説明

人物属性推定システム、人物属性推定装置、及び人物属性推定方法

【課題】 環境依存属性によらずに推定精度を向上できる人物属性推定システムを提供する。
【解決手段】 人物属性推定システムとしての年齢性別推定システム10は、属性推定対象の人物を撮影して画像を生成する監視カメラ11と、推定パラメータを用いて、監視カメラ11が生成した画像に写っている人物の属性を推定する年齢性別推定部122と、監視カメラ11の設置環境に依存する属性である環境依存属性を指定する環境依存属性指定部124とを備え、年齢性別推定部122は、環境依存属性空間において、環境依存属性指定部124にて取得した環境依存属性から所定の距離内にある環境依存属性を有する学習データに基づいて生成されたパラメータを推定パラメータとして用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物の画像から人物の属性(例えば、年齢や性別)を推定する人物属性推定システム、人物属性推定装置、及び人物属性推定方法に関し、特に、学習に基づく推定パラメータを用いて人物の属性を推定する人物属性推定システム、人物属性推定装置、及び人物属性推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア等の店舗において、来店客の客層を分析するために、来店客を撮影してその画像から来店客の属性を推定する人物属性推定システムが知られている。図25は、従来の人物属性推定システムの構成を示す図である。この人物属性推定システムは、人物の属性として、年齢と性別を推定するための年齢性別推定システム50である。図25に示すように、年齢性別推定システム50は、監視カメラ51と年齢性別推定装置52とからなる。
【0003】
監視カメラ51は、例えば店舗の入口付近に設置され、入店する客の顔を含む映像を撮影する。年齢性別推定装置52は、顔検出部521、年齢性別推定部522、及び推定パラメータ記憶部523を備えている。顔検出部521は、監視カメラ51で撮影された映像の各フレーム画像から、顔を検出する。年齢性別推定部522は、顔検出部521にて検出された顔について、年齢及び性別を推定する。推定パラメータ記憶部523は、年齢性別推定部522で年齢及び性別を推定する際に用いるパラメータ(モデルなど)を記憶している。
【0004】
年齢性別推定システム50は、監視カメラ51で来店客の顔を含む映像を撮影して、顔検出部521が撮影映像の各フレーム画像から顔を検出して、年齢性別推定部522が推定パラメータ記憶部523に記憶されたパラメータを使用して、撮影された人物の年齢及び性別を推定する。
【0005】
ここで、推定パラメータ記憶部523には、この年齢性別推定システム50の製造出荷時点で、あらかじめ作成された推定パラメータ(以下、「初期推定パラメータ」という。)が記憶されている。この初期推定パラメータは、実験室で複数枚の学習用画像を撮影して、その学習用画像に基づいて算出されている。年齢性別推定システム50が製品として販売される際には、いずれの年齢性別推定システム50も同じ初期推定パラメータが推定パラメータ記憶部523に記憶されていることになる。
【0006】
本発明に関連する技術を開示した先行技術文献として、下記の文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−054376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、年齢性別推定システム50が実際の店舗に導入され、監視カメラ51が店舗の所定の位置に設置されると、実験室で撮影された画像に対して年齢性別推定を行なう場合と比較して、精度が低下することがあるという課題があった。実験室で複数枚の学習用画像を撮影して、その学習用画像に基づいて算出した初期推定パラメータを使っていることが精度低下の要因とも考えられるが、あらかじめすべての店舗において有効な学習用画像を用意して初期推定パラメータを設定する方法は知られていない。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、監視カメラ51の設置環境によらずに推定精度を向上できる人物属性推定システム、人物属性推定装置、及び人物属性推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、本発明の人物属性推定システムは、属性推定対象の人物を撮影して画像を生成するカメラと、推定パラメータを用いて、前記カメラが生成した画像に写っている人物の属性を推定する属性推定部と、前記カメラの設置環境に依存する属性である環境依存属性を取得する環境依存属性取得部とを備え、前記属性推定部は、環境依存属性空間において、前記環境依存属性取得部にて取得した前記環境依存属性から所定の距離内にある環境依存属性を有する学習データに基づいて生成されたパラメータを前記推定パラメータとして用いる構成を有している。
【0011】
この構成によれば、カメラの環境依存属性に近い環境依存属性を有する学習データに基づいて推定パラメータが生成され、この推定パラメータを用いて人物の属性を推定するので、環境依存属性によらずに推定精度を向上することができる。ここで、環境依存属性とは、監視カメラの設置環境に依存して推定精度を左右する要因である。環境依存属性の相違には、例えば、照明状態(照明光源の方向、照明の照度等)の相違、顔の垂直・水平方向の向きの相違(例えば、初期推定パラメータを算出した際の学習用画像は正面向きのみであるが、設置された監視カメラで撮影されるのは斜め向きである等)、画像中の顔の大きさ(顔の解像度)の相違等がある。年齢性別推定システムが複数の店舗にそれぞれ導入されると、それぞれの店舗において上記の環境依存属性がそれぞれ異なるので、従来技術では、あらかじめすべての店舗において有効な学習用画像を用意して初期推定パラメータを設定することは困難であったのに対して、この構成によれば、それぞれのカメラの設置環境に適した推定パラメータを生成して利用することができる。
【0012】
また、上記の人物属性推定システムは、前記環境依存属性空間において、前記環境依存属性取得部にて取得した前記環境依存属性から所定の距離内にある環境依存属性を有する前記学習データに基づいて前記推定パラメータを生成する再学習部をさらに備えていてよく、前記属性推定部は、前記再学習部にて生成された前記推定パラメータを用いてよい。
【0013】
この構成によれば、自ら推定パラメータを生成することができる。
【0014】
また、上記の人物属性推定システムにおいて、前記環境依存属性取得部は、ユーザによる前記環境依存属性の指定を受け付けることで前記環境依存属性を取得してよい。
【0015】
この構成によれば、ユーザが、環境依存属性を指定することができる。
【0016】
また、上記の人物属性推定システムにおいて、前記環境依存属性取得部は、前記カメラが生成した画像に基づいて、前記環境依存属性を推定することで前記環境依存属性を取得してよい。
【0017】
この構成によれば、カメラが生成した画像に基づいて自動的に環境依存属性を取得することができる。
【0018】
また、上記の人物属性推定システムは、他の人物属性推定システムと通信可能に接続されていてよく、さらに、前記環境依存属性空間において、前記環境依存属性取得部にて取得した前記環境依存属性から所定の距離内にある環境依存属性を有する前記学習データを前記他の人物属性推定システムから通信によって取得する学習データ取得部を備えていてよく、前記再学習部は、前記学習データ取得部にて取得された前記学習データを用いて前記推定パラメータを生成してよい。
【0019】
この構成によれば、他の人物属性推定システムから学習データを取得して、その学習データに基づいて推定パラメータを生成することができる。これにより、新たにカメラが設置される場合にも、その環境依存属性に応じた推定パラメータを運用開始前に取得してそのカメラの環境に合った推定パラメータを生成することができる。
【0020】
また、上記の人物属性推定システムは、複数の前記カメラと、前記複数のカメラにそれぞれ接続され、かつ、少なくとも前記属性推定部及び前記環境依存属性取得部を備えた複数の人物属性推定装置と、前記複数の人物推定装置と通信可能に接続され、前記人物推定装置に、前記属性推定部にて用いる前記推定パラメータを通信により提供するパラメータ提供サーバとを備えていてよい。
【0021】
この構成によれば、各カメラに合った推定パラメータは、パラメータ配信サーバから提供することができ、各カメラの設置場所では、推定パラメータを生成するための構成は必要とされない。
【0022】
また、上記の人物属性推定システムは、前記カメラにて生成された画像について、ユーザから人物属性についての正解情報の入力を受け付ける正解入力部と、前記カメラにて生成された画像と、当該画像について前記環境依存属性取得部にて取得された前記環境依存属性と、当該画像について前記正解入力部にて入力された正解情報とを含む前記学習データを記憶する学習データ記憶部とをさらに備えていてよい。
【0023】
この構成によれば、複数のカメラの各設置場所において、運用が開始された後に、他の(特に後に新たに新設される他の)カメラの設置場所に対して、推定パラメータを更新するための学習データを提供することができる。
【0024】
また、本発明の人物属性推定装置は、属性推定対象の人物を撮影して画像を生成するカメラに接続され、推定パラメータを用いて、前記カメラが生成した画像に写っている人物の属性を推定する属性推定部と、前記カメラの設置環境に依存する属性である環境依存属性を取得する環境依存属性取得部とを備え、前記属性推定部は、環境依存属性空間において、前記環境依存属性取得部にて取得した前記環境依存属性から所定の距離内にある環境依存属性を有する学習データを用いて得られたパラメータを前記推定パラメータとして用いる構成を有している。
【0025】
この構成によっても、カメラの環境依存属性に近い環境依存属性を有する学習データに基づいて推定パラメータが生成され、この推定パラメータを用いて人物の属性を推定するので、環境依存属性によらずに推定精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、カメラの環境依存属性に近い環境依存属性を有する学習データに基づいて推定パラメータが生成され、この推定パラメータを用いて人物の属性を推定するので、環境依存属性によらずに推定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態における年齢性別推定システムの構成を示す図
【図2】本発明の第1の実施の形態における複数の年齢性別推定システムを含む連携システムの構成を示す図
【図3】(a)本発明の第1の実施の形態における監視カメラと来店客の顔との位置及び向きの関係の例を水平方向から見た図 (b)本発明の第1の実施の形態における監視カメラと来店客の顔との位置及び向きの関係の例を垂直方向から見た図 (c)本発明の第1の実施の形態における監視カメラで撮影された画像の例を示す図
【図4】(a)本発明の第1の実施の形態における学習データの要求を説明するための図 (b) 本発明の第1の実施の形態における取得する学習データを説明するための図
【図5】本発明の第1の実施の形態の年齢性別推定システムにおける既存の他の年齢性別推定システムの学習結果を利用して再学習を行なうための処理のフロー図
【図6】本発明の第1の実施の形態の年齢性別推定システムにおける自ら学習データを生成するための処理のフロー図
【図7】本発明の第2の実施の形態における年齢性別推定システムの構成を示す図
【図8】(a)本発明の第2の実施の形態における環境依存属性空間に試験学習データを分布させた例を示す図 (b)本発明の第2の実施の形態における環境依存属性空間に初期学習データを分布させた例を示す図
【図9】(a)本発明の第2の実施の形態における年齢推定のための特徴量空間(再学習前)を示す図 (b)本発明の第2の実施の形態における年齢推定のための特徴量空間(再学習後)を示す図
【図10】本発明の第2の実施の形態における環境依存属性空間としての顔特徴空間を示す図
【図11】本発明の第2の実施の形態における外部学習データによって環境依存属性空間における推定範囲が変化することを説明するための図
【図12】本発明の第2の実施の形態の年齢性別推定システムにおける既存の他の年齢性別推定システムの学習結果を利用して再学習を行なうための処理のフロー図
【図13】本発明の第2の実施の形態の年齢性別推定システムにおける自ら学習データを生成するための処理のフロー図
【図14】本発明の第3の実施の形態における年齢性別推定システムの構成を示す図
【図15】本発明の第3の実施の形態における年齢性別推定装置の構成を示す図
【図16】本発明の第3の実施の形態におけるパラメータ配信サーバの構成を示す図
【図17】本発明の第3の実施の形態の年齢性別推定システムにおける処理のフロー図
【図18】本発明の第3の実施の形態の年齢性別推定システムにおける処理のフロー図
【図19】本発明の第4の実施の形態における年齢性別推定装置の構成を示す図
【図20】本発明の第4の実施の形態におけるパラメータ配信サーバの構成を示す図
【図21】本発明の第4の実施の形態の年齢性別推定システムにおける処理のフロー図
【図22】本発明の実施の形態の変形例における年齢推定のための特徴量空間を示す図
【図23】本発明の実施の形態の変形例における環境依存属性空間を示す図
【図24】本発明の実施の形態の変形例における環境依存属性空間を示す図
【図25】従来の人物属性推定システムの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、人物の属性を推定する人物属性推定システム及び人物属性推定方法に係るが、以下の実施の形態では、人物の属性として、人物の年齢及び性別を推定する年齢性別推定システム及び年齢性別推定方法を説明する。
【0029】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態の年齢性別推定システムの構成を示す図である。年齢性別推定システム10は、店舗Aに設置される。年齢性別推定システム10は、監視カメラ11、年齢性別推定装置12、及び再学習制御サーバ13を備えている。
【0030】
図2は、複数の年齢性別推定システムが通信ネットワークを介して接続されてなる連携システムの構成を示す図である。図2に示す連携システムは、店舗Aに設置される年齢性別推定ステム10Aと、店舗Bに設置される年齢性別推定ステム10Bと、店舗Cに設置される年齢性別推定ステム10Cとが接続されて構成されている。
【0031】
年齢性別推定システム10Aは、監視カメラ11A、年齢性別推定装置12A、及び再学習制御サーバ13Aを備えており、年齢性別推定システム10Bは、監視カメラ11B、年齢性別推定装置12B、及び再学習制御サーバ13Bを備えている。年齢性別推定システム10Cは、監視カメラ11C1及び監視カメラ11C2、年齢性別推定装置12C1及び年齢性別推定装置12C2、並びに再学習制御サーバ13Cを備えている。即ち、年齢性別推定装置10Cは2つの監視カメラ及び2つの年齢性別推定装置を備えている。なお、図1の年齢性別推定システム10は、図2の年齢性別推定システム10Aや年齢性別推定システム10Bの構成を示したものである。
【0032】
年齢性別推定システム10は、他の年齢性別推定システムと連携することで、他の年齢性別推定システムにおける学習データを取得して再学習を行なう。特に、新たに設置された年齢性別推定システムが、年齢及び性別の推定における環境依存属性が近い他の年齢性別推定システムから学習データを取得することで、設置した後に直ちに(運用を開始する前に)学習効果を得ることができる。
【0033】
即ち、他の年齢性別推定システムと連携していなければ、新たな年齢性別推定システムが設置された場合に、自らの監視カメラで撮影した画像を学習用画像として再学習をしなければ、自らの監視カメラの設置環境に合うように推定パラメータを更新することで推定精度を向上させることはできないところ、本実施の形態の年齢性別推定システム10は、他の年齢性別推定システムと連携することで、設置後直ちに、自らの監視カメラの設置環境に合うように再学習を行なうことができる。
【0034】
連携システムを構成する各年齢性別推定システムは、新設時には既存の年齢性別推定システムの学習結果を利用して再学習(最初の学習は初期推定パラメータを設定するために実験室環境で撮影された学習用画像を用いて行なわれている)を行なうとともに、運用が開始された後には、自らも学習データを生成して、後に新設される他の年齢性別推定システムに学習データを提供する。
【0035】
なお、連携システムにおいて、既存の年齢性別推定システムの数が十分であり、新設される年齢性別推定システムが自ら学習データを提供する必要がない場合には、新設される年齢性別推定システムは、自ら学習データを生成するための構成を有しないものであってもよい。また、運用開始後に、自ら生成した学習データを利用して再学習を行なってもよいことはもちろんである。
【0036】
図1を参照して、年齢性別推定システム10の構成を詳細に説明する。以下では、年齢性別推定システム10について、年齢及び性別の推定のための構成を説明するとともに、再学習については、既存の他の年齢性別推定システムの学習結果を利用して再学習を行なうための構成と、後に新設される他の年齢性別推定システムの再学習ために学習データを生成するための構成とを分けて説明する。
【0037】
(年齢及び性別の推定のための構成)
監視カメラ11は、年齢及び性別を推定したい不特定多数の人物(属性推定対象の人物)が来る場所を撮影するように設置される。例えば、店舗の入口から入ってくる客の顔を撮影するように店舗内の高所に設置される。監視カメラ11は、映像を撮影して連続的なフレーム画像を生成し、又は所定の時間間隔で静止画像を撮影して、年齢性別推定装置12に出力する。
【0038】
年齢性別推定装置12は、顔検出部121と、年齢性別推定部122と、推定パラメータ記憶部123と、環境依存属性推定部124とを備えている。顔検出部121は、監視カメラ11にて取得された画像から人物の顔の領域を検出して、顔領域の画像(以下、「顔画像」という。)を年齢性別推定部122に出力する。なお、顔検出部121は、用意されたパラメータ(モデル)を用いて、既存の手法(例えばニューラルネットやブースティング)に従って顔の検出を行なう。
【0039】
年齢性別推定部122は、顔検出部121にて検出された顔画像に対して、その人物の年齢及び性別を推定する。このとき、年齢性別推定部122は、推定パラメータ記憶部123に記憶されている推定パラメータを用いて、既存の手法(例えば線形判別法)に従って、年齢及び性別の推定を行なう。
【0040】
推定パラメータ記憶部123には、年齢性別推定部122における推定で用いられる推定パラメータが記憶されている。推定パラメータ記憶部123には、初期推定パラメータとして、所定の環境(例えば実験室環境)で得られた画像を学習用画像として学習した結果得られた推定パラメータが記憶されている。従って、監視カメラ11が設置された後に、その監視カメラ11が撮影する際の環境依存属性が、初期推定パラメータを生成するために学習用画像を撮影した際の環境依存属性に近ければ、初期推定パラメータを用いて推定を行なっても(再学習をしなくても)、比較的高い精度で年齢及び性別の推定を行なうことができる。
【0041】
しかしながら、設置された監視カメラ11が撮影する際の環境依存属性と初期パラメータを生成するために学習用画像を撮影した際の環境依存属性とが一致しない場合には、推定パラメータ記憶部123に記憶された初期推定パラメータを用いて推定を行なっても高い精度の推定ができないことになる。そこで、本実施の形態の年齢性別推定システム10は、推定パラメータ記憶部123に記憶された推定パラメータを再学習する機能を有している。
【0042】
(既存の他の年齢性別推定システムの学習結果を利用して再学習を行なうための構成)
環境依存属性指定部124は、ユーザから、監視カメラ11の環境依存属性の指定を受け、これを記憶する。本実施の形態において、環境依存属性は、撮影される人物が正面を向いている場合の監視カメラ11に対する顔の向き(左右方向及び上下方向)である。ユーザは、監視カメラ11を設置した時に、その設置状況に応じて、環境依存属性指定部124に、左右方向の角度及び上下方向の角度をそれぞれ入力することで、環境依存属性として、正面を向いた人物の監視カメラ11に対する顔の向きを指定する。
【0043】
図3(a)は、監視カメラ11と来店客の顔との位置及び向きの関係の例を水平方向から見た図であり、図3(b)は、監視カメラ11と来店客の顔との位置及び向きの関係の例を垂直方向から見た図であり、図3(c)は、この監視カメラ11で撮影された画像の例を示す図である。
【0044】
図3(a)及び(b)に示すように、監視カメラ11が、ドアDから店舗建物Sに入ってくる来店客Cの顔をその正面から左に30度、上に20度傾いた方向から撮影するように設置されている場合には、図3(c)に示すように、撮影画像では、人物の顔は右に約30度、下に約20度向いた状態で撮影される。よって、環境依存属性は、右向き30度、下向き20度となる。この場合には、ユーザは、監視カメラ11のそのような設置状況に従って、環境依存属性指定部124にて、右向き30度、下向き20度と指定する。なお、来店客の顔の向きに対するカメラの設置方向を環境依存属性としてもよい。この場合は、図3(a)及び(b)の例において、環境依存属性は、左向き30度、上向き20度となる。
【0045】
再学習制御サーバ13は、再学習部131と、学習データ取得/提供部133と、通信部134とを備えている。学習データ取得/提供部133は、年齢性別推定装置12の環境依存属性指定部124にて指定された環境依存属性に基づいて、学習データを取得する。具体的には、学習データ取得/提供部133は、環境依存属性指定部124にて指定された環境依存属性と同じ、又はそれに近い環境依存属性を取得するための要求を生成する。上記の例では、この年齢性別推定システム10の環境依存属性としての人物の顔の向きが右向き30度、下向き20度であるので、この環境依存属性に近い(例えば±10度以内)環境依存属性を有する学習データを取得するための要求を生成する。
【0046】
図4(a)は、学習データの要求を説明するための図である。図4(a)は、環境依存属性空間(2次元)を示している。この環境依存属性空間は、横軸が来店客の顔の向きの左右方向であり、縦軸が来店客の顔の向きの上下方向である。学習データ取得/提供部133は、環境依存属性空間の右向き30度、下向き20度を中心Cとしてその周辺を含む所定範囲Rの学習データを取得する要求を生成する。
【0047】
通信部134は、画像データ取得部133で生成された学習データの要求を、連携システムを構成する他の年齢性別推定システムに送信する。学習データの要求に対して他の年齢性別推定システムから所望の学習データが送信されてくると、通信部134がこれを受信して、学習データ取得/提供部133が学習データを取得する。
【0048】
図4(b)は、取得する学習データを説明するための図である。図4(b)は、図2に示す再学習制御サーバ13Aが環境依存属性空間の右向き30度、下向き20度を中心Cとしてその周辺を含む所定範囲Rの学習データを取得する要求を生成した場合を示している。図4(b)に示すように、店舗Cの監視カメラ11C1の環境依存属性CC1は、要求された範囲Rの内側にあり、店舗Bの監視カメラ11B及び店舗Cの監視カメラ11C2の環境依存属性C及びCC2は、要求された範囲Rの外側にある。よって、再学習制御サーバ13Aに対しては、環境依存属性が要求された範囲Rの内側にある店舗Cの監視カメラ11C1の学習データが再学習制御サーバ13Cから送信され、環境依存属性が要求された範囲Rの外側にある店舗Bの監視カメラ11Bや店舗Cの監視カメラ11C2の学習データは再学習制御サーバ13Aには送信されない。
【0049】
再学習部131は、学習データ取得/提供部133で取得された学習データを利用して、推定パラメータ記憶部123に記憶されている推定パラメータに対して学習を行ない、推定パラメータを更新する。
【0050】
このようにすることで、年齢性別推定システム10は、その環境依存属性に近い環境依存属性を有する学習データを他の年齢性別推定システムから補充して推定パラメータの再学習を行なうことができるので、実験室での撮影で得られた学習用画像による画一的な推定パラメータよりも、より実際の設置状況に対応した推定パラメータを得ることができ、この結果、年齢及び性別の推定精度が向上する。
【0051】
しかも、年齢性別推定システム10は、運用の実績を積んで学習をする必要はなく、設置された直後に、自らの環境依存属性に応じた推定パラメータの再学習を行なうことができる。
【0052】
(他の年齢性別推定システムの再学習ために学習データを生成するための構成)
年齢性別推定装置12は、さらに正解入力部125を備えており、再学習制御サーバ13は、さらに学習データ記憶部132を備えている。監視カメラ11によって人物が撮影されて、顔検出部121が画像から人物の顔を検出すると、その顔の画像は学習データ記憶部132に記憶される。
【0053】
正解入力部125は、学習データ記憶部132に記憶された顔画像に対する年齢及び性別を入力する。ユーザは、学習データ記億部132に記憶された顔画像に対して、それらの顔画像の人物の年齢及び性別を判断して、正解として正解入力部125に入力する。このようにして、本実施の形態では、顔画像とその人物の年齢及び性別の情報がセットになって学習データとなる。なお、学習データにおいて、年齢は、例えば、10代前半、10代後半、20代前半、・・・のように年齢区間ごとに指定されてもよいし、高校生、大学生のような年齢に伴って変化する身分によって指定されてもよい。
【0054】
他の年齢性別推定システムから学習データの要求が送信されてくると、これを通信部134が受信する。学習データ取得/提供部133は、環境依存属性指定部124を参照して、要求されている環境依存属性が環境依存属性指定部124にて指定されて記憶されている環境依存属性に合致するかを判断する。学習データ取得/提供部133は、要求されている環境依存属性が環境依存属性指定部124にて指定されて記憶されている環境依存属性に合致する場合には、学習データ記憶部132に記憶された学習データを読み出し、通信部134は、学習データ取得/提供部133が読み出したデータを、要求を受けた他の年齢性別推定システムに返信する。
【0055】
なお、上述のように、年齢性別推定システム10は、学習データ記憶部132に記憶された学習データを用いて、自らも再学習を行なってよい。具体的には、再学習部131は、運用が開始された後、所定のタイミングで、学習データ記憶部132に記憶された学習データを用いて再学習を行ない、推定パラメータ記憶部123に記憶された推定パラメータを更新してよい。
【0056】
図5は、第1の実施の形態の年齢性別推定システム10における、既存の他の年齢性別推定システムの学習結果を利用して再学習を行なうための処理のフロー図である。この処理フローは、年齢性別推定システム10が新たに設置された際に実行される。まず、監視カメラ11の設置状況に従って、ユーザが環境依存属性指定部124にて環境依存属性を指定する(ステップS51)。次に、学習データ取得/提供部133が、指定された環境依存属性を中心として、その周辺範囲を含む学習データの要求を生成して、通信部134がこれを送信する(ステップS52)。
【0057】
学習データの要求に対して、他の年齢性別推定システムから所望の学習データが送信されてくると、通信部134がこれを受信して、学習データ取得/提供部133がこれを取得する(ステップS53)。次に、再学習部131は、学習データ取得/提供部133が取得した学習データに基づいて再学習を行ない、推定パラメータ記憶部123に記憶された推定パラメータを更新する(ステップS54)。
【0058】
図6は、第1の実施の形態の年齢性別推定システム10における、他の年齢性別推定システムの再学習ために学習データを生成するための処理のフロー図である。この処理フローは、年齢性別推定システム10の運用が開始された後に実行される。監視カメラ11は、撮影対象箇所の撮影を行ない、撮影画像を顔検出部121に出力する(ステップS61)。顔検出部121は、画像から顔を検出して、顔画像を学習データ記憶部132に出力する(ステップS62)。
【0059】
ユーザは、適宜のタイミングで、学習データ記憶部132に記憶された未判断の顔画像について、その年齢及び性別を判断して、判断結果を正解として入力することができる(ステップS63)。ユーザから正解入力が行なわれるまでは(ステップS63にてNO)、顔検出及び顔画像の保存が繰り返される。ユーザによって正解が入力されると(ステップS63にてYES)、入力された正解の情報は、対応する顔画像とともに、学習データとして学習データ記憶部132に記憶される(ステップS64)。
【0060】
次に、通信部134が他の年齢性別推定システムから学習データの要求を受信したか否かを判断する(ステップS65)。他の年齢性別推定システムから学習データの要求を受信しないうちは(ステップS65にてNO)、ステップS61〜S64を繰り返す。通信部134が他の年齢性別推定システムから学習データの要求を受信すると(ステップS65にてYES)、学習データ取得/提供部133が環境依存属性指定部124に記憶されたこの年齢性別推定システム10の環境依存属性とこの受信した要求とが一致するか否かを判断する(ステップS66)。
【0061】
一致する場合には(ステップS66にてYES)、学習データ取得/提供部133は、学習データ記憶部132に記憶された学習データを読み出して、これを通信部134が、要求をしてきた他の年齢性別推定システムに送信する(ステップS67)。一致しない場合には(ステップS66にてNO)、学習データの要求を無視してステップS61に戻る。
【0062】
以上のように、本発明の第1の実施の形態の年齢性別推定システム10によれば、これを複数連携させて連携システムを構成することで、その環境依存属性に合った学習データを他の年齢性別推定システムから取得できるので、設置後直ちにその環境依存属性に合った学習データによって推定パラメータの再学習を行なうことができ、これによって年齢及び性別の推定の精度を向上できる。
【0063】
なお、上記の実施の形態では、年齢性別推定システム10の環境依存属性は、ユーザが監視カメラ11の設置状況に従って入力したが、この入力を自動化してもよい。例えば、監視カメラ11が取付具を介して店舗の天井に取り付けられる場合において、取付具に対する監視カメラ11の角度を検出するセンサを設け、センサからの出力に基づいて、カメラの方向を環境依存属性として環境依存属性指定部124に入力してもよい。
【0064】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態の年齢性別推定システムを説明する。第2の実施においても、第1の実施の形態と同様に、複数の年齢性別推定システムが連携して連携システムを構成している。第1の実施の形態の年齢性別推定システム10では、環境依存属性は、年齢性別推定システム10の設置時に、その監視カメラ11の設置状況に従ってユーザが指定した。これに対して、第2の実施の形態の年齢性別推定システム20では、設置後、運用開始前に複数枚の試験画像を撮影して、その試験画像に基づいて環境依存属性を求める。
【0065】
図7は、第2の実施の形態の年齢性別推定システム20の構成を示す図である。年齢性別推定システム20は、第1の実施の形態の年齢性別推定システム10と同様に、監視カメラ21と、年齢性別推定装置22と、再学習制御サーバ23とを備えている。年齢性別推定装置22によって年齢及び性別を推定するための構成は第1の実施の形態と同様である。即ち、顔検出部221が顔画像を検出して、年齢性別推定部222が推定パラメータ記憶部223に記憶された推定パラメータを用いて年齢及び性別を推定する。
【0066】
本実施の形態の年齢性別推定システム20は、既存の他の年齢性別推定システムの学習結果を利用して再学習を行なうための構成、及び他の年齢性別推定システムの再学習ために学習データを生成するための構成が、第1の実施の形態のそれらと異なるので、以下に説明する。
【0067】
年齢性別推定装置22は、顔検出部221と、年齢性別推定部222と、推定パラメータ記憶部223と、環境依存属性推定部224と、正解入力部225とを備えている。顔検出部221は、年齢及び性別を推定したい不特定多数の人物が来る場所を撮影するように設置される。監視カメラ11は、映像を撮影して連続的なフレーム画像を生成し、又は所定の時間間隔で静止画像を撮影して、年齢性別推定装置22に出力する。
【0068】
顔検出部221は、監視カメラ21から取得した画像から人物の顔の領域を検出して、環境依存属性推定部224に出力する。なお、上述のように、本実施の形態の年齢性別推定システム20では、設置時に複数枚の試験画像を撮影して、その試験画像に基づいて、年齢性別推定システム20の環境依存属性を推定する。よって、設置時には、この試験画像の顔画像が顔検出部221から環境依存属性推定部224に出力される。ここで、複数の試験画像は、それらの年齢及び性別の推定結果が偏らないように選択される。
【0069】
環境依存属性推定部224は、試験画像から検出された顔画像(以下、「試験顔画像」という。)に基づいて年齢性別推定システム20の環境依存属性を推定するが、本実施の形態では、顔の向き(左右方向及び上下方向)と顔画像の顔特徴を環境依存属性とする。顔特徴とは、顔画像と顔属性特徴との間に作られる特徴を言い、例えば、ガボール特徴、LBP(Local Binary Pattern)特徴、Haar−like特徴等であってよいが、本実施の形態では、顔特徴としてガボール特徴を採用する。
【0070】
環境依存属性推定部224は、顔の向きについては所定のパラメータ(モデル)を用いて、既存の手法(例えばニューラルネットやアクティブアピアランスモデル法やサポートベクターマシン法)によって求める。ガボール特徴については、顔画像に対してガボール変換を施すことによって求める。ガボール特徴は次元数が非常に大きいため、主成分分析を使って次元数を削減してもよい。
【0071】
再学習制御サーバ23は、学習データ記憶部232と、学習データ取得/提供部233と、通信部234と、クラスタリング部235と、環境依存属性比較部236とを備えている。学習データ記憶部232は、設置後運用開始前に撮影された複数の試験顔画像の学習データ(以下、「試験学習データ」という。)が記憶されている。また、学習データ記憶部232には、初期推定パラメータを求めた際に用いた学習データ(以下、「初期学習データ」という。)も記憶されている。なお、本実施の形態において、学習データは、顔画像と、その顔画像の環境依存属性と、年齢及び性別の情報(正解情報)とからなる。学習データ記億部232に記憶された試験学習データにおける環境依存属性は、試験顔画像に基づいて環境依存属性推定部224にて推定されたものである。
【0072】
クラスタリング部235は、試験学習データ及び初期学習データのそれぞれをクラスタリングする。具体的には、クラスタリング部235は、まず、試験学習データ及び初期学習データのそれぞれについて、環境依存属性空間に学習データを分布させる。図8(a)は、環境依存属性空間に試験学習データを分布させた例を示す図であり、図8(b)は、図8(a)と同じ環境依存属性空間に初期学習データを分布させた例を示す図である。クラスタリング部235は、これらの分布に対して、クラスタリングを行い、各クラスタの分布の中心を求める。
【0073】
なお、上述のように、本実施の形態の環境依存属性は、顔の向き(左右方向及び上下方向の2次元)及びガボール特徴(多次元)であるが、図8(a)及び(b)では、便宜上、顔の向き及びがボール特徴をそれぞれ1次元で表して、横軸を顔の向き、縦軸をガボール特徴としている。
【0074】
環境依存属性比較部236は、試験学習データの分布と初期学習データの分布とを比較する。学習データ取得/提供部233は、環境依存属性比較部236での比較の結果に基づいて、試験学習データの分布に対して、初期学習データの分布が足りない部分Vを補うように、学習データ(以下、「外部学習データ」という。)の要求を生成する。即ち、本実施の形態の年齢性別推定システム20では、初期学習データにはないが、実際に設置された監視カメラ21によって撮影される画像(試験画像)にはある環境依存属性の学習データを外部学習データとして他の年齢性別推定システムから補充する。通信部234は、学習データ取得/提供部233で生成された学習データの要求を他の年齢性別推定システムに対して送信する。
【0075】
要求に対して他の年齢性別推定システムから所望の外部学習データが送信されてくると、通信部234がこれを受信して、学習データ取得/提供部233が外部学習データを取得する。再学習部231は、学習データ取得/提供部233で取得された外部学習データ及び初期学習データを利用して、推定パラメータ記憶部223に記憶されている推定パラメータに対して再学習を行ない、推定パラメータを更新する。この再学習において、さらに試験学習データを利用してもよい。
【0076】
なお、環境依存属性比較部236にて試験学習データと初期学習データとを比較して、初期学習データとしてはあるが試験学習データにはない領域のクラスタを削除した上で再学習部231にて再学習を行なってもよい。このように不要な学習データを削除することによって、推定精度をより向上できることがある。
【0077】
図9(a)は、年齢推定のための特徴量空間を示す図であって、再学習前の特徴量空間を示している。図9(b)は、年齢推定のための特徴量空間を示す図であって、再学習後の特徴量空間を示している。例えば線形判別法で年齢推定を行う場合、年齢推定のための特徴量空間は線形判別法で作成される。特徴量空間の各軸には、顔の向きやガボール特徴のような物理的な意味はない。図9(a)及び図9(b)では、説明の便宜のため、特徴量空間の軸の名称は、「特徴量空間の第1軸」、「特徴量空間の第2軸」とした。なお、年齢推定のための特徴量空間とは、年齢をよく表すような特徴量の空間をいう。性別については別の特徴量空間を用いて推定してもよいし、また、年齢と性別を表す特徴量空間を用いて、両者を同時に推定してもよい。
【0078】
図9(a)及び図9(b)において、顔画像Aと顔画像Bとは、ともに20歳台と推定されるべき顔画像である。再学習前には、図9(a)に示すように、特徴量空間において顔画像Aと顔画像Bとの距離は比較的遠く、顔画像Bは20歳台と推定される領域R20に含まれているが、顔画像Aはその領域には含まれていない。上記の再学習を行なうことで、図9(b)に示すように、特徴量空間が更新されて、顔画像Aと顔画像Bの距離が近くなるとともに、何れもが20歳台と推定される領域R20’に含まれることになる。
【0079】
図10は、環境依存属性空間としての顔特徴空間を示す図である。上記のように、本実施の形態では、ガボール特徴と顔の向きを環境依存属性としているが、図10では、ガボール特徴のみを2次元で示している。図10において、クラスタC1は、初期学習データの20歳台のクラスタであり、クラスタC2は、試験学習データの20歳台のクラスタであり、クラスタC3は、外部学習データの20歳台のクラスタである。
【0080】
図10に示すように、学習データ取得/提供部233が外部学習データを要求する際には、初期学習データのクラスタC1から離れた位置にある試験学習データのクラスタC2について、それに近い位置にある学習データを要求する。具体的には、クラスタC2の中心から所定の距離内の範囲Rに中心を有するクラスタの学習データを要求する。
【0081】
こうすることで、年齢性別推定システム20の監視カメラ21において実際に撮影される画像の環境依存属性に近い環境依存属性を有する学習データが補強される。その結果、図9で説明したように、年齢推定のための特徴量空間が変化して、年齢性別推定システム20の監視カメラ21において実際に撮影されるより多くの画像が特徴量空間において正しい推定領域に属することになり、推定精度が向上する。
【0082】
図11は、外部学習データによって、環境依存属性空間における推定範囲が変化することを説明するための図である。図11では、ガボール特徴を縦軸とし、顔の向きを横軸としている。ここでも、説明の便宜上、本来多次元であるガボール特徴を縦軸のみの1次元で表し、本来2次元である顔の向きも横軸のみの1次元としている。
【0083】
図11において、クラスタC401、C402、及びC403は、すべて40歳台のクラスタであり、それぞれ初期学習データを含み試験学習データを含まないクラスタ、初期学習データと試験学習データの両方を含むクラスタ、及び外部学習データと試験学習データの両方を含むクラスタである。クラスタC201、C202、及びC203は、すべて20歳台のクラスタであり、それぞれ初期学習データを含み試験学習データを含まないクラスタ、初期学習データと試験学習データの両方を含むクラスタ、及び外部学習データと試験学習データの両方を含むクラスタである。クラスタC301、C302は、すべて30歳台のクラスタであり、それぞれ初期学習データを含み試験データを含まないクラスタ、初期学習データと試験学習データの両方を含むクラスタである。
【0084】
再学習前には、20歳台と推定される範囲は、クラスタC201及びクラスタC202という初期学習データを含む領域R200であったのに対して、再学習後には、試験学習データと外部学習データの両方を含むクラスタC203が加わったことで、20歳台と推定される範囲は、領域R200’に変化する。再学習前の20歳台と推定される範囲R200は、試験学習データを含むクラスタC203の全体を包含できないのに対して、再学習後の20歳台と推定される範囲R200’は試験学習データを含むクラスタC203全体を包含する。従って、再学習前に比べて、再学習後の方が、年齢の推定精度が高くなる。
【0085】
なお、試験学習データを設置後運用開始前に集めた場合、試験学習データの枚数が少なくなってしまう可能性があるが、このことは問題にはならない。なぜならば、試験学習データと外部学習データの両方を含むクラスタC203において、試験学習データの枚数が少ない枚数になってしまったとしても、環境依存属性の近い多数の外部学習データを取得することで、そのクラスタC203内のデータ数が増加し、データ数の観点からみて適切な再学習がなされるからである。
【0086】
図12は、第2の実施の形態の年齢性別推定システム20における、既存の他の年齢性別推定システムの学習結果を利用して再学習を行なうための処理のフロー図である。この処理フローは、年齢性別推定システム20が新たに設置される際に実行される。まず、代表画像データを生成するために、監視カメラ21が設置された状態で、複数の試験画像を撮影する(ステップS121)。顔検出部221は、それらの試験画像から顔を検出して、試験顔画像を環境依存属性推定部224及び学習データ記憶部232に出力する(ステップS122)。
【0087】
環境依存属性推定部224は、顔検出部221にて検出された試験顔画像の環境依存属性を推定する(ステップS123)。正解入力部225は、試験顔画像について、年齢及び性別の正解の入力受け付けて、それを対応する試験顔画像及びその試験顔画像について推定された環境依存属性とともに、試験学習データとして学習データ記憶部232に記憶する(ステップS124)。クラスタリング部235は、学習データ記憶部232に記憶された試験学習データ及び初期学習データをそれぞれ環境依存属性空間に分布させて、クラスタリングする(ステップS125)。
【0088】
次に、環境依存属性比較部236は、試験学習データの分布と初期学習データの分布とを比較する(ステップS126)。学習データ取得/提供部233は、環境依存属性比較部236での比較の結果に基づいて、試験学習データの分布に対して、初期学習データの分布が足りない部分を補うように、外部学習データの要求を生成して、通信部234がこれを送信する(ステップS127)。
【0089】
他の年齢性別推定システムから所望の学習データが送信されてくると、通信部234がこれを受信して、学習データ取得/提供部233がこれを取得する(ステップS128)。次に、再学習部231は、学習データ取得/提供部233が取得した外部学習データ及び不特定多数顔記憶部232に記憶された初期学習データに基づいて再学習を行ない、推定パラメータ記憶部223に記憶された推定パラメータを更新する(ステップS129)。
【0090】
図13は、第2の実施の形態の年齢性別推定システム20における、他の年齢性別推定システムの再学習のために学習データを生成するための処理のフロー図である。この処理フローは、年齢性別推定システム20の運用が開始された後に実行される。監視カメラ21は、撮影対象箇所の撮影を行ない、撮影画像を顔検出部221に出力する(ステップS131)。顔検出部221は、画像から顔を検出して、顔画像を環境依存属性推定部224及び学習データ記憶部232に出力する(ステップS132)。
【0091】
環境依存属性推定部224は、顔検出部221から出力された顔画像について、環境依存属性を推定し、学習データ記憶部232に、推定した環境依存属性を対応する顔画像とともに記憶する(ステップS133)。ユーザは、適宜のタイミングで、学習データ記憶部132に記憶された未判断の顔画像について、その年齢及び性別を判断して、判断結果を正解として入力することができる(ステップS134)。
【0092】
ユーザから正解入力が行なわれるまでは(ステップS134にてNO)、顔検出並びに顔画像及びその環境依存属性の保存が繰り返される。ユーザによって正解が入力されると(ステップS134にてYES)、入力された正解の情報は、対応する顔画像及びその環境依存属性とともに、学習データとして学習データ記憶部132に記憶される(ステップS135)。
【0093】
次に、通信部234が他の年齢性別推定システムから学習データの要求を受信したか否かを判断する(ステップS136)。他の年齢性別推定システムから学習データの要求を受信しないうちは(ステップS136にてNO)、ステップS131〜S135を繰り返す。通信部234が他の年齢性別推定システムから学習データの要求を受信すると(ステップS136にてYES)、クラスタリング部235は、学習データ記憶部232に記憶された学習データをクラスタリングする(ステップS137)。そして、学習データ取得/提供部233は、クラスタリング部235にて生成されたクラスタの中に、他の年齢性別推定システムより受けた学習データの要求に合致するクラスタがあるか否かを判断する(ステップS138)。
【0094】
クラスタリング部235にて生成されたクラスタの中に、他の年齢性別推定システムより受けた学習データの要求に合致するクラスタがある場合には(ステップS138にてYES)、学習データ取得/提供部233は、学習データ記憶部232に記憶された該当するクラスタの学習データを読み出して、これを通信部134が、要求をしてきた他の年齢性別推定システムに送信する(ステップS139)。一致するクラスタがない場合には(ステップS138にてNO)、学習データの要求を無視してステップS131に戻る。
【0095】
以上のように、本実施の形態においても、年齢性別推定システム20は、その環境依存属性に近い環境依存属性を有する学習データを他の年齢性別推定システムから補充して推定パラメータの再学習を行なうことができるので、実験室での撮影で得られた学習用画像による画一的な推定パラメータ(初期推定パラメータ)よりも、より実際の設置状況に対応した推定パラメータを得ることができ、この結果、年齢及び性別の推定精度が向上する。
【0096】
なお、第2の実施の形態において、試験学習データを生成するために複数の試験画像を撮影し、それを環境依存属性空間に配置して、クラスタごとにその中心の最も近くに位置する試験画像のみを試験学習データとしてもよい。
【0097】
[第3の実施の形態]
第1及び第2の実施の形態では、図2に示すように、各年齢性別推定システムがそれぞれ再学習制御サーバを有しており、他の年齢性別推定システムから学習データを取得して、各年齢性別推定システムにおいて再学習を行なった。しかし、再学習は複数の年齢性別推定装置が共有するサーバで行なうこともできる。この場合には、サーバで行った学習結果を各年齢性別推定装置が利用することができる。
【0098】
図14は、本発明の第3の実施の形態の年齢性別推定システムの構成を示す図である。年齢性別推定システム30は、店舗Aに設置される監視カメラ31A及び年齢性別推定装置32Aと、店舗Bに設置される監視カメラ31B及び年齢性別推定装置32Bと、店舗Cに設置される監視カメラ31C1及び監視カメラ31C2、年齢性別推定装置32C1及び年齢性別推定装置32C2と、年齢性別推定装置32A、32B、32C1、32C2に接続されるパラメータ配信サーバ33とを備えている。
【0099】
本実施の形態の年齢性別推定システム30では、各店舗に設置された年齢性別推定装置32A、32B、32C1、32C2は、パラメータ配信サーバ33に推定パラメータの要求を送信し、パラメータ配信サーバ33から送信されてくる推定パラメータを受信して、受信した推定パラメータを用いて、自己の推定パラメータを更新する。特に、第1及び第2の実施の形態の年齢性別推定システム10、20と同様に、各年齢性別推定装置32A、32B、32C1、32C2が、それぞれ新たに設置される場合に、パラメータ配信サーバ33から自己の環境依存属性に合った推定パラメータを受けるので、設置後に直ちに適切な推定パラメータで運用を開始することができる。
【0100】
また、各年齢性別推定装置32A、32B、32C1、32C2は、それぞれ運用によって得た学習用画像をパラメータ配信サーバ33に送信することで、パラメータ配信サーバ33がそれらの学習用画像を用いて推定パラメータを生成する。即ち、各年齢性別推定装置32A、32B、32C1、32C2は、パラメータ配信サーバ33から推定パラメータを受けるとともに、他の年齢性別推定装置のために学習データを提供する。
【0101】
図15は、本実施の形態の年齢性別推定装置32の構成を示す図である。図15の年齢性別推定装置32は、図14における年齢性別推定装置32A、32B、32C1、32C2に相当する。年齢性別推定装置32において、年齢及び性別を推定するための構成は、第1及び第2の年齢性別推定装置12、22と同じである。即ち、顔検出部321が顔画像を検出して、年齢性別推定部322が推定パラメータ記憶部323に記憶された推定パラメータを用いて年齢及び性別を推定する。
【0102】
以下、パラメータ配信サーバ33から配信される推定パラメータを用いて年齢性別推定装置が推定パラメータを更新するための構成、及び年齢性別推定装置からパラメータ配信サーバ33に推定パラメータの生成に必要な情報を提供するための構成を説明する。
【0103】
(年齢性別推定装置が推定パラメータを更新するための構成)
図16は、パラメータ配信サーバ33の構成を示す図である。以下、図15及び図16を参照して、年齢性別推定装置が推定パラメータを更新するための構成を説明する。顔検出部321は、画像を取得すると画像中から顔を検出して、その顔画像を環境依存属性推定部324及び学習データ記憶部326に出力する。環境依存属性推定部324は、顔画像に基づいて、環境依存属性を推定する。本実施の形態における環境依存属性は、第2の実施の形態と同様である。環境依存属性推定部324は、推定した環境依存属性を学習データ記憶部326に出力する。
【0104】
正解入力部325は、学習データ記憶部326に記憶された顔画像について、ユーザから年齢及び性別の正解情報の入力を受けて、これを学習データ記憶部326に出力する。学習データ記憶部326は、顔検出部321から出力された顔画像に対して、環境依存属性推定部324から出力された各顔画像に対応する環境依存属性、及び正解入力部325から出力された各顔画像に対応する正解情報を関連付けて、学習データとして記憶する。
【0105】
代表学習データ抽出部327は、学習データ記憶部326に記憶された学習データの中から代表の学習データを抽出する。通常、人物は監視カメラに数秒間映ることになるので、同じ人物の顔を写した画像フレームが複数枚取得される。代表学習データ抽出部327は、動画像の動き抽出技術を使って人物の入店時の移動軌跡を求め、入店途中の同一人物についての複数の画像フレームを1つのグループにし、グループの中で最も無表情で正面向きに近く一定サイズ以上の画像を抽出して、その顔画像を含む学習データを当該人物の代表の学習データとして抽出する。
【0106】
取得/提供部328は、推定パラメータの配信を要求する際に、代表学習データ抽出部327にて抽出された代表の学習データに対して推定パラメータの要求を付加して、通信部329に出力する。通信部329は、取得/提供部328から出力された推定パラメータの要求が付加された学習データをパラメータ配信サーバ33に送信する。
【0107】
パラメータ配信サーバ33の通信部324は、複数の年齢性別推定装置から学習データを受信して、これを学習データ記憶部332及び再学習制御部333に出力する。学習データ記憶部332には、複数の年齢性別推定装置から取得した学習データが記憶されている。再学習制御部333は、学習データに推定パラメータの要求が付加されているか否かを判断し、推定パラメータの要求が付加されている場合には、その学習データをクラスタリング部335に出力して、クラスタリング部335にクラスタリングをさせる。
【0108】
クラスタリング部335は、再学習制御部333による制御に従って学習データを環境依存属性空間上でクラスタリングする。このとき、再学習制御部333で推定パラメータの要求が付加されていると判断された学習データと、学習データ記憶部332に記憶されている学習データとをそれぞれ環境依存属性空間に分布させてクラスタリングを行なう。
【0109】
環境依存属性比較部336は、再学習制御部333で推定パラメータの要求が付加されていると判断された学習データの環境依存属性空間でのクラスタリングの結果と、学習データ記憶部332に記憶されている学習データの環境依存属性空間でのクラスタリングの結果とを比較して、学習データ記憶部332に記憶されている学習データのクラスタのうち、推定パラメータの要求が付加されていた学習データのクラスタに近い(環境依存属性空間において所定の距離内にある)クラスタに含まれる学習データを特定する。特定した結果は、再学習部331に出力される。
【0110】
再学習部331は、環境依存属性比較部336によって特定されたクラスタに含まれる学習データと再学習制御部333で推定パラメータの要求が付加されていると判断された学習データとを学習データ記憶部332から読み出して、再学習を行ない、推定パラメータを生成する。生成された推定パラメータは、推定パラメータ蓄積部337に蓄積され、通信部334を介して、推定パラメータの要求が付加された学習データを送信してきた年齢性別推定装置32に対して、推定パラメータを送信する。
【0111】
年齢性別推定装置32は、パラメータ配信サーバ33から送信されてきた推定パラメータを通信部329にて受信する。取得/提供部328は、受信した推定パラメータを用いて、推定パラメータ記憶部323に記憶された推定パラメータを更新する。
【0112】
(年齢性別推定装置からパラメータ配信サーバに学習データを提供するための構成)
年齢性別推定装置32にて運用が開始されると、顔検出部321は、取得した画像から顔画像を検出する。環境依存属性推定部324は、上記で説明したように顔画像から環境依存属性を推定し、また、正解入力部325も上記で説明したように正解情報の入力を受け付ける。学習データ記憶部326は、上記で説明したように顔画像と環境依存属性と正解情報とからなる学習データを記憶する。また、代表学習データ抽出部327もまた上記と同様にして学習データ記憶部326から代表となる学習データを抽出する。
【0113】
上記のように推定パラメータの要求をせず、他の年齢性別推定装置のために画像データを提供する場合は、代表学習データ抽出部327にて抽出された学習データは、そのまま通信部329を介してパラメータ配信サーバ33に送信される。
【0114】
パラメータ配信サーバ33は、通信部334にてこの学習データを受信して学習データ記憶部332に記憶する。なお、受信した学習データは、再学習制御部333にも出力される。再学習制御部333は、学習データに推定パラメータの要求の有無を判断するが、この場合は推定パラメータの要求が付加されていないので、再学習制御部333は、再学習を行なわない。
【0115】
図17及び図18は、第3の実施の形態の年齢性別推定システム30における処理のフロー図である。まず、推定パラメータの要求を伴う学習データを生成するために、監視カメラ31が設置された状態で、複数の画像を撮影する(ステップS171)。顔検出部321は、それらの画像から顔を検出して、顔画像を環境依存属性推定部324及び学習データ記憶部326に出力する(ステップS172)。
【0116】
環境依存属性推定部324は、顔検出部321にて検出された顔画像の環境依存属性を推定する(ステップS173)。正解入力部325は、顔画像について、年齢及び性別の正解の入力受け付けて、それを対応する顔画像及びその顔画像について推定された環境依存属性とともに、学習データとして学習データ記憶部326に記憶する(ステップS174)。代表学習データ抽出部327は、学習データ記憶部326に記憶された学習データの中から、代表の学習データを抽出する(ステップS175)。
【0117】
次に、代表学習データ抽出部327は、推定パラメータを要求するか否かを判断する(ステップS176)。監視カメラ31及び年齢性別推定装置32が新設された際には、推定パラメータ推定パラメータを要求する場合は(ステップS176にてYES)、代表学習データ抽出部327は抽出した学習データを取得/提供部328に出力し、取得/提供部328が学習データに推定パラメータの要求を付加して通信部329に出力し(ステップS177)、通信部329が推定パラメータの要求が付加された学習データをパラメータ配信サーバ33に送信する(ステップS178)。推定パラメータを要求しない場合には(ステップS176にてNO)、代表学習データ抽出部327は、抽出した学習データを通信部329に出力し、通信部329はその学習データをパラメータ配信サーバ33に送信する(ステップS178)。
【0118】
パラメータ配信サーバ33の通信部334は、学習データを受信して、学習データ記憶部332及び再学習制御部333に出力する(ステップS181)。学習データ記憶部332は、学習データを記憶する(ステップS182)。再学習制御部333は、学習データに推定パラメータの要求が付加されているか否かを判断する(ステップS183)。
【0119】
学習データに推定パラメータの要求が付加されている場合は(ステップS183でYES)、クラスタリング部335が、学習データ記憶部332にもともと記憶されている学習データ及び推定パラメータの要求が付加された学習データをそれぞれ環境依存属性空間に分布させて、クラスタリングする(ステップS184)。学習データに推定パラメータの要求が付加されていない場合は(ステップS183でNO)、そのまま処理を終了する。
【0120】
次に環境依存属性比較部336が、環境依存属性空間における、推定パラメータの要求が付加された学習データの分布と、学習データ記憶部332にもともと記憶されている学習データの分布とを比較して、学習データ記憶部332にもともと記憶されている学習データのクラスタのうち、推定パラメータの要求が付加された学習データのクラスタに近いものを特定する(ステップS185)。
【0121】
次に、再学習部331は、学習データ記憶部332にもともと記憶されている学習データのうちの環境依存属性比較部336で特定された学習データ、及び推定パラメータの要求が付加された学習データを用いて、推定パラメータを生成し、推定パラメータ蓄積部337に蓄積する(ステップS186)。そして、送信部334は、年齢性別推定装置32に生成した推定パラメータを送信する(ステップS187)。
【0122】
年齢性別推定装置32の通信部329は、パラメータ配信サーバ33から送信されてきた推定パラメータを受信する(ステップS188)。取得/提供部328は、受信した推定パラメータを用いて推定パラメータ記憶部323に記憶されている推定パラメータを更新する(ステップS189)。
【0123】
以上のように、第3の実施の形態の年齢性別推定システム30によれば、各店舗に設置される年齢性別推定装置32は、パラメータ配信サーバ33に学習データを送信することで、自己の環境依存属性に応じた推定パラメータをパラメータ配信サーバ33から受けることができる。また、各店舗では再学習による推定パラメータを生成する必要がないので、各店舗に必要な構成を簡略化できる。
【0124】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態の年齢性別推定システム40の基本的な構成は、図14で示した第3の実施の形態の年齢性別推定システム30の基本構成と同じである。本実施の形態では、年齢性別推定装置42及びパラメータ配信サーバ43の構成が第3の実施の形態とは異なる。
【0125】
図19は、第4の実施の形態の年齢性別推定装置の構成を示す図である。本実施の形態の年齢性別推定装置において年齢及び性別の推定のための構成は第3の実施の形態と同様である。即ち、顔検出部421が顔画像を検出して、年齢性別推定部422が推定パラメータ記憶部423に記憶された推定パラメータを用いて年齢及び性別を推定する。
【0126】
環境依存属性指定部424は、ユーザから、監視カメラ41の環境依存属性の指定を受け、これを記憶する。本実施の形態において、環境依存属性は、監視カメラ41にて撮影される人物が正面を向いている場合の顔の向き(左右方向及び上下方向)である。ユーザは、監視カメラ11を設置した時に、その設置状況に応じて、環境依存属性指定部124に、左右方向の角度及び上下方向の角度をそれぞれ入力することで、環境依存属性として、正面を向いた人物の監視カメラ41に対する顔の向きを指定する。
【0127】
取得/提供部428は、推定パラメータの要求を生成し、環境依存属性指定部424にて指定された環境依存属性に付加して、通信部429に出力する。通信部429は推定パラメータの要求が付加された環境依存属性をパラメータ配信サーバ43に送信する。
【0128】
図20は、第4の実施の形態のパラメータ配信サーバ43の構成を示す図である。パラメータ配信サーバ43は、通信部434と、推定パラメータ提供部433と、推定パラメータ蓄積部437とを備えている。推定パラメータ蓄積部437には、予め環境依存属性ごとに、各環境依存属性に対応する推定パラメータが蓄積されている。
【0129】
通信部434は、年齢性別推定装置42から、推定パラメータの要求が付加された環境依存属性を受信する。推定パラメータ提供部433は、通信部434にて受信した推定パラメータの要求が付加された環境依存属性に対押忍売る推定パラメータを、推定パラメータ蓄積部437から読み出して、通信部434に出力する。通信部434は、推定パラメータ433が推定パラメータ蓄積部437より読み出した推定パラメータを年齢性別推定装置42に送信する。
【0130】
年齢性別推定装置42の通信部429は、パラメータ配信サーバ43から送信されてきた推定パラメータを受信して、取得/提供部428に出力する。取得/提供部428は、通信部429にて受信した推定パラメータを用いて推定パラメータ記憶部423に記憶された推定パラメータを更新する。
【0131】
図21は、第4の実施の形態の年齢性別推定システム40における処理のフロー図である。この処理フローは、監視カメラ41及び年齢性別推定装置42が新たに設置された際に実行される。まず、監視カメラ41の設置状況に従って、ユーザが環境依存属性指定部424にて環境依存属性を指定する(ステップS211)。次に、取得/提供部428が推定パラメータの要求を生成し、環境依存属性指定部424にて指定された環境依存属性に付加する(ステップS212)。そして、通信部429が、推定パラメータの要求が付加された環境依存属性を送信する(ステップS213)。
【0132】
通信部434が、年齢性別推定装置42から、推定パラメータの要求が付加された環境依存属性を受信すると(ステップS214)、推定パラメータ提供部433は、その環境依存属性に対応する推定パラメータを、推定パラメータ蓄積部437から読み出す(ステップS215)。そして、通信部434は、推定パラメータ433が推定パラメータ蓄積部437より読み出した推定パラメータを年齢性別推定装置42に送信する(ステップS216)。
【0133】
次に、年齢性別推定装置42の通信部429が、パラメータ配信サーバ43から送信されてきた推定パラメータを受信する(ステップS217)。そして、取得/提供部428が、受信した推定パラメータを用いて推定パラメータ記憶部423に記憶された推定パラメータを更新する(ステップS218)。
【0134】
以上のように、第4の実施の形態の年齢性別推定システム40によれば、各店舗の年齢性別推定装置42において、環境依存属性を指定してパラメータ配信サーバ43に送信することで、その環境依存属性に対応する推定パラメータをパラメータ配信サーバ43から受けることができる。また、各店舗の年齢性別推定装置42では再学習によって推定パラメータを生成する必要がないので、各店舗における構成を簡略化できる。
【0135】
[変形例]
以上、第1乃至第4の実施の形態を説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限られず、種々の変形が可能である。以下、変形例を説明する。
【0136】
(再学習のタイミング)
上記の実施の形態では、店舗に年齢性別推定システム10、20(第1及び第2の実施の形態)又は監視カメラ31、41と年齢性別推定装置32、42(第3及び第4の実施の形態)が新設される際に、再学習を行なった。しかし、再学習は運用開始後にも行なわれてよい。この場合には、第1及び第2の実施の形態の再学習制御サーバ13、23又は第3及び第4の実施の形態のパラメータ配信サーバ33、43は、再学習要否判定部を備える。
【0137】
再学習要否判定部は、例えば、推定結果の全年代の確信度の低い顔が一定以上取得されたときに再学習を行なうよう、必要な構成を制御する。この場合は、正解率が低くなっている可能性があるので、再学習によって推定パラメータを更新することで推定精度の向上が期待できる。なお、確信度とは年齢性別推定装置に出力させる値であり、人間にたとえて言えば、推定結果に自信があるときには高い確信度を出力させ、推定結果に自信がないときには低い確信度を出力させるようにしておく。統計モデルを使う手法では尤度を確信度とすることができ、クラスタリングを使う手法ではクラスタ境界からの距離を確信度とすることができる。
【0138】
図22は、年齢推定のための特徴量空間を示す図である。図22に示すように、特徴量空間において、20歳台と推定される領域R222、30歳台と推定される領域R223、40歳台と推定される領域R224、及び50歳台と推定される領域R225が配置されている場合において、何れの領域にも属さない「×」で示したような顔画像が一定数以上取得された場合には、再学習要否判定部は、再学習が必要であると判断する。
【0139】
再学習要否判定部は、また、環境依存属性空間において、学習用画像の各年齢別のクラスタの中心から閾値以上離れた顔画像が一定数以上取得されたときに再学習が必要であると判断してよい。この場合は、店舗の商品などのレイアウト変更によって、環境が変化した可能性があるので、再学習によって推定パラメータを更新することで推定精度の向上が期待できる。
【0140】
図23は、環境依存属性空間を示す図である。図23に示すように、環境依存属性空間に学習データを分布させたときの、20歳台の学習用画像のクラスタC232、30歳台の学習用画像のクラスタC233、40歳台の学習用画像のクラスタC234、及び50歳台の学習用画像のクラスタC235の何れのクラスタにも属さない(どの学習用画像からも離れた)「×」で示したような顔画像が一定数以上取得された場合には、再学習要否判定部は、再学習が必要であると判断する。
【0141】
再学習要否判定部は、また、環境依存属性空間において、学習用画像の統計量と取得される顔画像の統計量との差が所定の閾値以上となったときに再学習が必要であると判断してよい。この場合は、店舗の商品などのレイアウト変更によって、環境が変化した可能性があるので、再学習によって推定パラメータを更新することで推定精度の向上が期待できる。顔画像の統計量としては、例えば、1時間あたりの顔の向きの平均とすることができる。
【0142】
図24は、環境依存属性空間を示す図である。図24に示すように、環境属性空間における学習用画像の平均(図中の「○」)と、直近の1時間以内に撮影された顔画像の平均(図中の「×」)との間の距離が所定の閾値以上となった場合には、再学習要否判定部は、再学習が必要であると判断する。
【0143】
(環境依存属性の他の例)
上記の実施の形態において、環境依存属性の例として、顔の向きや顔特徴を挙げて説明したが、環境依存属性は、これらに代えて、又はこれらに加えて、例えば、撮影箇所の明るさ、光源の方向、画像中の顔領域の解像度であってよい。環境依存属性を推定する場合には、撮影箇所の明るさは、例えば、監視カメラで撮影された画像の輝度ヒストグラムによって推定できる。光源の方向は、監視カメラで撮影された画像を分析することで推定できる。また、顔領域の解像度は、顔検出部にて検出される顔領域の大きさによって推定できる。
【0144】
さらに、環境依存属性は、監視カメラの仕様に依存する属性であってもよい。監視カメラの仕様に依存する属性とは、例えば、監視カメラから年齢性別推定装置へ画像を転送するビットレートである。環境依存属性を推定する場合には、ビットレートは、例えば、監視カメラからその情報を取得することで推定できる。
【0145】
(学習データを提供してもらう年齢性別推定システムの選択)
第1及び第2の実施の形態において、ある年齢性別推定システムから他の年齢性別推定システムに対して学習データの要求をした場合に、複数の他の年齢性別推定システムが当該要求に合致する学習データを持っていた場合には、推定精度(正解率)の高い年齢性別推定システムから学習データを取得してもよい。各年齢性別推定システムの推定精度は、例えば、各年齢性別推定システムにおいて撮影された画像に対して正解情報を入力し、実際の推定結果と比較することで求めることができる。
【0146】
(異なる環境依存属性の顔画像の合成)
第3及び第4の実施の形態のパラメータ配信サーバ33、43において、学習用画像に基づいて推定パラメータを生成する際に、例えば、正解情報を付与された正面向きの顔から右向き15度の顔画像を合成してもよい。この変形例は、再学習用画像が不足している場合に有効である。また、合成により生成された顔画像については改めて正解情報を与える必要がないので、推定パラメータを生成するための学習データの収集作業の負担を軽減できる。
【0147】
(正解入力時のガイド)
ユーザに正解情報を入力してもらって学習データを生成した際に、一部の年代の学習データが不足する場合がある。このような場合には、正解入力部は、年齢性別推定部にて当該不足している年代と推定された顔画像をユーザに提示して、ユーザに正解情報の入力を促すようにしてもよい。このようにすることで、学習データとして各年代のデータが満遍なく取得できる。
【0148】
(学習データの数量制限)
上記の実施の形態では、各店舗の環境依存属性に近い環境依存属性を有する学習データを補強して推定パラメータを更新することで、学習精度を向上させている。しかしながら、補強をする学習データがある年代に偏っている場合には、そのような学習データを補強して推定パラメータを更新することで、その他の年代の推定精度が低下することがある。
【0149】
そこで、補強する学習データにおいて年代に偏りがある場合には、そのような偏りを軽減するために、学習データの数量が多い年代については、学習データの数量を制限してよい。
【0150】
(その他の変形例)
上記の第1の実施の形態の実施の形態では、学習データ記憶部132には、初期推定パラメータを生成する際に用いた学習データは記憶されておらず、再学習の際には、他の年齢性別推定システムから取得した学習データのみを用いて再学習を行なったが、第1の実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、初期推定パラメータを生成した際の学習データを学習データ記憶部132に記憶しておいて、再学習の際には、他の年齢性別推定システムから取得した学習データとともに初期推定パラメータを生成した際の学習データを用いて再学習を行なってよい。
【0151】
また、上記の実施の形態では、年齢性別推定装置の製造出荷時には、推定パラメータ記憶部に初期推定パラメータが記憶されており、本発明を採用して再学習を行なわなくとも、設置直後から年齢及び性別の推定をできる構成となっていたが、製造出荷時に初期推定パラメータが記憶されていなくてもよい。この場合には、本発明を利用して再学習を行なうことで推定パラメータが生成されて、運用を開始できるようになる。
【0152】
また、上記の実施の形態では、顔検出部において、監視カメラが生成した画像から顔を検出して、顔画像を生成したが、監視カメラの設置位置と推定対象の人物との関係から、監視カメラの画像全体に人物の顔が写るのであれば、顔検出部は不要である。
【0153】
また、上記の実施の形態では、人物の属性として年齢及び性別を挙げて説明したが、年齢又は性別のいずれか一方のみを推定してもよい。また、人物の属性は、目的に応じて他の属性であってもよい。例えば、人物の属性は、人種(白人、黒人、黄色人種等)であってよい。
【0154】
また、上記の第3及び第4の実施の形態において、パラメータ配信サーバは、複数のサーバPC(パーソナル・コンピュータ)を集めたPC群によって構成されてもよい。この場合には、個々のデータを適切なPCに振り分けて保存してパラメータ配信サーバ全体の負荷を小さくするなどのクラウドコンピューティングの機能が組み込まれる。
【0155】
また、上記の実施の形態では、監視カメラを店舗の入口付近に設置したが、監視カメラは例えばレジ付近に設置して、代金の支払いをする来店客の顔を撮影するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0156】
以上のように、本発明は、環境依存属性によらずに推定精度を向上することができ、
学習に基づく推定パラメータを用いて人物の画像から人物の属性を推定する人物属性推定システム等として有用である。
【符号の説明】
【0157】
10、20、30、40、50 年齢性別推定システム
11、21、31、41、51 監視カメラ
12、22、32、42、52 年齢性別推定装置
121、221、321、421、521 顔検出部
122、222、322、422、522 年齢性別推定部
123、223、323、423、523 推定パラメータ記憶部
124、424 環境依存属性指定部
224、324 環境依存属性推定部
125、225、325 正解入力部
326 学習データ記憶部
327 代表学習データ抽出部
328、428 取得/提供部
329、429 通信部
13、23 再学習制御サーバ
33、43 パラメータ配信サーバ
231、231、331 再学習部
132、232、332 学習データ記憶部
133、233 学習データ取得/提供部
333 再学習制御部
433 推定パラメータ提供部
134、234、334、434 通信部
235、335 クラスタリング部
236、336 環境依存属性比較部
337、437 推定パラメータ蓄積部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
属性推定対象の人物を撮影して画像を生成するカメラと、
推定パラメータを用いて、前記カメラが生成した画像に写っている人物の属性を推定する属性推定部と、
前記カメラの設置環境に依存する属性である環境依存属性を取得する環境依存属性取得部とを備え、
前記属性推定部は、環境依存属性空間において、前記環境依存属性取得部にて取得した前記環境依存属性から所定の距離内にある環境依存属性を有する学習データに基づいて生成されたパラメータを前記推定パラメータとして用いる
ことを特徴とする人物属性推定システム。
【請求項2】
前記環境依存属性空間において、前記環境依存属性取得部にて取得した前記環境依存属性から所定の距離内にある環境依存属性を有する前記学習データに基づいて前記推定パラメータを生成する再学習部をさらに備え、
前記属性推定部は、前記再学習部にて生成された前記推定パラメータを用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の人物属性推定システム。
【請求項3】
前記環境依存属性取得部は、ユーザによる前記環境依存属性の指定を受け付けることで前記環境依存属性を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の人物属性推定システム。
【請求項4】
前記環境依存属性取得部は、前記カメラが生成した画像に基づいて、前記環境依存属性を推定することで前記環境依存属性を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の人物属性推定システム。
【請求項5】
前記人物属性推定システムは、他の人物属性推定システムと通信可能に接続されており、
さらに、前記環境依存属性空間において、前記環境依存属性取得部にて取得した前記環境依存属性から所定の距離内にある環境依存属性を有する前記学習データを前記他の人物属性推定システムから通信によって取得する学習データ取得部を備え、
前記再学習部は、前記学習データ取得部にて取得された前記学習データを用いて前記推定パラメータを生成し、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の人物属性推定システム。
【請求項6】
複数の前記カメラと、
前記複数のカメラにそれぞれ接続され、かつ、少なくとも前記属性推定部及び前記環境依存属性取得部を備えた複数の人物属性推定装置と、
前記複数の人物推定装置と通信可能に接続され、前記人物推定装置に、前記属性推定部にて用いる前記推定パラメータを通信により提供するパラメータ提供サーバと、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の人物属性推定システム。
【請求項7】
前記カメラにて生成された画像について、ユーザから人物属性についての正解情報の入力を受け付ける正解入力部と、
前記カメラにて生成された画像と、当該画像について前記環境依存属性取得部にて取得された前記環境依存属性と、当該画像について前記正解入力部にて入力された正解情報とを含む前記学習データを記憶する学習データ記憶部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の人物属性推定システム。
【請求項8】
属性推定対象の人物を撮影して画像を生成するカメラに接続され、
推定パラメータを用いて、前記カメラが生成した画像に写っている人物の属性を推定する属性推定部と、
前記カメラの設置環境に依存する属性である環境依存属性を取得する環境依存属性取得部とを備え、
前記属性推定部は、環境依存属性空間において、前記環境依存属性取得部にて取得した前記環境依存属性から所定の距離内にある環境依存属性を有する学習データを用いて得られたパラメータを前記推定パラメータとして用いる
ことを特徴とする人物属性推定装置。
【請求項9】
カメラを用いて属性推定対象の人物を撮影して画像を生成する画像生成ステップと、
推定パラメータを用いて、前記画像生成ステップにて生成した画像に写っている人物の属性を推定する属性推定ステップと、
前記カメラの設置環境に依存する属性である環境依存属性を取得する環境依存属性取得ステップとを含み、
前記属性推定ステップでは、環境依存属性空間において、前記環境依存属性取得部にて取得した前記環境依存属性から所定の距離内にある環境依存属性を有する学習データに基づいて生成されたパラメータを前記推定パラメータとして用いる
ことを特徴とする人物属性推定方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−252507(P2012−252507A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124424(P2011−124424)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】