交流透磁率を測定する装置及びその測定方法
【課題】本発明は交流透磁率を測定する装置及びその測定方法である。
【解決手段】この交流透磁率装置は交流透磁率コイルセットや信号受信ユニット、信号処理ユニットをすくなくてもそれぞれ一つずつ含まれている。この装置によって、異なっている交流周波数の磁場において、測定物の交流透磁率信号を測定可能である。また信号処理ユニットを通じて、交流透磁率の強度と位相差及び/又は交流透磁率の実部と虚部の変化値がわかるようになる。
【解決手段】この交流透磁率装置は交流透磁率コイルセットや信号受信ユニット、信号処理ユニットをすくなくてもそれぞれ一つずつ含まれている。この装置によって、異なっている交流周波数の磁場において、測定物の交流透磁率信号を測定可能である。また信号処理ユニットを通じて、交流透磁率の強度と位相差及び/又は交流透磁率の実部と虚部の変化値がわかるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交流透磁率測定装置及びその測定方法に関し、特に、交流透磁率の強度と位相差及び/又は交流透磁率の実部値と虚部値の変化値を測定する装置と方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外部磁場において、磁性体の磁気双極子モーメントの方向は、磁気効果によって外部磁場方向に沿う傾向がある。外部磁場は交流磁場で、なお且つ交流周波数が高くない場合、例えばマイクロ波周波数のなかの低周波エリアでは、磁性体の磁気双極子モーメント方向は交流磁場によって往復する周期的な振動をする。そうすると、磁気双極子の振動周波数は外部磁場の周波数と一致となる。ただし瞬間の磁気双極子運動方向は外部磁場運動方向とは必ずしも一致することではないので、実際の磁場方向は予想の磁場方向とは不一致する場合がある。このような周期的な振動の位相差は即ち磁場位相差という。磁性体の外部磁場における交流透磁率は、その透磁率強度と位相差によって明らかにすることができる。
【0003】
周知の磁気特性測定装置というと、ここでは米国特許第6683452号明細書で開示された、磁束密度を通じて金属の内部損失又は金属形状を測定する装置を例とする。この装置は、磁場発生装置や磁束密度測定ユニット、磁束密度変化測定ユニット及び表示ユニットが含まれ、また表示ユニットはさらにシンクロする部分や信号増幅装置、アナログ信号からデジタル信号へと変換する部、表示部が含まれている。磁場発生装置と磁束密度測定ユニットの信号を分析することによって、オンタイムの磁束密度変化結果を表示することができる。しかしこの装置は磁束密度を測定することが目的なので、交流透磁率と磁場位相差を測定することは不可である。
【0004】
また、米国特許出願公開第2009/0102458号明細書で開示された透磁率測定装置では、磁性材は磁性環境において、磁場とは相互作用が生まれるが、この装置は磁性材の透磁率を測定できるものの、磁場位相差や交流透磁率の実部と虚部の値を測定することができない。本発明装置は、米国特許出願公開第2009/0102458号明細書で開示された透磁率測定装置と比べると、測定物の透磁率強度と位相差を測定出来るだけではなく、さらに交流透磁率の実部と虚部の値を測定することができ、また測定物の透磁率が異なった周波数での変化を測定可能である。
【0005】
なお、米国特許第7541805号明細書で開示されている超伝導量子干渉素子が含まれた磁性体特性測定システムでは、測定物が交流磁場に置かれたとき、超伝導量子干渉素子は超伝導ピックアップコイルの磁束密度変化を測定し、そして交流信号が出力される。この信号は実部信号と虚部信号が含まれており、もし参考電圧の信号と不一致の場合、実部信号と虚部信号は不的確に分離することになる。この点から見ると、測定結果は誤差を減らすように位相を調整しなければいけないことがわかった。従って、この測定システムの信号は実部信号と虚部信号が含まれているものの、引き続き位相の調整が必要かどうかを判断するためだけであり、その目的は位相差を減らし、測定結果をより正確にするが、透磁率の強度と位相差が異なった周波数での変化を測定することができず、また交流透磁率の実部と虚部の値を得ることができない。また、米国特許第7541805号明細書で使われている超伝導量子干渉素子の含まれた磁性体特性測定システムは、価格が高く、そして操作条件が厳しいものであり、精密機器室しか通用できず、精密機器室を持たない業界や一般学界の初級用には向いてない。本発明装置は米国特許第7541805号明細書で開示する超伝導量子干渉素子の含まれた磁性体特性測定システムと比べ、測定物の透磁率強度と位相差を測定できるだけではなく、さらに交流透磁率の実部と虚部の値を測定することができ、また、異なった周波数における測定物の交流透磁率の変化を測定可能である。
【0006】
本発明は簡単な交流透磁率コイルセットを使い、前記の米国特許第6683452号明細書と米国特許出願公開第2009/0102458号明細書の欠点、即ち、測定物の透磁率強度と位相差や交流透磁率の実部と虚部の値、また測定物の透磁率が異なった周波数での変化を測定不可といった問題点を解決できる。さらに、本発明は米国特許第7541805号明細書の高価と厳しい操作条件のため精密機器室しか通用できない難点も解決できるのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的とは、交流磁場における測定物の交流透磁率強度或いは位相差の変化を測定できる交流透磁率測定装置を提供することである。
【0008】
本発明のもう一つの目的とは、交流磁場における測定物の交流透磁率強度或いは位相差を測定でき、また交流透磁率コイルセットが含まれている交流透磁率測定装置を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的とは、異なる周波数の交流磁場における測定物の交流透磁率変化を測定できる交流透磁率測定装置を提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの目的とは、異なる周波数の交流磁場における測定物の交流透磁率の実部と虚部の変化を測定できる交流透磁率測定装置を提供することである。
【0011】
本発明のもう一つの目的とは、測定物の交流透磁率強度信号と位相信号を測定できる交流透磁率測定方法を提供することである。
【0012】
本発明のもう一つの目的とは、測定物の交流透磁率の実部と虚部の変化を測定できる交流透磁率測定方法を提供することである。
【0013】
本発明のもう一つの目的とは、異なる周波数の交流磁場における測定物の交流透磁率変化を測定できる交流透磁率測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するための、本発明の実現技術は下記の通りである。
【0015】
交流電気信号を生成するファンクションジェネレータ、
前記ファンクションジェネレータの交流電気信号の変化によって交流磁場を生成する励磁コイル、及び、励磁コイルの交流磁場の変化によって感応する交流透磁率信号をピックアップするピックアップコイル、を少なくとも含む交流透磁率コイルセット、
ピックアップコイルによる交流透磁率信号を受信する信号受信ユニット、及び、
信号受信ユニットによる交流透磁率信号を処理し、交流透磁率強度と位相差、及び/又は、交流透磁率の実部と虚部の値を算出する信号処理ユニット、
を含む交流透磁率測定装置。
【0016】
前記のファンクションジェネレータはよく知られているファンクションジェネレータであればよい。例えば、台湾のGood Will Instrument社が生産したSFG−1000シリーズファンクションジェネレータやアメリカのStanford Research Systems社のSRS DS335製品などである。
【0017】
前記の励磁コイルは市販のコイル、例えばヘルムホルツコイル等が用いられる。または自製励磁コイル、例えばソレノイドコイルであればよい。自製励磁コイルの場合、よく知られている材料で作ることができる。例えばプラスチック・スチール材で加工し、外側には銅製のコイル線で巻くことにより自製励磁コイルを形成することができる。
【0018】
前記の交流透磁率コイルセットに含まれる励磁コイルと、ファンクションジェネレータの接続方法は電気接続とする。例えば交流磁場を生成するように、励磁コイルがファンクションジェネレータに接続するものとする。
【0019】
前記のピックアップコイルは自製、またはよく知られているピックアップコイルであればよい。勾配磁場コイルやファラデーコイルがより好ましい。
【0020】
前記の励磁コイルに対するピックアップコイルの位置は、順調に感応できるなら特に限定はされないが、ピックアップコイルが励磁コイルの真ん中で、さらに同軸が特に好ましい。
【0021】
前記の信号受信ユニットはよく知られている信号受信ユニットであればよい。例えばアメリカのNational Instruments社の製品NI PCI−6221等が挙げられる。
【0022】
前記信号処理ユニットは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアの何れでもよいが、ソフトウェア、またはファームウェアのほうがより好ましい。また、タイムドメイン信号とスペクトル信号の処理能力を向上するために、高速フーリエ変換プログラムを含んだほうがより好ましい。
【0023】
前記の交流透磁率測定装置は、さらに信号増幅回路を含むことができる。ピックアップコイルによって出力された信号が増幅された後、スモール信号に対する感度を上げるために信号受信ユニットによってピックアップされ、そして最後に信号処理ユニットによって、この交流透磁信号をスペクトル信号へと変換し、出力する。この信号増幅回路はよく知られているものでよく、倍率を調整できるものが好ましい。また、この信号増幅回路は直接信号受信ユニットとともに単一の回路になることも可能である。
【0024】
前記の交流透磁率測定装置の測定結果は、メモリーやストレージ、または直接ディスプレイに表示することが可能である。従って、この交流透磁率測定装置はさらに測定結果を表示するための表示ユニット、及び/又は、測定結果を保存するための保存ユニットを含められることもできる。もちろん、測定結果は外部から接続する保存装置に保存されたり、表示装置に表示されたりすることが可能である。
【0025】
前記の交流透磁率測定装置は、さらに交流透磁率コイルセットと結合した抵抗分圧回路を含む。この抵抗分圧回路は、励磁コイルによって交流磁場がピックアップコイルから出力された信号に対する影響をなくすために、交流透磁率コイルセットのピックアップコイルに接続されている。そしてこのピックアップコイルから出力された信号はまた信号受信ユニットによってピックアップされ、最後に信号処理ユニットによって交流透磁信号からスペクトル信号へと変換する。
【0026】
また、一般の電機・電子・物理・材料などの実験室では、大体ファンクションジェネレータが備えられているので、この現状に合わせるため、本発明のもう一つ交流透磁率測定装置は外部のファンクションジェネレータに接続できる、下記の通りのものが含まれている交流透磁率測定装置である。
・外部のファンクションジェネレータに接続し、そのファンクションジェネレータからの交流電気信号によって交流磁場を生成するコイルセットと、
この励磁コイルの交流磁場変化によって測定物が感応する交流透磁信号をピックアップするピックアップコイル、
を少なくとも含む交流透磁率コイルセット、
・ピックアップコイルによる交流透磁率信号を受信する信号受信ユニット、
・信号受信ユニットの交流透磁率信号を処理し、交流透磁率強度と位相差、及び/又は、交流透磁率の実部と虚部の値を算出する信号処理ユニット
【0027】
前記の励磁コイルとピックアップコイル、信号受信ユニット、信号処理ユニットの詳細と接続関係は前記の通りである。
【0028】
前記のファンクションジェネレータに外部接続する交流透磁率測定装置は前記の通り、さらに信号増幅回路、及び/又は抵抗分圧回路が含まれ、機能と接続方法は前記の通りである。
【0029】
本発明はさらに交流透磁率の測定方法であり、測定方法は下記のステップが含まれている:
・交流透磁率測定ステップ:測定物の交流透磁率信号と対照物の交流透磁率信号をそれぞれ測定する。
・第一信号変換ステップ:交流透磁率測定ステップで得た測定物の交流透磁率信号と対照物の交流透磁率信号を、それぞれ測定物のスペクトル信号と対照物のスペクトル信号へ変換する。
・第二信号変換ステップ:第一信号変換ステップで得た測定物のスペクトル信号と対照物のスペクトル信号を、それぞれ測定物のタイムドメイン信号と対照物のタイムドメイン信号へと変換する。
・減算演算ステップ:第二信号変換ステップで得た測定物のタイムドメイン信号と対照物のタイムドメイン信号を減算演算し、測定物のタイムドメイン信号の差を得る。
・差値変換ステップ:測定物のタイムドメイン信号の差の値をスペクトル信号へ変換する。
・タイムドメイン信号差値出力ステップ:タイムドメイン信号の差の値を出力する。
【0030】
そのなか、交流透磁率測定ステップや第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップの進行順は順番通り、または交互として進行してもいいとする。
【0031】
前記の対照物とは、基本的には空気を指す。前記の交流透磁率測定ステップでは、測定物の交流透磁率信号を測定することと対照物の交流透磁率信号を測定する順番は、特に決まってはいない。
【0032】
前記の第一信号変換ステップでは、測定物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換することと、対照物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換する順番は特に決まってはいない。
【0033】
前記の第二信号変換ステップでは、測定物のスペクトル信号をタイムドメイン信号へと変換することと、対照物のスペクトル信号をタイムドメイン信号へと変換する順番は特に決まってはいない。
【0034】
前記の交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップの進行順を順番通りで進行することとは、まず交流透磁率測定ステップを実施して、そして第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行することを指す。
【0035】
前記の交流透磁率測定ステップ、第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップの進行順を交互として進行することとは、交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップを交互で進行すること、つまり交流透磁率測定ステップが進行する最中で、第一信号変換ステップの一部を進行できることをいう。例えば測定物の交流透磁率を測定した後、すぐスペクトル信号に変換し、そして対照物の交流透磁率を測定し、スペクトル信号に変換する。もちろん、測定結果と対照物の順番は変えてもよい。つまり対照物の交流透磁率を測定し、すぐスペクトル信号に変換した後、測定物の交流透磁率を測定し、スペクトル信号に変換することをいう。
【0036】
同じように、第一信号変換ステップと第二信号変換ステップを交互として進行するとは、第一信号変換ステップが進行する最中で、第二信号変換ステップの一部を進行し、例えば測定物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換した後、タイムドメイン信号に変換し、そして対照物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換し、さらにタイムドメイン信号に変換することをいう。もちろん測定物と対照物の順番も変えてよい。即ち、対照物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換した後、すぐタイムドメイン信号に変換する。次は測定物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換し、さらにタイムドメイン信号に変換する。
【0037】
この点からみれば明らかなように、第一信号変換ステップと第二信号変換ステップの変換手順は平行で進行することができる。例えばデュアルコア技術を使い、一つのコアでは測定物の第一信号変換ステップと第二信号変換ステップを進行し、もう一つのコアでは対照物の第一信号変換ステップと第二信号変換ステップを進行する。
【0038】
前記の交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップの進行順は順番通りから、または交互として進行してもいいとは、完全に順番通りで進行することと、完全に交互で進行すること、または一部順番通りで進行すること、一部交互で進行することを指すが、完全に順番通りで進行することがベストとする。
【0039】
前記の完全に交互で進行することとは、測定物に対して、順番通り交流透磁率測定ステップ、第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行した後、対照物に対して順番通り交流透磁率測定ステップ、第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行することをいう。図9とその説明を参考すれば明らかである。もしくは、対照物に対して順番通り交流透磁率測定ステップ、第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行した後、測定物に対して順番通り交流透磁率測定ステップ、第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行する。図8とその説明を参考すれば分かる。
【0040】
前記の一部順番通り、一部交互として進行するとは、例えば交流透磁率測定ステップを進行した後、第一信号変換ステップと第二信号変換ステップを交互で進行する、また、交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップを交互で進行した後、第二信号変換ステップを進行することをいう。
【0041】
本発明の交流透磁率測定方法に従い、順番通りまたは交互で交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行した後、測定物のタイムドメイン信号と対照物のタイムドメイン信号を減算演算にし、測定物のタイムドメイン信号の差の値を算出した後、スペクトル信号の差の値に変換し、出力することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の交流透磁率を測定する装置及びその測定方法により、測定物の透磁率強度と位相差を測定出来るだけではなく、さらに交流透磁率の実部と虚部の値を測定することができ、また測定物の透磁率が異なった周波数での変化を測定可能である。また、安価で精密機器室以外でも使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は本発明である交流透磁率測定装置の好ましい実施例の説明図面である。
【図2】図2は図1の実施例において、交流透磁率コイルセットの構造と測定物の位置を示した図面である。
【図3】図3は本発明のもう一つの実施態様である交流透磁率測定装置の構造説明図面である。
【図4】図4は本発明のもう一つの実施態様である交流透磁率測定装置の構造説明図面である。
【図5】図5は本発明のもう一つの実施態様である交流透磁率測定装置の構造説明図面である。
【図6】図6は本発明の実施態様であるピックアップコイルと抵抗分圧回路との接続を説明する図面である。
【図7】図7は本発明実施態様である交流透磁率測定方法の流れ図の一つである。
【図8】図8は本発明実施態様である交流透磁率測定方法の流れ図の一つである。
【図9】図9は本発明実施態様である交流透磁率測定方法の流れ図の一つである。
【図10】図10は本発明実施態様であり、外部磁場周波数が変化することによる、異なる濃度の磁性流体の交流透磁率強度と位相の変化の測定結果を示す関係図である。
【図11】図11は本発明実施態様であり、磁性流体の磁気双極子と外部磁場周波数との位相差を測定する図面である。
【図12】図12は本発明実施態様に従い、磁性流体の透磁率実部と虚部の外部磁場周波数による変化を測定する関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の交流透磁率測定装置及びその方法が前述のほかの目的と特性、機能をより分かりやすくするために、下記の具体的な実施例そして図式を通じて、詳細の説明をする。
【実施例】
【0045】
図1は、本発明である交流透磁率測定装置の具体的な実施例の一つであり、本発明の実施態様である交流透磁率測定装置の説明図面である。この交流透磁率測定装置に内蔵しているファンクションジェネレータ(200)が、交流電圧を交流透磁率コイルセット(300)に提供することで、交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流電流が通るようにし、そして交流透磁率コイルセット(300)内で交流磁場が生成する。測定物がこの交流透磁率コイルセット(300)に置かれたら、その交流コイルセット(300)の交流磁場は変化し、交流透磁率信号が出る。この交流透磁率コイルセット(300)による交流透磁率信号は、信号受信ユニット(400)によってピックアップされ、信号処理ユニット(500)に移される。そしてこの信号処理ユニット(500)の変換システム、例えばフーリエ変換ハードウェアやソフトウェア、またはファームウェアを通じて測定物の交流透磁率信号は交流透磁率強度と位相差に変換され、さらに交流透磁率強度信号は交流透磁率実部信号と交流透磁率虚部信号として交流透磁率の実部と虚部の値を表示するようになる。また、ファンクションジェネレータ(200)から出力された交流電圧周波数を変えることによって、異なる強度の磁場において測定物の透磁率を測定することができる。その後、測定物の交流透磁率と外部磁場の周波数との関係図を作成することによって、処理済みの信号をPCや液晶ディスプレイ、もしくはテレビなどの外部ディスプレイに表示するができる。
【0046】
図2は図1で示される具体的な実施例のなかで、交流透磁率コイルセット構造に関する説明図面である。図面に示すとおり、測定物(100)を交流透磁率コイルセット(300)のなかに置く。この交流透磁率コイルセット(300)のピックアップコイル(300a)は勾配磁場コイルまたはファラデーコイルとし、プラスチック・スチール材で作られたチューブ本体を、銅線コイルで巻かれるものとする。チューブは上下二段として、コイルの巻く方向は上下で反対である。このピックアップコイル(300a)は測定物(100)の交流透磁率信号を測定するために、外にはプラスチック・スチール材で加工し銅線コイルが巻かれた励磁コイル(300b)に包まれ、ファンクションジェネレータ(200)に接続する。そうすると、この励磁コイル(300b)は交流磁場を生成し、交流透磁率信号はピックアップコイル(300a)による平面磁束を透過し、時間によって周期的な変化が生じることによって、ピックアップコイル(300a)では周期的な交流電圧が生まれる。この交流電圧の振り幅の乗積は交流変化周波数と交流透磁率信号とは正比例である。従って、このピックアップコイル(300a)から出力された電圧によって測定物(100)が既知の交流周波数の下で生成する交流透磁率信号を測定することができる。
【0047】
図3は、本発明である交流透磁率測定装置の具体的な実施例の一つとして、本発明実施態様である交流透磁率のもう一つ測定装置の説明図である。外部接続の電源、例えばファンクションジェネレータ(200)などの交流電圧供給器によって、交流電圧を交流透磁率コイルセット(300)に提供し、この交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流電圧が通ることにより、交流透磁率コイルセット(300)において交流磁場を生成する。前述の測定物(100)をこの交流透磁率コイルセット(300)に置くと、交流透磁率コイルセット(300)の交流透磁率信号はさらに信号受信ユニット(400)によって信号処理ユニット(500)に運ばれ、信号処理ユニット(500)の変換システム、例えばフーリエ変換ハードウェアやフーリエ変換ソフトウェア、フーリエ変換ファームウェアなどを通じて測定物(100)の交流透磁率信号は交流透磁率強度と位相差に変換され、さらにこの交流透磁率強度信号は交流透磁率の実部信号と交流透磁率虚部信号によって交流透磁率の実部と虚部の値を表示することができる。なお、ファンクションジェネレータ(200)から出力された交流電圧周波数を変えることによって、違う強度の磁場における測定物(100)の透磁率を測定でき、さらに測定物(100)の交流透磁率と外部磁場周波数との間の関係図を作ることができる。また、この処理済みの信号を外部ディスプレイ例えばPCや液晶ディスプレイ、テレビに出力し、表示できるようになる。
【0048】
前記の実施例に引き続き、図4は本発明の実施態様である交流透磁率のもう一つの測定装置の説明図である。ファンクションジェネレータ(200)などの交流電圧供給器といった電源を通じ、交流電圧を交流透磁率コイルセット(300)に供給し、交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流電圧が通ることにより、交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流磁場が生成する。そして前記の測定物(100)をこの交流透磁率コイルセット(300)に放置し、交流磁場の作用のため、測定物(100)は励磁され、交流透磁率信号を生成し、また交流透磁率コイルセット(300)のピックアップコイル(300a)によって出力される周期的な交流電圧から、測定物(100)が既知の交流周波数の下で生成する交流透磁率信号を得ることができる。前記の図3の説明通り、励磁コイル(300b)によって交流磁場がピックアップコイル(300a)から出力された信号に対する影響をなくすために、本実施態様のピックアップコイル(300a)はさらに抵抗分圧回路(600)を接続することができる。ピックアップコイル(300a)から出力された交流電圧は抵抗分圧回路(600)を通過し、そして信号受信ユニット(400)を通じて信号処理ユニット(500)にピックアップされ、信号処理ユニット(500)の変換システム、例えばフーリエ変換ハードウェアやフーリエ変換ソフトウェア、フーリエ変換ファームウェアなどによって、信号受信ユニット(400)を通じて信号処理ユニット(500)にピックアップされた瞬時電圧信号をスペクトル信号に変換することができ、さらにこの交流透磁率コイルセット(300)のなかで生成する交流周波数の下で、測定物(100)の交流透磁率実部と虚部の値または交流透磁率の強度と位相差との関係を数値で分析する。また、ファンクションジェネレータ(200)から出力された異なる交流電圧周波数を変えることによって、測定物(100)の交流透磁率と外部磁場周波数との間の関係図を作ることができ、さらに処理済みの信号を外部ディスプレイ例えばPCや液晶ディスプレイ、テレビに表示できるようになる。
【0049】
図5は、本発明である交流透磁率測定装置のもう一つの具体的な実施例を示す。ファンクションジェネレータ(200)などの交流電圧供給器といった電源によって、交流透磁率コイルセット(300)に交流電圧を供給し、交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流電流が通ることによって、交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流磁場が生成する。そして測定物(100)が交流透磁率コイルセット(300)に置かれる。そうすると、交流磁場の作用のため、測定物(100)は交流透磁率信号を生成する。励磁コイル(300b)によって交流磁場がピックアップコイル(300a)から出力された信号に与える影響をなくすために、図4の実施態様の説明通り、このピックアップコイル(300a)は抵抗分圧回路(600)に接続することとする。本実施態様では、さらにSN比を増やすために、抵抗分圧回路(600)から出力される電圧を信号増幅回路(700)へ入力し、また信号受信ユニット(400)を通じて、フーリエ変換ハードウェアやフーリエ変換ソフトウェア、ファームウェアなどの信号変換ユニットに送ることによって、交流透磁率信号をスペクトル信号へ変換する。それは、異なる交流周波数の下で、測定物(100)の交流透磁率における実部と虚部の値、または交流透磁率の強度と位相差との変化関係を分析するためである。さらにこの変化関係をPCや液晶ディスプレイ、テレビなどの外部ディスプレイによって表示する。
【0050】
前記の実施例に続き、図6は前記実施例において、交流透磁率測定装置に含まれる抵抗分圧回路(600)と、交流透磁率コイルセット(300)の中のピックアップコイル(300a)との接続関係をさらに示すものである。図3で説明した通り、ピックアップコイル(300a)は多重のコイルによるもので、このピックアップコイル(300a)とは勾配ファラデーコイルで、プラスチック・スチール材で作られたチューブ本体に銅線コイルが巻かれたものである。チューブは上下二段として巻く方向が反対方向になっており、勾配ファラデーコイルの上下二段ではそれぞれ抵抗分圧回路(600)の電気抵抗器と可変抵抗器に接続する。図6で示されている抵抗器は5KΩで、可変抵抗器は100Ωであるが、この抵抗分圧回路(600)は違うオームの抵抗器と接続方法を使うことも可能で、必ずしも実施例と同じようにしなければいけないわけではない。交流透磁率コイルセット(300)のなかに測定物(100)が置かれると、交流磁場によって励磁され、交流透磁率の信号を生成する。そしてピックアップコイル(300a)によって交流透磁率信号をAC電圧信号に変換する。このAC電圧信号は抵抗分圧回路(600)を通った後、励磁コイル(300b)によって交流磁場がピックアップコイル(300a)から出力する信号に対する影響をなくすように、抵抗器の分圧が互いに除去され、最後には抵抗分圧回路(600)のAとBという両端から電圧が出力される。
【0051】
図7に示したのは、本発明の一つの実施態様とする測定物(100)の交流透磁率を測定する方法である。まずは、測定物(100)なしの場合、交流透磁率信号を測定するステップ(S710)と測定物(100)ありの場合、交流透磁率信号を測定するステップ(S714)を同じ時間で進む。そして次のステップ(S711)と(S715)に進み、前記した交流透磁率信号を高速フーリエ変換によってスペクトル信号に変換し、ステップ(S712)と(S716)では、測定物(100)なしの場合で透磁率強度χo,airと位相差φairを生成し、また測定物(100)ありの場合で透磁率強度χo,mixと位相差φmixを生成する。次のステップ(S713)と(S717)に行くと、測定物(100)なしの場合での透磁率強度χo,airと位相差φair、それから測定物(100)ありの場合での透磁率強度χo,mixと位相差φmixをタイムドメイン信号に変換する。そしてステップ(S713)で測定物(100)なしの場合で得たタイムドメイン信号と、ステップ(S717)で測定物(100)ありの場合で得たタイムドメイン信号を減算演算し、ステップ(S718)のように、測定物(100)のタイムドメイン信号の差の値を得た後、高速フーリエ変換を行う。最後に次のステップ(S719)では、測定物(100)の透磁率強度χo,sampleと位相差φsampleを生成し、さらに透磁率の振り幅と外部磁場に対する位相によって、測定物(100)の交流透磁率強度信号の実部と虚部の値を得る。
【0052】
図8は、本発明のもう一つの実施態様とする測定物(100)の交流透磁率を測定する方法である。まずはステップ(S810)に進み、測定物(100)なしの場合での交流透磁率を測定する。そしてステップ(S811)では、この交流透磁率信号を高速フーリエ変換を通じてスペクトル信号に変換する。そして次のステップ(S812)では透磁率強度χo,airと位相差φairを生成する。さらにタイムドメイン信号に変換し(S813)、測定物(100)なしの場合でのスペクトル信号をタイムドメイン信号に変換する。
【0053】
前記のような測定物(100)なしの場合での交流透磁率信号を測定するステップが終わったら、次は測定物(100)を置き、交流透磁率を測定するというステップ(S814)に進む。また次のステップ(S815)に進み、交流透磁率信号を高速フーリエ変換を通してスペクトル信号に変換する。そして次のステップ(S816)では、透磁率強度χo,mixと位相差φmixを生成する。さらにスペクトルとタイムドメイン信号変換というステップ(S817)に進み、測定物(100)を入れた後のスペクトル信号をタイムドメイン信号に変換する。
【0054】
続いて、ステップ(S813)で得た測定物(100)なしの場合でのタイムドメイン信号と、ステップ(S817)で測定物(100)を入れた後に得たタイムドメイン信号を減算演算する。ステップ(S818)の通り、測定物(100)のタイムドメイン信号の差の値がわかるようになったら、高速フーリエ変換に進む。最後は、ステップ(S819)に進み、測定物(100)の透磁率強度χo,sampleと位相差φsampleを生成し、透磁率の振り幅と外部磁場に対する位相によって、測定物(100)の交流透磁率強度信号の実部と虚部の値を得る。
【0055】
図9は、本発明のもう一つの実施態様とする測定物(100)の交流透磁率を測定する方法である。まずはステップ(S914)のように測定物(100)を入れて交流透磁率を測定する。そしてステップ(S915)のようにこの交流透磁率信号を高速フーリエ変換を通してスペクトル信号に変換し、次のステップ(S916)では、透磁率強度χo,mixと位相差φmixを生成する。さらにスペクトルとタイムドメイン信号変換というステップ(S917)に進み、測定物(100)が置かれた後のスペクトル信号をタイムドメイン信号に変換する。
【0056】
上述した測定物(100)が置かれたときの交流透磁率信号を測定するといったステップが終わると、次は測定物(100)を外し、ステップ(S910)に進み、交流透磁率を測定する。そしてステップ(S911)では、測定物(100)なしの場合での交流透磁率信号を高速フーリエ変換を通してスペクトル信号に変換し、そしてステップ(S912)のように透磁率強度χo,airと位相差φairを生成する。その後、スペクトルからタイムドメインに変換というステップ(S913)に進み、測定物(100)なしの場合でのスペクトル信号をタイムドメイン信号に変換する。
【0057】
続いて、ステップ(S917)のように測定物(100)が置かれた後のタイムドメイン信号と、ステップ(S913)のように測定物(100)なしの場合でのタイムドメイン信号を減算演算する。そしてステップ(S918)の通り、測定物(100)のタイムドメイン信号の差の値がわかるようになり、さらに高速フーリエ変換を行う。最後には、次のステップ(S919)に進み、測定物(100)の透磁率強度χo,sampleと位相差φsampleを生成し、透磁率の振り幅と外部磁場に対する位相によって、測定物(100)の交流透磁率強度信号の実部と虚部の値を得る。
【0058】
前記の通り、本発明である交流透磁率測定装置及び測定方法にしたがって、磁性流体の測定実施例を示した。ただし本発明の測定物(100)の状態や種類は前記の通りとは限らない。つまり、固体、液体又は気体であっても、そして磁性体又は非磁性体であっても、本発明である交流透磁率測定装置を使って、交流透磁率を測定することができる。
【0059】
本実施例は、異なる磁性濃度における磁性流体の透磁率が外部磁場の周波数によって変化することを測定したものである。使われた磁性流体は、濃度が6.0emu/g、3.6emu/g、2.0emu/g及び1.2emu/gといったケロシンベース、又は水性物である。磁性流体はガラス管などに入れて、そしてピックアップコイルの中に入れた。本発明の交流透磁率測定装置を使用し、この4種類の濃度の磁性流体の交流透磁率強度と位相差が外部磁場の周波数によって変化する関係を測定した。図10の上の図から明らかなように、4種類の濃度の磁性流体における交流透磁率強度(χac,o)は外部磁場周波数によって変化し、また、下の図から明らかなように、磁性流体の磁気双極子と外部磁場との位相差(θ)は外部磁場周波数によって変化する。ここで示している位相差(θ)はすべてマイナスとなる。それは図11を参照すると、磁性流体の磁気双極子(M)の方向は、外部磁場(H)の方向とは不一致であり、また外部磁場(H)に遅れることがわかる。
【0060】
なお、前記のような磁性流体の実施例によって、実際の磁性流体透磁率における実部と虚部が外部磁場周波数によって変化する値を測定できる。さらに、図12で示したように、この4種類の濃度の磁性流体の交流透磁率における実部(Re[χac,o])と虚部(Im[χac,o])が外部磁場周波数によって変化する関係がわかる。
【0061】
前記のように詳しく本発明における好ましい各実施例を説明してきたが、この技術に詳しい人であれば分かるように、以下の特許請求の範囲と原則の下で、様々な変化を行うことができ、また説明書の実施例の実施方法とは限らない。
【符号の説明】
【0062】
100:測定物
200:ファンクションジェネレータ
300:交流透磁率コイルセット
300a:ピックアップコイル
300b:励磁コイル
400:信号受信ユニット
500:信号処理ユニット
600:抵抗分圧回路
700:増幅回路
【技術分野】
【0001】
本発明は交流透磁率測定装置及びその測定方法に関し、特に、交流透磁率の強度と位相差及び/又は交流透磁率の実部値と虚部値の変化値を測定する装置と方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外部磁場において、磁性体の磁気双極子モーメントの方向は、磁気効果によって外部磁場方向に沿う傾向がある。外部磁場は交流磁場で、なお且つ交流周波数が高くない場合、例えばマイクロ波周波数のなかの低周波エリアでは、磁性体の磁気双極子モーメント方向は交流磁場によって往復する周期的な振動をする。そうすると、磁気双極子の振動周波数は外部磁場の周波数と一致となる。ただし瞬間の磁気双極子運動方向は外部磁場運動方向とは必ずしも一致することではないので、実際の磁場方向は予想の磁場方向とは不一致する場合がある。このような周期的な振動の位相差は即ち磁場位相差という。磁性体の外部磁場における交流透磁率は、その透磁率強度と位相差によって明らかにすることができる。
【0003】
周知の磁気特性測定装置というと、ここでは米国特許第6683452号明細書で開示された、磁束密度を通じて金属の内部損失又は金属形状を測定する装置を例とする。この装置は、磁場発生装置や磁束密度測定ユニット、磁束密度変化測定ユニット及び表示ユニットが含まれ、また表示ユニットはさらにシンクロする部分や信号増幅装置、アナログ信号からデジタル信号へと変換する部、表示部が含まれている。磁場発生装置と磁束密度測定ユニットの信号を分析することによって、オンタイムの磁束密度変化結果を表示することができる。しかしこの装置は磁束密度を測定することが目的なので、交流透磁率と磁場位相差を測定することは不可である。
【0004】
また、米国特許出願公開第2009/0102458号明細書で開示された透磁率測定装置では、磁性材は磁性環境において、磁場とは相互作用が生まれるが、この装置は磁性材の透磁率を測定できるものの、磁場位相差や交流透磁率の実部と虚部の値を測定することができない。本発明装置は、米国特許出願公開第2009/0102458号明細書で開示された透磁率測定装置と比べると、測定物の透磁率強度と位相差を測定出来るだけではなく、さらに交流透磁率の実部と虚部の値を測定することができ、また測定物の透磁率が異なった周波数での変化を測定可能である。
【0005】
なお、米国特許第7541805号明細書で開示されている超伝導量子干渉素子が含まれた磁性体特性測定システムでは、測定物が交流磁場に置かれたとき、超伝導量子干渉素子は超伝導ピックアップコイルの磁束密度変化を測定し、そして交流信号が出力される。この信号は実部信号と虚部信号が含まれており、もし参考電圧の信号と不一致の場合、実部信号と虚部信号は不的確に分離することになる。この点から見ると、測定結果は誤差を減らすように位相を調整しなければいけないことがわかった。従って、この測定システムの信号は実部信号と虚部信号が含まれているものの、引き続き位相の調整が必要かどうかを判断するためだけであり、その目的は位相差を減らし、測定結果をより正確にするが、透磁率の強度と位相差が異なった周波数での変化を測定することができず、また交流透磁率の実部と虚部の値を得ることができない。また、米国特許第7541805号明細書で使われている超伝導量子干渉素子の含まれた磁性体特性測定システムは、価格が高く、そして操作条件が厳しいものであり、精密機器室しか通用できず、精密機器室を持たない業界や一般学界の初級用には向いてない。本発明装置は米国特許第7541805号明細書で開示する超伝導量子干渉素子の含まれた磁性体特性測定システムと比べ、測定物の透磁率強度と位相差を測定できるだけではなく、さらに交流透磁率の実部と虚部の値を測定することができ、また、異なった周波数における測定物の交流透磁率の変化を測定可能である。
【0006】
本発明は簡単な交流透磁率コイルセットを使い、前記の米国特許第6683452号明細書と米国特許出願公開第2009/0102458号明細書の欠点、即ち、測定物の透磁率強度と位相差や交流透磁率の実部と虚部の値、また測定物の透磁率が異なった周波数での変化を測定不可といった問題点を解決できる。さらに、本発明は米国特許第7541805号明細書の高価と厳しい操作条件のため精密機器室しか通用できない難点も解決できるのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的とは、交流磁場における測定物の交流透磁率強度或いは位相差の変化を測定できる交流透磁率測定装置を提供することである。
【0008】
本発明のもう一つの目的とは、交流磁場における測定物の交流透磁率強度或いは位相差を測定でき、また交流透磁率コイルセットが含まれている交流透磁率測定装置を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的とは、異なる周波数の交流磁場における測定物の交流透磁率変化を測定できる交流透磁率測定装置を提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの目的とは、異なる周波数の交流磁場における測定物の交流透磁率の実部と虚部の変化を測定できる交流透磁率測定装置を提供することである。
【0011】
本発明のもう一つの目的とは、測定物の交流透磁率強度信号と位相信号を測定できる交流透磁率測定方法を提供することである。
【0012】
本発明のもう一つの目的とは、測定物の交流透磁率の実部と虚部の変化を測定できる交流透磁率測定方法を提供することである。
【0013】
本発明のもう一つの目的とは、異なる周波数の交流磁場における測定物の交流透磁率変化を測定できる交流透磁率測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するための、本発明の実現技術は下記の通りである。
【0015】
交流電気信号を生成するファンクションジェネレータ、
前記ファンクションジェネレータの交流電気信号の変化によって交流磁場を生成する励磁コイル、及び、励磁コイルの交流磁場の変化によって感応する交流透磁率信号をピックアップするピックアップコイル、を少なくとも含む交流透磁率コイルセット、
ピックアップコイルによる交流透磁率信号を受信する信号受信ユニット、及び、
信号受信ユニットによる交流透磁率信号を処理し、交流透磁率強度と位相差、及び/又は、交流透磁率の実部と虚部の値を算出する信号処理ユニット、
を含む交流透磁率測定装置。
【0016】
前記のファンクションジェネレータはよく知られているファンクションジェネレータであればよい。例えば、台湾のGood Will Instrument社が生産したSFG−1000シリーズファンクションジェネレータやアメリカのStanford Research Systems社のSRS DS335製品などである。
【0017】
前記の励磁コイルは市販のコイル、例えばヘルムホルツコイル等が用いられる。または自製励磁コイル、例えばソレノイドコイルであればよい。自製励磁コイルの場合、よく知られている材料で作ることができる。例えばプラスチック・スチール材で加工し、外側には銅製のコイル線で巻くことにより自製励磁コイルを形成することができる。
【0018】
前記の交流透磁率コイルセットに含まれる励磁コイルと、ファンクションジェネレータの接続方法は電気接続とする。例えば交流磁場を生成するように、励磁コイルがファンクションジェネレータに接続するものとする。
【0019】
前記のピックアップコイルは自製、またはよく知られているピックアップコイルであればよい。勾配磁場コイルやファラデーコイルがより好ましい。
【0020】
前記の励磁コイルに対するピックアップコイルの位置は、順調に感応できるなら特に限定はされないが、ピックアップコイルが励磁コイルの真ん中で、さらに同軸が特に好ましい。
【0021】
前記の信号受信ユニットはよく知られている信号受信ユニットであればよい。例えばアメリカのNational Instruments社の製品NI PCI−6221等が挙げられる。
【0022】
前記信号処理ユニットは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアの何れでもよいが、ソフトウェア、またはファームウェアのほうがより好ましい。また、タイムドメイン信号とスペクトル信号の処理能力を向上するために、高速フーリエ変換プログラムを含んだほうがより好ましい。
【0023】
前記の交流透磁率測定装置は、さらに信号増幅回路を含むことができる。ピックアップコイルによって出力された信号が増幅された後、スモール信号に対する感度を上げるために信号受信ユニットによってピックアップされ、そして最後に信号処理ユニットによって、この交流透磁信号をスペクトル信号へと変換し、出力する。この信号増幅回路はよく知られているものでよく、倍率を調整できるものが好ましい。また、この信号増幅回路は直接信号受信ユニットとともに単一の回路になることも可能である。
【0024】
前記の交流透磁率測定装置の測定結果は、メモリーやストレージ、または直接ディスプレイに表示することが可能である。従って、この交流透磁率測定装置はさらに測定結果を表示するための表示ユニット、及び/又は、測定結果を保存するための保存ユニットを含められることもできる。もちろん、測定結果は外部から接続する保存装置に保存されたり、表示装置に表示されたりすることが可能である。
【0025】
前記の交流透磁率測定装置は、さらに交流透磁率コイルセットと結合した抵抗分圧回路を含む。この抵抗分圧回路は、励磁コイルによって交流磁場がピックアップコイルから出力された信号に対する影響をなくすために、交流透磁率コイルセットのピックアップコイルに接続されている。そしてこのピックアップコイルから出力された信号はまた信号受信ユニットによってピックアップされ、最後に信号処理ユニットによって交流透磁信号からスペクトル信号へと変換する。
【0026】
また、一般の電機・電子・物理・材料などの実験室では、大体ファンクションジェネレータが備えられているので、この現状に合わせるため、本発明のもう一つ交流透磁率測定装置は外部のファンクションジェネレータに接続できる、下記の通りのものが含まれている交流透磁率測定装置である。
・外部のファンクションジェネレータに接続し、そのファンクションジェネレータからの交流電気信号によって交流磁場を生成するコイルセットと、
この励磁コイルの交流磁場変化によって測定物が感応する交流透磁信号をピックアップするピックアップコイル、
を少なくとも含む交流透磁率コイルセット、
・ピックアップコイルによる交流透磁率信号を受信する信号受信ユニット、
・信号受信ユニットの交流透磁率信号を処理し、交流透磁率強度と位相差、及び/又は、交流透磁率の実部と虚部の値を算出する信号処理ユニット
【0027】
前記の励磁コイルとピックアップコイル、信号受信ユニット、信号処理ユニットの詳細と接続関係は前記の通りである。
【0028】
前記のファンクションジェネレータに外部接続する交流透磁率測定装置は前記の通り、さらに信号増幅回路、及び/又は抵抗分圧回路が含まれ、機能と接続方法は前記の通りである。
【0029】
本発明はさらに交流透磁率の測定方法であり、測定方法は下記のステップが含まれている:
・交流透磁率測定ステップ:測定物の交流透磁率信号と対照物の交流透磁率信号をそれぞれ測定する。
・第一信号変換ステップ:交流透磁率測定ステップで得た測定物の交流透磁率信号と対照物の交流透磁率信号を、それぞれ測定物のスペクトル信号と対照物のスペクトル信号へ変換する。
・第二信号変換ステップ:第一信号変換ステップで得た測定物のスペクトル信号と対照物のスペクトル信号を、それぞれ測定物のタイムドメイン信号と対照物のタイムドメイン信号へと変換する。
・減算演算ステップ:第二信号変換ステップで得た測定物のタイムドメイン信号と対照物のタイムドメイン信号を減算演算し、測定物のタイムドメイン信号の差を得る。
・差値変換ステップ:測定物のタイムドメイン信号の差の値をスペクトル信号へ変換する。
・タイムドメイン信号差値出力ステップ:タイムドメイン信号の差の値を出力する。
【0030】
そのなか、交流透磁率測定ステップや第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップの進行順は順番通り、または交互として進行してもいいとする。
【0031】
前記の対照物とは、基本的には空気を指す。前記の交流透磁率測定ステップでは、測定物の交流透磁率信号を測定することと対照物の交流透磁率信号を測定する順番は、特に決まってはいない。
【0032】
前記の第一信号変換ステップでは、測定物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換することと、対照物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換する順番は特に決まってはいない。
【0033】
前記の第二信号変換ステップでは、測定物のスペクトル信号をタイムドメイン信号へと変換することと、対照物のスペクトル信号をタイムドメイン信号へと変換する順番は特に決まってはいない。
【0034】
前記の交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップの進行順を順番通りで進行することとは、まず交流透磁率測定ステップを実施して、そして第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行することを指す。
【0035】
前記の交流透磁率測定ステップ、第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップの進行順を交互として進行することとは、交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップを交互で進行すること、つまり交流透磁率測定ステップが進行する最中で、第一信号変換ステップの一部を進行できることをいう。例えば測定物の交流透磁率を測定した後、すぐスペクトル信号に変換し、そして対照物の交流透磁率を測定し、スペクトル信号に変換する。もちろん、測定結果と対照物の順番は変えてもよい。つまり対照物の交流透磁率を測定し、すぐスペクトル信号に変換した後、測定物の交流透磁率を測定し、スペクトル信号に変換することをいう。
【0036】
同じように、第一信号変換ステップと第二信号変換ステップを交互として進行するとは、第一信号変換ステップが進行する最中で、第二信号変換ステップの一部を進行し、例えば測定物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換した後、タイムドメイン信号に変換し、そして対照物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換し、さらにタイムドメイン信号に変換することをいう。もちろん測定物と対照物の順番も変えてよい。即ち、対照物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換した後、すぐタイムドメイン信号に変換する。次は測定物の交流透磁率信号をスペクトル信号に変換し、さらにタイムドメイン信号に変換する。
【0037】
この点からみれば明らかなように、第一信号変換ステップと第二信号変換ステップの変換手順は平行で進行することができる。例えばデュアルコア技術を使い、一つのコアでは測定物の第一信号変換ステップと第二信号変換ステップを進行し、もう一つのコアでは対照物の第一信号変換ステップと第二信号変換ステップを進行する。
【0038】
前記の交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップの進行順は順番通りから、または交互として進行してもいいとは、完全に順番通りで進行することと、完全に交互で進行すること、または一部順番通りで進行すること、一部交互で進行することを指すが、完全に順番通りで進行することがベストとする。
【0039】
前記の完全に交互で進行することとは、測定物に対して、順番通り交流透磁率測定ステップ、第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行した後、対照物に対して順番通り交流透磁率測定ステップ、第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行することをいう。図9とその説明を参考すれば明らかである。もしくは、対照物に対して順番通り交流透磁率測定ステップ、第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行した後、測定物に対して順番通り交流透磁率測定ステップ、第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行する。図8とその説明を参考すれば分かる。
【0040】
前記の一部順番通り、一部交互として進行するとは、例えば交流透磁率測定ステップを進行した後、第一信号変換ステップと第二信号変換ステップを交互で進行する、また、交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップを交互で進行した後、第二信号変換ステップを進行することをいう。
【0041】
本発明の交流透磁率測定方法に従い、順番通りまたは交互で交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップを進行した後、測定物のタイムドメイン信号と対照物のタイムドメイン信号を減算演算にし、測定物のタイムドメイン信号の差の値を算出した後、スペクトル信号の差の値に変換し、出力することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の交流透磁率を測定する装置及びその測定方法により、測定物の透磁率強度と位相差を測定出来るだけではなく、さらに交流透磁率の実部と虚部の値を測定することができ、また測定物の透磁率が異なった周波数での変化を測定可能である。また、安価で精密機器室以外でも使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は本発明である交流透磁率測定装置の好ましい実施例の説明図面である。
【図2】図2は図1の実施例において、交流透磁率コイルセットの構造と測定物の位置を示した図面である。
【図3】図3は本発明のもう一つの実施態様である交流透磁率測定装置の構造説明図面である。
【図4】図4は本発明のもう一つの実施態様である交流透磁率測定装置の構造説明図面である。
【図5】図5は本発明のもう一つの実施態様である交流透磁率測定装置の構造説明図面である。
【図6】図6は本発明の実施態様であるピックアップコイルと抵抗分圧回路との接続を説明する図面である。
【図7】図7は本発明実施態様である交流透磁率測定方法の流れ図の一つである。
【図8】図8は本発明実施態様である交流透磁率測定方法の流れ図の一つである。
【図9】図9は本発明実施態様である交流透磁率測定方法の流れ図の一つである。
【図10】図10は本発明実施態様であり、外部磁場周波数が変化することによる、異なる濃度の磁性流体の交流透磁率強度と位相の変化の測定結果を示す関係図である。
【図11】図11は本発明実施態様であり、磁性流体の磁気双極子と外部磁場周波数との位相差を測定する図面である。
【図12】図12は本発明実施態様に従い、磁性流体の透磁率実部と虚部の外部磁場周波数による変化を測定する関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の交流透磁率測定装置及びその方法が前述のほかの目的と特性、機能をより分かりやすくするために、下記の具体的な実施例そして図式を通じて、詳細の説明をする。
【実施例】
【0045】
図1は、本発明である交流透磁率測定装置の具体的な実施例の一つであり、本発明の実施態様である交流透磁率測定装置の説明図面である。この交流透磁率測定装置に内蔵しているファンクションジェネレータ(200)が、交流電圧を交流透磁率コイルセット(300)に提供することで、交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流電流が通るようにし、そして交流透磁率コイルセット(300)内で交流磁場が生成する。測定物がこの交流透磁率コイルセット(300)に置かれたら、その交流コイルセット(300)の交流磁場は変化し、交流透磁率信号が出る。この交流透磁率コイルセット(300)による交流透磁率信号は、信号受信ユニット(400)によってピックアップされ、信号処理ユニット(500)に移される。そしてこの信号処理ユニット(500)の変換システム、例えばフーリエ変換ハードウェアやソフトウェア、またはファームウェアを通じて測定物の交流透磁率信号は交流透磁率強度と位相差に変換され、さらに交流透磁率強度信号は交流透磁率実部信号と交流透磁率虚部信号として交流透磁率の実部と虚部の値を表示するようになる。また、ファンクションジェネレータ(200)から出力された交流電圧周波数を変えることによって、異なる強度の磁場において測定物の透磁率を測定することができる。その後、測定物の交流透磁率と外部磁場の周波数との関係図を作成することによって、処理済みの信号をPCや液晶ディスプレイ、もしくはテレビなどの外部ディスプレイに表示するができる。
【0046】
図2は図1で示される具体的な実施例のなかで、交流透磁率コイルセット構造に関する説明図面である。図面に示すとおり、測定物(100)を交流透磁率コイルセット(300)のなかに置く。この交流透磁率コイルセット(300)のピックアップコイル(300a)は勾配磁場コイルまたはファラデーコイルとし、プラスチック・スチール材で作られたチューブ本体を、銅線コイルで巻かれるものとする。チューブは上下二段として、コイルの巻く方向は上下で反対である。このピックアップコイル(300a)は測定物(100)の交流透磁率信号を測定するために、外にはプラスチック・スチール材で加工し銅線コイルが巻かれた励磁コイル(300b)に包まれ、ファンクションジェネレータ(200)に接続する。そうすると、この励磁コイル(300b)は交流磁場を生成し、交流透磁率信号はピックアップコイル(300a)による平面磁束を透過し、時間によって周期的な変化が生じることによって、ピックアップコイル(300a)では周期的な交流電圧が生まれる。この交流電圧の振り幅の乗積は交流変化周波数と交流透磁率信号とは正比例である。従って、このピックアップコイル(300a)から出力された電圧によって測定物(100)が既知の交流周波数の下で生成する交流透磁率信号を測定することができる。
【0047】
図3は、本発明である交流透磁率測定装置の具体的な実施例の一つとして、本発明実施態様である交流透磁率のもう一つ測定装置の説明図である。外部接続の電源、例えばファンクションジェネレータ(200)などの交流電圧供給器によって、交流電圧を交流透磁率コイルセット(300)に提供し、この交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流電圧が通ることにより、交流透磁率コイルセット(300)において交流磁場を生成する。前述の測定物(100)をこの交流透磁率コイルセット(300)に置くと、交流透磁率コイルセット(300)の交流透磁率信号はさらに信号受信ユニット(400)によって信号処理ユニット(500)に運ばれ、信号処理ユニット(500)の変換システム、例えばフーリエ変換ハードウェアやフーリエ変換ソフトウェア、フーリエ変換ファームウェアなどを通じて測定物(100)の交流透磁率信号は交流透磁率強度と位相差に変換され、さらにこの交流透磁率強度信号は交流透磁率の実部信号と交流透磁率虚部信号によって交流透磁率の実部と虚部の値を表示することができる。なお、ファンクションジェネレータ(200)から出力された交流電圧周波数を変えることによって、違う強度の磁場における測定物(100)の透磁率を測定でき、さらに測定物(100)の交流透磁率と外部磁場周波数との間の関係図を作ることができる。また、この処理済みの信号を外部ディスプレイ例えばPCや液晶ディスプレイ、テレビに出力し、表示できるようになる。
【0048】
前記の実施例に引き続き、図4は本発明の実施態様である交流透磁率のもう一つの測定装置の説明図である。ファンクションジェネレータ(200)などの交流電圧供給器といった電源を通じ、交流電圧を交流透磁率コイルセット(300)に供給し、交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流電圧が通ることにより、交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流磁場が生成する。そして前記の測定物(100)をこの交流透磁率コイルセット(300)に放置し、交流磁場の作用のため、測定物(100)は励磁され、交流透磁率信号を生成し、また交流透磁率コイルセット(300)のピックアップコイル(300a)によって出力される周期的な交流電圧から、測定物(100)が既知の交流周波数の下で生成する交流透磁率信号を得ることができる。前記の図3の説明通り、励磁コイル(300b)によって交流磁場がピックアップコイル(300a)から出力された信号に対する影響をなくすために、本実施態様のピックアップコイル(300a)はさらに抵抗分圧回路(600)を接続することができる。ピックアップコイル(300a)から出力された交流電圧は抵抗分圧回路(600)を通過し、そして信号受信ユニット(400)を通じて信号処理ユニット(500)にピックアップされ、信号処理ユニット(500)の変換システム、例えばフーリエ変換ハードウェアやフーリエ変換ソフトウェア、フーリエ変換ファームウェアなどによって、信号受信ユニット(400)を通じて信号処理ユニット(500)にピックアップされた瞬時電圧信号をスペクトル信号に変換することができ、さらにこの交流透磁率コイルセット(300)のなかで生成する交流周波数の下で、測定物(100)の交流透磁率実部と虚部の値または交流透磁率の強度と位相差との関係を数値で分析する。また、ファンクションジェネレータ(200)から出力された異なる交流電圧周波数を変えることによって、測定物(100)の交流透磁率と外部磁場周波数との間の関係図を作ることができ、さらに処理済みの信号を外部ディスプレイ例えばPCや液晶ディスプレイ、テレビに表示できるようになる。
【0049】
図5は、本発明である交流透磁率測定装置のもう一つの具体的な実施例を示す。ファンクションジェネレータ(200)などの交流電圧供給器といった電源によって、交流透磁率コイルセット(300)に交流電圧を供給し、交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流電流が通ることによって、交流透磁率コイルセット(300)のなかで交流磁場が生成する。そして測定物(100)が交流透磁率コイルセット(300)に置かれる。そうすると、交流磁場の作用のため、測定物(100)は交流透磁率信号を生成する。励磁コイル(300b)によって交流磁場がピックアップコイル(300a)から出力された信号に与える影響をなくすために、図4の実施態様の説明通り、このピックアップコイル(300a)は抵抗分圧回路(600)に接続することとする。本実施態様では、さらにSN比を増やすために、抵抗分圧回路(600)から出力される電圧を信号増幅回路(700)へ入力し、また信号受信ユニット(400)を通じて、フーリエ変換ハードウェアやフーリエ変換ソフトウェア、ファームウェアなどの信号変換ユニットに送ることによって、交流透磁率信号をスペクトル信号へ変換する。それは、異なる交流周波数の下で、測定物(100)の交流透磁率における実部と虚部の値、または交流透磁率の強度と位相差との変化関係を分析するためである。さらにこの変化関係をPCや液晶ディスプレイ、テレビなどの外部ディスプレイによって表示する。
【0050】
前記の実施例に続き、図6は前記実施例において、交流透磁率測定装置に含まれる抵抗分圧回路(600)と、交流透磁率コイルセット(300)の中のピックアップコイル(300a)との接続関係をさらに示すものである。図3で説明した通り、ピックアップコイル(300a)は多重のコイルによるもので、このピックアップコイル(300a)とは勾配ファラデーコイルで、プラスチック・スチール材で作られたチューブ本体に銅線コイルが巻かれたものである。チューブは上下二段として巻く方向が反対方向になっており、勾配ファラデーコイルの上下二段ではそれぞれ抵抗分圧回路(600)の電気抵抗器と可変抵抗器に接続する。図6で示されている抵抗器は5KΩで、可変抵抗器は100Ωであるが、この抵抗分圧回路(600)は違うオームの抵抗器と接続方法を使うことも可能で、必ずしも実施例と同じようにしなければいけないわけではない。交流透磁率コイルセット(300)のなかに測定物(100)が置かれると、交流磁場によって励磁され、交流透磁率の信号を生成する。そしてピックアップコイル(300a)によって交流透磁率信号をAC電圧信号に変換する。このAC電圧信号は抵抗分圧回路(600)を通った後、励磁コイル(300b)によって交流磁場がピックアップコイル(300a)から出力する信号に対する影響をなくすように、抵抗器の分圧が互いに除去され、最後には抵抗分圧回路(600)のAとBという両端から電圧が出力される。
【0051】
図7に示したのは、本発明の一つの実施態様とする測定物(100)の交流透磁率を測定する方法である。まずは、測定物(100)なしの場合、交流透磁率信号を測定するステップ(S710)と測定物(100)ありの場合、交流透磁率信号を測定するステップ(S714)を同じ時間で進む。そして次のステップ(S711)と(S715)に進み、前記した交流透磁率信号を高速フーリエ変換によってスペクトル信号に変換し、ステップ(S712)と(S716)では、測定物(100)なしの場合で透磁率強度χo,airと位相差φairを生成し、また測定物(100)ありの場合で透磁率強度χo,mixと位相差φmixを生成する。次のステップ(S713)と(S717)に行くと、測定物(100)なしの場合での透磁率強度χo,airと位相差φair、それから測定物(100)ありの場合での透磁率強度χo,mixと位相差φmixをタイムドメイン信号に変換する。そしてステップ(S713)で測定物(100)なしの場合で得たタイムドメイン信号と、ステップ(S717)で測定物(100)ありの場合で得たタイムドメイン信号を減算演算し、ステップ(S718)のように、測定物(100)のタイムドメイン信号の差の値を得た後、高速フーリエ変換を行う。最後に次のステップ(S719)では、測定物(100)の透磁率強度χo,sampleと位相差φsampleを生成し、さらに透磁率の振り幅と外部磁場に対する位相によって、測定物(100)の交流透磁率強度信号の実部と虚部の値を得る。
【0052】
図8は、本発明のもう一つの実施態様とする測定物(100)の交流透磁率を測定する方法である。まずはステップ(S810)に進み、測定物(100)なしの場合での交流透磁率を測定する。そしてステップ(S811)では、この交流透磁率信号を高速フーリエ変換を通じてスペクトル信号に変換する。そして次のステップ(S812)では透磁率強度χo,airと位相差φairを生成する。さらにタイムドメイン信号に変換し(S813)、測定物(100)なしの場合でのスペクトル信号をタイムドメイン信号に変換する。
【0053】
前記のような測定物(100)なしの場合での交流透磁率信号を測定するステップが終わったら、次は測定物(100)を置き、交流透磁率を測定するというステップ(S814)に進む。また次のステップ(S815)に進み、交流透磁率信号を高速フーリエ変換を通してスペクトル信号に変換する。そして次のステップ(S816)では、透磁率強度χo,mixと位相差φmixを生成する。さらにスペクトルとタイムドメイン信号変換というステップ(S817)に進み、測定物(100)を入れた後のスペクトル信号をタイムドメイン信号に変換する。
【0054】
続いて、ステップ(S813)で得た測定物(100)なしの場合でのタイムドメイン信号と、ステップ(S817)で測定物(100)を入れた後に得たタイムドメイン信号を減算演算する。ステップ(S818)の通り、測定物(100)のタイムドメイン信号の差の値がわかるようになったら、高速フーリエ変換に進む。最後は、ステップ(S819)に進み、測定物(100)の透磁率強度χo,sampleと位相差φsampleを生成し、透磁率の振り幅と外部磁場に対する位相によって、測定物(100)の交流透磁率強度信号の実部と虚部の値を得る。
【0055】
図9は、本発明のもう一つの実施態様とする測定物(100)の交流透磁率を測定する方法である。まずはステップ(S914)のように測定物(100)を入れて交流透磁率を測定する。そしてステップ(S915)のようにこの交流透磁率信号を高速フーリエ変換を通してスペクトル信号に変換し、次のステップ(S916)では、透磁率強度χo,mixと位相差φmixを生成する。さらにスペクトルとタイムドメイン信号変換というステップ(S917)に進み、測定物(100)が置かれた後のスペクトル信号をタイムドメイン信号に変換する。
【0056】
上述した測定物(100)が置かれたときの交流透磁率信号を測定するといったステップが終わると、次は測定物(100)を外し、ステップ(S910)に進み、交流透磁率を測定する。そしてステップ(S911)では、測定物(100)なしの場合での交流透磁率信号を高速フーリエ変換を通してスペクトル信号に変換し、そしてステップ(S912)のように透磁率強度χo,airと位相差φairを生成する。その後、スペクトルからタイムドメインに変換というステップ(S913)に進み、測定物(100)なしの場合でのスペクトル信号をタイムドメイン信号に変換する。
【0057】
続いて、ステップ(S917)のように測定物(100)が置かれた後のタイムドメイン信号と、ステップ(S913)のように測定物(100)なしの場合でのタイムドメイン信号を減算演算する。そしてステップ(S918)の通り、測定物(100)のタイムドメイン信号の差の値がわかるようになり、さらに高速フーリエ変換を行う。最後には、次のステップ(S919)に進み、測定物(100)の透磁率強度χo,sampleと位相差φsampleを生成し、透磁率の振り幅と外部磁場に対する位相によって、測定物(100)の交流透磁率強度信号の実部と虚部の値を得る。
【0058】
前記の通り、本発明である交流透磁率測定装置及び測定方法にしたがって、磁性流体の測定実施例を示した。ただし本発明の測定物(100)の状態や種類は前記の通りとは限らない。つまり、固体、液体又は気体であっても、そして磁性体又は非磁性体であっても、本発明である交流透磁率測定装置を使って、交流透磁率を測定することができる。
【0059】
本実施例は、異なる磁性濃度における磁性流体の透磁率が外部磁場の周波数によって変化することを測定したものである。使われた磁性流体は、濃度が6.0emu/g、3.6emu/g、2.0emu/g及び1.2emu/gといったケロシンベース、又は水性物である。磁性流体はガラス管などに入れて、そしてピックアップコイルの中に入れた。本発明の交流透磁率測定装置を使用し、この4種類の濃度の磁性流体の交流透磁率強度と位相差が外部磁場の周波数によって変化する関係を測定した。図10の上の図から明らかなように、4種類の濃度の磁性流体における交流透磁率強度(χac,o)は外部磁場周波数によって変化し、また、下の図から明らかなように、磁性流体の磁気双極子と外部磁場との位相差(θ)は外部磁場周波数によって変化する。ここで示している位相差(θ)はすべてマイナスとなる。それは図11を参照すると、磁性流体の磁気双極子(M)の方向は、外部磁場(H)の方向とは不一致であり、また外部磁場(H)に遅れることがわかる。
【0060】
なお、前記のような磁性流体の実施例によって、実際の磁性流体透磁率における実部と虚部が外部磁場周波数によって変化する値を測定できる。さらに、図12で示したように、この4種類の濃度の磁性流体の交流透磁率における実部(Re[χac,o])と虚部(Im[χac,o])が外部磁場周波数によって変化する関係がわかる。
【0061】
前記のように詳しく本発明における好ましい各実施例を説明してきたが、この技術に詳しい人であれば分かるように、以下の特許請求の範囲と原則の下で、様々な変化を行うことができ、また説明書の実施例の実施方法とは限らない。
【符号の説明】
【0062】
100:測定物
200:ファンクションジェネレータ
300:交流透磁率コイルセット
300a:ピックアップコイル
300b:励磁コイル
400:信号受信ユニット
500:信号処理ユニット
600:抵抗分圧回路
700:増幅回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンクションジェネレータが外部から接続され、このファンクションジェネレータの交流電気信号の変化によって交流磁場を生成する励磁コイル、及び、励磁コイルの交流磁場の変化によって測定物が感応する交流透磁率信号をピックアップするピックアップコイル、を少なくとも含む交流透磁率コイルセット、
ピックアップコイルによる交流透磁率信号を受信する信号受信ユニット、及び、
信号受信ユニットによる交流透磁率信号を処理し、交流透磁率強度と位相差、及び/又は、交流透磁率の実部と虚部の値を算出する信号処理ユニット、
を少なくとも含むことを特徴とする交流透磁率測定装置。
【請求項2】
前記交流透磁率コイルセットが、外部のファンクションジェネレータに接続できる出力ポートを少なくとも一つ以上含むことを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項3】
前記信号処理ユニットが、信号受信ユニットによる信号を変換する高速フーリエ変換処理システム、高速フーリエ処理ファームウェア、又は高速フーリエ処理ソフトウェアを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項4】
前記励磁コイルが、ソレノイドコイル又はヘルムホルツコイルであることを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項5】
前記ピックアップコイルが、グラジエントコイル又はファラデーコイルであることを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項6】
前記交流透磁率コイルセットと前記信号受信ユニットの間に、更に信号増幅回路が設置されることを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項7】
前記交流透磁率コイルセットに結合される抵抗分圧回路を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項8】
交流電気信号を生成するファンクションジェネレータ、
前記ファンクションジェネレータの交流電気信号の変化によって交流磁場を生成する励磁コイル、及び、励磁コイルの交流磁場の変化によって測定物が感応する交流透磁率信号をピックアップするピックアップコイル、を少なくとも含む交流透磁率コイルセット、
ピックアップコイルによる交流透磁率信号を受信する信号受信ユニット、及び、
信号受信ユニットによる交流透磁率信号を処理し、交流透磁率強度と位相差、及び/又は、交流透磁率の実部と虚部の値を算出する信号処理ユニット、
を少なくとも含むことを特徴とする交流透磁率測定装置。
【請求項9】
信号受信ユニットによる信号を変換するための、高速フーリエ変換処理システム、高速フーリエ処理ファームウェア、又は高速フーリエ処理ソフトウェアを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項10】
前記励磁コイルが、ソレノイドコイル又はヘルムホルツコイルであることを特徴とする請求項8に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項11】
前記ピックアップコイルが、グラジエントコイル又はファラデーコイルであることを特徴とする請求項8に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項12】
前記交流透磁率コイルセットと前記信号受信ユニットの間に、更に信号増幅回路が設置されることを特徴とする請求項8に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項13】
前記交流透磁率コイルセットに結合される抵抗分圧回路を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項14】
測定物の交流透磁率信号と対照物の交流透磁率信号を測定する交流透磁率測定ステップ、
交流透磁率測定ステップで得た測定物の交流透磁率信号と対照物の交流透磁率信号を、それぞれ測定物のスペクトル信号と対照物のスペクトル信号に変換する第一信号変換ステップ、
第一信号変換ステップで得た測定物のスペクトル信号と対照物のスペクトル信号を、それぞれ測定物のタイムドメイン信号と対照物のタイムドメイン信号に変換する第二信号変換ステップ、
第二信号変換ステップで得た測定物のタイムドメイン信号と対照物のタイムドメイン信号を減算演算し、測定物のタイムドメイン信号の差が分かるようになる減算演算ステップ、
測定物のスペクトル信号の差を測定物のタイムドメイン信号に変換する差値変換ステップ、
タイムドメイン信号の差の数値を出力するタイムドメイン信号差値出力ステップ、
を含み、
前記交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップは順番通り、または交互で進行することを特徴とする交流透磁率測定方法。
【請求項15】
前記測定物のスペクトル信号が、交流透磁率強度信号と位相信号を含むことを特徴とする請求項14に記載の交流透磁率測定方法。
【請求項16】
前記交流透磁率強度信号が、さらに交流透磁率実部信号と交流透磁率虚部信号として表示されることを特徴とする請求項15に記載の交流透磁率測定方法。
【請求項1】
ファンクションジェネレータが外部から接続され、このファンクションジェネレータの交流電気信号の変化によって交流磁場を生成する励磁コイル、及び、励磁コイルの交流磁場の変化によって測定物が感応する交流透磁率信号をピックアップするピックアップコイル、を少なくとも含む交流透磁率コイルセット、
ピックアップコイルによる交流透磁率信号を受信する信号受信ユニット、及び、
信号受信ユニットによる交流透磁率信号を処理し、交流透磁率強度と位相差、及び/又は、交流透磁率の実部と虚部の値を算出する信号処理ユニット、
を少なくとも含むことを特徴とする交流透磁率測定装置。
【請求項2】
前記交流透磁率コイルセットが、外部のファンクションジェネレータに接続できる出力ポートを少なくとも一つ以上含むことを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項3】
前記信号処理ユニットが、信号受信ユニットによる信号を変換する高速フーリエ変換処理システム、高速フーリエ処理ファームウェア、又は高速フーリエ処理ソフトウェアを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項4】
前記励磁コイルが、ソレノイドコイル又はヘルムホルツコイルであることを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項5】
前記ピックアップコイルが、グラジエントコイル又はファラデーコイルであることを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項6】
前記交流透磁率コイルセットと前記信号受信ユニットの間に、更に信号増幅回路が設置されることを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項7】
前記交流透磁率コイルセットに結合される抵抗分圧回路を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項8】
交流電気信号を生成するファンクションジェネレータ、
前記ファンクションジェネレータの交流電気信号の変化によって交流磁場を生成する励磁コイル、及び、励磁コイルの交流磁場の変化によって測定物が感応する交流透磁率信号をピックアップするピックアップコイル、を少なくとも含む交流透磁率コイルセット、
ピックアップコイルによる交流透磁率信号を受信する信号受信ユニット、及び、
信号受信ユニットによる交流透磁率信号を処理し、交流透磁率強度と位相差、及び/又は、交流透磁率の実部と虚部の値を算出する信号処理ユニット、
を少なくとも含むことを特徴とする交流透磁率測定装置。
【請求項9】
信号受信ユニットによる信号を変換するための、高速フーリエ変換処理システム、高速フーリエ処理ファームウェア、又は高速フーリエ処理ソフトウェアを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項10】
前記励磁コイルが、ソレノイドコイル又はヘルムホルツコイルであることを特徴とする請求項8に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項11】
前記ピックアップコイルが、グラジエントコイル又はファラデーコイルであることを特徴とする請求項8に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項12】
前記交流透磁率コイルセットと前記信号受信ユニットの間に、更に信号増幅回路が設置されることを特徴とする請求項8に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項13】
前記交流透磁率コイルセットに結合される抵抗分圧回路を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の交流透磁率測定装置。
【請求項14】
測定物の交流透磁率信号と対照物の交流透磁率信号を測定する交流透磁率測定ステップ、
交流透磁率測定ステップで得た測定物の交流透磁率信号と対照物の交流透磁率信号を、それぞれ測定物のスペクトル信号と対照物のスペクトル信号に変換する第一信号変換ステップ、
第一信号変換ステップで得た測定物のスペクトル信号と対照物のスペクトル信号を、それぞれ測定物のタイムドメイン信号と対照物のタイムドメイン信号に変換する第二信号変換ステップ、
第二信号変換ステップで得た測定物のタイムドメイン信号と対照物のタイムドメイン信号を減算演算し、測定物のタイムドメイン信号の差が分かるようになる減算演算ステップ、
測定物のスペクトル信号の差を測定物のタイムドメイン信号に変換する差値変換ステップ、
タイムドメイン信号の差の数値を出力するタイムドメイン信号差値出力ステップ、
を含み、
前記交流透磁率測定ステップと第一信号変換ステップ、第二信号変換ステップは順番通り、または交互で進行することを特徴とする交流透磁率測定方法。
【請求項15】
前記測定物のスペクトル信号が、交流透磁率強度信号と位相信号を含むことを特徴とする請求項14に記載の交流透磁率測定方法。
【請求項16】
前記交流透磁率強度信号が、さらに交流透磁率実部信号と交流透磁率虚部信号として表示されることを特徴とする請求項15に記載の交流透磁率測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−237572(P2012−237572A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104997(P2011−104997)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(511113475)磁量生技股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(511113475)磁量生技股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
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