説明

仕切付き組立包装箱

【課題】十分な強度を確保しつつ組立てが極めて容易であるだけでなく、内部に収容される物品の位置ずれを十分に防止することができる仕切付き組立包装箱を提供する。
【解決手段】左右の側板13,14を起立させ、重合板17,18を内方に折り曲げ、第1前側板4を起立させて第2前側板5を内側に折り返す。次いで、連結板19,25及び縦仕切板20,26を内方に夫々直角に折り曲げる。続いて、横仕切板20,26を互いに重合させる方向に折り曲げて切込み24,30同士を互いに係合させる。遊離片22,28を、縦仕切板20,26から遊離させ、横仕切板21,27の先端の延出部23,29の夫々に各遊離片22,28を重合させる。後側板8を起立させて両連結板19,25の外側面に重合させ、蓋板9を底板3に平行となるように折り曲げて閉蓋させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板紙を組立てることにより箱形状に形成され、組立てと同時に箱内部を複数に区画する仕切が形成される仕切付き組立包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の物品を箱内部に収納したとき、各物品の位置ずれ等を防止して物品の整列状態を維持するために、箱内部に仕切りが設けられる。この種の仕切りは、包装箱とは別体に形成されていて、包装箱を形成した後に箱内部に装着される(下記特許文献1参照)。しかし、このものでは。包装箱と仕切りとが別体であることにより、包装箱と仕切りとの保管や組立作業を別々に行わなければならず、使い勝手が悪い。
【0003】
そこで、従来、包装箱の組立て作業により箱内部に仕切りが設けられるように構成された仕切付き組立包装箱が知られている(下記特許文献2参照)。しかし、このものでは、底板の前端縁に連設された前側板と、底板の左右の各端縁に連設された右側板及び左側板とに仕切りを形成する部分が連設されているため、構造が複雑であって仕切り形成時の組立て工数が多く、迅速に組立てるには作業者の熟練を要する不都合がある。しかも、仕切りの一部が前側板に連設されているために、前側板と右側板及び左側板との連結状態が不十分となり、前側板の強度が比較的低い不都合がある。
【0004】
また、比較的組立て容易な仕切付き組立包装箱として、底板の左右の各端縁に連設された右側板と左側板とにのみ仕切りを形成する縦仕切板及び横仕切板を連設し、右側板と左側板との夫々に対して縦仕切板及び横仕切板を折り曲げて、両横仕切板を切込みにより互いに係合させることで箱内部を区画するようにしたものが知られている(下記特許文献3参照)。これによれば、極めて簡単に組立てることが可能となると共に、前側板と右側板及び左側板とを強固に連結して前側板により高い強度を得ることができる。しかし、箱内部が平面視四角形状の部分と平面視コ字形状の部分とに区画されるのみであり、各物品の位置ずれ防止や整列状態の維持が不十分となる不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−301646号公報
【特許文献2】実公昭39−24070号公報
【特許文献3】実開昭56−10019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、十分な強度を確保しつつ組立てが極めて容易であるだけでなく、内部に収容される物品の位置ずれを十分に防止することができる仕切付き組立包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明は、板紙を組立てることにより箱形状に形成され、組立てと同時に箱内部を複数に区画する仕切が形成される仕切付き組立包装箱であって、底板の左右の各端縁に折目線を介して連設された左側板と右側板とを互いに対向するように起立させると共に、左側板と右側板との夫々の前端縁に折目線を介して連設された重合板を内方に直角に折り曲げ、底板の前端縁に折目線を介して連設された第1前側板を起立させて両重合板の外側面に重合させ、第1前側板の先端縁に折目線を介して連設された第2前側板を両重合板の外側面に重合させると共に、第1前側板と第2前側板との間に両重合板を挟みこんで保持し、左側板と右側板との夫々の後端縁に折目線を介して連設された連結板を内方に直角に折り曲げると共に、両連結板の夫々の先端縁に折目線を介して連設された縦仕切板を更に内方に直角に折り曲げて両縦仕切板を互いに対向させ、両縦仕切板の夫々の先端縁に折目線を介して連設された横仕切板を互いに重合させる方向に折り曲げると共に、両横仕切板に形成された切込み同士を互いに係合させ、各縦仕切板に遊離自在に形成され、横仕切板の縦仕切板側の端縁に折目線を介して連設された遊離片を、縦仕切板から遊離させて横仕切板と反対方向に折り曲げると共に、各横仕切板の先端に形成された延出部を縦仕切板の横仕切板側の端縁の外側から遊離片に重合させ、底板の後端縁に折目線を介して連設された後側板を起立させて両連結板の外側面に重合させ、後側板の先端縁に折目線を介して連設された蓋板を底板に平行となるように折り曲げて閉蓋させてなることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、右側板と左側板との夫々の後端縁に連設された縦仕切板と横仕切板とを折り曲げて、横仕切板の切込み同士を互いに係合させ、更に遊離片を縦仕切板から遊離させるだけで、箱の組立てと同時に仕切りを形成することができるので、極めて簡単に組立てることができる。また、左側板と右側板との夫々の前端縁に連設された重合板は、第1前側板と第2前側板とに挟みこまれて保持されるので、第1前側板及び第2前側板と左側板及び右側板との連結状態を強固に形成することができ、強度が向上する。そして、一対の縦仕切板と、切込みを介して互いに連結された一対の横仕切板とにより、箱内部に平面視四角形状に区画された部分を形成するだけでなく、前記遊離片により、更に横仕切板の左右が延長された状態となり、箱内部における左側板と右側板との間に縦仕切板を介して3つの空間を区画することができる。これによれば、例えば、6つの物品を横仕切板と一対の遊離片とで3つずつ仕切ることができ、少ない仕切り区画数で、物品の位置ずれ防止と整列状態の維持とを効率良く行うことができる。しかも、各遊離片は、各横仕切板の先端に形成された延出部に重合することによって、遊離片の不用意な折れ曲がりが規制されるので、仕切り状態を確実に維持することができる。
【0009】
そして、本発明の包装箱においては、前記後側板及び前記蓋板を前記底板の外側下方に折り返すと共に、蓋板の先端に突設された凸片を底板に形成された係止孔に挿着させることにより、箱内部が露出した状態で前側が下方となる傾斜姿勢として、箱内部の物品を視認性の高い状態で陳列することができる。そしてこのとき、縦仕切板と、横仕切板と、更に、遊離片とで箱内部に収納される物品の前後方向の位置ずれが防止されるので、例えば、パック入り野菜等の潰れ易いものであっても、傾斜姿勢となった際に、上方の物品が下方の物品に接触して押し潰すことなく確実に整列状態が維持される。しかも、遊離片で仕切られた傾斜方向上下の物品のうち、下方の物品のみを箱内部から取り除いても、横仕切板の先端の延出部により遊離片の下方への折れ曲がりが規制されていることによって、上方の物品が傾斜する底板に沿ってずれ落ちることもなく、傾斜させた箱内部の物品の整列状態を維持して良好な陳列を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の仕切付き組立包装箱を示す斜視図。
【図2】図1の包装箱の展開図。
【図3】図1の包装箱を傾斜姿勢とした説明的側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の組立包装箱は、図1に示すように、箱本体1の内部に仕切り2が形成されていて図示しない6つの物品を整列して包装するものである。本実施形態において箱本体1の内部に収納される物品としては、外形が大略直方体状のものを想定しており、例えば、きのこ等のパック入り野菜類を挙げることができる。
【0012】
本実施形態の組立包装箱は、一枚の段ボール製板紙を折り曲げるだけで箱形状に組み立てることができ、接着剤等を用いることなく箱形状を維持することができるようになっている。
【0013】
その展開状態は、図2に示す構成となっている。即ち、矩形状の底板3の前側縁には折目線aを介して第1前側板4が連設され、第1前側板4の先端縁(組立後には上端縁となる)には折目線bを介して第2前側板5が連設されている。第2前側板5の先端(組立後には下端となる)には、一対の凸部6が形成されており、底板3と第1前側板4との境界には、組立状態で凸部6を係止する一対の凸部係止孔7が形成されている。
【0014】
底板3の後側縁には折目線cを介して後側板8が連設されており、後側板8の先端縁(組立後には上縁となる)には蓋板9が連設されている。また、蓋板9の先端には折目線dを介して凸片10が形成されている。第1前側板4と第2前側板5と境界には、組立後の閉蓋時に凸片10を係止する第1凸片係止孔11が形成されており、更に、底板3と第1前側板4との境界には、後述するように組立後の開蓋時に凸片10を係止可能とする第2凸片係止孔12が形成されている。
【0015】
底板3の左右の側縁には、夫々折目線e,fを介して左側板13と右側板14とが連設され、両側板13,14の夫々の先端縁(組立後には上縁となる)には折目線g,hを介して短フラップ15,16が連設されている。
【0016】
左右の両側板13,14の夫々の前側縁には折目線i,jを介して第1及び第2重合板17,18が連設されている。また、左側板13の後側縁には折目線kを介して第1連結板19が連設されており、第1連結板19の先端縁には折目線mを介して第1縦仕切板20が連設されている。第1縦仕切板20の先端縁には折目線nを介して第1横仕切板21が連設されている。第1縦仕切板20には切目線wにより第1縦仕切板20から遊離自在とされた第1遊離片22が形成されている。第1遊離片22は、一辺が折目線pにより第1横仕切板21に連設されている。本実施形態においては、箱本体1の内部に収納する複数の物品の形状が全て同一であるため、第1縦仕切板20は左側板13の半分の長さ寸法とされ、第1縦仕切板20と第1連結板19とは同じ長さ寸法に形成されている。第1横仕切板21は、第1縦仕切板20よりも長い寸法に形成され第1縦仕切板20よりも長く延出する部分が第1延出部23とされている。そして、第1遊離片22は第1延出部23よりも長い寸法に形成されている。更に、第1横仕切板21の長さ方向中央の一側には第1切込み24が形成されている。
【0017】
同じように、右側板14の後側縁には折目線qを介して第2連結板25が連設されており、第2連結板25の先端縁には折目線rを介して第2縦仕切板26が連設されている。第2縦仕切板26の先端縁には折目線sを介して第2横仕切板27が連設されている。第2縦仕切板26には切目線xにより第2縦仕切板26から遊離自在とされた第2遊離片28が形成されている。第2遊離片28は、一辺が折目線tにより第2横仕切板27に連設されている。そして、第2連結板25、第2縦仕切板26、第2横仕切板27、及び第2遊離片28は、夫々が第1連結板19、第1縦仕切板20、第1横仕切板21、及び第1遊離片22と同じ大きさに形成されている。更に、第2横仕切板27は、第2縦仕切板26よりも長く延出する部分が第2延出部29とされており、第2横仕切板27の長さ方向中央の一側には、第1横仕切板21の第1切込み24に係合する第2切込み30が形成されている。
【0018】
図2に示す展開状態から箱形状に組み立てるときには、先ず、底板3の両側から左側板13と右側板14とを互いに対向するように起立させ、第1重合板17と第2重合板18とを内方に直角に(折目線a上に沿うように)折り曲げる。次いで、第1前側板4を底板3の前側縁から起立させ、第2前側板5を第1前側板4の内側に折り返して第1重合板17と第2重合板18とを挟み込む。このとき、第2前側板5の凸部6を凸部係止孔7に係止させることにより、第1前側板4と第2前側板5とにより第1重合板17及び第2重合板18の保持状態が強固に維持される。
【0019】
続いて、図1に示すような仕切り2を形成する。即ち、両連結板19,25及び両縦仕切板20,26を夫々内側に折り曲げ、更に、両横仕切板21,27を互いに重なる方向に折り曲げる。このとき、第1横仕切板21の第1切込み24と第2横仕切板27の第2切込み30とを互いに係合させる。これにより、互いに対向する両縦仕切板20,26と、両切込み24,30により連結された両横仕切板21,27により平面視矩形状に区画された物品の収納部が形成される。また、第1横仕切板21の左側には第2横仕切板27の第2延出部29が延出し、第2横仕切板27の右側には第1横仕切板21の第1延出部23が延出する。そして、第1縦仕切板20から第1遊離片22を遊離させて左側に折り曲げ、第1遊離片22を第2延出部29に当接させる。同じく、第2縦仕切板26から第2遊離片28を遊離させて右側に折り曲げ、第2遊離片28を第1延出部23に当接させる。こうすることにより、第1縦仕切板20の左側と、第2縦仕切板26の右側とに、各遊離片22,28により区画された物品の収納部が形成される。
【0020】
次いで、後側板8を底板3の後側縁から起立させることで、図1に示す形状に組立てられる。そして、蓋板9を底板3に対向させるように折り曲げることにより、箱本体1を閉蓋することができ、その際に凸片10を第1凸片係止孔11に挿入することにより、蓋板9による閉蓋状態を維持することができる。なお、開蓋状態で箱本体1内部に物品を収納するときには、一対の短フラップ15,16を外側に折り曲げておき、閉蓋状態とするときには、蓋板9を折り曲げるに先立って短フラップ15,16を内側に折り曲げる。
【0021】
以上のようにして形成された組立包装箱には、箱本体1の内部が、仕切り2によって前後方向に2分割され、後方側が3分割される。そして、箱本体1の内部の前方側に3つの物品を隣接させて収納し、後方側の3つに区画された各部に1つずつ物品を収納する。
【0022】
また、組立包装箱は、閉蓋状態として箱本体1の内部を露出させ、収納された物品を陳列する場合には、図3に側面視して示すように、後側板8及び蓋板9を底板3の外側下方に折り返し、凸片10を第2凸片係止孔12に挿入して係止させることにより、箱本体1を容易に且つ確実に傾斜させることができ、内部の物品の視認性を向上させることができる。そしてこのとき、両横仕切板21,27と両遊離片22,28とで箱本体1の内部に収納される物品の前後方向の位置ずれが防止されるので、例えば、物品がパック入り野菜等の潰れ易いものであっても、上方の物品が下方の物品に接触して押し潰すことなく確実に整列状態が維持される。しかも、各遊離片22,28で仕切られた傾斜方向上下の物品のうち、下方の物品のみを箱内部から取り除いても、両横仕切板21,27の先端の各延出部23,29により遊離片22,28の下方への折れ曲がりが規制され、上方の物品が傾斜する底板3に沿ってずれ落ちることもなく、傾斜させた箱本体1の内部の物品の整列状態を維持して良好な陳列を行うことができる。
【符号の説明】
【0023】
2…仕切り、3…底板、4…第1前側板、5…第2前側板、8…後側板、9…蓋板、10…凸片、12…第2凸片係止孔(係止孔)、13…左側板、14…右側板、17,18…重合板、19…第1連結板(連結板)、20…第1縦仕切板(縦仕切板)、21…第1横仕切板(横仕切板)、22…第1遊離片(遊離片)、23…第1延出部(延出部)、24…第1切込み(切込み)、25…第2連結板(連結板)、26…第2縦仕切板(縦仕切板)、27…第2横仕切板(横仕切板)、28…第2遊離片(遊離片)、29…第2延出部(延出部)、30…第2切込み(切込み)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙を組立てることにより箱形状に形成され、組立てと同時に箱内部を複数に区画する仕切が形成される仕切付き組立て包装箱であって、
底板の左右の各端縁に折目線を介して連設された左側板と右側板とを互いに対向するように起立させると共に、左側板と右側板との夫々の前端縁に折目線を介して連設された重合板を内方に直角に折り曲げ、
底板の前端縁に折目線を介して連設された第1前側板を起立させて両重合板の外側面に重合させ、
第1前側板の先端縁に折目線を介して連設された第2前側板を両重合板の外側面に重合させると共に、第1前側板と第2前側板との間に両重合板を挟みこんで保持し、
左側板と右側板との夫々の後端縁に折目線を介して連設された連結板を内方に直角に折り曲げると共に、両連結板の夫々の先端縁に折目線を介して連設された縦仕切板を更に内方に直角に折り曲げて両縦仕切板を互いに対向させ、
両縦仕切板の夫々の先端縁に折目線を介して連設された横仕切板を互いに重合させる方向に折り曲げると共に、両横仕切板に形成された切込み同士を互いに係合させ、
各縦仕切板に遊離自在に形成され、横仕切板の縦仕切板側の端縁に折目線を介して連設された遊離片を、縦仕切板から遊離させて横仕切板と反対方向に折り曲げると共に、各横仕切板の先端に形成された延出部を縦仕切板の横仕切板側の端縁の外側から遊離片に重合させ、
底板の後端縁に折目線を介して連設された後側板を起立させて両連結板の外側面に重合させ、
後側板の先端縁に折目線を介して連設された蓋板を底板に平行となるように折り曲げて閉蓋させてなることを特徴とする仕切付き組立て包装箱。
【請求項2】
前記後側板及び前記蓋板を前記底板の外側下方に折り返すと共に、蓋板の先端に突設された凸片を底板に形成された係止孔に挿着させることにより、箱内部が露出した状態で前側が下方となる傾斜姿勢とされることを特徴とする請求項1記載の仕切付き組立て包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−173656(P2010−173656A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15237(P2009−15237)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(390022895)株式会社トーモク (45)
【Fターム(参考)】