説明

交流発電機の位相検出装置及びその方法

【課題】従来より、蓄電池スタンバイによるリーク電流が増加し、特に高温の環境下において整流素子のリーク電流が大幅に向上することによって、車両における電池(又は蓄電池)のスタンバイ時間が低下し、さらに車両がスムーズに起動できない問題がある。本発明は、車両における蓄電池のリーク電流を低く制御することができる交流発電機の位相検出装置及びその方法を提供する。
【解決手段】本発明は、波形検出器、閾値電圧生成器及びコンパレータを含む交流発電機の位相検出装置を提供する。波形検出器は、位相信号のピークを検出することにより波形検出信号を生成する。閾値電圧生成器は、波形検出信号に基づいて参照信号を生成する。コンパレータは、位相信号及び参照信号を比較することにより比較信号を出力する。従って、本発明に係る交流発電機の位相検出装置により、車両における蓄電池のリーク電流を低く制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用発電機に関し、特に交流発電機の位相検出装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両は、現在、よく使われる交通道具の一つとなっており、通常、内部に発電機及び電池(又は蓄電池)が配置されている。発電機は、車両内における電子装置の電力を供給し、電池(又は蓄電池)は、車両の起動に必要な電力及び/又は予備電力を蓄積する。例えば、石化燃料を使用したエンジンの動的エネルギーをベルトを介して発電機の交流信号に変換し、さらにこの交流信号を整流回路を介して電池(又は蓄電池)に蓄積する。
【0003】
発電機は、通常、三相の交流発電機であり、位相のそれぞれに対応して、発電機の運転による交流信号の位相及び周波数を検出するための位相検出装置をそれぞれ備えている。発電機が低回転速度又はアイドルである場合、発電機のアマチュア(armature)が出力した位相信号は、小振幅波(以下、振幅の小さい波形という)が一定でない電圧値の直流信号に載るものである。言い換えれば、発電機のアマチュアが出力した位相信号は直流信号と交流信号との合計(重畳信号)であり、この直流信号の電圧値は異なる整流素子のリーク電流に応じて異なる。この直流信号の電圧値が一定の値ではないため、交流信号を取り出し、発電機からの交流信号の周波数及び位相を判定する必要がある。
【0004】
従来は、位相信号が接地抵抗を介することにより、直流信号の電圧をゼロボルト(0V)に近づくように下降させ、さらに、交流信号をコンパレータ(comparator)(比較器とも称する。以下、コンパレータという)により取り出す。
【0005】
図1Aを参照して、図1Aは、発電機に使用される従来の位相検出装置の回路図を示す。従来の位相検出装置1は、整流ユニット10、抵抗13、コンパレータ15及び低域通過フィルター(LOW−Pass
Filter、LPF)14を含む。位相信号端phase_endは、発電機におけるそのうちの一つのアマチュアからの位相信号を受信する。位相信号端phase_endは、整流ユニット10に電気的に接続されるとともに、抵抗13を介してグラウンド端GNDに電気的に接続される。コンパレータ15は、非反転入力端(+)が位相信号端phase_endに電気的に接続され、反転入力端(−)が参照電圧Vrefを受け取る。コンパレータ15の出力端は、低域通過フィルター14を介して従来の位相検出装置1の出力端OUTに電気的に接続される。
【0006】
整流ユニット10は整流素子11、12を含み、整流素子11、12はダイオードを使用して実現すればよい。整流素子11の入力端及び整流素子12の出力端は位相信号端phase_endに電気的に接続され、整流素子11の出力端及び整流素子12の入力端はそれぞれ電源の正端(V+)及び負端(V−)に電気的に接続される。
【0007】
コンパレータ15は、位相信号及び参照電圧Vrefの大きさを比較することにより比較信号を出力する。従来の位相検出装置1の出力端OUTは、さらに演算ユニット(図1Aにおいて図示せず)に電気的に接続されてもよい。また、演算ユニットは、比較信号のレベル変化に基づいて発電機からの交流信号の位相及び周波数を取得することができる。
【0008】
低域通過フィルター14は、比較信号の高周波ノイズをフィルタリングすることにより、高周波ノイズによる検出エラーを回避する。また、低域通過フィルター14は、削除されてもよいし、位相信号端phase_endとコンパレータ15の非反転入力端との間に設置されてもよい。
【0009】
図1Bを参照して、図1Bは、振幅の小さい波形を持つ位相信号及びコンパレータが出力した比較信号の波形図を示す。図1Bの上半部の波形は、位相信号端phase_endの位相信号を示し、この位相信号は振幅の小さい波形(即ち交流信号)を持つ。直流信号の電圧値は異なる整流素子のリーク電流に応じて異なるため、位相信号に対応する波形曲線は、実質的に図1Bの上半部の2つの破線において垂直に平行移動する(例えば、上下にシフト移動する)。
【0010】
図1Bの下半部の波形は、直流信号の電圧値が一定の値である場合、コンパレータ15が出力した比較信号を示す。この場合は、比較信号のレベル変化に基づいて交流信号の位相及び周波数を取得することができる。しかしながら、上述したように、直流信号の電圧値が一定ではなく、位相信号の波形曲線が実質的に図1Bの上半部の2つの破線において垂直に平行移動するため、上述参照電圧Vrefが直流信号の電圧値に応じて変わらないと、位相検出装置1は交流信号の位相及び周波数を正確に取得することができなくなる。
【0011】
さらに、上述の従来技術の場合において、蓄電池スタンバイによるリーク電流が増加してしまうこともある。特に高温の環境下においては、整流素子のリーク電流が大幅に向上することによって、車両における電池(又は蓄電池)のスタンバイ時間が低下してしまい、さらに車両がスムーズに起動できないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−165318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、位相信号の変化を取得するために、交流発電機の位相検出装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、波形検出器、閾値電圧生成器(threshold voltage
generator)及びコンパレータを含む交流発電機の位相検出装置を提供する。波形検出器は位相信号のピークを検出するとともに波形検出信号を生成する。閾値電圧生成器は波形検出信号に基づいて参照信号を生成する。コンパレータは位相信号及び参照信号を比較することにより比較信号を出力する。
【0015】
また、本発明は交流発電機の位相検出方法を提供する。本発明に係る交流発電機の位相検出方法は、交流発電機の位相検出装置に用いられており、下記のステップを含む。まず、位相信号のピーク値を取得するとともにピーク検出信号を生成するステップ。そして、位相信号のボトム値を取得するとともにボトム検出信号を生成するステップ。次に、ピーク検出信号及びボトム検出信号に基づいて参照信号を生成するステップ。さらに、位相信号及び参照信号を比較することで、比較信号を取得するステップ。
【発明の効果】
【0016】
上述のように、本発明に係る交流発電機の位相検出装置及びその方法によれば、位相信号のピークを検出する(又は位相信号のピーク及びボトムを同時に検出する)とともに参照信号を生成し、コンパレータにより位相信号と参照信号を比較することで位相信号の変化を取得するため、車両における蓄電池のリーク電流を低く制御することができ、車両における蓄電池のスタンバイ時間を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】発電機に用いられる従来の位相検出装置回路図を示す。
【図1B】振幅の小さい波形を持つ位相信号及びコンパレータが出力した比較信号の波形図を示す。
【図2】本発明の実施例に係る交流発電機の位相検出装置のブロック図を示す。
【図3】本発明の実施例に係る交流発電機の位相検出装置における低域通過フィルタリングされた位相信号、波形検出信号及び比較信号の波形図を示す。
【図4】本発明の他の実施例に係る交流発電機の位相検出装置のブロック図を示す。
【図5】本発明の他の実施例に係る交流発電機の位相検出装置における低域通過フィルタリングされた位相信号、波形検出信号及び比較信号の波形図を示す。
【図6】本発明の他の実施例に係る交流発電機の位相検出方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[交流発電機の位相検出装置の実施例]
図2を参照して、図2は、本発明の実施例に係る交流発電機の位相検出装置のブロック図を示す。交流発電機の位相検出装置2は、波形検出器21、閾値電圧生成器22、コンパレータ23、低域通過フィルター24、ノイズキャンセラー(ノイズ除去器とも称する)25及び抵抗Rを備える。
【0019】
抵抗Rは、一端が位相信号Pの入力端に電気的に接続され、他端がグラウンド端GNDに電気的に接続される。低域通過フィルター24の入力端は、位相信号Pを受信するとともに、抵抗Rを介してグラウンドGNDに電気的に接続される。低域通過フィルター24の出力端は、波形検出器21の入力端及びコンパレータ23の非反転入力端(+)に電気的に接続される。波形検出器21の出力端は、閾値電圧生成器22の入力端に電気的に接続される。閾値電圧生成器22の出力端は、コンパレータ23の反転入力端(−)に電気的に接続される。コンパレータ23の出力端は、ノイズキャンセラー25の入力端に電気的に接続される。ノイズキャンセラー25の出力端は、交流発電機の位相検出装置2の出力端OUTに電気的に接続される。
【0020】
波形検出器21は、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのピークを検出するとともに波形検出信号Vを生成する。波形検出器21が生成した波形検出信号Vは、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのピーク値を示す。閾値電圧生成器22は、波形検出信号Vに基づいて参照信号Vrefを生成する。閾値電圧生成器22が生成した参照信号Vrefは、低域通過フィルタリングされた位相信号Pの電圧値がピークにあるかどうかの判定として用いられるものである。コンパレータ23は、低域通過フィルタリングされた位相信号P及び参照信号Vrefを比較することにより比較信号を出力する。コンパレータ23が出力した比較信号は、低域通過フィルタリングされた位相信号Pの電圧値がピークにあるかどうかを示す。
【0021】
この実施例におけるコンパレータ23は、非反転入力端と反転入力端との電圧差を比較するための差動電圧コンパレータ(differential
voltage comparator)であってもよい。また、この実施例におけるコンパレータ23は、反転入力端に参照信号Vrefが入力され、非反転入力端に低域通過フィルタリングされた位相信号Pが入力される。しかしながら、それらに限定されず、コンパレータ23の非反転入力端及び反転入力端は相互に交換することが可能であり、コンパレータ23は非反転入力端及び反転入力端が相互に交換された後、逆信号のみを出力するようにしてもよい。その実施方法は、この技術分野において通常知識を有する者が推知できるものであるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0022】
低域通過フィルター24は、位相信号Pの高周波ノイズをフィルタリングすることにより、高周波ノイズによる検出エラーを回避することができる。ノイズキャンセラー25は、コンパレータ23が出力した比較信号のノイズをフィルタリング(又は除去)することができる。しかしながら、本発明は、それらに限定されるものではない。実際に実施する際に、高周波ノイズが許容できる範囲内にあれば、低域通過フィルター24及びノイズキャンセラー25のいずれか一方は削除されてもよい。また、低域通過フィルター24及びノイズキャンセラー25が同時に削除された場合、波形検出器21の入力端は位相信号Pを直接受信する。また、コンパレータ23の出力端は、交流発電機の位相検出装置2の出力端OUTに直接電気的に接続されるようにしてもよい。また、低域通過フィルター24及びノイズキャンセラー25の種類は特に限定されず、デジタルフィルター又はアナログフィルターであればよい。
【0023】
抵抗Rは、位相信号Pの電圧を波形検出器21が受け取り可能な電圧範囲まで低減するためのものであるが、それに限定されるものではない。抵抗Rは、回路設計の容易化のために使用されるものに過ぎない。実際に実施する際に、適当な回路設計であれば、抵抗Rを削除してもよい。
【0024】
図2及び図3を同時に参照して説明する。図3は、本発明の実施例に係る交流発電機の位相検出装置における低域通過フィルタリングされた位相信号、波形検出信号及び比較信号の波形図を示す。低域通過フィルタリングされた位相信号Pは、通常、依然として交流発電機の運転時によるその他の周波数の信号又はノイズが混在することがあるため、ピーク近傍の波形に顕著なリップル(ripple)が存在する。図3に示す位相信号Pを例にすると、図3に示す低域通過フィルタリングされた位相信号Pのピークの電圧値は2ボルト(2V)であり、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのボトムの電圧値はほぼゼロボルト(0V)程度であり、ピーク近傍のリップルの電圧値はほぼ0.5ボルト(0.5V)である。低域通過フィルタリングされた位相信号Pがピーク近傍にあるかどうかを判定する場合、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのリップルは、判定の結果に影響を及ぼす恐れがある。言い換えれば、低域通過フィルタリングされた位相信号Pがそのピーク近傍にあれば、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのリップルによって低域通過フィルタリングされた位相信号Pが参照信号Vrefよりも小さくなると、参照信号Vrefに基づいて低域通過フィルタリングされた位相信号Pがピーク近傍にあるかどうかを正確に判定することができない。
【0025】
低域通過フィルタリングされた位相信号Pがピーク近傍にあるかどうかを正確に判定するために、参照信号Vrefは、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのピーク値よりもリップルの電圧値だけ小さいようにしている。言い換えれば、参照信号Vrefは、波形検出信号Vよりも所定値だけ小さく、この所定値は、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのピーク近傍のリップルの電圧値である。図3に示すように、リップルの電圧値が0.5ボルト(0.5V)である場合、この所定値を0.5ボルト(0.5V)とし、参照信号Vrefの電圧値を約1.2ボルト(1.2V)とする。これにより、低域通過フィルタリングされた位相信号Pがそのピーク近傍にあれば、参照信号Vrefの電圧値が位相信号Pよりも小さくなるため、誤判定を回避することができる。
【0026】
図3をさらに参照して、図3に示す出力端OUTの電圧値は低域通過フィルタリングされた位相信号Pが参照信号Vrefよりも大きい場合、コンパレータ23は、低域通過フィルタリングされた位相信号Pがピーク近傍に存在することを示すように、高電圧レベルの比較信号を出力することができる。低域通過フィルタリングされた位相信号Pが参照信号Vrefよりも小さい場合、コンパレータ23は、低域通過フィルタリングされた位相信号Pがピーク近傍に存在しないことを示すように、低電圧レベルの比較信号を出力することができる。低域通過フィルタリングされた位相信号Pが参照信号Vrefよりも大きい時間と、低域通過フィルタリングされた位相信号Pが参照信号Vrefよりも小さい時間との合計は必ず一つの周期となるため、比較信号が高電圧レベル及び低電圧レベルにおける時間の合計は一つの周期の時間となる。言い換えれば、出力端OUTの電圧変化に基づいて、低域通過フィルタリングされた位相信号Pの周波数を取得することができる。
【0027】
その後、コンパレータ23が出力した比較信号は、ノイズキャンセラー25を介して交流発電機の位相検出装置2の出力端OUTに出力される。交流発電機の位相検出装置2の出力端OUTは、交流発電機の位相検出装置2の出力端OUTの信号のレベル変化に基づいて低域通過フィルタリングされた位相信号Pの位相及び周波数を取得するための演算ユニット(図2において図示せず)に電気的に接続されてもよい。
【0028】
[交流発電機の位相検出装置の他の実施例]
図4を参照して、図4は、本発明の他の実施例に係る交流発電機の位相検出装置のブロック図を示す。交流発電機の位相検出装置4は、波形検出器41、閾値電圧生成器42、コンパレータ43、低域通過フィルター44及びノイズキャンセラー45を備える。図2に示す交流発電機の位相検出装置2に対して、交流発電機の位相検出装置4の波形検出器41は、ピーク検出器411及びボトム検出器412を備える。
【0029】
低域通過フィルター44は、位相信号Pを受信し、低域通過フィルター44の出力端は、ピーク検出器411、ボトム検出器412の入力端及びコンパレータ43の非反転入力端(+)に電気的に接続される。ピーク検出器411及びボトム検出器412の出力端は、閾値電圧生成器42の入力端に電気的に接続される。閾値電圧生成器42の出力端は、コンパレータ43の反転入力端(−)に電気的に接続される。コンパレータ43の出力端は、ノイズキャンセラー45の入力端に電気的に接続される。ノイズキャンセラー45の出力端は、交流発電機の位相検出装置4の出力端OUTに電気的に接続される。
【0030】
波形検出器41は、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのピーク及びボトムを検出するとともに、ピーク検出信号V及びボトム検出信号Vを含む波形検出信号を生成する。波形検出器41のピーク検出器411はピーク検出信号Vを生成する。波形検出器41のボトム検出器412はボトム検出信号Vを生成する。閾値電圧生成器42は、ピーク検出信号V及びボトム検出信号Vに基づいて参照信号Vrefを生成し、参照信号Vrefは、低域通過フィルタリングされた位相信号Pの電圧がピーク近傍にあるか又はボトム近傍にあるかの判定として用いられるものである。コンパレータ43は位相信号P及び参照信号Vrefを比較する。コンパレータ43が出力したの比較信号は、低域通過フィルタリングされた位相信号Pがピーク近傍にあるか又はボトム近傍にあるかを示す。
【0031】
この実施例におけるコンパレータ43、低域通過フィルター44及びノイズキャンセラー45は、前の実施例におけるコンパレータ23、低域通過フィルター24及びノイズキャンセラー25と同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0032】
図4及び図5を同時に参照して説明する。図5は、本発明の他の実施例に係る交流発電機の位相検出装置における低域通過フィルタリングされた位相信号、波形検出信号及び比較信号の波形図を示す。低域通過フィルタリングされた位相信号Pがピーク近傍にあるかどうかを正確に判定するために、参照信号Vrefは、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのピーク値よりもリップルの電圧値だけ小さいようにしている。また、この実施例において、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのボトムがゼロボルト(0V)程度ではないため、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのボトム値を無視することができない。従って、参照信号Vrefの電圧値は、ピーク検出信号Vの電圧値よりもリップルの電圧値だけ小さく、且つボトム検出信号Vの電圧値よりも大きい。
【0033】
参照信号Vrefは、ピーク検出信号Vよりも所定値だけ小さい。図5に示すように、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのピーク値が2ボルト(2V)であれば、低域通過フィルタリングされた位相信号Pのピーク近傍のリップルの電圧値が0.5ボルト(0.5V)であり、且つ低域通過フィルタリングされた位相信号Pのボトム値が1ボルト(1V)であれば、参照信号Vrefは、1ボルト〜1.5ボルト(1V〜1.5V)(2ボルト(2V)から0.5ボルト(0.5V)を減算する)である。
【0034】
さらに図5を参照して、図5に示す出力端OUTの電圧値としては、低域通過フィルタリングされた位相信号Pが参照信号Vrefよりも大きい場合、コンパレータ43は、低域通過フィルタリングされた位相信号Pがピーク近傍に存在することを示すように、高電圧レベルの比較信号を出力することができる。一方、低域通過フィルタリングされた位相信号Pが参照信号Vrefよりも小さい場合、コンパレータ43は、低域通過フィルタリングされた位相信号Pがボトム近傍に存在することを示すように、低電圧レベルの比較信号を出力することができる。低域通過フィルタリングされた位相信号Pが参照信号Vrefよりも大きい時間と、低域通過フィルタリングされた位相信号Pが参照信号Vrefよりも小さい時間との合計は必ず一つの周期となるため、比較信号が高電圧レベル及び低電圧レベルにおける時間の合計は一つの周期の時間となる。言い換えれば、出力端OUTの電圧変化に基づいて、低域通過フィルタリングされた位相信号Pの周波数を取得することができる。
【0035】
その後、コンパレータ43が出力した比較信号は、ノイズキャンセラー45を介して交流発電機の位相検出装置4の出力端OUTに出力される。交流発電機の位相検出装置4の出力端OUTは、交流発電機の位相検出装置4の出力端OUTの信号のレベル変化に基づいて低域通過フィルタリングされた位相信号Pの位相及び周波数を取得するための演算ユニット(図4において図示せず)に電気的に接続されてもよい。
【0036】
[交流発電機の位相検出方法の実施例]
図6を参照して、図6は、本発明の実施例に係る交流発電機の位相検出方法のフローチャートを示す。交流発電機の位相検出方法は、交流発電機の位相検出装置に用いられており、下記のステップを含む。まず、ステップS61において、位相信号のピーク値を取得するとともにピーク検出信号を生成する。そして、ステップS62において、位相信号のボトム値を取得するとともにボトム検出信号を生成する。次に、ステップS63において、ピーク検出信号及びボトム検出信号に基づいて参照信号を生成する。さらに、ステップS64において、位相信号及び参照信号を比較することで、比較信号を取得する。
【0037】
本実施例に係る交流発電機の位相検出方法は、図4の交流発電機の位相検出装置4により実現されてもよい。ステップS63において、参照信号を電圧とすると、参照信号の電圧値は、ピーク検出信号の電圧値よりも所定値だけ小さい。この所定値は位相信号がピーク近傍にあるリップルの電圧値である。参照信号の電圧値もボトム検出信号の電圧値よりも大きい。
【0038】
また、ステップS61において、交流発電機の位相検出方法は、位相信号の高周波ノイズをフィルタリングするステップをさらに備えてもよい。ステップ64において、交流発電機の位相検出方法は、この比較信号のノイズをフィルタリングするステップをさらに備えてもよい。
【0039】
[実施例による効果]
本発明の実施例に係る交流発電機の位相検出装置及びその方法によれば、位相信号のピーク(又は位相信号のピーク及びボトムを同時に)を検出し、参照信号を生成するとともに、コンパレータにより位相信号と参照信号を比較することで位相信号の変化を取得するため、車両における蓄電池のリーク電流を低く制御することができるとともに、車両における蓄電池のスタンバイ時間を増加することができる。
【0040】
上述したものは本発明の好ましい一例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 従来の位相検出装置
2、4 交流発電機の位相検出装置
10 整流ユニット
11、12 整流素子
13、R 抵抗
GND グラウンド
14、24、44 低域通過フィルター
15、23、43 コンパレータ
21、41 波形検出器
22、42 閾値電圧生成器
25、45 ノイズキャンセラー
411 ピーク検出器
412 ボトム検出器
S61〜S64 ステップフロー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相信号のピークを検出することにより波形検出信号を生成するための波形検出器と、
前記波形検出信号に基づいて参照信号を生成するための閾値電圧生成器と、
前記位相信号及び前記参照信号を比較することにより比較信号を出力するためのコンパレータと、
を備えることを特徴とする交流発電機の位相検出装置。
【請求項2】
前記波形検出器はさらに前記位相信号のボトムを検出し、
前記波形検出信号はピーク検出信号とボトム検出信号を含み、
前記ピーク検出信号及び前記ボトム検出信号は、それぞれ前記位相信号のピーク及びボトムに基づいて生成され、
前記閾値電圧生成器は、前記ピーク検出信号及び前記ボトム検出信号に基づいて前記参照信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の交流発電機の位相検出装置。
【請求項3】
前記参照信号の電圧値は、前記波形検出信号の電圧値よりも所定値だけ小さい値であることを特徴とする請求項1に記載の交流発電機の位相検出装置。
【請求項4】
前記参照信号の電圧値は、前記ピーク検出信号の電圧値よりも所定値だけ小さく、且つ前記ボトム検出信号の電圧値よりも大きい値であることを特徴とする請求項2に記載の交流発電機の位相検出装置。
【請求項5】
前記所定値は、前記位相信号がピーク近傍におけるリップル電圧値であることを特徴とする請求項3に記載の交流発電機の位相検出装置。
【請求項6】
前記波形検出器に電気的に接続され、アナログフィルター又はデジタルフィルターである低域通過フィルターをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の交流発電機の位相検出装置。
【請求項7】
前記コンパレータの出力端に電気的に接続され、アナログフィルター又はデジタルフィルターであるノイズキャンセラーをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の交流発電機の位相検出装置。
【請求項8】
位相信号のピーク値を取得することによりピーク検出信号を生成するステップと、
位相信号のボトム値を取得することによりボトム検出信号を生成するステップと、
前記ピーク検出信号及び前記ボトム検出信号に基づいて参照信号を生成するステップと、
前記位相信号及び前記参照信号を比較することにより、比較信号を取得するステップと、
を備えることを特徴とする交流発電機の位相検出方法。
【請求項9】
前記参照信号の電圧値は、前記ピーク検出信号の電圧値よりも所定値だけ小さく、且つ前記ボトム検出信号の電圧値よりも大きい値であることを特徴とする請求項8に記載の交流発電機の位相検出方法。
【請求項10】
前記位相信号の高周波ノイズをフィルタリングするステップと、
前記比較信号のノイズをフィルタリングするステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の交流発電機の位相検出方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−36828(P2013−36828A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172651(P2011−172651)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(502121096)朋程科技股▲ふん▼有限公司 (4)
【Fターム(参考)】