説明

二環性アリール環又は二環性へテロアリール環を有するピラジン誘導体

【課題】十分なアルドース還元酵素阻害作用を示す、網膜症、腎症、神経障害等の糖尿病合併症の予防及び/又は治療剤を提供する。
【解決手段】式(1):


で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルドース還元酵素の阻害作用を有する新規低分子化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物、あるいはそれらを含有する網膜症、腎症、神経障害等の糖尿病合併症の予防及び/又は治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は“合併症の病気”とも言われ、慢性的に高血糖状態が続くことで様々な合併症を引き起こす。糖尿病三大合併症として糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害が挙げられ、これらは糖尿病に特異的な合併症である。そしてこの合併症が脳卒中、虚血性心疾患などの心血管疾患の発症や発展を促進するとされている。
【0003】
糖尿病による慢性的な高血糖状態では通常の糖代謝経路は飽和され、代謝しきれなくなったグルコースはポリオール代謝経路において代謝されるようになる。そして高血糖状態ではアルドース還元酵素が活性化されることが報告されており、ポリオール代謝経路を介して代謝されるグルコース量は通常よりも増加することが知られている。高血糖状態におけるポリオール代謝亢進により、ソルビトールやフルクトースの細胞内蓄積による浸透圧異常、NADPHの過剰消費による酸化ストレスの蓄積等の細胞内代謝異常が生じることが糖尿病合併症の発症原因であるとされている。このため、アルドース還元酵素を阻害することにより糖尿病合併症の発症や進行を抑制できると考えられ、これまで多くのアルドース還元酵素阻害剤の開発が行われてきた。
【0004】
これまでに開発が試みられたアルドース還元酵素阻害剤として以下に示すような低分子化合物が知られている。
【0005】
【化1】

【0006】
しかし、これらの阻害剤はインビトロ(in vitro)におけるヒト由来アルドース還元酵素(hAR)に対する活性評価で高い阻害活性を示し動物実験においても著効を示したにもかかわらず、臨床治験において脱落し、薬剤としての使用を認められていない化合物が多い。ソルビニルは重篤な副作用の出現、そして効力の低さから1996年に開発が中止されている(非特許文献1参照)。ゾポルレスタット及びトルレスタットは十分な効果が得られなかったために臨床治験は中止されている(非特許文献2及び3参照)。現在、国内ではフィダレスタット及びラニレスタットがそれぞれ第2相試験段階にある(非特許文献4及び5参照)。エパルレスタット(商品名:キネダック(登録商標))は糖尿病性神経障害治療薬として国内で認可され市販されているが、市販開始後から6年の間にその因果関係が否定できない重篤な肝機能障害が17例報告されたため、1998年6月に厚生労働省の医薬安全局発表による「医薬品等安全性情報No.148」で「重大な副作用」の項にその旨が記載され、注意喚起が行われている。このようにこれまで様々なアルドース還元酵素阻害剤の開発が試みられたが、副作用等の種々の問題を生じる、あるいは臨床上の薬理効果が十分でない等の理由から、糖尿病合併症の治療に対して十分な効力を発揮する治療薬は未だ上市されていない状態であった。
【0007】
一方、これら化合物とは別に、1999年にDuranらにより海棲生物である赤ホヤ(Botryllus leachi)より抗腫瘍物質として単離された化合物ボトリラジンB(botryllazine B)に非常に弱いながらもアルドース阻害活性があることが報告された(非特許文献6参照)。
【0008】
【化2】

【0009】
本発明者はこの低分子化合物に着目し、これに類似した構造を持つ多数の化合物についてアルドース還元酵素阻害活性を評価した。その結果、下記構造を有する化合物により強いアルドース還元酵素阻害活性が存在することを報告した(非特許文献7及び8参照)。
【0010】
【化3】

【0011】
[式中、Yは、ヒドロキシ基又はメトキシ基を示し、Aは、
【0012】
【化4】

【0013】
等を示す]。これらの化合物は、これまでに報告されてきた上記アルドース還元酵素阻害剤が有している主要骨格(例えば、ソルビニルが有するスピロ−ヒダントイン構造や、エパルレスタットが有するチアゾリジン骨格)を有していないという特徴を有しており、したがって上記既知の阻害剤において見られた副作用を回避し得る可能性がある。しかしながら、これらいずれの化合物も既に国内で許可販売されている糖尿病性神経障害治療薬に比して十分なアルドース還元酵素の阻害活性を示すものではなかった。
【0014】
一方で、前述した化合物とは別に、免疫抑制、炎症性疾患、アレルギー性疾患又は自己免疫疾患等の治療剤として、一般式:
【0015】
【化5】

【0016】
で示される化合物が報告されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】日本特許公表第2008−528520号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Sarges,R.;Schnur,R.C.;Belletire,J.L.;Peterson,M.J.J.Med.Chem.1988,31(1),230−243.
【非特許文献2】Sestanj,K.;Bellini,F.;Fung,S.;Abraham,N.;Treasurywala,A.;Humber,L.;Simard−Dequesne,N.;Dvornik,D. J.Med.Chem.1984,27(3),255−256.
【非特許文献3】Mylari,L.B.;Larson,R.E.;Beyer,A.T.;Zembrowski,J.W.;Aldinger,E.C.;Dee,F.M.;Siegel,W.T.;Singleton,H.D. J.Med.Chem.1991,34,108−122.
【非特許文献4】Matsumoto,T.;Ono,Y.;Kurono,M.;Kuromiya,A.;Nakamura,K.;Bril,V. J.Pharmacol.Sci.2008,107,231−237.
【非特許文献5】Asano,T.et al. J.Diabetes Complicat. 2002,16(2),133−138.
【非特許文献6】Manzanaro,S.et al.J.Nat.Prod.2006,69,1485−1487.
【非特許文献7】Saito,R.et al.;Tetrahedron 2009,65,3019−3026
【非特許文献8】齋藤良太,「オワンクラゲ由来発光物質類似体のアルドース還元酵素阻害活性」有機合成化学協会関東支部ミニシンポジウム講演要旨集,2009.12.5.(千葉)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、十分なアルドース還元酵素の阻害性を示し、副作用が存在しない等の観点から糖尿病合併症の予防及び/又は治療剤として有用な新規低分子化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る新規低分子化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、十分なアルドース還元酵素の阻害作用を示し、網膜症、腎症、神経障害等の糖尿病合併症の予防及び/又は治療剤として有用である。
【0021】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]式(1):
【0022】
【化6】

【0023】
[式(1)中、Arは、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、
から成る群より選ばれる置換基を互いに同一又は異なって1ないし7個有していてもよい二環性アリール環又は二環性へテロアリール環である]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【0024】
[2]式(1)中、Arは、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、
から成る群より選ばれる置換基を互いに同一又は異なって1ないし6個有していてもよい、窒素原子を1ないし4個含む、窒素および炭素原子8ないし11個から構成される二環性へテロアリール環である、前記[1]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【0025】
[3]式(1)中、Arは、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、
から成る群より選ばれる置換基を互いに同一又は異なって1ないし6個有していてもよい、(i)窒素原子1個及び(ii)炭素原子8個若しくは9個から構成される二環性へテロアリール環である、前記[1]または[2]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【0026】
[4]式(1)中、Arは、
【0027】
【化7】

【0028】
[式中、lは、0ないし6の整数であり、R1は互いに同一又は相異なって、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、から成る群より選ばれる置換基である]
である、前記[1]ないし[3]のいずれか1つに記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【0029】
[5]式(1)中、Arは、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、
から成る群より選ばれる置換基を互いに同一又は異なって1ないし7個有していてもよい炭素原子8ないし11個から構成される二環性アリール環である、前記[1]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【0030】
[6]式(1)中、Arは、
【0031】
【化8】

【0032】
[式中、mは、0ないし7の整数であり、R2は互いに同一又は相異なって、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、から成る群より選ばれる置換基である]
である、前記[5]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【0033】
[7]前記式(1)で表される化合物が、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンである、前記[1]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[8]前記式(1)で表される化合物が、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンである、前記[1]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[9]前記式(1)で表される化合物が、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(ナフタレン−2−イル)ピラジンである、前記[1]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[10]前記[1]に記載の式(1)で表される化合物の基本骨格の一部であるフェニル基に結合するヒドロキシル基が、アセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化又はジメチルアミノメチルカルボニル化されているプロドラッグ。
【0034】
[11]前記[1]ないし[9]のいずれか1つに記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物を含有するアルドース還元酵素阻害剤。
[12]前記[1]ないし[9]のいずれか1つに記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物を含有する糖尿病合併症の治療及び/又は予防剤。
[13]前記[1]ないし[9]のいずれか1つに記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物を含有する糖尿病性神経障害の治療及び/又は予防剤。
[14]前記[1]ないし[9]のいずれか1つに記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物を含有する糖尿病性末梢神経障害の治療及び/又は予防剤。
[15]前記[1]ないし[9]のいずれか1つに記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物を含有する糖尿病に起因する多発性末梢神経障害の治療および/または予防剤。
【0035】
[16]前記[1]ないし[9]のいずれか1つに記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物の有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする糖尿病合併症の治療及び/又は予防方法。
[17]糖尿病合併症の治療及び/又は予防剤を製造するための、前記[1]ないし[9]のいずれか1つに記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物の使用。
[18]糖尿病合併症の治療及び/又は予防に用いるための、前記[1]ないし[9]のいずれか1つに記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る式(1)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、十分なアルドース還元酵素の阻害作用を有し、哺乳動物に対して、例えば、網膜症、腎症、神経障害等の糖尿病合併症の予防及び/又は治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明について詳細に説明する。
[用語定義]
前記式(1)において各用語は次に示す意味を有する。
【0038】
「C1-6アルコキシ基」は、炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を意味する。「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。「C1-6アルカノイル基」は、炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルカノイル基を意味する。「C1-6アルカノイル基」としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。「C1-6アルカノイルオキシ基」は、炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルカノイルオキシ基を意味する。「C1-6アルカノイルオキシ基」としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
「C1-6アルコキシ−カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。「1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基」としては、例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基等が挙げられる。「1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基」としては、例えば、メチルカルバモイルオキシ基、エチルカルバモイルオキシ基、ジメチルカルバモイルオキシ基、ジエチルカルバモイルオキシ基、エチルメチルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0040】
「C1-6アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等が挙げられる。「C1-6アルカノイルチオ基」としては、例えば、アセチルチオ基、プロピオニルチオ基等が挙げられる。「モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基」としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。「モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基」としては、例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等が挙げられる。「ハロゲン原子」としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0041】
「C3-6シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。「C6-10アリール基」としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。「1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基」としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基等が挙げられる。
【0042】
「炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基」としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。これらの中で特にアルキル基が好ましい。該「アルキル基」としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等のC1-10アルキル基等が挙げられるが、C1-6アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)が好ましい。該「アルケニル基」としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、sec−ブテニル基等のC2-10アルケニル基等が挙げられるが、C2-6アルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基等)が好ましい。該「アルキニル基」としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基等のC2-10アルキニル基等が挙げられるが、C2-6アルキニル基(例えば、エチニル基等)が好ましい。
【0043】
「炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基」としては、例えば、脂環式炭化水素基、アリール基等が挙げられる。該「脂環式炭化水素基」としては、例えば、3ないし8個の炭素原子から構成される脂環式単環式の基、具体的には、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられる。該「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3-6シクロアルキル基等が挙げられる。該「シクロアルケニル基」としては、例えばシクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のC3-6シクロアルケニル基等が挙げられる。一方、該「アリール基」としては、例えば、6ないし10個の炭素原子から構成されるアリール基等が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0044】
本発明において「二環性アリール環又は二環性へテロアリール環」は、上記した置換基を互いに同一又は異なって1ないし7個有していてもよく、好ましくは1ないし6個有していてもよい。
【0045】
本発明において「二環性アリール環」は、好ましくは「炭素原子8ないし11個から構成される二環性アリール環」である。「二環性へテロアリール環」は、環を構成する原子として炭素原子以外に窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1ないし4個の、好ましくは1又は2個の、より好ましくは1個のヘテロ原子を含む、環原子数8ないし11個、好ましくは8ないし10個、より好ましくは9又は10個から構成される二環性へテロアリール環である。該二環性へテロアリール環中にヘテロ原子が2個以上含まれる場合、該ヘテロ原子は同一であっても異なってもよい。該ヘテロ原子として、窒素原子が好ましい。該「二環性へテロアリール環」として、具体的には、例えば、
【0046】
【化9】

【0047】
[式中、lは、0ないし6の整数であり、R1は前記と同義である]
等が挙げられる。lは、好ましくは0ないし3の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0048】
前記「炭素原子8ないし11個から構成される二環性アリール環」として、具体的には、例えば、
【0049】
【化10】

【0050】
[式中、mは、0ないし7の整数であり、R2は前記と同義である。]等が挙げられる。mは、好ましくは0ないし3の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0051】
本発明に係る式(1)で表される化合物は塩を形成していてもよい。該塩としては、特に限定されないが、例えば、本化合物が酸性部位を有する場合、無機塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)等が挙げられる。一方、本化合物が塩基性部位を有する場合、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)、あるいは有機酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)との酸付加塩等が挙げられる。
【0052】
本発明に係る式(1)で表される化合物若しくはその塩は溶媒和物であってもよい。該溶媒和物としては、水和物や各種の溶媒和物(例えば、エタノールなどのアルコールとの溶媒和物)が挙げられる。
【0053】
本発明に係る式(1)で表される化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等によって化合物(1)に変換される化合物を意味する。本発明に係る式(1)で表される化合物のプロドラッグとしては、例えば、式(1)で表される化合物の基本骨格の一部であるフェニル基に結合するヒドロキシル基が、アセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化又はジメチルアミノメチルカルボニル化されている化合物を挙げることができる。
【0054】
[製造方法]
本発明に係る式(1)で表される化合物は、公知の手段あるいはこれに準じた手段により製造することができる。例えば、下記合成経路図に示す方法により製造することができるが、これに限定されるものではない。また、必要に応じて官能基を保護して各反応を行ってもよい。保護、脱保護条件としては一般に用いられる方法(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition,John Wiley&Sons,Inc.)を参考にして行うことができる。
【0055】
[合成経路]
【0056】
【化11】

【0057】
[式中、Arは、前記と同義を示し、X1、X2及びX3はそれぞれ、塩素原子等のハロゲン原子を示す。]
【0058】
[反応工程1]
反応工程1は、溶媒の存在下、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(LTMP)を用いて、ハロゲン置換ピラジン化合物(i)とトリブチルスズハライドを反応させて対応するピラジン誘導体(ii)を製造する工程である。該反応では、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(LTMP)以外に塩基として、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、コリジン、ルチジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクテン(DABCO)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、トリメチルアミン等の有機塩基類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基類を使用することができる。反応に用いることができるこれら塩基の量は、通常、ハロゲン置換ピラジン化合物(i)に対して1当量あるいは過剰量である。好ましくは、3〜4当量用いることができる。
【0059】
溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等を用いることができる。これらのうち、エーテル系溶媒を用いることが好ましく、テトラヒドロフランを用いることがより好ましい。溶媒の量は、通常、ハロゲン置換ピラジン化合物(i)に対して、5〜25倍量(V/W)を用いることができる。反応温度は通常、例えば、−80〜−40℃で行うことができる。反応時間は通常、例えば、2〜5時間である。
【0060】
[反応工程2]
反応工程2は、溶媒中、カップリング反応用触媒の存在下、化合物(ii)とメトキシベンゾイルハライドを反応させて化合物(iii)を製造する工程である。該メトキシベンゾイルハライドは、化合物(ii)に対して、通常1当量以上用いることで反応を行うことができる。本工程に使用できる触媒として、特に限定されないが、例えば、パラジウム触媒、ニッケル触媒、ルテニウム触媒等を用いることができる。これらのうちパラジウム触媒を用いることが好ましい。パラジウム触媒としては、特に限定されないが、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh34]、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)[Pd2(dba)3]、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)[PdCl2(PPh32]等が挙げられ、Pd(PPh34を用いることが好ましい。反応に用いることができるこれら触媒の量は、通常、化合物(ii)に対して、0.03〜0.05当量である。
【0061】
本工程に用いることができる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等を用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素系溶媒を用いることが好ましく、トルエンを用いることがより好ましい。溶媒の量は、通常、化合物(ii)に対して、9〜200倍量(V/W)を用いることができる。反応温度は通常、例えば、140〜160℃で行うことができる。反応時間は通常、例えば、3〜5時間である。
【0062】
[反応工程3]
反応工程3は、塩基性条件下、溶媒存在下、カップリング触媒を用いて、化合物(iii)とアリールボロン酸を反応させて化合物(iv)を製造する工程である。該アリールボロン酸は、化合物(iii)に対して、通常1当量以上用いることで反応を行うことができる。本工程に使用できるカップリング触媒として、特に限定されないが、例えば、パラジウム触媒、ニッケル触媒、ルテニウム触媒等を用いることができる。これらのうちパラジウム触媒を用いることが好ましい。パラジウム触媒としては、特に限定されないが、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh34]、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)[Pd2(dba)3]、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)[PdCl2(PPh32]等が挙げられ、Pd(PPh34を用いることが好ましい。反応に用いることができるこれら触媒の量は、通常、化合物(iii)に対して、0.03当量である。
【0063】
本工程に用いることができる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等を用いることができる。これらのうち、エーテル系溶媒を用いることが好ましく、ジオキサンを用いることがより好ましい。溶媒の量は、通常、化合物(iii)に対して、9〜25倍量(V/W)を用いることができる。反応温度は通常、例えば、120〜140℃で行うことができる。反応時間は通常、例えば、2〜7時間である。
【0064】
[反応工程4]
反応工程4は、酸性条件下、化合物(iv)の脱メチル化を行うことによって化合物(v)を製造することができる。反応試薬として、ピリジニウムクロライドを用いることが好ましい。ピリジニウムクロライドは、化合物(iv)に対して、過剰に用いることが好ましい。反応温度は通常、例えば、200〜230℃で行うことができる。反応時間は通常、例えば、30分〜2時間である。
【0065】
本工程は溶媒の非存在下で実施することが可能であるが、溶媒の存在下で実施する場合、本工程に用いることができる溶媒としては、反応を阻害しない範囲で、例えば次のような溶媒を用いることができる。上記200〜230℃等の高温で該反応を行う場合には、例えば、ジフェニルエーテル、スルホラン等を用いることができる。上記のような高温で反応を行わない場合には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等を用いることができる。これらのうち、エーテル系溶媒を用いることが好ましく、ジオキサンを用いることがより好ましい。溶媒の量は、通常、化合物(iv)に対して、5〜15倍量(V/W)を用いることができる。
【0066】
また、本工程における脱メチル化は、例えば、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体などのルイス酸を用いて行うこともできる。
【0067】
前記の各反応で得られた中間体及び目的物は、有機合成化学で常用されている精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して必要に応じて単離、精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次反応に供することもできる。
【0068】
さらに、各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用した常法を適用して単離できる。ラセミ混合物は、例えば酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法又は光学活性カラムクロマトグラフィーを用いた方法等の一般的ラセミ分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマー混合物は、例えば分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分割できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
【0069】
[医薬用途]
本発明に係る式(1)で表される化合物は、アルドース還元酵素に対する阻害活性を有するため、糖尿病合併症の治療および/または予防剤として有用である。糖尿病合併症には、例えば、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性白内障、糖尿病性腎症、糖尿病性循環器障害、足の病変(大血管障害、感染、壊疽、壊死など)、脳梗塞、狭心症・心筋梗塞、急性合併症(糖尿病性昏睡)などが含まれる。本発明に係る式(1)で表される化合物は、特に糖尿病性神経障害の治療および/または予防剤として有用である。該糖尿病性神経障害は、多発性神経障害と単発性神経障害に分けることができ、本発明に係る式(1)で表される化合物は、糖尿病性末梢神経障害、特に糖尿病に起因する多発性末梢神経障害の治療および/または予防剤として有用である。
【0070】
また、糖尿病に起因する髄鞘形成不全または髄鞘の破壊を伴う疾患(脱髄性疾患または脱髄を伴う疾患)の治療および/または予防剤として、本発明に係る式(1)で表される化合物を有効に用いることができる。脱髄性疾患としては、例えば、多発性硬化症、副腎白質萎縮症(adrenoleukodystrophy)、クラッベ(Krabbe)病、カナバン(Canavan)病、アレクサンダー(Alexander)病等)、汎発性硬化症(Schilder病)、移行性硬化症、同心性硬化症、チャーコット−マリエ−トゥース(Charcot−Marie−Tooth)病、甲状腺機能低下症、アレルギー性・炎症性脱髄性疾患(脳炎(急性出血性白質脳炎等)、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎等)、ウイルス性脱髄性疾患(進行性多巣性白質脳症,ポリオ後症候群等)等が挙げられる。また、脱髄を伴う疾患には、中毒症による脱髄を伴う疾患(重金属中毒、一酸化炭素中毒,ジフテリア中毒,尿毒症等)、欠乏症による脱髄を伴う疾患(ビタミン欠乏症等)、運動失調症などの遺伝性疾患、重症筋無力症、筋無力症候群、神経根疾患、神経叢疾患、外傷・職業環境などでの物理的刺激・心身症などに起因する種々の末梢/中枢の神経障害、神経障害性疼痛、神経痛、痛覚過敏、虚血症候群、神経変性、神経機能障害(抗癌剤治療など疾病治療に伴う神経機能障害等)等が挙げられる。
【0071】
[製剤]
アルドース還元酵素阻害剤として、本発明に係る式(1)で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を単独で用いてもよいが、通常本化合物は医薬組成物として用いられる。その場合、医薬として許容される担体、及び/又は希釈剤を配合して使用される。
【0072】
投与経路は、特に限定されないが、治療目的に応じて適宜選択することができる。例えば、経口剤、注射剤、坐剤、吸入剤等のいずれでもよい。これらの投与形態に適した医薬組成物は、公知の製剤方法を利用することによって製造できる。
【0073】
経口用固形製剤を調製する場合は、式(1)で表される化合物に医薬として許容される賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法を利用して、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。添加剤は、当該分野で一般的に使用されているものでよい。例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等が挙げられる。結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。矯味剤としては、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
【0074】
経口用液体製剤を調製する場合は、式(1)で表される化合物に、矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法を利用して、シロップ剤、エリキシル剤等の内服液剤を製造することができる。矯味剤としては上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が挙げられ、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
【0075】
注射剤を調製する場合は、式(1)で表される化合物に、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法を利用して、皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。pH調整剤及び緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA(エデト酸ナトリウム)、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。
【0076】
坐剤を調製する場合は、一般式(1)で表される2−アルキルアミノキノリン化合物に公知の坐剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等、更に必要に応じて界面活性剤(例えば、ツイーン(登録商標))等を加えた後、常法を利用して製造することができる。
【0077】
上記以外に、常法を利用して適宜好ましい製剤とすることもできる。
【0078】
本発明に係る式(1)で表される化合物の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して式(1)で表わされる化合物として、1日あたり0.01〜20mg/kg体重を、1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与することができる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例及び試験例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、下記実施例中で用いられている略号は下記の意味を示す。
s:シングレット(singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
m:マルチプレット(multiplet)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl3:重クロロホルム
1H−NMR:プロトン核磁気共鳴スペクトル
13C−NMR:カーボン13核磁気共鳴スペクトル
IR:赤外線吸収スペクトル
MS:質量スペクトル
【0080】
実施例1:2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンの製造
(i)2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジンの製造
【0081】
【化12】

【0082】
アルゴン雰囲気下、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(22.5mL、0.131mol)を無水THF(200mL)に溶解し、その溶液を−40℃まで冷却した。その後、n−ブチルリチウム(2.77M;47.0mL、0.130mol)を該溶液に加えた。該溶液を0℃まで一旦昇温し、30分後、該溶液を−80℃まで冷却した。無水THF(75mL)に溶解した2−クロロピラジン(5.0g、43.7mmol)及びトリ−n−ブチルスズクロライド(12.0mL、44.2mmol)を、−78℃で1時間かけて前記反応液に加えた。得られた反応液を2時間攪拌し、この間反応温度は−78℃から−35℃までゆっくり上昇させた。その後、100mLの35%塩酸水溶液:エタノール(1:4)を該反応混合液に加えた。そして、室温にて、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を用い、該混合液をわずかに塩基性状態にした。該混合液を濃縮した後、200mLの水を該混合物に加え、ジクロロメタン(100mL×3)で抽出した。抽出した有機層を、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下にて溶媒を除去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=1:4)を用いて精製し、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジン(11.2g,64%)を黄状液体として得た。
【0083】
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ/ppm 0.891 (9H, t, J = 7.3 Hz), 1.09-1.26 (6H, m), 1.28-1.38 (6H, m), 1.48-1.63 (6H, m), 8.38 (1H, s), 8.42 (1H, s).
【0084】
(ii)6−クロロ−2−(3,4−ジメトキシフェニル)カルボニルピラジンの製造
【0085】
【化13】

【0086】
アルゴン雰囲気下、3,4−ジメトキシベンゾイルクロライド(1.49g、7.43mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(84.9mg、0.074mmol)を順次無水トルエン(200ml)に加えた後、80℃で30分間加熱攪拌してすべての試薬を溶解させた。無水トルエン(40mL)に溶解した2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジン(1.01g、2.50mmol)を該溶液に加えた後、160℃の油浴上で8時間加熱還流した。反応混合液を室温まで放冷した後、100mLの水を該溶液に加え、ジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。得られた有機層を、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下にて溶媒を除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=1:4)で精製し、黄色固体として、6−クロロ−2−(3,4−ジメトキシフェニル)カルボニルピラジン(512.0mg,74%:mp226−227℃)を得た。
【0087】
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ/ppm 3.97 (3H, s), 3.99 (3H, s), 6.95 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.75 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.81 (1H, dd, J = 8.4 and 1.8 Hz), 8.79 (1H, s), 9.10 (1H, s).
MS (FAB+, DTT/TG = 1/1) m/z 279 [M+H]+.
【0088】
(iii)2−(3,4−ジメトキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンの製造
【0089】
【化14】

【0090】
6−クロロ−2−(3,4−ジメトキシフェニル)カルボニルピラジン(242.0mg、0.868mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(37.5mg、0.0325mmol)、及びキノリン−3−イルボロン酸(227.6mg、1.32mmol)をアルゴン雰囲気下で1,4−ジオキサン(6mL)に溶解した。さらに、2M K2CO3(0.65mL)を該溶液に加え、5時間還流した。室温まで冷却した後、20mLの水を該溶液に加え、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出した。得られた有機層を、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、減圧下にて溶媒を除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル=4:1)で精製し、淡黄色状固体として、2−(3,4−ジメトキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジン(205mg,64%:mp226−227℃)を得た。
【0091】
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ/ppm 3.98 (3H, s), 4.01 (3H, s), 6.97 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.65 (1H, t, J = 8.8 Hz), 7.83 (1H, t, J = 8.1 Hz), 7.85 (1H, d, J = 1.5 Hz), 7.97 (2H, d, J = 8.4 Hz), 8.19 (1H, d, J = 8.4 Hz), 8.84 (1H, s), 9.22 (1H, s), 9.39 (1H, s), 9.66 (1H, d, J = 1.8 Hz).
13C-NMR (CDCl3, 100 MHz) δ/ppm 56.2, 56.3, 110.1, 112.5, 127.4, 127.7, 127.8, 128.5, 128.6, 128.7, 129.7, 131.1, 134.6, 143.5, 144.7, 148.4, 148.9, 148.9, 149.2, 150.2, 154.2, 190.2.
IR (KBr) νmax/cm-1 1652, 1597, 1282, 1135.
MS (FAB+, DTT/TG = 1/1) m/z 372 [M+H]+.
Anal. Calcd for C22H17N3O3: C, 71.15; H, 4.61; N, 11.31. Found: C, 70.83; H, 4.66; N, 11.17.
【0092】
(iv)2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンの製造
【0093】
【化15】

【0094】
ピリジニウムクロライド(2.17g、18.8mmol)を220℃にて10分間予め加熱し、そこに2−(3,4−ジメトキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジン(98.5mg、0.265mmol)を加え、220℃にて1時間加熱維持した。その後、混合液を氷水に注ぎ、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下にて溶媒を除去した後、得られた残渣をメタノールより再結晶し、黄色固体として、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジン(72.5mg、80%、mp280℃(分解))を得た。
【0095】
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ/ppm 6.92 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.53 (1H, dd, J = 8.4 and 2.1 Hz), 7.58 (1H, d, J = 2.1 Hz), 7.72 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.88 (1H, t, J = 7.5 Hz), 8.12 (1H, d, J = 8.6 Hz), 8.15 (1H, d, J = 8.6 Hz), 9.07 (1H, s), 9.17 (1H, d, J = 1.6 Hz), 9.58 (1H, s), 9.65 (1H, d, J = 1.6 Hz), 9.69 (1H, s), 10.2 (1H, s).
13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ/ppm 115.3, 117.2, 125.1, 126.8, 127.2, 127.5, 128.3, 128.8, 129.0, 131.0, 134.8, 143.6, 144.2, 145.4, 147.8, 147.9, 148.9, 150.2, 151.9, 190.1.
IR (KBr) νmax/cm-1 3433, 1647, 1601, 1267, 1151.
MS (FAB+, DTT/TG = 1/1) m/z 344 [M+H]+.
Anal. Calcd for C20H13N3O3・0.3 H2O, 0.2AcOEt: C, 68.19; H, 4.18; N, 11.47. Found: C, 67.95; H, 3.88; N, 11.30.
【0096】
実施例2:2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンの製造
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに2,4−ジメトキシベンゾイルクロライドを用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジン(1.050g、2.602mmol)を出発原料として、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンの製造を行った。該目的物は、黄色固体物質として得られた(23.6mg、2.6%(いずれも3工程の総収量、総収率)、mp234℃(分解))。
【0097】
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ/ppm 6.40 (1H, s), 6.46 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.72 (1H, t, J = 8.4 Hz), 7.89 (1H, t, J = 8.4 Hz), 7.90 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.12 (1H, d, J = 8.4 Hz), 8.16 (1H, d, J = 8.4 Hz), 9.06 (1H, s), 9.16 (1H, s), 9.63 (1H, s), 9.69 (1H, s), 10.9 (1H, s), 11.9 (1H, s)
13C-NMR (DMSO-d6, 100 Hz) δ/ppm 102.7, 108.9, 112.6, 127.2, 127.6, 128.9, 129.1, 131.0, 134.8, 135.9, 143.3, 144.2, 148.0, 148.9, 150.3, 165.1, 165.8, 193.4.
MS (FAB+, DTT/TG = 1/1) m/z 344 [M+H]+.
HRMS (EI+) Calcd for C20H13N3O3: 343.0957. Found: 343.0955.
【0098】
実施例3:2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(ナフタレン−2−イル)ピラジンの製造
実施例1のキノリン−3−イルボロン酸の代わりにナフタレン−2−イルボロン酸を用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジン(234.3mg、0.581mmol)を出発原料として、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(ナフタレン−2−イル)ピラジンの製造を行った。該目的物は、褐色固体物質として得られた(56.2mg、28%(いずれも3工程の総収量、総収率)、mp215℃(分解))。
【0099】
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ/ppm 6.92 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.51 (1H, dd, J = 8.4 and 2.2 Hz), 7.57 (1H, d, J = 2.2 Hz), 7.62 (2H, td, J = 4.4 and 2.2 Hz), 8.01 (1H, t, J = 4.4 Hz), 8.08 (1H, t, J = 4.4 Hz), 8.11 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.29 (1H, dd, J = 8.8 and 1.8 Hz), 8.80 (1H, s), 9.00 (1H, s), 9.56 (1H, s), 9.63 (1H, s), 10.2 (1H, s).
13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ/ppm 115.3, 117.2, 124.1, 125.0, 126.9, 126.9, 127.0, 127.5, 127.7, 128.8, 128.8, 132.7, 132.9, 133.7, 142.9, 143.8, 145.3, 149.6, 150.1, 151.8, 190.3.
IR (KBr) νmax/cm-1 3432, 1645, 1594, 1286, 1146.
MS (FAB+, DTT/TG = 1/1) m/z 343 [M+H]+.
Anal. Calcd for C21H14N2O3・0.2 AcOEt: C, 72.73; H, 4.37; N, 7.78. Found: C, 72.69; H, 4.13; N, 7.52.
【0100】
比較例1:2−((E)−5−((E)−2−メチル−3−フェニルアリリデン)−4−オキソ−2−チオキソチアゾリジン−3−イル)酢酸[エパルレスタット]の製造
比較例1の化合物は、有機合成化学協会誌,vol.55(7),651−657(1997)に記載の方法に従って製造した。
【0101】
比較例2:2−(3,5−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンの製造
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに3,5−ジメトキシベンゾイルクロライドを用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジン(301.3mg、0.747mmol)を出発原料として、2−(3,5−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンの製造を行った。該目的物は、淡黄色固体物質として得られた(48.9mg、19%(いずれも3工程の総収量、総収率)、mp281℃(分解))。
【0102】
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ/ppm 6.56 (1H, t, J = 2.2 Hz), 6.97 (2H, d, J = 2.2 Hz), 7.72 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.88 (1H, t, J = 7.7 Hz), 8.12 (1H, d, J = 7.7 Hz), 8.14 (1H, d, J = 7.7 Hz), 9.11 (1H, s), 9.17 (1H, d, J = 1.4 Hz), 9.64 (1H, d, J = 1.4 Hz), 9.69 (1H, s), 9.77 (2H, s).
13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ/ppm 108.1, 108.7, 127.1, 127.5, 128.1, 128.9, 129.0, 131.0, 134.8, 136.8, 143.7, 144.6, 148.0 (x2), 148.9, 149.3, 158.6, 191.9.
IR (KBr) νmax/cm-1 3378, 1656, 1587, 1352, 1173.
MS (FAB+, DTT/TG = 1/1) m/z 343 [M+H]+.
Anal. Calcd for C20H13N3O3・0.3 MeOH: C, 69.08; H, 4.06; N, 11.90. Found: C, 69.04; H, 3.97; N, 11.69.
【0103】
比較例3:2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンの製造
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに3,4,5−トリメトキシベンゾイルクロライドを用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジン(305.1mg、0.756mmol)を出発原料として、2−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンの製造を行った。該目的物は、淡黄色固体物質として得られた(30.8mg、11%(いずれも3工程の総収量、総収率)、mp190℃(分解))。
【0104】
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ/ppm 7.14 (2H, s), 7.72 (1H, td, J = 7.5 and 1.3 Hz), 7.87 (1H, td, J = 7.5 and 1.3 Hz), 8.12 (1H, d, J = 7.5 Hz), 8.14 (1H, d, J = 7.5 Hz), 9.03 (1H, s), 9.17 (1H, d, J = 1.3 Hz), 9.37 (1H, s), 9.48 (2H, s), 9.66 (1H, d, J = 1.3 Hz), 9.68 (1H, s).
13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ/ppm 110.6, 125.4, 127.2, 127.6, 128.3, 128.9, 129.0, 131.0, 134.8, 140.3, 143.5, 144.0, 145.7, 147.9, 149.0, 150.4, 190.2.
IR (KBr) νmax/cm-1 3166, 1651, 1599, 1306, 1129.
MS (FAB+, DTT/TG = 1/1) m/z 360 [M+H]+.
HRMS (EI+) Calcd for C20H13N3O4: 359.0906. Found: 359.0905.
【0105】
比較例4:2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(4−ヒドロキシフェニル)ピラジンの製造
実施例1のキノリン−3−イルボロン酸の代わりに4−ヒドロキシフェニルボロン酸を用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジン(810.1mg、2.007mmol)を出発原料として、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(4−ヒドロキシフェニル)ピラジンの製造を行った。該目的物は、淡黄色固体物質として得られた(315mg、51%(いずれも3工程の総収量、総収率)、mp255℃(分解))。
【0106】
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ/ppm 6.88 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.93 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.45 (1H, dd, J = 8.4 Hz and 2.2 Hz), 7.50 (1H, d, J = 2.2 Hz), 8.03 (2H, d, J = 8.8 Hz), 8.84 (1H, s), 9.34 (1H, s).
13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ/ppm 115.2, 116.0, 117.2, 124.9, 126.1, 127.0, 128.7, 141.6, 142.6, 145.3, 149.8, 149.8, 151.7 (C4), 159.7, 190.5.
IR (KBr) νmax/cm-1 3447, 3288, 3075, 1646, 1268, 1240.
MS (FAB+, DTT/TG = 1/1) m/z 309 [M+H]+.
Anal. Calcd for C17H12N2O4・0.1AcOEt: C, 65.90; H, 4.07; N, 8.84. Found: C, 65.95; H, 4.08; N, 8.71.
【0107】
比較例5:2−(3,5−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(4−ヒドロキシフェニル)ピラジンの製造
比較例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに3,5−ジメトキシベンゾイルクロライドを用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジン(357.5mg、0.886mmol)を出発原料として、2−(3,5−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(4−ヒドロキシフェニル)ピラジンの製造を行った。該目的物は、淡黄色固体物質として得られた(62.1mg、23%(いずれも3工程の総収量、総収率)、mp266℃(分解))。
【0108】
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ/ppm 6.53 (1H, t, J = 2.2 Hz), 6.87 (2H, d, J = 2.2 Hz), 6.92 (2H, d, J = 8.8 Hz), 8.02 (2H, d, J = 8.8 Hz), 8.87 (1H, s), 9.37 (1H, s), 9.71 (2H, s), 10.0 (1H, s).
13C-NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ/ppm 107.9, 108.7, 116.0, 126.0, 128.8, 137.1, 141.7, 143.1, 149.1, 150.0, 158.4, 159.8, 192.4.
IR (KBr) νmax/cm-1 3411, 2912, 1669, 1316, 1266.
MS (FAB+, DTT/TG = 1/1) m/z 309 [M+H]+.
Anal. Calcd for C17H12N2O4・0.2AcOEt: C, 65.59; H, 4.21; N, 8.60. Found: C, 65.75; H, 4.04; N, 8.34.
【0109】
比較例6:2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(4−ヒドロキシフェニル)ピラジンの製造
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに4−メトキシベンゾイルクロライドを用い、キノリン−3−イルボロン酸の代わりに4−ヒドロキシフェニルボロン酸を用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジンを出発原料として、2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(4−ヒドロキシフェニル)ピラジンを得た。
【0110】
比較例7:2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−フェニルピラジンの製造
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに4−メトキシベンゾイルクロライドを用い、キノリン−3−イルボロン酸の代わりにフェニルボロン酸を用い、実施例1と同様の手段で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジンを出発原料として、2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−フェニルピラジンを得た。
【0111】
比較例8:2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(ナフタレン−1−イル)ピラジンの製造
【0112】
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに4−メトキシベンゾイルクロライドを用い、キノリン−3−イルボロン酸の代わりにナフタレン−1−イルボロン酸を用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジンを出発原料として、2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(ナフタレン−1−イル)ピラジンを得た。
【0113】
比較例9:2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(ナフタレン−2−イル)ピラジンの製造
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに4−メトキシベンゾイルクロライドを用い、キノリン−3−イルボロン酸の代わりにナフタレン−2−イルボロン酸を用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジンを出発原料として、2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(ナフタレン−2−イル)ピラジンを得た。
【0114】
比較例10:2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンの製造
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに4−メトキシベンゾイルクロライドを用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジンを出発原料として、2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンを得た。
【0115】
比較例11:2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−6−イル)ピラジンの製造
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに4−メトキシベンゾイルクロライドを用い、キノリン−3−イルボロン酸の代わりにキノリン−6−イルボロン酸を用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジンを出発原料として、2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−6−イル)ピラジンを得た。
【0116】
比較例12:2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(1H−インドール−3−イル)ピラジンの製造
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに4−メトキシベンゾイルクロライドを用い、キノリン−3−イルボロン酸の代わりに1H−インドール−3−イルボロン酸を用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジンを出発原料として、2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(1H−インドール−3−イル)ピラジンを得た。
【0117】
比較例13:2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(アントラセン−2−イル)ピラジンの製造
実施例1の3,4−ジメトキシベンゾイルクロライドの代わりに4−メトキシベンゾイルクロライドを用い、キノリン−3−イルボロン酸の代わりにアントラセン−2−イルボロン酸を用い、実施例1と同様の方法で、2−クロロ−6−トリ−n−ブチルスズピラジンを出発原料として、2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(アントラセン−2−イル)ピラジンを得た。
【0118】
試験例1:アルドース還元酵素阻害活性の測定
アルドース還元酵素に対する阻害活性は、非特許文献7及びNishimura,C.;Yamaoka,T.;Mizutani,M.;Yamashita,K.;Akera,T.;Tanimoto,T.;Biochim.Biophys.Acta1991,1078,171−178に記載の方法に準じて行った。すなわち、濃度1mg/1mLのATGen社製アルドース還元酵素(比活性0.9923U/mg)をpH6.2の0.2Mリン酸緩衝液に溶かし、3%溶液(1.0mL)を調製し、これに1.0mLの1.5mM NADPHリン酸緩衝液(0.2M、pH6.2)及びpH6.2の0.2Mリン酸緩衝液(7.0mL)を加えた。該溶液900μLを分光測定用石英セルに入れ、そこに試験化合物を含むジメチルスルホキシド溶液(0.00344〜6.54mM)を3μL加え、25℃で1分間インキュベートした。これに濃度100mMのD,L−グリセルアルデヒド(100μL)を加えて反応を開始させ、NADPHの340nmの吸光度変化を島津製作所製UV−240型紫外可視分光光度計で測定することによって酵素活性を測定した。
【0119】
測定した吸光度変化の値から吸光度変化率を求め、以下の計算式(1)より阻害率を求めた。
阻害率(%)=[1−(ΔAs−ΔAb)/(ΔAc−ΔAb)]×100 (1)
ここでΔAs(試料)は試験化合物を添加した場合、ΔAc(対照)は試験化合物を含まないジメチルスルホキシドを添加した場合、ΔAb(ブランク)は酵素を添加しなかった場合の単位時間当たりの吸光度変化量を示している。ΔAc(対照)は試験化合物が存在せず、通常に還元反応が進行している状態を示し、このときの阻害率を0%とした。またΔAb(ブランク)はNADPHの自然分解を示し、このときの阻害率を100%とした。求めた阻害率を縦軸にとり、濃度の常用対数を横軸にとったグラフを作成し、近似曲線の一次方程式を導き出した。得られた一次方程式より阻害率50%における濃度を算出し、IC50値とした。
【0120】
本発明に係る実施例化合物及び比較例化合物の活性値(IC50値)を、下記表1及び2に示す。
【0121】
【表1】

【0122】
【表2】

【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【0125】
【表5】

【0126】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明に係る式(1)で表される化合物は、アルドース還元酵素の阻害作用を有し、哺乳動物に対して、例えば、網膜症、腎症、神経障害等の糖尿病合併症の予防及び/又は治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式(1)中、Arは、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、
から成る群より選ばれる置換基を互いに同一又は異なって1ないし7個有していてもよい二環性アリール環又は二環性へテロアリール環である]
で表される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項2】
式(1)中、Arは、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、
から成る群より選ばれる置換基を互いに同一又は異なって1ないし6個有していてもよい、窒素原子を1ないし4個含む、窒素および炭素原子8ないし11個から構成される二環性へテロアリール環である、請求項1に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項3】
式(1)中、Arは、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、
から成る群より選ばれる置換基を互いに同一又は異なって1ないし6個有していてもよい、(i)窒素原子1個及び(ii)炭素原子8個若しくは9個から構成される二環性へテロアリール環である、請求項1または2に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項4】
式(1)中、Arは、
【化2】

[式中、lは、0ないし6の整数であり、R1は互いに同一又は相異なって、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、から成る群より選ばれる置換基である]
である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項5】
式(1)中、Arは、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、
から成る群より選ばれる置換基を互いに同一又は異なって1ないし7個有していてもよい炭素原子8ないし11個から構成される二環性アリール環である、請求項1に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項6】
式(1)中、Arは、
【化3】

[式中、mは、0ないし7の整数であり、R2は互いに同一又は相異なって、
(1)ヒドロキシ基、
(2)C1-6アルコキシ基、
(3)C1-6アルカノイル基、
(4)C1-6アルカノイルオキシ基、
(5)カルボキシル基、
(6)C1-6アルコキシ−カルボニル基、
(7)カルバモイル基、
(8)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイル基、
(9)カルバモイルオキシ基、
(10)1または2個のC1-6アルキル基で置換されたカルバモイルオキシ基、
(11)チオール基、
(12)C1-6アルキルチオ基、
(13)C1-6アルカノイルチオ基、
(14)アミノ基、
(15)モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、
(16)モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、
(17)ハロゲン原子、
(18)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数1ないし10の直鎖状または分枝状鎖式炭化水素基、並びに
(19)ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルカノイル基、C1-6アルカノイルオキシ基、カルボキシル基、C1-6アルコキシ−カルボニル基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルカノイルチオ基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C1-6アルカノイルアミノ基、ハロゲン原子、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基、又は1個ないし2個のヘテロ原子を含むC3-5ヘテロアリール基を互いに同一または相異なって1ないし5個有していてもよい炭素原子数3ないし10の環式炭化水素基、から成る群より選ばれる置換基である]
である、請求項5に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項7】
前記式(1)で表される化合物が、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンである請求項1に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項8】
前記式(1)で表される化合物が、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(キノリン−3−イル)ピラジンである、請求項1に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項9】
前記式(1)で表される化合物が、2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)カルボニル−6−(ナフタレン−2−イル)ピラジンである、請求項1に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項10】
請求項1に記載の式(1)で表される化合物の基本骨格の一部であるフェニル基に結合するヒドロキシル基が、アセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化又はジメチルアミノメチルカルボニル化されているプロドラッグ。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物を含有するアルドース還元酵素阻害剤。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物を含有する糖尿病合併症の治療及び/又は予防剤。
【請求項13】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物を含有する糖尿病性神経障害の治療及び/又は予防剤。
【請求項14】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物を含有する糖尿病性末梢神経障害の治療及び/又は予防剤。
【請求項15】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の化合物若しくはその塩、あるいはそれらの溶媒和物を含有する糖尿病に起因する多発性末梢神経障害の治療および/または予防剤。

【公開番号】特開2012−111730(P2012−111730A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263697(P2010−263697)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【出願人】(599055382)学校法人東邦大学 (18)
【Fターム(参考)】