説明

交換可能なヘッド部分を有する超音波探触子

【課題】部分的に交換可能でありかつ広範な多様な用途に適した超音波探触子を提供する。
【解決手段】超音波探触子(10)は、ヘッド部分(12)内に取り外し可能に配置されたトランスジューサ素子からなるアレイ(49)を備えたトランスジューサ(17)を含む。少なくとも1段または複数段の電子回路ユニット(19、21)がこのトランスジューサ(17)に取り外し可能に結合されると共に、トランスジューサ(17)を励起するように構成されている。ヘッド部分(12)に対してハンドル部分(14)が脱着可能に結合されている。ヘッド部分(12)とハンドル部分(14)は少なくとも1段または複数段の電子回路ユニット(19、21)を囲繞して配置されている。超音波探触子(10)は1次元用途、2次元用途及びボリュメトリック用途のために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的には超音波探触子に関し、またさらに詳細には交換可能なヘッド部分を有する超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な非侵襲的診断撮像様式によって、身体内部の臓器や血管の断面像を作成することが可能である。こうした非侵襲的撮像によく適した撮像様式の1つは超音波である。超音波診断撮像システムは、心臓、成長中の胎児、腹部の内臓やその他の解剖学構造に関する検査のために心臓専門医、産科医、放射線医その他によって広範に利用されている。これらのシステムの動作は、身体中に超音波エネルギーの波を送信し、当該超音波が入射した組織界面から反射される超音波エコーを受信し、かつこの受信したエコーを身体のうちその超音波がその内部に導かれた部分に関する構造描出に変換することによっている。
【0003】
従来の超音波撮像では、内部組織や血液などの関心対象が平面状の超音波ビームまたはスライスを用いて走査される。従来では、送信及び受信された超音波を上下方向に幅狭に集束させると共に該送信及び受信超音波を方位(azimuth)方向である角度範囲にわたってステアリングすることによって線形アレイ状のトランスジューサを使用して薄層スライスを走査している。この方式では、1次元アレイとも呼ばれるトランスジューサ素子からなる線形アレイを有するトランスジューサは、トランスジューサの面と垂直な面を通る断面を表す2次元画像を提供するように動作することが可能である。
【0004】
線形アレイはまた、1次元アレイを上下方向に直線的に並進させるか、あるいは上下方向に延びたある角度範囲にわたってアレイを掃引することによって、「ボリュメトリック」画像とも呼ばれる3次元画像を作成するために使用することが可能である。従来方式ではさらに、2次元アレイのトランスジューサを用いて送信及び受信超音波を2つの軸の周りでステアリングすることによってボリュメトリック超音波画像を取得することも可能である。
【0005】
従来の超音波探触子アセンブリは、システムコネクタ、ケーブル配線及びトランスジューサを含む。これらの従来の超音波探触子は、特定の用途で使用するように設計され製造されている。換言すると例えば、身体の異なる部分を走査するためには異なる超音波探触子が必要である。異なる用途ごとに異なる探触子とするという要件によって各探触子内で重複させることを要するケーブル配線や電子回路の量が増大し、これが製造者やエンドユーザに対するコストの増大に繋がっている。さらに、複数の嵩張る探触子アセンブリを持ち運ぶ必要があるため、ラップトップベースの超音波システムなど小型のシステムに関する可搬性が低下する。さらにダウンタイムも増大する。ある探触子が故障した場合、その探触子全体を交換することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7441321号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
部分的に交換可能でありかつ広範な多様な用途に適した超音波探触子に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な一実施形態による超音波探触子は、ヘッド部分内に取り外し可能に配置させたトランスジューサ素子からなるアレイを備えたトランスジューサを含む。このトランスジューサには少なくとも1段または複数段の電子回路ユニットが結合されており、これがトランスジューサを励起するように構成されている。ヘッド部分にはハンドル部分を脱着可能に結合させている。ヘッド部分及びハンドル部分は、少なくとも1段または複数段の電子回路ユニットを囲繞して配置されている。本超音波探触子は、1次元用途、2次元用途及びボリュメトリック用途のために使用される。
【0009】
本発明の別の例示的な実施形態では、超音波探触子向けのトランスジューサスタックアセンブリは、少なくとも1つの音響整合層と脱整合層の間に配置させた圧電トランスジューサ層を含む。この脱整合層は介在層上に配置されている。この介在層は脱整合層と集積回路の間に配置されている。
【0010】
本発明の別の例示的な実施形態では、超音波探触子向けのトランスジューサスタックアセンブリは、少なくとも1つの音響整合層と脱整合層の間に配置させた圧電トランスジューサ層を含む。この脱整合層は、導電性バンプが設けられたサブストレート上に配置されている。
【0011】
別の例示的な実施形態では、超音波探触子向けのトランスジューサスタックアセンブリを製造する方法を開示する。
【0012】
本発明に関するこれらの特徴、態様及び利点、並びにその他の特徴、態様及び利点については、同じ参照符号が図面全体を通じて同じ部分を表している添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の例示的な一実施形態による探触子アセンブリを有する超音波システムを表した概要図である。
【図2】本発明の例示的な一実施形態による交換可能なヘッド部分を有する超音波探触子を表した概要図である。
【図3】本発明の例示的な一実施形態による交換可能なヘッド部分を有する超音波探触子を表した概要図である。
【図4】機械的ジョイント及び誘電体バリアを有する超音波探触子を表した概要図である。
【図5】本発明の例示的な一実施形態による交換可能なヘッド部分を有する超音波探触子を表した概要図である。
【図6】本発明の例示的な一実施形態によるハンドル部分内にプラグ接続された交換可能なヘッド部分を有する超音波探触子を表した概要図である。
【図7】本発明の例示的な一実施形態による超音波探触子のトランスジューサアレイを表した概要図である。
【図8】本発明の例示的な一実施形態による超音波探触子のトランスジューサアレイを表した概要図である。
【図9】本発明の例示的な一実施形態による交換可能なヘッド部分を有する超音波探触子を表した概要図である。
【図10】本発明の例示的な一実施形態による交換可能なヘッド部分を有する超音波探触子を表した概要図である。
【図11】本発明の例示的な一実施形態による交換可能なヘッド部分を有する超音波探触子を表した概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のある種の例示的な実施形態による超音波探触子アセンブリは、システムコネクタと、ケーブル配線と、トランスジューサ素子からなるアレイをヘッド部分内に配置させて含んだトランスジューサを有する探触子と、を含む。このトランスジューサには少なくとも1段または複数段の電子回路ユニットが結合されており、これがトランスジューサを励起するように構成されている。ヘッド部分にはハンドル部分が脱着可能に結合されている。ヘッド部分及びハンドル部分は、少なくとも1段または複数段の電子回路ユニットを囲繞して配置されている。本発明のある種の別の実施形態では、トランスジューサスタックアセンブリ、または超音波探触子向けにこれを製造する方法を開示している。トランスジューサ素子からなる2次元アレイとボリュメトリック走査のためのビーム形成電子回路とを有する超音波探触子は、該トランスジューサアレイ及び電子回路が探触子の残りの部分から分離可能となるような方式で設計されている。この探触子は、様々な走査用途向けに設計された別のトランスジューサアレイを受け容れる。これによって各探触子アセンブリごとに重複させる必要があるようなケーブル配線及び電子回路の量が最小化され、これにより単位コストあたりの動作性能が向上することになる。この超音波探触子は、1次元用途、2次元用途及びボリュメトリック用途のために使用することができる。
【0015】
図1を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による超音波システム11を開示している。超音波システム11は、探触子アセンブリ13及び中央処理ユニット(CPU)15を含む。この探触子アセンブリは、ケーブル配線27を介してシステムコネクタ25に結合されたトランスジューサ探触子10を含む。システムコネクタ25は、中央処理ユニット15に結合させるように適合されている。探触子10は音波を送信及び受信するように構成されている。探触子10については、後続の実施形態においてより詳細に説明することにする。
【0016】
CPU15は基本的には、マイクロプロセッサ、メモリ、増幅器、並びにマイクロプロセッサ及び探触子10用の電源を含んだ1つのコンピュータである。CPU15はトランスジューサ探触子10に電流を送って音波を送出させると共に、戻されるエコーから生成された電気的パルスを探触子10から受け取っている。CPU15はこのデータの処理に関連する計算を実行する。生データを処理し終わると、CPU15はモニタ29上にその画像を形成する。CPU15はさらに、処理済みのデータ及び/または画像をディスク上に保存することが可能である。
【0017】
図2を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による超音波探触子10を開示している。探触子10は、ヘッド部分12と該ヘッド部分12に脱着可能に結合されたハンドル部分14とを含む。図示した実施形態では、ヘッド部分12がハンドル部分14から取り外されているところを表している。超音波診断撮像システムは、走査面の生成による身体の内部構造の観察に使用される探触子を用いることによって人体に対する超音波撮像及び計測を実行するために広範に利用されている。超音波探触子は一般に、身体の外部における非侵襲的な処置で使用されているが、身体の内部において外科的処置中の検査で使用することも可能である。例えば心臓の超音波撮像のために、例えば経食道探触子(TEE探触子)が内視鏡的に使用されている。従来の超音波探触子は、対象の心臓の2次元断面像を取得するために1次元トランスジューサアレイを利用する。3次元ボリュメトリック画像を取得するためには2次元トランスジューサアレイを使用することが可能である。超音波トランスジューサはまた様々な別の用途にも使用可能である。超音波試験装置は、フローの計測、欠陥の判定、厚さの計測、腐食の測定のためなど多種多様な用途で使用される。
【0018】
図示した実施形態ではそのハンドル部分14はヘッド部分12に機械的ジョイント16を介して脱着可能に結合されている。機械的ジョイント16は、ヘッド部分12に対して提供されると共に、ハンドル部分14内に設けられた1つまたは複数の窪み20に脱着可能に結合されるように構成された1つまたは複数のフック18を含むことがある。フック18及び窪み20を開示しているが、適当な別の機械的ジョイントも開示される。上で検討したように、身体の異なる部位を走査するためには異なる超音波探触子が必要となる。探触子10のヘッド部分12の設計は、対象のサイズ及び利用可能な音響ウィンドウに依存する。従来では、異なる用途ごとに異なる探触子とする要件のために、コネクタ、ケーブル配線及び電子回路を各探触子アセンブリごとに重複させる必要があった。探触子の様々な構成要素に重複があると、複数の撮像探触子アセンブリを有するという要件に由来して異なる用途の撮像を可能にすることに関連するコストが増大する。さらに、トランスジューサが故障したときに、その探触子全体を交換することが必要となる。異なる用途ごとに異なるトランスジューサが必要となることがあるが、探触子のケーブル配線やシステムコネクタは様々なトランスジューサヘッドで同様で共有することができる。本発明の例示的な一実施形態では、ヘッド部分12がハンドル部分14から取り外し可能であるため、超音波探触子10内部のヘッド部分12及び所望の構成要素は交換可能である。これによって、異なる走査用途ごとに必要となる探触子アセンブリ全体の重複が回避される。さらに探触子が故障したときに、交換を要するのは探触子のうちの必要な構成要素だけであり、探触子全体を交換する必要はない。さらに交換可能なトランスジューサヘッドによれば、より小型の可搬式システムが得られる。
【0019】
図3を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による超音波探触子10を開示している。上で検討したように、探触子10はヘッド部分12と該ヘッド部分12に脱着可能に結合されたハンドル部分14とを含む。ハンドル部分14はヘッド部分12に機械的ジョイント16を介して脱着可能に結合されている。図示した実施形態では、トランスジューサ素子からなる2次元アレイ(図示せず)を含んだトランスジューサ17がヘッド部分12内に配置されている。超音波トランスジューサは、必要となる特性が異なる多種多様な用途向けに使用される。超音波トランスジューサ17は、電気エネルギーを力学的エネルギーに、並びにこの逆方向に変換している。超音波トランスジューサ17は、パルス発生/受信システムに電気的に結合させた1つまたは複数の圧電バイブレータを組み込むことによって製作される。超音波トランスジューサ17は、複数の電極に接続された圧電素子からなるのが典型的であるような超音波送信/受信素子を含む。超音波トランスジューサ17は超音波を組織内に送信し、組織から反射された超音波エコーを受信する。トランスジューサ17は、身体表面上に配置させることや、選択した撮像領域内にある患者の身体内に挿入されることがある。ヘッド部分12内に配置させたトランスジューサ17に対しては、第1段電子回路ユニット19を結合させている。この第1段電子回路ユニット19に対してはジョイント23を介して第2段電子回路ユニット21を取り外し可能に結合させている。このジョイントは、電気的ジョイント、機械的ジョイント、あるいはこれらの組み合わせを含むことがある。モジュール式電子回路ユニットはトランスジューサ17を励起するように構成されている。ヘッド部分12及びハンドル部分14は電子回路ユニット19、21を囲繞して配置されている。ここで、ビーム形成器の設計に応じてハンドル部分14内に第2段電子回路ユニットを必要としないように第1段電子回路ユニット19において電子ビーム形成の大部分の実行を可能とさせ得ることに留意すべきである。ここで、電子回路ユニットの段数はその用途に応じて様々となり得ることに留意すべきである。
【0020】
この例示的な実施形態では、その要件/用途に応じて同じハンドル部分上に異なるセンサを装着することが可能である。換言すると、探触子10内部のヘッド部分12その他の構成要素はその要件に応じて交換可能である。これらの異なるセンサは、異なる中心周波数で動作することがあり、また異なるトランスジューサピッチを有することがある。身体の異なる部位を走査するように様々なセンサを最適化させることがあり、例えば小児心臓科と成人心臓科とでアレイのアーキテクチャは同様であるが、胸部や心臓のサイズが異なるためにそれぞれの患者に関して高周波数(例えば、5メガヘルツを超える)の探触子と低周波数(4メガヘルツ未満)の探触子が用いられる。さらに、ヘッド部分の周波数及びアレイサイズが若干異なったとしても、異なる用途(例えば、産科用途と末梢血管用途)に関して使用するハンドル部分を単一のものとすることが可能である。これによって探触子の重要な部分は不変のままとすることが可能である。さらに、オペレータの不注意や偶発的な事態によって探触子の一部が使用中に高頻度で故障を起こすような場合でも、交換を要するのは探触子の故障した部分だけであり、これにより被る修復コストが削減される。したがって、単一のシステムコネクタ及びケーブルを交換可能なヘッドと共に使用すると、顧客はより広範な多様な超音波走査をより少ない総経費で実施することが可能である。
【0021】
図4を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による誘電体バリア24を開示している。上で検討したように、ハンドル部分14はヘッド部分に対して機械的ジョイントを介して脱着可能に結合されている。この機械的ジョイントは、ヘッド部分12に対して提供されると共に、ハンドル部分14内に設けられた1つまたは複数の窪み20に脱着可能に結合されるように構成された1つまたは複数のフックを含むことがある。誘電体バリア24は機械的ジョイントに接触するように配置される。図示した実施形態では、誘電体バリア24はOリング封止である。さらに、ハンドル部分14の電気接点素子26からなるアレイも図示している。例えば撮像操作など探触子に対する通常操作中において、ハンドル部分14とヘッド部分は互いに機械的に連結させている。Oリング封止を機械的ジョイントの内部に存在させ、外部と探触子内部の電気的接続の間に誘電体バリアを実現することが好ましい。このことは、探触子内部の電気安全要件を満足させるために必要である。Oリング封止を開示しているが、適当な別の誘電体バリアも想定される。代替的な実施形態では、ヘッド部分を交換する過程を簡略化できるように、機械的ジョイントの適当な部分を押す同時にヘッド部分とハンドル部分14を緩やかに分離するようにするための特殊なツールがあることが望ましい。
【0022】
図5を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による超音波探触子10を開示している。図示した実施形態では、ヘッド部分12が該ヘッド部分12に脱着可能に結合されたハンドル部分14から取り外されているところを表している。上で検討したように、ヘッド部分12及び電子回路ユニットは交換可能である。図示した実施形態では、ヘッド部分12は機械的ジョイント16を離脱させることによってハンドル部分14から取り外される。換言すると、ヘッド部分12のフック18がハンドル部分14の窪み20から離脱されると共に、ヘッド部分12は回転運動によってハンドル部分14から外される。ヘッド部分12をハンドル部分14内にプラグ接続する必要がある場合、ヘッド部分12のガイド部分28がハンドル部分14のガイド経路30内に挿入されると共に、フック18が窪み20と噛み合うようになるまでヘッド部分12をハンドル部分14の方向に移動させる。回転運動が、ヘッド部分12の複数の電気接点31をハンドル部分14の複数の対応する電気接点32と噛み合わせている。ここで、図示した探触子の構成は例示的な実施形態の1つであり、如何なる意味でも限定と解釈すべきではないことに留意すべきである。
【0023】
図6を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による超音波探触子10を開示している。図示した実施形態では、ヘッド部分12がハンドル部分14に脱着可能に結合されているところを表している。ハンドル部分14とヘッド部分12がプラグ接続された位置にあるとき、ヘッド部分12のフックはハンドル部分14の窪みに噛み合わされている。誘電体バリアは機械的ジョイント16に接触するように配置される。
【0024】
図7を参照すると、本発明の例示的な一実施形態によるトランスジューサアレイ34を開示している。図示したアレイ34は、2つの音響整合層36、38、圧電トランスジューサ層40及び脱整合層42を含む。音響整合層36は音響整合層38上に配置されている。超音波テクノロジーでは、異なるインピーダンスを有する2つの材料間の境界面位置における検査対象の外部への反射を低減させるため、あるいはトランスジューサから検査対象内への超音波エネルギー(超音波)の送出及び帰還の損失をできる限り少なくするために、音響整合層36、38が利用される。ある種の実施形態では、この音響整合層36、38は上下方向に走る切れ目によって方形切断(diced)される。圧電トランスジューサ層40は脱整合層42と音響整合層38の間に配置させている。脱整合層42と複数のバンプ48を有する集積回路46の間には介在層44を配置させており、この複数のバンプ48はさらにこれら2層間に空間を提供している。バンプ48は、金、銅、はんだ、銀エポキシ、あるいはこれらの組み合わせを含んだ導電性バンプを含むことがある。脱整合層42は、圧電トランスジューサ層40から複数のバンプ48を有する集積回路46内への音響エネルギーの結合を抑制するように構成された音響インピーダンスの高い導体材料を含む。換言すると、脱整合層42は介在層44及び集積回路46を音響エネルギーの大部分から隔絶させている。
【0025】
図8を参照すると、本発明の例示的な一実施形態によるトランスジューサアレイ48を開示している。図示したアレイ48は、2つの音響整合層50、52、圧電トランスジューサ層54及び脱整合層56を含む。音響整合層50は音響整合層52上に配置されている。圧電トランスジューサ層54は脱整合層56と音響整合層52の間に配置させている。脱整合層56は、金、銅、はんだ、銀エポキシ、あるいはこれらの組み合わせを含んだ複数の導電性バンプ60を有するウェハ(サブストレート)58上に配置されており、この複数の導電性バンプ60はまたこれらの2層間に空間を提供している。脱整合層56はサブストレート58を音響エネルギーから隔絶するように構成されている。
【0026】
図9を参照すると、本発明の例示的な一実施形態による超音波探触子62を開示している。図示した実施形態では、探触子62はヘッド部分64と該ヘッド部分64に脱着可能に結合されたハンドル部分66とを含む。ハンドル部分66はヘッド部分64に対して機械的ジョイントを介して脱着可能に結合されている。図示した実施形態では、トランスジューサ素子からなる1次元または2次元アレイを含んだトランスジューサ68がヘッド部分64内に配置されている。ここで、ヘッド部分64及びトランスジューサ68は比較的小さいフットプリントを有することに留意すべきである。ここで「フットプリント」という語はヘッド部分の患者接触面を意味していることに留意すべきである。
【0027】
図10を参照すると、本発明の別の例示的な実施形態による超音波探触子62を開示している。図示した実施形態では、探触子62はヘッド部分70と該ヘッド部分70に脱着可能に結合されたハンドル部分66を含む。ハンドル部分66は、ヘッド部分70に対して機械的ジョイントを介して脱着可能に結合されている。図示した実施形態では、トランスジューサ素子からなる1次元または2次元アレイを含んだトランスジューサ72がヘッド部分70内に配置されている。ここで、ヘッド部分70及びトランスジューサ72は比較的大きなフットプリントを有することに留意すべきである。
【0028】
図11を参照すると、本発明の別の例示的な実施形態による超音波探触子62を開示している。図11の実施形態は図10を参照しながら検討した実施形態と同様である。ヘッド部分70とハンドル部分66の間に、さらに電子回路モジュール74を配置させている。
【0029】
図9、10及び11を参照すると、共通の探触子62のハンドル部分66に対して異なるトランスジューサヘッドをリバーシブルに取り付けられるような取り外し可能なトランスジューサヘッド部分を有する探触子を図示している。トランスジューサヘッド部分64、70は要求される具体的な撮像用途に応じて異なる寸法、形状及びサイズを有することがある。例えば、小さい音響ウィンドウが必要である用途ではフットプリントがより小さいトランスジューサヘッド部分64が用いられ、またより大きな音響ウィンドウを可能とさせる用途ではフットプリントがより大きいトランスジューサヘッド部分70が用いられる。ハンドル部分66とトランスジューサヘッド部分70の間には追加の電子回路モジュール74を配置させることがある。これらの電子回路モジュール74は、切り替え(多重化)、増幅、インピーダンス整合、ビーム形成(ただし、これらに限らない)を含む機能を有することがある。トランスジューサヘッド部分64、70内には、超音波システムによるトランスジューサヘッド識別を可能にさせる電子構成要素(図示せず)も含めることがある。
【0030】
本発明のある種の特徴についてのみ本明細書において図示し説明してきたが、当業者によって多くの修正や変更がなされるであろう。したがって添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神の範囲に属するこうした修正や変更のすべてを包含させるように意図したものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0031】
10 超音波探触子
11 超音波システム
12 ヘッド部分
13 探触子アセンブリ
14 ハンドル部分
15 中央処理ユニット
16 機械的ジョイント
17 トランスジューサ
18 フック
19 第1段電子回路ユニット
20 窪み
21 第2段電子回路ユニット
22 電気的ジョイント
23 ジョイント
24 誘電体バリア
25 システムコネクタ
26 電気接点素子
27 ケーブル配線
28 ガイド部分
30 ガイド経路
31 電気接点
32 電気接点
34 トランスジューサアレイ
36 音響整合層
38 音響整合層
40 圧電トランスジューサ層
42 脱整合層
44 介在層
46 集積回路
48 バンプ
49 トランスジューサアレイ
50 音響整合層
52 音響整合層
54 圧電トランスジューサ層
56 脱整合層
58 ウェハ
60 導電性バンプ
62 超音波探触子
64 ヘッド部分
66 ハンドル部分
68 トランスジューサ
70 ヘッド部分
72 トランスジューサ
74 電子回路モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部分(12)と、
前記ヘッド部分(12)内に配置させたトランスジューサ素子のアレイ(34)を備えたトランスジューサ(17)と、
前記トランスジューサ(17)に結合されると共に該トランスジューサ(17)を励起するように構成された少なくとも1段または複数段の電子回路ユニット(19、21)と、
前記ヘッド部分(12)に脱着可能に結合されたハンドル部分(14)であって、該ヘッド部分(12)と該ハンドル部分(14)は前記少なくとも1段または複数段の電子回路ユニット(19、21)を囲繞して配置されているハンドル部分(14)と、を備える超音波探触子(10)であって、
1次元用途、2次元用途及びボリュメトリック用途について利用可能である超音波探触子(10)。
【請求項2】
前記電子回路ユニット(19、21)はモジュール式電子回路ユニットを含む、請求項1に記載の超音波探触子(10)。
【請求項3】
前記モジュール式電子回路ユニットは、前記ヘッド部分(12)内に配置されたトランスジューサ(17)に結合された第1段電子回路ユニット(19)を含む、請求項2に記載の超音波探触子(10)。
【請求項4】
前記ヘッド部分(12)は交換可能である、請求項1に記載の超音波探触子(10)。
【請求項5】
超音波探触子(10)向けのトランスジューサスタックアセンブリであって、
少なくとも1つの音響整合層(36、38)と、
脱整合層(42)と、
前記少なくとも1つの音響整合層(36、38)と脱整合層(42)の間に配置させた圧電トランスジューサ層(54)と、
前記脱整合層(42)をその上に配置させている介在層(44)と、
複数の導電性バンプ(48)を備えた集積回路(46)であって、前記脱整合層(42)と該集積回路(46)の間に介在層(44)が配置されている集積回路(46)と、
を備えるトランスジューサスタックアセンブリ。
【請求項6】
前記脱整合層(42)は前記介在層(44)及び集積回路(46)を音響エネルギーから隔絶するように構成されている、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
超音波探触子(10)向けのトランスジューサスタックアセンブリであって、
少なくとも1つの音響整合層(50、52)と、
脱整合層(56)と、
前記少なくとも1つの音響整合層(50、52)と脱整合層(56)の間に配置させた圧電トランスジューサ層(54)と、
前記脱整合層(56)をその上に配置させている、導電性バンプ(60)が設けられたサブストレート(58)と、
を備えるトランスジューサスタックアセンブリ。
【請求項8】
超音波探触子(10)のハンドル部分(14)からヘッド部分(12)を取り外す工程と、
前記取り外したヘッド部分(12)を別のヘッド部分と交換する工程と、
前記ハンドル部分(14)に対して前記交換したヘッド部分を取り外し可能に結合させる工程と、
を含む方法。
【請求項9】
超音波探触子(10)向けのトランスジューサスタックアセンブリを製造する方法であって、
少なくとも1つの音響整合層(36、38)を設ける工程と、
脱整合層(42)を設ける工程と、
前記少なくとも1つの音響整合層(36、38)と脱整合層(42)の間に圧電トランスジューサ層(40)を配置する工程と、
前記脱整合層(42)と複数の導電性バンプ(48)を備えた集積回路(46)との間に介在層(44)を配置する工程と、
を含む方法。
【請求項10】
超音波探触子(10)向けのトランスジューサスタックアセンブリを製造する方法であって、
少なくとも1つの音響整合層(50、52)を設ける工程と、
前記少なくとも1つの音響整合層(50、52)と脱整合層(56)の間に配置させて圧電トランスジューサ層(54)を配置する工程と、
導電性バンプ(60)が設けられたサブストレート(58)上に脱整合層(56)を配置する工程と、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−227562(P2010−227562A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60065(P2010−60065)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】