説明

二重床構造及び二重床設備、並びに床パネル

【課題】配線の取出口を閉塞する閉塞部の紛失を無くし、配線が取り出された取出口の閉塞部の保管を不要にすることができると共に、配線の取出口から閉塞部が外れることが防止することができる二重床構造を提供する。
【解決手段】基礎床面上で複数の床パネルを所定高さに支持して形成される二重床構造であって、複数の床パネルより下の第1の空間と、複数の床パネルより上の第2の空間とを連通する配線引出凹部54を、複数の床パネルの内の一つである配線引出パネル50に形成し、配線引出パネル50に隣接する閉塞パネル60に、配線引出パネル50の配線引出凹部54を閉塞可能な閉塞部64を一体的に設け、配線引出パネル50若しくは閉塞パネル60の少なくとも一方を回転し方向変更して配置することにより、配線引出凹部54を閉塞部64により開閉可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎床面上で複数の床パネルを所定高さに支持して形成する二重床構造、及び二重床構造を複数敷設する二重床設備、並びに床パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
基礎床面上で複数の床パネルを所定高さに支持して二重床を形成する二重床構造が知られている。二重床構造には、床パネルの下の空間に設置される配線を床パネルの上に取り出すための取出口が設けられるのが通常であり、例えば床パネルを、開口部を有するベース部と、開口部に対して着脱可能に設けられる別体の蓋部とで構成し、蓋部を取った開口部を配線の取出口とするものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開平4−87956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の床パネルは、開口部を別体の蓋部で閉塞するものであるため、蓋部を開けて開口部から配線の引き出し作業中に蓋部を紛失する事態を生じ、又、配線の引き出しに使用した開口部の蓋部を保管しておく必要も生ずる。また、蓋部は床パネルに比して軽量であるため、二重床上の歩行の振動や地震等で負荷がかかり、蓋部が開口部から外れることもあるが、蓋部が外れると、ハイヒールの踵が開口部に落ち込んだり、床パネル下の配線路空間に粉塵が入り込んでしまうという問題を生ずる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、配線の取出口を閉塞する閉塞部の紛失を無くし、配線が取り出された取出口の閉塞部の保管を不要にすることができると共に、配線の取出口から閉塞部が外れることを防止することができる二重床構造、及び二重床設備、並びに床パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の二重床構造は、基礎床面上で複数の床パネルを所定高さに支持して形成される二重床構造であって、前記複数の床パネルより下の第1の空間と、前記複数の床パネルより上の第2の空間とを連通する連通部を、前記複数の床パネルの内の少なくとも一つである第1の床パネルに形成し、前記第1の床パネルに隣接する第2の床パネルに、前記第1の床パネルの前記連通部を閉塞可能な閉塞部を一体的に設け、前記第1の床パネル若しくは前記第2の床パネルの少なくとも一方を回転し方向変更して配置することにより、前記連通部を前記閉塞部により開閉可能とすることを特徴とする。また、前記第1の床パネルの本体を平面視略方形とし、前記連通部として、前記第1の床パネルの本体の少なくとも一辺に、直径15mm以上の配線を連通可能な配線引出凹部を形成すると好適である。また、前記第2の床パネルの本体を平面視略方形とし、前記閉塞部として、前記第2の床パネルの本体の少なくとも一辺に、外方に突出する閉塞部を設け、前記閉塞部の下端を前記第2の床パネルの本体の上端と略同一高さとすると好適である。また、前記第1の床パネルの前記連通部と前記第2の床パネルの前記閉塞部が重なる領域において、前記第2の床パネルの前記閉塞部の幅を前記連通部の幅よりも広くすると好適である。
【0007】
また、本発明の二重床構造は、基礎床面上で複数の床パネルを所定高さに支持して形成される二重床構造であって、前記複数の床パネルより下の第1の空間と、前記複数の床パネルより上の第2の空間とを連通する連通部を、前記複数の床パネルの内の少なくとも一つである第1の床パネルの平面視略方形の本体の一辺に凹状に形成し、前記第1の床パネルに隣接する第2の床パネルに、前記第1の床パネルの前記連通部を閉塞可能な閉塞部を、前記第2の床パネルの平面視略方形の本体の一辺から外方に突出して一体的に設け、前記第2の床パネルの前記閉塞部を前記第1の床パネルの前記連通部上に配置して前記連通部を閉塞し、前記第2の床パネルを回転し方向変更して配置することにより、前記第2の床パネルの前記閉塞部を前記第2の床パネルと隣接する第3の床パネル上に配置して前記連通部を開放することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の二重床構造は、基礎床面上で複数の床パネルを所定高さに支持して形成される二重床構造であって、前記複数の床パネルより下の第1の空間と、前記複数の床パネルより上の第2の空間とを連通する連通部を、前記複数の床パネルの内の少なくとも一つである第1の床パネルの平面視略方形の本体の一辺に凹状に形成し、前記第1の床パネルに隣接する第2の床パネルに、前記第1の床パネルの前記連通部を閉塞可能な閉塞部を、前記第2の床パネルの平面視略方形の本体の一辺から外方に突出して一体的に設け、前記第2の床パネルの前記閉塞部を前記第1の床パネルの前記連通部上に配置して前記連通部を閉塞し、前記第1の床パネルを回転し方向変更して配置することにより、前記第2の床パネルの前記閉塞部が前記第1の床パネルの前記連通部を有しない箇所上となるようにして前記連通部を開放することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の二重床構造は、前記第1の床パネル若しくは前記第2の床パネルに係合部を設け、前記第1の床パネル若しくは前記第2の床パネルを支持する支持箇所に被係合部を設け、前記第1の床パネル若しくは前記第2の床パネルの回転による方向変更前の状態と方向変更後の状態の双方で、前記係合部が前記被係合部に係合することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の二重床構造は、前記第2の床パネルの本体を平面視略方形とし、前記第2の床パネルの本体の一辺に前記閉塞部を設け、前記閉塞部の少なくとも基部を前記第2の床パネルの本体の一辺の長さと略同一幅とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の二重床構造は、前記閉塞部を、前記第2の床パネルの本体の上面に固着する1mm以下の厚さの平板部材とすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の二重床構造は、前記閉塞部に、下方に突出する位置規制部を設け、前記位置規制部により前記第1の床パネルと前記第2の床パネルとの設置位置を規制することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の二重床構造は、前記閉塞部を、先端に向かって漸次下方となるように屈曲することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の二重床設備は、本発明の二重床構造を、前記基礎床面に複数敷設することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の床パネルは、基礎床面上で所定高さに支持される二重床構造の床パネルであって、本体を平面視略方形に形成し、前記別の床パネルの連通部を閉塞する閉塞部を、前記本体の少なくとも一辺から外方に突出して設け、
回転し方向変更して配置することにより、前記別の床パネルの前記連通部を前記閉塞部で開閉可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、第1の床パネルに連通部を設け、第1の床パネルに隣接する第2の床パネルに閉塞部を一体的に設け、第1の床パネル若しくは第2の床パネルの少なくとも一方を回転し方向変更して配置することにより、連通部を閉塞部により開閉可能とし、配線引出を行う場合には連通部を連通して配線を引き出し、配線引出を行わない場合には閉塞部で連通部を閉塞することが可能であり、前記構成により、(1)閉塞部が紛失する事態を無くすことができると共に、(2)配線取出口として用いられている連通部に対応する別体の閉塞部の保管を不要にすることができる。また、閉塞部を第2の床パネルに一体的に設けることにより、(3)閉塞部の設置の安定性を高め、配線取出口として用いられている連通部から閉塞部が外れることを防止することができる。従って、連通部の意図しない開放で、ハイヒールの踵が連通部に落ち込んだり、連通部から床パネル下の配線路空間に粉塵が入り込んでしまうことを防止することができる。
【0017】
また、通常の使用状態においても未使用の連通部を閉塞部で閉塞することが可能であるから、(4)通常の使用状態においてもハイヒールの踵の径に関わらず、ハイヒールの踵の落ち込みを確実に防止することができると共に、(5)通常の使用状態においても粉塵等が床パネル下の配線路空間に入り込むことを防止することができる。また、第1の床パネル側に連通部を設け、第2の床パネル側に閉塞部を設けることから、(6)連通部の大きさを自在に設定することが可能となり、多数の配線を一箇所から引き出すこともできる、(7)構造を簡単にし、安価に製造することができる、という効果も奏する。
【0018】
また、第1の床パネル若しくは第2の床パネルに係合部を設け、第1の床パネル若しくは第2の床パネルを支持する支持箇所とに被係合部を設け、第1の床パネル若しくは第2の床パネルの回転による方向変更前の状態と方向変更後の状態の双方で、係合部が被係合部に係合する構成により、方向変更前後の床パネルの設置の安定性を高めることができる。
【0019】
また、第2の床パネルの本体を平面視略方形とし、第2の床パネルの本体の一辺に閉塞部を設け、閉塞部の少なくとも基部を第2の床パネルの本体の一辺の長さと略同一幅とすることにより、連通部や閉塞部にかかる荷重を分散して支持することができ、閉塞部の変形等を防止することができる。
【0020】
また、閉塞部を、第2の床パネルの本体の上面に固着する1mm以下の厚さの平板部材とすることにより、二重床上の段差を極力少なくし、二重床上に載置又は貼設されるカーペット等の仕上材に段差による後残りを生じさせず、床面の美観を高めることができると共に、敷設面の不陸で第1の床パネルと第2の床パネルとの間に段差や角度のズレが生じた場合に、閉塞部の変形で追従することが可能となる。
【0021】
また、閉塞部に、下方に突出する位置規制部を設け、位置規制部により第1の床パネルと第2の床パネルとの設置位置を規制することにより、第1の床パネルと第2の床パネルの設置位置を安定させることができる。
【0022】
また、閉塞部を、先端に向かって漸次下方となるように屈曲することにより、敷設面に不陸があった場合等に閉塞部が変形して浮いた状態となることを防止することが可能となり、閉塞部が施工時の障害となったり、歩行時に音鳴りすること等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、本発明の具体的な実施形態について説明する。
【0024】
〔第1実施形態の二重床構造及びその二重床設備〕
第1実施形態の二重床構造は、図1〜図5に各構成を示す配線溝型の二重床構造であり、図示例では複数の二重床構造が基礎床面に敷設される二重床設備として示されている。第1実施形態の二重床構造は、図1に示すように、基礎床面に敷設される平面視略矩形のベースマット10を有し、図示例では複数のベースマット10が隣接して縦横に配設された二重床設備になっている。ベースマット10には平面視略矩形の複数のブロック部11〜13が上方に突出して設けられており、複数のブロック部11〜13は、ベースマット10の略中央に設けられている平面視略正方形の大ブロック部11と、ベースマット10の各辺の略中央に設けられ、平面視で大ブロック部11の約1/2の大きさを有する中ブロック部12と、ベースマット10の四隅に設けられ、平面視で大ブロック部11の約1/4の大きさ(中ブロック部12の約1/2の大きさ)を有する小ブロック部13とで構成される。
【0025】
各ブロック部11〜13は所定間隔を開けて配置され、底面に沿って設けられている可撓性の連結部14で連結されており、各ブロック11〜13の間には井桁状の配線溝15が形成される。各ブロック部11〜13の周囲には上面よりも低くなっている段差部16が形成され、段差部16には、床パネルに相当する後述する各パネル20、30、40、50、60の位置決め部を係合可能な凹部17が形成されている。段差部16には各パネル20、30、40、50、60の位置決め部を凹部17に係合して各パネル20、30、40、50、60が載置され、配線溝15が被覆されるようになっている。配線溝15にパネル20、30、40、50、60を設けることにより、パネル20、30、40、50、60の上面とブロック部11〜13の上面とが略平面状となる二重床構造が構成され、パネル20、30、40、50、60の下側の配線溝15が配線路空間である第1の空間となり、パネル20、30、40、50、60の上側及びブロック部11〜13の上側が第2の空間となる。
【0026】
ベースマット10は、樹脂の真空成形で一体的に形成されており、上方に突出する複数の凸部18を下面が開放するようにして微小間隔で形成し、凸部18の集合体で各ブロック部11〜13を構成している。凸部18には開放している下方からコンクリートが充填される。各ブロック11〜13を微小間隔の凸部18で構成し且つブロック部11〜13を可撓性の連結部14で連結することにより、ベースマット10は、基礎床面である敷設面の不陸に十分に追従することが可能となる。
【0027】
また、図1の二重床構造或いは二重床構造が複数敷設された二重床設備は、配線溝15の直線部を被覆して塞ぐ直線部パネル20と、配線溝15が交差する交差部を被覆して塞ぐ交差部パネル30と、配線溝15の直線部の端部等を被覆して塞ぐ半直線部パネル40と、第1の床パネルに相当する配線引出パネル50と、第2の床パネルに相当する閉塞パネル60とを備える。
【0028】
直線部パネル20は、平面視略長方形であり、配線溝15或いは配線路空間が延びる方向と平行に設置される辺である長辺21と、配線溝15或いは配線路空間が延びる方向と直交して設置される辺である短辺22とを有し、その短辺22には、配線を引き出すための配線引出凹部23が形成されている。直線部パネル20には、短辺22と平行で下方に突出する突条のリブ24が所定間隔を開けて4本形成され、強度の増加が図られている。更に、直線部パネル20の長辺21には位置決め部25が下方に突出して湾曲するように形成されており、位置決め部25をベースマット10の直線部の凹部17に係合し、直線部パネル20を段差部16・16に架橋するようにして、直線部パネル20を直線部の配線溝15上に設置される。
【0029】
交差部パネル30は、平面視略正方形或いは平面視略十字形で、その四隅に配線路の交差部に合わせた切欠31が形成された形状であると共に、その四隅に、直線部パネル20と同様に、位置決め部32が下方に突出して湾曲するように形成されている。交差部パネル30は、位置決め部32をベースマット10の交差部の凹部17に係合して交差部の段差部16に載置され、交差部の配線溝15上に設置される。更に、交差部パネル30の略中央には、X字形で下方に突出する突条のリブ33が形成され、強度の増加が図られている。
【0030】
半直線部パネル40は、直線部パネル20の略半分の大きさである平面視略長方形である。半直線部パネル40には、配線溝15或いは配線路空間が延びる方向と直交する方向で下方に突出する突条のリブ41が延設され、リブ41は所定間隔を開けて2本形成され、強度の増加が図られている。更に、半直線部パネル40には、配線溝15或いは配線路空間が延びる方向と平行となる各辺に位置決め部42がそれぞれ設けられ、位置決め部42は下方に突出して湾曲するように形成されている。半直線部パネル40は、位置決め部42をベースマット10の端部の直線部等の凹部17に係合して段差部16・16に架橋するようにし、端部の直線部等の配線溝15上に設置される。尚、隣り合うベースマット10・10の端部の配線溝15・15を接続して構成される直線部には、直線部パネル20を架橋して設けてもよいし、半直線部パネル40を2つ設けてもよい。
【0031】
第1の床パネルに相当する配線引出パネル50は、図1及び図2に示すように、半直線部パネル40と略同一形状の本体51を有し、半直線部パネル40と同様に、本体51に突条のリブ52と位置決め部53が形成され、床パネルの位置決めの係合部と被係合部の係合である、位置決め部53の凹部17への係合により、配線溝15或いは配線路空間の直線部に設置される。位置決め部53は、配線溝15或いは配線路空間が延びる方向と平行に設置される各辺の中央に設けられており、配線引出パネル50は、180度回転して反対方向にした向きでも、位置決め部53を凹部17に係合して同一の位置に設置可能である。尚、位置決め部53と位置決め部53が係合する直線部の凹部17は、配線引出パネル50の中心と中心とする点対称の位置に設ける等、180度回転して反対方向にした向きでも、位置決め部53を凹部17に係合して同一の位置に設置可能な構成であれば適宜である。配線引出パネル50の本体51には、配線溝15或いは配線路空間が延びる方向と直交する方向に設置される一辺に、連通部に相当する配線引出凹部54が形成されており、配線引出凹部54は直線部パネル20の配線引出凹部23よりも大きく形成された大配線引出凹部となっている。配線引出凹部54は直径15mm以上の配線を挿通可能なものとすることが好ましい。また、直径20mm以上の配線を挿通可能なものとするとより好適であり、情報線等、殆どの配線を引き出し可能となる。
【0032】
第2の床パネルに相当する閉塞パネル60は、図1及び図3に示すように、半直線部パネル40と略同一形状の本体61を有し、半直線部パネル40と同様に、本体61に突条のリブ62と位置決め部63が形成され、位置決め部63を凹部17に係合して、配線溝15或いは配線路空間の直線部に配線引出パネル50と対応して設置される。位置決め部63は、配線溝15或いは配線路空間が延びる方向と平行に設置される各辺の中央に設けられており、閉塞パネル60は、180度回転して反対方向にした向きでも、位置決め部63を凹部17に係合して同一の位置に設置可能である。尚、位置決め部63と位置決め部63が係合する直線部の凹部17は、閉塞パネル60の中心と中心とする点対称の位置に設ける等、180度回転して反対方向にした向きでも、位置決め部63を凹部17に係合して同一の位置に設置可能な構成であれば適宜である。
【0033】
閉塞パネル60の本体61には、配線溝15或いは配線路空間が延びる方向と直交する方向に設置される一辺から外方に突出する閉塞部64が一体的に設けられている。閉塞部64は、略円弧状の先端を有する略半円形の板状であり、その基部は閉塞パネル60の一辺幅全体に亘る大きさであり、配線引出凹部54と重なる領域では配線引出凹部54よりも幅広に形成されている。閉塞部64は、本体61の上面に溶接或いは接着等により取り付けられ、閉塞部64の下端或いは下面が本体61の上端或いは上面と略同一高さとなっている。閉塞部64を先端部から基部に向かって幅が広がる形状とし、その基部を閉塞パネル60の一辺の長さ全体に亘る幅とする、或いは閉塞部64を略矩形とし、その基部を閉塞パネル60の一辺の長さ全体に亘る幅とする等、閉塞部64の少なくとも基部を閉塞パネル60の一辺幅全体に亘る大きさとすることにより、閉塞部64或いは閉塞部64で閉塞される配線引出凹部54の中心に点荷重がかかった場合でも閉塞部64が変形することを防止することができる。閉塞部64には、位置規制部として下方へ切り倒される切倒片641が下方に突出して形成され、切倒片641は隣り合う配線引出パネル50など他の床パネルと接触して設置位置を規制し、設置パネル相互の位置或いは間隔を保持可能である。
【0034】
閉塞部64は好適には0mm超1.0mm以下の厚みで形成すると好適であり、これにより、二重床上の段差を極力少なくし、二重床上に載置又は貼設されるカーペット等の仕上材に段差による後残りを生じさせず、床面の美観を高めることができると共に、敷設面の不陸で配線引出パネル50と閉塞パネル60との間に段差や角度のズレが生じた場合に、閉塞部64の変形で追従することが可能となる。より好適には0.5mm以上0.7mm以下とすると前記効果をより確実に得ることができると共に、床パネルとして機能する閉塞部64の強度を高めることができる。また、閉塞部64の素材は、例えば鋼板、樹脂等適宜であり、カーペット等の仕上材を載置する、或いは歩行等の踏圧により、変形可能な程度で、且つ配線引出凹部を閉塞した状態で、閉塞部上に仕上材を載置し、その上からハイヒールの踵が落ち込まない程度の硬度を有するものが好ましく、又、ハイヒールの踵に体重が負荷された場合に配慮し、0.8kg/mm以上の応力に耐えられるものとすることが好ましい。
【0035】
配線引出パネル50と閉塞パネル60とを、二重床構造又は二重床設備の配線溝15或いは配線路空間の直線部に設置する場合には、図4(a)に示すように、配線引出凹部54と閉塞部64とが向かい合い且つ閉塞部64が配線引出凹部54の上に重なるように配置し、位置決め部53、63を凹部17にそれぞれ係合して配線引出パネル50と閉塞パネル60とを設置し、配線引出パネル50の配線引出凹部54を閉塞パネル60の閉塞部64で被覆して閉塞する。前記閉塞状態では、図5に示すように、閉塞部64で配線引出凹部54を閉塞すると同時に、配線引出凹部54よりも大きい閉塞部64が、配線引出凹部50の周りの配線引出パネル54の上面に所定量(配線引出凹部54の外周縁から閉塞部64の外周縁までの最短距離が3mm以上、好適には10mm以上存在する程度の量)以上の領域で載置されるので、配線引出凹部54にかかる荷重に対して、閉塞部64を介して配線引出パネル50及び閉塞パネル60で支持し、高い強度で確実に支持することができる。
【0036】
そして、配線路空間から大径の配線を引き出す、又は大量の配線を引き出す場合には、例えば図4(b)に示すように、配線引出パネル50を180度回転して、配線引出凹部54を閉塞パネル60の閉塞部64の逆側に向け、交差部パネル30側に位置するようにし、位置決め部53、63をそれぞれ凹部17に係合して配線引出パネル50と閉塞パネル60とを設置する。前記設置状態では、配線引出凹部54が閉塞部64で閉塞されずに開放され、配線引出凹部54が上面から目視できるようになり、交差部パネル30と配線引出パネル50の配線引出凹部54により形成された開口から配線路空間の大径の配線或いは大量の配線を引き出すことが可能となる。
【0037】
また、例えば図4(c)に示すように、閉塞パネル60を180度回転して、閉塞部64を配線引出パネル50の配線引出凹部54の逆側に向け、交差部パネル30側に位置するようにし、位置決め部63をそれぞれ凹部17に係合して閉塞パネル60を設置する。前記設置状態では、閉塞部64が交差部パネル30上に載置され、配線引出凹部54が閉塞部64で閉塞されずに開放され、配線引出凹部54が上面から目視できるようになり、閉塞パネル60の閉塞部64を有する辺と対向する辺と、配線引出パネル50の配線引出凹部54により形成された開口から配線路空間の大径の配線或いは大量の配線を引き出すことが可能となる。
【0038】
また、例えば図4(d)に示すように、配線引出パネル50と閉塞パネル60とを180度回転して、配線引出凹部54と閉塞部64とを互いに逆側にして外側に向け、配線引出凹部54を交差部パネル30側に位置し、閉塞部64を別の交差部パネル30側に位置するようにし、位置決め部53、63をそれぞれ凹部17に係合して配線引出パネル50と閉塞パネル60とを設置する。前記設置状態では、配線引出凹部54が閉塞部64で閉塞されずに開放され、配線引出凹部54が上面から目視できるようになり、交差部パネル30と配線引出パネル50の配線引出凹部54により形成された開口から配線路空間の大径の配線或いは大量の配線を引き出すことが可能となる。
図4(b)〜(c)の状態から、例えば大径の配線或いは大量の配線の引き出し位置が変更になり、図4(b)〜(c)で開口している配線引出凹部54から配線引出の必要が無くなった場合等は、配線引出凹部54を塞ぐ必要が生ずるが、この場合は、上記と逆の動作を行って図4(a)の状態にすることにより、配線引出凹部54を閉塞部64により閉塞することができる。
【0039】
尚、各パネル20、30、40、50、60の裏面、特に各パネル20、30、40、50、60の裏面の四隅近傍に緩衝材を貼設する、或いはベースマット10上で各パネル20、30、40、50、60が載置される箇所に緩衝材を貼設すると、各パネル20、30、40、50、60上を歩く歩行者の歩行音を極力減らすことができると共に、歩行感を良好に保つことが可能となって好適である。前記緩衝材は、例えば不織布、ゴム、軟質部材など適宜である。
【0040】
第1実施形態の二重床構造或いは二重床設備は、配線引出パネル50に配線引出凹部54を設け、配線引出パネル50に隣接する閉塞パネル60に閉塞部64を一体的に設け、配線引出パネル50若しくは閉塞パネル60の一方を回転し方向変更して設置することにより、配線引出凹部54を閉塞部64により開閉可能な構成であり、前記構成により、(1)閉塞部64が紛失する事態を無くすことができる、(2)配線取出口として用いられている配線引出凹部54に対応する別体の閉塞部の保管を不要にすることができる、(3)閉塞部64の設置の安定性を高め、配線取出口として用いられている配線引出凹部54から閉塞部64が外れることを防止できる。また、(4)未使用の配線引出凹部54を閉塞部64で閉塞することから、通常の使用状態においてもハイヒールの踵の径に関わらず、ハイヒールの踵の落ち込みを確実に防止することができる、(5)通常の使用状態においても粉塵等が床パネル下の配線路空間に入り込むことを防止することができる。また、(6)配線引出パネル50側に配線引出凹部54を設け、閉塞パネル60側に閉塞部64を設けることから、配線引出凹部54の大きさを自在に設定することが可能となり、多数の配線や大きな配線を一箇所から引き出すこともできる、(7)構造を簡単にし、安価に製造することができる。
【0041】
〔第2実施形態の二重床構造及びその二重床設備〕
次に、第2実施形態の二重床構造及びその二重床構造が複数敷設される二重床設備について、第1形態と異なる箇所の詳細を説明する。
【0042】
第2実施形態の二重床構造は、図6及び図7に示すように、基礎床面に敷設されるベースユニット70を有し、ベースユニット70は、樹脂で成形され、所定間隔で配置される複数の支持部71と、ベースユニット70内の支持部71・71を相互に連結する可撓性の連結部72と、外周の支持部71の外側に設けられ、ベースユニット70と別のベースユニット70を連結すると同時にベースユニット70の支持部71と別のベースユニット70の支持部71とを連結する可撓性の連結部73と、連結部73の先端に設けられ、ベースユニット70の連結部73と別のベースユニット70の連結部73とを結合可能な結合部とを有し、本例では4個×3個の12個の支持部71で1つのベースユニット70が構成されている。ベースユニット70の支持部71上或いは連結された複数のベースユニット70の支持部71上には、平面視略方形の床パネル80が載置されて二重床が形成され、支持部71相互間及び床パネル80の下方に配線路空間が形成される。形成された二重床の床パネル80の下が第1の空間、その上が第2の空間に相当する。
【0043】
支持部71は、図6に示すように、平面視略八角形の支持面711と、支持面711の角辺或いは周辺を側方で支持する側面712とから構成される底面開放の中空形状である。八角形の支持面711の隣接せずに対向する合計4辺には、後述する床パネル80の垂下片84を係合可能な溝713が形成されており、前記4辺以外の辺近傍に後述する床パネル80の位置決め凸部83を没入可能な孔部714が形成されている。また、支持面711には、支持面711の他の部分よりも薄肉になるように、且つ溝713を結合するようにして、平面視十字形のV字溝である切欠溝715が形成されており、必要に応じて切欠溝715で支持部711を分割、切除し、支持面711を分割した支持部71を壁面に接して敷設することが可能である。また、支持面711上には、支持面711と平面視略同一形状の緩衝材716が貼設されている。
【0044】
連結部72は、帯状で可撓性がある部材であり、各支持部71の下端部近傍を相互に連結し、斜め方向(支持面711の内、溝713が存在しない辺が対向する方向)に存在する支持部71・71相互を連結している。外周の支持部71の外方に突出している連結部73も、帯状で可撓性がある部材であり、その端部には結合部が設けられている。結合部は、被連係部731と連係部732とで構成され、被連係部731は、支持部71の縦横配列領域の隣り合う二辺から外方に突出する連結部73の端部に形成され、連係部732は、他の隣り合う二辺から突出する連結部73の端部に形成されており、一のベースユニット70の連係部732を別のベースユニット70の被連係部731に係合することにより、一のベースユニット70と別のベースユニット70を結合可能である。尚、本例の被連係部731は中空で下面が開放している平面視略円形の小凸部であり、連係部732は中空で下面が前記小凸部の外形より僅かに大きく開放し、前記小凸部を覆うことが可能な大凸部であり、前記大凸部を前記小凸部で覆うように係合してベースユニット70相互が結合可能である。
【0045】
床パネル80は、平面視略方形であり、本体81の上面に全体としてX字形の補強用のリブ82が形成されていると共に、その四隅に下方に突出する位置決め凸部83が形成されている。また、四辺には下方へ垂下する垂下片84が形成されており、前記垂下片は、リブ82と合わせて床パネル80の強度向上に寄与すると共に、溝713に係合することで各床パネル80の位置決め機能を発揮する。また、床パネル80の四辺のうち隣合う2辺には凹部85が形成され、隣り合う他の床パネル80の凹部85と合わせて配線引出口となる開口を形成可能である。更に、設置される複数の床パネル80の一部には、床パネル80として配線引出パネル80aと、配線引出パネル80aと隣り合って配置される閉塞パネル80bとが含まれている。第1の床パネルに相当する配線引出パネル80aは、四辺のうちの一辺に配線引出凹部81aが形成されており、他の構成は床パネル80と同様である。第2の床パネルに相当する閉塞パネル80bは、四辺のうちの一辺に閉塞部81bが形成されており、他の構成は床パネル80と同様である。
【0046】
第2実施形態の二重床構造の配線引出パネル80a及び閉塞パネル80bの箇所で、大径の配線或いは大量の配線を引き出さない場合又は引き出さない箇所においては、図7(a)に示すように、配線引出凹部81aと閉塞部81bとが向かい合い且つ閉塞部81bが配線引出凹部81aの上に重なるように配置し、配線引出パネル80a及び閉塞パネル80bの位置決め凸部83を孔部714に緩衝材716を介して係合し且つ垂下片84を溝713に係合し、配線引出パネル80aの配線引出凹部81aを閉塞パネル80bの閉塞部81bで被覆して閉塞する。前記閉塞状態では、閉塞部81bで配線引出凹部81aを閉塞すると同時に、配線引出凹部81aよりも大きい閉塞部81bが、配線引出凹部81aの周りの配線引出パネル80aの上面に所定量以上の領域で載置されるので、配線引出凹部81aにかかる荷重に対して、閉塞部81bを介して配線引出パネル80a及び閉塞パネル80bで支持し、高い強度で確実に支持することができる。
【0047】
そして、配線路空間から大径の配線を引き出す、又は大量の配線を引き出す場合には、例えば図7(b)に示すように、閉塞パネル80bを時計回りに90度回転して、閉塞部81bが隣接する別の床パネル80上に配置されるようにし、配線引出凹部81aを開放して配線を引き出す、又は第1実施形態と同様に180度回転、或いは270度回転して、配線引出凹部81aを開放して配線を引き出す。床パネルの位置決めの係合部と被係合部の係合である、位置決め凸部83の孔部714への係合と、垂下片84の溝713の係合は、90度、180度、270度の各角度で閉塞パネル80bを配置した場合に行われる。
【0048】
また、例えば図7(c)に示すように、配線引出パネル80aを反時計回りに90度回転し、配線引出凹部81aを開放して配線を引き出す、又は第1実施形態と同様に180度回転、或いは270度回転して、配線引出凹部81aを開放して配線を引き出してもよく、又は、配線引出パネル80aと閉塞パネル80bの両方を回転させてもよい。この場合にも、位置決め凸部83の孔部714への係合と、垂下片84の溝713の係合は、90度、180度、270度の各角度で配線引出パネル80aを配置した場合に行われる。
【0049】
第2実施形態の二重床構造或いは二重床設備は、第1実施形態と同様の効果を奏すると共に、配線引出凹部81aを二重床構造或いは二重床設備のより多くの位置に設定することが可能となり、より多様なレイアウトに適応することができる。
【0050】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明には、各発明や各実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、様々な拡張或いは変形が可能である。そして、実施形態に関しては、上記実施形態に限定されず、各実施形態の構成を組み合わせた構成、或いはそれぞれの実施形態の構成を部分的に取り出した構成、或いはそれぞれの実施形態の不要箇所を削除した構成、或いは別の構成を実施形態に追加した構成とするなど適宜である。
【0051】
例えば本発明は、第1実施形態の配線溝タイプの二重床や、連結部72、73で連結される支持部71で床パネル80を支持する二重床以外の適宜の二重床に適用可能であり、床パネルと床パネルを支持する支持手段を備える二重床であればよい。図8は他の二重床の例である第3実施形態の二重床構造であり、高さ調整可能な支持脚90で床パネル100を支持するものである。図8において、100aは配線引出パネル、101aは配線引出凹部、100bは閉塞パネル、101bは閉塞部である。
【0052】
また、第1〜第3実施形態等の二重床構造の各部の材質や形状は適宜であり、例えば床パネルは長方形、正方形に限らず、三角形、五角形以上の多角形でもよく、例として第2実施形態の配線引出パネル80a、閉塞パネル80bを含む床パネル80を六角形にして支持部で支持する構成としてもよい。また、床パネルの位置決めの係合部と被係合部の係合構造は、床パネルの形状等に合わせて所定角度毎に設けることが可能であり、例えば配線引出パネル80a、閉塞パネル80bを含む床パネル80を六角形にする場合には、60度回転毎に前記係合構造を設けるようにしてもよい。
また、第1実施形態の二重床構造において、交差部パネル30に閉塞部を設け、直線部パネル20に配線引出凹部を設ける構成、或いは交差部パネル30に配線引出凹部を設け、直線部パネル20に閉塞部を設ける構成等とすることも可能である。
【0053】
また、第1実施形態の配線引出パネル50、閉塞パネル60の変形例として、位置決め部、補強用のリブ、切倒片等を適宜の部分を設けない構成とすることも可能であり、例えば図9に示す本体51aに配線引出凹部54aが形成されている配線引出パネル50aや、本体61aに閉塞部64aが固着されている閉塞パネル60aとしてもよい。また、第2実施形態の床パネル80で位置決め凸部や補強用のリブ等の適宜の部分を設けない構成とすることも可能である。また、位置決め部、補強用のリブ、切倒片、位置決め凸部を設ける場合の形状、位置、個数などは適宜である。
【0054】
また、本発明の第1の床パネル及び第2の床パネルの形状は上記実施形態に限定されずに適宜である。例えば図11に示すように、配線引出凹部54bを本体51bの辺の中央部に設ける配線引出パネル50bとし、閉塞部64bを円弧状ではなく、方形状にして本体61bに形成する閉塞パネル60bとすると、より加工が容易となる。また、図12に示すように、連通部を凹状の配線引出部ではなく穴状の配線引出部54cとして本体51cに形成する配線引出パネル50cとし、閉塞部64cを本体61cの1辺の幅よりも狭い幅で形成する閉塞パネル60cとすると、材料費が節約でき、よりコストダウンに繋がる。また、図13に示すように、配線引出パネル50dの本体51dに形成する配線引出凹部54dを幅広の凹部とし、閉塞パネル60dの本体61dに形成する閉塞部64dを、第1実施形態と同一形状とすると共に、先端に向かって漸次下方となるように所定角度下方に屈曲させる構成としてもよく、敷設面に不陸があった場合にも、閉塞部64dの変形により、閉塞部64dを配線引出パネル50d或いはその配線引出凹部54d或いは他のパネル上に載置し、閉塞部64dが浮いた状態となることを防止することが可能となり、閉塞部64dが施工時の障害となったり、歩行時に音鳴りすることなどを防止することができる。また、本発明における閉塞部は別体の板状体とする他に、第2の床パネルに相当する閉塞パネルに一体成形して形成してもよい。
【0055】
また、図14に示すように、配線引出パネル80cの本体81cに形成されている配線引出凹部82cの開放形状が、閉塞パネル80dの回転により変形される構成としてもよい。閉塞パネル80dは、平面視略方形の本体81dを有し、その一辺には何も設けられておらず、他の一辺に隣り合う配線引出パネル80cの配線引出凹部82cを全て覆う略半円形の閉塞部82dが形成され、他の一辺に隣り合う配線引出パネル80cの配線引出凹部82cを半分閉塞する略帯状の半閉塞部83dが形成され、他の一辺に隣り合う配線引出パネル80cの配線引出凹部82cの略全体を覆うと共に、縁部に1本の配線を引き出し可能な凹部85dが2つ形成された略帯状の単線型閉塞部84dが形成されている。
【0056】
図14(a)に示すように、閉塞部82dが配線引出パネル80c側に位置する場合は、閉塞パネル80d側に向けられている配線引出凹部82cが完全に閉塞され、図14(b)に示すように、閉塞パネル80dを90度回転し、何も存在しない辺が配線引出パネル80c側に位置する場合は配線引出凹部82cが完全に開口し、大径の配線、大量の配線を引き出すことが可能となり、図14(c)に示すように、図14(b)の閉塞パネル80dを更に90度回転し、単線型閉塞部84dが配線引出パネル80c側に位置する場合は、単線型閉塞部84dの小径の凹部85dが2つのみ開口するようになり、2つの小径の配線を引き出すことが可能となり、図14(d)に示すように、図14(c)の閉塞パネル80dを更に90度回転し、半閉塞部83dが配線引出パネル80c側に位置する場合は配線引出凹部82cの半分が隠れ、配線引出凹部82cが全開口の場合よりは少ないが、複数本の配線を引き出すことが可能となり、様々な用途、レイアウトに対応することが可能となる。尚、小径の凹部85dは1つ、3つ以上の複数であっても良く、半閉塞部83dも半分を閉塞する以外の割合で閉塞する構成でもよい。
【0057】
また、配線引出凹部或いは配線部は、配線引出パネルに対して1つである必要はなく、複数個設ける構成でもよい。例えば1辺に2個以上設ける構成、各辺に1個ずつ設ける、各辺に複数個ずつ設ける、これらの組み合わせなど適宜であり、本構成に対応して閉塞パネルの閉塞部の構成も変更することが可能である。また、本発明には、閉塞パネルと配線引出パネルの組み合わせにより、配線引出凹部或いは配線引出部が閉塞し、又開口する構成であれば含まれる。その他に、閉塞部の基部を閉塞パネル上に溶接で取り付け、閉塞部の基部の縁部分に蝶番を設けて閉塞パネルの本体に取り付け、蝶番より前方の閉塞板を蝶番を中心に回転して、水平面から下方領域で上下動させる構成、或いは閉塞部の基端部を蝶番を介して閉塞パネルの本体に設け、蝶番より前方の閉塞板を蝶番を中心に回転して上下動させて閉塞部の前方が下方に落ち込むような構成としてもよく、より他の隣接するパネル上に確実に載置された状態が維持され、施工時の邪魔などにならない。また閉塞部は平板部材とし、閉塞パネルの本体の閉塞部を有する側の辺に沿うように、閉塞部の下面に、溝状で、他の閉塞部の部分よりも薄肉となる薄肉部を設ける構成としてもよく、前記構成により、より屈曲性が増し、敷設面の不陸に追従させることができると共に、強度低下を防ぐことができる。
【0058】
また、第1実施形態の配線引出パネル50及び閉塞パネル60の変形例として、図15及び図16の配線引出パネル50e、閉塞パネル60e、或いは図17及び図18の配線引出パネル50f、閉塞パネル60fとしてもよい。配線引出パネル50e、50fにおいて、51e、51fは本体、52e、52fはリブ、53e、53fは位置決め部、54e、54fは配線引出凹部であり、閉塞パネル60e、60fにおいて、61e、61fは本体、62e、62fはリブ、63e、63fは位置決め部、64e、64fは閉塞部であり、閉塞部64e、64fは、先端に向かって漸次下方になるように所定角度下方に屈曲させている。
【0059】
また、全ての実施形態において、必要に応じて、閉塞部の下面に緩衝材を貼設する等適宜であり、歩行感の向上や、音鳴り防止効果を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、例えばオフィスに設置する二重床構造等として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(a)は第1実施形態の二重床構造の平面説明図、(b)は同図(a)の二重床構造の側面説明図、(c)は同図(a)の二重床構造のベースマットの平面図。
【図2】(a)は第1実施形態の二重床構造における配線引出パネルの平面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその背面図、(e)はその正面図、(f)はその底面図。
【図3】(a)は第1実施形態の二重床構造における閉塞パネルの平面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその背面図、(e)はその正面図、(f)はその底面図。
【図4】(a)は第1実施形態の閉塞状態における配線引出パネルと閉塞パネルとの配置関係を示す図、(b)〜(d)は第1実施形態の開放状態における配線引出パネルと閉塞パネルとの配置関係の例を示す図。
【図5】(a)は第1実施形態の配線引出パネルの配線引出凹部を閉塞パネルの閉塞部で閉塞した状態の平面図、(b)はその正面図。
【図6】(a)は第2実施形態の二重床構造の平面説明図、(b)は同図(a)の二重床構造の側面説明図。
【図7】(a)は第2実施形態の閉塞状態における配線引出パネルと閉塞パネルとの配置関係を示す図、(b)及び(c)は第2実施形態の開放状態における配線引出パネルと閉塞パネルとの配置関係の例を示す図。
【図8】(a)は第3実施形態の二重床構造の平面説明図、(b)は同図(a)の二重床構造の側面説明図。
【図9】(a)は第1変形例の配線引出パネルの平面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその背面図、(e)はその正面図、(f)はその底面図。
【図10】(a)は第1変形例の閉塞パネルの平面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその背面図、(e)はその正面図、(f)はその底面図。
【図11】(a)は第2変形例の閉塞パネルの平面図、(b)はその正面図、(c)は第2変形例の配線引出パネルの平面図、(d)はその正面図。
【図12】(a)は第3変形例の閉塞パネルの平面図、(b)はその正面図、(c)は第3変形例の配線引出パネルの平面図、(d)はその正面図。
【図13】(a)は第4変形例の閉塞パネルの平面図、(b)はその正面図、(c)は第4変形例の配線引出パネルの平面図、(d)はその正面図。
【図14】(a)は第4実施形態の二重床構造における閉塞状態の配線引出パネルと閉塞パネルとの配置関係を示す図、(b)はその開放状態における配線引出パネルと閉塞パネルとの配置関係の例を示す図、(c)はその単線開放状態における配線引出パネルと閉塞パネルとの配置関係の例を示す図、(d)はその半開放状態における配線引出パネルと閉塞パネルとの配置関係の例を示す図。
【図15】(a)は第5変形例の配線引出パネルの平面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその背面図、(e)はその正面図、(f)はその底面図。
【図16】(a)は第5変形例の閉塞パネルの平面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその背面図、(e)はその正面図、(f)はその底面図。
【図17】(a)は第6変形例の配線引出パネルの平面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその背面図、(e)はその正面図、(f)はその底面図。
【図18】(a)は第6変形例の閉塞パネルの平面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその背面図、(e)はその正面図、(f)はその底面図。
【符号の説明】
【0062】
10…ベースマット 11…大ブロック部 12…中ブロック部 13…小ブロック部 14…連結部 15…配線溝 16…段差部 17…凹部 18…凸部 20…直線部パネル 21…長辺 22…短辺 23…配線引出凹部 24…リブ 25…位置決め部 30…交差部パネル 31…切欠 32…位置決め部 33…リブ 40…半直線部パネル 41…リブ 42…位置決め部 50、50a、50b、50c、50d、50e、50f…配線引出パネル 51、51a、51b、51c、51d、51e、51f…本体 52、52e、52f…リブ 53、53e、53f…位置決め部 54、54a、54b、54d、54e、54f…配線引出凹部 54c…配線引出部 60、60a、60b、60c、60d、60e、60f…閉塞パネル 61、61a、61b、61c、61d、61e、61f…本体 62、62e、62f…リブ 63、63e、63f…位置決め部 64、64a、64b、64c、64d、64e、64f…閉塞部 641…切倒片70…ベースユニット 71…支持部 711…支持面 712…側面 713…溝 714…貫通孔 715…切欠溝 716…緩衝材 72、73…連結部 731…被連係部 732…連係部 80…床パネル 80a、80c…配線引出パネル 80b、80d…閉塞パネル 81、81c、81d…本体 82…リブ 83…位置決め凸部 84…垂下片 85…凹部 81a、82c…配線引出凹部 81b、82d…閉塞部 83d…半閉塞部 84d…単線型閉塞部 85d…凹部 90…支持脚 100…床パネル 100a…配線引出パネル 101a…配線引出凹部 100b…閉塞パネル 101b…閉塞部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床面上で複数の床パネルを所定高さに支持して形成される二重床構造であって、
前記複数の床パネルより下の第1の空間と、前記複数の床パネルより上の第2の空間とを連通する連通部を、前記複数の床パネルの内の少なくとも一つである第1の床パネルに形成し、
前記第1の床パネルに隣接する第2の床パネルに、前記第1の床パネルの前記連通部を閉塞可能な閉塞部を一体的に設け、
前記第1の床パネル若しくは前記第2の床パネルの少なくとも一方を回転し方向変更して配置することにより、前記連通部を前記閉塞部により開閉可能とすることを特徴とする二重床構造。
【請求項2】
基礎床面上で複数の床パネルを所定高さに支持して形成される二重床構造であって、
前記複数の床パネルより下の第1の空間と、前記複数の床パネルより上の第2の空間とを連通する連通部を、前記複数の床パネルの内の少なくとも一つである第1の床パネルの平面視略方形の本体の一辺に凹状に形成し、
前記第1の床パネルに隣接する第2の床パネルに、前記第1の床パネルの前記連通部を閉塞可能な閉塞部を、前記第2の床パネルの平面視略方形の本体の一辺から外方に突出して一体的に設け、
前記第2の床パネルの前記閉塞部を前記第1の床パネルの前記連通部上に配置して前記連通部を閉塞し、
前記第2の床パネルを回転し方向変更して配置することにより、前記第2の床パネルの前記閉塞部を前記第2の床パネルと隣接する第3の床パネル上に配置して前記連通部を開放することを特徴とする二重床構造。
【請求項3】
基礎床面上で複数の床パネルを所定高さに支持して形成される二重床構造であって、
前記複数の床パネルより下の第1の空間と、前記複数の床パネルより上の第2の空間とを連通する連通部を、前記複数の床パネルの内の少なくとも一つである第1の床パネルの平面視略方形の本体の一辺に凹状に形成し、
前記第1の床パネルに隣接する第2の床パネルに、前記第1の床パネルの前記連通部を閉塞可能な閉塞部を、前記第2の床パネルの平面視略方形の本体の一辺から外方に突出して一体的に設け、
前記第2の床パネルの前記閉塞部を前記第1の床パネルの前記連通部上に配置して前記連通部を閉塞し、
前記第1の床パネルを回転し方向変更して配置することにより、前記第2の床パネルの前記閉塞部が前記第1の床パネルの前記連通部を有しない箇所上となるようにして前記連通部を開放することを特徴とする二重床構造。
【請求項4】
前記第1の床パネル若しくは前記第2の床パネルに係合部を設け、
前記第1の床パネル若しくは前記第2の床パネルを支持する支持箇所に被係合部を設け、
前記第1の床パネル若しくは前記第2の床パネルの回転による方向変更前の状態と方向変更後の状態の双方で、前記係合部が前記被係合部に係合することを特徴とする請求項1記載の二重床構造。
【請求項5】
前記第2の床パネルの本体を平面視略方形とし、
前記第2の床パネルの本体の一辺に前記閉塞部を設け、
前記閉塞部の少なくとも基部を前記第2の床パネルの本体の一辺の長さと略同一幅とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の二重床構造。
【請求項6】
前記閉塞部を、前記第2の床パネルの本体の上面に固着する1mm以下の厚さの平板部材とすることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の二重床構造。
【請求項7】
前記閉塞部に、下方に突出する位置規制部を設け、
前記位置規制部により前記第1の床パネルと前記第2の床パネルとの設置位置を規制することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の二重床構造。
【請求項8】
前記閉塞部を、先端に向かって漸次下方となるように屈曲することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の二重床構造。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の二重床構造を、前記基礎床面に複数敷設することを特徴とする二重床設備。
【請求項10】
基礎床面上で所定高さに支持される二重床構造の床パネルであって、
本体を平面視略方形に形成し、
前記別の床パネルの連通部を閉塞する閉塞部を、前記本体の少なくとも一辺から外方に突出して設け、
回転し方向変更して配置することにより、前記別の床パネルの前記連通部を前記閉塞部で開閉可能であることを特徴とする床パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−24784(P2010−24784A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190471(P2008−190471)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000162135)共同カイテック株式会社 (66)
【Fターム(参考)】