説明

二酸化炭素ガス回収装置

【課題】発電所、製鉄所などから排出される二酸化炭素ガスの回収を低コストで簡易に行なうことができる小型化された二酸化炭素ガス回収装置を提供すること。
【解決手段】ポンプケーシング4内に収められた一対のルーツロータ26を駆動モータ38により回転自在に設けたルーツポンプ3を備え、吸入管45に連通する管路には空気導入口46と、吸い込んだ水を衝突させる衝突部材50とを設け、ルーツポンプ3の運転により吸入管45から水を吸い込むと共に空気導入口46から取り込まれる空気が混合した水を衝突部材50に衝突させることにより多量の気泡を発生させ、かつ、ルーツポンプ3による圧縮作用により気泡を微細化し、微細化された気泡を含む水を排出管55から浄化槽や河川等の水中に放出することにより二酸化炭素ガスを溶存させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所、製鉄所や焼却炉などから排出される二酸化炭素(CO)ガスを、ルーツポンプにより吸入される水に混合させて水中に放出し溶存させることにより回収を行なう二酸化炭素ガス回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化現象の要因とされる温室効果ガスとしての二酸化炭素ガスについては、最近の首脳レベルの外交の場や国際会議でしばしば採り上げられている。化石燃料を多量に消費する先進国においては、京都議定書等で決められる温室効果ガスの排出削減、排出抑制目標をいかにして達成するかが大きな課題となっている。
【0003】
特許文献1には、製鉄所等から排出される二酸化炭素を分離回収する装置と、その装置で回収した二酸化炭素を地中若しくは海中に固定化する装置を有し、二酸化炭素を分離回収する装置は、高炉ガスから化学吸収液で二酸化炭素を吸収するための設備と、二酸化炭素を吸収した化学吸収液から化学吸収液再生用の熱源を利用して二酸化炭素を分離し化学吸収液を再生するための設備を備えた二酸化炭素の分離回収装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、低濃度の二酸化炭素が溶融炭酸塩を利用して電気化学的に濃縮・分離されることにより、排出ガス中に含まれる硫化物、塩化物、NO等の不純物を含まない高純度で高濃度の二酸化炭素を回収する二酸化炭素濃縮方法及び装置が開示されている。
【0005】
上記従来の二酸化炭素を分離回収し固定化する装置や二酸化炭素濃縮装置においては、何れも大規模の設備となって設備コストが多大となると思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4231735号公報
【特許文献2】特許第4385424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、発電所、製鉄所などから排出される二酸化炭素ガスの回収を低コストで簡易に行なうことができる小型の二酸化炭素ガス回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために請求項1に記載した発明は、化石燃料の燃焼時に発生する二酸化炭素ガスを回収する二酸化炭素ガス回収装置であって、
吸込口と吐出口を設けたポンプケーシング内に収められた一対のルーツロータを駆動モータにより回転自在に設けたルーツポンプと、その吸込口に接続される吸入管と、その吐出口に接続される排出管とを備え、その吸入管に連通する管路には二酸化炭素ガスの導入口と、吸い込んだ水と二酸化炭素ガスを衝突させる衝突部材とを設け、前記ルーツポンプの運転により前記吸入管から水を吸い込むと共に前記導入口から取り込まれる二酸化炭素ガスが混入した水を該衝突部材に衝突させることにより多量の気泡を発生させ、かつ、前記ルーツポンプによる圧縮作用によって気泡を微細化し、その微細化された二酸化炭素ガスの気泡を含む水を前記排出管から水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に溶存させることを特徴とするものである。
【0009】
同様の目的を達成するために請求項2に記載した発明は、化石燃料の燃焼時に発生する二酸化炭素ガスを回収する二酸化炭素ガス回収装置であって、
吸込口と吐出口を設けたポンプケーシング内に収められた一対のルーツロータを駆動モータにより回転自在に設けたルーツポンプと、その吸込口に接続される吸入管と、その吐出口に接続される排出管とを備え、その吸入管に二酸化炭素ガスの導入口を設け、前記ルーツポンプの運転により前記吸入管から吸い込まれる水に混入する二酸化炭素ガスの気泡を当該ルーツポンプの圧縮作用によって微細化し、その微細化された気泡を含む水を前記排出管から水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に溶存させることを特徴とするものである。
【0010】
同様の目的を達成するために請求項3に記載した発明は、化石燃料の燃焼時に発生する二酸化炭素ガスを回収する二酸化炭素ガス回収装置であって、
吸込口と吐出口を設けたポンプケーシング内に収められた一対のルーツロータを駆動モータにより回転自在に設けたルーツポンプと、その吸込口に接続される吸入管と、その吐出口に接続される排出管と、その吸入管の吸入側に排出側を接続するように設けられたウオータポンプを備え、その吸入管にエジェクタを内蔵すると共に二酸化炭素ガスの導入口を設け、前記ウオータポンプとルーツポンプの連係運転により前記吸入管から吸い込まれる水に混入する二酸化炭素ガスの気泡を当該ルーツポンプの圧縮作用によって微細化し、その微細化された気泡を含む水を前記排出管から水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に溶存させることを特徴とするものである。
【0011】
同様の目的を達成するために請求項4に記載した発明は、請求項1から3の何れかに記載した二酸化炭素ガス回収装置において、前記排出管の出口側と前記吸入管の吸入側を所定容量のタンクに夫々接続し、そのタンク内の水を前記ルーツポンプに循環供給するように設けたことを特徴とするものである。
【0012】
二酸化炭素ガス回収装置に付設したタンクに貯留される水をルーツポンプに循環供給することにより、二酸化炭素ガスを溶存させる水の節約を図ることができる。
【0013】
同様の目的を達成するために請求項5に記載した発明は、請求項1から4の何れかに記載した二酸化炭素ガス回収装置において、前記ルーツロータが2葉式ルーツロータであることを特徴とするものである。
【0014】
2葉式ルーツロータを採用した場合には、3葉式ルーツロータに比較して、自吸能力が高く、1回転あたりの吸込量が多い。また、2葉式ルーツロータをポンプケーシングに組み付ける作業は、3葉式ルーツロータの場合に比べて容易に行なえるという利点がある。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1の発明)
この二酸化炭素ガス回収装置は、ルーツポンプの運転により二酸化炭素ガスが混合した水を衝突部材に衝突させることにより多量の気泡を発生させ、かつ、ルーツポンプによる圧縮作用によって気泡を微細化し、その二酸化炭素ガスの気泡を含む水を水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に効率よく溶存させることができる。加えて、この装置は小型で設備費用が安く、発電所、製鉄所などから排出される二酸化炭素ガスの回収を低コストで簡易に行なうことができる。
【0016】
(請求項2の発明)
この二酸化炭素ガス回収装置は、ルーツポンプの運転により吸い込まれる水に混入する二酸化炭素ガスの気泡をルーツポンプの圧縮作用によって微細化し、その気泡を含む水を水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に効率よく溶存させることができる。
【0017】
(請求項3の発明)
この二酸化炭素ガス回収装置は、ウオータポンプとルーツポンプの連係運転により吸い込まれる水に混入する二酸化炭素ガスの気泡を当該ルーツポンプの圧縮作用によって微細化し、その微細化された気泡を含む水を水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に効率よく溶存させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置
【図2】ルーツポンプの内部構造図
【図3】ルーツポンプの一部破断側面図
【図4】気泡発生管の説明図
【図5】第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置を用いた実験装置
【図6】実験1の二酸化炭素ガス溶存量の測定結果を示すグラフ
【図7】実験2の二酸化炭素ガス溶存量の測定結果を示すグラフ
【図8】実験3の二酸化炭素ガス溶存量の測定結果を示すグラフ(1)
【図9】実験3の二酸化炭素ガス溶存量の測定結果を示すグラフ(2)
【図10】本発明の第2実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置
【図11】第2実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置を用いた回収システム
【図12】本発明の第3実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の最良の形態例を図面に基づいて説明する。
【0020】
(実施例1)
本発明の第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Cは、発電所、製鉄所などから排出される二酸化炭素ガスを微細化気泡として河川等の水中に放出することにより二酸化炭素ガスを水に効率よく溶存させる機能を有する。この装置には、ルーツポンプ3と、その吸込口5に接続される吸入管45と、その吐出口6に接続される排出管55を備えている。
【0021】
図1に示すように、二酸化炭素ガス回収装置Cの機台1上にはルーツポンプ3と駆動モータ38とが設置されている。ルーツポンプ3は、図2に示すように、吸込口5と吐出口6を設けたポンプケーシング4の内部に、吸込口部8を斜め上方に、吐出口部9を斜め下方に設けたロータケーシング7が45度傾けて配置されている。ロータケーシング7の吸込口部8の上隅部7aとポンプケーシング4の吸込口5側の天部4aとは、壁10により連接されている。また、吐出口部9の下隅部7bから横方向へ凹円弧壁11が一体に形成され、その凹円弧壁11のほぼ中間部とポンプケーシング4の底部4bとは、縦壁12により連接されている。13は縦壁12に設けられたバイパス穴である。このバイパス穴13はポンプケーシング4内の水を循環可能とするために設けられている。
【0022】
14,14はポンプケーシング4の周壁に設けられたドレン用穴、15はポンプケーシング4の天部4aに設けられた給水穴である。17は一方のドレン用穴14に螺着されたキャップ、21は給水穴15に螺着されたキャップである。他方のドレン用穴14に螺着されるキャップ18には、前記バイパス穴13に先端部を挿入するロッド19が中心部に突設されている。
【0023】
吸込口5には、逆止弁22を介装して配管のためのフランジ金具23が取り付けられている。また、吐出口6にも同様に、フランジ金具24が取り付けられている。
【0024】
ロータケーシング7には、一対の2葉式ルーツロータ26を収めている。図3に示すように、ルーツロータ26のロータ軸27は、ポンプケーシング4の両側に夫々固定されたハウジング30,31に装着したベアリング32,32により回転自由に支持するように設けられている。下方のロータ軸27のハウジング30から突出する一端にはプーリ34を取付け、駆動モータ装置38により伝動ベルト39を介して該プーリ34を回転駆動するように設けられている。ロータ軸27の他端にはタイミングギア35を夫々固定し、それらのタイミングギア35,35を噛合するように設けている。36はハウジング31の開口部に取り付けたギアカバーである。
【0025】
ハウジング30,31には、ロータ軸27を支持するベアリング32の奥に、公知のメカニカルシールを収納したスタッフィングボックス33が設けられている。
【0026】
ルーツロータ26については、ロータ軸27を除いて形成された芯金部26bの外側にポリウレタンゴム材(又はニトリルゴム材)によりライニング加工を施している。
【0027】
この実施例においては、2葉式ルーツロータ26を採用しているが、本発明はこれに限定されることなく、3葉や4葉の多葉式ルーツロータを採用することも可能である。
【0028】
図1に示すように、ルーツポンプ3の吸入管45の吸入側には、気泡発生管46を接続している。47は気泡発生管46の大径部46aに内蔵された気泡発生させるための衝突部材である。図4に示すように、衝突部材47は、大径部46aの内底に載せられるリング47aから上方へ延びる4本の脚47bの上端に円形板47cを一体に設けた形態とされている。
【0029】
気泡発生管46の入口側に接続した配管50には、二酸化炭素ガスの導入口51を設けている。52は配管50の本体50aから分岐された導入管50bに取付けられた開閉弁である。
【0030】
以上により、ルーツポンプ3の運転により吸入管45から水を吸い込むと共に二酸化炭素ガスの導入口51からエジェクタ作用により取り込まれる二酸化炭素ガスが混合した水を衝突部材47に衝突させることにより多量の気泡を発生させ、かつ、ルーツポンプ3による圧縮作用により気泡を微細化し、微細化された二酸化炭素ガスの気泡を含む水を排出管55から河川等の水中に放出することにより、二酸化炭素ガスを水中に効率よく溶存させる本発明の第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Cが構成される。
【0031】
本発明に係る二酸化炭素ガス回収装置Cにおいては、排出管55の出口側と吸入管45の吸入側を所定容量のタンク(図示せず)に夫々接続し、そのタンク内の水をルーツポンプ3に循環供給するように構成することもできる。本発明装置を設置する場所の近くに河川や貯水池がない場合には、タンクを設置すれば所期の効果が得られる。
【0032】
(実験1及び実験2)
本発明の第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Cについて、図5に示す実験装置により当該装置から排出される二酸化炭素ガスの気泡を含む水をタンク内の水中へ放出させてタンク内における二酸化炭素ガス溶存量及び時間経過に伴う同ガス溶存量の変化を測定する実験を行なった。実験結果を図6のグラフに示す。
(実験条件)
2葉式ルーツポンプの口径:50mm
回転速度:650rpm
モータ出力:1.5Kw
吸込圧力:−20kPa
吐出圧力:40kPa
ポンプ吸込量:200リットル/min
実験1における二酸化炭素ガス濃度:30%
(二酸化炭素ガスの量:15リットル/min、空気量:35リットル/min)
実験2における二酸化炭素ガス濃度:100%
(二酸化炭素ガスの量:5リットル/min、空気量:6リットル/min)
タンクの容積:2.9m
水温:25℃
(測定器)
二酸化炭素ガス溶存量測定器:株式会社東興化学研究所 Ti−9004
【0033】
実験1の結果、図6のグラフに示すように回収装置Cの運転時間が80分経過した場合、二酸化炭素ガス溶存量、言い換えれば二酸化炭素濃度は約570(mg/リットル)となり、大量の二酸化炭素ガスが溶存することが確認された。また、二酸化炭素ガスの濃度は5日間経過後に約380(mg/リットル)となり、二酸化炭素ガスが水中に有効に溶存していることが確認された。
【0034】
実験2については、前記ガスボンベを利用して100%濃度の二酸化炭素ガスを水中へ90分間放出し、ついで二酸化炭素ガスの供給を120分間停止し、毎分6リットルの空気を流入させることにより二酸化炭素ガス溶存量の変化を測定した。実験結果を図7のグラフに示す。
【0035】
実験2の結果、二酸化炭素ガスの濃度は約200分経過後に200(mg/リットル)となり仮想飽和点に至った。
【0036】
(実験3)
容積1.0mのタンクに水を満たし、ポンプ吸込量:200リットル/minでタンク内の水を循環させながら、20℃の二酸化炭素ガスを25リットル/minにて供給し、60分間にわたるタンク内の二酸化炭素ガス溶存量の変化を測定した。
【0037】
同様に、ポンプ吸込量:200リットル/minでタンク内の水を循環させながら、ヒータによって加熱した約100℃の二酸化炭素ガスを25リットル/minにて供給し、60分間にわたりタンク内の二酸化炭素ガス溶存量の変化を測定した。ついで、二酸化炭素ガスの供給を停止し、タンク内の二酸化炭素ガス溶存量の変化を7日間にわたって測定した。これらの実験結果を図8、図9のグラフに示す。
【0038】
実験3の結果、20℃の二酸化炭素ガスの濃度は、図8のグラフに示すように、60分経過後に約1750(mg/リットル)となり、大量の二酸化炭素ガスが水中に溶存していることが確認された。そして、7日間経過後においても約1100(mg/リットル)となり、二酸化炭素ガスが水中に有効に溶存していることが確認された。
【0039】
他方、100℃の二酸化炭素ガスの濃度は、図9のグラフに示すように、60分経過後に約2700(mg/リットル)となり、大量の二酸化炭素ガスが水中に溶存していることが確認された。そして、7日間経過後においても約1900(mg/リットル)となり、二酸化炭素ガスが水中に有効に溶存していることが確認された。
【0040】
(実施例2)
本発明の第2実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Dは、上述した第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Cにおける気泡発生管46を採用しておらず、吸入管60に二酸化炭素ガスの導入口61を設けた構成とされている。それ以外の構成については、第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Cと同様の構造とされている。よって、それと同一構成部分については、同装置Cの説明に用いた符号を図面に記載して説明を省略する。
【0041】
具体的には、図10に示すように、吸入管60には、二酸化炭素ガスの導入口61が設けられた導入管60bを直交状に分岐するように一体形成している。62は導入管60bに取り付けられた開閉弁である。
【0042】
しかして、ルーツポンプ3の運転により吸入管60から吸い込まれる水に混入する二酸化炭素ガスの気泡を当該ルーツポンプ3の圧縮作用によって微細化し、その微細化された気泡を含む水を排出管55から水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に溶存させる本発明の第2実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Dが構成される。
【0043】
第2実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Dは、ポンプ吸込量が200リットル/min以上の場合に適しており、吸入管60から吸い込まれる水に二酸化炭素ガスが溶け込み易いという特徴を有する。
因みに、第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Cでは、ポンプ吸込量が200リットル/min以下の場合に適している。
【0044】
第2実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Dを用いた回収システムの一例を図11に示す。
図において、二酸化炭素ガス回収装置Dの吸入管60に連結された第2吸入管63の先端部は、海水等の水が貯留される水槽71内に設置されている。64は第2吸入管63に取り付けられたストレーナ、72は水を水槽71に補給するための補給管である。同装置Dの導入管60bには、二酸化炭素ガス発生源たる発電所・製鉄所等から供給される二酸化炭素ガスを一時的に貯留するタンク75に接続するための配管65が連結されている。67は同装置Dの排出管55に接続した第2排出管である。77は第1室77a・第2室77b・第3室77cを備えた二酸化炭素ガスを溶存させるための水槽である。78は水を水槽77に補給するための補給管、79は放出口である。
【0045】
なお、上記水槽77は3室を備えているが、1室のみの構造とすることができる。また、水槽77を設置せずに、第2排出管67から二酸化炭素ガスを含む水を海や川へ直接放流することも可能である。
【0046】
(実施例3)
本発明の第3実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Eは、上述した第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Cにおける気泡発生管46を採用しておらず、吸入管80の吸入側に別途設置するウオータポンプ86の排出側を接続すると共に二酸化炭素ガスの導入口81を設けた構成とされている。それ以外の構成については、第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Cと同様の構造とされている。よって、それと同一構成部分については、同装置Cの説明に用いた符号を図面に記載して説明を省略する。
【0047】
図12に示すように、同装置Eの吸入管80の吸入側80aは下流に向かって縮径するテーパー形状に形成されていて、同様のテーパー形のエジェクタ83を内蔵している。そのエジェクタ83の側方位置に二酸化炭素ガスの導入口81が設けられている。二酸化炭素ガスの導入口81には、導入管80bが連接されている。84は導入管80bに取り付けられた開閉弁である。
【0048】
しかして、ウオータポンプ86とルーツポンプ3の連係運転によりウオータポンプ86から供給されてエジェクタ83により流速を高められて吸い込まれる水に円滑に混入する二酸化炭素ガスの気泡をルーツポンプ3の圧縮作用によって微細化し、その微細化された気泡を含む水を排出管55から水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に溶存させる本発明の第3実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Eが構成される。
【0049】
なお、ウオータポンプついては、ルーツポンプ又は渦巻きポンプを採用することが好ましい。また、ポンプ吸込量については、二酸化炭素ガス回収装置Eのルーツポンプ3の吸込量の50〜80%とする。
【0050】
本発明の第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Cにおいて、導入管50bから吸い込まれる二酸化炭素ガス量については、吸い込まれる水量に対して最大40%の値である。また、第3実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置Eの場合には、その比率が40〜80%の値である。
【符号の説明】
【0051】
C・・・本発明の第1実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置
3・・・ルーツポンプ
4・・・ポンプケーシング
5・・・吸入口
6・・・吐出口
26・・・2葉式ルーツロータ
38・・・駆動モータ
45・・・吸入管
51・・・二酸化炭素ガスの導入口
47・・・衝突部材
55・・・排出管
D・・・本発明の第2実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置
61・・・二酸化炭素ガスの導入口
E・・・本発明の第3実施例に係る二酸化炭素ガス回収装置
81・・・二酸化炭素ガスの導入口
83・・・エジェクタ
86・・・ウオータポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化石燃料の燃焼時に発生する二酸化炭素ガスを回収する二酸化炭素ガス回収装置であって、
吸込口と吐出口を設けたポンプケーシング内に収められた一対のルーツロータを駆動モータにより回転自在に設けたルーツポンプと、その吸込口に接続される吸入管と、その吐出口に接続される排出管とを備え、その吸入管に連通する管路には二酸化炭素ガスの導入口と、吸い込んだ水と二酸化炭素ガスを衝突させる衝突部材とを設け、前記ルーツポンプの運転により前記吸入管から水を吸い込むと共に前記導入口から取り込まれる二酸化炭素ガスが混合した水を該衝突部材に衝突させることにより多量の気泡を発生させ、かつ、前記ルーツポンプによる圧縮作用によって気泡を微細化し、その微細化された二酸化炭素ガスの気泡を含む水を前記排出管から水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に溶存させることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項2】
化石燃料の燃焼時に発生する二酸化炭素ガスを回収する二酸化炭素ガス回収装置であって、
吸込口と吐出口を設けたポンプケーシング内に収められた一対のルーツロータを駆動モータにより回転自在に設けたルーツポンプと、その吸込口に接続される吸入管と、その吐出口に接続される排出管とを備え、その吸入管に二酸化炭素ガスの導入口を設け、前記ルーツポンプの運転により前記吸入管から吸い込まれる水に混入する二酸化炭素ガスの気泡を当該ルーツポンプの圧縮作用によって微細化し、その微細化された気泡を含む水を前記排出管から水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に溶存させることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項3】
化石燃料の燃焼時に発生する二酸化炭素ガスを回収する二酸化炭素ガス回収装置であって、
吸込口と吐出口を設けたポンプケーシング内に収められた一対のルーツロータを駆動モータにより回転自在に設けたルーツポンプと、その吸込口に接続される吸入管と、その吐出口に接続される排出管と、その吸入管の吸入側に排出側を接続するように設けられたウオータポンプを備え、その吸入管にエジェクタを内蔵すると共に二酸化炭素ガスの導入口を設け、前記ウオータポンプとルーツポンプの連係運転により当該ウオータポンプから供給されて吸い込まれる水に混入する二酸化炭素ガスの気泡を当該ルーツポンプの圧縮作用によって微細化し、その微細化された気泡を含む水を前記排出管から水中に放出することによって二酸化炭素ガスを水中に溶存させることを特徴とする二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項4】
前記排出管の出口側と前記吸入管の吸入側を所定容量のタンクに夫々接続し、そのタンク内の水を前記ルーツポンプに循環供給するように設けたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載した二酸化炭素ガス回収装置。
【請求項5】
前記ルーツロータが2葉式ルーツロータであることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載した二酸化炭素ガス回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−240322(P2011−240322A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193163(P2010−193163)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000127123)株式会社アンレット (41)
【Fターム(参考)】