説明

二重特異性分子の精製組成物および生産方法

本発明は、(a)Cab様受容体を結合する抗原認識部分、および(b)該抗原認識部分に架橋する1つ以上の二本鎖DNA分子を各々含む、二重特異性分子の精製組成物を生産する方法を提供する。特に、本発明は、アルコール沈殿を用いた二重特異性分子を精製する方法を提供する。本発明はまた、二重特異性分子の精製産物に関する。本発明の精製組成物は全身性エリトマトーデス(SLE)の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年5月13日に出願の米国仮特許出願第60/380,211号(全文を参照として本明細書に組み込む)の35 U.S.C.§119(e)の下における利益を主張する。
【0002】
本発明は、(a)C3b様受容体を結合する抗原認識部分および(b)抗原認識部分に架橋した1つ以上の二本鎖DNA分子を各々含む、二重特異性分子の精製組成物を生産する方法に関する。本発明はまた、そのような二重特異性分子の精製組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
霊長類赤血球(RBC)は、循環系からの抗原のクリアランスにおいて重要な役割を果たしている。循環系における免疫複合体の形成により、霊長類における補体因子C3bが活性化され、C3bと免疫複合体との結合が起こる。次に、C3b/免疫複合体は、免疫複合体に付着したC3b分子を経由して、赤血球の表面で発現されるC3b受容体である、1型補体受容体(CR1)に結合する。次に、免疫複合体は、赤血球により肝臓および脾臓における細網内皮系(RES)まで付き添われて中和される。RES細胞、最も注目すべきはクッパー細胞と呼ばれる肝臓における固定組織マクロファージが、C3b/免疫複合体を認識してC3b受容体-RBC結合を切断することにより、RBCから該複合体を切断して遊離の赤血球およびC3b/免疫複合体を生産し、これは次にクッパー細胞により貪食され、クッパー細胞の細胞下小器官内で完全に破壊される。しかし、この病原体クリアランス過程は補体依存的であり、つまり、C3b受容体により認識される免疫複合体限定され、C3b受容体によって認識されない免疫複合体の除去には無効である。
【0004】
Taylorらは、循環系から病原体を除去するための補体依存的方法を発見した。Taylorらは、霊長類C3b受容体に特異的な第1のモノクローナル抗体(mAb)が、病原性抗原分子に特異的な第2のモノクローナル抗体へ化学的に架橋することで、二重特異性へテロポリマー抗体(HP)が生産され、これが補体活性化なしに霊長類C3b受容体へ病原性抗原分子を結合させる機構を提供することを明らかにした(米国特許第5,487,890、5,470,570および5,879,679号)。Taylorはまた、HPが循環系から病原性抗原特異的自己抗体を除去するために使用できることを報告した。そのようなHPはまた、「抗原に基づくヘテロポリマー(AHP)」を指し、抗原に架橋されたCR1特異的モノクローナル抗体を含む(例えば、米国特許第5,879,679号、Lindorferら, 2001, Immunol Rev. 183:10-24、Lindorferら, 2001, J Immunol Methods 248:125-138、Fergusonら, 1995, Arthritis Rheum 38:190-200参照)。HPおよびAHPに加え、C3b様受容体(例えば補体因子1(CR1))を結合する第1の抗原認識ドメイン、および抗原に結合する第2の抗原認識ドメインを有する二重特異性分子を生産する他の方法もまた報告されている(例えば、2001年3月15日に出願の米国仮特許出願第60/276,200号および2000年11月1日に出願の第60/244,811号、PCT国際公開WO01/80883参照)。
【0005】
全身性エリトマトーデス(SLE)は複雑な自己免疫疾患であり、免疫系の体液性および細胞性の両面での調節における欠陥に関連する。ループスは、核および細胞質内の抗原に対する特異性の範囲を有する自己抗体により特徴付けられる(例えば、Gauthierら, 1997, p.207: D.J. WallaceおよびB.H. Hahn(編)Dubois' Lupus Erythematosus第5版中, Williams and Wilkins, Baltimore、Stollar, 1981, Clinics Immunil Allergy 1:243、Tanら, 1996, J Clin Invest 45:1732-1740、Tanら, 1989, Adv Immunol 44:93-151、Winfieldら, 1977, J Clin Invest 59:90-96参照)。特に、抗-dsDNA抗体の存在は実質的にSLEに特徴的であり、他の状態で生じることはまれである(例えば、Hechtら, 1976, Medicine 55:163-181参照)。IgG自己抗体のdsDNAへの高い結合活性は、疾患活性と相関する傾向がある(Bootsmaら, 1997, Ann Rheum Dis 56:661-666、Emlenら, 1990, J Immnol Meth 132:91-101、Swaakら, 1979, Arthritis Rheum 22:226-235、Swaakら, 1986, Ann Rheum Dis 45:359-366参照)。これらの抗体は、腎臓において免疫沈着を形成する能力を通して、SLEの病原性、特にループス腎炎において主要な役割を果たしていると信じられている(Aardenら, 1976, J Immunol Meth 11:153-163、Aardenら, 1976, J Immunol Meth 10:39-48、Emlenら, 1986, Arthritis Rheum 29:1417-1426、Miniterら, 1979, Arthritis Rheum 22:959-968、Eblingら, 1980, Arthritis and Rheumatism 23:392-403、Vlahakosら, 1992, Kidney Int. 41:1690-1700、Gilkesonら, 1995, Clinical immunology Immunopathol. 76:59-67、Kofflerら, 1974, Am J Pathol 74:109-124、Krishnanら, 1967, J Clin Invest 46:569-579参照)。これは細胞の増殖、炎症および線維症をもたらし、ある患者には腎不全をもたらす(Glassockら, 1991, pp.1280-1368, Brenner, B.M., Rector, F.C.(編):The kidney全2巻の1巻中, WB Sauuders, Philadelphia、Kofflerら, 1967, J exp Med 126:607-624参照)。非自己免疫マウスへの抗-DNA抗体の投与は腎炎を引き起こすことが明らかになってきており、分泌型の抗-DNA抗体を発現する遺伝子組換えマウスはループス腎炎を発症する(例えば、Vlahakosら, 1992, Kidney Int. 41:1690-1700、Gilkesonら, 1995, Clinical immunology Immunopathol. 76:59-67、Tsaoら, 1992, J Immunol 140:350-358参照)。
【0006】
SLEの患者の循環系由来の抗-dsDNA抗体の迅速かつ選択的な除去を許容する、AHPに基づいた免疫療法が報告された(例えば、米国特許第5,879,679号、Lindorferら, 2001, Immunol Rev. 183:10-24、Lindorferら, 2001, J Immunol Methods 248:125-138、Fergusonら, 1995, Arthritis Rheum 38:190-200、Fergusonら, 1995, J Immunol 38:339-347、Craigら, 2000, Arthritis Rheum 43:2265-2275、Emlenら, 1986, Arthritis Rheum 29:1417-1425、Edbergら, 1986, J Immunol 136:4582-87、Taylorら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3305-3309参照)。dsDNAを抗体に架橋するために、マレイミド活性化抗体とともにチオール活性化dsDNAを利用する方法が報告されている(例えば、Goshら, 1990, Bioconjugate Chemistry 1:71-76、Lindorferら, 2001, J Immunol Methods 248:125-138参照)。Gosh(Goshら, 1990, Bioconjugate Chemistry 1:71-76)は、オリゴヌクレオチドのチオール誘導体化において70%の収率を報告した。Goshはまた、マレイミド誘導体化ステップのために50:1のモル過剰量を用い、生じた誘導体化アルカリホスファターゼ(140 kD)が6マレイミド残基を含むことを報告した。Goshは5:1(オリゴに対する使用タンパク質の割合)が1個に1個の構成成分組成物のコンジュゲートをもたらすことを報告した。Lindorferのコンジュゲーションプロトコルは、マレイミド誘導体化ステップに9:1のモル過剰量を用いた(Lindorferら, 2001, J Immunol Methods 248:125-138)。Lindorferは、dsDNAに対する使用抗体7G9 IgGを種々のモル比で用いてAHPの合成を実施した。
【0007】
従って、患者におけるSLEの治療に対して安全かつ効果的なAHPまたは二重特異的分子産物が必要とされる。dsDNAに架橋した抗体を含む二重特異性分子またはAHPの生産のための改良された方法および手順が必要とされる。特に、二重特異性分子もしくはAHP産物を精製および/または濃縮するために、より効果的な方法が必要とされる。
【0008】
本明細書中の参考文献の考察または引用は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であることを認めたものとして解釈されるべきではない。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、(a)C3b様受容体を結合する抗原認識部分および(b)抗原認識部分に架橋した1つ以上の二本鎖DNAを各々に含む二重特異性分子の精製組成物を生産する方法を提供する。本発明の方法は、アルコール溶液(例えば、体積で50%のイソプロピルアルコール溶液)を用いた二重特異性分子の沈殿を包含する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、本方法は、(i)抗原認識部分に1つ以上のdsDNA分子を架橋させて、1つ以上のdsDNA分子と架橋した抗原認識部分を含む二重特異性分子を含む組成物を生産すること、および(ii)アルコール溶液(例えば、体積で50%のイソプロピルアルコール溶液)を用いた組成物を沈殿させて、精製組成物を生産すること、を包含する。
【0011】
本発明の特定の実施形態において、本方法は、(i)dsDNA分子と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドとを反応させて、活性化リン酸イミダゾリド-dsDNA(PI-dsDNA)を生産すること、(ii)PI-dsDNAとシスタミンとを反応させて、シスタミン化dsDNAを生産すること、(iii)シスタミン化dsDNAとジチオスレイトールとを反応させて、SH-dsDNAを生産すること、(iv)抗原認識部分とスルホサクシニミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩とを反応させて、マレイミド修飾化抗原認識部分を生産すること、(v)SH-dsDNAとマレイミド修飾化抗原認識部分とを反応させて、1つ以上のdsDNA分子と架橋した抗原認識部分を含む二重特異性分子を含む組成物を生産すること、および(vi)アルコール溶液(例えば、体積で50%のイソプロピルアルコール溶液)を用いて組成物を沈殿させて、精製組成物を生産すること、を包含する。好ましい実施形態において、本方法はさらに上記ステップ(vi)の前に上記ステップ(v)で生産する組成物由来の遊離IgG抗体を、イオン交換クロマトグラフィーを用いて除去するステップを包含する。
【0012】
本発明の方法の1つにおいては、C3b様受容体を結合する抗原認識部分は、好ましくは抗-CR1モノクローナル抗体(例えば、7G9モノクローナル抗体)である。好ましくは、本発明の方法で使用されるdsDNA分子の平均塩基対サイズは、100〜5000の範囲内である。より好ましくは、DNA分子のサイズは200〜3000塩基対の範囲内である。さらにより好ましくは、DNA分子のサイズは500〜2500塩基対の範囲内である。さらになお好ましくは、DNA分子のサイズは500〜1500塩基対の範囲内である。特定の実施形態において、DNA分子の平均サイズは2100塩基対である。
【0013】
本発明はまた、本発明の方法により生産するような二重特異性分子の精製組成物を提供する。好ましい実施形態において、精製組成物のDNA濃度は少なくとも1.100 mg/mlである。別の実施形態において、精製組成物のタンパク質濃度は少なくとも0.200 mg/mlである。さらに別の好ましい実施形態において、固定化したCR1受容体を用いたELISAにより定量すると、精製組成物の力価は少なくとも0.030 mg/mlである。なお別の好ましい実施形態において、精製組成物の遊離のIgGタンパク質濃度は0.006 mg/ml未満である。
【0014】
本発明の二重特異性分子は、SLE患者の循環系から抗-DNA抗体を除去するために使用することが可能であり、従ってSLEの治療に有用である。
【0015】
5. 発明の詳細な説明
本発明は、1つ以上の二本鎖DNA分子に架橋するC3b様受容体を結合する抗原認識部分を各々に含む二重特異性分子の精製組成物の生産のための方法を提供する。本明細書中で使用されるように、「C3b様受容体」という言葉はホ乳類血液細胞の表面で発現するあらゆるホ乳類循環系分子を指し、これは霊長類C3b受容体であるCR1と類似の機能を有し、免疫複合体に関連する分子に結合し、さらに血液細胞(例えば、クリアランスのための食細胞)が付き添う。本開示において、抗-CR1部分または抗-CR1抗体がしばしば言及される。本開示が、他のC3b様受容体を結合する抗原認識部分に対して同様に適用できることは、当業者にとって明らかであろう。ホ乳類血液細胞は、霊長類赤血球細胞または赤血球であり得るが、これに限定されない。本発明はまたそのような二重特異性分子の精製組成物に関する。
【0016】
本発明の二重特異性分子は、SLE患者の循環系から抗-DNA抗体を除去するために使用することが可能であり、従ってSLEの治療に有用である。本発明の二重特異性分子は、あるタイプの抗原に基づくヘテロポリマー(AHP)である。この技術は、霊長類赤血球(本明細書中では以下、「E」と呼ぶ)の免疫付着機能を利用して、血流中の病原体を標的化および浄化するための治療的産物の設計ならびに開発をさせるものである。本発明のAHPへテロポリマーは、dsDNAに化学的に架橋したCR1に特異的なmAbを含み得る。E-結合AHPは、dsDNA自己抗体をE-結合免疫複合体として捕獲する。E-結合免疫複合体は、肝臓に送達される場合、固定化組織マクロファージによる作用を受け、エンドサイトーシスおよび循環系へのEの返還のための、CR1-AHP dsDNA Ab複合体の除去が生じる。
【0017】
5.1. 抗-CR1部分の生産
好ましい実施形態において、二重特異性分子の抗-CR1部分は抗-CR1 mAbを含む。ヒトC3b受容体を結合する抗-CR1 mAbは、公知の方法により生産することができる。1つの実施形態において、抗-CR1 mAb(好ましくは抗-CR1 IgG)は、当技術分野で知られている標準的なハイブリドーマ法を用いて調製することができる(例えば、KohlerおよびMilstein, 1975, Nature 256:495-497、Hoggら, 1984, Eur. J. Immunol. 14:236-243、O'Sheaら, 1985, J. Immunol. 134:2580-2587、Schreiber, 米国特許第4,672,044号参照)。適切なマウスを、ヒト赤血球より精製することができるヒトCR1で免疫する。免疫したマウスから得た脾臓細胞を不死化マウス骨髄腫細胞系と融合すると、抗-CR1抗体を生産するハイブリドーマを含むハイブリドーマ細胞の集団が生じる。次に、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)等の従来の技術を用いて、抗-CR1抗体を生産するハイブリドーマを該ハイブリドーマ集団から選択または「クローニング」する。抗-CR1 mAbを発現するハイブリドーマ細胞系はまた、種々の供給源から取得可能であり、例えば、米国特許第4,672,044号に記載されるヒトCR1を結合するマウス抗-CR1 mAbは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)からのハイブリドーマ細胞系ATCC HB 8592として入手可能である。取得したハイブリドーマを、当技術分野で知られている標準的な方法を用いて増殖および洗浄する。次に、抗-CR1抗体を上清から回収する。
【0018】
他の実施形態において、抗-CR1mAb(好ましくは抗-CR1 IgG)の重鎖および軽鎖をコードする核酸は、当技術分野で知られている標準的な方法により、ハイブリドーマ細胞系より調製される。非限定的な例示として、抗-CR1 IgGの重および軽鎖をコードするcDNAは、適切なプライマーを用いてmRNAをプライミングし、次に適切なフォワードおよびリバースプライマーを用いたPCR増幅により調製することが挙げられる。cDNA合成のためのあらゆる市販のキットを使用することができる。該核酸は、発現ベクターの構築に使用される。発現ベクターは、適切な宿主内にトランスフェクトされる。非限定的な例示には、大腸菌、酵母、昆虫細胞、およびチャイニーズハムスター卵巣細胞系等のホ乳類系が含まれる。抗体生産は当技術分野で知られている標準的な方法により誘導され得る。
【0019】
別の実施形態において、抗-CR1 scFvは、当技術分野で知られている標準的な方法に従って調製される。1つの実施形態において、抗-CR1キメラ抗体および抗-CR1キメラ抗体等をコードする核酸は、当技術分野で知られている標準的な方法に従って調製される(例えば、米国特許第4,816,567、4,816,397、5,693,762、5,585,089、5,565,332、5,821,337号参照、これらはその全文を参照として本明細書に組み込む)。
【0020】
抗-CR1抗原認識部分はまた、標準的なファージディスプレー技術により生産することができる。ファージディスプレーライブラリーを作製およびスクリーニングするためのキットは、市販のものを入手できる(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, Catalog No.27-9400-01、およびStratagene antigen SurfZAP(商標)Phage Display Kit, Catalog No.240612)。さらに、方法および試薬の例示で、特に抗体ディスプレーライブラリーの作製およびスクリーニングでの使用に沿うものは、例えば米国特許第5,223,409および5,514,548号、PCT国際公開WO 92/18619、PCT国際公開WO 91/17271、PCT国際公開WO 92/20791、PCT国際公開WO 92/15679、PCT国際公開WO 93/01288、PCT国際公開WO 92/01047、PCT国際公開WO 92/09690、PCT国際公開WO 90/02809、Fuchsら, 1991, Bio/Technology 9:1370-1372、Hayら, 1992, Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85、Huseら, 1989, Science 246:1275-1281、Griffithsら, 1993, EMBO J. 12:725-734の中で見出すことができる。
【0021】
5.2. dsDNAの調製
二本鎖DNA分子は種々の供給源より入手可能である。好ましい実施形態において、サケ精巣より単離した、高度に重合した二本鎖デオキシリボ核酸が使用される(例えば、Sigma,カタログ#D1626)。別の好ましい実施形態において、子ウシ胸腺DNAが使用される。好ましくは、本発明で使用するdsDNAは、cGMPコンプライアンス下で生産される。より好ましくは、本発明で使用するdsDNAは、ウイルス性外来病原物質(viral adventitious agents)、マイコプラズマおよび内毒素に対して、それらの物質が存在しないことを確認するために試験される。
【0022】
DNA分子は、好ましくは特定のサイズまたは特定の範囲のサイズである。好ましくは、本発明で使用するdsDNA分子の平均塩基対サイズは100〜5000の範囲内である。より好ましくは、DNA分子のサイズは200〜3000塩基対の範囲内である。さらにより好ましくは、DNA分子のサイズは500〜2500塩基対の範囲内である。さらになお好ましくは、DNA分子のサイズは500〜1500塩基対の範囲内である。特定の実施形態において、DNA分子の平均サイズは2100塩基対である。
【0023】
1つの実施形態において、本発明のAHPを生産するために使用されるdsDNAは、高度に重合したDNA(例えば、サケ精子DNA)より断片化される。当技術分野で公知のあらゆる方法(ソニケーションを含むが、これに限定されない)をこの目的のために用いることができる。特定の実施形態において、Misonix 3000 Ultrasonic Liquid processorがフロースルーソニケーションチャンバーとともに使用され、大容量のdsDNAの断片化を許容する。この実施形態において、乾燥化固形dsDNAを、決められた温度(例えば37℃)で適切な時間(例えば2時間)混合することにより、DNAバッファー(例えば、10mMイミダゾール、100mM NaCl、1mM EDTA pH 7.5)中に懸濁する。次に、dsDNA懸濁液を冷却した後にソニケートする。好ましくは、dsDNA懸濁液は4〜8℃で一晩冷却する。ソニケーションは、DNA懸濁液を毎分150mlの流速およびパワー設定7にてソニケーションチャンバーに通して循環させることにより実施する。1回500mlの懸濁DNAのバッチを、3回チャンバーに通して循環する。ソニケーションの後、当技術分野で知られている標準的な方法(例えばAgilent Bioanalyzer)により、各々のバッチの塩基対分布を調べることができる。好ましくは、dsDNA分子は100〜5000塩基対の範囲内のサイズに断片化される。より好ましくは、DNA分子は200〜3000塩基対の範囲内のサイズに断片化される。さらに好ましくは、DNA分子は500〜2500塩基対の範囲内のサイズに断片化される。さらにより好ましくは、DNA分子は500〜1500塩基対の範囲内のサイズに断片化される。特定の実施形態において、DNA分子は平均サイズ2100(推定分子量1,386,000ダルトン以下)に断片化される。得られたdsDNAプールは、分割して-20℃で保存することができる。
【0024】
5.3. 二重特異性分子の生産
本発明の二重特異性分子またはAHPは、CR1結合特異性を有するタンパク質と共有結合的にコンジュゲートした1つ以上のDNA分子であり得る(例えば抗-CR1モノクローナル抗体、例えば米国特許第5,879,679号に記載の7G9抗体)。あらゆる標準的な化学的架橋法を、本発明中で用いることができる。例えば、プロテインA、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、N-サクシニミジル-S-アセチル-チオ酢酸塩(SATA)、N-サクシニミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸塩(SPDP)およびスルホサクシニミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩(sSMCC)を含む架橋剤が使用されるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、抗-CR1部分とdsDNAとを架橋するために、架橋剤sSMCCが用いられる。
【0025】
1つの実施形態において、限定としてではなく例示として、以下のプロトコルが用いられる。適切なサイズのdsDNA懸濁液を、保存IMバッファー(1Mイミダゾール pH 6.0)で適切な濃度に希釈する。好ましい実施形態において、得られるdsDNA濃度は0.5mg/mlである。DNAに対して適切なモル比の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド(Pierce, Cat#22980、本明細書中では以下「EDC」)を、1つ以上に分割したdsDNA溶液に添加する。好ましい実施形態において、115,000:1 EDC:DNAのモル比で、T=0、T=20およびT=40分で、3等分したdsDNA溶液に添加する。反応混合物を、好ましくは、EDCを各々の部分へ添加した後に、EDCを溶解するために反転させる。次に、反応混合物を適切な時間反応させてもよい。好ましくは、反応混合物を室温に保ち、反応時間1時間に渡って4〜5回混合する。この反応の産物が、活性化リン酸イミダゾリド-dsDNA(PI-dsDNA)である。
【0026】
好ましくは、活性化PI-dsDNAは、当技術分野で知られているあらゆる標準的な方法を用いて精製される(例えばアルコール沈殿による)。好ましい実施形態において、活性化PI-dsDNA反応混合物を保存バッファー(1Mシスタミン50mM Hepes pH 8.2、本明細書中では以下「CYSバッファー」)と混合し、最終シスタミン濃度が0.25Mとなるようにする。反応物を、好ましくは例えば反転により完全に混合する。次に、この混合物を2時間40℃に安置する。混合物のpHは、好ましくはpH 7.5である。次に、反応混合物を氷上に安置し、冷3M酢酸ナトリウム、pH 5.8(本明細書中では以下「ACEバッファー」)を添加することにより、酢酸ナトリウム濃度が0.3Mになるよう調整する。次に、等量の冷イソプロピルアルコールを添加して、混合物を氷上で10分間インキュベートする。冷却した混合物を、45分間2,000g(Beckman centrifuge J-6B, JS 3.0ローターを3200 rpmで使用)で遠心分離することにより不純物を除去する。ペレットは、アルゴンガスを10分間チューブに流すことにより乾燥させる。乾燥したペレット(シスタミン化DNA)は、HSPEバッファー(50mMリン酸、1M NaCl pH 7.6)中に再懸濁し、懸濁液を2〜3分間ボルテックスし、このサンプルを振盪エアーインキュベーター内において40℃で20分間インキュベートする。
【0027】
次に、シスタミン化dsDNAのSH-DNAへの還元を行い、好ましくはジチオスレイトールにより還元する。好ましい実施形態において、シスタミン化DNAのSH-DNAへの還元は以下のように行う:ジチオスレイトール(DTT)を、DTTの最終濃度が100mMとなるようシスタミン化dsDNAに添加する;この懸濁液を穏やかに反転させることにより混合し、チューブにアルゴンガスを流す;還元は、室温で60分間混合しながら継続させてよい;次に、SH-dsDNA産物を2回のイソプロピルアルコール沈殿により回収する;アルゴンガスで乾燥させる;およびボルテックスによりバッファー(50mMリン酸 150mM NaCl 1mM EDTA pH 7.6、本明細書中では以下「PBSEバッファー」)中に再懸濁し、振盪エアーインキュベーター内において40℃で15分間インキュベートする。好ましくは、SH-dsDNAを含む容器にアルゴンガスを流し、パラフィルムで密封する。好ましくは、SH-dsDNAは15分以内に使用する。
【0028】
好ましくは、抗体誘導体化過程はシスタミン化DNAの還元過程と同時に実施して、双方が架橋ステップのために同時に用意されるようにする。抗体は、当技術分野で知られているあらゆる方法を用いて、マレイミドで誘導体化することができる。1つの実施形態において、抗体は以下のようにマレイミドで誘導体化される:sSMCCコンジュゲーション溶液の新鮮な保存液(7mM)をPBSEバッファー中で調製する;抗体をPBSEバッファーに対して完全に透析する;共役反応は、抗体とsSMCCとを9:1のモル比で混合することにより開始する;反応物を反転により混合し、室温で60分間混合しながらインキュベートする;およびsSMCC-抗体を、2つのPharmacia 26/10 Desalting Columnsシリーズ(cat#17-5087-01)のFPLCを用いた、サイズ排除クロマトグラフィーにより回収する。好ましくはカラムを反応混合物を添加する前に、使用説明書に従って蒸留水の後にPBSEバッファーで事前に洗浄する。マレイミド修飾化抗体を、PBSEバッファーにより空隙容量で溶出し、15分以内に使用するべきである。
【0029】
次に、マレイミド-抗体とSH-dsDNAとを望ましいmAb:DNAのモル比で混合する。好ましい実施形態において、マレイミド-抗体およびSH-dsDNAは、6:1(mAb:DNA)のモル比で混合される。1つの実施形態において、反応容器にアルゴンを流し、パラフィルムで密封し、ホイルで覆い、15時間室温で回転(rotation)により混合しながら架橋反応を進行させることができる。
【0030】
5.4. 二重特異性分子の精製
前記のような方法により生産した二重特異性分子は、次に、好ましくは精製される。好ましい実施形態において、5.3.節で得られたコンジュゲート反応混合物またはその一部は、DEAE-セファロースイオン交換樹脂上で、好ましくはpH 7.6で画分化される。カラムは使用説明書に従って調製する。好ましい実施形態において、DEAEカラム流出は5ml/分の流速で実施される。1つのバルク画分を流路スルー(the flow passes through)として収集する。遊離のIgGを含む非結合部分は、ポートにて収集することができる。AHP産物はカラムから溶出する。1つの実施形態において、AHP産物は0.5M NaClとともにカラムから溶出される。産物は1つのバルクとして収集される。
【0031】
好ましくは、AHP産物はアルコール沈殿(例えばイソプロピルアルコール(IPA)沈殿)を用いて精製される。IPAを使用するのが好ましい一方、他のアルコール(例えば、エタノール、イソブチルアルコール)も使用され得ることが考慮される。好ましい実施形態において、本方法は、適切なバッファー中へのAHP産物の第1の希釈(例えば、適量の冷ACEバッファーのAHP産物への添加による)、次にその溶液に適量の冷IPAを添加することを包含する。特定の実施形態において、体積で50%のアルコール混合物を得るように、バッファーおよびIPAの量が選択される。好ましくは、アルコール混合物を遠心分離して、適切なバッファー中にペレットを保持および懸濁する。特に、混合物を好ましくは2.3K×gで遠心分離する。ペレットを保持し、上清を廃棄する。好ましくは、ペレットをさらに以下に記載のように処理する:遠心管をペーパータオル上で3〜5分間転倒させておく;次に遠心管を15分間アルゴンガスで乾燥させる;ペレットを適量の滅菌PBSバッファー中に懸濁する;ボルテックスをかけ、振とうエアーインキュベーター内において40℃で20分間インキュベートする。
【0032】
5.5. 二重特異性分子の精製組成物
本発明の二重特異性分子組成物の純度および/または濃度は、当技術分野で知られているあらゆる標準的な方法を用いて特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、二重特異性分子組成物の濃度はDNA濃度に基づいて特徴付けられる。1つの実施形態において、DNA濃度はピコグリーンアッセイを用いて決定される。別の実施形態において、DNA濃度はUV吸光度の測定により決定される。DNA濃度は、260nmにおける吸光度を20で割ったもの、つまりA260/20として決定される。好ましい実施形態において、本発明の方法により生産する二重特異性分子組成物のDNA濃度は、少なくとも0.600 mg/mlであり、より好ましくは少なくとも0.680 mg/ml、さらにより好ましくは少なくとも0.700 mg/ml、なおより好ましくは少なくとも0.800 mg/ml、さらになお好ましくは少なくとも0.935 mg/ml、最も好ましくは少なくとも1.100 mg/mlである。
【0033】
二重特異性分子組成物の濃度はまた、タンパク質濃度に基づいて特徴付けることができる。1つの実施形態において、タンパク質濃度はローリーアッセイを用いて決定される。好ましくは、本発明の方法により生産する二重特異性分子組成物のタンパク質濃度は、少なくとも0.100 mg/ml、より好ましくは少なくとも0.200 mg/ml、さらにより好ましくは少なくとも0.250 mg/ml、最も好ましくは少なくとも0.300 mg/mlである。
【0034】
二重特異性分子組成物の濃度はまた、二重特異性分子の機能的活性に基づいて特徴付けることができる。1つの実施形態において、抗-CR1結合活性は、固定化したCR1受容体分子(固相(例えばマイクロタイタープレート)に付着する)によるELISAを用いて決定される。このアッセイはまた、CR1/抗体アッセイまたはCAAと呼ばれ、一般的にあらゆる抗-CR1抗体またはHPもしくは抗-CR1抗体を含むAHPを測定するために用いることができる。好ましい実施形態において、ELISA/CR1プレートは、ELISAプレート(例えば、高結合平底ELISAプレート(Costar EIA/RIA strip plate 2592))を、適量のCR1受容体の炭酸水素塩溶液とともにインキュベートすることにより調製される。好ましくは、CR1受容体の炭酸水素塩溶液の濃度は0.2μg/mlであり、5 mg/ml sCR1受容体ストック(Avant Technology Inc.)および炭酸塩-炭酸水素塩バッファー(pH 9.6, Sigma C-3041)から調製される。好ましい実施形態において、100μlのCR1-炭酸水素塩溶液をELISAプレートの各々のウエルに分注し、プレートを4℃で一晩インキュベートする。次に、好ましくはプレートを、例えば洗浄バッファー(PBS, 0.1%Tween-20, 0.05%2-クロロアセトアミド)を用いて洗浄する。別の好ましい実施形態において、PBS中のSuperBlock Blocking Buffer(Pierce)を、洗浄後、約30〜60分間室温で該プレートに添加する。次に、プレートを乾燥させて4℃で保存する。抗-CR1 AbsまたはAHPの力価測定は、標準物質としてCR1結合タンパク質(例えば、ヒト抗-CR1 IgG)を使用して実施することができる。好ましい実施形態において、標準物質ヒト抗-CR1 IgGの濃度は300または600 mg/mlである。1つの実施形態において、本発明の二重特異性分子の精製組成物の力価測定は、希釈バッファーとしてPBS、0.25%BSA、0.1%Tween-20、洗浄バッファーとしてPBS、0.1%Tween-20、0.05%2-クロロアセトアミド、ELISAのためのTMB-Liquid Substrate System(3,3',5,5'-テトラメチル-ベンジジン)および停止液として2N H2SO4を使用して実施される。好ましくは、本発明の方法により生産する二重特異性分子組成物のCAA力価は、少なくとも0.030 mg/mlであり、より好ましくは少なくとも0.050 mg/ml、さらにより好ましくは少なくとも0.060 mg/ml、さらになお好ましくは少なくとも0.070 mg/mlおよび最も好ましくは少なくとも0.080 mg/mlである。
【0035】
本発明の二重特異性分子組成物の純度は、当技術分野で知られているあらゆる標準的な方法を用いて特徴付けることができる。1つの実施形態において、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPLC-SEC)アッセイが、遊離のIgGタンパク質の混入含量を決定するために用いられる。好ましい実施形態において、本発明の方法により生産する二重特異性分子組成物の混入IgG濃度は、0.010 mg/ml未満であり、より好ましくは0.008 mg/ml未満、最も好ましくは0.006 mg/ml未満である。
【実施例】
【0036】
以下の実施例は、抗-CR1 mAbおよびdsDNAを含む二重特異性分子の生産を記載する。
【0037】
抗-CR1×dsDNAの生産
高結合性抗-CR1モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞系、7G9(マウスIgG2a,κ)を使用した。主要な細胞バンク(MCB)はこの細胞系より作製し、マウス抗体生産、マイコプラズマおよび無菌性に対する試験を行った(Charles River Tektagen)。
【0038】
前臨床的AHPおよび臨床的AHPの双方の生産に利用した7G9 mAbは、同一のMCBより生じた。前臨床的AHP(ET051-45C)の生産に使用した7G9抗体は、腹水液より生産および精製した。臨床的AHP(ETI 104)の生産に使用した7G9モノクローナル抗体は、in vitro(中空繊維バイオリアクター)で生産し、Goodwin Biotechnology, Inc.(Plantation, FL)と契約されたサービスを通したcGMP下で精製した。
【0039】
高度に重合した、二本鎖デオキシリボ核酸(dsDNA)を、サケ精巣より単離した。前臨床的AHP生産のためのdsDNAは、Sigma(カタログ#D1626)より購入した。臨床的AHPの生産に使用したdsDNAは、Sigma-Aldrich(St. Louis, MO)との供給協定を通したcGMPコンプライアンス下で生産し、ウイルス性外来病原物質、マイコプラズマおよび内毒素に対する試験を行った(Charles River Tektagen)。
【0040】
Misonix 3000 Ultrasonic Liquid processorは、フロースルーソニケーションチャンバーとともに、大容量の懸濁dsDNAを断片化するために使用した。乾燥固形dsDNAを、37℃で2時間混合することにより、DNAバッファー(10mMイミダゾール、100mM NaCl、1mM EDTA pH 7.5)中に懸濁した。dsDNA懸濁液(2mg/ml)を一晩4〜8℃に冷却し、続いて以下のようにソニケートしてdsDNAを断片化した。生産者が示すプロトコルに従って、DNA懸濁液を毎分150mlの流速およびパワー設定7にてソニケーションチャンバーに通して循環させた。1回500mlの懸濁DNAのバッチを、3回チャンバーに通して循環した。ソニケーションした各々のバッチを、Agilent Bioanalyzerで解析することにより、塩基対分布を調べた。全てのサンプルの平均塩基対サイズは2100(推定分子量1,386,000ダルトン以下)であり、1つのバルク中に混合した。このdsDNAプールを分割し、-20℃で保存した。
【0041】
AHPは、dsDNA断片と特異的モノクローナル抗体(7G9)との共有結合性コンジュゲートである。AHPを生産するために、以下の方法において断片化したdsDNAを抗-CR1 mAb 7G9へ架橋した。ソニケーションしたdsDNAの一部を室温で解凍した。dsDNA懸濁液を保存IMバッファー(1Mイミダゾール pH 6.0)で希釈して、最終濃度が0.1Mイミダゾール pH 6.0となるようにした。得られたdsDNA濃度は0.5mg/ml以下であった。EDC試薬(Pierce, Cat#22980)を室温で解凍した。EDC(モル比115,000:1 EDC:DNA)を、T=0、T=20およびT=40分で3等分してdsDNAに添加した。反応混合物を各々の添加に際して反転させてEDCを溶解し、次に室温に保ち、反応時間1時間に渡って手で4〜5回混合した。この反応の産物が、活性化リン酸イミダゾリド-dsDNA(PI-dsDNA)であった。活性化PI-dsDNA反応混合物を、保存CYSバッファー(1Mシスタミン、50mM Hepes pH 8.2)と混合し、最終シスタミン濃度が0.25Mとなるようにした。反応物を反転により完全に混合し、pHを調べ(pH 7.5)、2時間40℃に安置した。反応混合物を氷上に安置し、冷ACEバッファー(3M酢酸 pH 6.0)を添加することにより、酢酸ナトリウム濃度が0.3Mになるよう調整した。等量の冷イソプロピルアルコールを添加して、混合物を氷上で10分間インキュベートした。冷却した混合物を、45分間2,000g(Beckman centrifuge J-6B, JS 3.0ローターを3200 rpmで使用)で遠心分離することにより不純物を除去した。ペレットは、アルゴンガスを10分間チューブに流すことにより乾燥させた。乾燥したペレット(シスタミン化DNA)は、HSPEバッファー(50mMリン酸、1M NaCl pH 7.6)中に再懸濁し、懸濁液を2〜3分間ボルテックスし、このサンプルを振盪エアーインキュベーター内において40℃で20分間インキュベートした。
【0042】
抗体誘導体化過程はシスタミン化DNAの還元過程と同時に生じ、双方が架橋ステップのために同時に用意されるようにした。以下に、シスタミン化DNAのSH-DNAへの還元を記載する。ジチオスレイトール(DTT)を、シスタミン化dsDNAにDTTの最終濃度が100mMとなるよう添加した。この懸濁液を穏やかに反転させることにより混合し、チューブにアルゴンガスを流した。還元は、室温で60分間混合しながら継続した。SH-dsDNA産物を2回のイソプロピルアルコール沈殿により回収し、アルゴンガスで乾燥させ、ボルテックスによりPBSEバッファー(50mMリン酸 150mM NaCl 1mM EDTA pH 7.6)中に再懸濁し、振盪エアーインキュベーター内において40℃で15分間インキュベートした。SH-dsDNAを含む容器にアルゴンガスを流し、パラフィルムで密封して15分以内に使用した。
【0043】
抗体は、以下のようにマレイミドで誘導体化した:sSMCCコンジュゲーション溶液の新鮮な保存液(7mM)をPBSEバッファー中で調製した。7G9抗-CR1抗体をPBSEバッファーに対して完全に透析した。共役反応は、抗体とsSMCCとを9:1のモル比で混合することにより開始した。反応物を反転により混合し、室温で60分間混合しながらインキュベートした。sSMCC-抗体を、2つのPharmacia 26/10 Desalting Columnsシリーズ(cat#17-5087-01)によるFPLCを用いた、サイズ排除クロマトグラフィーにより回収した。カラムを、使用説明書に従って蒸留水の後にPBSEバッファーで事前に洗浄し、次に反応混合物を添加した。マレイミド修飾化7G9を、PBSEバッファーにより空隙容量で溶出し、15分以内に使用した。
【0044】
マレイミド-7G9およびSH-dsDNAは、6:1(mAb:DNA)のモル比で混合した。反応容器にアルゴンを流し、パラフィルムで密封し、ホイルで覆い、15時間室温で回転により混合しながら架橋反応を進行させた。DEAEセファロースイオン交換クロマトグラフィーによってAHP産物を反応混合物より精製し、50mMリン酸、0.5M NaCl、pH 7.6でカラムより溶出した。この産物をイソプロピルアルコールで沈殿させ、アルゴンガスで乾燥させ、ボルテックスにより滅菌PBSバッファー中に再懸濁し、振とうエアーインキュベーター内において40℃で20分間インキュベートした。
【0045】
サルSLEモデルにおける7G9×dsDNAの評価
SLEののいくつかのマウスモデルが開発されており、最も注目すべきはNZB/NZW F1ハイブリッドおよびMRL 1pr/1prマウス系統である(Birminghamら, 2001, Immunol Res 24:211-224)。しかし、マウスにおけるCR1はE上に存在せず、この種における免疫付着性受容体がすでに同定されている(Krych-Goldbergら, 2001, Immunol Rev 180:112-122)。従って、本発明者らのヘテロポリマー(特に抗原に基づくヘテロポリマー(AHP))技術の安全性および潜在的な有効性を調べるために、非ヒト霊長類であるカニクイザルにおける調査が実施された。この種におけるSLEの自然発生的モデルは入手不可能なため、IgGおよびIgM抗-dsDNA抗体を含むSLE患者由来の血漿をAHPの注入前にカニクイザル内に注入したSLEモデルを使用した。
【0046】
サルへの注入およびサンプリング
若い成体のメスのカニクイザルをPrimate Products, Inc., Miami, Floridaより入手
し、Therimmune Research Corporation, Gaithersburg, Marylandにて飼育した。Therimmuneでの30日間の順化期間(その間に、それらは一般的な健康および適性が観察され、少なくとも2つの陰性結核試験(negative tuberculosis tests)が示される)の後、それらは獣医スタッフによる調査に使用するために解放された。全ての調査方法は、FDA Good Laboratory Practice Standards, 21 CFR Part 58に従って行った。
【0047】
各々のサルには独自の番号が割り当てられ、個々に飼育され、胸部の刺青および耳のタグによって確認され、ケージをケージ札で標識した。投与に先立って、サルを水を飲めるようにして一晩絶食させた。投与の間、伏在静脈中へのケタミン(0.1ml/kg)注入によって、動物を最初の約30〜90分間鎮静化させた。最初の鎮静化の後、必要ならば人工涙軟膏(Artificial Tears Ointment)を目に投与して乾燥を防止した。
【0048】
ヒト抗-dsDNA Abおよび生理的食塩水は、投与の約20分前に貯蔵庫(2〜8℃)より取り出した。サル21208および21209(表1)は15mlのヒト抗-dsDNA Ab(ETI-051-49)を受け、サル25949、25950、25952および25953(表1)は10mlのヒト抗-dsDNA Ab(ETI-051-49)を受け、伏在静脈内への静脈内注入を介して、約1ml/分の速度で投与した。ヒト抗-dsDNA Abの投与の約30分後に、各々のサルは、伏在静脈を介して、生理的食塩水(サル21208には0.5ml、サル25949および25950には1.5ml)またはAHP mAb-dsDNA(サル21209には0.5mlの前臨床的物質ET-051-45C、サル25952および25953には1.5mlのcGMP AHP ET1 104)の静脈内低速ボーラス注射を受けた。資格を持った獣医が全ての投与手順を観察した。
【0049】
300IU/mlの過剰なFarr力価を有するヒトSLE患者血漿サンプル(Feltkampら, 1988, Annals of the Rheumatic Diseases 47:740-746)をプールし、濾過により不純物を除去して4℃で保存した。最終的なSLE血漿プール(ETI-051-49として示す、ヒト抗-dsDNA Ab)のFarr力価が、試験的実験(pilot study)のためのサル(それぞれID番号21208および21209、表1)に注入する前には410IU/mlであり、さらに4匹のサルに注入する前には300IU/mlであることを確定した。
【0050】
実験室の試験のための血液サンプルは、大腿血管の穿刺により各々のサルより収集した。フローサイトメーター解析のためのサル全血サンプル(1ml)は、EDTA処理チューブ(サンプリングの前に、20μlの0.5M EDTA溶液を各々のチューブに添加した)の中に収集した。EDTAおよびクエン酸ナトリウムを、血液学および凝血サンプルそれぞれに対する抗凝血剤として使用した。血漿は、EDTAでコートしたチューブを約3,500 rpmおよび4℃で約10分間遠心分離することにより、指定された全てのサンプルより単離し、新規に標識したチューブ内に入れ、解析まで-70℃またはそれ以下で凍結保存した。血清単離のための全血サンプルは、Vacutainer(商標)血清分離チューブ内に収集した。収集から30〜80分以内に(凝血が見られる場合)、約3,500 rpmおよび4℃で約10分間遠心分離することにより、血清を凝血細胞より分離し、新規に標識したチューブ内に入れ、解析まで-70℃またはそれ以下で凍結保存した。各々のサルに、2時間間隔の血液収集の後(図1)に生理的食塩水を補充した。最大量60mlを、3つの異なる部位に皮下投与した(1ヶ所につき約20ml)。
【0051】
サルをそれらのケージから出し、詳細な身体検査を実施した。個々の体重を投与の前および試験期間終了時に記録した。サルを1日2回、少なくとも6時間間隔をあけてケージ側面から観察することにより、死亡率、羅患率および毒性の臨床的徴候を観察した。投与の前および試験期間終了時に、Draize Scoring Systemの標準化評価(浮腫および紅斑)を用いて、サル21208および21209の投与部位を類別した。各々のサルには、朝から午後の間に等分した12枚のビスケットが与えられ、残ったビスケットを次の摂食の前に数えた。サル21208および21209に対しては、血圧、心拍数および心電図が、無作為的および投与の約2分後に測定された。
【0052】
フローサイトメトリーアッセイ
ピコグリーン(カタログ#P-7581 Molecular Probes, Eugene, Or.)は、ジメチルスルホキシド中の不特定濃度の保存溶液として入手し、使用直前にBSA/PBS(1%w/v ウシ血清アルブミン Sigmaカタログ#A7906)および0.03%アジ化ナトリウムを含むダルベッコPBS Gibcoカタログ#21300-058)中に希釈した。フローサイトメトリープローブもまたMolecular Probesより入手した:アレクサ488ヤギ抗-マウスIgG抗体(カタログ#A-11029)、アレクサ488-標識ヤギ抗-ヒトIgG(カタログ#A-11013)およびアレクサ標識ヤギ抗-ヒトIgM(カタログ#A-21215)。
【0053】
各々の全血サンプルから10μl分を採取し、2mlの氷冷BSA/PBSを含む新規に標識したチューブ内に入れた。サンプルを2mlのBSA/PBSで2回洗浄し、洗浄の度に3000RPM以下で3分間遠心分離した。2回目の洗浄の後、サンプルをBSA/PBS中に赤血球濃度が1%(v/v)以下になるよう再懸濁した。
【0054】
2連の1%サルE試験サンプルの50μl分を、新規に標識した染色チューブ内に入れ、各々の染色に最適な希釈度の50μl(BSA/PBS中)を添加した(1:200希釈ピコグリーンまたはアレクサ抗-マウス、25μl 1:100 アレクサ抗-ヒトIgG+25μl 1:100 アレクサ抗-ヒトIgM)。サンプルを22±8℃で振とうしながら30分間インキュベートした。サンプルを2mlのBSA/PBSで2回洗浄し、洗浄の度に3000RPM以下で3分間遠心分離した。2回目の洗浄の後、サンプルを1ml 1%パラホルムアルデヒド(1:4希釈, Cytofix Pharmingen,カタログ#554655)中に再懸濁し、フローサイトメーターでアッセイするまで4℃または氷上に保存した。非特異的自己蛍光を制御するために、サル全血サンプルを記載のように染色するために加工したが、パラホルムアルデヒドで固定する前にBSA/PBS中でインキュベートした。
【0055】
サル血漿試験サンプルに、dsDNAに対するヒトIg(G+M)抗体が存在することを調べた。非実験サンプル由来の全血を上記に従ってEDTA中に収集し、プールして、等量のアルセバー氏液(Sigmaカタログ#A3551)で希釈し、4℃で保存した。赤血球を調製するために、全血を3000RPM以下で3分間遠心分離し、吸引により血漿および軟膜層を除去した。赤血球ペレットを2mlのBSA/PBSで2回洗浄し、洗浄の度に3000RPM以下で3分間遠心分離した。2回目の洗浄の後、サンプルをBSA/PBS中に赤血球濃度が10%(v/v)以下になるよう再懸濁した。赤血球は、飽和量のAHP(3μg/ml)を添加して、振とうしながら15分間37℃でインキュベートすることによりオプソニン化した。サンプルを2mlのBSA/PBSで2回洗浄し、洗浄の度に3000RPM以下で3分間遠心分離した。2回目の洗浄の後、サンプルをBSA/PBS中に赤血球濃度が1%(v/v)以下になるよう再懸濁した。50μl分のAHPオプソニン化1%サルEに、50μlのサル血漿を添加し、サンプルを振とうしながら15分間37℃でインキュベートした。BSA/PBSで2回洗浄した後、サンプルを50μlのBSA/PBS中に再懸濁し、上記のようにアレクサ抗-ヒトIg(G+M)で染色した。染色したサンプルをフローサイトメーターで解析した。サル抗体のサル赤血球への非特異的結合を制御するために、各々の血漿サンプルの一定分量を、非オプソニン化サルE(BSA/PBS処理済)とともにインキュベートし、アレクサ抗-ヒトIg(G+M)混合物で染色した。
【0056】
品質維持サンプルを調製し、サルのサンプルとともに各々の日に解析した。AHP結合の対照サンプルは、プールした未処理のサル10%Eを、10μg/ml、5μg/ml、2.5μg/ml、1.25μg/ml、0.625μg/ml、0.31μg/mlもしくは0.16μg/mlのAHPまたはBSA/PBSとともにオプソニン化し、洗浄した後にピコグリーンまたはアレクサ抗-マウスIgGで染色することにより調製した。抗-dsDNA抗体結合の対照サンプルは、未処理のサル10%Eを、3μg/ml AHPとともにオプソニン化し、次に洗浄し、1%(v/v)オプソニン化Eを、濃度80、40、20、10、5、2.5または1.25Farr IU/mlのSLE血漿(ETI-051-49)とともにインキュベートすることにより調製した。洗浄の後、アレクサ抗-ヒトIg(G+M)混合物でこれらのサンプルを染色した。全ての品質維持サンプルを、1ml 1%パラホルムアルデヒド(1:4希釈, Cytofix Pharmingen,カタログ#554655)中に再懸濁し、フローサイトメーターでアッセイするまで4℃または氷上に保存した。
【0057】
全てのサンプルは、サイズ(前方散乱)および粒度(側方散乱)で設定された赤血球ゲートを用いて、FACSCaliburフローサイトメーターで解析した。データ(サンプル当たり20,000の結果)は、Cell Questソフトウエアを用いて解析して蛍光強度の平均チャネルを決定した。
【0058】
サルEに対するCR1値(表1)を、飽和抗-CR1 mAb 7G9における放射免疫アッセイにより決定した(Rossら, 1985, J Immnol 135:2005-2014)。
【0059】
血液学、化学、凝血およびFarrアッセイ実験室試験
血液学および凝血サンプルは2〜8℃で保存した。グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD、赤血球細胞機能のパラメーター)アッセイを完了させるために、血液学サンプルのための一定分量の全血を脱イオン水中に希釈(1:10)し、-70℃またはそれ以下で凍結した。Farrアッセイによる高結合活性抗-dsDNA Ab活性の測定のための、血清化学サンプルおよび血漿サンプルもまた、-70℃またはそれ以下で凍結した。
【0060】
結果
AHP投与の安全性を調べるため、および初期の薬物動態を定義するために、2匹の若い成体のメスのカニクイザル(21208および21209、表1)において試験的実験を実施した。試験的実験の概要は図3に示す(0〜24時間)。どちらのサルも、伏在静脈内への注入(1ml/分)を介して15mlのヒト抗-dsDNA Abを受けた。抗-dsDNA投与の約30分後、各々のサルは、伏在静脈を介して、0.5ml生理的食塩水または0.5mg前臨床的AHPの静脈内低速ボーラス注射を1回受けた。血圧、心拍数および心電図をベースライン(時間0)および投与後約2分において測定した。臨床化学、血液学、凝血および薬物動態に対する血液サンプルを、大腿血管の穿刺により各々のサルより収集した。
【0061】
AHPおよび/またはヒト抗-dsDNA Abの1回投与の後に、予定外の死亡または臨床的異常性が見られたサルはいなかった。いくらかの挫傷が、どちらのサルの注入部位においても現れた。どちらのサルもが、1日目と比較して2日目にわずかな体重減少(0.1g)を示したのは、恐らく多数の時点における血液サンプル収集のための過剰な取り扱いおよび血液体積減少のためである。AHPおよび/またはヒト抗-dsDNA Ab投与の結果として、餌の消費における明白な影響はなかった。投与直後に記録した心拍数および血圧データは、カニクイザルの正常なパラメーター内であった。AHPおよびヒト抗-dsDNA Abの1回投与の後に、重大な心電図の変化はなかった。
【0062】
血液学(CBC特性、ヘモグロビンMCV、MCH、MCHC)、臨床化学(カリウム、グルコース、ナトリウム)、肝機能(アルカリホスファターゼ、ALT、アルブミン、総タンパク質)、腎機能(BUM、クレアチニン、血清電解質)、赤血球細胞機能(G6PDHおよびコリンエステラーゼ)および凝血(プロトロンビン時間、活性化トロンボプラスチン時間)データは、AHPおよび抗-dsDNA Ab投与に関連したいかなる変化も示さなかった。多くの値はベースライン値と同等であり、通常は基準の範囲内であった。
【0063】
サルRBCに結合したAHPは、2回の別々のFACSアッセイ、AHPのサケ精巣構成成分のRBCへの結合を検出するピコグリーン染色を用いて測定し、また、AHPの7G9 CR1 mAb構成成分は、アレクサコンジュゲート抗-マウス抗体を介して検出する。AHPの結合はサル21209の赤血球において、薬剤を受けて2分以内に明白となり、注入後24時間までに検出できた。ヒト抗-dsDNA AbはhIgGとして検出されるが、AHP注入後にサル21209赤血球に結合した。ヒト抗-dsDNA Abの血漿レベルは、FACSによるFarrアッセイまたはhIgGとして検出され、AHP注入後2分以内に65〜75%低下し、注入後1時間で42〜47%の低下にとどまった。AHPを受けなかったサル21208において比較すると、ヒト抗-dsDNA Abの血漿レベルは、同じ1時間に渡り8〜17%低下した。
【0064】
試験的実験において見られた安全性および薬物動態特性に基づいて、さらに4匹のカニクイザルを用いた調査が実施された。4匹全てのサルは、10ml SLE血漿の静脈内注入を受けて約30分後に、1.5ml生理的食塩水(サル25949および25950表1)またはcGMPで生産されたAHP1.5mg(サル25952および25953、表1)の静脈内低速ボーラス注射を1回受けた。AHP薬物動態のモニタリングは、投与から3日間に及んだ。
【0065】
サル25952および25953の赤血球へのAHPの結合(図4Aおよび4B)は最大結合を伴って急速に起こり、それは調べた早い時点(注入後2分)において検出された。図4Aおよび4Bに見られるように、AHPの7G9 CR1 mAb構成成分は、注入後の最初の6時間の間はサルRBCと結合したままであり(まだ最大蛍光の約75%を示す)、3日後であってさえもまだサルRBCとの結合を見ることができる(最大蛍光の30%)。AHPのサケ精巣DNA構成成分の結合は、同様の急速な動態を伴うが(最大結合が2分の時点で検出される)、しかし、最大蛍光シグナルの90%は注入後の最初の6時間の間に減少する。サル25949に対する図4Cに見られるように(同様の結果がサル25950にも観察された)、結合AHP非存在下においてサルRBCをピコグリーンまたはアレクサ抗-マウスで染色すると、バックグラウンド蛍光のみが検出された。
【0066】
ヒト抗-dsDNA Abが、サルRBCに結合したAHPと結合するか否かも調べた。試験的実験に続いて、注入されたSLE血漿中のヒト抗-dsDNA Abの30%がIgMであることが測定され、従って本発明者らはアレクサ抗-ヒトIgGとIgM抗体との混合物で染色した。図5Aに見られるように、サル25952および25953由来のRBCへのhuIg(G+M)の結合は、AHP注入後2分で見られ、最大蛍光の50〜60%が注入後4時間においてもまだRBCとの結合が見られた。バックグラウンドRBC蛍光のみがAHPを受けなかったサルにおいて見られた(図5B)。
【0067】
これら4匹のサルの血漿由来の、ヒト抗-dsDNA Abのクリアランスもまた調べられた。Farrアッセイは、血清または血漿中の高結合性抗-dsDNA Abのレベルを測定するが、放射性標識dsDNAへの結合能力、および飽和硫酸アンモニウム(硫酸アンモニウム最終濃度33〜50%)の添加によるAb-DNA複合体の沈殿によって、参照の基準と比較してなされる(Aardenら, 1976, J Immunol Meth 11:153-163、Aardenら, 1976, J Immunol Meth 10:39-48)。図6Aで見ることができるように、サル25952および25953へのAHPの注入によって血漿Farr力価が急激に低下し(注入後2〜30分で90%以上)、これは注入後1時間までにその最大値の20〜30%まで回復した。反対に、サル25949および25950(非AHP群)の血漿Farr力価(図6B)は、これと同じ時間に渡りそれらの最大の60〜80%にとどまることが示された。Farrの結果から予想されるように、サル25952および25953中の血漿ヒト抗-ds Ab(ヒトIg)のレベル(図6C)は、AHP注入に伴って急速に低下し、注入後30分までにバックグラウンド蛍光を生じる。AHPを受けなかったサル(25949および25950)において、血漿ヒト抗-ds Ab(ヒトIg)のレベルは、これと同じ時間に渡って非常に遅い速度で低下した(図6D)。
【0068】

【0069】

【0070】
この実施例において、サルEに結合したAHPの影響、および毒物学的選別における生物物質の安全性を確定するために必要な複数のパラメーターにおける影響もまた確定した。さらに、in vivoでサルEへ結合するAHPの薬物動態、およびE-AHP複合体が実際にdsDNA抗体に結合し、それを循環系から除去できるか否かもまた決定した。
【0071】
サルへのAHPの注入により、サルEに急速に結合した(最大結合は最初の2分以内に検出した)のは、そのdsDNA部分のDNA結合蛍光染色剤による染色(ピコグリーン)またはそのCR1 mAb部分の蛍光抗-マウスIgGによる標識によって検出した場合であった(図4Aおよび4B)。AHP結合に対するこれらのアッセイの特異性は、AHP注入を受けなかったサル由来のEに対する蛍光シグナルが検出されないことによって確認した(図4C)。ヒトIgGおよびIgM抗-dsDNA抗体のサルEへの結合は、AHP注入の前またはAHp注入を受けなかったサルにおいては起こらなかったが(図5B)、AHP注入後(2分以内)急速に起こった(図5A)。
【0072】
AHPの2つの構成成分(dsDNAおよびmAb)ならびにヒトIgG/IgM抗-dsDNA抗体が、サルEより除去される速度は、それらの結合の速度と強く連関しているようには見えなかった(図4Aおよび4B、図5A)。従って、AHPのCR1 mAb構成成分が、注入後4〜6時間に渡り実質的ににサルEに結合したままであった一方、AHPのdsDNA構成成分は4〜6時間に渡って急速に減少するように見えた。ヒトIgG/IgM抗-dsDNA AbがAHPのdsDNA構成成分に結合するべきであるため、dsDNA構成成分の切断はEと結合したヒトIgG/IgM抗-dsDNA Abレベルが急速に低下するのはもっともである。しかし、ヒトIgG/IgM抗-dsDNA AbのサルEとの結合は、CR1 mAb構成成分を厳密に反映した。これらの結果がアッセイの干渉のためであり得るか否かを判定するため、固定したある量のAHPのサルEへの結合の、BSA/PBS希釈液またはサル血清のどちらかにおけるin vitroでの反応における時間経過を調べた。この結果は、サル血清におけるピコグリーンおよびアレクサ抗-マウス蛍光シグナルが、BSA/PBSと比較して約2倍減少し、シグナル強度の減少はピコグリーンに対する方が大きいことを示した(表2)。従って、ピコグリーンシグナルのin vivoにおける急速な減少は、AHP分解を反映し得るものではないが、このプローブに特異的な干渉現象または基質効果のためであり得る。
【0073】
Farrアッセイによって測定されたように、AHP投与により抗-dsDNAの血漿レベルが急速に低下した(2〜30分以内に90%以上低下)。対照的に、AHP注入を受けなかったサルにおいて、血漿Farr力価は同じ時間に渡りわずか20〜40%しか低下しなかった(図6Aおよび6B)。これが、不活性化ではなく、循環系からの高結合性抗-dsDNA抗体活性のクリアランスを意味するということは、AHPでコートしたEとともにインキュベートした後に、フローサイトメトリーで測定したように、AHP注入サル由来の血漿サンプルにおける全ヒトIgG/IgM抗-dsDNA抗体レベルの同様な低下によって示唆される(図6C)。AHP注入を受けなかったサルにおける、ヒトIgG/IgM抗-dsDNA抗体およびFarr活性の低速での浄化が予測外ではなかったのは、これらの抗-dsDNA抗体がSLE血漿中のDNAと複合し得るためであり(Williamsら, 1980, Proc Eur Transplant Assoc 17:629-636、van Bruggenら, 1994, Neth J Med 45:273-279、Hylkemaら, 2000, J Autoimmun 14:159-168, 2000)、これらの免疫複合体は通常のクリアランス経路を通して除去されるのであろう。
【0074】
これらの結果は、これらのサルへのAHPの投与が安全であることを示してきた。安全性評価には、心血管特性、赤血球細胞機能、基礎代謝化学、血液学、肝臓および腎臓機能ならびに全身および局所的反応の観察を含む、毒物特性を確立するために必要と考えられる多くのパラメーターが含まれた。AHP投与に対する安全特性は、毒物学調査(ビヒクルまたはAHP(0.5もしくは1.5mg)を4匹のサルの群に投与)の実施によるところにまで及んだ。上記のパラメーターはAHP投与後8日間を通してモニターされ、その時間に、各々の群から2匹のサルを犠牲にして、臓器を除去し、体重を測定し、全体的な病理学的変化を調べた。資格をもつ獣医学の病理学者によって組織切片を調製し、顕微鏡的に調べた。各々の群の残りの2匹は、AHP投与後15日目に同じ方法で調べた。知見は、クリアランス調査の結果と類似し、さらに、AHPのどちらの用量での投与による全体的または組織病理学的変化はなかったことを確定した。7G9 mAbを特異的に認識する霊長類抗-マウス抗体の非常に低いレベルが、1回のAHP注入によって誘発されることも確定された。0.5mgまたは1.5mgの用量に対する免疫反応の規模にも、15日に対して8日に調べた動物において増強された反応にも相違はなかった。
【0075】
7. 引用文献
本明細書中に引用された全ての文献は全文を参照として、およびあらゆる目的のためにその全文を参照として組み込むために、各々の個々の出版物または特許もしくは特許出願が特別かつ個々に示される場合、同じ範囲に対するあらゆる目的のために、本明細書中に組み込まれる。
【0076】
本発明の多くの改良および変化は、当業者にとって明らかであるため、その意図および範囲を逸脱することなく行うことができる。本明細書中に記載する特定の実施形態は、例示によってのみ提供され、本発明は特許請求の用語に加えて表題の特許請求等に相当する全ての範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、二本鎖DNA分子に架橋した抗-CR1 mAbを含む二重特異性分子を生産するための、例示的な結合過程の概要の図解である。
【図2】図2は、1つ以上の二本鎖DNA分子に架橋した抗-CR1 mAbを含む二重特異性分子を生産するための、例示的な精製過程の概要の図解である。
【図3】サルプロトコルにおける事象の時間軸(分)。AHPを受けていないサルは、35〜37分間隔で生理的食塩水を注入された。血液および血漿サンプルを示された時点で回収し、赤血球に結合したAHPをモニターし、ヒト抗-dsDNA抗体クリアランスを追った。血液ならびに血清の化学的性質は、T=0、T=35、T=97、T=277分および1日の時点で採取したサンプルにおいてアッセイした。
【図4A】図4A〜4Cは、サル赤血球細胞に結合したAHPの検出を表す。1.4×108 E/mlの懸濁液を、AHPのdsDNA構成成分(ピコグリーン)またはCR1 mAb構成成分(アレクサ抗-マウスIgG)に特異的なプローブとともに(2連で)30分間インキュベートした。報告されたデータは、染色サンプルの平均蛍光強度(MFL)の平均値から非染色の2連のサンプルの平均蛍光強度の平均値を引いたものである(特異的MFL)。4Aおよび4Bに示すデータに用いたサルには、1.5 mgのAHP(cGMP材料ET104)が注入された。
【図4B】図4A〜4Cは、サル赤血球細胞に結合したAHPの検出を表す。1.4×108 E/mlの懸濁液を、AHPのdsDNA構成成分(ピコグリーン)またはCR1 mAb構成成分(アレクサ抗-マウスIgG)に特異的なプローブとともに(2連で)30分間インキュベートした。報告されたデータは、染色サンプルの平均蛍光強度(MFL)の平均値から非染色の2連のサンプルの平均蛍光強度の平均値を引いたものである(特異的MFL)。4Aおよび4Bに示すデータに用いたサルには、1.5 mgのAHP(cGMP材料ET104)が注入された。
【図4C】図4A〜4Cは、サル赤血球細胞に結合したAHPの検出を表す。4Cは、生理的食塩水を注入したサル2匹のうち1匹に対する結果である。
【図5A】サル赤血球に結合したヒト抗-dsDNA抗体の検出結果である。1.4×108 E/mlの懸濁液を、ヒトIgGおよびIgMタンパク質に特異的なプローブの混合物とともに(2連で)30分間インキュベートした。報告されたデータは、染色サンプルの平均蛍光強度の平均値から非染色の2連のサンプルの平均蛍光強度の平均値を引いたものである。5Aに示すデータに用いたサルには、1.5 mgのAHP(cGMP材料ET104)が注入された。
【図5B】サル赤血球に結合したヒト抗-dsDNA抗体の検出結果である。1.4×108 E/mlの懸濁液を、ヒトIgGおよびIgMタンパク質に特異的なプローブの混合物とともに(2連で)30分間インキュベートした。報告されたデータは、染色サンプルの平均蛍光強度の平均値から非染色の2連のサンプルの平均蛍光強度の平均値を引いたものである。5Aに示すデータに用いたサルには、1.5 mgのAHP(cGMP材料ET104)が注入された。5Bは、生理的食塩水を注入したサル2匹に対する結果である。
【図6A】注入したサル由来の血漿中のヒト抗-dsDNA抗体の検出結果である。AHPを注入したサル由来の血漿中に存在する高結合性抗-dsDNA抗体のレベル(Farr活性)を報告する。図6Aに示すデータに用いたサルには、1.5 mgのAHP(cGMP材料ET104)が注入された。未処理のサルRBC懸濁液(1.4×109E/ml)を、飽和量のAHP(3μg/ml)とともに15分間インキュベートすることによりオプソニン化した。洗浄後、サンプルを1%Eまで再懸濁し、50μlのオプソニン化赤血球を、50μlの注入したサル血漿とともに15分間インキュベートした。洗浄後、サンプルをアレクサ抗-ヒトIgGおよび抗-ヒトIgM試薬の混合物とともに30分間インキュベートした。報告されたデータは、染色サンプルの平均蛍光強度の平均値から非染色の2連のサンプルの平均蛍光強度の平均値を引いたものである。
【図6B】注入したサル由来の血漿中のヒト抗-dsDNA抗体の検出結果である。生理的食塩水を注入したサル由来の血漿中に存在する高結合性抗-dsDNA抗体のレベル(Farr活性)を報告する。図6Bは、生理的食塩水を注入したサル2匹に対する結果である。未処理のサルRBC懸濁液(1.4×109E/ml)を、飽和量のAHP(3μg/ml)とともに15分間インキュベートすることによりオプソニン化した。洗浄後、サンプルを1%Eまで再懸濁し、50μlのオプソニン化赤血球を、50μlの注入したサル血漿とともに15分間インキュベートした。洗浄後、サンプルをアレクサ抗-ヒトIgGおよび抗-ヒトIgM試薬の混合物とともに30分間インキュベートした。報告されたデータは、染色サンプルの平均蛍光強度の平均値から非染色の2連のサンプルの平均蛍光強度の平均値を引いたものである。
【図6C】図6Cは、AHPを表面に含むサル赤血球に結合することが可能な、血漿中のヒト抗-dsDNA抗体(ヒトIg)レベルを検出した結果である。未処理のサルRBC懸濁液(1.4×109E/ml)を、飽和量のAHP(3μg/ml)とともに15分間インキュベートすることによりオプソニン化した。洗浄後、サンプルを1%Eまで再懸濁し、50μlのオプソニン化赤血球を、50μlの注入したサル血漿とともに15分間インキュベートした。洗浄後、サンプルをアレクサ抗-ヒトIgGおよび抗-ヒトIgM試薬の混合物とともに30分間インキュベートした。報告されたデータは、染色サンプルの平均蛍光強度の平均値から非染色の2連のサンプルの平均蛍光強度の平均値を引いたものである。
【図6D】図6Dは、AHPを表面に含むサル赤血球に結合することが可能な、血漿中のヒト抗-dsDNA抗体(ヒトIg)レベルを検出した結果である。未処理のサルRBC懸濁液(1.4×109E/ml)を、飽和量のAHP(3μg/ml)とともに15分間インキュベートすることによりオプソニン化した。洗浄後、サンプルを1%Eまで再懸濁し、50μlのオプソニン化赤血球を、50μlの注入したサル血漿とともに15分間インキュベートした。洗浄後、サンプルをアレクサ抗-ヒトIgGおよび抗-ヒトIgM試薬の混合物とともに30分間インキュベートした。報告されたデータは、染色サンプルの平均蛍光強度の平均値から非染色の2連のサンプルの平均蛍光強度の平均値を引いたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)C3b様受容体を結合する抗原認識部分および
(b)該抗原認識部分と架橋した1つ以上の二本鎖DNA分子
を各々含む二重特異性分子を含有する精製組成物の生産方法であって、アルコール溶液を用いて二重特異性分子を沈殿させることを含む、上記方法。
【請求項2】
上記アルコール溶液が体積で50%のイソプロピルアルコールを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
C3b様受容体を結合する上記抗原認識部分が抗-CR1モノクローナル抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記の1つ以上の二本鎖DNA分子のサイズが各々100〜5000塩基対の範囲内である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
上記の1つ以上の二本鎖DNA分子のサイズが各々200〜3000塩基対の範囲内である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
上記の1つ以上の二本鎖DNA分子のサイズが各々500〜2500塩基対の範囲内である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記の1つ以上の二本鎖DNA分子のサイズが各々500〜1500塩基対の範囲内である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
(a)C3b様受容体を結合する抗原認識部分および
(b)該抗原認識部分と架橋した1つ以上の二本鎖DNA分子
を各々含む二重特異性分子を含む精製組成物であり、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により生産される上記精製組成物。
【請求項9】
上記精製組成物のDNA濃度が少なくとも1.100mg/mlである、請求項8記載の精製組成物。
【請求項10】
上記精製組成物のタンパク質濃度が少なくとも0.200mg/mlである、請求項8記載の精製組成物。
【請求項11】
固定化されたCR1受容体分子への結合をELISAにより測定すると、上記精製組成物が少なくとも0.030mg/mlの力価を有する、請求項8記載の精製組成物。
【請求項12】
上記精製組成物が0.006mg/ml未満の遊離IgGタンパク質の濃度を有する、請求項8記載の精製組成物。
【請求項13】
(a)C3b様受容体を結合する抗原認識部分および
(b)該抗原認識部分と架橋した1つ以上のdsDNA分子
を各々含む二重特異性分子を含有する精製組成物の生産方法であって、
(i)C3b様受容体を結合する抗原認識部分を1つ以上の二本鎖DNA分子と架橋させて上記の1つ以上の二本鎖DNA分子と架橋した抗原認識部分を含む二重特異性分子を含有する組成物を生産すること;および
(ii)アルコール溶液を用いて上記組成物を沈殿させて、精製組成物を生産すること、
を含む上記方法。
【請求項14】
(a)C3b様受容体を結合する抗原認識部分および
(b)該抗原認識部分と架橋した1つ以上のdsDNA分子
を各々含む二重特異性分子を含有する精製組成物の生産方法であって、
(i)1つ以上のdsDNA分子と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドとを反応させて、活性化リン酸イミダゾリド-dsDNA(PI-dsDNA)を生産すること;
(ii)上記PI-dsDNAとシスタミンとを反応させて、シスタミン化dsDNAを生生産産すること;
(iii)上記シスタミン化dsDNAとジチオスレイトールとを反応させて、SH-dsDNAを生産すること;
(iv)C3b様受容体を結合する抗原認識部分とスルホサクシニミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩とを反応させて、マレイミド修飾化抗原認識部分を生産すること;
(v)SH-dsDNAと上記マレイミド修飾化抗原認識部分とを反応させて、上記の1つ以上のdsDNA分子に架橋した上記抗原認識部分を含む二重特異性分子を含有する組成物を生産すること;および
(vi)アルコール溶液を用いて上記組成物を沈殿させて、上記精製組成物を生産すること、
を含む上記方法。
【請求項15】
上記アルコール溶液が体積で50%のイソプロピルアルコールを含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
C3b様受容体を結合する上記抗原認識部分が抗-CR1モノクローナル抗体である、請求項13記載の方法。
【請求項17】
上記の1つ以上の二本鎖DNA分子のサイズが各々100〜5000塩基対の範囲内である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
上記の1つ以上の二本鎖DNA分子のサイズが各々200〜3000塩基対の範囲内である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
上記の1つ以上の二本鎖DNA分子のサイズが各々500〜2500塩基対の範囲内である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記の1つ以上の二本鎖DNA分子のサイズが各々500〜1500塩基対の範囲内である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
(a)C3b様受容体を結合する抗原認識部分および
(b)該抗原認識部分と架橋した1つ以上の二本鎖DNA分子
を各々含む二重特異性分子の精製組成物であって、請求項13〜20のいずれか1項に記載の方法により生産される上記精製組成物。
【請求項22】
上記精製組成物のDNA濃度が少なくとも1.100mg/mlである、請求項21記載の精製組成物。
【請求項23】
上記精製組成物のタンパク質濃度が少なくとも0.200mg/mlである、請求項21記載の精製組成物。
【請求項24】
固定化されたCR1受容体分子への結合をELISAにより測定すると、上記精製組成物が少なくとも0.030mg/mlの力価を有する、請求項21記載の精製組成物。
【請求項25】
上記精製組成物が0.006mg/ml未満の遊離IgGタンパク質の濃度を有する、請求項21記載の精製組成物。
【請求項26】
ステップ(vi)の前に、イオン交換クロマトグラフィーを用いてステップ(v)で生産する上記組成物から遊離IgG抗体を除去するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公表番号】特表2006−501816(P2006−501816A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−503620(P2004−503620)
【出願日】平成15年5月13日(2003.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2003/015360
【国際公開番号】WO2003/095626
【国際公開日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(503334954)エリューシス セラピューティクス,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】