説明

交差点安全走行システム

【課題】
交通標識や路面表示器に車両センサや人センサを備え、警告をドライバーが視認し易い標識,表示灯等に表示する。
【解決手段】
交差点安全走行システム100では、制御装置は、ある交通標識に備えられた車両センサ112により、交差点に進入しようとする車両V1,V2を検出したときは、当該車両が走行している道路と交差する道路に設置されている交通標識8A,8B,8C,8Dに備えられた表示灯1A,1B,1C,1Dに、車両に対する注意を喚起するための表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点における車両同士の衝突事故および、車両と人と事故を防止できる交差点安全走行システムに関し、具体的には交通標識や路面表示器に車両センサや人センサを備え、警告をドライバーが視認し易い前記標識,前記表示灯等に表示することができる交差点安全走行システム。
【背景技術】
【0002】
従来、見通しが悪い交差点の一時停止抑制がされている側の道路や、見通しが悪い交差点の優先道路でない側の道路には、安全を確保するべく道路反射鏡(カーブミラー)が設けられることがある(特開2007−120010等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−084486
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、道路反射鏡の反射像には十分に視認できない「死角」があるし、反射像は左右対称なので、ドライバーの錯誤により、防げるはずの事故が防げない場合がある。
本発明の目的は、交通標識や路面表示器に車両センサや人センサを設けて、警告をドライバーが視認し易い標識,表示灯等に表示することで、交差点における車両同士の衝突事故および、車両と人と事故を防止できる交差点安全走行システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の交差点安全走行システムは、(1)から(7)を要旨とする。
(1)
車両センサと表示灯と制御装置とを備えた交通標識が交差点の各入口にそれぞれ設置されてなる交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、交差点の近傍(たとえば、交通標識)に備えられた前記車両センサにより、前記交差点に進入しようとする車両を検出したときは、当該車両が走行している道路と交差する道路に設置されている交通標識に備えられた表示灯に、前記車両に対する注意を喚起するための表示を行う、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
本発明の交差点安全走行システムは、典型的には、信号機がなくかつ見通しが悪い交差点に適用される。
本発明において、「車両」は、自動車(自動二輪車を含む)、原動機付自転車、軽車両(自転車を含む)、トロリーバス、馬車等、主として歩行者以外の信号の制限を受ける乗り物を言う。また、「歩行者」には、車椅子(電動車椅子を含む)が含まれる。
車両センサは、たとえば「一時停止」、「徐行」等の標識自体または標識が取り付けてある構造物(交通標識構造物)に設けることができる。
車両センサは、交通標識構造物に備えられたレーダとすることができる。また、車両センサは、交通標識構造物に備えられたカメラとすることができ、この場合には、制御装置は、撮影画像の形状認識を行うことで車両を検出することができる。なお、レーダやカメラのほか、超音波センサー,金属探知器,光距離センサを用いることができる。
表示灯は、方向を指示できる表示であればどのようなものであっても使用できる。具体的には、表示灯は、たとえば、静止した三角形であってもよいし、点灯しつつ移動する三角形であってもよい。
【0006】
(2)
車両センサと表示灯と制御装置とを備えた路面表示器が交差点の中央に設置されてなる交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、前記車両センサにより、前記交差点に進入しようとする車両を検出したときは、当該車両が走行している道路と交差する道路を走行している車両のうち交差点に進入しようとする他の車両に対し注意を喚起する表示を、前記表示灯に表示する、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
車両センサとして、路面表示器に備えられたレーダを用いることができる。また、車両センサとして、路面表示器に備えられたカメラと用いることができ、この場合には、制御装置は撮影画像の形状認識を行うことで車両を検出することができる。
【0007】
(3)
車両センサと送信回路と制御装置を備えた車両検出設備が交差点に設置され、前記送信回路が受信回路を備えた車両に情報を送信する交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、前記車両センサにより、前記交差点に進入しようとするある車両を検出したときは、前記送信回路により、当該車両が走行している道路と交差する道路を走行している車両のうち、交差点に進入しようとする前記受信回路を備えた車両に対して前記検出にかかる情報を送信する、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
すなわち、「ある車両」が交差点に進入しようとしているかを車両センサが検出する。制御装置は、「ある車両」が走行している道路と交差する道路を走行している車両のうち交差点に進入しようとする「他の車両」に、検出にかかる情報(たとえば、「ある車両」がどの道路から交差点に進入しようとしているかの情報)を送信する。
【0008】
(4)
人センサと表示灯と制御装置とを備えた交通標識が交差点の各入口にそれぞれ設置されてなる交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、交差点の近傍(たとえば、ある交通標識)に備えられた前記人センサにより、交差点付近に人または自転車を検出したときは、前記各交通標識に備えられた表示灯に、前記人または前記自転車に対する注意を喚起するための表示を行う、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
人センサとして交通標識構造物に取り付けた赤外線カメラを用いることができ、この場合には、制御装置は温度認識を行うことで人(自転車の運転者や、車椅子の使用者を含む)を検出することができる。また、人センサとして交通標識構造物に取り付けたカメラを用いることができ、この場合には、制御装置は撮影画像の形状認識を行うことで人,車椅子,自転車等を検出することができる。
【0009】
(5)
人センサと表示灯と制御装置とを備えた路面表示器が交差点の中央に設置されてなる交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、ある路面表示器に備えられた前記人センサにより、交差点付近に人を検出したときは、前記各路面表示器に備えられた表示灯に、前記人または前記自転車に対する注意を喚起するための表示を行う、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
人センサとして路面表示器に取り付けた赤外線カメラを用いることができ、この場合には、制御装置は温度認識を行うことで人または自転車を検出することができる。また、人センサとして路面表示器に取り付けた通常のカメラを用いることができ、この場合には、制御装置は撮影画像の形状認識を行うことで人または自転車を検出することができる。なお、人センサとして、赤外線カメラや通常カメラのほか、超音波センサ,光センサを用いることができる。
【0010】
(6)
人センサと送信回路と制御装置を備えた人検出設備が交差点に設置され、前記送信回路が受信回路を備えた車両に情報を送信する交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、前記人センサにより、前記交差点付近を通行する人を検出したときは、前記送信回路により、当該人が通行している道路と交差する道路を走行している車両のうち、交差点に進入しようとする前記車両に対して前記検出にかかる情報を送信する、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
本態様では、交差点安全走行システムは、受信回路を備えた車両に対して情報を送信する。
たとえば、人センサとして交通標識や路面表示器に設けた赤外線センサを用いることができ、この場合に赤外線センサが歩行者等の存在を検出したときは、制御装置は通信回路から、歩行者の存在を喚起する情報を送信する。
また、人センサとしてGPS端末機能搭載の携帯電話を採用することができ、この場合には、携帯電話から発信される位置情報等を通信回路が受信し、制御装置は、この通信回路から交差点に進入しようとする車両に、位置情報等を送信する。
【0011】
(7)
交通標識に備えら得た固定局無線装置と、車両に備えた移動局無線装置とが通信を行う交差点安全走行システムあって、
前記固定局無線装置は、
アンテナにより受信した無線周波数帯信号を任意周波数に低下させて他の回路に出力する復調回路と、
前記他の回路から入力した任意周波数の信号を無線周波数に上昇させて前記アンテナに出力する変調回路と、
前記アンテナを、前記復調回路と前記変調回路の何れかに切り替えるスイッチ回路と、
を内蔵した開発用のRF集積回路を備え、
RF集積回路は、前記他の回路とは独立して集積化され、かつ、
前記復調回路は、受信した無線周波数信号を、低周波数の信号に変換するとともに、
前記変調回路は、低周波数の信号を、無線周波数信号に変換することを特徴とする交差点安全走行システム。
【0012】
なお、本発明において、車両センサは、交差点に近づく車両を有効に検出できれば、どのようなセンサを使用してもよい。たとえば、車両センサとして光電スイッチ,感圧センサ(たとえば、タイヤで踏み付けるとONになるケーブル状センサ)が使用できる。また、人センサは、交差点近傍の人等を検出できれば、どのようなセンサを使用することもできる。たとえば、車両センサとして光電スイッチ,感圧センサ(たとえば、踏み付けるとONになるケーブル状センサ)が使用できる。
【発明の効果】
【0013】
交通標識や路面表示器に車両センサや人センサを設けて、警告をドライバーが視認し易い標識,表示灯等に表示することで、交差点における車両同士の衝突事故および、車両と人と事故を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の交通安全システムの第1実施態様を示す全体説明図である。
【図2】図1の交通安全システムで使用される車両検出ユニットの機能ブロック図である。
【図3】図1の交通安全システムにおける交通標識を示す図であり、(A)は交通標識8Aを示す図、(B)は交通標識8Bを示す図、(C)は交通標識8Cを示す図、(D)は交通標識8Dを示す図である。
【図4】本発明の交通安全システムの第2実施態様を示す全体説明図である。
【図5】図4の交通安全システムの機能ブロック図である。
【図6】図4の交通安全システムにおける路面表示器を示す図であり、(A)はD1方向から見た図、(B)はD2方向から見た図である。
【図7】本発明の交通安全システムの第3実施態様を示す全体説明図である。
【図8】図7の交通安全システムの機能ブロック図である。
【図9】図7の交通安全システムにおける路面表示器を示す図である。
【図10】図7の交通安全システムにおいて、路面表示器が電波を発生する様子を示す図である。
【図11】図7の交通安全システムにおいて、車両のヘッドアップディスプレイに表示された車両検出マークを示す図である。
【図12】本発明の交通安全システムの第4実施態様を示す全体説明図である。
【図13】図12の交通安全システムで使用される車両検出ユニットの機能ブロック図である。
【図14】図12の交通安全システムにおける路面表示器を示す図であり、(A)はD1方向から見た図、(B)はD2方向から見た図である。
【図15】本発明の交通安全システムの第5実施態様を示す全体説明図である。
【図16】図15の交通安全システムの機能ブロック図である。
【図17】図15の交通安全システムにおける路面表示器を示す図であり、(A)はD1方向から見た図、(B)はD2方向から見た図である。
【図18】本発明の交通安全システムの第6実施態様を示す全体説明図である。
【図19】図18の交通安全システムの機能ブロック図である。
【図20】図18の交通安全システムにおける路面表示器を示す図である。
【図21】図18の交通安全システムにおいて、路面表示器が電波を発生する様子を示す図である。
【図22】図18の交通安全システムにおいて、車両のヘッドアップディスプレイに表示された人検出マークを示す図である。
【図23】図18の交通安全システムの変形実施態様を示す全体説明図である。
【図24】図22の交通安全システムの機能ブロック図である。
【図25】本発明における固定局無線装置および移動局無線装置のRF集積回路を示す図であり、RF集積回路が物理層回路とMAC回路と接続された様子を示すブロック図である。
【図26】図25のRF集積回路の復調回路および変調回路を細分して示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1から第6実施形態を説明する。なお、各実施形態において、交通安全システムは、信号機抑制がない4差路の交差点に適用される。この4つの道路の1つは、交差点が、一方通行の出口となっている。また、各実施形態では、交差点に向かう道路の4方向をD1,D2,D3,D4で示してあり、車両V1が交差点に向かうD1方向に走行し、車両V2がD2方向に走行している。
【0016】
図1は、本発明の交通安全システムの第1実施態様を示す全体説明図である。本実施形態において、交通安全システム100は、交差点の入口に設置された交通標識(図では「一時停止」の標識)8A,8B,8C,8Dにそれぞれセットされた4つの車両検出ユニット1A,1B,1C,1Dからなる。
【0017】
図2に示すように、車両検出ユニット1A,1B,1C,1Dは、それぞれ車両認識制御部(制御装置)111と、車両センサ112と、送信部113と、表示制御部121と、表示灯122と、受信部123とからなる。車両認識制御部111は、交通標識8A,8B,8C,8Dにそれぞれ備えられた車両センサ112により、交差点に進入しようとする車両を検出することができる。車両センサ112は、たとえばカメラとすることができ、車両認識制御部111は、撮影画像の変化により車両の存在を検出することができる。また、車両センサ112は、たとえばレーダとすることができ、車両認識制御部111は、応答の大きさや変化により車両の存在を検出することができる。
【0018】
本実施形態では、車両検出ユニット1A,1Bの各車両センサ112が、交差点に進入しようとする車両V1,V2を検出している。そして、表示制御部121が、車両V1,V2が走行している道路と交差する道路に設置されている交通標識にそれぞれ備えられた表示灯122に、車両V1,V2に対する注意喚起表示を行う。
【0019】
図3(B),(D)に、車両V1が走行している道路と交差する道路に設置されている交通標識8B,8Dにそれぞれ備えられた表示灯122の表示を示す。また、図3(A),(C)に、車両V2が走行している道路と交差する道路に設置されている交通標識8A,8Cにそれぞれ備えられた表示灯122の表示を示す。本実施形態では、図3(A)〜(D)に示すように、交通標識に死角となっている車両の存在が表示されるので、交差点における車両同士の衝突事故を未然に防ぐことができる。
【0020】
図4は、本発明の交通安全システムの第2実施態様を示す全体説明図である。図5に示すように、本実施形態の交通安全システム200は、交差点の中央に設置された路面表示器2からなる。路面表示器2は、車両認識制御部(制御装置)211と、車両センサ212A,212B,212C,212Dと、表示制御部(制御装置)221と、表示灯222A,222B,222C,222Dとからなる。
【0021】
車両認識制御部211は、車両センサ212A,212B,212C,212Dにより、交差点に進入しようとする車両を検出することができる。車両センサ212A,212B,212C,212Dは、たとえばカメラとすることができ、車両認識制御部211は、撮影画像の変化により車両の存在を検出することができる。また、車両センサ212A,212B,212C,212Dは、たとえばレーダとすることができ、車両認識制御部211は、応答の大きさや変化により車両の存在を検出することができる。
【0022】
本実施形態では、車両センサ212A,212Bが、交差点に進入しようとする車両V1,V2を検出している。そして、表示制御部221が、車両V1,V2が走行している道路と交差する道路を走行する他の車両から見える表示灯に注意喚起表示を行う。
【0023】
図6(A)にD1方向から見た路面表示器2の点灯状態を示し、図6(B)にD2方向から見た路面表示器2の点灯状態を示す。本実施形態でも、図6(A),(B)に示すように、路面表示器に死角となっている車両の存在が表示されるので、交差点における車両同士の衝突事故を未然に防ぐことができる。
【0024】
図7は、本発明の交通安全システムの第3実施態様を示す全体説明図である。図7および図8に示すように、本実施形態の交通安全システム300は、交差点の中央に設置された路面表示器31(図9に外観を示す)と車両(図7ではV1,V2で示し、図8ではVで示す)に登載された車載ユニット32とからなる。路面表示器31は、車両認識制御部(制御装置)311と、車両センサ312A,312B,312C,312Dと、送信部313(アンテナ33を含む)とからなる。車載ユニット32は、表示制御部(制御装置)321と、ヘッドアップディスプレイ322、受信部323とからなる。
【0025】
車両認識制御部311は、車両センサ312A,312B,312C,312Dにより、交差点に進入しようとする車両を検出することができる。車両センサ312A,312B,312C,312Dは、たとえばカメラとすることができ、車両認識制御部311は、撮影画像の変化により車両の存在を検出することができる。また、車両センサ312A,312B,312C,312Dは、たとえばレーダとすることができ、車両認識制御部311は、応答の大きさや変化により車両の存在を検出することができる。
【0026】
本実施形態では、車両センサ312A,312Bが、交差点に進入しようとする車両V1,V2を検出している。車両認識制御部311は、送信部313から車両の受信部323に所定情報(方向情報DRおよび車両検出情報VD)を送信し(図8のほか図10の路面表示器が電波を発生する様子を示す図も参照)、車両V1,V2では表示制御部321がヘッドアップディスプレイ(HUD)に注意喚起表示を行う。
【0027】
図11(A)に車両V1のヘッドアップディスプレイ(HUD)の表示状態を示し、図11(B)に車両V2のヘッドアップディスプレイ(HUD)の表示状態を示す。本実施形態でも、図11(A),(B)に示すように、各車両のヘッドアップディスプレイに死角となっている車両の存在が表示されるので、交差点における車両同士の衝突事故を未然に防ぐことができる。
【0028】
図12は、本発明の交通安全システムの第4実施態様を示す全体説明図である。本実施形態において、交通安全システム400は、交差点の入口に設置された交通標識(図では「一時停止」の標識)8A,8B,8C,8Dにそれぞれセットされた4つの人検出ユニット4A,4B,4C,4Dからなる。
【0029】
図13に示すように、人検出ユニット4A,4B,4C,4Dは、それぞれ人認識制御部(制御装置)411と、人センサ412と、送信部413と、表示制御部421と、表示灯422と、受信部423とからなる。人認識制御部411は、交通標識8A,8B,8C,8Dにそれぞれ備えられた人センサ412により、交差点の近傍の歩行者(または自転車の運転者)を検出することができる。人センサ412は、たとえば赤外線カメラとすることができ、人認識制御部411は、撮影画像の明暗により人の存在を検出することができる。また、人センサ412は、たとえばカラーカメラとすることができ、人認識制御部411は、画像の大きさや動き変化により人の存在を検出することができる。
【0030】
本実施形態では、人検出ユニット4A,4B,4C,4Dの各人センサ412の検出情報により、交差点の近傍の歩行者の有無、および位置検出している。そして、表示制御部421は、交通標識8A,8B,8C,8Dの表示灯122に、歩行者Hに対する注意喚起表示を行う。なお、歩行者の位置検出技術は、周知であるので説明を省略する。また、歩行者が複数の場合の歩行者有無の検出技術および歩行者位置検出技術は周知であるので説明は省略する。
【0031】
図14(A),(B),(C),(D)に、歩行者Hが図12に示す位置に存在しているときの、交通標識8A,8B,8C,8Dにそれぞれ備えられた表示灯422の表示を示す。本実施形態では、図14(A)〜(D)に示すように、交通標識に死角となっている人の存在が表示されるので、交差点における車両と歩行者(または自転車)との事故を未然に防ぐことができる。
【0032】
図15は、本発明の交通安全システムの第5実施態様を示す全体説明図である。図15に示すように、本実施形態の交通安全システム500は、交差点の中央に設置された路面表示器5からなる。路面表示器5は、図16に示すように、人認識制御部(制御装置)511と、人センサ512A,512B,512C,512Dと、表示制御部(制御装置)521と、表示灯522A,522B,522C,522Dとからなる。
【0033】
人認識制御部511は、路面表示器5に備えられた人センサ512A,512B,512C,512Dにより、交差点の近傍の歩行者(または自転車の運転者)を検出することができる。人センサ512A,512B,512C,512Dは、たとえば赤外線カメラとすることができ、人認識制御部511は、撮影画像の明暗により人の存在を検出することができる。また、人センサ512A,512B,512C,512Dは、たとえばカラーカメラとすることができ、人センサ512A,512B,512C,512Dは、画像の大きさや動き変化により人の存在を検出することができる。
【0034】
本実施形態では、人センサ512Dが、交差点の付近の歩行者Hを検出している。そして、表示制御部が、所定の表示灯に注意喚起表示を行う。図17(A)にD1方向から見た路面表示器5の点灯状態を示し、図17(B)にD2方向から見た路面表示器5の点灯状態を示す。本実施形態でも、図17(A),(B)に示すように、路面表示器に歩行者の存在が表示されるので、交差点における歩行者(または自転車)と車両との事故を未然に防ぐことができる。なお、図17(A),(B)では、路面表示器5の一つの面に3つのカメラが設けられており、泥等により視界が狭まることを防止している。
【0035】
図18は、本発明の交通安全システムの第6実施態様を示す全体説明図である。図18および図19に示すように、本実施形態の交通安全システム600は、交差点の中央に設置された路面表示器61(図20に外観を示す)と車両(図18ではV1,V2で示し、図19ではVで示す)に登載された車載ユニット62とからなる。路面表示器61は、人認識制御部(制御装置)611と、人センサ612A,612B,612C,612Dと、送信部(アンテナ63を含む)613とからなる。車載ユニット62は、表示制御部(制御装置)621と、ヘッドアップディスプレイ622、受信部623とからなる。
【0036】
人認識制御部611は、人センサ612A,612B,612C,612Dにより、交差点の付近の歩行者(または自転車運転者)を検出することができる。人センサ612A,612B,612C,612Dは、赤外線カメラとすることができ、人認識制御部611は、撮影画像の明暗により人の存在を検出することができる。また、人センサ612A,612B,612C,612Dは、たとえばカラーカメラとすることができ、人センサ612A,612B,612C,612Dは、画像の大きさや動き変化により人の存在を検出することができる。
【0037】
本実施形態では、人センサ612Dが、交差点付近の歩行者を検出している。人認識制御部611は、送信部613から車両V1の受信部623に所定情報(方向情報DRおよび人検出情報HD)を送信し(図19のほか図21の路面表示器が電波を発生する様子を示す図も参照)、車両V1では表示制御部621がヘッドアップディスプレイ(HUD)に注意喚起表示を行う。
【0038】
図22に車両V1のヘッドアップディスプレイ(HUD)の表示状態を示す。本実施形態でも、図22に示すように、走行している車両のヘッドアップディスプレイに、死角となっている歩行者の存在が表示されるので、交差点における歩行者(または自転車)と車両との事故を未然に防ぐことができる。なお、図20では、路面表示器61の一つの面に3つのカメラが設けられており、泥等により視界が狭まることを防止している。
図23は、第7実施態様(第6実施形態の変形例)を示す全体説明図である。図23および図24に示すように、本実施形態の交通安全システム700は、交差点の中央に設置された路面表示器71と車両(図23ではV1,V2で示し、図24ではVで示す)に登載された車載ユニット72とからなる。路面表示器71は、人認識制御部(制御装置)711と、人センサ(GPS端末位置受信装置)712と、送信部713とからなる。車載ユニット72は、表示制御部(制御装置)721と、ヘッドアップディスプレイ722、受信部723とからなる。
【0039】
人認識制御部711は、人センサ712により、交差点の付近の歩行者(または自転車運転者)が携帯するGPS端末からの位置情報を受信することができ、人認識制御部711は、位置情報が交差点の付近であるときは、送信部713から車両V1の受信部723に所定情報(方向情報DRおよび人検出情報HD)を送信する。車両V1では表示制御部721がヘッドアップディスプレイ(HUD)に注意喚起表示を行う。
【0040】
図25および図26は本発明のRF集積回路の実施形態を示す説明図である。図25において、RF集積回路RFICは、復調回路RCと、変調回路TRと、スイッチ回路SWとを備えている。RF集積回路RFICは、物理層回路PHYとメディアアクセス回路MACからなる回路に接続され、回路はコンピュータCPUに接続されている。
【0041】
復調回路RCは、アンテナにより受信した無線周波数帯信号(ここでは、715M〜725MHzの信号)を任意周波数(5MHzから20MHz)に低下させて物理層回路PHYに出力する。変調回路TRは、物理層回路PHYから入力した任意周波数(5MHzから20MHz)の信号を無線周波数(715M〜725MHzの信号)に上昇させてアンテナANTに出力する。
【0042】
物理層回路PHYは、典型的にはインタフェース回路である。本実施形態では、アナログ/ディジタルコンバータA/D,ディジタル/アナログコンバータD/Aが、物理層回路PHYとRF集積回路RFICとの間に設けられているが、物理層回路PHYに設けることができるし、RF集積回路RFICに設けることができる。物理層回路PHYは、メディアアクセス回路MACに接続されており、復調回路RCからの信号はメディアアクセス回路MACに渡され、メディアアクセス回路MACからの信号は変調回路TRに渡される。アンテナANDは、スイッチ回路SWを介して、復調回路RCと変調回路RCとに接続される。スイッチ回路SWは、外部からの切替え信号SCにより、アンテナANTを復調回路RCと変調回路RCの何れかに切り替えることができる。
【0043】
なお、復調回路RCは、図26に示すように、中間周波数変換回路RC1と、低周波数変換回路RC2とから構成できる。中間周波数変換回路RC1はスイッチ回路SWを介して入力した無線周波数信号を中間周波数に変換し、さらに低周波数変換回路RC2により5〜25MHz程度の周波数に変換する。そして、これらの周波数信号うちの特定の周波数信号を、図25の物理層回路PHYに出力する。また、図26に示すように、変調回路RCは、中間周波数変換回路TR1と、さらに高周波数変換回路TR2とから構成できる。物理層回路PHYからの周波数信号のうちの特定の周波数信号を中間周波数変換回路TR1により中間周波数に変換する。さらに、この中間周波数の信号を高周波数変換回路TR2により無線周波数(700MHz帯)の信号に変調し、スイッチ回路SWを介して、アンテナANTに出力している。
【符号の説明】
【0044】
1A〜1D 車両検出ユニット
2,5,31,61,71 路面表示器
4A〜4D 人検出ユニット
8A〜8D 交通標識
32,62,72 車載ユニット
33,63 アンテナ
100,200,300,400,500,600,700 交通安全システム
112,212A〜212D,312A 車両センサ
111,211,311 車両認識制御部
113,313,413,613,713 送信部
121,221,321,421,521,612,721 表示制御部
122,222A〜222D,422,522A〜522D 表示灯
123,323,423,623,723 受信部
322,622,722 ヘッドアップディスプレイ
412,512A〜512D,612A〜612D,712 人センサ
411,511,611,711 人認識制御部
DR 方向情報
H 歩行者
HD 人検出情報
V1,V2 車両
VD 車両検出情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両センサと表示灯と制御装置とを備えた交通標識が交差点の各入口にそれぞれ設置されてなる交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、交差点の近傍に備えられた前記車両センサにより、前記交差点に進入しようとする車両を検出したときは、当該車両が走行している道路と交差する道路に設置されている交通標識に備えられた表示灯に、前記車両に対する注意を喚起するための表示を行う、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
【請求項2】
車両センサと表示灯と制御装置とを備えた路面表示器が交差点の中央に設置されてなる交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、前記車両センサにより、前記交差点に進入しようとする車両を検出したときは、当該車両が走行している道路と交差する道路を走行している車両のうち交差点に進入しようとする他の車両に対し注意を喚起する表示を、前記表示灯に表示する、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
【請求項3】
車両センサと送信回路と制御装置を備えた車両検出設備が交差点に設置され、前記送信回路が受信回路を備えた車両に情報を送信する交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、前記車両センサにより、前記交差点に進入しようとするある車両を検出したときは、前記送信回路により、当該車両が走行している道路と交差する道路を走行している車両のうち、交差点に進入しようとする前記受信回路を備えた車両に対して前記検出にかかる情報を送信する、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
【請求項4】
人センサと表示灯と制御装置とを備えた交通標識が交差点の各入口にそれぞれ設置されてなる交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、交差点の近傍に備えられた前記人センサにより、交差点付近に人または自転車を検出したときは、前記各交通標識に備えられた表示灯に、前記人または前記自転車に対する注意を喚起するための表示を行う、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
【請求項5】
人センサと表示灯と制御装置とを備えた路面表示器が交差点の中央に設置されてなる交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、交差点の近傍に備えられた前記人センサにより、交差点付近に人を検出したときは、前記各路面表示器に備えられた表示灯に、前記人または前記自転車に対する注意を喚起するための表示を行う、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
【請求項6】
人センサと送信回路と制御装置を備えた人検出設備が交差点に設置され、前記送信回路が受信回路を備えた車両に情報を送信する交差点安全走行システムあって、
前記制御装置は、前記人センサにより、前記交差点付近を通行する人を検出したときは、前記送信回路により、当該人が通行している道路と交差する道路を走行している車両のうち、交差点に進入しようとする前記車両に対して前記検出にかかる情報を送信する、
ことを特徴とする交差点安全走行システム。
【請求項7】
交通標識に備えら得た固定局無線装置と、車両に備えた移動局無線装置とが通信を行う交差点安全走行システムであって、
前記固定局無線装置および移動局無線装置は、
アンテナにより受信した無線周波数帯信号を任意周波数に低下させて他の回路に出力する復調回路と、
前記他の回路から入力した任意周波数の信号を無線周波数に上昇させて前記アンテナに出力する変調回路と、
前記アンテナを、前記復調回路と前記変調回路の何れかに切り替えるスイッチ回路と、
を内蔵した開発用のRF集積回路を備え、
RF集積回路は、前記他の回路とは独立して集積化され、かつ、
前記復調回路は、受信した無線周波数信号を、低周波数の信号に変換するとともに、
前記変調回路は、低周波数の信号を、無線周波数信号に変換することを特徴とする交差点安全走行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−8753(P2012−8753A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143346(P2010−143346)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(502119299)コスモリサーチ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】