説明

二軸配向ポリエステルフィルム

【課題】優れた寸法安定性を有するフィルムの特性を変えることなく、高温加工時に伸びが発生しにくい二軸配向ポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】(i)ジカルボン酸成分が5モル%以上50モル%未満の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分および50モル%を超え95モル%以下の他の芳香族ジカルボン酸を含有し、(ii)ジオール成分が90〜100モル%の炭素数2〜10のアルキレングリコールを含有する芳香族ポリエステルとガラス転移温度が190℃以上である熱可塑性樹脂とのポリエステル樹脂組成物からなり、該熱可塑性樹脂を1〜30重量%の範囲で含有する二軸配向ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムに関し、特に高密度磁気記録媒体用ベースフィルムとして好適な二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに代表される芳香族ポリエステルは、優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有するのでフィルムなどに幅広く使用されている。特にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有し、それらの要求の厳しい用途、例えば高密度磁気記録媒体などのベースフィルムなどに使用されている。しかしながら、近年の高密度磁気記録媒体などでの寸法安定性の要求はますます高くなってきており、さらなる特性の向上が求められている。
【0003】
一方、特許文献1〜4には6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を主とする酸成分と、ジオール成分とのエステル単位からなるポリエステルが提案されている。該文献には、結晶性で、融点が294℃のポリエステルが開示されている。これらの特許文献1〜4に開示されたポリエステルは、融点が非常に高く、また結晶性も非常に高く、フィルムなどに成形しようとすると、溶融状態での流動性が乏しく、押出しが不均一化したり、押出した後に延伸しようとしても結晶化が進んで高倍率で延伸すると破断したりするなどの問題があった。
【0004】
また、特許文献5では、ポリエステルにポリイミドを配合した二軸配向ポリエステルフィルムが提案されている。しかしながら、この技術では湿度膨張係数の低減といった環境変化に対する寸法安定性を向上させることはできなかった。
【0005】
【特許文献1】特開昭60−135428号公報
【特許文献2】特開昭60−221420号公報
【特許文献3】特開昭61−145724号公報
【特許文献4】特開平6−145323号公報
【特許文献5】特開2008−81533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、まず寸法安定性、特に温度や湿度が変化したときの環境変化に対する寸法安定性を高めるために、αt(温度膨張係数)およびαh(湿度膨張係数)が低いフィルムを提供することを鋭意検討した結果、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などをジカルボン酸成分とするポリエステルに、所定量の6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸(以下、ANAと称することがある。)を共重合させたポリエステルは、製膜性に優れ、該共重合ポリエステルから外観および機械的強度に優れたフィルムが得られ、しかもANAの特性である低いαh値を有することを見出し、先に出願した。
【0007】
ただ、このように優れた寸法安定性を有するフィルムではあるものの、共重合によるためか、高温加工時に伸びが発生しやすいという新たな問題が潜在していることを見出し、それを解消したのが本発明である。
【0008】
したがって、本発明の課題は、かかる問題を改善し、優れた寸法安定性を有するフィルムの特性を変えることなく、高温加工時に伸びが発生しにくい、特に高密度磁気記録媒体用ベースフィルムとして好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリエステルに特定の熱可塑性樹脂を配合して得られるポリエステル樹脂組成物からなる二軸配向ポリエステルフィルムを使用した磁気テープであれば、目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、以下の構成によって達成される。
〔1〕 ポリエステルとガラス転移温度が190℃以上である熱可塑性樹脂とのポリエステル樹脂組成物からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、
該ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分およびジオール成分からなるポリエステルであって、(i)ジカルボン酸成分が5モル%以上50モル%未満の下記式(A)および50モル%を超え95モル%以下の下記式(B)で表される繰り返し単位を含有し、(ii)ジオール成分が90〜100モル%の下記式(C)で表される繰り返し単位を含有すること
該ポリエステル樹脂組成物は、その重量を基準として、該熱可塑性樹脂を1〜30重量%の範囲で含有する二軸配向ポリエステルフィルム。
【化1】

(式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基、式(B)中、Rはフェニレン基またはナフタレンジイル基、式(C)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基である。)
〔2〕 前記式(A)で表されるジカルボン酸成分が、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分である〔1〕記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
〔3〕 前記式(B)で表されるジカルボン酸成分が、2、6−ナフタレンジカルボン酸成分である〔1〕記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
〔4〕 前記式(C)で表されるジオール成分が、エチレングリコール成分である〔1〕記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
〔5〕 熱可塑性樹脂が、ポリエーテルイミドおよび液晶性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種である〔1〕記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
〔6〕 〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムをベースフィルムとして用いた磁気記録媒体。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、湿度変化に対する寸法安定性に優れ、高温加工時に伸びが発生しにくい磁気記録媒体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリエステルは、下記の芳香族ジカルボン酸成分およびジオール成分からなるポリエステルである。
即ち、芳香族ジカルボン酸成分およびジオール成分からなるポリエステルであって、(i)ジカルボン酸成分が5モル%以上50モル%未満の前記式(A)および50モル%を超え95モル%以下の前記式(B)で表される繰り返し単位を含有し、(ii)ジオール成分が90〜100モル%の前記式(C)で表される繰り返し単位を含有するポリエステルである。
【0013】
〔ジカルボン酸成分〕
式(A)で表される繰り返し単位の含有量の上限は、50モル%未満、好ましくは45モル%、より好ましくは40モル%、さらに好ましくは35モル%、特に好ましくは30モル%である。下限は、好ましくは5モル%、より好ましくは7モル%以上、さらに好ましくは10モル%、特に好ましくは15モル%である。従って、式(A)で表される繰り返し単位の含有量は、好ましくは5〜45モル%、より好ましくは7〜40モル%、さらに好ましくは10〜35モル%、特に好ましくは15〜30モル%である。
【0014】
式(A)で表される繰り返し単位は、好ましくは6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸、6,6’−(トリメチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸および6,6’−(ブチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸由来の単位が好ましい。これらの中でも式(A)におけるRの炭素数が偶数のものが好ましく、特に6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸由来の単位が好ましい。
【0015】
本発明におけるポリエステルは、ジカルボン酸成分が5モル%以上50モル%未満の式(A)で示される単位を含有することを特徴とする。式(A)で示される単位の割合が下限未満では湿度膨張係数の低減効果などが発現し難い。また上限よりも少なくすることで製膜性を向上でき、しかも湿度膨張係数の低減効果については同等な効果を得られるという利点もある。
【0016】
つぎに、式(B)中、Rはフェニレン基またはナフタレンジイル基である。式(B)で表される繰り返し単位として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸に由来する単位、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0017】
〔ジオール成分〕
ジオール成分は、90〜100モル%の前記式(C)で表される繰り返し単位を含有する。式(C)で表される繰り返し単位の含有量は、好ましくは95〜100モル%、より好ましくは98〜100モル%である。
【0018】
式(C)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基である。Rのアルキレン基として、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等が挙げられる。これらの中でも式(C)で表されるジオール成分として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等に由来する単位が好ましく挙げられる。ジオール成分のエチレングリコール由来の単位の含有量は、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95〜100モル%、最も好ましくは98〜100モル%である。
【0019】
〔ポリエステル〕
本発明におけるポリエステルは、式(A)で表される繰り返し単位と、式(C)で表される繰り返し単位で構成されるエステル単位(−(A)−(C)−)の含有量は、全繰り返し単位の好ましくは5モル%以上50モル%未満、より好ましくは5〜45モル%、さらに好ましくは10〜40モル%である。
【0020】
他のエステル単位として、エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートなどのアルキレンテレフタレート単位、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、トリメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどのアルキレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が好ましく挙げられる。これらの中でも機械的特性などの点からエチレンテレフタレート単位やエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が好ましく、特にエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が好ましい。
【0021】
本発明におけるポリエステルは、P−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度が0.4〜3、好ましくは0.4〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.5〜1.2dl/gである。
【0022】
本発明におけるポリエステルの融点は、200〜260℃の範囲、好ましくは205〜257℃の範囲、より好ましくは210〜255℃の範囲である。融点はDSCで測定する。
融点が上限を越えると、溶融押出して成形する際に、流動性が劣り、吐出などが不均一化しやすくなる。一方、下限未満になると、製膜性は優れるものの、ポリエステルの持つ機械的特性などの損なわれやすくなる。
【0023】
一般的に共重合体は単独重合体に比べ融点が低く、機械的強度が低下する傾向にある。しかし、本発明のポリエステルは、式(A)の単位および式(B)の単位を含有する共重合体であり、式(A)の単位を有する単独重合体に比べ、融点が低いが機械的強度は同じ程度であるという優れた特性を有する。
【0024】
本発明におけるポリエステルのDSCで測定したガラス転移温度(以下、Tgと称することがある。)は、好ましくは80〜125℃、より好ましくは95〜123℃、さらに好ましくは110〜120℃の範囲にある。Tgがこの範囲にあると、耐熱性および寸法安定性に優れたフィルムが得られる。融点やガラス転移温度は、共重合成分の種類と共重合量、そして副生物であるジアルキレングリコールの制御などによって調整できる。
【0025】
〔熱可塑性樹脂〕
本発明においては、ガラス転移温度が190℃以上である熱可塑性樹脂を1〜30重量%(組成物の重量を基準)含有させたポリエステル樹脂組成物を用いる。
上記の熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が190℃以上であるものならば特に制限されないが、例えばポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、液晶性樹脂、ポリカーボネートおよびこれらの共重合体、ブレンド物を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリエーテルイミドおよび液晶性樹脂が特に好ましい。また、ガラス転移温度の上限は制限されないが、350℃程度が好ましい。好ましいガラス転移温度は200〜300℃、210〜250℃の範囲である。
【0026】
〔ポリエーテルイミド〕
本発明で用いるポリエーテルイミド(以下『PEI』ということがある)としては、ガラス転移温度が190℃以上であり、ポリエステルとの親和性などの点から、下記一般式で示されるような、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有するポリエーテルイミドが特に好ましい。
【0027】
【化2】

(ただし、上記式中Rは、6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基、Rは6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、および2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の有機基である。)
【0028】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに、PEIを含有させることは、フィルムのガラス転移温度が上昇し、高温での寸法安全性が向上するため好ましい。特に、二軸配向ポリエステルフィルムに含有されるPEIの割合が5〜30重量%(組成物の重量を基準)の範囲であると、幅方向の寸法変化率を本発明の範囲にすることが容易であるため好ましい。より好ましくは10〜25重量%の範囲である。また、PEIの含有量が上記の範囲内であると、延伸による強度が高いので好ましい。特にPEIの含有量が30重量%以下である場合は、フィルムの結晶性が大きくなるので好ましい。
【0029】
本発明に用いられるPEIとしては、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであって、溶融成形性を有するポリマーであれば、特に限定されない。例えば、米国特許第4141927号に記載のポリマーである。
【0030】
本発明では、ポリエステルとの相溶性、コスト、溶融成形性等の観点から、ガラス転移温度が350℃以下、より好ましくは250℃以下のPEIが好ましく、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンまたはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましい。このPEIは、“Ultem”(登録商標)の商標名で、General Electric社より入手可能である。
【0031】
〔液晶性樹脂〕
本発明で用いる液晶性樹脂は、ガラス転移温度が190℃以上であり、サーモトロピック液晶樹脂等の溶融状態でも結晶のような規則だった構造を有する樹脂のことであり、従来から知られているものを用いることができる。
例えば、液晶性ポリエステル樹脂の場合、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸を、ヒドロキシカルボン酸として、パラヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸を主たる成分とし、さらにビフェノールなどの芳香族ジオールやエチレングリコールなどの脂肪族ジオールを構成成分として含有することができる。
【0032】
〔二軸配向ポリエステルフィルム〕
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前述のポリエステルと熱可塑性樹脂とを含有する、2軸に配向したフィルムである。2層以上のフィルム層を有する積層フィルムの場合は、これを構成する少なくとも1層が本発明のフィルムからなる層であればよい。
【0033】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前述のポリエステル組成物を溶融製膜して、シート状に押出すことで得られる。そして、前述のポリエステルは、溶融時の流動性、その後の結晶性、製膜性に優れ、厚み斑の均一なフィルムとなる。さらに本発明のフィルムは、6、6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸以外の芳香族ジカルボン酸を含有する芳香族ポリエステルの優れた機械的特性を有する。
【0034】
本発明において、フィルムの面方向とはポリエステルフィルムの厚みに直交する面の方向である。フィルムの製膜方向(縦方向)をMachine Direction(MD)という。フィルムの幅方向(横方向)とはフィルムの製膜方向(MD)に直交する方向であり、Transverse Direction(TD)方向という。
【0035】
[温度膨張係数:αt]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの幅方向の温度膨張係数(αt)が、好ましくは15×10−6/℃以下、より好ましくは10×10−6/℃以下、さらに好ましくは7×10−6/℃以下、特に好ましくは5×10−6/℃以下の範囲であることが、雰囲気の温度変化による寸法変化に対して優れた寸法安定性を発現できることから好ましい。
【0036】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの幅方向の温度膨張係数(αt)の下限は、好ましくは−15×10−6/℃、より好ましくは−10×10−6/℃、さらに好ましくは−7×10−6/℃である。フィルムの幅方向の温度膨張係数が上記範囲であることで、磁気テープにしたときの寸法変化を抑制しやすくなる。
【0037】
なお、特許文献3によれば、ポリアルキレン−6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエートを共重合したポリエステルフィルムの温度膨張係数(αt)は大きくなることが予想される。しかし、本発明によれば、特定の共重合比のポリエステルを採用し、かつ延伸することにより、温度膨張係数(αt)を小さくすることができる。
【0038】
[湿度膨張係数:αh]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの幅方向の湿度膨張係数(αh)が1×10−6〜10×10−6/%RH、より1×10−6〜7×10−6/%RH、さらに1×10−6〜6×10−6/%RHの範囲にあることが好ましい。αhがこの範囲にあると、磁気記録テープにしたときの寸法安定性が良好となる。
【0039】
[ヤング率:Y]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの製膜方向のヤング率が、好ましくは4.5GPa以上、より好ましくは5GPa以上であることが、高温加工時の伸びを抑制する点から好ましい。フィルムの製膜方向のヤング率(Y)の上限は12GPa程度がフィルムの幅方向にも十分なヤング率を具備させやすいことから好ましい。
一方、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの幅方向のヤング率が、6〜14GPa、より好ましくは7〜12GPaの範囲にあることが、フィルムの幅方向の温度膨張係数や湿度膨張係数を上記範囲内に調整しやすいことから好ましい。
【0040】
(押出工程)
まず、前述のポリエステルを乾燥後、該ポリエステルの融点(Tm:℃)ないし(Tm+50)℃の温度に加熱された押出機に供給して溶融し、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出す工程である。なお、前述の熱可塑性樹脂は、ポリエステルの重合段階もしくは押し出しに供給したときに溶融混練で含有させることができる。
【0041】
(冷却工程)
この押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化して未延伸フィルムとする工程である。
前述のαt、αh、ヤング率などを達成するためには、その後の延伸を進行させやすくすることが必要であり、そのような観点から冷却ドラムによる冷却は非常に速やかに行なうことが好ましい。そのような観点から、特許文献3に記載されるような80℃といった高温ではなく、20〜60℃という低温で行なうことが好ましい。このような低温で行うことで、未延伸フィルムの状態での結晶化が抑制され、その後の延伸をよりスムーズに行うことが可能となる。
【0042】
(延伸工程)
得られた未延伸フィルムを二軸延伸する工程である。二軸延伸としては、逐次二軸延伸でも同時二軸延伸でもよい。ここでは、逐次二軸延伸で、縦延伸、横延伸および熱処理をこの順で行う製造方法を一例として挙げて説明する。まず、最初の縦延伸は芳香族ポリエステルのガラス転移温度(Tg:℃)ないし(Tg+40)℃の温度で、3〜10倍、好ましくは3〜8倍に延伸し、次いで横方向に先の縦延伸よりも高温で(Tg+10)〜(Tg+50)℃の温度で3〜10倍、好ましくは3〜8倍に延伸し、さらに熱処理としてポリマーの融点以下の温度でかつ(Tg+50)〜(Tg+150)℃の温度で1〜20秒間、さらに1〜15秒間、熱固定処理するのが好ましい。
【0043】
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは、6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が共重合されていることから極めて延伸性に富む反面、同じ延伸倍率ではヤング率が低くなる傾向があり、目的とするヤング率を得るにはより高めの延伸倍率で延伸することが必要である。通常であれば、延伸倍率を上げると製膜安定性が損なわれるが、本発明では6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分が共重合されているので延伸性が非常に高く、そのような問題は無い。
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムは縦延伸と横延伸とを同時に行う同時二軸延伸でも製造できる。その条件は前述の延伸倍率や延伸温度などを参考にすればよい。
【0044】
また、本発明における二軸配向ポリエステルフィルムが積層フィルムの場合、2種以上の溶融ポリエステルをダイ内で積層してからフィルム状に押出すことができる。また2種以上の溶融ポリエステルをダイから押出した後に積層し、急冷固化して積層未延伸フィルムとすることもできる。押し出し温度は、好ましくはそれぞれのポリエステルの融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度である。
【0045】
ついで前述の単層フィルムの場合と同様な方法で二軸延伸および熱処理を行うとよい。また、塗布層を設ける場合、未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムの片面または両面に所望の塗布液を塗布し、後は前述の単層フィルムの場合と同様な方法で二軸延伸および熱処理を行うことが好ましい。
【0046】
なお、二軸配向ポリエステルフィルムの中には、ポリエステル重合時に析出させた内部析出粒子や、製膜までに添加した不活性粒子例えば、炭酸カルシウム粒子、アルミナ粒子、球状シリカ粒子、酸化チタン粒子に代表される不活性無機粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等に代表される有機粒子等を含んでいても良い。
【0047】
本発明によれば、本発明の上記二軸配向ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、その一方の面に非磁性層および磁性層をこの順で形成し、他方の面にバックコート層を形成することなどで磁気記録テープとすることができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、各特性値は下記の方法によって測定した。
【0049】
(1)固有粘度
ポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
【0050】
(2)ガラス転移点および融点
ガラス転移点および融点はDSC(TAインスツルメンツ社製、商品名:Q100)により昇温速度20℃/minで測定した。
【0051】
(3)共重合量
(グリコール成分)試料10mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに80℃で溶解し、イソプロピルアミンを加えて十分に混合した後に、600MHzのH−NMRを日本電子株式会社製、JEOL A600を用いて80℃で測定し、それぞれのグリコール成分量を求めた。
(酸成分)試料60mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、150MHzの13C−NMRを日本電子株式会社製、JEOL A600を用いて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を求めた。
【0052】
(4)ヤング率
フィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算した。
【0053】
(5)温度膨張係数(αt)
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように幅4mmに切り出し、セイコーインスツル株式会社製、商品名TMA/SS6000に測定長20mmでセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、80℃で30分前処理し、その後室温まで降温させた。その後30℃から80℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出した。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5×10−6
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5×10−6(/℃)は石英ガラスの温度膨張係数(αt)である。
【0054】
(6)湿度膨張係数(αh)
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように幅5mmに切り出し、ブルカー・エイエックスエス株式会社製、商品名TMA4000SAに測定長15mmでセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度20%RHと湿度80%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数(αh)を算出した。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαhとした。
αh=(L80−L20)/(L20×△H)
ここで、上記式中のL20は20%RHのときのサンプル長(mm)、L80は80%RHのときのサンプル長(mm)、△H:60(=80−20)%RHである。
【0055】
(7)加工時の伸びによる塗布(高温加工時の耐伸び性)
ダイコーターで、20MPaの張力条件で、幅500mmにスリットされた長さ500mのフィルムの一方の表面に、下記組成の非磁性塗料、磁性塗料を同時に、乾燥後の非磁性層および磁性層の厚みが、それぞれ1.2μmおよび0.1μmとなるように膜厚を変えて塗布し、磁気配向させて120℃×30秒の条件で乾燥させる。さらに、小型テストカレンダ−装置(スチ−ルロール/ナイロンロール、5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダ−処理した後、70℃、48時間キュアリングする。そして、得られた磁性層付フィルムについて、目視判定により、以下の基準で塗布斑を評価した。なお、目視判定は、フィルムの裏側に蛍光灯を設置し、磁性層の抜けによる光の漏れをカウントすることで行ない、この磁性層付フィルムを必要に応じてバックコート層などを設けた上で、幅12.65mmにスリットし、カセットに組み込みことで磁気記録テープにできる。
○:塗布抜けが2個/250m未満(高温加工時の耐伸び性良好)
△:塗布抜けが2個/250m以上10個/250m未満(高温加工時の耐伸び性やや不良)
×:塗布抜けが10個/250m以上(高温加工時の耐伸び性不良)
【0056】
非磁性塗料の組成
・二酸化チタン微粒子:100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体:10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック: 2重量部
・ラウリン酸:1.5重量部
【0057】
磁性塗料の組成
・鉄(長さ:0.3μm、針状比:10/1、1800エルステッド)
:100重量部
・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体:10重量部
・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ):10重量部
・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート) : 5重量部
・レシチン: 1重量部
・メチルエチルケトン:75重量部
・メチルイソブチルケトン:75重量部
・トルエン:75重量部
・カーボンブラック: 2重量部
・ ラウリン酸:1.5重量部
【0058】
(8)TMA
セイコーインスツル株式会社製TMA/SS6000を用いて、フィルム幅4mmに切り出し、チャック間距離20mmとなるようセットし、20MPaの荷重をかけて、昇温速度5℃/分にて180℃まで昇温し、30℃のときのフィルム長さ(L30)と130℃のときのフィルム長さ(L130)を測定し、伸び割合((L130−L30)/L30(%))を求めた。
【0059】
[参考例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸そしてエチレングリコールとを、チタンテトラブトキシドの存在下でエステル化反応およびエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gで、酸成分の30モル%が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、酸成分の70モル%が6,6’−(アルキレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル(PB1)を得た。
【0060】
[参考例2]
6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸を加えなかった以外は参考例2と同様な操作を繰り返して、固有粘度0.62dl/gで、酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、グリコール成分がエチレングリコールである芳香族ポリエステル(PA1)を得た。
【0061】
[実施例1]
参考例1および2で得られた芳香族ポリエステル(PA1)と(PB1)とPEI(General Electric社製“Ultem”(登録商標))とを、表1に示す組成となるように押し出し機に供給して300℃で溶融状態で回転中の温度55℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し未延伸フィルムとした。なお、PA1とPB1には、それぞれ重縮合反応の段階で平均粒径0.3μmの球状シリカ粒子と平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子とをそれぞれ0.02重量%と0.2重量%となるように含有させた。そして、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率5.2倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、横延伸温度135℃で横延伸倍率7.0倍、熱固定処理(195℃で10秒間)および冷却を行い、厚さ5.0μmの二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0062】
[実施例2]
実施例1において、表1に示す組成となるようにPEIの割合を変更し、縦方向の延伸倍率を5.0倍、横方向の延伸倍率6.0倍に変更し、得られる二軸延伸フィルムの厚さを5μmになるように調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0063】
[実施例3]
実施例1において、表1に示す組成となるようにPA1とPB1とPEIの割合を変更し、押し出し機の温度を300℃、縦方向の延伸におけるフィルム表面温度を138℃にまた延伸倍率を5.0倍に変更し、横方向の延伸における横延伸温度を140℃にまた横延伸倍率6.0倍、熱固定処理を200℃で10秒間に変更し、得られる二軸延伸フィルムの厚さを5μmに変更したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0064】
[実施例4]
実施例1において、表1に示す組成となるようにPEIの割合を変更し、縦方向の延伸におけるフィルム表面温度を140℃にまた延伸倍率を4.0倍に変更し、横方向の延伸における横延伸温度を140℃にまた横延伸倍率4.7倍に変更し、得られる二軸延伸フィルムの厚さを5μmになるように調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0065】
[実施例5]
実施例2において、PEIの代わりに液晶性樹脂(ユニチカ株式会社製“U−ポリマー”(登録商標):Tg225℃))を用い、縦方向の延伸におけるフィルム表面温度を140℃にまた延伸倍率を5.0倍に変更し、横方向の延伸における横延伸温度を140℃にまた横延伸倍率6.0倍に変更し、得られる二軸延伸フィルムの厚さを5.0μmになるように調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムおよびフィルムロールの特性を表1に示す。
【0066】
[比較例1]
実施例1において、表1に示す組成となるようにPEIの割合を変更し、縦方向の延伸におけるフィルム表面温度を130℃にまた延伸倍率を5.0倍に変更し、横方向の延伸における横延伸温度を130℃にまた横延伸倍率7.5倍に変更し、得られる二軸延伸フィルムの厚さを5μmになるように調整したほかは実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
【0067】
[比較例2]
実施例1において、表1に示す組成となるようにPEIの割合を変更したところ、押し出し工程での吐出が不安定化し、その後の評価は中止とした。
【0068】
【表1】

【0069】
表1中の、式(A)成分および式(B)成分は、ポリエステル中の式(A)および式(B)の繰り返し単位が占める全酸成分のモル数を基準としたときの割合(モル%)、Tgはガラス転移温度(℃)、MDとTDはそれぞれフィルムの製膜方向および幅方向を示す。
【0070】
表1から明らかなように、本発明のポリエステルフィルムは、耐熱寸法安定性、耐湿寸法安定性に優れ、高温加工時に伸びが発生しにくい磁気記録媒体として有用である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた寸法安定性と高温での加工性とを具備することから、磁気記録媒体、コンデンサー、ディスプレイ、回路基盤などさまざまな用途に用いることができ、特に磁気記録テープのベースフィルムに好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルとガラス転移温度が190℃以上である熱可塑性樹脂とのポリエステル樹脂組成物からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、
該ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分およびジオール成分からなるポリエステルであって、(i)ジカルボン酸成分が5モル%以上50モル%未満の下記式(A)および50モル%を超え95モル%以下の下記式(B)で表される繰り返し単位を含有し、(ii)ジオール成分が90〜100モル%の下記式(C)で表される繰り返し単位を含有すること
該ポリエステル樹脂組成物は、その重量を基準として、該熱可塑性樹脂を1〜30重量%の範囲で含有することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
【化1】

(式(A)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基、式(B)中、Rはフェニレン基またはナフタレンジイル基、式(C)中、Rは炭素数2〜10のアルキレン基である。)
【請求項2】
前記式(A)で表されるジカルボン酸成分が、6,6’−(エチレンジオキシ)ジ−2−ナフトエ酸成分である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記式(B)で表されるジカルボン酸成分が、2、6−ナフタレンジカルボン酸成分である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記式(C)で表されるジオール成分が、エチレングリコール成分である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項5】
熱可塑性樹脂が、ポリエーテルイミドおよび液晶性樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項6】
磁気記録媒体のベースフィルムとして用いる請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2010−24409(P2010−24409A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190857(P2008−190857)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】