説明

代替経路案内システム及び代替経路案内プログラム

【課題】 交通機関の異常時に最適な代替経路を簡単に利用者に案内しこの利用者を目的地に円滑に誘導することができる代替経路案内システム及び代替経路案内プログラムを提供する。
【解決手段】 代替経路案内部12は、利用者が利用可能な代替経路を案内する手段であり、例えば所要時間を優先順位(最優先項目)としたときには、所要時間が短い代替経路の順に案内する。代替経路選択部13は、代替経路案内部12によって案内された代替経路のうち利用者に適した代替経路をこの利用者が選択する手段である。代替経路選択部13は、例えば、所要時間の短い代替経路の順に案内された場合に、利用者が所要時間の最も短い代替経路を選択するときなどに操作される。振替券発行部14は、代替経路選択部13によって選択された代替経路に利用者を振替輸送するための振替券T4を発行する手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交通機関の利用者を代替経路に案内する代替経路案内システム、及び交通機関の利用者を代替経路に案内するための代替経路案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車事故などによって列車の運行が長時間不能になった場合などであって、鉄道会社が必要であると認定したときには、運行が不能になった不通区間の乗客を他の鉄道会社などに依頼して代替経路によって輸送する振替輸送を実施している。このような振替輸送を実施する場合には、不通区間の乗車券や定期券などを所持している乗客に駅係員などが提示を求め、駅係員などが乗車券などを確認する。その後に、不通区間の代替経路に乗客を振替輸送するための振替乗車券を発券して、不通区間と平行又は迂回する自社又は他社の路線に乗車券なしで乗客を輸送している。従来、このような振替輸送を円滑に実施するための自動券売機や振替輸送システムなどが提案されている。
【0003】
従来の自動券売機(従来技術1)は、振替乗車券を発行中であることを乗客に告知するための警告を表示する表示部と、乗客が行き先又は利用路線を選択する選択部と、この選択部によって選択された行き先又は利用路線にこの乗客を振替輸送するための振替乗車券を発行する発行機構部などを備えている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術1では、通常の乗車券発行モードから振替乗車券発行モードに駅係員が切り替えると振替乗車券発行中である旨が表示部によって表示され、押ボタン式の選択部を乗客が操作して行き先や利用路線を選択すると振替乗車券が発行される。
【0004】
また、従来の振替輸送システム(従来技術2)は、事故による影響を受ける列車の列車情報を知らせる運行管理システムと、利用者の現在位置情報を送信する利用者端末と、運行管理システムからの列車情報と利用者端末からの利用者の現在位置情報とからこの利用者の最短経路を決定する鉄道会社サーバーなどを備えている(例えば、特許文献2参照)。この従来技術2では、鉄道会社サーバーから利用者端末に最短経路情報を送信し、利用者がこの最短経路情報に従って目的地に向かっている。また、この従来技術2では、鉄道会社サーバーから利用者端末に振替乗車券情報を送信するとともに、この利用者が降車する駅の自動改札機にもこの振替乗車券情報を送信し、利用者は降車駅の自動改札機で認証を受けて通過している。
【0005】
【特許文献1】特開平7-152930号公報
【0006】
【特許文献2】特開2004-230978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術1では、振替乗車券を受け取った後に乗客は自分で迂回経路を捜して各路線を乗り継ぎ目的地まで行く必要がある。しかし、従来技術1では、駅周辺の路線情報について乗客が詳しくない場合には、駅係員に目的地までの迂回路線や乗換駅などについて尋ねる必要があり、乗客にとって不便であり目的地への到着時間がより一層遅延してしまう問題点があった。また、従来技術1では、事故などによって列車が遅延し混雑している状況で、多数の乗客に代替経路を案内する作業が駅係員にとって過大な負担となり、円滑な業務に支障を生じるという問題点があった。
【0008】
従来技術2では、事故によって影響を受ける列車内の乗客全員に鉄道会社サーバーから利用者端末に最短経路情報のみが送信される。このため、この従来技術2では、利用者端末を所持する列車内の乗客全員が最短経路に誘導されてこの最短経路に集中し、この最短経路を走行する列車の混雑度が通常よりも高くなってしまう問題点があった。また、従来技術2では、利用者が利用者端末を所持することが前提となり、振替乗車券情報を認証可能な自動改札機が設置されている降車駅のみに利用が制限されてしまう問題点があった。
【0009】
この発明の課題は、最適な代替経路を利用者が任意に選択しこの代替経路に従って利用者を目的地に円滑に誘導することができる代替経路案内システム及び代替経路案内プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、交通機関の利用者(M)を代替経路(R1)に案内する代替経路案内システムであって、前記利用者が利用可能な前記代替経路(R1〜R4)を案内する代替経路案内手段(12)と、前記代替経路案内手段によって案内された前記代替経路のうち前記利用者に適した前記代替経路(R1)をこの利用者が選択する代替経路選択手段(13)とを備える代替経路案内システム(1)である。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の代替経路案内システムにおいて、前記代替経路案内手段は、前記代替経路の所要時間、混雑度又は乗換回数の少なくとも一つを前記代替経路とともに代替経路情報として案内することを特徴とする代替経路案内システムである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の代替経路案内システムにおいて、前記代替経路案内手段は、前記所要時間の長短、前記混雑度の高低又は前記乗換回数の多少を優先順位として前記代替経路を案内することを特徴とする代替経路案内システムである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の代替経路案内システムにおいて、前記代替経路選択手段によって選択された前記代替経路に前記利用者を振替輸送するための振替券(T4)を発行する振替券発行手段(14)を備えることを特徴とする代替経路案内システムである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4に記載の代替経路案内システムにおいて、前記振替券発行手段は、前記代替経路を前記振替券に印刷することを特徴とする代替経路案内システムである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の代替経路案内システムにおいて、前記代替経路選択手段によって選択された前記代替経路に前記利用者を案内するための経路案内券(T5)を発行する経路案内券発行手段(15)を備えることを特徴とする代替経路案内システムである。
【0016】
請求項7の発明は、請求項6に記載の代替経路案内システムにおいて、前記経路案内券発行手段は、前記代替経路を媒体に印刷することを特徴とする代替経路案内システムである。
【0017】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の代替経路案内システムにおいて、前記交通機関の運行状況を管理する運行管理手段(23)と、前記交通機関の路線(L0〜L6)及び運賃を記憶する路線運賃記憶手段(24)とを備え、前記代替経路案内手段は、前記運行管理手段が管理する前記交通機関の運行状況と、前記路線運賃記憶手段が記憶する前記路線及び前記運賃とに基づいて、前記代替経路を前記利用者に案内することを特徴とする代替経路案内システムである。
【0018】
請求項9の発明は、交通機関の利用者(M)を代替経路に案内するための代替経路案内プログラムであって、前記利用者が利用可能な前記代替経路(R1〜R4)を案内する代替経路案内手順(S1100)と、前記代替経路案内手順において案内された前記代替経路のうち前記利用者に適した前記代替経路(R1)をこの利用者が選択する代替経路選択手順(S1200)とをコンピュータに実行させる代替経路案内プログラムである。
【0019】
請求項10の発明は、請求項9に記載の代替経路案内プログラムにおいて、前記代替経路案内手順は、前記代替経路の所要時間、混雑度又は乗換回数の少なくとも一つを前記代替経路とともに代替経路情報として案内する手順を含むことを特徴とする代替経路案内プログラムである。
【0020】
請求項11の発明は、請求項10に記載の代替経路案内プログラムにおいて、前記代替経路案内手順は、前記所要時間の長短、前記混雑度の高低又は前記乗換回数の多少を優先順位として前記代替経路を案内する手順を含むことを特徴とする代替経路案内プログラムである。
【0021】
請求項12の発明は、請求項9から請求項11までのいずれか1項に記載の代替経路案内プログラムにおいて、前記代替経路選択手順において選択された前記代替経路に前記利用者を振替輸送するための振替券(T4)を発行する振替券発行手順(S1400)を含むことを特徴とする代替経路案内プログラムである。
【0022】
請求項13の発明は、請求項12に記載の代替経路案内プログラムにおいて、 前記振替券発行手順は、前記代替経路を前記振替券に印刷する手順を含むことを特徴とする代替経路案内プログラムである。
【0023】
請求項14の発明は、請求項9から請求項13までのいずれか1項に記載の代替経路案内プログラムにおいて、前記代替経路選択手順において選択された前記代替経路に前記利用者を案内するための経路案内券(T5)を発行する経路案内券発行手順(S1600)を含むことを特徴とする代替経路案内プログラムである。
【0024】
請求項15の発明は、請求項14に記載の代替経路案内プログラムにおいて、前記経路案内券発行手順は、前記代替経路を媒体に印刷する手順を含むことを特徴とする代替経路案内プログラムである。
【発明の効果】
【0025】
この発明によると、最適な代替経路を利用者が任意に選択しこの代替経路に従って利用者を目的地に円滑に誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの使用状態を一例として示す概念図である。図2は、この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの構成図である。図3は、この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの発券装置を概略的に示す外観図である。図4は、この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの発券装置によって発行される振替乗車券を一例として示す外観図である。図5は、この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの発券装置によって発行される経路案内券を一例として示す外観図である。
【0027】
図1に示す利用者Mは、図2に示す代替経路案内システム1によって代替経路R1〜R4に案内される乗客である。利用者Mは、例えば、路線L0を利用して駅S1から乗車して駅S2で降車する予定である。利用者Mは、駅S1から駅S2までの区間の図2及び図3に示す乗車券T1、定期券T2又はICカード型定期券T3を購入し所持している。図1に示す駅S1は、利用者Mが路線L0を走行する車両に乗車する乗車駅(出発駅)である。駅S2は、利用者Mが路線L0を走行する列車から降車する降車駅(目的駅)であり、この駅S2には路線L1,L3〜L5を走行する車両によっても到達可能である。駅S3〜S8は、利用者Mが列車を乗り換えるときに利用する乗換駅である。路線L0は、途中駅である駅S1,…,駅S2に停車する車両が走行する線路であり、利用者Mが乗車券T1などを購入して利用が予定されている。路線L0は、途中駅である駅S4から駅S2までの区間の障害地点Pで事故が発生しておりこの区間が現在不通区間になっている。路線L1,….L6は、路線L0と平行又は迂回する自社又は他社の線路であり、路線L0が事故などによって不通になったときに利用者Mを振替輸送するための代替路線である。
【0028】
代替経路R1〜R4は、交通機関の異常時にこの交通機関の利用者Mを振替輸送するための経路である。代替経路R1は、駅S1から駅S3まで路線L0を利用してこの駅S3で路線L1に乗換えて駅S2に至る経路である。代替経路R2は、駅S1から駅S4まで路線L0を利用してこの駅S4で路線L2に乗換え、駅S6でさらに路線L5に乗換えて駅S2に至る経路である。代替経路R3は、駅S1から駅S5まで路線L0を利用してこの駅S5で路線L6に乗換え、駅S7でさらに路線L3に乗換えて駅S2に至る経路である。代替経路R4は、駅S1から駅S5まで路線L0を利用してこの駅S5で路線L6に乗換え、駅S8でさらに路線L4に乗換えて駅S2に至る経路である。
【0029】
図2及び図3に示す乗車券T1は、図1に示す路線L0を利用する利用者Mが購入する証票である。乗車券T1には、原則として当日に限り有効である普通乗車券と、一定の有効期限内に使用可能な普通乗車券を複数枚綴り合せた回数乗車券などがある。乗車券T1には、例えば、乗車区間(駅S1〜S2)に相当する運賃(乗車料金)、有効期限(発行当日限り有効)、乗車駅(駅S1)などの乗車券情報が表面に印刷されており、裏面にこれらの乗車券情報が磁気データとして記録されている。定期券(定期乗車券)T2は、一定期間内に一定区間だけ路線L0を利用する利用者Mが購入する証票である。定期券T2には、例えば、乗車券T1と同様の定期券情報が表面に印刷され裏面に記録されている。ICカード型定期券T3は、種々の情報を記録可能な情報記録媒体である。ICカード型定期券T3は、例えば、非接触で情報の送受信と電源の供給とが可能な非接触式ICカードである。ICカード型定期券T3には、定期券T2と同様の定期券情報がメモリ部(ICモジュール部)に記録されている。
【0030】
図1〜図4に示す振替券(振替乗車券)T4は、交通機関の異常時にこの交通機関の利用者Mを代替経路R1に振替輸送するための証票である。振替券T4には、例えば、図4に示すように、利用者Mが降車した駅S2の駅名を駅係員が記入するために「着駅 駅」欄が記載されており、「振替乗車票」、「発行当日限り有効」、「S1駅発行」などが記載されている。振替券T4には、例えば、代替経路R1に従って利用者Mが目的駅である駅S2に到達可能なように、代替経路R1、路線L0,L1、駅(乗換駅)S3、所要時間、乗換回数、混雑度などの代替経路情報(振替券情報)が表面に印刷されており、裏面にこの代替経路情報が磁気データとして記録されている。
【0031】
図1、図3及び図5に示す経路案内券T5は、交通機関の異常時にこの交通機関の利用者Mを代替経路R1に案内するための印刷物である。経路案内券T5には、例えば、図5に示すように、振替券T4と同様の代替経路情報(経路案内券情報)が印刷されている。経路案内券T5には、利用者Mが希望する場合にはこの利用者Mが利用可能な全ての代替経路R1〜R4の代替経路情報が印刷される。
【0032】
図2に示す代替経路案内システム1は、交通機関の利用者Mを代替経路R1〜R4に案内するためのシステムである。代替経路案内システム1は、例えば、事故や工事などによって列車の運行が不能であるときに、この利用者Mに適した代替経路R1〜R4をこの利用者Mに案内するとともに、これらの代替経路R1〜R4のうち利用者Mが選択した最適な代替経路R1にこの利用者Mを振替輸送するための振替券T4などを発行する。代替経路案内システム1は、図2に示すように、発券装置2と、運行管理装置23と、路線運賃記憶装置24と、通信装置25などを備えている。
【0033】
図2及び図3に示す発券装置2は、乗車券類を発行する装置である。発券装置2は、例えば、改札口よりも外側に設置され鉄道を利用する乗客に乗車券T1などを自動で発売する自動券売機である。発券装置2は、図3に示すように、硬貨を投入する硬貨投入口2aと、紙幣を挿入する紙幣挿入口2bと、乗車券T1及び振替券T4を挿入及び排出する乗車券挿入口2cと、定期券T2を挿入及び排出する定期券挿入口2dと、ICカード型定期券T3を挿入及び排出するICカード挿入口2eと、ICカード型定期券T3の利用履歴、領収書及び経路案内券T5などの印刷物を排出する印刷物排出口2fと、つり銭を排出するつり銭排出口2gと、つり紙幣を排出するつり紙幣排出口2hなどを備えている。また、発券装置2は、図2に示すように、情報読取部3〜5と、情報記録部6,7と、降車駅検索部8と、降車駅案内部9と、降車駅選択部10と、代替経路検索部11と、代替経路案内部12と、代替経路選択部13と、振替券発行部14と、経路案内券発行部15と、振替券/経路案内券選択部16と、発券モード切替部17と、プログラム読込部18と、プログラム記憶部19と、インタフェース部20と、制御部21と、通信部22などを備えている。
【0034】
図2に示す情報読取部3は、乗車券T1に記録された乗車券情報を読み取る手段であり、情報読取部4は定期券T2に記録された定期券情報を読み取る手段であり、情報読取部5はICカード型定期券T3に記録された定期券情報を読み取る手段である。情報読取部3は、図3に示す乗車券挿入口2cから挿入された乗車券T1の乗車券情報を読み出して制御部21に出力し、情報読取部4は定期券挿入口2dから挿入された定期券T2の定期券情報を読み出して制御部21に出力し、情報読取部5はICカード挿入口2eから挿入されたICカード型定期券T3の定期券情報を読み出して制御部21に出力する。
【0035】
図2に示す情報記録部6は、定期券T2に種々の情報を記録する手段であり、情報記録部7はICカード型定期券T3に種々の情報を記録する手段である。情報記録部6,7は、発券装置2によって振替券T4の発行を受けた利用者Mが、この発券装置2によって振替券T4の発行を再度受けるのを防止するために、制御部21が出力する振替券発行済み情報を定期券T2やICカード型定期券T3に記録する。情報記録部6は、振替券発行済み情報が記録された定期券T2を図3に示す定期券挿入口2dに排出し、情報記録部7は振替券発行済み情報が記録されたICカード型定期券T3をICカード挿入口2eに排出する。
【0036】
図2に示す降車駅検索部8は、利用者Mの降車駅を検索する手段である。降車駅検索部8は、例えば、利用者Mが乗車券T1を乗車券挿入口2cに挿入したときには、この乗車券T1の乗車料金に相当する運賃の駅を路線運賃記憶装置24から検索して検索結果を降車駅情報として制御部21に出力する。降車駅検索部8は、例えば、利用者Mが定期券T2を定期券挿入口2dに挿入したり、利用者MがICカード型定期券T3をICカード挿入口2eに挿入したりしたときには、これらの定期券T2又はICカード型定期券T3の乗車区間内の駅を路線運賃記憶装置24から検索して検索結果を降車駅情報として制御部21に出力する。
【0037】
降車駅案内部9は、降車駅検索部8によって検索された降車駅を案内する手段である。降車駅案内部9は、例えば、液晶画面やプラズマディスプレイなどに降車駅名を50音順又は路線地図で表示する表示装置や、降車駅を音声によって案内する音声発生装置などである。降車駅案内部9は、振替券T4の発行を受けずに経路案内券T5の発行のみを利用者Mが希望するときには、この利用者Mが降車する降車駅名をこの利用者Mに選択させるために50音順又は路線地図で駅名を表示する。
【0038】
降車駅選択部10は、降車駅案内部9によって案内された降車駅を利用者Mが選択する手段である。降車駅選択部10は、例えば、降車駅案内部9が画面上に表示した降車駅から任意の降車駅を選択するタッチパネル式のスイッチなどである。降車駅選択部10は、利用者Mが選択した降車駅である駅S2を降車駅情報として制御部21に出力する。
【0039】
代替経路検索部11は、利用者Mを振替輸送するための代替経路R1〜R4を検索する手段である。代替経路検索部11は、運行管理装置23が出力する運行状況情報と、路線運賃記憶装置24が記憶する路線運賃情報と、降車駅選択部10が出力する降車駅情報とに基づいて、利用者Mの代替経路R1〜R4を検索する。代替経路検索部11は、例えば、図1に示す障害地点Pで事故が発生し路線L0の駅S4と駅S2との間が不通であると運行管理装置23から運行状況情報が送信されたときには、降車駅選択部10が出力する降車駅情報を参照して路線運賃記憶装置24を検索し、利用者Mを振替輸送可能な代替経路R1〜R4を抽出する。代替経路検索部11は、検索した代替経路R1〜R4を代替経路情報として制御部21に出力する。
【0040】
図6は、この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの代替経路案内部によって案内される代替経路情報を一例として示す外観図である。
図2に示す代替経路案内部12は、利用者Mが利用可能な代替経路R1〜R4を案内する手段である。代替経路案内部12は、運行管理装置23が管理する交通機関の運行状況と、路線運賃記憶装置24が記憶する路線L0〜L6及び運賃とに基づいて、代替経路R1〜R4を利用者Mに案内する。代替経路案内部12は、例えば、代替経路R1〜R4のリストを液晶画面やプラズマディスプレイなどに表示する表示装置や、代替経路R1〜R4のリストを音声によって案内する音声発生装置などである。代替経路案内部12は、例えば、図6に示すように、代替経路R1〜R4の所要時間、混雑度及び乗換回数をこれらの代替経路R1〜R4とともに代替経路情報として案内する。代替経路案内部12は、代替経路R1〜R4の所要時間の長短、現在又は予測後の混雑度の高低、乗換回数の多少などを優先順位として代替経路R1〜R4を案内する。代替経路案内部12は、例えば、図6に示すように、所要時間を優先順位(最優先項目)としたときには、所要時間が短い代替経路R1,…,R4の順に案内する。
【0041】
代替経路選択部13は、代替経路案内部12によって案内された代替経路R1〜R4のうち利用者Mに適した代替経路R1をこの利用者Mが選択する手段である。代替経路選択部13は、図6に示すように、例えば、利用者Mが所要時間の最も短い代替経路R1を選択するときなどに操作される。代替経路選択部13は、例えば、代替経路案内部12が画面上に表示した代替経路R1〜R4から任意の代替経路R1を選択するタッチパネル式のスイッチなどである。代替経路選択部13は、利用者Mが選択した代替経路R1を代替経路選択情報として制御部21に出力する。
【0042】
振替券発行部14は、代替経路選択部13によって選択された代替経路R1に利用者Mを振替輸送するための振替券T4を発行する手段である。振替券発行部14は、情報印刷部14aと情報記録部14bなどを備えている。情報印刷部14aは、未印刷の振替券用紙の表面に代替経路情報(振替券情報)を印刷する手段である。情報印刷部14aは、振替券発行部14は、図4に示すように、「振替乗車票」などの書誌的事項を未印刷の振替券用紙に印刷するとともに、この振替券T4に代替経路R1を印刷して振替券T4を発行する。情報記録部14bは、振替券用紙の裏面に代替経路情報を記録する手段である。振替券発行部14は、代替経路情報が印刷され記録された振替券T4を図3に示す印刷物排出口2fに排出する。
【0043】
経路案内券発行部15は、代替経路選択部13によって選択された代替経路R1に利用者Mを案内するための経路案内券T5を発行する手段である。経路案内券発行部15は、未印刷の感熱紙などの用紙の表面に代替経路情報(経路案内券情報)を印刷する情報印刷部15aを備えている。情報印刷部15aは、図5に示すように、利用者Mが選択した代替経路R1の代替経路情報を未印刷の用紙などの媒体に印刷して経路案内券T5を発行する。経路案内券発行部15は、代替経路情報が印刷された経路案内券T5を図3に示す印刷物排出口2fに排出する。
【0044】
振替券/経路案内券選択部16は、振替券T4及び/又は経路案内券T5の発行を選択する手段である。振替券/経路案内券選択部16は、例えば、利用者Mが振替券T4の発行を希望するときには画面上の「振替券発行」を選択し、利用者Mが経路案内券T5の発行を希望するときには画面上の「経路案内券発行」を選択し、振替券T4及び経路案内券T5の両方の発行を希望するときには画面上の「振替券経路案内券発行」を選択するタッチパネル式のスイッチなどである。振替券/経路案内券選択部16は、利用者Mの選択に応じた発行券選択信号を制御部21に出力する。
【0045】
発券モード切替部17は、発券装置2の動作モードを切り替える手段である。発券モード切替部17は、通常の乗車券T1を発行する乗車券発行モードと、振替券T4を発行する振替券発行モードとに発券装置2を切り替える切替スイッチなどである。発券モード切替部17は、交通機関に事故などの異常が発生したときに駅S1の駅係員によって操作されて、通常の乗車券発行モードから振替券発行モードに切り替えられる。発券モード切替部17は、乗車券発行モードに切り替わったときには乗車券発行モード信号を制御部21に出力し、振替券発行モードに切り替わったときには振替券発行モード信号を制御部21に出力する。
【0046】
プログラム読込部18は、交通機関の利用者Mを代替経路R1に案内するための代替経路案内プログラムを読み込む手段である。プログラム読込部18は、例えば、インターネットなどの電気通信回線を通じて提供される代替経路案内プログラムを制御部21に読み込んだり、CD-ROMなどの情報記録媒体に記録された代替経路案内プログラムを読み込んだりする。プログラム読込部18は、電気通信回線や情報記録媒体などから読み取った代替経路案内プログラムを制御部21に出力する。
【0047】
プログラム記憶部19は、代替経路案内プログラムを記憶する手段である。プログラム記憶部19は、電気通信回線を通じて取り込まれた代替経路案内プログラムや、情報記録媒体から読み取った代替経路案内プログラムなどを記憶するメモリ(RAM)である。
【0048】
インタフェース部20は、外部装置との間で種々の情報を入出力させる手段であり、発券装置2側と外部装置側との間で種々の情報を入出力させるインタフェース(I/O)回路などである。インタフェース部20は、例えば、運行管理装置23及び路線運賃記憶装置24などから種々の情報を発券装置2側に入力させる。
【0049】
制御部21は、代替経路案内システム1の種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部21は、例えば、各駅S1,…,S5の設備を遠隔制御するために各駅S1,…,S5に設置されているCTC制御装置(列車集中制御装置(Centralized Traffic Control))などであり、路線L0を走行する列車を集中して制御する中央制御所の集中制御装置と電気通信回線を通じて接続されている。制御部21は、プログラム記憶部19から代替経路案内プログラムを読み出して代替経路案内システム1に所定の処理を指令し実行させる。制御部21は、例えば、降車駅検索部8に降車駅を検索させたり、降車駅案内部9に降車駅を案内させたり、代替経路検索部11に代替経路R1〜R4を検索させたり、代替経路案内部12に代替経路R1〜R4を案内させたり、振替券発行部14に振替券T4を発行させたり、経路案内券発行部15に経路案内券T5を発行させたりする。
【0050】
通信部22は、種々の情報を伝達するための手段である。通信部22は、図2に示す情報読取部3〜5、情報記録部6,7、降車駅検索部8、降車駅案内部9、降車駅選択部10、代替経路検索部11、代替経路案内部12、代替経路選択部13、振替券発行部14、経路案内券発行部15、振替券/経路案内券選択部16、発券モード切替部17、プログラム読込部18、プログラム記憶部19、インタフェース部20及び制御部21などを相互に通信可能なように接続するバスである。
【0051】
運行管理装置23は、交通機関の運行状況を管理する装置である。運行管理装置23は、列車の運行を円滑に進めるために運転指令及び業務指令を行う。運行管理装置23は、図1に示す路線L0を走行する列車の運転状況を常時把握してダイヤの乱れを正常に戻すために、この路線L0の駅S1やこの路線L0を走行する車両に運転整理判断や伝達業務を指令する。運行管理装置23は、事故などの状況や程度によって不通区間の範囲が変更したときには、変更後の運転状況などを各駅S1,…,S5の発券装置2の制御部21に出力する。運行管理装置23は、例えば、代替経路R1〜R4のうち代替経路R1に多数の利用者Mが集中しているようなときには、他の代替経路R2〜R4に利用者Mを振り分けるために、代替経路R1〜R4を案内するときの優先順位などを変更するように発券装置2の制御部21に指令する。運行管理装置23は、中央制御所などに設置されており、交通機関の運行状況に関する運行管理情報を発券装置2の制御部21に送信する。
【0052】
路線運賃記憶装置24は、交通機関の路線L0及び運賃を記憶する装置である。路線運賃記憶装置24は、例えば、路線L0の駅S1から各駅S2,…,S5までの距離と運賃との関係を路線運賃情報として記憶するデータベースである。路線運賃記憶装置24は、運行管理装置23と同様に中央制御所などに設置されており、運賃の改定や新駅の開設などによって路線運賃情報が修正されたときには修正後の路線運賃情報を記憶する。
【0053】
通信装置25は、種々の情報を伝達するための装置である。通信装置25は、例えば、中央制御所などに設置された運行管理装置23及び路線運賃記憶装置24と各駅S1,…,S5に設置された発券装置2の制御部21とを相互に通信可能に接続する電気通信回線などである。
【0054】
次に、この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの動作を説明する。
図7は、この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図1に示すように、路線L0の障害地点Pで事故などが発生して駅S4と駅S2との間が不通区間となり、代替経路R1〜R4のうち代替経路R1によって利用者Mを振替輸送する場合を例に挙げて説明する。
【0055】
ステップ(以下Sという)100において、代替経路案内プログラムを制御部21が読み込む。プログラム記憶部19から制御部21が代替経路案内プログラムを読み込み一連の代替経路案内処理を開始する。
【0056】
S200において、振替券T4を発行する必要があるか否かを制御部21が判断する。振替券/経路案内券選択部16を利用者Mが操作して「経路案内券発行」が選択されたときには、振替券T4を発行する必要がないと制御部21が判断してS300に進む。一方、振替券/経路案内券選択部16を利用者Mが操作して「振替券発行」又は「振替券/経路案内券発行」が選択されたときには、振替券T4を発行する必要があると制御部21が判断してS400に進む。
【0057】
S300において、降車駅が選択されたか否かを制御部21が判断する。振替券/経路案内券選択部16を利用者Mが操作して「経路案内券発行」が選択された場合に、降車駅案内部9が案内する降車駅の候補から降車駅選択部10によって利用者Mが駅S2を選択すると、この検索結果が制御部21に出力される。降車駅が選択されたと制御部21が判断したときにはS1000に進み、降車駅が選択されなかったと制御部21が判断したときには降車駅が選択されるまで判断を繰り返す。
【0058】
S400において、乗車券T1が挿入されたか否かを制御部21が判断する。図1に示す利用者Mが乗車券T1を既に購入している場合には、この乗車券T1によって駅S1から駅S2まで路線L0を利用することができない。このため、路線L0以外の他の迂回又は平行する路線L1〜L6に利用者Mを振替輸送するための振替券T4を乗車券T1の代わりに発行してもらう必要がある。図3に示す乗車券挿入口2cに利用者Mが乗車券T1を挿入すると、情報読取部3がこの乗車券T1の乗車券情報を読み取り制御部21に出力される。乗車券T1が挿入されていないと制御部21が判断したときにはS500に進み、乗車券T1が挿入されたと制御部21が判断したときにはS700に進む。
【0059】
S500において、定期券T2が挿入されたか否かを制御部21が判断する。図1に示す利用者Mが定期券T2によって駅S1から駅S2まで路線L0を利用することができないときには、路線L1〜L6に利用者Mを振替輸送するための振替券T4を発行してもらう必要がある。図3に示す定期券挿入口2dに利用者Mが定期券T2を挿入すると、情報読取部4がこの定期券T2の定期券情報を読み取り制御部21に出力する。定期券T2が挿入されなかったと制御部21が判断したときにはS600に進み、定期券T2を挿入された制御部21が判断したときにはS700に進む。
【0060】
S600において、ICカード型定期券T3が挿入されたか否かを制御部21が判断する。図1に示す利用者MがICカード型定期券T3によって駅S1から駅S2まで路線L0を利用することができないときには、路線L1〜L6に利用者Mを振替輸送するための振替券T4を発行してもらう必要がある。図3に示すICカード挿入口2eに利用者MがICカード型定期券T3を挿入すると、情報読取部5がこのICカード型定期券T3の定期券情報を読み取り制御部21に出力する。ICカード型定期券T3が挿入されたと制御部21が判断したときにはS700に進み、ICカード型定期券T3が挿入されなかったと制御部21が判断したときには一連の処理を終了する。
【0061】
S700において、降車駅検索部8に降車駅の検索を制御部21が指令する。情報読取部3〜5が出力する乗車券情報及び定期券情報に基づいて、乗車券T1、定期券T2及びICカード型定期券T3の乗車区間の料金によって駅S1から乗車可能な降車駅の候補を路線運賃記憶装置24から降車駅検索部8が検索する。
【0062】
S800において、降車駅案内部9に降車駅の案内を制御部21が指令する。降車駅検索部8が降車駅を検索すると、この検索結果を降車駅案内部9に制御部21が出力し、降車駅案内部9に降車駅の案内を制御部21が指令する。その結果、降車駅案内部9が降車駅の候補を画面に表示したり音声で案内したりする。
【0063】
S900において、降車駅が選択されたか否かを制御部21が判断する。降車駅案内部9が案内する降車駅の候補から降車駅選択部10によって利用者Mが駅S2を選択すると、この検索結果が制御部21に出力される。降車駅が選択されたと制御部21が判断したときにはS1000に進み、降車駅が選択されなかったと制御部21が判断したときには降車駅が選択されるまで判断を繰り返す。
【0064】
S1000において、代替経路検索部11に代替経路R1〜R4の検索を制御部21が指令する。降車駅選択部10によって駅S2が選択されると路線運賃記憶装置24を代替経路検索部11が検索して、図1に示すように路線L0以外の迂回又は平行する路線L1〜L6から代替経路R1〜R4を抽出する。
【0065】
S1100において、代替経路R1〜R4の案内を代替経路案内部12に制御部21が指令する。代替経路検索部11が代替経路R1〜R4を検索すると、この検索結果を代替経路案内部12に制御部21が出力し、代替経路案内部12に代替経路R1〜R4の案内を制御部21が指令する。その結果、図6に示すように、代替経路案内部12が代替経路R1〜R4の候補を優先順位で画面に表示したり音声で案内したりする。
【0066】
S1200において、代替経路R1が選択されたか否かを制御部21が判断する。代替経路案内部12が案内する代替経路R1〜R4の候補から代替経路選択部13によって利用者Mが代替経路R1を選択すると、この検索結果が制御部21に出力される。代替経路R1が選択されたと制御部21が判断したときにはS1300に進み、代替経路R1が選択されなかったと制御部21が判断したときには代替経路R1〜R4のいずれか一つが選択されるまで判断を繰り返す。
【0067】
S1300において、振替券T4を発行する必要があるか否かを制御部21が判断する。図2に示す振替券/経路案内券選択部16によって利用者Mが「振替券発行」又は「振替券/経路案内券発行」を選択したと制御部21が判断したときにはS1400に進む。一方、振替券/経路案内券選択部16によって利用者Mが「経路案内券発行」を選択したと制御部21が判断したときにはS1500に進む。
【0068】
S1400において、振替券発行部14に振替券T4の発行を指令する。代替経路選択部13によって代替経路R1が選択されると、図2に示す振替券発行部14の情報印刷部14aが図4に示すように振替券T4に代替経路R1を印刷するとともに、情報記録部14bがこの振替券T4に代替経路情報を記録する。図3に示す印刷物排出口2fからこの振替券T4が排出されると、乗車券挿入口2cから挿入された乗車券T1が図示しない回収部で回収される。また、振替券T4の再発行を禁止する情報が記録された定期券T2及びICカード型定期券T3がそれぞれ定期券挿入口2d及びICカード挿入口2eから排出される。
【0069】
S1500において、経路案内券T5を発行する必要があるか否かを制御部21が判断する。図2に示す振替券/経路案内券選択部16によって利用者Mが「経路案内券発行」を選択したと制御部21が判断したときにはS1600に進み、振替券/経路案内券選択部16によって利用者Mが「経路案内券発行」を選択しなかったと制御部21が判断したときには一連の処理を終了する。
【0070】
S1600において、経路案内券発行部15に経路案内券T5の発行を指令する。代替経路選択部13によって代替経路R1が選択されると、図2に示す経路案内券発行部15の情報印刷部15aが図5に示すように経路案内券T5に代替経路R1を印刷し、図3に示す印刷物排出口2fからこの経路案内券T5が排出される。利用者Mが全ての代替経路R1〜R4の出力を希望する場合には、これらの代替経路R1〜R4が経路案内券T5に印刷されて、印刷物排出口2fからこの経路案内券T5が排出される。
【0071】
この発明の第1実施形態に係る代替経路案内システムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、利用者Mが利用可能な代替経路R1〜R4を代替経路案内部12によって案内し、これらの代替経路R1〜R4のうち利用者Mに適した代替経路R1を代替経路選択部13によってこの利用者Mが選択する。このため、利用者Mが自己に適した代替経路R1〜R4を任意に選択することができる。また、代替経路案内部12が代替経路R1〜R4を案内するため、駅周辺の路線情報について利用者Mが詳しくない場合であっても、目的駅である駅S2に利用者Mが容易に到達することができる。さらに、代替経路案内部12が駅係員の代わりに代替経路R1〜R4や乗り換える駅S3〜S8などを案内してくれるため、駅係員の業務負担を軽減することができる。
【0072】
(2) この実施形態では、代替経路案内部12が代替経路R1〜R4の所要時間、混雑度又は乗換回数の少なくとも一つを代替経路R1〜R4とともに代替経路情報として案内する。このため、利用者Mが自己の都合に応じて最適な代替経路R1を自由に選択することができる。
【0073】
(3) この実施形態では、代替経路R1〜R4の所要時間の長短、混雑度の高低又は乗換回数の多少を優先順位として代替経路案内部12が代替経路R1〜R4を案内する。このため、例えば、代替経路R1に利用者Mが集中し振替輸送を円滑に実施できないような場合には、他の代替経路R2〜R4に利用者Mを分散させることができる。また、所要時間、混雑度又は乗換回数などのいずれかを判断基準として代替経路R1〜R4を利用者Mが容易に選択することができる。
【0074】
(4) この実施形態では、振替券発行部14が代替経路R1〜R4を振替券T4に印刷する。このため、路線L0〜L6について詳しくない利用者Mを目的駅である駅S2まで振替券T4を参照しながら簡単に誘導し案内することができる。
【0075】
(5) この実施形態では、代替経路R1に利用者Mを案内するための経路案内券T5を経路案内券発行部15が発行する。このため、乗車券T1、定期券T2及びICカード型定期券T3を所持していない利用者Mに、振替券T4の代わりに経路案内券T5を発行して、この経路案内券T5を参照して目的駅である駅S2まで誘導し案内することができる。
【0076】
(6) この実施形態では、経路案内券発行部15が代替経路R1を経路案内券T5に印刷する。このため、代替経路R1を記録として保持しておくことができる。また、事故などが後日発生したときにこの経路案内券T5を利用して目的駅である駅S2に迅速に到達することができる。
【0077】
(7) この実施形態では、運行管理装置23が管理する交通機関の運行状況と路線運賃記憶装置24が記憶する路線L1〜L6及び運賃とに基づいて、代替経路案内部12が代替経路R1〜R4を利用者Mに案内する。このため、事故の状況や復帰状況などに応じて不通区間の範囲が変化したようなときに、適切な代替経路R1〜R4をリアルタイムで利用者Mに案内することができる。
【0078】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、交通機関として鉄道を例に挙げて説明したが、航空機、バス、船舶などの他の交通機関についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、発券装置2が自動券売機である場合を例に挙げて説明したが、改札口よりも内側に設置され運賃の乗り越し及び/又は乗り継ぎを自動で精算する自動精算機などの発券装置についてもこの発明を適用することができる。この場合には、例えば、利用者Mが改札口から入場した後に交通機関に異常が発生したときに、改札口の内側に設置されている自動精算機を利用して振替券T4や経路案内券T5を発行することができる。
【0079】
(2) この実施形態では、代替経路R1〜R4の所要時間、混雑度及び乗換回数を代替経路案内部12が案内する場合を例に挙げて説明したが、これらの少なくとも一つを案内することもできる。また、この実施形態では、代替経路R1〜R4の所要時間が短いものを優先順位として代替経路R1〜R4を列挙する場合を例に挙げて説明したが、混雑度の大小や乗換回数の多少を優先順位として代替経路R1〜R4を列挙することもできる。さらに、この実施形態では、最短経路である代替経路R1を利用者Mが選択した場合を例に挙げて説明したが、他の代替経路R2〜R4を任意に選択することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの使用状態を一例として示す概念図である。
【図2】この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの構成図である。
【図3】この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの発券装置を概略的に示す外観図である。
【図4】この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの発券装置によって発行される振替乗車券を一例として示す外観図である。
【図5】この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの発券装置によって発行される経路案内券を一例として示す外観図である。
【図6】この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの代替経路案内部によって案内される代替経路情報を一例として示す外観図である。
【図7】この発明の実施形態に係る代替経路案内システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1 代替経路案内システム
2 発券装置
3〜5 情報読取部
6,7 情報記録部
8 降車駅検索部
9 降車駅案内部
10 降車駅選択部
11 代替経路検索部
12 代替経路案内部
13 代替経路選択部
14 振替券発行部
15 経路案内券発行部
16 振替券/経路案内券選択部
17 発行モード切替部
18 プログラム読込部
19 プログラム記憶部
20 インタフェース部
21 制御部
22 通信部
23 運行管理装置
24 路線運賃記憶装置
25 通信装置
M 利用者
1〜R4 代替経路
0〜L6 路線
1〜S8
P 障害地点
1 乗車券
2 定期券
3 ICカード型定期券
4 振替券
5 経路案内券


【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通機関の利用者を代替経路に案内する代替経路案内システムであって、
前記利用者が利用可能な前記代替経路を案内する代替経路案内手段と、
前記代替経路案内手段によって案内された前記代替経路のうち前記利用者に適した前記代替経路をこの利用者が選択する代替経路選択手段と、
を備える代替経路案内システム。
【請求項2】
請求項1に記載の代替経路案内システムにおいて、
前記代替経路案内手段は、前記代替経路の所要時間、混雑度又は乗換回数の少なくとも一つを前記代替経路とともに代替経路情報として案内すること、
を特徴とする代替経路案内システム。
【請求項3】
請求項2に記載の代替経路案内システムにおいて、
前記代替経路案内手段は、前記所要時間の長短、前記混雑度の高低又は前記乗換回数の多少を優先順位として前記代替経路を案内すること、
を特徴とする代替経路案内システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の代替経路案内システムにおいて、
前記代替経路選択手段によって選択された前記代替経路に前記利用者を振替輸送するための振替券を発行する振替券発行手段を備えること、
を特徴とする代替経路案内システム。
【請求項5】
請求項4に記載の代替経路案内システムにおいて、
前記振替券発行手段は、前記代替経路を前記振替券に印刷すること、
を特徴とする代替経路案内システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の代替経路案内システムにおいて、
前記代替経路選択手段によって選択された前記代替経路に前記利用者を案内するための経路案内券を発行する経路案内券発行手段を備えること、
を特徴とする代替経路案内システム。
【請求項7】
請求項6に記載の代替経路案内システムにおいて、
前記経路案内券発行手段は、前記代替経路を媒体に印刷すること、
を特徴とする代替経路案内システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の代替経路案内システムにおいて、
前記交通機関の運行状況を管理する運行管理手段と、
前記交通機関の路線及び運賃を記憶する路線運賃記憶手段とを備え、
前記代替経路案内手段は、前記運行管理手段が管理する前記交通機関の運行状況と、前記路線運賃記憶手段が記憶する前記路線及び前記運賃とに基づいて、前記代替経路を前記利用者に案内すること、
を特徴とする代替経路案内システム。
【請求項9】
交通機関の利用者を代替経路に案内するための代替経路案内プログラムであって、
前記利用者が利用可能な前記代替経路を案内する代替経路案内手順と、
前記代替経路案内手順において案内された前記代替経路のうち前記利用者に適した前記代替経路をこの利用者が選択する代替経路選択手順と、
をコンピュータに実行させる代替経路案内プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の代替経路案内プログラムにおいて、
前記代替経路案内手順は、前記代替経路の所要時間、混雑度又は乗換回数の少なくとも一つを前記代替経路とともに代替経路情報として案内する手順を含むこと、
を特徴とする代替経路案内プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の代替経路案内プログラムにおいて、
前記代替経路案内手順は、前記所要時間の長短、前記混雑度の高低又は前記乗換回数の多少を優先順位として前記代替経路を案内する手順を含むこと、
を特徴とする代替経路案内プログラム。
【請求項12】
請求項9から請求項11までのいずれか1項に記載の代替経路案内プログラムにおいて、
前記代替経路選択手順において選択された前記代替経路に前記利用者を振替輸送するための振替券を発行する振替券発行手順を含むこと、
を特徴とする代替経路案内プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の代替経路案内プログラムにおいて、
前記振替券発行手順は、前記代替経路を前記振替券に印刷する手順を含むこと、
を特徴とする代替経路案内プログラム。
【請求項14】
請求項9から請求項13までのいずれか1項に記載の代替経路案内プログラムにおいて、
前記代替経路選択手順において選択された前記代替経路に前記利用者を案内するための経路案内券を発行する経路案内券発行手順を含むこと、
を特徴とする代替経路案内プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の代替経路案内プログラムにおいて、
前記経路案内券発行手順は、前記代替経路を媒体に印刷する手順を含むこと、
を特徴とする代替経路案内プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−268368(P2006−268368A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84785(P2005−84785)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】