説明

二酸化炭素の液化法及び装置

入口から出口への二酸化炭素通過用流路を備えている二酸化炭素液化用装置であって、前記流路が直列に配列された複数のコンプレッサー(2、5、8)及びクーラー(4、7、9、10、13)を備え、膨張チャンバー(14、15)を前記最終コンプレッサー(8)及びクーラー(9、10、13)の下流の前記流路に備え、気体二酸化炭素を前記膨張チャンバー(15)から前記最終コンプレッサー(8)及びクーラー(9、10、13)の上流の前記流路(3)に戻すように配置された再循環流路(16)を備えている、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状二酸化炭素の製造方法及び前記方法に使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素(CO)は、一定の工業的操作、例えば、アンモニアの製造又は石炭若しくはガス発電所による発電において副生成物として多量に生成するガスである。この副生成物を大気に放出するのは、温室効果気体であることから環境的に望ましくない。したがって、大気に単に放出する以外の方法でCOを処理する方法を開発することに、多くの努力がなされてきた。特に重要な一つの方法として、COを多孔質地下層(すなわち、岩石)に、例えば油田における注入井の下の方に、ポンプで送り込むことがある。
【0003】
地下処理は、単に多孔質地層に注入することでよい。地下処理は、注入されたCOが地層中の炭化水素(例えば、油又はガス)を生産者の坑井(すなわち、炭化水素が抽出される坑井)の方に推進する役割を果たすので、処理される地層が炭化水素を有するものである場合に有利である。このようなことから、COの注入は、炭化水素類の回収率を高めるための最近のステージリザーバ管理における一つの標準法となっている。
【0004】
処理が地下注入による場合の二酸化炭素の量は、非常に多く、一般的に数百万トンのオーダーである。従って、COをそれが生成される場所から、注入場所に輸送する場合、とりわけ注入場所が沖合の場合には、COの輸送の面での問題が生じる。二酸化炭素は、周囲温度及び圧力ではガス状であり、バッチ式で輸送する場合、プロセスを実行できないほど大きな容器を必要とする。ある状況ではパイプラインによる輸送も可能ではあるが、必要とするインフラストラクチャが高価である。したがって、二酸化炭素をとりわけ沖合の注入場所までバッチ式で液状で輸送するのが望ましい。
【0005】
しかしながら、液体二酸化炭素の輸送は、問題を生じることなく、費用をかけずに実行できるものではない。液体COを冷蔵しない場合、液体状態に維持するのに必要な圧力は高く(60〜80bar A)、必要とする加圧容器の肉厚が大きく、液体COを冷蔵せずに大規模に輸送するこのような容器を製造するのに非常な費用がかかる。周囲より低い温度で液体COを輸送する場合、必要とする圧力及び必要とする容器の肉厚は減少するが、冷蔵が必要となるので費用がかかり、二酸化炭素が固相を有するので、固体二酸化炭素が形成する恐れがある。固体二酸化炭素の形成が形成すると、ポンプによるCOの移送に問題が生じ、パイプ又はバルブが閉塞する恐れがあるため、危険性がある。
【0006】
したがって、冷蔵の経済性と容器コストとをバランスさせ、且つ固体COの形成の危険性を回避するのに、いずれかの一定の状況では、一般的に容器において液体COにとって最適な温度と圧力、例えば、温度は周囲よりも低く、圧力は周囲よりも高いが、まだ亜臨界(COの臨界点は、73.8bar Aである)にある圧力である。典型的には、大規模な液体CO輸送の場合、最適温度は−55〜−45℃の範囲であることがおおく、圧力は5.5〜7.5bar Aであることがおおく、すなわち、温度及び圧力についての三重点よりすぐ上であるCOについての状態図に対応する。COについての三重点は、5.2bar A及び−56.5℃である。温度及び圧力が上記下限より低いとドライアイスが形成される恐れがあり、圧力が上記上限より高いと容器がもっと高価なものが必要となり、圧力が上記下限より低いとガス又は固体が形成される恐れがある。
【0007】
液体二酸化炭素の小規模製造(例えば、現在典型的には0.1トン/年)は比較的普通であり、一般的に2、3又は4サイクルの圧縮及び冷却/膨張がおこなわれるが、数百万
トンのレベルでの大量生産は決して普通のことではない。すなわち、この大量生産では、出発物質が周囲温度及び圧力又はその付近である二酸化炭素又は二酸化炭素を主成分とするものであり、この出発物質を、顕著な加圧とエネルギー除去がおこなわれる大量輸送にとって望ましい温度及び圧力の液体二酸化炭素に変換する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、今般所望値よりも高い温度及び圧力の液体又は高密度流体(すなわち、超臨界)二酸化炭素を製造し、それを膨張して所望の圧力及び温度の液体二酸化炭素を生成し、冷気体二酸化炭素を圧縮及び冷却/膨張サイクルで再循環し、これらのサイクルを介してCO流の平均エンタルピーを減少させることにより、大量輸送に望ましい温度及び圧力の液体二酸化炭素を大量に製造することを、環境に優しく且つ効率的な方法でおこなうことができることを見いだした。このように、高価な冷媒を必要とせず、且つ大気へのCOの放出を回避できる。
【0009】
したがって、本発明の一態様によれば、周囲温度より低く、二酸化炭素の三重点温度より高く、且つ二酸化炭素の臨界点温度より低い温度と、周囲圧力より高く、二酸化炭素の三重点圧力より高く、二酸化炭素の臨界点圧力より低い圧力である所望の温度及び圧力の液体二酸化炭素を、二酸化炭素を含む供給ガスから製造する方法であって、入口から、膨張チャンバーに接続された出口までの流路を備えた液化装置の入口に前記供給ガスを供給することと;流体としての前記ガスを前記流路に沿って前記装置を通って流し、前記流体を複数の圧縮及び冷却サイクルに付すことにより、前記所望の温度及び圧力より高い温度及び圧力を有する液体又は超臨界二酸化炭素を生成することと;前記液体又は超臨界二酸化炭素を前記出口を通過させて前記膨張チャンバーに入れることにより、前記チャンバーにおいて前記所望温度及び圧力の気体二酸化炭素及び液体二酸化炭素を生成することと;前記気体二酸化炭素を前記圧縮及び冷却のサイクルに付されながら流れている流体に再循環することと;必要に応じて前記所望の温度及び圧力の前記液体二酸化炭素を前記膨張チャンバーから取り出すことと、を含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
圧縮及び冷却サイクルの一つ以上、好ましくは全てのこのようなサイクルは、さらに膨張工程を含んでいてもよい。この膨張工程では,さらに流体を冷却することは言うまでもない。各圧縮工程に流れる流体は、単相流体、すなわち、気相又は高密度流体(超臨界)であることがとりわけ好ましいが、最終の圧縮及び冷却工程の生成物が液体二酸化炭素又は高密度流体二酸化炭素を含むかどうかは任意である。
【0011】
必要に応じて、膨張チャンバーを液化装置から取り外すことができ、したがって、液体二酸化炭素用輸送容器としての役割を果たすことができる。しかしながら、膨張チャンバーは液体取り出し口を備えていて、そこから液体二酸化炭素を取り出して輸送容器に入れるのが好ましい。膨張チャンバーは、膨張弁等の膨張に好適なコンポーネントでよい。
【0012】
好ましくは、再循環される気体二酸化炭素を、一つ以上の熱交換器を通過させて流体流からエネルギーを引き出してから、上流点で流体流に戻す。
供給ガスは不純物、例えば、水、窒素等を含むことがあるので、流体流を一種以上の処理に付してこれらを除去することが望ましい。装置の設計によっては、これらの除去工程により、液体CO以外の二酸化炭素の一部が装置から必然的に除去されることがある。しかしながら、設計を注意深くすることにより、このような非液体二酸化炭素が除去されるのを最小限とすることができる。
【0013】
一般的に、流体を液体又は超臨界二酸化炭素に変換するのには、少なくとも2回(例え
ば、2〜8、好ましくは4)の圧縮工程が必要である。水の除去を、少なくとも1回の圧縮工程後であって且つ最終圧縮工程前、例えば、第二圧縮工程と第三圧縮工程との間、典型的には前の圧縮工程に続く冷却工程後におこなうのが好ましい。とりわけ、各圧縮工程前に水の除去をおこなうのが好ましい。COガスを、最終セパレータ後の吸着によりppmレベルまで乾燥することが望ましい。
【0014】
水は、水和、水の氷結、腐食及びコンプレッサー供給における水滴を回避するために除去しなければならない。COガスへの水の溶解度は、圧力の上昇及び温度の低下とともに減少する。水は、いくつかの方法、例えば、セパレータを用いるか、又は水吸収材又は吸着材床又はフィルターを通過させることにより除去することができる。好ましくは、水のほとんどは、各圧縮及び冷却工程後にセパレータで除去される。
【0015】
凝縮及びセパレータにより水を除去する場合、液状汚染物(例えば、水及びさらに液化重質炭化水素類等の他の液体)を含有するCOガスがセパレータに入り、そこで凝縮した液体がセパレータの底部から除去され、気体COがセパレータの頂部から出る。
【0016】
セパレータ(単一又は複数)を出る乾燥ガスを、吸着装置を通してから、次の圧縮工程に付することが望ましい。連続的に操作するために、このような吸着装置を2つ以上平行に備えていて、一つを再生(例えば、そこに熱ガスを通過させることにより)しつつ、別の吸着装置を使用中とするのが望ましい。再生に使用されるガスは、典型的には再循環されている気体二酸化炭素である。再生されている装置を出る熱湿二酸化炭素を、上流点、例えば、第一圧縮工程と第二圧縮工程との間、好ましくは圧縮工程と続いての冷却工程との間で、流体に再循環することが望ましい。
【0017】
最終自由水をセパレータで除去した後、最終圧縮工程を圧力20〜40bar、水和物形成曲線に近接した温度、すなわち、10℃〜15℃でおこなうことがとりわけ好ましい。COガスを、最終セパレータ後に吸着によりppmレベルまで乾燥するのが望ましい。
【0018】
供給ガスが、周囲温度で、二酸化炭素よりも低い温度の液相への相変化を生じる気体、例えば、窒素、酸素、メタン又はエタン等の気体を含有するとき、これらの気体を、最終膨張に先立ち除去するのが望ましい。
【0019】
したがって、このような供給ガスの場合、液化プロセスが、このような「揮発物」を除去する工程を含むことが望ましい。この工程は、液体CO又はより好ましくは除去工程で除去するのと同程度の気体と、残りの液相とからなる流体を生成する圧縮又は冷却工程の後であることが好ましい。超臨界相におけるCPよりも高い圧力で熱を除去する場合には、最初の膨張工程後に揮発物の除去をおこなう。ここでは、流体は、気体が少量であるCP下で二相領域となっている。
【0020】
揮発成分の除去は、露点曲線付近で熱除去した後に分離カラムでおこなうことができる。輸送圧6〜7bar Aでは、ドライアイスの生成を確実に防ぐために、製品には少量の揮発物のみ、典型的には0.2〜0.5モル%しか含有できない。供給物により多くの揮発物が存在する場合には、これらを除去しなければならない。これには、セパレータタンクを使用することができるが、好ましくはセパレータカラムを使用して大気に多量のCOが放出されるのを回避する。中間圧ステージ又は製品タンクから液体COを蒸発させることにより、凝縮器での冷却をおこなう。COの損失は、おおまかにみて供給物における揮発物の量と同等である。
【0021】
揮発物の除去量を高めるために、セパレータカラムから取り出す液体の一部又は全部を
温め(例えば、リボイラーで)、このセパレータカラムに戻すことができる。別法として、リボイラーを、セパレータカラムに一体化してもよい。
【0022】
流体流を冷却するために配置される冷却装置では、冷却流体として再循環二酸化炭素を使用してもよい。しかしながら、少なくとも最初の圧縮及び冷却工程での冷却装置では、外部源流体、典型的には水、例えば、海水、川水又は湖水又は周囲空気を使用するのが都合がよい。
【0023】
本発明の方法で使用される装置は、好ましくは気密導管を備えている。この気密導管は、種々の操作装置、すなわち、コンプレッサー、クーラー、ヒーター、熱交換器等を接合しており、且つ適切な弁を備えている。理想的には、流路は、入口が一つだけ(供給ガス用)及び出口は一つだけ(液体CO用)備えている。しかしながら、水又は揮発物の除去用出口が、一定の実施態様において存在する。
【0024】
本発明の方法に用いられる供給ガスは、好ましくは二酸化炭素を主成分とする、例えば、モル基準で、CO55〜100モル%又はCO70〜95モル%、とりわけ好ましくはCO少なくとも70モル%、より好ましくはCO少なくとも90モル%、特に好ましくはCO95モル%以下である。より好ましくは、供給ガスは、揮発成分0.5モル%未満及び水0.1モル%未満である。好ましくは、水分量は、50重量ppm以下である。上記したように、アンモニア製造における副生成物として生成する二酸化炭素又は石炭又はガス発電所から捕集した二酸化炭素が、特に好適である。
【0025】
また、本発明のさらなる態様によれば、入口から出口への二酸化炭素通過用流路を備えている二酸化炭素液化用装置であって、前記流路が直列に配列された複数のコンプレッサー及びクーラーを備え、膨張チャンバーを前記最終コンプレッサー及びクーラーの下流の前記流路に備え、気体二酸化炭素を前記膨張チャンバーから前記最終コンプレッサー及びクーラーの上流の前記流路に戻すように配置された再循環流路を備えている、装置が提供される。
【0026】
本発明による装置は、本発明の方法に関連して上記したさらなる構造コンポーネントを備えているのが都合がよい。
ここで、本発明の実施態様を、さらに例及び以下の非限定的実施例及び添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の装置の主要要素を示す概略図である。二酸化炭素100モル%を含有する供給ガスを、ソース(図示せず)から導管1の入口に供給する。気体を、第一コンプレッサー2に供給した後、導管3を介して第一中間クーラー4に供給する。第二ステージ圧縮及び冷却を、第二ステージコンプレッサー5及びクーラー7(導管6により接続)により実施し、最終ステージ圧縮を、コンプレッサー8及びクーラー9を用いておこなう。熱を、冷却媒体として周囲空気又は水(導管は図示せず)を用いてクーラー4、7、9の各々で取り出す。
【0028】
最終圧縮ステージからの流体出口を、熱交換器10の第一入口10aに連通させる。熱交換器10の第一出口10bを、第二熱交換器13の第一入口13aに接続する。さらに、第一出口10bを、導管12及び膨張弁11を介して熱交換器10の第二入口10cに接続する。膨張弁11を、熱交換器10からの第一出口10bを膨張及び冷却するように配置する。これにより、10と10bとの間を流れる流体が冷却される。第三入口10eと10fとの間を流れる再循環二酸化炭素ガスも、10a〜10bを流れる流体を冷却する。第二出口10dを、コンプレッサー5とクーラー7との間の導管6に接続し、それにより導管12の下に除去されるガスを再循環する。
【0029】
熱交換器10からの第一出口10bが、さらなる熱交換器13を通過して、膨張弁14に至る。次に、流体は、膨張弁14により輸送圧力まで膨張され、セパレータ15に供給される。気相(又はフラッシュガス)はそれぞれ導管16及び熱交換器13及び10を介して、第一コンプレッサー2と第一クーラー4との間に配置された導管3に戻される。2つの熱交換器10及び13は、10a、10b、13a及び13bの間を通過する流体流を冷却するように配置する。これは、導管16におけるフラッシュガス及び導管12における膨張供給ガスは、もっと低い温度であるからである。これにより、プロセス効率が増加する。
【0030】
セパレータ15で分離された液相を、流出口17から流出させて、貯蔵又は移送容器(図示せず)に入れる。
上記した加圧流体の膨張では、ジュール−トンプソンバルブを使用するのが都合がよい。別法として、上記したような加圧流体の膨張に膨張タービンを使用してもよい。これにより、プロセスのエネルギー効率を増加させることができる。
【0031】
図2において、供給ガスを、装置における導管18の入口部に供給し、そこからセパレータ20に入れる。セパレータ20では、水が凝縮され、凝縮水は導管21から除去される。次に、ガスは導管22を通って第一ステージコンプレッサー23に入り、そして第一ステージ中間クーラー24に入る。この第一ステージでの水の除去、圧縮及び中間冷却を、図2に示すように、セパレータ25、第二コンプレッサー26及び第二クーラー27により反復する。第二中間クーラー27からの流出物は、導管29を介して熱交換器28を通過する。熱交換器28では、供給ガスの温度を、装置の下流から再循環された気体二酸化炭素との熱交換によりさらに低下させる。
【0032】
中間クーラー24及び27では、熱を海水により除去する。
供給ガスは、熱交換器28から、導管31を介してセパレータ30に流れる。セパレータ25及び30で除去された水は、導管32及び33を介して第一セパレータ20に戻される。
【0033】
水を、供給ガスから、3つのセパレータ20、25及び30で、凝縮により除去する。顕著な量(50重量ppmを超える量)の水が存在すると生じることがある水和物の生成及び腐食を回避するために、供給ガスから水を除去することが非常に望ましい。また、水を除去することにより、プロセス効率が高まる。
【0034】
次に、供給ガスを、第三セパレータ30から、導管34を介して2つの水吸着装置35a及び35bのうちの一つに供給する。ここで、水分量は、まださらに約50ppmまで減少される。
【0035】
いずれか一つのステージで一つの水吸着装置が使用中の状態で、他の水吸着装置では、導管36から熱二酸化炭素ガスを供給して再生(乾燥)をおこなう。再生されている装置からの湿二酸化炭素を、導管37を介して第一コンプレッサー23の後の導管に再循環する。
【0036】
水分量が約50ppm以下である供給ガスを、導管38を介して最終ステージコンプレッサー39及びクーラー40に供給する。この供給ガスは、プロセスの最高圧でコンプレッサー39(39は、最終圧縮ステージ)を出て、クーラー40で、海水により熱が除去されて冷却される。
【0037】
次に、液体COは導管41を通過して揮発物除去カラムに入る。この揮発物除去カラ
ムで、揮発物を蒸留により除去する。揮発物を、カラムの頂部で除去し、COの大部分を液相で残す。液体二酸化炭素は、導管43から取り出される。揮発物の除去率を高めるために、リボイラー44を、カラムの底部に取り付ける。リボイラーにより、カラムの底部に熱を供給して揮発物を蒸発除去し、それによりCOからの揮発物の分離率を高める。カラムの頂部での揮発リッチガス流におけるCOの回収率を高めるために、凝縮器をカラムの頂部に配置する。凝縮器の必要とする冷却は、中間また製品圧力で液体COを蒸発させることにより可能である。
【0038】
残りの液体二酸化炭素は熱交換器45を通過して膨張装置46に入る。この膨張装置46は、冷二酸化炭素ガスと液体二酸化炭素を生成する。液体は、導管47と熱交換器48を介して最終膨張タンク49に導かれ、そこでは所望の温度と圧力の状態である。ガスは、分けられ、一部分は導管50を介して熱交換器45に戻して通過させ、そこから導管51を介して熱交換器28に入り、一部分は導管52を介して熱交換器53を通り、そこから導管54及び51を介して熱交換器28に入る。熱交換器53は、カラム42用の凝縮器としての役割を果たす。
【0039】
最終膨張タンク49で生成したガスは、熱交換器48、28及び55を介してヒーター56に供給される。ヒーター56で、ガスは水吸着装置35a及び35bを再生するのに十分な温度に過熱する。
【0040】
膨張タンク49における液体二酸化炭素を、導管57を介して移送容器に出すことができる。
図1に示す実施態様では、コンプレッサー2の前後の圧力及び温度は、好ましくは5bar A/25℃及び11bar A/25℃である。膨張タンク15での圧力及び温度は、好ましくは6.5bar A/−50℃である。
【0041】
図2に示す実施態様において、記号A、B、C、D等で示した場所での好ましい圧力及び温度を、下表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
[実施例]
以下、3つの実施例をあげて、プロセスを供給ガスの臨界点の上又は下での熱除去について操作できる別法について説明する。
【0044】
実施例1:臨界点未満での海水/大気による熱除去
二酸化炭素を、供給圧1barから最大圧約60barに3つの圧縮段階で圧縮する。各圧縮段階間で、供給ガスを海水又は大気を用いて冷却する。十分に加圧化した供給ガス、すなわち、最終コンプレッサーからの出力を、海水を用いて再び熱交換器で凝縮する。凝縮供給ガスを、膨張弁を用いて移送圧まで膨張させ、フラッシュタンク又はセパレータに通じさせる。セパレータにおいて、液相を除去し、移送容器又は貯蔵容器に送り、気相を圧縮段階に戻す。
【0045】
実施例2:臨界点未満での外部冷却回路による熱除去
供給ガスを、供給圧1barから最大圧約2.5barに2つの圧縮段階で圧縮する。中間冷却(圧縮段階間)を、海水又は大気を用いておこなう。次に、加圧供給ガスを、外部冷却回路に接続した熱交換器を用いて凝縮する。次に、凝縮供給ガスを、膨張弁を用いて移送圧まで膨張させ、フラッシュタンク又はセパレータに通じさせる。セパレータにおいて、液相を除去し、移送容器又は貯蔵容器に送り、気相を圧縮段階に戻す。
【0046】
実施例3:臨界点より上での海水/大気による熱除去
供給ガスを、供給圧1barから最大圧約85bar(すなわち、臨界圧73.8bar超)に4つの圧縮段階で圧縮する。中間冷却(圧縮段階間)を、海水又は大気を用いておこなう。次に、加圧供給ガスを、海水又は大気を用いて超臨界相に冷却する。加圧流体を、超臨界相から二相領域に移送圧まで膨張手段を用いて膨張し、フラッシュタンク又はセパレータに通じさせる。セパレータにおいて、液相を除去し、移送容器又は貯蔵容器に送り、気相を圧縮段階に戻す。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の装置の一つの実施態様の概略図である。
【図2】本発明の装置の好ましい実施態様の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲温度より低く、二酸化炭素の三重点温度より高く、且つ二酸化炭素の臨界点温度より低い温度と、周囲圧力より高く、二酸化炭素の三重点圧力より高く、二酸化炭素の臨界点圧力より低い圧力である所望の温度及び圧力の液体二酸化炭素を、二酸化炭素を含む供給ガスから製造する方法であって、入口から、膨張チャンバーに接続された出口までの流路を備えた液化装置の入口に前記供給ガスを供給することと;流体としての前記ガスを前記流路に沿って前記装置を通って流し、前記流体を複数の圧縮及び冷却サイクルに付すことにより、前記所望の温度及び圧力より高い温度及び圧力を有する液体又は超臨界二酸化炭素を生成することと;前記液体又は超臨界二酸化炭素を前記出口を通過させて前記膨張チャンバーに入れることにより、前記チャンバーにおいて前記所望温度及び圧力の気体二酸化炭素及び液体二酸化炭素を生成することと;前記気体二酸化炭素を前記圧縮及び冷却のサイクルに付されながら流れている流体に再循環することと;必要に応じて前記所望の温度及び圧力の前記液体二酸化炭素を前記膨張チャンバーから取り出すことと、を含む方法。
【請求項2】
圧縮サイクルの一つ以上が、さらに膨張工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記各圧縮サイクルに流れる流体が、単相性である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記膨張チャンバーは、液体二酸化炭素を取り出す液体除去口を備えている、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記再循環二酸化炭素が、一つ以上の熱交換器を通過する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記再循環二酸化炭素を、上流点で流体流に戻す、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
4圧縮サイクルを含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
水を少なくとも1回の圧縮サイクル後及び最終の圧縮サイクル前に除去する、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
入口から出口への二酸化炭素通過用流路を備えている二酸化炭素液化用装置であって、前記流路が直列に配列された複数のコンプレッサー及びクーラーを備え、膨張チャンバーを前記最終コンプレッサー及びクーラーの下流の前記流路に備え、気体二酸化炭素を前記膨張チャンバーから前記最終コンプレッサー及びクーラーの上流の前記流路に戻すように配置された再循環流路を備えている、装置。
【請求項10】
前記膨張チャンバーが、液体二酸化炭素を取り出すことができるような液体除去口を備えている、請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−506620(P2008−506620A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520894(P2007−520894)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002777
【国際公開番号】WO2006/008482
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(506172986)スタットオイル エイエスエイ (7)
【出願人】(502288816)
【出願人】(507015996)
【出願人】(507015974)
【Fターム(参考)】