他のポリマーとブレンド混合されたときに大きい生産量及び良好な光学を可能にする新規LDPE
密度が約0.9グラム/立方センチメートル〜約0.94グラム/立方センチメートルであり、分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約30であり、メルトインデックス(I2)が約0.1グラム/10分〜約50グラム/10分であり、gpcBR値が、gpcBR分岐指数によって求められるとき、約1.4よりも大きく、且つ、Y値が約2未満であるとして特徴づけられるエチレン系ポリマーが開示される。本発明のエチレン系ポリマーは、他のポリマー(例えば、LLDPEなど)とブレンド混合するためにとりわけ有用である。そのようなブレンド混合物をフィルム(とりわけ、インフレートフィルム)に変換するとき、バブル安定性及び生産量が増大する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は米国特許出願第12/482,517号(2009年6月11日出願)の利益を主張する(これは全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0002】
発明の背景
多くのタイプのポリエチレンが今日では作製され、販売されている。特に1つのタイプが様々な供給者によって作製され、大量に販売されている。このポリエチレンは高圧フリーラジカルポリエチレンと称され(通常、LDPEと称され)、通常の場合には、管状リアクター又はオートクレーブリアクター、或いは、時には組合せを使用して作製される。時には、ポリマー使用者はLDPEを他のポリマー(例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)など)とブレンド混合して、特性(例えば、流動性又は加工性など)を改変することを試みる。
【0003】
今回、本発明者らは、特にLLDPEとブレンド混合されるとき、とりわけ、増大したバブル安定性に起因する増大した生産量の点での改善された加工性を、他の性能属性を維持しながら有し得る新しいLDPEポリマーを発見している。
【0004】
発明の概要
密度が約0.9グラム/立方センチメートル〜約0.94グラム/立方センチメートルであり、分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約30であり、メルトインデックス(I2)が約0.1グラム/10分〜約50グラム/10分であり、gpcBR値が、gpcBR分岐指数によって求められるとき、0.05よりも大きく、且つ、log_LSCDF値(Y)が約2未満であり、好ましくは約1.5未満であり、最も好ましくは約1.2未満であるとして特徴づけられるエチレン系ポリマーが今回、作製された。前記エチレンポリマーはホモポリマー又はコポリマーであり得る。好ましくは、前記エチレン系ポリマーは約8〜約12の分子量分布(Mw/Mn)を有することができる。前記エチレン系ポリマーを含む少なくとも1つのフィルム層、好ましくは、縦方向(MD)の収縮張力(shrink tension)が15psiを超えるそのようなフィルム層を作製することができる。
【0005】
前記エチレン系ポリマーと、少なくとも1つの他の天然ポリマー又は合成ポリマーとを含む組成物を、例えば、別個のポリマーブレンド混合物によって作製することができる。合成ポリマーを、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)からなる群から選択することができる。好ましくは、合成ポリマーはLLDPEを含み、とりわけ、組成物の少なくとも50重量パーセント以上を含む。このような組成物を含む少なくとも1つのフィルム層もまた作製することができる。好ましくは、前記エチレンポリマーは、GPC Mwと、ゼロ剪断粘度(η0)(Pa*s)との、log(η0(Pa*s))>3.6607*log(GPC Mw)−14.678の関係性を有し、及び/又は、cNの単位における190℃での溶融強度が11.5cNを超える。
【0006】
別の実施形態において、本発明者らは、所定の表面曇り(S)、所定の内部曇り(I)(ともに%曇りの単位であり、ともに表面・内部曇り法を使用して求められる)、及び、所定のメルトインデックス(I2)(10分あたりのグラム数)を有し、但し、S、I及びI2の数値が、下記の関係性:
S/I≧(−2*I2)+8
(但し、総曇りは9.5%未満である)
に対応し、好ましくは、メルトインデックスが0.5を超え、且つ、2未満であるエチレン系ポリマーを作製している。
【0007】
さらに別の実施形態において、本発明者らは、密度が約0.9グラム/立方センチメートル〜約0.94グラム/立方センチメートルであり、分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約30であり、メルトインデックス(I2)が約0.1グラム/10分〜約50グラム/10分であり、gpcBR値が、gpcBR分岐指数によって求められるとき、0.05よりも大きく、GPC−LS特徴づけY値が約2未満であり、且つ、所定の表面曇り(S)、所定の内部曇り(I)(ともに%曇りの単位であり、ともに表面・内部曇り法を使用して求められる)を有し、但し、S、I及びI2の数値が、下記の関係性:
S/I≧(−2*I2)+8
(但し、総曇りは9.5%未満である)
に対応するとして特徴づけられるエチレン系ポリマーを作製している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】開示されたチューブリアクターシステム100の構成要素を記載するプロセスの略図である。
【0009】
【図2】A1タイプの正の領域セグメントを有するLog_LSCDF構造記述子である。
【0010】
【図3】A2タイプの負の領域セグメントを有するLog_LSCDF構造記述子である。
【0011】
【図4】A1タイプ及びA2タイプの両方の領域セグメントを有するLog_LSCDF構造記述子である。
【0012】
【図5】実施例1〜3及び比較例1〜2を作製するために使用されるプロセスの概略図である。
【0013】
【図6】実施例1を作製するために使用される温度及び帯域の概略図である。
【0014】
【図7】本発明の実施例及び比較例についての分子量分布対Log_LSCDFである。
【0015】
【図8】表10からの、LLDPE1との実施例及び比較例についての最大速度及び曇りである。
【0016】
【図9】表10からの、LLDPE1との実施例及び比較例についての最大速度及び光沢である。
【0017】
【図10】表10からの、LLDPE1及びLLDPE2との実施例及び比較例についての最大速度及び曇りである。
【0018】
【図11】表10からの、LLDPE1及びLLDPE2との実施例及び比較例についての最大速度及び光沢である。
【0019】
【図12】表15の実施例1、比較例1及び他の比較例についての表面/内部曇り対メルトインデックスである。
【0020】
発明の詳細な説明
LLDPE(線状低密度ポリエチレン)樹脂と5%〜80%(重量基準)でブレンド混合されたときにそのインフレートフィルムラインでの生産速度を機械的特性の全般的な保持とともに増大させることをフィルム加工業者に可能にするLDPE(低密度ポリエチレン)樹脂は有用であると考えられる。
【0021】
高圧LDPE管状技術を使用して、幅広い分子量分布(MWD)を有する樹脂が開発される。この樹脂がインフレートフィルムラインでLLDPE樹脂と20%でブレンド混合されるとき、最大生産速度における4%〜7%の増大が、このラインで達成され得る同程度のLDPE樹脂と比較して認められる。
【0022】
LDPEエチレン系ポリマーのメルトインデックスは約0.1g/10分〜約50g/10分であり、好ましくは約0.2g/10分〜約5g/10分である。LDPEエチレン系ポリマーの密度は約0.9g/cm3〜約0.94g/cm3であり、好ましくは約0.918g/cm3〜約0.927g/cm3である。LDPEエチレン系ポリマーは約11cN〜約40cNの溶融強度を有することができる。LDPEエチレン系ポリマーは、約8〜約30のMWD(Mw/Mn)、約1.4〜約10のgcpBR、及び、約15cN〜40cNのMD収縮張力を有することができる。
【0023】
低密度エチレン系ポリマーはエチレンのホモポリマーである場合がある。低密度エチレン系ポリマーは、エチレン及び少なくとも1つのコモノマーから構成されるエチレン系インターポリマーである場合がある。エチレン系インターポリマー(とりわけ、エチレン/α−オレフィンインターポリマー)への取り込みのために有用なコモノマーには、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。エチレンはしばしば、少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィン(例えば、プロペン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンなど)と共重合される。
【0024】
低密度エチレン系ポリマーは、ポリマーの内部曇り、表面曇り及びI2メルトインデックスの間において、他の低密度エチレン系ポリマーとは異なる数的関係性を示すことができる。I2メルトインデックスは、下記において試験方法の節で記載されるメルトインデックス法を使用して求められる。内部曇り及び表面曇りは、下記において試験方法の節で記載される表面・内部曇り法を使用して求められる。
【0025】
濃度正規化された光散乱(LS)応答値と、従来的に較正された分子量(Mw,GPC)の対数値との間において、他の低密度エチレン系ポリマーの両者間の関係性とは異なる関係性を示す低密度エチレン系ポリマーが開示される。この差異が、log_LSCDFと呼ばれる関係性において捕らえられる。log_LSCDFは、下記において試験方法の節で記載されるGPC−LC特徴づけ法によって求められる。エチレン系低密度ポリマーは約2未満のlog_LSCDFを有する。
【0026】
様々な方法が、低密度エチレン系ポリマーを形成するために管状リアクターを使用することについて当分野では周知である。このプロセスは、一部がエチレンから構成されるプロセス流体がフリーラジカル重合され、これにより、高い発熱性の反応が生じる管状重合反応である。反応が、反応のための初期開始温度が120℃〜200℃の間であるが、160℃〜360℃のリアクターにおける最大温度で、乱流のプロセス流体の流れにおいて高い運転圧力(1000bar〜4000bar)のもとで行われる(従って、低密度エチレン系ポリマーは「高圧」ポリマーとも呼ばれる)。管に沿ったいくつかの地点において、フリーラジカル重合の期間中に生じた熱の一部を、管壁を介して除くことができる。管状リアクターについての典型的な1回通過転換率の値が約20パーセント〜40パーセントの範囲である。管状リアクターシステムはまた、変換効率を改善するための少なくとも1つのモノマー再循環ループを含む。
【0027】
プロセスを記載するという目的のために、限定されない管状重合反応システムが図1に示される。チューブリアクターシステム100は、長さが典型的には約250メートル〜約2000メートルである管2を有する。管の長さ及び直径は、プロセス流体の滞留時間及び速度、同様にまた、管2の熱付加/除去能に影響する。限定されないが、好適なリアクターの長さは100メートル〜3000メートルの間で可能であり、いくつかは500メートル〜2000メートルの間で可能である。管2はまた、所望されるシステム処理能、運転圧力範囲、並びに、混合及び反応のための乱流の程度に基づいて、約30mm〜約100mmの有効内径を有する。有効内径は、プロセスの種々の部分(例えば、乱流混合、反応開始剤及び供給物の注入、並びに、プロセス流体のスロットリング(throttling)(すなわち、圧力損失を犠牲にしてプロセス流体速度を速めること)など)を収容するために管2に沿って様々な地点で広げることができ、また、狭くすることができる。
【0028】
再度、図1及びチューブリアクターシステム100を参照して、一次圧縮機4(これは多段圧縮機であり得るか、又は、並行して稼動する2台以上の圧縮機であり得る)が、その吸入側において、新鮮供給物導管6と呼ばれる新鮮なモノマー/コモノマー供給物の供給源と、低圧システム再循環導管8とに接続される。低圧システム再循環導管8は、揮発したプロセス流体をチューブリアクターシステム100の精製部からプロセスの前方に供給する2つの再循環ループのうちの1つである。開示されたプロセスにおいて、低圧システム再循環導管8は主にエチレンを含有し、しかし、これはまた、使用されなかったコモノマー及び他のプロセス添加物(例えば、残留する連鎖移動剤など)を含有することがある。一次圧縮機4はプロセス流体の圧力を約20barから約275barに昇圧する。
【0029】
依然として図1を参照して、いくつかの場合には超高圧圧縮機5と呼ばれる第2の圧縮機(これは多段圧縮機であり得る)が、その吸入側において、一次圧縮機4の排出物に、同様にまた、高圧システム再循環導管26と呼ばれる、2つの再循環流れの第2のものに接続される。超高圧圧縮機5はプロセス流体の圧力を1000bar〜4000barの運転圧力に昇圧する。
【0030】
本開示の超高圧圧縮機5は、一次圧縮機の出口と、リアクターとの間における高い圧縮比のために、同様にまた、プロセス流体の高いリアクター運転圧力のために往復プランジャー圧縮機であり得る。超高圧圧縮機は、より低いリアクター運転圧力については一段圧縮機が可能であり、或いは、より高いリアクター運転圧力については、段階間の冷却を段階の一部又はすべての間に有する多段圧縮機が可能である。
【0031】
超高圧圧縮機5によって排出されているプロセス流体は、滑らかな連続した様式で流れず、むしろ、圧縮機の行程毎による「パルス」である。これは、それぞれの段階におけるプランジャーが圧縮可能なプロセス流体を段階的様式で吸入及び排出するために生じる。生じた排出流パルスは、運転圧力における±10%又はそれ以上の圧力変動を生じさせ得る。システムの圧力急上昇を生じさせる循環する排出流は、プロセスユニット(例えば、超高圧圧縮機、排出ライン及びリアクターなど)の機械的一体性に対する長期間の負の影響を有することがある。その結果として、これらのサブシステムの機械的一体性における低下は、オンライン運転に関する全体的な運転安定性及び信頼性に影響を及ぼす可能性があり、一方で、プロセス安定性が流れ及び圧力の脈動によって影響を受け得る。その上、同じ圧縮機(例えば、いくつかの排出点を備える多段圧縮機など)から生じる別々のプランジャーの個々の排出行程が互いに重なり得ること(すなわち、相互に部分的又は完全に「一致」し得ること)、その結果、共通するプロセス流体流れにおける合流時の排出脈動の強さにおける増幅が生じることが、排出ラインの幾何学的配置のために起こり得る。従って、圧力急上昇を最小限に抑えるためだけではなく、プロセス及びリアクターシステム機器に対する共通排出ラインにおける圧力パルス増幅の影響を最小限に抑えるためにもまた、静的及び能動的な機械的デバイス(例えば、オリフィス及び脈動ダンパーなど)を圧縮機排出ラインにおいて使用することは、良好な運転上の実施である。
【0032】
超高圧圧縮機5による加圧の後、プロセス流体が上流側のプロセス供給物流として導管12を介して管2の中に供給される。いくつかの開示されたプロセスにおいて、プロセス流体は分割され、異なる供給場所において管2に供給される。そのようなプロセスにおいて、プロセス流体の一部が第1の反応帯域への上流側のプロセス供給物流として導管12を介して管2に供給され、そして、(プロセス流体において行われる分割の数に依存して)残りの部分が、様々な導管14を介して他の反応帯域への下流側のプロセス供給物流として管2に供給されるであろう。他の反応帯域は第1の反応帯域の下流側に管2に沿って長さ方向で位置する。以前に記述されたように、2つ以上の他の反応帯域が存在してもよい。
【0033】
2つ以上の反応帯域が存在するプロセスにおいて、1つ又はそれ以上のフリーラジカル開始剤導管又は触媒導管7により、開始剤又は触媒がそれぞれの反応帯域の開始部の近く又は開始部において管2に運ばれる。所望されるエチレン系ポリマー付加物に依存して、プロセス運転条件での開始剤又は触媒の注入により、モノマー/コモノマー物質の反応が開始される。開示されたプロセスにおいて、そのような反応の主生成物がエチレン系ポリマー及び熱である。開始剤又は触媒は、以前に考察されたようにプロセス流体におけるモノマー(及び、含まれる場合、コモノマー)の変換を改善するためにそれぞれの反応帯域に加えることができる。開示されたプロセスにおいて、異なる開始剤又は触媒を、ピーク温度が検査点の近くで達成されることを保証するために、且つ、様々な目標ピーク温度を達成するために、異なる反応帯域においてプロセス流体に加えることができる。
【0034】
プロセスで使用されるためのフリーラジカル開始剤のタイプは重要ではない。フリーラジカル開始剤の例には、酸素系開始剤、例えば、有機ペルオキシド(PO)などが含まれる。好ましい開始剤が、t−ブチルペルオキシピバラート、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシアセタート及びt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート、並びに、それらの混合物である。これらの有機ペルオキシ開始剤は、高圧供給物の重量に基づいて0.0001重量パーセント〜0.01重量パーセントの間の従来的量で使用される。
【0035】
本明細書中に開示される新しいLDPEとブレンド混合され得る他のポリマーを重合するために使用される好適な触媒には、所望される組成物又はタイプのポリマーを調製するために適合させられる任意の化合物又はそのような化合物の任意の組合せが含まれる。不均一触媒及び均一触媒の両方、並びに、それらの組合せを用いることができる。いくつかの実施形態においては、周知のチーグラー・ナッタ組成物、とりわけ、第2族金属のハロゲン化物又は混合ハロゲン化物及びアルコキシドに担持される第4族金属のハロゲン化物、並びに、周知のクロム系触媒又はバナジウム系触媒を含めて、様々な不均一触媒を使用することができる。いくつかの実施形態において、使用される触媒は、比較的純粋な有機金属化合物又は金属錯体を含む均一触媒、とりわけ、第3族〜第10族又はランタニド系列から選択される金属に基づく化合物又は錯体を含む均一触媒であり得る。2つ以上の触媒がシステムにおいて使用される場合、用いられる触媒はどれも、重合条件下における別の触媒の成績に著しく有害な影響を与えないことが好ましい。望ましくは、どの触媒も、活性が重合条件下で25パーセントを超えて低下せず、より好ましくは10パーセントを超えて低下しない。好ましい触媒システムの例が、米国特許第5,272,236号(Laiら)、同第5,278,272号(Laiら)、同第6,054,544号(Finlaysonら)、同第6,335,410号(Finlaysonら)、同第6,723,810号(Finlaysonら)、PCT出願公開番号国際公開第2003/091262号(Boussieら)、同第2007/136497号(Konzeら)、同第2007/136506号(Konzeら)、同第2007/136495号(Konzeら)及び同第2007/136496号(Aboelellaら)に見出され得る。他の好適な触媒が、米国特許出願公開第2007/0167578号(Arriolaら)に見出され得る。
【0036】
開示されたエチレン系ポリマー付加物をもたらすフリーラジカル重合反応は、開始剤又は触媒が存在するそれぞれの反応帯域において行われる。反応は、多量の熱が生じる発熱反応である。冷却が行われない場合、プロセス流体及びエチレン系ポリマー付加物(これが熱を吸収し、保持する)における断熱的温度上昇により、不都合な反応が生じると思われる。そのような反応には、エチレン分解(この場合、エチレン及びポリエチレンが無燃焼(combustionless)反応で基本生成物に壊れる)が含まれ得る。
【0037】
いくつかのプロセスでは、プロセス流体の温度が、熱除去媒体による熱流束を誘導することにより管2の壁を介して熱を除くことによって下げられる。熱除去媒体は、熱をチューブリアクターシステム100から吸収し、その熱を除くために使用される流体であり、例えば、エチレングリコール、水又は空気などである。熱除去媒体が液体であるとき、熱交換器30(これは、1−1冷却「ジャケット」と同じくらい単純であり得るか、又は、複雑なマルチパス冷凍システムであり得る)を、熱移動を達成し、且つ、プロセス流体及びエチレン系ポリマー付加物を冷却するために使用することができる。熱を除くための熱交換器及び技術の限定されない例が、Perry,Robert H.編、Perry's Chemical Engineers' Handbook、第10章、McGraw−Hill Book Co.(第6版、1984)、及び、McCabe,Warren L.ら、Unit Operations of Chemical Engeneering、McGraw−Hill,Inc.(第5版、1993)に記載される。熱除去媒体が気体であるとき、ファンを、熱を対流によりリアクター管2から逃すために使用することができる。熱除去媒体は、所定の質量流量、所定の入口温度及び所定の出口温度を有することができる。熱除去媒体が、熱をチューブリアクターシステム100から除くために使用されるとき、熱交換器30に入る熱除去媒体の入口温度は出口温度よりも低い。熱除去媒体の熱容量、及び、熱を熱除去媒体に移動する管2の能力が与えられると、与えられた質量流量についての、入口温度と、出口温度との差が、プロセスから除かれる熱を反映する。
【0038】
いくつかのプロセスでは、連鎖移動剤が、管2への導入の前にプロセス流体とできる限り均一にブレンド混合するように加えられる。チューブリアクターシステム100の物理的配置、並びに、プロセス流体及びCTAの化学的特徴に依存して、そのようなブレンド混合は、CTAを低圧システム再循環導管8のためのブースター圧縮機21の入口で、一次圧縮機4の入口に、超高圧圧縮機5の入口に、超高圧圧縮機5の出口で、管2の入口で、又は、最初のペルオキシド注入と一緒に注入することによって達成することができる。図1に示されるプロセスについては、CTAが、CTA供給源23を介してリアクターシステム100に、一次圧縮機4の入口で注入される。
【0039】
図1においてチューブリアクターシステム100ではあまり詳しくは示されないが、チューブリアクター2へのCTAの選択的供給が可能である。いくつかのプロセスでは、プロセス流体が、超高圧圧縮機5による加圧の後で、上流側のプロセス供給物流と、少なくとも1つの下流側のプロセス供給物流とに分割される。そのような場合、CTAは、図1に示されるように、CTA供給源23を使用する代わりに導管12又は導管14に注入されることによって選択的に管2の中に供給することができる。特定の場合には、CTAを、導管12を介して上流側のプロセス供給物流の中にだけCTA供給源23から注入することができる。超高圧圧縮機5が多数の段階又は列を含有するプロセスでは、プロセス流体を、超高圧圧縮機5の入口において、上流側のプロセス供給物と、少なくとも1つの下流側のプロセス供給物流とに分割することができる。そのような場合、CTAを、CTA供給源23から、超高圧圧縮機5による加圧の前に上流側のプロセス供給物流又は少なくとも1つの下流側のプロセス供給物のどちらかに選択的に供給することができ、或いは、前記で記述されたように、加圧後に導管12又は導管14に選択的に供給することができる。CTA供給源23からのCTAの供給に関する開示されたプロセスにおけるこの柔軟性は、CTAを第1の反応帯域にだけ、少なくとも1つの他の反応帯域の一部又はすべてにだけ選択的に注入することを可能にする。そのような柔軟性はまた、CTA供給源23から異なる帯域に注入されることになる異なるCTA(異なる連鎖移動定数(Cs)特性を有するCTAを含む)を注入することにより、反応システムの成績及びエチレン系ポリマー付加物の性質が最適化されることを可能にする。
【0040】
いくつかのプロセスでは、CTA供給源23はいくつかの個々の連鎖移動剤供給源から構成され得る。図1には示されないが、そのような個々の連鎖移動剤供給源は個々に分配され得るか、又は、共通の地点で注入される共通の流れに一緒にすることができる。
【0041】
再度、図1及びチューブリアクターシステム100を参照して、反応から形成されるエチレン系ポリマー、未反応のモノマー(及びコモノマー)及び使用されなかった供給物(例えば、溶媒及びCTAなど)、又は、分解反応生成物及び副反応生成物の混合物が、管出口16からプロセスの分離部に進む。チューブリアクターシステム100プロセスの分離・再循環部は、生成物ポリマーを受け取り、且つ、管2の出口からの流体混合物を処理する高圧分離器(HPS)18を含む。HPS18は、モノマーの大部分をエチレン系ポリマー付加物から分離して取り出す。HPS18のテール(tail)により、ポリマー付加物、並びに、ポリマー付加物とともに溶解され得る何らかの残留する未反応のモノマー/コモノマー及び他の使用されなかった供給物が低圧分離器(LPS)20に運ばれる。より高い圧力の軽質分の流れが、流れの冷却及び精製、並びに、不活性ガスのパージングを行うための精製システム24を含み得る高圧システム再循環導管26を通過し、一次圧縮機4から超高圧圧縮機5に進むプロセス流体と再び一緒になる。
【0042】
図1を参照して、LPS20は、わずかな大気加圧条件又は真空条件で運転することによって、何らかの残留するモノマー/コモノマー及び使用されなかった供給物をポリマー付加物から分離する。LPS20は、同伴ガスを抜き取るために約4bar(絶対)〜約1.2bar(絶対)の圧力範囲で稼動する。生じたエチレン系ポリマー付加物は、処理から依然として溶融したままであるが、LPS20のテールによって仕上げ工程(例えば、押出し、クエンチング及びペレット化など)に進む。LPS20からの軽質分が低圧システム再循環導管8を通過し、この場合、その圧力が、ほぼ大気圧から、少なくとも、一次圧縮機4の適正な運転のための要求圧力に昇圧される。低圧ブースター圧縮機21は多数の段階を有することができる。生じた生成物ポリマーは、揮発性反応物が脱ガスによって除かれ、そして、全体的なシステム効率が、反応システム100の前方への使用されなかったモノマーの再循環によって改善される。
【0043】
低圧システム再循環導管8及び高圧システム再循環導管26の両方における再循環流は典型的には、連鎖移動剤の一部を含有する。しばしばではあるが、高圧システム再循環導管26は多くの場合、十分な濃度の低Cs連鎖移動剤を含有する。これは、連鎖移動剤が反応プロセスの期間中に完全に消費されないからである。いくつかの開示されたプロセスでは、定常状態での製造に達したとき、CTA供給源23を介してプロセスに加えられる新鮮な低Cs CTAの量は、高圧システム再循環導管26及び低圧システム再循環導管8にそれぞれ存在する量と比較して比較的小さい。
【0044】
開示されたエチレン系ポリマーを使用して作製される最終使用製造物には、すべてのタイプのフィルム(例えば、ブローン被覆物、キャスト被覆物及び押出し被覆物(単層又は多層)、成形品(例えば、吹込成形品及び回転成形品)、ワイヤ及びケーブルの被覆物及び配合物、架橋適用、フォーム(例えば、連続気泡又は独立気泡を伴うブローンフォーム)、並びに、他の熱可塑性適用が含まれる。開示されたエチレン系ポリマーはまた、他のポリオレフィン(例えば、米国仮特許出願第61/165,065号に記載されるポリマー、DOWLEX LLDPE、ENGAGEポリオレフィンエラストマー、AFFINITYポリオレフィンプラストマー、INFUSEオレフィンブロックコポリマー、VERSIFYプラストマー及びエラストマー(これらはすべてが、The Dow Chemical Comopanyによって作製される)、並びに、EXACTポリマー、EXCEEDポリマー、VISTAMAXXポリマー(両方がExxonMobilによって作製される)など)とのブレンド混合物成分として有用である。Nova Chemicalsによって作製されるASTUTE及びSCLAIRもまた、本明細書中に開示される新しいLDPEとブレンド混合することができる。
【0045】
開示されたエチレン系ポリマーから最終使用製造物として製造され得るフィルムのタイプには、積層フィルム、サイレージ用フィルム、シーラント、サイロバッグ(silobag)、ストレッチフィルム;二軸延伸ポリエチレン、ディスプレーパッケージング、収縮フィルム、上包み、マスキングフィルム、剥離ライナー、及び、過酷な使用に耐える輸送袋が含まれる。加えて、ブローン被覆物、キャスト被覆物及び押出し被覆物(単層又は多層)もまた、開示されたエチレン系ポリマーを使用して製造することができる。
【0046】
定義
用語「ブレンド混合物」又は用語「ポリマーブレンド混合物」は一般には、2つ以上のポリマーの混合物を意味する。ブレンド混合物は、(分子レベルで相分離しない)混和性であってもよく、又は、混和性でなくてもよい。ブレンド混合物は相分離してもよく、又は、相分離しなくてもよい。ブレンド混合物は、当分野では公知である透過型電子顕微鏡観察、光散乱、X線散乱及び他の方法から求められるような1つ又はそれ以上のドメイン形態を含有してもよく、或いは、ドメイン形態を含有しなくてもよい。
用語「同程度の」は、類似していること、又は、似ていることを意味する。
用語「組成物」には、組成物を構成する材料、同様にまた、組成物の材料の間における相互作用及び反応から形成される反応生成物及び分解生成物の混合物が含まれる。
用語「エチレン系ポリマー」は、(重合可能なモノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合したエチレンモノマーを含有し、且つ、必要な場合には少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーを示す。エチレンのホモポリマーがエチレン系ポリマーの1つである。
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は、(重合可能なモノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合したエチレンモノマーと、少なくとも1つのα−オレフィンとを含有するインターポリマーを示す。
用語「ホモポリマー」は、ただ1つだけのタイプのモノマーのみを含有するポリマーである。
用語「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを示す。インターポリマーの用語は、コポリマー(これは通常、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを示すために用いられる)、及び、3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマー(例えば、ターポリマーなど)を包含する。
用語「LDPE」は「高圧エチレンポリマー」又は「高度分岐ポリエチレン」とも呼ばれることがあり、ポリマーが、フリーラジカル開始剤(例えば、ペルオキシドなど)の使用とともに13,000psigを超える圧力でオートクレーブリアクター又は管状リアクターにおいて部分的又は完全にホモ重合されることを意味するために定義される(例えば、米国特許第4,599,392号(McKinneyら)を参照のこと)。
用語「ポリマー」は、同じタイプのモノマーであろうと、又は、異なるタイプのモノマーであろうと、モノマーを重合することによって調製される化合物を示す。ポリマーの用語は「ホモポリマー」及び「インターポリマー」の用語を包含する。
用語「標準偏差」は、平均値からの分布の拡がり又は分散を見積もる量である。Perry,Robert H.編、Perry's Chemical Engineers' Handbook、McGraw−Hill Book Co.(第6版、1984)、同様にまた、Miller,Irwin、Probability and Statistics for Engineers、Prentice Hall(第4版、1990)を参照のこと。
用語「定常状態」及び用語「定常状態の状態」は、系の任意の部分の性質がプロセスの期間中において一定である状態である。Lewis,Richard J.,Sr.、Hawley's Condensed Chemical Dictionary、Wiley−Interscience(第15版、2007)、同様にまた、Himmelblau、David M.、Basic Principles and Calculations in Chemical Engeneering、Prentice Hall(第5版、1989)を参照のこと。
用語「GPC−LS特徴づけY値」は、用語「Log_LSCDF」と同じであるとして定義され、下記ではlog(LSCDF)+3.5として実施例13〜15において数学的に計算される。
【0047】
試験方法
密度
密度測定用のサンプルが、ASTM D1928に従って調製される。測定が、ASTM D792(方法B)を使用してサンプルのプレス成形の1時間以内に行われる。
【0048】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわち、I2が、ASTM D1238(条件、190℃/2.16kg)に従って測定される。
【0049】
溶融強度
溶融強度の測定が、Gottfert Rheotester2000キャピラリーレオメーターに取り付けられるGottfert Rheotens71.97(Goettfert Inc.;Rock Hill、SC)で行われる。ポリマー溶融物が、キャピラリー直径が2.0mmであり、且つ、アスペクト比(キャピラリー長さ/キャピラリー半径)が15である、フラットな流入角(180度)を有するキャピラリーダイから押し出される。
【0050】
サンプルを190℃で10分間平衡化させた後、ピストンが0.265mm/秒の一定のピストン速度で動かされる。標準試験温度が190℃である。サンプルが、2.4mm/秒2の加速度により、ダイの下方100mmに位置する1組の加速用ニップにまで一軸方向に引っ張られる。引張り力がニップロールの巻取り速度の関数として記録される。溶融強度が、ストランドが破断した前のプラトーな力(cN)として報告される。下記の条件が溶融強度の測定では使用される:プランジャー速度=0.265mm/秒;ホイール加速度=2.4mm/秒2;キャピラリー直径=2.0mm;キャピラリー長さ=30mm;及び、バレル直径=12mm。
【0051】
ゼロ剪断粘度
ゼロ剪断粘度が、Sammler,R.L.、T.P.Karjala、W.Huang、M.A.Mangnus、L.G.Hazlitt及びM.S.Johnson、「ポリオレフィンにおける長鎖分岐を検出するためのゼロ剪断粘度/分子量法」、SPE ANTEC Proceedings、Chicago、1023(2004年5月17日〜20日)において考察されるようなクリープ試験によって求められる。
【0052】
190℃におけるパスカル・秒でのゼロ剪断粘度値(η0)が、190℃で維持される直径25mmの平行プレートを使用してAR−G2応力制御レオメーター(TA Instruments;New Castle、DE)で行われるクリープ試験により得られる。2000ppmの酸化防止剤、すなわち、IRGAFOS168及びIRGANOX1010(Ciba Specialty Chemicals;Glattbrugg、スイス)の2:1の混合物が、圧縮成形前に、それぞれのサンプルを安定化させるために加えられる。試験温度において、圧縮成形されたサンプルディスクがプレートの間に挿入され、5分間平衡化させられる。その後、上部プレートが所望の試験隙間(1.5mm)の上方50μmにまで下げられる。何らかの余分な材料が取り除かれ、上部プレートが所望の隙間にまで下げられる。測定が5L/分の流速での窒素パージのもとで行われる。クリープ時間が2時間にわたって設定される。
【0053】
20パスカルの低い剪断応力が、サンプルのすべてについて、剪断速度が十分に低く、ニュートン領域にあることを保証するために加えられる。定常状態が、log(J(t))対log(t)のプロット(式中、J(t)はクリープコンプライアンスであり、tはクリープ時間である)の最後の10%時間窓におけるデータのすべてについての線形回帰を取ることによって求められる。線形回帰の傾きが0.97よりも大きい場合、定常状態に達していると見なされる。定常状態剪断速度が、ε対tのプロット(式中、εはひずみである)の最後の10%時間窓におけるデータ点のすべての線形回帰の傾きから求められる。ゼロ剪断粘度が、定常状態剪断速度に対する加えられた応力(20パスカル)の比率から求められる。
【0054】
小さい振幅の振動剪断試験が、0.1ラジアン/秒から100ラジアン/秒まで、同じ試料片に対してクリープ試験の前後で行われる。これら2つの試験の複素粘性率値が比較される。0.1ラジアン/秒における粘性率値の差が5%よりも大きい場合、そのサンプルは、クリープ試験の期間中に分解したと見なされ、結果は棄却される。
【0055】
DSC結晶化度の測定
示差走査熱量測定法(DSC)を、広範囲の温度について所与の温度におけるサンプルの結晶化度を測定するために使用することができる。実施例については、RCS(冷凍冷却システム)冷却アクセサリー及びオートサンプラーモジュールを備えるTAモデルQ1000DSC(TA Instruments;New Castle、DE)が使用される。試験中、50ml/分の窒素パージガス流用が使用される。それぞれのサンプルが薄いフィルムにプレス成形され、約175℃でプレス機において融解される;その後、融解されたサンプルは室温(約25℃)に空冷される。冷却された材料の3mg〜10mgのサンプルが直径6mmのディスクに切断され、重量測定され、軽いアルミニウム皿(約50mg)に置かれ、クリンプ締めされる。その後、サンプルはその熱挙動について試験される。
【0056】
サンプルの熱挙動が、応答対温度プロフィルを生じさせるためにサンプルの温度を上下に変化させることによって求められる。サンプルは最初、何らかの以前の熱履歴を除くために、180℃に急速加熱され、等温状態で3分間保たれる。次いで、その後、サンプルは10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却され、−40℃で3分間保たれる。その後、サンプルは10℃/分の加熱速度で150℃に加熱される。冷却曲線及び2回目の加熱の曲線が記録される。求められる値が、ピーク融解温度(Tm)、ピーク結晶化温度(Tc)、融解熱(Hf)、及び、下記の式1を使用して計算されるポリエチレンサンプルについての%結晶化度である:
%結晶化度=[(Hf(J/g))/(292J/g)]×100 (式1)
融解熱(Hf)及びピーク融解温度が2回目の加熱の曲線から報告される。ピーク結晶化温度が冷却曲線から求められる。
【0057】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)
FTIRによる不飽和を、Thermo NicoletモデルNexus470で測定した。下記のASTM手順に従った:
・1000個のCあたりのメチル:ASTM D2238
・1000個のCあたりのtrans:ASTM D6248
・1000個のCあたりのビニル:ASTM D6248
・1000個のCあたりのビニリデン:ASTM D3124
【0058】
フィルム試験条件
下記の物理的特性が、製造されたフィルムに対して測定される:
・総(全体的)曇り、表面曇り及び内部曇り:内部曇り及び全体的曇りについて測定されるサンプルが採取され、ASTM D1003に従って調製される。内部曇りを、鉱油をフィルムの両側で使用する屈折率整合により得た。Hazegard Plus(BYK−Gardner USA;Columbia、MD)が試験のために使用される。表面曇りが、式2に示されるように、全体的曇りと、内部曇りとの差として求められる。表面曇りは、フィルムの表面粗さに関連づけられる傾向があり、この場合、表面が表面粗さの増大とともに増大する。表面曇り対内部曇り比は、式3に示されるように、内部曇り値によって除される表面曇り値である。
曇り=内部曇り+表面曇り (式2)
S/I=表面曇り/内部曇り (式3)
・45°光沢:ASTM D−2457。
・1%割線モジュラス−MD(縦方向)及びCD(横方向):ASTM D−882。
・MD及びCdでのエルメンドルフ引裂き強度:ASTM D−1922
・MD及びCDでの引張り強さ:ASTM D−882
・落槍衝撃強さ:ASTM D−1709
・衝撃あな開け(puncture)強さ:衝撃あな開けが、Sintech Testworks Software(バージョン3.10)を有するInstron Model4201で測定される。試料片サイズが6”×6”であり、4回の測定が、平均衝撃あな開け値を求めるために行われる。フィルムは、フィルム製造後40時間、且つ、ASTM管理の実験室において少なくとも24時間、状態調節される。100lbの負荷セルが、12.56”四方の丸い試料片ホルダーとともに使用される。衝撃あな開けプローブは、直径が1/2”の研磨されたステンレススチール球であり、7.5”の最大移動長さを有する。ゲージ長さがゼロである;プローブは、試料片にできる限り近くにあるが、接触していない。使用されるクロスヘッド速度が10”/分である。厚さが試料片の中央で測定される。フィルムの厚さ、クロスヘッドが移動した距離、及び、ピーク負荷が、衝撃あな開けをソフトウエアによって求めるために使用される。衝撃あな開けプローブは、それぞれの試料片の後で、「Kim−wipe」を使用して清浄化される。
・収縮張力が、Y.Jin、T.Hermel−Davidock、T.Karjala、M.Demirors、J.Wang、E.Leyva及びD.Allen、「低収縮力フィルムの収縮力測定」、SPE ANTEC Proceedings、1264頁(2008)に記載される方法に従って測定される。
【0059】
インフレートフィルムの最大生産速度の決定
フィルムサンプルが、制御された速度及び最大速度で集められる。制御された速度は、10lb/hr/インチ(ダイ円周)の生産速度に等しい250lb/hrである。最大生産量試験のために使用されるダイ直径が8”のダイであり、その結果、制御された速度については、一例として、lb/hrと、lb/hr/インチ(ダイ円周)との間の変換が式4に示されることに留意すること。同様に、そのような式は、他の速度について、例えば、最大速度などについて、lb/hr/インチ(ダイ円周)を求めるために最大速度を式4において代入することによって使用することができる。
Lb/Hr/インチ(ダイ円周)=(250Lb/Hr)/(8*π)=10 (式4)
【0060】
所与サンプルについての最大速度が、生産速度を、バブル安定性が制限因子である点にまで増大することによって求められる。押出し機プロフィルが両方のサンプル(標準速度及び最大速度)について維持され、しかしながら、溶融物温度が、増大した剪断速度のために、最大速度サンプルについてはより高い。最大バブル安定性が、気泡を、気泡がエアーリングに留まったままでない場所に移動することによって求められる。その場所では、速度が、気泡がエアーリングに再び留まるところにまで低下し、その後、サンプルが集められる。気泡に対する冷却が、エアーリングを調節し、気泡を維持することによって調節される。これが、バブル安定性を維持しながらでの最大生産速度であると見なされる。
【0061】
LDPE−LLDPEブレンド混合物の最大速度試験のために作製されるフィルムサンプルのすべてがポリマー加工助剤(PPA)を使用したことに留意すること。PPAが、Ingenia Polymersによって作製されるCKAC−19(これは8%のDynamar FX−5920AをPEキャリアに含有した)と呼ばれるPPAマスターバッチの1.5%として加えられた。
【0062】
単層フィルムが製造された。ダイ直径が8インチであり、ダイギャップが70ミルであり、ブローアップ比が2.5であり、内部バブル冷却が使用される。
【0063】
三連検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(TDGPC)
三連検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(3D−GPC又はTDGPC)システムは、内蔵された示差屈折計(RI)を備えるWaters(Milford、Mass)の150C高温クロマトグラフからなる(他の好適なGPC機器には、Polymer Laboratories(Shropshire、英国(UK))のモデル210及びモデル220が含まれる)。さらなる検出器には、Polymer ChAR(Valencia、スペイン(Spain))から得られるIR4赤外検出器、Precison Detectors(Amherst、Mass.)の2角度レーザー光散乱(LS)検出器モデル2040、及び、Viscotek(Houston、Tex.)の150R 4キャピラー溶液粘度計が含まれ得る。これら後者の2つの独立した検出器と、前者検出器の少なくとも1つとを有するGPCが「3D−GPC」又は「TDGPC」と呼ばれることがあり、一方で、用語「GPC」は単独では一般に従来型GPCを示す。サンプルに依存して、光散乱検出器の15°の角度又は90°の角度のどちらかが計算目的のために使用される。データ収集が、Viscotek TriSECソフトウエア(バージョン3)及び4チャンネルのViscotek Data Manager DM400を使用して行われる。システムはまた、Polymer Laboratories(Shropshire、英国(UK))から得られるオンライン式の溶媒脱気デバイスを備える。
【0064】
好適な高温GPCカラムを使用することができる:例えば、4本の長さ30cmのShodex HT803(13ミクロン)カラム、又は、20ミクロンの混合細孔サイズ充填材の4本の30cmのPolymer Labsカラム(MixA LS、Polymer Labs)など。サンプル回転ラック区画が140℃で操作され、カラム区画が150℃で操作される。サンプルが50ミリリットルの溶媒において0.1グラムのポリマーの濃度で調製される。クロマトグラフィー溶媒及びサンプル調製溶媒は200ppmのトリクロロベンゼン(TCB)を含有する。両方の溶媒には、窒素が吹き込まれる。ポリエチレンサンプルが160℃で4時間穏やかに撹拌される。注入体積が200マイクロリットルである。GPCを通る流速が1ml/分で設定される。
【0065】
GPCカラムセットが、21個の狭い分子量分布ポリスチレン標準物を流すことによって較正される。標準物の分子量(MW)は580から8,400,000にまで及び、標準物は6つの「カクテル」混合物に含有される。それぞれの標準物混合物は、少なくとも1桁の隔たりが個々の分子量の間にある。標準物混合物が、Polymer Laboratoriesから購入される。ポリスチレン標準物が、1,000,000以上の分子量については50mLの溶媒において0.025gで調製され、1,000,000未満の分子量については50mLの溶媒において0.05gで調製される。ポリスチレン標準物が、穏やかな撹拌とともに80℃で30分間溶解された。狭い標準物混合物が、分解を最小限に抑えるために、最初に、且つ、最大分子量成分が低下する順に流される。ポリスチレン標準物のピーク分子量が、(Williams及びWard、J. Polym. Sci., Polym. Letters、6、621(1968)に記載されるように)式5を使用してポリエチレン分子量に変換される:
Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン)B (式5)
式中、Mは、(印が付けられるように)ポリエチレン又はポリスチレンの分子量であり、Bは1.0に等しい。Aは約0.38〜約0.44の範囲であり得ること、そして、3D−GPC法(下記)及び具体的に式12によるgpcBR分岐指数において概略されるように、幅広いポリエチレン標準物を使用して較正時に求められることが、当業者には公知である。分子量値(例えば、分子量分布(MWD又はMw/Mn)など)及び関連した統計量を得るためのこのポリエチレン較正法の使用が、Williams及びWardの改変法として本明細書では規定される。
【0066】
多重検出器オフセットを求めるための体系的アプローチが、Balke、Moureyら(Mourey及びBalke、Chromatography Polym.、第12章(1992))(Balke、Thitiratsakul、Lew、Cheung、Mourey、Chromatography Polym.、第13章(1992))によって発表された様式と一致する様式で行われ、この様式では、Dow1683の幅広いポリスチレン(American Polymer Standards Corp.;Mentor、OH)又はその同等物から得られる三連検出器のlog(Mw及び固有粘度)の結果が、狭いポリスチレン標準物の較正曲線から得られる狭域標準物カラム較正結果に対して最適化される。分子量データが、Zimm(Zimm,B.H.、J. Chem. Phys.、16、1099(1948))及びKratochvil(Kratochvil,P.、Classical Light Scattering from Polymer Solutions、Elsevier、Oxford、NY(1987))によって発表された様式と一致する様式で得られる。分子量の決定において使用される全般的な注入濃度が、好適な線状ポリエチレンホモポリマー、又は、重量平均分子量が公知であるポリエチレン標準物の1つから導かれる質量検出器面積及び質量検出器定数から得られる。計算された分子量が、述べられたポリエチレン標準物の1つ又はそれ以上から導かれる光散乱定数と、0.104の屈折率濃度係数(dn/dc)とを使用して得られる。一般には、質量検出器応答及び光散乱定数は、分子量が約50,000ダルトンを超える線状標準物から決定されなければならない。粘度計の較正を、製造者によって記載される方法を使用して、又は、代替では、好適な線状標準物(例えば、Standard Reference Material(SRM)1475a、同1482a、同1483又は同1484aなど)の発表された値を使用することによって達成することができる。クロマトグラフィー濃度は、2次ビラル(viral)係数の影響(分子量に対する濃度影響)を検討することを除外するために十分に低いと仮定される。
【0067】
3D−GPCによるgpcBR分岐指数
3D−GPC構成では、ポリエチレン標準物及びポリスチレン標準物を、Mark−Houwink定数のK及びαをこれら2つのポリマータイプ(ポリスチレン及びポリエチレン)のそれぞれについて独立して見積もるために使用することができる。これらは、Williams及びWardのポリエチレン等価分子量を下記の方法の適用において精緻化するために使用することができる。
【0068】
gpcBR分岐指数が、光散乱検出器、粘度検出器及び濃度検出器を前記で記載されるように最初に較正することによって求められる。その後、ベースラインが、光散乱クロマトグラム、粘度計クロマトグラム及び濃度クロマトグラムから差し引かれる。その後、積分域が、屈折率クロマトグラムからの検出可能なポリマーの存在を示す光散乱クロマトグラム及び粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持体積範囲全体の積分を保証するように設定される。その後、線状ポリエチレン標準物が、前記で記載されるようなポリエチレン及びポリスチレンのMark−Houwink定数を確立するために使用される。定数が得られると、2つの値は、式6及び式7に示されるように、溶出体液の関数としてのポリエチレン分子量及びポリエチレン固有粘度のための2つの線形の参照用の従来的較正を構築するために使用される:
【数1】
【0069】
gpcBR分岐指数は、Yau,Wallace W.、「3D−GPC使用例−ポリオレフィン特徴づけのためのTREF」、Macromol. Symp.、2007、257、29〜45に記載されるような長鎖分岐の特徴づけのためのロバストな方法である。この指数により、欠けていないポリマー検出器面積に有利なg’値の決定及び分岐頻度計算において従来から使用されるスライス毎(slice-by-slice)の3D−GPC計算が回避される。3D−GPCデータから、サンプルのバルク絶対重量平均分子量(Mw,Abs)を、ピーク面積法を使用して光散乱(LS)検出器によって得ることができる。この方法により、従来のg’決定において要求されるような光散乱検出器シグナル/濃度検出器シグナルのスライス毎の比率が回避される。
【0070】
3D−GPCにより、絶対重量平均分子量(「Mw,Abs」)及び固有粘度もまた、式8及び式9を使用して独立に得られる:
【数2】
【0071】
式8における面積計算は、全体的サンプル面積として、ベースライン及び積分範囲に対して検出器ノイズ及び3D−GPC環境によって引き起こされる変動に対してあまり敏感ではないので、より多くの精密さをもたらす。より重要なことに、ピーク面積計算は検出器の体積オフセットによって影響されない。同様に、高精度のサンプル固有粘度(IV)が、式9に示される面積法によって得られる:
【数3】
式中、DPiは、オンライン粘度計から直接にモニターされる差圧シグナルを表す。
【0072】
gpcBR分岐指数を求めるために、サンプルポリマーについての光散乱溶出面積が、サンプルの分子量を求めるために使用される。サンプルポリマーについての粘度検出器溶出面積が、サンプルの固有粘度(IV又は[η])を求めるために使用される。
【0073】
最初に、線状ポリエチレン標準物サンプル(例えば、SRM1475a又は同等物など)についての分子量及び固有粘度が、式10及び式11に従って、溶出体積の関数としての分子量及び固有粘度の両方についての従来的較正(「cc」)を使用して求められる:
【数4】
式12が、gpcBR分岐指数を求めるために使用される:
【数5】
式中、[η]は、測定された固有粘度であり、[η]ccは、従来的較正から得られる固有粘度であり、Mwは、測定された重量平均分子量であり、Mw,ccは従来的較正の重量平均分子量である。式(8)を使用する光散乱(LS)による重量平均分子量が「絶対重量平均分子量」又は「Mw,Abs」として一般に示される。従来的なGPC分子量較正曲線(「従来的較正」)を使用する式(10)からのMw,ccが多くの場合、「ポリマー鎖骨格分子量」、「従来的重量平均分子量」及び「Mw,GPC」として示される。
【0074】
「cc」の下付添え字を有するすべての統計量が、それらのそれぞれの溶出体積、前記で記載されるような対応する従来的較正、及び、保持体積分子量較正から導かれる濃度(Ci)を使用して求められる。下付添え字のない値は、質量検出器、LALLS及び粘度計の面積に基づく測定値である。KPEの値が、線状参照サンプルがゼロのgpcBR測定値を有するまで繰り返し調節される。例えば、gpcBRをこの特定の場合に求めるためのα及びLog Kについての最終的な値が、ポリエチレンについてはそれぞれ、0.725及び−3.355であり、ポリスチレンについてはそれぞれ、0.722及び−3.993である。
【0075】
K及びαの値が、前記で考察された手順を使用して求められると、この手順は、分岐サンプルを使用して繰り返される。分岐サンプルは、最良の「cc」較正値及び式8〜式11が適用されるような最終的なMark−Houwink定数を使用して分析される。
【0076】
gpcBRの解釈は直裁的である。線状ポリマーの場合、LS及び粘度測定法によって見積もられる値は従来的較正標準物に近いので、式12から計算されるgpcBRはゼロに近い。分岐ポリマーの場合、見積もられたポリマー分子量は、計算されたMw,ccよりも大きく、また、計算されたIVccは、見積もられたポリマーIVよりも大きいので、gpcBRは、とりわけ、高レベルの長鎖分岐に関しては、ゼロよりも大きい。実際、gpcBR値は、ポリマーが枝分かれする結果としての分子サイズ収縮効果に起因する部分IV変化を表す。0.5又は2.0のgpcBR値は、同等な重量の線状ポリマー分子に対して、50%及び200%のレベルでのIVの分子サイズ収縮効果をそれぞれ意味するであろう。
【0077】
これらの具体的な例について、従来の「g’指数」及び分岐頻度計算との比較においてgpcBRを使用することの利点が、gpcBRのより大きい精密度に起因する。gpcBR指数決定で使用されるパラメーターのすべてが、良好な精密度で得られ、また、濃度検出器に由来する高分子量での低い3D−GPC検出器応答によって悪影響を受けない。検出器体積アラインメントにおける誤差もまた、gpcBR指数決定の精密度に影響しない。
【0078】
GPC−LS特徴づけ
所定の分子量範囲を使用する特定のサンプルについての濃度正規化されたLSクロマトグラム応答曲線の分析は、実施形態のポリマーを類似した市販されている比較用の低密度エチレン系ポリマーから区別することにおいて有用である。
【0079】
「GPC−LS特徴づけ」パラメーターであるYが、特定の材料についてのMWD及びGPC−LSプロフィルの他にない組合せを捕らえるために設計される。図2〜図4は、本発明の実施形態を特定するためにGPC−LS特徴づけ法を使用するための実例及び指針を提供する。
【0080】
長鎖分岐を有するエチレン系ポリマー(例えば、低密度エチレン系ポリマーなど)は、「GPC−LS特徴づけ」と呼ばれる分析技術を使用することによって区別することができる。GPC−LS特徴づけ法において、決定が、従来的に較正された3D−GPC(「cc−GPC」)によって処理されるサンプルについての光散乱(LS)検出器応答をサンプルの分子量のある範囲にわたって使用して行われる。サンプルの分子量がスケーリング(scaling)目的にために対数値に変換される。正規化されていないLSシグナルは、正規化が行われないサンプル毎に大きく異なり得ることが当分野では公知であるので、LS応答は、LS応答がサンプル間で比較され得るように「濃度正規化」される。プロットされたとき、cc−GPC分子量の範囲の対数値と、濃度正規化されたLS値とにより、濃度正規化されたLSクロマトグラム曲線(例えば、図2〜図4に示されるLSクロマトグラム曲線など)が形成される。
【0081】
濃度正規化LSクロマトグラム曲線が得られると、GPC−LS特徴づけ値の決定は直裁的である。GPC−LS特徴づけ法において、GPC−LS特徴づけ値(Y)が、下記の式を使用して決定される:
Y=Log_LSCDF=Log(LSCDF)+3.5 (式13)
LSCDF=Abs(A/B*SF) (式14)
SF=傾き関数=Abs(x)+0.1 (式15)
上式において、Abs()は数学的絶対値関数であり、LSCDFは光散乱累積検出器比(light scattering cumulative detector fraction)を表す。
【0082】
本質的には、GPC−LS特徴づけ値は、2つの関連領域(A及びB)と、2つの指定されたcc−GPC分子量値の対数値での濃度正規化LSクロマトグラム曲線における2つの点の間の直線の指標付き傾き(x)との関係である。指定されたcc−GPC分子量値により、長鎖分岐を有するポリマー鎖を含有することが公知である分子量画分を確定することが試みられる。
【0083】
この分析における第1段階が、調べられているポリマーについてのcc−GPC分子量の対数値に対する濃度正規化LS応答値を表す濃度正規化LSクロマトグラム曲線の作製である。
【0084】
第2段階が、直線を濃度正規化LSクロマトグラム曲線における2つの点の間で引くことである。直線及びこれらの点は、領域A及び領域Bを決定するための基礎を提供する。これら2つの点(第1の点及び第2の点)は濃度正規化LSクロマトグラム曲線の上に位置し、2つのcc−GPC分子量値についての対数値(第1及び第2の対数cc−GPC分子量値)における濃度正規化LS応答値(第1及び第2の濃度正規化LS応答値)を表す。第1の点(例えば、図2における点1)が、およそ5.544の値である、(第1の対数cc−GPC分子量値を表す)350,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値に対応する(第1の濃度正規化LS応答値を表す)濃度正規化LSクロマトグラム曲線の上にあるとして定義される。第2の点(図2における点2)が、およそ6.107の値である、(第2の対数cc−GPC分子量値を表す)1,320,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値に対応する(第2の濃度正規化LS応答値を表す)濃度正規化LS応答値において濃度正規化LSクロマトグラム曲線の上にあるとして定義される。長鎖分岐における区別化が典型的には1M(1×106)グラム/モルのcc−GPC分子量の近くで示されることが、当分野では公知である。
【0085】
第3段階が、これら2つの対数cc−GPC分子量値の間において、直線と、濃度正規化LSクロマトグラム曲線との間の領域Aを決定することである。領域Aが、A1+A2の値であるとして定義される。好ましい実施形態において、領域Aが、350,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値と、1,320,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値との間の値における範囲について定義される。
【0086】
A1が、直線の濃度正規化LS応答値がこれら2つの対数cc−GPC分子量値の間で濃度正規化LSクロマトグラム曲線についての濃度正規化LS応答値よりも大きい、直線と、濃度正規化LSクロマトグラム曲線との間で決まる領域として定義される。
【0087】
図2において認められ得るように、A1として定義される領域がこれら2つの対数cc−GPC分子量の間の全範囲を占める;従って、A=A1である。多くの場合、直線が、対数cc−GPC分子量範囲については濃度正規化LSクロマトグラム曲線の「上方」にあり、点1及び点2を除いて濃度正規化LSクロマトグラム曲線と交差しない。これらの場合において、A=A1=正の値であり、A2=0である。
【0088】
A2が、A1の逆として定義される。A2は、直線の濃度正規化LS応答がこれら2つの対数cc−GPC分子量値の間で濃度正規化LSクロマトグラム曲線についての濃度正規化LS応答よりも小さい、直線と、濃度正規化LSクロマトグラム曲線との間で決まる領域である。図3に示される例については、A2が、点1と、点2との間において、濃度正規化LS応答曲線と、直線との間の領域である。これらの場合において、A=A2=負の値であり、A1=0である。
【0089】
いくつかの実施形態では、図4において認められ得るように、直線が、点1及び点2のほかに少なくとも1つの他の点で濃度正規化LSクロマトグラム曲線と交差することがある(「さらなる交差点」において図4を参照のこと)。そのような状況では、A1が、前記で定義されるように決定される。図4に示される例については、A1が、およそ5.9の対数cc−GPC分子量値から350,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値までの間において、濃度正規化LSクロマトグラム曲線と、直線との間の正の領域であろう。そのような状況では、A2が、前記で定義されるように決定される。図4に示される例については、A2が、およそ5.9の対数cc−GPC分子量値から1,320,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値までの間において、濃度正規化LS応答曲線と、直線との間の負の領域である。
【0090】
Aについての合計値を計算する際には、Aが、領域A1(正の値)+領域A2(負の値)として再び定義される。いくつかの実施形態では、図4において図示され得るように、Aについての合計値は再び、正又は負のどちらも可能である。
【0091】
第4段階が、対数cc−GPC分子量範囲についての濃度正規化LSクロマトグラム曲線の下側の領域Bを決定することである。Bが、これら2つの対数cc−GPC分子量値の間において、濃度正規化LSクロマトグラム曲線の下側の領域として定義される。領域Bは領域Aの分析に依存しない。
【0092】
第5段階が、xの値(傾き指標化値)を決定することである。xの値は、領域A及び領域Bを決定するために確立される直線の傾きの原因となる指標化因子である。xの値は直線の傾きではない;しかしながら、xの値は、点1と、点2との違いを反映する値を表す。xの値が式16によって定義される:
【数6】
式中、「LS応答」の用語はそれぞれ、点1及び点2についての濃度正規化LS応答値であり、「log MW」の用語はそれぞれ、点1及び点2についての対数cc−GPC分子量である。いくつかの実施形態において、直線は、点1と、点2との間で少なくとも1回、正規化LSクロマトグラム曲線と交差し得る。
【0093】
最後に、x、A及びBが確立されると、GPC−LS特徴づけ値(Y)が、下記において繰り返されるが、以前に示された式13〜式15を使用して求められる:
Y=Log_LSCDF=Log(LSCDF)+3.5 (式13)
LSCDF=Abs(A/B*SF) (式14)
SF=傾き関数=Abs(x)+0.1 (式15)
上式において、Abs()は数学的絶対値関数である。
【0094】
実施例1〜3(Ex.1〜3)及び比較例1〜2(CE1〜2)に関連するプロセス情報
実施例及び比較例を考察する際、いくつかの用語が定義される。実施例組成物及びその作製のための一組のプロセス情報が3つ存在する:実施例1、実施例2及び実施例3。比較例組成物及び一組のプロセス情報が2つ存在する。比較例1及び比較例2をもたらしたプロセス運転は、それらが、実施例1、実施例2及び実施例3と同じプロセス列を使用して製造されるという点で類似している。比較例1及び比較例2は、実施例1、実施例2及び実施例3と直接に比較可能である。
【0095】
プロセス条件が考察され、比較されるとき、プロセス条件は、それらの生成物呼称によって示され得る(例えば、実施例1の製造物を製造するためのプロセス条件が「実施例1のプロセス」として示され得る)。
【0096】
実施例1、実施例2及び実施例3、並びに、比較例1及び比較例2が、同じプロセス反応システムで製造される;従って、同じ設備をこれらの運転の間において示す際には、物理的プロセス及びその単位装置は互いに類似している。図5は、上記の実施例及び比較例を製造するために使用されるプロセス反応システムの簡単なブロック線図である。
【0097】
図5におけるプロセス反応システムは、部分的に閉じたループの二重再循環型高圧低密度ポリエチレン製造システムである。このプロセス反応システムは、新鮮エチレン供給導管1、ブースター/一次圧縮機「BP」、超高圧圧縮機「Hyper」、長さが9.14メートルである144本の高圧管から構成される3帯域のチューブリアクターから構成される。チューブリアクターは、第1の反応供給物帯域、第1のペルオキシド開始剤供給源#11につながれる第1のペルオキシド開始剤導管3、第2のペルオキシド開始剤供給源12につながれる第2のペルオキシド開始剤導管4、第2のペルオキシド開始剤供給源12につながれる第3のペルオキシド開始剤導管5、チューブリアクター及びプレヒーターの外殻を取り囲んで取り付けられる(高圧水を使用する)冷却ジャケット、高圧分離器「HPS」、高圧再循環ライン7、低圧分離器「LPS」、低圧再循環ライン9、並びに、連鎖移動剤CTA供給システム13からなる。
【0098】
チューブリアクターはさらに、ペルオキシド注入点の場所によって仕切られる3つの反応帯域を含む。チューブリアクターは長さが約1316メートルである。第1の反応帯域供給がチューブリアクターの前方に0メートルで取り付けられ、プロセス流体の一部を第1の反応帯域の中に供給する。第1の反応帯域が、チューブリアクターの前部から約120メートル下流に位置する注入点#1(3)から始まり、注入点#2(4)で終わる。第1のペルオキシド開始剤が注入点#1(3)においてチューブリアクターにつながれる。第2の反応帯域が、チューブリアクターの前部から約520メートル下流である注入点#2(4)から始まる。第2の反応帯域は注入点#3(5)で終わる。第3の反応帯域が、チューブリアクターの前部から約890メートル下流に位置する注入点#3(5)から始まる。
【0099】
0メートルにおいて始まる最初の13本の管であるプレヒーター、及び、反応帯域のすべてが、5センチメートルの内側管直径を有する。実施例及び比較例のすべてについて、100%の新鮮エチレンと、エチレン再循環とが、第1の反応帯域供給導管を介して第1の反応帯域に導かれる。これはオール・フロント・ガス(all front gas)管状リアクターと呼ばれる。
【0100】
実施例及び比較例のすべてについて、t−ブチルペルオキシ−2エチルヘキサノアート(TBPO)、ジ−t−ブチルペルオキシド(DTBP)、tert−ブチルペルオキシピバラート(PIV)及びイソパラフィン系炭化水素溶媒(179℃を超える沸点範囲)を含有する混合物が、第1の注入点のための開始剤混合物として使用される。注入点#2及び注入点#3については、DTBP、TPO及びイソパラフィン系炭化水素溶媒を含有する混合物が使用される。表1は、試験運転のそれぞれのために使用されるペルオキシド開始剤及び溶媒溶液の流量を示す。
【表1】
すべての実施例及び比較例について、プロピレンが連鎖移動剤(CTA)として使用された。プロピレンは第1段ブースターの排出ドラムにおいてエチレンの流れに注入される。プロセスへのCTA供給物の組成が、プロセス運転のために、比較例と、実施例1及び実施例2との間で調節される。これは、製造物のメルトインデックスを維持するために行われる。3つの反応帯域のそれぞれについてのピーク温度が、分子量分布を最大にするために上げられた。実施例1、実施例2及び実施例3並びに比較例1及び比較例2を製造するために使用されるリアクター管のプロセス条件が表2に示される。
【表2】
【0101】
表2及び図6から、BWシステム1が帯域3に至り、BWシステム2が、帯域4、帯域5及び帯域6に至り、BWシステム3が帯域1及び帯域2に至ることに留意すること。図6は、実施例1のリアクターの詳細を示すチューブリアクターの温度プロフィルである。グラフは3つの反応帯域をペルオキシド注入に関して示す。x軸は管同士の連結場所を示し、y軸は反応及び沸騰水についての温度である。熱電対が、製造期間中の管に沿った反応温度を測定するために使用される。それぞれの帯域についての反応ピークが、反応帯域のそれぞれへのペルオキシド流量を調節することによって制御される。その後、ピーク温度が、製造物のMWDを制御するために使用される。
【0102】
実施例1〜3及び比較例1〜2の特徴づけ
実施例1〜3及び比較例1〜2の特徴づけ特性が表3〜表5に示される。表3から、ほぼ同等なメルトインデックスにおいて、本発明の実施例は、表3に示されるそれらのより広いMWDの結果として、それらの比較例よりも大きい溶融強度値を有する。この増大した溶融強度は、この材料が、フィルムを、例えば、インフレートフィルムラインで製造するために単独又は他のポリマーとの組合せで使用されるとき、フィルムの増大した生産量を助けるための効果的なポリマーであるということになる。同様にまた、ほぼ同等なメルトインデックスにおいて、本発明の実施例は、それらの比較例よりも大きいゼロ剪断粘度を有する。このことはまた、この材料が、改善されたバブル安定性を、例えば、インフレートフィルムラインなどでのフィルム形成の期間中に提供し得ることに関連づけられる。
【0103】
表4によれば、本発明の実施例は、1000Cあたりのビニルのレベルが比較例よりも低く、且つ、1000Cあたりのメチルのレベルが比較例よりも大きい。
【0104】
表5は、表3及び表4に示される同じ比較例を使用する場合の、実施例及び比較例のTDGPC特性を示す。実施例は、より大きいMz値又は大きい分子量テール値、より広いMWD(Mw/Mn)、及び、より低いLog_LSCDFを有する。
【表3】
【表4】
【表5】
【0105】
Log_LSCDFについては、さらなる比較例が、比較例と比較された場合、実施例の独特さを示すために選ばれている。これらのデータが表6に示され、図7にプロットされる。図7に示されるように、本発明の実施例は、Y=Log(LSCDF)+3.5に関して、また、Mw/Mnに関しても特有の関係性を示す。具体的には、本発明の実施例は、Yが比較サンプルのどれよりもはるかに低く、また、一般には、Mw/Mnがより大きい。Yは約2未満であり、好ましくは約1.5未満であり、最も好ましくは約1.2未満である。本発明の実施形態のそれらの低いGPC−LS特徴づけY値によって明らかにされるような他に見られない構造が、類似するMI範囲の非常に多数のLDPE樹脂が比較される表6において明瞭に示される。表6における比較例は0.24から8.19までのMI範囲を含む。表6における比較例はまた、gpcBR値が約0.62から約4.72にまで及ぶ幅広い範囲の分岐レベルを含む。表6における比較例はまた、cc−Mw値が約70,000ダルトンから約260,000ダルトンにまで及ぶ幅広い範囲の分子量を含む。
【表6−1】
【表6−2】
【0106】
実施例及び比較例のフィルム特性
最大生産速度試験から得られるフィルム特性が表7〜表12及び図8〜図11に示される。実施例3は、LLDPE1と20%でブレンド混合されたとき、LLDPE1を用いて作製されるすべての他の比較例と比較された場合、バブル安定性を維持しながら、インフレートフィルムラインでの最高生産量を与えた(428lb/hr、表7から)。LLDPE樹脂が表8においてより詳しく記載される。比較例が表6においてより詳しく記載される。同時に、80%のLLDPE1及び20%の実施例3によるフィルムの曇りが非常に低かった。実施例3がLLDPE2と20%でブレンド混合されたとき、一層より大きい生産量がインフレートフィルムラインで得られ(480lb/hr)、この組合せはまた、本研究におけるフィルムのすべての中の最も低い曇り(7.1%)を有した。図8は、比較例と比較される実施例3についての良好な生産量及び曇りの組合せを示す(より低い曇りが、改善された曇り又はより良好な曇りである)。図8は、最大速度及び45度光沢についての類似するプロットを示す(より大きい生産量及びより大きい光沢が好ましい)。図10及び図11は、実施例3がLLDPE2とブレンド混合されたときの最大速度、曇り及び光沢についての結果を示し、結果は、好都合なほどに大きい生産量、低い曇り及び大きい光沢を示す。
【0107】
表9は、表8に示される比較と類似する比較を示す。しかし、最大速度においてである代わりに、表9は、250lb/hr又は10lb/hr/インチ(ダイ円周)のより低い同程度の速度における結果を示す。本発明の実施例は依然として、実施例2に関して7%の、LLDPE1における20%のレベルでのどの例の中の最も低い曇りを示す。LLDPE2において、曇りが、20%の実施例3が使用されるときには6%にまで一層さらに低下している。
【0108】
表7及び表9におけるフィルムを作製するために使用されるプロセス条件が表10に示される。バレル温度(T1〜T5)は、押出し機の供給部により近い温度(T1)、及び、ダイ末端により近い温度(T5)をそれぞれ示す。
【0109】
表11は、最大速度で作製される2ミル厚及び1ミル厚のフィルムについての結果を示す。両方の厚さにおいて、20%の実施例1とのブレンド混合物は、LLDPE単独と比較される場合、或いは、20%の比較例1又は比較例9が使用されるとき、最も大きい生産量を示した。45度光沢が86%で優れているように、曇りが、20%の実施例1による2ミル厚のフィルムにおいて、4.7%で優れている。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0110】
LDPE単独のフィルム
実施例1及び比較例1のフィルムを、LLDPEタイプのスクリューを用いて6”のダイで作製した。内部バブル冷却は使用されない。インフレートフィルムを製造するために使用される一般的なインフレートフィルムパラメーターが表13に示される。温度は、ペレットホッパー(バレル1)に最も近い温度、及び、ポリマーがダイを通って押し出されている際の増大する順での温度(溶融物温度)を示す。これらの2つの例のフィルム特性が表14に示される。実施例1は、そのより大きい表面/内部曇り比によって反映されるように、その総曇りの相対的により大きい割合が表面曇りから構成される。加えて、実施例1のMD及びCDでの収縮張力が、比較サンプルの収縮張力を上回って改善され、このことは、これを、収縮用途において使用される潜在的に良好なLDPEにする。
【表13】
【表14】
【0111】
表面/内部曇り比が、表13に示される様式と類似する様式で作製されるいくつかのLDPEについて表にされる。これらのサンプルの特性の得られた相関が表15及び図12に示される。具体的には、実施例1は、そのメルトインデックスに関連づけられるような大きい表面/内部曇り比を有する。より大きい表面/内部曇り比を有するいくつかの他の商用LDPEが示され、しかし、この大きい比率は、図12に示されるような大きい全般的な総曇りを有するという不利益に達する。表面/内部曇り比がより大きいサンプルは、大きい総曇りを低いメルトインデックスにおいて有するか、又は、それに対応して、より低い曇りを、しかし、改善されたバブル安定性又は維持された機械的特性に関してそれほど好都合でないLDPEについてはより大きい全般的なメルトインデックスにおいて有する(すなわち、メルトインデックスが上昇するにつれて、又は、分子量が低下するにつれて、一般には機械的特性が低下する)。
【0112】
下記の数値的関係性が、特にフィルムの総曇りが9.5%未満であるとき、本発明の材料については存在する:
S/I≧(−2*I2)+8 (式17)
【0113】
優先権書類を含めて、引用されるすべての特許、試験手順及び他の文書は全体が、当該開示が本発明と矛盾しない程度に参照によって、また、当該援用が許されるすべての権限のために援用される。
【表15】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は米国特許出願第12/482,517号(2009年6月11日出願)の利益を主張する(これは全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0002】
発明の背景
多くのタイプのポリエチレンが今日では作製され、販売されている。特に1つのタイプが様々な供給者によって作製され、大量に販売されている。このポリエチレンは高圧フリーラジカルポリエチレンと称され(通常、LDPEと称され)、通常の場合には、管状リアクター又はオートクレーブリアクター、或いは、時には組合せを使用して作製される。時には、ポリマー使用者はLDPEを他のポリマー(例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)など)とブレンド混合して、特性(例えば、流動性又は加工性など)を改変することを試みる。
【0003】
今回、本発明者らは、特にLLDPEとブレンド混合されるとき、とりわけ、増大したバブル安定性に起因する増大した生産量の点での改善された加工性を、他の性能属性を維持しながら有し得る新しいLDPEポリマーを発見している。
【0004】
発明の概要
密度が約0.9グラム/立方センチメートル〜約0.94グラム/立方センチメートルであり、分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約30であり、メルトインデックス(I2)が約0.1グラム/10分〜約50グラム/10分であり、gpcBR値が、gpcBR分岐指数によって求められるとき、0.05よりも大きく、且つ、log_LSCDF値(Y)が約2未満であり、好ましくは約1.5未満であり、最も好ましくは約1.2未満であるとして特徴づけられるエチレン系ポリマーが今回、作製された。前記エチレンポリマーはホモポリマー又はコポリマーであり得る。好ましくは、前記エチレン系ポリマーは約8〜約12の分子量分布(Mw/Mn)を有することができる。前記エチレン系ポリマーを含む少なくとも1つのフィルム層、好ましくは、縦方向(MD)の収縮張力(shrink tension)が15psiを超えるそのようなフィルム層を作製することができる。
【0005】
前記エチレン系ポリマーと、少なくとも1つの他の天然ポリマー又は合成ポリマーとを含む組成物を、例えば、別個のポリマーブレンド混合物によって作製することができる。合成ポリマーを、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)からなる群から選択することができる。好ましくは、合成ポリマーはLLDPEを含み、とりわけ、組成物の少なくとも50重量パーセント以上を含む。このような組成物を含む少なくとも1つのフィルム層もまた作製することができる。好ましくは、前記エチレンポリマーは、GPC Mwと、ゼロ剪断粘度(η0)(Pa*s)との、log(η0(Pa*s))>3.6607*log(GPC Mw)−14.678の関係性を有し、及び/又は、cNの単位における190℃での溶融強度が11.5cNを超える。
【0006】
別の実施形態において、本発明者らは、所定の表面曇り(S)、所定の内部曇り(I)(ともに%曇りの単位であり、ともに表面・内部曇り法を使用して求められる)、及び、所定のメルトインデックス(I2)(10分あたりのグラム数)を有し、但し、S、I及びI2の数値が、下記の関係性:
S/I≧(−2*I2)+8
(但し、総曇りは9.5%未満である)
に対応し、好ましくは、メルトインデックスが0.5を超え、且つ、2未満であるエチレン系ポリマーを作製している。
【0007】
さらに別の実施形態において、本発明者らは、密度が約0.9グラム/立方センチメートル〜約0.94グラム/立方センチメートルであり、分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約30であり、メルトインデックス(I2)が約0.1グラム/10分〜約50グラム/10分であり、gpcBR値が、gpcBR分岐指数によって求められるとき、0.05よりも大きく、GPC−LS特徴づけY値が約2未満であり、且つ、所定の表面曇り(S)、所定の内部曇り(I)(ともに%曇りの単位であり、ともに表面・内部曇り法を使用して求められる)を有し、但し、S、I及びI2の数値が、下記の関係性:
S/I≧(−2*I2)+8
(但し、総曇りは9.5%未満である)
に対応するとして特徴づけられるエチレン系ポリマーを作製している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】開示されたチューブリアクターシステム100の構成要素を記載するプロセスの略図である。
【0009】
【図2】A1タイプの正の領域セグメントを有するLog_LSCDF構造記述子である。
【0010】
【図3】A2タイプの負の領域セグメントを有するLog_LSCDF構造記述子である。
【0011】
【図4】A1タイプ及びA2タイプの両方の領域セグメントを有するLog_LSCDF構造記述子である。
【0012】
【図5】実施例1〜3及び比較例1〜2を作製するために使用されるプロセスの概略図である。
【0013】
【図6】実施例1を作製するために使用される温度及び帯域の概略図である。
【0014】
【図7】本発明の実施例及び比較例についての分子量分布対Log_LSCDFである。
【0015】
【図8】表10からの、LLDPE1との実施例及び比較例についての最大速度及び曇りである。
【0016】
【図9】表10からの、LLDPE1との実施例及び比較例についての最大速度及び光沢である。
【0017】
【図10】表10からの、LLDPE1及びLLDPE2との実施例及び比較例についての最大速度及び曇りである。
【0018】
【図11】表10からの、LLDPE1及びLLDPE2との実施例及び比較例についての最大速度及び光沢である。
【0019】
【図12】表15の実施例1、比較例1及び他の比較例についての表面/内部曇り対メルトインデックスである。
【0020】
発明の詳細な説明
LLDPE(線状低密度ポリエチレン)樹脂と5%〜80%(重量基準)でブレンド混合されたときにそのインフレートフィルムラインでの生産速度を機械的特性の全般的な保持とともに増大させることをフィルム加工業者に可能にするLDPE(低密度ポリエチレン)樹脂は有用であると考えられる。
【0021】
高圧LDPE管状技術を使用して、幅広い分子量分布(MWD)を有する樹脂が開発される。この樹脂がインフレートフィルムラインでLLDPE樹脂と20%でブレンド混合されるとき、最大生産速度における4%〜7%の増大が、このラインで達成され得る同程度のLDPE樹脂と比較して認められる。
【0022】
LDPEエチレン系ポリマーのメルトインデックスは約0.1g/10分〜約50g/10分であり、好ましくは約0.2g/10分〜約5g/10分である。LDPEエチレン系ポリマーの密度は約0.9g/cm3〜約0.94g/cm3であり、好ましくは約0.918g/cm3〜約0.927g/cm3である。LDPEエチレン系ポリマーは約11cN〜約40cNの溶融強度を有することができる。LDPEエチレン系ポリマーは、約8〜約30のMWD(Mw/Mn)、約1.4〜約10のgcpBR、及び、約15cN〜40cNのMD収縮張力を有することができる。
【0023】
低密度エチレン系ポリマーはエチレンのホモポリマーである場合がある。低密度エチレン系ポリマーは、エチレン及び少なくとも1つのコモノマーから構成されるエチレン系インターポリマーである場合がある。エチレン系インターポリマー(とりわけ、エチレン/α−オレフィンインターポリマー)への取り込みのために有用なコモノマーには、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。エチレンはしばしば、少なくとも1つのC3〜C20α−オレフィン(例えば、プロペン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンなど)と共重合される。
【0024】
低密度エチレン系ポリマーは、ポリマーの内部曇り、表面曇り及びI2メルトインデックスの間において、他の低密度エチレン系ポリマーとは異なる数的関係性を示すことができる。I2メルトインデックスは、下記において試験方法の節で記載されるメルトインデックス法を使用して求められる。内部曇り及び表面曇りは、下記において試験方法の節で記載される表面・内部曇り法を使用して求められる。
【0025】
濃度正規化された光散乱(LS)応答値と、従来的に較正された分子量(Mw,GPC)の対数値との間において、他の低密度エチレン系ポリマーの両者間の関係性とは異なる関係性を示す低密度エチレン系ポリマーが開示される。この差異が、log_LSCDFと呼ばれる関係性において捕らえられる。log_LSCDFは、下記において試験方法の節で記載されるGPC−LC特徴づけ法によって求められる。エチレン系低密度ポリマーは約2未満のlog_LSCDFを有する。
【0026】
様々な方法が、低密度エチレン系ポリマーを形成するために管状リアクターを使用することについて当分野では周知である。このプロセスは、一部がエチレンから構成されるプロセス流体がフリーラジカル重合され、これにより、高い発熱性の反応が生じる管状重合反応である。反応が、反応のための初期開始温度が120℃〜200℃の間であるが、160℃〜360℃のリアクターにおける最大温度で、乱流のプロセス流体の流れにおいて高い運転圧力(1000bar〜4000bar)のもとで行われる(従って、低密度エチレン系ポリマーは「高圧」ポリマーとも呼ばれる)。管に沿ったいくつかの地点において、フリーラジカル重合の期間中に生じた熱の一部を、管壁を介して除くことができる。管状リアクターについての典型的な1回通過転換率の値が約20パーセント〜40パーセントの範囲である。管状リアクターシステムはまた、変換効率を改善するための少なくとも1つのモノマー再循環ループを含む。
【0027】
プロセスを記載するという目的のために、限定されない管状重合反応システムが図1に示される。チューブリアクターシステム100は、長さが典型的には約250メートル〜約2000メートルである管2を有する。管の長さ及び直径は、プロセス流体の滞留時間及び速度、同様にまた、管2の熱付加/除去能に影響する。限定されないが、好適なリアクターの長さは100メートル〜3000メートルの間で可能であり、いくつかは500メートル〜2000メートルの間で可能である。管2はまた、所望されるシステム処理能、運転圧力範囲、並びに、混合及び反応のための乱流の程度に基づいて、約30mm〜約100mmの有効内径を有する。有効内径は、プロセスの種々の部分(例えば、乱流混合、反応開始剤及び供給物の注入、並びに、プロセス流体のスロットリング(throttling)(すなわち、圧力損失を犠牲にしてプロセス流体速度を速めること)など)を収容するために管2に沿って様々な地点で広げることができ、また、狭くすることができる。
【0028】
再度、図1及びチューブリアクターシステム100を参照して、一次圧縮機4(これは多段圧縮機であり得るか、又は、並行して稼動する2台以上の圧縮機であり得る)が、その吸入側において、新鮮供給物導管6と呼ばれる新鮮なモノマー/コモノマー供給物の供給源と、低圧システム再循環導管8とに接続される。低圧システム再循環導管8は、揮発したプロセス流体をチューブリアクターシステム100の精製部からプロセスの前方に供給する2つの再循環ループのうちの1つである。開示されたプロセスにおいて、低圧システム再循環導管8は主にエチレンを含有し、しかし、これはまた、使用されなかったコモノマー及び他のプロセス添加物(例えば、残留する連鎖移動剤など)を含有することがある。一次圧縮機4はプロセス流体の圧力を約20barから約275barに昇圧する。
【0029】
依然として図1を参照して、いくつかの場合には超高圧圧縮機5と呼ばれる第2の圧縮機(これは多段圧縮機であり得る)が、その吸入側において、一次圧縮機4の排出物に、同様にまた、高圧システム再循環導管26と呼ばれる、2つの再循環流れの第2のものに接続される。超高圧圧縮機5はプロセス流体の圧力を1000bar〜4000barの運転圧力に昇圧する。
【0030】
本開示の超高圧圧縮機5は、一次圧縮機の出口と、リアクターとの間における高い圧縮比のために、同様にまた、プロセス流体の高いリアクター運転圧力のために往復プランジャー圧縮機であり得る。超高圧圧縮機は、より低いリアクター運転圧力については一段圧縮機が可能であり、或いは、より高いリアクター運転圧力については、段階間の冷却を段階の一部又はすべての間に有する多段圧縮機が可能である。
【0031】
超高圧圧縮機5によって排出されているプロセス流体は、滑らかな連続した様式で流れず、むしろ、圧縮機の行程毎による「パルス」である。これは、それぞれの段階におけるプランジャーが圧縮可能なプロセス流体を段階的様式で吸入及び排出するために生じる。生じた排出流パルスは、運転圧力における±10%又はそれ以上の圧力変動を生じさせ得る。システムの圧力急上昇を生じさせる循環する排出流は、プロセスユニット(例えば、超高圧圧縮機、排出ライン及びリアクターなど)の機械的一体性に対する長期間の負の影響を有することがある。その結果として、これらのサブシステムの機械的一体性における低下は、オンライン運転に関する全体的な運転安定性及び信頼性に影響を及ぼす可能性があり、一方で、プロセス安定性が流れ及び圧力の脈動によって影響を受け得る。その上、同じ圧縮機(例えば、いくつかの排出点を備える多段圧縮機など)から生じる別々のプランジャーの個々の排出行程が互いに重なり得ること(すなわち、相互に部分的又は完全に「一致」し得ること)、その結果、共通するプロセス流体流れにおける合流時の排出脈動の強さにおける増幅が生じることが、排出ラインの幾何学的配置のために起こり得る。従って、圧力急上昇を最小限に抑えるためだけではなく、プロセス及びリアクターシステム機器に対する共通排出ラインにおける圧力パルス増幅の影響を最小限に抑えるためにもまた、静的及び能動的な機械的デバイス(例えば、オリフィス及び脈動ダンパーなど)を圧縮機排出ラインにおいて使用することは、良好な運転上の実施である。
【0032】
超高圧圧縮機5による加圧の後、プロセス流体が上流側のプロセス供給物流として導管12を介して管2の中に供給される。いくつかの開示されたプロセスにおいて、プロセス流体は分割され、異なる供給場所において管2に供給される。そのようなプロセスにおいて、プロセス流体の一部が第1の反応帯域への上流側のプロセス供給物流として導管12を介して管2に供給され、そして、(プロセス流体において行われる分割の数に依存して)残りの部分が、様々な導管14を介して他の反応帯域への下流側のプロセス供給物流として管2に供給されるであろう。他の反応帯域は第1の反応帯域の下流側に管2に沿って長さ方向で位置する。以前に記述されたように、2つ以上の他の反応帯域が存在してもよい。
【0033】
2つ以上の反応帯域が存在するプロセスにおいて、1つ又はそれ以上のフリーラジカル開始剤導管又は触媒導管7により、開始剤又は触媒がそれぞれの反応帯域の開始部の近く又は開始部において管2に運ばれる。所望されるエチレン系ポリマー付加物に依存して、プロセス運転条件での開始剤又は触媒の注入により、モノマー/コモノマー物質の反応が開始される。開示されたプロセスにおいて、そのような反応の主生成物がエチレン系ポリマー及び熱である。開始剤又は触媒は、以前に考察されたようにプロセス流体におけるモノマー(及び、含まれる場合、コモノマー)の変換を改善するためにそれぞれの反応帯域に加えることができる。開示されたプロセスにおいて、異なる開始剤又は触媒を、ピーク温度が検査点の近くで達成されることを保証するために、且つ、様々な目標ピーク温度を達成するために、異なる反応帯域においてプロセス流体に加えることができる。
【0034】
プロセスで使用されるためのフリーラジカル開始剤のタイプは重要ではない。フリーラジカル開始剤の例には、酸素系開始剤、例えば、有機ペルオキシド(PO)などが含まれる。好ましい開始剤が、t−ブチルペルオキシピバラート、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシアセタート及びt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート、並びに、それらの混合物である。これらの有機ペルオキシ開始剤は、高圧供給物の重量に基づいて0.0001重量パーセント〜0.01重量パーセントの間の従来的量で使用される。
【0035】
本明細書中に開示される新しいLDPEとブレンド混合され得る他のポリマーを重合するために使用される好適な触媒には、所望される組成物又はタイプのポリマーを調製するために適合させられる任意の化合物又はそのような化合物の任意の組合せが含まれる。不均一触媒及び均一触媒の両方、並びに、それらの組合せを用いることができる。いくつかの実施形態においては、周知のチーグラー・ナッタ組成物、とりわけ、第2族金属のハロゲン化物又は混合ハロゲン化物及びアルコキシドに担持される第4族金属のハロゲン化物、並びに、周知のクロム系触媒又はバナジウム系触媒を含めて、様々な不均一触媒を使用することができる。いくつかの実施形態において、使用される触媒は、比較的純粋な有機金属化合物又は金属錯体を含む均一触媒、とりわけ、第3族〜第10族又はランタニド系列から選択される金属に基づく化合物又は錯体を含む均一触媒であり得る。2つ以上の触媒がシステムにおいて使用される場合、用いられる触媒はどれも、重合条件下における別の触媒の成績に著しく有害な影響を与えないことが好ましい。望ましくは、どの触媒も、活性が重合条件下で25パーセントを超えて低下せず、より好ましくは10パーセントを超えて低下しない。好ましい触媒システムの例が、米国特許第5,272,236号(Laiら)、同第5,278,272号(Laiら)、同第6,054,544号(Finlaysonら)、同第6,335,410号(Finlaysonら)、同第6,723,810号(Finlaysonら)、PCT出願公開番号国際公開第2003/091262号(Boussieら)、同第2007/136497号(Konzeら)、同第2007/136506号(Konzeら)、同第2007/136495号(Konzeら)及び同第2007/136496号(Aboelellaら)に見出され得る。他の好適な触媒が、米国特許出願公開第2007/0167578号(Arriolaら)に見出され得る。
【0036】
開示されたエチレン系ポリマー付加物をもたらすフリーラジカル重合反応は、開始剤又は触媒が存在するそれぞれの反応帯域において行われる。反応は、多量の熱が生じる発熱反応である。冷却が行われない場合、プロセス流体及びエチレン系ポリマー付加物(これが熱を吸収し、保持する)における断熱的温度上昇により、不都合な反応が生じると思われる。そのような反応には、エチレン分解(この場合、エチレン及びポリエチレンが無燃焼(combustionless)反応で基本生成物に壊れる)が含まれ得る。
【0037】
いくつかのプロセスでは、プロセス流体の温度が、熱除去媒体による熱流束を誘導することにより管2の壁を介して熱を除くことによって下げられる。熱除去媒体は、熱をチューブリアクターシステム100から吸収し、その熱を除くために使用される流体であり、例えば、エチレングリコール、水又は空気などである。熱除去媒体が液体であるとき、熱交換器30(これは、1−1冷却「ジャケット」と同じくらい単純であり得るか、又は、複雑なマルチパス冷凍システムであり得る)を、熱移動を達成し、且つ、プロセス流体及びエチレン系ポリマー付加物を冷却するために使用することができる。熱を除くための熱交換器及び技術の限定されない例が、Perry,Robert H.編、Perry's Chemical Engineers' Handbook、第10章、McGraw−Hill Book Co.(第6版、1984)、及び、McCabe,Warren L.ら、Unit Operations of Chemical Engeneering、McGraw−Hill,Inc.(第5版、1993)に記載される。熱除去媒体が気体であるとき、ファンを、熱を対流によりリアクター管2から逃すために使用することができる。熱除去媒体は、所定の質量流量、所定の入口温度及び所定の出口温度を有することができる。熱除去媒体が、熱をチューブリアクターシステム100から除くために使用されるとき、熱交換器30に入る熱除去媒体の入口温度は出口温度よりも低い。熱除去媒体の熱容量、及び、熱を熱除去媒体に移動する管2の能力が与えられると、与えられた質量流量についての、入口温度と、出口温度との差が、プロセスから除かれる熱を反映する。
【0038】
いくつかのプロセスでは、連鎖移動剤が、管2への導入の前にプロセス流体とできる限り均一にブレンド混合するように加えられる。チューブリアクターシステム100の物理的配置、並びに、プロセス流体及びCTAの化学的特徴に依存して、そのようなブレンド混合は、CTAを低圧システム再循環導管8のためのブースター圧縮機21の入口で、一次圧縮機4の入口に、超高圧圧縮機5の入口に、超高圧圧縮機5の出口で、管2の入口で、又は、最初のペルオキシド注入と一緒に注入することによって達成することができる。図1に示されるプロセスについては、CTAが、CTA供給源23を介してリアクターシステム100に、一次圧縮機4の入口で注入される。
【0039】
図1においてチューブリアクターシステム100ではあまり詳しくは示されないが、チューブリアクター2へのCTAの選択的供給が可能である。いくつかのプロセスでは、プロセス流体が、超高圧圧縮機5による加圧の後で、上流側のプロセス供給物流と、少なくとも1つの下流側のプロセス供給物流とに分割される。そのような場合、CTAは、図1に示されるように、CTA供給源23を使用する代わりに導管12又は導管14に注入されることによって選択的に管2の中に供給することができる。特定の場合には、CTAを、導管12を介して上流側のプロセス供給物流の中にだけCTA供給源23から注入することができる。超高圧圧縮機5が多数の段階又は列を含有するプロセスでは、プロセス流体を、超高圧圧縮機5の入口において、上流側のプロセス供給物と、少なくとも1つの下流側のプロセス供給物流とに分割することができる。そのような場合、CTAを、CTA供給源23から、超高圧圧縮機5による加圧の前に上流側のプロセス供給物流又は少なくとも1つの下流側のプロセス供給物のどちらかに選択的に供給することができ、或いは、前記で記述されたように、加圧後に導管12又は導管14に選択的に供給することができる。CTA供給源23からのCTAの供給に関する開示されたプロセスにおけるこの柔軟性は、CTAを第1の反応帯域にだけ、少なくとも1つの他の反応帯域の一部又はすべてにだけ選択的に注入することを可能にする。そのような柔軟性はまた、CTA供給源23から異なる帯域に注入されることになる異なるCTA(異なる連鎖移動定数(Cs)特性を有するCTAを含む)を注入することにより、反応システムの成績及びエチレン系ポリマー付加物の性質が最適化されることを可能にする。
【0040】
いくつかのプロセスでは、CTA供給源23はいくつかの個々の連鎖移動剤供給源から構成され得る。図1には示されないが、そのような個々の連鎖移動剤供給源は個々に分配され得るか、又は、共通の地点で注入される共通の流れに一緒にすることができる。
【0041】
再度、図1及びチューブリアクターシステム100を参照して、反応から形成されるエチレン系ポリマー、未反応のモノマー(及びコモノマー)及び使用されなかった供給物(例えば、溶媒及びCTAなど)、又は、分解反応生成物及び副反応生成物の混合物が、管出口16からプロセスの分離部に進む。チューブリアクターシステム100プロセスの分離・再循環部は、生成物ポリマーを受け取り、且つ、管2の出口からの流体混合物を処理する高圧分離器(HPS)18を含む。HPS18は、モノマーの大部分をエチレン系ポリマー付加物から分離して取り出す。HPS18のテール(tail)により、ポリマー付加物、並びに、ポリマー付加物とともに溶解され得る何らかの残留する未反応のモノマー/コモノマー及び他の使用されなかった供給物が低圧分離器(LPS)20に運ばれる。より高い圧力の軽質分の流れが、流れの冷却及び精製、並びに、不活性ガスのパージングを行うための精製システム24を含み得る高圧システム再循環導管26を通過し、一次圧縮機4から超高圧圧縮機5に進むプロセス流体と再び一緒になる。
【0042】
図1を参照して、LPS20は、わずかな大気加圧条件又は真空条件で運転することによって、何らかの残留するモノマー/コモノマー及び使用されなかった供給物をポリマー付加物から分離する。LPS20は、同伴ガスを抜き取るために約4bar(絶対)〜約1.2bar(絶対)の圧力範囲で稼動する。生じたエチレン系ポリマー付加物は、処理から依然として溶融したままであるが、LPS20のテールによって仕上げ工程(例えば、押出し、クエンチング及びペレット化など)に進む。LPS20からの軽質分が低圧システム再循環導管8を通過し、この場合、その圧力が、ほぼ大気圧から、少なくとも、一次圧縮機4の適正な運転のための要求圧力に昇圧される。低圧ブースター圧縮機21は多数の段階を有することができる。生じた生成物ポリマーは、揮発性反応物が脱ガスによって除かれ、そして、全体的なシステム効率が、反応システム100の前方への使用されなかったモノマーの再循環によって改善される。
【0043】
低圧システム再循環導管8及び高圧システム再循環導管26の両方における再循環流は典型的には、連鎖移動剤の一部を含有する。しばしばではあるが、高圧システム再循環導管26は多くの場合、十分な濃度の低Cs連鎖移動剤を含有する。これは、連鎖移動剤が反応プロセスの期間中に完全に消費されないからである。いくつかの開示されたプロセスでは、定常状態での製造に達したとき、CTA供給源23を介してプロセスに加えられる新鮮な低Cs CTAの量は、高圧システム再循環導管26及び低圧システム再循環導管8にそれぞれ存在する量と比較して比較的小さい。
【0044】
開示されたエチレン系ポリマーを使用して作製される最終使用製造物には、すべてのタイプのフィルム(例えば、ブローン被覆物、キャスト被覆物及び押出し被覆物(単層又は多層)、成形品(例えば、吹込成形品及び回転成形品)、ワイヤ及びケーブルの被覆物及び配合物、架橋適用、フォーム(例えば、連続気泡又は独立気泡を伴うブローンフォーム)、並びに、他の熱可塑性適用が含まれる。開示されたエチレン系ポリマーはまた、他のポリオレフィン(例えば、米国仮特許出願第61/165,065号に記載されるポリマー、DOWLEX LLDPE、ENGAGEポリオレフィンエラストマー、AFFINITYポリオレフィンプラストマー、INFUSEオレフィンブロックコポリマー、VERSIFYプラストマー及びエラストマー(これらはすべてが、The Dow Chemical Comopanyによって作製される)、並びに、EXACTポリマー、EXCEEDポリマー、VISTAMAXXポリマー(両方がExxonMobilによって作製される)など)とのブレンド混合物成分として有用である。Nova Chemicalsによって作製されるASTUTE及びSCLAIRもまた、本明細書中に開示される新しいLDPEとブレンド混合することができる。
【0045】
開示されたエチレン系ポリマーから最終使用製造物として製造され得るフィルムのタイプには、積層フィルム、サイレージ用フィルム、シーラント、サイロバッグ(silobag)、ストレッチフィルム;二軸延伸ポリエチレン、ディスプレーパッケージング、収縮フィルム、上包み、マスキングフィルム、剥離ライナー、及び、過酷な使用に耐える輸送袋が含まれる。加えて、ブローン被覆物、キャスト被覆物及び押出し被覆物(単層又は多層)もまた、開示されたエチレン系ポリマーを使用して製造することができる。
【0046】
定義
用語「ブレンド混合物」又は用語「ポリマーブレンド混合物」は一般には、2つ以上のポリマーの混合物を意味する。ブレンド混合物は、(分子レベルで相分離しない)混和性であってもよく、又は、混和性でなくてもよい。ブレンド混合物は相分離してもよく、又は、相分離しなくてもよい。ブレンド混合物は、当分野では公知である透過型電子顕微鏡観察、光散乱、X線散乱及び他の方法から求められるような1つ又はそれ以上のドメイン形態を含有してもよく、或いは、ドメイン形態を含有しなくてもよい。
用語「同程度の」は、類似していること、又は、似ていることを意味する。
用語「組成物」には、組成物を構成する材料、同様にまた、組成物の材料の間における相互作用及び反応から形成される反応生成物及び分解生成物の混合物が含まれる。
用語「エチレン系ポリマー」は、(重合可能なモノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合したエチレンモノマーを含有し、且つ、必要な場合には少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーを示す。エチレンのホモポリマーがエチレン系ポリマーの1つである。
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は、(重合可能なモノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合したエチレンモノマーと、少なくとも1つのα−オレフィンとを含有するインターポリマーを示す。
用語「ホモポリマー」は、ただ1つだけのタイプのモノマーのみを含有するポリマーである。
用語「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを示す。インターポリマーの用語は、コポリマー(これは通常、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを示すために用いられる)、及び、3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマー(例えば、ターポリマーなど)を包含する。
用語「LDPE」は「高圧エチレンポリマー」又は「高度分岐ポリエチレン」とも呼ばれることがあり、ポリマーが、フリーラジカル開始剤(例えば、ペルオキシドなど)の使用とともに13,000psigを超える圧力でオートクレーブリアクター又は管状リアクターにおいて部分的又は完全にホモ重合されることを意味するために定義される(例えば、米国特許第4,599,392号(McKinneyら)を参照のこと)。
用語「ポリマー」は、同じタイプのモノマーであろうと、又は、異なるタイプのモノマーであろうと、モノマーを重合することによって調製される化合物を示す。ポリマーの用語は「ホモポリマー」及び「インターポリマー」の用語を包含する。
用語「標準偏差」は、平均値からの分布の拡がり又は分散を見積もる量である。Perry,Robert H.編、Perry's Chemical Engineers' Handbook、McGraw−Hill Book Co.(第6版、1984)、同様にまた、Miller,Irwin、Probability and Statistics for Engineers、Prentice Hall(第4版、1990)を参照のこと。
用語「定常状態」及び用語「定常状態の状態」は、系の任意の部分の性質がプロセスの期間中において一定である状態である。Lewis,Richard J.,Sr.、Hawley's Condensed Chemical Dictionary、Wiley−Interscience(第15版、2007)、同様にまた、Himmelblau、David M.、Basic Principles and Calculations in Chemical Engeneering、Prentice Hall(第5版、1989)を参照のこと。
用語「GPC−LS特徴づけY値」は、用語「Log_LSCDF」と同じであるとして定義され、下記ではlog(LSCDF)+3.5として実施例13〜15において数学的に計算される。
【0047】
試験方法
密度
密度測定用のサンプルが、ASTM D1928に従って調製される。測定が、ASTM D792(方法B)を使用してサンプルのプレス成形の1時間以内に行われる。
【0048】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわち、I2が、ASTM D1238(条件、190℃/2.16kg)に従って測定される。
【0049】
溶融強度
溶融強度の測定が、Gottfert Rheotester2000キャピラリーレオメーターに取り付けられるGottfert Rheotens71.97(Goettfert Inc.;Rock Hill、SC)で行われる。ポリマー溶融物が、キャピラリー直径が2.0mmであり、且つ、アスペクト比(キャピラリー長さ/キャピラリー半径)が15である、フラットな流入角(180度)を有するキャピラリーダイから押し出される。
【0050】
サンプルを190℃で10分間平衡化させた後、ピストンが0.265mm/秒の一定のピストン速度で動かされる。標準試験温度が190℃である。サンプルが、2.4mm/秒2の加速度により、ダイの下方100mmに位置する1組の加速用ニップにまで一軸方向に引っ張られる。引張り力がニップロールの巻取り速度の関数として記録される。溶融強度が、ストランドが破断した前のプラトーな力(cN)として報告される。下記の条件が溶融強度の測定では使用される:プランジャー速度=0.265mm/秒;ホイール加速度=2.4mm/秒2;キャピラリー直径=2.0mm;キャピラリー長さ=30mm;及び、バレル直径=12mm。
【0051】
ゼロ剪断粘度
ゼロ剪断粘度が、Sammler,R.L.、T.P.Karjala、W.Huang、M.A.Mangnus、L.G.Hazlitt及びM.S.Johnson、「ポリオレフィンにおける長鎖分岐を検出するためのゼロ剪断粘度/分子量法」、SPE ANTEC Proceedings、Chicago、1023(2004年5月17日〜20日)において考察されるようなクリープ試験によって求められる。
【0052】
190℃におけるパスカル・秒でのゼロ剪断粘度値(η0)が、190℃で維持される直径25mmの平行プレートを使用してAR−G2応力制御レオメーター(TA Instruments;New Castle、DE)で行われるクリープ試験により得られる。2000ppmの酸化防止剤、すなわち、IRGAFOS168及びIRGANOX1010(Ciba Specialty Chemicals;Glattbrugg、スイス)の2:1の混合物が、圧縮成形前に、それぞれのサンプルを安定化させるために加えられる。試験温度において、圧縮成形されたサンプルディスクがプレートの間に挿入され、5分間平衡化させられる。その後、上部プレートが所望の試験隙間(1.5mm)の上方50μmにまで下げられる。何らかの余分な材料が取り除かれ、上部プレートが所望の隙間にまで下げられる。測定が5L/分の流速での窒素パージのもとで行われる。クリープ時間が2時間にわたって設定される。
【0053】
20パスカルの低い剪断応力が、サンプルのすべてについて、剪断速度が十分に低く、ニュートン領域にあることを保証するために加えられる。定常状態が、log(J(t))対log(t)のプロット(式中、J(t)はクリープコンプライアンスであり、tはクリープ時間である)の最後の10%時間窓におけるデータのすべてについての線形回帰を取ることによって求められる。線形回帰の傾きが0.97よりも大きい場合、定常状態に達していると見なされる。定常状態剪断速度が、ε対tのプロット(式中、εはひずみである)の最後の10%時間窓におけるデータ点のすべての線形回帰の傾きから求められる。ゼロ剪断粘度が、定常状態剪断速度に対する加えられた応力(20パスカル)の比率から求められる。
【0054】
小さい振幅の振動剪断試験が、0.1ラジアン/秒から100ラジアン/秒まで、同じ試料片に対してクリープ試験の前後で行われる。これら2つの試験の複素粘性率値が比較される。0.1ラジアン/秒における粘性率値の差が5%よりも大きい場合、そのサンプルは、クリープ試験の期間中に分解したと見なされ、結果は棄却される。
【0055】
DSC結晶化度の測定
示差走査熱量測定法(DSC)を、広範囲の温度について所与の温度におけるサンプルの結晶化度を測定するために使用することができる。実施例については、RCS(冷凍冷却システム)冷却アクセサリー及びオートサンプラーモジュールを備えるTAモデルQ1000DSC(TA Instruments;New Castle、DE)が使用される。試験中、50ml/分の窒素パージガス流用が使用される。それぞれのサンプルが薄いフィルムにプレス成形され、約175℃でプレス機において融解される;その後、融解されたサンプルは室温(約25℃)に空冷される。冷却された材料の3mg〜10mgのサンプルが直径6mmのディスクに切断され、重量測定され、軽いアルミニウム皿(約50mg)に置かれ、クリンプ締めされる。その後、サンプルはその熱挙動について試験される。
【0056】
サンプルの熱挙動が、応答対温度プロフィルを生じさせるためにサンプルの温度を上下に変化させることによって求められる。サンプルは最初、何らかの以前の熱履歴を除くために、180℃に急速加熱され、等温状態で3分間保たれる。次いで、その後、サンプルは10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却され、−40℃で3分間保たれる。その後、サンプルは10℃/分の加熱速度で150℃に加熱される。冷却曲線及び2回目の加熱の曲線が記録される。求められる値が、ピーク融解温度(Tm)、ピーク結晶化温度(Tc)、融解熱(Hf)、及び、下記の式1を使用して計算されるポリエチレンサンプルについての%結晶化度である:
%結晶化度=[(Hf(J/g))/(292J/g)]×100 (式1)
融解熱(Hf)及びピーク融解温度が2回目の加熱の曲線から報告される。ピーク結晶化温度が冷却曲線から求められる。
【0057】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)
FTIRによる不飽和を、Thermo NicoletモデルNexus470で測定した。下記のASTM手順に従った:
・1000個のCあたりのメチル:ASTM D2238
・1000個のCあたりのtrans:ASTM D6248
・1000個のCあたりのビニル:ASTM D6248
・1000個のCあたりのビニリデン:ASTM D3124
【0058】
フィルム試験条件
下記の物理的特性が、製造されたフィルムに対して測定される:
・総(全体的)曇り、表面曇り及び内部曇り:内部曇り及び全体的曇りについて測定されるサンプルが採取され、ASTM D1003に従って調製される。内部曇りを、鉱油をフィルムの両側で使用する屈折率整合により得た。Hazegard Plus(BYK−Gardner USA;Columbia、MD)が試験のために使用される。表面曇りが、式2に示されるように、全体的曇りと、内部曇りとの差として求められる。表面曇りは、フィルムの表面粗さに関連づけられる傾向があり、この場合、表面が表面粗さの増大とともに増大する。表面曇り対内部曇り比は、式3に示されるように、内部曇り値によって除される表面曇り値である。
曇り=内部曇り+表面曇り (式2)
S/I=表面曇り/内部曇り (式3)
・45°光沢:ASTM D−2457。
・1%割線モジュラス−MD(縦方向)及びCD(横方向):ASTM D−882。
・MD及びCdでのエルメンドルフ引裂き強度:ASTM D−1922
・MD及びCDでの引張り強さ:ASTM D−882
・落槍衝撃強さ:ASTM D−1709
・衝撃あな開け(puncture)強さ:衝撃あな開けが、Sintech Testworks Software(バージョン3.10)を有するInstron Model4201で測定される。試料片サイズが6”×6”であり、4回の測定が、平均衝撃あな開け値を求めるために行われる。フィルムは、フィルム製造後40時間、且つ、ASTM管理の実験室において少なくとも24時間、状態調節される。100lbの負荷セルが、12.56”四方の丸い試料片ホルダーとともに使用される。衝撃あな開けプローブは、直径が1/2”の研磨されたステンレススチール球であり、7.5”の最大移動長さを有する。ゲージ長さがゼロである;プローブは、試料片にできる限り近くにあるが、接触していない。使用されるクロスヘッド速度が10”/分である。厚さが試料片の中央で測定される。フィルムの厚さ、クロスヘッドが移動した距離、及び、ピーク負荷が、衝撃あな開けをソフトウエアによって求めるために使用される。衝撃あな開けプローブは、それぞれの試料片の後で、「Kim−wipe」を使用して清浄化される。
・収縮張力が、Y.Jin、T.Hermel−Davidock、T.Karjala、M.Demirors、J.Wang、E.Leyva及びD.Allen、「低収縮力フィルムの収縮力測定」、SPE ANTEC Proceedings、1264頁(2008)に記載される方法に従って測定される。
【0059】
インフレートフィルムの最大生産速度の決定
フィルムサンプルが、制御された速度及び最大速度で集められる。制御された速度は、10lb/hr/インチ(ダイ円周)の生産速度に等しい250lb/hrである。最大生産量試験のために使用されるダイ直径が8”のダイであり、その結果、制御された速度については、一例として、lb/hrと、lb/hr/インチ(ダイ円周)との間の変換が式4に示されることに留意すること。同様に、そのような式は、他の速度について、例えば、最大速度などについて、lb/hr/インチ(ダイ円周)を求めるために最大速度を式4において代入することによって使用することができる。
Lb/Hr/インチ(ダイ円周)=(250Lb/Hr)/(8*π)=10 (式4)
【0060】
所与サンプルについての最大速度が、生産速度を、バブル安定性が制限因子である点にまで増大することによって求められる。押出し機プロフィルが両方のサンプル(標準速度及び最大速度)について維持され、しかしながら、溶融物温度が、増大した剪断速度のために、最大速度サンプルについてはより高い。最大バブル安定性が、気泡を、気泡がエアーリングに留まったままでない場所に移動することによって求められる。その場所では、速度が、気泡がエアーリングに再び留まるところにまで低下し、その後、サンプルが集められる。気泡に対する冷却が、エアーリングを調節し、気泡を維持することによって調節される。これが、バブル安定性を維持しながらでの最大生産速度であると見なされる。
【0061】
LDPE−LLDPEブレンド混合物の最大速度試験のために作製されるフィルムサンプルのすべてがポリマー加工助剤(PPA)を使用したことに留意すること。PPAが、Ingenia Polymersによって作製されるCKAC−19(これは8%のDynamar FX−5920AをPEキャリアに含有した)と呼ばれるPPAマスターバッチの1.5%として加えられた。
【0062】
単層フィルムが製造された。ダイ直径が8インチであり、ダイギャップが70ミルであり、ブローアップ比が2.5であり、内部バブル冷却が使用される。
【0063】
三連検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(TDGPC)
三連検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(3D−GPC又はTDGPC)システムは、内蔵された示差屈折計(RI)を備えるWaters(Milford、Mass)の150C高温クロマトグラフからなる(他の好適なGPC機器には、Polymer Laboratories(Shropshire、英国(UK))のモデル210及びモデル220が含まれる)。さらなる検出器には、Polymer ChAR(Valencia、スペイン(Spain))から得られるIR4赤外検出器、Precison Detectors(Amherst、Mass.)の2角度レーザー光散乱(LS)検出器モデル2040、及び、Viscotek(Houston、Tex.)の150R 4キャピラー溶液粘度計が含まれ得る。これら後者の2つの独立した検出器と、前者検出器の少なくとも1つとを有するGPCが「3D−GPC」又は「TDGPC」と呼ばれることがあり、一方で、用語「GPC」は単独では一般に従来型GPCを示す。サンプルに依存して、光散乱検出器の15°の角度又は90°の角度のどちらかが計算目的のために使用される。データ収集が、Viscotek TriSECソフトウエア(バージョン3)及び4チャンネルのViscotek Data Manager DM400を使用して行われる。システムはまた、Polymer Laboratories(Shropshire、英国(UK))から得られるオンライン式の溶媒脱気デバイスを備える。
【0064】
好適な高温GPCカラムを使用することができる:例えば、4本の長さ30cmのShodex HT803(13ミクロン)カラム、又は、20ミクロンの混合細孔サイズ充填材の4本の30cmのPolymer Labsカラム(MixA LS、Polymer Labs)など。サンプル回転ラック区画が140℃で操作され、カラム区画が150℃で操作される。サンプルが50ミリリットルの溶媒において0.1グラムのポリマーの濃度で調製される。クロマトグラフィー溶媒及びサンプル調製溶媒は200ppmのトリクロロベンゼン(TCB)を含有する。両方の溶媒には、窒素が吹き込まれる。ポリエチレンサンプルが160℃で4時間穏やかに撹拌される。注入体積が200マイクロリットルである。GPCを通る流速が1ml/分で設定される。
【0065】
GPCカラムセットが、21個の狭い分子量分布ポリスチレン標準物を流すことによって較正される。標準物の分子量(MW)は580から8,400,000にまで及び、標準物は6つの「カクテル」混合物に含有される。それぞれの標準物混合物は、少なくとも1桁の隔たりが個々の分子量の間にある。標準物混合物が、Polymer Laboratoriesから購入される。ポリスチレン標準物が、1,000,000以上の分子量については50mLの溶媒において0.025gで調製され、1,000,000未満の分子量については50mLの溶媒において0.05gで調製される。ポリスチレン標準物が、穏やかな撹拌とともに80℃で30分間溶解された。狭い標準物混合物が、分解を最小限に抑えるために、最初に、且つ、最大分子量成分が低下する順に流される。ポリスチレン標準物のピーク分子量が、(Williams及びWard、J. Polym. Sci., Polym. Letters、6、621(1968)に記載されるように)式5を使用してポリエチレン分子量に変換される:
Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン)B (式5)
式中、Mは、(印が付けられるように)ポリエチレン又はポリスチレンの分子量であり、Bは1.0に等しい。Aは約0.38〜約0.44の範囲であり得ること、そして、3D−GPC法(下記)及び具体的に式12によるgpcBR分岐指数において概略されるように、幅広いポリエチレン標準物を使用して較正時に求められることが、当業者には公知である。分子量値(例えば、分子量分布(MWD又はMw/Mn)など)及び関連した統計量を得るためのこのポリエチレン較正法の使用が、Williams及びWardの改変法として本明細書では規定される。
【0066】
多重検出器オフセットを求めるための体系的アプローチが、Balke、Moureyら(Mourey及びBalke、Chromatography Polym.、第12章(1992))(Balke、Thitiratsakul、Lew、Cheung、Mourey、Chromatography Polym.、第13章(1992))によって発表された様式と一致する様式で行われ、この様式では、Dow1683の幅広いポリスチレン(American Polymer Standards Corp.;Mentor、OH)又はその同等物から得られる三連検出器のlog(Mw及び固有粘度)の結果が、狭いポリスチレン標準物の較正曲線から得られる狭域標準物カラム較正結果に対して最適化される。分子量データが、Zimm(Zimm,B.H.、J. Chem. Phys.、16、1099(1948))及びKratochvil(Kratochvil,P.、Classical Light Scattering from Polymer Solutions、Elsevier、Oxford、NY(1987))によって発表された様式と一致する様式で得られる。分子量の決定において使用される全般的な注入濃度が、好適な線状ポリエチレンホモポリマー、又は、重量平均分子量が公知であるポリエチレン標準物の1つから導かれる質量検出器面積及び質量検出器定数から得られる。計算された分子量が、述べられたポリエチレン標準物の1つ又はそれ以上から導かれる光散乱定数と、0.104の屈折率濃度係数(dn/dc)とを使用して得られる。一般には、質量検出器応答及び光散乱定数は、分子量が約50,000ダルトンを超える線状標準物から決定されなければならない。粘度計の較正を、製造者によって記載される方法を使用して、又は、代替では、好適な線状標準物(例えば、Standard Reference Material(SRM)1475a、同1482a、同1483又は同1484aなど)の発表された値を使用することによって達成することができる。クロマトグラフィー濃度は、2次ビラル(viral)係数の影響(分子量に対する濃度影響)を検討することを除外するために十分に低いと仮定される。
【0067】
3D−GPCによるgpcBR分岐指数
3D−GPC構成では、ポリエチレン標準物及びポリスチレン標準物を、Mark−Houwink定数のK及びαをこれら2つのポリマータイプ(ポリスチレン及びポリエチレン)のそれぞれについて独立して見積もるために使用することができる。これらは、Williams及びWardのポリエチレン等価分子量を下記の方法の適用において精緻化するために使用することができる。
【0068】
gpcBR分岐指数が、光散乱検出器、粘度検出器及び濃度検出器を前記で記載されるように最初に較正することによって求められる。その後、ベースラインが、光散乱クロマトグラム、粘度計クロマトグラム及び濃度クロマトグラムから差し引かれる。その後、積分域が、屈折率クロマトグラムからの検出可能なポリマーの存在を示す光散乱クロマトグラム及び粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持体積範囲全体の積分を保証するように設定される。その後、線状ポリエチレン標準物が、前記で記載されるようなポリエチレン及びポリスチレンのMark−Houwink定数を確立するために使用される。定数が得られると、2つの値は、式6及び式7に示されるように、溶出体液の関数としてのポリエチレン分子量及びポリエチレン固有粘度のための2つの線形の参照用の従来的較正を構築するために使用される:
【数1】
【0069】
gpcBR分岐指数は、Yau,Wallace W.、「3D−GPC使用例−ポリオレフィン特徴づけのためのTREF」、Macromol. Symp.、2007、257、29〜45に記載されるような長鎖分岐の特徴づけのためのロバストな方法である。この指数により、欠けていないポリマー検出器面積に有利なg’値の決定及び分岐頻度計算において従来から使用されるスライス毎(slice-by-slice)の3D−GPC計算が回避される。3D−GPCデータから、サンプルのバルク絶対重量平均分子量(Mw,Abs)を、ピーク面積法を使用して光散乱(LS)検出器によって得ることができる。この方法により、従来のg’決定において要求されるような光散乱検出器シグナル/濃度検出器シグナルのスライス毎の比率が回避される。
【0070】
3D−GPCにより、絶対重量平均分子量(「Mw,Abs」)及び固有粘度もまた、式8及び式9を使用して独立に得られる:
【数2】
【0071】
式8における面積計算は、全体的サンプル面積として、ベースライン及び積分範囲に対して検出器ノイズ及び3D−GPC環境によって引き起こされる変動に対してあまり敏感ではないので、より多くの精密さをもたらす。より重要なことに、ピーク面積計算は検出器の体積オフセットによって影響されない。同様に、高精度のサンプル固有粘度(IV)が、式9に示される面積法によって得られる:
【数3】
式中、DPiは、オンライン粘度計から直接にモニターされる差圧シグナルを表す。
【0072】
gpcBR分岐指数を求めるために、サンプルポリマーについての光散乱溶出面積が、サンプルの分子量を求めるために使用される。サンプルポリマーについての粘度検出器溶出面積が、サンプルの固有粘度(IV又は[η])を求めるために使用される。
【0073】
最初に、線状ポリエチレン標準物サンプル(例えば、SRM1475a又は同等物など)についての分子量及び固有粘度が、式10及び式11に従って、溶出体積の関数としての分子量及び固有粘度の両方についての従来的較正(「cc」)を使用して求められる:
【数4】
式12が、gpcBR分岐指数を求めるために使用される:
【数5】
式中、[η]は、測定された固有粘度であり、[η]ccは、従来的較正から得られる固有粘度であり、Mwは、測定された重量平均分子量であり、Mw,ccは従来的較正の重量平均分子量である。式(8)を使用する光散乱(LS)による重量平均分子量が「絶対重量平均分子量」又は「Mw,Abs」として一般に示される。従来的なGPC分子量較正曲線(「従来的較正」)を使用する式(10)からのMw,ccが多くの場合、「ポリマー鎖骨格分子量」、「従来的重量平均分子量」及び「Mw,GPC」として示される。
【0074】
「cc」の下付添え字を有するすべての統計量が、それらのそれぞれの溶出体積、前記で記載されるような対応する従来的較正、及び、保持体積分子量較正から導かれる濃度(Ci)を使用して求められる。下付添え字のない値は、質量検出器、LALLS及び粘度計の面積に基づく測定値である。KPEの値が、線状参照サンプルがゼロのgpcBR測定値を有するまで繰り返し調節される。例えば、gpcBRをこの特定の場合に求めるためのα及びLog Kについての最終的な値が、ポリエチレンについてはそれぞれ、0.725及び−3.355であり、ポリスチレンについてはそれぞれ、0.722及び−3.993である。
【0075】
K及びαの値が、前記で考察された手順を使用して求められると、この手順は、分岐サンプルを使用して繰り返される。分岐サンプルは、最良の「cc」較正値及び式8〜式11が適用されるような最終的なMark−Houwink定数を使用して分析される。
【0076】
gpcBRの解釈は直裁的である。線状ポリマーの場合、LS及び粘度測定法によって見積もられる値は従来的較正標準物に近いので、式12から計算されるgpcBRはゼロに近い。分岐ポリマーの場合、見積もられたポリマー分子量は、計算されたMw,ccよりも大きく、また、計算されたIVccは、見積もられたポリマーIVよりも大きいので、gpcBRは、とりわけ、高レベルの長鎖分岐に関しては、ゼロよりも大きい。実際、gpcBR値は、ポリマーが枝分かれする結果としての分子サイズ収縮効果に起因する部分IV変化を表す。0.5又は2.0のgpcBR値は、同等な重量の線状ポリマー分子に対して、50%及び200%のレベルでのIVの分子サイズ収縮効果をそれぞれ意味するであろう。
【0077】
これらの具体的な例について、従来の「g’指数」及び分岐頻度計算との比較においてgpcBRを使用することの利点が、gpcBRのより大きい精密度に起因する。gpcBR指数決定で使用されるパラメーターのすべてが、良好な精密度で得られ、また、濃度検出器に由来する高分子量での低い3D−GPC検出器応答によって悪影響を受けない。検出器体積アラインメントにおける誤差もまた、gpcBR指数決定の精密度に影響しない。
【0078】
GPC−LS特徴づけ
所定の分子量範囲を使用する特定のサンプルについての濃度正規化されたLSクロマトグラム応答曲線の分析は、実施形態のポリマーを類似した市販されている比較用の低密度エチレン系ポリマーから区別することにおいて有用である。
【0079】
「GPC−LS特徴づけ」パラメーターであるYが、特定の材料についてのMWD及びGPC−LSプロフィルの他にない組合せを捕らえるために設計される。図2〜図4は、本発明の実施形態を特定するためにGPC−LS特徴づけ法を使用するための実例及び指針を提供する。
【0080】
長鎖分岐を有するエチレン系ポリマー(例えば、低密度エチレン系ポリマーなど)は、「GPC−LS特徴づけ」と呼ばれる分析技術を使用することによって区別することができる。GPC−LS特徴づけ法において、決定が、従来的に較正された3D−GPC(「cc−GPC」)によって処理されるサンプルについての光散乱(LS)検出器応答をサンプルの分子量のある範囲にわたって使用して行われる。サンプルの分子量がスケーリング(scaling)目的にために対数値に変換される。正規化されていないLSシグナルは、正規化が行われないサンプル毎に大きく異なり得ることが当分野では公知であるので、LS応答は、LS応答がサンプル間で比較され得るように「濃度正規化」される。プロットされたとき、cc−GPC分子量の範囲の対数値と、濃度正規化されたLS値とにより、濃度正規化されたLSクロマトグラム曲線(例えば、図2〜図4に示されるLSクロマトグラム曲線など)が形成される。
【0081】
濃度正規化LSクロマトグラム曲線が得られると、GPC−LS特徴づけ値の決定は直裁的である。GPC−LS特徴づけ法において、GPC−LS特徴づけ値(Y)が、下記の式を使用して決定される:
Y=Log_LSCDF=Log(LSCDF)+3.5 (式13)
LSCDF=Abs(A/B*SF) (式14)
SF=傾き関数=Abs(x)+0.1 (式15)
上式において、Abs()は数学的絶対値関数であり、LSCDFは光散乱累積検出器比(light scattering cumulative detector fraction)を表す。
【0082】
本質的には、GPC−LS特徴づけ値は、2つの関連領域(A及びB)と、2つの指定されたcc−GPC分子量値の対数値での濃度正規化LSクロマトグラム曲線における2つの点の間の直線の指標付き傾き(x)との関係である。指定されたcc−GPC分子量値により、長鎖分岐を有するポリマー鎖を含有することが公知である分子量画分を確定することが試みられる。
【0083】
この分析における第1段階が、調べられているポリマーについてのcc−GPC分子量の対数値に対する濃度正規化LS応答値を表す濃度正規化LSクロマトグラム曲線の作製である。
【0084】
第2段階が、直線を濃度正規化LSクロマトグラム曲線における2つの点の間で引くことである。直線及びこれらの点は、領域A及び領域Bを決定するための基礎を提供する。これら2つの点(第1の点及び第2の点)は濃度正規化LSクロマトグラム曲線の上に位置し、2つのcc−GPC分子量値についての対数値(第1及び第2の対数cc−GPC分子量値)における濃度正規化LS応答値(第1及び第2の濃度正規化LS応答値)を表す。第1の点(例えば、図2における点1)が、およそ5.544の値である、(第1の対数cc−GPC分子量値を表す)350,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値に対応する(第1の濃度正規化LS応答値を表す)濃度正規化LSクロマトグラム曲線の上にあるとして定義される。第2の点(図2における点2)が、およそ6.107の値である、(第2の対数cc−GPC分子量値を表す)1,320,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値に対応する(第2の濃度正規化LS応答値を表す)濃度正規化LS応答値において濃度正規化LSクロマトグラム曲線の上にあるとして定義される。長鎖分岐における区別化が典型的には1M(1×106)グラム/モルのcc−GPC分子量の近くで示されることが、当分野では公知である。
【0085】
第3段階が、これら2つの対数cc−GPC分子量値の間において、直線と、濃度正規化LSクロマトグラム曲線との間の領域Aを決定することである。領域Aが、A1+A2の値であるとして定義される。好ましい実施形態において、領域Aが、350,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値と、1,320,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値との間の値における範囲について定義される。
【0086】
A1が、直線の濃度正規化LS応答値がこれら2つの対数cc−GPC分子量値の間で濃度正規化LSクロマトグラム曲線についての濃度正規化LS応答値よりも大きい、直線と、濃度正規化LSクロマトグラム曲線との間で決まる領域として定義される。
【0087】
図2において認められ得るように、A1として定義される領域がこれら2つの対数cc−GPC分子量の間の全範囲を占める;従って、A=A1である。多くの場合、直線が、対数cc−GPC分子量範囲については濃度正規化LSクロマトグラム曲線の「上方」にあり、点1及び点2を除いて濃度正規化LSクロマトグラム曲線と交差しない。これらの場合において、A=A1=正の値であり、A2=0である。
【0088】
A2が、A1の逆として定義される。A2は、直線の濃度正規化LS応答がこれら2つの対数cc−GPC分子量値の間で濃度正規化LSクロマトグラム曲線についての濃度正規化LS応答よりも小さい、直線と、濃度正規化LSクロマトグラム曲線との間で決まる領域である。図3に示される例については、A2が、点1と、点2との間において、濃度正規化LS応答曲線と、直線との間の領域である。これらの場合において、A=A2=負の値であり、A1=0である。
【0089】
いくつかの実施形態では、図4において認められ得るように、直線が、点1及び点2のほかに少なくとも1つの他の点で濃度正規化LSクロマトグラム曲線と交差することがある(「さらなる交差点」において図4を参照のこと)。そのような状況では、A1が、前記で定義されるように決定される。図4に示される例については、A1が、およそ5.9の対数cc−GPC分子量値から350,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値までの間において、濃度正規化LSクロマトグラム曲線と、直線との間の正の領域であろう。そのような状況では、A2が、前記で定義されるように決定される。図4に示される例については、A2が、およそ5.9の対数cc−GPC分子量値から1,320,000グラム/モルのcc−GPC分子量の対数値までの間において、濃度正規化LS応答曲線と、直線との間の負の領域である。
【0090】
Aについての合計値を計算する際には、Aが、領域A1(正の値)+領域A2(負の値)として再び定義される。いくつかの実施形態では、図4において図示され得るように、Aについての合計値は再び、正又は負のどちらも可能である。
【0091】
第4段階が、対数cc−GPC分子量範囲についての濃度正規化LSクロマトグラム曲線の下側の領域Bを決定することである。Bが、これら2つの対数cc−GPC分子量値の間において、濃度正規化LSクロマトグラム曲線の下側の領域として定義される。領域Bは領域Aの分析に依存しない。
【0092】
第5段階が、xの値(傾き指標化値)を決定することである。xの値は、領域A及び領域Bを決定するために確立される直線の傾きの原因となる指標化因子である。xの値は直線の傾きではない;しかしながら、xの値は、点1と、点2との違いを反映する値を表す。xの値が式16によって定義される:
【数6】
式中、「LS応答」の用語はそれぞれ、点1及び点2についての濃度正規化LS応答値であり、「log MW」の用語はそれぞれ、点1及び点2についての対数cc−GPC分子量である。いくつかの実施形態において、直線は、点1と、点2との間で少なくとも1回、正規化LSクロマトグラム曲線と交差し得る。
【0093】
最後に、x、A及びBが確立されると、GPC−LS特徴づけ値(Y)が、下記において繰り返されるが、以前に示された式13〜式15を使用して求められる:
Y=Log_LSCDF=Log(LSCDF)+3.5 (式13)
LSCDF=Abs(A/B*SF) (式14)
SF=傾き関数=Abs(x)+0.1 (式15)
上式において、Abs()は数学的絶対値関数である。
【0094】
実施例1〜3(Ex.1〜3)及び比較例1〜2(CE1〜2)に関連するプロセス情報
実施例及び比較例を考察する際、いくつかの用語が定義される。実施例組成物及びその作製のための一組のプロセス情報が3つ存在する:実施例1、実施例2及び実施例3。比較例組成物及び一組のプロセス情報が2つ存在する。比較例1及び比較例2をもたらしたプロセス運転は、それらが、実施例1、実施例2及び実施例3と同じプロセス列を使用して製造されるという点で類似している。比較例1及び比較例2は、実施例1、実施例2及び実施例3と直接に比較可能である。
【0095】
プロセス条件が考察され、比較されるとき、プロセス条件は、それらの生成物呼称によって示され得る(例えば、実施例1の製造物を製造するためのプロセス条件が「実施例1のプロセス」として示され得る)。
【0096】
実施例1、実施例2及び実施例3、並びに、比較例1及び比較例2が、同じプロセス反応システムで製造される;従って、同じ設備をこれらの運転の間において示す際には、物理的プロセス及びその単位装置は互いに類似している。図5は、上記の実施例及び比較例を製造するために使用されるプロセス反応システムの簡単なブロック線図である。
【0097】
図5におけるプロセス反応システムは、部分的に閉じたループの二重再循環型高圧低密度ポリエチレン製造システムである。このプロセス反応システムは、新鮮エチレン供給導管1、ブースター/一次圧縮機「BP」、超高圧圧縮機「Hyper」、長さが9.14メートルである144本の高圧管から構成される3帯域のチューブリアクターから構成される。チューブリアクターは、第1の反応供給物帯域、第1のペルオキシド開始剤供給源#11につながれる第1のペルオキシド開始剤導管3、第2のペルオキシド開始剤供給源12につながれる第2のペルオキシド開始剤導管4、第2のペルオキシド開始剤供給源12につながれる第3のペルオキシド開始剤導管5、チューブリアクター及びプレヒーターの外殻を取り囲んで取り付けられる(高圧水を使用する)冷却ジャケット、高圧分離器「HPS」、高圧再循環ライン7、低圧分離器「LPS」、低圧再循環ライン9、並びに、連鎖移動剤CTA供給システム13からなる。
【0098】
チューブリアクターはさらに、ペルオキシド注入点の場所によって仕切られる3つの反応帯域を含む。チューブリアクターは長さが約1316メートルである。第1の反応帯域供給がチューブリアクターの前方に0メートルで取り付けられ、プロセス流体の一部を第1の反応帯域の中に供給する。第1の反応帯域が、チューブリアクターの前部から約120メートル下流に位置する注入点#1(3)から始まり、注入点#2(4)で終わる。第1のペルオキシド開始剤が注入点#1(3)においてチューブリアクターにつながれる。第2の反応帯域が、チューブリアクターの前部から約520メートル下流である注入点#2(4)から始まる。第2の反応帯域は注入点#3(5)で終わる。第3の反応帯域が、チューブリアクターの前部から約890メートル下流に位置する注入点#3(5)から始まる。
【0099】
0メートルにおいて始まる最初の13本の管であるプレヒーター、及び、反応帯域のすべてが、5センチメートルの内側管直径を有する。実施例及び比較例のすべてについて、100%の新鮮エチレンと、エチレン再循環とが、第1の反応帯域供給導管を介して第1の反応帯域に導かれる。これはオール・フロント・ガス(all front gas)管状リアクターと呼ばれる。
【0100】
実施例及び比較例のすべてについて、t−ブチルペルオキシ−2エチルヘキサノアート(TBPO)、ジ−t−ブチルペルオキシド(DTBP)、tert−ブチルペルオキシピバラート(PIV)及びイソパラフィン系炭化水素溶媒(179℃を超える沸点範囲)を含有する混合物が、第1の注入点のための開始剤混合物として使用される。注入点#2及び注入点#3については、DTBP、TPO及びイソパラフィン系炭化水素溶媒を含有する混合物が使用される。表1は、試験運転のそれぞれのために使用されるペルオキシド開始剤及び溶媒溶液の流量を示す。
【表1】
すべての実施例及び比較例について、プロピレンが連鎖移動剤(CTA)として使用された。プロピレンは第1段ブースターの排出ドラムにおいてエチレンの流れに注入される。プロセスへのCTA供給物の組成が、プロセス運転のために、比較例と、実施例1及び実施例2との間で調節される。これは、製造物のメルトインデックスを維持するために行われる。3つの反応帯域のそれぞれについてのピーク温度が、分子量分布を最大にするために上げられた。実施例1、実施例2及び実施例3並びに比較例1及び比較例2を製造するために使用されるリアクター管のプロセス条件が表2に示される。
【表2】
【0101】
表2及び図6から、BWシステム1が帯域3に至り、BWシステム2が、帯域4、帯域5及び帯域6に至り、BWシステム3が帯域1及び帯域2に至ることに留意すること。図6は、実施例1のリアクターの詳細を示すチューブリアクターの温度プロフィルである。グラフは3つの反応帯域をペルオキシド注入に関して示す。x軸は管同士の連結場所を示し、y軸は反応及び沸騰水についての温度である。熱電対が、製造期間中の管に沿った反応温度を測定するために使用される。それぞれの帯域についての反応ピークが、反応帯域のそれぞれへのペルオキシド流量を調節することによって制御される。その後、ピーク温度が、製造物のMWDを制御するために使用される。
【0102】
実施例1〜3及び比較例1〜2の特徴づけ
実施例1〜3及び比較例1〜2の特徴づけ特性が表3〜表5に示される。表3から、ほぼ同等なメルトインデックスにおいて、本発明の実施例は、表3に示されるそれらのより広いMWDの結果として、それらの比較例よりも大きい溶融強度値を有する。この増大した溶融強度は、この材料が、フィルムを、例えば、インフレートフィルムラインで製造するために単独又は他のポリマーとの組合せで使用されるとき、フィルムの増大した生産量を助けるための効果的なポリマーであるということになる。同様にまた、ほぼ同等なメルトインデックスにおいて、本発明の実施例は、それらの比較例よりも大きいゼロ剪断粘度を有する。このことはまた、この材料が、改善されたバブル安定性を、例えば、インフレートフィルムラインなどでのフィルム形成の期間中に提供し得ることに関連づけられる。
【0103】
表4によれば、本発明の実施例は、1000Cあたりのビニルのレベルが比較例よりも低く、且つ、1000Cあたりのメチルのレベルが比較例よりも大きい。
【0104】
表5は、表3及び表4に示される同じ比較例を使用する場合の、実施例及び比較例のTDGPC特性を示す。実施例は、より大きいMz値又は大きい分子量テール値、より広いMWD(Mw/Mn)、及び、より低いLog_LSCDFを有する。
【表3】
【表4】
【表5】
【0105】
Log_LSCDFについては、さらなる比較例が、比較例と比較された場合、実施例の独特さを示すために選ばれている。これらのデータが表6に示され、図7にプロットされる。図7に示されるように、本発明の実施例は、Y=Log(LSCDF)+3.5に関して、また、Mw/Mnに関しても特有の関係性を示す。具体的には、本発明の実施例は、Yが比較サンプルのどれよりもはるかに低く、また、一般には、Mw/Mnがより大きい。Yは約2未満であり、好ましくは約1.5未満であり、最も好ましくは約1.2未満である。本発明の実施形態のそれらの低いGPC−LS特徴づけY値によって明らかにされるような他に見られない構造が、類似するMI範囲の非常に多数のLDPE樹脂が比較される表6において明瞭に示される。表6における比較例は0.24から8.19までのMI範囲を含む。表6における比較例はまた、gpcBR値が約0.62から約4.72にまで及ぶ幅広い範囲の分岐レベルを含む。表6における比較例はまた、cc−Mw値が約70,000ダルトンから約260,000ダルトンにまで及ぶ幅広い範囲の分子量を含む。
【表6−1】
【表6−2】
【0106】
実施例及び比較例のフィルム特性
最大生産速度試験から得られるフィルム特性が表7〜表12及び図8〜図11に示される。実施例3は、LLDPE1と20%でブレンド混合されたとき、LLDPE1を用いて作製されるすべての他の比較例と比較された場合、バブル安定性を維持しながら、インフレートフィルムラインでの最高生産量を与えた(428lb/hr、表7から)。LLDPE樹脂が表8においてより詳しく記載される。比較例が表6においてより詳しく記載される。同時に、80%のLLDPE1及び20%の実施例3によるフィルムの曇りが非常に低かった。実施例3がLLDPE2と20%でブレンド混合されたとき、一層より大きい生産量がインフレートフィルムラインで得られ(480lb/hr)、この組合せはまた、本研究におけるフィルムのすべての中の最も低い曇り(7.1%)を有した。図8は、比較例と比較される実施例3についての良好な生産量及び曇りの組合せを示す(より低い曇りが、改善された曇り又はより良好な曇りである)。図8は、最大速度及び45度光沢についての類似するプロットを示す(より大きい生産量及びより大きい光沢が好ましい)。図10及び図11は、実施例3がLLDPE2とブレンド混合されたときの最大速度、曇り及び光沢についての結果を示し、結果は、好都合なほどに大きい生産量、低い曇り及び大きい光沢を示す。
【0107】
表9は、表8に示される比較と類似する比較を示す。しかし、最大速度においてである代わりに、表9は、250lb/hr又は10lb/hr/インチ(ダイ円周)のより低い同程度の速度における結果を示す。本発明の実施例は依然として、実施例2に関して7%の、LLDPE1における20%のレベルでのどの例の中の最も低い曇りを示す。LLDPE2において、曇りが、20%の実施例3が使用されるときには6%にまで一層さらに低下している。
【0108】
表7及び表9におけるフィルムを作製するために使用されるプロセス条件が表10に示される。バレル温度(T1〜T5)は、押出し機の供給部により近い温度(T1)、及び、ダイ末端により近い温度(T5)をそれぞれ示す。
【0109】
表11は、最大速度で作製される2ミル厚及び1ミル厚のフィルムについての結果を示す。両方の厚さにおいて、20%の実施例1とのブレンド混合物は、LLDPE単独と比較される場合、或いは、20%の比較例1又は比較例9が使用されるとき、最も大きい生産量を示した。45度光沢が86%で優れているように、曇りが、20%の実施例1による2ミル厚のフィルムにおいて、4.7%で優れている。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0110】
LDPE単独のフィルム
実施例1及び比較例1のフィルムを、LLDPEタイプのスクリューを用いて6”のダイで作製した。内部バブル冷却は使用されない。インフレートフィルムを製造するために使用される一般的なインフレートフィルムパラメーターが表13に示される。温度は、ペレットホッパー(バレル1)に最も近い温度、及び、ポリマーがダイを通って押し出されている際の増大する順での温度(溶融物温度)を示す。これらの2つの例のフィルム特性が表14に示される。実施例1は、そのより大きい表面/内部曇り比によって反映されるように、その総曇りの相対的により大きい割合が表面曇りから構成される。加えて、実施例1のMD及びCDでの収縮張力が、比較サンプルの収縮張力を上回って改善され、このことは、これを、収縮用途において使用される潜在的に良好なLDPEにする。
【表13】
【表14】
【0111】
表面/内部曇り比が、表13に示される様式と類似する様式で作製されるいくつかのLDPEについて表にされる。これらのサンプルの特性の得られた相関が表15及び図12に示される。具体的には、実施例1は、そのメルトインデックスに関連づけられるような大きい表面/内部曇り比を有する。より大きい表面/内部曇り比を有するいくつかの他の商用LDPEが示され、しかし、この大きい比率は、図12に示されるような大きい全般的な総曇りを有するという不利益に達する。表面/内部曇り比がより大きいサンプルは、大きい総曇りを低いメルトインデックスにおいて有するか、又は、それに対応して、より低い曇りを、しかし、改善されたバブル安定性又は維持された機械的特性に関してそれほど好都合でないLDPEについてはより大きい全般的なメルトインデックスにおいて有する(すなわち、メルトインデックスが上昇するにつれて、又は、分子量が低下するにつれて、一般には機械的特性が低下する)。
【0112】
下記の数値的関係性が、特にフィルムの総曇りが9.5%未満であるとき、本発明の材料については存在する:
S/I≧(−2*I2)+8 (式17)
【0113】
優先権書類を含めて、引用されるすべての特許、試験手順及び他の文書は全体が、当該開示が本発明と矛盾しない程度に参照によって、また、当該援用が許されるすべての権限のために援用される。
【表15】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度が約0.9グラム/立方センチメートル〜約0.94グラム/立方センチメートルであり、分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約30であり、メルトインデックス(I2)が約0.1グラム/10分〜約50グラム/10分であり、gpcBR値が、gpcBR分岐指数によって求められるとき、0.05よりも大きく、且つ、GPC−LS特徴づけY値が約2未満であるとして特徴づけられるエチレン系ポリマー。
【請求項2】
ホモポリマーである、請求項1に記載のエチレン系ポリマー。
【請求項3】
コポリマーである、請求項1に記載のエチレン系ポリマー。
【請求項4】
前記Y値が約1.5未満である、請求項1に記載のエチレン系ポリマー。
【請求項5】
前記Y値が約1.2未満である、請求項1に記載のエチレン系ポリマー。
【請求項6】
前記エチレン系ポリマー組成物の分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約12である、請求項1に記載のエチレン系ポリマー。
【請求項7】
請求項1に記載されるエチレン系ポリマーと、少なくとも1つの他の天然ポリマー又は合成ポリマーとを含む組成物。
【請求項8】
前記合成ポリマーが、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記合成ポリマーがLLDPEを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記LLDPEが組成物の少なくとも50重量パーセント以上を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
請求項8に記載される組成物を含む少なくとも1つのフィルム層。
【請求項12】
GPC Mwと、ゼロ剪断粘度(η0)(Pa*s)との、log(η0(Pa*s))>3.6607*log(GPC Mw)−14.678の関係性を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項13】
cNの単位における190℃での溶融強度が11.5cNを超える、請求項1に記載のポリマー。
【請求項14】
所定の表面曇り(S)、所定の内部曇り(I)(ともに%曇りの単位であり、且つ、ともに表面・内部曇り法を使用して求められる)及び所定のメルトインデックス(I2)(10分あたりのグラム数)を有し、但し、S、I及びI2の数値が、下記の関係性:
S/I≧(−2*I2)+8
(但し、総曇りは9.5%未満である)
に対応するエチレン系ポリマー。
【請求項15】
前記メルトインデクスが0.5を超え、且つ、2未満である、請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
密度が約0.9グラム/立方センチメートル〜約0.94グラム/立方センチメートルであり、分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約30であり、メルトインデックス(I2)が約0.1グラム/10分〜約50グラム/10分であり、gpcBR値が、gpcBR分岐指数によって求められるとき、0.05よりも大きく、GPC−LS特徴づけY値が約2未満であり、且つ、所定の表面曇り(S)、所定の内部曇り(I)(ともに%曇りの単位であり、且つ、ともに表面・内部曇り法を使用して求められる)を有し、但し、S、I及びI2の数値が、下記の関係性:
S/I≧(−2*I2)+8
(但し、総曇りは9.5%未満である)
に対応するとして特徴づけられるエチレン系ポリマー。
【請求項17】
請求項1に記載されるエチレン系ポリマーを含む少なくとも1つのフィルム層。
【請求項18】
縦方向(MD)の収縮張力(shrink tension)が15psiを超える、請求項17に記載のフィルム層。
【請求項1】
密度が約0.9グラム/立方センチメートル〜約0.94グラム/立方センチメートルであり、分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約30であり、メルトインデックス(I2)が約0.1グラム/10分〜約50グラム/10分であり、gpcBR値が、gpcBR分岐指数によって求められるとき、0.05よりも大きく、且つ、GPC−LS特徴づけY値が約2未満であるとして特徴づけられるエチレン系ポリマー。
【請求項2】
ホモポリマーである、請求項1に記載のエチレン系ポリマー。
【請求項3】
コポリマーである、請求項1に記載のエチレン系ポリマー。
【請求項4】
前記Y値が約1.5未満である、請求項1に記載のエチレン系ポリマー。
【請求項5】
前記Y値が約1.2未満である、請求項1に記載のエチレン系ポリマー。
【請求項6】
前記エチレン系ポリマー組成物の分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約12である、請求項1に記載のエチレン系ポリマー。
【請求項7】
請求項1に記載されるエチレン系ポリマーと、少なくとも1つの他の天然ポリマー又は合成ポリマーとを含む組成物。
【請求項8】
前記合成ポリマーが、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記合成ポリマーがLLDPEを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記LLDPEが組成物の少なくとも50重量パーセント以上を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
請求項8に記載される組成物を含む少なくとも1つのフィルム層。
【請求項12】
GPC Mwと、ゼロ剪断粘度(η0)(Pa*s)との、log(η0(Pa*s))>3.6607*log(GPC Mw)−14.678の関係性を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項13】
cNの単位における190℃での溶融強度が11.5cNを超える、請求項1に記載のポリマー。
【請求項14】
所定の表面曇り(S)、所定の内部曇り(I)(ともに%曇りの単位であり、且つ、ともに表面・内部曇り法を使用して求められる)及び所定のメルトインデックス(I2)(10分あたりのグラム数)を有し、但し、S、I及びI2の数値が、下記の関係性:
S/I≧(−2*I2)+8
(但し、総曇りは9.5%未満である)
に対応するエチレン系ポリマー。
【請求項15】
前記メルトインデクスが0.5を超え、且つ、2未満である、請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
密度が約0.9グラム/立方センチメートル〜約0.94グラム/立方センチメートルであり、分子量分布(Mw/Mn)が約8〜約30であり、メルトインデックス(I2)が約0.1グラム/10分〜約50グラム/10分であり、gpcBR値が、gpcBR分岐指数によって求められるとき、0.05よりも大きく、GPC−LS特徴づけY値が約2未満であり、且つ、所定の表面曇り(S)、所定の内部曇り(I)(ともに%曇りの単位であり、且つ、ともに表面・内部曇り法を使用して求められる)を有し、但し、S、I及びI2の数値が、下記の関係性:
S/I≧(−2*I2)+8
(但し、総曇りは9.5%未満である)
に対応するとして特徴づけられるエチレン系ポリマー。
【請求項17】
請求項1に記載されるエチレン系ポリマーを含む少なくとも1つのフィルム層。
【請求項18】
縦方向(MD)の収縮張力(shrink tension)が15psiを超える、請求項17に記載のフィルム層。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−530151(P2012−530151A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515174(P2012−515174)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/038285
【国際公開番号】WO2010/144784
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/038285
【国際公開番号】WO2010/144784
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】
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