説明

仕切弁

【課題】簡単な構成で、弁体を回転軸に対して正確に、かつ容易に取り付け可能な仕切弁を提供することを目的とする。
【解決手段】挿入工程での凹部95と突起部93との接触面は、第一平行面96a,96b、および第二平行面97a,97bに限られ、突起部93の第一傾斜面93e,93fと、凹部95の第二傾斜面95e,95fとは接触しない。これによって、例えば、凹部95と突起部93との接触面(第一平行面96a,96b、第二平行面97a,97b)のクリアランス(隙間)を極めて小さく設定しても、凹部95を突起部93に押し込む際の摩擦力が軽減され、スムーズに凹部95と突起部93とを嵌合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁板による流路を開閉する動作に加えて、弁板をスライド動作させる振り子型,直動型,ドア型等に適した仕切弁に関する。特に、本発明は、真空装置等において、異なる圧力、及び異なるプロセスを行う2つの空間をつなげている流路を仕切り(閉鎖し)、この仕切り状態を開放する(2つの空間をつなぐ)仕切弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、真空装置等においては、チャンバーと配管との間、配管と配管との間、あるいは配管とポンプ等との間等、異なる真空度の2つの空間の間を仕切り、仕切られた2つの空間をつなげる仕切りバルブが設けられている。このような仕切りバルブとしては、様々な形態の弁が知られている。
【0003】
例えば、弁板をスライドさせて流路上に弁体を導入し(流路仕切位置)、さらに流路を構成する開口部を弁板によって閉塞する(弁閉位置)構造が知られている。このような構造を有する弁としては、振り子型,直動型,ドア型等が知られている。
【0004】
直動型仕切弁は、流路を構成する第1開口部及び第2開口部が形成された弁箱の中空部に、弁棒(支持体)に固設された弁板が配置された構造を有する。この構造においては、上記弁棒をその長手方向に直動させて、上記弁板を開口部(流路)の弁開閉位置に挿入し、または、上記弁板を開口部が形成されていない退避位置に退避させる。
【0005】
従来の上記直動型仕切弁としては、ベローズで接続された2枚の第1弁板及び第2弁板からなる弁体と、この2つの弁板の間において弁板の中央部に配置されたアクチュエータと、流路を構成する開口部が形成された弁箱とを備えた仕切弁が知られている。この仕切弁においては、アクチュエータによって、弁箱の開口部の周囲の内面に第1弁板を当接及び押圧させて流路を閉鎖し、または、アクチュエータによって第1弁板を上記弁箱の内面から離間させて流路を開放する(例えば特許文献1参照)。
【0006】
また、振り子型仕切弁は、流路を構成する第1開口部及び第2開口部が形成されかつ中空部を有する弁箱と、中空部において回転軸に固設されて回転軸と垂直をなす面に平行な方向において広がっている支持体と、この支持体に固設された弁体(シールリング板が開口部に設けられている構造の場合には弁板)とが配置された構造を有する。この仕切弁においては、上記回転軸を回転させて、上記弁体を回動させ、上記弁体を開口部(流路)の弁開閉位置に挿入し、または、上記弁体を開口部が形成されていない退避位置に退避させる。
【0007】
従来の上記振り子型仕切弁としては、ハウジングの中空部内に、回転軸において回動可能な弁板と、ハウジングの開口部に配置された摺動可能なシールリング板と、ハウジングに一体形成されたフランジに上記シールリング板を摺動させるアクチュエータとが設けられた構造が知られている。この仕切弁においては、上記シールリング板を上記弁板に当接及び押圧して流路を閉鎖し、または、上記シールリング板を上記弁板から離間させて流路を開放する(例えば特許文献2参照)。
【0008】
この振り子型仕切弁のアクチュエータは、ボルトと環状室(シリンダ)とピストンとスプリングとが、シールリング板の摺動方向に直列に配置された構造を有する。従って、流路を閉鎖するときは、スプリングに生じる復元力が、ピストン,シリンダ,及びボルトを介してシールリング板に伝達される。
【0009】
こうした従来の振り子型仕切弁では、弁体を回転軸に取り付けるために、回転軸の一端部に接続部材を設け、この接続部材に対して弁体を係合させることで、弁体と回転軸とを接続していた。
図17、図18に、従来の接続部材と弁体との係合構造の一例を示す。例えば、図17に示す仕切弁201では、弁体202の一端に形成された矩形の係合突起203と、回転軸204に取り付けられた接続部材205とを備えている。この接続部材205には、係合突起203と係合する凹部206が形成されている。
【0010】
そして、弁体202を回転軸204へ取り付ける際には、係合突起203を接続部材205の凹部206に差し込む(図17(a)参照)。そして、係合突起203の先端面が凹部の奥の面に接するまで、弁体202を接続部材205に向けて押し込む(図17(b)参照)。
【0011】
また、例えば、図18に示す仕切弁211では、弁体212の一端に形成された、取付方向に対して傾斜した面をもつ係合突起213と、回転軸214に取り付けられた接続部材215とを備えている。接続部材215には、係合突起213と係合する凹部216が形成されている。
そして、弁体212を回転軸214へ取り付ける際には、係合突起213を接続部材225の凹部216に位置合わせする(図18(a)参照)。そして、係合突起213を凹部216に合わせるようにして保持し、弁体212を接続部材215にネジ等で固定する(図18(b)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−181205号公報
【特許文献2】特許第3655715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した従来の仕切弁における回転軸と弁体との取付構造では、回転軸に固定された接続部材に対して、弁体を取り付ける際に極めて大きな力を必要としたり、正しい取付位置に弁体をズレ無く取り付けることが困難であるなどの課題があった。
【0014】
例えば、図17に示した従来の仕切弁201では、弁体202を接続部材205にズレ無く取り付けるために、係合突起203と凹部206との接触部分のクリアランスが極めて小さくなっている。このため、矩形の係合突起203を凹部206に押し込む際に、押し込み長さが長くなり、摩擦力が大きくなるために取り付けに大きな力が必要となる。従って、接続部材205に対する弁体202の脱着が困難であるという課題があった。
【0015】
一方、例えば図18に示した従来の仕切弁210では、係合突起213を凹部216に嵌合させることは容易であるが、正しい取付位置で弁体212を保持したまま、回転軸214に形成されたネジ穴と係合突起213に形成されたネジ穴とを一致させて、ズレ無くネジ止めする必要があり、各部品は高い加工精度が要求される。また、高度な位置合わせが必要なため、作業性が悪いという課題があった。
【0016】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で、弁体を回転軸に対して正確に、かつ容易に取り付け可能な仕切弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態では次のような仕切弁を提供する。
即ち、本発明の一実施形態における仕切弁は、仕切弁であって、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
前記中立弁体を、前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と前記第1開口部から退避した開放状態とする弁開放位置との間で回動させる回転軸と、
前記弁箱内において前記回転軸に固着され、前記中立弁部を脱着可能に保持する接続部材と、を具備するものとされ、
前記中立弁体は、前記接続部材を介して前記回転軸に接続される中立弁部と、該中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される可動弁部と、を有し、
前記接続部材と前記中立弁部は、前記流路方向に沿って互いに平行に広がり第一間隔で離間した一組の第一平行面と、前記流路方向に沿って互いに平行に広がり前記第一間隔よりも広い第二間隔で離間した一組の第二平行面とで互いに接触してなることを特徴とする。
【0018】
前記可動弁部には、該弁板に周設され前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに、
前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される第1可動弁部と、
前記第1可動弁部を前記流路方向前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着可能とする第1付勢部と、
前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、
前記第1付勢部の付勢力に対抗して前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向厚み寸法を収縮可能なように駆動する第2付勢部と、
前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との流路方向厚み寸法変化に対応して、前記第1可動弁部を前記中立弁体に対して流路方向位置変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向中央位置側に付勢する第3付勢部と、を具備してなることを特徴とする。
【0019】
前記接続部材には、前記第一平行面を構成する第一接触面と前記第二平行面を構成する第二接触面とを具備した突起部が形成され、
前記中立弁体の一端部には、前記第一平行面を構成する第三接触面と前記第二平行面を構成する第四接触面とを具備し前記突起部と嵌合する凹部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
前記凹部は、前記流路方向における前記中立弁部の一面側および他面側にそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0021】
前記回転軸と前記中立弁部とは、該回転軸および前記接続部材を貫通するおねじと、前記中立弁部に形成され前記おねじに螺合するめねじによって結合されていることを特徴とする。
【0022】
また本発明の一実施形態における仕切弁は、仕切弁であって、仕切弁であって、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な弁体と、
前記弁体を、前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と前記第1開口部から退避した開放状態とする弁開放位置との間で回動させる回転軸と、
前記弁箱内において前記回転軸に固着され、前記弁部を脱着可能に保持する接続部材と、を具備するものとされ、
前記接続部材と前記弁部は、前記流路方向に沿って互いに平行に広がり第一間隔で離間した一組の第一平行面と、前記流路方向に沿って互いに平行に広がり前記第一間隔よりも広い第二間隔で離間した一組の第二平行面とで互いに接触してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態の仕切弁によれば、中立弁体を回転軸に固定された接続部材に取り付ける際に、中立弁部の凹部と接続部材の突起部との接触面は、第一平行面、および第二平行面に限られる。これによって、例えば、凹部と突起部との接触面(第一平行面、第二平行面)のクリアランス(隙間)を極めて小さく設定しても、従来と比較して凹部を突起部に押し込む際の押し込み長さが短くなり、スムーズに、かつ高い取付精度で凹部と突起部とを嵌合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す横断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、弁体が退避動作可能位置とされている場合を示す図である。
【図3】図2におけるシリンダ付近の要部拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、弁体が弁閉位置とされている場合を示す図である。
【図5】図4におけるメインバネ付近の要部拡大図である。
【図6】本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、弁体が退避位置とされている場合を示す図である。
【図7】回転軸に固定された接続部材を示す要部拡大平面図(図7(a))、要部拡大断面図(図7(b))である。
【図8】接続部材と接続される中立弁部の一端を示す要部拡大平面図(図8(a))、要部拡大断面図(図8(b))である。
【図9】接続部材と中立弁部とを嵌合させた状態を示す要部拡大平面図(図9(a))、要部拡大断面図(図9(b))である。
【図10】中立弁部を接続部材に取り付ける際の様子を示す説明図である。
【図11】第1実施形態の変形例である中立弁部と接続部材との接続部分の形状を示す平面図である。
【図12】本発明の第2実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、シリンダ付近の要部拡大図である。
【図13】本発明の第3実施形態における仕切弁の構成を示す横断面図である。
【図14】図8における中立弁体付近の要部拡大図である。
【図15】本発明の実施形態の仕切弁に適用可能な開口部及び弁板の形状を示す図である。
【図16】本発明の第4実施形態における接続ピン付近の要部拡大図である。
【図17】従来の仕切弁における弁体と回転軸との取付部分を示す説明図である。
【図18】従来の仕切弁における弁体と回転軸との取付部分を示す説明図である。
【図19】本発明の第5実施形態における中立弁部と接続部材との接続部分の形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る仕切弁の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明に用いられる各図においては、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
本発明の技術範囲は、以下に述べる実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0026】
図1は、本実施形態における仕切弁の構成を示す平面図である。図2は、本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図で、弁体が退避動作可能位置とされている場合を示す図である。図3は、図2の中立弁部と第1可動弁部の接続部分および第1と第2との付勢部付近を示す要部拡大図である。図4は、本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図で、弁体が密閉閉塞位置とされている場合を示す図である。
【0027】
図5は、図4の中立弁部と第1可動弁部の接続部分および第1と第2との付勢部付近を示す要部拡大図である。図6は、本発明の第1実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図で、弁体が退避位置とされている場合を示す図である。図7は、回転軸に固定された接続部材を示す要部拡大平面図(図7(a))、要部拡大断面図(図7(b))である。図8は、接続部材と接続される中立弁部の一端を示す要部拡大平面図(図8(a))、要部拡大断面図(図8(b))である。図9は、接続部材と中立弁部とを嵌合させた状態を示す要部拡大平面図(図9(a))、要部拡大断面図(図9(b))である。
【0028】
[振り子型仕切弁]
第1実施形態の仕切弁1は、図1〜図3に示すように、振り子型仕切弁である。
この仕切弁1は、互いに対向した第1開口部12aと第2開口部12bとが設けられた弁箱10と、弁箱10を貫通した切り替え手段としての回転軸20と、回転軸20に固着された接続部材91と、この接続部材91を介して回転軸20に接続された中立弁部30とを備えている。
【0029】
また、回転軸20の軸線方向に移動可能として中立弁部30に接続された可動弁部40と、可動弁部40の厚さ方向寸法を拡大する方向に付勢されるメインバネ(第1付勢部)70と、メインバネ70の付勢方向と反対方向に伸張可能な駆動用のエアシリンダ(第2付勢部)80と、可動弁部40を弁箱10の中央位置側にしようとする位置規制用の補助バネ(第3付勢部)90と、を備えている。こうした中立弁部30及び可動弁部40から中立弁体5が構成されている。また、可動弁部40は、第2可動弁部(可動弁板部)50と第1可動弁部(可動弁枠部)60とによって構成されている。第1開口部12aから第2開口部12bに向かって流路Hが設定されている。なお、以下の説明において、この流路Hに沿った方向を流路方向Hと称する場合がある。
【0030】
回転軸20が符号A1で示された方向(流路方向Hに交差する方向)に回転すると、この回転に従って、接続部材91を介して回転軸20に固定されている中立弁部30も方向A1に沿って回動する。また、可動弁部40は中立弁部30に厚さ方向のみ摺動可能として接続されているため、可動弁部40は、中立弁部30と一体に回転する。
このように中立弁部30を回転することにより、流路Hが設けられていない中空部11とされる退避位置から第1開口部12aに対応する位置とされる流路Hの弁閉位置に可動弁部40が振り子運動で移動する。
【0031】
そして、メインバネ70が伸張する方向に作用することで流路H方向に可動弁部40の厚さ寸法が拡大する動作により(閉弁動作)、後述するように、可動弁枠部60のシール部61と、可動弁板部50の反力伝達部59とが、それぞれ、弁箱10の内面15aと内面15bとを押圧することにより、可動弁部40は流路Hを閉鎖する。
【0032】
逆に、エアシリンダ80が作用することで、メインバネ70の付勢力にエアシリンダ80の押圧力が打ち勝って流路方向Hに可動弁部40の厚さ寸法が収縮する動作により可動弁部40が表裏とも弁箱10の内面15aおよび内面15bから離間した後に(解除動作)、回転軸20が符号A2で示された向きに回転する(退避動作)と、この回転に従って中立弁部30および可動弁部40も向きA2に回動する。
この解除動作と退避動作とにより、可動弁部40は上記弁開閉位置から上記退避位置に退避して弁開状態とする弁開動作がおこなわれる。
【0033】
[弁箱10]
弁箱10は、中空部11を有するフレームによって構成されている。フレームの図示上面には第1開口部12aが設けられており、フレームの図示下面には第2開口部12bが設けられている。
仕切弁1は、第1開口部12aが露出されている空間(第1空間)と第2開口部12bが露出されている空間(第2空間)の間に挿入される。仕切弁1は、第1開口部12aと第2開口部12bとをつなげている流路H、即ち、第1空間と第2空間とをつなげている流路Hを仕切り(閉鎖し)、この仕切り状態を開放する(第1空間と第2空間をつなぐ)。
弁箱10の中空部11には、回転軸20、中立弁部30、可動弁部40、メインバネ(第1付勢部)70、エアシリンダ(第2付勢部)80、及び補助バネ(第3付勢部)90が設けられている。
【0034】
[回転軸20、中立弁部30、接続部材91]
回転軸20は、流路Hとほぼ平行状態に延在して弁箱10を貫通するとともに回転可能に設けられている。
この回転軸20には、接続部材91が固着されている。この接続部材91は、例えば略平板状の部材であり、図7に示すように、回転軸20の一端20aに対してネジ92によって固着される。図7(b)に示すように、接続部材91は、流路方向Hに沿った一端側が広がった略T字状の断面形状を成す突起部93が形成されている。
【0035】
一方、中立弁部30は、回転軸20の軸線に対して直行する方向に延在し、この方向に平行な面を有している。図1に示すように、中立弁部30は、可動弁部40に重なる円形部30aと、回転軸20の回転に伴って円形部を回転させる回転部30bとを有する。回転部30bは、回転軸20と円形部30aとの間に位置しており、回転部30bの幅は回転軸20から円形部30aに向けて徐々に増加している。これら回転軸20、中立弁部30は、弁箱10に対して回動はするが、流路H方向には位置変動しないように設けられている。
【0036】
そして、図8に示すように、この中立弁部30の一端には、接続部材91の突起部93と嵌合する凹部95が形成されている。この凹部95は、その断面形状が接続部材91の断面形状と合致する略T字状を成す。こうした凹部95は、中立弁部30の流路方向Hにおける一面側30Aと他面側30Bの両側に、それぞれ凹部95A,95Bとして形成されている。これによって、回転軸20(図9参照)は、中立弁部30に対して流路方向Hに沿った上側と下側のいずれにも選択的に接続することができる。あるいは、回転軸20に対して、中立弁体5全体を両面どちらにも取り付けることができる。即ち、接続部材91の凹部95Aの側に中立弁体5を取り付ければ、仕切弁1の閉弁時において、可動弁部40が第1開口部12aを塞ぐ向き(図2参照)となる。逆に、接続部材91の凹部95Bの側に中立弁体5を取り付ければ、可動弁部40が第2開口部12abを塞ぐ向きにとなる。
【0037】
図9に示すように、接続部材91に形成された突起部93と、中立弁部30に形成された凹部95とは互いに嵌合される。図9(a)に示すように、接続部材91と中立弁部30とは、係合状態において、流路方向Hに沿って互いに平行に広がり第一間隔t1で離間した一組の第一平行面96a,96bと、流路方向Hに沿って互いに平行に広がり第一間隔t1よりも広い第二間隔t2で離間した一組の第二平行面97a,97bとで互いに接触している。
【0038】
こうした一組の第一平行面96a,96b、および一組の第二平行面97a,97bは、それぞれ、流路方向Hに直角に延びる一軸Lを挟んで対称に配される。また、第一平行面96a,96bと第二平行面97a,97bとは、この一軸Lに沿って互いに重ならない位置に配される。
【0039】
図7に示すように、接続部材91の突起部93には、この一組の第一平行面96a,96bを構成する第一接触面93a,93bと、第二平行面97a,97bを構成する第二接触面93c,93dとが形成されている。そして、これら第一接触面93a,93bと第二接触面93c,93dのそれぞれを繋ぐ第一傾斜面93e,93fとともに、突起部93は全体として2段階の幅を持つ突起形状を成している。
【0040】
一方、図8に示すように、中立弁部30の一端に形成された凹部95は、一組の第一平行面96a,96bを構成する第三接触面95a,95bと、第二平行面97a,97bを構成する第四接触面95c,95dとが形成されている。そして、これら第三接触面95a,95bと第四接触面95c,95dのそれぞれを繋ぐ第二傾斜面95e,95fとともに、凹部95は全体として2段階の幅を持つ溝形状を成している。
【0041】
更に、図7、図9に示すように、回転軸20の中心には、接続部材91を介して回転軸20と中立弁部30とを締結するためのおねじ(締結具)21を貫通させる貫通穴22が形成されている。また、中立弁部30の一端に形成された凹部95には、おねじ(締結具)21と螺合するめねじ31が形成されている。更に、接続部材91には、おねじ(締結具)21を貫通させるネジ溝のない開口98が形成されている。
【0042】
以上の構成によって、接続部材91に形成された突起部93と、中立弁部30に形成された凹部95とを嵌合させ、更に、回転軸20の上端側から、おねじ(締結具)21を貫通穴22および開口98に貫通させ、おねじ21の先端部分を、中立弁部30のめねじ31にネジ止めすることにより、回転軸20と中立弁部30とは、接続部材91を介して締結(固定)される。
【0043】
図10は、中立弁部を接続部材に取り付ける際の工程を段階的に示した説明図である。
中立弁部30のメンテナンス、例えば、繰り返し開閉による中立弁部30の交換等で、中立弁部30を回転軸20に固着された接続部材91に取り付ける際には、中立弁部30の一端に形成された凹部95を接続部材91に形成された突起部93に対向させる(図10(a)参照)。
【0044】
次に、中立弁部30の凹部95を突起部93に差し込むと、凹部95の第三接触面95a,95bが、それぞれ突起部93の第一接触面93a,93bに接触する(図10(b)参照)。また、凹部95の第四接触面95c,95dが、それぞれ突起部93の第二接触面93c,93dに接触する。
【0045】
こうした挿入工程での凹部95と突起部93との接触面は、第一平行面96a,96b、および第二平行面97a,97bに限られ、突起部93の第一傾斜面93e,93fと、凹部95の第二傾斜面95e,95fとは接触しない。これによって、例えば、凹部95と突起部93との接触面(第一平行面96a,96b、第二平行面97a,97b)のクリアランス(隙間)を極めて小さく設定しても、凹部95を突起部93に押し込む際の摩擦力が軽減され、スムーズに凹部95と突起部93とを嵌合させることができる(図10(c)参照)。
【0046】
また、互いに幅の異なる第一平行面96a,96b、および第二平行面97a,97bで凹部95と突起部93とを接触させることによって、凹部95を突起部93に押し込む際の取付精度を向上させると共に、取付時に摩擦力の軽減によって、容易にその取付位置、即ち突起部93に対する凹部95の押し込み量を調整することができる。即ち、凹部95と突起部93との係合時には、凹部95に形成されためねじ31のネジ穴位置を、接続部材91の突起部93に形成された開口98と合致させる必要がある。
【0047】
しかしながら、図17に示したような取付時の摩擦力の大きな係合構造では、小径の穴どうしを合致させるように調節することは困難である。しかしながら、本実施形態のように、第一平行面96a,96b、および第二平行面97a,97bだけで凹部95と突起部93とを接触させることで、めねじ31のネジ穴位置と突起部93に形成された開口98とを容易に微調整しつつ合致させることができる。これによって、回転軸20の貫通穴22から開口98を介しておねじ(締結具)21を容易にめねじ31に締結することができる。
【0048】
なお、この第一実施形態においては、接続部材91に突起部93を、また中立弁部30の一端に凹部95を設けているが、逆であっても良い。
図11は、第一実施形態の変形例である。この変形例では、回転軸20に固着される接続部材191に凹部195を形成している。また、中立弁部130の一端に、凹部195と嵌合する突起部193が形成されている。こうした変形例であっても、上述した実施形態と同様に、中立弁部130を接続部材191に取り付ける際に、凹部195と突起部193との摩擦を軽減して取り付けを容易にすると共に、取付位置の微調整も容易に行うことが可能になる。
【0049】
[可動弁部40、第2可動弁部(可動弁板部)50、第1可動弁部(可動弁枠部)60]
可動弁部40は略円板状とされ、円形部30aと略同心円状に形成された可動弁板部50と、この可動弁板部50の周囲を囲むように配置された略円環状の第2可動弁部60とを有する。第2可動弁部60は、中立弁部30に流路H方向に摺動可能として接続されている。また、可動弁板部50は、第2可動弁部60に摺動可能として嵌合されている。可動弁板部50と第2可動弁部60とは、メインバネ70及びエアシリンダ80によって符号B1,B2で示された方向(往復方向)に摺動しながら移動可能である。
【0050】
ここで、符号B1,B2で示された方向とは、可動弁板部50および第2可動弁部60の面に垂直な方向であり、回転軸20の軸方向に平行な流路方向Hである。
また、可動弁板部50の外周付近における全領域には、内周クランク部50cが形成されている。また、可動弁枠部60の内周付近における全領域には、外周クランク部60cが形成されている。
第1実施形態においては、外周クランク部60cと内周クランク部50cとが、流路H方向と平行な摺動面50b、60bどうしで摺動可能に嵌合している。
【0051】
弁箱10の内面に対向(当接)する可動弁枠部60の表面には、第1開口部12aの形状に対応して円環状に形成された、例えば、Oリング等からなる第1シール部61(主シール部)が設けられている。
この第1シール部61は、閉弁時に可動弁部40が第1開口部12aを覆っている状態で、第1開口部12aの周縁となる弁箱10の内面15aに接触し、可動弁枠部60及び弁箱10の内面によって押圧される。これによって、第1空間は第2空間から確実に隔離される(仕切り状態が確保される)。
【0052】
[メインバネ(第1付勢部)70]
メインバネ(第1付勢部)70は、可動弁部40の最外周となる第1周囲領域40aに隣接した第1周囲領域40bに配置されている。メインバネ70においては、可動弁枠部60を第1開口部12aに向けて(B1方向)に押圧するように、同時に、可動弁板部50を第2開口部12bに向けて(B2方向)に押圧するように復元力が生じている。これにより可動弁部40による弁閉状態において、メインバネ70は、可動弁板部50に力を加え(付勢し)、第2開口部12bの周囲に位置する弁箱10の内面15bに向けて可動弁板部50を押圧して内面15bと可動弁板部50の反力伝達部59とを当接させているとともに、同時に、可動弁枠部60に力を加え(付勢し)、第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aに向けて可動弁枠部60を押圧して内面15aと可動弁枠部60の第1シール部61とを当接させている。
【0053】
第1実施形態においては、メインバネ70は、可動弁板部50に第2開口部12b側を向いて開口するよう設けられた凹部50aとこの凹部50aの対向位置に可動弁枠部60に第1開口部12a側を向いて開口するよう設けられた凹部60aとに嵌め込まれて設けられた弾性部材(例えば、スプリング、ゴム、密閉されたエアダンパーなど)である。
【0054】
メインバネ70は、第一端と第二端とを有する。第一端は、可動弁板部50の凹部50aの底面に当接している。第二端は、可動弁枠部60の凹部60aの天井面に当接している。また、図1に示すように、円環状の可動弁枠部60において、複数の第1付勢部70が周方向に沿って等間隔に設けられている。
【0055】
メインバネ70を構成する弾性部材の自然長は、可動弁枠部60のシール部61と、可動弁板部50の反力伝達部59とが、それぞれ、弁箱10の内面15aと内面15bとを押圧する可動弁部40の最大厚さ寸法となった状態における可動弁板部50の凹部50aの底面と可動弁枠部60の凹部60aの天井面との間の距離よりも大きい。このため、可動弁板部50の凹部50aの底面と可動弁枠部60の凹部60aの天井面とによって圧縮されつつ凹部50aおよび凹部60aの内部に配置されているメインバネ70においては、弾性復元力(延伸力,付勢力)が生じている。この弾性復元力が作用することにより、可動弁枠部60がB1方向に、同時に、可動弁板部50がB2方向に摺動しながら、第1シール部61および反力伝達部59が弁箱10の内面に当接して押圧され、閉弁動作が行われる。
【0056】
また、メインバネ70は、第1シール部61に対する押圧力を効率よく伝達して仕切弁1の閉塞を確実にするために、第1シール部61に近接した第2周囲領域40bに配置される。具体的には、第1シール部61直下のすぐ外周位置には後述する反力伝達部59となる突条が位置するのに対し、可動弁板部50の径方向位置として、この第1シール部61を挟んだ突条(反力伝達部)59の反対側位置にメインバネ70は位置される。これにより、メインバネ70の付勢力は効率よく可動弁枠部60のシール部61と可動弁板部50の反力伝達部59とに伝達され、第1シール部61の変形による弁の密閉の確実性を向上することができる。
【0057】
また、メインバネ70は、第1シール部61を直接押圧できるようにするために、第1シール部61の直下付近とされる第2周囲領域40bに配置されることもできる。この場合、仕切弁においては、第1付勢部70を可動弁枠部60に設けられているので、第1付勢部70を第1シール部61の直下に位置させることが可能である。
【0058】
このように、仕切弁1においては、閉弁動作及び開弁動作を行うアクチュエータとして、閉弁動作を行うメインバネ70と、開弁動作を行う第2付勢部80(後述)とが近接して設けられている。この構成において、メインバネ70及び第2付勢部80は、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域(第1周囲領域40a及び第2周囲領域40b)において、互いに近接するように径方向に隣接して配置されている。
【0059】
また、メインバネ70は、第1シール部61の直下付近に位置している。つまり、仕切弁1の構造は、第1シール部61、反力伝達部59、メインバネ70の位置関係が、作用点及び支点が存在するモーメント荷重を加える構造として効率よくシールをおこなうことができるように構成される。
【0060】
さらに、メインバネ70の付勢力が可動弁板部50と可動弁枠部60とを拡げる方向、つまり、可動弁部40の厚さを増大して、可動弁枠部60のシール部61と可動弁板部50の反力伝達部59とを弁箱10の内面15a,15bに押圧する方向に設定されているので、停電等によってユーティリティ設備から仕切弁1を備える装置への電力供給(エネルギー供給)が停止した場合であっても、メインバネ70において生じる機械的な力のみで確実に仕切弁1を閉じることができる。このため、フェイルセーフな仕切弁を確実に実現できる。
【0061】
一方、仕切弁40の厚さを減じる付勢がおこなわれているもの、あるいは、ユーティリティ設備から供給される電力等のエネルギーによって閉弁動作が行われている構造を有する仕切弁においては、ユーティリティ設備から装置へのエネルギー供給が停止した場合に閉弁動作を行うことができない場合がある。このため、このような構造においては、フェイルセーフな仕切弁を実現できない。
【0062】
[エアシリンダ(第2付勢部)80]
エアシリンダ80は、可動弁部40の最外周となる第1周囲領域40aに配置されている。エアシリンダ80においては、エアシリンダ80に駆動流体として圧縮空気が供給された際に、可動弁枠部60を第2開口部12bに向けて(B2方向)移動させる力(付勢力、圧縮空気に起因する力)が生じる。同時に、可動弁板部50を第1開口部12aに向けて(B1方向)に移動させる力(付勢力、圧縮空気に起因する力)が生じる。これによって、メインバネ70の付勢力に打ち勝って、第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aから可動弁枠部60を離間させるのと同時に、第2開口部12bの周囲に位置する弁箱10の内面15bから可動弁板部50を離間させる。
これにより、後述する補助バネ(第3付勢部)90の付勢力により体40は流路H方向において弁箱10の厚さ中央位置となりの弁箱10内で回動可能な状態となる。
【0063】
なお、可動弁部40において、第1周囲領域40aは、円環状である可動弁枠部60のシール部61と可動弁板部50の反力伝達部59との内側に位置する。同時に、可動弁部40において、第2周囲領域40bは、第1周囲領域40aの内側に位置する。即ち、可動弁部40の径方向において、メインバネ70は、エアシリンダ80の内側に配置されている。言い換えれば、エアシリンダ80は、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動する方向(流路H方向)に交差する方向においてメインバネ70に隣接している。つまり、エアシリンダ80は、可動弁部40の径方向において、シール部61および反力伝達部59、と、メインバネ70との間に位置する。
【0064】
第1実施形態においては、エアシリンダ80は、可動弁板部50と可動弁枠部60との間に設けられた1つのエアシリンダ(空隙)である。
具体的に、このエアシリンダ80は、可動弁枠部60の第1開口部12aに向けて開口した凹部60dと可動弁板部50の第2開口部12bに向けて突出した凸部50dとが勘合した状態で形成され、これら環状の凹部60dと環状の凸部50dとが摺動するように形成されている。また、このエアシリンダ80は、可動弁枠部60の周縁部に形成された円環状の空間、および、可動弁板部50の最外周に形成された突条(環状凸部)からなり、1つの円環シリンダ(円環空隙)として機能する。また、言い換えると、円環シリンダは、流路Hを囲むように形成されている。
【0065】
エアシリンダ80に駆動用流体である圧縮空気が供給されると、第2付勢部80の体積を膨張させる膨張力(付勢力)がB1,B2方向に生じる。膨張力の大きさがメインバネ70に生じる復元力よりも大きい場合、この膨張力がメインバネ70の付勢力に打ち勝ってメインバネ70が圧縮され、可動弁板部50がB1方向に可動弁枠部60がB2方向に摺動して弁体40の厚さ方向寸法が縮小して、第1シール部61が弁箱10の内面15aから離間し、同時に、反力伝達部59が弁箱10の内面15bから離間して、開弁動作が行われる。
【0066】
この際、円環状の凹部60dと凸部50dとが摺動することで、可動弁板部50と可動弁枠部60との移動する方向が流路方向のみに規制されるとともに、可動弁板部50と可動弁枠部60とが、シール部61および反力伝達部59が弁箱10内面15a、15bに当接した状態から平行移動するように位置規制される。つまり、このエアシリンダ80は可動弁板部50と可動弁枠部60との相対移動方向とその姿勢を規制することができる。
【0067】
[補助バネ(第3付勢部)90]
補助バネ90は、中立弁部30と可動弁枠部60との間に設けられ、弁箱10の流路方向ほぼ中央に位置する中立弁部30に対して、弁体40の厚さ寸法が縮小した際に、弁体40を弁箱10の中央よりに付勢するものである。
【0068】
補助バネ90は、中立弁部30の外周位置(図2,図4では右側位置)に設けられた開口30aを貫通して可動弁枠部60に接続された棒状の位置規制部65に設けられている。補助バネ90もメインバネ70と同様に弾性部材(例えば、スプリング、ゴム、密閉されたエアダンパーなど)である。
補助バネ90は、中立弁部30開口30aの第1開口部12a側に設けられたフランジ部30bと、位置規制部65の先端65aとに係止されて、可動弁枠部60を第2開口部12b側に移動するB2に向かう向きに付勢されている。
【0069】
補助バネ90は、この中立弁部30より第1開口部12a側に位置する可動弁枠部60を第2開口部12bに向けて付勢して、第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aに可動弁枠部60のシール部61が当接している場合であって、エアシリンダ80に駆動用流体である圧縮空気が供給された際に、可動弁枠部60が第1開口部12aの周囲に位置する弁箱10の内面15aから離間するように付勢している。
【0070】
これにより、エアシリンダ80に圧縮空気が供給された際に、弁体40が弁箱10の流路方向ほぼ中央に向かって移動し、最終的に、弁体40が弁箱10の流路方向ほぼ中央に位置するように姿勢制御される。また、補助バネ90の付勢力は、メインバネ70の付勢力とエアシリンダ80の付勢力の差よりも遙かに小さいものとされる。つまり、弁閉状態を実現するための能動的バネあるいは、アクチュエータとしてのメインバネ70やエアシリンダ80に比べて、弁体の厚さ寸法を変化させるものであるから極めて小さなものでよい。
【0071】
このように、仕切弁1においては、閉弁動作及び開弁動作を行うアクチュエータとして、弁体40厚さを増大する動作を行うメインバネ70と、弁体40厚さを縮小する動作を行うエアシリンダ80と、弁体40を流路方向において弁箱10中央位置側にする姿勢制御をおこなう補助バネ90と、が設けられている。
【0072】
この構成において、メインバネ70及びエアシリンダ80は、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域において、互いに近接するように並列に配置されている。エアシリンダ80は、可動弁板部50と可動弁枠部60との間に設けられた1つの円環シリンダを構成している。この構成によれば、一方向に圧縮空気第2付勢部80に供給する供給路41が1つ設けられていれば、圧縮空気を円環状のエアシリンダ80に沿ってこの円環シリンダの内部に供給することができ、弁体40の厚さ寸法の伸縮(開弁動作及び閉弁動作)を行うことができるとともに、この動作中において補助バネ90により弁体40の伸縮に伴う弁体40の流路方向位置を弁箱10中央付近に容易に維持することができる。このため、簡易かつコンパクトな構成を有するアクチュエータを実現することができる。
【0073】
また、エアシリンダ80は、開弁動作を行うために用いられるので、第2付勢部80において発生する力の大きさ(出力)として、第1付勢部70を圧縮することができる大きさ(出力)があれば十分である。
【0074】
第1実施形態においては、可動弁板部50と可動弁枠部60とによって1つの厚さ方向寸法を可変な可動弁部40が構成されているので、2枚の可動弁部を設ける必要がなく、簡単かつコンパクトな構造を有する可動弁部を実現することができる。
【0075】
また、中立弁部30にはアクチュエータの力、特に弁閉状態を維持するように弁体40を密閉する際にかかる力が作用しない。このため、中立弁部30には振り子弁として弁体を揺動するに足る強度があれば充分である。また、回転軸20にもアクチュエータの力、特に弁閉状態を維持するように弁体40を密閉する際にかかる力が作用しない。このため、回転軸20振り子弁として弁体を揺動するに足る強度があれば充分である。同時に、回転軸20に弁密閉するためのモーメントが必要なものに比べて、弁体40の揺動機構の出力を抑えることができるので、この回転軸20の回動機構を小型化することができる。
【0076】
この構造においては、剛性として、上記中立弁部30の強度に加えて、退避位置と弁開閉位置の間で可動弁部40を回動させる際にその自重を支える強度があれば十分である。
【0077】
図2は、可動弁板部50と可動弁枠部60とが互いに嵌合されている部分および中立弁部30と可動弁板部50とが互いに嵌合されている部分を示す拡大縦断面図であり、第1付勢部70及びガイドピン62が設けられた部位を示している。
【0078】
[第2シール部(2重シール部)51a,51b及び第3シール部(2重シール部)52a,52b]
可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの外周面には、可動弁枠部60の環状凹部60dの内周面に当接し、可動弁板部50と可動弁枠部60との間をシールする2重シール部として、Oリング等の円環状の第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bが設けられている。
【0079】
具体的には、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの径方向外側に位置する第1外周面50fに第2シール部51a,51bが設けられている。また、径方向において第1外周面50fの内側である第2内周面50gに、第3シール部52a,52bが設けられている。第2シール部51a,51bは、可動弁枠部60の第1内周面60fに当接し、第3シール部52a,52bは、可動弁枠部60の第2外周面60gに当接する。
【0080】
第2シール部51a,51bは、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第1開口部12aに近い中空部11とを仕切り、仕切り状態を確保する。同様に、第3シール部52a,52bは、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第2開口部12bに中空部11とを仕切り、仕切り状態を確保する。
【0081】
第2シール部51a,51bは、駆動用の圧縮空気が供給されて圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、例えば圧力が低い空間である第1開口部12aに連通する第1空間側とを遮断するものであり、この仕切り状態を確保することができる。同様に、第3シール部52a,52bは、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間であって第2開口部12bに近い第2空間側とを仕切り、仕切り状態を確保することができる。
【0082】
[ガイドピン62]
ガイドピン62は、可動弁枠部60に固設されて流路方向に立設された太さ寸法均一の棒状体とされ、エアシリンダ80内を貫通し、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dに形成された孔部50hに嵌合している。
【0083】
このガイドピン62は、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動する方向が符号B1,B2に示された方向からずれないように、かつ、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動した際にもその姿勢が変化せずに平行移動をおこなうように、これらの位置規制を確実に誘導する。
【0084】
これによって、可動弁板部50と可動弁枠部60とが、符号B1,B2に対して斜め方向に移動することを防止している。同時に、可動弁枠部60は、弁閉状態としてシール部61と反力伝達部59とがそれぞれ弁箱10の内面15a,15bに当接した状態に対して、可動弁板部50と可動弁枠部60との流路方向位置が変化した場合でも、これらが平行状態を維持して平行移動し、可動弁板部50と可動弁枠部60とが傾いてしまうことを防止している。
【0085】
この構造においては、可動弁板部50と可動弁枠部60とが互いに位置決めされつつ、符号B1及びB2で示された方向に平行状態を維持したまま相対的に移動し、閉弁動作及び開弁動作を行うことができる。これによって、開弁動作においては、可動弁枠部60に設けられた第1シール部61に均一に押圧力を生じさせ、リークが抑制されたシール構造を実現できる。
【0086】
また、このようにガイドピン62を備えた構造においては、仕切弁1が真空装置に取り付けられる姿勢が決められていない場合、即ち、仕切弁1が取り付け方向が自由である場合に、弁体40の重量の負荷が第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bに局所的に加わることを防止することができる。例えば、可動弁板部50と可動弁枠部60とが摺動する方向に対して直角に重力が作用するように仕切弁1が取り付けられている場合、摺動する部材である可動弁板部50と可動弁枠部60との重量がガイドピン62に加わる。このため、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52b(O−ring)に可動弁板部50と可動弁枠部60との重量が直接的に加わることを防止される。これにより、仕切弁1が取り付けられる姿勢がいかなる姿勢であっても、シール部の寿命が短くならず、リークを防止する効果を確保・維持することができる。
【0087】
ガイドピン62と孔部50hとの摺動面の面積を低減するため、また、仕切弁1の外部である第1空間及び第2空間からガイドピン62を隔離するために、ガイドピン62は、エアシリンダ80内を貫通するように配置されている。
【0088】
また、このように、エアシリンダ80内にガイドピン62を配置することにより、可動弁板部50と可動弁枠部60とを互いに滑らかに摺動させることができる。
なお、ガイドピンの強度が十分に得られていれば、大口径を有する仕切弁においても、可動弁部60が摺動する方向がずれることが防止される。また、ガイドピン62は、特殊な形状を有する可動弁部においても流路と直行する面内配置を設定して荷重を適宜分散することでより一層開閉動作の良好な仕切弁として適用可能である。
【0089】
[ワイパー53,54]
可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの径方向外側に位置する第1外周面50fには、可動弁部60の内周面に当接する円環状のワイパー53が設けられている。同様に、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの径方向において第1外周面50fの内側である第2内周面50gには、可動弁部60の外周面に当接する円環状のワイパー54が設けられている。
【0090】
ワイパー53は、第2シール部51a,51bと同様にして、可動弁枠部60の第1内周面60fに当接し、ワイパー54は、第3シール部52a,52bと同様にして、可動弁枠部60の第1外周面60gに当接する。
ワイパー53,54、第2シール部51a,51b、第3シール部52a,52bは、いずれも、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dに配置されている。第2シール部51aは、第1開口部12a(第1空間)に近い位置に配置されている。第3シール部52aは、第2開口部12b(第2空間)に近い位置に配置されている。
【0091】
これらのワイパー53,54は、開弁動作及び閉弁動作によって環状の凹部60dと環状の凸部50dとが摺動するエアシリンダ80において、その可動弁枠部60の凹部60dの内周面を潤滑あるいは清掃し、上記摺動によって発生するダスト及びエアシリンダ80から発生するダストを第1空間及び第2空間に放出させない機能を有する。
また、ワイパー53,54を構成する部材(材料)として、例えば、スポンジ状のポーラスな弾性体を選択すれば、その部材の内部に潤滑油を浸透(保持)させておくことができる。
【0092】
これにより、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bによってシールされるシール面に一定の膜厚を有する薄い油膜が形成された状態を維持することが可能となる。つまり、ワイパー53,54は、余剰な油膜を拭き取り、油膜が枯渇した際には一定の膜厚を有する油膜を塗布する。
【0093】
[中間大気室55,56]
第2シール部51a,51bによって仕切られたエアシリンダ80の表面には、大気圧の空間(空隙)である中間大気室55が設けられている。同様に、第3シール部52a,52bによって仕切られたエアシリンダ80の表面には、大気圧の空間(空隙)である中間大気室56が設けられている。
【0094】
具体的には、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの外周面50fで第2シール部51a,51bによって仕切られた部分に中間大気室55が設けられている。また、可動弁板部50の環状凸部(突条)50dの内周面50gで第3シール部52a,52bによって仕切られた部分に中間大気室56が設けられている。中間大気室55は、可動弁枠部60の第1内周面60fと可動弁板部50の外周面50fに設けられた溝とで形成された空間であり、中間大気室56は、可動弁枠部60の第1外周面60gと可動弁板部50の第2内周面50gに設けられた溝とで形成された空間である。
【0095】
そして、これらの中間大気室55,56は、後述する供給路41と同様の構成とされ図示しない連絡路によって仕切弁1の外部に連通され、エアシリンダ80の加圧中に1重目のシールが破れた場合でも、圧縮空気(駆動用気体)を仕切弁外部に向けて逃がして、圧縮空気が弁箱10内部に放出されてしまうことを防止するようになっている。
【0096】
つまり、加圧状態にあるエアシリンダ80に対して、1重目のシールである第2シール部51bが破れた際に、2重目のシールである第2シール部51aより気体供給側に、駆動用気体を仕切弁外部に向けて逃がす中間大気室55および連絡路が設けられている。
【0097】
また、加圧状態にあるエアシリンダ80に対して、1重目のシールである第3シール部52bが破れた際に、2重目のシールである第3シール部52aより気体供給側に、駆動用気体を仕切弁外部に向けて逃がす中間大気室56および連絡路が設けられている。
これにより、圧縮空気が弁体10内部に噴出して、仕切弁1内部、および、第1空間、第2空間、に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0098】
同時にまた、これらの中間大気室55,56の圧力は、連絡路によりモニタ可能である。即ち、圧力計が中間大気室55,56の圧力を測定するように仕切弁1外部に設けられるとともに連絡路によって接続されており、ユーザによってその圧力が監視される。
【0099】
例えば、第1開口部12aに近い第1空間が減圧空間であり、第2シール部51aが破損している場合においては、中間大気室55の圧力は、大気圧よりも低くなる。
また、圧縮空気が供給されているエアシリンダ80内の圧力は大気圧よりも高くなるため、第2シール部51bが破損している場合には、中間大気室55の圧力は、大気圧よりも高くなる。
【0100】
同様に、第2開口部12bに近い第2空間が減圧空間であり、第3シール部52aが破損している場合においては、中間大気室56の圧力は、大気圧よりも低くなる。
また、圧縮空気が供給されているエアシリンダ80内の圧力は大気圧よりも高くなるため、第3シール部52bが破損している場合には、中間大気室56の圧力は、大気圧よりも高くなる。
【0101】
このように仕切弁1は、中間大気室55,56の圧力をモニタする構造を有することができるので、例えば、中間大気室55,56の圧力値が大気圧よりも低い圧力であって閾値の圧力よりも低い場合、あるいは大気圧よりも高い圧力であって閾値の圧力よりも高い場合に、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bの異常を検知することができる。
【0102】
例えば、中間大気室55,56中あるいは連絡路にアラーム装置が設けられた構造、或いは、仕切弁1に接続された制御装置にアラーム装置が設けられた構造が採用されていれば、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bの異常をアラームによって報知することができる。従って、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bが破損し、内部リークが仕切弁1に発生し、メンテナンスが必要であることをすぐに認識することができる。
これにより、真空装置等の外部から検知することができない、仕切弁において発生した内部リーク等の不具合を確実に判断することができる。
【0103】
[接続ピン部69、供給路41]
仕切弁1には、図に二点差線で示すように、エアシリンダ80に駆動用気体を供給する供給路41が形成され、この供給路41は、可動弁枠部60の躯体内部、および、中立弁部30の躯体内部、回転軸10内部を経由して、仕切弁1の外部に設けられた図示しない駆動用気体供給手段に連通するよう設けられている。
【0104】
この供給路41には、可動弁枠部60と中立弁部30との流路方向位置が変化した際にも、可動弁枠部60と中立弁部30との間で駆動用気体を供給可能に摺動接続する接続ピン部69が設けられる。
【0105】
接続ピン部69は、中立弁部30に流路方向と平行に穿孔された円形断面の孔部38と、この孔部38に回動可能に勘合された棒状の接続ピン68とからなっている。孔部38の内面38aは、開口側の内面38aに比べて底部側の内面38bが縮径され、これに対応して、接続ピン68の径寸法も基部68aに対して先端68bが縮径している。そして、この径寸法が変化する部分にそれぞれ段差38c、段差68cが形成されている。
【0106】
接続ピン部69は、図に二点差線で示すように、その中心軸線付近に供給路41が形成されて管状となっており、可動弁枠部60内部の供給路41が連通されている。また、接続ピン68の先端面68daには供給路41が開口しており、この先端面68dと孔部38の底部38d付近とで形成される加圧空間69aには、中立弁部30躯体内に形成された供給路41が連通されている。
【0107】
駆動用気体供給手段から供給された圧縮空気は、中立弁部30内部の供給路41を介して空間69aに噴出し、接続ピン部69内部の供給路41および可動弁枠部60内部の供給路41を介してエアシリンダ80に供給される。
【0108】
接続ピン部69においては、接続ピン68の外周面68aには孔部38の内周面38aが当接するとともに、接続ピン68の外周面68bには孔部38の内周面38bが当接している。
【0109】
接続ピン68には、孔部38内で接続ピン68が軸線方向(流路方向)に移動した場合でも、加圧面となる先端面68dと底面38dとの間ではなく、摺動方向となる面に、駆動用の圧縮空気が供給されて圧力が高い空間である加圧空間69aと、例えば圧力が低い空間である第2開口部1bに連通する第2空間側とを遮断する2重シール部が設けられる。
シール部は、加圧空間69aと中空部11との仕切り状態を確保できるものとされる。
【0110】
具体的には、接続ピン68には、接続ピン68と孔部38との間をシールする2重シール部として、Oリング等とこれを埋設する周設溝とされる円環状の太シール部68fが設けられるとともに、Oリング等とこれを埋設する周設溝とされる円環状の小シール部68gが外周面68bに設けられている。
【0111】
同時に、段差68cおよび段差38cで形成された円環状の中間大気室69cが、この2重シールの間にあり、図示しない連絡路42に連通されることで、圧縮空気が弁箱10内部に噴出して、仕切弁1内部、および、第1空間、第2空間、に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0112】
特に、加圧面となるとともにその距離が変化する先端面68dと底面38dとの間でシールするのではなく、直接的に加圧面とはならずかつ摺動面であり距離が変化しない外周面68aと内周面38aおよび外周面68bと内周面38bとの間でシールをおこなうので、より確実な密閉状態を維持することが可能となる。
【0113】
このようなシール部68f、68gの構成によれば、上述したエアシリンダ80における第2シール部(2重シール部)51a,51b及び第3シール部(2重シール部)52a,52bおよびガイドピン62の構成と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0114】
孔部38内で接続ピン68が軸線方向(流路方向)に移動中あるいは移動して流路方向の相対位置が変化した場合でも、駆動用気体供給手段から供給された圧縮空気は、中立弁部30内部の供給路41を介して空間69aに噴出し、この体積の変化した空間69aを介して、接続ピン部69内部の供給路41および可動弁枠部60内部の供給路41を介してエアシリンダ80に安定的に供給される。
【0115】
以上のように、第1実施形態においては、流路方向に互いに離間接近可能な可動弁板部50と可動弁枠部60とによって構成された可動弁部40が設けられ、可動弁部40には、可動弁板部50と可動弁枠部60とを流路方向外側に向けて付勢するメインバネ70が設けられ、可動弁部40には、可動弁板部50と可動弁枠部60とを中空部11の流路方向中央位置側に向けて移動させるエアシリンダ80が設けられ、可動弁枠部60を中立弁部30に接近する方向に付勢する補助バネ90が設けられることによって、可動弁板部50と可動弁枠部60とを弁箱の内面15a、15bに押圧して、シール部61及び反力伝達部59とで確実に弁閉塞をおこなうことができる。
【0116】
また、可動弁板部50と可動弁枠部60とを中空部11の流路方向中央位置側に向けて移動させることで、弁箱10に弁体40が接触しないようにして回動させ、回動以外の動作が必要な機構に比べて小型で出力の小さい駆動機構によって退避位置まで弁体40を移動することができる。
【0117】
この構成においては、1つの可動弁部40と3つの付勢部70,80,90とによって弁体を形成することができる。また、可動弁部40の周囲領域に配置されたメインバネ70の復元力によって可動弁板部50と可動弁枠部60とを弁箱10の内面に直接押し付けて、確実に閉弁できる。同様に、可動弁部40の周囲領域に配置されたエアシリンダ80に供給された圧縮空気の作用によって可動弁板部50と可動弁枠部60とを弁箱10の内面から離間させて、確実に回動可能状態として開弁できる。従って、第1実施形態においては、簡単な構造を有し、高い信頼性で仕切り動作を行うことができる仕切弁を実現することができる。
【0118】
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、固定弁部と可動弁部とが嵌合されているシリンダ付近の要部拡大図である。
図12において、図1ないし図6に示した第1実施形態と同一の部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0119】
第1実施形態においては、可動弁板部50の外周にU字形状のU字部が形成されており、可動弁枠部60の内周に逆U字形状の逆U字部が形成されている。また、可動弁板部50のU字部と可動弁枠部60の逆U字部とが互いに嵌合するように、可動弁板部50及び可動弁枠部60が設けられている。
一方、第2実施形態の可動弁部40の構造においては、図12に示すように可動弁板部50の外周に形成された外周クランク部と可動弁枠部60の内周に形成された内周クランク部とが嵌合されている。
【0120】
メインバネ70を構成する弾性部材の自然長は、凹部60aの深さよりも大きい。このため、凹部60aの天井面と可動弁板部50とによって圧縮されつつ凹部60a内に配置されている第1付勢部70においては、弾性復元力(延伸力,付勢力)が生じている。この弾性復元力が作用することにより、可動弁部60がB1方向に摺動しながら、第1シール部61が弁箱10の内面に当接して押圧され、閉弁動作が行われる。
【0121】
メインバネ70は、第1シール部61を直接押圧できるようにするために、第1シール部61の直下に配置されることが望ましい。
本実施形態においては、メインバネ70が可動弁枠部60に設けられているので、メインバネ70を第1シール部61の直下に位置させることが可能である。
【0122】
このような第2実施形態においては、閉弁動作及び開弁動作を行うアクチュエータとして、閉弁動作を行うメインバネ70と、開弁動作を行うエアシリンダ80とが設けられている。この構成において、メインバネ70及びエアシリンダ80は、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域において、互いに近接するように並列に配置されている。
【0123】
具体的には、弁体40の最外周である第1周囲領域40aにメインバネ70が設けられ、第1周囲領域40aに隣接した第2周囲領域40bにはエアシリンダ80が配置される。また、メインバネ70は、第1シール部61の直下に位置している。
【0124】
この構造においては、メインバネ70は第1シール部61を直接押圧することができ、第1シール部61にほぼ垂直方向に荷重を直接加えることができる。
つまり、仕切弁1の構造は、作用点及び支点が存在するモーメント荷重を加える構造ではない。このため、梃子に相当する部分の構造部材(強度)は必要なく、アクチュエータの構造を簡易化することができる。また、可動弁部60に要求される剛性として、可動弁部60の自重を支えることができる強度があれば十分である。
【0125】
本実施形態の構造においては、可動弁枠部60の第1シール部61の直下にメインバネ70が配置され、可動弁板部50と可動弁枠部60との間に設けられた1つの円環シリンダによって第2付勢部(エアシリンダ)80が形成されている。この構造においては、アクチュエータの構成も簡単にすることにでき、閉弁動作及び開弁動作の信頼性を向上させることができる。
【0126】
また、このように可動弁部40の周囲領域にアクチュエータが配置された構成が大口径を有する仕切弁に適用された場合であっても、上述した同様の構造によって確実に閉弁動作及び開弁動作を行うことができ、逆圧が作用した場合においても同様の動作ができる。
【0127】
この第2実施形態においては、第3シール部52b,中間大気室56,第3シール部52a,及びワイパー54の位置が、第1実施形態とは異なっている。
具体的に、第1実施形態においては、第1外周面50fとは反対の面である内側面50gに第3シール部52b,中間大気室56,第3シール部52a,及びワイパー54が設けられているが、第2実施形態においては、第2外周面50jに第3シール部52b,中間大気室56,第3シール部52a,及びワイパー54が設けられている。
【0128】
可動弁板部50の外周クランク部において、径方向外側に位置する第1外周面50fに第2シール部51a,51b、ワイパー53が設けられている。また、径方向において第1外周面50fの内側であって第2シール部51a,51bの下方に位置する第2外周面50jに、第3シール部52a,52b、ワイパー54が設けられている。第2シール部51a,51bは、可動弁枠部60の第1内周面60jに当接し、第3シール部52a,52bは、可動弁部60の第1内周面60jの下方に位置する第2内周面60kに当接する。
【0129】
第2シール部51a,51b、ワイパー53、中間大気室55は、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第1開口部12aに近い第1空間とを仕切り、仕切り状態を確保する。同様に、第3シール部52a,52b、ワイパー54、中間大気室56は、圧力が高い空間であるエアシリンダ80と、圧力が低い空間等であって第2開口部12bに近い第2空間とを仕切り、仕切り状態を確保する。
【0130】
これらのワイパー53,54は、開弁動作及び閉弁動作によって摺動する可動弁枠部60の内周面を潤滑あるいは清掃し、上記摺動によって発生するダスト及びエアシリンダ80から発生するダストを第1空間及び第2空間に放出させない機能を有する。
また、ワイパー53,54の内部に潤滑油を浸透(保持)させておくことができる。
これにより、第2シール部51a,51b及び第3シール部52a,52bによってシールされるシール面に一定の膜厚を有する薄い油膜が形成された状態を維持することが可能となる。つまり、ワイパー53,54は、余剰な油膜を拭き取り、油膜が枯渇した際には一定の膜厚を有する油膜を塗布する。
【0131】
以上のように、第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。更に、第2実施形態においては、閉弁動作を行うメインバネ70と、開弁動作を行うエアシリンダ80とを、第1シール部61に近い可動弁部40の周囲領域に配置しているので、弁箱10にアクチュエータを設ける必要がなく、簡単な構成を有する仕切弁を実現できる。
【0132】
(第3実施形態)
図13及び図14は、本発明の第3実施形態の仕切弁の構成を説明する図である。図13は仕切弁の横断面図であり、図14は弁体が弁開閉位置に配置されている場合の仕切弁の縦断面図である。
図13及び図14において、図1ないし図6に示した第1実施形態および図12に示した第2実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0133】
第3実施形態の仕切弁300は、弁箱10aと、弁棒25と、中立弁部30と、可動弁部40と、第1付勢部70(スプリング)と、第2付勢部80(エアシリンダ)とを備えている。中立弁部30及び可動弁部40は、弁体を構成している。また、可動弁部40は、可動弁板部50と可動弁枠部60とによって構成されている。
【0134】
[直動型仕切弁]
第3実施形態の仕切弁300は、直動型仕切弁である。仕切弁300においては、上記第1実施形態の振り子型の仕切弁1を構成する弁体構造が、直動型仕切弁に適用されている。
ただし、上記実施形態1においては、第1開口部12a,第2開口部12b,及び可動弁部40(可動弁板部50および可動弁枠部60)の形状は、同心円形状であったが、第3実施形態においては、これらの形状の形状は、角部に丸みを有する略正方形である。
また、弁体を直動させるため、弁箱10aの横断面形状は略長方形である。中立弁部30は、切り替え手段としての弁棒25の端部に固設されている。
【0135】
圧縮空気が供給路41に供給されて、可動弁板部50と可動弁枠部60との厚さ寸法が収縮し、弁箱10の内面15a、15bから可動弁部40が離間した状態で、符号D1で示された向きに直進するように弁棒25が駆動すると、この駆動に従って中立弁部30も向きD1に沿って直動する。このように中立弁部30が直動することにより、流路Hが設けられていない退避位置から流路Hの弁開位置に可動弁部40が挿入される。
【0136】
そして、エアシリンダ80の動作を切断しメインバネ70が作動することにより(閉弁動作)、可動弁部40の厚み寸法が増大して可動弁部40は流路Hを閉鎖する。逆に、エアシリンダ80が作動することにより可動弁部40を開いた後(開弁動作)に、弁棒25を向きD2に直進するように駆動すると、これに従って中立弁部30も向きD2に直動する。
これにより、可動弁部40は上記弁開閉位置から上記退避位置に退避する。
【0137】
(第4実施形態)
図16は、本発明の第4実施形態における仕切弁の構成を示す縦断面図であり、中立弁部と可動弁部(可動弁枠部)とが接続されている接続ピン部付近の要部拡大図である。
図16において、図1ないし図6に示した第1実施形態と同一の部材には同一符号を付して、その説明は省略または簡略化する。
【0138】
第1実施形態においては、接続ピン部69として、可動弁枠部60と一体とされた接続ピン68が形成されていたが、本実施形態の接続ピン部69としては、可動弁枠部60に接続されたフローティングピン(接続ピン)68Aが貫通孔67に勘合されている。
フローティングピン68Aは、図16に示すように、孔部38に回動可能かつ軸方向に摺動可能として勘合されている図示下部側が、上述した第1実施形態と略同等の構成とされている。
【0139】
本実施形態の接続ピン部69は、可動弁枠部60に流路方向と平行に穿孔された円形断面の貫通孔67を有し、この貫通孔67にフランジ部68Aaを有する棒状のフローティングピン68Aが回動可能かつ微少傾斜可能に勘合されている。貫通孔67の内面67aは、フランジ部68Aaの径寸法に対応して可動弁枠部60に対向した孔部38よりも拡径したフランジ内面67aを有し、この開口側のフランジ内面67aに比べて図示上となる貫通側のガス接続位置内面38bが縮径され、このガス接続位置内面67bに比べて図示上となる貫通側の支持位置内面67cが縮径され、この支持位置内面67cに比べて図示上となる貫通側の外側内面67dが拡径されている。
【0140】
フローティングピン68Aは、その径寸法がこの貫通孔67の径寸法に対応して、フランジ部68Aaに対して縮径したガス接続部68Abが縮径し、ガス接続部68Abに対して固定端68Acが縮径している。
【0141】
固定端68Acには、固定溝68Adが周設されて、この固定溝68Adに勘合されたワッシャ等の固定部材68Aeが、貫通孔67の外側面67eに当接することでフローティングピン68Aの軸方向(流路方向)における内側方向(図示下方向)の移動を規制し位置を固定している。
フランジ部68Aaの上側となるシール面68Afと、ガス接続部68Abの上側となるシール面68Agは、対向する段差面67fおよび段差面67gとの間に、Oリング等とされるシール部材67h、67jが設けられている。
【0142】
フローティングピン68Aの外径寸法として、固定端68Acは支持位置内面67cの内径寸法とほぼ等しく設定されているが、フランジ部68Aaおよびガス接続部68Abは、それぞれ、フランジ内面67aおよびガス接続位置内面38bに対して、微少寸法小さく設定されて、フローティングピン68Aが可動弁枠部60に対して径方向に僅かに遊びがある状態とされている。このため、径方向の外力に応じて固定端68Acを支持位置として僅かに傾斜・移動する余地がある。
【0143】
フローティングピン68Aは、固定端68Acの固定部材68Aeと、シール面68Afおよびシール面68Agのシール部材67h、67jで対向する方向に可動弁枠部60を挟持するように固定されている。これにより、フローティングピン68Aは、図示上側に押圧された状態で、軸線方向(貫通孔67の長さ方向)には移動しないように可動弁枠部60に固定されている。
【0144】
同時に、フローティングピン68Aは、シール部材67hがシール面68Afと段差面67fとに押圧されて変形するとともに、シール部材67jがシール面68Agと段差面67gとに押圧されて変形するようになっている。
このように、フローティングピン68AのOリング等とされるシール部材67h、67jが段差面67fおよび段差面67gに押圧されて変形することで、ガス接続部68Ab、および、接続位置内面67b部分がシールされる。
【0145】
孔部38の底部38d付近には、供給路41となる
フローティングピン68Aの内部には、その先端面68dに開口し軸方向に沿って中心に開けられるとともに、接続位置内面67bに設けられた開口に対向する位置とされるガス接続部68Abの表面に開口する供給路41が設けられて、加圧空間69aとエアシリンダ80とを接続可能となっている。
【0146】
本実施形態においては、フローティングピン68Aは、摺動面と同じ方向となる内面67aとフランジ部68Aa外周、ガス接続位置内面67bとガス接続部68Abではなく、加圧面となる先端面68dと平行な方向、つまり、摺動方向と直行する面であるシール面68Afと段差面67fとの間、および、シール部材67jがシール面68Agと段差面67gとの間に、シール部材67h、シール部材67jが設けられることで、フローティングピン68Aが傾斜した場合や、フローティングピン68Aが僅かに径方向に移動した場合であっても、Oリング等とされるシール部材67h、67jの潰し代は変化しない。したがって、このようにフローティングピン68Aが移動した場合、つまり、中立弁部30と可動弁枠部60とが、流路方向以外の相対位置変動した場合であっても、加圧されたガス接続部68Ab付近の供給路41に対するシールを維持し、密閉が破れることがない。
【0147】
同時に、本実施形態においては、太シール部68fおよび小シール部68gにおいて、製作公差等によってフローティングピン68Aに対して半径方向の位置ズレなどがある場合においても、フローティングピン68Aと可動弁枠部60に流路と直交する方向(フローティングピン68A径方向)の遊びがあるため、太シール部68fおよび小シール部68gの摺動Oリングには偏芯が生じない。したがって、摺動時にも接続ピン68と孔部38との間のシールを維持し、密閉が破れることがない。
同時に、フローティングピン68Aの位置変動時においても、太シール部68fおよび小シール部68gに変形が集中することがないので、変形・破損の可能性を低減することができ、密閉維持をより確実におこなうことができる。
【0148】
なお、上記本発明の実施形態においては、第1付勢部70としてスプリングが用いられた構造について説明したが、他の弾性体を用いてもよい。
また、第2付勢部80の構造として、円環状の1つのエアシリンダが採用された構造について説明したが、油圧シリンダ等とされる他の駆動流体を使用する構成を採用してもよい。この場合にも、1つの円環状のシリンダが駆動することによって弁箱10(10a,10b)の内面から可動弁板部50と可動弁枠部60との厚さ寸法を収縮させる駆動装置が第2付勢部として用いられる。
【0149】
また、上記本発明の実施形態においては、図15(a)に示すような円形に形成された開口部及び可動弁部、或いは図15(b)に示すような角部に丸みを有する略正方形に形成された開口部及び可動弁部について説明した。本発明の仕切弁はこれらの形状に限定されない。本発明の仕切弁は、可動弁部の周囲領域にアクチュエータが設けられた構造を有するので、例えば、図15(c)に示すような角部に丸みを有する略三角形に形成された開口部及び弁板(可動弁部)が採用されてもよい。また、図15(d)に示すような角部に丸みを有する略長方形に形成された開口部及び弁板が採用されてもよい。また、図15(e)に示すような角部に丸みを有する略六角形に形成された開口部及び弁板が採用されてもよい。また、図15(f)に示すような角部に丸みを有する略U字形に形成された開口部及び弁板に適用することも可能である。
更には、楕円形に形成された開口部及び弁板、あるいは角部に丸みを有する略八角形に形成された開口部及び弁板等、あらゆる形状に形成された開口部及び弁板を本発明に適用可能である。
【0150】
(第5実施形態)
以下、仕切弁の第5実施形態を示すが、第1実施形態と同様の構成には、同一の番号を付す。
図19に示す第5実施形態では、接続部材151に形成された突起部152と、中立弁部153に形成された凹部154とを備える。この実施形態では、図19(b)に示すように、接続部材151と中立弁部153とは、係合状態において、流路方向Hに沿って互いに平行に広がり第一間隔t1で離間した一組の第一平行面156a,156bと、流路方向Hに沿って互いに平行に広がり第一間隔t1よりも広い第二間隔t2で離間した一組の第二平行面157a,157bとで互いに接触している。
【0151】
こうした一組の第一平行面156a,156b、および一組の第二平行面157a,157bは、重ならない位置に配される。そして、突起部152と凹部154とが嵌合された状態において、第一平行面156a,156bと第二平行面157a,157bとの間には、突起部152とを互いに接触させずに離間させた空間部159が形成される。
【0152】
図19(a)に示すように、接続部材151の突起部152には、この一組の第一平行面156a,156bを構成する第一接触面152a,152bと、第二平行面157a,157bを構成する第二接触面152c,152dとが形成されている。
一方、中立弁部153の一端に形成された凹部154は、一組の第一平行面156a,156bを構成する第三接触面154a,154bと、第二平行面157a,157bを構成する第四接触面154c,154dとが形成されている。
【0153】
以上の構成によれば、中立弁部153の凹部154を突起部152に差し込むと、凹部154の第三接触面154a,154bが、それぞれ突起部152の第一接触面152a,152bに接触する。この時、突起部152の第一接触面152a,152bは、先端部分だけで凹部154の第三接触面154a,154bと接触し、その他の大部分は凹部154に対して離間され、嵌合状態においても凹部154を突起部152とが接触しない空間部159が形成される。
また、凹部154の第四接触面154c,154dが、それぞれ突起部152の第二接触面152c,152dに接触する。
【0154】
このような第5実施形態の仕切弁によれば、突起部152が凹部154の内部に入り込む部分の全体長さL3のうち、突起部152と凹部154とが接触する長さは、第一平行面156a,156bの長さL1と第二平行面157a,157bの長さL2に限られ、他のほとんどは空間部159として凹部154と突起部152とが離間された状態となる。 これによって、中立弁部153を接続部材151に嵌合させる際には、少ない接触面により容易に取り付けることが可能になり、取り付け作業性が大幅に向上する。一方で、凹部154と突起部152とは、空間部159を挟んで第一平行面156a,156bと第二平行面157a,157bとで確実に精度良く嵌合させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、真空装置等において、真空度や温度あるいはガス雰囲気等性質の異なる2つの空間を連結している流路を仕切る状態と、この仕切り状態を開放した状態を切り替える用途の仕切弁に広く適用できる。
【符号の説明】
【0156】
5…中立弁部、 10,10a,10b…弁箱、 11…中空部、 12a…第1開口部、 12b…第2開口部、 20…回転軸、 21…おねじ、 25…弁棒、 26…弁軸、 30…中立弁部、 31…めねじ、 40…可動弁部、 41…供給路、 41…連絡路、 50…可動弁板部(第2可動弁部)、 51a,51b…第2シール部、 52a,52b…第3シール部、 53,54…ワイパー、 55,56…中間大気室、 60…可動弁枠部(第1可動弁部)、 61…第1シール部、 62…ガイドピン、 68…接続ピン、68A…フローティングピン、 69…接続ピン部、 70…メインバネ(第1付勢部)、 80…エアシリンダ(第2付勢部)、 90…補助バネ(第3付勢部)、 91…接続部材、 93…突起部、 95…凹部、 96a,96b…第一平行面、 97a,97b…第二平行面、 1,300,400…仕切弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切弁であって、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な中立弁体と、
前記中立弁体を、前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と前記第1開口部から退避した開放状態とする弁開放位置との間で回動させる回転軸と、
前記弁箱内において前記回転軸に固着され、前記中立弁部を脱着可能に保持する接続部材と、を具備するものとされ、
前記中立弁体は、前記接続部材を介して前記回転軸に接続される中立弁部と、該中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される可動弁部と、を有し、
前記接続部材と前記中立弁部は、前記流路方向に沿って互いに平行に広がり第一間隔で離間した一組の第一平行面と、前記流路方向に沿って互いに平行に広がり前記第一間隔よりも広い第二間隔で離間した一組の第二平行面とで互いに接触してなることを特徴とする仕切弁。
【請求項2】
前記可動弁部には、該弁板に周設され前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着されるシール部が設けられるとともに、
前記中立弁部に対して流路方向位置変更可能に接続される第1可動弁部と、
前記第1可動弁部を前記流路方向前記第1開口部に向けて付勢して前記シール部を前記第1開口部周囲の弁箱内面に密着可能とする第1付勢部と、
前記第1可動弁部に対して前記流路方向に摺動可能とされる第2可動弁部と、
前記第1付勢部の付勢力に対抗して前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との前記流路方向厚み寸法を収縮可能なように駆動する第2付勢部と、
前記第1可動弁部と前記第2可動弁部との流路方向厚み寸法変化に対応して、前記第1可動弁部を前記中立弁体に対して流路方向位置変更可能に接続するとともに、前記第1可動弁部を前記流路方向中央位置側に付勢する第3付勢部と、を具備してなることを特徴とする請求項1記載の仕切弁。
【請求項3】
前記接続部材には、前記第一平行面を構成する第一接触面と前記第二平行面を構成する第二接触面とを具備した突起部が形成され、
前記中立弁体の一端部には、前記第一平行面を構成する第三接触面と前記第二平行面を構成する第四接触面とを具備し前記突起部と嵌合する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の仕切弁。
【請求項4】
前記凹部は、前記流路方向における前記中立弁部の一面側および他面側にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の仕切弁。
【請求項5】
前記回転軸と前記中立弁部とは、該回転軸および前記接続部材を貫通するおねじと、前記中立弁部に形成され前記おねじに螺合するめねじによって結合されていることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の仕切弁。
【請求項6】
仕切弁であって、
中空部と、前記中空部を挟み互いに対向するように設けられて連通する流路となる第1開口部及び第2開口部とを有する弁箱と、
前記弁箱の前記中空部内に配置され前記第1開口部を閉塞可能な弁体と、
前記弁体を、前記第1開口部に対して閉塞状態にする弁閉塞位置と前記第1開口部から退避した開放状態とする弁開放位置との間で回動させる回転軸と、
前記弁箱内において前記回転軸に固着され、前記弁部を脱着可能に保持する接続部材と、を具備するものとされ、
前記接続部材と前記弁部は、前記流路方向に沿って互いに平行に広がり第一間隔で離間した一組の第一平行面と、前記流路方向に沿って互いに平行に広がり前記第一間隔よりも広い第二間隔で離間した一組の第二平行面とで互いに接触してなることを特徴とする仕切弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−193812(P2012−193812A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59704(P2011−59704)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】