説明

交通手段用コイン及びその製造方法

本発明は、RFラベルが内蔵された使い捨て型及び定額型交通手段用コインを回収して繰り返し再使用してもコインが簡単に破損しないようにし、コイン内部にRFラベルを内蔵することで、インサート射出成形して周縁を形成するときも、高熱によって前記RFラベルが破損しないようにしたものである。本発明の交通手段用コインは、内面の中央部に凹状の収容部が形成された第1円板と、前記第1円板の収容部と対応するように内面に収容部が形成された第2円板が一つに結合された本体と、前記本体の収容部に収容配置される円形のRFラベルと、前記本体が射出金型に挿入された状態で、前記本体の周縁部位に沿って被覆された円形のアウターリングとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、本体の周縁にアウターリングを形成することによって、地下鉄などの交通手段の乗車券として使用するコイン(使い捨て型及び定額型を含む。)を1回あるいは複数回使用した後、回収して再び再使用しても周縁部位が剥離しないなど、コインの耐久性が大きく向上される効果がある。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下鉄や電車などの乗車券として使用する使い捨て型及び定額型交通手段用コイン(以下、コインとする。)に関し、特に、RFラベルが内蔵されたコインを回収して繰り返し使用しても破損することがないようにし、また、コイン内部にRFラベルを内蔵することで、インサート射出成形により周縁を形成する際にも高熱によって前記RFラベルが損傷することがないようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カードやコインの表面にマグネチックテープやバーコードを付着し、そのカードやコインの認識手段として使用していたが、マグネチックテープは、リーダーに挿入して繰り返し接触することによって耐久性が低下し、カードやコインに再び新たな情報を入力して再使用することができないという問題点がある。バーコードは、非接触式ではあるが短距離間の認識のみが可能であり、再使用が不可能であり、且つ保安性が低いという問題点がある。
【0003】
最近では、マイクロチップ(ICチップともいう。)を装着したRFラベルが様々な分野で使用されるようになり、特に、地下鉄やバスなどの交通料金を支払う手段として広く使用されている。マイクロチップは非接触式であるので、耐久性に優れ、且つ遠距離(5M以内)でも認識可能であり、新たな情報を再び入力して再使用できるなどの長所がある。
【0004】
しかしながら、前記マイクロチップが装着されたRFラベル(以下、RFラベルとする。)は、紙のように薄く、高熱や衝撃に弱いので、取り扱い上の注意が必要である。
【0005】
前記マイクロチップが内部に埋め込まれ、交通手段の乗車券として使用するコイン状のICカードが韓国特許登録第10−0249672号に開示されている。前記コイン状のICカードは、一つの円板上面にRFラベルを挿入し、その上に単に別の円板を積層して接着した後、その表面にセロハンのような材料に印刷をした印刷紙を付着したものであり、地下鉄などの搭乗者が切符売り場で購入して使用し、使用済みのカードは判読装置で回収され、再び使用者に販売して繰り返し使用されるものである。
【0006】
このようなコイン状のICカードは、円板、RFラベル、セロハン紙が積層されてなる簡単な構造を有するので、ICカード判読装置内で移動したり計量されるときに、該ICカードの側面が繰り返し接触することによってその積層面に剥離が生じ、回収して半永久的に再使用することができない。
【0007】
また、前記ICカードに内蔵されているRFラベルは、紙のように薄く、熱に弱く、射出成形時の高熱と圧力に耐えることができないので、インサート射出成形ではなく、各々分離したプラスティック板の中央に前記RFラベルを配置し密着した後、熱溶着、超音波溶着、あるいはボンド接着を行う。
【0008】
しかしながら、このような方法で作製されたカードは、その接着部位が衝撃や湿気、熱などによって損傷しやすく、接着部位に亀裂が生じたり、印刷フィルムが剥離するという問題点がある。特に、前記のような回収コイン(使い捨て型及び定額型を含む。)は個人専用ではなく、複数の人が繰り返し使用するものであるので、破損しやすい。
【0009】
一方、本発明は、本出願人が先出願した韓国特許出願第2003−15925号の“乗車券として使用する使い捨て型回収コイン及びその製造方法”に関するものである。
【0010】
前記先出願のコインは、使い捨て型に限定して適用されるものとして記載しているので、定額用には適用できないものと誤解されるおそれがあった。さらに、コインの使用方法において、別途の連結部材またはホルダーをコインに連結できる構成となっておらず、紛失のおそれがあるなど使用上の不便さがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記のような従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、地下鉄などの交通手段の乗車券として使用するコイン(使い捨て型及び定額型を含む。)を1回使用した後、回収して繰り返し再使用しても積層部位や周縁部位が剥離しないようにするなど、コインの耐久性を向上させることである。
【0012】
また、本発明の目的は、前記RFラベルを予めプラスチック本体に内蔵して接着した後、その本体の周縁全体を耐衝撃性など特性に優れたポリカーボネイトまたはナイロン樹脂などで完全に封止することによって、内蔵されたRFラベルに損傷を与えることなく、安価で堅固なコインを製造することである。
【0013】
また、本発明の目的は、前記プラスティック本体に予め記号や文字を形成することによって、後に別途に記号や文字を形成しなくてすむようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するための本発明に係る交通手段用コインは、内面の中央部に凹状の収容部が形成された第1円板と、前記第1円板の収容部と対応するように内面に収容部が形成された第2円板が一つに結合された本体と、前記本体の収容部に収容配置される円形のRFラベルと、前記本体が射出金型に挿入された状態で、前記本体の周縁部位に沿って被覆された円形のアウターリングとを備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記本体の材質は、ポリカーボネイトまたはナイロンのうちのいずれか一つであることを特徴とする。
【0016】
また、前記アウターリングの材質は、ポリカーボネイトまたはナイロンのうちのいずれか一つであることを特徴とする。
【0017】
また、前記本体の外面の中央部には広告用デカル(advertisement decal)が付着されていることを特徴とする。
【0018】
また、前記コインの周りにはホルダーを連結できるようにホールが穿孔されていることを特徴とする。
【0019】
また、前記ホルダーは、キーホルダー、携帯電話ストラップ、スプリング紐のうちのいずれか一つであることを特徴とする。
【0020】
本発明の交通手段用コインの製造方法は、内面に収容部が形成されるように射出成形して、第1円板と第2円板とからなる本体を形成する本体形成段階と、前記本体形成段階で形成された第1円板と第2円板の収容部にRFラベルを挿入し、前記第1円板と第2円板の内面を互いに一致させるRFラベル挿入及び本体結合段階と、前記RFラベル挿入及び本体結合段階の後に、前記一つに結合された本体を射出金型に挿入した後、ポリカーボネイトまたはナイロンのうち選択されたいずれか一つで射出成形し、本体の周縁部位に沿ってアウターリングを形成するアウターリング形成段階とを含むことを特徴とする。
【0021】
前記RFラベル挿入及び本体結合段階と、前記アウターリング形成段階との間に、前記第1円板、第2円板と前記RFラベルを接着するRFラベル接着段階をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
前記アウターリング形成段階の後に、前記本体の露出した外面にデカルを付着するデカル付着段階をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
前記アウターリング形成段階の後に、前記コインにホルダーを連結するためのホールを穿孔するホール穿孔段階をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、本体の周縁にアウターリングを形成することによって、地下鉄などの交通手段の乗車券として使用するコイン(使い捨て型及び定額型を含む。)を1回あるいは複数回使用した後、回収して再び再使用しても周縁部位が剥離しないなど、コインの耐久性が大きく向上される効果がある。
【0025】
そして、前記RFラベルがプラスチック本体内に内蔵されているので、周縁にアウターリングを射出成形する際にも高熱によって内蔵されたRFラベルが損傷しないという効果を有する。
【0026】
さらに、本発明のコインは、所定の部位にホールを形成することで、ユーザが別にリングや紐を連結して身体に固定したり、首などにかけることができるので、コインの紛失を防止し、かつ使用上の便利性を高める効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る交通手段用コインの正面図であり、図2は、図1の背面図であり、図3は、図1に示されるA−A線に沿った断面図であり、図4aは、本発明の第2の実施形態に係る交通手段用コインを示す図であり、図4bは、本発明の第3の実施形態に係る交通手段用コインを示す図であり、図5は、本発明の交通手段用コインの製造過程を示すフローチャートである。
【0029】
図1乃至図3に示されるように、交通手段用コインは、外形を構成する本体10と、前記本体10の内部に挿入されたRFラベル20と、前記本体10の周縁に沿って被覆されたアウターリング30とを備える。
【0030】
前記本体10は、2つの円板、つまり内面の中央部に凹状の収容部16が形成された第1円板12と、第1円板12の収容部16と対応するように内面に収容部16が形成された第2円板14が一体に結合されている。前記第1円板12と第2円板14は最初は分離された状態であり、好ましくは、前記第1円板12の大きさが前記第2円板14の大きさと同一で対称な形状を有するようにし、相互結合時に、前記第1円板12と第2円板14の内面(裏面)を一致させて結合する。
【0031】
前記第1円板12及び第2円板14の内面(裏面)には、RFラベル20を収容できるように、前記第1円板12及び第2円板14の中央部に凹状の収容部16が形成されている。
【0032】
前記第1円板12及び第2円板14の材質には、合成樹脂またはセラミック、ガラス、石板などの非金属を使用することができ、特に、ナイロンまたはポリカーボネイトが好ましい。
【0033】
また、前記第1円板12及び第2円板14の外面(表面)には、回収したコインに印刷などの作業をしなくてもすむように、文字や記号が突出表示される彫込部18を一体に形成することが望ましい。
【0034】
前記第1円板12及び第2円板14は、合成樹脂からなるアウターリング30によって可能な限り深く被覆されるようにすることが望ましい。
【0035】
前記第1円板12及び第2円板14の内面にはRFラベル20が接着される。ここで、前記RFラベル30は、製品識別用として広く使われる電子マグネチックラベルを意味し、円形フィルムにマイクロチップが内蔵された構造である。もちろん前記RFラベル20は、第1円板12や第2円板14の収容部16に埋め込んだり、両面テープやボンドなどの接着剤で付着することもできる。このような前記RFラベル30は、本発明の交通手段用コインにおいて既に設定されたプログラムにより、使い捨て型及び定額型コインとして使用可能に構成することができる。
【0036】
前記RFラベル20が収容された本体10の周縁には、ポリカーボネイトまたはナイロンからなるアウターリング30が被覆されており、前記本体10の両側外面の中央部にはデカル40が付着されている。一方、前記アウターリング30の材質をポリカーボネイトまたはナイロンのうちのいずれか一つを選択して使用するのは、前記第1円板12及び第2円板14と同一材質を使用することによって、前記アウターリング30と前記第1円板12及び第2円板14との間の結合性を高めるためである。
【0037】
本発明のコインの所定の部分にはホール30aが穿孔されている。詳細には、前記アウターリング30の所定の部位(周り近傍)にホール30aが穿孔される。ユーザは、前記ホール30aに好みのホルダー60または紐(図示せず)などを装着することができる。もちろん前記ホルダー60の形態は本発明の実施形態に限定されるものではない。たとえば、キーホルダー60(図4a参照)、携帯電話ストラップ(図4b参照)、スプリング紐(図示せず)などが前記ホール30aに直接備えられたフックリング50に連結されるホルダー60として使用できる。
【0038】
一方、図示していないが、上述したように、ユーザはホルダー60を利用して身体の望む位置に固定したり、スプリング状に巻かれて引っ張って使用する巻き尺のような形態に構成することもできる。
【0039】
図4bに示すように、本発明の第3の実施形態は、コインの周縁部位には広告が形成されず、中心部にのみデカル40が付着されたものである。
【0040】
次に、図1乃至図5を参照して本発明の交通手段用コインの生産工程を説明する。
【0041】
まず、ポリカーボネイトやナイロンを使用して、外面(表面)には彫込部を形成し、内面(裏面)には収容部16を形成するように射出成形をし、本体10を構成する第1円板12及び第2円板14を形成する(本体形成段階;S1)
次に、前記本体形成段階(S1)で形成された第1円板12及び第2円板14の収容部16にRFラベル20を挿入する(RFラベル挿入段階;S2)。
【0042】
前記RFラベル挿入段階(S2)の後に、第1円板12及び第2円板14の収容部16にRFラベル20を挿入したまま放置すると、前記RFラベル20が前記第1円板12及び第2円板14の収容部16で遊動して音が出るおそれがあるので、前記第1円板12及び第2円板14のいずれか一方あるいは両方に両面テープやボンドでRFラベル20を付着することが望ましい(RFラベル接着段階;S3)
前記RFラベル接着段階(S3)の後に、前記第1円板12及び第2円板14の内面(裏面)を対称に一致させて一つの本体10をなすようにする(本体結合段階;S4)。
【0043】
前記本体結合段階(S4)の後に、前記一体化した本体10をコイン(使い捨て型及び定額型を含む。)射出金型に挿入した後、ポリカーボネイトまたはナイロンで射出成形して、前記本体10の周縁に沿ってアウターリング30を形成する。ここで、本体10の外面(表面)に突出した彫込部18は、前記アウターリング30によって覆われず外部から見えるので、別に文字や記号を印刷する必要がない(アウターリング形成段階;S5)
前記アウターリング形成段階(S5)の後に、前記アウターリング30にフックリング50を媒介にしてホルダー60を連結できるホール30aを穿孔する(ホール穿孔段階;S6)。
【0044】
最後に、広告用デカル40が本体10の両側外面に付着される(デカル付着段階;S7)。
【0045】
一方、前記RFラベル挿入段階(S2)と本体結合段階(S4)を、一般にRFラベル挿入及び本体結合段階と呼ぶこともできる。このようにして、軽くて耐久性に優れた交通手段用コインを製造することができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について図示し説明したが、本発明は、上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求している本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも種々の変形実施が可能であることはもとより、そのような変更は、本発明の特許請求の範囲に含まれることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る交通手段用コインの正面図。
【図2】図1の背面図。
【図3】図1のA−A線に沿った断面図。
【図4a】本発明の第2の実施形態に係る交通手段用コインを示した図。
【図4b】本発明の第3の実施形態に係る交通手段用コインを示した図。
【図5】本発明の交通手段用コインの製造過程を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0048】
10…本体
12…第1円板
14…第2円板
20…RFラベル
30…アウターリング
40…デカル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面の中央部に凹状の収容部が形成された第1円板と、前記第1円板の収容部と対応するように内面に収容部が形成された第2円板が一つに結合された本体と、
前記本体の収容部に収容配置される円形のRFラベルと、
前記本体が射出金型に挿入された状態で、前記本体の周縁部位に沿って被覆された円形のアウターリングとを備えることを特徴とする交通手段用コイン。
【請求項2】
前記本体の材質は、ポリカーボネイトまたはナイロンのうちのいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の交通手段用コイン。
【請求項3】
前記アウターリングの材質は、ポリカーボネイトまたはナイロンのうちのいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の交通手段用コイン。
【請求項4】
前記本体の外面の中央部には広告用デカルが付着されていることを特徴とする請求項1に記載の交通手段用コイン。
【請求項5】
前記コインの周りにはホルダーを連結できるようにホールが穿孔されていることを特徴とする請求項1に記載の交通手段用コイン。
【請求項6】
前記ホルダーは、キーホルダー、携帯電話ストラップ、スプリング紐のうちのいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の交通手段用コイン。
【請求項7】
内面に収容部が形成されるように射出成形し、第1円板と第2円板とからなる本体を形成する本体形成段階と、
前記本体形成段階で形成された第1円板と第2円板の収容部にRFラベルを挿入し、前記第1円板と第2円板の内面を互いに一致させるRFラベル挿入及び本体結合段階と、
前記RFラベル挿入及び本体結合段階の後に、前記一つに結合された本体を射出金型に挿入した後、ポリカーボネイトまたはナイロンのうち選択されたいずれか一つで射出成形し、本体の周縁部位に沿ってアウターリングを形成するアウターリング形成段階とを含むことを特徴とする交通手段用コインの製造方法。
【請求項8】
前記RFラベル挿入及び本体結合段階と、前記アウターリング形成段階との間に、前記第1円板、第2円板と前記RFラベルを接着するRFラベル接着段階をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の交通手段用コインの製造方法。
【請求項9】
前記アウターリング形成段階の後に、前記本体の露出した外面にデカルを付着するデカル付着段階をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の交通手段用コインの製造方法。
【請求項10】
前記アウターリング形成段階の後に、前記本コインにホルダーを連結するためのホールを穿孔するホール穿孔段階をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の交通手段用コインの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−517694(P2007−517694A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549127(P2006−549127)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000106
【国際公開番号】WO2005/069209
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(506242773)
【Fターム(参考)】