説明

交通標識通知システムおよびその方法

【課題】交通標識の存在を、この交通標識の内容に従って操作されるべき移動体(自動車・自動二輪車など)の運転者に通知する。
【解決手段】交通標識12の支柱120に、交通標識本体122と、交通標識12の存在を、この交通標識の内容に従って運転者が運転すべき自動車10に通知する標識信号を、所定の電力で送信する交通標識信号送信装置2とが取り付けられる。自動車10には、標識通知装置が設けられ、この標識通知装置は、送信された標識信号を受信したときには、交通標識が存在することを、自動車10の運転者に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、交通標識の存在を通知する交通標識通知システムおよびその方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非特許文献1は、運転者が交通標識を見落としやすいことを開示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】http://www.toyota.co.jp/mobilitas/anzen/vol28_2.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、上述の背景からなされたものであり、自動車などの交通標識に従って移動する移動体に対して交通標識の存在を通知する交通標識通知システムおよびその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願開示の1つの実施形態は、交通標識と、前記交通標識に関係する位置に設けられ、この交通標識の存在を示す標識信号を、予め決められた電力で送信する標識信号送信装置と、前記交通標識に従って移動すべき移動体に設けられた標識通知装置であって、前記送出された標識信号を受信する受信部と、前記標識信号が受信されたときに、前記交通標識が存在することを通知する通知部と を有する標識通知装置とを有するように構成されている。
【0006】
[サマリー]
本願開示の上記実施形態においては、交通標識の支柱に、交通標識と、PHS基地局装置などであって、その交通標識の存在を、この交通標識の内容に従って運転者が運転すべき自動車などの移動体に示す標識信号を、例えば、PHSにおける送信出力(10mW程度)の電力で送信する標識信号送信装置とが取り付けられる。
上記移動体には、PHS端末装置などの標識通知装置が設けられ、この標識通知装置は、送信された標識信号を受信し、標識信号を受信できたときには、交通標識が存在することを、移動体の操作者、例えば自動車の運転者に通知する。
【0007】
本願開示の技術的利点およびその他の技術的利点は、図面に示される実施形態の詳細な説明を読むことにより、当業者に明らかとされるであろう。
添付図面は、本願明細書に組み込まれて、その一部をなし、本願開示の実施形態を図示しており、その説明とともに、本願開示の原理を説明する役割を果たす。
本願明細書中で参照される図面は、特に断らない限り、一定の縮尺で描かれているわけではないと解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本願開示の実施形態は、その構成および動作に関して、以下の説明を、図面とともに参照することにより、最もよく理解されるであろう。
【図1】本願にかかる交通標識通知システムの構成例を示す図である。
【図2】図1に示した標識信号送信装置の構成を示す図である。
【図3】図2に示したデータ発生部が発生するデータを例示する図である。
【図4】図1に示した近接通知装置の構成を示す図である。
【図5】図1に示した交通標識通知システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願開示の実施形態が、詳細に説明される。
本願開示の実施形態は、添付図面に例示されている。
本願開示は、実施形態に関連して説明されるが、この実施形態は、本願開示を、その開示内容に限定することを意図しないことが、当業者に理解されよう。
逆に、本願開示は、本願開示の精神、および、本願特許請求の範囲内に含まれ得る代替物、変更および均等物を包含することを意図している。
また、本願開示の説明は、本願開示を充分に理解可能なように、具体的に、また、詳細になされる。
しかしながら、当業者に明らかなように、本願開示は、これら具体的に、また、詳細に説明された事項の全てを用いなくては、実施され得ないということはない。
【0010】
なお、既知の方法、手続き、コンポーネント、および回路は、本開示の態様を不必要に分かりにくくすることがないように、詳細には記載されていないことがある。
しかし、留意すべきであるが、これらおよび類似のすべての用語は適当な物理量に関連づけられるべきものであり、これらの量に付けられた単に便宜的なラベルである。
以下の議論から明らかなように、特に別段の断りがない限り、本願開示全体を通じて、「データを発生する」、「送信する」および「受信する」などのような用語を用いた議論は、電子回路、CPUおよびDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェア資源の作用およびプロセスを指すと理解される。
【0011】
以下、本願開示の実施形態が、詳細に説明される。
本願開示の実施形態は、添付図面に例示されている。
本願開示は、実施形態に関連して説明されるが、この実施形態は、本願開示を、その開示内容に限定することを意図しないことが、当業者に理解されよう。
逆に、本願開示は、本願開示の精神、および、本願特許請求の範囲内に含まれ得る代替物、変更および均等物を包含することを意図している。
また、本願開示の説明は、本願開示を充分に理解可能なように、具体的に、また、詳細になされる。
しかしながら、当業者に明らかなように、本願開示は、これら具体的に、また、詳細に説明された事項の全てを用いなくては、実施され得ないということはない。
【0012】
なお、既知の方法、手続き、コンポーネント、および回路は、本開示の態様を不必要に分かりにくくすることがないように、詳細には記載されていないことがある。
しかし、留意すべきであるが、これらおよび類似のすべての用語は適当な物理量に関連づけられるべきものであり、これらの量に付けられた単に便宜的なラベルである。
以下の議論から明らかなように、特に別段の断りがない限り、本願開示全体を通じて、「データを発生する」、「送信する」および「受信する」などのような用語を用いた議論は、電子回路、CPUおよびDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェア資源の作用およびプロセスを指すと理解される。
【0013】
[実施形態]
以下、本願の実施形態を説明する。
図1は、本願にかかる交通標識通知システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、n本の交通標識12の支柱120に取り付けられた標識信号送信装置2と、それぞれの運転者が交通標識本体122の内容(一方通行、進入禁止および一時停止など)に従った運転をしなければならないn台の自動車10それぞれに取り付けられた標識通知装置3とから構成される(n≧1の整数、ただしnが常に同じ数を示すとは限らない)。
交通標識通知システム1は、これらの構成部分により、交通標識12それぞれの存在を、自動車10の運転者それぞれに通知して、交通標識本体122の内容を見落とさないように注意を喚起する。
【0014】
図2は、図1に示した標識信号送信装置2の構成を示す図である。
図3は、図2に示したデータ発生部200が発生するデータを例示する図である。
図2に示すように、交通標識信号送信装置2は、データ発生部200、変調部202、発振部204および送信部206から構成され、必要に応じて送信部206とアンテナ126との間にアッテネータ208が挿入される。
標識信号送信装置2は、交通標識12の支柱120(図1)に取り付けられたソーラーパネル124が日光から発生する電力の供給を受けて動作し、これらの構成部分により、支柱120の最上部に取り付けられたアンテナ126を介して、交通標識通知装置3に対して、標識信号を送信する。
【0015】
標識信号送信装置2において、データ発生部200は、図3に示すように、同期信号と、交通標識12の存在を示す標識信号データと、交通標識本体122の内容を示す標識識別子とを含むデータを発生し、変調部202に対して出力する。
変調部202は、例えば、PSK変調方式により、発振部204から入力された搬送波信号を、この搬送波信号により、データ発生部200から入力されたデータ(図3)を伝送するための変調を行い、変調の結果として得られた標識信号を、送信部206に対して出力する。
送信部206は、発振部204から入力された標識信号を、適宜、周波数変換し、例えば、法令上微弱電波として取り扱われ、だれもが自由に使用できる電力に増幅して、交通標識12に設けられたアンテナ126(図1)を介して送信する。
【0016】
なお、送信部206が出力する標識信号の電力が、予め決められた値以上となったときには、適宜、アッテネータ208が、送信部206とアンテナ126との間に挿入され、標識信号は、標識信号送信装置2の用途に適した電力まで減衰させられる。
また、標識信号の周波数は、例えば、電波時計に用いられる周波数40kHz,60kHz、あるいは、携帯電話に用いられる周波数の800MHz,1.5GHzである。
【0017】
なお、標識信号送信装置2が、上記以外の周波数の標識信号を送信するように構成することも可能である。
また、標識信号の周波数が高いときには、アンテナ126として指向性を有し、かつフロント/バック比(F/B比)の高いアンテナを用い、その指向性を、交通標識12の交通標識本体122の内容に従って運転されるべき自動車10の進行方向と逆の方向、あるいは、交通標識本体122を自動車10の運転者が視認するときの視線と逆の方向に向けるとよい。
このようにアンテナ126の指向性を向けると、交通標識本体122の裏の方向から表の方向に進み、交通標識本体122の内容に従って運転されるべきではない自動車10に対して交通標識12の存在が通知にくくなる。
【0018】
図4は、図1に示した標識通知装置3の構成を示す図である。
図4に示すように、標識通知装置3は、アンテナ210、受信部300、復調部302、判定部304および通知出力部306から構成される。
標識通知装置3は、これらの構成部分により、標識信号送信装置2が送信した標識信号を受信し、受信した標識信号から標識信号データ(図3)が検出されたときには、音、光および振動あるいはこれらの組み合わせにより、交通標識12の存在を、自動車10の運転者に通知する。
受信部300は、アンテナ210を介して標識信号送信装置2からの標識信号を受信し、適宜、周波数変換および増幅を行って、復調部302に対して出力する。
【0019】
復調部302は、受信部300から入力された標識信号を復調し、判定部304に対して出力する。
判定部304は、復調された標識信号に含まれるデータを処理し、同期データ(図3)を用いて同期を取って、標識信号データ(および標識識別子)を取り出す。
さらに、判定部304は、復調部302から入力された標識信号に含まれるデータから正常に標識信号データが得られたときには、通知部306を制御して、交通標識12の存在を自動車10の運転者に通知させる。
通知出力部306は、例えば、出力周波数3kHz、70dB程度の音量のブザー、LEDおよびバイブレータなどから構成され、判定部304により制御されて、交通標識12の存在を、音、光および振動あるいはこれらの組み合わせにより、自動車10の運転者に対して通知する。
自動車10の運転者は、この通知により交通標識12の存在を知り、確実に交通標識12を発見し、交通標識本体122の内容を認識する。
【0020】
図5は、図1に示した交通標識通知システム1の動作を説明する図である。
図5に示すように、交通標識信号送信装置2と自動車1(交通標識通知装置3)との間の距離が、標識信号が到達し、標識信号から標識信号データが正常に得られる範囲内にあるとき、つまり、標識信号到達距離より短いときには、交通標識通知装置3は、自動車10の運転者に対する交通標識12の存在を通知する。
一方、交通標識信号送信装置2と自動車10との間の距離が、標識信号が到達し、標識信号から標識信号データが正常に得られる範囲内にないときには、標識信号送信装置2は、自動車10の運転者に対する交通標識12の存在を通知しない。
なお、上述した標識信号到達距離は、送信部206あるいはアッテネータ208の調整、および、アンテナ126の指向性の最適化により、自動車10の運転者にとって適正な長さとすることができる。
【0021】
なお、交通標識通知システム1は、交通標識信号送信装置2と交通標識通知装置3との間の通信距離を適切に制限する必要があるので、この通信距離として適切な距離、つまり、数十m〜100m程度の半径のマイクロセルを多数、用いたPHS(Personal Handy Phone System)の構成部分を、交通標識通知システム1において利用してもよい。
以下、交通標識通知装置3を1.9GHz帯の信号を用いてPHS端末との間でADPCMにより32kbps程度の音声データ伝送が可能なPHS基地局とし、交通標識信号送信装置2をPHS端末装置とした場合を具体例として説明する。
【0022】
この場合において、PHS端末は、交通標識12に取り付けられたPHS基地局を中心とするマイクロセルに入ると、このPHS基地局と自動的に接続され、PHS基地局からの音声を出力可能な状態とされる。
さらに、PHS基地局は、接続されたPHS端末に対して交通標識12の存在を通知する音声信号を供給して出力させ、自動車10の運転者に交通標識12の存在を運転者に通知させる。
なお、実験として、PHS基地局と自動車10に載せたPHS端末とを予め接続しておき、PHS端末から音声出力が可能な状態とした場合には、PHS基地局から直線で数十m〜100m程度の距離で、交通標識12の存在を通知する音声を、6台の自動車10の運転者に聞かせることができた。
【0023】
なお、交通標識通知システム1において、標識信号に、標識識別子が含まれているときには、これが示す交通標識本体122の内容ごとに、交通標識通知装置3による通知の内容を変更してもよい。
また、交通標識通知装置3は、自動車10のカーステレオおよびナビゲーション装置などに組み込むことができる。
【0024】
上記実施形態は、例示および説明のために提示されたものであって、本願開示の実施形態の全てを網羅していない。
また、上記実施形態は、本願開示の技術的範囲を、その開示内容に限定することを意図しておらず、その開示内容に照らして、様々に変更され、変形されうる。
また、上記実施形態は、本願開示の原理およびその実際的な応用を最もよく説明できるように選択され、記載されているので、当業者は、上記実施形態の開示内容に基づいて、本願開示およびその実施形態を、ありうべき全ての実際の用途に最適とするための種々の変更を加えて利用することができる。
また、本願開示の技術的範囲は、その記載および均等物によって画定されるように意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本願開示は、交通標識の存在を、この交通標識の内容に従って操作されるべき移動体(自動車・自動二輪車など)の操作者に通知するために利用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1・・・交通標識通知システム,
2・・・交通標識信号送信装置,
200,502・・・データ発生部,
202・・・変調部,
204・・・発振部,
206・・・送信部,
208・・・アッテネータ,
3・・・交通標識通知装置,
300・・・受信部,
302・・・復調部,
304,602・・・判定部,
600・・・位置検出部,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通標識と、
前記交通標識に関係する位置に設けられ、この交通標識の存在を示す標識信号を、予め決められた電力で送信する標識信号送信装置と、
前記交通標識に従って移動すべき移動体に設けられた標識通知装置であって、
前記送出された標識信号を受信する受信部と、
前記標識信号が受信されたときに、前記交通標識が存在することを通知する通知部と
を有する標識通知装置と
を有する交通標識通知システム。
【請求項2】
前記標識信号送信装置に対して電力を供給するソーラーパネル
をさらに有する請求項1に記載の交通標識通知システム。
【請求項3】
前記標識信号送信装置は、前記標識信号を用いて、音声信号を前記標識通知装置に送信し、
前記標識通知装置の前記通知部は、前記された音声信号を用いて、前記交通標識が存在することを通知する
請求項1に記載の交通標識通知システム。
【請求項4】
前記標識信号送信装置と、前記標識通知装置とはPHS(Personal Handy Phone System)端末である
請求項3に記載の交通標識通知システム。
【請求項5】
前記標識信号送信装置は、前記交通標識に従うべき移動体の進行方向の反対方向の指向性で、前記標識信号を送信する
請求項1に記載の交通標識通知システム。
【請求項6】
交通標識に関係する位置から、この交通標識の存在を示す標識情報を、予め決められた電力で送信し、
前記交通標識に従って移動すべき移動体において、
前記送出された標識信号を受信し、
前記標識信号が得られたときに、前記交通標識が存在することを通知する
交通標識通知方法。
【請求項7】
交通標識の存在を示す標識信号を、予め決められた電力で送信する標識信号送信装置から送出された標識信号を受信する受信部と、
前記標識信号が受信されたときに、前記交通標識が存在することを通知する通知部と
を有する標識通知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−192044(P2011−192044A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57927(P2010−57927)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(509348786)エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー (117)
【Fターム(参考)】