説明

人参の乳酸菌発酵物、それを含有する人参ヨーグルト及びそれに利用される乳酸菌の菌株

本発明は、乳酸菌で人参を発酵させて製造される人参の乳酸菌発酵物、上記人参の乳酸菌発酵物を含有する人参ヨーグルト、及び上記人参の乳酸菌発酵物を得るために利用される乳酸菌の菌株に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸菌で人参を発酵させて製造される人参の乳酸菌発酵物、上記人参の乳酸菌発酵物を含有する人参ヨーグルト、及び上記人参の乳酸菌発酵物を得るために利用される乳酸菌の菌株に関する。
【背景技術】
【0002】
人参は、植物分類学上五加科人参属に属する多年生宿根草であって、地球上に約11種が知られており、代表的な種の例としては、アジア極東地域(北緯33〜48:韓国、北満州、ロシアの一部)に自生し、薬効が極めて優れた高麗人参(Panax ginseng C.A.Meyer);米国、カナダで自生及び栽培されている米国参(Panax quinquefolium L.;一名、花旗参);中国雲南省東南部から広西省西南部地域で野生又は栽培されている田七参(Panax notoginseng F.H.Chen);及び日本、中国西南部、ネパールに至るまで分布している竹節参(Panax japonicus C.A.Meyer)等がある。
【0003】
人参は、神農本草経に商品として収載されているだけでなく、古くから貴重な補薬として用いられてきた。これまで多くの薬理実験を通じて、人参はストレスに対する生体の非特異的抵抗性を強化させ、抗酸性作用を有していることが明らかになっている。その他に、高血圧の改善、インシュリン作用の増強、アロキサン(ALLOXAN)糖尿マウスにおける血糖降下効果、白ネズミの肝RNA合成、蛋白質合成、糖及び脂質代謝の促進効果、抗癌効果等があることが明らかになった。
【0004】
上記人参は、主に韓国、中国、日本等のアジア国家において生薬の形態で精神医学的疾病、神経系の疾病及び糖尿病等の様々な疾病に対して用いられてきており、上記人参の主要成分であるサポニンは、強壮、強精、鎮静及び抗高血圧等に効果を示すものと知られている。
【0005】
現在人参の使用は、栽培して採取した状態のままの水参を常温で乾燥させた白参、水参を98−100℃で加熱処理して製造される紅参、又は120−180℃で加熱処理して製造される仙参の形態で用いられている。
【0006】
一方、人参の根には約4−10%の人参サポニン(韓国産人参は4−8%であり、米国産人参は4−10%である)が含有されているが、上記人参サポニンは、多様なジンセノサイド(ginsenoside)の混合物であり、特に韓国産はジンセノサイドRb1、Rc及びRg1の含量が比較的高い方であり、米国産はジンセノサイドRb1及びReの含量が比較的高い。
【0007】
人参に含有されるジンセノサイドの成分及びその薬理学的な効能は、下記の表1のとおりである。
【0008】
【表1】

【0009】
現在知られているところによると、人参の薬理効能を示す主成分であるジンセノサイドはRb1、Rb2及びRcのサポニンである。しかし、実質的に抗癌作用又は癌細胞の癌転移を抑制したり、抗アレルギー作用を有する成分は人参に極少量含有されているか、人参サポニンの腸内細菌代謝物である化合物K(20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサジオール)、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2のサポニン成分であるものと知られている。
【0010】
従って、人参の抗癌作用、抗アレルギー作用、免疫増強作用等を得るために使用するためには、上記人参に極少量含有されている化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2(ジンセノサイドRk2とジンセノサイドRh3の混合物を意味する)のサポニン成分の含量を増加させることが好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明者もまた、人参から化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2のサポニン成分をより効率的に得るために多くの研究を行った結果、人参を乳酸菌で発酵させることにより得られる人参の乳酸菌発酵物に化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2の含量が相当であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
従って、本発明の目的は、人参の乳酸菌発酵物を提供することである。
【0013】
また、本発明の他の目的は、上記人参の乳酸菌発酵物を含有する人参ヨーグルトを提供することである。
【0014】
さらに、本発明のまた他の目的は、上記人参の乳酸菌発酵物を得るために用いられる乳酸菌を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、(1)人参を乳酸菌で発酵させて得られる人参の乳酸菌発酵物、(2)上記人参の乳酸菌発酵物を含有する人参ヨーグルト、及び(3)上記乳酸菌発酵物を得るのに有効に利用される乳酸菌の菌株を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0017】
本発明によると、人参を乳酸菌で発酵させる場合、発酵前の人参に主に含有されているサポニン成分は、発酵前の人参には存在しないか、又は極少量存在する化合物K(20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサジオール)、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2に生物転換される。
【0018】
そして、人参の乳酸菌発酵物は、化合物K(20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサジオール)、ジンセノサイドRh1、ジンセノサイドRh2およびΔ20−ジンセノサイドRh2からなる群から選ばれる1種以上の成分を含有する。
【0019】
当業界の通常の知識によると、化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2のサポニン成分は、ジンセノサイドRb1、Rb2及びRc等のサポニン成分に比してさらに優れた抗癌活性、抗アレルギー活性及び癌転移抑制活性を有する(Bae et al.,Biol.Pharm.Bull.,25、743−747、2002;Bae et al.,25、58−63、2002;Wakabayashi et al.,Oncol.Res.,9、411−417、1998;Saiki
et al.,Proceedings of the 8th international symposium on Ginseng(ソウル、高麗人参学会)、305−316、2002;Hasegawa and Saiki、Proceedings of the 8th international symposium on Ginseng(ソウル、高麗人参学会)、317−334、2002)。
【0020】
一方、上記人参の乳酸菌発酵のために用いられ得る人参の原材料が特に限定されず、人参(高麗人参(Panax ginseng C.A.Meyer)、花旗参(Panax
quinquefolium L.)、田七参(Panax notoginseng F.H.Chen)、竹節参(Panax japonicus C.A.Meyer))のそれ自体又はその加工物であり得、より具体的には、水参、紅参、白参、尾参、花旗参(以下、高麗参、花旗参、田七参、竹節参を包括して人参という);人参の葉、人参抽出液及び人参粉末のうちいずれか一つ以上を用いることができる。加工処理別には、酸処理人参、高温処理人参及び加圧処理人参等が本発明の人参の乳酸菌発酵物を得るための原料物質として好ましく用いられ得る。
【0021】
また、上記乾燥粉末状の人参の粉末化の程度は特に限定されず、乳酸菌が人参組織又は繊維素内に高い効率で浸透できる程度に粉末化され得、そのような粉末化の程度は、当業者により容易に認識され得、粉末化の方法も当業界に通常公知になっている。一方、酸処理人参、高温処理人参及び加圧処理人参は、人参それ自体から製造できるが、上記乾燥粉末状の人参から得られることが、人参処理効果及びその後の発酵効率において好ましい。この場合も、乾燥粉末状の人参の粉末化の程度は特に限定されない。
【0022】
人参は、水参、紅参、白参、尾参、花旗参、人参の葉、人参抽出液及び人参粉末のうちいずれか一つ以上の粉末を乳酸菌で発酵させる場合、人参の乳酸菌発酵物に特に化合物K成分の含量が上昇するようになる。
【0023】
酸処理人参は、水参、紅参、白参、尾参、花旗参、人参の葉、人参抽出液及び人参粉末のうちいずれか一つ以上の粉末を酸、好ましくは酢酸、乳酸、クエン酸、酪酸、酒石酸、プロピオン酸又は塩酸を添加した後、60℃で5時間培養し、カルシウム塩で中和させることにより得られる。本発明によると、酸処理人参を乳酸菌で発酵させる場合、人参の乳酸菌発酵物において特にジンセノサイドRh1及びRh2成分の含量が上昇するようになる。
【0024】
高温処理人参、例えば紅参は、上記人参の原材料の粉末を100℃で2−5時間加温することにより得られる。本発明によると、高温処理人参を乳酸菌で発酵させて得られる人参の乳酸菌発酵物においては、特に化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2成分の含量が上昇するようになる。
【0025】
加圧処理人参は、上記人参の原材料の粉末を110乃至130℃で2−5時間加圧下に熱処理することにより得られる。本発明によると、このような加圧処理人参を乳酸菌で発酵させて得られる人参の乳酸菌発酵物には、たとえ化合物Kの含量は低くなるとしても、ジンセノサイドRh1及びRh2成分、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2の含量が増加するようになる。
【0026】
一方、人参発酵物を得る方法は特に限定されず、当業界における通常の方法を用いて、本発明により人参発酵に用いる乳酸菌の適当な発酵条件で発酵を行うことができ、具体的には、例えば、人参の原材料を水に懸濁した後、乳酸菌を入れ、上記乳酸菌の適当な発酵温度で48時間乃至72時間内外で培養して人参の乳酸菌発酵物を得る生物転換過程、及び上記過程を経た人参の乳酸菌発酵物を遠心分離し、上清液のみを濾過して人参の乳酸菌発酵物を得る濃縮過程を含む方法により得られる。
【0027】
一方、人参の乳酸菌発酵に用いることができる乳酸菌としては、人参中のサポニン成分の化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2への転換効率が高ければ、特に限定されず、例えば、ラクトバチルス属の菌株、ストレプトコッカス属の菌株又はビフィドバクテリウム属の菌株を用いることができ、より具体的には
、ビフィドバクテリウムK−103(慶熙大学校薬大の金東鉉教授の実験室、Arch.Pharm.Res.,21、54−61、1998参照)、ビフィドバクテリウムK−506(慶熙大学校薬大の金東鉉教授の実験室、Arch.Pharm.Res.,21、54−61、1998参照)、ビフィドバクテリウムコレリウムKK−1(KCCM−10364)、ビフィドバクテリウムミニマムKK−2(KCCM−10365)、ビフィドバクテリウムH−1(KCCM−10493)、ビフィドバクテリウムKK−11(慶熙大学校薬大の金東鉉教授室)のうちいずれか一つ以上の菌株を用いることができる。
【0028】
その中で、ビフィドバクテリウムH−1、ビフィドバクテリウムコレリウムKK−1及びビフィドバクテリウムミニマムKK−2は、人参の乳酸菌発酵物を得るために本発明者により開発された微生物であって、上記ビフィドバクテリウムコレリウムKK−1は寄託番号KCCM−10364(2003.03.22)として、上記ビフィドバクテリウムミニマムKK−2は寄託番号KCCM−10365(2003.03.22)として、ビフィドバクテリウムH−1はKCCM−10493(2003.05.01)としてそれぞれ韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms)に寄託されている。本発明のビフィドバクテリウムKK−1、KK−2、H−1及びKK−11の菌株はグラム陽性菌であり、桿菌であり、嫌気性の菌株であり、フルクトース6−フォスフェートホスホケトラーゼ(fructose 6−phosphate phosphoketolase)陽性を示し、下記のような糖利用性を有する。
【0029】
【表2】

【0030】
一方、上記ビフィドバクテリウムKK−1、KK−2、H−1、KK−11は、同一種に属する菌株と比較して一般的な分類学的特性は同一であるが、人参の乳酸菌発酵に利用する場合、より多くの含量の化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2を含有する人参の乳酸菌発酵物を提供することができる。
【0031】
一方、本発明による人参の乳酸菌発酵物は、乳酸菌発酵を通じてより多くの含量の化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2を含有し、より具体的には人参の乳酸菌発酵物内(化合物K+ジンセノサイドRh1)、(ジンセノサイドRh1+ジンセノサイドRh2)、(ジンセノサイドRh2+Δ20−ジンセノサイドRh2+ジンセノサイドRh1)又は(化合物K+ジンセノサイドRh1+ジンセノサイドRh2)の発酵成分の総量が、(ジンセノサイドRc+ジンセノサイドRd+ジンセノサイドRb1+ジンセノサイドRb2+ジンセノサイドRe+ジンセノサイドRg1)の総量に対して0.1以上の比率で含有することが好ましい。より好ましくは、(化合物K+ジンセノサイドRh1)が生成される場合、2つの成分の比は1:50乃至50:1の範囲内であり;(ジンセノサイドRh2+ジンセノサイドRh1)が生成される場合、2つの成分の比は1:50乃至50:1であり;(ジンセノサイドRh2+Δ20−ジンセノサイドRh2+ジンセノサイドRh1)が生成される場合、ジンセノサイドRh2とΔ20−ジンセノサイドRh2の和と、ジンセノサイドRh1の比が1:50乃至50:1で
あり;(化合物K+ジンセノサイドRh1+ジンセノサイドRh2)が生成される場合は、化合物Kとジンセノサイドの比が1:50乃至50:1である。本発明によると、本来紅参の中には化合物Kが存在しないが、本発明による方法により紅参を乳酸菌発酵させる場合、特に化合物Kの含量が増加するようになる。
【0032】
本発明の前記乳産菌の菌株は、腸内有害菌を抑制し、および/または、腸内有害酵素活性を抑制し、および/または、癌細胞の成長を抑制することが分かる。
【0033】
また、本発明は、上記説明した人参の乳酸菌発酵物を含有する人参ヨーグルトを提供する。
【0034】
上記人参ヨーグルトは、本発明による人参の乳酸菌発酵物を含有しているため、即ち、化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2の人参サポニン成分の発酵収得物を多量に含有するため、化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2の高い生理活性機能、より具体的には、抗癌効能、抗アレルギー効能及び免疫増強効能等を有する機能性ヨーグルトである。このような人参ヨーグルトの製造は通常のヨーグルトに、例えば、0.1重量%乃至10重量%の上記人参の乳酸菌発酵物を単に添加させることにより製造できる。しかし、このような製造方法は、ヨーグルトを製造するために、ヨーグルト原料乳を乳酸菌発酵させることと、人参の乳酸菌発酵物を得るためにもう一度人参を乳酸菌発酵させることが要求されるため、産業的な経済性の面において好ましくない。従って、本発明による人参ヨーグルトは、ヨーグルト原料乳と、それに対して0.1重量%乃至10重量%の人参を同時に乳酸菌発酵させることにより、本発明による人参ヨーグルトを製造することができる。上記発酵のための反応物にはビタミンをさらに含有させることができる。
【0035】
一方、上記人参ヨーグルトを製造するために用いられる乳酸菌としては、ヨーグルト原料乳と人参を同時に乳酸菌発酵させることができるものであれば、特に限定されず、例えば、ラクトバチルス属の菌株、ストレプトコッカス属の菌株又はビフィドバクテリウム属の菌株を用いることができ、より好ましくは、ビフィドバクテリウムK−103、ビフィドバクテリウムK−506、ビフィドバクテリウムコレリウムKK−1、ビフィドバクテリウムミニマムKK−2、ビフィドバクテリウムH−1、ビフィドバクテリウムKK−11のうちいずれか一つ以上の菌株を用いることができる。
【0036】
上記ヨーグルト原料乳は、特に限定されないが、牛乳、山羊乳、緬羊乳、脱脂乳、全脂牛乳等を用いることができる。
【0037】
ヨーグルトの製造のための乳酸菌発酵の後に、乳酸菌を除去することもあり、そうしないこともあるが、乳酸菌は体の腸内環境を改善させる等の有利な機能を有するため、上記乳酸菌は除去しない方が好ましい。従って、本発明によるヨーグルトは腸内環境を改善させる機能も行うことができる。
【0038】
一方、上記得られたヨーグルトに粉乳等を添加して粉末人参ヨーグルトも得ることができる。従って、上記ヨーグルトがその形態において特に限定されず、牛乳等のヨーグルト原料乳の乳酸菌発酵を通じて得られる、従来に公知になった多様な形態を有し得る。
【0039】
以下、本発明は、実施例を通じてより具体的に説明するが、本発明がこれにより限定されないことから、当業者に自明な変形等を行うことができ、当業者は、上記変形も本発明の範囲内であることを自明に認識するだろう。
【0040】
<実施例A1>
水参(京東市場で購入した錦山産高麗人参5年根)を熱水でよく洗浄して乾燥させ、微細に粉末化した水参粉1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養してヨーグルトを得た。
【0041】
<実施例A2>
水参又は尾参をよく乾燥させて作った粉末2g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムK−103及びビフィドバクテリウムK−506の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養してヨーグルトを得た。
【0042】
<実施例A3>
水参をよく乾燥させて作った粉末1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ラクトバチルスブルガリクス、ストレプトコッカスサーモフィルス、ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で12時間培養してヨーグルトを得た。
【0043】
<実施例A4>
白参粉末1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ラクトバチルスブルガリクス、ストレプトコッカスサーモフィルス及びビフィドバクテリウムKK−1の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養してヨーグルトを得た。
【0044】
<実施例A5>
乾燥した人参粉末1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養して人参ヨーグルトを得た。
【0045】
<実施例A6>
乾燥した人参粉末に0.5%となるように乳酸を入れ、60℃で5時間処理し、中和した後、乾燥させて得た人参粉末(酸処理人参)1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養して酸処理人参ヨーグルトを得た。
【0046】
<実施例A7>
乾燥した人参粉末を蒸留水に懸濁して100℃で2時間蒸し、乾燥させて得た人参粉末(加熱人参)1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養して加熱人参ヨーグルトを得た。
【0047】
<実施例A8>
乾燥した人参粉末を120℃で2時間加圧処理し、乾燥させて得た人参粉末(加圧人参)1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養して加圧処理人参ヨ
ーグルトを得た。
【0048】
<実施例A9>
乾燥した人参粉末1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養して人参ヨーグルトを得た。
【0049】
<実施例A10>
乾燥した人参粉末に5%となるように乳酸を入れ、60℃で5時間処理して中和させてから、乾燥させて得た人参粉末(加熱人参)1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養して加熱人参ヨーグルトを得た。
【0050】
<実施例A11>
乾燥した人参粉末を蒸留水に懸濁して100℃で2時間蒸し、乾燥させて得た人参粉末(加熱人参)1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養して加熱人参ヨーグルトを得た。
【0051】
<実施例A12>
乾燥した人参粉末を120℃で2時間加圧処理し、乾燥させて得た人参粉末(加圧人参)1g及びビタミンCの0.1gを100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間培養して加圧人参ヨーグルトを得た。
【0052】
<実施例A13〜A24>
上記実施例A1乃至A12において、100mlの牛乳の代わりに、100mlの水と予め培養した乳酸菌2g(湿重量)を用いたことを除いては、上記実施例A1乃至A12と同一の過程を繰り返してそれぞれの乳酸菌発酵物を得た。
【0053】
<実験例A1:サポニン成分の含量分析>
市販品である一般の人参(京東市場で購入した農協高麗人参錦山産4−6年根)、及びその乾燥人参粉末、酸処理人参、高温処理人参及び加圧処理人参(上記実施例と同一の方法により製造)それぞれ1gをビタミンCの0.1gを含有する牛乳100mlに加えた後、乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1g入れ、37℃で72時間発酵させて減圧濃縮し、人参発酵ヨーグルト、高温処理人参発酵ヨーグルト、酸処理人参発酵ヨーグルト、加圧処理人参発酵ヨーグルトを得た。次いで、人参、及びその乾燥人参粉末、酸処理人参、高温処理人参、加圧処理人参、及び上記得られたそれぞれの人参発酵ヨーグルトを2gずつ取ってメタノール100mlずつで3回抽出し、濃縮した後に水に懸濁させ、エーテル100mlずつで3回抽出した。次いで、ブタノール100mlずつで3回抽出した後にブタノール分画を濃縮させ、得られた濃縮物をメタノールに溶解させてTLCで分析し(溶媒としてはCHCl3:MeOH:H2O=65:35:10/CHCl3:EtOAc:MeOH:H2O=15:40:22:9;発色試薬としてはMeOH中の5%硫酸溶液;検出器としてはShimadzu TLC scannerCS−9301PCを使用)、下記表2のような結果を得た。成分含量は、最終抽出分画100%に含有された各成分の含量で計算した。
【0054】
実施例A1乃至A4、及び実施例A9乃至A12も、上記表2と類似する結果を示し、実施例A13乃至A24の人参の乳酸菌発酵物は、上記発酵ヨーグルトと類似するサポニン成分含量を示した。
【0055】
【表3】

【0056】
<実験例A2:抗癌効果の分析>
HepG2(人間肝癌細胞株;KCLB−10023)、A−549(人間肺癌細胞株;KCLB−10185)、P−388(マウスリンパ液の新生血漿細胞株;KCLB−10046)、L−1210(マウスリンパ球の白血病細胞株;KCLB−10219)を、10%FBS、1%抗生物質−抗菌剤(antibiotics−antimycotics;GIBCO社、米国)及び2.2gの重炭酸ナトリウムを補充したRPMI1640の培地で培養した。上記HepG2、A−549は、0.25%トリプシンで処理して細胞をフラスコから剥し、細胞数を3×104細胞/ウェルとなるように96ウェルプレートの各ウェルに180μlずつ播いて24時間の間37℃で、5%CO2が飽和したCO2インキュベーターでインキュベートした。P−388及びL−1210細胞は、
4×104細胞/ウェルとなるように細胞数を合わせて、各ウェルに180μlを入れて2時間の間インキューベートした。次いで、白参のブタノール抽出物及び表3に記載された乳酸菌発酵人参のブタノール分画のそれぞれを高圧蒸気滅菌した後、10mg/mlとなるようにウェル当たり20μlずつを添加して、試料を添加し、48時間の間37℃の5%CO2が飽和したCO2培養器でインキュベートした。その後、ウェル当たり20mg/mlのMTT試薬を50μlずつ添加し、4時間後、培地を取り除き、沈殿物にDMSOの100μlを添加してから、580nmでELISA読取器で吸光度を測定することによって細胞の毒性を測定した。測定結果を下記の表3に示した。
【0057】
【表4】

【0058】
<実験例A3:E.ColiHGU−3及び腸内有害酵素に及ぼす効果>
上記実施例において得られた人参発酵物、24時間培養したE.ColiHGU−3(慶熙大学校薬大の金東鉉教授の実験室、一般的なE.Coliの特性とほぼ同一)と共に、ビフィドバクテリウムKK−1又はビフィドバクテリウムKK−2をそれぞれ107個となるように5mlのGAM培養液に移植し、24時間インキュベートした後、菌株が生産した大腸癌及び肝障害の原因となる酵素であるβ−グルクロニダーゼとトリプトファナーゼの酵素活性を測定した。
【0059】
β−グルクロニダーゼ酵素活性の測定は、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)0.38mlに10mMのp−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド0.02ml、酵素液0.1mlを加えて37℃で1時間反応させ、0.5NのNaOHの0.5mlを添加して反応を終了させ、蒸留水1mlを加えた後、遠心分離(2000×g、20分)し、上清液に対して405nmで吸光度を測定した。
【0060】
トリプトファナーゼの酵素活性は、完全反応混合物(0.1MのBICINE;pH8.0、4%ピリドキサル5−フォスフェート、20%子牛血清アルブミン)0.2ml、0.02Mトリプトファン0.2ml及び酵素液0.1mlを加えて30分反応させ、着色剤(p−ジメチルアミノベンズアルデヒド14.7g、95%エタノール948ml、C−H2SO4の52ml)2mlを加えて反応を終了させた後、遠心分離(2000×g、20分)し、上清液で550nmで吸光度を測定した。
【0061】
上記測定結果は、ビフィドバクテリウムKK−1を移植した場合を表4に、ビフィドバクテリウムKK−2を移植した場合を表5に示した。
【0062】
【表5】

【0063】
【表6】

【0064】
上記表4及び表5から見られるように、人参の乳酸菌発酵物は人体に吸収されるとき、抗癌効果及び腸内細菌が生産するβ−グルクロニダーゼ及びトリプトファナーゼの活性を阻害して大腸癌及び肝損傷を予防する効果を示し得ることが分かる。
【0065】
<実施例B1>
花旗参粉末1g(ビタミンCを0.1g含有し得る)を100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ラクトバチルスブルガリクス、ストレプトコッカスサーモフィルス及びビフィドバクテリウムKK−1の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間インキュベートしてヨーグルトを得た。
【0066】
<実施例B2>
花旗参粉末1g(ビタミンCを0.1g含有し得る)を100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ラクトバチルスブルガリクス、ストレプトコッカスサーモフィルス及びビフィドバクテリウムKK−11の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間インキュベートしてヨーグルトを得た。
【0067】
<実施例B3>
乾燥した花旗参粉末1g(ビタミンCを0.1g含有し得る)を100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−2の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間インキュベートしてヨーグルトを得た。
【0068】
<実施例B4>
乾燥した花旗参粉末を水に懸濁し、1%となるように乳酸を入れて60℃で5時間インキュベートし、中和して乾燥させ、粉末1g(ビタミンCを0.1g含有し得る)を100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−11の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間インキュベートしてヨーグルトを得た。
【0069】
<実施例B5>
乾燥した花旗参粉末1gを水に浸し、100℃で2時間蒸した人参(ビタミンCを0.1g含有し得る)を100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−11の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間インキュベートしてヨーグルトを得た。
【0070】
<実施例B6>
乾燥した花旗参粉末を120℃で2時間加圧処理した人参粉末1g(ビタミンCを0.1g含有し得る)を100mlの牛乳に入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−11の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間インキュベートしてヨーグルトを得た。
【0071】
<実施例B7>
乾燥した花旗参粉末を120℃で2時間加圧処理した人参粉末(ビタミンCを0.1g含有し得る)を100mlの牛乳に5%となるように入れて懸濁した後、予め培養した乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−11の菌株をそれぞれ1ml(約109細胞/ml)ずつ移植し、37℃で24時間インキュベートしてヨーグルトを得た。
【0072】
<実施例B8〜B14>
上記実施例B1乃至B7において、100mlの牛乳の代わりに、100mlの蒸留水と予め培養した乳酸菌2g(湿重量)を用いたことを除いては、上記実施例B1乃至B7と同一の過程を繰り返して、それぞれの乳酸菌発酵物を得た。
【0073】
<実験例B1:サポニン成分の含量分析>
市販品である一般の花旗参(ホンリム株式会社から購入したカナダ産の花旗参4年根)、及びその乾燥人参粉末、酸処理人参、高温処理人参及び加圧処理花旗参(上記実施例と同一の方法により製造)のそれぞれ1gをビタミンCの0.1gを含有する牛乳100mlに加えた後、乳酸菌ビフィドバクテリウムKK−1及びビフィドバクテリウムKK−11の菌株をそれぞれ1g入れ、37℃で72時間培養して減圧濃縮し、乾燥花旗参発酵ヨーグルト、高温処理花旗参発酵ヨーグルト、酸処理花旗参発酵ヨーグルト、加圧処理花旗参発酵ヨーグルトを得た。次いで、花旗参、及びその乾燥花旗参粉末、酸処理花旗参、高温処理花旗参、加圧処理花旗参、及び上記得られたそれぞれの人参発酵ヨーグルト(2−20g)を取ってメタノール100mlずつで3回抽出し、濃縮した後に水に懸濁させ、エーテル100mlずつで3回抽出した。次いで、ブタノール100mlずつで3回抽出した後にブタノール分画を濃縮させ、得られた濃縮物をメタノールに溶解してTLCで分析し(溶媒としてはCHCl3:MeOH:H2O=65:35:10/CHCl3:EtOAc:MeOH:H2O=15:40:22:9;発色試薬としてはMeOH中の5%硫酸溶液;検出器としてはShimadzu TLC scanner CS−9301PCを使用)、下記表6のような結果を得た。成分含量は、最終抽出分画100%に含有された各成分の含量で計算した。対照試験は、人参を入れずに分析したヨーグルトを同じ方法により処理して比較した。
【0074】
【表7】

【0075】
<実験例B2:抗癌効果の分析>
HepG2(人間肝癌細胞株;KCLB−10023)、A−549(人間肺癌細胞株;KCLB−10185)、P−388(マウスリンパ液の新生血漿細胞株;KCLB−10046)、L−1210(マウスリンパ球の白血病細胞株;KCLB−10219)を、10%FBS、1%抗生物質−抗菌剤(antibiotics−antimycotics;GIBCO社、米国)及び2.2gの重炭酸ナトリウムを補充したRPMI1640培地で培養した。上記HepG2、A−549は、0.25%トリプシンで処理して細胞をフラスコから剥し、細胞数を3×104細胞/ウェルとなるように96ウェルプレートの各ウェルに180μlずつ播いて24時間の間37℃で、5%CO2が飽和したCOインキュベーターでインキュベートした。P−388及びL−1210細胞は、4×10細胞/ウェルとなるように細胞数を合わせて、各ウェルに180μlを入れて2時間の間インキュベートした。次いで、花旗参の抽出物及び表3に記載された乳酸菌発酵人参(乳酸菌で発酵した後、BuOHで抽出した分画である)のそれぞれを高圧蒸気滅菌した後、10mg/mlとなるように96ウェルプレートのウェル当たり20μlずつを添加し、試料を添加して、48時間の間37℃の5%CO2が飽和したCO2インキュベーターでインキュベートした。その後、ウェル当たり20mg/mlのMTT試薬を50μ
lずつ添加して、4時間の間COインキュベーターで反応させた後、培地を取り除き、沈殿物にDMSOの100μlを添加してから、580nmでELISA読取器で吸光度を測定することによって細胞の毒性を測定した。測定結果を下記の表7に示した。
【0076】
【表8】

【0077】
<実験例B3:E.ColiHGU−3及び腸内有害酵素に及ぼす効果>
24時間培養したE.ColiHGU−3(慶熙大学校薬大の金東鉉教授の実験室、一般的なE.Coliの特性とほぼ同一)(又は新鮮な人間の腸内細菌叢)、及びビフィドバクテリウムKK−1(又はビフィドバクテリウムKK−2又はビフィドバクテリウムH−1又はビフィドバクテリウムKK−11)をそれぞれ105個となるように5mlのGAM培養液(前回には人参を含有;人参を含有しない)に移植し、24時間インキュベートした後、菌株が生産した大腸癌及び肝障害の原因となる酵素であるβ−グルクロニダーゼとトリプトファナーゼの酵素活性を測定した。
【0078】
β−グルクロニダーゼ酵素活性の測定は、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)0.38mlに10mMのp−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド0.02ml、酵素液0.1mlを加えて37℃で1時間反応させ、0.5NのNaOHの0.5mlを添加して反応を終了させ、蒸留水1mlを加えた後、遠心分離(2000×g、20分)し、上清液に対して405nmで吸光度を測定した。
【0079】
トリプトファナーゼの酵素活性は、完全反応混合物(0.1MのBICINE;pH8.0)、4%ピリドキサル5−フォスフェート、20%子牛血清アルブミン)0.2ml、0.02Mトリプトファン0.2ml及び酵素液0.1mlを加えて30分インキュベートさせ、着色剤(p−ジメチルアミノベンズアルデヒド14.7g、95%エタノール948ml、C−H2SO4の52ml)2mlを加えて反応を終了させた後、遠心分離(2000×g、20分)し、上清液で550nmで吸光度を測定した。
【0080】
0.1Mのphosphate buffer(pH7.0)、分画懸濁液20μlを加え、1NのH2SO4の100μlを加えた後、混合溶液1(1%プロパノール、0.005%sodium nitroprusside)、混合溶液2(0.1%sodium hypochlorite、0.5%sodium hydroxide、5.5%sodium phosphate dibasic)をそれぞれ1mlずつ加えた後、60℃で20分間加熱してから、常温に冷やして660nmで吸光度を測定し、産生されたアンモニアの定量分析を行った。
【0081】
上記測定結果は、大腸菌HGU−3と乳酸菌、腸内細菌叢と乳酸菌とを混合培養した場合の大腸癌誘発酵素の阻害率を表8に示した(対照群は、E.ColiHGU−3の菌株のみを培養した場合である)。
【0082】
【表9】

【0083】
上記表8から見られるように、人参の乳酸菌発酵物は人体に吸収されるとき、抗癌効果及び腸内細菌が生産するβ−グルクロニダーゼ及びトリプトファナーゼの活性、そしてアンモニアの生産性を阻害して大腸癌及び肝損傷を予防する効果を示し得ることが分かる。
【0084】
<実験例B4:E.ColiO157有害菌の成長抑制効果>
E.ColiO−157の成長に人参発酵乳酸菌が及ぼす影響を調査した。E.ColiO−157を1ml当たり105となるようにGAM培地5mlに移植し、それぞれの菌株に対して乳酸菌をそれぞれ1:1と1:10の比率となるように移植して、37℃で20時間インキュベートした後、TS寒天プレートに移植して37℃で20時間インキュベートした後、得られる有害菌のコロニー数を測定した。
【0085】
【表10】

【産業上の利用可能性】
【0086】
以上において検討したとおり、本発明による高麗人参及び花旗参を含む人参の乳酸菌発酵物は、人参の原材料においては極少量含有されているか、ほとんど含有されていない化合物K、ジンセノサイドRh1及びRh2、並びにΔ20−ジンセノサイドRh2を多量に含有しており、抗癌作用、抗アレルギー作用及び腸内環境の改善作用が可能なことが分かる。また、大腸癌予防、肝障害保護効果、有害菌の成長を阻害する活性が強い。従って、上記人参の乳酸菌発酵物を有効成分として含有するヨーグルトは、上記サポニン成分の示す生理活性を提供する機能性ヨーグルトとして有用に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌で人参を発酵させて製造される人参の乳酸菌発酵物。
【請求項2】
前記人参が、乾燥人参粉末、酸処理人参、高温処理人参、加圧処理人参からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の人参の乳酸菌発酵物。
【請求項3】
前記人参の発酵物が、化合物K(20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサジオール)、ジンセノサイド(ginsenoside)Rh1、ジンセノサイドRh2及びΔ20−ジンセノサイドRh2からなる群より選ばれた一つ以上の発酵成分を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の人参の乳酸菌発酵物。
【請求項4】
(化合物K+ジンセノサイドRh1)、又は(ジンセノサイドRh1+ジンセノサイドRh2)、あるいは(ジンセノサイドRh2+Δ20−ジンセノサイドRh2+ジンセノサイドRh1)又は(化合物K+ジンセノサイドRh1+ジンセノサイドRh2)の発酵成分の総量が、(ジンセノサイドRc+ジンセノサイドRd+ジンセノサイドRb1+ジンセノサイドRb2+ジンセノサイドRe+ジンセノサイドRg1)の量に対して0.1以上の比率で前記人参の発酵物中に含有されることを特徴とする請求項3に記載の人参の乳酸菌発酵物。
【請求項5】
前記乳酸菌が、人参内に含まれているジンセノサイド成分を生物転換させることができる乳酸菌であることを特徴とする請求項1又は2に記載の人参の乳酸菌発酵物。
【請求項6】
前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウムK−103、ビフィドバクテリウムK−506、ビフィドバクテリウムKK−1、ビフィドバクテリウムKK−2、ビフィドバクテリウムH−1及びビフィドバクテリウムKK−11からなる群より選ばれた一つ以上の乳酸菌であることを特徴とする請求項5に記載の人参の乳酸菌発酵物。
【請求項7】
請求項1又は2による人参の乳酸菌発酵物を含有することを特徴とする人参ヨーグルト。
【請求項8】
前記乳酸菌発酵物が、ヨーグルト原料乳と人参を乳酸菌で同時に発酵させることにより前記人参ヨーグルトに含有されることを特徴とする請求項7に記載の人参ヨーグルト。
【請求項9】
前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウムK−103、ビフィドバクテリウムK−506、ビフィドバクテリウムKK−1、ビフィドバクテリウムKK−2、ビフィドバクテリウムH−1及びビフィドバクテリウムKK−11からなる群より選ばれた一つ以上の乳酸菌であることを特徴とする請求項8に記載の人参ヨーグルト。
【請求項10】
前記乳酸菌が、腸内有害菌の抑制及び/又は腸内有害酵素活性の抑制及び/又は癌細胞成長の抑制を含む機能を有することを特徴とする請求項7に記載の人参ヨーグルト。
【請求項11】
ビフィドバクテリウムKK−1(KCCM−10364)。
【請求項12】
ビフィドバクテリウムKK−2(KCCM−10365)。
【請求項13】
ビフィドバクテリウムH−1(KCCM−10493)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジンセノサイド成分に生物転換できる乳酸菌で人参を発酵させて製造される人参の乳酸菌発酵物。
【請求項2】
前記人参が、乾燥人参粉末、酸処理人参、高温処理人参、加圧処理人参からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の人参の乳酸菌発酵物。
【請求項3】
前記人参の発酵物が、化合物K(20−O−β−D−グルコピラノシル−20(S)−プロトパナキサジオール)、ジンセノサイド(ginsenoside)Rh1、ジンセノサイドRh2及びΔ20−ジンセノサイドRh2からなる群より選ばれた一つ以上の発酵成分を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の人参の乳酸菌発酵物。
【請求項4】
(化合物K+ジンセノサイドRh1)、又は(ジンセノサイドRh1+ジンセノサイドRh1)、あるいは(ジンセノサイドRh2+Δ20−ジンセノサイドRh2+ジンセノサイドRh1)又は(化合物K+ジンセノサイドRh1+ジンセノサイドRh2)の発酵成分の総量が、ジンセノサイドRc+ジンセノサイドRd+ジンセノサイドRb1+ジンセノサイドRb2+ジンセノサイドRe+ジンセノサイドRg1の量に対して0.1以上の比率で前記人参の発酵物中に含有されることを特徴とする請求項3に記載の人参の乳酸菌発酵物。
【請求項5】
前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウムK−103、ビフィドバクテリウムK−506、ビフィドバクテリウムコレリウムKK−1、ビフィドバクテリウムミニマムKK−2、ビフィドバクテリウムH−1及びビフィドバクテリウムKK−11からなる群より選ばれた一つ以上の乳酸菌であることを特徴とする請求項1又は2に記載の人参の乳酸菌発酵物。
【請求項6】
請求項1又は2による人参の乳酸菌発酵物を含有することを特徴とする人参ヨーグルト。
【請求項7】
前記乳酸菌発酵物が、ヨーグルト原料乳と人参を乳酸菌で同時に発酵させることにより前記人参ヨーグルトに含有されることを特徴とする請求項6に記載の人参ヨーグルト。
【請求項8】
前記乳酸菌が、ビフィドバクテリウムK−103、ビフィドバクテリウムK−506、ビフィドバクテリウムKK−1、ビフィドバクテリウムKK−2、ビフィドバクテリウムH−1及びビフィドバクテリウムKK−11からなる群より選ばれた一つ以上の乳酸菌であることを特徴とする請求項7に記載の人参ヨーグルト。
【請求項9】
前記乳酸菌が、腸内有害菌の抑制及び/又は腸内有害酵素活性の抑制及び/又は癌細胞成長の抑制を含む機能を有することを特徴とする請求項6に記載の人参ヨーグルト。
【請求項10】
ビフィドバクテリウムKK−1(KCCM−10364)。
【請求項11】
ビフィドバクテリウムKK−2(KCCM−10365)。
【請求項12】
ビフィドバクテリウムH−1(KCCM−10493)。

【公表番号】特表2006−508660(P2006−508660A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556957(P2004−556957)
【出願日】平成15年11月29日(2003.11.29)
【国際出願番号】PCT/KR2003/002609
【国際公開番号】WO2004/050892
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(504374757)ホングリム トレーディング カンパニー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Hongrim Trading Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】