説明

会合型基を含む樹枝状分子から形成された材料

【課題】樹枝状分子を含む材料と、その製造方法と、その使用、この材料を含む組成物、特に化粧組成物。
【解決手段】各樹枝状分子は少なくとも二官能性のフラグメントと、少なくとも三官能性のフラグメントとから成り、これらのフラグメントはエステルまたはチオエステル架橋によって単独でまたはアミドまたはウレア架橋と一緒に結合され、上記架橋は互いに異なるフラグメントに属する2つの官能基から形成され、樹枝状分子は樹枝分岐の端に位置するフラグメントに会合型末端基を含み、この会合型末端基は水素結合によって互いに会合を形成でき且つ上記架橋に関与しない官能基と共有結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な超分子 (supermolecular) 材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆる超分子材料は非共有結合、例えば水素結合、イオン結合および/または疎水結合によって結合された化合物で構成される材料である。これらの材料の利点は上記物理的結合に可逆性がある、特に温度の影響または選択溶剤の作用で上記物理的結合に可逆性がある点にある。従って、塗布分野、例えばコーティング材料(塗料、化粧品)、接着剤、ホットメルト接着剤、粉末塗料で使用できる。
【0003】
これらその中にはさらにエラストマー特性を有するものもある。従来のエラストマーと違って、これらの材料は所定温度以上で流体になり、塗布が容易になり、特に金型充填が容易になり、再利用も容易になるという利点がある。これらの材料は架橋ポリマーから成るのではなく、小さな分子から成り、エラストマーのように、長期間、寸法安定性を示し、大きく変形した後も初期形状を回復することができる。これらの材料はシール、断熱材または防音材、タイヤ、ケーブル、金属被覆、靴底、包装材料、パッチ(化粧または皮膚医薬用)、創傷包帯、フレキシブルホースクリップ、真空管、流体輸送用パイプおよびホースの製造で使用できる。
【0004】
超分子材料は本発明者によって既に説明されている。すなわち、特許文献1(国際特許第03/059964号公報)にはともに遊離した第1級または第2級アミン官能基を含む尿素(ウレア)をポリアルキレンイミン、ポリアミンまたはポリアミドと反応させて得られる超分子材料が記載されている。得られたプレポリマーはイミダゾリドン官能基および遊離第1級または第2級アミン官能基を有することができる。これらの官能基はハロゲン化アルキルと反応できる。ポリアミンを脂肪酸のダイマーおよびトリマーと縮合することでポリアミドが得られる。この材料はエラストマー特性を示さない。
【0005】
特許文献2(国際特許第2006/016041号公報)には、イミダゾリドン基、例えばN−アミノエチル−2−イミダゾリドン(UDETA)を有する化合物を、無水物官能基を含むポリマー、例えばPMMAにグラフトして得られる超分子材料が開示されている。
【0006】
特許文献3(国際特許出願第2008/029065号公報)にはさらに別の超分子材料が記載されている。これは脂肪酸のダイマーおよび/またはトリマーと、会合型基を含む化合物との反応によって得られる。
【0007】
特許文献4(国際特許第2006/087475号公報)にも超分子エラストマー材料が開示されている。この超分子エラストマー材料は少なくとも3つの会合型官能基、例えばイミダゾリドン基を含む分子を有する。これらの官能基は複数の物理的結合を形成でき、且つ、ウレアを、ポリアミンと三酸との反応生成物と反応させて得ることができる。
【0008】
上記材料の欠点はその製造方法でウレアを用いる必要があり、アンモニアを放出させることにある。さらに、特許文献4(国際特許出願第2006/087475号公報)に記載のようなエラストマー材料を得るためには操作条件、例えば反応物の純度、反応物の導入順序、反応の持続時間、温度および混合物の均一性を厳密に制御しなければならない。特に、ポリアミン、例えばジエチレントリアミン、DETAまたはトリエチレンテトラミン、TETAと、脂肪酸との重縮合で得られる脂肪酸から得られるオリゴアミドアミンは、エラストマーを生成するために、純度および重縮合度に関する極めて特異な基準を満たさなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際特許第03/059964号公報
【特許文献2】国際特許第2006/016041号公報
【特許文献3】国際特許出願第2008/029065号公報
【特許文献4】国際特許第2006/087475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者は、容易に塗布でき、反応物としてウレアを用いる従来法と対照的にアンモニアを放出しない方法によって得られる、新規な超分子材料を開発した。
本発明材料は、上記文献に記載の材料とは対照的に、特定の樹枝状(dendric)構造を有する分子から成り、得られる構造体は合成に用いる反応物の比率に応じて極めて多様な特性を材料に与えることができる。すなわち、出発化合物中に存在する反応性官能基の数および合成の第1段階の最後に残る反応性官能基の数に応じて(これらの数は出発化合物の選択および適切な化学量論比を用いることで容易に調節できる)、半結晶または非晶質固体、粘弾性液体またはエラストマー材料、必要な場合には熱可塑性樹脂にすることができ、選択、制御できる。より正確には、モノマーの平均官能性が高くない場合には粘弾性挙動を有し、必要に応じて半結晶または非晶質固相を有するほぼ直鎖の分子が得られる。一方、上記官能性が高い場合には、エラストマー特性を示す、不溶画分を含むことのある網状ネットワークが形成される。さらに、自己修復能/耐クリープ性または流動性/耐破断性等の特性をバランスさせた材料を得ることもできる。
【0011】
従って、特に、熱可塑性エラストマーの特性を有する材料、すなわち、室温で、有利には15分間で少なくとも20%の単軸変形し、次いで、応力を除去したときに、その初期寸法をその初期寸法の5%以下の永久歪みで回復することができ且つ高温で成形または再成形できる材料を得ることができる。
この材料はさらに自己回復(self-healing)もできる。すなわち、切断、破断または引掻き後に、単に破面を再度接触させるだけで自己修復でき、加熱や大きな圧力や化学反応を必要としない、ということがわかっている。こうして修復された材料は依然としてエラストマー特性を示す。
【0012】
本発明の材料は、第1段階で少なくとも三官能性である高比率の分子を含む第1化合物と、一種以上の会合型基を含む第2化合物とを、遊離官能基を第1化合物に残すことができる非化学量論比で反応させ、得られた材料を第2段階で少なくとも二官能性である化合物と反応させることを含む方法によって得ることができる。
【0013】
国際特許第WO 93/11200号には、2つの成分AおよびBを有する系を含む架橋可能なホットメルト接着剤が記載されている。この2つの成分はそれぞれ成分(Ab)、例えば遊離アミン官能基を有するポリアミドを含み、この成分(Ab)は成分(Bb)のエポキシ樹脂との反応によって架橋できる。
【特許文献6】国際特許第WO 93/11200号
【0014】
ポリアミド自体は、モノマーおよびダイマー脂肪酸の混合物と、少なくとも2つの第1級アミノ基を含む化合物との反応によって得られる。変形例では成分(Ab)をアミノアルキルイミダゾリドンにすることができる。考えられる成分(Bb)の例は、ビスフェノールA(DGEBA)のジグリシジルエーテルである。しかし、化合物(Ab)をトリマー脂肪酸およびアミノアルキルイミダゾリドンから得られるアミドにはできないと考えられる。従って、この方法では本発明の材料を構成する特定の樹枝状分子を得ることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の対象は、樹枝状分子を含む材料であって、各樹枝状分子が少なくとも二官能性であるフラグメントと、少なくとも三官能性であるフラグメントとから成り、これらのフラグメントはエステルまたはチオエステル架橋によって単独でまたはアミドまたはウレア架橋と一緒に結合され、上記架橋は互いに異なるフラグメントに属する2つの官能基で形成され、樹枝状分子は樹枝分岐の端に位置するフラグメントに会合型末端基を含み、この会合型末端基は水素結合によって互いに会合を形成でき且つ上記架橋に関与しない官能基に共有結合されている材料にある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい一実施例の本発明材料は下記(a)と(b)の一連の段階を含む方法で得られる:
(a)第1および第2官能基を有する少なくとも三官能基である少なくとも一つの化合物(A)を、この(A)の第1官能基と反応可能な少なくとも一つの反応基と少なくとも一つの会合型基を含む少なくとも一つの化合物(B)と反応させ、
(b)(a)段階で得られた一種以上の化合物を、少なくとも二官能性である少なくとも一つの化合物(C)との反応させ、上記の二官能性官能基は化合物(A)の第2官能基と反応可能でエステルまたはチオエステル架橋を単独でまたはアミドまたはウレア架橋と一緒に形成する。
【0017】
本発明はさらに、上記方法とそれによって得られた材料にも関するものである。
本発明で「樹枝状(dendric)」とは樹状または分岐した分子を意味し、その主鎖は少なくとも2つの分岐を有する。この定義は同じ分子の複数の分岐が互いに結合してリングを形成する可能性を除外するものではない。
本発明の樹枝状分子の一つの画分は水および任意の有機溶剤に不溶であってよい。
【0018】
「会合型基 (associative group)」とは水素結合、有利には1〜6個の水素結合を介して互いに会合できる基を意味する。本発明で使用可能な会合型基の例としてはイミダゾリドニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビス−ウレイルおよびウレイド−ピリミジル基が挙げられる。材料1モル当たりの会合型末端基の平均数は少なくとも3であるのが好ましく、有利には最大で6である。この会合型末端基は分子に共有的に結合される。「共有的 (covalently)」とは会合型基が分子の末端官能基に直接結合するか、好ましくは鎖、特にアルキレンを介して結合することを意味する。
【0019】
「反応基」または「官能基」とは他の化学官能基と反応して共有結合を形成でき、それによって特にエステル、チオエステル、アミド、ウレアまたはウレタン架橋、特にエステルおよびアミド架橋を形成できる化学官能基を意味する。「二官能性」化合物とは2つの反応性官能基を有する化合物を意味し、互いに同一でも異なっていてもよい。「少なくとも三官能性」化合物とは少なくとも3つの反応性官能基を有する化合物を意味し、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0020】
本発明で「フラグメント(断片)」とは上記定義の2または3つの架橋の間に位置する分子の単位を意味する。「二官能性」フラグメントは二官能性化合物から得られるフラグメントで、「三官能性」フラグメントは三官能性化合物から得られるフラグメントである。本発明の樹枝状分子は少なくとも一つの二官能性、有利には二官能性であるフラグメントと、少なくとも一つの三官能性、有利には三官能性であるフラグメントとを含む。
【0021】
本発明方法の第1段階で用いる化合物(A)は酸、エステルまたは塩化アシル官能基の中から選択される少なくとも一つの3つの官能基(互いに同一でも異なっていてもよい)を有することができる。化合物(A)は5〜100、好ましくは12〜100、さらに好ましくは24〜90の炭素原子を含むのが有利である。
【0022】
化合物(A)は本発明方法の第1段階で単官能性および二官能性化合物、例えばモノ酸およびジ酸、特に脂肪酸のモノマーおよびダイマーと混合できる。
【0023】
トリマー(互いに同一または異なる3つのモノマーのオリゴマー)および植物由来の脂肪酸のダイマーおよびトリマーの混合物を用いるのが好ましい。これらの化合物は下記のような不飽和脂肪酸のオリゴマー化によって得られる:ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エイコセン酸、ドコセン酸〔これらはマツ油(トールオイル脂肪酸)、菜種油、コーン油、ヒマワリ油、大豆油、ブドウ種子油、アマニ油、ホホバ油で通常みられる〕、および魚油でみられるエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸。
【0024】
脂肪酸のトリマーの例としては、18個の炭素原子を有する脂肪酸から得られる環状トリマーを表す下記式の化合物が挙げられる。市販の化合物はこれらの構造物(場合によって部分的または完全に水素化された)の立体異性体と位置異性体との混合物である。
【化1】

【0025】
直鎖または環状のC18脂肪酸のダイマー、トリマーおよびモノマーを含む脂肪酸のオリゴマーの混合物を用いることができる。この混合物は主としてダイマーおよびトリマーから成り、数%(通常は5%以下)のモノマーを含む。この混合物は下記を含むのが好ましい:
0.1〜40重量%、好ましくは0.1〜5重量%の互いに同一または異なる脂肪酸のモノマー、
0.1〜99重量%、好ましくは18〜85重量%の互いに同一または異なる脂肪酸のダイマー、
0.1〜90重量%、好ましくは5〜85重量%の互いに同一または異なる脂肪酸のトリマー。
【0026】
脂肪酸のダイマー/トリマー混合物の例としては下記のものが挙げられる(重量%):
Uniqema社の製品Pripol(登録商標)1017(75〜80%のダイマーと18〜22%のトリマーとの混合物、約1〜3%のモノマー脂肪酸を有する)、
Uniqema社の製品Pripol(登録商標)1048(50/50%のダイマー/トリマー混合物)、
Uniqema社の製品Pripol(登録商標)1013(95〜98%のダイマーと2〜4%のトリマーとの混合物、最大で0.2%のモノマー脂肪酸を有する)、
Uniqema社の製品Pripol(登録商標)1006(92〜98%のダイマーと最大で4%のトリマーとの混合物、最大で0.4%のモノマー脂肪酸を有する)、
Uniqema社の製品Pripol(登録商標)1040(少なくとも75%のトリマーと1%以下のモノマー脂肪酸を有する脂肪酸のダイマーとトリマーとの混合物)、
Arizona Chemical社の製品Unidyme(登録商標)60(33%のダイマーと67%のトリマーとの混合物、1%以下のモノマー脂肪酸を有する)、
Arizona Chemical社の製品Unidyme(登録商標)40(65%のダイマーと35%のトリマーとの混合物、1%以下のモノマー脂肪酸を有する)、
Arizona Chemical社の製品Unidyme(登録商標)14(94%のダイマーと、5%以下のトリマーと、その他の高級オリゴマーとの混合物、約1%のモノマー脂肪酸を有する)、
Cognis社の製品Empol(登録商標)1008(92%のダイマーと、3%の高級オリゴマー、主としてトリマーとの混合物、約5%のモノマー脂肪酸を有する)、
Cognis社の製品Empol(登録商標)1018(81%のダイマーと、14%の高級オリゴマー、主としてトリマーとの混合物、約5%のモノマー脂肪酸を有する)、
Oleon社の製品Radiacid(登録商標)0980(少なくとも70%のトリマーを有するダイマーとトリマーとの混合物)。
【0027】
製品Pripol(登録商標)、Unidyme(登録商標)、Empol(登録商標)およびRadiacid(登録商標)はC18脂肪酸のモノマーおよびC18の倍数に対応する脂肪酸のオリゴマーを含む。
本発明の一つの変形例では、三酸の代わりに、化合物(A)として、少なくとも3つのエステルまたは塩化アシル官能基を含む化合物を用いることができる。
【0028】
エステルの例としては脂肪酸のトリマーまたは上記定義の脂肪酸のオリゴマーの混合物のメチル、エチルまたはイソプロピルエステル(好ましくはメチル)が挙げられる。
別の変形例では、化合物(A)は少なくとも2つの異なる官能基、有利には酸、エステルおよび塩化アシル官能基を含む少なくとも三官能性である化合物にすることができる。
化合物(B)は少なくとも一つの反応基を含み、この反応基は特に第1級または第2級アミンまたはアルコール基の中から選択できる。変形例では、化合物(B)はこれらの基を少なくとも2つ(互いに同一でも異なっていてもよい)を含むことができる。
【0029】
化合物(B)の反応基が化合物(A)の第1および第2官能基とも反応可能な場合には、本発明方法の第1段階での化合物(A)の官能基の合計に対する化合物(B)の反応基の数の比を0.1〜0.8、好ましくは0.3〜0.8の範囲にするのが好ましい。
【0030】
化合物(B)は下記式(B1)〜(B3)のいずれか一つに対応することができる:
【化2】

【0031】
(ここで、
Rは少なくとも一つの第1級または第2級アミンまたはアルコール基を含む単位を表し、
R’は水素原子を表し、
Aは酸素または硫黄原子または−NH基、好ましくは酸素原子を表す)
【0032】
化合物(B)の好ましい例は2−アミノエチルイミダゾリドン(UDETA)、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)、1−(2−{2−[(2−アミノエチルアミノ)エチル]アミノ)エチル]イミダゾリドン(UTEPA)、3−アミノ−1,2,4−トリアゾ−ルおよび4−アミノ−1,2,4−トリアゾ−ルである。
【0033】
上記の方法の第1段階の最後に得られる化合物の例としては、下記のものが挙げられる:
Empol(登録商標)1008とUDETAとの反応で得られるUDe 1008、
Unidyme(登録商標)60とUDETAとの反応で得られるUDe 1060、
Empol(登録商標)1008とUnidyme(登録商標)60とUDETAとの反応で得られるUDe 1060/1008、
Pripol(登録商標)1017とUDETAとの反応で得られるUDe 1017、
Pripol(登録商標)1048とUDETAとの反応で得られるUDe 1048、
Unidyme(登録商標)14とUDETAとの反応で得られるUDe 1014、
Pripol(登録商標)1040とUDETAとの反応で得られるUDe 1040、
Radiacid(登録商標)0980とUDETAとの反応で得られるUDe 0980。
【0034】
出発脂肪酸に応じて融点(Tm)が大抵の場合30〜150℃で、ガラス転移温度(Tg)が大抵の場合−50℃〜20℃である半結晶の化合物が得られる。
次いで、この化合物を本発明方法の第2段階で少なくとも二官能性である化合物(C)と反応させて、(C)の官能基を化合物(A)の第2官能基すなわち残りの反応性官能基と反応させる。この段階では化合物(C)の単独重合につながる可能性のある触媒条件を避ける必要がある。
【0035】
化合物(C)はエポキシ、アルコールおよびアミン官能基の中から選択される少なくとも2つの官能基を含み、これらは互いに同一でも異っていてもよい。化合物(C)はジエポキシドであるのが好ましい。従って、下記の中から選択できる:ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、または、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸のジグリシジルエーテル、不飽和ポリエポキシ化脂肪酸、およびエポキシ化リモネンおよびこれらの混合物。
【0036】
変形例では、化合物(C)は少なくとも3つのエポキシド官能基を含むポリエポキシドにすることができ、例えば下記の中から選択できる:ヒマシ油のトリグリシジルエーテル、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパントリグリシジルエーテル、トリスフェノールトリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、グリセロールエトキシレートトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ポリ(グリシジルアクリレート)、ポリグリシジルメタクリレート、不飽和ポリエポキシ化脂肪酸、エポキシ化植物油、エポキシ化魚油およびエポキシ化リモネン。
【0037】
さらに別の変形例では、化合物(C)はジオールにすることができる。この場合は、化合物(C)は下記の中から選択できる:エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヒドロキシ末端を有するポリエステル、ヒドロキシ末端を有するポリブタジエン、ヒドロキシ末端を有するポリジメチルシロキサン、ヒドロキシ末端を有するポリイソブチレン、ヒドロキシ末端を有するポリブタジエン−コ−アクリロニトリルコポリマー、脂肪酸から得られるジオールダイマーおよびこれらの混合物。
【0038】
別の可能性では、化合物(C)は少なくとも3つのアルコール官能基を含むポリオールにすることができる。このような化合物の例としては特に下記のものが挙げられる:砂糖、例えばソルビトール、ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパンおよびグリセロールおよびそのエトキシ化およびプロポキシ化誘導体、Uniqema社の製品Pripol 2033のような脂肪酸から得られるヒマシ油およびジオールダイマー。
【0039】
本発明の材料は、化合物(B)の反応基(有利には第1級または第2級アミン)と化合物(A)の「第1官能基」とよばれる反応性官能基(有利には酸官能基)との反応によって合成方法の第1段階で生成した結合架橋、好ましくはアミドと、化合物(A)の「第2官能基」とよばれる残りの反応性官能基(好ましくは酸)と化合物(C)の反応性官能基(有利にはエポキシ)との反応によって第2段階で生成した結合架橋(有利にはエステル)とを含むことは理解できよう。本発明材料はそれを構成する分子に属する会合型基間の水素結合をさらに含む。温度上昇によって破壊されるこれらの可逆性水素結合の存在によって室温で再形成ができ、しかも、溶融状態で低粘度にすることができ、従って、本発明材料の塗布が容易になり、必要に応じて、高分子量ではないが、室温での破断点伸びが高い材料にすることができる。
【0040】
本発明材料を構成する樹枝状分子は可溶画分と、任意成分としての不溶画分すなわち材料の重量の0.1〜90%を占め且つ任意の溶媒に任意の比率で溶けない画分とを含む。可溶画分の数平均分子量は300〜300,000g/モル(GPCで測定)であるのが好ましい。
【0041】
本発明の一つの実施例では、一分子当たりの会合型末端基の平均数は少なくとも1.2、好ましくは少なくとも2、さらには少なくとも2.2である。
本発明材料はさらに、化合物(A)が脂肪酸のモノマーおよび/またはダイマーと混合した脂肪酸のトリマーを含む場合に、上記の樹枝状分子以外の分子を含むことができることは理解できよう。本発明材料は少なくとも数で25%、好ましくは少なくとも数で50%の樹枝状分子を含むのが有利である。
【0042】
本発明材料は疎水性分子間結合、有利には上記各樹枝状分子に結合したアルキル基の間の相互作用による疎水性分子間結合をさらに含むのが好ましい。本発明で「アルキル」とは例えば側基(Cn2n+1)を意味し、アルキレン鎖(Cn2n)ではない。特に、これらの分子のそれぞれがC6〜C24アルキル鎖を、有利には会合型末端基より大きい数で、含むのが好ましい。特に脂肪酸のトリマーの場合、これらの分子は特に化合物(A)によって供給できる。
【0043】
上記化合物(A)、(B)、(C)は本発明方法では溶融状態または溶剤を用いて導入できる。
本発明方法で用いる(A)、(B)、(C)の比率によって本発明材料の機械的特徴が決定する。
本発明材料はエラストマー特性、すなわち、室温で単軸変形でき且つ応力を除去したときにその初期寸法を回復でき、永久歪みはその初期寸法の5%以下である特性を示すのが有利である。
【0044】
本発明材料はさらに、自己修復特性を示すのが好ましい。これは、破断するまで伸ばした後に、破断が生じた材料の面を室温で接触させた材料が再結合し、再度張力を加えることができる能力を意味する。
既に述べたように、本発明方法で用いる(A)、(B)、(C)の比率および種類によって本発明の材料の機械的特徴が決定する。
【0045】
従って、本発明材料は下記であるのが好ましい:
化合物(A)は下記酸の少なくとも一つのトリマーである:ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エイコセン酸、ドコセン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸。
化合物(B)は下記の中から選択される:2−アミノエチルイミダゾリドン(UDETA)、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)、1−(2−{2−[(2−アミノエチルアミノ)エチル]アミノ)エチル]イミダゾリドン(UTEPA)、3−アミノ−1,2,4−トリアゾ−ルおよび4−アミノ−1,2,4−トリアゾ−ル。
【0046】
化合物(C)は下記の中から選択される:ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸のジグリシジルエーテル、不飽和ポリエポキシ化脂肪酸、エポキシ化リモネンおよびこれらの混合物、または、ヒマシ油のトリグリシジルエーテル、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパントリグリシジルエーテル、トリスフェノールトリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールプロポキシレートトリグリシジルエーテル、グリセロールエトキシレートトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ポリ(グリシジルアクリレート)、ポリグリシジルメタクリレート、不飽和ポリエポキシ化脂肪酸、エポキシ化植物油、エポキシ化魚油、エポキシ化リモネンおよびこれらの混合物。
【0047】
本発明材料、特に「自己修復」材料は特に下記の製造で使用できる:シール、時計バンド、断熱材または防音材、タイヤ、輪ゴム、ケーブル、金属被覆材、靴底、包装材料、被覆材(塗料、フィルム、化粧品、シール被覆)、パッチ(化粧または皮膚医薬用)または活性物を捕捉および放出する他の装置、創傷包帯、フレキシブルホースクリップ、真空管、流体輸送用パイプおよびホース、一般に良好な耐破断および/または疲労性を必要とし且つ自己修復特性を必要とする部品、またはホットメルト接着剤および接着剤用の添加剤。
【0048】
本発明の「自己修復」材料は新規な形状の製造、例えばOリングまたは平面シール、特に直管、プレート、シリンダまたは薄板の両端を当節させる製造で使用することもできる。
本発明の別の対象は本発明材料の上記目的での使用にある。
【0049】
これらの用途では、本発明材料はそのまま、すなわち単相か、一種以上の化合物、例えば石油画分、溶剤、無機および有機充填剤、可塑剤、粘着付与樹脂、酸化防止剤、顔料および/または着色剤との、例えばエマルション、懸濁状態または溶液状態での多相混合物として使用できる。さらに、本発明の上記方法の段階(b)で得られた材料にタルクを例えば散粉によって添加し、そのハンドリングを容易にし、必要に応じて、金型成形時の金型からの取り出しを容易にするのが有利である。
【0050】
変形例では本発明材料は、通常生理学的許容される(すなわち角質物質と相溶性のある)媒体を含む化粧組成物の製造に使用できる。
本発明の別の対象は上記材料と、任意成分としての少なくとも一つのオイルおよび/または水および/またはアルコールを含む化粧組成物にある。
【0051】
本発明のさらに別の対象は、皮膚および/または皮膚付属器(例えばまつげ、爪)および/または唇の手入れおよび/またはメーキャップまたは髪の洗浄、調整および/または整髪での上記化粧組成物の使用にある。
本発明は以下の実施例からより良く理解できよう。下記実施例は単に説明のためであり、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、請求の範囲によって限定されるものである。
【実施例】
【0052】
実施例1
本発明材料の製造
磁気攪拌器、温度センサ、プランジャー管を介した窒素の供給装置、注入漏斗、凝縮器を載せたDean-Starkおよびフラスコヒーターを備えた4リットルのガラス反応器に、1300gの脂肪酸のトリマー〔Pripol(登録商標)1040、酸価=188(KOH/gのmg)、すなわち4.36モルの酸官能基〕を入れた。溶融状態の299gの2−アミノエチル−イミダゾリノン(UDETA、アルカリ指数=7.3meq/gまたは2.18モル、0.5当量)を注入漏斗に入れた。反応器を80℃に加熱し、次いで、撹拌下且つ窒素流下に、UDETAを10分間、注入した。温度を4時間かけて徐々に180℃に上げ、次いで、180℃で2時間反応させた。回収した水の量は39g(2.18モル)であった。これを130℃に放冷し、1475gの茶色の粘性液体を回収し、液体は室温で凝固した。得られた生成物の酸価(酸基の中和に必要な生成物のmg KOH/g)は67.5mgのKOH/gであった。
【0053】
次いで、7.5gのこの生成物を直径5cmのPTFEビーカーに、1.73gのAraldite(登録商標)LY556(エポキシプレポリマーDGEBA、一分子当たりのヒドロキシ基の平均数n=0.15または数平均分子量Mn=382.6)と一緒に入れた。ビーカーを150℃に加熱した後、混合物をへらを用いて均質化し、次いで、直径8cmのPTFE金型に注入し、150℃で1時間、次いで125℃で48時間保持した。次いで、金型を室温に冷却した。金型から取り出した後、中心の厚さが約1mmのRH−4とよばれる材料の可撓性フィルムが得られた。このフィルムは剃刀の刃で切断した後に一時間以内に断片を再度接触させると自然に自己修復することがわかった。
【0054】
実施例2
本発明材料の製造
実施例1と同じ操作を行ったが、1625gのPripol(登録商標)1040(酸価=188mgのKOH/gまたは5.46モルの酸官能基)と、224.4gのUDETA(1.64モル、0.3当量)とを用いた。26.5gの水(1.64モル)および室温で凝固した1770gの茶色の粘性液体を回収した。生成物の酸価は105.8mgのKOH/gであった。
次いで、7.75gの生成物を直径8cmのPTFE金型に、2.8gのAraldite(登録商標)LY556と一緒に入れた。金型を150℃に加熱した後、混合物をへらを用いて均質化し、150℃で1時間、次いで125℃で48時間保持した。次いで、金型を室温に冷却した。金型から取り出した後、中心の厚さが約1.5mmの可撓性フィルムが得られた。このフィルムは剃刀の刃で切断後一時間以内に断片を再度接触させると自然に自己修復することがわかった。
【0055】
実施例3
本発明材料の製造
加熱磁気攪拌器、ガス供給装置および真空化用接続管を備えた50mlの三つ口フラスコに、5.62gの酸のダイマー/トリマー混合物Unidyme(登録商標)60と、1.40gのモル純度が95%以上の2−アミノエチルイミダゾリジノン(UDETA)とを注入した。混合物を窒素流下に180℃で2時間加熱した。定期的に、水流ポンプを用いて軽く減圧し、媒体中の溶存水を除去した。液体混合物を150℃に冷却した後に、1.91gのエポキシ樹脂Araldite(登録商標)LY556を添加した。150℃で45分間置いた後に、混合物を直径8cmのPTFE金型に注入し、125℃で48時間ストーブに入れた。
金型から取り出して得られたサンプルは、厚さが1.6mmの可撓性フィルムの形をしていた。
【0056】
実施例4
機械的試験
ダンベル形試験片(寸法は全長35mm、全幅6.5mm、中心帯の長さ10mm、中心帯の幅2mm、厚さ1.6mm)を実施例3で得られたフィルムをパンチで穿孔して作った。
10N力計を備えたInstron(登録商標)引張試験機を用いて引張試験を25℃、2mm/分の速度で実施した。得られた結果は以下の通り:
破断点変形:427%、
破断応力:0.65MPa、
【0057】
同じ機械を用いて、クリープ試験を以下のように25℃で実施した:試験片の中心帯のそれぞれの側に2本線を付け、試験片の画像を解像度が600dpiのスキャナーで記録し、2本線の間の距離を画像上で測定した後、2mm/分の速度で200%の変形まで伸ばした。次いで、200%変形を1時間維持した。その後、試験片を顎型部材から取り外し、25℃で12時間放置した。2本線の間の距離を次いで上記と同じ方法で再測定した。
伸び前の2本線間の距離:12.5mm、
伸び後の2本線間の距離:12.9mm、すなわち、永久歪みは3%。
【0058】
25℃での自己修復の試験を以下のように実施した:試験片は最初にその中心を剃刀の刃を用いて切断した。時間t1の後、2つの表面をもう一度手で接触させた。これらは直ぐに互いに接着することがわかった。次いで、試験片を時間t2の間、静置した。その後、破断点引張試験を上記の条件下で実施した。
下記の結果が記録された:
【表1】

【0059】
この実施例から、上記サンプルは自己修復後に再度破断前の大きな変形に耐えられることがわかる。この実施例からさらに、自己修復の品質が時間t2の増加とともに改善することがわかる。
【0060】
実施例5(比較例)
材料の合成および機械特性
磁気攪拌器および加熱浴を備えた100mlのフラスコに、3.82gのエポキシ樹脂Araldite(登録商標)LY556+5.60gの酸のトリマーUnidyme(登録商標)60を入れた。この混合物を混ざるまで撹拌しながら160℃に加熱し、次いで、直径80mmのPTFE金型に注入し、最後に125℃で48時間、ストーブに入れた。厚さが約1.35mmの可撓性フィルムが得られた。赤外線分光法によって、以下のことがわかった:
1707cm-1での酸の帯域Vc=oの消失、
914cm-1でのエポキシの帯域Vaの消失。
1736cm-1でのエステルの帯域Vc=oの出現。
【0061】
このフィルムに上記と同じ条件で機械的試験を行った。
引張試験から下記の結果が得られた:
破断点伸び:195%
破断応力:5.5MPa。
【0062】
25℃での自己修復試験を実施例4と同じ方法で実施した。
時間t1=10分およびt2=3時間の場合は、下記の結果が記録された:
破断点伸び:5.1%
破断前の最大応力:0.07MPa。
この実施例から、分子間水素結合を用いずに化学的に架橋された高分子で構成されたネットワークの場合は自己修復特性がみられないことがわかる。
【0063】
実施例6
本発明材料の合成および機械特性
磁気攪拌器、凝縮器、Dean-Stark、窒素供給装置、注入漏斗および温度センサを備えた500mlのSchott反応器に、150gのPripol(登録商標)1040(Uniquema社の製品、酸価=188、すなわち0.504モルの酸官能基)を入れた。80℃に加熱した後、36.5gのUDETA(アルケマ社の製品、アルカリ指数=6.9meq/g、すなわち0.252モルのアミン官能基)を注入漏斗を介して導入した。窒素流下に160℃で5時間加熱した後、生成した水をDean-Starkで除去した。次いで、そのままにして温度を145℃まで下げ、62.9gのエポキシ化大豆油(Ecepox PB1、アルケマ社、エポキシド価=4mmol/g、すなわち、0.252モルのエポキシド官能基)を添加し、145〜150℃で15分間反応させた。反応混合物をテフロン(登録商標)トレーに注入し、120℃で40時間ストーブに入れた。
【0064】
こうして得られた生成物にタルクを散粉して、ハンドリング性およびトレーからの取り出しを容易にした。トレーから生成物を取り出し、反対の面(トレーと接触する)にもタルクを散粉した。長さ8cm×幅1cm×厚さ2mmのストリップを切り取り、機械的試験を行った。試験片に4cm間隔で鉛筆で印をつけた(縦方向中心のそれぞれの側に2cm)。次いで、印の間隔が14cmになるまで試験片を手で変形させた。これは250%の変形に対応する。試験片をテーブルの上に置き、その撓みの戻りを観察した。試験片を解放してから5分後に、印の間隔が4.2cmに戻った。30分後に、試験片は初期寸法を完全に回復し、印の間隔もまた4cmになった。これは0%の残留変形に対応する。
この実施例によって本発明の材料のエラストマー特性が示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹枝状分子から成る材料であって、各樹枝状分子は少なくとも二官能性のフラグメントと、少なくとも三官能性のフラグメントとから成り、これらのフラグメントはエステルまたはチオエステルの架橋によって単独でまたはアミドまたはウレアの架橋と一緒に結合されており、上記架橋は互いに異なるフラグメントの2つの官能基から形成され、樹枝状分子は樹枝分岐の端に位置するフラグメントに会合型末端基を含み、この会合型末端基は水素結合によって互いに会合を形成でき且つ上記の架橋に関与しない官能基に共有結合されていることを特徴とする材料。
【請求項2】
樹枝状分子の一つの画分が不溶性である請求項1に記載の材料。
【請求項3】
樹枝状分子の可溶性画分の数平均分子量が300〜300,000g/モルである請求項1または2に記載の材料。
【請求項4】
各樹枝状分子がC6−C20アルキル鎖を好ましくは会合型末端基より多くの数で有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の材料。
【請求項5】
樹枝状分子を少なくとも数で25%含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の材料。
【請求項6】
樹枝状分子を少なくとも数で50%含む請求項5に記載の材料。
【請求項7】
上記の会合型基がイミダゾリドニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビス−ウレイルおよびウレイド−ピリミジル基の中から選択される請求項1〜6のいずれか一項に記載の材料。
【請求項8】
下記の(a)の(b)の段階を含む方法で得られる請求項1〜7のいずれか一項に記載の材料:
(a)第1と第2の官能基を有する少なくとも三官能基の少なくとも一つの化合物(A)と、この(A)の第1官能基と反応可能な少なくとも一つの反応基と少なくとも一つの会合型基とを有する少なくとも一つの化合物(B)と反応させ、好ましくは化合物(A)の第1官能基の合計に対する化合物(B)の反応基の数の比は0.1〜0.8、好ましくは0.3〜0.8の範囲にし、
(b)(a)段階で得られた一種以上の化合物と、少なくとも二官能性の少なくとも一つの化合物(C)とを反応させ、この化合物の官能基は化合物(A)の第2官能基と反応して、単独またはアミド架橋またはウレア架橋と一緒に、エステルまたはチオエステル架橋を形成する反応。
【請求項9】
(b)段階で得られた材料に、例えば散粉(dusting)によって、タルクを添加する段階(c)をさらに含む請求項8に記載の材料。
【請求項10】
下記(1)〜(3)を特徴とする請求項8または9に記載の材料:
(1)化合物(A)は少なくとも3つの官能基を含み、酸、エステルまたは塩化アシル官能基の中から選択され、互いに同一でも異なっていてもよい、
(2)化合物(B)は第1級または第2級アミンまたはアルコール基の中から選択される少なくとも一つの反応基を含む、
(3)化合物(C)は少なくとも2つの官能基を含み、エポキシ、アルコールおよびアミン官能基の中から選択され、互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項11】
化合物(A)が5〜100、好ましくは12〜100、さらに好ましくは24〜90の炭素原子を含む請求項8〜10のいずれか一項に記載の材料。
【請求項12】
化合物(A)が植物由来の脂肪酸のトリマーである請求項8〜11のいずれか一項に記載の材料。
【請求項13】
化合物(A)が少なくとも一つの下記酸のトリマーである請求項12に記載の材料:ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エイコセン酸、ドコセン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸。
【請求項14】
化合物(B)が式(B1)、(B2)または(B3)に対応する請求項8〜13のいずれか一項に記載の材料:
【化1】

(ここで、
Rは少なくとも一つの第1級または第2級アミンまたはアルコール基を含む単位を表し、
R’は水素原子を表し、
Aは酸素または硫黄原子または−NH基、好ましくは酸素原子を表す)
【請求項15】
化合物(B)が下記の中から選択される請求項14に記載の材料:2−アミノエチルイミダゾリドン(UDETA)、1−(2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル)イミダゾリドン(UTETA)、1−(2−{2−[(2−アミノエチルアミノ)エチル]アミノ)エチル]イミダゾリドン(UTEPA)、3−アミノ−1,2,4−トリアゾ−ルおよび4−アミノ−1,2,4−トリアゾ−ル。
【請求項16】
化合物(C)がジエポキシドである請求項8〜15のいずれか一項に記載の材料。
【請求項17】
化合物(C)が下記の中から選択される請求項16に記載の材料:ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、または、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸のジグリシジルエーテル、不飽和ポリエポキシ化脂肪酸、およびエポキシ化リモネンおよびこれらの混合物。
【請求項18】
化合物(C)がジオールである請求項8〜15のいずれか一項に記載の材料。
【請求項19】
化合物(C)が下記の中から選択される請求項18に記載の材料:エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヒドロキシ末端を有するポリエステル、ヒドロキシ末端を有するポリブタジエン、ヒドロキシ末端を有するポリジメチルシロキサン、ヒドロキシ末端を有するポリイソブチレン、ヒドロキシ末端を有するポリブタジエン−co−アクリロニトリルコポリマー、脂肪酸から得られるジオールダイマーおよびこれらの混合物。
【請求項20】
請求項8〜19のいずれか一項に記載のものである請求項1〜19のいずれか一項に記載の材料の製造方法。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の材料のシール、時計バンド、断熱材または防音材、タイヤ、輪ゴム、ケーブル、クラッド材(金属被覆材)、靴底、包装材料、コーティング材(塗料、フィルム、化粧品、シール被覆)、パッチ(化粧または皮膚医薬用)、活性物を捕捉および放出する他のシステム、創傷包帯、フレキシブルホースクリップ、真空管、流体輸送用パイプおよびホース、ホットメルト接着剤および接着剤用添加剤、Oリングまたはフラットシール、特に直管、プレート、シリンダまたは薄板の両端を当接させる材料の製造での使用。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の材料と、任意成分としての少なくとも一つの油および/または水および/またはアルコールを含む化粧組成物。
【請求項23】
請求項22に記載の組成物の、皮膚および/または皮膚付属品(例えば、まつげ、爪)および/または唇の手入れおよび/またはメーキャップでの化粧的使用。
【請求項24】
請求項22に記載の組成物の髪の洗浄、調整、整髪での化粧的用途。

【公表番号】特表2011−506630(P2011−506630A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536429(P2010−536429)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066652
【国際公開番号】WO2009/071554
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】