説明

仮設構造体の健全性判定システム

【課題】GPSを利用して被測定物である仮設構造体の健全性を判定する仮設構造体の健全性判定システムを提供することにある。
【解決手段】仮設構造体の健全性判定システム10は、建設用仮設足場11に設置されたGPS受信装置15と、GPS受信装置15の受信機14がGPS衛星12から受信した観測データに基づいてGPSアンテナ13A〜13D間の基線ベクトル17A〜17Eを算出するコンピュータ16とを備えている。コンピュータ16は、基線ベクトル17A〜17Eによって画成された基準三角形22と実測三角形23との比較要素の相違点を用いて建設用仮設足場11の残留変形を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設構造体の健全性判定システムに関し、更に詳細には、GPSを利用して、例えば、建設用仮設足場や、多数の矢板などで構成された土留め壁などの仮設構造体の変形を検出し、その健全性を判定する仮設構造体の健全性判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビルなどのような高い建物がある場所でもGPSを利用して国土調査や用地測量を行うことのできるGPS測量機が開示されている。この特許文献1に開示されたGPS測量機は、GPS衛生からの衛星電波を受信するGPSアンテナと、衛星電波を受信処理するGPS受信機と、GPSアンテナの三次元座標を算出するコンピュータとを基本的に備え、測量すべき場所の周囲に高い建物があるとGPS衛生からの電波を受信し難くなることからビルの屋上から張り出したGPSアンテナの地上位置を鉛直器で決定することにより測量するものである。このGPS測量機によると、測量地点が地上のどの位置であってもGPSアンテナがその直上(建造物の屋上から張り出した位置)にあるのでGPSアンテナの周辺には障害物がなく、その結果GPSアンテナがGPS衛星からの電波を確実に受信することができる。
【特許文献1】特開平9−203636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されたGPS測量機は、GPS衛生からの電波を受信し難い市街地で如何にしてGPS測量を行うか、という課題に対して解決を与える測量技術であり、GPSを利用して建設用仮設足場や多数の矢板などで構成された土留め壁などの仮設構造体の変形やゆがみを検出し、その健全性を判定するものではなかった。近年、地震の後或いは強風が治まった後に仮設構造体を引き続き使用することができるかを判定するには、作業員が詳細に仮設構造体の状態、即ち、該仮設構造体に変形やゆがみがあるか等を詳細に検査して判定していた。このような検査と判定は、仮設構造体の規模が大きくなると時間と労力が掛かり、短時間では結論を出すことが難しいことから、建設作業に支障を来す。
【0004】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、GPSを利用して、建設用仮設足場や多数の矢板などで構成された土留め壁などの仮設構造体の健全性を即座に判定する仮設構造体の健全性判定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、仮設構造体の健全性を判定するシステムであり、その特徴とするところは、GPSアンテナとGPS受信機とから構成され、仮設構造体の複数の測定ポイントに設置されたGPS受信装置と、前記GPS受信装置の前記GPS受信機がGPS衛星から受信した観測データに基づいて前記GPSアンテナ間の基線ベクトルを算出する計算機とを備え、前記基線ベクトルに囲繞された区域が少なくとも1つの三角形を形成するように各GPSアンテナが前記仮設構造体に配置され、前記計算機が、前記基線ベクトルによって画成された初期の基準三角形を記憶する形状記憶手段と、前記基準三角形の記憶時から所定時間経過後に算出した前記基線ベクトルによって画成される実測三角形を前記基準三角形と比較する比較手段と、前記比較手段によって比較した前記基準三角形と前記実測三角形との比較要素の相違点を用いて前記仮設構造体の残留変形を測定する測定手段とから構成されていることにある。
【0006】
本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムにおける一実施形態としては、前記基線ベクトルに囲繞された区域による三角形が、前記仮設構造体の高さ方向に形成されるように、各前記GPSアンテナが前記仮設構造体に配置されている。
【0007】
本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムにおける他の実施形態としては、前記仮設構造体の近傍における地上の座標確定ポイントに基準局が設置され、前記基準局が誤差推定値を測定し、前記GPS受信装置が前記誤差推定値を用いて擬似距離を補正しつつ測位計算を実行する。
【0008】
本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムにおける他の実施形態としては、前記基準三角形と前記実測三角形との比較要素が、前記基線ベクトルによって画成された前記基準三角形と前記実測三角形との各辺の長さ寸法である。
【0009】
本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムにおける他の実施形態としては、前記基準三角形と前記実測三角形との比較要素が、前記基線ベクトルによって画成された前記基準三角形と前記実測三角形との各内角である。さらに、本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムにおける他の実施形態としては、前記基準三角形と前記実測三角形との比較要素が、前記基線ベクトルによって画成された前記基準三角形と前記実測三角形との比高である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムによれば、仮設構造体の変形測定手段として、実測三角形を基準三角形と比較したときの比較要素の相違点を用いるから、地震や強風による仮設構造体の傾きや捻れ、座屈等の変形を見落とすことなく調査することができ、仮設構造体の健全性を確実にかつ即座に判定することができる。この健全性判定システムは、GPSを利用して基準三角形と実測三角形とを形象し、それら三角形の相違点を抽出するから、目視では不可能なわずかな変形を確実に検出することができる。この健全性判定システムは、基線ベクトルに囲繞された区域が三角形を形成するように各GPS受信装置のGPSアンテナを配置するだけなので、システムの設定に手間がかからず、さらに、システムを容易に移設することができる。
【0011】
また、本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムによれば、仮設構造体の近傍における地上の座標確定ポイントに設置された基準局が誤差推定値を測定し、GPS受信装置が誤差推定値を用いて擬似距離を補正しつつ測位計算を実行するので測定精度を向上させることができ、建設用仮設足場のわずかな変形を確実にかつ即座に検出することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムによれば、基準三角形と実測三角形との比較要素が、基線ベクトルによって画成されたそれら三角形の各辺の長さ寸法であるので、実測三角形の各辺の長さ寸法が基準三角形のそれと相違すれば、建設用仮設足場に傾きや捻れ、座屈等の残留変形を生じたことが分かり、基準三角形と実測三角形との各辺の長さ寸法を比較することによって仮設構造体の健全性を確実に判定することができる。
【0013】
さらに、本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムによれば、基準三角形と実測三角形との比較要素が、基線ベクトルによって画成されたそれら三角形の各内角であるので、実測三角形の各内角の角度が基準三角形のそれと相違すれば、建設用仮設足場に傾きや捻れ、座屈等の残留変形を生じたことが直ちに分かり、基準三角形と実測三角形との各内角の角度を比較することによって仮設構造体の健全性を確実に判定することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムによれば、基準三角形と実測三角形との比較要素が、基線ベクトルによって画成されたそれら三角形の比高であるので、実測三角形の垂直方向の高さ寸法が基準三角形のそれと相違すれば、仮設構造体に傾きや捻れ、座屈等の残留変形を生じたことが直ちに分かり、基準三角形と実測三角形との比高を比較することによって仮設構造体の健全性を確実に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る仮設構造体の健全性判定システム(以下、健全性判定システム、と称する)を図に示される好適な実施の形態について更に詳細に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る健全性判定システム10により健全性を判定する仮設構造体である建設用仮設足場11を概略的に示す斜視図、図2は、GPS衛星12とGPSアンテナ13A〜13Dとの相関関係の一例を示す図、図3は、図1に示される建設用仮設足場11の概略的な平面図であり、GPSアンテナ13A〜13Dどうしの間に延びる基線ベクトル17A〜17Eのイメージ図でもある。図1〜図3に概略的に示される建設用仮設足場11は、建設途中の構造躯体(図示せず)を取り囲むように該構造躯体に近接して設置された全体として角柱状のものを例にしている。建設用仮設足場11は、建築物の建設途中に専ら使用されるが、この発明に係る健全性判定システムで対象とする建設用仮設足場は、例えば、既設の建築物における外壁のリフォーム、塗装、或いは種々の設備や付加的備品の設置工事などの際に既設建築物に近接して設置される場合も含む。
【0016】
この健全性判定システム10は、GPS衛星12が発信した衛星電波を受信するGPSアンテナ13A〜13D、及びこれらGPSアンテナ13A〜13Dに接続されたGPS受信機14からなるGPS受信装置15と、GPS受信機14に接続されたコンピュータ16(計算機)(図3参照)とから構成されている。図1〜図3の健全性判定システム10におけるGPS測位法は、スタティック測位(干渉測位)を採用している。この健全性判定システム10では、複数台のアンテナ13A〜13Dと受信機14とを使用して同時時間帯に観測することにより、多数の基線ベクトル17A〜17Eを同時に求めることができる。測定される基線ベクトル17A〜17Eの数は、図3に示されるように5本である。基線ベクトル17A〜17Eに囲繞された区域は三角形18A,18Bを呈する。図1に示される健全性判定システム10では、コンピュータ16が省略されている。
【0017】
GPS衛星12は、地上約20200kmの上空を周期約11時間58分2秒で周回している。GPS衛星12は、6つの軌道面に4機ずつ計24機配備され、地球上のどの位置からでも常時4機以上の衛星12が幾何学的配置のもとで観測できるように運用されている。衛星12は、衛星電波(搬送波、PRNコード、航法メッセージ)を生成し、生成した衛星電波を3つのブロックに分割して発信している。
【0018】
GPSアンテナ13A〜13Dは、全体として角柱状に設置された建設用仮設足場11(被測定構造物)の最上部における各辺部分のほぼ中間部付近に設置されている。具体的には、建設用仮設足場11は、それを上方から見ると、ほぼ四角形を呈しており、その各辺の中間部付近に各GPSアンテナ13A〜13Dが設置され、各アンテナ13A〜13Dを結ぶ線分(基線ベクトル17A〜17D)が四角形を形成する。各アンテナ13A〜13Dを結ぶ線分で形成される四角形は、1つの対角線により2つに分けられて同一形状の三角形18A,18Bを形成する。なお、それらGPSアンテナ13A〜13Dを結ぶ線分が四角形を形成するようにGPSアンテナ13A〜13Dを配置する必要はなく、線分が菱形や台形を形成するようにGPSアンテナ13A〜13Dを配置してもよい。GPSアンテナ13A〜13Dは、GPS衛星12で生成された衛星電波を受信し、受信した衛星電波をGPS受信機14に出力する。
【0019】
GPS受信機14は、入力された衛星電波を増幅かつ周波数変換し、十分なレベルの電波とした後、コード同期回路でコードの同期(電波伝搬時間の検出)を行う。受信機14は、受信しようとする衛星と同一のC/Aコードパターン基準搬送波(レプリカ)を発生させ、そのタイミングを調整して衛星電波と同期をとる。受信機14では、生成したコードと受信した衛星コードとの相関がもっとも高くなるように時刻を移動させる。相関がもっとも高くなったときにレプリカと衛星電波とが同期し、受信機14が航法メッセージを復調する。次に、受信機14は、測位に用いる搬送波位相を再生する。受信機14は、衛星電波からコードと航法メッセージとを除去し、フィルタリングをかけた後、再生搬送波(サイン波)を得る。再生搬送波は位相同期回路に出力され、受信機14が発生させた搬送波レプリカと比較して2つの波間の位相差(衛星からの搬送波の位相と受信機内搬送波レプリカの位相との差)が測定される。位相差は、位相カウンタに入力され、位相カウンタで積算される。位相差の測定は、受信機時計の秒信号に合わせてあらかじめ設定された時刻間隔(エポック間隔)で行われる。
【0020】
スタティック測位(干渉測位)では、図1に示すように、建設用仮設足場11の複数の測定ポイントPにGPSアンテナ13A〜13DとGPS受信機14とからなるGPS受信装置15を設置して観測を行い、GPS衛星12が天空を移動する位置変化を利用して整数値バイアスを決定する。整数値バイアスによる基線ベクトル17A〜17Eの多重解は、図2に示すように、3組の二重位相差をとる4個の衛星12の位置によって決まる。なお、衛星12の移動によって多重解も移動するが、真の解だけは不動点となる。これを利用し、一定時間連続して観測することで不動点を見つけ出し、基線ベクトル17A〜17Eと整数値バイアスとを同時に確定する。スタティック側位は、位相差積算値を観測量として側位計算を行う。しかし、整数倍の不確定性があるため、衛星12と受信機14との時計誤差を完全に除去しなければならない。そこで、スタティック測位では、位相差積算値を衛星12どうしで差をとるとともに、位相差積算値を受信機14どうしで差をとることによって、衛星12と受信機14とに起因する誤差を解消している。
【0021】
コンピュータ16は、中央処理装置(CPU)とキャッシュメモリとを有する。コンピュータ16は、インターフェイス(有線19)または無線によってGPS受信機14に接続されている(図3参照)。コンピュータ16には、キーボード20やディスプレイ21が設置され、大容量ハードディスクが内蔵されている。コンピュータ16には、図示していないが、プリンタがインターフェイスを介して接続されている。キャッシュメモリの内部アドレスファイルには、このシステムを実行するためのプログラムと、GPS受信機14が観測した観測データを使用して基線解析計算を実行する基線解析アプリケーションとが格納されている。中央処理装置は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、内部アドレスファイルに格納されたプログラムを起動し、プログラムに従ってこのシステムの形状記憶手段や比較手段、測定手段、判定手段、出力手段を実行する。
【0022】
コンピュータ16では、キーボード20を介して内部アドレスファイルに格納された各データを随時変更することができる。なお、コンピュータ16は、携帯用のそれを測定時に持ち込んで、GPS受信機14に接続することもでき、GPS受信機14に接続した状態で建設用仮設足場11に設置することもできる。基線解析アプリケーションは、GPS受信機14が記録した搬送波位相や擬似距離等のデータを解析して基線ベクトルを計算する機能の他に、観測計算を作成するための衛星観測条件計算機能や三次元網平均計算機能を有し、各種測量用ツールを保有している。
【0023】
次に、コンピュータ16による基線ベクトル17A〜17Eの解析の一例を説明する。コンピュータ16は、GPS受信機14から観測ポイントP毎の観測データ(位相データや擬似距離、航法メッセージ)を読み込んだ後、観測時刻(エポック)毎に2つの観測ポイントPにおける同じ衛星毎の位相差を計算する(受信機間一重位相差)。次に、2つの衛星12に関する一重位相差の差をとり、二重位相差を計算する。さらに、エポック間での二重位相差の差をとり、三重位相差(あるエポックの二重位相差とその1つ前のエポックの二重位相差との差)を計算する(位相差の計算)。GPS受信機14から読み込んだ航法メッセージの軌道情報からエポック毎の衛星位置を計算する(衛星位置の計算)。三重位相差と衛星12の位置データとから最小二乗法によって概略の基線ベクトルを計算する(概略の基線ベクトル計算)。そして、三重位相差によって求めた基線ベクトルを近似値として、二重位相差による整数値バイアスの推定と基線ベクトルの計算とを最小二乗法によって行う(整数値バイアス推定と基線ベクトル計算)。整数値バイアスの推定を行った後、整数値バイアスを整数値に固定して最小二乗法によって基線ベクトルを再び計算する(バイアスの整数化)。最終的に計算された基線ベクトルと衛星位置とをもとに理論的な観測値(二重位相差)を作る(統計量の計算)。最終的に計算された基線ベクトルの結果に対して標準偏差等の統計量の評価を行い、基線ベクトル17A〜17Eを決定する。
【0024】
図4,5は、コンピュータ16のディスプレイ21に表示された基準三角形22と実測三角形23とを示す図である。図5では、それら三角形22,23が三次元座標に表示されている。このシステム10では、建設用仮設足場11にGPSアンテナ13A〜13DとGPS受信機14とを設置した直後、受信機14から入力された観測データを使用してコンピュータ16が基線ベクトル17A〜17Eを決定する。コンピュータ16は、基線ベクトル17A〜17Eを使用して、ベクトル17A〜17Eによって画成される二次元または三次元空間上の初期基準三角形22を形象する。コンピュータ16は、基準三角形22を形象すると、それをメモリに格納する(形状記憶手段)。コンピュータ16は、基準三角形22を格納してから所定期間経過後に再び基線ベクトル17A〜17Eを決定し、再度決定した基線ベクトル17A〜17Eを使用して、ベクトル17A〜17Eによって画成される二次元または三次元空間上の実測三角形23を形象する。コンピュータ16は、実測三角形23を形象すると、それをメモリに格納する(形状記憶手段)。実測三角形23を形象するための所定期間に特に限定はなく、期間を自由に決めることができる。たとえば、期間を週単位や月単位、年単位で定めることができるのみならず、地震や台風、地殻変動等の自然災害または火災や土地の掘削による陥没等の人的災害が起こった直後とすることもできる。
【0025】
コンピュータ16は、基準三角形22と実測三角形23とを比較する(比較手段)。比較手段によってそれら三角形22,23を比較したコンピュータ16は、基準三角形22と実測三角形23との比較要素の相違点を抽出し、抽出した相違点によって建設用仮設足場11の残留変形を測定し(測定手段)、さらに、残留変形の値によって建設用仮設足場11の健全性を判定する(判定手段)。なお、健全性とは、建設用仮設足場11が継続して使用可能か、今後何年の使用に耐えられるか、どの部分の補強が必要か等を意味する。また、基準三角形22と実測三角形23との比較要素は、基準三角形22と実測三角形23との各辺の長さ寸法、基準三角形22と実測三角形23との各内角の角度、基準三角形22と実測三角形23との比高(垂直方向の高さ寸法)、基準三角形22に対する実測三角形23の水平方向の移動寸法である。
【0026】
コンピュータ16は、図4に示すように、基準三角形22と実測三角形23とを平面画像としてディスプレイ21に表示する。ディスプレイ21には、図示していないが、基準三角形22の各辺(A−B辺,A−D辺、B−D辺,B−C辺、C−D辺)の長さ寸法が表示され、実測三角形23の各辺(a−b辺,a−d辺、b−d辺,b−c辺、c−d辺)の長さ寸法が表示され、さらに、基準三角形22の各辺の長さ寸法と実測三角形23の各辺の長さ寸法との差(A−B辺の長さ寸法とa−b辺の長さ寸法との差,A−D辺とa−d辺との長さ寸法の差、B−D辺の長さ寸法とb−d辺の長さ寸法との差,B−C辺とb−c辺との長さ寸法の差、C−D辺の長さ寸法とc−d辺の長さ寸法との差)が表示される(出力手段)。
【0027】
また、ディスプレイ21には、基準三角形22の内角の角度(θA,θB1,θD1,θC,θB2,θD2)が表示され、実測三角形23の内角の角度(θa,θb1,θd1,θc,θb2,θd2)が表示され、さらに、基準三角形22のそれぞれの内角と実測三角形23のそれぞれの角度との差(角度θAと角度θaとの差、角度θB1とθb1との差、θD1とθd1との差、角度θCと角度θcとの差、角度θB2とθb2との差、θD2とθd2との差)が表示される(出力手段)。コンピュータ16は、図4の画像をメモリに格納するとともに、基準三角形22と実測三角形23との各辺の長さ寸法、それら三角形22,23の各辺の長さ寸法の差、基準三角形22と実測三角形23との内角の角度、それら三角形22,23の内角の角度の差をメモリに格納する。
【0028】
コンピュータ16は、図5に示すように、三次元座標を用いて基準三角形22と実測三角形23とを立体画像としてディスプレイ21に表示する。ディスプレイ21には、図示していないが、基準三角形22の各点(A点、B点、C点、D点)のX,Y,Z軸における座標が表示され、実測三角形23の各点(a点、b点、c点、d点)のX,Y,Z軸における座標が表示される。さらに、基準三角形22の各点に対する実測三角形23の各点のX,Y,Z軸方向への移動寸法±(基準三角形22のA点に対する実測三角形23のa点のX,Y,Z軸方向への移動寸法、基準三角形22のB点に対する実測三角形23のb点のX,Y,Z軸方向への移動寸法、基準三角形22のC点に対する実測三角形23のc点のX,Y,Z軸方向への移動寸法、基準三角形22のD点に対する実測三角形23のd点のX,Y,Z軸方向への移動寸法)が表示される。コンピュータ16は、図5の画像をメモリに格納するとともに、基準三角形22と実測三角形23との各点の座標、それら三角形22,23の各点のX,Y,Z軸方向への移動寸法をメモリに格納する。コンピュータ16は、図4,5の画像をプリンタにより印刷し、各辺の長さ寸法の差や内角の角度の差、各点のX,Y,Z軸方向への移動寸法をプリンタにより印刷する(出力手段)。
【0029】
コンピュータ16は、基準三角形22の各辺の長さ寸法と実測三角形23のそれとの差、基準三角形22の内角の角度と実測三角形23のそれとの差、基準三角形22の比高と実測三角形23のそれとの差(A点、B点、C点、D点のY軸方向の移動量)から、建設用仮設足場11の健全性を判定し、判定結果(健全性あり、または、健全性なし)を出力する。健全性を判断するそれら差の基準値はあらかじめコンピュータ16に設定されている。コンピュータ16は、判定結果をメモリに格納する。なお、それらの基準値は、測定する構造物の大きさや種類、アンテナ13A〜13Dの設置位置、災害の大小、構造物に築年数等の各要素によって異なり、例示の基準値に限定されず、自由に設定することができる。コンピュータ16では、それら基準値がキーボード20を使って設定、変更される。
【0030】
図1〜図3に示される仮設構造体の健全性判定システム10は、実測三角形23と基準三角形22とを比較したときの比較要素の相違点を用いて建設用仮設足場11の残留変形を測定し、残留変形の値から建設用仮設足場11の健全性を判定するから、自然災害や人的災害が起こった後の建設用仮設足場11の傾きや捻れ、座屈等の変形を見落とすことなく調査することができ、それら災害が起こった後の建設用仮設足場11の健全性、即ち使用可能性を確実且つ即座に判定することができる。このシステム10は、GPSを利用して基準三角形22と実測三角形23とを形象し、それら三角形22,23の相違点を抽出するから、目視では不可能なわずかな残留変形を確実に検出することができる。また、基線ベクトル17A〜17Eに囲繞された区域が三角形22,23を形成するように各GPSアンテナ13A〜13Dを建設用仮設足場11に配置するだけなので、システム10の設定に手間がかからず、さらに、システム10を容易に移設することができる。
【0031】
このシステム10は、実測三角形23の各辺の長さ寸法が基準三角形22の各辺の長さ寸法と相違する場合、実測三角形23の各内角の角度が基準三角形22のそれと相違する場合、実測三角形23の垂直方向の高さ寸法が基準三角形22のそれと相違する場合、実測三角形23の各点が基準三角形22の各点に対して水平方向へ移動する場合、自然災害または人的災害が起こった後の建設用仮設足場11に傾きや捻れ、座屈等の残留変形が生じたことが判るから、基準三角形22と実測三角形23とを比較することによって建設用仮設足場11の健全性を確実に判定することができる。
【0032】
図6には、この発明の第2の実施形態に係る建設用仮設構造体の健全性判定システム30が示されている。この健全性判定システム30では、5つのGPSアンテナ13A〜13Eが建設用仮設足場11に設置されている。GPSアンテナ13A〜13Dは、図1に示される実施形態と同じ位置に設置されているが、GPSアンテナ13Eは、角柱状に設置された建設用仮設足場11の高さ方向に延びる一つの稜線(角部)における高さ方向中間部付近に設置されている。図7は、コンピュータ16のディスプレイ21に表示された基準三角形31と実測三角形32とを示す図である。図7では、それら三角形31,32が三次元座標に表示されている。このシステム10では、建設用仮設足場11にGPSアンテナ13A〜13EとGPS受信機14とを設置した直後、受信機14から入力された観測データを使用してコンピュータ16が基線ベクトル17A〜17Iを決定する。その際、この実施形態では、GPSアンテナ13A〜13Dが同一平面内に設置されているが、GPSアンテナ13Eは、他のGPSアンテナとは地上高が異なる位置に取り付けられているため、高さ位置(GPS衛星からの距離)データも利用してコンピュータ16が基線ベクトル17A〜17Iを決定する。
【0033】
コンピュータ16は、基線ベクトル17A〜17Iを使用して、ベクトル17A〜17Iによって画成される三次元空間上の初期基準三角形31を形象する。コンピュータ16は、基準三角形31を形象すると、それをメモリに格納する(形状記憶手段)。コンピュータ16は、基準三角形31を格納してから所定期間経過後に再び基線ベクトル17A〜17Iを決定し、再度決定した基線ベクトル17A〜17Iを使用して、ベクトル17A〜17Iによって画成される三次元空間上の実測三角形32を形象する。コンピュータ16は、実測三角形32を形象すると、それをメモリに格納する(形状記憶手段)。実測三角形32を形象するための所定期間に特に限定はなく、期間を自由に決めることができる。たとえば、期間を週単位や月単位、年単位で定めることができるのみならず、地震や台風、地殻変動等の自然災害または火災や土地の掘削による陥没等の人的災害が起こった直後とすることもできる。
【0034】
コンピュータ16は、基準三角形31と実測三角形32とを比較する(比較手段)。比較手段によってそれら三角形31,32を比較したコンピュータ16は、基準三角形31と実測三角形32との比較要素の相違点を抽出し、抽出した相違点によって建設用仮設足場11の残留変形を測定し(測定手段)、さらに、残留変形の値によって建設用仮設足場11の健全性を判定する(判定手段)。なお、健全性とは、建設用仮設足場11が継続して使用可能か、どの部分の補強が必要か等を意味する。また、基準三角形31と実測三角形32との比較要素は、基準三角形31と実測三角形32との各辺の長さ寸法、基準三角形31と実測三角形32との各内角の角度、基準三角形31と実測三角形32との比高(垂直方向の高さ寸法)、基準三角形31に対する実測三角形32の水平方向の移動寸法である。
【0035】
具体的には、コンピュータ16は、図7に示すように、三次元座標を用いて基準三角形22と実測三角形23とを立体画像としてディスプレイ21に表示する。ディスプレイ21には、第1の実施形態における図4,図5の平面画像及び立体画像と同様に、基準三角形31の各辺(A−B辺,B−C辺、C−D辺,A−D辺、B−D辺、B−E辺、C−E辺、A−E辺、D−E辺)の長さ寸法が表示され、実測三角形32の各辺(a−b辺,b−c辺、c−d辺,a−d辺、b−d辺、b−e辺、c−e辺、a−e辺、d−e辺)の長さ寸法が表示され、さらに、基準三角形31の各辺の長さ寸法と実測三角形32の各辺の長さ寸法との差が表示される(出力手段)。
【0036】
また、ディスプレイ21には、基準三角形31の内角の角度及び実測三角形32の内角の角度も表示され、基準三角形31のそれぞれの内角と実測三角形32のそれぞれの角度との差も表示される(出力手段)。さらに、ディスプレイ21には、基準三角形31の各点(A点、B点、C点、D点、E点)のX,Y,Z軸における座標が表示され、実測三角形32の各点(a点、b点、c点、d点、e点)のX,Y,Z軸における座標が表示される。加えて、基準三角形31の各点に対する実測三角形32の各点のX,Y,Z軸方向への移動寸法±(基準三角形31のA点に対する実測三角形32のa点のX,Y,Z軸方向への移動寸法、基準三角形31のB点に対する実測三角形32のb点のX,Y,Z軸方向への移動寸法、基準三角形31のC点に対する実測三角形32のc点のX,Y,Z軸方向への移動寸法、基準三角形31のD点に対する実測三角形32のd点のX,Y,Z軸方向への移動寸法、及び基準三角形31のE点に対する実測三角形32のe点のX,Y,Z軸方向への移動寸法)が表示される。コンピュータ16は、図7の画像をメモリに格納するとともに、基準三角形22と実測三角形23との各辺の長さ寸法、それら三角形22,23の各辺の長さ寸法の差、基準三角形22と実測三角形23との内角の角度、それら三角形22,23の内角の角度の差、基準三角形31と実測三角形32との各点の座標、それら三角形31,32の各点のX,Y,Z軸方向への移動寸法をメモリに格納する。コンピュータ16は、図7の画像をプリンタにより印刷し、各辺の長さ寸法の差や内角の角度の差、各点のX,Y,Z軸方向への移動寸法をプリンタにより印刷する(出力手段)。
【0037】
コンピュータ16は、基準三角形31の各辺の長さ寸法と実測三角形32のそれとの差、基準三角形31の内角の角度と実測三角形32のそれとの差、基準三角形31の比高と実測三角形32のそれとの差(A点、B点、C点、D点、E点のY軸方向の移動量)から、建設用仮設足場11の健全性を判定し、判定結果(健全性あり、または、健全性なし)を出力する。健全性を判断するそれら差の基準値はあらかじめコンピュータ16に設定されている。コンピュータ16は、判定結果をメモリに格納する。なお、それらの基準値は、測定する構造物の大きさや種類、アンテナ13A〜13Eの設置位置、災害の大小、構造物に築年数等の各要素によって異なり、例示の基準値に限定されず、自由に設定することができる。コンピュータ16では、それら基準値がキーボード20を使って設定、変更される。
【0038】
図6及び図7に示される仮設構造体の健全性判定システム30は、実測三角形32と基準三角形31とを比較したときの比較要素の相違点を用いて建設用仮設足場11の残留変形を測定し、残留変形の値から建設用仮設足場11の健全性を判定するから、自然災害や人的災害が起こった後の建設用仮設足場11の傾きや捻れ、座屈等の変形を見落とすことなく調査することができ、それら災害が起こった後の建設用仮設足場11の健全性、即ち使用可能性を確実且つ即座に判定することができる。この健全性判定システム10は、GPSを利用して基準三角形31と実測三角形32とを形象し、それら三角形31,32の相違点を抽出するから、目視では不可能なわずかな残留変形を確実に検出することができる。また、基線ベクトル17A〜17Eに囲繞された区域が三角形31,32を形成するように各GPSアンテナ13A〜13Eを建設用仮設足場11に配置するだけなので、健全性判定システム10の設定に手間がかからず、さらに、健全性判定システム10を容易に移設することができる。
【0039】
この健全性判定システム30は、実測三角形32の各辺の長さ寸法が基準三角形31の各辺の長さ寸法と相違する場合、実測三角形32の各内角の角度が基準三角形31のそれと相違する場合、実測三角形32の垂直方向の高さ寸法が基準三角形31のそれと相違する場合、実測三角形32の各点が基準三角形31の各点に対して水平方向へ移動する場合、自然災害または人的災害が起こった後の建設用仮設足場11に傾きや捻れ、座屈等の残留変形が生じたことが判るから、基準三角形31と実測三角形32とを比較することによって建設用仮設足場11の健全性を確実に判定することができる。
【0040】
図8には、さらに第3の実施形態に係る仮設構造体の健全性判定システム40が示されている。図8に示される健全性判定システム40におけるGPS測位法は、ディファレンシャル測位を採用したもので、建設用仮設足場11(被測定構造物)の近傍における地上41の座標確定ポイントQに基準局42(GPSアンテナ及び受信機からGPS受信装置)が設置されている。測定される基線ベクトル17A〜17Eは、第1の実施形態と同様に5本であり、従って図5に示されるようにこれら基線ベクトル17A〜17Eにより囲繞された区域は三角形18A,18Bを呈する。GPS受信機14は、入力された衛星電波を増幅かつ周波数変換し、十分なレベルの電波とした後、コード同期回路でコードの周期(電波伝搬時間の検出)を行う。受信機14は、受信しようとする衛星12と同一のC/Aコードパターン基準搬送波(レプリカ)を発生させ、そのタイミングを調整して衛星電波と同期をとる。受信機14では、生成したコードと受信した衛星コードとの相関がもっとも高くなるように時刻を移動させる。相関がもっとも高くなったときにレプリカと衛星電波とが同期し、受信機14が航法メッセージを復調する。このとき、受信機14内で発生したC/Aコード時刻が衛星電波の到達時間となり、それによって受信機14が電波伝搬時間を算出する。受信機14は、電波伝搬時間に光速をかけて疑似距離を算出する。しかし、この疑似距離には、受信機時計の誤差が残る。
【0041】
ディファレンシャル測位では、疑似距離の前記誤差を補正することによって測位精度を向上させる。最初に、疑似距離の誤差を推定するため、測地座標が正確に求められた座標確定ポイントQに基準局42を設置し、基準局42が各衛星12からの衛星電波を観測して観測距離(生の疑似距離L1)を求める。一方、基準局42の測地座標は正確にわかっており、航法メッセージで送られる軌道情報から計算した衛星位置座標に基づいて、衛星12と基準局42のアンテナ(観測ポイントQ)との間の幾何学的距離L2が算出される。したがって、擬似距離L1から幾何学的距離L2を引くことにより、擬似距離誤差の誤差推定値L3(補正量)を求めることができる。ディファレンシャル測位では、観測している各衛星15についての誤差推定値L3を、衛星12を介して各観測ポイントPのGPS受信機17に送信する。受信機14は、この誤差推定値L3を使用してそれが受信した擬似距離L4を補正し、測位計算を行う。なお、基準局42は、各衛星12についての誤差推定値L3を直接受信機14に送信することも、またコンピュータ16を介して受信機14に送信することもできる。
【0042】
このシステム40では、GPSアンテナ13A〜13DとGPS受信機14とを設置し、さらに基準局42を設置した直後、受信機14から入力された観測データを使用してコンピュータ16が基線ベクトル17A〜17Eを決定する。コンピュータ16のディスプレイ21には、図4及び図5に示されるように基準三角形22と実測三角形23とが表示される。コンピュータ16のキャッシュメモリに格納された基線解析アプリケーションは、GPS受信機14が記録した擬似距離L4のデータを解析して基線ベクトル17A〜17Eを計算する。コンピュータ16は、基線ベクトル17A〜17Eを使用して、ベクトル17A〜17Eによって画成される二次元または三次元空間上の初期基準三角形22を形象する。コンピュータ16は、基準三角形22を形象すると、それをメモリに格納する(形状記憶手段)。コンピュータ16は、基準三角形22を格納してから所定期間経過後に再び基線ベクトル17A〜17Eを決定し、再度決定した基線ベクトル17A〜17Eを使用して、ベクトル17A〜17Eによって画成される二次元または三次元空間上の実測三角形23を形象する。コンピュータ16は、実測三角形23を形象すると、それをメモリに格納する(形状記憶手段)。その後の解析および建設用仮設足場11における健全性の判定は、第1の実施形態と同じであるのでその説明を省略する。
【0043】
図1及び図8に示される健全性判定システム10,40では、GPSアンテナ13A〜13Dを、また図6に示される健全性判定システム30では、GPSアンテナ13A〜13Eを建設用仮設足場11に設置して、該建設用仮設足場11の健全性を判定する場合を例として説明したが、GPS受信装置15を図9に示されるように土留め壁50に設置して、土留め壁50の健全性を判定することもできる。具体的に説明すると、例えば建造物の基礎工事や地下階建設工事を行う場合には、地面を所定深さ掘り下げ、多数の鋼矢板又はH鋼などの矢板51を用いて土留め壁50とする。この土留め壁50に、GPSアンテナ13A,13B,………及びGPS受信機14からなるGPS受信装置15を第1,第2,第3の実施形態と同様に、それらGPSアンテナを結ぶ基線ベクトルが三角形を形成するように設置する。土留め壁50に設置された複数のGPS受信装置15を用いて該土留め壁50の健全性を判定する方法は、すでに説明した第1,第2,第3の実施形態の場合と同じであるのでその説明を省略する。このように複数のGPS受信装置15を土留め壁50に設置することにより前述した各実施形態と同様に土留め壁50の捻れや変形などの発生を確実かつ容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】仮設構造体の健全性判定システムの第1の実施形態として、建設用仮設足場の健全性を判定すべくGPS受信装置が設置された建設用仮設足場を概略的に示す斜視図である。
【図2】GPS衛星とGPSアンテナとの相関関係の一例を示す構成説明図である。
【図3】図1に示される建設用仮設足場を上部から見た、GPSアンテナどうしの間に延びる基線ベクトルのイメージ図である。
【図4】ディスプレイに表示された基準三角形と実測三角形とを示す構成説明図である。
【図5】ディスプレイに表示された基準三角形と実測三角形とを三次元的に示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る仮設構造体の健全性判定システムで用いる建設用仮設足場の健全性を判定すべくGPS受信装置が設置された建設用仮設足場を概略的に示す斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係る仮設構造体の健全性判定システムにおいてディスプレイに表示された基準三角形と実測三角形とを三次元的に示す図である。
【図8】第3の実施形態としてディファレンシャル側位を用いた建設用足場の健全性判定システムを説明する説明図である。
【図9】本発明に係る仮設構造体の健全性判定システムを用いて土留め壁の健全性を判定する場合の土留め壁を概略的に示す斜視図である
【符号の説明】
【0045】
10,30,40 仮設構造体の健全性判定システム
11 建設用仮設足場(仮設構造体)
12 GPS衛星
13A〜13E GPSアンテナ
14 GPS受信機
15 GPS受信装置
16 コンピュータ(計算機)
17A〜17I 基線ベクトル
18A,18B 三角形
19 インターフェイス
22 基準三角形
23 実測三角形
41 地上
42 基準局
P 測定ポイント
Q 座標確定ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPSアンテナとGPS受信機とから構成され、仮設構造体の複数の測定ポイントに設置されたGPS受信装置と、前記GPS受信装置の前記GPS受信機がGPS衛星から受信した観測データに基づいて前記GPSアンテナ間の基線ベクトルを算出する計算機とを備え、
前記基線ベクトルに囲繞された区域が少なくとも1つの三角形を形成するように各GPSアンテナが前記仮設構造体に配置され、
前記計算機が、前記基線ベクトルによって画成された初期の基準三角形を記憶する形状記憶手段と、前記基準三角形の記憶時から所定時間経過後に算出した前記基線ベクトルによって画成される実測三角形を前記基準三角形と比較する比較手段と、前記比較手段によって比較した前記基準三角形と前記実測三角形との比較要素の相違点を用いて前記仮設構造体の残留変形を測定する測定手段とを有する仮設構造体の健全性判定システム。
【請求項2】
前記基線ベクトルに囲繞された区域による三角形が、前記仮設構造体の高さ方向に形成されるように、各前記GPSアンテナが前記仮設構造体に配置されている請求項1に記載の仮設構造体の健全性判定システム。
【請求項3】
前記仮設構造体の健全性判定システムでは、前記仮設構造体の近傍における地上の座標確定ポイントに基準局が設置され、前記基準局が誤差推定値を測定し、前記GPS受信装置が前記誤差推定値を用いて擬似距離を補正しつつ測位計算を実行する請求項1又は2に記載の仮設構造体の健全性判定システム。
【請求項4】
前記基準三角形と前記実測三角形との比較要素が、前記基線ベクトルによって画成された前記基準三角形と前記実測三角形との各辺の長さ寸法である請求項1〜3のいずれかに記載の仮設構造体の健全性判定システム。
【請求項5】
前記基準三角形と前記実測三角形との比較要素が、前記基線ベクトルによって画成された前記基準三角形と前記実測三角形との各内角である請求項1〜3いずれかに記載の仮設構造体の健全性判定システム。
【請求項6】
前記基準三角形と前記実測三角形との比較要素が、前記基線ベクトルによって画成された前記基準三角形と前記実測三角形との比高である請求項1〜3いずれかに記載の仮設構造体の健全性判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−175676(P2008−175676A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8912(P2007−8912)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【出願人】(500206663)株式会社モダンエンジニアリングアンドデザイン (3)
【Fターム(参考)】