説明

二重構造ノズルによる充填時の液面揃え方法

【課題】近年、ボトルが多様化し、細長タイプの瓶なども一般的になってきている。ガラス瓶はPETボトルよりも形状及び質量のバラツキが大きくなっている。この為、充填量を一定にしてもボトル自体のバラツキにより液面の高さが不揃いになる。この液面の不揃いの修正と充填が可能な一体ノズルの提供を目的とする。
【解決手段】位置決め可能なアクチュエータにより、ノズルの充填完了時の高さを予め設定する。ノズルは容器口径に入る径の大きさの二重構造のノズルとし、外管から充填する。止め弁を兼ねた内管を降下させ充填を終了する。内管内を負圧にして余剰液の吸引を行う。ノズルの内管先端と液面が離れ真空が破壊されるまで吸引を行う。充填完了時の高さが一定となる。これを繰り返す事により液面を揃える事ができる。また、このようなノズル構造とする事により、1回の充填動作で2液の調合が可能となる。2液の同時充填も可能で充填タクトの短縮となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体および液体状の物質を充填し、充填後の容器内の液面を一定にする為の液面補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体及び液体状の物質の充填機においては、一定量の充填を行うため、重量式、流量式、ピストン式等の各種の定量充填機構が従来から広く知られている。しかしながら、PETボトルなどのように容器側の形状に誤差のある場合には、充填量を一定にしても液面を一定に保つ事ができない。また、近年使用されるボトルには、液面のバラツキが目立つ形状の長細い瓶が多用されてきている。このため、充填後に液体を吸引して液面を揃える液面補正装置が知られている。
【0003】
これについて、特開2000−53193号公報では、過剰液の吸引作業による充填中断を起こさず、連続的な充填が可能なシステムが提供されている。
【0004】
しかしながら、液面高さを揃える為の吸引ノズルについての考案は特定されていない。
【0005】
また、特公昭60−24026号公報及び特開平11−35003号公報等ではノズル先端より充填液によるノズルの先端の汚れ除去の為に吸引するノズル構造が提供させている。また特開2006−93183号公報ではノズル先端の乾燥防止の目的で二重管の内側ノズルからの充填液の吐出と外側ノズルからの回収方法が提供されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−53193号公報
【特許文献2】特公昭60−24026号公報
【特許文献3】特公平11−35003号公報
【特許文献4】特開2006−93183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の容積充填時の液面揃えの方法は、充填と異なる場所で行われる為、移動時の異物混入の機会があり、また充填ノズルと吸引ノズルを別個の場所に設ける必要があった。
【0008】
また、2種類の液種を充填する充填ノズルにおいても、2液目の充填の為にボトルもしくはノズルを移動する必要があり、同様に異物混入の機会があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以上の問題点を解決する為に、充填後、充填ノズルが容器内に有り、液面に没した状態でこの充填ノズルにより液面揃えを行う。ノズルを二重構造にする事により、容器内での外管からの充填を行い、止め弁を兼用した内管の降下により外管を閉じて液面に没した状態で充填を終了させ、その後この降下した内管の貫通穴を負圧にして吸引し、この負圧が真空破壊するまで吸引する事により液面揃えを行うものである。この事により、移動による異物混入の機会を無くし、且つ充填装置を小型化できる液面揃え可能なノズルを提供する。
【0010】
また、このような構造のノズルにする事により、2種類の液種を、ボトルもしくはノズルの移動を行う事なく、充填可能となり、異物混入の機会を少なくするノズルを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により次の効果が得られる。充填後の液面揃えが可能な充填ノズルとなり、容器やノズルの移動が不要な事により、異物混入の機会を少なくできる。また、本発明のノズル構造とする事により、内管からも充填が可能になり、1回の充填で2液の調合が可能となる。また、2液同時充填が可能となり、充填タクトが短縮される。また不活性ガスの注入時等の充填パターンを自在に変更できる。また、充填位置が1箇所で済むので、コンパクトな充填機が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の形態を図1、図2及び図3により説明する。ノズル1は、充填容器の口径に入る太さの外管2と、その内部で上下動させる止め弁に穿孔しパイプ状の内管3の二重構造となっている。外管2は筒状の形状となっており、該外管下部にはテーパ部4を施している。内管3には、貫通穴5が施してあり、該内管下方には外管のテーパ面4と接し、シールする止め弁6が設けてある。
【0013】
ノズル1は、位置決め可能なアクチュエータ7により、昇降可能となっており、またガイド8により垂直に昇降し、容器口9に接する事なく容器内を抜き差し可能になっている。
【0014】
充填液は、充填液タンク10からピストンポンプ11により吸引される。充填液は、外管2と内管3の間に、ノズルヘッド12に接続されたホース13によりピストンポンプ11から圧送される。充填液タンク10からノズル先端までの配管経路を全て充填液で満たすように、ピストンポンプ11により充填タンク10からの吸引とノズル1からの吐出を繰り返し、配管経路内のエア抜きを実施する。この際、ノズル1からの吐出時以外の時、内管3がエアシリンダ14により降下し、止め弁6が外管テーパ面4に接し、シールする事によりエアの逆流を防止する。
【0015】
充填準備時に、充填完了時のノズル高さを位置決め可能なアクチュエータ7により、容器内の任意の液面高さに設定する。
【0016】
容器15を充填位置に配置し、充填開始によりノズル1が降下する。ノズル1は容器底面付近まで降下し、充填を始める。充填液面の上昇に追従してノズル1も上昇し、泡立ちを防止する。充填完了で設定した液面高さで停止し、同時に内管3がエアシリンダ14により降下し、止め弁6が外管テーパ面4に接し、シールする事によりエアの逆流を防止する。
【0017】
充填終了後、ノズル1の内管3の貫通穴5より、余剰液の吸引を開始する。ノズル先端と液面が離れることにより、真空が破壊されるまで吸引を行う。吸引された余剰液はタンクへと回収される。
【0018】
このように止め弁を貫通した内管にする事により、止め弁は余剰液吸引の目的の他に、充填ノズルとしての役割を持たせる事ができる。内管の充填量の制御は、外部のバルブにより、内管内を負圧にする事により行う
【0019】
このような2種類の充填であっても、同時充填が可能となり、1工程内で充填の完了が可能で、時間の短縮を図る事ができる。
【0020】
また、充填は外管と内管は各々独立しているので自由な制御が可能となり、充填液の保護の目的で使用される不活性ガスの同時充填や、不活性ガスの充填終了後に主要物質を充填しその後さらに不活性ガスの充填などといった充填パターンを任意に構築できる。
【0021】
図3は外管1を止め弁6により開いた時の断面図である。
【0022】
図4は外管1を止め弁6により閉じた時の断面図である。
【0023】
図5は内管4の開閉を制御するバルブ配置の一例である。流体制御弁を閉じて内管4を通過する流体を遮断している。
【0024】
図5は空気圧電磁弁20を用いアクチュエータ21によりストップバルブ22を操作する一例である。ストップバルブ22が閉じる事で内管4を通過する流体を遮断している。図6はストップバルブ22を開いて内管4を通過する流体を充填している状態を表している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の断面図である。
【図2】本発明の外観の一例である。
【図3】本発明の外管が開いた時の断面図である。
【図4】本発明の外管が閉じた時の断面図である。
【図5】内管開閉の2方弁による制御の一例である。
【符号の説明】
【0026】
1 ノズル
2 外管
3 内管
4 テーパ部
5 貫通穴
6 止め弁
7 アクチュエータ
8 ガイド
9 容器口
10 充填タンク
11 ピストンポンプ
12 ノズルヘッド
13 ホース
14 エアシリンダ
15 容器
16 2方弁















































【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面揃え機能を有する充填ノズルと;
位置決め可能なアクチュエータ及びガイドにより、容器口に接する事無く容器内を昇降可能なノズル昇降装置、容器の供給位置を保持するかまたは自動的に移動する事により、容器をノズルの中心真下に供給するボトルスタンドにより構成された充填機において、ノズルを外管と外管の止め弁を兼用した内管の2重構造にし、外管から液中で所定充填量になるまで充填する。止め弁を兼用した内管の降下により充填を終了する。この時、ノズル先端を必ず液面より没するようにする。その後、ノズル内管内を負圧にし、内管先端と液面が離れて真空破壊を起こすまで余剰液を吸引して、容器内の液面を一定にすることができるようにしたノズル構造。
【請求項2】
請求項1のノズル構造において、位置決め可能なモータにより、予め任意の充填終了位置を設定し、内管が真空破壊するまで吸引する事を繰り返す事により、液面を一定にするその制御方法。
【請求項3】
請求項1のノズル構造にする事により、外管からと内管から別々の液を充填可能にしたその制御方法。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−190737(P2009−190737A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29968(P2008−29968)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(592147871)株式会社エツキ (2)
【Fターム(参考)】