説明

人体検知センサ

【課題】 トイレ装置等の家電製品に設けられたときに、検知の信頼性を損なうことなく構成の簡素化を実現でき、さらに、構成の自由度も向上することができる人体検知センサを提供する。
【解決手段】 本発明に係る人体検知センサ10は、支持基板21の表面に、アンテナ電極11および検出IC13が固定されることで、これらが一体化している。アンテナ電極11は、支持基板21の表面において、例えば、つづら折り状のパターンで配線されている。人体の存在によりアンテナ電極11の静電容量が変化すれば、検出ICにより静電容量の変化が検出され、これにより人体が検知される。検知の精度を向上するために、人体検知センサ10の表面や裏面に、電磁波遮蔽部材が設けられてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体検知センサに関し、特に、家電製品等に設けられ、簡素な構成であり、設置の自由度が高い人体検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品等の民生用機器においては、従来から、待機状態から使用状態に移行したときに電源を入れたり、あるいは、待機状態では通常モードから節電モードに切り替えたりする制御が行われている。このような制御では、一般に、人体検知センサによる使用者の検知を基準として、電源のオンオフや動作モードの切り替えを行うよう構成されている。
【0003】
例えば、トイレ装置の分野では、便座の暖房、または、局部等を洗浄する洗浄水の加熱等に大きな電力を消費するため、人体検知センサとして、使用者の便座への着座を検出する着座センサが用いられている。この種の着座センサとしては、通常、光学式センサが用いられている。この光学式センサは、赤外線等の検知光を使用者の身体に照射し、その反射光を検出することで、人体を検知するものであり、トイレ装置の場合では、便座に着座した使用者の背後から、当該使用者の腰部近傍に検知光を照射し、その反射光を検出する構成が一般的である。また最近では、光学式以外の着座センサとして、静電容量式センサも提案されている。静電容量式センサは、人体の存在による静電容量の変化を検出することにより人体を検知する。
【0004】
例えば、特許文献1には、暖房便座のヒータの発する熱を拡散する拡散板を検出電極とする構成の静電容量式着座センサが提案されている。この技術では、検出電極として兼用される暖房便座の構成要素が、ヒータ線ではなく拡散板であるので、着座検出に必要な部分の拡散板のみを検出電極として用いることができる。そのため、ヒータ線を検出電極として兼用した構成と同様に、静電容量式着座センサの構造を簡素化し、かつ、コストを低減することができることに加え、静電容量の変化のロスを少なくすることができ、確実な着座検出を行うことができるとされる。
【0005】
また、特許文献2には、局部洗浄装置の着座センサであって、便座の内部に一方の電極が設けられるとともに操作部に他方の電極が設けられる構成の静電容量式のセンサが提案されている。便座にのみ検出電極が設けられる構成であれば、基本的に、便座の電極と人体との間の静電容量C1、人体と大地との間の静電容量C2、およびセンサ回路と大地との間の静電容量C3が生じる。このうち、着座に伴って変化する静電容量はC1およびC2であるが、静電容量C2およびC3は、局部洗浄装置が設置されるトイレの構造や使用者の体型等に影響を受けて異なるため、着座の検知が不安定となりやすいとされる。そこで、この技術では、局部洗浄装置の便座と局部洗浄装置の「袖」の部分に相当する操作部とにそれぞれ検出電極が設けられる構成を採用している。これにより、トイレの構造や使用者の体型等による影響を受けることなく、便座への人体の着座を安定的に検知できるようになるとされる。
【0006】
なお、特許文献1でも同様の検討は行われている。すなわち、特許文献1には、拡散板を人体が近接する部分と人体から離れた部分で分割し、人体が近接する部分の拡散板を検出電極とし、人体から離れた部分の拡散板を比較電極とする構成も開示されている。この構成によれば、検出電極側と比較電極側との静電容量の相対的な差分から着座状態が検出されるので、人体の大きさや環境変化の影響を受けずに安定して着座検出を行うことができるとされる。
【0007】
また、特許文献3には、静電容量式の人体局部洗浄装置用の静電着座センサとして、便座内部へ人体着座面に近い方から順に、検出電極、絶縁層、保護電極、絶縁層、および接地電極で構成した電極を配置する構成が提案されている。この技術では、前記構成の静電着座センサが、便座の人体着座面の近傍に設置されており、前記保護電極には検出電極と同電位同位相が印加されている。それゆえ、検出電極自身の不必要な静電容量をすべてキャンセルすることができ、安定した人体検知ができるとされる。
【0008】
なお、この技術では、静電着座センサと着座検出回路との電気的結合部分が検出電極と同等の機能を有することに伴う影響を受けないようにするための構成も提案されている。具体的には、前記電気的結合部分が検出電極と同等の機能を有していれば、静電着座センサと着座検出回路とを単純に接続するのみでは、その間で発生する静電容量の影響で検出精度が維持できず、人体検知が不安定になってしまう。そこで、検出電極と着座検出回路との電気的結合部分を、絶縁層を介して、保護電極と着座検出回路との電気的結合部分の上を這わせる構成、あるいは、シールド線を用いて、保護電極と着座検出回路の結合部分が検出電極と着座検出回路との電気的結合部分を完全に覆う構成を採用することで、前記影響を受けないようにすることができるとされる。
【特許文献1】特開平05−196744号公報
【特許文献2】特開2000−166818号公報
【特許文献3】特許第3588259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の技術では、家電製品等に人体検知センサを設けるための構成について、検知の信頼性等を損なわないで簡素化するには、さらなる改善の余地があることに加え、人体検知センサが設けられる位置も制限されるという問題が生じる。
【0010】
すなわち、一般的な人体検知センサとして用いられている光学式センサは、検知対象である使用者の身体に検知光を照射してその反射を検出する構成であることから、当該光学式センサを家電製品に装備した場合、検知光を使用者の身体に出射するための出射窓を、家電製品の筐体に形成する必要がある。そのため、出射窓を形成するために筐体を成形したり加工したりしなければならない。また、光源となる発光素子を保護するためには、出射窓に透光性の保護部材を配置する必要があり、さらには、前記トイレ装置の分野では、洗浄水の使用が前提となるため、出射窓から洗浄水が浸入しないように、各種の防水構成(例えばパッキン等)を採用する必要が生じるため、部材点数の増加を招く。
【0011】
しかも、出射窓を形成する位置は、前記筐体のいずれの場所でもよいわけではなく、当該家電製品を使用者が使用したときに、確実に使用者に検知光を照射できるような位置に特定される。前記トイレ装置の分野では、衛生洗浄機構や制御機構等を備えている本体部のうち、使用者に直面する前方かつ便座の上方となる正面部分に、出射窓を設けることになる。
【0012】
これに対して、静電容量式センサは、検知光の反射を検出するのではなく、使用者の存在に伴う静電容量の変化を検出することで人体検知を行っている。それゆえ、光学式センサのように出射窓を特定の位置に設ける必要がない代わりに、家電製品の特定の位置に検出電極を設ける必要が生じる。前記トイレ装置の分野では、特許文献1から3のいずれの技術においても、人体検知センサが便座への着座を検知する着座センサであるため、便座に検出電極が設けられている。検出電極は、便座の内部に収容される形で設けられるので、便座を構成する部材点数が増加するとともに便座の製造工程も増加する。また、トイレ装置の製造後に、メンテナンス等により静電容量式センサを交換する必要が生じた場合には、便座そのものを交換しなければならない。仮に、静電容量式センサが便座ではなく他の位置に設けられるとしても、着座の検知の信頼性に影響が生じるおそれがある。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、家電製品等に設けられたときに、検知の信頼性を損なうことなく構成の簡素化を実現でき、さらに、設置される位置の自由度も向上することができる人体検知センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、前記の課題に鑑み鋭意検討した結果、人体検知センサとして静電容量式センサを採用するとともに、検知電極として線状のアンテナ電極を用い、これを静電容量検出器とともに単一の基板上で一体化することで、人体検知の信頼性を損なうことなく構成の簡素化を実現できるとともに、設置の自由度も向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明に係る人体検知センサは、前記の課題を解決するために、導電体からなり、人体が近接することにより静電容量が変化するアンテナ電極と、前記アンテナ電極に電気的に接続され、当該アンテナ電極おける静電容量の変化を検出する静電容量検出器と、少なくとも前記静電容量検出器を表面で固定する支持基板と、を備え、前記支持基板の表面には、さらに前記アンテナ電極が配線されて固定されている構成である。
【0016】
前記構成によれば、アンテナ電極が支持基板上で静電容量検出器と一体化されて固定されているため、例えば、トイレ装置の公知の静電容量式センサのように、便座等の特定の構成要素に検出電極が内蔵される構成となっていない。それゆえ、便座等の特定の構成要素において部材点数を増加させたり製造工程を増加させたりする必要がなくなり、静電容量式センサが設けられる場合であっても、構成を簡素化することができる。また、人体検知センサの主要構成が一体化されて支持基板に搭載されているため、人体検知センサが設けられる位置の制限が小さくなり、設置の位置の自由度も向上することができる。
【0017】
さらに、従来のような平板状の電極ではなく、線状のアンテナ電極が用いられているので、コンパクト化して設置面積を小さくできるとともに、人体検知の指向性を調整しやすくすることができる。加えて、このアンテナ電極が支持基板上で、所定のパターンで配線されているので、支持基板の上で、アンテナ電極の位置が安定して維持される。それゆえ、トイレ装置等の各種家電製品に人体検知センサを装備するときに、アンテナ電極の取り付け状態にばらつきが発生することを回避できる。
【0018】
本発明に係る人体検知センサにおいては、前記構成に加えて、前記支持基板の前記表面のうち、前記アンテナ電極が配線されている領域をアンテナ配線領域としたときに、少なくとも、前記アンテナ配線領域に対応する前記支持基板の裏面には、電磁波遮蔽膜が設けられていることが好ましく、前記電磁波遮蔽膜は、金属材料からなるテープが前記支持基板の裏面に貼り付けられることにより設けられている構成がより好ましい。また、前記支持基板には、当該支持基板の前期表面側に突出する電磁波遮蔽板が設けられている構成であるとより好ましい。
【0019】
前記構成によれば、電磁波遮蔽膜および電磁波遮蔽板の少なくとも一方、好ましくは双方が支持基板に設けられることにより、アンテナ電極での静電容量の変化について、指向性をさらに一層向上することができるため、人体検知センサとしても、人体検知の精度をより一層向上することができる。
【0020】
本発明に係る人体検知センサは、人体を検知する用途に広く用いることができ、さまざま家電製品等に装備することができるが、特に好ましい一例として、トイレ装置の着座センサとして用いられる構成を挙げることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明では、家電製品等に設けられたときであっても、人体検知センサにおける検知の信頼性を損なうことなく構成の簡素化を実現でき、さらに、構成の自由度も向上することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る人体検知センサ10の構成の一例を示す模式図であり、図2は、図1に示す人体検知センサ10が備えている電磁波遮蔽部材の構成の一例を示す模式図である。また、図3(a)および(b)は、人体検知センサ10に含まれる検出IC13の構成の一例を示す模式図である。なお、図2では、人体検知センサ10の正面図と、この正面図に対応する横側面図および縦側面図とが、点線により位置関係を対応付けて示されている。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態に係る人体検知センサ10は、アンテナ電極11、抵抗12、検出IC13、および支持基板21を備えており、各種の家電製品に備えられている。アンテナ電極11は、導電性の線状体であって、人体が接近することにより静電容量が増加する。アンテナ電極11は抵抗12を介して検出IC13の入力端子に接続されている。アンテナ電極11において静電容量が変化すれば、その変化は抵抗12を介して検出IC13によって検出される。検出IC13は、その検出した静電容量の変化に応じたデジタルの電気信号(デジタル信号)を生成し、当該デジタル信号を出力端子から図示されない家電製品の制御部に出力する。制御部では、所定の制御により、入力されたデジタル信号から人体が当該家電製品を使用しているか、または、使用する直前にあると判定し、当該家電製品において、所定の動作を行うよう制御する。
【0025】
前記アンテナ電極11、抵抗12および検出IC13は、いずれも支持基板21の表面に固定されている。特に、アンテナ電極11は、所定のパターンで支持基板21の表面に配線されて固定されている。アンテナ電極11の材質は特に限定されず、銅やアルミニウム、またはその合金等の各種金属材料が用いられる。検出IC13は、アンテナ電極11おける静電容量の変化を検出する静電容量検出器であり、その具体的な構成は特に限定されず、公知の静電容量の検出回路が用いられる。検出回路の具体的構成の一例については後述する。
【0026】
支持基板21は、本実施の形態では、プリント配線技術で公知のリジッド基板であり、その形状は長方形状で、そのサイズは、例えば20mm×50mmである。もちろん支持基板21の具体的な構成はこれに限定されず、基板の種類としてはフレキシブル基板であってもよいし、その形状やサイズも装備の対象となる家電製品等の種類に応じて適宜設定することができる。支持基板21の材質も特に限定されず、リジッド基板またはフレキシブル基板にかかわらず、プリント配線基板として公知の樹脂材料が好適に用いられる。
【0027】
また、本実施の形態では、支持基板21がプリント配線基板として用いられるリジッド基板であるため、支持基板21へのアンテナ電極11および検出IC13の固定方法は、プリント配線基板で公知のパターン配線技術やICの実装技術が好適に用いられる。本実施の形態では、アンテナ電極11は、図1に示すように、つづら折り状のパターンで配線されているが、このパターン配線は、フォトレジスト技術を利用して形成される。この場合、アンテナ電極11は、支持基板21の表面に連続した1本の配線パターンとして積層された導電層となる。あるいは、支持基板21がプリント配線基板であっても、フォトレジスト等の公知のパターン配線技術を用いずに、アンテナ電極11を配線することもできる。たとえば、アンテナ電極11として、ケーブル状の線状体が用いられた場合には、適宜折り曲げて所定のパターンに形成して、支持基板21の表面に公知の接着剤や固定部材等で固定することで配線してもよい。
【0028】
アンテナ電極11の配線パターンは特に限定されず、アンテナ電極11の種類、支持基板21の形状、アンテナ電極11および検出ICの配置デザイン、支持基板21の表面に固定される他の素子や他の配線等に応じて、適切なパターンが設計される。例えば、本実施の形態では、長方形状の支持基板21において、長手方向を横方向とすれば、支持基板21の表面は横方向に2分割され、一方の領域(図1では向かって左側の領域)にアンテナ電極11がつづら折り状のパターンで配線されており、他方の領域(図1では向かって右側の領域)に抵抗12および検出IC13が固定されている。この構成においては、アンテナ電極11は、支持基板21の縦方向に沿って複数回往復するようにつづら折り状のパターンで配線されることで、所望の検出精度で静電容量の変化を有効に検出できるように、アンテナ電極11の長さを確保することができる。
【0029】
なお、図1に示すつづら折り状のパターンは、縦方向に沿って3回半往復する形状となっているが、支持基板21がより細長い形状であったり、アンテナ電極11の長さをより長くしたりする場合であれば、往復の回数を増やせばよい。あるいは、抵抗12および検出IC13の領域に及ばない程度に、横方向に複数回往復する形状であってもよい。また、つづら折り状以外に渦巻き状やこれらを組み合わせた形状のパターンであってもよい。
【0030】
本実施の形態では、支持基板21はリジッド基板であるので、人体検知センサ10を家電製品に取り付けるために、支持基板21にはビス穴22が形成されている。ビス穴22の位置は、本実施の形態では、図1に示すように、支持基板21の横両端部であり、各端部の縦側の中央部に円形のビス穴22がそれぞれ形成されているが、これに限定されず、支持基板21の形状や家電製品の種類、取り付けの位置等に応じて、適切な位置とすればよい。また、ビス穴22の数も特に限定されず、人体検知センサ10を家電製品の所望の位置に適切に取り付けて固定できるような数であればよい。なお、人体検知センサ10を家電製品へ取り付けるための構成は、前記ビス穴22に限定されず、例えば、支持基板21の裏面に接着剤を塗布して貼り付ける構成を採用してもよい。
【0031】
このように、本実施の形態に係る人体検知センサ10は、アンテナ電極11が支持基板21の表面で検出ICとともに固定されているため、人体検知センサ10の主要構成が一体化されていることになる。つまり、人体検知センサ10は、公知の静電容量式センサのように、静電容量の検出電極が特定の構成要素に内蔵されることで、当該検出電極と静電容量検出器とがそれぞれ独立した構成要素となっていない。それゆえ、特定の構成要素に検出電極を内蔵することによる構成の複雑化や製造過程の煩雑化を回避することができるとともに、各種家電製品に設置される位置の制限が小さくなり、設置の位置の自由度が向上する。
【0032】
また、人体検知センサ10では、従来のような平板状の電極ではなく、線状のアンテナ電極11が用いられているので、各種家電製品に設けられる場合に、大きな設置面積を必要とせず、人体検知センサ10をコンパクト化することができる。また、アンテナ電極11の配線の形状を適宜設計することで、人体検知の指向性が調整しやすくなり、人体検知の精度を向上することができる。しかも、アンテナ電極11は支持基板21上で、つづら折り状のパターン等、所定のパターンで配線されている。それゆえ、支持基板21の表面では、アンテナ電極11の位置は安定して維持することができる。したがって、各種家電製品に人体検知センサ10を装備するときに、アンテナ電極11の取り付け状態にばらつきが発生することを回避することができる。
【0033】
ここで、人体検知センサ10による人体検知の具体的な例について、図3(a)および(b)に基づいて説明する。本実施の形態に係る人体検知センサ10に含まれる検出IC13は、例えば、図3(a)および(b)に示すように、C−V変換回路34、電圧比較器35、抵抗36および37から構成されている。C−V変換回路34は、アンテナ電極11に接続されるとともに、電圧比較器35のプラス入力側ノード接続されている。また、電圧比較器35マイナス入力側ノードには、抵抗36および37が接続されている。抵抗36および37は図示されないが、基準電圧を生成する構成の回路に接続されている。
【0034】
さらに、電圧比較器35の出力側ノードは、図示されないが制御部に接続され、制御部にデジタル信号が出力される。C−V変換回路34は、静電容量を電圧に変換する回路であり、公知の構成の回路が用いられる。電圧比較器35は、公知のコンパレータが用いられる。抵抗36および37も一般的な抵抗が用いられる。
【0035】
検出IC13がこのような構成であれば、人体検知センサ10は、アンテナ電極11と周囲にあるグランドと見なすことができる物体(床、壁、または人体等)との間に発生する浮遊容量を、C−V変換回路34で電圧に変換して出力電圧として生成し、電圧比較器35により、検出IC13内で生成される基準電圧と出力電圧とを比較し基準電圧以上か未満かでデジタル出力信号の論理を変更する。
【0036】
例えば、図3(a)に示すように、人体検知センサ10を備えている家電製品が設置されている部屋61に使用者62すなわち人体が不在であると、浮遊容量も小さくなるため、C−V変換回路34の出力電圧は基準電圧を下回る。それゆえ、電圧比較器35の出力側ノードで出力されるデジタル出力信号はLOWレベルとなる。また、図3(b)に示すように、部屋61に使用者すなわち人体が存在(使用中の状態であっても接近中であってもよい。)すると、アンテナ電極11との間の静電容量が増加するため、C−V変換回路34の出力電圧は基準電圧を上回る。それゆえ、電圧比較器35のデジタル出力信号はHIGHレベルとなる。
【0037】
本実施の形態では、人体検知センサ10は、静電容量の変化の精度をより一層向上するために、支持基板21の適切な位置に電磁波遮蔽部材をさらに備えている。このように、電磁波遮蔽部材が設けられることで、アンテナ電極11の指向性をより一層向上させることができる。具体的には、図2に示すように、電磁波遮蔽部材として、支持基板21の表面側に設けられる遮蔽板31および32と、支持基板21の裏面に設けられる遮蔽膜33とが、人体検知センサ10に備えられている。
【0038】
遮蔽板31および32は、支持基板21の表面側に突出するように設けられ、人体検知センサ10による人体検知の方向を、表面側の特定の方向に規制する。つまり、アンテナ電極11は、人体が接近することで、その静電容量が変化するが、遮蔽板31、32が支持基板21の表面側の適切な位置に設けられることで、特定の方向に人体が接近したときにのみ、アンテナ電極11の静電容量が変化するように、その指向性を向上することができる。特に図2の横側面図に示すように、支持基板21の横側の縁部には、遮蔽板31が、支持基板21の表面に垂直になるように設けられ、人体検知センサ10の縦方向において人体検知の方向を規制する。また、図2の縦側面図に示すように、支持基板21の縦側の縁部にも、遮蔽板32が、支持基板21の表面に垂直になるように設けられ、人体検知センサ10の横方向において検知方向を規制する。
【0039】
このように、支持基板21の周囲の縁部全てに遮蔽板31および遮蔽板32が設けられていれば、人体検知センサ10は、支持基板21の表面側にほぼ垂直な方向のみで人体を検知するように規制される。なお、図2の横側面図では、遮蔽板31を説明する便宜上、遮蔽板32の記載を省略しており、同様に、図2の縦側面図では、遮蔽板32を説明する便宜上、遮蔽板31の記載を省略している。また、図2では、ビス穴22の記載も省略している。
【0040】
遮蔽板31、32の具体的構成は特に限定されず、本実施の形態では、各種金属等の導電性の材料で形成される板状部材が用いられる。後述の実施の形態2でも説明するが、遮蔽板31、32は、人体検知センサ10の表面側に突出するよう設けられるので、家電製品への取り付けに際して、人体検知センサ10と取り付け面との間隔を保持するスペーサとしても機能させることができる。したがって、スペーサとしての機能が必要となる場合には、ある程度の強度を有する板状部材とすればよいし、そのような機能が不要であれば、人体の検知方向を規制するための形状を維持できる程度の強度を有する板状部材であればよい。それゆえ、これら遮蔽板31、32の大きさや厚み等は特に限定されない。
【0041】
ここで、遮蔽板31、32が設けられる位置、突出の方向は、前記構成に限定されず、人体検知の方向に応じて適宜設定することができる。例えば、縦方向に人体検知を規制したいが、横方向には規制する必要がない場合には、遮蔽板32のみが設けられればよく、横方向に規制したいが縦方向に規制する必要がない場合には、遮蔽板31のみが設けられればよい。また、人体検知の方向に広がりを持たせたい場合には、遮蔽板31、32は、支持基板21の外側に向かって傾斜するように突出していればよいし、人体検知の方向を狭めたい場合には、遮蔽板31、32は、支持基板21の内側に向かって傾斜するように突出していればよいし、傾斜が外側および内側となる遮蔽板31、32が混在してもよい。また、図2に示す構成では、遮蔽板31、32は、支持基板21の縁の表面に立設するよう取り付けられているが、支持基板21の側面に取り付けられる構成であってもよい。あるいは、別途公知の取付部材を用いて支持基板21に取り付けられてもよい。
【0042】
図2に示す構成では、遮蔽板31、遮蔽板32は接地されている(横側面図では遮蔽板31が、縦側面図では遮蔽板32が、それぞれ接地されている)。前記のとおり、これら遮蔽板31、32は、導電性の板状部材であるため、これにアース配線を接続することで、人体検知センサ10を接地電位とすることができる。なお、人体検知センサ10の接地方法は、これら遮蔽板31、32を接地する構成に限定されず、公知の他の方法を用いることができる。
【0043】
次に、遮蔽膜33は、人体検知の方向の対象外である裏面側からの影響を排除するために、支持基板21の裏面に設けられている。その具体的な構成は特に限定されないが、本実施の形態では、アルミニウムテープ等、金属材料からなるテープが用いられる。このようなテープであれば、支持基板21の裏面に接着剤等により貼り付けることができるとともに、人体検知センサ10の裏面側に厚みが増大することを抑制することができる。
【0044】
本実施の形態では、遮蔽膜33は、支持基板21の裏面全面を覆うように設けられてもよいが、支持基板21におけるアンテナ電極11が配線されている領域に対応するように設けられることが好ましい。つまり、図1に示すように、支持基板21の表面のうち、アンテナ電極11が配線されている領域をアンテナ配線領域30(図1において破線で囲まれている領域)とすれば、遮蔽膜33は、少なくとも、アンテナ配線領域30に対応する裏面の領域に設けられていればよい。人体検知センサ10における検知の要部はアンテナ電極11であるため、このアンテナ電極11に対して、裏面側から何らかの影響が及ぼされないようにすればよいので、必要最低限の領域にのみ遮蔽膜33を設ければよい。なお、必要に応じて、検出IC13の裏側等も遮蔽膜33で覆うように構成してもよい。
【0045】
なお、本実施の形態では、アンテナ電極11は、導電性の線状体が用いられているが、本発明はこれに限定されず、二次元的に広がりを有する面状体であってもよいし、人体検知センサ10が設けられる家電製品等の民生用機器の種類や構成によっては、三次元的な立体形状を有するものであってもよい。すなわち、アンテナ電極11は、人体が近接することにより静電容量が変化する導電体であればよく、その構成や材質は、線状体のアンテナ電極11に限定されない。また、本実施の形態では、アンテナ電極11は、銅、アルミニウム、これらの合金等からなっているが、もちろんこれに限定されず、一部に非導電性の材料を含む複合体として構成されてもよい。
【0046】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、本発明に係る人体検知センサ10の基本構成について説明したが、本実施の形態では、前記人体検知センサ10をトイレ装置の着座センサとして備えた例について、図4ないし図6に基づいて具体的に説明する。本実施の形態では、トイレ装置として、便座暖房機能および局部洗浄機能等を備えた衛生洗浄便座を例示する。図4は、図1および図2に示す人体検知センサ10が備えられる衛生洗浄便座50の外観構成を模式的に示す斜視図であり、図5は、図4に示す衛生洗浄便座50の本体51の外観構成を模式的に示す正面図であり、図6は、図5に示す本体51において、その内部に設けられる人体検知センサ10の位置の例を示す模式的断面図である。なお、図5では、本体51の正面図(図中向かって右)と、この正面図に対応する部分断面図(図中向かって左)とが、点線により位置関係を対応付けて示されている。
【0047】
図4に示すように、本実施の形態に係る衛生洗浄便座50は、本体51、操作部52、便座53、便蓋54、リモートコントローラ55、着座センサとしての人体検知センサ10、および入室センサ56とを備えている。衛生洗浄便座50の本体51、便座53および便蓋54は、一体的に組み付けられて便器60の上面に設置される。以下、便座53に着座した使用者から見て前方を前、後方を後ろ、左右側方を左右として説明する。
【0048】
本体51には、図示されない便座・便蓋開閉ユニットを介して便座53の後部が回動可能に支持されており、便座53の後部には、同じく便座・便蓋開閉ユニットを介して便蓋54の後部が回動可能に支持されている。本体51の筐体は中空の箱状に形成されており、本体51の右側部には操作部52が設けられ、本体51の前方の内面側には、着座センサとしての人体検知センサ10が設けられている。また、本体51には、前記便座・便蓋開閉ユニットに加え、洗浄ユニット、脱臭・乾燥ファンユニット、および図示されない制御部等が内蔵されている。なお、図4に示すように、本体51は、便座53が閉じ、便蓋54が開いた状態で露出する上方部51aと、便座53の下側となる下方部51bとで構成される。なお、これら上方部51aおよび下方部51bは、一個の筐体としての本体51の形状を説明するための便宜上の呼称であり、互いに独立した異なる部材となっているわけではない。
【0049】
洗浄ユニットは、何れも図示されないが、便座53に着座した使用者の局部へ洗浄水を噴出する洗浄ノズル、洗浄ノズルに洗浄水を供給する洗浄水供給機構、洗浄ノズルに供給される洗浄水を温める温水ヒータ、使用者の局部等を洗浄後に乾燥する乾燥ヒータ等から構成されている。また、制御部は、操作部52、人体検知センサ10、リモートコントローラ55、および入室センサ56からの信号を受けて衛生洗浄便座50の動作を制御する。その具体的構成は特に限定されず、本実施の形態では、公知のマイクロコンピュータで構成されている。
【0050】
前記便座・便蓋開閉ユニットは、便座53および便蓋54を自動的に開閉するための開閉機構である。前記脱臭・乾燥ファンユニットは、衛生洗浄便座50の使用時に脱臭したり洗浄後の臀部等を乾燥したりするため送風を行うファンである。前記洗浄ユニット、便座・便蓋開閉ユニット、および脱臭・乾燥ファンユニットは、制御部からの出力信号に基づき駆動される。なお、これらユニットの具体的な構成は特に限定されず、本発明の技術分野で公知の構成を好適に用いることができる。また、衛生洗浄便座50には、これら以外の機能ユニットを備えていてもよい。
【0051】
操作部52は、本体51における着座した使用者から見て右側に位置し、衛生洗浄便座50に備えられた機能のうち主要な一部を操作する。なお、操作部52には、使用者に操作上の各種情報を表示する表示部が備えられていてもよい。
【0052】
便座53は、便蓋54とともに、便座・便蓋開閉ユニットを介して本体51に回動自在に取り付けられている。便座53の具体的な構成は、便座ヒータを内蔵する公知の構成であればよいが、本実施の形態では、少なくとも着座部を金属で形成した構成の便座となっている。
【0053】
具体的には、便座53は、いずれも図示されないが、合成樹脂製の便座ベースおよびステンレス、アルミニウム等の金属で形成された着座部から少なくともなっており、これらはそれぞれの内周縁および外周縁で接合され、その内部には水等の浸入を阻止できる密閉された空洞部が形成されている。この空洞部内には、着座部の裏面に設けられた面形状の便座ヒータが備えられている。便座53がこのような構成であれば、使用者が便座53に着座するまでのごく短い時間で、便座ヒータにより便座53を所望の温度までに加温することができるので、便座ヒータを常時通電しておく必要がなく省エネルギー効率を向上することができる。
【0054】
また、便座ヒータが面形状であれば、便座53全体を均一に加温することが可能となる。さらに、便座53内部に空洞部が形成されていれば、空気による断熱効果によって便座ヒータから発生した熱はほとんど着座部の加温に使われるので、着座部を効率よく加温することができる。
【0055】
便蓋54は、便座53とともに、便座・便蓋開閉ユニットを介して本体51に回動自在に取り付けられている。便蓋54の具体的な構成は特に限定されない。すなわち、衛生洗浄便座50の非使用状態では、便座53および便蓋54はいずれも閉じており、便器60の上面に、便座53、便蓋54の順で重ねられた状態となる。このとき、便蓋54は、便座53を覆うような形状となっていればよい。便座54の材質も特に限定されず、例えば、プロピレン樹脂等の公知の樹脂材料で形成されている。便蓋54は、入室センサ56および人体検知センサ10による使用者の検知によって自動で開閉される。まず、入室センサ56により使用者のトイレットルームへの入室が検知されれば、制御部の制御により便座・便蓋開閉ユニットが動作し、使用者の入室とほぼ同時に便蓋54が自動で開かれる。また、使用者が便座53に着座した状態から立ち上がり、人体検知センサ10による着座が検知されなくなれば、制御部の制御により便座・便蓋開閉ユニットが動作し、便蓋が自動で閉じられる。
【0056】
リモートコントローラ55は、トイレットルーム内において便座53に着座した使用者が操作可能な位置に設置される。このリモートコントローラ55には、衛生洗浄便座50に備えられた機能を操作するための操作部が設けられている。リモートコントローラ55は、本体51の制御部と無線通信可能に構成されており、リモートコントローラ55の操作部にて入力された操作信号は本体51の制御部へ送信され、制御部では受信した操作信号に応じた衛生洗浄便座50の動作制御を行う。
【0057】
入室センサ56は、トイレットルーム内に使用者が入室したことを検知し、トイレットルームの壁面等に設置される。本実施の形態において、入室センサ56は反射型の赤外センサで構成され、赤外線を所定位置へ向けて投射するとともに人体で反射された赤外線を検出して、この検出信号を本体51の制御部へ送信する。本体51の制御部では、入室センサ56から検出信号を受信して、トイレットルーム内に使用者が入室したことが検知される。
【0058】
人体検知センサ10は、便座53に使用者が着座したことを検出するものであり、本実施の形態では、図4および図5の正面図(向かって右側の図)に示すように、本体51の上方部51aの前方に設けられている。ここで、人体検知センサ10は、本体51の内部に位置しているため、図4および図5では、人体検知センサ10は点線で外形状を図示している。
【0059】
図5に示すように、本体51の下方部51bには、洗浄ノズル進出開口51c、乾燥風吹出開口51d等が形成されているため、下方部51bは閉じられた便蓋53の下方に位置している。一方、上方部51aには、その両側に、便座53および便蓋54の回動軸を取り付ける回動軸取付部51eが形成されている。本実施の形態では、便蓋53は、当該便座53の着座部から本体51側に向かって取付腕部が延びており、この取付腕部に回動軸が接続される。
【0060】
ここで、便座53が閉じた状態では、取付腕部が上方部51aに嵌合することで、本体51の前方における表面から便座53の着座面にかけて連続した面が形成される。それゆえ、本体51の上方部51aは、取付腕部の形状に対応して、両端側が切り欠かれた形状となっている。言い換えれば、上方部51aは、下方部51bから見れば、当該下方部51bの上側に突出している位置関係となる。この突出した上方部51aの前方に人体検知センサ10を配置すれば、便座53が閉じた状態でも確実に便座53の上側に露出するので、便座53に着座した使用者を適切に検知することができる。
【0061】
人体検知センサ10を本体51の上方部51aに装備する具体的な構成は特に限定されないが、本実施の形態に係る人体検知センサ10は、静電容量式センサであるので、光学式センサのように検知光の出射窓を形成する必要がなく、本体51の内部に配置することができる。具体的には、図5の部分断面図(向かって左側の図)に示すように、上方部51aの前方の内面に、その表面を向けるように人体検知センサ10を配置し、ビス23で固定すればよい。なお、上方部51aの前方の内面には、ビス23を挿入するために、ボス51fが形成されていればよい。特に、本実施の形態では、本体51に出射窓を形成するような加工が不要となるので、本体51の成形加工が容易となるだけでなく、出射窓に保護部材を取り付ける必要もないので、部材点数の増加を回避でき、本体51の組み立てを効率化することもできる。
【0062】
さらに、人体検知センサ10に、縦方向の人体検知を規制する遮蔽板31が設けられていれば、この遮蔽板31は、人体検知センサ10と内面との間隔を保持するスペーサとして機能する。これにより、別途スペーサを用いることなく、人体検知センサ10を適切な位置関係で本体51の内部に取り付けることができる。
【0063】
また、人体検知センサ10は、本体51の内部であれば、その内部構成に合わせてさまざまな位置に取り付けることができる。例えば、図5および図6のAの位置に示すように、本実施の形態では、本体51の筐体の内面に直接取り付けてもよいし、図6のBの位置に示すように、洗浄ユニット57の上側に取り付けてもよい。洗浄ユニット57は、本体51のほぼ中央に位置しているので、人体検知センサ10を取り付ける構成として好ましい。なお、図6では、洗浄ユニット57は、説明の便宜上、外形状のみを破線で示している。
【0064】
ここで、本実施の形態では、人体検知センサ10は、静電容量の変化を検出するものであるが、便座53としては、金属製の着座部を備えている構成が採用されているので、便座53は、人体検知センサ10からみれば遮蔽部材として機能する。それゆえ、人体検知センサ10は、便座53の着座面よりも上側に配置される必要がある。この場合、図6のAの位置に示すように、本体51の前方の内面に取り付けても、図6のBの位置に示すように、洗浄ユニット57の上側に取り付けても、便座53の着座面の上側とすることができる。
【0065】
また、前記AおよびBの位置のいずれに取り付ける場合でも、遮蔽板31を適宜傾斜させることで、所望の方向で人体を適切に検知できるように規制することができる。図6では、AおよびBの位置のいずれにおいても、下側の遮蔽板31を、便座53の着座面の上側となる方向に傾斜させるだけでなく、上側の遮蔽板31を前方側に傾斜させている。これにより、着座の検知には無関係な衛生洗浄便座50の上方の影響を排除することができ、前方に使用者が着座しているか否かを、より一層適切に検知することができる。
【0066】
さらに、本実施の形態では、便座53が金属製の着座部を備える構成であることにより、人体検知および検知結果を用いた制御に関して、次のような利点が得られる。
【0067】
まず、制御上、便座53の加温の開始を、使用者の着座直前に設定することができる。つまり、人体検知センサ10は、静電容量の変化を検出するため、実際に着座しなくても、トイレットルームに入室して着座するまでの間に、使用者の存在を検知することができる。これにより、便座53を加温する時間を削減することができるので、省エネルギー効果を高めることができる。
【0068】
また、人体検知センサ10から見れば、金属製の着座部全体が遮蔽部材として機能することになる。それゆえ、下側の遮蔽板31と着座部との双方により、衛生洗浄便座50の下方側からの影響をより有効に排除することができ、人体検知の精度を向上させることができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、便座53の着座部は金属製でなく、従来の樹脂製であってもよいことはいうまでもない。また、本実施の形態では、便座暖房機能および局部洗浄機能を備えている衛生洗浄便座50を例示しているが、これに限定されず、便座暖房機能のみを備えるトイレ装置(暖房便座)であってもよいし、他のトイレ装置であってもよい。また、本実施の形態で、人体検知センサ10に設けられる、スペーサを兼用する遮蔽部材としては、縦方向の検知を規制する遮蔽板31を例示したが、横方向の検知を規制する遮蔽板32であってもよいし、これら両方の遮蔽板31、32であってもよい。
【0070】
さらに、本実施の形態では、人体検知センサ10は本体51の内部に設けられているが、これに限定されず、着座の検知に適切な位置であればさまざまな位置に人体検知センサ10を設けることができる。前記実施の形態1で説明したように、人体検知センサ10は、アンテナ電極11および検出IC13が支持基板21に固定されることで一体化されているので、遮蔽部材となり得る構成(便座53等)により人体検知が妨げられない限り、衛生洗浄便座50のどのような場所にも取り付けることができる。例えば、便蓋54の内面に人体検知センサ10を取り付け、何らかのカバー部材で人体検知センサ10を覆ってもよい。また、支持基板21がリジッド基板であれば、図5に示すようにビス23で固定すればよいし、支持基板21がフレキシブル基板であれば、接着剤等で貼り付けてもよい。
【0071】
(実施の形態3)
前記実施の形態2では、人体検知センサ10を衛生洗浄便座50に装備させる構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、人体検知が必要なさまざまな家電製品に適用することができる。本実施の形態では、電気毛布に人体検知センサ10を装備させた構成について、図7に基づいて説明する。図7は、図1および図2に示す人体検知センサ10が備えられる電気毛布70の外観構成を模式的に示す模式図である。
【0072】
図7に示すように、本実施の形態に係る電気毛布70は、採暖具本体71、ヒータ線72、コントローラ部73、および人体検知センサ10を備えている。
【0073】
採暖具本体71は、電気毛布70の本体であり、表生地71aおよび裏生地71bを重ねて縫い合わせることにより構成されている。必要に応じて、中生地等を含んでもよい。ヒータ線74は、採暖具本体71の内部でつづら折り状に配設されており、本実施の形態では、ヒータとしての機能に加えて温度検出機能も備えている。
【0074】
コントローラ部73は、温度コントローラ73a、接続コード73b、接続アダプタ73c、および電源コード73dから構成されている。採暖具本体71と温度コントローラ73aとは、接続コード73bおよび接続アダプタ73cを介して接続されており、電源コード73dは温度コントローラ73aに接続されている。電源コード73dのプラグをコンセントに差し込むことで、温度コントローラ73aおよびヒータ線74に電力が供給される。温度コントローラ73aに設けられている図示されない温度調節ダイヤルを操作することにより、ヒータ線74での発熱温度が調節される。接続コード73bは、接続アダプタ73により採暖具本体71から着脱可能となっている。
【0075】
なお、採暖具本体71、ヒータ線72、およびコントローラ部73の具体的な構成は特に限定されず、電気毛布の分野で公知の構成を採用することができる。また、電気毛布70のサイズも特に限定されず、上掛けタイプであれば、標準的な180×130cmのサイズが挙げられ、下敷きタイプであれば、一般的な布団の幅より少し小さい160×80cmのサイズが挙げられる。
【0076】
本実施の形態では、人体検知センサ10は、電気毛布70の採暖具本体71に縫いこんで設けられてもよいし、接続アダプタ73cに設けられてもよい。採暖具本体71に縫いこまれる場合は、図7のCの位置に示すように、採暖具本体71の端部であればよい。人体検知センサ10は、静電容量の変化を検出することで人体の検知を行うため、採暖具本体71のどのような位置に設けても、人体を検知することが可能である。なお、このときの人体検知センサ10は、支持基板21がフレキシブル基板であることが特に好ましい。支持基板21がリジッド基板であれば、使用時に電気毛布70に異物が含まれているように感じるおそれがある。また、接続アダプタ73cに設けられる場合には、接続アダプタ73cの筐体の内部に設けられればよく、人体検知センサ10の支持基板21はリジッド基板であってもフレキシブル基板であってもよい。
【0077】
本実施の形態に係る電気毛布70は、人体検知センサ10を備えているため、コンセントに電源コード73dを接続したままで、使用を中止しても、人体検知センサ10により電気毛布70が使用されていないことが検知されるため、温度コントローラ73aにおいてヒータ線72への通電を停止し、待機状態とすることができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、電気毛布70に人体検知センサ10を装備する構成を挙げたが、本発明はこれに限定されず、種々の民生用機器や産業用機器に装備することができる。特に、実施の形態2で挙げた衛生洗浄便座50および本実施の形態で挙げた電気毛布70のように、ヒータにより加温する構成を含む家電製品の場合、人体検知センサ10で使用状態を検知して、ヒータへの通電を制御することにより、不要な電力消費を抑えることができ、省エネルギー効果を高めることができるため好ましい。
【0079】
本発明は上記の実施形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、トイレ装置や電気毛布等の各種家電製品に好適に用いることができる。また、家電製品以外の民生用機器や産業用機器であっても、人体を検知し、通電を制御する用途に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1に係る人体検知センサの構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す人体検知センサに電磁波遮蔽部材を備えた構成を示す模式図である。
【図3】図1に示す人体検知センサに含まれる検出ICの構成の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る、図1に示す人体検知センサを備えた衛生洗浄便座の構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示す衛生洗浄便座の本体の正面および部分断面の構成を示す模式図である。
【図6】図4に示す衛生洗浄便座の本体内部に設けられる人体検知センサの位置を示す模式的断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る、図1に示す人体検知センサを備えた電気毛布の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0082】
10 人体検知センサ
11 アンテナ電極
13 検出IC(静電容量検出器)
21 支持基板
31・32 遮蔽板(電磁波遮蔽部材)
33 遮蔽膜(電磁波遮蔽部材)
50 衛生洗浄便座(トイレ装置)
70 電気毛布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体からなり、人体が近接することにより静電容量が変化するアンテナ電極と、
前記アンテナ電極に電気的に接続され、当該アンテナ電極おける静電容量の変化を検出する静電容量検出器と、
少なくとも前記静電容量検出器を表面で固定する支持基板と、を備え、
前記支持基板の表面には、さらに前記アンテナ電極が配線されて固定されている、人体検知センサ。
【請求項2】
前記支持基板の前記表面のうち、前記アンテナ電極が配線されている領域をアンテナ配線領域としたときに、
少なくとも、前記アンテナ配線領域に対応する前記支持基板の裏面には、電磁波遮蔽膜が設けられている、請求項1に記載の人体検知センサ。
【請求項3】
前記電磁波遮蔽膜は、金属材料からなるテープが前記支持基板の裏面に貼り付けられることにより設けられている、請求項2に記載の人体検知センサ。
【請求項4】
前記支持基板には、当該支持基板の前期表面側に突出する電磁波遮蔽板が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の人体近知センサ。
【請求項5】
トイレ装置の着座センサとして用いられる、請求項1から4のいずれか1項に記載の人体検知センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−181369(P2010−181369A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27281(P2009−27281)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】