説明

付着土砂除去装置

【課題】破砕混合機の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去する。
【解決手段】破砕混合機1における軸受け14を容器10に固定するステー24上を回転軸13に向け伸びる延伸部120で構成されたスクレーパーと、このスクレーパーと前記ステー24とを容器10の中心軸を軸に相対回転させる回転機構130とから付着土砂除去装置100を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着土砂除去装置に関するものであり、具体的には、破砕混合機の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状容器の中でフレキシブル剛体を高速回転させることにより、上方より投入した土砂等の材料を破砕混合し、土砂の改質等を行う破砕混合機がある。この破砕混合機において湿った土砂等を破砕する場合、容器内壁に破砕片等が付着して成長し、処理物の排出経路を塞いだり、装置動作を妨げるなどの問題を生じることがある。
【0003】
こうした問題に対処する技術としては、例えば、容器内に付着した土砂らを掻き落とすべく、上下に伸びて容器内壁に配置したスクレーパーと容器とを相対回転させる技術(特許文献1)などが提案されている。
【0004】
一方、フレキシブル剛体の回転軸を支持する軸受は、容器内壁にステーを介して固定されている。フレキシブル剛体で破砕混合された破砕片等は容器内を落下し、その多くはそのまま容器底部から回収されるが、一部はステー上に落下して付着する。ステーに付着した破砕片等は徐々に成長し、ステー間の空隙すなわち処理物の排出経路を塞ぐことがある。そこで、フレキシブル剛体と連動して動くワイパーによりステー上の付着土砂を取り除く技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3842062号公報
【特許文献2】特開平10−26324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、剛体であるワイパーを回転軸に固定して高速回転させ、ステー上で堅くなっている付着土砂に連続的に当てる状況は、前記回転軸に負荷がかかりやすく、回転軸やその駆動用モータ等の故障原因となりやすい。こうした故障が生じれば、ステー上の付着土砂を除去出来なくなるのは勿論、破砕混合機の通常動作すら実行できなくなる。
そこで本発明では、破砕混合機の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の付着土砂除去装置は、破砕混合機の内壁面が円筒状の容器内における付着土砂を除去する装置であって、破砕混合機における軸受けを容器に固定するステー上を回転軸に向け伸びる延伸部で構成されたスクレーパーと、このスクレーパーと前記ステーとを容器の中心軸を軸に相対回転させる回転機構とを備えることを特徴とする。
【0008】
これによれば、破砕混合機におけるフレキシブル剛体の回転機構とは無関係にスクレーパーを稼働させ、ステー上の付着土砂の掻き落とし作業を実行できることになる。そのため、破砕混合機の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去することが可能となる。
【0009】
また、本発明の付着土砂除去装置は、破砕混合機の容器内における付着土砂を除去する装置であって、破砕混合機における軸受けを容器に固定するステーを軸に当該ステー外周を回転自在に覆う回転部材を備えることを特徴とする。これによれば、破砕混合機におけるフレキシブル剛体の回転機構とは無関係に、ステー上の付着土砂の除去がなされることになる。そのため、破砕混合機の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去することが可能となる。また、ステーに向け落下してきた土砂は、前記回転部材の上面に載ることになるが、この回転部材は前記土砂の重みによりステーを軸に空転し、例えばそれまで上面だった面が下面となる。従って、回転部材に載っていた土砂は支えを失って下方に落下することになりやすく、ひいては効率的にステー上の付着土砂を除去出来ることになる。
【0010】
なお、前記付着土砂除去装置において、前記回転部材をステーを軸に回転させる駆動機構を備えるとしてもよい。これによれば、例えば前記回転部材を連続的ないし一定間隔で回転させることで、回転部材上面に落下してきた土砂は連続的ないし一定間隔で下方に落下することになりやすく、ひいては効率的にステー上の付着土砂を除去出来ることになる。
【0011】
また、前記付着土砂除去装置において、前記回転部材はその表面に突起体を備えるとしてもよい。これによれば、回転部材上面に落下してきた土砂は突起体や羽根体の回転によりはね飛ばされ、下方に落下することになりやすく、ひいては効率的にステー上の付着土砂を除去出来ることになる。
【0012】
また、本発明の付着土砂除去装置は、破砕混合機の容器内における付着土砂を除去する装置であって、破砕混合機における軸受けを容器に固定するステーの上面に気体を吹き付ける吹き付け装置を備えることを特徴とする。これによれば、ステー上に落下してきた土砂はすぐさま吹き付け装置の発する気体により吹き飛ばされることになり、破砕混合機におけるフレキシブル剛体の回転機構とは無関係にステー上付着土砂の除去がなされることになる。そのため、破砕混合機の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、破砕混合機の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における付着土砂除去装置の適用例1を示す図である。
【図2】本実施形態における付着土砂除去装置の適用例2を示す図である。
【図3】付着土砂除去の解説図である。
【図4】本実施形態における付着土砂除去装置の適用例3を示す図である。
【図5】本実施形態における付着土砂除去装置の適用例4を示す図である。
【図6】本実施形態における付着土砂除去装置の適用例5を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
−−−適用例1−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態における付着土砂除去装置の適用例1を示す図である。土工を伴う工事現場では、大量の排土等が発生する。特に、工事対象となる地盤の土質が低品位であれば、排土の再利用を図ったり、そのまま搬出するにも問題がある。そこで、破砕混合機を用いて排土の改良、改質を図る場合がある。ここで破砕混合機1の構造について概説しておく。
【0016】
破砕混合機1は、例えば、鋼製など適宜な強度を備えて内壁面が円筒状の容器10、容器内空11にてスピンしチェーン12を高速回転させる回転軸13、この回転軸13を回転自在に支持する軸受け14、回転軸13を駆動する回転軸用モータ15などから構成される。掘削現場等で生じた排土5は、例えばベルトコンベヤーなどの搬送手段6により搬送され、容器10の上部に備わる投入口16から破砕混合機1に供給されることになる。また、排土5の改質、改良を図るための添加材料も投入口16から容器内に供給してよい。
【0017】
投入口16から供給された排土5は、容器内空11に落下してチェーン12による破砕・混合の処理を受けて、一部は容器内壁20に飛散して付着し、その他は更に容器下方のドラム27に落下する。ドラム27は、例えばスリーブのあるロール面を備えたもので、落下してきた処理土をスリーブを介してドラム内空に通過させ、当該ドラム27の回転に伴って混ぜ返す一方、送風機28からの送気で処理土の含水率低減を図っている。ドラム内空で混ぜ返された処理土は再びスリーブを通過して適宜落下する。落下した処理土はベルトコンベアー29により搬出される。また、送風機28からの送気は排気口30を介して破砕混合機内から排出される。
【0018】
また、回転軸13はステー24を介して容器10ないし下部構造17と固定されている。また容器10の上下端面は上部構造18や下部構造17に固定されている。
【0019】
なお、破砕混合機1が処理する排土5としては、掘削土砂のみならず、礫や岩塊、コンクリート塊、アスファルト塊、ガラス、浚渫土などであってもよい。また、添加材料としては、ベントナイト、セメント系の固化剤、石炭系の固化剤など必要に応じて各種適用してよい。
【0020】
一方、こうした破砕混合機1に設置され、破砕混合機1における回転機構(スピンしチェーン12を高速回転させる回転軸13、この回転軸13を回転自在に支持する軸受け14、回転軸13を駆動する回転軸用モータ15など)に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー24上の付着土砂を除去するのが本実施形態の付着土砂除去装置100となる。この付着土砂除去装置100は、破砕混合機1の容器内における付着土砂を除去する装置であり、破砕混合機1のステー24上を回転軸13に向け伸びる延伸部120で構成されたスクレーパー101と、このスクレーパー101とステー24とを、容器10の中心軸を軸に相対回転させる回転機構130とから構成されている。なお、本実施形態では、前記スクレーパー101において、前記延伸部120に加えて、容器内壁20に沿う内壁掻き取り部102も備える例を示している。
【0021】
スクレーパー101は、その上部および下部に、例えば適宜な剛性を備えた短筒状部材111、112を備えている。本実施形態のごとく容器10に対してスクレーパー101を回転させる場合、短筒状部材112は、その底面の外周を容器内壁20に備わる受けローラ104に載置している。この受けローラ104は、容器内空11における短筒状部材112の回転を可能とすべく、容器内壁20から容器内空11の断面中心に向かって突出した軸を中心に回転するローラとなる。
【0022】
また、短筒状部材111、112のいずれかの箇所の側面26には、回転機構130たる駆動用モータ150が配置されている。図1の例では、短筒状部材111の側面26に駆動用モータ150が配置された例となっている。但し、この駆動用モータ150は、ローラや歯車などの回転伝達部151を、容器10の一部に設けられたスリット19を介して短筒状部材の側面26に当接させている。また回転伝達部151は、回転軸にて軸支されている。駆動用モータ150は、例えば一定時間毎に所定回転量だけ駆動するよう、駆動用モータ150への給電時間と給電量を制御する制御用コンピュータが接続され、その制御下におかれている。他方、短筒状部材111、112の側面26は、当接される前記ローラと摩擦接触してその伝達力を確実に受け取る適宜な表面粗さを備えるか、或いは前記歯車(ピニオン)と噛み合うラックを巻回している。
【0023】
また、スクレーパー101における内壁掻き取り部102は、短筒状部材111、112の間の容器内壁20を当接できるだけの延長と、掻き取り動作時の応力や衝撃に耐えうる所定の幅および厚みを備えた、例えば鋼製の板材を成形したものとなる。この板材の外周部を刃状として、容器内壁20との密着度を向上させれば、付着土砂の掻き取り効率がより向上する。図1に示す内壁掻き取り部102の例では、容器上下方向すなわち垂直方向に伸びる部材を示しているが、垂直方向から適宜傾いた斜め方向に伸びる部材や、斜め方向の部材を組み合わせた斜め格子部材などであってもよい。
【0024】
一方、本実施形態におけるスクレーパー101の、例えば短筒状部材112には、その内周から、破砕混合機1における回転軸13に向け伸びる延伸部120が備わっている。破砕混合機1の回転軸13と軸受け14とが接続される周辺、特に、ステー24には上方から落下した処理土が付着して堆積することがある。しかしながら、延伸部120が、スクレーパー101の回転に伴ってステー24の上面に当接しながらスライドすることで、ステー上の付着土砂は除去されることになる。延伸部120としては、例えば、鋼製の棒材にワイヤブラシや金属突起等が取り付けられた構造のものなどが適用できる。勿論、その他のスクレーパー機能を備えるいかなる構造を採用しても良い。
【0025】
こうした構成において、駆動用モータ150が稼働してローラや歯車などの回転伝達部151を回転させると、回転伝達部151が短筒状部材111の側面26に対して回転力を付与する。この回転力を得た短筒状部材111すなわちスクレーパー101は、受けローラ104で回転支持されながら容器内空11を回転する。一方、容器10はスクレーパー101の回転に共連れ回転せず、適宜固定されている。容器内壁20に当接されているスクレーパー101の内壁掻き取り部102は、上記の回転に応じて容器内壁20に付着している土砂を掻き落とし、延伸部120はステー24上の土砂を掻き落としていくことになる。
【0026】
なお、上記適用例においては、付着土砂除去の観点にて説明を行ったが、本実施形態の技術にて付着土砂の除去を連続的に行うことで土砂の付着自体を効果的に抑制できるから、本実施形態の付着土砂除去装置および付着土砂除去方法は、土砂の付着防止装置および付着防止方法として適用できる。
【0027】
また、この適用例1では、容器10(すなわちステー24)を固定し、スクレーパー101を回転させる例を挙げたが、この逆に、スクレーパー101を固定し、容器10(すなわちステー24)を回転させるとしてもよい。
【0028】
−−−適用例2−−−
続いて、スクレーパー101を構成する内壁掻き取り部102が螺旋状部材である場合の適用例について説明する。図2は、本実施形態における付着土砂除去装置の適用例2を示す図である。この例の場合、スクレーパー101における短筒状部材111、112の構成については同様である。一方、内壁掻き取り部102は螺旋状部材110に置き換わっている。この螺旋状部材110は、容器内壁20を複数回巻回するだけの延長と、掻き取り動作時の応力や衝撃に耐えうる所定の幅および厚みを備えた、例えば鋼製の板材を成形したものとなる。板材の幅および厚みとしては、例えば、幅10cm、厚み4cmなどとなる。勿論、こうした寸法は板材の強度等に応じて適宜設計すればよい。また、この板材の外周部すなわち螺旋状部材110の外周部114を刃状として、容器内壁20との密着度を向上させれば、付着土砂の掻き取り効率がより向上する。
【0029】
この螺旋状部材110の上部および下部は、上述した短筒状部材111、112に固定されている。また、上記適用例1と同様、短筒状部材111、112のうち例えば短筒状部材112は、その底面の外周を容器内壁20に備わる受けローラ104に載置している。この受けローラ104は、容器内空11における短筒状部材112の回転を可能とすべく、容器内壁20から容器内空11の断面中心に向かって突出した軸を中心に回転するローラとなる。
【0030】
また、短筒状部材111、112のいずれかの箇所の側面26には、回転機構130たる駆動用モータ150が配置されている。図2の例では、短筒状部材111の側面26に駆動用モータ150が配置された例となっている。但し、この駆動用モータ150は、ローラや歯車などの回転伝達部151を、容器10の一部に設けられたスリット19を介して短筒状部材の側面26に当接させている。また回転伝達部151は、回転軸にて軸支されている。駆動用モータ150は、例えば一定時間毎に所定回転量だけ駆動するよう、駆動用モータ150への給電時間と給電量を制御する制御用コンピュータが接続され、その制御下におかれている。他方、短筒状部材111、112の側面26は、当接される前記ローラと摩擦接触してその伝達力を確実に受け取る適宜な表面粗さを備えるか、或いは前記歯車(ピニオン)と噛み合うラックを巻回している。また、スクレーパー101における短筒状部材112に、延伸部120が備わっているのも上記適用例1と同様である。
【0031】
こうした構成において、駆動用モータ150が稼働してローラや歯車などの回転伝達部151を回転させると、回転伝達部151が短筒状部材111の側面26に対して回転力を付与する。この回転力を得た短筒状部材111すなわち螺旋状部材110は、受けローラ104で回転支持されて容器内空11を回転する。一方、容器10は共連れ回転せず適宜固定されている。容器内壁20に当接された螺旋状部材110の外周部114は、上記の回転に応じて、容器内壁20に付着している土砂を掻き落とし、延伸部120はステー24上の土砂を掻き落としていくことになる。
【0032】
なお、上述してきた回転機構130は、螺旋状部材110を備えるスクレーパー101を回転させる場合において、容器10に対するスクレーパー101すなわち螺旋状部材110の回転方向を、螺旋状部材110が前記容器10に対して巻き上がる方向としている。本実施形態の螺旋状部材110において、螺旋の巻回方向は、部材が容器底部から時計回りに上がっていく方向を例示している。こうした巻回方向の螺旋状部材110が回転し、容器10が固定されている場合、回転機構130たる駆動用モータ150等は、例えば螺旋状部材110(の短筒状部材111、112等)を、容器上方から見て反時計回りで、容器内空中心を軸に回転させる(図2の上断面図参照)。すると、容器内において螺旋が巻き上がっていく状態となる。つまり、容器10に対する螺旋状部材110の回転方向は、螺旋状部材110が前記容器10に対して巻き上がる方向となっているのである。巻き上がっていく螺旋状部材110の外周部114で掻き落とされた土砂は、螺旋状部材110における容器上方への傾斜に沿って上方に運ばれ、外周部114の終端115から容器内空11に落下することになる(図3参照)。
【0033】
なお、上記適用例においては、付着土砂除去の観点にて説明を行ったが、本実施形態の技術にて付着土砂の除去を連続的に行うことで土砂の付着自体を効果的に抑制できるから、本実施形態の付着土砂除去装置および付着土砂除去方法は、土砂の付着防止装置および付着防止方法として適用できる。
【0034】
また、この適用例1では、容器10を固定し、スクレーパー101を回転させる例を挙げたが、この逆に、スクレーパー101を固定し、容器10を回転させるとしてもよい。
【0035】
−−−適用例3−−−
続いて、ステー24に回転部材40を備えた例について説明する。図4は、本実施形態における付着土砂除去装置の適用例3を示す図である。この場合の付着土砂除去装置100は、破砕混合機1のステー24を軸に当該ステー外周を回転自在に覆う回転部材40を備えるものとなる。図示した例では、ステー24を心材として、その両端にベアリング41が挿入されている。また、このベアリング41に対し、当該ベアリング41を内空に組み込む形で、中空の管材など回転部材40が固定されている。従って、ベアリング41を介してステー24と回転部材40とは自在に回転できる状態となっている。
【0036】
このような構成において、上方からステー24をめがけて落下してくる土砂50があったとする。すると土砂50は、土砂50の質量と落下速度の二乗との積に比例したエネルギーで回転部材40の表面に衝突し、そのエネルギーにより回転部材40を回転させることになる。土砂50が、例えば回転部材40の頂部に付着したとしても、前記回転により回転部材40の頂部は下方に回動してしまい、前記回転による遠心力と重力とにより回転部材40の表面から剥がれ落ちることになりやすい。
【0037】
上述した構成によれば、ステー24に対する回転部材40の回転動作が自然に生じるのみであり、破砕混合機におけるフレキシブル剛体の回転機構とは無関係に、ステー上の付着土砂の除去がなされることになる。そのため、破砕混合機1の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去することが可能となる。
【0038】
なお、上記適用例においては、付着土砂除去の観点にて説明を行ったが、本実施形態の技術にて付着土砂の除去を連続的に行うことで土砂の付着自体を効果的に抑制できるから、本実施形態の付着土砂除去装置は、土砂の付着防止装置および付着防止方法として適用できる。
【0039】
−−−適用例4−−−
次に、上記適用例4の構造において突起体43を備えた例について説明する。図5は本実施形態における付着土砂除去装置の適用例4を示す図である。基本的な構造は上記適用例3の構造と同様であるが、この適用例4における付着土砂除去装置100は、前記回転部材40の表面に突起体43を備えている。従って、ベアリング41を介してステー24と回転部材40すなわち突起体43とは自在に回転できる状態となっている。図で例示した突起体43以外にも、回転部材40より突出する様々な形状のものを採用できる。
【0040】
このような構成において、上方からステー24をめがけて落下してくる土砂50があったとする。すると土砂50は、土砂50の質量と落下速度の二乗との積に比例したエネルギーで回転部材40の突起体43に衝突し、そのエネルギーにより突起体43すなわち回転部材40を回転させることになる。土砂50が、いずれかの突起体43に付着すると、前記回転により該当突起体43は下方に回動してしまい、前記回転による遠心力と重力とにより突起体43の表面から剥がれ落ちることになりやすい。
【0041】
一般的なトルクの式(N=r×F、F:物体に加わる力、r:回転軸からみた作用点までの距離)でも明らかなように、Fが等しい場合、腕の長さrが長いほうが物体を回転させるトルク (N) は大きい。つまり、同じエネルギーで土砂50が落下してきた場合でも、上述の適用例3において回転部材40を回転させるより、本適用例4の如く、回転部材40より突出した突起体43を回転させるほうがより回転しやすく、ひいては回転による遠心力も大きくなって、土砂50の剥がれ落ちる効率も高まると言える。
【0042】
上述した構成によれば、ステー24に対する回転部材40の回転動作が、突起体43によってより自然に生じる。回転部材上面に落下してきた土砂50は突起体43の回転によりはね飛ばされ、下方に落下することになりやすく、ひいては効率的にステー上の付着土砂を除去出来ることになる。勿論、破砕混合機におけるフレキシブル剛体の回転機構とは無関係に、ステー上の付着土砂の除去がなされることになる。そのため、破砕混合機1の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去することが可能となる。
【0043】
なお、前記付着土砂除去装置100において、回転部材40をステー24を軸に回転させる駆動機構42を備えるとしてもよい。この駆動機構42としてはモータを想定できる。駆動機構42たるモータが駆動する軸は、回転部材40に接続されており、モータが軸を回転させることで、回転部材40(やこれに備わる突起体43)はステー24を中心に回転することになる。こうした駆動機構42による回転部材40らの回転駆動は、破砕混合機1の稼働期間に合わせて連続的に実行するとしてもよいし、一定時間毎に実行するとしてもよい。前記モータは、例えば一定時間毎に所定回転量だけ駆動するよう、モータへの給電時間と給電量を制御する制御用コンピュータが接続され、その制御下におかれている。
【0044】
上述の構成において、例えば前記回転部材を連続的ないし一定間隔で回転させることで、回転部材40や突起体43の回転が、土砂50の重さや落下速度に影響されないから、自律的に回転する回転部材40や突起体43によって、土砂50は迅速かつ的確に除去されることになる。
【0045】
−−−適用例5−−−
続いて、気体を吹き付けることで付着土砂の除去を図る技術について説明する。図6は本実施形態における付着土砂除去装置の適用例5を示す図である。なお、この図6における破線囲み部分は、上方からステー上面を見た平面図となる。この場合の付着土砂除去装置100は、破砕混合機1のステー上面に気体を吹き付ける吹き付け装置44を備えている。この吹き付け装置44としては、例えば高圧で空気を噴出可能なエアポンプを適用できる。吹き付け装置44は、気体吹き出し口45を配管46を介して、各ステー24の上方に配置している。また、気体吹き出し口45の平面的な配置位置としては、例えば、ステー24に対して斜めに気体を吹き付けられるよう、ステー24と容器内壁20との固定箇所60を外した、容器内壁20の周上となる。気体吹き出し口45をこのような位置に配置すれば、高圧で噴出した空気で吹き飛ばしたステー24上の土砂50が、回転軸13に衝突して付着することを抑制できる。
【0046】
このような構成において、上方からステー24をめがけて落下してくる土砂50があったとする。一方、気体吹き出し口45からステー24上に向けて高圧の空気が吹き出しているとすると、土砂50は、高圧の空気の風圧によりステー24上から逸れて落下し、ステー24上へ付着しにくくなる。他方、すでにステー24上に付着した土砂50であったとしても、高圧の空気の風圧によりステー24上から剥がされて落下することになりやすい。こうした吹き出し装置44による気体の噴出動作は、破砕混合機1の稼働期間に合わせて連続的に実行するとしてもよいし、一定時間毎に実行するとしてもよい。前記吹き出し装置44は、例えば一定時間毎に所定圧・所定量だけ気体を噴出させるよう、ポンプへの給電時間と給電量を制御する制御用コンピュータが接続され、その制御下におかれている。
【0047】
これによれば、ステー24上に落下してきた土砂50はすぐさま吹き付け装置44の発する気体により吹き飛ばされることになり、破砕混合機1におけるフレキシブル剛体の回転機構とは無関係にステー上付着土砂の除去がなされることになる。そのため、破砕混合機1の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去することが可能となる。また、付着土砂除去装置100としては回転機構などの機械動作が不要であるから、部材の摩耗等による不具合などが生じにくく、メンテナンス性にも優れている。
【0048】
なお、上記適用例においては、付着土砂除去の観点にて説明を行ったが、本実施形態の技術にて付着土砂の除去を連続的に行うことで土砂の付着自体を効果的に抑制できるから、本実施形態の付着土砂除去装置は、土砂の付着防止装置および付着防止方法として適用できる。
【0049】
以上、本実施形態によれば、破砕混合機の回転機構に負荷を及ぼすことなく、効率的にステー上の付着土砂を除去することが可能となる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 破砕混合機
5 排土
6 ベルトコンベヤー(搬送手段)
7 基底部
10 容器
11 容器内空
12 チェーン
13 回転軸
14 軸受け
15 回転軸用モータ
16 投入口
19 スリット
20 容器内壁
24 ステー
26 側面
40 回転部材
41 ベアリング
42 駆動機構
43 突起体(ないし羽根体)
44 吹き付け装置
45 気体吹き出し口
46 配管
50 土砂
100 付着土砂除去装置
101 スクレーパー
102 内壁掻き取り部
104 受けローラ
110 螺旋状部材
111、112 短筒状部材
114 外周部
115 終端
120 延伸部
130 回転機構
150 駆動用モータ
151 回転伝達部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕混合機の内壁面が円筒状の容器内における付着土砂を除去する装置であって、
破砕混合機における軸受けを容器に固定するステー上を回転軸に向け伸びる延伸部で構成されたスクレーパーと、このスクレーパーと前記ステーとを容器の中心軸を軸に相対回転させる回転機構とを備えることを特徴とする付着土砂除去装置。
【請求項2】
破砕混合機の容器内における付着土砂を除去する装置であって、
破砕混合機における軸受けを容器に固定するステーを軸に当該ステー外周を回転自在に覆う回転部材を備えることを特徴とする付着土砂除去装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記回転部材をステーを軸に回転させる駆動機構を備えることを特徴とする付着土砂除去装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記回転部材はその表面に突起体を備えるものであることを特徴とする付着土砂除去装置。
【請求項5】
破砕混合機の容器内における付着土砂を除去する装置であって、
破砕混合機における軸受けを容器に固定するステーの上面に気体を吹き付ける吹き付け装置を備えることを特徴とする付着土砂除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−536(P2012−536A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135341(P2010−135341)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】