説明

二軸型破砕機及び二軸型破砕機の制御方法

【課題】安定的に破砕処理を行えると共に省電力で動作させることができるようにする。
【解決手段】本発明の二軸型破砕機は、刃体12が設けられた一対の回転軸2L、2Rと、この回転軸2L、2Rを正転して刃体12を破砕方向に回転させると共に逆転して破砕方向とは逆方向に回転させる駆動モータ4と、この駆動モータ4に電力を供給する電力供給装置6とを備え、電力供給装置6は、回転軸2L、2Rを逆転させたときの回生電流を充電すると共に回転軸2L、2Rを正転させるときに放電する充放電部14を有している。二軸型破砕機1の制御方法では、回転軸2L、2Rを正転から逆転に切り換えたときの回生電流を充電し、充電した電力を再び駆動モータ4を正転する際に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の刃体が設けられた一対の回転軸を電動式の駆動モータによって回転して破砕物の破砕を行う二軸型破砕機及び二軸型破砕機の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属や合成樹脂などから構成された様々な不要品(破砕物)を破砕処理するために破砕機が用いられている。このうち二軸型破砕機では、複数枚の刃体が設けられた一対の回転軸を正転して刃体を破砕方向に回転することにより不要品を破砕したり、破砕中に不要品が互いに交差する刃体の間に詰まったときは、回転軸を逆転して刃体を破砕方向とは逆方向に回転することにより不要品(破砕物)の詰まり不要品を解消している。このような破砕機において、安定的な運転や効率よい運転ができるものとして、特許文献1に示すような破砕機が開発されている。
【0003】
特許文献1では、モータで駆動されて回転する回転刃で破砕物を破砕する機構を有する破砕機において、回転刃の回転数を測定し、この測定値を基に回転刃の回転数の減少率を演算し、該減少率と予め設定されている減少率とを比較し、該減少率が予め設定されている減少率の範囲内で破砕負荷が過大になったときは、運転中の回転刃の回転を逆転に切替え、その後に正転させて破砕運転を続行させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−320875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の破砕機では、回転刃の回転を逆転に切替えることによって不要品(破砕物)の詰まりを解消することができるものの、正転時や逆転時に使用する電力を抑えようという対策が講じられていないため、電力の損失が大きいものとなっていた。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、安定的に破砕処理を行えると共に省電力で動作させることができる二軸型破砕機及び二軸型破砕機の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の二軸型破砕機は、複数枚の刃体が設けられた一対の回転軸と、この回転軸を正転して刃体を破砕方向に回転させると共に逆転して破砕方向とは逆方向に回転させる駆動モータと、この駆動モータに電力を供給する電力供給装置とを備え、前記電力供給装置は、前記回転軸を逆転させたときの回生電流を充電すると共に前記回転軸を正転させるときに放電する充放電部を有している点にある。
【0007】
前記充放電部に充電を行う充電指令と放電を行う放電指令とを出力すると共に前記駆動モータの正転及び逆転を制御すべく指令を出力する制御装置を備え、前記制御装置は、前記回転軸を逆転させた後に回転軸の逆転を停止すべく当該駆動モータに逆転の停止を出力した後、前記充電指令を前記充放電部に出力すると共に、前記回転軸を正転すべく駆動モータに正転指令を出力した際に前記放電指令を出力することが好ましい。
【0008】
前記充放電部は、回生電流を充電可能なコンデンサを有していることが好ましい。
本発明の二軸型破砕機の制御方法は、複数枚の刃体が設けられた一対の回転軸を駆動モータによって正転して破砕物の破砕を行うと共に、逆転して破砕物の詰まりを解消する二軸型破砕機の制御方法において、前記回転軸を正転から逆転に切り換える第1ステップと、この第1ステップにて回転軸を逆転したときに発生する回生電流を充電する第2ステップと、この第2ステップで充電した電力を前記駆動モータを逆転から正転する際に前記駆動モータに供給する第3ステップとを備えている点にある。
【0009】
前記第2ステップでは、前記回生電流をコンデンサに充電することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安定的に破砕処理を行えると共に省電力で動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】破砕機の全体概略図である。
【図2】第1実施形態における破砕機の制御ブロック図である。
【図3】第1実施形態における二軸型破砕機の動作のフローチャートである。
【図4】第2実施形態における破砕機の制御ブロック図である。
【図5】第2実施形態における二軸型破砕機の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、二軸型破砕機1は、左右一対の回転軸2L、2Rと、この左右各回転軸2L、2Rを回転自在に支持するケーシング3と、回転軸2L、2Rに回転駆動力を付与する駆動モータ4と、制御装置5と、電力供給装置6とを備えている。
【0013】
ケーシング3は、上下に貫通状となった箱形に形成されたもので、上部に破砕する物(破砕物)を投入する投入口10が形成され、下部に破砕された物が排出される排出口11が形成されている。
各回転軸2L、2Rは、互いに左右に並ぶようにケーシング3内に配置されて当該ケーシング3に回転自在に支持されており、各回転軸2L、2Rの外周部に複数枚の刃体12が設けられている。
【0014】
詳しくは、刃体12は破砕物Aを引っ掛けて挟み切るもの(剪断力により破砕したり切断するもの)であって各回転軸2L、2Rの軸芯方向に沿って所定の間隔を空けて配置され、回転軸2L、2Rに固着されている。刃体12の外周部には破砕物Aを引っ掛けたり破砕するための刃部12aが設けられている。左回転軸2Lの刃体12と右回転軸2Rの刃体12とは、正面視(軸芯方向から見る)で互いに重なり合うように配置されている。
【0015】
各回転軸2L、2Rは、刃体12の刃部12aが投入口10側(上側)から排出口11側(下側)へ向けて移動するように正転したり、刃体12の刃部12aが排出側から投入口10側へ向けて移動するように逆転する。この実施形態では、各回転軸2L、2Rは、減速機等を介して1つの駆動モータ4で回転するようになっている。
駆動モータ4は、各回転軸2L、2Rが正転又は逆転するように当該各回転軸2L、2Rに回転駆動力を付与するもので、この実施形態ではサーボモータで構成されている。制御装置5は、サーボモータの回転やロータ位置などを制御したり、電力供給装置6を制御するものであって、電子電気回路、CPU等から構成されている。この制御装置5には、駆動モータ4(回転軸2L、2R)の回転を検出するエンコーダ13からの検出データ(検出した回転数)が入力される。
【0016】
電力供給装置6は、工場などに設置された商用電源に接続されていて、駆動モータ4や制御装置5にも接続されており、これら駆動モータ4や制御装置5に電力を供給するものである。電力供給装置6への電力供給は、当該電力供給装置6に設けられたオン・オフスイッチにより行われるようになっている。この電力供給装置6は、電源回路等を有すると共に、一時的に電力を蓄えたり蓄えた電力を放電するための充放電部14を有している。
【0017】
このような二軸型破砕機1では、金属やプラスチックなどで構成された破砕物Aをケーシング3の投入口10へ投入し、駆動モータ4を介して各回転軸2L、2Rを正転して刃体12を破砕方向に回転させることにより破砕物Aを小さく破砕することができる。ここで、各回転軸2L、2Rを正転している際に、例えば、多くの破砕物Aが各回転軸2L、2R内に入るなどをして互いに対向する刃体12の間に破砕物Aが詰まり、各回転軸2L、2Rが停止してしまった場合、各回転軸2L、2Rを逆転して刃体12を破砕方向とは反対方向に逆転することにより、刃体12の間に詰まりを解消することができる。
【0018】
本発明では、特に、各回転軸2L、2Rを正転から逆転したときに発生する回生電流を充放電部14に充電し、各回転軸2L、2Rを再び正転にするときに充電した電力を使用することによって省電力で動作することができるようにしている。
以下、本発明について詳しく説明する。
まず、制御装置5について説明する。
【0019】
図2に示すように、制御装置5は、各回転軸2L、2Rを正転させるときは駆動モータ4に対して正転指令(正転のための制御電流)を出力し、各回転軸2L、2Rを逆転させるときは駆動モータ4に対して逆転指令(逆転のための制御電流)を出力する。
また、制御装置5は、正転指令時に駆動モータ4にかかる電流(負荷電流)が、例えば、定格電流の80%以上となると正転指令を停止する。即ち、駆動モータ4への正転指令を止めると、駆動モータ4は慣性力によって回転をするものの次第に回転数が減少して停止をする。この二軸型破砕機では、正転指令(制御電流)の出力を行わないことによって駆動モータ4を停止させる方式をとっている。
【0020】
制御装置5は、エンコーダ13が検知した回転数が零となり、駆動モータ4の正転(回転軸2L、2Rの正転)の停止を検知すると逆転指令を駆動モータ4に出力する。また、制御装置5は、駆動モータ4(回転軸2L、2R)が予め定められた回数回転すると逆転指令を停止する。駆動モータ4は、正転指令と同様に逆転指令(制御電流)の出力を行わないことによって逆転指令の停止を行うと、駆動モータ4は慣性力によって回転をするものの次第に回転数が減少して停止をする。駆動モータ4が慣性力によって回転しているときは、発電機として働くため回生電流が発生することになる。
【0021】
制御装置5は、駆動モータ4(回転軸2L、2R)を逆転させたとき、詳しくは、駆動モータ4に逆転指令を出力して駆動モータ4を所定回数逆転させ、逆転指令を停止したときに、電力供給装置6の充放電部14に充電を行う充電指令を出力する。制御装置5は、駆動モータ4が逆転後に停止すると、電力供給装置6の充放電部14に放電を行う放電指令を出力すると共に、駆動モータ4に正転指令を出力する。
【0022】
なお、制御装置5には、外部から駆動モータ4の正転したり逆転したりするための指令を行ったり、駆動モータ4を強制的に停止するための操作盤20が接続されており、操作盤20に設けられた操作スイッチ21を操作することによって、駆動モータ4の正転、逆転、停止が行えるようになっている。
次に、電力供給装置6について説明する。
【0023】
電力供給装置6の充放電部14は、駆動モータ4が逆転したときに発生した回生電流を充電したり、充電した電力を使用するために放出するためのもので、駆動モータ4の回生電流が入力されると共に充電した電力を主電源P側に供給するように構成されている。
なお、説明の便宜上、電力供給装置6によって電力を供給する側を主電源P側といい、後述するコンデンサから供給される電力とは区別することとする。
【0024】
詳しくは、充放電部14は、コンデンサ15と、このコンデンサ15の電力を主電源P側に供給するために設けられた第1スイッチ16と、駆動モータ4からの回生電流をコンデンサ15に供給するために設けられた第2スイッチ17とを有している。
第1スイッチ16は、制御装置5からの放電指令が入力されている間はオンし、放電指令が入力されていないときはオフする。第2スイッチ17は、制御装置5からの充電指令が入力されている間はオンし、充電指令が入力されていないときはオフする。
【0025】
図3は、第1実施形態における二軸型破砕機1の動作をまとめたものである。なお、図3では、初期起動ではコンデンサ15に電力が蓄電されていないものとして説明を進める。図3の符号Sはステップの略称である。
まず、電力供給装置6の主電源をオンして、制御装置5や駆動モータ4に電力を供給可能にする。そして、破砕物Aを投入口10に入れ、回転軸2L、2Rが停止している状態から操作盤20の操作スイッチ21を押して駆動モータ4の正転の開始を制御装置5に指令する(S1:破砕機運転指令)。そして、制御装置5は駆動モータ4に正転指令を出力し、駆動モータ4を正転させる(S2:駆動モータ正転指令)。なお、始めに駆動モータ4を正転させるとき(初期起動時)は、電力供給装置6からの主電源のみの電力が制御装置5に供給されるため、駆動モータ4はコンデンサ15からの電力ではなく主電源からの電力のみによって駆動することになる。
【0026】
制御装置5は、駆動モータ4が正転中に駆動モータ4にかかる負荷電流(トルク)が予め設定した上限値以内であれば(S3、No)、正転指令を継続する。ここで、駆動モータ4にかかる負荷電流が上限値以内であれば、回転軸2L、2R(駆動モータ4)に外部からの負荷がかからないため刃体12が破砕物Aを破砕しながら回転しているとみなすことができる。
【0027】
一方、駆動モータ4にかかる負荷電流(トルク)が上限値を超えてしまう(S3、Yes)と、破砕中に破砕物Aが刃体12の間に詰まって駆動モータ4(回転軸2L、2R)が止まろうとしている状況にあるとみなすことができ、駆動モータ4に多大な負荷がかかる可能性があるため、制御装置5は駆動モータ4への正転指令を停止する(S4:駆動モータ正転指令停止)。
【0028】
ここで、制御装置5は、駆動モータ4が停止しているか否かをエンコーダ13で検出した回転数によって確認し、エンコーダ13で検出した回転数が零となり停止すると(S5、Yes)、逆転指令を駆動モータ4に出力し(S6:駆動モータ逆転指令)、回転軸2L、2Rを破砕方向とは逆方向に回転させる。
こうすると、刃体12の刃部12aは投入口10側から排出口11側に移動するのではなく、排出口11側から投入口10側に向けて移動して刃体12への破砕物Aの引っかかりが無くなり、詰まりが解消される。即ち、刃体12を逆転させると、刃部12aが下側から上側へ破砕物Aを押し上げて、破砕物Aの姿勢が変わることにより詰まりが解消される。
【0029】
本発明では、刃体12への破砕物Aの引っかかりを無くすことによって詰まりを解消すればよいため、回転軸2L、2Rの逆転の回転は数回〜数十回程度でよく、制御装置5はエンコーダ13で検出した逆転の回数が予め定められた回数(数回〜数十回)になると(S7、Yes)と、自動的に逆転指令の停止を行う(S8:駆動モータ逆転指令停止)。
ここで、制御装置5が逆転指令の停止を行ったときは、破砕物Aの詰まりも解消されているため、駆動モータ4は慣性力によって回ることになり、この慣性力によって駆動モータ4に回生電流が発生することになる。
【0030】
制御装置5は、逆転指令の停止を行ったときに電力供給装置6の充放電部14に充電指令を出力し、第2スイッチ17をオンしてコンデンサ15に回生電流を充電する(S9:コンデンサ充電)。駆動モータ4が停止しているか否かをエンコーダ13で検出した回転数によって確認し、エンコーダ13で検出した回転数が零でなければ(S10、No)、制御装置5は充放電部14への充電指令を継続する。即ち、駆動モータ4が慣性力によって回転している間(回生電流が発生している間)は、コンデンサ15に回生電流を充電することとしている。
【0031】
そして、エンコーダ13で検出した回転数が零になり停止すると(S10、Yes)、制御装置5は、第1スイッチ16をオンしてコンデンサ15に蓄電した電力を放出する(S11:コンデンサ放電)と共に、駆動モータ4に対して正転指令(S2)を出力する。即ち、制御装置5は、放電指令と略同時に正転を行うため、コンデンサ15の電力が正転時の起動に消費されることになる。
【0032】
なお、図3において、駆動モータ4の正転から逆転の切り換え、逆転から正転の切りかを自動ではなく、操作盤20等を操作することによって手動で切り換えても良い。
以上、本発明によれば、駆動モータ4(回転軸2L、2R)を正転して刃体12によって破砕物Aを破断することにより投入口10から投入した破砕物Aを小さく破砕することができる。破砕物Aを破砕している最中に破砕物Aが互いに対向する回転軸2L、2Rの刃体12の間に詰まると、自動的に駆動モータ4の正転指令を停止した後、駆動モータ4を逆転するため、破砕物Aの詰まりを簡単に解消することができる。しかも、駆動モータ4を逆転させた後、当該駆動モータ4が止まるまでに発生した回生電流を充電し、充電した回生電流を正転時に使用しているため、逆転したときのエネルギーを利用することができ、その結果、省電力で動かすことができる。
【0033】
特に、二軸型破砕機1は、様々なものを破砕するライン上に設置されることが多く、シュレッダーなどに比べて不特定の破砕物Aが投入される。そのため、破砕物Aの形状や種類が代わると、破砕時に回転軸2L、2R(刃体12)にかかる力が変化し、破砕物Aが詰まり易く駆動モータ4の正転後に逆転させるケースが多い。また、破砕物Aの詰まりが発生しなくても手動等で駆動モータ4を逆転することによって破砕物Aを刃体12(ケーシング3内)へ向けて案内し、その後、駆動モータ4を正転することもある。
【0034】
このように、駆動モータ4の正転や逆転を比較的頻繁に繰り返し行う二軸型破砕機1において、逆転時に発生する回生電流を無駄にせず充電して充電した電力を正転時に使用しているため、消費電力を抑えることができ、省電力の効果も高い。
また、駆動モータ4を正転から逆転に切り換えるときに、主電源Pからの電力よりも先に最初にコンデンサ15に蓄えた電力を使用しているために、電力供給装置6等にかかる電気的な負荷を抑えることができる。
【0035】
[第2実施形態]
第1実施形態では、駆動モータ4の初期起動時は充放電部14の電力は用いずに主電源のみの電力を用いて駆動していたが、この第2実施形態では、初期起動時であっても充放電部14で充電した電力を使用しようというものである。
図4に示すように、具体的には、第2実施形態では、コンデンサ15に蓄えた電力を主電源P側に放出するために使用していた第1スイッチ16を主電源P側の電力を蓄えるためにも用いている。つまり、第1スイッチ16は、放電だけでなく充電を行うために兼用化されている。
【0036】
制御装置5は、電力供給装置6へ電力が供給されている状態において第1スイッチ16に充電指令を連続的に出力する。即ち、制御装置5は、第1スイッチ16に充電指令を出力すると共に放電指令を出力する。第1スイッチ16は、充電指令が入力されるとオンし、充電指令が入力されないとオフする。
図5は、第2実施形態における二軸型破砕機1の動作をまとめたものである。なお、図3の動作と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
【0037】
電力供給装置6の主電源をオンして、回転軸2L、2Rが停止している状態から操作盤20の操作スイッチ21を押して駆動モータ4の正転の開始を制御装置5に指令する(S1:破砕機運転指令)。そうすると、まず、制御装置5が間欠的に充電指令を第1スイッチ16に出力し、第1スイッチ16がオンになることによってコンデンサ15に主電源P側の電力が蓄えられる(S30:コンデンサ充電)。そして、制御装置5において、充電指令のオン・オフの繰り返しを数秒間(例えば、2秒程度)行った後は、コンデンサ充電が完了したとする(S31、Yes)。或いは、コンデンサへの電圧が下がると充電が完了したとする。
【0038】
そして、コンデンサ15の充電が完了後、制御装置5が駆動モータ4に正転指令を出力して駆動モータ4を正転させる際(S2:駆動モータ正転指令)に、まず、第1スイッチ16をオンしてコンデンサ15に蓄電した電力を放出し、一度蓄えた電力を駆動モータの回転するときに使用する。
以上、本発明によれば、コンデンサ15の充電を行うにあたっては、第1スイッチ16を間欠的にオン・オフすることにより行っているため、主電源P側の電力をコンデンサ15に蓄えるときの電圧降下を防止することができ、コンデンサ15に主電源P側の電力を蓄えるときの回路等への負荷を低減することができる。
【0039】
しかも、回生電流が発生したときに充電用として用いていたコンデンサ15を、初期起動時に電力供給装置6からの電力を充電するのにも用いているため、他にコンデンサを設ける場合よりも部品点数を少なくすることができる。また、第1実施形態と同様に、主電源Pからの電力よりも先に最初にコンデンサ15に蓄えた電力を使用しているために、電力供給装置6等にかかる電気的な負荷を抑えることができる。
【0040】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。上記の実施形態では、制御装置5の制御によって、回転軸2L、2Rが正転時に停止したときに自動的に逆転を行うようにしていたが、操作盤20の操作スイッチ21等を用いて手動で正転や逆転を切り換えることができるようにしてもよい。上記の実施形態では、1つの駆動モータ4によって2つの回転軸2L、2Rを駆動していたが、これに代え、2つの回転軸2L、2Rをそれぞれ独立した駆動モータ4によって駆動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 二軸型破砕機
2L,2R 回転軸
5 制御装置
6 電力供給装置
12 刃体
14 充放電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の刃体が設けられた一対の回転軸と、この回転軸を正転して刃体を破砕方向に回転させると共に逆転して破砕方向とは逆方向に回転させる駆動モータと、この駆動モータに電力を供給する電力供給装置とを備え、
前記電力供給装置は、前記回転軸を逆転させたときの回生電流を充電すると共に前記回転軸を正転させるときに放電する充放電部を有していることを特徴とする二軸型破砕機。
【請求項2】
前記充放電部に充電を行う充電指令と放電を行う放電指令とを出力すると共に前記駆動モータの正転及び逆転を制御すべく指令を出力する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記回転軸を逆転させた後に回転軸の逆転を停止すべく当該駆動モータに逆転の停止を出力した後、前記充電指令を前記充放電部に出力すると共に、前記回転軸を正転すべく駆動モータに正転指令を出力した際に前記放電指令を出力することを特徴とする請求項1に記載の二軸型破砕機。
【請求項3】
前記充放電部は、回生電流を充電可能なコンデンサを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の二軸型破砕機。
【請求項4】
複数枚の刃体が設けられた一対の回転軸を駆動モータによって正転して破砕物の破砕を行うと共に、逆転して破砕物の詰まりを解消する二軸型破砕機の制御方法において、
前記回転軸を正転から逆転に切り換える第1ステップと、この第1ステップにて回転軸を逆転したときに発生する回生電流を充電する第2ステップと、この第2ステップで充電した電力を前記駆動モータを逆転から正転する際に前記駆動モータに供給する第3ステップとを備えていることを特徴とする二軸型破砕機の制御方法。
【請求項5】
前記第2ステップでは、前記回生電流をコンデンサに充電することを特徴とする請求項4に記載の二軸型破砕機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−110845(P2012−110845A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262565(P2010−262565)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(390013745)株式会社ホーライ (5)
【Fターム(参考)】