説明

代謝機能障害の治療のためのリコピン

本発明は、リコピン化合物を使用する、代謝機能障害及び代謝機能障害に伴う疾患の治療に関する。治療の方法、及びこのような方法におけるリコピン化合物の使用が提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細奈説明】
【0001】
本発明は、インスリン抵抗性、耐糖能、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、肥満症、脂肪肝、慢性肝炎及び肝硬変を含む代謝機能障害の治療のための方法及び物質に関する。
インスリン抵抗性、不良な耐糖能、高血圧、肥満及び代謝症候群のような代謝異常は、先進国世界では次第に普通になり、そして米国単独で5千万人を超える人口がこのような機能障害を有することが推定されている。代謝機能障害は、糖尿病、心血管病、末梢部閉塞性疾病、脳及び他の形態のアテローム性動脈硬化症のその後の発症に対する有意な危険因子である。
【0002】
これらの症状のための有効な治療法の更なる発展は、世界の人口の健康に対して有意な影響を有するものである。
本発明人は、リコピンが、in vitro、動物モデル及びヒトの臨床治験における代謝機能障害に対して、劇的な効果を有することを見出した。
【0003】
本発明の一つの側面は;
リコピン化合物を、治療的に有効な量で、それを必要とする個体に投与すること;
を含んでなる代謝機能障害の治療の方法を提供する。
【0004】
リコピン化合物は、リコピン及びリコピンと同様な生物学的特性を保有するリコピンの誘導体を含むことができる。リコピンは、以下の構造I(ケミカルアブストラクト登録番号502−65−8):
【0005】
【化1】

【0006】
の開鎖の不飽和C40カロテノイドであり、これは、トマト、グアバ、ローズヒップ、スイカ及びピンクグレープフルーツのような植物中に天然に存在する。
本明細書中に記載されるような使用のためのリコピンは、一つ又はそれより多い異なった異性体を含んでなることができる。例えば、リコピンは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の(Z)−異性体、(全て−E)−異性体、或いはtransに対して改良されたバイオアベイラビリティーを有する5−cis−又は9−cis−或いは13−cis−異性体のようなcis−異性体を含んでなることができる。Trans異性体は、in vivoで、或いは保存又は加工中にcisの形態に異性化することができる。
【0007】
リコピンと同様な生物学的特性を保有するリコピン誘導体は、例えば、レチノイン酸のようなカロテノイド、合成アシクロ−レチノイン酸;又は1−HO−3’,4’−ジデヒドロリコピン、3,1’−(HO)−ガンマ−カロテン、1,1’−(HO)−3,4,3’,4’−テトラデヒドロリコピン、及び1,1’−(HO)−3,4−ジデヒドロリコピンを含むことができる。
【0008】
本明細書中に記載されるような使用のためのリコピン化合物は、天然の、即ち、天然の供給源から得た、例えばトマト又はメロンのような植物から抽出されたものであることができる。植物からリコピン化合物を抽出、濃縮及び/又は精製するための一連の方法は、当技術において既知である。例えば、エタノール、DMSO、酢酸エチル、ヘキサン、アセトン、ダイズ又は他の植物油、或いは非植物油を使用する溶媒抽出法を、使用することができる。
【0009】
本明細書中に記載されるような使用のためのリコピン化合物は、合成、即ち、人工的手段、例えば化学合成によって製造されたものであることができる。リコピン及び他のカロテノイドの化学合成のための一連の方法は、当技術において既知である。例えば、カロテノイド合成のための、標準的なWittigオレフィン化反応スキームに基づく三段階化学合成法を使用することができ、ここにおいて、ジクロロメタン(DCM)中のメタンスルホン酸C15ホスホニウムの有機溶液及びトルエン中のC10ジアルデヒドの有機溶液を製造し、そして二つの有機溶液を、ナトリウムメトキシド溶液と徐々に混合し、そして縮合反応を起こさせて、粗製のリコピンを形成する。次いで粗製のリコピンを、ルーチンの技術を使用して、例えば氷酢酸及び脱イオン水を混合物に加え、激しく撹拌し、水及び有機相を分離させ、そしてDCM及び粗製リコピンを含有する有機相を水で抽出することによって精製することができる。メタノールを有機相に加え、そしてDCMを減圧下の蒸留によって除去する。次いで粗製のメタノール性リコピン溶液を加熱し、そして結晶質のスラリーまで冷却し、これを濾過し、そしてメタノールで洗浄する。次いでリコピンの結晶を再結晶し、そして加熱窒素下で乾燥する。合成リコピンも、更に商業的な供給業者(例えばBASF Corp,NJ USA)から入手可能である。
【0010】
合成リコピンは、天然のリコピンに対して、増加した比率のcis異性体を含んでなることができる。例えば、合成リコピンは、25%までの5−cis、1%の9−cis、1%の13−cis、及び3%の他のcis異性体であることができ、一方トマトから製造されたリコピンは、3−5%の5−cis、0−1%の9−cis、1%の13−cis、及び<1%の他のcis異性体であることができる。cis−リコピンが、trans−リコピンに対して増加したバイオアベイラビリティーを有するために、従って合成リコピンが、ある目的のために好ましいものであることができる。
【0011】
先に記載したようなリコピンの誘導体は、先に記載した合成法と類似の化学合成法によって、又は植物物質から抽出された天然のリコピンの化学修飾によって製造することができる。
【0012】
リコピン化合物は、いずれかの好都合な形態又は処方で投与することができる。適した処方は、リコピン化合物の吸収性及びその身体内のバイオアベイラビリティーを亢進又は増加することができる。例えば、リコピン化合物は、リコピン化合物を、一つ又はそれより多い医薬的に受容可能な担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、安定剤、乳化剤、保存剤、潤滑剤、又は当業者にとって公知の他の物質、並びに所望により、他の治療又は予防剤と一緒に含んでなる医薬組成物として投与することができる。例えば、ある態様において、リコピン化合物は、リコピン化合物を、イソフラボン、例えばダイズイソフラボン及び/又はビタミンCと一緒に含んでなる医薬組成物として投与することができる。
【0013】
適した医薬組成物は、リコピン化合物を単独の活性成分として含んでなることができ、そしてリコピン化合物を、一つ又はそれより多い本明細書中に記載したような医薬的に受容可能な担体、賦形剤、緩衝剤、アジュバント、安定剤、又は他の物質と一緒に混合することによって、処方することができる。
【0014】
用語“医薬的に受容可能な”は、本明細書中で使用される場合、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題又は合併症を伴わずに患者(例えばヒト)の組織と接触して使用するために適している、妥当な利益/危険度比で均衡している化合物、物質、組成物、及び/又は剤形に関する。それぞれの担体、賦形剤、等も、更に処方の他の成分と適合性であると言う意味において“受容可能”でなければならない。
【0015】
適した担体、賦形剤、等は、標準的な製薬の教科書、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1990中に見出すことができ、そして油、例えばトマト油、ダイズ油、又はラッカセイ油のような植物油、或いは非植物油、グリセロール、ゼラチン、スクロース、グルコース、パルミチン酸アスコルビル、コーンスターチ及び二酸化ケイ素を含むことができる。適した乳化剤は、ポリソルベート80を含む。
【0016】
適した安定剤は、スクロースエステル、レシチン、dl−a−トコフェロール及びパルミチン酸アスコルビルのような抗酸化剤、フラバノイド、セルロース、ワックス、マンニトール、シェラック、タルク、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、及びアラビア又はアカシアゴムを含むことができる。
【0017】
例えば、リコピンは、植物油、魚ゼラチン、スクロース及びコーンスターチのような担体物質に加えて、約10%のリコピン、それぞれ1.5%及び5.0%の抗酸化剤dl−a−トコフェロール及びパルミチン酸アスコルビルを含有する、ビーズ、錠剤又は他の固体物体中に処方することができる。
【0018】
リコピンの適した製剤は、商業的に入手可能であり、そしてLycoVitTM10パーセント、LycoVitTM 10冷水分散物(CWD)、及びLycoVitTM分散物20パーセント(全てBASF Corp,NJ,USA)、Lyc−O−MatoTM(LM)、LycoBeadsTM、及びTomato−O−RedTM(Dalidar Pharma,LycoRed Ltd UK)を含む。
【0019】
ある態様において、リコピン化合物は、可溶化剤と共に処方することができる。可溶化剤は、水溶液中に可溶性であり、そして更に有機溶媒中に不溶性であることもできる親水性化合物を含む。適した親水性可溶化剤は、可溶性タンパク質、特にカゼイン、ベータ−ラクトグロブリン、アルファ−ラクトアルブミンのような乳タンパク質、及び血清アルブミンを含む。好都合には、乳清タンパク質を可溶化剤として使用することができる。乳清タンパク質は、牛乳からのチーズ製造の副産物である乳清から単離された球状タンパク質の収集物である。乳清タンパク質は、ベータ−ラクトグロブリン(約65%)、アルファ−ラクトアルブミン(約25%)、及び血清アルブミン(約8%)の混合物であり、これらは、pHに関わらずその天然の形態で可溶性である。乳清タンパク質を伴うリコピン製剤(‘ラクトリコピン’と呼ばれる)は、当技術において既知であり(例えば、Richelle et al J.Nutr.132:404−408,2002及びEP−B−1289383(PCT/EP01/06145)を参照されたい)、そして商業的に入手可能である(INNEOV,L’Oreal(UK)Ltd,London)。乳清タンパク質を伴うリコピン製剤の調製のための方法は、混合物を形成するために十分な条件下で、乳清タンパク質をリコピンと混合することを含んでなることができる。例えば、乳清タンパク質を水中に溶解することができ、そしてリコピンをアセトン、エタノール又はイソプロパノールのような溶媒中に溶解し、二つの溶液を混合し、そして溶媒を蒸発して、ラクト−リコピン組成物を形成することができる。
【0020】
別の方法として、組成物は、リコピンを溶媒と混合して、第1の混合物を形成し、第1の混合物を、粉末又は水溶液の形態の乳清タンパク質と混合して、第2の混合物を形成し、そして第2の混合物から溶媒を蒸発して、組成物を分散物として製造することによって形成することができる。適した溶媒は、アセトン、エタノール及びイソプロパノールを含む。好都合には、水相が溶媒と混合される場合、容量で約60:40の溶媒:水比を使用することができる。組成物は、50%までのリコピン化合物及び90%までの乳清タンパク質を含んでなることができる。
【0021】
分散物は、ゲルを製造するために所望により加熱処理されるか、或いは粉末を製造するために噴霧又は凍結乾燥によって乾燥することができる。
次いで組成物を、先に記載したような担体、賦形剤、安定剤及び乳化剤と調合することができる。例えば、適したラクトリコピン製剤は、2%(重量/重量)のリコピン、20%(重量/重量)の乳清タンパク質、50.5%(重量/重量)の微結晶セルロース、5%(重量/重量)の二酸化ケイ素、3%(重量/重量)のポリソルベート80及び1.5%(重量/重量)のダイズレシチンを含んでなることができる。
【0022】
本明細書中に記載されるような使用のためのラクトリコピン製剤は、先に記載したように得ることができるか、又は得ることが可能である。
本明細書中に記載されるようなリコピンで治療することができる代謝機能障害は、肥満症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高血圧、脂肪肝、慢性肝炎、肝線維症及び肝硬変のような肝臓疾患、並びに代謝症候群を含む。
【0023】
ある態様において、本発明の方法によって治療される個体は、糖尿病ではなく(即ち、1型又は2型糖尿病に罹っていない)、及び/又はCHD、脳卒中又は末梢血管性疾病のようなアテローム性動脈硬化の症状に罹っていない。
【0024】
肥満症は、過剰な体脂肪によって特徴づけられる症状である。例えば、肥満の個体は、30より大きい肥満度指数(BMI:体重/身長)を有することができる。肥満症は、糖尿病、並びにアテローム性動脈硬化症、虚血性(冠動脈)心疾患、心筋虚血(狭心症)及び脳卒中のような心血管性疾患を含むある範囲の医学的症状に対する危険因子である。肥満症は、腹部肥満を含むことができ、これは、普通、欧州の男性において94cmより大きい、そして欧州の女性において80cmより大きい、南アジアの男性において90cmより大きい、そして南アジアの女性において80cmより大きい、そして日本人の男性において85cmより大きい、そして日本人の女性において90cmより大きい腰周りとして定義される。本明細書中に記載される方法は、体重制御及び肥満症の治療において有用であることができる。
【0025】
インスリン抵抗性は、与えられたインスリンの量に対して生理学的反応を示す細胞、組織又は全身の無能である。結果として、対照と比較して、インスリンの生理学的効果を達成するために、より高いインスリンの量が必要である。インスリン抵抗性は、非糖尿病の人口の25%に存在し、インスリン抵抗性の状態から2型糖尿病への推定転換率は、年間2−12%である。
【0026】
耐糖能の低下は、経口糖負荷試験の120分後に、7.8mmolより多い糖濃度が血漿中に持続する場合に起こる。耐糖能の低下は、インスリン抵抗性及び高血糖を伴う。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣の嚢胞が正常な卵巣のホルモン産生のサイクルを妨害する、女性の5−10%に影響する内分泌疾病である。PCOSは、しばしばインスリン抵抗性、代償性高インスリン血症、代謝症候群、肥満症及び高アンドロゲン血症を伴う。
【0027】
高血圧は、140と90mmHgを超える(>140の収縮期圧;>90の拡張期圧)一貫して高い血圧によって特徴づけられる。
肝臓疾患は、脂肪肝、慢性肝炎、肝線維症及び肝硬変を含む。脂肪肝は、肝臓中の異常な脂質の蓄積によって特徴付けられ、これは、脂肪酸の酸化の低下及び/又はリポタンパク質の合成及び放出の減少によって起きることができる。脂肪肝は、その後、肝線維症及び肝硬変に転換することができる。肝線維症は、肝臓中の線維組織の成長によって特徴づけられる。線維症は、肝硬変に導くことができ、ここにおいて、肝臓は低下した機能を有し、そして永久に損傷し、線維性に、そして脂肪質になる。
【0028】
慢性肝炎は、肝臓の炎症であり、これは、細菌又はウイルスによる感染、寄生虫の感染、アルコール、薬物、毒素、又は不適合性の血液の輸血によって起こることができる。
代謝症候群は、肥満及び;インスリン抵抗性、高血圧、高血液トリグリセリドレベル及び/又は血液中の低HDLコレステロールレベル、の一つ又はそれより多くによって特徴づけられる症状である。例えば、IDF(国際糖尿病連合)は、代謝症候群を:腹部肥満並びに次のもの:トリグリセリドレベルの増加(約1.7mmol/Lより上);HDLコレステロールの減少(男性において0.9mmol/Lか又はそれより低い、そして女性において1.1mmol/Lか又はそれより低い);血圧の上昇(130/85より上);及び空腹時血糖値の上昇(5.6mmol/Lより上);のいずれか二つとして定義している。
【0029】
代謝症候群のような代謝機能障害は、更に高コレステロール血症、低HDLコレステロール(例えば、男性<0.9mmoll−1;女性<1.0mmoll−1)、高トリグリセリド血症(例えば、血漿TAG≧1.7mmoll−1)及び微量アルブミン尿症(例えば、尿アルブミン排出速度≧20μg分−1;アルブミン:クレアチニン比≧30mg分−1)を含むある範囲の症状を伴う。
【0030】
本明細書中に記載される方法は、代謝機能障害に伴う症状の治療において有用であることができる。例えば、代謝機能障害に伴う症状を治療する方法は;
リコピン化合物を、それを必要とする個体に投与すること;
を含んでなることができる。
【0031】
代謝機能障害に伴う症状は、高コレステロール血症、低HDLコレステロール、高トリグリセリド血症及び微量アルブミン尿症を含むことができる。
本発明の方法は、更に予防的適用も有する。例えば、代謝機能障害の発症を予防又は遅延する方法は、リコピン化合物をそれを必要とする個体に投与することを含んでなることができる。
【0032】
本明細書中に記載されるような代謝機能障害の発症を予防又は遅延する方法を受けるために適した個体は、代謝機能障害の危険にあるか又はそれに感受性であることができ、例えば、個体は、代謝機能障害の発症に伴う一つ又はそれより多い危険因子を有することができる。
【0033】
本明細書中に記載される方法は、リコピン化合物を、スタチン(即ち、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG Co A)レダクターゼ阻害剤)との組合せで投与することを含んでなることができる。
【0034】
適したスタチン類は、プラバスタチン(PRAVACHOLTM)、ロバスタチン(MEVACORTM)、シンバスタチン(ZOCORTM)、セリバスタチン(LIPOBAYTM)、フルバスタチン(LESCOLTM)、アトルバスタチン(LIPITORTM)、メバスタチン及びロスバスタチン(CrestorTM)を含む。他の適したスタチン類、は当技術において既知であり、そして当技術において公知であるHMG−CoAレダクターゼアッセイを使用することによって容易に確認することができる。このようなアッセイの例は、米国特許第4,231,938号中に開示されている。
【0035】
本発明のもう一つの側面は、代謝機能障害又は先に記載したような代謝機能障害に伴う症状の治療、或いは代謝機能障害又は代謝機能障害に伴う症状の発症を予防又は遅延することにおいて使用するための、医薬の製造におけるリコピン化合物の使用を提供する。
【0036】
本発明のもう一つの側面は、代謝機能障害又は代謝機能障害に伴う症状の治療において使用するためのリコピン化合物、並びに代謝機能障害、或いは代謝機能障害に伴う症状の発症を予防又は遅延することにおいて使用するためのリコピン化合物を提供する。
【0037】
リコピン化合物を含んでなる組成物又は医薬は、更にスタチン(即ち、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG Co A)レダクターゼ阻害剤を含んでなることができる。
【0038】
適したスタチン類の例は、先に記載されている。本発明の方法において有用な他のスタチン類は、当業者にとって明白であるものである。
本発明のもう一つの側面は、代謝機能障害を治療するための組合せにおいて使用するための、リコピン化合物及びスタチンを含んでなるキットである。
【0039】
キットは、リコピン化合物を単独で、又は他の化合物との組成物中で、シリンジで(このような部品は一般的に滅菌されている)投与するための手段のような方法或いは本発明の実行のための、一つ又はそれより多い他の物品及び/又は試薬を含むことができる。
【0040】
キットは、更に本発明の方法の全て又は一部、例えばリコピン化合物及び/又はスタチンの投与管理を行うための説明書を含むことができる。
本発明のなおもう一つの側面は、先に記載したような代謝機能障害又は代謝機能障害に伴う症状の治療、或いは代謝機能障害又は代謝機能障害に伴う症状の発症を予防又は遅延するための医薬の製造における、リコピン化合物及びスタチンの組合せの使用である。
【0041】
本発明の方法において使用するためのリコピン化合物の製剤は、好都合には単位剤形で存在することができ、そして薬学の技術において公知のいずれかの方法によって調製することができる。このような方法は、活性化合物を一つ又はそれより多い補助的成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般的に、製剤は、活性化合物を液体担体又は微細に分割された固体担体と、或いは両方と均一に、そして密接に会合させ、そして次いで必要な場合生産物を成形することによって調製する。
【0042】
製剤は、液体、溶液、懸濁液、分散物、乳液、エリキシル、シロップ、錠剤、ロゼンジ、顆粒、粉末、カプセル、カシェ、ビーズ、丸薬、アンプル、座薬、ペッサリー、軟膏、ゲル、ペースト、クリーム、噴霧物、霧状物、泡状物、ローション、油状物、巨丸剤、舐剤、又はエアゾールの形態であることができる。
【0043】
経口投与(例えば摂取による)のために適した製剤は、それぞれが、所定の量の活性化合物を;粉末又は顆粒として;水性若しくは非水性液体中の溶液又は懸濁液として;或いは水中油の液体乳剤又は油中水液体乳剤として;巨丸剤として;舐剤として;或いはペーストとして含有するカプセル、カシェ又は錠剤のような分割された単位として与えることができる。液体医薬組成物は、一般的に水、石油、動物又は植物油、鉱油又は合成油のような液体担体を含む。生理食塩溶液、デキストロース又は他の糖類溶液或いはエチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールのようなグリコールを含むことができる。
【0044】
錠剤は、慣用的な手段、例えば、所望により一つ又はそれより多い補助成分と共に、圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒のような易流動形態の活性化合物を、所望により一つ又はそれより多い結合剤(例えばポビドン、ゼラチン、アラビアゴム、ソルビトール、トラガカントゴム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤又は希釈剤(例えばラクトース、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例えばグリコール酸デンプンナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);表面活性剤又は分散剤或いは湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム);及び保存剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)と混合して、適した機械中で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、適した機械中で、不活性な液体希釈剤で加湿した粉末の化合物の混合物を成形することによって製造することができる。錠剤は、所望により被覆され又は分割線を入れられ、そしてその中の活性化合物の徐放又は制御放出を得るために、例えば、所望の放出特性を得るために、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを異なった比率で使用して調合することができる。錠剤は、胃以外の腸の部分で放出するために、所望により腸溶被覆を与えることができる。
【0045】
静脈内、皮膚又は皮下注射、或いは苦痛の部位における注射のために、活性成分は、発熱物質を含まない、そして適したpH、等張性及び安定性を有する非経口的に受容可能な水溶液の形態であるものである。当業者は、例えば、塩化ナトリウム液、リンゲル液、乳酸加リンゲル液のような等張ベヒクルを使用して適した溶液を調製することが十分に可能である。保存剤、安定剤、緩衝液、抗酸化剤、及び/又は他の添加剤を、必要に応じて含むことができる。
【0046】
上述の技術及びプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Osol,A.(ed),1980中に見出すことができる。
【0047】
投与は、好ましくは“治療的に有効な量”であり、これは、個体に対して利益を示すために十分である。活性化合物、及び活性化合物を含んでなる組成物の適当な投与量が、患者によって変化することができることは認識されるものである。最適投与量の決定は、一般的に本発明の治療のいずれかの危険度又は有害な副作用に対する、治療的利益のレベルを均衡させることに関係するものである。選択された投与量レベルは、制約されるものではないが、特定の化合物の活性、投与の経路、投与の時間、化合物の排出の速度、治療の期間、組合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は物質、並びに患者の年齢、性別、体重、症状、一般的健康状態、及び既往履歴を含む各種の因子に依存するものである。化合物の量及び投与の経路は、最終的に医師の判断によるが、一般的に投与量は、実質的に危険な又は有害な副作用を起こさずに所望の効果を達成する、作用の部位における局所濃度を達成するためのものである。
【0048】
In vivoの投与は、治療の過程を通して一回の投与、連続的又は間欠的に(例えば適当な間隔の分割投与で)行うことができる。投与の最も有効な手段及び投与量を決定する方法は、当業者にとって公知であり、そして治療のために使用される製剤、治療の目的、治療される標的細胞、及び治療される対象によって変化するものである。担当医師によって選択される投与量レベル及び様式で、一回又は複数回の投与を行うことができる。
【0049】
一般的に、リコピンの適した投与量は、一日当り対象の体重のキログラム当り約100μgないし約250mgの範囲である。活性化合物が塩、エステル、プロドラッグ、等である場合、投与される量は、母体化合物に基づいて計算され、そして従って使用される実際の重量は、比例的に増加される。
【0050】
リコピンのようなリコピン化合物を含んでなる組成物は、単独で、或いは他の治療剤との組合せで、治療される症状によって同時又は連続的に投与することができる。
リコピン化合物は、食品生産物中に含まれることができる。例えば、これは、パン、シリアル、ビスケット、バター、食品塗布物(例えばマーガリン)、チーズ、ヨーグルト又は飲料中に含まれることができる。他の適した食品生産物は、当業者にとって明白であるものである。
【0051】
リコピン化合物は、加熱調理(例えばパン焼き)の前に食品生産物の成分と混合し、及び/又は加熱調理後に食品生産物に加えることができる。本明細書中のデータは、リコピン化合物を、食品の品質の損失なく食品性産物中に組込むことができ、そして食品性産物中で加熱料理された後も活性なままであることを示す。
【0052】
好ましくは、異種構造のリコピン化合物が、食品生産物中に含まれる。例えば、先に記載したような合成リコピン化合物、又は天然には食品生産物中に存在しない天然のリコピン化合物。例えば果物又は野菜からのリコピン化合物を、パン又はシリアル中に組込むことができる。
【0053】
従って、本発明のなお更なる側面は、代謝機能障害を治療するためのリコピン化合物を含んでなる食品生産物であり、ここにおいて、リコピン化合物は、食品生産物中に天然には存在しない。
【0054】
食品生産物は、リコピン化合物によって補充又は強化することができる。ある好ましい態様において、食品生産物は、先に記載したような乳清タンパク質と調合されたリコピン化合物(‘ラクトリコピン’)で補充される。
【0055】
代謝機能障害の発症を治療又は遅延或いは予防するための食品生産物を製造する方法も、更に提供され、前記の方法は:
(i)食品生産物の成分を用意し、
(ii)リコピン化合物を前記成分と混合し、
(iii)前記成分及び前記リコピン化合物を食品生産物に調合すること;
を含んでなる。
【0056】
本発明の各種の更なる側面及び態様は、本開示の観点から当業者にとって明白であるものである。本明細書中に記述される全ての文書は、そのすべてが本明細書中に参考文献として援用される。
【0057】
本発明のある側面及び態様は、ここに実施例によって、そして以下に記載される図面を参照して例示されるものである。
図1は、HepG2細胞の膜及び核画分中のSREBP−1及び−2の量に対するリコピンの影響を示す。
【0058】
図2は、リコピン処理後のズッカー肥満型(ZFR)及び痩せ型(LZR)ラットの肝臓膜及び核抽出物中のSREBP−1、−2及びLDL−Rの免疫ブロット分析を示す。
表1は、ステロールの存在及び非存在中で10μMのリコピンとインキュベートしたHepG2細胞中のmRNAの変化を示す。
【0059】
表2は、100nMのインスリンの非存在及び存在中で10μMのリコピンとインキュベートしたラットの初代肝細胞中のmRNAの変化を示す。
表3は、0.2%リコピンの食餌で処置したズッカー肥満型(ZFR)及びズッカー痩せ型(LZR)ラットの生理学的パラメータを示す(4匹のラット中の4個の測定値からのM±m)。
【0060】
表4は、0.2%リコピンの食餌で処置したズッカー肥満型(ZFR)及びズッカー痩せ型(LZR)ラットの肝臓中のmRNAの変化を示す。
表5は、志願者のヒトの血清脂質のレベルに対する、ラクトリコピン、LLの影響を示す。
【0061】
表6は、LLによる2ヶ月の処置後の、志願者のヒトの血清脂質の平均レベルに対するLLの影響を示す。
表7は、志願者のヒトの血清脂質のレベルに対する、Lyc−O−MatoTM、LMの影響を示す。
【0062】
表8は、LMによる2ヶ月の処置後の、志願者のヒトの血清脂質の平均レベルに対するLMの影響を示す。
表9は、糖尿病患者の血清中の糖濃度に対するLLの影響を示す。
【0063】
表10は、糖尿病患者の血清中の糖濃度に対するLMの影響を示す。
表11は、志願者のヒトの血清インスリンのレベルに対する、ラクトリコピン、LLの影響を示す。
【0064】
表12は、志願者のヒトの体重に対する、LL及びLMの影響を示す。
表13は、志願者のヒトの血清脂質のレベルに対する、Lipitor−Liprimer(アトルバスタチン)の影響を示す。
【0065】
表14は、ラクトリコピン(LL)を含んでなる、異なった焼いた食品基質(パンの塊り及びスコーン)のin vitroの抗酸化物活性を示す。
表15は、ヒトの血液血清中の脂質代謝のパラメータに対する、ラクトリコピンの影響を示す。
【0066】
表16は、ヒトの血漿中の糖レベルに対する、ラクトリコピンの影響を示す。
実験
材料
標準的な分子生物学的技術を使用した。培養細胞及びラット肝臓からの全RNAを、RNA−STAT−60単離試薬(Tel−Test,Inc,USA)を使用して抽出した。SYBR緑色qPCR試薬系(Invitrogen,USA)を、定量的RNA分析のために使用した。血漿インスリンレベルは、ELISAキット(Linco Research,USA)を、血漿の糖は、比色測定を使用して測定した。
【0067】
他に記述しない限り、リコピンは、商業的な形態中で使用され(INNEOV,L’Oreal(UK)Ltd,London)、更に添加物としてダイズイソフラボン及びビタミンCを含有する、乳清タンパク質結合ラクトリコピン製剤(LL)であるか、或いは20gのトマト抽出物(10%のラクトリコピンを含有)を、20gの乳清タンパク質、50.5gの微結晶セルロース、5gの二酸化ケイ素、3gのポリソルベート80及び1.5gのダイズレシチンと混合して、100gのラクトリコピン製剤を製造することによって製造された単離された形態(INDENA)であった。
【0068】
ラクトリコピン製剤は、EP1289383中に記載されているように調製された。
他の一般的な試薬は、Sigma(USA)から得た。
細胞培養物
ヒト肝細胞腫細胞系−HepG2の単層膜を、100万細胞/100mmシャーレの密度で構成し、そして6%CO2の37Cで、ペニシリン(100単位/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を伴う10%FCSで補充されたDMEM中で培養した。48時間後、細胞を二回PBSで洗浄し、そしてステロールの非存在又は存在(1μg/mlの25−ヒドロキシコレステロール及び10μg/mlのコレステロール)中で、5%のリポタンパク質欠損血清、50μMのメバロン酸及び50μMのコンパクチン(ラクトン型)を含有するDMEMに切り替えた。シャーレの半数に、更に10μMの最終濃度までテトラヒドロフラン中に溶解されたINNEOVラクトリコピンを入れた。他の半数に、溶媒のみのアリコートを入れた。細胞を、免疫ブロット分析及びRNA抽出のために18時間後に回収した。
【0069】
初代肝細胞を、非絶食のSpraque−Dawleyラットのラット肝臓から、コラゲナーゼ消化法によって単離した。ハロタン麻酔下で、それぞれの肝臓を、門脈を通して肝臓潅流液で、そしてその後肝臓分離液(Gibco/BRL,USA)でin situで潅流した。肝臓を切取り、肝細胞を分離し、そして100mmのコラーゲンIで被覆したシャーレ(Becton Dickinson Labware,USA)上に、シャーレ当り600万細胞の密度で、ペニシリン(100単位/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を伴う5%の胎児ウシ血清を含有するDMEM中に入れた。3時間の付着後、細胞を、100nMのデキサメタゾン、1nMのインスリン、100nMのトリヨードチロニン、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンで補充された血清を含まないDMEMに切替えた。生存細胞をトリパンブルー排除試験で数えた。少なくとも85%の生存細胞を持つ肝細胞を研究に使用した。一晩のインキュベーション後、テトラヒドロフラン中のラクトリコピン(INNEOV)溶液の10μMの最終濃度までの添加を、100nMのインスリンの存在又は非存在で行った。対照シャーレには、テトラヒドロフランのみを入れた。RNAの単離を、リコピン及び/又はインスリンによる肝細胞の補充の18時間後に行った。
【0070】
動物及び処置
ズッカー肥満型ラット(fa/fa)及びその痩せ型の同腹仔を、生後8−9週で実験に使用した。ラットをコロニーケージに収容し、12時間照明/12時間暗所のサイクルで飼育し、そして標準固形飼料の食餌を給餌した。コロニー環境への適合の10日後、ラットを、0.2%のラクトリコピン(INNEOV)で補充された標準固形飼料の食餌に切替えた。ラットを、食物への24時間の接近で自由に給餌した。毎日のモニターは、リコピン処置/非処置グループ間のラットの食物摂取に、実質的な差を示さなかった。8日間の食餌処置後、ラットをハロタン麻酔下で殺した。血液試料を収集し、そして体重/肝臓重量を記録した。
【0071】
RNA分析
培養細胞及びラットの肝臓からの全RNAを抽出し、そしてそれぞれの試料からの2μgのRNAを、cDNAを合成するために使用し、そしてRT−PCR反応を三重で行った。それぞれの個々の遺伝子のためのプライマーを、公共のデータベース遺伝子銀行を使用して命名した。特異的プライマーとインキュベートしたそれぞれのRNA試料に対する実際のCT値を、そのCT絶対値がそれぞれの実験において示されるハウスキーピング遺伝子−GAPDH又は36B4のCT値(内部対照)に対して参照した。それぞれの遺伝子に対して正規化されたCT値を、ステロール及びの非存在中のHepG2細胞中で観察した値を1.00とした。他のグループのmRNAレベルの変化を、1.00に対して参照し、そして対照値(1.00)に対する倍数の変化を示した。
【0072】
免疫ブロッティング
免疫ブロット分析のために、核抽出物及び膜画分を、培養細胞及びラットの肝臓から調製した。細胞を22.5ゲージの針を通して通過させて、細胞を、低張性緩衝液(pH7.4の10mMのHepes−KOH)中で破壊した。ラットの肝臓からの核抽出物及び膜画分を他の場所で記載したように単離した。
【0073】
臨床治験
この治験の目的は、ラクトリコピン自体が、その特定の処方に関係なく、ヒトの代謝パラメータに影響することができるか否かを研究することであった。この治験のために、14人の臨床的に健康な志願者を採用した。この内12人は、何らかの形態の異脂質血症を有し、この内3人は、これに加えて高い空腹時血糖を有し、一人は高い空腹時血糖のみを有し、そして一人はこれらの代謝性疾患のいずれをも有していなかった。7人の志願者に、LLを300mgの投与量で、又は6mgのHPLCリコピンを投与し、他の7人に対する投与は、800mgのLL、又は14mgのHPLCリコピンであった。生産物を2ヶ月間、毎日一回経口的に食物と共に投与した。治験前及び終了時の志願者の血液を試験し、そして比較した。
【0074】
結果
実施例1
ヒト肝細胞腫細胞系HepG2を、培養細胞中の脂質代謝の転写制御に対する、ラクトリコピンの影響を明白にするために使用した。表1に示すように、実験の全てのグループにおいて、基本的ハウスキーピング遺伝子に対するmRNAレベルは、殆んど変わらないままであり、そして17.54ないし17.73で変化した。これは、薬物毒性の非存在、RNA分解及び細胞単層膜の健康な状態を確証する。
【0075】
表1に示すように、10μMのラクトリコピンの添加は、ステロールの存在又は非存在中のSREBP−1のmRNAレベルに有意には影響しなかった。ステロールに反応するSREBP−2のmRNAの減少は、ラクトリコピンの存在に関わらず両方のグループにおいて同一であった。
【0076】
ステロールは、培養細胞中のSREBP−2の転写を遮断し、コレステロールの生合成及びコレステロール生成酵素に対するmRNAのその後の低下を起こすことが知られている。表1は、HepG2細胞へのステロールの添加が、SREBP−2に対するmRNA及びコレステロール生合成の主要な酵素−FPPS、HMG−CoA Red及びHMG CoA Synを有効に減少することを示す。然しながら、ステロールの非存在中でさえ、10μMのラクトリコピン単独とインキュベートしたHepG2細胞中のSREBP−2のmRNAレベルの明白な低下(42%減少)が存在する。ラクトリコピンの存在中のSREBP−2レベルの減少は、コレステロール生成及び脂質生成のmRNAの殆んどに影響しなかった。然しながら、脂質生成遺伝子の殆んど(FAS、ACC、HMG−CoA Syn及びHMG−CoA Red)は、ラクトリコピンの存在中で僅かに高いステロール感受性を示す。単独のラクトリコピンは、SCAPのmRNAに対するステロールの影響の増強を伴わずに、SCAPに対するmRNAを減少する。
【0077】
ラクトリコピンによって影響される唯一のSREBP−1の下流の遺伝子は、INSIG−1であり、このmRNAは、基底レベルの殆んど2/3低下した。免疫ブロットデータ(図1)は、mRNAの結果を確認し、そして説明する。ステロールの非存在において、HepG2細胞の膜画分中に、SREBP−1及び−2の形態の検出可能な前駆体の形態は存在していない。然しながら、ステロールの存在中でSREBP−1の開裂が停止した場合、ラクトリコピンの存在中のSREBP−1タンパク質の量は、明らかにより高く、これは、約1.4のSREBP−1のmRNAの上方制御を反映する。免疫ブロットの結果は、更にラクトリコピンとインキュベートされたHepG2細胞中に見られるSREBP−2のmRNAの低下を確認し、−SREBP−2前駆体及び成熟した形態の量は、ラクトリコピンとインキュベートしたHepG−2細胞において明らかに低下する。
【0078】
同じプロトコルを使用して行った研究の別個の組において、本出願人等は、ラクトリコピンのSCAP及びINSIG−1のmRNAに対する阻害効果を確認し、そして再現している。
【0079】
ラクトリコピンは、主要なコレステロール生成転写因子SREBP−2及びインスリン誘導生遺伝子−1(INSIG−1)に対するmRNAを減少し、ヒト肝細胞腫細胞系HepG2中の脂質生成遺伝子に対する僅かに高いステロール感受性を与える。まとめれば、本出願人等の結果は、ラクトリコピンが、脂質生成のいくつかの転写機構に、そして恐らくヒト肝細胞中の肝臓特異的インスリン反応に影響していることへの指標を与える。
【0080】
実施例2
HepG2細胞中のいくつかのインスリン制御遺伝子(SREBP−1及びINSIG−1)に対するリコピンの注目すべき効果のために、ラットの初代肝細胞系及びインスリン処置プロトコルを、ラクトリコピンの生理学的特性を更に研究するために選択した。表2に示すように、10μMのラクトリコピンによる初代肝細胞の処置は、主要なハウスキーピング遺伝子−36B4に対するCTの絶対値に大きく影響しなかった。これは、毒性の影響の非存在、初代肝細胞の生存性及び細胞から抽出されたRNAの良好な品質を確認する。
【0081】
結果から、インスリンが、主要な肝臓特異的脂質生成転写因子−SREBP−1cに対するmRNAを、選択的に上方制御することは明白であり、この修正されたCT値は、基底値の56.5倍まで上昇した。ラクトリコピン自体は、基底SREBP−1cレベルを4倍亢進した。一方、インスリンによるSREBP−1cの誘導は、2倍(わずか27.5倍)までのラクトリコピンの添加によって減少した。
【0082】
HepG−2研究と同様に、ラクトリコピンの存在は、主要なコレステロール生成転写因子−SREBP−2に対するmRNAを、特にインスリンの存在中で減少することが見出された。SREBP−1cのインスリンに対する鈍化した反応、並びにラクトリコピンの存在中のインスリンに対するSREBP−2のレベルの減少は、機能的に有意であるように見受けられ、そして初代肝細胞中で代謝的な重要性を有する。特に、ラクトリコピンの存在は、SREBPに対する標的遺伝子であることが知られている、主要な脂質生成mRNA−FAS、SCD−1、ACL及びINSIG−1のインスリン反応を、完全に消滅した。これらのmRNAレベルは、ラクトリコピン処置後、近辺の対照値に対して修正された。
【0083】
ラクトリコピンの作用のもう一つの重要な特徴は、主要な糖新生酵素−PEPCK及びG−6−パーゼに対する活性を制御することであり、これらのmRNAレベルは、ラクトリコピンのみで、それぞれ66.0%及び70%に減少した。インスリンは、PEPCKのmRNAを殆んど90%低下し、そしてラクトリコピンの存在中で同じ効力を示した。対照的に、インスリンに対するG−6−パーゼの反応は、それほど激的ではなかった。注目すべきは、ラクトリコピンとのインキュベーションは、より高いインスリン感受性をG−6−パーゼに与えた。このmRNAは、インスリン単独によりほんの僅か減少される(対照レベルの90%に)が、しかし両方−ラクトリコピン及びインスリンの存在中で、更に有意に減少(対照レベルの62%に)された。
【0084】
ラクトリコピンは、糖新生に関係しない、いくつかの他のインスリン標的遺伝子のインスリン感受性を亢進する。初代肝細胞がラクトリコピンの存在中でインスリンに暴露された場合、インスリンのINSIG−2、IRS−2及びIGFBP−1のmRNAに対する更に深刻な負の効果が存在する。
【0085】
従って、ラクトリコピンは、転写的脂質生成反応を減少し、そしてSREBP−2のmRNAは、インスリンの存在中でラットの初代肝細胞中の糖新生酵素に対するより高いインスリン感受性を与えた。
【0086】
実施例3
肝臓の代謝に対するラクトリコピンの影響の機構を更に研究するために、本出願人等は、代謝症候群の最も重要な特徴を示すことが知られたズッカー肥満型ラット(ZFR)を使用して研究を行った。若い(生後9週間)のZFRのオスを照合対照(ズッカーの痩せ型同腹仔)と共に、表3に要約した実験に使用した。
【0087】
表3は、生後9週においてさえ、ZFRが有意に高い体重及び肝臓重量、増加した血漿トリグリセリド及びコレステロールを有することを示す。然しながら、実質的に誘導されたインスリンレベルにも関わらず、血漿糖濃度は対照レベルのままであった。ラクトリコピン(Inneov)は、痩せ型ラットの体重を減少しなかったが、ラクトリコピンによる8日間の食餌処置は、ZFRの体重及び肝臓重量の注目すべき減少に導いた。肝臓重量のある程度の減少も、更にラクトリコピンで処置された対照ラット(ZLR)において見られた。最も強烈な変化は、血漿トリグリセリド及びコレステロールレベルに起こった−これらの両方は、ラクトリコピン処置により、それぞれ83.1%及び64.3%低下した。更にラクトリコピンで飼われたZFRの血漿インスリンレベルに統計的に有意な減少も存在した。
【0088】
表4に示すように、ZFRは、増加した量のSREBP−1c転写物、並びに主要な脂質生成酵素−FAS、SCD−1、ACLに対する高いmRNAを有していた。ラクトリコピン処置は、ラクトリコピン食餌のZFRにおける残存抗インスリン血症を反映して、影響は部分的であったが、脂質生成のmRNAの誘導を減少した。図2に示した免疫ブロットの結果は、ZFRが、肝臓の核抽出物中のSREBP−1タンパク質の有意に高いレベルを有し、そしてこの量が、ラクトリコピン処置により変化しないことを示した。
【0089】
対照値まで低下した唯一のmRNAは、脂肪酸シンターゼであった。肝臓のACL及びSCD−1のmRNAは、ZFR非処置グループと比較して2倍まで減少した。これらの脂質生成mRNAの変化は、ラクトリコピンで処置されたZFRの血漿トリグリセリドレベルの減少を説明し、そして実施例2に与えられたデータを確認する。
【0090】
SREBP−2の変化しないレベルは、非処置のZFRの肝臓中のコレステロール生成酵素(HMG−CoA−R及びHMG−CoA−S)の正常値と一致し、そしてこれは、免疫ブロットのデータ(図2参照)によって確認された。従って、若いZFRの高コレステロール血症は、肝細胞におけるコレステロールの生合成の活性化より、むしろ肝臓の減少したLDL再取り込みに起因する。表現型に関わらず、ラクトリコピン処置は、コレステロール生合成の主要な転写活性化因子に対するmRNAレベルを減少した−SREBP−2(約2倍)。この発見は、実施例1及び2として示されたHepG2及び初代肝細胞の研究からの結果を支持する。然しながら、SREBP−2のmRNAの減少は、糖尿病及び非糖尿病のラットの肝臓のHMG−CoA−R及びHMG−CoA−S転写に対して異なった影響を有していた。肥満型ラットは、HMG−CoA−R及びHMG−CoA−SのmRNAレベルの両方の有意な減少を示し、一方痩せ型の同腹仔は、対照レベルの近辺の値を有していた。
【0091】
更にラクトリコピンで処置されたZFRの肝臓における免疫ブロット分析(図1)によって確認されたLDR−Rタンパク質の注目すべき誘導が存在する。この観察は、ZFRの血漿脂質レベルに対するラクトリコピン食餌の顕著な正常化効果を説明する。LDL−受容体の代謝回転は、ラットの肝臓中のSREBP−2によって制御される。ラクトリコピンで処置されたZFRの肝臓中のSREBP−2の核の形態の実質的な上方制御が存在する。このような増加は、ラクトリコピンによる肝臓のLDL−受容体活性化の機構を説明することができる。
【0092】
ラクトリコピン食餌は、胆汁へのコレステロールの分泌に責任のある酵素、Cyp−7アルファのmRNAに効果を有しなかった。ズッカー肥満型ラットは、異常に低い胆汁コレステロール分泌速度を示す独特の動物モデルであることで知られている。この問題は、その肝臓におけるCYP−7アルファ転写の減少した速度の結果として発生する。実際、表4に示すように、CYP7αのmRNAのレベルは、ZFRにおいて減少し、そして行われた処置に関係なくほぼ同一レベル近辺のままである。
【0093】
ズッカー肥満型ラットは、その極端な、そして迅速な表現型の形成のために選択され、これは、ヒトにおける代謝症候群に似ており、そして高インスリン血症、体重増加、高脂質血症及び脂肪肝をもたらす。全てのこれらの特質は、ラクトリコピン処置によってある程度矯正された。
【0094】
然しながら、表3に示すように、生後9週間のZFRは、高インスリン血症にも関わらず、正常血糖のままである。これは、研究に使用されたラットが、II型糖尿病の重要な特質であり、そしてもう一つの密接に関係するズッカーラットの系統−ズッカー糖尿病ラット(ZDR)の明白な特徴である活性化された糖新生を、なお発症していないことの指標を与える。損なわれた(しかしなお機能している)インスリン感受性の結果として、非処置のZFRの肝臓中のインスリン感受性のmRNA(PEPCK、G−6−パーゼ、IGFBP−1、IRS−2)の有意な減少が存在する。従って、このようなZFRの肝臓中のインスリン反応の保存されたレベルは、本出願人等が、糖新生の機構に対するラクトリコピンの可能性のあるin vivoの効果及びラットの初代肝細胞研究(実施例2)において見られた肝臓のインスリン感受性を評価することを不可能にする。
【0095】
ヒト肝細胞腫細胞系HepG2(実施例1参照)において、ラクトリコピンは、主要な遺伝子の転写を抑制し、コレステロールの恒常性を制御する−SREBP−2。この観察は、もう一つの種類の細胞−初代ラット肝細胞を使用して確認された(実施例2参照)。SREBP−2に対するラクトリコピンの影響は、更にズッカー肥満型ラットにおいて再現され、これの血漿コレステロール及びトリグリセリドレベルは、0.2%ラクトリコピン食餌による8日間の処置後、対照値近辺に低下した。血漿脂質レベルに対するラクトリコピンの正常化効果は、本出願人等の観点では、肝臓中のSREBP−2の減少したレベルだけでなく、更にラクトリコピン食餌のラットにおいて観察された肝臓のLDL−R(mRNA及びタンパク質)の亢進されたレベルにも関連する。従って、実施例1、2及び3は、ラクトリコピンが、コレステロールの恒常性に異なったレベルで−SREBP−2の転写、LDL−受容体発現の制御、SCAPのmRNAレベルへの影響及び全体のコレステロール合成速度で影響することを明らかにする。
【0096】
HepG2細胞のラクトリコピンとのインキュベーションが、インスリン誘導遺伝子−1(INSIG−1)の抑圧に導くことが予期せずに見出され、そして独立の研究で再現された。本出願人等は、ラクトリコピンが、培養細胞及び肝臓中の肝臓特異的なインスリン反応を制御することができると仮定した。ラクトリコピンのINSIG−1のmRNAに対する負の影響も、更にラットの初代肝細胞において、特にインスリンの存在中で観察された。驚くべきことに、本出願人等は、更にラクトリコピンによる短期の食餌的処置が、ズッカー肥満型ラットの体重及び肝臓重量、血漿インスリンレベルを低下し、そして血漿脂質プロファイルの正常化に導くことも観察した。
【0097】
従って、INNEOVラクトリコピン製剤は、代謝症候群の多数の特徴−ラクトリコピンで処置されたズッカー肥満型ラットの、血漿インスリンレベルの減少、血漿脂質、肝臓重量/体重比、脂質生成遺伝子の転写の正常化及び肝臓のLDL−受容体タンパク質の増加に対する深在性の影響を有する。
【0098】
実施例4
A.血漿脂質、糖及びインスリンレベルに対するラクトリコピン生産物の影響
血漿脂質、糖及びインスリンレベルに対するラクトリコピン生産物の影響を、志願者のヒトにおいて研究し、そして結果を表5−11に示した。
【0099】
45−62歳の年齢の16人の志願者(男性8人及び女性8人)を、このパイロット臨床治験のために選択した。この内12人(男性6人及び女性6人)に、ラクトリコピン(INNEOV,L’Oreal(UK)Ltd,London)、LL、を与え、そしてこの内4人(男性2人及び女性2人)に、Lyc−O−MatoTM、LM、(Vita Healthcare)を与えた。最初のグループに糖尿病を持つ二人の患者がおり、そして後者のグループには糖尿病を持つ二人の患者がいた。これらの糖尿病患者に対して、脂質レベルに加えて、糖の濃度も更にモニターした。インスリンの濃度も、更に全ての16人の患者においてモニターした。LLを、3人の患者に一日二回食事と供に1錠のドラジェで;他の9人の患者に一日三回食事と共に1錠のドラジェで与えた。LMは、毎日3カプセル食事と共に与えた。
【0100】
血清試料を、患者の血液から、処置の前及びこれが始まった後2週間ごとに収集した。両方のリコピン生産物による処置を、2ヶ月間続けた。
これらの志願者の血清脂質パラメータに対するLL及びLMの影響の結果を、表5、6、7及び8に示す。これらの結果は、一日当り2又は3錠のLLのドラジェ(表5及び6)、或いは3カプセルのLM(表7及び8)のいずれかの投与が、全コレステロール及びトリグリセリドの濃度の減少を起こしたことを示す。LLのみの投与も、更にCH−LDLの濃度の有意な減少(p<0.05)を起こした。志願者の他の脂質パラメータは、有意には影響されなかった。
【0101】
処置前のこれらの脂質のレベルがより高いほど、より激しい血清中のその濃度の減少が見出されたことを注記することは興味あることである。例えば、9番の患者において、LLによる僅か2週間の処置後、全コレステロールのレベルは、247から158mg/dLへ殆んど36%減少した(表5)。
【0102】
リコピンの異なった製剤の投与の影響の比較は、血清の全コレステロール、LDLコレステロール及びトリグリセリドのレベルに対して、LLがLMより激しい影響を有することを示した。
【0103】
更に、LL又はLMのいずれかの処方の吸収性の、即ち生体利用可能なリコピン製剤の使用が、高いレベルの血清糖濃度を持つ患者の血清糖濃度の減少をもたらすことも更に重要であった(表9及び10)。
【0104】
LL又はLMの投与が、非高血糖症の患者の血清中の糖の生理学的レベルに影響しなかったが、しかし高血糖を持つ患者における糖を、減少又は正常化することが可能であること(太字の数字)を観察することは興味あることであった。
【0105】
高血糖症の患者は、6mmol/lより大きい血清糖濃度を持つ者である。
リコピンの異なった製剤の投与の影響の比較は、LLが、高血糖を持つ患者の血漿糖レベルを平均28%減少することが可能であり、一方LMは、このパラメータを僅か16%減少することが可能であることを示した。
【0106】
LLの同様な影響は、インスリンレベルに関して観察された。高いインスリンレベルを持つ患者において、LLの2週間の投与は、その正常化をもたらす(太字の数字)。然しながら、この製剤は、インスリンの正常な生理学的レベルを持つ患者のインスリンの濃度に影響しなかった(表11)。
【0107】
B.ヒトの体重に対するリコピン生産物の影響
体重に対するリコピン生産物の影響を、45−62歳の年齢の18人の志願者、男子10人及び女性8人を含む第2のパイロット臨床治験において研究した。9人の志願者、男性5人及び女性4人に、1錠のLacto−LycopeneTM(INNEOV,L’Oreal(UK)Ltd,London)のドラジェ、LLを、一日三回食事と共に与えた。他の9人、男性5人及び女性4人に、1カプセルのLyc−O−MatoTM、LM (Vita Healthcare)を、一日三回食事と共に与えた。
【0108】
治験を2ヶ月続け、そして志願者の体重を治験の前及び後に測定した。治験の結果を、表12に示す。
LL及びLMの両方の2ヶ月間の投与は、それぞれの処置グループのそれぞれ5及び3人の志願者の体重減少をもたらした。然しながら、全LLグループの全体重減少は、LMグループより3倍大きく、即ち、前者で15kg、そして後者で5kgであった。平均して、LLグループのそれぞれのヒトは、1.7kg減少し、そしてLMグループのそれぞれのヒトは、0.6kg減少した。過体重の志願者が、LLのこの影響からの利益をより多く有意に受けることを注記することは興味あることである。彼等の5人中の4人は、2ないし5kg間の体重を損失した。LMグループにおいて、5人の過体重のヒトの1人のみが体重を損失した。
【0109】
従って、リコピン処置は、患者の代謝症候群の基本的な臨床的特徴(高コレステロール血症、高トリグリセリド血症及び高血糖症)を減少する。
これらの臨床的データは、in vitro及び動物における実験で観察された実験結果を支持し、そしてラクトリコピン制剤の吸収性の、そして生体利用可能な形態が、代謝症候群、インスリン抵抗性(重症のインスリン抵抗性の症候群を含む)、耐糖能、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高血圧、脂肪肝、慢性肝炎、肝線維症、肝硬変の治療において、そして更に体重調節及び肥満症の治療において使用することができる有効な治療生産物であることができる可能性があることを示す。
【0110】
C.血清脂質に対するスタチンの影響
Lipitor−Liprimar(アトルバスタチン)の血清脂質レベルに対する影響を、志願者のヒトにおいて研究し、そして結果を表13に示す。
【0111】
45−55歳の年齢の10人の志願者、男性5人及び女性5人を、このパイロット臨床治験のために選択した。40mgのLipitor−Liprimarを、経口的に食事と共にそれぞれの患者に毎日、2ヶ月間与えた。
【0112】
血清試料を患者の血液から、処置の前及び2ヵ月の処置後収集した。
これらの志願者の血清脂質に対するLipitor−Liprimarの影響の結果を、表13に示す。表に示されたデータは、Lipitor−Liprimar、HMG CoAレダクターゼ阻害剤が、LLより良好にCH−LDLを減少すること(前者において35%、そして後者において13.3%)を証明している。然しながら、ラクトリコピンは、全コレステロール及びトリグリセリドの両方をスタチンより低いレベルまで減少する:リピトールにおける全コレステロール(CH)の減少は、17%であり、そしてLLにおいて、これは27%であった;リピトールにおけるトリグリセリド(TG)の減少は、22%であり、そしてLLにおいて、これは34%であった(表6及び13)。
【0113】
血清脂質レベルを減少することにおける少ない効果と同様に、スタチンは、患者の0.5%ないし2.0%において、ある程度の副作用を有することで知られている。例えば、スタチンは、トランスアミナーゼの高いレベル又は筋肉痛、圧痛或いは脱力感を起こすことができる。これらの症状は、ある患者において、発熱又はインフルエンザ様症状、腹痛又は説明できない疲れによって伴われることができる。更に、肝臓疾患及び筋肉炎は、スタチン類を摂取することにおける禁忌の中にあり、そしてこれらは、妊娠中に処方されるべきではない。他方、ラクトリコピン製剤の長期の投与は、既知の禁忌又は副作用を有しない。
【0114】
これは、先に与えたデータと共に、LLのようなラクトリコピン製剤を、代謝症候群、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、肥満症、脂肪肝、慢性肝炎、及び肝硬変を含む各種の疾患の治療におけるスタチン類の代替物として使用することができることへの指標を提供する。
【0115】
更に、LLのようなラクトリコピン製剤は、スタチン類との組合せにおいて有用であることができ、後者の治療的投与量を減少することを可能にする。これは、スタチン類におけるより少ない禁忌をもたらし、そしてその可能性のある副作用を最小化する。
【0116】
D.更なる製剤
血清脂質レベルに対する単離されたラクトリコピン製剤(INDENA)の影響を、志願者のヒトにおいて研究し、そして結果を表15及び16に示す。
【0117】
これらの結果は、ラクトリコピン製剤(INDENA)は、血清脂質レベルを減少するが、しかしヒトの血漿中の糖レベルに対して有意な影響を有しないことを示す。然しながら、これは、これらの高いレベルを持つ全ての患者の血清中の全コレステロール及びトリグリセリドの濃度を正常化する。治療前のこれらのパラメータがより高いレベルである場合、より有意な減少が観察される。例えば、250mg/dLより上の全コレステロールを持つ患者において、減少は平均94mg/dLであるか、又は35%より多かった。
【0118】
250mg/dLより少ないが、しかしなお200mg/dLの正常なレベルより上の初期濃度を持つ患者において、減少は、平均54mg/dL、又は25%であった。同様なパターンは、トリグリセリドにおいても観察された。両方のパラメータの減少は、これらの脂質の生理学的に正常なレベル−15%の全コレステロール及び20%のトリグリセリドを持つ患者においてさえ観察された。
【0119】
より激しくない影響は、CH−HDL及びCH−LDL濃度において観察された。前者の減少したレベルを持つ5人の患者において、4人は、処置後この脂質の正常化されたレベルを有していた。初期にCH−LDLの高いレベルを持っていた4人の患者の内、2人のみにおいて、このパラメータが正常化された。
【0120】
実施例5
食品基質へのラクトリコピンの組込み
一塊のパンのためのレシピは:
イースト−茶匙(tsp)3/4、強力粉−400g、砂糖−茶匙1、バター−15g、粉乳−茶匙1、塩−茶匙1、ラクトリコピン(LL)(INNEOV)のドラジェを溶解した水280mlであった。
【0121】
四つの塊りを焼いた:一つ(対照)は、LLを含有せず、2番目は、5錠のLLのドラジェを、3番目は、10錠のLLのドラジェを、そして4番目は、20錠のLLのドラジェを含有していた。
【0122】
試験
パンを目隠し試験した5人の志願者は、これらの塊りの全ての四つ間の質感及び風味に差を見出せなかった。更に、パンの抗酸化活性を試験した。これは、AtheroAbzymeTMELISAキット(CTL,UK)を使用して、製造業者の説明書に記載されたプロトコルに従って行った。ラクトリコピンを含んでなるパンは、抗酸化活性を有していたが、一方対照のパンは有していなかった(表14)。
【0123】
実施例6
食品基質へのリコピンの組込み
四個のスコーンのバッチのためのレシピは:
膨らし粉入り小麦粉−175g、膨らし粉−茶匙1、塩−一抓み、上白糖−20g、無塩バター−37g、INNEOVドラジェの形態のLLを溶解した牛乳−90mlであった。四つのスコーンのバッチを焼いた:一つ(対照)は、LLを含有していなく、二番目は、スコーン当り0.5錠のドラジェのLLを、三番目は、スコーン当り1錠のドラジェのLLを、そして四番目は、スコーン当り2錠のドラジェのLLを含有していた。
【0124】
試験
これらのスコーンを目隠しで試験した5人の志願者は、これらの全ての四つのバッチからのスコーン間に質感又は風味に差を見出さなかった。更に、スコーンの抗酸化活性を試験した。これは、AtheroAbzymeTMELISAキット(CTL,UK)を使用して、製造業者の説明書に記載されたプロトコルに従って行った。ラクトリコピンを含んでなるスコーンは、抗酸化活性を有していたが、一方対照のスコーンは有していなかった(表14)。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【0127】
【表3】

【0128】
【表4】

【0129】
【表5a】

【0130】
【表5b】

【0131】
【表5c】

【0132】
【表6】

【0133】
【表7a】

【0134】
【表7b】

【0135】
【表8】

【0136】
【表9】

【0137】
【表10】

【0138】
【表11】

【0139】
【表12】

【0140】
【表13】

【0141】
【表14】

【0142】
【表15a】

【0143】
【表15b】

【0144】
【表16】

【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、HepG2細胞の膜及び核画分中のSREBP−1及び−2の量に対するリコピンの影響を示す。
【図2】図2は、リコピン処理後のズッカー肥満型(ZFR)及び痩せ型(LZR)ラットの肝臓膜及び核抽出物中のSREBP−1、−2及びLDL−Rの免疫ブロット分析を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リコピン化合物を、治療的に有効な量で、それを必要とする個体に投与することを含んでなる、代謝機能障害を治療する方法。
【請求項2】
前記リコピン化合物が、リコピンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記代謝機能障害が、肥満症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧、脂肪肝、慢性肝炎、肝線維症、肝硬変、及び代謝症候群からなる群から選択される、請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記リコピン化合物が、乳清タンパク質と共に処方される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記リコピン化合物が、油と共に処方される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記リコピン化合物が、一つ又はそれより多いイソフラボンと共に処方される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記リコピン化合物が、医薬組成物中に医薬的に受容可能な賦形剤と共に含まれる、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記リコピン化合物が、食品生産物中に含まれる、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記食品生産物が、パン、シリアル、ビスケット、バター、食品塗布物、チーズ、ヨーグルト又は飲料である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リコピン化合物が、スタチンとの組合せによる投与のためのものである、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記リコピン化合物を、スタチンとの組合せで投与することを含んでなる、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
代謝機能障害の治療のための、医薬の製造におけるリコピン化合物の使用。
【請求項13】
前記リコピン化合物が、リコピンである、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記代謝機能障害が、肥満症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧、脂肪肝、慢性肝炎、肝線維症、肝硬変、及び代謝症候群からなる群から選択される、請求項12又は13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記リコピン化合物が、乳清タンパク質と共に処方される、請求項12ないし14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記リコピン化合物が、油と共に処方される、請求項12ないし14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
前記リコピン化合物が、一つ又はそれより多いイソフラボンと共に処方される、請求項12ないし16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
前記リコピン化合物が、医薬組成物中に医薬的に受容可能な賦形剤と共に含まれる、請求項12ないし17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記リコピン化合物が、食品生産物中に含まれる、請求項12ないし17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
前記食品生産物が、パン、シリアル、ビスケット、バター、食品塗布物、チーズ、ヨーグルト又は飲料である、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
前記医薬が、スタチンとの投与のためのものである、請求項12ないし20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
前記医薬が、更にスタチンを含んでなる、請求項12ないし21のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
代謝機能障害に伴う症状の治療のための方法であって:
リコピン化合物を、治療的に有効な量で、それを必要とする個体に投与すること;
を含んでなる、前記方法。
【請求項24】
前記リコピン化合物が、リコピンである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記代謝機能障害に伴う症状が、血圧の上昇、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高LDLコレステロール及び/又は低HDLコレステロール並びに微量アルブミン尿症からなる群から選択される、請求項23又は24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記リコピン化合物が、乳清タンパク質と共に処方される、請求項23ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記リコピン化合物が、油と共に処方される、請求項23ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記リコピン化合物が、イソフラボンと共に処方される、請求項23ないし25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記リコピン化合物が、医薬組成物中に、医薬的に受容可能な賦形剤と共に含まれる、請求項24ないし28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記リコピン化合物が、食品生産物中に含まれる、請求項24ないし29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記食品生産物が、パン、シリアル、ビスケット、バター、食品塗布物、チーズ、ヨーグルト又は飲料である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記リコピン化合物が、スタチンとの投与のためのものである、請求項24ないし31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記リコピン化合物を、スタチンとの組合せで投与することを含んでなる、請求項24ないし32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
代謝機能障害に伴う症状の治療において使用するための、医薬の製造におけるリコピン化合物の使用。
【請求項35】
前記リコピン化合物が、リコピンである、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記代謝機能障害に伴う症状が、血圧の上昇、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高LDLコレステロール及び/又は低HDLコレステロール並びに微量アルブミン尿症からなる群から選択される、請求項34又は35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記リコピン化合物が、乳清タンパク質と共に処方される、請求項34ないし36のいずれか1項に記載の使用。
【請求項38】
前記リコピン化合物が、油と共に処方される、請求項34ないし36のいずれか1項に記載の使用。
【請求項39】
前記リコピン化合物が、イソフラボンと共に処方される、請求項34ないし36のいずれか1項に記載の使用。
【請求項40】
前記リコピン化合物が、医薬組成物中に、医薬的に受容可能な賦形剤と共に含まれる、請求項35ないし39のいずれか1項に記載の使用。
【請求項41】
前記リコピン化合物が、食品生産物中に処方される、請求項35ないし40のいずれか1項に記載の使用。
【請求項42】
前記食品生産物が、パン、シリアル、ビスケット、バター、食品塗布物、チーズ、ヨーグルト又は飲料である、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
前記医薬が、スタチンとの投与のためのものである、請求項35ないし42のいずれか1項に記載の使用。
【請求項44】
前記医薬が、更にスタチンを含んでなる、請求項33ないし39のいずれか1項に記載の使用。
【請求項45】
代謝機能障害を治療するための組合せにおいて使用するための、リコピン化合物及びスタチンを含有するキット。
【請求項46】
前記リコピン化合物が、リコピンである、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
前記代謝機能障害が、肥満症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧、脂肪肝、慢性肝炎、肝線維症、肝硬変、及び代謝症候群からなる群から選択される、請求項45又は46のいずれか1項に記載のキット。
【請求項48】
前記リコピン化合物が、乳清タンパク質と共に処方される、請求項45ないし47のいずれか1項に記載のキット。
【請求項49】
前記リコピン化合物が、油と共に処方される、請求項45ないし47のいずれか1項に記載のキット。
【請求項50】
前記リコピン化合物が、イソフラボンと共に処方される、請求項45ないし47のいずれか1項に記載のキット。
【請求項51】
前記リコピン化合物が、医薬組成物中に、医薬的に受容可能な賦形剤と共に含まれる、請求項46ないし50のいずれか1項に記載のキット。
【請求項52】
代謝機能障害に伴う症状を治療するための組合せにおいて使用するための、リコピン化合物及びスタチンを含有するキット。
【請求項53】
前記リコピン化合物が、リコピンである、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記症状が、肥満症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧、脂肪肝、慢性肝炎、肝線維症、肝硬変、及び代謝症候群からなる群から選択される、請求項52又は53のいずれか1項に記載のキット。
【請求項55】
前記リコピン化合物が、乳清タンパク質と共に処方される、請求項52ないし54のいずれか1項に記載のキット。
【請求項56】
前記リコピン化合物が、油と共に処方される、請求項52ないし54のいずれか1項に記載のキット。
【請求項57】
前記リコピン化合物が、イソフラボンと共に処方される、請求項52ないし54のいずれか1項に記載のキット。
【請求項58】
前記リコピン化合物が、医薬組成物中に、医薬的に受容可能な賦形剤と共に含まれる、請求項52ないし57のいずれか1項に記載のキット。
【請求項59】
代謝機能障害の治療のための医薬の製造における、リコピン化合物及びスタチンの組合せの使用。
【請求項60】
前記リコピン化合物が、リコピンである、請求項59に記載の使用。
【請求項61】
前記代謝機能障害に伴う症状が、血圧の上昇、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高LDLコレステロール及び/又は低HDLコレステロール並びに微量アルブミン尿症からなる群から選択される、請求項59又は60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記リコピン化合物が、乳清タンパク質と共に処方される、請求項59ないし61のいずれか1項に記載の使用。
【請求項63】
前記リコピン化合物が、油と共に処方される、請求項59ないし61のいずれか1項に記載の使用。
【請求項64】
前記リコピン化合物が、一つ又はそれより多いイソフラボンと共に処方される、請求項59ないし61のいずれか1項に記載の使用。
【請求項65】
前記リコピン化合物が、医薬組成物中に、医薬的に受容可能な賦形剤と共に含まれる、請求項61ないし64のいずれか1項に記載の使用。
【請求項66】
前記リコピン化合物が、食品生産物中に処方される、請求項60ないし65のいずれか1項に記載の使用。
【請求項67】
前記食品生産物が、パン、シリアル、ビスケット、バター、食品塗布物、チーズ、ヨーグルト又は飲料である、請求項66に記載の使用。
【請求項68】
代謝機能障害に伴う症状の治療のための医薬の製造における、リコピン化合物及びスタチンの組合せの使用。
【請求項69】
前記リコピン化合物が、リコピンである、請求項68に記載の使用。
【請求項70】
前記代謝機能障害に伴う症状が、血圧の上昇、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高LDLコレステロール及び/又は低HDLコレステロール並びに微量アルブミン尿症からなる群から選択される、請求項68又は69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記リコピン化合物が、乳清タンパク質と共に処方される、請求項68ないし70のいずれか1項に記載の使用。
【請求項72】
前記リコピン化合物が、油と共に処方される、請求項68ないし70のいずれか1項に記載の使用。
【請求項73】
前記リコピン化合物が、一つ又はそれより多いイソフラボンと共に処方される、請求項68ないし70のいずれか1項に記載の使用。
【請求項74】
前記リコピン化合物が、医薬組成物中に、医薬的に受容可能な賦形剤と共に含まれる、請求項69ないし73のいずれか1項に記載の使用。
【請求項75】
前記リコピン化合物が、食品生産物中に処方される、請求項69ないし74のいずれか1項に記載の使用。
【請求項76】
前記食品生産物が、パン、シリアル、ビスケット、バター、食品塗布物、チーズ、ヨーグルト又は飲料である、請求項75に記載の使用。
【請求項77】
代謝機能障害を治療するためのリコピン化合物を含んでなる食品生産物であって、ここにおいて、前記食品生産物中に、前記リコピン化合物が天然には存在していない、前記食品生産物。
【請求項78】
前記食品生産物が、パン、シリアル、ビスケット、バター、食品塗布物、チーズ、ヨーグルト又は飲料である、請求項77に記載の食品生産物。
【請求項79】
前記リコピン化合物が、リコピンである、請求項77又は78のいずれか1項に記載の食品生産物。
【請求項80】
前記代謝機能障害が:
肥満症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧、脂肪肝、慢性肝炎、肝線維症、肝硬変、及び代謝症候群;
からなる群から選択される、請求項77ないし79のいずれか1項に記載の食品生産物。
【請求項81】
更にスタチンを含んでなる、請求項77ないし80のいずれか1項に記載の食品生産物。
【請求項82】
(i)食品生産物の成分を用意し、
(ii)リコピン化合物を前記成分と混合し、
(iii)前記成分及び前記リコピン化合物を食品生産物に調合すること
を含んでなる、代謝機能障害を治療するための食品生産物を製造する方法。
【請求項83】
前記食品生産物が、パン、シリアル、ビスケット、バター、食品塗布物、チーズ、ヨーグルト又は飲料である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記リコピン化合物が、リコピンである、請求項82又は83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記代謝機能障害が:
肥満症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧、脂肪肝、慢性肝炎、肝線維症、肝硬変、及び代謝症候群;
からなる群から選択される、請求項82ないし84のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−535303(P2009−535303A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504825(P2009−504825)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001368
【国際公開番号】WO2007/122382
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508305915)ケムメディカ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】