説明

仕切材

【課題】緩衝材を必要とせず、簡単な構成で異なる大きさの物品を同一の箱内に収納可能とした仕切材を提供する。
【解決手段】第1の仕切部材10と、第2の仕切部材20とが平面視十字状に組み合わされ、箱200内に収容して箱200の内部を複数の区画に仕切る仕切材100であって、第1の仕切部材10は、下方から切り込まれ、第2の仕切部材20と嵌合する第1のスリット11と、第1の仕切部材10の表面から突出する突出片13と、を有し、第2の仕切部材20は、上方から切り込まれ、第1の仕切部材10と嵌合する第2のスリット21と、第2のスリット21に対して略垂直に形成された第1の折目線22と、第1の折目線22に対して連設された天面部23と、を備え、天面部23は、第1の折目線22に沿って第1の仕切部材10に対して略垂直に折り曲げられ、突出片13によって係止されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切材に係り、特に異なる大きさの物品であっても同一箱内に収納可能とすると共に、廉価に製造可能な仕切材に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の物品を同一箱内に収納する時、各物品同士の接触による破損を防止するため、仕切材によって箱内を複数の領域に区切り、各領域に物品を収納して梱包、運搬することが行われている。そして、このような仕切材として、段ボール等の板紙からなる複数の横仕切部材と、複数の縦仕切部材とを互いに十字に交差させて組み合わせたものが一般に用いられる。
【0003】
上記形態で梱包される物品の例として、飲料の瓶や、筒状に包装された菓子製品等、さまざまな製品が挙げられる。そして近年では、通信販売の増加に伴い、運搬される物品の形状が多様化し、物品の破損防止の目的から、梱包材もまた、多様な形態がとられるようになってきた。
【0004】
その中でも特に、異なる形状及び大きさの物品を一つの箱内に収納して運搬されることが多くなってきており、大きさが異なる物品を収納する際、小さい物品を収納する部分に緩衝材を用いることが一般的に行われていた。
【0005】
しかし、緩衝材を箱内に収納して運搬すると、緩衝材のためのコストがかかるだけでなく、物品の運搬後、緩衝材は処分されてしまうため、資源的な観点から、好ましくないという問題点があった。
【0006】
このような問題点を解決するため、特許文献1では、異なる形状及び大きさの容器を収納する際、比較的小さな容器を小箱に収納し、小箱に備えられた引掛部を大きな容器に引っ掛けて固定するという技術が提案されている。
【0007】
また、特許文献2では、高さの異なる瓶を横向きで収納する際、それぞれの瓶の大きさに合わせた台座部を備えた中仕切りを形成し、瓶の高さを調整して同一の箱内に収納する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−331828号公報
【特許文献2】特許第3247775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1において開示された技術では、大きさ及び形状が異なる容器を同一箱内に収納する際、仕切板と、小さな容器を載置するためのスペーサを用いている。そして、大きな容器を収納する領域を区画する仕切板に対して、スペーサが嵌合されており、小さな容器を収納する小箱をスペーサ上に載置する構成が開示されている。
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術は、スペーサを別途形成すると共に、小さな容器を収納する小箱を形成するため、容器を収納する工程が煩雑であるという問題点があった。また、スペーサ及び小箱を仕切板と別体で形成するため、材料費が嵩むという不都合があった。
【0011】
一方、特許文献2において開示された技術では、スペーサを別途形成して組み合わせる必要はなく、高さの異なる瓶同士の間に配設される中仕切りを延設してその一部を折り曲げることにより、小さい瓶を支持するための台座部が形成されている。
【0012】
特許文献2では、複数の瓶を同一箱内に一列で横向きに収納する技術が開示されているが、瓶を複数列で立てた状態で収納する場合に本技術を適用すると、台座部を物品形状に対応させて形成する工程が煩雑になるという不都合があった。また、瓶を立てた状態で収納する場合には、瓶の下方に配設された台座部が撓み、結果として中に収納された瓶が固定されにくいという問題点があった。
【0013】
本発明の目的は、緩衝材を必要とせず、簡単な構成で異なる大きさの物品を同一の箱内に収納可能とした仕切材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、材料の節約を図ると共に、廉価な仕切材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題は、請求項1の仕切材によれば、第1の仕切部材と、第2の仕切部材とが平面視十字状に組み合わされ、箱内に収容して該箱の内部を複数の区画に仕切る仕切材であって、前記第1の仕切部材は、下方から切り込まれ、前記第2の仕切部材と嵌合する第1のスリットと、前記第1の仕切部材の表面から突出する突出片と、を有し、前記第2の仕切部材は、上方から切り込まれ、前記第1の仕切部材と嵌合する第2のスリットと、該第2のスリットに対して略垂直に形成された第1の折目線と、該第1の折目線に対して連設された天面部と、を備え、該天面部は、前記第1の折目線に沿って前記第1の仕切部材に対して略垂直に折り曲げられ、前記突出片によって係止されてなること、により解決される。
【0015】
このように本発明の仕切材は、仕切材を構成する第2の仕切材の一部を折曲することにより、天面部が形成される。この天面部は、大きさや形状が異なる物品を一つの箱内に収納する際、比較的小さな物品を収納する区画に架設される。その結果、天面部が蓋のように機能し、この天面部に対して小さな物品が当接し、収納される区画内で物品が大きく遊動して破損するのを防ぐことができる。
また、天面部は第2の仕切部材を折り曲げることによって形成されるため、緩衝材等を別途形成する必要がないと共に、簡単な構成で小さな物品を効果的に保持することができる。
さらに、本発明の仕切部材は、天面部を係止する突出片が、天面部が開く動きを押し止める構成である。この構成により、天面部が開いて中に収納された物品が収納区画内で遊動するのを防ぐことができる。
【0016】
このとき、請求項2のように、前記天面部は、前記区画と平面視略同面積に形成されてなると好適である。
このように、天面部と、比較的小さな物品が収納される区画とが平面視略同面積に形成されることにより、該区画に対し天面部が嵌合しやすくなる。したがって、仕切材によって分割された区画内において、物品が摺動した場合であっても、天面部が区画内に嵌合して係止されるため、天面部が開いて物品が遊動するのをより効果的に防ぐことができる。
【0017】
また、請求項3のように、前記突出片は、前記第1の仕切部材に形成された切断線を切り起こして形成されてなると好ましい。
このように、第1の仕切部材において突出片を設ける際、別部材を接合するのではなく、切断線を設け、第1の仕切部材の一部を切り起こす構成とすることにより、簡単に突出片を形成することができる。また、第1の折目線において折り曲げたり開いたりする際、すなわち、天面部を開閉する際、切り起こした突出片を第1の仕切部材と同一平面に収納する(又は反対側に押し込む)ことができるため、天面部の開閉を容易に行うことができる。
【0018】
また、請求項4のように、前記天面部は、側方に開口した切欠部をさらに備えてなると好適である。
このように、天面部の側方に開口した切欠部を設けることにより、物品の出し入れ時、作業者が切欠部に指を引っかけることができるため、天面部の開閉作業を容易に行うことができる。
【0019】
さらにまた、請求項5のように、前記第2の仕切部材は、前記天面部を介して前記第1の折目線と対向して形成された第2の折目線と、該第2の折目線に対して連設された差込フラップと、をさらに備えてなると好ましい。
このように、天面部に連接された差込フラップを形成すると、差込フラップが箱又は他の仕切部材と当接する。その結果、箱又は他の仕切部材の摩擦によって、差込フラップが固定されるため、天面部が配設される区画において、さらに天面部が嵌合し易くなる。したがって、天面部がより強固に固定され、物品が遊動するのを防ぐことができる。
また、比較的小さな物品が配設される区画に対し、天面部がほぼ同じ面積となるように形成する際、第2の仕切部材の天面部よりも上方の板材を切除することなく、第2の折目線を折り曲げるだけでよいので、作業を簡素化することができる。
【0020】
さらに、請求項6のように、前記切断線は、前記第1の仕切部材上に複数配設されてなると好ましい。
このように、突出片を切り起こすための切断線は、様々な位置に複数設けられているとよい。たとえば、第1の仕切部材及び第2の仕切部材を仕切材として組立てた際、様々な高さ位置に切断線が設けられていると、それに対応した高さの突出片を任意で形成することができ、内部に収納される物品の高さを限定することがない。さらに、第1の仕切部材と第2の仕切部材とを組み合わせた際、第2の仕切部材によって分割される区画に対応して、切断線を設けておくことにより、突出片が形成される区画、すなわち、比較的高さの低い物品を収納する区画の位置及び数を限定することがない。
【0021】
また、請求項7のように、前記箱内に収納される物品は、ラベルを貼付された物品であり、前記第1の仕切部材及び/又は前記第2の仕切部材上であって、前記ラベルの端部に対応する位置に、開口部が配設されてなると好適である。
一般に、仕切材を用いて収納する物品にラベルが貼付されていることがある。このとき、ラベルの端部が仕切部材に当接し、その一部が捲り上がって損傷し、商品価値を損なう場合がある。したがって、本発明の請求項6のように、仕切材において、ラベルの端部が当接する位置に、開口部を設けた構成とすることにより、ラベルの端部が仕切材に当接するのを防ぐことができる。したがって、ラベルの端部が仕切材と擦れ合うことがないため、ラベルの端部が捲れ上がって、損傷することがない。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の仕切材は、第2の仕切部材によって形成される天面部を、比較的小さな物品が収納される区画に架設し、蓋をする構成であるため、別途緩衝材を必要とせず、簡単な構成で異なる大きさの物品を同一の箱内に収納可能である。
また、第1の仕切部材に設けられる突出片により、天面部が係止されているため、天面部が簡単に開くことがなく、物品が箱内で遊動するのを防ぐことができる。
さらに、天面部を係止するための突出片を形成するためには、切断線を切り起こすだけでよいので、予め複数の位置に切断線を形成しておくことにより、任意の高さで天面部を形成して突出片で係止することが可能である。その結果、様々な高さの物品を収納することが可能な汎用性の高い仕切材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る仕切材を適用した包装箱を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る仕切材の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る組立状態の仕切材の概略斜視図である。
【図4】(a)本発明の一実施形態に係る第1の仕切部材の平面図である。(b)本発明の一実施形態に係る第2の仕切部材の平面図である。(c)本発明の一実施形態に係る第3の仕切部材の平面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る仕切材を適用した包装箱の断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る組立状態の仕切材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0025】
図1乃至図5は本発明の一実施形態に係るものであり、図1は仕切材を適用した包装箱を示す説明図、図2は仕切材の分解斜視図、図3は組立状態の仕切材の概略斜視図、図4(a)は第1の仕切部材の平面図、図4(b)は第2の仕切部材の平面図、図4(c)は第3の仕切部材の平面図、図5は仕切材を適用した包装箱の断面図である。
【0026】
本実施形態に係る仕切材100は、図1で示すように、瓶40,50の間に配設され、箱200の内部に、瓶40,50と共に収納される。本発明の仕切材100は、本実施形態のように、比較的高さの低い瓶40と、高さの高い瓶50とを同時に一つの箱200内に収納する際に好適に用いられる。
【0027】
仕切材100は、少なくとも第1の仕切部材10と、第2の仕切部材20とを平面視十字状に組み合わせることにより形成される。なお、本実施形態においては、さらに第3の仕切部材30を第1の仕切部材10に対して平面視十字状に組み合わせた例を示す。
【0028】
本実施形態では第1の仕切部材10、第2の仕切部材20、第3の仕切部材30をそれぞれ一枚ずつ備えた例を示すが、その数はこれに限定されるものではない。例えば、第3の仕切部材30が配設された位置に第2の仕切部材20を配設し、1枚の第1の仕切部材10と、2枚の第2の仕切部材20とを備えた構成としても良い。また、各仕切部材10,20,30をさらに多数設けても良く、その場合、井桁状に各仕切部材10,20,30を組み合わせても良い。
【0029】
各仕切部材10,20,30は、箱200の内部の高さとほぼ同じ、又は若干低く形成されており、各仕切部材10,20,30の幅は、箱200の内部の幅とほぼ同じ、又は若干短く形成されている。
【0030】
箱200は、一般的に物品の梱包に用いられる公知のものを用いることができるが、軽量且つ安価であり、適当な強度を備えることから、段ボール箱が好適に用いられる。また、仕切材100を構成する各仕切部材10,20,30は適当な強度を有する板材によって形成されている。各仕切部材10,20,30は、一般的な仕切材に用いられる公知の板材を用いることができるが、加工し易く、軽量であることから、プラスチック製や、段ボール製の板材が好適である。ただし、箱200の内部に収納される物品(本実施形態では瓶40,50)の間で緩衝材としての役割も果たすため、適度な強度を備えていることが必要である。
【0031】
また本実施形態では、各仕切部材10,20,30の高さが各瓶40,50の蓋の部分まで延設されているが、瓶50の肩部まで延設されていればよい。ただし、第2の仕切部材20は、後述のように折り曲げられた際、瓶50の肩部まで延設された構成とする。
【0032】
次に、仕切材100の組立に関して図2を参照して説明する。第1の仕切部材10は、第2の仕切部材20と嵌合されるため、その下方から切り込みが形成されており、第1のスリット11が備えられている。第1のスリット11は、第1の仕切部材10の下方端部から、中程まで延設されている。また、第1のスリット11の幅は、嵌合される第2の仕切部材20の板厚よりも若干狭く設計されている。
【0033】
そして第1の仕切部材10には、さらに第3の仕切部材30を嵌合させるため、スリット12もまた形成されている。スリット12は第1のスリット11に対して略平行に形成され、第1のスリット11と同じく、第1の仕切部材10の下方端部から、第1の仕切部材10を構成する板材の中程まで延設されている。また、スリット12の幅は、嵌合される第3の仕切部材30の板厚よりも若干狭く設計されている。
【0034】
また、第2の仕切部材20は、その上方から切り込みが形成されており、第1の仕切部材10と嵌合されるため、第2のスリット21が備えられている。第2のスリット21は、第2の仕切部材20の上方端部から、第2の仕切部材20を構成する板材の中程まで延設されている。また、第2のスリット21の幅は、嵌合される第1の仕切部材10の板厚よりも若干狭く設計されている。
【0035】
第3の仕切部材30もまた同様に、その上方から切り込みが形成されており、第1の仕切部材10と勘合されるため、スリット31が備えられている。スリット31は、第3の仕切部材30の上方端部から、第3の仕切部材30を構成する板材の中程まで延設されている。また、スリット31の幅は、嵌合される第1の仕切部材10の板厚よりも若干狭く設計されている。
【0036】
第1の仕切部材10に備えられた第1のスリット11の長さは、少なくとも第2の仕切部材20に設けられた第2のスリット21の下方端部から、第2の仕切部材20の下方端部(第2のスリット21が設けられていない側の端部)までの長さとほぼ同じ長さ、又は若干長く形成されている。
【0037】
そして、第1の仕切部材10に形成された第1のスリット11に対し、第2の仕切部材20が、第2のスリット21が形成された側から差し込まれる。この時、第1のスリット11と第2のスリット21とは、かみ合わせるように嵌合され、略同一直線上となるように差し込まれる。
【0038】
したがって、第1の仕切部材10と第2の仕切部材20とを嵌着した際に、第1の仕切部材10と第2の仕切部材20の高さを揃えることができる。
なお、第1の仕切部材10に対する第3の仕切部材30の関係も同様である。
【0039】
次に、第1の仕切部材10、第2の仕切部材20、第3の仕切部材30を組み合わせて形成された仕切材100の構成に関し、図3を参照して説明する。
仕切部材100は、第1の仕切部材10に対し、第2の仕切部材20と、第2の仕切部材30とが、それぞれ第2のスリット21及びスリット31を上方に向けて嵌合された構成である(図2を参照)。
【0040】
異なる形状や大きさの物品を同一の箱200内に収納する際、比較的高さの低い物品を収納する区画において、第2の仕切部材20は、その側方に配設される物品の高さに対応した高さとなるように、天面部23を備えている。すなわち、第2の仕切部材20は、第2のスリット21によって分割された部分において、第1の折目線22で折り曲げることにより、物品の高さと略同じ高さを備えた天面部23を形成する。
【0041】
また、天面部23は、比較的高さの低い物品を収納する区画と平面視略同面積で形成され、該区画に嵌合される構成である。このような構成により、比較的高さの低い物品が蓋としての役割を果たす天面部23によって良好に保持され、内部での破損を防止することができる。
【0042】
天面部23は、第1の仕切部材10上に形成された突出片13によって係止されている。天面部23は、第2の仕切部材20を第1の折目線22を折り曲げて形成されるため、第1の折目線22によって折り曲げられた部分は平面状に戻りやすいが、突出片13によって天面部23が係止されることにより、天面部23は第1の仕切部材10に対して略垂直に保持される。
【0043】
突出片13は、第1の仕切部材10の一部に、略コ字状又は略U字状の切断線13a(図4(a)参照)を形成し、その切断線13aから切り起こすことにより形成されている。
【0044】
天面部23を、突出片13よりも下方に押し下げた後、突出片13を裏側から押し込むようにすると、容易に突出片13によって天面部23を係止することができる。また、天面部23を下方に押し下げた後、突出片13を押し戻すようにすると、天面部23を持ち上げることができる。
【0045】
突出片13は、第1の仕切部材10の表面に突出するように、別部材を接合するような構成としても良いが、本実施形態のように、切断線13aを形成して折目線13b(図4(a)参照)によって切り起こす形状とすると、安価で且つ作業性が高いので好ましい。
【0046】
また、突出片13は、第1の仕切部材10の表面と裏面に別途形成することができる。表面側と裏面側に収納される物品の高さが同程度である場合、図3のように、切断線13aを連続して形成することにより、より構造が簡素化され、作業性が向上する。
【0047】
天面部23には、その側方、すなわち第2の仕切部材20の側方(区画がより多く設けられる場合は、天面部23において第2のスリット21が設けられた辺)に開口した切欠部24が形成されている。この切欠部24は、作業者が指を差し込むことができる程度の大きさに形成されており、図3のように第1の折目線22が折り曲げられた状態であっても、作業者は容易に天面部23を上方に持ち上げることができる。
【0048】
さらに、天面部23の側方には、第1の折目線22に対向して、第2の折目線25が形成されている。第2の折目線25によって第2の仕切部材20が折り曲げられることにより、天面部23の側方に差込フラップ26が連設される。
【0049】
天面部23の面積が、物品を収納する区画と略同面積に形成されるため、それに対応して差込フラップ26の面積が適宜調整される。すなわち、高さの異なる物品に対して天面部23を設ける必要がある場合は、差込フラップ26の面積を大きくして高さの低い物品を収納し、差込フラップ26の面積を小さくして高さの高い物品を収納すればよい。したがって、第2の仕切部材20の外形を、収納される物品の高さに応じて調整する必要がないため、汎用性が高い仕切材100を提供することができる。
【0050】
また、差込フラップ26は、隣接する板材、本実施形態においては箱200に当接するため、差込フラップ26と箱200との摩擦力により、運搬中に天面部23が開きにくくなる効果も得られ、好適である。
【0051】
さらに、本発明の仕切材100において、第1の仕切部材10、第2の仕切部材20、第3の仕切部材30には、それぞれ開口部17,27,37が形成されている。これらの詳細な構成は後述する。
【0052】
次に、各仕切部材10,20,30の構成について図4を参照して説明する。
図4(a)は、第1の仕切部材10の平面図である。第1の仕切部材10は、その下方が、第1のスリット11、スリット12によって略等間隔で3つの区画に分割されている。なお、本実施形態では略等間隔に分割されているが、内部に収納される物品の大きさ(太さ)に応じて、適宜設計される。また、本実施形態では、第1の仕切部材10は、3つの区画に分割された例を示しているが、複数の第2の仕切部材20又は複数の第3の仕切部材30と嵌合させるため、より多くの区画に分割されていても良い。
【0053】
本実施形態の第1の仕切部材10においては、左端の区画に比較的小さな物品を収納する構成を例示しているため、左端の区画において突出片13を形成するための切断線13a及び折目線13bが設けられている。
【0054】
一方、その他の区画(本実施形態では中央及び右端の区画)には、各区画の幅に対して略中央付近に開口部17が設けられている。また、第1のスリット11及びスリット12の端部には傾斜して開口した導入部18が形成されており、第2の仕切部材20及び第3の仕切部材30を嵌入する際、その位置決めを容易にすることができる。
【0055】
図4(b)は、第2の仕切部材20の平面図である。第2の仕切部材20は、その上方が、第2のスリット21によって略等間隔で2つの区画に分割されている。なお、本実施形態では略等間隔に分割されているが、内部に収納される物品の大きさ(太さ)に応じて、適宜設計される。また、本実施形態では、第2の仕切部材20は、2つの区画に分割された例を示しているが、複数の第1の仕切部材10と嵌合させるため、より多くの区画に分割されていても良い。
【0056】
本実施形態の第2の仕切部材20においては、右側の区画に比較的小さな物品を収納する構成を例示しているため、右側の区画において天面部23を形成するための第1の折目線22が設けられている。また、第1の折目線22に対向し、天面部23を介して第2の折目線25が設けられることにより、差込フラップ26が形成されている。
【0057】
天面部23は、折目線22によって第2の仕切部材20の本体に対して略垂直となるように折曲され、また、差込フラップ26は、天面部23に対して略垂直となるように折曲される。
【0058】
天面部23には、その側方に開口した切欠部24が設けられており、切欠部24とその側方に配設される板材(本実施形態では箱200の側板)との間に作業者が指を差し込むことが可能に配設されている。なお、作業者の指を差し込む部分の構成に関し、切欠部24を設けるのではなく、天面部23に穴を設ける構成としても良いが、その場合、天面部23の下方に収納される物品に対する保持力が若干小さくなり、且つ、板材から穴の部分を切除する作業は作業性に劣りコストが嵩むので、切欠部24を形成するのが好ましい。
【0059】
また、第2の仕切部材20においても、各区画の幅に対して略中央付近に開口部27が設けられた構成としてもよい。また、第2のスリット21の端部には傾斜して開口した導入部28が形成されており、第1の仕切部材10を嵌入する際、その位置決めを容易にすることができる。
【0060】
図4(c)は、第3の仕切部材30の平面図である。第3の仕切部材30は、その上方が、スリット31によって略等間隔で2つの区画に分割されている。なお、本実施形態では略等間隔に分割されているが、内部に収納される物品の大きさ(太さ)に応じて、適宜設計される。また、本実施形態では、第3の仕切部材30は、2つの区画に分割された例を示しているが、複数の第1の仕切部材10と嵌合させるため、より多くの区画に分割されていても良い。
【0061】
本実施形態のように、比較的小さな物品を収納する区画以外の部分は、第3の仕切部材30が設けられていても良い。このとき、第3の仕切部材30においても、各区画の幅に対して略中央付近に開口部37が設けられた構成としてもよい。また、スリット31の端部には傾斜して開口した導入部38が形成されており、第1の仕切部材10を嵌入する際、その位置決めを容易にすることができる。
【0062】
次に、第2の仕切部材20及び各開口部17,27,37の構成に関し、図5を参照して詳細に説明する。
本実施形態のように、高さの異なる瓶40,50を箱200内に収納する際、高さが低い瓶40が収納される区画には、天面部23が蓋のようにその区画を覆うように設計されている。そして、その内部に収納される瓶40の蓋と、突出片13との間に天面部23が挟まれるようにして配設される。この構成により、箱200の運搬時、その内部で瓶40が大きく遊動し、破損することを防止することができる。
【0063】
また、本発明の仕切材100は、箱200に収納される物品が瓶40,50等の円筒型の物品である場合、特に好適に用いられる。本実施形態では、内部に収納される物品の例として酒類の瓶を例示して説明する。このような瓶40,50には、その肩部よりも低い位置の表面にラベル41,51が貼付されているものが一般的である。
【0064】
そして、開口部17,27,37は、比較的大きな物品である瓶50に貼付されるラベル51の端部に対応する位置に配設されている。より詳細には、ラベル51の上端部が当接しやすい箇所に開口部17,27,37が配設されている。なお、本実施形態においては開口部17,27,37が、ラベル51の上端部に相当する位置に配設された例を示したが、ラベル51の下端部に相当する位置に配設されていても良い。
【0065】
以下、開口部17,27,37が設けられていると好ましい理由を説明する。
一般に、箱200の内部に仕切材100を収納し、大きさの異なる瓶40、50を収納する際、瓶50のように、仕切材100とほぼ当接して収納される比較的大きな物品は、その側面が仕切材100に対して擦れ合うことがある。その際、特にラベル51の端部仕切材100と擦れ合い、ラベル51の一部が捲れ上がって損傷することがあった。
【0066】
したがって、ラベル51の損傷を防止するため、比較的大きな瓶50を箱200内に収納する際、瓶50を別途フィルムや布等で包装してから箱200に収納することがあり、経費が嵩むという問題点があった。
【0067】
しかし、本実施形態のように、瓶50に貼付されたラベル51の上端(又は下端)部分に仕切材100が当接しないように、開口部17,27,37を設けることにより、ラベル51の損傷を防止することができる。
【0068】
なお、瓶40のように比較的軽量で小さい物品の場合には、その側面が仕切材100と当接しにくく、ラベル41の損傷は比較的問題とならないため、開口部17,27,37は、比較的大きな物品である瓶50を収納する区画に対応して形成される。
【0069】
また、本実施形態において、各仕切部材10,20,30にはそれぞれ開口部17,27,37が備えられた構成を示したが、この開口部17,27,37の部分を切除することなく、これらに対応する部分を押圧し、凹部としてもよい。さらに、箱200の側壁において、ラベル51の端部に対応する箇所に凹部を設けても良い。なお、箱200の内部に収納される物品の種類に応じて、開口部17,27,37が備えられていない構成としても良いのは勿論である。
【0070】
さらに、本発明の他の実施形態に関し、図6を参照して説明する。図6は、本発明の他の実施形態に係る組立状態の仕切材の説明図である。
【0071】
本発明の仕切材100において、第1の仕切部材10は、図6のように、複数の突出片13,113を備えた構成であってもよい。たとえば図6のように、第2の突出片113を、突出片13の上方に設けた場合、第2の仕切部材20を第1の折目線22で折り曲げた時とは異なる大きさの物品を収納可能となる。
【0072】
第2の仕切部材20において、折り曲げる位置を変化させ、第3の折目線122で折り曲げ、第2の突出片113に係止することにより、天面部123が形成される。このように、複数の突出片13,113を形成するため、第1の仕切部材10において、高さの異なる位置に切断線を複数形成しておくと、内部に収納される物品の大きさに応じて突出片13,113を切り起こし、天面部23,123が形成される高さを適宜調整することができる。なお、本実施形態は、上述した実施形態とは異なり、天面部23に連設された差込フラップ26を備えていない構成となっている。このように、天面部123には差込フラップが連設されない構成としても良い。
【0073】
一方、突出片13の下方にさらに突出片を設けて天面部を形成する場合は、差込フラップ26の長さがより長く形成され適当な高さに天面部が形成されるようにする。また、開口部27の位置に天面部を設けたい場合は、開口部27を必ずしも設ける必要はなく、第2の仕切部材20の構成は適宜設計される。
【0074】
このように、本発明の仕切材100は、複数の突出片13,113を形成し、第2の仕切部材20の折り曲げる位置を変更するだけで様々な大きさ(高さ)の物品を収納することができる。したがって、収納する物品の大きさが多様であっても、汎用性の高い仕切材100を提供することができる。
【0075】
なお、本実施形態では二つの高さの異なる突出片13,113を備えた仕切材100を示したが、突出片の数や設けられる位置はこれに限定されるものではない。また、突出片13,113が形成される高さは、それぞれ想定される物品の大きさに応じ、適宜調整して設計される。
【0076】
本実施形態では、小さな物品が収納される区画を一カ所のみ備える構成を示したが、第2の仕切部材20に隣接する区画であれば、第2のスリット21によって分割された数と同数の区画において、同様の構成を適用できる。したがって、突出片を切り起こすための切断線が、第1の仕切部材10上であって、第2の仕切部材20によって分割される全ての区画に対応する位置に、複数設けられていてもよい。
【0077】
なお、上記実施形態では、具体例として、箱200内に収納される物品が瓶である場合について説明したが、これに限らず、菓子等の他の物品についても、同様の構成を適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0078】
100 仕切材
200 箱
10 第1の仕切部材
11 第1のスリット
12 スリット
13 突出片
13a 切断線
13b 折目線
17 開口部
18 導入部
20 第2の仕切部材
21 第2のスリット
22 第1の折目線
23 天面部
24 切欠部
25 第2の折目線
26 差込フラップ
27 開口部
28 導入部
30 第3の仕切部材
31 スリット
37 開口部
38 導入部
40,50 瓶
41,51 ラベル
113 第2の突出片
122 第3の折目線
123 第2の天面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の仕切部材と、第2の仕切部材とが平面視十字状に組み合わされ、箱内に収容して該箱の内部を複数の区画に仕切る仕切材であって、
前記第1の仕切部材は、下方から切り込まれ、前記第2の仕切部材と嵌合する第1のスリットと、前記第1の仕切部材の表面から突出する突出片と、を有し、
前記第2の仕切部材は、上方から切り込まれ、前記第1の仕切部材と嵌合する第2のスリットと、該第2のスリットに対して略垂直に形成された第1の折目線と、該第1の折目線に対して連設された天面部と、を備え、
該天面部は、前記第1の折目線に沿って前記第1の仕切部材に対して略垂直に折り曲げられ、前記突出片によって係止されてなることを特徴とする仕切材。
【請求項2】
前記天面部は、前記区画と平面視略同面積に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の仕切材。
【請求項3】
前記突出片は、前記第1の仕切部材に形成された切断線を切り起こして形成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の仕切材。
【請求項4】
前記天面部は、側方に開口した切欠部をさらに備えてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の仕切材。
【請求項5】
前記第2の仕切部材は、前記天面部を介して前記第1の折目線と対向して形成された第2の折目線と、該第2の折目線に対して連設された差込フラップと、をさらに備えてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の仕切材。
【請求項6】
前記切断線は、前記第1の仕切部材上に複数配設されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の仕切材。
【請求項7】
前記箱内に収納される物品は、ラベルを貼付された物品であり、前記第1の仕切部材及び/又は前記第2の仕切部材上であって、前記ラベルの端部に対応する位置に、開口部が配設されてなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の仕切材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−219127(P2011−219127A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89844(P2010−89844)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(595014871)精英堂印刷株式会社 (3)
【Fターム(参考)】