説明

交通情報システムおよび情報分析装置

【課題】 分析に必要な情報量が少なくても効率よく交通情報を作成する交通情報システムおよび情報分析装置を提供する。
【解決手段】 情報分析装置は、情報収集装置が搭載された車両間の車線上の距離が閾値K以上の場合、当該車両間に仮想車両を設定する。そして、情報分析装置は、仮想車両の車両情報や仮想車両から得られる車両分布情報を推定する。情報分析装置は、推定された情報を含めた車両分布情報を用いて、交通情報を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報システムおよび情報分析装置に関し、より特定的には、少ない車両情報に基づいて交通情報を分析する交通情報システムおよび情報分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両交通に関する交通情報システムでは、複数の車両に搭載された情報収集装置から送信される情報に基づいて、車両交通に関する情報が各車両に提示されるものがある。図30は、従来の交通情報システムの構成を示すブロック図である。
【0003】
図30において、各車両には、情報収集提示装置100a〜100nがそれぞれ搭載される。情報収集提示装置100は、情報収集部101、送信部102、受信部103、および情報提示部104を有している。また、情報収集提示装置100から送信される情報は、センタ200によって統合処理される。情報収集提示装置100は、搭載される車両の速度、位置、方向、および車両IDなどの走行情報と、当該車両の近傍に存在する検出対象物の位置、形状、移動方向、および速度や車両の数、車間距離、並びに道路形状などの周辺情報と、その時刻とをセンタ200にそれぞれ送信部102を介して送信する。そして、センタ200が、それらの情報の統合処理を行い、各車両にその処理結果を交通情報として送信する。そして、各情報収集提示装置100では、受信部103を介してセンタ200から送信された交通情報を受信し、当該交通情報が情報提示部104でユーザに提示される(例えば、特許文献1参照)。このような交通情報システムを用いることにより、ユーザは、自車における前方の渋滞状況などの交通情報を取得できるため、運転時のユーザのストレスを軽減し、さらには、渋滞を緩和することができる。
【特許文献1】特開2003−346286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、各車両に対して情報収集提示装置100の搭載比率が低い場合、情報収集部101から送信部102を介してそれぞれ得られる情報の数が不足し、上記統合処理に必要な情報も少なくなるため十分な交通情報を提供できない。
【0005】
それ故に、本発明の目的は、交通情報システムおよび情報分析装置に関し、より特定的には、分析に必要な情報量が少なくても効率よく交通情報を作成する交通情報システムおよび情報分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下に述べるような特徴を有している。
第1の発明は、車両に搭載される情報収集装置と、それら情報収集装置から得られる情報に基づいて車両の交通情報を生成する情報分析装置とを含む交通情報システムである。
情報収集装置は、自車走行情報取得手段、周囲車両情報収集手段、第1の情報処理手段、および送信手段を備える。自車走行情報取得手段は、自機が搭載される自車両の位置、速度、および方向を検出する。周囲車両情報収集手段は、自車両の周囲に存在する他の車両に関する周囲車両情報を収集する。第1の情報処理手段は、自車走行情報取得手段が検出した自車走行情報および周囲車両情報収集手段が収集した周囲車両情報と用いて、自車両周辺の車両分布を示す送信情報を作成する。送信手段は、第1の情報処理手段が作成した送信情報を送信する。情報分析装置は、受信手段および第2の情報処理手段を備える。受信手段は、情報収集装置から送信された送信情報を受信する。第2の情報処理手段は、受信手段が受信した複数の送信情報を用いて、所定範囲の車両の分布を示す車両分布情報を作成し、それら車両分布情報が不足している区間に対してその区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された送信情報に基づいて、その区間の車両分布情報を補間する。
【0007】
第2の発明は、上記第1の発明において、第2の情報処理手段は、区間を挟む車両間の距離が閾値以上の際、その区間の車両分布情報を補間する。
【0008】
第3の発明は、上記第1の発明において、周囲車両情報収集手段が収集する周囲車両情報は、自車両を基準とする他の車両の相対位置および相対速度である。第1の情報処理手段が作成する送信情報は、自車両の絶対位置および絶対速度と、他の車両の絶対位置および絶対速度である。ここで、絶対位置は路面上での位置を意味し、絶対速度は路面に対する速度を意味している。
【0009】
第4の発明は、上記第1の発明において、周囲車両情報収集手段が収集する周囲車両情報は、自車両を基準とする他の車両の相対位置および相対速度である。第1の情報処理手段が作成する送信情報は、自車両および他の車両の位置を代表する代表位置と、自車両および他の車両の速度を代表する代表速度と、自車両から他の車両までの間の車間距離を代表する代表車間距離とである。
【0010】
第5の発明は、上記第4の発明において、第2の情報処理手段は、区間内の所定位置における代表車間距離が、その区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された代表車間距離とそれぞれの代表位置との間で線形関係にあると仮定して、その所定位置における代表車間距離を補間する。
【0011】
第6の発明は、上記第4の発明において、第2の情報処理手段は、区間内の所定位置における代表車間距離が、その区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された代表車間距離および代表位置に対して、一方の代表位置における代表車間距離で極小となり他方の代表位置における代表車間距離を通る二次関数で近似される関係にあると仮定して、その所定位置における代表車間距離を補間する。
【0012】
第7の発明は、上記第5および第6いずれかの発明において、第2の情報処理手段は、区間内の所定位置に仮想車両を設定し、その仮想車両とその仮想車両の周囲にある車両との間の車間距離が補間された代表車間距離であると推定する。
【0013】
第8の発明は、上記第7の発明において、第2の情報処理手段は、仮想車両から補間された代表車間距離だけ離れた前後の位置に別の仮想車両を設定する。
【0014】
第9の発明は、上記第8の発明において、情報分析装置は、第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。第2の情報処理手段は、情報収集装置を搭載した車両およびそれら情報収集装置の周囲車両情報収集手段で収集された周囲の車両に加えて、仮想車両を提示手段に地図データ上で表現させる。
【0015】
第10の発明は、上記第8の発明において、情報分析装置は、第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。第2の情報処理手段は、地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、それら間隔毎の車線に存在する車両の総数に基づいてその地図データで示される車線のそれら間隔毎に装飾し、提示手段に地図データ上で表現させる。
【0016】
第11の発明は、上記第8の発明において、情報分析装置は、第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。第2の情報処理手段は、地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、それら間隔毎に設定された代表車両間隔を示す複数の車キャラクタ画像をその地図データで示される車線のそれら間隔毎に付与し、提示手段に地図データ上で表現させる。
【0017】
第12の発明は、上記第4の発明において、第2の情報処理手段は、区間内の所定位置における代表速度が、その区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された代表速度とそれぞれの代表位置との間で線形関係にあると仮定して、その所定位置における代表速度を補間する。
【0018】
第13の発明は、上記第4の発明において、第2の情報処理手段は、区間内の所定位置における代表速度が、その区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された代表速度および代表位置に対して、一方の代表位置における代表速度で極小となり他方の代表位置における代表速度を通る二次関数で近似される関係にあると仮定して、その所定位置における代表速度を補間する。
【0019】
第14の発明は、上記第12および第13のいずれかの発明において、第2の情報処理手段は、区間内の所定位置に仮想車両を設定し、その仮想車両の絶対速度が補間された代表速度であると推定する。
【0020】
第15の発明は、上記第14の発明において、情報分析装置は、第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。第2の情報処理手段は、情報収集装置を搭載した車両、それら情報収集装置の周囲車両情報収集手段で収集された周囲の車両、および仮想車両がそれぞれ設定されている絶対速度に応じて地図データ上で移動するように提示手段に表現させる。
【0021】
第16の発明は、上記第14の発明において、情報分析装置は、第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。第2の情報処理手段は、地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、それら間隔毎に設定されている絶対速度に基づいてその地図データで示される車線のそれら間隔毎に装飾し、提示手段に地図データ上で表現させる。
【0022】
第17の発明は、上記第14の発明において、情報分析装置は、第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。第2の情報処理手段は、地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、それら間隔毎に設定された代表速度に応じて移動する車キャラクタ画像をその地図データで示される車線のそれら間隔毎に付与し、提示手段に地図データ上で表現させる。
【0023】
第18の発明は、上記第1の発明において、交通情報システムは、特定の車線を通過する車両に対して情報収集装置の搭載比率を検出し、その検出結果を送信する搭載率検出装置を、さらに備える。受信手段は、搭載率検出装置が送信した検出結果を、さらに受信する。第2の情報処理手段は、検出結果から区間に対して検出された搭載比率を抽出し、その区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された送信情報およびその搭載比率に基づいて、その区間の車両分布情報を補間する。
【0024】
第19の発明は、上記第1の発明において、第2の情報処理手段は、区間を挟む車両のうち、前方に位置する車両に搭載された情報収集装置から送信された送信情報が後方車両を検出していることを示し、かつ、区間を挟む車両のうち、後方に位置する車両に搭載された情報収集装置から送信された送信情報が前方車両を検出していることを示す際、その区間の車両分布情報の補間を行う。
【0025】
第20の発明は、車両に搭載され、自機が搭載される自車両およびその自車両周辺の車両分布を示す送信情報を送信する情報収集装置から得られる情報に基づいて、車両の交通情報を生成する情報分析装置である。情報分析装置は、受信手段および情報処理手段を備える。受信手段は、情報収集装置から送信された送信情報を受信する。情報処理手段は、受信手段が受信した複数の送信情報を用いて、所定範囲の車両の分布を示す車両分布情報を作成し、それら車両分布情報が不足している区間に対してその区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された送信情報に基づいて、その区間の車両分布情報を補間する。
【0026】
第21の発明は、上記第20の発明において、情報処理手段は、区間を挟む車両間の距離が閾値以上の際、その区間の車両分布情報を補間する。
【0027】
第22の発明は、上記第20の発明において、情報収集装置が送信する送信情報は、自車両および自車両周辺の他の車両の位置を代表する代表位置と、自車両およびそれら他の車両の速度を代表する代表速度と、自車両からそれら他の車両までの間の車間距離を代表する代表車間距離を示している。情報処理手段は、区間内の所定位置における代表車間距離が、その区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された代表車間距離とそれぞれの代表位置との間で線形関係にあると仮定して、その所定位置における代表車間距離を補間する。
【0028】
第23の発明は、上記第1の発明において、情報収集装置が送信する送信情報は、自車両および自車両周辺の他の車両の位置を代表する代表位置と、自車両およびそれら他の車両の速度を代表する代表速度と、自車両からそれら他の車両までの間の車間距離を代表する代表車間距離を示している。情報処理手段は、区間内の所定位置における代表車間距離が、その区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された代表車間距離および代表位置に対して、一方の代表位置における代表車間距離で極小となり他方の代表位置における代表車間距離を通る二次関数で近似される関係にあると仮定して、その所定位置における代表車間距離を補間する。
【0029】
第24の発明は、上記第22および第23のいずれかの発明において、情報処理手段は、区間内の所定位置に仮想車両を設定し、その仮想車両とその仮想車両の周囲にある車両との間の車間距離が補間された代表車間距離であると推定する。
【0030】
第25の発明は、上記第24の発明において、情報処理手段は、仮想車両から補間された代表車間距離だけ離れた前後の位置に別の仮想車両を設定する。
【0031】
第26の発明は、上記第25の発明において、情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。情報処理手段は、情報収集装置を搭載した車両およびそれら情報収集装置の周囲車両情報収集手段で収集された周囲の車両に加えて、仮想車両を提示手段に地図データ上で表現させる。
【0032】
第27の発明は、上記第25の発明において、情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。情報処理手段は、地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、それら間隔毎の車線に存在する車両の総数に基づいてその地図データで示される車線のそれら間隔毎に装飾し、提示手段に地図データ上で表現させる。
【0033】
第28の発明は、上記第25の発明において、情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。情報処理手段は、地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、それら間隔毎に設定された代表車両間隔を示す複数の車キャラクタ画像をその地図データで示される車線のそれら間隔毎に付与し、提示手段に地図データ上で表現させる。
【0034】
第29の発明は、上記第20の発明において、情報収集装置が送信する送信情報は、自車両および自車両周辺の他の車両の位置を代表する代表位置と、自車両およびそれら他の車両の速度を代表する代表速度と、自車両からそれら他の車両までの間の車間距離を代表する代表車間距離を示している。情報処理手段は、区間内の所定位置における代表速度が、その区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された代表速度とそれぞれの代表位置との間で線形関係にあると仮定して、その所定位置における代表速度を補間する。
【0035】
第30の発明は、上記第20の発明において、情報収集装置が送信する送信情報は、自車両および自車両周辺の他の車両の位置を代表する代表位置と、自車両およびそれら他の車両の速度を代表する代表速度と、自車両からそれら他の車両までの間の車間距離を代表する代表車間距離を示している。情報処理手段は、区間内の所定位置における代表速度が、その区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された代表速度および代表位置に対して、一方の代表位置における代表速度で極小となり他方の代表位置における代表速度を通る二次関数で近似される関係にあると仮定して、その所定位置における代表速度を補間する。
【0036】
第31の発明は、上記第29および第30のいずれかの発明において、情報処理手段は、区間内の所定位置に仮想車両を設定し、その仮想車両の絶対速度が補間された代表速度であると推定する。
【0037】
第32の発明は、上記第28の発明において、情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。情報処理手段は、情報収集装置を搭載した車両、それら情報収集装置の周囲車両情報収集手段で収集された周囲の車両、および仮想車両がそれぞれ設定されている絶対速度に応じて地図データ上で移動するように提示手段に表現させる。
【0038】
第33の発明は、上記第31の発明において、情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。情報処理手段は、地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、それら間隔毎に設定されている絶対速度に基づいてその地図データで示される車線のそれら間隔毎に装飾し、提示手段に地図データ上で表現させる。
【0039】
第34の発明は、上記第31の発明において、情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備える。情報処理手段は、地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、それら間隔毎に設定された代表速度に応じて移動する車キャラクタ画像をその地図データで示される車線のそれら間隔毎に付与し、提示手段に地図データ上で表現させる。
【0040】
第35の発明は、上記第20の発明において、受信手段は、特定の車線を通過する車両に対して情報収集装置の搭載比率を検出し、その検出結果を送信する搭載率検出装置が送信した検出結果を、さらに受信する。情報処理手段は、検出結果から区間に対して検出された搭載比率を抽出し、その区間を挟む車両に搭載された情報収集装置からそれぞれ送信された送信情報およびその搭載比率に基づいて、その区間の車両分布情報を補間する。
【0041】
第36の発明は、上記第20の発明において、情報処理手段は、区間を挟む車両のうち、前方に位置する車両に搭載された情報収集装置から送信された送信情報が後方車両を検出していることを示し、かつ、区間を挟む車両のうち、後方に位置する車両に搭載された情報収集装置から送信された送信情報が前方車両を検出していることを示す際、その区間の車両分布情報の補間を行う。
【発明の効果】
【0042】
第1の発明によれば、車両分布情報の情報量が不足した区間に対して車両分布情報を補間するため、適切な交通情報をユーザに提供することができる。
【0043】
第2の発明によれば、所定の閾値以上の場合に車両分布情報を補間するため、情報量が不足している区間を確実に抽出することができる。
【0044】
第3の発明によれば、1つの情報収集装置に対して複数の車両に関する車両情報を収集して情報分析装置に送信することができ、情報収集装置当たりの情報量が多くなる。
【0045】
第4の発明によれば、複数の車両情報を代表的な情報で送信するため、情報収集装置からの伝送量を減らすことができる。
【0046】
第5および第6の発明によれば、補間する区間の代表車間距離を線形関数または二次関数による近似を用いて、適切に推定することができる。
【0047】
第7および第8の発明によれば、補間する区間に現実には検出されていない仮想的な車両を設定することによって、容易に情報不足区間を推定することができる。
【0048】
第9〜第11の発明によれば、車両分布情報を補間した区間を含め、ユーザに適切な交通情報を提示することができる。
【0049】
第12および第13の発明によれば、補間する区間の代表速度を線形関数または二次関数による近似を用いて、適切に推定することができる。
【0050】
第14の発明によれば、補間する区間に現実には検出されていない仮想的な車両を設定することによって、容易に情報不足区間の絶対速度を推定することができる。
【0051】
第15〜第17の発明によれば、車両分布情報を補間した区間を含め、ユーザに適切な速度情報を交通情報として提示することができる。
【0052】
第18の発明によれば、ユーザに提供する車両分布情報の信頼性が向上し、ユーザの安心感が向上する。
【0053】
第19の発明によれば、異なる車群間の情報補間を行わないため、本来は存在しないはずの車両を推定するなどの現実とは異なった推定を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る交通情報システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、図1は、当該交通情報システムの構成を示すブロック図である。
【0055】
図1において、交通情報システムは、複数の車両に搭載され、搭載される車両に対する車両情報および周辺情報を収集して伝送する情報収集装置1および伝送された情報に基づいて交通情報を分析してユーザに提示する情報分析装置2によって構成される。なお、各車両には、情報収集装置1および情報分析装置2の一方を搭載してもかまわない。
【0056】
情報収集装置1は、自車走行情報取得部11、周囲車両情報収集部12、第1の情報処理部13、および送信部14を備えている。自車走行情報取得部11は、速度検出部111および位置検出部112を有している。周囲車両情報収集部12は、前方車両情報取得部121、後方車両情報取得部122、左側車両情報取得部123、および右側車両情報取得部124を有している。また、情報分析装置2は、受信部21、第2の情報処理部22、および提示部23を備えている。
【0057】
速度検出部111は、例えば速度センサなどで構成され、搭載される車両の走行速度を取得する。位置検出部112は、例えばGPSなどによって構成され、搭載される車両の絶対位置を検出する。これらによって、自車走行情報取得部11は、搭載される車両の絶対位置、絶対速度、および走行方向を取得して、第1の情報処理部13へ出力する。なお、自車走行情報取得部11は、走行方向を取得する手段として、地磁気センサなどを用いて、得られる走行方向の精度を高めてもよい。ここで、本明細書では、絶対位置は路面上での位置を意味し、絶対速度は路面に対する速度を意味している。
【0058】
前方車両情報取得部121は、図2に示すように、例えば交通情報システムを搭載する車両C(以下、単に車両Cと記載する)の前部から車両C前方に向けてミリ波をビーム状に走査するとともに、物体(前方車両CF)などにより反射されたミリ波を受信するレーダ装置である。後方車両情報取得部122は、例えば車両Cの後部から車両C後方に向けてミリ波をビーム状に走査するとともに、物体(後方車両CB)などにより反射されたミリ波を受信するレーダ装置である。左側車両情報取得部123は、例えば車両Cの左部から車両C左方向に向けてミリ波をビーム状に走査するとともに、物体(左側車両CL)などにより反射されたミリ波を受信するレーダ装置である。そして、右側車両情報取得部124は、例えば車両Cの右部から車両C右方向に向けてミリ波をビーム状に走査するとともに、物体(右側車両CR)などにより反射されたミリ波を受信するレーダ装置である。これらのレーダ装置は、レーダ波の送信時点からの遅れ時間とドップラーシフトとから、それぞれ周辺車両CF、CB、CL、およびCRと車両Cとの距離および相対速度を逐次測定する。周囲車両情報収集部12は、これらの測定結果を第1の情報処理部13へ出力する。なお、周囲車両情報収集部12は、電波レーダよって車両Cに対する前後左右の周囲車両の相対位置および相対速度を測定したが、さらに多くのレーダを設置し、右前方、左前方、右後方および左後方の車両について測定してもかまわない。このように構成することで、より多くの周辺車両情報を同時に取得することができる。
【0059】
なお、図3に示すように、左側車両情報取得部123は、車両Cの左側前方にミリ波送信部123aおよび左側後方にミリ波受信部123bが離して設置してもかまわない。また、右側車両情報取得部124は、車両Cの右側前方にミリ波送信部124aおよび右側後方にミリ波受信部124bが離して設置してもかまわない。また、ミリ波送信部123aおよび124aとミリ波受信部123bおよび123bとの前後位置関係を入れ替えてもかまわない。この配置関係でも、進行方向のドップラー効果が得られる。
【0060】
第1の情報処理部13は、自車走行情報取得部11および周囲車両情報収集部12から出力された情報に基づいて演算処理を行い、処理結果を送信情報TIとして送信部14に出力する。例えば、第1の情報処理部13は、自車走行情報取得部11および周囲車両情報収集部12の情報に基づいて、周囲車両の絶対位置および絶対速度を得る。具体的には、第1の情報処理部13は、車両Cに対する方向に応じて、周囲車両との車間距離(相対位置)と車両Cの絶対位置および方向とから、当該周囲車両の絶対位置を得る。また、第1の情報処理部13は、周囲車両の相対速度と車両Cの絶対速度とから当該周囲車両の絶対速度を得る。なお、このとき絶対速度の代わりに、情報収集装置装備車両の進行方向と進行方向成分の速さを取得するとしてもよい。そして、送信部14は、送信情報TIを搭載される車両から外部へ送信する。例えば、送信部14は、当該交通情報システム用に割り当てられた帯域内の1チャンネルを利用して、CDMA通信を行う。
【0061】
受信部21は、情報収集装置1(自機の情報収集装置1を含む)から送信された送信情報TIを受信し、第2の情報処理部22へ出力する。第2の情報処理部22は、受信部21から受信した送信情報TIを情報処理し、提示部23が提示に用いる交通情報を作成する。そして、提示部23は、第2の情報処理部22が作成した交通情報をユーザに提示する。
【0062】
次に、図4を参照して、情報収集装置1に含まれる第1の情報処理部13の動作について説明する。なお、図4は、第1の情報処理部13の動作を示すフローチャートである。
【0063】
図4において、第1の情報処理部13は、前方車両情報取得部121、後方車両情報取得部122、左側車両情報取得部123、および右側車両情報取得部124から周囲車両の情報が得られたか否かを判断する(ステップS11〜S14)。第1の情報処理部13は、周囲車両の情報が前方車両情報取得部121から得られた場合(ステップS11でYes)、車両Cの前方に前方車両CFが走行していると判断する(ステップS15)。そして、第1の情報処理部13は、車両Cの絶対位置、車両Cの絶対速度、前方車両CFとの相対距離(車間距離)、前方車両CFの相対速度、および車両Cと前方車両CFとの縦方向に関する長さLLに基づいて、前方車両CFの絶対位置および絶対速度を求める。本実施形態では、車両の位置を車両の中心の位置としているので、レーダ測定した前方車両CFと車両Cとの距離は、厳密にいうと(前方車両情報取得部121が測定した前方車両CFとの相対距離)+(前方車両CFの後端からその中心までの距離)+(車両Cの前端からその中心までの距離)となる。したがって、縦方向に関する長さLLは、(前方車両CFの後端からその中心までの距離)+(車両Cの前端からその中心までの距離)である。ここで、(前方車両CFの後端からその中心までの距離)は、本実施形態の装置構成では知り得ない場合があるので、長さLLを(車両Cの前端から後端までの距離)として計算してもかまわない。この場合、第1の情報処理部13は、前方車両CFの絶対位置を車両の中心位置とし、車両Cと前方車両CFとの車間距離がY1である場合、車両Cの絶対位置に対して、前方に距離Y1+LLとなる位置を前方車両CFの絶対位置とする。なお、長さLLは、ユーザが任意に手動で入力してもかまわない。もちろん長さLLは、ユーザが任意に手動で入力してもかまわない。
【0064】
また、第1の情報処理部13は、周囲車両の情報が後方車両情報取得部122から得られた場合(ステップS12でYes)、車両Cの後方に後方車両CBが走行していると判断する(ステップS16)。そして、第1の情報処理部13は、車両Cの絶対位置、車両Cの絶対速度、後方車両CBとの相対距離(車間距離)、後方車両CBの相対速度、および縦方向に関する長さLLに基づいて、後方車両CBの絶対位置および絶対速度を求める。例えば、第1の情報処理部13は、後方車両CBの絶対位置を車両の中心位置とし、車両Cと後方車両CBとの車間距離がY2である場合、車両Cの絶対位置に対して、後方に距離Y2+LLとなる位置を後方車両CBの絶対位置とする。
【0065】
さらに、第1の情報処理部13は、周囲車両の情報が左側車両情報取得部123から得られた場合(ステップS13でYes)、車両Cの左側に左側車両CLが走行していると判断する(ステップS17)。そして、第1の情報処理部13は、車両Cの絶対位置、車両Cの絶対速度、左側車両CLとの相対距離、左側車両CLの相対速度、および車両Cと左側車両CLとの横方向に関する長さLWに基づいて、左側車両CLの絶対位置および絶対速度を求める。本実施形態では、車両の位置を車両の中心の位置としているので、レーダ測定した左側車両CLと車両Cとの距離は、厳密にいうと(左側車両情報取得部123が測定した左側車両CLとの相対距離)+(左側車両CLの右端からその中心までの距離)+(車両Cの左端からその中心までの距離)となる。したがって、横方向に関する長さLWは、(左側車両CLの右端からその中心までの距離)+(車両Cの左端からその中心までの距離)である。ここで、(左側車両CLの右端からその中心までの距離)は、本実施形態の装置構成では知り得ない場合があるので、長さLWを(車両Cの左端から右端までの距離)として計算してもかまわない。この場合、第1の情報処理部13は、左側車両CLの絶対位置を車両の中心位置とし、車両Cと左側車両CLとの車間距離がX1である場合、車両Cの絶対位置に対して、左側に距離X1+LWとなる位置を左側車両CLの絶対位置とする。もちろん長さLWも、ユーザが任意に手動で入力してもかまわない。
【0066】
また、第1の情報処理部13は、周囲車両の情報が右側車両情報取得部124から得られた場合(ステップS14でYes)、車両Cの右側に右側車両CRが走行していると判断する(ステップS18)。そして、第1の情報処理部13は、車両Cの絶対位置、車両Cの絶対速度、右側車両CRとの相対距離、右側車両CRの相対速度、および長さLWに基づいて、右側車両CRの絶対位置および絶対速度を求める。例えば、第1の情報処理部13は、右側車両CRの絶対位置を車両の中心位置とし、車両Cと右側車両CRとの車間距離がX2である場合、車両Cの絶対位置に対して、右側に距離X2+LWとなる位置を右側車両CRの絶対位置とする。
【0067】
なお、情報収集装置1において、反対車線を走行する車両を検出する場合がある。情報収集装置1は、検出した車両の相対速度の方向が、車両Cの走行速度と反対方向であり、かつ当該相対速度の大きさが車両Cの絶対速度の大きさよりも大きい場合、当該検出した車両が反対車線を走行する車両とみなす。そして、反対車線を走行する車両の情報を無視して、当該情報を送信しない場合、後述する交通情報生成において、間違って反対車線の情報をカウントして正確な交通情報を提供できない問題を排除できる。一方、反対車線を走行する車両の情報であることを明確にして上記情報を送信する場合、後述する車両分布情報や交通情報の生成において処理に用いる車両情報が増加するため、車両分布情報や交通情報を作成するための情報量が多くなり、より正確な情報を提供できる。
【0068】
送信部14は、第1の情報処理部13によって処理された情報を送信情報TIとして送信する。例えば、図5に示すように、送信情報TIには自車(車両C)における絶対位置情報および絶対速度情報が記述され、送信部14から定期的に送信される。そして、送信情報TIには、周囲車両情報収集部12が周囲車両を検出した場合、その周囲車両に相当する前方車両(CF)、後方車両(CB)、左側車両(CL)、および右側車両(CR)における絶対位置情報および絶対速度情報が記述される。この送信情報TIは、複数の情報収集装置1からそれぞれ送信されるが、以下の説明ではそれらを区別するために、複数の車両Ca〜Cnにそれぞれ搭載されている情報収集装置1a〜1nからそれぞれ送信情報TIa〜TInが送信されるとする。そして、車両Ca〜Cnには、それぞれ情報分析装置2a〜2nが搭載されているとする。
【0069】
情報分析装置2に含まれる受信部21は、送信情報TIを受信し、第2の情報処理部22へ出力する。例えば、図6に示すように、情報分析装置2aに含まれる受信部21aは、情報収集装置1a〜1nから送信された送信情報TIa〜TInを受信する。つまり、受信部21aは、他の車両Cb〜Cnから送信される送信情報TIb〜TInと共に、自機が搭載されている車両Caから送信される送信情報TIaも受信する。このように、各情報分析装置2a〜2nに含まれる受信部21a〜21nは、それぞれ交通情報システム用に割り当てられた帯域を用いた通信を複数チャンネル(好ましくは全てのチャンネル)を受信することによって、送信情報TIa〜TInを受信する。
【0070】
第2の情報処理部22は、受信部21が受信した送信情報TIをそれぞれ処理して車両分布情報を作成する。例えば、第2の情報処理部22は、複数の情報収集装置1a〜1nが送信した送信情報TIa〜TInを用いて、図7に示すような車両分布情報を作成する。車両分布情報は、複数の送信情報TIが示す各車両の絶対位置情報および絶対速度情報を並記した情報である。典型的には、車両分布情報は、自機を搭載する車両の絶対位置を基準とする所定範囲に対して、送信情報TIが示す各車両の絶対位置情報および絶対速度情報を展開し、当該所定範囲に含まれる各車両を対象として作成される。なお、車両分布情報は、同一の車両に対する情報(絶対位置情報が同じ情報)をいずれか1つに整理する。
【0071】
提示部23は、例えばディスプレイなどで構成され、視覚的にユーザに交通情報を表示する。具体的には、提示部23は、第2の情報処理部22によって作成された車両分布情報に基づいた交通情報を表示する。例えば、情報分析装置2は、地図情報を格納する記録部(図示せず)を有しており、第2の情報処理部22が上記車両分布情報に基づいた各車両を所定の地図情報上に描画して提示部23に出力する。そして、提示部23は、地図情報を表示して車両Cを含む車両分布情報を表現する。
【0072】
図8は、提示部23に表示される地図情報を用いた車両分布情報を表示する第1の例である。図8に示すように、車両分布情報表示D1では、車両Cを略中心に配置して所望範囲の車両分布情報を表現する。車両Cを示す自車マークCmは、車両分布情報表示D1の略中心に描かれる。そして、地図情報の経路上に描かれる塗りつぶし三角形マークで情報収集装置1の搭載車両を示し、白抜き三角形マークで情報収集装置1の非搭載車両を示す。他車両を示す各三角形マークは、その表示位置によって地図情報に対する絶対位置を示し、その頂点方向によって走行方向を示し、地図上を移動して表示することによって絶対走行速度を表現する。
【0073】
また、図9は、提示部23に表示される地図情報を用いた車両分布情報を表示する第2の例である。図9に示すように、車両分布情報表示D2では、車両Cを下方中央に配置して車両Cに対する前方の所望範囲の車両分布情報を表現する。車両Cを示す自車マークCmは、車両分布情報表示D2の下方中央に描かれる。そして、地図情報の経路上に描かれる塗りつぶし三角形マークで情報収集装置1の搭載車両を示し、白抜き三角形マークで情報収集装置1の非搭載車両を示す。他車両を示す各三角形マークは、その表示位置によって地図情報に対する絶対位置を示し、その頂点方向によって走行方向を示し、地図上を移動して表示することによって絶対走行速度を表現する。
【0074】
また、図10は、提示部23に表示される地図情報を用いた車両分布情報を表示する第3の例である。図10(a)に示すように、車両分布情報表示D3では、車両Cを左下に配置して車両Cに対する右前方の所望範囲の車両分布情報を表現する。第2の情報処理部22は、地図情報に表現される経路上を所定の距離(例えば100m)毎に区切って、それぞれ区間Zとする。そして、第2の情報処理部22は、車両分布情報に基づいて、それぞれの区間Z毎に存在する車両の数およびそれら車両の平均絶対速度を演算する。提示部23に表示される車両分布情報表示D3では、地図情報で表現される経路が上記区間Z毎に区分され、それぞれの区間Zにおける車両数および平均絶対速度が区別できるように表示される。例えば、図10(b)に示すように、区間Zを示す領域AC内を色や模様で区別し、当該区間Z内に存在する車両数を表現する。具体的には、車両数が5台以上なら領域ACを赤で表現し、5台未満なら領域ACを青で表現する。また、領域AC内に矢印Vを表示し、当該矢印Vの長さおよび方向で平均絶対速度および走行方向を表現する。なお、区間Zは、少なくとも経路に設定されている上りおよび下り車線毎にそれぞれ設定されて車両数および平均絶対速度が表現される。
【0075】
このように、交通情報システムのユーザは、提示部23に表示される車両分布情報を視認することによって、自車を中心とした車両分布情報や、自車の前方の車両分布情報を視覚的に知ることができる。これにより、ユーザは、自車の周囲渋滞状況や前方の渋滞状況を知ることができる。また、地図情報と合わせて各車両を描画することによって、ユーザが経路上の車両の分布を知ることができ、事前に経路上の渋滞情報を知ることができる。これによって、ユーザは、事前に渋滞や事故などの情報を取得できるので、渋滞による時間的、精神的損失を軽減できる。また、1つの情報収集装置1で、自車両および周囲車両の情報を収集できるため、情報収集装置1に対して多くの車両情報を収集することができる。
【0076】
なお、上述した車両分布情報表示D1〜D3では、少なくとも同じ経路上であっても走行方向それぞれに対して個別の車両分布情報が表現されるが、経路の車線が片側2車線以上である場合、それらの車線毎に車両分布情報を表示してもかまわない。これによって、ユーザが同一方向の複数車線毎の交通情報を取得でき、意図しない車線の渋滞の列に並ぶことを避けることができる。また、提示部23における表示態様は、ユーザからの入力指示に応じてその表示態様を切り替えるようにしてもよい。
【0077】
また、第1の情報処理部13は、周囲車両情報収集部12から出力される周囲車両の情報と車両Cの絶対位置および絶対速度とから、車両Cに対する周囲車両の密度を演算してもかまわない。例えば、第1の情報処理部13は、車両C近辺の代表車間距離を演算する。代表車間距離は、車両Cが走行する車線における車間距離を代表的に示す値である。例えば、前方車両CFと車両Cとの車間距離および後方車両CBと車両Cとの車間距離の一方やそれらの平均値が代表車間距離に選ばれる。
【0078】
なお、周囲車両情報収集部12は、車両Cの前後の車両CFおよびCBを必ず検知できるとは限らない。例えば、車両Cに対して前方車両情報取得部121の車両検知限界距離以上の前方に前方車両CFが位置する場合、当該前方車両CFは検知できない。また、車両Cに対して後方車両情報取得部122の車両検知限界距離以上の後方に後方車両CBが位置する場合、当該後方車両CBは検知できない。この場合、第1の情報処理部13は、検出できなかった前方車両CFおよび/または後方車両CBが車両検知限界距離以上の所定距離(例えば300m)に存在すると仮定して、代表車間距離を演算する。
【0079】
または、周囲車両情報収集部12が車両Cの前後の車両CFおよびCBの一方が検知できなかった場合、情報収集装置1は、他方との間の車間距離を代表車間距離として、一方の車両が検知できなかった旨を示す検知情報を付与して送信情報TIを送信してもよい。このような検知情報を付与することによって、後述する車両分布情報を精度よく作成することができる。
【0080】
また、車両Cが走行する車線の左右に設けられている他の車線に対する代表車間距離も演算してもかまわない。例えば、左側車両情報取得部123から得られる複数の左側車両CLに対する相対速度とそれぞれ検出した時間情報とを用いて、当該複数の左側車両CL間の車間距離を演算することができる。この車間距離の1つや平均値を、車両Cが走行する車線に対する左側車線の代表車間距離に設定する。また、車両Cが走行する車線および当該車線と隣り合って同一方向に向かう車線に対しては、それらの車線に設定された代表車間距離の1つを選択あるいは平均して、1つの代表車間距離を設定してもかまわない。
【0081】
また、第1の情報処理部13は、車両C近辺の代表速度を演算する。代表速度は、車両Cが走行する車線および左右車線におけるそれぞれの代表的な走行速度を示す値である。例えば、車両Cの絶対走行速度や車両C、前方車両CF、および後方車両CBの接待走行速度の平均値が、車両Cが走行する車線の代表速度に選ばれる。また、左側車両CLの絶対走行速度および右側車両CRの絶対走行速度が、それぞれ車両Cが走行する左右車線の代表速度に設定される。なお、車両Cが走行する車線および当該車線と隣り合って同一方向に向かう車線に対しては、それらの車線に設定された代表速度の1つを選択あるいは平均して、1つの代表速度を設定してもかまわない。
【0082】
そして、第1の情報処理部13は、車両C近辺の代表位置を演算する。代表位置は、上述した代表車間距離や代表速度が取得された位置を示す情報である。例えば、車両Cの絶対位置や、前方車両CFおよび後方車両CBの中間地点が代表位置に設定される。
【0083】
第1の情報処理部13は、上記代表車間距離、代表速度、および代表位置を車両Cに対する周囲車両の密度を示す車両密度情報として作成する。この車両密度情報は送信部14から送信情報TIとして送信されるが、図5を用いて説明した情報より情報量が少ないため、送信部14からの伝送量を減らすことができる。
【0084】
上記車両密度情報が記述された送信情報TIは、受信部21を介して第2の情報処理部22で処理される。第2の情報処理部22は、上記車両密度情報が記述された送信情報TIを処理して車両分布情報を作成する。例えば、第2の情報処理部22は、複数の情報収集装置1a〜1nが送信した送信情報TIa〜TInを用いて、図11に示すような車両分布情報を作成する。この場合、車両分布情報は、複数の送信情報TIが示す各車線の車両密度情報(代表車間距離、代表速度、および代表位置)を並記した情報となる。
【0085】
そして、提示部23は、第2の情報処理部22によって作成された車両分布情報に基づいて車両分布情報表示を行う。例えば、図10(a)を用いて説明した車両分布情報表示D3によって、車両密度情報に基づく車両分布情報を表示してもかまわない。この場合、第2の情報処理部22は、各車線に応じた車両密度情報に基づいて、それぞれの区間Z毎の代表車間距離および代表速度を得る。提示部23に表示される車両分布情報表示D3では、地図情報で表現される経路が上記区間Z毎に区分され、それぞれの区間Zにおける代表車間距離および代表速度が区別できるように表示される。例えば、図10(b)に示すように、区間Zを示す領域AC内を色や模様で区別し、当該区間Zにおける代表車間距離を表現する。また、領域AC内に矢印Vを表示し、当該矢印Vの長さおよび方向で代表速度および走行方向を表現する。
【0086】
また、区間Z内における表現方法として、車両キャラクタ画像Cimの動作を用いることができる。図12に示すように、代表車間距離に応じて、表現する車両キャラクタ画像Cimの間隔Laを設定する。つまり、代表車間距離が長ければ間隔Laを長く設定し、代表車間距離が短ければ間隔Laを短くして、複数の車両キャラクタ画像Cimを表示する。そして、それらの車両キャラクタ画像Cimを代表速度に応じて経路上を図示Va方向に移動させて提示部23に表示する。つまり、代表速度が速ければ車両キャラクタ画像Cimを高速で移動させ、代表速度が遅ければ車両キャラクタ画像Cimを低速で移動させて提示部23に表示する。このように表示することによって、ユーザが直感的に交通情報を認識することができる。
【0087】
ここで、情報収集装置1から得られる車両情報が交通情報を導くために不足していることが考えられる。図13に示すように、領域Aaに対して車両密度情報を収集する情報収集装置1aを搭載した車両Caおよび領域Abに対して車両密度情報を収集する情報収集装置1bを搭載した車両Cbを想定し、車両CaおよびCbは共に同一車線を走行しているとする。そして、同一車線上で車両CaおよびCbの間には情報収集装置1を搭載した車両が存在せず、車両Caと車両Cbとの車間距離が所定距離(閾値K)以上離れた場合、その間の車両情報(例えば、領域Acに対する車両情報)が得られない。
【0088】
この場合、本実施例では、第2の情報処理部22が領域AaおよびAb間に仮想的な領域Acに対して車両密度情報を収集する情報収集装置1cを搭載した仮想車両Ccを設定して、当該領域Acにおける車両密度情報を推定する。以下、図14および図15を参照して、この情報推定処理について説明する。なお、図14は、第2の情報処理部22が情報推定処理を行って交通情報を描画するまでの動作を示すフローチャートである。図15は、図14におけるステップS23の情報推定処理の詳細な動作を示すサブルーチンである。
【0089】
図14において、第2の情報処理部22は、受信部21から複数の送信情報TIを受け取る(ステップS21)。これら複数の送信情報TIには、図13における車両Caからの送信情報TIaおよび車両Cbからの送信情報TIbが含まれる。そして、第2の情報処理部22は、受け取った複数の送信情報TIを用いて車両分布情報を作成する(ステップS22)。これらステップS21およびS22の処理については、上述した処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0090】
次に、第2の情報処理部22は、ステップS22で作成した車両分布情報に基づいて、車両情報が不足している区間を抽出し、当該区間に対する情報推定処理を行って情報を補間する(ステップS23)。そして、第2の情報処理部22は、ステップS23で情報が補間された車両分布情報を再度作成し(ステップS24)、再作成された車両分布情報を用いて提示部23に対する描画処理を行って(ステップS25)、当該フローチャートによる処理を終了する。このステップS25の処理については、上述した処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。以下、図13および図15を参照して、上記ステップS23における情報推定処理について説明する。
【0091】
図13および図15において、第2の情報処理部22は、ステップS22で作成した車両分布情報の中から、同一車線で前後する車両における車両分布情報をそれぞれ取得する(ステップS31)。例えば、第2の情報処理部22は、図13の車両Caにおける車両密度情報(代表位置Xa、代表車間距離La、代表速度Va)と車両Cbにおける車両密度情報(代表位置Xb、代表車間距離Lb、代表速度Vb)をそれぞれ取得する。
【0092】
次に、第2の情報処理部22は、ステップS31で抽出した前後する車両に対する閾値Kを算出する(ステップS32)。閾値Kは、上記前後する車両からそれぞれ得られる代表車間距離および代表速度などを用いて適切な値に算出される。一例として、上記車両CaおよびCbの場合、
K=(La+Lb)×3
で設定する。例えば、代表車間距離La=40m、代表車間距離Lb=60mの場合、閾値K=300mとなる。なお、車線の形状、法定速度、処理する時刻、周囲車両情報収集部12が車両を検出できる距離能力、後述する情報収集装置装備車両率に応じて、閾値Kの値を決めてもよい。例えば、統計上比較的走行車両数が少ない場合においては、閾値Kを大きくするなどの方法がある。
【0093】
次に、第2の情報処理部22は、ステップS31で抽出した前後する車両間の車線上の車間距離が閾値K以上であるか否かを判断する(ステップS33)。ここで、前後する車両間の車間距離は、それぞれの車両に設定された代表位置を用いて、車線(道のり)上の距離差を演算することによって得ることができる。そして、第2の情報処理部22は、前後する車両間の車間距離が閾値K以上である場合、処理を次のステップS34に進める。一方、第2の情報処理部22は、前後する車両間の車間距離が閾値K未満である場合、処理を次のステップS35に進める。
【0094】
ステップS34において、第2の情報処理部22は、ステップS31で抽出した前後する車両間の車線上に仮想車両を設定して、当該仮想車両における車両分布情報を推定し、処理を次のステップS35に進める。一例として、第2の情報処理部22は、前後する車両にそれぞれ設定される車両分布情報に対して、当該車両間に設定される車線上の車両分布情報が線形関係にあると仮定して、上記仮想車両の車両分布情報を推定する。
【0095】
例えば、図16に示すように、第2の情報処理部22は、代表位置Xaに位置する車両Caと代表位置Xbに位置する車両Cbとの間の車線上の代表車間距離Lが、代表車間距離LaおよびLbを通る線形関係にあると推測する。次に、第2の情報処理部22は、代表位置XaおよびXbの車線上の中間地点を代表位置Xcとし、当該代表位置Xcに仮想車両Ccを設定する。そして、第2の情報処理部22は、仮想車両Ccの代表車間距離Lcを
Lc=(La+Lb)/2
で設定する。例えば、代表車間距離La=40m、代表車間距離Lb=60mの場合、代表車間距離Lc=50mとなる。
【0096】
また、図17に示すように、第2の情報処理部22は、代表位置Xaに位置する車両Caと代表位置Xbに位置する車両Cbとの間の車線上の代表速度Vが、代表速度VaおよびVbを通る線形関係にあると推測する。次に、第2の情報処理部22は、代表位置Xcに位置する仮想車両Ccの代表速度Vcを
Vc=(Va+Vb)/2
で設定する。例えば、代表速度Va=24m/s、代表速度Vb=28m/sの場合、代表速度Vc=26m/sとなる。
【0097】
なお、第2の情報処理部22が推定する車両分布情報は、上述した車両密度情報(代表車間距離、代表速度)だけでなく、複数の仮想車両に対する車両情報を推定してもかまわない。例えば、図18に示すように、第2の情報処理部22は、車両CaおよびCb間の車線上に3台の仮想車両Cc、Ccf、およびCcbを設定する。まず、第2の情報処理部22は、仮想車両Ccに対して上述した方法で代表位置Xc、代表車間距離Lc、および代表速度Vcを推定し、仮想車両Ccの推定絶対位置をXcおよび推定絶対速度をVcに設定する(仮想車両Ccの車両情報)。そして、第2の情報処理部22は、仮想車両Ccに対して車線に沿った前方に距離Lc離れた位置に仮想車両Ccfを設定し、当該仮想車両Ccfの推定絶対位置を演算して(図18では、便宜上推定絶対位置Xc+Lcで表現している)、仮想車両Ccfの推定絶対速度をVcとする(車両Ccfの車両情報)。また、第2の情報処理部22は、仮想車両Ccに対して車線に沿った後方に距離Lc離れた位置に仮想車両Ccbを設定し、当該仮想車両Ccbの推定絶対位置を演算して(図18では、便宜上推定絶対位置Xc−Lcで表現している)、仮想車両Ccbの推定絶対速度をVcとする(車両Ccbの車両情報)。
【0098】
図15に戻り、ステップS35において、第2の情報処理部22は、上記ステップS22で作成した車両分布情報に含まれる全ての車両が処理されたか否かを判断する。そして、未処理の車両がある場合、第2の情報処理部22は、上記ステップS31に戻って処理を繰り返す。一方、全ての車両が処理された場合、第2の情報処理部22は、当該サブルーチンによる処理を終了する。
【0099】
このように、ステップS31〜S35の情報推定処理を繰り返すことによって、情報量が不足した区間に対して車両分布情報を推定し、適切な交通情報を取得することができる。
【0100】
なお、第2の情報処理部22は、上記ステップS34の動作の一例として、代表位置XaおよびXbの車線上の中間地点を代表位置Xcとし、当該代表位置Xcに仮想車両Ccを設定したが、仮想車両Ccを設定する地点は中間地点でなくてもかまわない。例えば、前後する車両にそれぞれ設定された代表車間距離の比率に応じて、仮想車両Ccを設定する地点を設定してもよい。具体的には、車両Caの代表車間距離La=40m、車両Cbの代表車間距離Lb=60m、および車両CaおよびCb間の車線上の車間距離が500mである場合、車両CaおよびCb間を40:60=2:3に分ける地点(つまり、車両Caの車線に沿った後方200mの地点)を仮想車両Ccが設定される代表地点Xcとなる。これによって、前後する車両近辺の車両密度を反映させて、仮想車両Ccの推定絶対位置を設定することができる。
【0101】
また、第2の情報処理部22は、上記ステップS34の動作の一例として、前後する車両にそれぞれ設定される車両分布情報に対して、当該車両間の車線上に設定される車両分布情報が線形関係にあると仮定して、仮想車両の車両分布情報を推定したが、推定は線形関係に限らず、二次関数などの他の関数で推定してもかまわない。
【0102】
例えば、図19に示すように、第2の情報処理部22は、La>Lbの場合、代表車間距離LaおよびLbを通り、代表位置Xbにおける代表車間距離Lbで極小となる二次関数で代表位置XaおよびXb間の車線上の代表車間距離Lを推定する。具体的には、第2の情報処理部22は、二次関数を、
y={(La−Lb)/(Xa−Xb)2}*(x−Xb)2+Lb
とする。そして、代表位置XaおよびXbの車線上の中間地点を仮想車両Ccの代表位置Xcとした場合、仮想車両Ccの代表車間距離Lcは、
Lc=(La+3Lb)/4
となる。なお、La=Lbの場合にLc=La(=Lb)となり、La<Lbの場合に上記数式のLaおよびLbを入れ替えて演算すればLcが求められることは言うまでもない。
【0103】
また、図20に示すように、第2の情報処理部22は、Va>Vbの場合、代表速度VaおよびVbを通り、代表位置Xbにおける代表速度Vbで極小となる二次関数で代表位置XaおよびXb間の車線上の代表速度Lを推定する。具体的には、第2の情報処理部22は、二次関数を、
y={(Va−Vb)/(Xa−Xb)2}*(x−Xb)2+Vb
とする。そして、代表位置XaおよびXbの車線上の中間地点を仮想車両Ccの代表位置Xcとした場合、仮想車両Ccの代表速度Vcは、
Vc=(Va+3Vb)/4
となる。なお、Va=Vbの場合にVc=Va(=Vb)となり、Va<Vbの場合に上記数式のVaおよびVbを入れ替えて演算すればVcが求められることは言うまでもない。
【0104】
このような二次関数で情報推定することによって、より現実に近い車両分布情報を推定することができる。例えば、前後する車両の一方が渋滞などによる停止状態であり、他方が通常に走行している場合、それぞれに設定された代表車間距離や代表速度の差が大きくなる。このような状況に対して、上記二次関数は上記車両間の車両分布状況をより現実に近い形で推定することができる。
【0105】
また、第2の情報処理部22は、上記ステップS34の動作の一例として、代表位置XaおよびXbの車線上に1台の仮想車両Ccを設定したが、車両CaおよびCb間の車線上の距離と閾値Kとの比率に応じて、仮定する仮想車両の数を増加させてもかまわない。例えば、車両CaおよびCb間の車線上の距離をDとする。そして、1≦D/K<2の場合に1台の仮想車両、2≦D/K<3の場合に2台の仮想車両、3≦D/K<4の場合に3台の仮想車両…というように、距離Dと閾値Kとの比率に応じて設定する仮想車両の数を設定すれば、さらに推定する車両分布情報の数が多くなり、より詳細な交通情報が得られる。
【0106】
また、全体に対して情報収集装置1を搭載した車両の割合(以下、搭載率と記載する)を用いて、さらに上述した情報推定処理の信頼性を上げることができる。以下、図21および図22を参照して、上記搭載率を取得する情報収集装置搭載率検出装置について説明する。なお、図21は、当該情報収集装置搭載率検出装置3の設置箇所を説明するための図である。図22は、当該情報収集装置搭載率検出装置3の構成を示すブロック図である。
【0107】
図21および図22において、情報収集装置搭載率検出装置3は、道路脇に固設されて設置される。情報収集装置搭載率検出装置3は、通過車両検出部31、情報収集装置検出部32、第3の情報処理部33、および送信部34を備えている。
【0108】
通過車両検出部31は、光センサなどによって構成され、情報収集装置搭載率検出装置3が設置される道路を通過する車両Cを検知して第3の情報処理部33に検知結果を出力する。情報収集装置検出部32は、情報収集装置1と通信して上記道路を通過する情報収集装置1の搭載車両を検知して第3の情報処理部33に検知結果を出力する。そして、第3の情報処理部33は、通過車両検出部31および情報収集装置検出部32から出力される検知結果に基づいて、上記道路を通過する車両Cに対する上記搭載率を演算し、送信部34を介して情報収集装置搭載率検出装置3が設置されている位置情報と共に搭載率情報を随時送信する。
【0109】
情報分析装置2(図1参照)は、情報収集装置搭載率検出装置3から送信される位置情報および搭載率情報を受信する。そして、情報分析装置2の第2の情報処理部22は、受信した位置情報および搭載率情報に基づいて、設置道路毎の搭載率を交通情報に付与して提示部23に表示する。これによって、ユーザに推定された交通情報の信頼性を提供することができ、ユーザの安心感が向上する。
【0110】
また、第2の情報処理部22は、受信した位置情報および搭載率情報を用いて、図14におけるステップS23の情報推定処理を行うこともできる。以下、図23を参照して、搭載率情報を用いた情報推定処理について説明する。なお、図23は、第2の情報処理部22が行う搭載率情報を用いた情報推定処理を示す上記ステップS23のサブルーチンである。
【0111】
図23において、第2の情報処理部22は、上記ステップS22で作成した車両分布情報の中から、同一車線で前後する車両における車両分布情報をそれぞれ取得する(ステップS41)。例えば、図13に示した一例では、第2の情報処理部22は、車両Caにおける車両密度情報(代表位置Xa、代表車間距離La、代表速度Va)と車両Cbにおける車両密度情報(代表位置Xb、代表車間距離Lb、代表速度Vb)をそれぞれ取得する。このステップS41の処理については、上述したステップS31と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0112】
次に、第2の情報処理部22は、上記ステップS41で取得した前後する車両間の車線区間に設置された情報収集装置搭載率検出装置3からの搭載率情報を取得する(ステップS42)。
【0113】
次に、第2の情報処理部22は、ステップS41で抽出した前後する車両に対する閾値Kを算出する(ステップS43)。ここで、第2の情報処理部22は、搭載率と連動する予測係数Pに基づいて、閾値Kを算出する。例えば、図24に示すように、搭載率と予測係数Pとは反比例の関係にあり、片側一車線の場合、
P=100/{2×搭載率(%)}である。例えば、搭載率=16.7%の場合にP≒2となり、搭載率=25.0%の場合にP=3となる。そして、第2の情報処理部22は、上記車両CaおよびCbの場合、
K=(La+Lb)×P
で設定する。
【0114】
次に、第2の情報処理部22は、ステップS31で抽出した前後する車両間の車線上の車間距離が閾値K以上であるか否かを判断する(ステップS44)。そして、第2の情報処理部22は、前後する車両間の車間距離が閾値K以上である場合、搭載率<16.7%か否か(ステップS45)、搭載率<20%か否か(ステップS46)、および搭載率<25%か否か(ステップS47)を判断する。そして、第2の情報処理部22は、前後する車両間の車間距離が閾値K未満である場合、または搭載率≧25%である場合、処理をそのままステップS51に進める。
【0115】
搭載率<16.7%の場合(ステップS45でYes)、第2の情報処理部22は、ステップS41で抽出した前後する車両間の車線上に3台の仮想車両を設定して、当該仮想車両における車両情報をそれぞれ推定し(ステップS48)、処理を次のステップS51に進める。ステップS48における3台の仮想車両の設定およびそれらの情報推定処理は、図18を用いて説明した仮想車両Cc、Ccf、およびCcbに対してそれぞれ設定した推定絶対位置および推定絶対速度と同様であるため、詳細な説明を省略する。なお、上記ステップS48において、第2の情報処理部22は、ステップS41で抽出した前後する車両間の車線上に1台の仮想車両を設定して、当該仮想車両が収集する車両分布情報(例えば、車両密度情報)を推定してもかまわない。
【0116】
16.7%≦搭載率<20.0%の場合(ステップS46でYes)、第2の情報処理部22は、ステップS41で抽出した前後する車両間の車線上に2台の仮想車両を設定して、当該仮想車両における車両情報をそれぞれ推定し(ステップS49)、処理を次のステップS51に進める。図25に示すように、第2の情報処理部22は、車両CaおよびCb間の車線上に2台の仮想車両CcfおよびCcbを設定する。まず、第2の情報処理部22は、上述した方法で代表位置Xc、代表車間距離Lc、および代表速度Vcを推定する。そして、第2の情報処理部22は、代表位置Xcに対して車線に沿った前方に距離Lc/2離れた位置に仮想車両Ccfを設定し、当該仮想車両Ccfの推定絶対位置を演算して(図25では、便宜上推定絶対位置Xc+Lc/2で表現している)、仮想車両Ccfの推定絶対速度をVcとする(車両Ccfの車両情報)。また、第2の情報処理部22は、代表位置Xcに対して車線に沿った後方に距離Lc/2離れた位置に仮想車両Ccbを設定し、当該仮想車両Ccbの推定絶対位置を演算して(図25では、便宜上推定絶対位置Xc−Lc/2で表現している)、仮想車両Ccbの推定絶対速度をVcとする(車両Ccbの車両情報)。
【0117】
20.0%≦搭載率<25.0%の場合(ステップS47でYes)、第2の情報処理部22は、ステップS41で抽出した前後する車両間の車線上に1台の仮想車両を設定して、当該仮想車両における車両情報を推定し(ステップS50)、処理を次のステップS51に進める。図26に示すように、第2の情報処理部22は、車両CaおよびCb間の車線上に1台の仮想車両Ccを設定する。ステップS50における1台の仮想車両の設定およびそれらの情報推定処理は、図18を用いて説明した仮想車両Ccを設定して当該仮想車両Ccに対して設定した推定絶対位置および推定絶対速度と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0118】
ステップS51において、第2の情報処理部22は、上記ステップS22で作成した車両分布情報に含まれる全ての車両が処理されたか否かを判断する。そして、未処理の車両がある場合、第2の情報処理部22は、上記ステップS41に戻って処理を繰り返す。一方、全ての車両が処理された場合、第2の情報処理部22は、当該サブルーチンによる処理を終了する。
【0119】
なお、上述した第2の情報処理部22の動作では、搭載率に応じて設定する仮想車両の数を変化させる一例を示したが、搭載率に応じて、情報収集装置1が取得した情報を送信する回数を変えてもかまわない。例えば、搭載率が低い車線の場合、当該車線を走行する車両に搭載された情報収集装置1から頻繁に情報を送信する。一方、搭載率が高い車線の場合、当該車線を走行する車両に搭載された情報収集装置1から情報送信する回数を減らす。あるいは、搭載率が高い車線の場合、当該車線を走行する複数の車両に搭載された情報収集装置1のうちの一部から情報を送信する。これによって、搭載率に応じた適切な車両情報を得て所望の交通情報を作成することができる。
【0120】
また、上述したように、周囲車両情報収集部12が車両Cの前方車両CFおよび後方車両CBの一方が検知できなかった場合、その旨を示す検知情報が付与された送信情報TIを送信してもかまわない。この場合、第2の情報処理部22は、車両Cが車群の前後端に位置すると推定して、他の車両と区別した情報推定処理を行う。また、図5を用いて説明した送信情報TIでは、前方車両CFおよび後方車両CBの一方が検知できなかった場合、当該一方の車両情報が記述されないため、同様に車両Cが車群の前後端に位置すると推定できる。以下、図27を参照して、車群を考慮した情報推定処理の動作について説明する。なお、図27は、第2の情報処理部22が行う車群を考慮した情報推定処理を示す上記ステップS23のサブルーチンである。
【0121】
図23において、第2の情報処理部22は、上記ステップS22で作成した車両分布情報の中から、同一車線で前後する車両における車両分布情報および検知情報をそれぞれ取得する(ステップS51)。例えば、図13に示した一例では、第2の情報処理部22は、車両Caにおける車両密度情報(代表位置Xa、代表車間距離La、代表速度Va)および検知情報と、車両Cbにおける車両密度情報(代表位置Xb、代表車間距離Lb、代表速度Vb)および検知情報とをそれぞれ取得する。以下、説明を具体的にするために、前後する車両の内、前の車両を車両Caとし、後の車両を車両Cbとする。
【0122】
次に、第2の情報処理部22は、ステップS51で取得された前に位置する車両Caから取得した検知情報に基づいて、当該車両Caの情報収集装置1が後方車両を検出したか否かを判断する(ステップS52)。そして、第2の情報処理部22は、前に位置する車両Caが後方車両を検出していない場合、図28に示すように、当該車両Caが車群の最後尾に位置していると推定する。この場合、車両Cbは、車両Caが属する車群には含まれない状態であり、異なる車群間の情報推定処理は精度が良くない。したがって、第2の情報処理部22は、車両CaおよびCb間の情報推定処理を行わず、処理を次のステップS57に進める。一方、第2の情報処理部22は、前に位置する車両Caが後方車両を検出している場合、処理を次のステップS53に進める。
【0123】
ステップS53において、第2の情報処理部22は、ステップS51で取得された後に位置する車両Cbから取得した検知情報に基づいて、当該車両Cbの情報収集装置1が前方車両を検出したか否かを判断する。そして、第2の情報処理部22は、後に位置する車両Cbが前方車両を検出していない場合、図29に示すように、当該車両Cbが車群の先頭に位置していると推定する。この場合、車両Caは、車両Cbが属する車群には含まれない状態であり、異なる車群間の情報推定処理は精度が良くない。したがって、第2の情報処理部22は、車両CaおよびCb間の情報推定処理を行わず、処理を次のステップS57に進める。一方、第2の情報処理部22は、後に位置する車両Cbが前方車両を検出している場合、処理を次のステップS54に進める。
【0124】
ステップS54〜S57の処理は、図15を用いて説明した上記ステップS32〜S35と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0125】
このように、ステップS51〜S57の処理では、異なる車群間の情報推定を行わないため、本来は存在しないはずの車両を推定するなどの現実とは異なった推定を回避することができる。
【0126】
また、第2の情報処理部22が前後する車両の間の車両分布情報を推定する際、当該前後する車両間の車線上に交差点などが存在する場合、車両分布情報の傾向が変化するため推定が困難となることがある。第2の情報処理部22は、推定処理を行う車両間に交差点など車両分布情報の傾向が変化する地点が存在する場合も、上述のように当該車両間の推定処理を行わないようにしてもかまわない。車両分布情報の傾向が変わる車両間の情報推定を行わないため、現実とは異なった推定を回避することができる。
【0127】
なお、上述した実施例では、情報分析装置2が提示部23を有しているが、他の装置(例えば、カーナビゲーション装置)の表示装置を利用してもよい。また、情報収集装置1や情報分析装置2の機能の一部をカーナビゲーションシステムなどの他の装置に組み込んで、本発明を実現してもよい。例えば、他の装置の演算装置を利用して、第1の情報処理部13や第2の情報処理部22における処理を行ってもよい。例えば、カーナビゲーションシステムに本発明の機能を付加することによって、ユーザがより詳しい交通情報をカーナビゲーションシステムから得ることができる。具体的には、車線毎の交通情報が得られるので、右折待ちの渋滞が生じている交差点に進入する場合、その渋滞を事前に知ることができるので、直進しようとしているユーザが渋滞の列に並ぶことがないように適切な経路案内を行うことができる。また、駐車場進入待ちの列など、特定の車両以外は、並ぶ必要のない渋滞を事前に避けることもできる。これによって、ユーザは、ストレスなく渋滞を回避することができる。
【0128】
また、周囲車両情報収集部12は、現在普及しつつあるレーダ装置を用いて実現できるため、周囲情報を得るためのコストを抑えて実現することができる。また、ソフトウェア無線機の機能の一つとして、情報収集装置および情報分析装置を実現することによって、省スペースかつ低コストで実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明に係る交通情報システムおよび情報分析装置は、車両情報が得られない区域に対して適切な車両情報を推測するため、車両に関する交通情報を提供するシステムなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の一実施形態に係る交通情報システムの構成を示すブロック図
【図2】図1の前方車両情報取得部121、後方車両情報取得部122、左側車両情報取得部123、および右側車両情報取得部124の構成を示す概略図
【図3】図1の左側車両情報取得部123、および右側車両情報取得部124の構成を示す概略図
【図4】図1の第1の情報処理部13の動作を示すフローチャート
【図5】送信情報TIの一例を示す図
【図6】情報分析装置2aが受信する送信情報TIa〜TInの一例を示す図
【図7】図1の第2の情報処理部22が作成する車両分布情報の一例を示す図
【図8】図1の提示部23に表示される地図情報を用いた車両分布情報を表示する第1の例を示す図
【図9】図1の提示部23に表示される地図情報を用いた車両分布情報を表示する第2の例を示す図
【図10】図1の提示部23に表示される地図情報を用いた車両分布情報を表示する第3の例を示す図
【図11】図1の第2の情報処理部22が作成する車両分布情報の他の例を示す図
【図12】図1の提示部23に表現する車両キャラクタ画像Cimおよび間隔Laの一例を示す図
【図13】図1の第2の情報処理部22が車両CaおよびCb間に仮想車両Ccを設定した一例を示す図
【図14】図1の第2の情報処理部22が情報推定処理を行って交通情報を描画するまでの動作を示すフローチャート
【図15】図14におけるステップS23の情報推定処理の詳細な動作を示すサブルーチン
【図16】図1の第2の情報処理部22が推測する代表位置XaおよびXb間における代表車間距離Lの線形関係を説明するための図
【図17】図1の第2の情報処理部22が推測する代表位置XaおよびXb間における代表速度Vの線形関係を説明するための図
【図18】図1の第2の情報処理部22が車両CaおよびCb間に3台の仮想車両Cc、Ccf、およびCcbを設定した一例を示す図
【図19】図1の第2の情報処理部22が二次関数で推測する代表位置XaおよびXb間における代表車間距離Lを説明するための図
【図20】図1の第2の情報処理部22が二次関数で推測する代表位置XaおよびXb間における代表速度Vを説明するための図
【図21】情報収集装置搭載率検出装置3の設置箇所を説明するための図
【図22】情報収集装置搭載率検出装置3の構成を示すブロック図
【図23】第2の情報処理部22が行う搭載率情報を用いた情報推定処理を示す図14のステップS23のサブルーチン
【図24】搭載率と予測係数Pとの反比例の関係を示す図
【図25】図1の第2の情報処理部22が車両CaおよびCb間に2台の仮想車両CcfおよびCcbを設定した一例を示す図
【図26】図1の第2の情報処理部22が車両CaおよびCb間に1台の仮想車両Ccを設定した一例を示す図
【図27】第2の情報処理部22が行う車群を考慮した情報推定処理を示す図14のステップS23のサブルーチン
【図28】車群の最後尾に位置する車両Caを説明するための図
【図29】車群の先頭に位置する車両Cbを説明するための図
【図30】従来の交通情報システムの構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0131】
1…情報収集装置
11…自車走行情報取得部
111…速度検出部
112…位置検出部
12…周囲車両情報収集部
121…前方車両情報取得部
122…後方車両情報取得部
123…左側車両情報取得部
124…右側車両情報取得部
13…第1の情報処理部
14、34…送信部
2…情報分析装置
21…受信部
22…第2の情報処理部
23…提示部
3…情報収集装置搭載率検出装置
31…通過車両検出部
32…情報収集装置検出部
33…第3の情報処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される情報収集装置と、当該情報収集装置から得られる情報に基づいて車両の交通情報を生成する情報分析装置とを含む交通情報システムであって、
前記情報収集装置は、
自機が搭載される自車両の位置、速度、および方向を検出する自車走行情報取得手段と、
前記自車両の周囲に存在する他の車両に関する周囲車両情報を収集する周囲車両情報収集手段と、
前記自車走行情報取得手段が検出した自車走行情報および前記周囲車両情報収集手段が収集した周囲車両情報と用いて、前記自車両周辺の車両分布を示す送信情報を作成する第1の情報処理手段と、
前記第1の情報処理手段が作成した送信情報を送信する送信手段とを備え、
前記情報分析装置は、
前記情報収集装置から送信された送信情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した複数の送信情報を用いて、所定範囲の車両の分布を示す車両分布情報を作成し、当該車両分布情報が不足している区間に対して当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された送信情報に基づいて、当該区間の車両分布情報を補間する第2の情報処理手段とを備える、交通情報システム。
【請求項2】
前記第2の情報処理手段は、前記区間を挟む車両間の距離が閾値以上の際、当該区間の車両分布情報を補間することを特徴とする、請求項1に記載の交通情報システム。
【請求項3】
前記周囲車両情報収集手段が収集する周囲車両情報は、前記自車両を基準とする他の車両の相対位置および相対速度であり、
前記第1の情報処理手段が作成する送信情報は、前記自車両の絶対位置および絶対速度と、前記他の車両の絶対位置および絶対速度であることを特徴とする、請求項1に記載の交通情報システム。
【請求項4】
前記周囲車両情報収集手段が収集する周囲車両情報は、前記自車両を基準とする他の車両の相対位置および相対速度であり、
前記第1の情報処理手段が作成する送信情報は、前記自車両および前記他の車両の位置を代表する代表位置と、前記自車両および前記他の車両の速度を代表する代表速度と、前記自車両から前記他の車両までの間の車間距離を代表する代表車間距離とであることを特徴とする、請求項1に記載の交通情報システム。
【請求項5】
前記第2の情報処理手段は、前記区間内の所定位置における代表車間距離が、当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された代表車間距離とそれぞれの代表位置との間で線形関係にあると仮定して、当該所定位置における代表車間距離を補間することを特徴とする、請求項4に記載の交通情報システム。
【請求項6】
前記第2の情報処理手段は、前記区間内の所定位置における代表車間距離が、当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された代表車間距離および代表位置に対して、一方の代表位置における代表車間距離で極小となり他方の代表位置における代表車間距離を通る二次関数で近似される関係にあると仮定して、当該所定位置における代表車間距離を補間することを特徴とする、請求項4に記載の交通情報システム。
【請求項7】
前記第2の情報処理手段は、前記区間内の所定位置に仮想車両を設定し、当該仮想車両と当該仮想車両の周囲にある車両との間の車間距離が前記補間された代表車間距離であると推定することを特徴とする、請求項5および請求項6のいずれかに記載の交通情報システム。
【請求項8】
前記第2の情報処理手段は、前記仮想車両から前記補間された代表車間距離だけ離れた前後の位置に別の仮想車両を設定することを特徴とする、請求項7に記載の交通情報システム。
【請求項9】
前記情報分析装置は、前記第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記第2の情報処理手段は、前記情報収集装置を搭載した車両および当該情報収集装置の周囲車両情報収集手段で収集された周囲の車両に加えて、前記仮想車両を前記提示手段に前記地図データ上で表現させることを特徴とする、請求項8に記載の交通情報システム。
【請求項10】
前記情報分析装置は、前記第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記第2の情報処理手段は、前記地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、当該間隔毎の車線に存在する車両の総数に基づいて当該地図データで示される車線の当該間隔毎に装飾し、前記提示手段に前記地図データ上で表現させることを特徴とする、請求項8に記載の交通情報システム。
【請求項11】
前記情報分析装置は、前記第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記第2の情報処理手段は、前記地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、当該間隔毎に設定された代表車両間隔を示す複数の車キャラクタ画像を当該地図データで示される車線の当該間隔毎に付与し、前記提示手段に前記地図データ上で表現させることを特徴とする、請求項8に記載の交通情報システム。
【請求項12】
前記第2の情報処理手段は、前記区間内の所定位置における代表速度が、当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された代表速度とそれぞれの代表位置との間で線形関係にあると仮定して、当該所定位置における代表速度を補間することを特徴とする、請求項4に記載の交通情報システム。
【請求項13】
前記第2の情報処理手段は、前記区間内の所定位置における代表速度が、当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された代表速度および代表位置に対して、一方の代表位置における代表速度で極小となり他方の代表位置における代表速度を通る二次関数で近似される関係にあると仮定して、当該所定位置における代表速度を補間することを特徴とする、請求項4に記載の交通情報システム。
【請求項14】
前記第2の情報処理手段は、前記区間内の所定位置に仮想車両を設定し、当該仮想車両の絶対速度が前記補間された代表速度であると推定することを特徴とする、請求項12および請求項13のいずれかに記載の交通情報システム。
【請求項15】
前記情報分析装置は、前記第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記第2の情報処理手段は、前記情報収集装置を搭載した車両、当該情報収集装置の周囲車両情報収集手段で収集された周囲の車両、および前記仮想車両がそれぞれ設定されている絶対速度に応じて前記地図データ上で移動するように前記提示手段に表現させることを特徴とする、請求項14に記載の交通情報システム。
【請求項16】
前記情報分析装置は、前記第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記第2の情報処理手段は、前記地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、当該間隔毎に設定されている絶対速度に基づいて当該地図データで示される車線の当該間隔毎に装飾し、前記提示手段に前記地図データ上で表現させることを特徴とする、請求項14に記載の交通情報システム。
【請求項17】
前記情報分析装置は、前記第2の情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記第2の情報処理手段は、前記地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、当該間隔毎に設定された代表速度に応じて移動する車キャラクタ画像を当該地図データで示される車線の当該間隔毎に付与し、前記提示手段に前記地図データ上で表現させることを特徴とする、請求項14に記載の交通情報システム。
【請求項18】
前記交通情報システムは、特定の車線を通過する車両に対して前記情報収集装置の搭載比率を検出し、当該検出結果を送信する搭載率検出装置を、さらに備え、
前記受信手段は、前記搭載率検出装置が送信した検出結果を、さらに受信し、
前記第2の情報処理手段は、前記検出結果から前記区間に対して検出された搭載比率を抽出し、当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された送信情報および当該搭載比率に基づいて、当該区間の車両分布情報を補間することを特徴とする、請求項1に記載の交通情報システム。
【請求項19】
前記第2の情報処理手段は、前記区間を挟む車両のうち、前方に位置する車両に搭載された前記情報収集装置から送信された送信情報が後方車両を検出していることを示し、かつ、前記区間を挟む車両のうち、後方に位置する車両に搭載された前記情報収集装置から送信された送信情報が前方車両を検出していることを示す際、当該区間の車両分布情報の補間を行うことを特徴とする、請求項1に記載の交通情報システム。
【請求項20】
車両に搭載され、自機が搭載される自車両および当該自車両周辺の車両分布を示す送信情報を送信する情報収集装置から得られる情報に基づいて、車両の交通情報を生成する情報分析装置であって、
前記情報収集装置から送信された送信情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した複数の送信情報を用いて、所定範囲の車両の分布を示す車両分布情報を作成し、当該車両分布情報が不足している区間に対して当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された送信情報に基づいて、当該区間の車両分布情報を補間する情報処理手段とを備える、情報分析装置。
【請求項21】
前記情報処理手段は、前記区間を挟む車両間の距離が閾値以上の際、当該区間の車両分布情報を補間することを特徴とする、請求項20に記載の情報分析装置。
【請求項22】
前記情報収集装置が送信する送信情報は、前記自車両および前記自車両周辺の他の車両の位置を代表する代表位置と、前記自車両および当該他の車両の速度を代表する代表速度と、前記自車両から当該他の車両までの間の車間距離を代表する代表車間距離を示しており、
前記情報処理手段は、前記区間内の所定位置における代表車間距離が、当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された代表車間距離とそれぞれの代表位置との間で線形関係にあると仮定して、当該所定位置における代表車間距離を補間することを特徴とする、請求項20に記載の情報分析装置。
【請求項23】
前記情報収集装置が送信する送信情報は、前記自車両および前記自車両周辺の他の車両の位置を代表する代表位置と、前記自車両および当該他の車両の速度を代表する代表速度と、前記自車両から当該他の車両までの間の車間距離を代表する代表車間距離を示しており、
前記情報処理手段は、前記区間内の所定位置における代表車間距離が、当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された代表車間距離および代表位置に対して、一方の代表位置における代表車間距離で極小となり他方の代表位置における代表車間距離を通る二次関数で近似される関係にあると仮定して、当該所定位置における代表車間距離を補間することを特徴とする、請求項20に記載の情報分析装置。
【請求項24】
前記情報処理手段は、前記区間内の所定位置に仮想車両を設定し、当該仮想車両と当該仮想車両の周囲にある車両との間の車間距離が前記補間された代表車間距離であると推定することを特徴とする、請求項22および請求項23のいずれかに記載の情報分析装置。
【請求項25】
前記情報処理手段は、前記仮想車両から前記補間された代表車間距離だけ離れた前後の位置に別の仮想車両を設定することを特徴とする、請求項24に記載の情報分析装置。
【請求項26】
前記情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記情報処理手段は、前記情報収集装置を搭載した車両および当該情報収集装置の周囲車両情報収集手段で収集された周囲の車両に加えて、前記仮想車両を前記提示手段に前記地図データ上で表現させることを特徴とする、請求項25に記載の情報分析装置。
【請求項27】
前記情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記情報処理手段は、前記地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、当該間隔毎の車線に存在する車両の総数に基づいて当該地図データで示される車線の当該間隔毎に装飾し、前記提示手段に前記地図データ上で表現させることを特徴とする、請求項25に記載の情報分析装置。
【請求項28】
前記情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記情報処理手段は、前記地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、当該間隔毎に設定された代表車両間隔を示す複数の車キャラクタ画像を当該地図データで示される車線の当該間隔毎に付与し、前記提示手段に前記地図データ上で表現させることを特徴とする、請求項25に記載の情報分析装置。
【請求項29】
前記情報収集装置が送信する送信情報は、前記自車両および前記自車両周辺の他の車両の位置を代表する代表位置と、前記自車両および当該他の車両の速度を代表する代表速度と、前記自車両から当該他の車両までの間の車間距離を代表する代表車間距離を示しており、
前記情報処理手段は、前記区間内の所定位置における代表速度が、当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された代表速度とそれぞれの代表位置との間で線形関係にあると仮定して、当該所定位置における代表速度を補間することを特徴とする、請求項20に記載の情報分析装置。
【請求項30】
前記情報収集装置が送信する送信情報は、前記自車両および前記自車両周辺の他の車両の位置を代表する代表位置と、前記自車両および当該他の車両の速度を代表する代表速度と、前記自車両から当該他の車両までの間の車間距離を代表する代表車間距離を示しており、
前記情報処理手段は、前記区間内の所定位置における代表速度が、当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された代表速度および代表位置に対して、一方の代表位置における代表速度で極小となり他方の代表位置における代表速度を通る二次関数で近似される関係にあると仮定して、当該所定位置における代表速度を補間することを特徴とする、請求項20に記載の情報分析装置。
【請求項31】
前記情報処理手段は、前記区間内の所定位置に仮想車両を設定し、当該仮想車両の絶対速度が前記補間された代表速度であると推定することを特徴とする、請求項29および請求項30のいずれかに記載の情報分析装置。
【請求項32】
前記情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記情報処理手段は、前記情報収集装置を搭載した車両、当該情報収集装置の周囲車両情報収集手段で収集された周囲の車両、および前記仮想車両がそれぞれ設定されている絶対速度に応じて前記地図データ上で移動するように前記提示手段に表現させることを特徴とする、請求項28に記載の情報分析装置。
【請求項33】
前記情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記情報処理手段は、前記地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、当該間隔毎に設定されている絶対速度に基づいて当該地図データで示される車線の当該間隔毎に装飾し、前記提示手段に前記地図データ上で表現させることを特徴とする、請求項31に記載の情報分析装置。
【請求項34】
前記情報処理手段が生成した車両分布情報を地図データ上に表現して提示する提示手段を、さらに備え、
前記情報処理手段は、前記地図データで示される車線を所定の間隔で分割し、当該間隔毎に設定された代表速度に応じて移動する車キャラクタ画像を当該地図データで示される車線の当該間隔毎に付与し、前記提示手段に前記地図データ上で表現させることを特徴とする、請求項31に記載の情報分析装置。
【請求項35】
前記受信手段は、特定の車線を通過する車両に対して前記情報収集装置の搭載比率を検出し、当該検出結果を送信する搭載率検出装置が送信した検出結果を、さらに受信し、
前記情報処理手段は、前記検出結果から前記区間に対して検出された搭載比率を抽出し、当該区間を挟む車両に搭載された前記情報収集装置からそれぞれ送信された送信情報および当該搭載比率に基づいて、当該区間の車両分布情報を補間することを特徴とする、請求項20に記載の情報分析装置。
【請求項36】
前記情報処理手段は、前記区間を挟む車両のうち、前方に位置する車両に搭載された前記情報収集装置から送信された送信情報が後方車両を検出していることを示し、かつ、前記区間を挟む車両のうち、後方に位置する車両に搭載された前記情報収集装置から送信された送信情報が前方車両を検出していることを示す際、当該区間の車両分布情報の補間を行うことを特徴とする、請求項20に記載の情報分析装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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