説明

仕切り板移送装置

【課題】既存の開孔が多数設けられた仕切り板を用いることができると共に、仕切り板を安定的に保持、移送することが可能な仕切り板移送装置を提供すること。
【解決手段】バスケット内に多数の缶詰を複数段積み上げて収容する際に、隣り合う2段の缶詰の間に介在させる仕切り板を、仕切り板収納部からバスケット内に移送させる仕切り板移送装置であって、仕切り板を保持する保持機構と、保持機構と連結される移動機構と、を備え、保持機構は、保持機構と移動機構とを連結する連結部と、連結部を起点として遠心方向に延びるように配置される複数の支持部材22と、複数の支持部材22の端部側に配置され下方に突出するピン232を有するピンフレーム23と、複数のピンフレーム23を移動させるピンフレーム移動手段24と、複数のピンフレーム23の両側に配置され、複数のピンフレーム23の移動をガイドするガイドフレーム25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切り板移送装置に関し、詳細には缶詰等をレトルト殺菌処理する際に、缶詰をバスケット内に多段積みするために用いられる仕切り板の移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に缶コーヒーをはじめとする食品用の缶詰には、該缶詰の殺菌を目的としてレトルト加熱殺菌処理が施される。このレトルト加熱殺菌処理は、レトルト釜への缶詰の収容効率を向上させるために、多数の缶詰がバスケット内に多段に収容された状態で行われる。そして、バスケット内に缶詰を多段に収容するために、各段の缶詰群と缶詰群との間には、仕切り板が介在されている。また、仕切り板には、レトルト加熱殺菌処理においてバスケット内で蒸気や水がすべての缶詰に対して均一に貫流するように、多数の開孔が設けられている。
【0003】
バスケットへの缶詰の多段収容は、一段分の缶詰群と一枚の仕切り板とが交互にバスケットへと収容されて行われる。仕切り板を、バスケット内における一段分の缶詰群の上に載置する際には、仕切り板移送装置が用いられる。仕切り板移送装置によって、仕切り板は、複数枚の仕切り板が積層されて収納された仕切り板収納部から最上段のものが保持され、保持された仕切り板が垂直方向上方に移動され、次いで水平移動されて仕切り板収納部に隣り合う位置に配置されたバスケット内における一段分の缶詰群上に載置される。
【0004】
仕切り板移送装置における仕切り板を保持する手段として、4つの真空吸着手段を備え、該真空吸着手段により仕切り板を吸着、保持するものが提示されている(特許文献1参照)。
しかし、特許文献1記載の保持手段においては、仕切り板を真空吸着手段によって吸着させるために、仕切り板における真空吸着手段の吸着部位には開孔を設けることができず、レトルト加熱殺菌処理時に蒸気や水が均一に貫流しないという問題があった。
そこで、仕切り板の略全域に亘って多数の開孔を形成したものとして、仕切り板に形成されている多数の開孔のうちの所定の開孔の形状を上面側が縮径したテーパ形状とし、保持手段はその先端を円錐形状とし、該テーパ形状の傾斜角と略同一角度で開く爪を備えることにより、仕切り板を保持する仕切り板移送装置も提示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】実開昭61−17007号公報
【特許文献2】特開平7−87941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2記載の仕切り板移送装置においては、仕切り板のうちの所定の開孔のみを特殊な形状の開孔とする必要があり、既存の同形状の開孔が多数設けられた仕切り板を使用できないという問題があった。また、仕切り板は、繰り返し使用されるものであるため、レトルト加熱殺菌処理工程において繰り返し高温状態下にさらされることとなる。そのため、仕切り板の長期に亘る使用により、所定の開孔の形状が変形してテーパ形状の傾斜角が変化することにより、保持手段により仕切り板を安定して保持できなくなるという問題もあった。
【0006】
従って、本発明の目的は、既存の同形状の開孔が多数設けられた仕切り板を用いることができると共に、仕切り板を安定的に保持、移送することが可能な仕切り板移送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 上面が開口したバスケット内に多数の缶詰を垂直方向に複数段積み上げて収容する際に、垂直方向に隣り合う2段の缶詰の間に介在させる仕切り板であって多数の開孔が設けられた仕切り板を、仕切り板収納部から前記バスケット内に移送させる仕切り板移送装置であって、前記仕切り板を保持する保持機構と、該保持機構と連結され該保持機構を垂直方向及び水平方向に移動可能な移動機構と、を備え、前記保持機構は、該保持機構と前記移動機構とを連結する連結部と、前記連結部を起点として水平方向における遠心方向に延びるように配置される複数の支持部材と、前記複数の支持部材それぞれの端部側に配置され垂直方向における下方に突出するピンを有するピンフレームと、前記複数のピンフレームそれぞれを水平方向における前記遠心方向に移動させるピンフレーム移動手段と、前記複数のピンフレームそれぞれにおける前記遠心方向に交差する方向の両側に配置され、該複数のピンフレームそれぞれの移動をガイドするガイドフレームと、を備える仕切り板移送装置。
【0008】
(2) 前記保持機構は、前記ピンが前記多数の開孔における所定の開孔に挿入された状態で、前記ピンフレームを前記遠心方向に移動させると共に該所定の開孔の側壁に前記ピンを当接させて前記仕切り板を移送可能に保持する(1)記載の仕切り板移送装置。
【0009】
(3) 前記ガイドフレームは、前記ピンが前記所定の開孔に挿入された状態で、該ガイドフレームの垂直方向における下面が前記仕切り板の垂直方向における上面を押圧する(1)又は(2)記載の仕切り板移送装置。
【0010】
(4) 前記仕切り板は矩形形状を有し、前記保持機構は、4本の支持部材と4つのピンフレームとを有し、前記4つのピンフレームそれぞれにおける前記ピンそれぞれは、前記複数の開孔のうち前記仕切り板における4つの頂点近傍にそれぞれ位置する所定の開孔に挿入される(1)〜(3)のいずれかに記載の仕切り板移送装置。
【0011】
(5) 前記ガイドフレームは、前記ピンフレームに対向する面が凹状に窪んで形成されたガイド部を有し、前記ピンフレームは、前記ガイドフレームに対向する面に配置されるローラー部材を備え、前記ローラー部材は、前記ガイド部に回転可能に収容される(1)〜(4)のいずれかに記載の仕切り板移送装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の仕切り板移送装置によれば、既存の同形状の開孔が多数設けられた仕切り板を用いることができると共に、仕切り板を安定的に保持、移送することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の仕切り板移送装置について、その好ましい一実施形態に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の仕切り板移送装置の概略を示す平面図である。図2は、図1に示す仕切り板移送装置の保持機構における支持部材の先端部を示す拡大斜視図である。図3は、図2に示す支持部材の先端部の側面図であり、ピンフレームが内方に位置している状態を示す図である。図4は、図2に示す支持部材の先端部の側面図であり、ピンフレームが外方に位置している状態を示す図である。図5は、図2に示す支持部材の先端部の平面図であり、ピンフレームが内方に位置している状態を示す図である。図6は、図2に示す支持部材の先端部の平面図であり、ピンフレームが外方に位置している状態を示す図である。図7は、図2に示す支持部材の先端部の正面図である。図8は、本発明の仕切り板移送装置を用いて仕切り板を移送する工程の概略を図1におけるX−X線の断面図により示した図である。
【0015】
本実施形態の仕切り板移送装置1は、図1に示すように、上面が開口したバスケット内に多数の缶詰を垂直方向に複数段積み上げて収容する際に、垂直方向に隣り合う2段の缶詰の間に介在させる仕切り板4を、複数の仕切り板4が積層されて収納された仕切り板収納部5から、それに隣り合って配置されているバスケット収容部6に収容されているバスケット内に移送させるものである。
【0016】
本実施形態で用いられる仕切り板4は、図1に示すように、平面視において矩形形状を有しており、多数の開孔41が設けられたものである。多数の開孔41それぞれの形状は、略円形であり、また、それぞれの開孔41の大きさは略等しくなっている。多数の開孔41は、レトルト加熱殺菌処理において、バスケット内で蒸気や水がすべての缶詰に対して均一に貫流するようにする観点から、仕切り板4の全面に亘って縦横に設けられていることが好ましい。
また、本実施形態においては、仕切り板4は、ポリプロピレン製のものが用いられている。仕切り板4は、ポリプロピレン等からなる樹脂製のものの他、アルミニウム等の金属製のものを用いることもできる。
【0017】
仕切り板移送装置は、図1に示すように、仕切り板4を保持する保持機構2と、該保持機構2に連結され該保持機構2を垂直方向及び水平方向に移動可能な移動機構3とを備えている。
移動機構3は、図1及び図8に示すように、保持機構2と連結される移動機構本体部31と、保持機構2を垂直方向に移動させる垂直移動手段32と、保持機構2を水平方向に移動させる水平移動手段33とを備えている。
【0018】
垂直移動手段32は、移動機構本体部31における下面に設けられた保持機構昇降シリンダーにより、保持機構2を垂直方向に上下移動させるように構成されている。
水平移動手段33は、図1に示すように、仕切り板収納部5とバスケット収容部6との間におけるこれらの上方に架け渡された2本のレールと、移動機構本体部31に配置されるローラー(図示せず)とを備える。水平移動手段33は、ローラーがレール上を移動することによって移動機構本体部31に連結された保持機構2を水平方向におけるレールが配されている方向に移動させる。
【0019】
保持機構2は、図1に示すように、保持機構2と移動機構3とを連結する連結部21と、連結部21を起点として水平方向における遠心方向に延びるように配置される複数の支持部材22とを備えている。本実施形態においては、連結部21からは、4本の支持部材22が放射状に延びるように配置されている。
連結部21及び4本の支持部材22における垂直方向の下方には、図1に示すように、矩形形状の板状部材26が連結されている。板状部材26は、4本の支持部材22のそれぞれと連結され固定されている。
4本の支持部材22それぞれの先端部近傍には、図2に示すように、垂直方向における下方に突出するピン232を有するピンフレーム23と、4本のピンフレーム23それぞれを遠心方向及び反遠心方向に移動させるピンフレーム移動手段24と、4本のピンフレーム23それぞれにおける遠心方向に交差する方向の両側に配置され、4本のピンフレーム23それぞれの移動をガイドするガイドフレーム25とが設けられている。
【0020】
ピンフレーム23は、図2〜図7に示すように、略直方体形状のピンフレーム本体部231とピンフレーム本体部231の下面から下方に突出するピン232と、ピンフレーム本体部231の上面から上方に突出し、ピンフレーム移動手段24に連結されるピンフレーム連結部233とを備えている。
ピン232は略円柱形状を有しており、その周面には多数の凹凸(図示せず)が形成されている。このようにピン232の周面に多数の凹凸を形成することにより、後述する仕切り板4の開孔41における側壁との摩擦力が大きくなり、仕切り板4の保持が容易となる。
【0021】
ピンフレーム本体部231における水平方向であって遠心方向に交差する方向側の両側面には、それぞれローラー部材234が配されている。本実施形態においては、ローラー部材234は、図2に示すように、両側の側面のそれぞれに2つずつ、即ち2対のローラー部材234が配されている。対となっているローラー部材234は、ピンフレーム本体部231を貫通する軸235により互いに連結され、それぞれのローラー部材234は、軸235を中心として回転可能となっている。
【0022】
ピンフレーム移動手段24は、ピンフレーム移動シリンダー240からなる。ピンフレーム移動シリンダー240は、図2〜図6に示すように、ピンフレーム23よりも保持機構2における中心側、即ち連結部21側に配置されており、円筒状のシリンダーチューブ241とシリンダーチューブ241の一端から伸び縮みする棒状のピストンロッド242を備えている。ピンフレーム移動シリンダー240とピンフレーム23とは、ピストンロッド242の先端部とピンフレーム連結部233とが連結されることにより連結されている。そして、ピンフレーム23は、ピストンロッド242が伸び縮みすることにより水平方向に移動される。
本実施形態においては、ピストンロッド242が伸びることによって、ピンフレーム23は遠心方向に移動され(図4及び図6参照)、ピストンロッド242が縮むことによってピンフレーム23は反遠心方向に移動される(図3及び図5参照)。
【0023】
ガイドフレーム25は、図7に示すように、ピンフレーム23に対向する面が凹状に窪んで形成されたガイド部250を有している。本実施形態においては、ガイドフレーム25は、1対のガイドフレーム構成部材251,251を備えており、1対のガイドフレーム構成部材251,251のそれぞれは、ピンフレーム23に対向する面が凹状に窪んだ形状を有している。即ち、1対のガイドフレーム構成部材251,251は、その垂直方向における断面がそれぞれ略コの字形状を有しており、それらの略コの字形状における凹状に窪んだ側の面同士が、ピンフレーム23を挟んで向かい合うように配置されている。そして、1対のガイドフレーム構成部材251,251それぞれにおける凹状に窪んだ部分がガイド部250となっている。
【0024】
ガイドフレーム25におけるガイド部250、即ち1対のガイドフレーム構成部材251,251それぞれにおける凹状に窪んだ部分には、ピンフレーム本体部231における両側の側面に配されているローラー部材234が回転可能に収容されている。本実施形態においては、このローラー部材234がガイド部250にガイドされながら回転して、ピンフレーム23が水平方向に移動される。
【0025】
また、ガイドフレーム25の底面は、平面状に形成されている。そして、上述したピン232は、その下端が、ガイドフレーム25の底面よりも下方に位置するように構成されている。
【0026】
本実施形態においては、図2〜図7に示すように、ピンフレーム移動シリンダー240及び一対のガイドフレーム構成部材251,251は、複数の固定部材27を介して支持部材22の先端部近傍に連結されている。
【0027】
次に、本実施形態の仕切り板移送装置1を構成する各部材の好ましい大きさについて述べる。
仕切り板4の大きさは、レトルト釜に収容できるバスケットの大きさによって適宜選択できる。仕切り板4の平面視における形状が長方形である場合には、好ましくは、その長辺の長さが168.0〜168.5cm、短辺の長さが130.0〜130.5cmである。また、仕切り板4の厚みは、好ましくは0.6〜0.5cmである。
仕切り板4に設けられる多数の開孔41それぞれの大きさは、開孔41の形状が円形の場合、好ましくはその直径が2.0〜2.5cmである。開孔41の直径が2.0cm未満の場合には、レトルト加熱殺菌処理において、バスケット内で蒸気や水が十分に貫流せず、バスケット内の缶詰に均一に熱が加わらないおそれがある。開孔41の直径が3.0cmを超えた場合には、仕切り板4上に載置される缶詰が傾いたり、開孔41から抜け落ちてしまうおそれがある。
【0028】
ピンフレーム23におけるピン232の長さは、仕切り板4を安定的に保持する観点から、好ましくは0.6〜0.5cmである。また、ピン232の太さは、ピン232の強度を確保する観点から、好ましくは、その直径が0.8〜0.9cmである。
【0029】
次に、本実施形態の仕切り板移送装置1によって仕切り板が移送される様子を図8を参照して、また、保持機構2によって仕切り板4が保持される様子を図3〜図6を参照して説明する。本実施形態の仕切り板移送装置1においては、まず、保持機構2が仕切り板収納部5の上方に位置する状態で、移動機構3における垂直移動手段32によって保持機構2が下方に移動される。保持機構2は、ピン232の底面と、仕切り板収納部5に収納されているうちの最上段の仕切り板4の上面との間の距離が所定距離となるまで下方に移動される。この状態においては、ピンフレーム23は、内方側に位置している(図3及び図5参照)。
ついで、仕切り板収納部5における仕切り板4の積層体が位置調整手段61によって上方に移動される。仕切り板4の積層体は、保持機構2における板状部材26の下面に備えられたセンサー(図示せず)と仕切り板4とが接触するまで上方に移動される。そして、仕切り板4の積層体が上方に移動されることにより、4本のピン232は、図3及び図5に示すように、多数の開孔41のうちの所定の開孔41aにそれぞれ挿入される。本実施形態においては、4本のピン232は、それぞれ矩形形状の仕切り板4における4つの頂点近傍に位置する開孔41aに挿入される。また、ピン232が所定の開孔41aに挿入された状態において、ガイドフレーム25の底面が仕切り板4の上面を押圧する(図3〜図6参照)。
【0030】
このように、保持機構2において、4つのピン232が、仕切り板4における4つの頂点近傍にそれぞれ位置する所定の開孔41aに挿入されて仕切り板4を保持するため、仕切り板4を安定的に保持、移送することができる。
【0031】
ついで、4本のピン232がそれぞれ所定の開孔41aに挿入された状態で、それぞれのピンフレーム23がピンフレーム移動手段24により、遠心方向に移動される(図4及び図6参照)。ピンフレーム移動手段24は、上述したセンサー(図示せず)が仕切り板4と接触したことを感知することにより作動するように構成されている。そして、ピンフレーム23が遠心方向に移動することにより、ピン232が所定の開孔41aの側壁に当接する。本実施形態においては、4本のピン232が、それぞれ所定の開孔41aにおける外側の側壁に当接し、当接したピン232のそれぞれが、開孔41aの側壁を外側に押圧することにより仕切り板4を移送可能に保持する。
【0032】
ついで、保持機構2は、図8に示すように、仕切り板4を保持した状態で、移動機構3における垂直移動手段32により上方に移動され、更に、水平移動手段33によりバスケット収容部6上に移動される。
保持機構2により保持された状態で、バスケットが収容されたバスケット収容部6上に移動された仕切り板4は、移動機構3における垂直移動手段32により、バスケット内の所定位置まで下方に移動される。バスケット内には、一段分の缶詰群7が缶詰載置手段(図示せず)により載置されており、仕切り板4は、この缶詰群7上に配置される。
【0033】
バスケット内における缶詰群上に配置された仕切り板4は、ピンフレーム移動手段24により、ピンフレーム23が反遠心方向に移動され、保持機構2による仕切り板4の保持状態が解除される。これにより、仕切り板4はバスケット内における缶詰群7上に載置される。仕切り板4をバスケット内に移送した保持機構2は、再び移動機構3により、仕切り板収納部5に移動される。
【0034】
本実施形態の仕切り板移送装置1においては、このようにして仕切り板4がバスケット内に移送され、缶詰群7と仕切り板4とが交互に積層される。
【0035】
本実施形態の仕切り板移送装置1によれば、保持機構2において、ピンフレーム23の移動をガイドするガイドフレーム25を備えているため、ピンフレーム23の水平方向への移動が安定的に行われ、仕切り板4を安定的に保持、移送することが可能となる。また、仕切り板4を保持、移送する際にピンフレーム23に対して加わる力を低減することができるため、ピンフレーム23の耐久性を向上させることができる。更に、特殊な形状の開孔を設けることを要さないため、既存の開孔が多数設けられた仕切り板4を用いることができる。
【0036】
また、ガイドフレーム25は、ピンフレーム23に対向する面が凹状に窪んで形成されたガイド部250を有し、ピンフレーム23は、ガイドフレーム25に対向する面に配置されるローラー部材234を備え、ローラー部材234は、ガイド部250に回転可能に収容されていることにより、スムーズにピンフレーム23を水平方向に移動させることができる。
【0037】
また、ガイドフレーム25は、ピン232が所定の開孔41aに挿入された状態で、その下面が仕切り板4の垂直方向における上面を押圧するため、ピン232が開孔41に挿入され損なうことを防止でき、仕切り板4を安定的に保持、移送することができる。
仕切り板4は、レトルト加熱殺菌処理により繰り返し高温状態下にさらされることにより、波打つように変形することがある。このような場合には、ピン232が開孔41に十分に挿入されず、保持機構2により仕切り板4を保持できない場合があった。この点、本実施形態によれば、仕切り板4が多少変形していた場合にも、ピン232が挿入される開孔41の周囲をガイドフレーム25が押圧することにより、当該部位の変形を是正することができる。従って、ピン232が開孔41に十分に挿入されやすく、ピン232と開孔41の側壁との当接面積を十分に確保することができるため、保持機構2による仕切り板4の保持能力が向上する。これは、仕切り板4が熱により変形しやすい樹脂製のものである場合に、特に有効である。
【0038】
本発明の仕切り板移送装置1は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、保持機構2は、本実施形態においては、複数本のピン232のそれぞれを遠心方向に移動させることにより、仕切り板4を保持していたが、複数本のピン232のそれぞれを反遠心方向に移動させることにより仕切り板4を保持してもよい。
【0039】
また、ガイドフレーム25は、本実施形態においては、その底面が平面状に構成されていたが、底面は平面状に限られない。ガイドフレーム25の底面形状は、ピン232が開孔41に挿入された状態において、仕切り板4の上面を押圧できる形状であればよい。
また、開孔41の形状は、本実施形態においては円形であったが、円形に限られず、楕円形、三角形、四角形等の他の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の仕切り板移送装置の概略を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す仕切り板移送装置の保持機構における支持部材の先端部を示す拡大斜視図である。
【図3】図3は、図2に示す支持部材の先端部の側面図であり、ピンフレームが内方に位置している状態を示す図である。
【図4】図4は、図2に示す支持部材の先端部の側面図であり、ピンフレームが外方に位置している状態を示す図である。
【図5】図5は、図2に示す支持部材の先端部の平面図であり、ピンフレームが内方に位置している状態を示す図である。
【図6】図6は、図2に示す支持部材の先端部の平面図であり、ピンフレームが外方に位置している状態を示す図である。
【図7】図7は、図2に示す支持部材の先端部の正面図である。
【図8】図8は、本発明の仕切り板移送装置を用いて仕切り板を移送する工程の概略を図1におけるX−X線の断面図により示した図である。
【符号の説明】
【0041】
1 仕切り板移送装置
2 保持機構
21 連結部
22 支持部材
23 ピンフレーム
24 ピンフレーム移動手段
25 ガイドフレーム
26 板状部材
3 移動機構
31 移動機構本体部
32 垂直移動手段
33 水平移動手段
4 仕切り板
5 仕切り板収納部
6 バスケット収容部
7 缶詰群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口したバスケット内に多数の缶詰を垂直方向に複数段積み上げて収容する際に、垂直方向に隣り合う2段の缶詰の間に介在させる仕切り板であって多数の開孔が設けられた仕切り板を、仕切り板収納部から前記バスケット内に移送させる仕切り板移送装置であって、
前記仕切り板を保持する保持機構と、該保持機構と連結され該保持機構を垂直方向及び水平方向に移動可能な移動機構と、を備え、
前記保持機構は、該保持機構と前記移動機構とを連結する連結部と、
前記連結部を起点として水平方向における遠心方向に延びるように配置される複数の支持部材と、
前記複数の支持部材それぞれの端部側に配置され垂直方向における下方に突出するピンを有するピンフレームと、
前記複数のピンフレームそれぞれを水平方向における前記遠心方向に移動させるピンフレーム移動手段と、
前記複数のピンフレームそれぞれにおける前記遠心方向に交差する方向の両側に配置され、該複数のピンフレームそれぞれの移動をガイドするガイドフレームと、を備える仕切り板移送装置。
【請求項2】
前記保持機構は、前記ピンが前記多数の開孔における所定の開孔に挿入された状態で、前記ピンフレームを前記遠心方向に移動させると共に該所定の開孔の側壁に前記ピンを当接させて前記仕切り板を移送可能に保持する請求項1記載の仕切り板移送装置。
【請求項3】
前記ガイドフレームは、前記ピンが前記所定の開孔に挿入された状態で、該ガイドフレームの垂直方向における下面が前記仕切り板の垂直方向における上面を押圧する請求項1又は2記載の仕切り板移送装置。
【請求項4】
前記仕切り板は矩形形状を有し、
前記保持機構は、4本の支持部材と4つのピンフレームとを有し、
前記4つのピンフレームそれぞれにおける前記ピンそれぞれは、前記複数の開孔のうち前記仕切り板における4つの頂点近傍にそれぞれ位置する所定の開孔に挿入される請求項1〜3のいずれかに記載の仕切り板移送装置。
【請求項5】
前記ガイドフレームは、前記ピンフレームに対向する面が凹状に窪んで形成されたガイド部を有し、
前記ピンフレームは、前記ガイドフレームに対向する面に配置されるローラー部材を備え、
前記ローラー部材は、前記ガイド部に回転可能に収容される請求項1〜4のいずれかに記載の仕切り板移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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