説明

交通信号制御装置及びこれを用いた交通信号システム

【課題】 交通状況の急激な変動に対して、より迅速に追従した交通信号制御を実現する。
【解決手段】 道路101の信号機A1,A2の赤信号中に得られた道路101の各交差点流入路R1,R2の交通量q1,q2及び信号待ち車両台数n1,n2に基づいて、信号機A1,A2の次回の青時間が設定され、これに応じて、当該青時間に対応する道路102の交通信号機A3,A4の赤時間が設定される。また、道路102の信号機A3,A4の赤信号中に得られた道路102の各交差点流入路R3,R4の交通量q3,q4及び信号待ち車両台数n3,n4に基づいて、信号機A3,A4の次回の青時間が設定され、これに応じて、当該青時間に対応する道路101の通信号機A1,A2の赤時間が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の道路と第2の道路とが交差する交差点に設置される前記第1の道路用の第1の交通信号機及び前記第2の道路用の第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような交通信号制御装置では、他の交差点の交通信号機と連係した制御(いわゆる系統制御)を行わない場合、第1及び第2の道路の各交差点流入路の交通状況情報(例えば、交通量等)を得て、これらの交通状況情報に基づいて、サイクル長及びスプリットの2つの信号制御パラメータを制御していた。ここで、サイクル長とは、一方の道路用の交通信号機の青信号表示開始時点から当該交通信号機の次回の青信号表示開始時点までの時間である。スプリットとは、サイクル長に対する一方の道路用の交通信号機の青信号表示時間の長さの割合である。
【0003】
例えば、下記特許文献1に開示された交通信号制御装置では、第1の道路の各交差点流入路の上流側所定位置及び第2の道路の各交差点流入路の上流側所定位置にそれぞれ設けた車両感知器からの出力に基づいて、サイクル長及びスプリットの2つの信号制御パラメータを制御している。
【特許文献1】特開2003−303398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の交通信号制御装置では、サイクル長及びスプリットの2つの信号制御パラメータを制御しているので、現在以前に取得された交通状況情報に基づいて、次回のサイクルのサイクル長及びスプリットが決定されてしまう。換言すれば、現在のサイクルのサイクル長及びスプリットは、最新でも1サイクル長以前に取得された交通状況情報に基づいて決定されてしまう。
【0005】
したがって、前記従来の交通信号制御装置では、1サイクルの途中で交通状況が急激に変動しても、これに対して迅速に追従できなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現することができる交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による交通信号制御装置は、第1の道路と第2の道路とが交差する交差点に設置される前記第1の道路用の第1の交通信号機及び前記第2の道路用の第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置であって、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記第1の道路の各交差点流入路の交通状況情報を得る第1の交通状況情報取得手段と、前記第1の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第1の設定手段と、前記第1の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第2の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第2の設定手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記第2の道路の各交差点流入路の交通状況情報を得る第2の交通状況情報取得手段と、前記第2の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第3の設定手段と、前記第3の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第1の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第4の設定手段と、前記第1乃至第4の設定手段により設定された各信号表示時間に従って前記第1及び前記第2の交通信号機の現示を制御する手段と、を備えたものである。
【0009】
この第1の態様によれば、第1の道路用の第1の交通信号機の赤信号中に得られた第1の道路の各交差点流入路の交通状況情報に基づいて、第1の交通信号機の次回の青信号表示時間が設定され、これに応じて、当該青信号表示時間に対応する第2の交通信号機の赤信号表示時間が設定される。また、第2の道路用の第2の交通信号機の赤信号中に得られた第2の道路の各交差点流入路の交通状況情報に基づいて、第2の交通信号機の次回の青信号表示時間が設定され、これに応じて、当該青信号表示時間に対応する第1の交通信号機の赤信号表示時間が設定される。このように、この第1の態様では、現在の一方の道路の交通信号機の青信号表示時間は、その直前の当該交通信号機の赤信号表示時間中に得られた当該一方の道路の各交差点流入路の交通状況に基づいて、決定される。したがって、前記第1の態様によれば、1サイクルの途中で交通状況が急激に変動しても、これに対して、前記従来技術に比べてより迅速に追従した交通信号制御を実現することができる。
【0010】
本発明の第2の態様による交通信号制御装置は、前記第1の態様において、前記第1の交通状況情報取得手段は、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記第1の道路の各交差点流入路の上流側所定位置での交通量を得る第1の交通量取得手段と、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記第1の道路の各交差点流入路の当該交差点に対する信号待ち車両台数を得る第1の信号待ち車両台数取得手段と、を含むものである。
【0011】
この第2の態様は、第1の道路の各交差点流入路の交通状況情報として、当該各交差点流入路の交通量及び信号待ち車両台数を得る例を挙げたものである。この場合、第1の道路に関して、交通量及び信号待ち車両台数を用いることで、例えば後述する第8の態様のように、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間を精度良く予測することができる。このため、前記第2の態様によれば、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0012】
本発明の第3の態様による交通信号制御装置は、前記第2の態様において、前記第1の交通量取得手段は、前記第1の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を得るものである。
【0013】
この第3の態様は、第1の道路に関する交通量取得の具体例を挙げたものである。
【0014】
本発明の第4の態様による交通信号制御装置は、前記第2の態様において、前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記第1の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を、前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数として得るものである。
【0015】
この第4の態様は、第1の道路に関する信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を、信号待ち車両台数の推測値として用いている。
【0016】
本発明の第5の態様による交通信号制御装置は、前記第2の態様において、(a)前記第1の交通量取得手段は、前記第1の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を取得し、(b)前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記第1の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、前記第1の交通量取得手段と共用して前記車両感知器を含み、前記車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を、前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数として得るものである。
【0017】
この第5の態様は、第1の道路に関する交通量取得及び信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、第1の交通量取得手段と第1の信号待ち車両台数取得手段とで、同一の車両感知器が共用されているので、センサの数が少なくて済み、コストダウンを図ることができる。
【0018】
本発明の第6の態様による交通信号制御装置は、前記第2の態様において、前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記第1の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の停止線位置と当該交差点流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数を得るものである。
【0019】
この第6の態様は、第1の道路に関する信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、撮像手段により撮像された前記画像に基づいて信号待ち車両台数を得るので、信号待ち車両台数としてその実測値が得られる。この場合の撮像手段の撮像タイミングは、第1の交通信号機の赤信号表示時間中における当該赤信号表示時間の終了時点に近いタイミングほど好ましい。
【0020】
本発明の第7の態様による交通信号制御装置は、前記第2の態様において、(a)前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記第1の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の停止線位置と当該交差点流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数を取得し、(b)前記第1の交通量取得手段は、前記第1の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、前記第1の信号待ち車両台数取得手段と共用して前記撮像手段を含み、前記撮像手段により前記第1の交通信号機の赤信号表示中の第1及び第2のタイミングでそれぞれ撮像された画像に基づいて前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を得るものである。
【0021】
この第7の態様は、第1の道路に関する交通量取得及び信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、第1の交通量取得手段と第1の信号待ち車両台数取得手段とで、同一の撮像手段が共用されているので、センサの数が少なくて済み、コストダウンを図ることができる。また、信号待ち車両台数としてその実測値が得られるので好ましい。
【0022】
本発明の第8の態様による交通信号制御装置は、前記第2乃至第7のいずれかの態様において、(a)前記第1の道路の各交差点流入路に関して、当該交差点流入路について前記第1の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該交差点流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該交差点流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記第1の道路の各交差点流入路に関して、当該各交差点流入路毎にT=n/(S−q)で表される時間Tを算出する第1の算出手段を含み、(b)前記第1の設定手段は、前記第1の算出手段により算出された前記第1の道路の各交差点流入路の時間Tに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0023】
この第8の態様では、前記時間Tは、当該交差点流入路に関して、直前の赤信号表示時間の交通量を青信号表示時間中の交通量であるとみなしたときの、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間に相当している。したがって、前記時間Tは、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間の精度の良い予測値となる。このため、前記第8の態様によれば、第1の道路の各交差点流入路の時間Tに基づいて、第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定するので、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0024】
本発明の第9の態様による交通信号制御装置は、前記第8の態様において、前記第1の設定手段は、前記第1の算出手段により算出された前記第1の道路の各交差点流入路の時間Tのうち最も長い時間に基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0025】
この第9の態様のように、第1の交通信号機の次回の青信号表示時間の設定は、第1の道路の各交差点流入路の時間Tのうち最も長い時間に基づいて行うことが好ましい。この場合、最も長い時間をそのまま第1の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよいし、例えば、最も長い時間に対して所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を第1の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよい。なお、前記第8の態様では、例えば、第1の道路の各交差点流入路の時間Tの平均時間に基づいて、第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定してもよい。
【0026】
本発明の第10の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第9のいずれかの態様において、前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定するものである。
【0027】
この第10の態様によれば、第1の道路の各交差点流入路の交通量がほとんどないような場合においても、第1の交通信号機の青信号表示時間が短すぎて現示が頻繁に変わってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第9の態様は、この第10の態様に限定されるものではない。
【0028】
本発明の第11の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第10のいずれかの態様において、前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定するものである。
【0029】
この第11の態様によれば、第1の道路の渋滞が著しいような場合においても、第1の交通信号機の青信号表示時間が長すぎて第2の交通信号機が長時間青信号表示に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第10の態様は、この第11の態様に限定されるものではない。
【0030】
本発明の第12の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第11のいずれかの態様において、前記第2の交通状況情報取得手段は、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記第2の道路の各交差点流入路の上流側所定位置での交通量を得る第2の交通量取得手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記第2の道路の各交差点流入路の当該交差点に対する信号待ち車両台数を得る第2の信号待ち車両台数取得手段と、を含むものである。
【0031】
この第12の態様は、第2の道路の各交差点流入路の交通状況情報として、当該各交差点流入路の交通量及び信号待ち車両台数を得る例を挙げたものである。この場合、第2の道路に関して、交通量及び信号待ち車両台数を用いることで、例えば後述する第18の態様のように、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間を精度良く予測することができる。このため、前記第12の態様によれば、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0032】
本発明の第13の態様による交通信号制御装置は、前記第12の態様において、前記第2の交通量取得手段は、前記第2の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を得るものである。
【0033】
この第13の態様は、第2の道路に関する交通量取得の具体例を挙げたものである。
【0034】
本発明の第14の態様による交通信号制御装置は、前記第12の態様において、前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記第2の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を、前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数として得るものである。
【0035】
この第14の態様は、第2の道路に関する信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を、信号待ち車両台数の推測値として用いている。
【0036】
本発明の第15の態様による交通信号制御装置は、前記第12の態様において、(a)前記第2の交通量取得手段は、前記第2の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を取得し、(b)前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記第2の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、前記第2の交通量取得手段と共用して前記車両感知器を含み、前記車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を、前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数として得るものである。
【0037】
この第15の態様は、第2の道路に関する交通量取得及び信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、第2の交通量取得手段と第2の信号待ち車両台数取得手段とで、同一の車両感知器が共用されているので、センサの数が少なくて済み、コストダウンを図ることができる。
【0038】
本発明の第16の態様による交通信号制御装置は、前記第12の態様において、前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記第2の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の停止線位置と当該交差点流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数を得るものである。
【0039】
この第16の態様は、第2の道路に関する信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、撮像手段により撮像された前記画像に基づいて信号待ち車両台数を得るので、信号待ち車両台数としてその実測値が得られる。この場合の撮像手段の撮像タイミングは、第2の交通信号機の赤信号表示時間中における当該赤信号表示時間の終了時点に近いタイミングほど好ましい。
【0040】
本発明の第17の態様による交通信号制御装置は、前記第12の態様において、(a)前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記第2の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の停止線位置と当該交差点流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数を取得し、(b)前記第2の交通量取得手段は、前記第2の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、前記第2の信号待ち車両台数取得手段と共用して前記撮像手段を含み、前記撮像手段により前記第2の交通信号機の赤信号表示中の第1及び第2のタイミングでそれぞれ撮像された画像に基づいて前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を得るものである。
【0041】
この第17の態様は、第2の道路に関する交通量取得及び信号待ち車両台数取得の具体例を挙げたものである。この場合、第2の交通量取得手段と第2の信号待ち車両台数取得手段とで、同一の撮像手段が共用されているので、センサの数が少なくて済み、コストダウンを図ることができる。また、信号待ち車両台数としてその実測値が得られるので好ましい。
【0042】
本発明の第18の態様による交通信号制御装置は、前記第12乃至第17のいずれかの態様において、(a)前記第2の道路の各交差点流入路に関して、当該交差点流入路について前記第2の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該交差点流入路について前記第2の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該交差点流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第3の設定手段は、前記第2の道路の各交差点流入路に関して、当該各交差点流入路毎にT=n/(S−q)で表される時間Tを算出する第2の算出手段を含み、(b)前記第3の設定手段は、前記第2の算出手段により算出された前記第2の道路の各交差点流入路の時間Tに基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0043】
この第18の態様では、前記時間Tは、当該交差点流入路に関して、直前の赤信号表示時間の交通量を青信号表示時間中の交通量であるとみなしたときの、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間に相当している。したがって、前記時間Tは、青信号表示終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青信号表示時間の精度の良い予測値となる。このため、前記第18の態様によれば、第2の道路の各交差点流入路の時間Tに基づいて、第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定するので、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0044】
本発明の第19の態様による交通信号制御装置は、前記第18の態様において、前記第3の設定手段は、前記第2の算出手段により算出された前記第2の道路の各交差点流入路の時間Tのうち最も長い時間に基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定するものである。
【0045】
この第19の態様のように、第2の交通信号機の次回の青信号表示時間の設定は、第2の道路の各交差点流入路の時間Tのうち最も長い時間に基づいて行うことが好ましい。この場合、最も長い時間をそのまま第2の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよいし、例えば、最も長い時間に対して所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を第2の交通信号機の次回の青信号表示時間として設定してもよい。なお、前記第18の態様では、例えば、第2の道路の各交差点流入路の時間Tの平均時間に基づいて、第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定してもよい。
【0046】
本発明の第20の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第19のいずれかの態様において、前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定するものである。
【0047】
この第20の態様によれば、第2の道路の各交差点流入路の交通量がほとんどないような場合においても、第2の交通信号機の青信号表示時間が短すぎて現示が頻繁に変わってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第19の態様は、この第20の態様に限定されるものではない。
【0048】
本発明の第21の態様による交通信号制御装置は、前記第1乃至第21のいずれかの態様において、前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定するものである。
【0049】
この第21の態様によれば、第2の道路の渋滞が著しいような場合においても、第2の交通信号機の青信号表示時間が長すぎて第1の交通信号機が長時間青信号表示に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができるので、好ましい。もっとも、前記第1乃至第20の態様は、この第21の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現することができる交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムを提供することができる。
【0051】
また、本発明によれば、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる交通信号制御装置、及び、これを用いた交通信号システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明による交通信号制御装置及びこれを用いた交通信号システムについて、図面を参照して説明する。
【0053】
[第1の実施の形態]
【0054】
図1は、本発明の第1の実施の形態による交通信号システムを示す概略ブロック図である。図2は、この交通信号システムの交通信号機A1〜A4が設置される交差点CRを模式的に示す概略平面図である。図3は、図2中の道路101の交差点流入路R1上の車両100の様子の例、並びに、交差点流入路R1に関連して配置されたテレビカメラC1の視野及び車両感知器B1の感知位置を示す説明図である。図3において、停止線L1の手前に停車している車両100を実線で示し、交差点CRに向かって走行している車両100を破線で示している。
【0055】
本実施の形態による交通信号システムは、図1及び図2に示すように、道路101と道路102とが交差する交差点CRに設置された交通信号機A1〜A4と、交通信号機A1〜A4を制御する交通信号制御装置1とを備えている。
【0056】
図2に示すように、一方の道路101用の交通信号機(第1の交通信号機)A1,A2は、道路101の交差点流入路R1,R2に対して交通信号を表示するように設置されている。同様に、他方の道路102用の交通信号機(第2の交通信号機)A3,A4は、道路102の交差点流入路R3,R4に対して交通信号を表示するように設置されている。交差点流入路R1,R2の交差点CRに対する流入方向は互いに逆になっており、交差点流入路R3,R4の交差点CRに対する流入方向は互いに逆になっている。交通信号機A1,A2は互いに同一の信号表示を行い、交通信号機A3,A4は互いに同一の信号表示を行う。図2中のL1〜L4は、それぞれ交差点CRに対する流入路R1〜R4の停止線である。
【0057】
交通信号制御装置1は、図1及び図2に示すように、超音波車両感知器等の車両感知器B1〜B4と、撮像手段としてのテレビカメラC1〜C4と、渋滞長計測処理部D1〜D4と、制御処理部2と、制御処理部2からの制御信号に従って交通信号機A1〜A4を点灯駆動する駆動回路3と、を備えている。
【0058】
車両感知器B1〜B4は、図2及び図3に示すように、各交差点流入路R1〜R4の上流側所定位置(例えば、交差点CRから170mの位置)で車両100をそれぞれ感知する。テレビカメラC1〜C4は、各交差点流入路R1〜R4の停止線L1〜L4の位置と上流側所定位置(例えば、交差点CRから150mの位置)との範囲を含む画像をそれぞれ撮像する。なお、車両感知器B1〜B4はテレビカメラC1〜C4の視野外に配置することが好ましいが、その視野内に配置してもよい。
【0059】
渋滞長計測処理部D1〜D4は、テレビカメラC1〜C4からの画像をそれぞれ処理して停止線L1〜L4の手前に停車している車両100の列の長さ(渋滞長)をそれぞれ得る。このようなテレビカメラ及び渋滞長計測処理部を組み合わせた装置は、渋滞長計測処理装置として実用化されており、公知である。
【0060】
制御処理部2は、例えばコンピュータ等で構成され、車両感知器B1〜B4からの感知信号及び渋滞長計測処理部D1〜D4からの渋滞長を示す出力信号に基づいて、交通信号機A1〜A4の信号表示を制御する制御処理を行う。
【0061】
ここで、交差点流入路R1〜R4のうちの任意の1つの交差点流入路について、捌け残り台数がちょうどゼロとなる時間T0について、図4を参照して説明する。図4は、1つの交差点流入路に関して、赤信号終了時点からの時間経過と、当該交差点流入路による交差点CRへの流入台数(累積台数)及び当該交差点流入路による交差点CRからの流出台数(累積台数)との関係を示している。図4では、赤信号終了時(青信号開始時)の信号待ち台数がn0台であり、青信号中の当該交差点流入路による交差点CRへの流入交通量q0(台/秒)が一定であり、当該交差点流入路による交差点CRからの流出は、当該交差点流入路に対して設定されている一定値の飽和交通流S0(台/秒)で行われるものとしている。
【0062】
この場合、q0>S0であるので、赤信号終了時点から時間(青時間)が経過していくと、やがて流出累積台数と流入累積台数とが一致する。両者が一致する時間T(赤信号終了時点からの経過)は、T0=n0/(S0−q0)の式(以下、「図4で求めた式」と呼ぶ)で表される。時間T0が経過した時点で青時間を終了させるとすると、その時点での捌け残り台数はちょうどゼロになる。したがって、時間T0が経過した時点で青時間を終了させれば、当該交差点流入路の捌け残りがないとともに青時間に無駄が生ずることがなく、効率が良いことがわかる。
【0063】
この点に着目し、本実施の形態では、図4で求めた式を近似的に適用して時間T0に相当する時間(後述する時間T1〜T4)を求め、これを信号制御に用いる。
【0064】
次に、制御処理部2の動作について、図5乃至図9を参照して具体的に説明する。図6乃至図9は、制御処理部2の動作を示す概略フローチャートである。図5は、この制御処理部2の動作によって実現される交通信号機A1〜A4の動作例を示すタイムチャートである。
【0065】
なお、本実施の形態では、図5において、全赤時間(全ての交通信号機A1〜A4に赤信号表示をさせる時間)AR、交通信号機A1,A2の黄色信号表示時間(黄時間)Ym、及び、交通信号機A3,A4の黄時間Ys、それぞれ常に一定の固定値としており、それらの値は制御処理部2の内部メモリ(図示せず)に格納されている。一方、交通信号機A1,A2の青信号表示時間(青時間)Gm、及び、交通信号機A3,A4の青信号表示時間(青時間)Gsは、それぞれその都度設定される可変値である。交通信号機A1,A2の単独赤信号表示時間(単独赤時間)(交通信号機A1,A2のみが赤信号表示を行い、交通信号機A3,A4が青信号表示又は黄色信号表示を行う時間)Rm、及び、交通信号機A3,A4の単独赤時間(交通信号機A3,A4のみが赤信号表示を行い、交通信号機A1,A2が青信号表示又は黄色信号表示を行う時間)Rsは、それぞれRm=Gs+Ys、Rs=Gm+Ymに従って設定される可変値である。図5からわかるように、交通信号機A1,A2の赤信号表示時間(赤時間)は連続するAR+Rm+ARの全体であり、交通信号機A3,A4の赤信号表示時間(赤時間)は連続するAR+Rs+ARの全体である。もっとも、本発明は、必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、Gm,Gs,Rm,Rsの値は、制御処理部2の内部メモリに格納され、その都度新たな値に更新されることで設定される。
【0066】
制御処理部2は、動作を開始すると、まず、全ての交通信号機A1〜A4に赤表示を開始させる(すなわち、全赤を開始させる。)(ステップS1)。
【0067】
次に、制御処理部2は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS2)。
【0068】
次いで、制御処理部2は、道路102の信号機A3,A4の次回の青時間Gsを初期値Gs0に設定する(ステップS3)。
【0069】
その後、制御処理部2は、道路101の信号機A1,A2の次回の単独赤時間Rmを、Rm=Gs+Ysにより算出する(ステップS4)。
【0070】
引き続いて、制御処理部2は、ステップS2の時点から全赤時間ARを経過したか否かを判定する(ステップS5)。制御処理部2は、全赤時間ARを経過していなければ全赤時間ARを経過するまで待ち、全赤時間ARを経過すると、道路102の交通信号機A3,A4に赤信号表示を終了させて青信号表示を開始させる(ステップS6)。
【0071】
次に、制御処理部2は、道路101の交差点流入路R1の車両感知器B1により感知される車両100の台数N1の計測、及び、道路101の交差点流入路R2の車両感知器B2により感知される車両100の台数N2の計測を、開始する(ステップS7)。すなわち、制御処理部2は、ステップS7の時点で内部メモリ内の台数N1,N2の値をゼロにリセットし、ステップS7の時点から後述する当該計測を終了するステップS13の時点までの間に、車両感知器B1から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N1の値を1だけインクリメントするとともに、車両感知器B2から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N2の値を1だけインクリメントする。
【0072】
ステップS7の後に、制御処理部2は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS8)。
【0073】
次に、制御処理部2は、ステップS8の時点から現在設定されている青時間Gsを経過したか否かを判定する(ステップS9)。制御処理部2は、青時間Gsを経過していなければ青時間Gsを経過するまで待ち、青時間Gsを経過すると、道路102の交通信号機A3,A4に青信号表示を終了させて黄信号表示を開始させる(ステップS10)。
【0074】
次いで、制御処理部2は、ステップS8の時点から、ステップS4で最新に算出された道路101の交通信号機A1,A2の単独赤時間Rmを経過したか否かを判定する(ステップS11)。制御処理部2は、単独赤時間Rmを経過していなければ単独赤時間Rmを経過するまで待ち、単独赤時間Rmを経過すると、道路102の交通信号機A3,A4に黄信号表示を終了させて赤信号表示を開始させる(すなわち、全赤を開始させる。)(ステップS12)。
【0075】
その後、制御処理部2は、ステップS7で開始した計測(すなわち、道路101の交差点流入路R1の車両感知器B1により感知される車両100の台数N1の計測、及び、道路101の交差点流入路R2の車両感知器B2により感知される車両100の台数N2の計測)を終了する(ステップS13)。よって、ステップS13以降では、制御処理部2のメモリ内の台数N1は、前回の単独赤時間Rm中に道路101の交差点流入路R1における車両感知器B1の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。同様に、ステップS13以降では、制御処理部2のメモリ内の台数N2は、前回の単独赤時間Rm中に道路101の交差点流入路R2における車両感知器B2の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。
【0076】
次に、制御処理部2は、道路101の交差点流入路R1のカメラC1及び渋滞長計測処理部D1によって計測された現在の渋滞長E1、及び、道路101の交差点流入路R2のカメラC2及び渋滞長計測処理部D2によって計測された現在の渋滞長E2を、内部メモリに取り込む(ステップS14)。
【0077】
次いで、制御処理部2は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS15)。
【0078】
その後、制御処理部2は、ステップS7,S13により最新に得られた単独赤時間Rm中の通過台数N1,N2、及び、ステップS4で最新に得られた単独赤時間Rmを用いて、q1=N1/Rm、q2=N2/Rmにより、道路101の交差点流入路R1の交通量q1(台/秒)及び道路101の交差点流入路R2の交通量q2(台/秒)を、それぞれ算出する(ステップS16,S17)。
【0079】
また、制御処理部2は、ステップS14で最新に取り込んだ道路101の交差点流入路R1の渋滞長E1及び道路101の交差点流入路R2の渋滞長E2、並びに、予め定めた平均車頭間隔Fを用いて、n1=E1/F、n2=E2/Fにより、道路101の交差点流入路R1の信号待ち車両台数n1及び道路101の交差点流入路R2の信号待ち車両台数n2を、それぞれ算出する(ステップS18,S19)。
【0080】
その後、制御処理部2は、ステップS16〜S19で最新に算出したq1,q2,n1,n2、交差点流入路R1について予め設定された飽和交通流(台/秒)S1、及び、交差点流入路R2について予め設定された飽和交通流(台/秒)S2を用いて、T1=n1/(S1−q1)、T2=n2/(S2−q2)により、時間T1,T2をそれぞれ算出する(ステップS20,S21)。
【0081】
時間T1は、交差点流入路R1に関して、単独赤時間Rm中の交差点流入路R1の交通量q1が次回の青時間Gm中の流入交通量q0(図4参照)と一致するとともに、単独赤時間Rm終了時の信号待ち車両台数n1が赤時間終了時(次回の青時間Gm開始時)の信号待ち車両台数n0(図4参照)と一致するものとみなして(予測して)、図4で求めた式を適用することで得た時間T0に、相当している。時間T2についても時間T1と同様であり、また、後述する時間T3,T4についても同様である。
【0082】
なお、このような予測精度をより高めるためには、ステップS13のタイミングやステップS14のタイミングを、信号機A1,A2の赤時間終了時点(青時間Gm)により近づければよく、単独赤時間Rmの次の全赤時間ARの途中にすればよい。ただし、本実施の形態では、ステップS31までの処理が信号機A1,A2の赤時間終了時点までに終了している必要がある。これらの点は、後述するステップS40のタイミングやステップS41のタイミングについても同様である。
【0083】
ステップS21の後に、制御処理部2は、ステップS20,S21で最新に得た時間T1,T2関して、道路101の信号機A1,A2の青時間Gmに対して予め設定した最小値Gmin1及び最大値Gmax1を用いた判定(ステップS22〜S26)を行い、T1≧T2かつGmax1≧T1≧Gmin1の場合に道路101の信号機A1,A2の次回の青時間GmをT1に設定し(ステップS27)、T1<T2かつGmax1≧T2≧Gmin1の場合に道路101の信号機A1,A2の次回の青時間GmをT2に設定し(ステップS30)、T1≧T2かつT1<Gmin1の場合及びT1<T2かつT2<Gmin1の場合に道路101の信号機A1,A2の次回の青時間GmをGmin1に設定し(ステップS29)、T1≧T2かつT1>Gmax1の場合及びT1<T2かつT2>Gmax1の場合に道路101の信号機A1,A2の次回の青時間GmをGmax1に設定する(ステップS28)。
【0084】
もっとも、本発明では、最小値Gmin1及び最大値Gmax1の両方又はいずれか一方を用いなくてもよい。最小値Gmin1及び最大値Gmax1を両方とも用いない場合は、T1≧T2の場合に次回の青時間GmをT1に設定し、T1<T2に次回の青時間GmをT2に設定すればよい。また、最小値Gmin1のみを用いない場合は、ステップS23,S25,S29を取り除き、ステップS22でYESの場合はステップS24へ移行し、ステップS22でNOの場合はステップS26へ移行すればよい。さらに、最大値Gmax1のみを用いない場合は、ステップS24,S26,S28を取り除き、ステップS23でYESの場合はステップS27へ移行し、ステップS25でYESの場合はステップS30へ移行すればよい。これらの点は、後述するステップS49〜57についても同様である。
【0085】
また、本発明では、ステップS22〜S30において、時間T1を直接用いる代わりに、時間T1に所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を用いてもよい。同様に、ステップS22〜S30において、時間T2を直接用いる代わりに、時間T2に所定の補正係数(1以上であることが好ましいが、1より小さくてもよい。)を乗算した値を用いてもよい。さらに、本発明では、例えば、S22〜S30の代わりに、時間T1,T2の平均値Tav=(T1+T2)/2を用いた処理を行ってもよい。この場合、最小値Gmin1及び最大値Gmax1の両方を用いて、Gmax1≧Tav≧Gmin1の場合に次回の青時間GmをTavに設定し、Tav<Gmin1の場合に次回の青時間GmをGmin1に設定し、Tav>Gmax1の場合に次回の青時間GmをGmax1に設定すればよい。また、平均値Tavを用いる場合においても、最小値Gmin1及び最大値Gmax1の両方又はいずれか一方を用いなくてもよい。これらの点は、後述するステップS49〜57についても同様である。
【0086】
ステップS27〜S30の後に、制御処理部2は、道路102の信号機A3,A4の次回の単独赤時間Rsを、Rs=Gm+Ymにより算出する(ステップS31)。
【0087】
引き続いて、制御処理部2は、ステップS15の時点から全赤時間ARを経過したか否かを判定する(ステップS32)。制御処理部2は、全赤時間ARを経過していなければ全赤時間ARを経過するまで待ち、全赤時間ARを経過すると、道路101の交通信号機A1,A2に赤信号表示を終了させて青信号表示を開始させる(ステップS33)。
【0088】
次に、制御処理部2は、道路102の交差点流入路R3の車両感知器B3により感知される車両100の台数N3の計測、及び、道路102の交差点流入路R4の車両感知器B4により感知される車両100の台数N4の計測を、開始する(ステップS34)。すなわち、制御処理部2は、ステップS34の時点で内部メモリ内の台数N3,N4の値をゼロにリセットし、ステップS34の時点から後述する当該計測を終了するステップS40の時点までの間に、車両感知器B3から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N3の値を1だけインクリメントするとともに、車両感知器B4から感知信号が得られる度に割り込み処理により台数N4の値を1だけインクリメントする。
【0089】
ステップS34の後に、制御処理部2は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS35)。
【0090】
次に、制御処理部2は、ステップS35の時点から現在設定されている青時間Gmを経過したか否かを判定する(ステップS36)。制御処理部2は、青時間Gmを経過していなければ青時間Gmを経過するまで待ち、青時間Gmを経過すると、道路101の交通信号機A1,A1に青信号表示を終了させて黄信号表示を開始させる(ステップS37)。
【0091】
次いで、制御処理部2は、ステップS35の時点から、ステップS31で最新に算出された道路102の交通信号機A3,A4の単独赤時間Rsを経過したか否かを判定する(ステップS38)。制御処理部2は、単独赤時間Rsを経過していなければ単独赤時間Rsを経過するまで待ち、単独赤時間Rsを経過すると、道路101の交通信号機A1,A2に黄信号表示を終了させて赤信号表示を開始させる(すなわち、全赤を開始させる。)(ステップS39)。
【0092】
その後、制御処理部2は、ステップS34で開始した計測(すなわち、道路102の交差点流入路R3の車両感知器B3により感知される車両100の台数N3の計測、及び、道路102の交差点流入路R4の車両感知器B4により感知される車両100の台数N4の計測)を終了する(ステップS40)。よって、ステップS40以降では、制御処理部2のメモリ内の台数N3は、前回の単独赤時間Rs中に道路102の交差点流入路R3における車両感知器B3の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。同様に、ステップS40以降では、制御処理部2のメモリ内の台数N4は、前回の単独赤時間Rs中に道路102の交差点流入路R4における車両感知器B4の感知位置を通過した車両の通過台数を示す。
【0093】
次に、制御処理部2は、道路102の交差点流入路R3のカメラC3及び渋滞長計測処理部D3によって計測された現在の渋滞長E3、及び、道路102の交差点流入路R4のカメラC4及び渋滞長計測処理部D4によって計測された現在の渋滞長E4を、内部メモリに取り込む(ステップS41)。
【0094】
次いで、制御処理部2は、経過時間tを計測する内蔵するタイマ(t)をt=0にリセットした後にスタートさせる(ステップS42)。
【0095】
その後、制御処理部2は、ステップS34,S40により最新に得られた単独赤時間Rs中の通過台数N3,N4、及び、ステップS31で最新に得られた単独赤時間Rsを用いて、q3=N3/Rs、q4=N4/Rsにより、道路102の交差点流入路R3の交通量q3(台/秒)及び道路102の交差点流入路R4の交通量q4(台/秒)を、それぞれ算出する(ステップS43,S44)。
【0096】
また、制御処理部2は、ステップS41で最新に取り込んだ道路102の交差点流入路R3の渋滞長E3及び道路102の交差点流入路R4の渋滞長E4、並びに、予め定めた平均車頭間隔Fを用いて、n3=E3/F、n4=E4/Fにより、道路102の交差点流入路R3の信号待ち車両台数n3及び道路102の交差点流入路R4の信号待ち車両台数n4を、それぞれ算出する(ステップS45,S46)。
【0097】
その後、制御処理部2は、ステップS43〜S46で最新に算出したq3,q4,n3,n4、交差点流入路R3について予め設定された飽和交通流(台/秒)S3、及び、交差点流入路R4について予め設定された飽和交通流(台/秒)S4を用いて、T3=n3/(S3−q3)、T4=n4/(S4−q4)により、時間T3,T4をそれぞれ算出する(ステップS47,S48)。
【0098】
ステップS48の後に、制御処理部2は、ステップS47,S48で最新に得た時間T3,T4関して、道路102の信号機A3,A4の青時間Gsに対して予め設定した最小値Gmin2及び最大値Gmax2を用いた判定(ステップS49〜S53)を行い、T3≧T4かつGmax2≧T3≧Gmin2の場合に道路102の信号機A3,A4の次回の青時間GsをT3に設定し(ステップS54)、T3<T4かつGmax2≧T4≧Gmin2の場合に道路102の信号機A3,A4の次回の青時間GsをT4に設定し(ステップS57)、T3≧T4かつT3<Gmin2の場合及びT3<T4かつT4<Gmin2の場合に道路102の信号機A3,A4の次回の青時間GsをGmin2に設定し(ステップS56)、T3≧T4かつT3>Gmax2の場合及びT3<T4かつT4>Gmax2の場合に道路102の信号機A3,A4の次回の青時間GsをGmax2に設定する(ステップS55)。
【0099】
ステップS49〜S27の後に、ステップS4へ戻る。
【0100】
以上の説明からわかるように、本実施の形態では、道路101の交通信号機A1,A2の赤信号表示中の、道路101の各交差点流入路R1,R2の交通状況情報として、ステップS16,S17で算出した流入路R1,R2の交通量q1,q2、及び、ステップS18,S19で算出した流入路R1,R2の信号待ち車両台数n1,n2を得ている。本発明では、前記交通状況情報は、交通量q1,q2及び信号待ち車両台数n1,n2に限定されるものではない。本実施の形態では、車両感知器B1,B2、及び、制御処理部2のステップS7,S8,S16,S17の機能によって、交通量q1,q2を得る取得手段が構成されている。また、本実施の形態では、テレビカメラC1,C2、渋滞長計測処理部D1,D2、及び、制御処理部2のステップS14,S18,S19の機能によって、信号待ち車両台数n1,n2を得る取得手段が構成されている。
【0101】
また、本実施の形態では、道路102の交通信号機A3,A3の赤信号表示中の、道路102の各交差点流入路R3,R4の交通状況情報として、ステップS43,S44で算出した流入路R3,R4の交通量q3,q4、及び、ステップS45,S46で算出した流入路R3,R4の信号待ち車両台数n3,n4を得ている。本発明では、前記交通状況情報は、交通量q3,q4及び信号待ち車両台数n3,n4に限定されるものではない。本実施の形態では、車両感知器B3,B4、及び、制御処理部2のステップS34,S40,S43,S44の機能によって、交通量q3,q4を得る取得手段が構成されている。また、本実施の形態では、テレビカメラC3,C4、渋滞長計測処理部D3,D4、及び、制御処理部2のステップS41,S45,S469の機能によって、信号待ち車両台数n3,n4を得る取得手段が構成されている。
【0102】
本実施の形態によれば、道路101の信号機A1,A2の赤信号中に得られた道路101の各交差点流入路R1,R2の交通状況情報q1,q2,n1,n2に基づいて、信号機A1,A2の次回の青時間Gmが設定され、これに応じて、当該青時間Gmに対応する交通信号機A3,A4の赤時間が設定される。また、道路102の信号機A3,A4の赤信号中に得られた道路102の各交差点流入路R3,R4の交通状況情報q3,q4,n3,n4に基づいて、信号機A3,A4の次回の青時間Gsが設定され、これに応じて、当該青時間Gsに対応する通信号機A1,A2の赤時間が設定される。このように、本実施の形態では、現在の一方の道路の信号機の青時間は、その直前の当該信号機の赤時間中に得られた当該一方の道路の各交差点流入路の交通状況に基づいて、決定される。したがって、本実施の形態によれば、1サイクルの途中で交通状況が急激に変動しても、これに対して、前記従来技術に比べてより迅速に追従した交通信号制御を実現することができる。
【0103】
また、本実施の形態では、前記時間T1〜T4は、当該交差点流入路に関して、直前の赤時間の交通量q1〜q4を青時間中の交通量であるとみなしたときの、青時間終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青時間に相当している。したがって、前記時間T1〜T4は、当該交差点流入路に関して、青時間終了時の捌け残り台数がちょうどゼロとなるべき青時間の精度の良い予測値となる。このため、本実施の形態では、道路101の各交差点流入路R1,R2の時間T1,T2に基づいて信号機A1,A2の次回の青時間Gmを設定するとともに、道路102の各交差点流入路R3,R4の時間T3,T4に基づいて信号機A3,A4の次回の青時間Gmを設定するので、交通状況の急激な変動に対してより迅速に追従した交通信号制御を実現しつつ、より適切で効率の良い交通信号制御を実現することができる。
【0104】
さらに、本実施の形態では、前述したように、道路101の信号機A1,A2の次回の青時間Gmは下限値Gmin1以上に設定され、道路102の信号機A3,A4の次回の青時間Gsは下限値Gmin2以上に設定される。したがって、道路101の各流入路R1,R2の交通量がほとんどないような場合や道路102の各流入路R3,R4の交通量がほとんどないような場合においても、道路101の信号機A1,A2の青時間Gmが短すぎたり道路102の信号機A3,A4の青時間Gs短すぎたりして現示が頻繁に変わってしまうような事態を防止することができる。
【0105】
また、本実施の形態では、前述したように、道路101の信号機A1,A2の次回の青時間Gmは上限値Gmax1以下に設定されるので、道路101の渋滞が著しいような場合においても、道路101の信号機A1,A2の青時間Gmが長すぎて道路102の信号機A3,A4が長時間青に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができる。同様に、道路102の信号機A3,A4の次回の青時間Gsは上限値Gmax2以下に設定されるので、道路102の渋滞が著しいような場合においても、道路102の信号機A3,A4の青時間Gsが長すぎて道路101の信号機A1,A2が長時間青に切り替わらなくなってしまうような事態を防止することができる。
【0106】
[第2の実施の形態]
【0107】
次に、本発明の第2の実施の形態による交通信号システムについて説明する。図面には示していないが、本実施の形態による交通信号システムが前記第1の実施の形態による交通信号システムと異なる所は、車両感知器B1〜B4が除去され、これに伴って、制御処理部2が、前述した図6乃至図9に示す動作を行う代わりに、図10乃至図13に示す動作を行う点のみである。したがって、第1の実施の形態と重複する説明については省略する。
【0108】
図10乃至図13は、本発明の第2の実施の形態による交通信号システムの制御処理部2の動作を示す概略フローチャートである。図10乃至図13において、図6乃至図9中のステップと同一又は対応するステップには同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0109】
本実施の形態では、車両感知器B1,B2が除去されていることに伴い、図10及び図11に示すように、図6及び図7中のステップS7,S13,S16,S17が除去され、その代わりに、ステップS6,S8間でステップS61が行われ、ステップS15,S18間でステップS62,S63が行われ、ステップS19,S20間でステップS64,S65が行われる。
【0110】
本実施の形態では、ステップS61において、制御処理部2は、ステップS14と同様に、道路101の交差点流入路R1のカメラC1及び渋滞長計測処理部D1によって計測された現在の渋滞長E1’、及び、道路101の交差点流入路R2のカメラC2及び渋滞長計測処理部D2によって計測された現在の渋滞長E2’を、内部メモリに取り込む。ステップS14で得る渋滞長E1,E2は道路101の信号機A1,A2の単独赤時間Rm終了時の渋滞長であるのに対し、ステップS61で得る渋滞長E1’,E2’は当該単独赤時間Rm開始時の渋滞長である点で、両者は異なる。
【0111】
ステップS62,S63において、制御処理部2は、ステップS61で最新に取り込んだ道路101の交差点流入路R1の渋滞長E1’及び道路101の交差点流入路R2の渋滞長E2’、並びに、予め定めた平均車頭間隔Fを用いて、n1’=E1’/F、n2’=E2’/Fにより、道路101の交差点流入路R1の信号待ち車両台数n1’及び道路101の交差点流入路R2の信号待ち車両台数n2’を、それぞれ算出する。なお、ステップS18,S19で得る信号待ち車両台数n1,n2は道路101の信号機A1,A2の単独赤時間Rm終了時の信号待ち車両台数であるのに対し、ステップS62,63で得る信号待ち車両台数n1’,n2’は当該単独赤時間Rm開始時の信号待ち車両台数である点で、両者は異なる。
【0112】
ステップS64,S65において、制御処理部2は、ステップS62,S63により最新に得られた信号待ち車両台数n1’,n2’、ステップS18,S19により最新に得られた信号待ち車両台数n1,n2、及び、及び、ステップS4で最新に得られた単独赤時間Rmを用いて、q1=(n1−n1’)/Rm、q2=(n2−n2’)/Rmにより、道路101の交差点流入路R1の交通量q1(台/秒)及び道路101の交差点流入路R2の交通量q2(台/秒)を、それぞれ算出する。なお、ステップS20,S21では、ステップS64,S62で最新に得られた交通量q1,q2が用いられることは、言うまでもない。
【0113】
また、本実施の形態では、車両感知器B3,B4が除去されていることに伴い、図12及び図13に示すように、図8及び図9中のステップS34,S40,S43,S44が除去され、その代わりに、ステップS33,S35間でステップS66が行われ、ステップS42,S45間でステップS67,S68が行われ、ステップS46,S47間でステップS69,S70が行われる。
【0114】
本実施の形態では、ステップS66において、制御処理部2は、ステップS41と同様に、道路102の交差点流入路R3のカメラC3及び渋滞長計測処理部D3によって計測された現在の渋滞長E3’、及び、道路102の交差点流入路R4のカメラC4及び渋滞長計測処理部D4によって計測された現在の渋滞長E4’を、内部メモリに取り込む。ステップS41で得る渋滞長E3,E4は道路102の信号機A3,A4の単独赤時間Rs終了時の渋滞長であるのに対し、ステップS66で得る渋滞長E3’,E4’は当該単独赤時間Rs開始時の渋滞長である点で、両者は異なる。
【0115】
ステップS67,S68において、制御処理部2は、ステップS66で最新に取り込んだ道路102の交差点流入路R3の渋滞長E3’及び道路102の交差点流入路R4の渋滞長E4’、並びに、予め定めた平均車頭間隔Fを用いて、n3’=E3’/F、n4’=E4’/Fにより、道路102の交差点流入路R3の信号待ち車両台数n3’及び道路102の交差点流入路R4の信号待ち車両台数n4’を、それぞれ算出する。なお、ステップS45,S46で得る信号待ち車両台数n3,n4は道路102の信号機A3,A4の単独赤時間Rs終了時の信号待ち車両台数であるのに対し、ステップS67,68で得る信号待ち車両台数n3’,n4’は当該単独赤時間Rs開始時の信号待ち車両台数である点で、両者は異なる。
【0116】
ステップS69,S70において、制御処理部2は、ステップS67,S68により最新に得られた信号待ち車両台数n3’,n4’、ステップS45,S46により最新に得られた信号待ち車両台数n3,n4、及び、及び、ステップS31で最新に得られた単独赤時間Rsを用いて、q3=(n3−n3’)/Rs、q4=(n4−n4’)/Rsにより、道路102の交差点流入路R3の交通量q3(台/秒)及び道路102の交差点流入路R4の交通量q4(台/秒)を、それぞれ算出する。なお、ステップS47,S48では、ステップS69,S70で最新に得られた交通量q3,q4が用いられることは、言うまでもない。
【0117】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態では、テレビカメラC1〜C4及び渋滞長計測処理部D1〜D4が、信号待ち車両台数n1〜n4を取得する取得手段の一部として用いられているのみならず、交通量q1〜q4を取得する取得手段の一部としても共用され、車両感知器B1〜B4が除去されているので、よりコストダウンを図ることができる。
【0118】
[第3の実施の形態]
【0119】
次に、本発明の第3の実施の形態による交通信号システムについて説明する。図面には示していないが、本実施の形態による交通信号システムが前記第1の実施の形態による交通信号システムと異なる所は、テレビカメラC1〜C4及び渋滞長計測処理部D1〜D4が除去され、これに伴って、制御処理部2が、前述した図6乃至図9に示す動作を行う代わりに、図14乃至図17に示す動作を行う点のみである。したがって、第1の実施の形態と重複する説明については省略する。
【0120】
図14乃至図17は、本発明の第3の実施の形態による交通信号システムの制御処理部2の動作を示す概略フローチャートである。図14乃至図17において、図6乃至図9中のステップと同一又は対応するステップには同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0121】
本実施の形態では、テレビカメラC1,C2及び渋滞長計測処理部D1,D2が除去されていることに伴い、図14及び図15に示すように、図6及び図7中のステップS14,S18,S19が除去され、その代わりに、ステップS17,S20間でステップS81,S82が行われる。
【0122】
本実施の形態では、ステップS81,S82において、制御処理部2は、ステップS13で最新に得られた通過台数N1,N2をそれぞれ信号待ち車両台数n1,n2とする。なお、ステップS20,S21では、ステップS81,S82で最新に得られた信号待ち車両台数n1,n2が用いられることは、言うまでもない。
【0123】
また、本実施の形態では、テレビカメラC3,C4及び渋滞長計測処理部D3,D4が除去されていることに伴い、図16及び図17に示すように、図8及び図9中のステップS41,S45,S46が除去され、その代わりに、ステップS44,S47間でステップS83,S84が行われる。
【0124】
本実施の形態では、ステップS83,S84において、制御処理部2は、ステップS40で最新に得られた通過台数N3,N4をそれぞれ信号待ち車両台数n3,n4とする。なお、ステップS47,S48では、ステップS83,S84で最新に得られた信号待ち車両台数n3,n4が用いられることは、言うまでもない。
【0125】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態では、車両感知器B1〜B4が、交通量q1〜q4を取得する取得手段の一部として用いられているのみならず、信号待ち車両台数n1〜n4を取得する取得手段の一部としても共用され、テレビカメラC1〜C4及び渋滞長計測処理部D1〜D4が除去されているので、よりコストダウンを図ることができる。
【0126】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0127】
例えば、前記第1の実施の形態において、ある交差点流入路について車両感知器を除去し、他のある交差点流入路についてテレビカメラ及び渋滞長計測処理部を除去してもよい。この場合、制御処理部2の動作を、当該ある交差点流入路に関連する処理については前記第2の実施の形態に準じて変形し、当該他のある交差点流入路に関する処理については前記第3の実施の形態に準じて変形すればよい。
【0128】
また、前記各実施の形態は、交差する第1及び第2の道路が片側1車線の道路の例であったが、本発明は、交差する第1及び第2の道路の両方又は一方が片側複数車線の道路の場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第1の実施の形態による交通信号システムを示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示す交通信号システムの交通信号機が設置される交差点を模式的に示す概略平面図である。
【図3】図2中の1つの交差点流入路R1上の車両の様子の例、並びに、当該交差点流入路に関連して配置されたテレビカメラの視野及び車両感知器の感知位置を示す説明図である。
【図4】捌け残り台数がちょうどゼロとなる時間の説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による交通信号システムの制御処理部の動作を示す概略フローチャートである。
【図6】図5に引き続く概略フローチャートである。
【図7】図6に引き続く概略フローチャートである。
【図8】図7に引き続く概略フローチャートである。
【図9】図8に引き続く概略フローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態による交通信号システムの制御処理部の動作を示す概略フローチャートである。
【図11】図10に引き続く概略フローチャートである。
【図12】図11に引き続く概略フローチャートである。
【図13】図12に引き続く概略フローチャートである。
【図14】本発明の第3の実施の形態による交通信号システムの制御処理部の動作を示す概略フローチャートである。
【図15】図14に引き続く概略フローチャートである。
【図16】図15に引き続く概略フローチャートである。
【図17】図16に引き続く概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0130】
1 交通信号制御装置
2 制御部
3 駆動回路
100 車両
101,102 道路
A1〜A4 交通信号機
B1〜B4 車両感知器
C1〜C4 テレビカメラ
CR 交差点
D1〜D4 渋滞長計測処理部
L1〜L4 停止線
R1〜R4 交差点流入路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の道路と第2の道路とが交差する交差点に設置される前記第1の道路用の第1の交通信号機及び前記第2の道路用の第2の交通信号機を制御する交通信号制御装置であって、
前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記第1の道路の各交差点流入路の交通状況情報を得る第1の交通状況情報取得手段と、
前記第1の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第1の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第1の設定手段と、
前記第1の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第2の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第2の設定手段と、
前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記第2の道路の各交差点流入路の交通状況情報を得る第2の交通状況情報取得手段と、
前記第2の交通状況情報取得手段により得られた交通状況情報に基づいて、前記第2の交通信号機の次回の青信号表示時間を設定する第3の設定手段と、
前記第3の設定手段により設定された青信号表示時間に応じて、当該青信号表示時間に対応する前記第1の交通信号機の赤信号表示時間を設定する第4の設定手段と、
前記第1乃至第4の設定手段により設定された各信号表示時間に従って前記第1及び前記第2の交通信号機の現示を制御する手段と、
を備えたことを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項2】
前記第1の交通状況情報取得手段は、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の、前記第1の道路の各交差点流入路の上流側所定位置での交通量を得る第1の交通量取得手段と、前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記第1の道路の各交差点流入路の当該交差点に対する信号待ち車両台数を得る第1の信号待ち車両台数取得手段と、を含むことを特徴とする請求項1記載の交通信号制御装置。
【請求項3】
前記第1の交通量取得手段は、前記第1の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を得ることを特徴とする請求項2記載の交通信号制御装置。
【請求項4】
前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記第1の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を、前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数として得ることを特徴とする請求項2記載の交通信号制御装置。
【請求項5】
前記第1の交通量取得手段は、前記第1の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を取得し、
前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記第1の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、前記第1の交通量取得手段と共用して前記車両感知器を含み、前記車両感知器の出力に基づいて得た前記第1の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を、前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数として得ることを特徴とする請求項2記載の交通信号制御装置。
【請求項6】
前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記第1の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の停止線位置と当該交差点流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数を得ることを特徴とする請求項2記載の交通信号制御装置。
【請求項7】
前記第1の信号待ち車両台数取得手段は、前記第1の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の停止線位置と当該交差点流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数を取得し、
前記第1の交通量取得手段は、前記第1の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、前記第1の信号待ち車両台数取得手段と共用して前記撮像手段を含み、前記撮像手段により前記第1の交通信号機の赤信号表示中の第1及び第2のタイミングでそれぞれ撮像された画像に基づいて前記第1の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を得ることを特徴とする請求項2記載の交通信号制御装置。
【請求項8】
前記第1の道路の各交差点流入路に関して、当該交差点流入路について前記第1の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該交差点流入路について前記第1の信号待ち車両台数取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該交差点流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第1の設定手段は、前記第1の道路の各交差点流入路に関して、当該各交差点流入路毎にT=n/(S−q)で表される時間Tを算出する第1の算出手段を含み、
前記第1の設定手段は、前記第1の算出手段により算出された前記第1の道路の各交差点流入路の時間Tに基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項9】
前記第1の設定手段は、前記第1の算出手段により算出された前記第1の道路の各交差点流入路の時間Tのうち最も長い時間に基づいて、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項8記載の交通信号制御装置。
【請求項10】
前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項11】
前記第1の設定手段は、前記第1の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項12】
前記第2の交通状況情報取得手段は、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の、前記第2の道路の各交差点流入路の上流側所定位置での交通量を得る第2の交通量取得手段と、前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定時点での、前記第2の道路の各交差点流入路の当該交差点に対する信号待ち車両台数を得る第2の信号待ち車両台数取得手段と、を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項13】
前記第2の交通量取得手段は、前記第2の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を得ることを特徴とする請求項12記載の交通信号制御装置。
【請求項14】
前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記第2の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を、前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数として得ることを特徴とする請求項12記載の交通信号制御装置。
【請求項15】
前記第2の交通量取得手段は、前記第2の道路の少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の上流側所定位置で車両を感知する車両感知器を含み、該車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を当該所定期間の時間で除算することにより、前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を取得し、
前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記第2の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、前記第2の交通量取得手段と共用して前記車両感知器を含み、前記車両感知器の出力に基づいて得た前記第2の交通信号機の赤信号表示中の所定期間の通過車両台数を、前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数として得ることを特徴とする請求項12記載の交通信号制御装置。
【請求項16】
前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記第2の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の停止線位置と当該交差点流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数を得ることを特徴とする請求項12記載の交通信号制御装置。
【請求項17】
前記第2の信号待ち車両台数取得手段は、前記第2の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、当該交差点流入路の停止線位置と当該交差点流入路の上流側所定位置との間の範囲を含む画像を撮像する撮像手段を含み、該撮像手段により撮像された画像に基づいて前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の信号待ち車両台数を取得し、
前記第2の交通量取得手段は、前記第2の道路の前記少なくとも1つの交差点流入路に関して、前記第2の信号待ち車両台数取得手段と共用して前記撮像手段を含み、前記撮像手段により前記第2の交通信号機の赤信号表示中の第1及び第2のタイミングでそれぞれ撮像された画像に基づいて前記第2の道路の当該少なくとも1つの交差点流入路の交通量を得ることを特徴とする請求項12記載の交通信号制御装置。
【請求項18】
前記第2の道路の各交差点流入路に関して、当該交差点流入路について前記第2の交通量取得手段により得られた交通量をqとし、当該交差点流入路について前記第2の信号待ち車両台数手段取得手段により得られた信号待ち車両台数をnとし、当該交差点流入路について予め設定された飽和交通流をSとしたとき、前記第3の設定手段は、前記第2の道路の各交差点流入路に関して、当該各交差点流入路毎にT=n/(S−q)で表される時間Tを算出する第2の算出手段を含み、
前記第3の設定手段は、前記第2の算出手段により算出された前記第2の道路の各交差点流入路の時間Tに基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項12乃至17のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項19】
前記第3の設定手段は、前記第2の算出手段により算出された前記第2の道路の各交差点流入路の時間Tのうち最も長い時間に基づいて、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を設定することを特徴とする請求項18記載の交通信号制御装置。
【請求項20】
前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の下限値以上に設定することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項21】
前記第3の設定手段は、前記第2の交通信号機の前記次回の青信号表示時間を、所定の上限値以下に設定することを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載の交通信号制御装置。
【請求項22】
請求項1乃至21のいずれかに記載の交通信号制御装置と、前記第1及び第2の交通信号機とを備えたことを特徴とする交通信号システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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