説明

交通信号制御方法

【課題】緊急車両が交差点を通過して走行するとき、各交差点における複数の信号灯器を個別に制御して各信号灯器の点灯順序及び点灯時間を的確に変更して緊急車両の最優先走行を可能にする。
【解決手段】緊急車両が交差点における複数の車両用信号灯器4a〜4d及び歩行者用信号灯器5a〜5dを含む信号灯器を備えた経路を通って走行する場合に、最優先走行を可能にするために、信号灯器制御機3からの指令により、前記車両用信号灯器4a〜4d及び歩行者用信号灯器5a〜5dに対する点灯順序及び点灯時間を的確に変更できるようにした交通信号制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号制御方法に関するものであり、特に、緊急車両が交差点等を優先走行するとき、交差点等における複数の信号灯器に対し交通流の変更に的確に対応した点灯動作を行わせることが可能な交通信号制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の交通信号制御方法として、例えば、図4(a)、(b)〜図6に示すようなものがある。図4(a)は交差点における4基の車両用信号灯器及び8基の歩行者用信号灯器の設置態様を示し、図4(b)は同交差点で運用されている交通流を示している。図4(a)において、同じ符号同士の車両用信号灯器1a,1aは信号灯器制御機における同じ車両用出力端子に接続されており、他の同じ符号同士の車両用信号灯器1b,1bも前記信号灯器制御機における他の同じ車両用出力端子に接続されている。これと同様に、同じ符号の歩行者用信号灯器2a,2aは前記信号灯器制御機における同じ歩行者用出力端子に接続されており、他の同じ符号の歩行者用信号灯器2b,2bも前記信号灯器制御機における他の同じ歩行者用出力端子に接続されている。
【0003】
したがって、一方向の交通流を制御する車両用信号灯器1a,1a及び歩行者用信号灯器2a,…は、それぞれ常に同じタイミングで点灯し、前記一方向と交差する他方向の交通流を制御する車両用信号灯器1b,1b及び歩行者用信号灯器2b,2bも、それぞれ常に同じタイミングで点灯している。
【0004】
図4(b)は、このような車両用信号灯器1a,1a及び1b,1b並びに歩行者用信号灯器2a,2a,2b,2bで制御される交差点の交通流を示しており、通常、十字路の交差点では、前記一方向の通行と前記他方向の通行とが交互に切り替えられる交互通行の交通流、即ち、2方向の交通流を行うように形成されている。このため、車両が交差点を右折する場合は、対向車がなくなるのを待たなくてはならず、左折する場合は、歩行者の横断がないことを確認してからの通行になっている。
【0005】
そして、車両が、前記のような車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器が設置されている交差点を通過して、発進地から目的地まで走行する場合、直進方向に進む場合は進行を妨げる要素がないため、優先的に通行させることは可能である。しかし、右折もしくは左折を行う場合は、対向車や横断歩行者が進行を妨げてしまうため、緊急車両を優先的に通行させることができない。
【0006】
いま、図5において、車両が発進地Aから目的地Bまで走行する際に矢印のような経路を指示されたとする。この経路における各交差点等での交通流の制御は、図6に示すようになる。交差点C11では、右折するので、右側前方からの他の車両及び進行方向を横断する歩行者によって一時停止させられる可能性が高い。交差点C12でも右折を行うため、前記交差点C11における場合と同様に停止させられる。T字路C13の左折では、他の車両による進行の妨げはないが、横断歩行者により停止させられる。
【0007】
また、交通信号制御方法に関連する従来技術として、例えば次のような車両誘導方法が知られている。この従来技術は、緊急車両の発進地と目的地が決定した段階で、緊急車両の取り得る全経路の中から、信号機の優先制御により緊急車両の通過時点までの解消・緩和の可能性を加味した上で、最短時間で目的地に到着できる経路を検索、決定するようにしている。そして、演算処理装置は無線回線によって信号機表示制御装置、信号機表示制御端末を介して決定された経路上にある信号機に対して優先制御を行っている。この優先
制御は、1つの信号機を制御するのではなく、複数の信号機を制御するから、効率良く渋滞緩和ができるとしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許2785689号公報(第2〜3頁、図1〜図4)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図4(a)、(b)〜図6に示した従来技術に係る交通信号装置においては、一方向の交通流を制御する2基の車両用信号灯器及び4基の歩行者用信号灯器は、それぞれ常に同じタイミングで点灯し、前記一方向と交差する他方向の交通流を制御する2基の車両用信号灯器及び4基の歩行者用信号灯器も、それぞれ常に同じタイミングで点灯している。このように、交差点における信号灯器群は、同時に点灯制御される信号灯器が決められていて、制御中の変更ができないようになっている。このため、交差点等における複数の信号灯器に対し交通流の変更に的確に対応した点灯動作を直ちに行わせるのは困難である。
【0009】
また、特許文献1に記載の従来技術においては、演算処理装置によって決定された経路上にある複数の信号機について優先制御を行っている。このように、優先制御は1つの信号機を制御するのではなく、複数の信号機を制御するようにしている。このため、交差点等における複数の信号機に対し交通流の変更に的確に対応した点灯動作を直ちに行わせるのは、上記と同様に困難である。
【0010】
そこで、緊急車両が複数の交差点を通過するとき、各交差点に設置されている信号灯器の点灯順序及び点灯時間を的確に変更して、該緊急車両が最優先して走行できるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、複数の交差点の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器を制御する信号灯器制御機を備えた交通信号装置において、緊急車両が車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器を備えた複数の交差点を通過して走行する場合に、前記緊急車両が優先的に走行するように前記車両用信号灯器及び前記歩行者用信号灯器の制御方法であって、前記各信号灯器は固有の識別記号を有して前記信号灯器制御機によって個別に制御されるように構成され、且つ、該信号灯器制御機は、予め前記緊急車両の経路に応じた信号灯器の点灯順序と点灯時間の交通流制御パターンが複数記憶されており、該緊急車両が前記交差点を通過する時に該信号灯器制御機は、該緊急車両の経路に応じた前記交通流制御パターンを呼び出し、前記識別記号で識別した前記複数の信号灯器のうちの所要の信号灯器に対し、前記緊急車両の進行を妨げないように前記各信号灯器を個々に制御することを特徴とする交通信号制御方法である。
【0012】
この方法によれば、信号灯器制御機は複数の交差点における各信号灯器の点灯動作を個別に制御できる。そこで、該信号灯器制御機は緊急車両が複数の交差点を走行するとき、該緊急車両が他の一般車及び歩行者に優先して走行できるように、予め、信号灯器制御機に記憶されている交通流制御パターンのうち、該緊急車両の経路に応じた交通流制御パターンを呼び出し、そして、各信号灯器の有する識別記号で識別した所要の信号灯器が前記呼び出された交通流制御パターンに基づいて制御され、該緊急車両の優先走行が許容される。
【0013】
次に、請求項2記載の発明は、前記交通流制御パターンは、前記緊急車両が各交差点を通過する時に、他の一般車両及び歩行者が前記緊急車両の進路を妨げないように、その交差点に設置されている複数の信号灯器に対して右折優先、直進優先、左折優先の優先制御パターンにより個別に信号灯器を制御することを特徴とする請求項1記載の交通信号制御
方法を提供する。
【0014】
この方法によれば、緊急車両が各交差点を通過する時に、予め信号灯器制御機に記憶されている右折優先、直進優先、左折優先の優先制御パターンが呼び出され、之に基づいて各交差点における各信号灯器が個別に制御される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明は、複数の交差点に設置されている車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器は、固有の識別記号を有して信号灯器制御機によって個別に制御されるように構成されると共に、該信号灯器制御機には、予め緊急車両が複数の交差点を通過して走行する場合、優先して走行できるように緊急車両の経路に応じた信号灯器の点灯順序と点灯時間の交通流制御パターンが複数記憶されている。そこで、該緊急車両が前記複数の交差点を通過して走行する際に信号灯器制御機が、該緊急車両の経路に応じた交通流制御パターンを呼び出し、該呼び出された交通流制御パターンに基づいて、複数の交差点における前記識別記号で識別された各信号灯器に対し、点灯順序及び点灯時間の作動制御が実行されることになる。即ち、信号灯器制御機の指令により、各信号灯器の点灯順序及び点灯時間が変更され、指定されるだけで緊急車両が当該交差点を最優先して走行することができ、目的地まで可及的に最短時間で到達することが可能となる等、正に、著大なる効果を奏する発明である
【0016】
請求項2記載の発明は、前記交通流制御パターンは交差点に設置されている複数の信号灯器に対して右折優先、直進優先、左折優先の優先制御パターンによって信号灯器を個別に制御するように構成されているので、各信号灯器は信号灯器制御機からの指令によって各別に直進優先制御、右折優先制御又は左折優先制御が実行されることになり、依って、緊急車両の優先走行を効果的に実現できると共に、緊急車両の通行を妨げない交通流の車両走行や歩行者横断が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明は、緊急車両が交差点を通過して走行するとき、各交差点に設置されている信号灯器の点灯順序及び点灯時間を的確に変更して該緊急車両の最優先走行を可能にすると云う目的を達成するために、複数の交差点の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器を制御する信号灯器制御機を備えた交通信号装置において、緊急車両が車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器を備えた複数の交差点を通過して走行する場合に、前記緊急車両が優先的に走行するように前記車両用信号灯器及び前記歩行者用信号灯器の制御方法であって、前記各信号灯器は固有の識別記号を有して前記信号灯器制御機によって個別に制御されるように構成され、且つ、該信号灯器制御機は、予め前記緊急車両の経路に応じた信号灯器の点灯順序と点灯時間の交通流制御パターンが複数記憶されており、該緊急車両が前記交差点を通過する時に該信号灯器制御機は、該緊急車両の経路に応じた前記交通流制御パターンを呼び出し、前記識別記号で識別した前記複数の信号灯器のうちの所要の信号灯器に対し、前記緊急車両の進行を妨げないように前記各信号灯器を個々に制御することを特徴とする交通信号制御方法を提供することにより実現した。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に従って詳述する。図1は本実施例に係る交通信号制御方法に適用される交通信号装置のブロック図である。まず、本実施例に適用される交通信号装置の構成及び作用を説明する。
【0019】
交通信号装置は、それぞれ固有の識別記号(ID)を持つとともにそれぞれ灯器点灯用の電源部15を備えた各複数の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器を含む複数の信号灯器と、各信号灯器の点灯動作を遠隔制御するための共通の信号灯器制御機3とが信号伝送
用の通信回線6で接続されている。図1では、信号灯器として、3個の灯器を備えた一基の車両用信号灯器4のみが代表して示されているが、図1の交通信号装置の説明では、この車両用信号灯器4を単に信号灯器4と称して説明を進める。歩行者用信号灯器の場合は、灯器数は2個となるが、車両用信号灯器と歩行者用信号灯器の両者の構成は、灯器数の違いを除いてはほぼ同じである。
【0020】
前記信号灯器4には、それぞれLED素子からなる赤7R、黄7Y、緑7Gの3個の灯器が装備されるとともに当該信号灯器4自身に前記3個の灯器7R,7Y,7Gを点灯するための電源部15が内装されている。該電源部15は、太陽電池8、風力発電機9及びバッテリ10の組み合わせからなり、太陽電池8及び風力発電機9が発電できない環境にも対応できるように該バッテリ10を充電するための充電器11が設置されている。該充電器11は、商用電力、燃料電池又は電動発電機等の環境に左右されないものが適用されている。但し、電源部15は之に限定せられるべきではない。
【0021】
前記信号灯器4には、さらに前記信号灯器制御機3からの点灯動作指令を受信し、また該点灯動作指令に対応した点灯動作の確認情報を前記信号灯器制御機3に返信するための通信制御部12、及び受信した前記点灯動作指令に応じて前記3個の灯器7R,7Y,7Gを点灯制御するための点灯制御部13等が備えられている。
【0022】
前記信号灯器制御機3には、前記信号灯器4側とほぼ同様の太陽電池、風力発電機及びバッテリ14等の組み合わせからなる電源部15が備えられて、商用電源の省電力化が図られている。また、信号灯器制御機3には、前記信号灯器4における各灯器7R,7Y,7Gの点灯順序や点灯時間等の制御情報を記憶し、通信部16に対し点灯動作させる信号灯器4の識別記号及び灯色を指定するための制御部17、該制御部17から指示された点灯動作指令を信号灯器4への通信回線6上に送信する前記通信部16、遠隔地(管制センター等)からの指令を行う場合に装備されて集中制御を行うための伝送部18、及び感知器や押ボタン等の入力機器からの信号を取り込んで各種制御を行うためのインタフェース部19等が備えられている。尚、前記電源部15は前記信号灯器4に備えられている電源部と共用することもできる。
【0023】
上述のように構成された交通信号装置の動作を説明する。信号灯器制御機3における制御部17には、各信号灯器4の識別記号及び各信号灯器4に対する点灯順序や点灯時間等の制御情報が記憶されている。
【0024】
一方、各信号灯器4には、該信号灯器4自身にそれぞれ灯器点灯用の電源部が備えられている。前記信号灯器制御機3は、緊急車両を優先的に通行させる上で点灯動作を変更すべき信号灯器4に対し、該信号灯器4固有の識別記号とともに点灯動作指令を、通信部16を介して通信回線6上に発信する。
【0025】
自己の信号灯器4の識別記号及び点灯動作指令を通信制御部12に受けた信号灯器4は、点灯制御部13を動作させて前記点灯動作指令に対応した各灯器7R,7Y,7Gの点灯動作を実行する。
【0026】
次に、上述のような構成及び動作を持つ交通信号装置による交通信号制御方法を説明する。図2(a)は交差点における車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器の設置例を示す図、図2(b)は交通流の変更例を示す図である。
【0027】
図2(a)において、4基の車両用信号灯器4a,4b,4c,4dは異なる識別記号を持ち、その点灯動作が前記信号灯器制御機により個々に制御されるように構成されている。また、歩行者用信号灯器は、それぞれ対向する歩行者用信号灯器同士、例えば5aと
5aのみが同じタイミングで点灯するように前記信号灯器制御機により制御されており、4組の歩行者用信号灯器同士5aと5a,5bと5b,5cと5c,5dと5dの間では、個別に制御されるように構成されている。
【0028】
交差点におる4基の車両用信号灯器4a,4b,4c,4dと、4組の歩行者用信号灯器5aと5a,5bと5b,5cと5c,5dと5dとは、上記のような被制御態様を持つことで、交差点における交通流を、緊急車両の通行を優先的に容易にする交通流に変更することが可能となる。
【0029】
図2(b)は、前記4基の車両用信号灯器4a,4b,4c,4dと、4組の歩行者用信号灯器5aと5a,5bと5b,5cと5c,5dと5dとで制御される交差点の交通流の変更例を示している。この交通流の変更例は、交差点における交通流を、緊急車両の通行を優先的に容易にする交通流に変更するためには、同一の交通流の方向でも、方角が違う毎、即ち道路の左側の交通流のみ、もしくは道路の右側の交通流のみに交通流を変更できることが必要であることを示している。
【0030】
次いで、図3を用いて、緊急車両が、前記図5に示したのと同様の経路を通って発進地Aから目的地Bまで走行する場合の交通信号制御方法を説明する。図3中における複数の交差点等C、C、Cには、図示されてないが、それぞれ前記図2(a)に示したものとほぼ同様の複数の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器が設置されている。これら複数の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器は通信回線で前記図1に示した共通の信号灯器制御機に接続されている。
【0031】
交差点Cでは、右折するので、右側前方から進行してくる他の車両が緊急車両の進路を妨げるため、右側前方から見た車両用信号灯器を赤信号とし、さらに右折する側の歩行者用信号灯器も赤信号にして歩行者横断を止める。同様に、交差点Cでも右折を行うため、右側前方から見た車両用信号灯器を赤信号として右側前方から進行してくる他の車両の流れを止め、また右折する側の歩行者用信号灯器も赤信号にして歩行者横断を止める。T字路Cの左折では、右側から直進して来る他の車両を停止させる車両用信号灯器と、左折する側の歩行者用信号灯器を赤信号にして歩行者横断を止める。
【0032】
上記のように、交差点等C、C、Cにおける所要の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器の点灯動作を変更させることにより、各交差点等C、C、Cにおける交通流が緊急車両の通行を優先的に容易にする交通流に変更される。
【0033】
また、前記図3中、交差点Cで、緊急車両の右折経路が、発進地Aから目的地Bまでを最短時間で走行できるとして与えられた経路であるとする。このとき、交差点Cで、右側前方から見た車両用信号灯器のみ赤信号として右側前方から進行してくる他の緊急車両の流れを止め、また右折する側の歩行者用信号灯器も赤信号にして歩行者横断を止める。T字路Cでは、走行方向から見た車両用信号灯器を青信号とし、走行方向を横断する方向の歩行者用信号灯器を赤信号にする。
【0034】
このように、交差点C及びT字路C等における所要の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器の点灯動作を変更させることにより、与えられた経路中における交差点C及びT字路C等の交通流が前記緊急車両の通行を最優先する交通流に変更される。
【0035】
そして、本実施例では、共通の信号灯器制御機で各交差点等における複数の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器の各点灯動作を個別に制御できるため、該信号灯器制御機に記憶されている各車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器の点灯順序及び点灯時間を変更するだけで、前記交通流の変更制御に対応することができる。
【0036】
また、各車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器の点灯順序と点灯時間に関する複数の交通流制御パターンを、共通の信号灯器制御機に予め記憶させておくことで、必要なときに必要な交通流の制御に対応じた交通流制御パターンを呼び出すだけで、交通流の変更制御に容易に対応させることができる。尚、前記交通流制御パターンは走行車両に対して、各交差点毎の優先交通流を指し、又、複数の交通流制御パターンとは交差点毎の前記交通流制御パターンの数を意味する。
【0037】
上述したように、本実施例に係る交通信号制御方法においては、信号灯器制御機3により、所要の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器の点灯動作を個別に遠隔制御することができて、交差点等における複数の車両用信号灯器4a〜4d及び歩行者用信号灯器5a〜5dに対し、交通流の変更に的確に対応した点灯動作を直ちに行わせることができる。
【0038】
又、緊急車両が交差点を通過するとき、与えられた経路における複数の車両用信号灯器4a〜4d及び歩行者用信号灯器5a〜5dに対し、突発的な交通流の変更に的確に対応した点灯動作を直ちに行わせることができ、さらには、突発的な事故などでの経路変更にも対応しやすく、Uターンしなくてはならない状況などの際には全方向の信号灯器を赤信号として、該緊急車両等に対し交差点等内でUターンさせることもできる。
【0039】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例に係る交通信号制御方法に適用される交通信号装置のブロック図。
【図2】上記実施例に係る交通信号制御方法を説明するための図であり、(a)は交差点におる車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器の設置例を示す図、(b)は図(a)の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器で制御される交通流の変更例を示す図。
【図3】上記実施例の交通信号制御方法を説明するための図であり、緊急車両の走行経路における各交差点等での交通流の変更例を示す図。
【図4】従来の交通信号制御方法を説明するための図であり、(a)は交差点においてそれぞれ同一タイミングで点灯する車両用信号灯器同士及び歩行者用信号灯器同士を説明するための図、(b)は図(a)の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器で制御される交通流を示す図。
【図5】従来の交通信号制御方法における緊急車両の走行経路例を示す図。
【図6】図5に示した経路における各交差点等での交通流の制御を説明するための図。
【符号の説明】
【0041】
3 信号灯器制御機
4,4a〜4d 車両用信号灯器
5a〜5d 歩行者用信号灯器
6 通信回線
7R,7Y,7G 灯器
8 太陽電池
9 風力発電機
10,14 バッテリ
11 充電器
12 通信制御部
13 点灯制御部
15 電源部
16 通信部
17 制御部
18 伝送部
19 インタフェース部
1,2,交差点
T字路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の交差点の車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器を制御する信号灯器制御機を備えた交通信号装置において、緊急車両が車両用信号灯器及び歩行者用信号灯器を備えた複数の交差点を通過して走行する場合に、前記緊急車両が優先的に走行するように前記車両用信号灯器及び前記歩行者用信号灯器の制御方法であって、前記各信号灯器は固有の識別記号を有して前記信号灯器制御機によって個別に制御されるように構成され、且つ、該信号灯器制御機は、予め前記緊急車両の経路に応じた信号灯器の点灯順序と点灯時間の交通流制御パターンが複数記憶されており、該緊急車両が前記交差点を通過する時に該信号灯器制御機は、該緊急車両の経路に応じた前記交通流制御パターンを呼び出し、前記識別記号で識別した前記複数の信号灯器のうちの所要の信号灯器に対し、前記緊急車両の進行を妨げないように前記各信号灯器を個々に制御することを特徴とする交通信号制御方法。
【請求項2】
前記交通流制御パターンは、前記緊急車両が各交差点を通過する時に、他の一般車両及び歩行者が前記緊急車両の進路を妨げないように、その交差点に設置されている複数の信号灯器に対して右折優先、直進優先、左折優先の優先制御パターンにより個別に信号灯器を制御することを特徴とする請求項1記載の交通信号制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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