説明

交換システム、保留コンテンツ提供方法および端末装置

【課題】保留者が容易に希望する保留コンテンツを被保留者に提供することができ、また交換機に大がかりな記憶装置を必要としない交換システム、保留コンテンツ提供方法および端末装置を提供する。
【解決手段】移動無線端末装置PS1が通信相手毎に設定した保留音データを予め記憶し、移動無線端末装置PS2と通話を開始すると移動無線端末装置PS2に応じた上記保留音データを交換機EX1にアップロードする。そして、その後、他の移動無線端末装置PS3と割込通話を開始すると、交換機EX1が保留している通信相手(移動無線端末装置PS2)に対して、アップロードした保留音データに基づく楽曲などを送出するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通話中の回線保留時に、被保留端末に保留音を送出する交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、従来の交換システムは、交換機に保有音の音源を備え、被保留端末に保留音を送出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、複数の保留音源を備えることができるが、保留者は、多数の保留音源から希望の音源を探し出すのに手間がかかり、またユーザの希望に添う音源を準備すると、膨大な音源を準備する必要があり、交換機に大がかりな記憶装置が必要になるという問題があった。
【特許文献1】特開平5−122350公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の交換システムでは、保留者が希望の保留コンテンツを選択するのに手間がかかるだけでなく、ユーザの希望に添う保留コンテンツを準備するには、交換機に大がかりな記憶装置が必要になるという問題があった。
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、保留者が容易に希望する保留コンテンツを被保留者に提供することができ、また交換機に大がかりな記憶装置を必要としない交換システム、保留コンテンツ提供方法および端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、この発明は、第1の端末と第2の端末を交換接続して通信リンクを確立している場合に、第3の端末から第1の端末に着呼があると、第1の端末からの要求に応じて、第2の端末を保留し、第1の端末と第3の端末を交換接続して通信リンクを確立する割込通話機能を有する交換システムにおいて、第1の端末から第2の端末に応じた保留データを取得する保留データ取得手段と、第1の端末と第3の端末を交換接続して通信リンクを確立した場合に、記第2の端末に対して、保留データ取得手段が取得した保留データに基づくコンテンツを提供する保留コンテンツ提供手段とを具備して構成するようにした。
【発明の効果】
【0005】
以上述べたように、この発明では、第2の端末と通信する第1の端末から、第2の端末に応じた保留データを取得し、第1の端末が第3の端末と通信を開始して第2の端末を保留した場合に、第2の端末に対して、上記保留データに基づくコンテンツを提供するようにしている。
【0006】
したがって、この発明によれば、保留者が容易に希望する保留コンテンツを被保留者に提供することができ、また交換機に大がかりな記憶装置を必要としない交換システム、保留コンテンツ提供方法および端末装置を提供することが可能な交換システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる交換システムの構成を示すものである。この交換システムは、携帯電話機などの移動無線端末装置PS1〜PS3と、移動通信網NWに収容される無線基地局BS1〜BS3と、交換機EX1〜EX3とを備えている。また交換機EX1〜EX3は、それぞれ無線基地局BS1〜BS3を収容するとともに、他の交換機と相互に接続し、それぞれ無線基地局に無線接続される移動無線端末装置の間に通信リンクを確立する。すなわち、移動通信網NWは、無線基地局に無線接続される移動無線端末装置を、交換機EX1〜EX3を用いて相互に接続し、音声通話サービスをはじめとする通信サービスを提供する。
【0008】
なお、図1では、説明を簡明にするために、各交換機が1つの無線基地局を収容するように示しているが、複数の無線基地局を収容してもよい。また、移動通信網NWは、3つの交換機EX1〜EX3を収容しているが、4以上の交換機を備えてもよいのは言うまでもない。
【0009】
図2に、移動無線端末装置PS1〜PS3の構成を示す。移動無線端末装置PS1〜PS3は、それぞれ図2に示すように構成される。すなわち、移動無線端末装置PS1〜PS3は、それぞれ、制御部100と、無線通信部110と、通話部120と、表示部130と、操作部140と、記憶部150とを備える。
【0010】
無線通信部110は、制御部100の指示にしたがって、移動通信網NWに収容された無線基地局と無線通信を行うものであって、この無線通信により、音声データや電子メールデータなどの送受信、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
【0011】
通話部120は、スピーカ121やマイクロホン122を備え、マイクロホン122を通じて入力されたユーザの音声を音声データに変換して制御部100に出力したり、通話相手などから受信した音声データを復号してスピーカ121から出力するものである。
【0012】
表示部130は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを用いた表示手段であって、制御部100の制御により、画像(静止画像および動画像)や文字情報などを表示して、視覚的にユーザに情報を伝達するものである。
操作部140は、複数のキースイッチなどを備え、これを通じてユーザから指示を受け付けるものである。
【0013】
記憶部150は、制御部100の制御プログラムや制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたコンテンツデータを記憶し、またストリーミングデータなどを一時的に記憶するものである。なお、具体的には、HDD、RAM、ROM、フラッシュメモリなどで構成され、これらの1つで、または複数を組み合わせて構成することができる。
【0014】
また記憶部150は、楽曲や音声アナウンスなどの保有音として用いる保留音データを複数記憶し、上記アドレスデータには、電話番号に上記保留音データの識別情報を対応付けて記憶する。すなわち、上記アドレスデータにおいて、通信相手の名称毎に、ユーザが任意に設定した保留音データが対応付けられている。
【0015】
制御部100は、マイクロプロセッサを備え、記憶部150が記憶する制御プログラムや制御データにしたがって動作し、当該移動無線端末装置の各部を統括して制御し、音声通信やデータ通信を実現するものである。また制御部100は、記憶部150が記憶するアプリケーションソフトウェアにしたがって動作し、電子メールの送受信や、Webブラウジング、ダウンロードしたストリーミングデータに基づいて動画像を表示部130に表示したり、音声通信を行う通信制御機能を備える。
【0016】
また制御部100は、通話中に第三者から着信が合った場合に、通話を保留して第三者との通話に切り替える割込通話(コールウェイティング)サービスを利用する場合に、上記保留音データを交換機にアップロードする保留音アップロード機能を備える。
【0017】
図3に、交換機EX1〜EX3の構成を示す。交換機EX1〜EX3は、それぞれ図3に示すように構成される。すなわち、交換機EX1〜EX3は、制御部200と、基地局インタフェース210と、網側インタフェース220と、記憶部230とを備える。
【0018】
基地局インタフェース210は、無線基地局を収容し、通信するインタフェースである。
網側インタフェース220は、移動通信網NWを通じて、他の交換機と通信するインタフェースである。
【0019】
記憶部230は、制御部200の制御プログラムや制御データを記憶するとともに、移動無線端末装置からアップロードされた保留音データを記憶するユーザ保留音記憶エリア230aと、予め設定された保留音データを記憶する固定保留音記憶エリア230bとを備える。
【0020】
制御部200は、記憶部230が記憶する制御プログラムや制御データにしたがって動作し、当該交換機の各部を統括して制御するものであって、基地局インタフェースに収容される無線基地局を通じて接続される移動無線端末装置を、網側インタフェース220を通じて移動通信網NWに接続し、他の交換機と協調して動作することにより、上記移動無線端末装置と通信相手との間に通信リンクを確立する交換制御を行う。
【0021】
また制御部200は、割込通話サービスを実現するための制御機能を備えており、基地局インタフェース210が収容する無線基地局を通じて通信を行っている移動無線端末装置に、第三者から着信が合った場合に、上記移動無線端末装置に着信信号を通話音声に重畳して送出し、上記移動無線端末装置から通信相手を切り替える要求があると、現在の通信相手に保留音を送出し、上記移動無線端末装置と第三者との間に通信リンクを確立する。
【0022】
そしてまた制御部200は、上記移動無線端末装置から保留音データのアップロードを受け付けて、ユーザ保留音記憶エリア230aに記録し、上記保留音として送出するユーザ保留音再生機能を備える。なお、この機能では、保留音データのアップロードが行われない場合は、固定保留音記憶エリア230bに記憶される保留音データに基づく保留音を送出する。
【0023】
次に、上記構成の交換システムの動作について説明する。
まず、図4を参照して、移動無線端末装置が発呼を行った場合の動作について説明する。なお、以下の説明では、移動無線端末装置PS1が移動無線端末装置PS2に向けて発呼を行う場合を例に挙げて説明する。
【0024】
ステップ4aにおいて制御部100は、操作部140を通じたユーザからの要求に応じて、発呼先(移動無線端末装置PS2)の電話番号を表示部130に表示し、その後、操作部140を通じた発呼要求を検出すると、ステップ4bに移行する。
ステップ4bにおいて制御部100は、無線通信部110を制御して、無線基地局BS1に上記電話番号の情報を含む発呼信号を送信し、ステップ4cに移行する。この発呼信号は無線基地局BS1に受け入れられると、無線基地局BS1からは、通信リンクを通じて、呼び出し中を示すリングバックトーンが送出される。このリングバックトーンは、スピーカ121を通じて拡声出力される。
【0025】
ステップ4cにおいて制御部100は、移動無線端末装置PS2においてユーザが着信に応答したことを示す応答信号を受信し、ステップ4dに移行する。
ステップ4dにおいて制御部100は、所定のプロトコルにしたがって、交換機EX1と連係して、移動無線端末装置PS2との間に、通話を行うための通信リンクを確立し、ステップ4eに移行する。
【0026】
ステップ4eにおいて制御部100は、ステップ4dで確立した通信リンクを通じて、マイクロホン122から入力された送話音声を通話部120によって符号化して送出するとともに、移動無線端末装置PS2から受信した受信データを通話部120で復号してスピーカ121より拡声出力する。このような音声処理により、ユーザは、移動無線端末装置PS2のユーザと通話が開始される。以後、ユーザが操作部140を通じてオフフック操作を行ったり、移動無線端末装置PS2が終話要求を行うまで、通話が行われる。
【0027】
次に、図5を参照して、移動無線端末装置PS1が発呼を行った場合の交換機EX1の動作について説明する。
ステップ5aにおいて制御部200は、基地局インタフェース210を通じて、移動無線端末装置PS1から発呼信号が到来するか否かを監視し、発呼信号が到来すると、ステップ5bに移行する。
【0028】
ステップ5bにおいて制御部200は、発呼信号に含まれる移動無線端末装置PS2の電話番号を検出し、この電話番号と、図示しない位置登録データベースに基づいて、着信先である移動無線端末装置PS2が交換機EX2に収容される無線基地局BS2の無線ゾーン内に位置することを検出する。そして制御部200は、交換機EX2に呼出信号を送出し、ステップ5cに移行する。
【0029】
これにより交換機EX2では、その制御部200が、基地局インタフェース210および無線基地局BS2を通じて、呼出信号を移動無線端末装置PS2に送信する。やがて、移動無線端末装置PS2が応答信号を送出すると、無線基地局BS2および交換機EX2を介して、交換機EX1に到達する。
【0030】
ステップ5cにおいて制御部200は、網側インタフェース220が上記応答信号を受信すると、この旨を基地局インタフェース210および無線基地局BS1を通じて、移動無線端末装置PS1に通知し、ステップ5dに移行する。
【0031】
ステップ5dにおいて制御部200は、所定のプロトコルにしたがって、基地局インタフェース210および網側インタフェース220を制御し、交換機EX2と連係し、移動無線端末装置PS1と移動無線端末装置PS2との間に、通話を行うための通信リンクを確立し、当該処理を終了する。以後、移動無線端末装置PS1あるいは移動無線端末装置PS2から、終話要求が出されるまで、上記通信リンクを維持する。
【0032】
次に、図6を参照して、図4に示した処理によって移動無線端末装置PS2と通話中の移動無線端末装置PS1が、割込通話サービスを利用して通信相手を移動無線端末装置PS3に切り替える場合の動作について説明する。
ステップ6aにおいて制御部100は、通話中に無線基地局BS1を通じて、交換機EX1から着信発生の通知があるか否かを監視し、この通知があると、ステップ6bに移行する。
【0033】
ステップ6bにおいて制御部100は、通話部120を制御して、通話音声に重畳された報知音をスピーカ121より拡声出力して、第三者(移動無線端末装置PS3)からの着信の発生をユーザに報知する。そして制御部100は、この報知に気付いたユーザが、割込通話サービスを利用するために操作部140を操作して、通話切り替え要求を行うと、これを受け付けて、ステップ6cに移行する。
【0034】
ステップ6cにおいて制御部100は、記憶部150に記憶されるアドレスデータを参照し、現在通話中の移動無線端末装置PS2の電話番号に、保留音データの識別情報が対応付けられているか否かを判定する。ここで、移動無線端末装置PS2の電話番号に、保留音データの識別情報が対応付けられている場合には、ステップ6dに移行し、一方、保留音データの識別情報が対応付けられていない場合には、ステップ6eに移行する。
【0035】
ステップ6dにおいて制御部100は、移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けられた保留音データの識別情報に対応する保留音データを記憶部150から読み出し、無線通信部110を制御して、交換機EX1に向けて送信し、ステップ6eに移行する。
【0036】
なお、保留音データの送信は、移動無線端末装置PS1と無線基地局BS1との通信方式に準じる。すなわち、通信方式がTDMA-TDD方式の場合には、通話に用いているタイムスロットとは別の空いているタイムスロットが無線基地局BS1に割り当てられ、このタイムスロットを通じて、保留音データを送信する。またパケット交換接続の場合には、他の空いているパケットを無線基地局BS1に割り当てられ、このパケットを通じて保留音データを送信する。
【0037】
ステップ6eにおいて制御部100は、無線通信部110を制御して、交換機EX1に向けて、通話切り替えの要求を送信し、これにより、通信相手が移動無線端末装置PS2から移動無線端末装置PS3に切り替えられ、当該処理を終了する。以後、移動無線端末装置PS3との通話が行われる。その後、ユーザが操作部140を通じて、再び切り替え要求を行うと、その旨が無線通信部110によって交換機EX1に通知され、交換機EX1によって、移動無線端末装置PS2との通話に切り替えられる。
【0038】
次に、図7を参照して、図5に示した処理によって移動無線端末装置PS1が移動無線端末装置PS2と通話中に、移動無線端末装置PS3から移動無線端末装置PS1に着呼があった場合の割込通話サービスを提供する動作について説明する。
ステップ7aにおいて制御部200は、網側インタフェース220が移動通信網NWから受ける通知を監視して、通話中の移動無線端末装置PS1に、着信が発生したか否かを判定する。ここで、移動無線端末装置PS3から移動無線端末装置PS1に着信が発生すると、ステップ7bに移行する。
【0039】
ステップ7bにおいて制御部200は、基地局インタフェース210を制御して、着信信号を通話音声に重畳して送出し、これにより移動無線端末装置PS3からの着信が発生したことを通知し、ステップ7cに移行する。なお、この通知とともに、制御信号を通じて、移動無線端末装置PS3の電話番号を通知するようにしてもよい。この場合、制御信号を通じて受け付けた電話番号を、制御部100が表示部130に表示する。
【0040】
ステップ7cにおいて制御部200は、基地局インタフェース210を通じて、移動無線端末装置PS1から保留音データを受信したか否かを監視する。ここで、移動無線端末装置PS1から保留音データを受信した場合には、ステップ7dに移行し、一方、保留音データを受信しない場合には、ステップ7eに移行する。
【0041】
ステップ7dにおいて制御部200は、移動無線端末装置PS1から受信した保留音データをユーザ保留音記憶エリア230aに記録し、ステップ7eに移行する。なお、この保留音データは、移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けられて記録される。
ステップ7eにおいて制御部200は、基地局インタフェース210を通じて、移動無線端末装置PS1から通信相手を切り替える要求を受信したか否かを判定する。ここで、、移動無線端末装置PS1から通信相手を切り替える要求を受信した場合には、ステップ7fに移行し、一方、通信相手を切り替える要求を受信しない場合には、再び、ステップ7eに移行して、切り替え要求の発生を監視する。
【0042】
ステップ7fにおいて制御部200は、網側インタフェース220を制御して、交換機EX3を通じて、所定のプロトコルにしたがって、移動無線端末装置PS3との間に通信リンクを確立し、移動無線端末装置PS3と移動無線端末装置PS1とを接続し、ステップ7gに移行する。これにより、移動無線端末装置PS1と移動無線端末装置PS3との間で通話が可能となる。
【0043】
ステップ7gにおいて制御部200は、移動無線端末装置PS1が通信相手を切り替える前の通信相手である移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けて、保留音データがユーザ保留音記憶エリア230aに記録されているか否かを判定する。ここで、移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けて、保留音データが記録されている場合には、ステップ7hに移行し、一方、上記保留音データが記録されていない場合には、ステップ7iに移行する。
【0044】
ステップ7hにおいて制御部200は、ユーザ保留音記憶エリア230aに、移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けて記憶される保留音データを検出して、これを読み出し、ステップ7jに移行する。
ステップ7iにおいて制御部200は、固定保留音記憶エリア230bに記憶される保留音データを読み出し、ステップ7jに移行する。
【0045】
ステップ7jにおいて制御部200は、ステップ7hもしくはステップ7iで読み出した保留音データに基づく音声メッセージもしくは楽曲を、網側インタフェース220および交換機EX2を通じて、移動無線端末装置PS2に保留音として送出し、当該処理を終了する。その後、移動無線端末装置PS1において、ユーザが操作部140を通じて、再び切り替え要求を行った場合には、保留音の送出を停止し、移動無線端末装置PS1との通話に切り替える。
【0046】
次に、図8に示すシーケンス図を参照して、図4〜図7のフローチャートで説明した一連の動作を説明する。なお、図8では、交換機EX2およびEX3、各基地局については、省略しているが、移動無線端末装置PS2やPS3と交換機EX1が通信する場合には、交換機EX2およびEX3、各基地局がそれぞれ介在する。
【0047】
(シーケンスS801)
移動無線端末装置PS1では、ユーザが操作部140を操作して発呼操作を行うと(ステップ4a)、制御部100が無線通信部110を制御して、無線基地局BS1に移動無線端末装置PS2の電話番号の情報を含む発呼信号を送信して、発信を行う(ステップ4b)。
(シーケンスS802)
これに対して、交換機EX1では、基地局インタフェース210を通じて制御部200が移動無線端末装置PS1からの発呼信号を検出すると(ステップ5a)、網側インタフェース220を制御して、位置登録で得たベースに基づいて、交換機EX2を通じ、呼出信号を移動無線端末装置PS2に送出し、着信報知を行う(ステップ5b)。
【0048】
(シーケンスS803)
また交換機EX1では、制御部200が、基地局インタフェース210を通じて、移動無線端末装置PS1に対して、呼び出し中であることを示すリングバックトーンを送出する。
(シーケンスS804)
移動無線端末装置PS2では、着信をユーザに報知し、これにユーザが操作部140を操作して応答すると、制御部100が無線通信部110を制御して、応答信号を交換機EX1に送出する。
【0049】
(シーケンスS805)
交換機EX1では、網側インタフェース220を通じて上記応答信号を受信すると、制御部200が基地局インタフェース210を制御して、この旨を移動無線端末装置PS1に通知する(ステップ5c)。
【0050】
(シーケンスS806)
移動無線端末装置PS1では、応答の通知を交換機EX1から受けると(ステップ4c)、所定のプロトコルにしたがって、交換機EX1と連係して、移動無線端末装置PS2との間に、通話を行うための通信リンクを確立し(ステップ4dおよびステップ5d)、音声通話を開始する(ステップ4e)。
【0051】
(シーケンスS807)
やがて、移動無線端末装置PS3が移動無線端末装置PS1に向けて発信し、これを網側インタフェース220を通じて、交換機EX1の制御部200が検出する(ステップ7a)。
【0052】
(シーケンスS808)
そして交換機EX1では、基地局インタフェース210を制御部200が制御し、着信信号を通話音声に重畳して送出し、これにより移動無線端末装置PS3からの着信が発生したことを移動無線端末装置PS1に通知する(ステップ7b)。
【0053】
(シーケンスS809)
また交換機EX1では、制御部200が網側インタフェース220を制御して、移動無線端末装置PS3にリングバックトーンを送出して、呼び出し中であることを報知する。
(シーケンスS810)
移動無線端末装置PS1では、着信信号を交換機EX1から受信すると(ステップ6a)、通話音声に重畳された報知音をスピーカ121より拡声出力して、第三者(移動無線端末装置PS3)からの着信の発生をユーザに報知し、この報知に気付いたユーザから操作部140を通じて、割込通話サービスを利用する要求を受け付ける(ステップ6b)。
【0054】
(シーケンスS811)
そして、移動無線端末装置PS1では、制御部100が、記憶部150に記憶されるアドレスデータを参照し、現在通話中の移動無線端末装置PS2の電話番号に、保留音データの識別情報が対応付けられているか確認する(ステップ6c)。
【0055】
(シーケンスS812)
そして、移動無線端末装置PS1では、対応付けられていることを確認すると、制御部100が、移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けられた保留音データM1を記憶部150から読み出し、無線通信部110を制御して、交換機EX1に向けて送信する(ステップ6d)。
【0056】
(シーケンスS813)
一方、交換機EX1では、制御部200が、基地局インタフェース210を通じて、移動無線端末装置PS1から保留音データM1を受信したか否かを監視し(ステップ7c)、保留音データM1を受信すると、これを移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けてユーザ保留音記憶エリア230aに記録する(ステップ7d)。
【0057】
(シーケンスS814)
その後、移動無線端末装置PS1では、制御部100が、無線通信部110を制御して、交換機EX1に向けて、通話切り替えの要求を送信する(ステップ6e)。
(シーケンスS815)
これに対して、交換機EX1では、制御部200が、基地局インタフェース210を通じて、移動無線端末装置PS1から通信相手を切り替える要求を受信したか否かを判定し(ステップ7e)、上記要求を受信した場合には、網側インタフェース220を制御して、交換機EX3を通じて、所定のプロトコルにしたがって、移動無線端末装置PS3との間に通信リンクを確立し、移動無線端末装置PS3と移動無線端末装置PS1とを接続する(ステップ7f)これにより、移動無線端末装置PS1と移動無線端末装置PS3との間で通話が可能となる。
【0058】
(シーケンスS816)
続いて、交換機EX1では、移動無線端末装置PS1が通信相手を切り替える前の通信相手である移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けて、保留音データがユーザ保留音記憶エリア230aに記録されていることを確認する(ステップ7g)。
【0059】
(シーケンスS817)
そして、交換機EX1では、制御部200が、ユーザ保留音記憶エリア230aから、移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けて記憶される保留音データM1を読み出し、この保留音データM1に基づく音声メッセージもしくは楽曲を、網側インタフェース220および交換機EX2を通じて、移動無線端末装置PS2に保留音として送出する(ステップ7hおよび7j)。
【0060】
(シーケンスS818)
その後、移動無線端末装置PS1は、移動無線端末装置PS2に対する保留が継続していると、制御部100が、移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けられた、別の保留音データM2を記憶部150から読み出し、無線通信部110を制御して、交換機EX1に向けて送信する(ステップ6d)。
【0061】
(シーケンスS819)
これに対して、交換機EX1では、制御部200が、基地局インタフェース210を通じて、移動無線端末装置PS1から新たな保留音データM2を受信すると、これを移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けてユーザ保留音記憶エリア230aに記録する(ステップ7d)。
【0062】
(シーケンスS820)
その後、移動無線端末装置PS2のユーザが操作部140を操作して、保留音の切り替え要求を行うと、制御部100が無線通信部110を制御して、保留音の切り替え要求を送出する。
【0063】
(シーケンスS821)
これに対して、交換機EX1では、制御部200が、ユーザ保留音記憶エリア230aから、移動無線端末装置PS2の電話番号に対応付けて記憶される保留音データM2を読み出し、この保留音データM2に基づく音声メッセージもしくは楽曲を、網側インタフェース220および交換機EX2を通じて、移動無線端末装置PS2に保留音として送出する。以後、シーケンスS818〜S819をくり返して実行する。
【0064】
以上のように、上記構成の交換システムでは、移動無線端末装置が通信相手毎に設定した保留音データを予め記憶し、通話を開始すると通信相手に応じた上記保留音データを交換機にアップロードする。そして、その後、他の通信相手と割込通話を開始すると、交換機が保留している通信相手に対して、アップロードした保留音データに基づく楽曲などを送出するようにしている。
【0065】
したがって、上記構成の交換システムによれば、通信相手に応じて、移動無線端末装置のユーザが予め準備した保留音を送出することができ、また交換機は移動無線端末装置から保留音データを提供されるので、交換機に大がかりな記憶装置を備える必要が無い。
【0066】
また保留音データは、移動無線端末装置から次々にアップロードされるので、保留された移動無線端末装置のユーザは、保留音を複数選べることになり、待たされても退屈した気分を軽減できる。
【0067】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0068】
その一例として例えば、上記実施の形態では、第三者(移動無線端末装置PS3)からの着信が発生した後に、保留者(移動無線端末装置PS1)が保留音データをアップロードするようにしたが、上記着信が発生する前にアップロードするようにしてもよい。すなわち、例えば通話中に、第三者からの着信に備えて、保留者が保留音データをアップロードするようにしてもよい。これにより、保留状態になると、すぐにユーザが設定した保留音を送出することができる。
【0069】
また反対に、保留者(移動無線端末装置PS1)が第三者(移動無線端末装置PS3)と割込通話を開始した後に、保留音データをアップロードするようにしてもよい。この場合、保留音データのアップロードが完了するまでの間は、交換機(交換機EX1)は、固定保留音記憶エリア230bに記憶される保留音データに基づく保留音を被保留者(移動無線端末装置PS2)に送出し、交換機が保留データの取得を完了すると、提供中のコンテンツに代わって、取得した保留データに基づくコンテンツを提供する。
【0070】
また、上記実施の形態では、保留の際に、被保留側の移動無線端末装置PS2に提供するコンテンツとして、音声メッセージや楽曲などの保留音の音楽データを例に挙げたが、映像コンテンツであってもよい。すなわち、保留側の移動無線端末装置PS1が音声メッセージや楽曲などの保留音の音楽データをアップロードするようにしたが、これに代わって例えば音声も含む映像データをアップロードし、これを交換機EX1が被保留側の移動無線端末装置PS2に伝送し、移動無線端末装置PS2で映像を再生表示するようにしてもよい。
【0071】
そしてまた、上記実施の形態では、割込通話によって保留を行った場合の保留音データのアップロードについて説明したが、割込通話以外で保留を行う場合にも適用可能であることはいうまでもない。
また上記実施の形態では、携帯電話機などの移動無線端末装置を例に挙げて説明したが、有線回線を通じて接続する固定電話機やIP電話機に適用することも可能である。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】この発明に係わる交換システムの一実施形態の構成例を示す図。
【図2】図1に示した交換システムの移動無線端末装置の構成を示す回路ブロック図。
【図3】図1に示した交換システムの交換機の構成を示す回路ブロック図。
【図4】図2に示した移動無線端末装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】図2に示した交換機の動作を説明するためのフローチャート。
【図6】図2に示した移動無線端末装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】図2に示した交換機の動作を説明するためのフローチャート。
【図8】この発明に係わる交換システムの動作を説明するためのシーケンス図。
【符号の説明】
【0073】
100…制御部、110…無線通信部、120…通話部、121…スピーカ、122…マイクロホン、130…表示部、140…操作部、150…記憶部、200…制御部、210…基地局インタフェース、220…網側インタフェース、230a…ユーザ保留音記憶エリア、230b…固定保留音記憶エリア、230…記憶部、BS1〜BS2…無線基地局、EX1〜EX3…交換機、NW…移動通信網、PS1〜PS3…移動無線端末装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末と第2の端末を交換接続して通信リンクを確立している場合に、第3の端末から前記第1の端末に着呼があると、前記第1の端末からの要求に応じて、前記第2の端末を保留し、前記第1の端末と前記第3の端末を交換接続して通信リンクを確立する割込通話機能を有する交換システムにおいて、
前記第1の端末から前記第2の端末に応じた保留データを取得する保留データ取得手段と、
前記第1の端末と前記第3の端末を交換接続して通信リンクを確立した場合に、前記第2の端末に対して、前記保留データ取得手段が取得した保留データに基づくコンテンツを提供する保留コンテンツ提供手段とを具備することを特徴とする交換システム。
【請求項2】
前記保留データ取得手段は、前記第3の端末から前記第1の端末に着呼があった場合に、前記第1の端末から前記第2の端末に応じた保留データを取得することを特徴とする請求項1に記載の交換システム。
【請求項3】
前記保留データ取得手段は、前記第1の端末と前記第3の端末との間で通信が開始された場合に、前記第1の端末から前記第2の端末に応じた保留データを取得することを特徴とする請求項1に記載の交換システム。
【請求項4】
前記保留コンテンツ提供手段は、前記第1の端末と前記第3の端末との間で通信が開始された場合に、予め設定したコンテンツを前記第2の端末に提供し、
前記保留データ取得手段は、前記保留コンテンツ提供手段が前記第2の端末にコンテンツの提供を開始した場合に、前記第1の端末から前記第2の端末に応じた保留データを取得し、
前記保留コンテンツ提供手段は、前記保留データ取得手段が保留データを取得した場合に、提供中のコンテンツに代わって、前記保留データに基づくコンテンツを提供することを特徴とする請求項1に記載の交換システム。
【請求項5】
前記保留データ取得手段は、複数の保留データを取得し、
前記保留コンテンツ提供手段は、前記保留データ取得手段が複数の保留データのうち、前記第2の端末からの要求に応じた保留データに基づくコンテンツを提供することを特徴とする請求項1に記載の交換システム。
【請求項6】
第1の端末と第2の端末を交換接続して通信リンクを確立している場合に、第3の端末から前記第1の端末に着呼があると、前記第1の端末からの要求に応じて、前記第2の端末を保留し、前記第1の端末と前記第3の端末を交換接続して通信リンクを確立する割込通話機能を有する交換システムにおける保留コンテンツ提供方法であって、
前記第1の端末から前記第2の端末に応じた保留データを取得する保留データ取得工程と、
前記第1の端末と前記第3の端末を交換接続して通信リンクを確立した場合に、前記第2の端末に対して、前記保留データ取得工程が取得した保留データに基づくコンテンツを提供する保留コンテンツ提供工程とを具備することを特徴とする保留コンテンツ提供方法。
【請求項7】
前記保留データ取得工程は、前記第3の端末から前記第1の端末に着呼があった場合に、前記第1の端末から前記第2の端末に応じた保留データを取得することを特徴とする請求項6に記載の保留コンテンツ提供方法。
【請求項8】
前記保留データ取得工程は、前記第1の端末と前記第3の端末との間で通信が開始された場合に、前記第1の端末から前記第2の端末に応じた保留データを取得することを特徴とする請求項6に記載の保留コンテンツ提供方法。
【請求項9】
前記保留コンテンツ提供工程は、前記第1の端末と前記第3の端末との間で通信が開始された場合に、予め設定したコンテンツを前記第2の端末に提供する第1工程を備え、
前記保留データ取得工程は、前記第1工程で前記第2の端末にコンテンツの提供を開始した場合に、前記第1の端末から前記第2の端末に応じた保留データを取得し、
前記保留コンテンツ提供工程は、前記保留データ取得工程が保留データを取得した場合に、提供中のコンテンツに代わって、前記保留データに基づくコンテンツを提供する第2工程を備えることを特徴とする請求項6に記載の保留コンテンツ提供方法。
【請求項10】
前記保留データ取得工程は、複数の保留データを取得し、
前記保留コンテンツ提供工程は、前記保留データ取得工程が複数の保留データのうち、前記第2の端末からの要求に応じた保留データに基づくコンテンツを提供することを特徴とする請求項6に記載の保留コンテンツ提供方法。
【請求項11】
保留データに基づくコンテンツを被保留端末に提供する交換機を備えた交換システムを通じて通信する端末装置であって、
通信相手の識別情報に対応付けた保留データを記憶する記憶手段と、
第1の端末と通信中に第2の端末から着信があると、ユーザからの要求に応じて、前記交換機に、前記第1の端末を保留し第2の端末との通信に切り替える要求を行う切替要求手段と、
前記第1の端末に提供するコンテンツとして、前記第1の端末に対応付けた保留データを前記記憶手段から読み出して、前記交換機に伝送する伝送手段とを具備することを特徴とする端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−74780(P2010−74780A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243142(P2008−243142)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】