説明

人工大理石システムキッチンカウンタ

【課題】安価に提供できる人工大理石システムキッチンカウンタを提供する。
【解決手段】システムキッチンカウンタ100は、シンク一体成形のシンクユニット102と、ガス台を設置する開口104を備えたガス台ユニット106と、第1調理台ユニット108と、第2調理台ユニット110などの従来のシステムキッチンに含まれる要素毎に分割したユニットの他に、フィラーユニット112を有し、これらは全て人工大理石の成型品である。フィラーユニット112は現場での長さ調整のために切断して使用される。隣接するユニット間の接合は、ボルトナット122,126の組み合わせに弾性材料130を含めナット126の締め付け度合いを調整することで隣接するユニットの高さ合わせする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工大理石システムキッチンカウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンカウンタは、天板だけでなくシンクも人工大理石を使った製品が見られるようになっている。特許文献1は、天板及びシンクを人工大理石で構成したシンク取付構造を提案している。具体的には、特許文献1は、天板に設けられた開口周縁部に段部(段落ち部)を形成し、この段部にシンクの水平フランジを係止するシンク取付構造を提案している。
【0003】
天板及びシンクを共に人工大理石で構成したキッチンカウンタは既に市販されている。図7に例示するように、市販の人工大理石キッチンカウンタ1は、長尺の天板2と、これとは別体のシンク3とで構成され、天板2の開口部にシンク3を接着した状態で販売されている(図8の断面図を参照のこと)。図中、参照符号4はガス台を設置するための開口を示し、このガス台設置用開口4とシンク3との間に調理台用天板部5が設置されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−169831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の人工大理石システムキッチンカウンタ1は間口毎に天板2の長さ寸法が設定されているため長尺であり且つ重量物であるため、このシステムキッチンカウンタ1を搬送するコストアップ要因となっていただけでなく、現場に搬入する時に大きな制約となっていた。また、設置空間(キッチン)に対してシステムキッチンカウンタ1の長さ寸法が一致しないときには、キッチンの壁面とシステムキッチンカウンタ1との間の隙間を見栄え良く処理する例えば大工仕事が必要となり、このようなことから従来の人工大理石製のシステムキッチンカウンタ1は高価な商品となっていた。
【0006】
本発明の目的は、安価に提供できる人工大理石システムキッチンカウンタを提供することにある。
本発明の更なる目的は、構成の自由度を高めることのできる人工大理石製のシステムキッチンカウンタを提供することにある。
本発明の更なる目的は、キッチンカウンタが、その設置空間と長さ寸法が一致しないときに簡単な施工で対応することのできる人工大理石製のシステムキッチンカウンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
シンク部が一体成形されたシンクユニットを含むキッチンカウンタの各要素がユニット化された複数のユニットを有し、
該複数のユニットが人工大理石で成形され、
互いに隣接するユニットを現場で接合することによりキッチンカウンタとして一体化される大理石システムキッチンカウンタを提供することにより達成される。
【0008】
すなわち、本発明によれば、キッチンカウンタを各要素毎にユニット化することにより相対的に小さな各ユニットを成形型で作ることができ、また、現場への搬入も容易になるため安価に人工大理石キッチンカウンタをユーザに提供することができる。また、各ユニットに色違いを用意することでカラーコーディネートを含めてユーザの要望に応じることが可能になる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態では、長さ調整用の人工大理石製のフィラーユニットを有し、このフィラーユニットを適当な長さに切断することでシステムキッチンカウンタと現場との間の長さ寸法の不一致をフィラーユニットで埋めることができる。これにより、現場のキッチンの壁面と壁面との間に隙間無の状態で人工大理石システムキッチンカウンタを設置することができ、見栄えを良くすることができる。
【0010】
また、本発明の好ましい実施の形態では、隣接するユニットの一方のユニットの側部に植設され且つ下方に向けて垂下するボルトと、他方のユニットの側部に設けられたボルト挿通孔とを有し、前記一方のユニットの側部と他方のユニットの側部との間に弾性材料が介装されて、前記ボルト挿通孔に挿入したボルトにナットを締め付けることにより隣接するユニット間の高さ合わせが行われる。
【0011】
これによれば、現場で行う一体化工事によって隣接するユニット間の高さ合わせが可能になるため、各ユニットの成形を含めて製造管理が容易になる。
【0012】
本発明の他の目的及び作用効果は、以下の実施例の詳細な説明から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0014】
図1を参照して、システムキッチンカウンタ100は、シンク一体成形のシンクユニット102と、ガス台を設置する開口104を備えたガス台ユニット106と、第1調理台ユニット108と、第2調理台ユニット110などの従来のシステムキッチンに含まれる要素毎に分割したユニットの他に、フィラーユニット112を有し、これらは全て人工大理石の成型品である。人工大理石としては、アクリル系人工大理石、ポリエステル系人工大理石などを採用することができる。
【0015】
シンクユニット102は、シンク部114とその周りの周囲部116を有する一体成型品であり、周囲部116の長さ寸法L1はシンク部114の長さ寸法L2よりも若干大きい程度であり、周囲部116は、シンク部114の周りに位置する水平フランジに過ぎない。
【0016】
システムキッチンカウンタ100は、他に、L字状キッチンを形成するのに都合の良いコーナーユニット(図示せず)を含んでいてもよい。
【0017】
大理石システムキッチンカウンタ100は、ユーザの要望に応じて且つ設置するキッチンの間口に対応してユニット構成が選定され、選択されたユニットが現場であるキッチンに搬入されて、現場でユニット同士を接着することにより一体化される。例えば、現場であるキッチンの設置長さとシステムキッチンカウンタ100の全体長さ寸法が一致しないときにはフィラーユニット112を適当な長さ寸法に切断して長さ調整が行われる。すなわち、フィラーユニット112は、システムキッチンカウンタ100の長さ寸法を現場で調整するのに用いるためのユニットであり、適当な長さに切断した後に隣接するユニット(図示の例ではシンクユニット102)に接着される。フィラーユニット112は、他のユニット102などと同様に人工大理石で作られているためノコギリなどの工具を使うことで容易に切断することができる。
【0018】
システムキッチンカウンタ100を構成する各ユニットは色違いの複数の種類を用意するのが好ましい。これによれば、ユーザは、色々な色の組み合わせを選択することができる。
【0019】
システムキッチンカウンタ100の隣接するユニット間の接合構造は任意であるが、図2にその一例を示す。図2の接合構造は、例示としてフィラーユニット112の一側縁に段部112aを有し、また、第1調理台ユニット108の両側縁に段部108aを有し、また、シンクユニット102の両側縁に段部102aを有しており、これら段部は、各ユニットを成形するときに一緒に成形することが可能であるため精度を高いレベルで確保することができる。段部を重ね合わせることで隣接するユニットを接着したときに、隣接したユニットの上面は面一となるように段部が設計される。したがって、これら段部を重ね合わせることでユニット間の位置決めが可能であり且つ共に段部に接着剤を塗布することで隣接するユニット同士を接合することができる。また、必要であれば、図2に仮想線で示すように、接合部に沿って例えば木製のバックアップ材118を接着して接合部を補強するのが好ましい。なお、図1には、各ユニットに設けた段部を、関連するユニットの参照符号に「a」を付記した参照符号を付してある。
【0020】
図3〜図6は、隣接するユニット間の接合構造の第2実施例を示す。この第2実施例では、例えばフィラーユニット112の段部112aに沿って複数のボルト挿通孔120が設けられ、これに隣接する例えばシンクユニット102の両側部にボルト122が植設される。これらボルト挿通孔120やボルト122の植設は成型時に行われる。互いに隣接するボルト122、122間のピッチは、ボルト挿通孔120のピッチと一致している。
【0021】
勿論、フィラーユニット112にボルト122を植設し、これに対面するシンクユニット102に段部(図示せず)を設けて、この段部にボルト挿通孔120を設けるようにしてもよい。勿論のことであるが、外観上の理由からボルト122は、図示の例で言えば、シンクユニット102の両側部から下方に垂下する状態で設置するのがよい。また、シンクユニット102に図1で説明した段部102aを設け、この段部102aにボルト122を植設するようにしてもよい。
【0022】
図4は、第2実施例の接合構造によってシンクユニット102の一側にフィラーユニット112を接合し、他側に第1調理台ユニット108を接合した例を示し、図5は図4のV−V線に沿った断面図である。図5から分かるように、フィラーユニット112の天板124の肉厚Th1は、シンクユニット102の周囲部116の肉厚Th2(約7mm)よりも肉厚である。なお、シンクユニット102の肉厚は全体的に約7mmであり、これは従来の肉厚(15〜18mm)の約半分である。
【0023】
図6は、現場で実施するユニット間の接合作業の工程を示し、図6の(イ)から(ニ)に向けて順に作業が実施される。第1工程(イ)は、フィラーユニット112の段部112aに弾性材料である高弾性ウレタンゴム130が塗布され、次いで、第2工程(ロ)で、シンクユニット102に植設したボルト122をフィラーユニット112のボルト挿通孔120に挿入し、次の第3工程(ハ)で、ナット126をボルト122に螺着する。次の第4工程(ニ)は、シンクユニット102とフィラーユニット112の高さ合わせであり、これはナット126の締め付けによって調整される。そして、この高さ合わせが終わった後に、フィラーユニット112とシンクユニット102との合わせ目に封水剤であるシリコンコーキング剤を充填して作業が終わる。
【0024】
如上のように、実施例のシステムキッチンカウンタ100によれば、これを構成する要素毎にユニット化してあるため、現場への搬入作業が容易であると共にユーザの要望に応じた様々なレイアウトのキッチンカウンタをユーザに提供することができる。また、シンクユニット102に関して、これをシンク部114とその周囲部116で構成することで一体成形が可能となるため、従来のように、天板の開口にシンクを設置してこれを接着する作業が不要となり、製造コストを低減することができる。
【0025】
また、システムキッチンカウンタ100の各ユニットに色違いの種類を用意することで、カラーコーディネートを含めてユーザの好みに応じることができる。また、システムキッチンカウンタ100の長さ寸法が現場のキッチンと一致しない場合に、フィラーユニット112を用意して、これを適当な長さに切断することで、現場のキッチンに適合した見栄えの良いシステムキッチンカウンタ100を構築することができるだけでなく、その作業も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例の各要素毎に分割された各種ユニットを示す平面図である。
【図2】図1に図示の隣接するユニット間の接合構造の一例を示す図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】隣接するユニット間の接合構造の第2実施例を説明するための平面図である。
【図4】図3に関連した図であり、シンクユニットの一側にフィラーユニットを接合し、他側に第1調理台ユニットを接合した例を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】隣接するユニット間の接合作業の工程を説明するための図である。
【図7】従来の大理石キッチンシステムカウンタの平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0027】
100 システムキッチンカウンタ
102 シンクユニット
104 ガス台を設置する開口
106 ガス台ユニット
108 第1調理台ユニット
110 第2調理台ユニット
112 フィラーユニット
114 シンクユニットのシンク部
116 シンクユニットの周囲部
120 ボルト挿通孔
122 ボルト
126 ナット
130 高弾性ウレタンゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク部が一体成形されたシンクユニットを含むキッチンカウンタの各要素がユニット化された複数のユニットを有し、
該複数のユニットが人工大理石で成形され、
互いに隣接するユニットを現場で接合することによりキッチンカウンタとして一体化される大理石システムキッチンカウンタ。
【請求項2】
前記複数のユニットが、前記シンクユニットと、調理台ユニットと、ガス台を設置するための開口を備えたガス台ユニットを含む、請求項1に記載の大理石システムキッチンカウンタ。
【請求項3】
前記複数のユニットが、長さ調整用の人工大理石フィラーユニットを更に含む、請求項2に記載の大理石システムキッチンカウンタ。
【請求項4】
隣接するユニットの一方のユニットの側部に植設され且つ下方に向けて垂下するボルトと、他方のユニットの側部に設けられたボルト挿通孔とを有し、
前記一方のユニットの側部と他方のユニットの側部との間に弾性材料が介装されて、前記ボルト挿通孔に挿入したボルトにナットを締め付けることにより隣接するユニット間の高さ合わせが行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の大理石システムキッチンカウンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−264072(P2008−264072A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108365(P2007−108365)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(597010400)株式会社トヨウラ (8)
【Fターム(参考)】