説明

人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料中間生成物

【課題】ヘモグロビンベースの人工酸素運搬体のヘモグロビン原料を赤血球濃厚液から抽出精製する時、赤血球濃厚液から血漿、白血球、血小板を出来る限り除去した後、一旦、凍結保存する方法において、解凍後の混合物のヘモグロビンメト化率の上昇を防止する。
【解決手段】ヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料の中間生成物であって、赤血球濃厚液から、pH調整剤を含有する等張の洗浄液を用いて血漿、血小板、白血球を洗浄除去して得た赤血球液を、凍結保存した後解凍した液のpHが7.1〜7.5である事を特徴とするヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料中間生成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘモグロビンベースの人工酸素運搬体の製造に用いるヘモグロビン原料中間生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
出血治療又は梗塞治療等に用いられる人工酸素運搬体として、ヘモグロビンベースのものが、様々に検討されて来た。ヘモグロビンベースのものとしては、非カプセル型(化学修飾ヘモグロビンなど)とカプセル型(ヘモグロビン含有リポソームなど)のものがある。ヘモグロビン原料は、血液を遠心分離等の処理によって、赤血球を分離した後、赤血球膜を除去し、ヘモグロビンを抽出精製する方法が知られている(例えば特許文献1、特許文献2参照。)
また、ヘモグロビンのメト化を抑制するために還元剤を含有するものが知られている。(例えば、特許文献3参照)
【0003】
ヘモグロビン含有リポソーム型人工酸素運搬体の様なヘモグロビンベースの人工酸素運搬体に使用するヘモグロビン原料は、従来、ヒト由来の輸血用血液製剤である赤血球濃厚液から抽出精製する方法が多く検討されている。ヒト血液をヘモグロビン原料として用いる場合、血液製剤の有効利用の観点から、ヒトから採血された血液の使用期限(日本においては、採血後21日)を過ぎた期限切れの赤血球濃厚液を用いることは、許容されうる。赤血球濃厚液から血漿、白血球、血小板を出来る限り、洗浄除去した後、一旦、凍結保存し、次の赤血球膜除去精製工程に備えるのが合理的な方法である。
【0004】
洗浄され、凍結保存された濃縮赤血球液は解凍され、赤血球膜除去精製工程を経て、赤血球膜除去ヘモグロビンとなり、さらに、公知の方法により、リポソームでカプセル化されてヘモグロビン含有リポソーム懸濁液の様なヘモグロビンベース人工酸素運搬体となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-12598
【特許文献2】WO2005 / 063814
【特許文献3】特開2008-195656
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ヘモグロビンは酸化されてメトヘモグロビンとなると酸素運搬能を失うので、ヘモグロビンの抽出精製工程におけるヘモグロビンのメト化防止は非常に重要である。洗浄液により、赤血球濃厚液から、血漿、白血球、血小板を出来る限り洗浄除去し、濃縮した濃縮赤血球液を、一旦、凍結保存し次の工程に供するために解凍して使用する方法において、濃縮赤血球液中の赤血球は、工程における凍結及び解凍の操作の際に、大部分が溶血するので、溶血赤血球膜及び漏れ出したヘモグロビンの混合物となるが、洗浄液として生理食塩水を使用する従来の方法は、上記の凍結保存した濃縮赤血球液を解凍後、液中のヘモグロビンメト化率が上昇してしまうという問題が有った。これを防止することを目的とした還元剤を使用する方法は、その後の製造工程において、還元剤又は還元剤の分解物、代謝物等の除去が困難になるなどの問題があり、採用するのは難しかった。
【0007】
そこで本発明は、ヘモグロビンベース人工酸素運搬体製造に供するために保存される、ヘモグロビン原料の製造中間生成物において、還元剤を添加物として使用せずに、凍結保存した原料の解凍時にヘモグロビン原料の中間生成物のヘモグロビンのメト化率上昇を防止する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、ヘモグロビンベースの人工酸素運搬体のヘモグロビン原料を、輸血用血液製剤に代表される赤血球濃厚液から抽出精製する一連の製造工程において、前記赤血球濃厚液から、血漿、白血球、血小板を洗浄除去した後、一旦、凍結保存し、次の赤血球膜除去、精製工程に備える方法において使用するヘモグロビン原料中間体であって、上記の凍結保存後の解凍時のヘモグロビン原料の製造中間生成物におけるヘモグロビンのメト化率上昇を防止するものである。
尚、前記赤血球濃厚液から、血漿、白血球、血小板を洗浄除去するとは、試料中に実質的に血漿、白血球、血小板を含まないことを言い、具体的には、前記赤血球濃厚液に2倍量の洗浄液を添加し、撹拌後、2630Gで12分間遠心し、上清を捨てる遠心洗浄操作を3回行って得た最終沈殿画分と同等程度の除去を言う。好ましくは、前記赤血球濃厚液に4倍量の洗浄液を添加し、撹拌後、2630Gで12分間遠心し、上清を捨てる遠心洗浄操作を5回行って得た最終沈殿画分と同等程度の除去を言う。
【0009】
(1)ヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料の中間生成物であって、赤血球濃厚液から、pH調整剤を含有する等張の洗浄液を用いて血漿、血小板、白血球を洗浄除去して得た赤血球液を、凍結保存した後解凍した液のpHが7.1〜7.5である事を特徴とするヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料の製造中間生成物。
【0010】
(2)前記洗浄液が80mMから154mMの炭酸水素ナトリウムと前記洗浄液を等張とするために必要な濃度の他の塩を含むことを特徴とする上記(1)に記載のヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料中間生成物。
【0011】
(3)凍結保存前の前記赤血球液が、ヘマトクリット55〜60%であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料中間生成物。
【0012】
(4)前記解凍後の赤血球液中のヘモグロビンメト化率が3%以下である事を特徴とする(1)ないし(3)に記載のヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造用のヘモグロビン原料中間生成物。
【0013】
(5)前記赤血球濃厚液が採血日より110日以内である事を特徴とする(1)ないし(4)に記載のヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料中間生成物。
【0014】
(6)(1)ないし(5)に記載のヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料中間生成物からヘモグロビンを抽出精製し、前記ヘモグロビンをリポソーム化して製造する事を特徴とするヘモグロビン含有リポソーム懸濁液。
【発明の効果】
【0015】
本発明の、ヘモグロビンベースの人工酸素運搬体のヘモグロビン原料を赤血球濃厚液から抽出精製する時、赤血球濃厚液から血漿、白血球、血小板を洗浄除去した後、一旦、凍結保存し、次の赤血球膜除去、精製工程に備える方法において、解凍後の製造中間生成物のpHを7.1〜7.7に設定する事により、解凍後の中間生成物のヘモグロビンのメト化率上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0017】
<赤血球濃厚液>
本発明で用いる赤血球濃厚液は、輸血用血液製剤である赤血球濃厚液に代表されるが、血液保存液を混合したヒト血液から白血球、血小板及び血漿の大部分が除去された赤血球層に赤血球保存用添加液が混和されたものである。血液製剤の有効利用の観点より、前記赤血球濃厚液の使用期限を経過した(採血後21日間以上経過)ものを使用する。前記赤血球濃厚液から、ヘモグロビンベースの人工酸素運搬体のヘモグロビン原料を抽出精製する場合、採血日より110日以内、好ましくは90日、最適には70日以内のものを用いることが好ましい。これ以上の日数が、採血日より経過したものは、ヘモグロビン原料の抽出精製工程においてヘモグロビンの回収率が悪くなり、また、ヘモグロビンのメト化が進行してしまう傾向がある。
【0018】
<赤血球濃厚液の洗浄>
赤血球の洗浄液としては、従来、生理食塩水が使用されているが、本発明においては、赤血球濃厚液を本発明の洗浄液を用いて洗浄して得た赤血球液を凍結保存後に解凍した混合物のpHを7.1〜7.7に、好ましくは7.3〜7.5に調整される洗浄液である。具体的には、炭酸水素ナトリウムなどのpH調整剤として含有するものであり、炭酸水素ナトリウムであれば80mMから154mM含有し、洗浄液を等張とするために必要な濃度の塩化ナトリウムなどの他の塩を含むものである。
【0019】
従来使用されて来た生理食塩水はpH緩衝能がなく、pHが不安定で、外的環境によりpHは4.5〜8.0の範囲を変動してしまう。我々は、pHが低い場合は、赤血球濃厚液を洗浄後に、所定期間凍結保存した後、解凍した赤血球液のpHも低くなり、それと関連して、ヘモグロビンのメト化が進行することを見出した。この問題を解決する為に、凍結保存し解凍した赤血球のpHを調整する必要が有る事が鋭意検討の結果、判明した。前記pH範囲がこれ以下であると、解凍操作後のヘモグロビンのメト化率が上昇してしまい、また、pH範囲がこれ以上であるとヘモグロビンが変性してしまう可能性がある。解凍操作後の赤血球液(実際には、赤血球が溶血し、溶血赤血球膜と漏出ヘモグロビンの混合物となっている)のpHをこの範囲に収める為には、洗浄液のpHを調整する必要が有るのである。
【0020】
従来から使用して来た生理食塩水を使うと、既述の様に、解凍時の混合物のpHが低くなり過ぎ、解凍時の混合物のpHが低くなるのと関連して、ヘモグロビンのメト化率が上昇してしまう。この為、炭酸水素ナトリウム水溶液などのよりpHの高い洗浄液を使用して、融解操作後のヘモグロビン原料の製造中間物のpHが低くなり過ぎない様にする。即ち、使用期限の経過した赤血球濃厚液に炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、遠心分離して、白血球、血小板、血漿を出来る限り除去し、pHを弱アルカリ性に保った状態にて赤血球層を回収し、凍結保存する。遠心分離を利用して洗浄する遠心洗浄は、前記赤血球濃厚液に2倍から4倍量の洗浄液を添加し、撹拌後、2630Gの条件で遠心し、上清を捨てる遠心洗浄操作を3回から5回行って実施する。上清を捨てて得られ凍結保存に供される赤血球液のヘマトクリットは55%から60%であることが好ましい。
【0021】
重要なことは、洗浄された赤血球液を凍結保存しさらに解凍するという操作において、pH調整剤を含有する洗浄液を用いた場合であっても、pHの低下が発生するので、そのpHの低下を考慮し、洗浄液のpH調整剤の濃度を調整することである。pH調整剤として炭酸水素ナトリウムのほか、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウムなどを用いることができる。これらのpH調整剤を含有する生理的食塩水などの緩衝能を有する洗浄液に用いて、洗浄液のpHを弱アルカリ性に維持する事も可能であり、この場合も解凍後の混合物のpHを低くなり過ぎない様に出来るが、炭酸水素ナトリウム水溶液は洗浄液調整の簡便さ及び安全性の観点より好ましい。
【0022】
<遠心洗浄後の赤血球層の凍結保存>
前記の遠心洗浄後の沈殿層である赤血球液を凍結保存して、次の赤血球膜除去精製工程に備える。凍結保存の温度は−60〜−85℃であり、好ましくは−70〜−85℃である。グリセリン等の溶血防止の為の保護液は添加する必要はない。
【0023】
<凍結保存後の解凍>
所定期間凍結保存された赤血球液は室温にて解凍され、解凍後の赤血球液は血液保冷庫にて所定期間保存し、赤血球膜除去精製工程に供える。遠心洗浄後の赤血球液の凍結保存期間はウィンドウピリオド(ウィルスに感染してから検査で検出出来る様になるまでの空白期間)対応のためのルックバック(遡及調査)の観点より6ケ月間以上が好ましい。解凍後の中間物は血液保冷庫にて2〜8℃で保存し、ヘモグロビンのメト化防止の観点より、3日以内、好ましくは1日以内に、次の赤血球膜除去精製工程に移る。
【0024】
<解凍後の混合液のpH測定>
解凍後の液は、凍結及び解凍の操作の際に、赤血球の大部分が溶血するので、溶血赤血球膜及び漏れ出したヘモグロビン及び炭酸水素ナトリウム水溶液の混合物となる。この混合物検体3mLを取り、22〜25℃の範囲内で、電極を検体に浸漬させて、約4分間緩やかに攪拌し、1分間静置した後にpH測定を行う。
【0025】
<解凍後の混合物のヘモグロビンメト化率測定>
解凍後の混合物を遠心分離操作により溶血赤血球膜を沈降させた上清を試料溶液として用い、ヘモグロビンメト化率を測定する。
【0026】
本発明のヘモグロビン原料中間体を従来公知の人工酸素運搬体の製造方法(例えば特開2009−263269など)により、ヘモグロビンベースの人工酸素運搬体を製造することができる。
【実施例】
【0027】
次に本発明の実施例により、具体的に説明するが、発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
<赤血球濃厚液の洗浄及び洗浄赤血球の凍結保存>
<実施例1>赤血球濃厚液-LR「日赤」(ヒト血液200mL由来、使用期限経過40〜70日)4単位に、洗浄液A(0.67w/w%濃度の炭酸水素ナトリウム、0.43w/w%塩化ナトリウム)を加えて、全量を1kgとして、混和する。遠心機(BECKMAN COULTER社製、型式:Avanti J-HC、ローター型番:JS-3.4A)を用いて、回転数3000rpm、12分間、温度4℃で遠心処理を行なう。遠心処理後、上清を除去して得られた赤血球層に、洗浄液Aを加えて、全量1リットルとして、混和する。その後、前記と同様の遠心上清除去操作を2回繰り返す。最後の遠心上清除去操作後には、得られた赤血球層をそのまま1リットル容量の分離バッグに入れ、−80℃で冷凍保存する。
【0029】
<凍結保存洗浄赤血球の解凍>
遠心洗浄後の赤血球層の180日間の凍結保存後に、室温にて解凍し、解凍時の混合物のpH測定およびヘモグロビンメト化率の測定を行なう。
【0030】
<解凍後の混合物のpH測定>
解凍時の混合物を十分に室温に戻した後、pH測定器(ザルトリウス社製、型式PP-50)を用いて、22〜25℃の範囲内でpH測定を行う。ガラス管に検体を3mL取り、攪拌子を入れる。電極を検体に浸漬させて、約4分間、緩やかに攪拌し、1分間静置した後、pH値を読み取る。pHは7.3であった。
【0031】
<解凍後の混合物のヘモグロビンメト化率測定>
試液の調製
・リン酸緩衝液:リン酸二水素カリウム0.548gを水に溶かし200mLとする(A液)。また、リン酸水素二ナトリウム12水和物3.58gを水に溶かし500mLとする(B液)。A液:B液=1:3(容量)の割合で混合し、pH 7.4に調整する。
・シアン化カリウム溶液:シアン化カリウム5gを水に溶かし100mLとする。
・ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム溶液:ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム5gを水に溶かして100mLとする。
試料溶液調製
測定検体0.2mLを量り、水0.4mLを加えて攪拌する。この液0.2mLを量り、リン酸緩衝液10mLを加えて攪拌する。遠心機(日立工機社製、型式:日立多用途小型遠心機CF16RX、ローター型番:T5SS)を用いて、回転数3000rpm、30分間、温度4℃で遠心処理を行なう。遠心処理後の上清を試料溶液とする。
測定方法
試料溶液3mLを2本のセルに入れ、「試料溶液A」及び「試料溶液B」とする。試料溶液Aに水30μLを加えて攪拌し、水を対照とし、波長630nmにおける吸光度A1を測定する。測定後、直ちにシアン化カリウム溶液30μLを加えて攪拌し、2分間放置後吸光度A2を測定する。試料溶液Bにヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム溶液30μLを加えて攪拌し、3分間放置後吸光度B1を測定し、測定後直ちにシアン化カリウム溶液30μLを加えて攪拌し、2分間放置後、吸光度B2を測定する。測定により得られた測定値A1、A2、B1、B2を用い、次の計算式に従って検体のヘモグロビンメト化率を求める。
計算式:ヘモグロビンメト化率(%)=〔(A1−A2) /(B1−B2)〕×100
以上により測定したヘモグロビンメト化率は1.3%であった。
【0032】
<実施例2> 洗浄液B(1.29w/w%濃度の炭酸水素ナトリウム、赤血球液との混合時炭酸水素ナトリウム終濃度約154mM)を用いる以外は、実施例1と同様に製造中間生成物を作成した。解凍後の混合物のpHは7.6であった。メト化率は1%以下であった。
(比較例)
【0033】
遠心洗浄液として、炭酸水素ナトリウム水溶液の代わりに生理食塩水を使う以外は、実施例と同様の方法で、期限切れ赤血球濃厚液の洗浄及び凍結保存を行なう。また、実施例と同様の方法で、凍結保存洗浄赤血球の解凍を行い、実施例と同様の方法で、解凍後の混合物のpH測定及びヘモグロビンメト化率の測定を行う。pHは6.3であり、ヘモグロビンメト化率は9.3%であった。実施例と比較して、明らかにヘモグロビンのメト化が進行した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料の中間生成物であって、赤血球濃厚液から、pH調整剤を含有する等張の洗浄液を用いて血漿、血小板、白血球を洗浄除去して得た赤血球液を、凍結保存した後解凍した液のpHが7.1〜7.5である事を特徴とするヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料中間生成物。
【請求項2】
前記洗浄液が80mMから154mMの炭酸水素ナトリウムと前記洗浄液を等張とするために必要な濃度の他の塩を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料中間生成物。
【請求項3】
凍結保存前の前記赤血球液が、ヘマトクリット55〜60%であることを特徴とする請求項1または2に記載のヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造に用いるヘモグロビン原料中間生成物。
【請求項4】
前記解凍後の赤血球液中のヘモグロビンメト化率が3%以下である事を特徴とする請求項1ないし3に記載のヘモグロビンベースの人工酸素運搬体製造用のヘモグロビン原料中間生成物。

【公開番号】特開2011−207853(P2011−207853A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79746(P2010−79746)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】