発電要素が発生し難くなる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の二次電池を搭載した車両である。したがって、この発明の車両は請求項6に記載の二次電池の効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、巻回型の複数の発電要素を有する二次電池のデッドスペースを低減して体積エネルギー密度の向上を図ることができ、しかも過放電・過充電になる発電要素が発生し難い二次電池用電極体及び二次電池並びにその二次電池を搭載した車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態を示し、(a)は二次電池用電極体の概略斜視図、(b)は2個の巻回部の巻回状態を示す模式図、(c)は正極、負極及びセパレータの関係を示す巻回途中の二次電池用電極体の概略斜視図。
【図2】集電端子とタブ部との関係を示す概略分解斜視図。
【図3】二次電池の模式断面図。
【図4】第2の実施形態の二次電池用電極体の概略分解斜視図。
【図5】別の実施形態の二次電池用電極体の正極と負極との接合関係を示す概略斜視図。
【図6】(a)は別の実施形態の二次電池用電極体の概略斜視図、(b)は別の実施形態の2個の巻回部の巻回状態を示す模式図。
【図7】別の実施形態の二次電池の模式断面図。
【図8】(a),(b),(c)は四角箱状のケースに発電要素を収容した場合の発電要素の数と無駄なスペースとの関係を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1(a)〜(c)に示すように、二次電池用電極体10は、帯状正極11及び帯状負極12が、両者の間に帯状のセパレータ13が介在する状態で巻回された巻回型の二次電池用電極体である。この実施形態では、帯状正極11及び帯状負極12は、それぞれ1枚の帯状電極で形成されている。
【0020】
帯状正極11は、金属製の帯状の集電体に活物質が塗布された活物質層11aを有し、帯状負極12は、金属製の帯状の集電体に活物質が塗布された活物質層12aを有する。集電体は、例えば帯状の銅箔で形成され、活物質層11a,12aはそれぞれ集電体の両面に形成されている。活物質は、例えば、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池のように二次電池の種類によって異なる。また、同じ種類の二次電池でも正極用の活物質と負極用の活物質とでは異なる。
【0021】
帯状正極11、帯状負極12及びセパレータ13は、長円筒形状の巻回部14が2個存在するように巻回されており、2個の巻回部14はそれぞれ容量が同じに形成されている。即ち、2個の巻回部14はそれぞれ帯状正極11及び帯状負極12の長さが同じになるように形成されている。図1(b)に示すように、帯状正極11、帯状負極12及びセパレータ13の巻回方向は、2個の巻回部14でそれぞれ内側から外側に向かって右巻き(同方向)になっている。なお、図1(b)は、帯状正極11、帯状負極12及びセパレータ13の巻回方向を示す図であり、帯状正極11、帯状負極12及びセパレータ13の4枚をまとめて1本の線で表している。
【0022】
2個の巻回部14の一方の巻回部14では、帯状正極11が帯状負極12の内側に配置され、セパレータ13は帯状正極11と帯状負極12との間に配置されるものと、帯状負極12の外側に配置されるものとの2枚が存在し、最外層がセパレータ13となる。また、他方の巻回部14では、最外層が帯状正極11となり、最外層側から帯状正極11、セパレータ13、帯状負極12、セパレータ13の順となるように巻回されている。
【0023】
帯状正極11及び帯状負極12には、それぞれ巻回された状態で、それぞれ複数の正極用タブ部11bと複数の負極用タブ部12bが一体に巻回軸方向の同じ側に突出形成されているとともに、複数の正極用タブ部11b同士と複数の負極用タブ部12b同士はそれぞれ巻回軸に対する径方向に重なる。正極用タブ部11b及び負極用タブ部12bは帯状正極11あるいは帯状負極12の活物質層11a,12aが形成されていない部分である活物質非塗布部で形成されている。
【0024】
前記のように構成された二次電池用電極体10は、図2に示すように、帯状正極11の正極用タブ部11bに正極用集電端子15が接続され、帯状負極12の負極用タブ部12bに負極用集電端子16が接続されることにより、2個の巻回部14即ち発電要素が並列に接続される。正極用集電端子15及び負極用集電端子16は、それぞれ金属板を波板状に屈曲させたものであり、波板部15a,16aの各間隙に正極用タブ部11bや負極用タブ部12bを多数枚ずつ挟み込んで両側から押さえ付け、超音波溶接やレーザー溶接等により溶着させることで接続を行う。また、正極用集電端子15及び負極用集電端子16には、それぞれ波板部15a,16aの部分の中央から突出した接続部15b,16bが形成されている。
【0025】
図3に示すように、二次電池用電極体10は、電池ケース17に収容されるとともに正極用集電端子15の接続部15bが正極端子18に固定されて正極端子18に電気的に接続され、負極用集電端子16の接続部16bが負極端子19に固定されて負極端子19に電気的に接続される。そして、電池ケース17に注入された電解液20と共に二次電池21が構成される。
【0026】
前記の構成の二次電池用電極体10を用いた二次電池21は種々の用途に使用されるが、例えば車両に搭載した状態でも使用される。
次に前記のように構成された二次電池21の作用を説明する。二次電池21の放電時、二次電池21を構成する発電要素としての巻回部14から正極用集電端子15を介して電流が取り出される。このとき、各巻回部14が独立して形成された構成の場合は、各巻回部14における内部抵抗が異なり、各発電要素に内部抵抗の差があることに起因して、各発電要素の容量バランスに差が出るため、過放電になる発電要素が発生し易い。また、充電時にも、各発電要素の容量バランスに差が出るため、過充電になる発電要素が発生し易い。しかし、この実施形態の二次電池21に使用されている二次電池用電極体10は、2個の巻回部14を構成する帯状正極11及び帯状負極12は、それぞれ1枚の帯状電極で形成されているため、各発電要素に内部抵抗の差がなく、過放電・過充電にならない。
【0027】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)二次電池用電極体10は、活物質層11aを有する帯状正極11及び活物質層12aを有する帯状負極12が、両者の間に帯状のセパレータ13が介在する状態で巻回された巻回型の二次電池用電極体である。そして、帯状正極11及び帯状負極12は、それぞれ1枚の帯状電極により巻回部14が2個存在するように巻回されている。この二次電池用電極体10を四角箱状の電池ケース17に収容して構成された二次電池21は、同じ電池ケース17に1個の巻回部で形成された二次電池用電極体を収容して構成された二次電池に比べて、デッドスペースが小さくなる。したがって、巻回型の複数の発電要素を有する二次電池21のデッドスペースを低減して体積エネルギー密度の向上を図ることができ、しかも過放電・過充電になる発電要素が発生し難くなる。
【0028】
(2)帯状正極11及び帯状負極12は、それぞれ継ぎ目のない1枚の帯状電極で形成されている。したがって、各巻回部14を構成する帯状正極11及び帯状負極12の長さを同じにすることにより、二次電池21を構成したときに各巻回部14の容量を同じにすることができる。
【0029】
(3)二次電池21は、継ぎ目のない1枚の帯状電極で形成された帯状正極11及び帯状負極12で同じ容量に形成された2個の巻回部14を有する1個の二次電池用電極体10を電池ケース17に収容して構成されている。したがって、各発電要素の内部抵抗が同じになり、一部の発電要素が過放電・過充電になることを防止することができる。
【0030】
(4)帯状正極11及び帯状負極12には、それぞれ巻回された状態で、それぞれ複数の正極用タブ部11bと複数の負極用タブ部12bが一体に巻回軸方向の同じ側に突出形成されているとともに、複数の正極用タブ部11b同士と複数の負極用タブ部12b同士はそれぞれ巻回軸に対する径方向に重なる。したがって、この二次電池用電極体10を使用すると、正極用タブ部11b及び負極用タブ部12bが巻回軸方向の反対側に突出形成されている二次電池用電極体を使用した場合に比べて、二次電池21のデッドスペースを低減して体積エネルギー密度の向上を図ることができる。
【0031】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を図4にしたがって説明する。この実施形態は、巻回部14が2個存在する第1の実施形態の二次電池用電極体10を複数(2個)並列に接続した状態で二次電池21を構成している点が第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0032】
図4に示すように、二次電池用電極体30は、正極用集電端子25及び負極用集電端子26の基本構成は正極用集電端子15及び負極用集電端子16と同じで、波板部25a,26aの隙間の間隔及び数が第1の実施形態のものと異なっている。正極用集電端子25が4個の巻回部14の正極用タブ部11bに接続され、負極用集電端子26が4個の巻回部14の負極用タブ部12bに接続されることにより、4個の巻回部14即ち発電要素が並列に接続される。波板部25a,26aの部分の中央から突出した接続部25b,26bが形成されている。
【0033】
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(2)〜(4)と同様な効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)二次電池用電極体30は、複数個の二次電池用電極体10が1個の正極用集電端子25及び1個の負極用集電端子26を介して並列に接続されている。二次電池用電極体30は、巻回部の合計数が同じ場合、1個の巻回部を有する二次電池用電極体と、2個の巻回部を有する二次電池用電極体10とが混在する状態で1個の正極用集電端子25及び1個の負極用集電端子26を介して並列に接続した二次電池用電極体に比べて、正極用集電端子25及び負極用集電端子16との接続の手間が少なくなる。また、この二次電池用電極体30を使用して二次電池21を構成した場合は、後者の二次電池用電極体を使用して構成した二次電池に比べて、過放電・過充電になる発電要素が発生し難くなる。
【0034】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 2個の巻回部14は容量が同じではなく、多少違っていてもよい。
○ 帯状正極11及び帯状負極12をそれぞれ2枚の帯状電極が接合された1枚の帯状電極で形成してもよい。この場合、巻回方向が同じに製作した2個の巻回部14を、図5に示すように、その最外周に位置する帯状負極12の端部同士を接合により接合し、セパレータ13を挟んでその内側に位置する帯状正極11の端部同士を接合により接合する。なお、各巻回部14を構成するそれぞれ2枚のセパレータ13は必ずしも接続する必要はなく、2個の巻回部14からなる二次電池用電極体10はセパレータ13が4枚存在する状態になる。2個の巻回部14が存在するように帯状電極を巻回するには1個の巻回部を巻回する巻回装置では巻回することができず、新たな装置が必要になる。しかし、この実施形態の場合は、1個の巻回部14を巻回する巻回装置で形成された2個の巻回部を構成する各帯状正極11同士及び帯状負極12の端部同士をそれぞれ接合することで、2個の巻回部14を有する二次電池用電極体10を製造することができる。各巻回部14を構成する帯状正極11、帯状負極12、セパレータ13として同じ製造ロットのものを使用することで、各巻回部14の内部抵抗の差をできるだけ少なくすることができる。なお、接合は溶接に限らず、接着剤や半田で接合してもよい。
【0035】
○ 図6(a)に示すように、二次電池用電極体10は帯状正極11の活物質非塗布部11cと帯状負極12の活物質非塗布部12cとが巻回部14の巻回軸方向の反対側に位置する状態で巻回された構成としてもよい。この場合、正極用集電端子15,25や負極用集電端子16,26の接続位置の自由度が高くなるとともに、活物質非塗布部11c,12cの一部を切り欠き除去する必要がない。この構成の二次電池用電極体10を使用した二次電池21は、図7に示すように、二次電池用電極体10の巻回軸方向が電池ケース17の左右方向に延びる状態で電池ケース17に収容される。また、それに対応して、形状が異なる正極用集電端子15,25及び負極用集電端子16,26が使用される。
【0036】
○ 二次電池用電極体10を構成する2個の巻回部14を構成する帯状正極11、帯状負極12及びセパレータ13の巻回方向は、図6(b)に示すように、2個の巻回部14でそれぞれ内側から外側に向かって右巻きと左巻き(互いに逆方向)になっていてもよい。
【0037】
○ 正極用集電端子及び負極用集電端子は、それぞれ1個で二次電池用電極体10,30を構成する複数の巻回部14の帯状正極11の正極用タブ部11b及び帯状負極12の負極用タブ部12bと接合可能な形状であればよく、波板部15a,16a等を有さずに、複数の溶接面を有する形状であってもよい。
【0038】
○ 複数の巻回部14を有する二次電池用電極体は、第1の実施形態又は第2の実施形態の二次電池用電極体10を少なくとも1個含む複数個の巻回型の二次電池用電極体が、1個の正極用集電端子及び1個の負極用集電端子を介して並列に接続された構成であってもよい。例えば、二次電池用電極体は奇数個の巻回部14が1個の正極用集電端子及び1個の負極用集電端子を介して並列に接続された構成であってもよい。この二次電池用電極体を使用した二次電池の場合も、巻回部14を1個有する二次電池用電極体のみを所定の数、1個の正極用集電端子及び負極用集電端子を介して並列に接続された二次電池用電極体を使用して二次電池を構成した場合に比べて、過放電・過充電になる発電要素が発生し難くなる。
【0039】
○ 複数の二次電池用電極体10を直列に接続して二次電池用電極体を構成しても良い。
○ 帯状正極11の活物質非塗布部11cと帯状負極12の活物質非塗布部12cとが巻回部14の巻回軸方向の反対側に位置する状態で巻回された構成の二次電池用電極体10において、活物質非塗布部11c,12cはそれぞれ活物質層11a,12aに沿って帯状正極11あるいは帯状負極12の全長にわたって設けずに一部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10,30…二次電池用電極体、11…帯状正極、11a,12a…活物質層、11b…正極用タブ部、12b…負極用タブ部、12…帯状負極、13…セパレータ、14…巻回部、15,25…正極用集電端子、16,26…負極用集電端子、21…二次電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質層を有する帯状正極及び活物質層を有する帯状負極が、両者の間に帯状のセパレータが介在する状態で巻回された巻回型の二次電池用電極体であって、
前記帯状正極及び前記帯状負極は、それぞれ1枚の帯状電極により巻回部が2個存在するように巻回されていることを特徴とする二次電池用電極体。
【請求項2】
前記帯状正極及び前記帯状負極は、それぞれ継ぎ目のない1枚の帯状電極で形成されている請求項1に記載の二次電池用電極体。
【請求項3】
前記帯状正極及び前記帯状負極は、それぞれ2枚の帯状電極の端部同士が接合された1枚の帯状電極で形成されている請求項1に記載の二次電池用電極体。
【請求項4】
前記帯状正極及び前記帯状負極には、それぞれ巻回された状態で、それぞれ複数の正極用タブ部と複数の負極用タブ部が一体に巻回軸方向の同じ側に突出形成されているとともに、複数の前記正極用タブ部同士と複数の前記負極用タブ部同士はそれぞれ巻回軸に対する径方向に重なる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の二次電池用電極体。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の二次電池用電極体が複数個、1個の正極用集電端子及び1個の負極用集電端子を介して並列に接続されている二次電池用電極体。
【請求項6】
請求項5に記載の二次電池用電極体を備えた二次電池。
【請求項7】
請求項6に記載の二次電池を搭載した車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−105586(P2013−105586A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247667(P2011−247667)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】