説明

人工萱状物、及びその製造方法

【課題】 萱葺き屋根の維持コストを抑えることができ、また火事の危険も軽減できる萱の代替品として使用することができ、しかも、天然の萱に非常に近い外観で萱の雰囲気が損なわれない人工萱状物およびその効率的な製造方法を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂から成る芯部1と;表面に不規則なシワ21が形成された熱可塑性樹脂から成る外層部2とから人工萱状物Rを構成し、またこの人工萱状物Rの製造において、押出成形機Mによって棒状の芯部1と筒状の外層部2を形成する第一のステップと;外部の開放空間において、外層部2をバルーン状に膨らませる第二のステップと;サイジング装置Sのダイス孔H3の入り口で膨張した外層部3を圧搾して表面に不規則なシワ21を形成する第三のステップと;サイジング装置Sで冷却賦形して芯部1と外層部2を一体化する第四のステップとを含む工程を採用した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工萱状物の改良、詳しくは、萱の代替品として使用することができ、しかも、天然の萱に非常に近い外観で萱の雰囲気が損なわれない人工萱状物およびその効率的な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、日本に古くからある屋根構造の一つに、ススキやチガヤ等の萱材を使用する萱葺き屋根があり、このような萱葺き屋根が施工された建物は戦後急激に減少したものの、現代においても、日本の伝統文化や葺き替えの伝承技術を残す目的または最近の自然志向の強い需要者の要望で民家等に萱葺き屋根を施工するケースがある。
【0003】
しかしながら、上記萱葺き屋根を施工する際、従来と同じように自然の萱材を使用すると、耐久性の低い萱材がすぐに傷んで早期に葺き替えが必要となり、維持コストが高く付き易い。また、自然の萱材は非常に燃え易いため、火事の危険も大きい。
【0004】
そこで、従来、上記萱材を燃え難い樹脂成形品で代替する技術が提案され(特許文献1参照)、このような樹脂成形品を使用することによって耐久性や火事の問題は解消可能となったが、一方で樹脂成形品により外観が非常に人工的な印象となってしまい、自然な萱材の雰囲気が損なわれ易かった。
【0005】
一方、樹脂成形の技術分野では、発泡剤を加えた樹脂材料を押出成形機から外部に押し出した後、外部空間で成形体を発泡ガスにより一度膨張させて、それをサイジング装置で再度圧縮することにより、人工萱の表面に細かな木目模様を付ける技術も公知となっており(特許文献2参照)、このような棒状成形体を萱材の代替品として上記外観の問題を解消することも考えられる。
【0006】
しかしながら、上記木目模様を有する棒状成形体は、成形時における外部空間での膨張率が低いことから、棒の周面に細かな線状の溝を付けるのが精一杯で萱の茎表面の不規則な模様を表現することができなかった。しかも、上記棒状成形体は単一層であったため、萱の茎断面を正確に表現することもできなかった。
【0007】
また他にも、上記従来技術と同様の製法で、異形断面の人工萱を製造する技術も公知となっているが(特許文献3参照)、こちらも棒状成形体の断面形状を複雑化することはできるものの、茎表面の模様や茎の断面構造を再現するには至らなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63―156153号公報(第1―5頁、第1―4図)
【特許文献2】特公昭48―24821号公報(第1―4頁、第1−3図)
【特許文献3】特公昭49―41341号公報(第1―6頁、第1−6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、萱葺き屋根の維持コストを抑えることができ、また火事の危険も軽減できる萱の代替品として使用することができ、しかも、天然の萱に非常に近い外観で萱の雰囲気が損なわれない人工萱状物およびその効率的な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0011】
即ち、本発明は、人工萱状物Rを、熱可塑性樹脂から成る芯部1と;表面に不規則なシワ21が形成された熱可塑性樹脂から成る外層部2とから構成した点に特徴がある。
【0012】
ちなみに、上記「人工萱状物R」は、葦(アシ、ヨシ)や薄(ススキ)等のイネ科植物またはこれに類似する植物の人工物を意味し、屋根葺き材である萱のみに用途を限定するものではない。
【0013】
また本発明は、必要に応じて、上記芯部1の熱可塑性樹脂に発泡ガスを保持し難い結晶性樹脂を使用して、芯部1から外部への発泡ガスの放出量を増大することもできる。
【0014】
また本発明では、必要に応じて、上記外層部2の熱可塑性樹脂に着色剤である染顔料を加えて、外層部2の表面のシワ21に沿って複雑な濃淡模様を形成することもできる。
【0015】
他方また本発明では、必要に応じて、上記芯部1に白色系の熱可塑性樹脂を使用すると共に、外層部2に茶色系の熱可塑性樹脂を使用して萱風の外観とすることもできる。
【0016】
また本発明では、必要に応じて、上記外層部2の熱可塑性樹脂に植物原料を粉末化したバイオマス粉体を混合して植物の風合い又は香りを付加することもできる。
【0017】
また本発明では、必要に応じて、芯部1と外層部2との間にボイド部3を設けて茎断面の維管束を表現することもできる。
【0018】
また本発明では、上記人工萱状物Rを効率良く製造する方法として、押出成形機Mによって発泡剤を混合した熱可塑性樹脂から棒状の芯部1を形成するとともに、この芯部1の外側に、発泡剤を含まない熱可塑性樹脂から筒状の外層部2を形成する第一のステップと;前記押出成形機MのダイスDから芯部1及び外層部2が押し出された外部の開放空間において、芯部1から放出されるガスによって外層部2をバルーン状に膨らませる第二のステップと;前記膨張した外層部2及び芯部1を、サイジング装置Sのダイス孔H3に導入して、ダイス孔H3の入り口で膨張した外層部3を圧搾して表面に不規則なシワ21を形成する第三のステップと;前記サイジング装置SのダイスD’内に導入した芯部1と外層部2を冷却賦形して両者を一体化する第四のステップとを含む方法を採用できる。
【0019】
また本発明では、上記第一ステップにおいて、芯部1を複数の細芯11・11…に分割して形成するとともに、第三及び第四ステップにおいて、前記細芯11・11…をサイジング装置SのダイスD’に導入して集合一体化することができ、これによって第二ステップにおける芯部1の表面積を増大して発泡ガスの放出量を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、芯部と外層部とから棒状の人工萱状物を構成し、更に成形時において押出成形機から押し出された外部空間で、芯部から放出される発泡ガスによって外層部をバルーン状に膨らませ、それをサイジング装置で圧搾することで、外層部の表面に不規則で大きなシワ模様を形成したことにより、萱の茎表面の複雑な模様を表現することが可能となった。
【0021】
しかも、上記人工萱状物を芯部と外層部の二層構造としたことによって、表皮と髄から成る茎の断面構造を忠実に表現することもできるため、人工萱状物の周面及び断面をより本物の萱に近い外観に仕上げることが可能となる。
【0022】
なお、上記人工萱状物の成形時において、芯部から全ての発泡ガスが外部に放出されるとは限らず、ある程度は芯部内にガスが残留すると考えられるが、残留ガスは冷却賦形時に芯部内に微細気泡を形成するため、これらは空隙の多い髄組織を表現するのに利用できる。
【0023】
したがって、本発明により、耐久性が高く天然の萱の雰囲気を損なわない実用性に優れた人工萱状物、及びその効率的な製造方法を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1における人工萱状物を表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における人工萱状物を表わす正面図及び側面図である。
【図3】本発明の実施例1における人工萱状物のボイドを表わすX−X’断面の断面説明図である。
【図4】本発明の実施例1における人工萱状物の製造方法を説明するための工程説明図である。
【図5】本発明の実施例1における人工萱状物の製造時におけるダイス内の状態を表わすP1−P1’断面およびQ1−Q1’断面の断面説明図である。
【図6】本発明の実施例3における人工萱状物の製造方法を説明するための工程説明図である。
【図7】本発明の実施例3における人工萱状物の製造時におけるダイス内の状態を表わすP2−P2’断面およびQ2−Q2’断面の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
『実施例1』
まず本発明の実施例1について、図1から図5に基いて説明する。同図において、符号1で指示するものは芯部であり、符号2で指示するものは外層部である。また、符号3で指示するものはボイド部である。
【0026】
[人工萱状物の構成]
この実施例1では、棒状の人工萱状物Rを、熱可塑性樹脂(材質:ポリプロピレン)を主材料とする芯部1と、同じく熱可塑性樹脂(材質:ポリプロピレン)を主材料とし、芯部1の外側に形成される外層部2とから構成している(図1、図2参照)。また、外層部2の表面には不規則なシワ21を設けている。
【0027】
また、上記外層部2の熱可塑性樹脂には着色剤である顔料を加えており、この顔料がシワ21周辺に集まって他の部分よりも色が濃くなることで、シワ21に沿った複雑な濃淡模様を形成している。なお実施例1では、芯部1に白色系の熱可塑性樹脂を使用すると共に、外層部2に茶色系の熱可塑性樹脂を使用している。
【0028】
上記のように構成したことにより、人工萱状物Rの周面および断面を、自然の萱に近い外観に仕上げることができる。具体的には、外層部2表面のシワ模様によって萱の外皮の模様を表現することができ、また芯部1と外層部2の二層構造によって茎断面の外皮と髄を再現できる。
【0029】
また実施例1では、上記外層部2の熱可塑性樹脂に植物原料を粉末化したバイオマス粉体(材質:木粉)を混合しており、これによって人工萱状物Rに植物の風合い及び香りを付加することができる。
【0030】
また他にも実施例1では、上記人工萱状物Rの一部において、芯部1と外層部2との間にボイド部3を設けているため、このボイド部3が表れる部分で人工萱状物Rを切断すれば茎断面の維管束も表現できる(図3参照)。しかも、ボイド部3を設けることで人工萱状物Rの軽量化も図れる。
【0031】
[人工萱状物の製造方法]
次に、上記人工萱状物Rの製造方法について説明する。まず第一のステップとして、押出成形機Mを用いて重曹系発泡剤を混合した熱可塑性樹脂から棒状の芯部1を形成すると共に、この芯部1の外側には、木粉・タルク・顔料を混合した熱可塑性樹脂から筒状の外層部2を形成する(図4、図5参照)。
【0032】
ちなみに実施例1では、上記芯部1の重曹系発泡剤の添加量を、樹脂100重量部に対し1重量部としている。また、外層部2の木粉の混合量は、樹脂100重量部に対し約27重量部とし、タルクの混合量は、樹脂100重量部に対し約24重量部としている。またタルクについては、人工萱状物の剛性及び成形性を向上するために混合している。
【0033】
一方、押出成形機Mの成形温度(ダイス温度)に関しては、芯部1を200℃、外層部2を190℃とし、ダイス孔Hのサイズは、芯部1のダイス孔H1を直径6mm、外層部2のダイス孔H2を直径10mm・厚み1mmとしている。
【0034】
次いで第二のステップとして、上記押出成形機MのダイスDから芯部1及び外層部2を外部に押し出し、外部の開放空間において、加熱状態の芯部1から外部に発泡ガスを放出させ、この放出されたガスを利用して外層部2をバルーン状に膨らませる。
【0035】
なおこの際、芯部1から充分な量のガスが放出されるように、芯部1の熱可塑性樹脂には発泡ガスを保持し難い性質を有する樹脂を用いる必要がある。本実施例では、溶融張力の低い結晶性樹脂の中でも特に好適なポリプロピレンを使用している。
【0036】
そして次に第三のステップとして、上記膨張させた外層部2と芯部1を、サイジング装置Sのダイス孔H3に導入して、ダイス孔H3の入り口で膨張した外層部3を圧搾して表面に不規則なシワ21を形成する。
【0037】
なお実施例1では、サイジング装置Sのダイス孔H3のサイズを、押出成形機Mの外層部2のダイス孔H2よりも径が小さい直径6mmとしているが、サイジング装置Sのダイス孔H3のサイズを変えることによってシワの大きさを調整できる。
【0038】
そして最後に、第四のステップとして、上記サイジング装置SのダイスD’内に導入した芯部1と外層部2を冷却賦形して両者を一体化する。ちなみにこの冷却賦形の際、芯部1と外層部2の間にあった発泡ガスが収縮することでボイド部3が形成される。
【0039】
このように上記第一から第四ステップを含む製造方法を採用することによって、特別な装置を用いることなく、上記シワ模様を有する人工萱状物Rを連続的に効率良く製造することができる。
【0040】
『実施例2』
次に、本発明の実施例2について以下に説明する。この実施例2では、芯部1の熱可塑性樹脂に非結晶性樹脂であるPET-Gを使用し、実施例1と同じ条件で製造を行った。その結果、人工萱状物Rを問題なく作製することができた。よって、溶融張力が低く発泡ガスを保持し難い樹脂材料であれば、非結晶性樹脂であっても芯部1に使用できることが確認できた。
【0041】
『実施例3』
次に、本発明の実施例3について図6及び図7に基いて以下に説明する。この実施例3では、芯部1の熱可塑性樹脂に結晶性樹脂である高密度ポリエチレン(HDPE)を使用すると共に、外層部2に混合するバイオマス粉体に米粉を使用した。ちなみに実施例3では、米粉の混合量を、樹脂100重量部に対し約33重量部とし、タルクの混合量を、樹脂100重量部に対し約25重量部としている。また押出成形機(M)の成形温度は、芯部1を190℃、外層部を180℃としている。
【0042】
そしてまた、実施例2においては、製造時の第一ステップにおいて、芯部1を複数の細芯11・11…に分割して形成し、第三及び第四ステップにおいて、これらの細芯11・11…をサイジング装置SのダイスD’に導入して集合一体化した(図6、図7参照)。
【0043】
この方法を採用することにより、第二ステップにおいて芯部1全体の表面積を増やすことが可能となり、発泡ガスの放出量を向上することが可能となった。また上記の条件で製造を行ったところ、人工萱状物Rを問題なく作製することができた。
【0044】
『比較例1』
次に、本発明の比較例1について以下に説明する。この比較例1では、芯部1の熱可塑性樹脂に非結晶性樹脂であるポリスチレン(PS)を使用し、実施例3と同じ条件で製造を行った。その結果、第二ステップ時において芯部1の発泡ガスの抜けが悪く、芯部1が大きく膨張してしまい、第三ステップ時において芯部1をサイジング装置(S)のダイス(D’)に導入できなかった。
【0045】
なお、下記表1に上記実施例1〜3と比較例1の製造条件および成形加工性の有無について得られたデータを示す。
【表1】

【0046】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、芯部1の樹脂材料には、溶融張力が低く発泡ガスを保持し難い樹脂であれば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル系樹脂(PET、ポリ乳酸)、ポリアミド系樹脂(ナイロン)等の結晶性樹脂、または非結晶性樹脂から適当なものを任意に選択できる。
【0047】
また、芯部1の樹脂材料に添加する発泡剤についても、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤や、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソ・テレフタルアミド、N,N’-ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミンなどのニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボキサミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウム・アゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、P,P’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物、カルシウムアジド、4,4’-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエンスルホニルアジドなどのアジド化合物などを単独または二種以上組み合わせて使用することができる。
【0048】
他方また、外層部2に混合するバイオマス粉体についても、植物原料を粉末化したものであれば木粉、米粉以外の竹粉や籾粉、などを使用することができる。
【0049】
そしてまた、上記発泡剤の添加量に関しても、樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の間で自由に調整することができ、またバイオマス粉体の混合量に関しても、樹脂100重量部に対して5〜80重量部の間で調整することができる。
【0050】
また、上記人工萱状物Rは、屋根葺き材として使用するだけでなく、床材や敷物、或いは壁装材等の他の用途に用いることもでき、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
近年、自然志向の高まりによって萱葺き屋根の文化的価値が再度見直されており、最近では萱葺き屋根を採り入れた少しずつ建築物も増えてきている。一方で、屋根の葺き替え等を行う職人は依然として少なく、萱葺き屋根を施工しても後々の維持管理が困難となるのが現状である。
【0052】
そのような中で、本発明の人工萱状物、及びその製造方法は、萱の雰囲気を損なわない耐久性に優れた萱代替品を提供できる有用な技術であることから、その産業上の利用価値は非常に高い。
【符号の説明】
【0053】
1 芯部
11 細芯
2 外層部
21 シワ
3 ボイド部
R 人工萱状物
M 押出成形機
S サイジング装置
D ダイス
H ダイス孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂から成る芯部(1)と;表面に不規則なシワ(21)が形成された熱可塑性樹脂から成る外層部(2)とを備えることを特徴とする人工萱状物。
【請求項2】
芯部(1)の熱可塑性樹脂に結晶性樹脂を使用したことを特徴とする請求項1記載の人工萱状物。
【請求項3】
外層部(2)の熱可塑性樹脂に着色剤である染顔料を加えて、外層部(2)の表面のシワ(21)に沿って複雑な濃淡模様を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の人工萱状物。
【請求項4】
芯部(1)に白色系の熱可塑性樹脂を使用すると共に、外層部(2)に茶色系の熱可塑性樹脂を使用したことを特徴とする請求項3記載の人工萱状物。
【請求項5】
外層部(2)の熱可塑性樹脂に植物原料を粉末化したバイオマス粉体を混合して植物の風合いまたは香りを付加したことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の人工萱状物。
【請求項6】
芯部(1)と外層部(2)との間にボイド部(3)が設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の人工萱状物。
【請求項7】
押出成形機(M)によって発泡剤を混合した熱可塑性樹脂から棒状の芯部(1)を形成すると共に、この芯部(1)の外側に、発泡剤を含まない熱可塑性樹脂から筒状の外層部(2)を形成する第一のステップと;前記押出成形機(M)のダイス(D)から芯部(1)及び外層部(2)が押し出された外部の開放空間において、芯部(1)から放出されるガスによって外層部(2)をバルーン状に膨らませる第二のステップと;前記膨張した外層部(2)及び芯部(1)を、サイジング装置(S)のダイス孔(H3)に導入して、ダイス孔(H3)の入り口で膨張した外層部(3)を圧搾して表面に不規則なシワ(21)を形成する第三のステップと;前記サイジング装置(S)のダイス(D’)内に導入した芯部(1)と外層部(2)を冷却賦形して両者を一体化する第四のステップとを含むことを特徴とする人工萱状物の製造方法。
【請求項8】
芯部(1)の熱可塑性樹脂に発泡ガスを保持し難い結晶性樹脂を使用することを特徴とする請求項7記載の人工萱状物の製造方法。
【請求項9】
第四のステップにおいて、芯部(1)と外層部(2)との間にボイド部(3)が形成されるように芯部(1)と外層部(2)を冷却賦形することを特徴とする請求項7または8に記載の人工萱状物の製造方法。
【請求項10】
第一のステップにおいて、芯部(2)を複数の細芯(21・21…)に分割して形成するとともに、第三及び第四のステップにおいて、これらの細芯(21・21…)をサイジング装置(S)のダイス(D’)に導入して集合一体化することを特徴とする請求項7〜9の何れか一つに記載のシワ模様を有する人工萱状物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−26239(P2012−26239A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168810(P2010−168810)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000010065)フクビ化学工業株式会社 (150)
【Fターム(参考)】