説明

会議システムおよび端末設置台

【課題】従来よりも低コストで臨場感の高い遠隔会議を実現できる会議システムおよび端末設置台を提供する。
【解決手段】遠隔側端末3では、端末設置台10に対するユーザの操作指示を受け付けた場合、操作指示に応じた遠隔操作コマンドが会議側端末5に送信される。会議側端末5では、遠隔側端末3から受信した遠隔操作コマンドが端末設置台10に送信される。端末設置台10では、会議側端末5から受信した遠隔操作コマンドに応じて、台座に設置されている会議側端末5の向きが変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数拠点に設けられた端末間で遠隔会議を実行する会議システム、および遠隔会議に使用される端末が設置される端末設置台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数拠点に設けられた端末間でテレビ会議を実行するテレビ会議システムが知られている。このようなテレビ会議システムに使用される端末として、通話相手が注視している方向と、通話相手の表示方向とを一致させることで、会議の臨場感を高めることができるテレビ会議装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−65490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のテレビ会議装置は、撮像用カメラ、集音用マイク、ディスプレイなどを一体に保持しているため、装置コストが高いという問題があった。近年では、薄型軽量の汎用コンピュータ(例えば、ノート型PC)や、コンピュータに接続可能な汎用の小型カメラ(例えば、WEBカメラ)などが、低価格で入手可能である。また、カメラを内蔵したスマートフォンやタブレット型PCも普及しつつある。これらの汎用機器を使用してテレビ会議を実現すれば、テレビ会議システムの構築コストを抑制可能である。しかしながら、これらの汎用機器を使用したテレビ会議では、ユーザの映像・音声の双方向通信が実行されるのみで、会議の臨場感を失うおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、上述した課題を解決するためになされたものであり、従来よりも低コストで臨場感の高い遠隔会議を実現できる会議システムおよび端末設置台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る会議システムは、ネットワークを介して相互に接続された第1端末および第2端末と、前記第2端末が設置される端末設置台とを含み、前記第1端末と前記第2端末との双方向通信によって遠隔会議を実行する会議システムであって、前記第1端末は、第1撮像手段によって取得された映像信号および第1音声取得手段によって取得された音声信号を、前記ネットワークを介して前記第2端末に送信する一方、前記ネットワークを介して前記第2端末から受信した映像信号を第1表示手段に出力し、且つ、前記ネットワークを介して前記第2端末から受信した音声信号を第1音声出力手段に出力することによって、前記遠隔会議を実行する第1会議実行手段と、前記第1会議実行手段によって前記遠隔会議が実行されている間に、前記端末設置台に対するユーザの操作指示を受け付ける操作受付手段と、前記操作受付手段によって受け付けられた前記操作指示に応じた操作信号を生成する操作信号生成手段と、前記操作信号生成手段によって生成された前記操作信号を、前記ネットワークを介して前記第2端末に送信する操作信号送信手段とを備え、前記第2端末は、第2撮像手段によって取得された映像信号および第2音声取得手段によって取得された音声信号を、前記ネットワークを介して前記第1端末に送信する一方、前記ネットワークを介して前記第1端末から受信した映像信号を第2表示手段に出力し、且つ、前記ネットワークを介して前記第1端末から受信した音声信号を第2音声出力手段に出力することによって、前記遠隔会議を実行する第2会議実行手段と、前記第2会議実行手段によって前記遠隔会議が実行されている間に、前記ネットワークを介して前記操作信号を受信する操作信号受信手段と、前記端末設置台と通信を行う第1通信手段と、前記操作信号受信手段によって受信された前記操作信号を、前記第1通信手段から前記端末設置台に送信させる第1通信制御手段とを備え、前記端末設置台は、前記第2端末が設置される台座と、前記台座に設置されている前記第2端末の向きを変更する駆動手段と、前記第1通信手段との間で通信を行う第2通信手段と、前記第2通信手段によって前記操作信号が受信された場合、前記駆動手段に前記第2端末の向きを前記操作信号に応じて変更させる駆動制御手段とを備えている。
【0007】
第1態様によれば、第1端末では、端末設置台に対するユーザの操作指示を受け付けた場合、操作指示に応じた操作信号が第2端末に送信される。第2端末では、第1端末から受信した操作信号が端末設置台に送信される。端末設置台では、第2端末から受信した操作信号に応じて、台座に設置されている第2端末の向きが変更される。したがって、第1端末側のユーザは、第2端末の向きを遠隔操作で変更できるため、従来よりも低コストで臨場感の高い遠隔会議を実現できる。
【0008】
すなわち、第1端末側のユーザは、第2端末の向きを遠隔操作で変更することで、第2表示手段や第2撮像手段などの向きも変更できる。そのため、第1端末側のユーザは第2端末側で行われている会議の様子を正確に把握でき、実際に会議に参加しているような臨場感が得られる。また、第2端末側のユーザは、第1端末側のユーザが何を見ているかを、第2表示手段や第2撮像手段などの動きに基づいて察知可能である。そのため、第2端末側のユーザは、第1端末側のユーザの存在感を強く感じることができ、第1端末側のユーザが実際に会議に参加しているような臨場感を得られる。
【0009】
第1態様において、前記駆動制御手段は、所定のタイミングで前記駆動手段に前記第2端末の向きを初期方向に変更させてもよい。この場合、例えばテレビ会議の開始時に、ユーザが第2端末の向きを初期方向に変更する手間を省略できる。
【0010】
第1態様において、前記駆動手段は、前記台座に設置されている前記第2端末の水平方向の向きを変更するパン変更手段を含み、前記駆動制御手段は、前記操作信号がパン調整を指示する第1信号を含む場合、前記パン変更手段に前記第2端末の向きを変更させてもよい。この場合、第2端末の水平方向の向きを遠隔操作で変更することで、第2端末に備えられた第2撮像手段のパン調整を実行できる。
【0011】
第1態様において、前記台座は、垂直方向に延びる軸を中心に回動可能であり、前記パン変更手段は、前記台座を前記第1信号に応じた回転角度で回動させてもよい。この場合、台座を第1信号に応じた回転角度で回動させることで、第2端末の水平方向の向きを正確に変更できる。
【0012】
第1態様において、前記駆動手段は、前記台座に設置されている前記第2端末の垂直方向の向きを変更する第1チルト変更手段を含み、前記駆動制御手段は、前記操作信号がチルト調整を指示する第2信号を含む場合、前記第1チルト変更手段に前記第2端末の向きを変更させてもよい。この場合、第2端末の垂直方向の向きを遠隔操作で変更することで、第2端末に備えられた第2撮像手段のチルト調整を実行できる。
【0013】
第1態様において、前記台座に設置されている前記第2端末の下面における前後方向の一縁部を支持しつつ上下動可能な可動部を備え、前記駆動制御手段は、前記第2端末が前記第2信号に応じた傾斜角度となるように、前記第1チルト変更手段に前記可動部を上下動させてもよい。この場合、第2端末が第2信号に応じた傾斜角度となるように可動部を上下動させることで、第2端末の垂直方向の向きを正確に変更できる。
【0014】
第1態様において、前記第2撮像手段は、前記端末設置台に設けられ、且つ、水平方向に延びる軸を中心に回動可能であって、前記駆動手段は、前記第2撮像手段を回動させる第2チルト変更手段を含み、前記駆動制御手段は、前記操作信号がチルト調整を指示する第2信号を含む場合、前記第2チルト変更手段に前記第2撮像手段を前記第2信号に応じた回転角度で回動させてもよい。この場合、端末設置台に設けられた第2撮像手段を第2信号に応じた回転角度で回動させることで、第2撮像手段のチルト調整を実行できる。
【0015】
第1態様において、前記第2端末は、前記ネットワークを介して音声信号を受信する音声信号受信手段と、前記音声信号受信手段によって受信された前記音声信号を、前記第1通信手段から前記端末設置台に送信させる第2通信制御手段とを備え、前記第2音声出力手段は、前記端末設置台に設けられ、且つ、前記第2通信手段によって前記音声信号が受信された場合に、前記音声信号に基づく音声を出力してもよい。この場合、端末設置台に設けられた第2音声出力手段に、第2端末から送信された音声信号を出力させることで、第2端末側のユーザに第1端末で取得された音声を確実に聞き取らせることができる。
【0016】
第1態様において、前記第1端末は、前記操作受付手段によって受け付けられた前記操作指示が特定の動作パターンである場合、前記動作パターンと複数の前記操作信号の生成順序を示すパターン情報との対応を定義した動作対応テーブルを記憶する記憶手段を参照して、前記動作パターンに応じた前記パターン情報を特定するパターン特定手段を備え、前記操作信号生成手段は、前記パターン特定手段によって特定された前記パターン情報が示す生成順序で、前記操作信号を所定タイミングごとに時系列に生成してもよい。この場合、第1端末で特定の動作パターンを示す操作指示が入力された場合、複数の操作信号が時系列に生成されるため、ユーザの遠隔操作を簡略化することができる。
【0017】
本発明の第2態様に係る端末設置台は、ネットワークを介して第1端末との間で双方向通信を実行可能な第2端末が設置される台座と、前記台座に設置されている前記第2端末の向きを変更する駆動手段と、前記台座に設置されている前記第2端末との間で通信を行う通信手段と、前記通信手段によって前記第2端末の向きの変更を指示する操作信号が受信された場合、前記駆動手段に前記第2端末の向きを前記操作信号に応じて変更させる駆動制御手段とを備えている。第2態様によれば、第2端末から受信した操作信号に応じて、台座に設置されている第2端末の向きが変更される。したがって、第1端末側のユーザは、第2端末の向きを遠隔操作で変更できるため、従来よりも低コストで臨場感の高い遠隔会議を実現できる。
【0018】
すなわち、第1端末側のユーザは、例えば第2端末に表示手段や撮像手段などが設けられている場合、第2端末の向きを遠隔操作で変更することで、これらの表示手段や撮像手段などの向きも変更できる。この場合、第1端末側のユーザは第2端末側で行われている会議の様子を正確に把握でき、実際に会議に参加しているような臨場感が得られる。また、第2端末側のユーザは、第1端末側のユーザが何を見ているかを、第2端末に設けられている表示手段や撮像手段などの動きに基づいて察知可能である。そのため、第2端末側のユーザは、第1端末側のユーザの存在感を強く感じることができ、第1端末側のユーザが実際に会議に参加しているような臨場感を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】テレビ会議システム1の全体構成を示す図である。
【図2】遠隔側端末3の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】動作対応テーブル90のデータ構成を示す図である。
【図4】会議側端末5の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】端末設置台10に設置されている会議側端末5の斜め上方からの外観図である。
【図6】端末設置台10に設置されている会議側端末5の左側面図である。
【図7】端末設置台10の斜め上方からの外観図である。
【図8】台座11の平面図である。
【図9】台座11の底面図である。
【図10】図8におけるI−I線矢視方向断面図である。
【図11】支持部12の斜め上方からの外観図である。
【図12】支持部12の左側面図である。
【図13】端末設置台10の電気的構成を示すブロック図である。
【図14】遠隔側端末3の遠隔会議処理を示すフローチャートである。
【図15】会議側端末5の遠隔会議処理を示すフローチャートである。
【図16】端末設置台10のメイン処理を示すフローチャートである。
【図17】図8において可動体72が回転した後の状態を示す図である。
【図18】図5において可動体72および基板70が回転した後の状態を示す図である。
【図19】端末設置台100に設置されている会議側端末5の斜め上方からの外観図である。
【図20】端末設置台100に設置されている会議側端末5の左側面図である。
【図21】台座110の平面図である。
【図22】端末設置台100の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るテレビ会議システムおよび端末設置台について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0021】
図1〜図18を参照して、第1実施形態に係るテレビ会議システム1および端末設置台10について説明する。第1実施形態では、端末設置台10に設置される会議側端末5の垂直方向および水平方向の向きを、遠隔側端末3のユーザが遠隔操作で調整する場合を例示する。会議側端末5の垂直方向の向きは、会議側端末5を水平方向の軸を中心に回転させた場合の、会議側端末5の正面側の向きである。会議側端末5の水平方向の向きは、会議側端末5を垂直方向の軸を中心に回転させた場合の、会議側端末5の正面側の向きである。
【0022】
図1を参照して、テレビ会議システム1の全体構成について説明する。テレビ会議システム1では、ユーザが存在する複数の拠点にそれぞれ設けられた端末装置が、ネットワーク2を介して接続されている。本実施形態では、会議が開催されている拠点(以下、会議拠点という。)に設置されている端末装置と、会議拠点とは異なる拠点(以下、遠隔拠点という。)に設置されている端末装置との間で、テレビ会議が実行される場合を例示する。以下では、遠隔拠点に設置されている端末装置を、遠隔側端末3という。会議拠点に設置されている端末装置を、会議側端末5という。
【0023】
テレビ会議システム1では、遠隔側端末3と会議側端末5との間でテレビ会議が開始されると、遠隔側端末3および会議側端末5でそれぞれ取得された映像データおよび音声データは、ネットワーク2を介して互いに送受信される。遠隔側端末3では、会議側端末5で取得された映像データおよび音声データ(つまり、会議拠点に存在するユーザの映像データおよび音声データ)が出力される。会議側端末5では、遠隔側端末3で取得された映像データおよび音声データ(つまり、遠隔拠点に存在するユーザの映像データおよび音声データ)が出力される。このように、遠隔側端末3および会議側端末5では、それぞれ相手方の拠点に存在するユーザの映像データおよび音声データがリアルタイムに出力されてテレビ会議が進行する。
【0024】
本実施形態では、会議側端末5が端末設置台10に設置された状態で、遠隔側端末3と会議側端末5との間でテレビ会議が進行する。したがって、会議側端末5は、端末設置台10に設置可能な形状、大きさおよび重量を有する端末装置であり、より好ましくは、薄型・軽量の汎用コンピュータ(例えば、ノート型PCやタブレット型PC)である。遠隔拠点のユーザは、遠隔側端末3を使用して端末設置台10を遠隔操作できるが、詳細は後述する。
【0025】
図2を参照して、遠隔側端末3の電気的構成について説明する。遠隔側端末3は、汎用のノート型PCである。すなわち、遠隔側端末3は、CPU30、ROM31、RAM32、HDD33、ビデオコントローラ34、キーコントローラ35、通信装置36、USBインタフェイス37、CD−ROMドライブ38、ディスプレイ41、キーボード42、マイク43、およびスピーカ44を備える。ROM31、RAM32、およびI/Oインタフェイス40は、CPU30に接続されている。ビデオコントローラ34、キーコントローラ35、通信装置36、USBインタフェイス37、およびCD−ROMドライブ38は、I/Oインタフェイス40に接続されている。ディスプレイ41は、ビデオコントローラ34に接続されている。キーボード42は、キーコントローラ35に接続されている。
【0026】
USBインタフェイス37は、外部機器とユニバーサル・シリアル・バスで接続するコントローラであり、マウス45およびカメラ46がUSBケーブルで接続されている。本実施形態のカメラ46は、撮影した映像データをネットワーク2へリアルタイムに出力可能な小型・軽量の汎用カメラ(いわゆる、WEBカメラ)である。通信装置36は、ネットワーク2を介してデータ送受信を行うコントローラである。本実施形態では、通信装置36が、テレビ会議の実行時に、会議側端末5との間で音声データおよび映像データの送受信を行う。後述する遠隔操作コマンドも、通信装置36によって会議側端末5へ送信される。
【0027】
HDD33は、大容量のハードディスクドライブであり、テレビ会議を実行するための各種データ(例えば、遠隔側端末3で取得された映像データ・音声データ、会議側端末5から受信した映像データ・音声データ)や割込みプログラムなどを記憶している。後述の遠隔会議処理(図14参照)を実行するための会議処理プログラム、および動作対応テーブル90(図3参照)も、HDD33に記憶されている。CD−ROMドライブ38に挿入されるCD−ROM49には、会議処理プログラムや動作対応テーブル90などが記憶されている。遠隔側端末3では、CD−ROMドライブ38からCD−ROM49を読み込ませることで、これらのプログラムやデータがHDD33にセットアップされればよい。
【0028】
図3を参照して、動作対応テーブル90のデータ構成について説明する。動作対応テーブル90では、操作内容、動作名、および遠隔操作コマンドの対応が定義されている。操作内容は、テレビ会議の実行中に端末設置台10の遠隔操作を行うために、ユーザが遠隔側端末3で行う入力操作を示す。動作内容は、対応する入力操作が行われた場合に、端末設置台10に実行させる動作を示す。遠隔操作コマンドは、対応する動作内容を端末設置台10に実行させる指令であり、本実施形態ではパン調整コマンド、チルト調整コマンド、およびズーム調整コマンドを含む。
【0029】
パン調整コマンドは、会議側端末5のパン調整(つまり、水平方向の向きの変更)を端末設置台10に実行させる指示であり、会議側端末5の垂直方向の軸を回転中心とした回転角度を示す。チルト調整コマンドは、会議側端末5のチルト調整(つまり、垂直方向の向きの変更)を端末設置台10に実行させる指示であり、会議側端末5の垂直方向の軸を回転中心とした回転角度を示す。ズーム調整コマンドは、会議側端末5に接続されているカメラ66(図4参照)のズーム調整(つまり、ズーム倍率の変更)を実行させる指示であり、ズーム倍率の拡大率または縮小率を示す。
【0030】
具体的には、図3に示す例では、遠隔側端末3と会議側端末5との間でテレビ会議の実行中に、キーボード42の「↑」キーが入力された場合、会議側端末5を「上向き」にする遠隔操作コマンドとして、チルト調整コマンド「+10」が特定される。キーボード42の「→」キーが入力された場合、会議側端末5を「右向き」にする遠隔操作コマンドとして、パン調整コマンド「+20」が特定される。キーボード42の「+」キーが入力された場合、カメラ66(図4参照)の「ズームイン」を実行する遠隔操作コマンドとして、ズーム調整コマンド「+10」が特定される。
【0031】
また、キーボード42の「Y」キーが入力された場合、会議側端末5に「同意」の動作を実行させるコマンドとして、12の連続したチルト調整コマンドが特定される。キーボード42の「N」キーが入力された場合、会議側端末5に「拒否」の動作を実行させるコマンドとして、12の連続したパン調整コマンドが特定される。このように、動作対応テーブル90では、操作内容が特定の動作パターンと対応付けられている場合には、複数の連続した遠隔操作コマンドが特定される。
【0032】
図4を参照して、会議側端末5の電気的構成について説明する。会議側端末5は、遠隔側端末3と同様に、汎用のノート型PCである。そのため、CPU50、ROM51、RAM52、HDD53、ビデオコントローラ54、キーコントローラ55、通信装置56、USBインタフェイス57、CD−ROMドライブ58、ディスプレイ61、キーボード62、マイク63、およびスピーカ64を備える。本実施形態では、通信装置56が、テレビ会議の実行時に、通信装置56が遠隔側端末3との間で音声データおよび映像データの送受信を行う。後述する遠隔操作コマンドも、通信装置56によって遠隔側端末3から受信される。カメラ66は、カメラ46と同様のWEBカメラである。
【0033】
HDD53は、HDD33と同様に、テレビ会議を実行するための各種データや割込みプログラム、および後述の遠隔会議処理(図15参照)を実行するための会議処理プログラムなどが記憶されている。これらのデータやプログラムも、CD−ROMドライブ58からCD−ROM69を読み込ませることで、HDD53にセットアップされればよい。さらに、BTインタフェイス59が、I/Oインタフェイス40に接続されている。BTインタフェイス59は、外部機器とブルートゥース無線通信を行うコントローラである。本実施形態では、BTインタフェイス59が、通信装置56によって受信された遠隔操作コマンドおよび音声データを端末設置台10に送信する。
【0034】
図5および図6を参照して、会議側端末5の物理的構造について説明する。会議側端末5は、一例としてA4サイズのノート型PCであり、ディスプレイ61が表面に配置された筐体上部5Aと、キーボード62が表面に配置された筐体下部5Bとを備える。会議側端末5が端末設置台10に設置された場合、筐体下部5Bが端末設置台10上で筐体上部5Aを支持する。筐体上部5Aおよび筐体下部5Bは図示外のヒンジ機構によって連結されているため、筐体下部5Bに対して筐体上部5Aを自由に開閉できる。つまり、筐体下部5Bに対する筐体上部5Aの傾斜角度は自由に調整可能である。なお、会議側端末5が設置された状態で筐体下部5Bの後端側を若干持ち上げる突状5Cが、筐体下部5Bの底面における後端縁に沿って設けられている。
【0035】
カメラ66は、筐体上部5Aに固定するための固定脚66Aを備えている。例えば、会議拠点のユーザがカメラ66を筐体上部5Aの上縁部に固定し、且つ、カメラ66の撮影方向をディスプレイ61の正面方向とほぼ一致させる。これにより、少なくともディスプレイ61を正面側から目視するユーザの顔を、カメラ66の撮影範囲内に収めることができる。また、筐体下部5Bに対する筐体上部5Aの傾斜角度を調整することで、カメラ66の撮影範囲も上下方向に調整できる。なお、遠隔側端末3およびカメラ46についても同様である。
【0036】
図5〜図12を参照して、端末設置台10の物理的構造について説明する。以下の説明では、図5および図7の左下方向、右上方向、左上方向、右下方向を、端末設置台10の前側、後側、左側、右側とする。図10では、会議側端末5を仮想線で示している(後述の図17も同様)。図5〜図7に示すように、端末設置台10は、上下方向長さ(つまり、高さ)が小さい略有底筒状の外形を有し、会議側端末5が設置される台座11と、台座11を下方から支持する支持部12とを備える。
【0037】
図7および図8に示すように、台座11は、平面視で円形の基板70を備える。基板70の平面中央には、基板70を上下方向に貫通する軸孔70Aが設けられている。軸孔70Aのやや前側から前方(図8では下方向)に向けて、基板70を上下方向に貫通するスリット状の開口部71が設けられている。開口部71の内側は、上下方向に移動可能な略扇形の板状体である可動体72が設けられている。開口部71の前端側における左右両側には、それぞれ、基板70を上下方向に貫通する複数の小径孔であるスピーカ孔77が設けられている。基板70の上面における軸孔70Aの後方(図8では上方向)には、左右方向長い板状体である規制部73が固着されている。
【0038】
会議側端末5が適正に端末設置台10に設置された状態では、会議側端末5の前後方向が端末設置台10の前後方向と略一致し、且つ、筐体下部5Bが台座11の略平面中心で支持される(図5および図6参照)。このとき、筐体下部5Bが平面視で台座11の設置スペース(つまり、基板70の上面)内に収まることが好適である。本実施形態では、テレビ会議で使用される頻度が高いA4サイズのノート型PCが平面視で台座11の設置スペース内に収まるように、基板70の半径が規定されている。
【0039】
また、規制部73の後端部と開口部71の前端部との距離(つまり、前後方向長さ)L1は、A4サイズのノート型PCの奥行き(つまり、前後方向長さ)に合わせて規定されている。規制部73の幅(つまり、左右方向長さ)L2は、A4サイズのノート型PCの幅(つまり、左右方向長さ)に合わせて規定されている。一例として、端末設置台10に設置されるノート型PCは奥行き27cm、幅34cmであると想定して、基板70の半径は22cm、距離L1は27cm、幅L2は34cmに規定されている。
【0040】
会議側端末5が適正に端末設置台10に設置された状態では、規制部73が突状5Cに対して後側で接触し、且つ、可動体72が筐体下部5Bの底面における前側部分を下方から支持する。図5および図6に示す例では、筐体下部5Bが前側から後側下方に向けて(図6では右側から左下方向に向けて)傾斜するように、可動体72が筐体下部5Bの前側部分を所定高さまで持ち上げている。この状態では、可動体72の傾斜面に沿って筐体下部5Bが後方に滑り落ちる作用が働く。しかしながら、突状5Cによって規制部73の後方への移動が記載されているので、筐体下部5Bの後方への移動も規制される。
【0041】
図9および図10に示すように、基板70の底面には、基板70の内周縁に沿った前後左右位置に、台座11の回転を補助するローラ74がそれぞれ設けられている。基板70の底面におけるスピーカ孔77の直下には、それぞれ、スピーカ孔77から音声出力を行うスピーカ17が設けられている。基板70の底面における開口部71の右側には、可動体72を回転させるチルトモータ16が設けられている。可動体72における重心位置から長手方向の一端側(図10では右下側)に偏った位置には、可動体72を左右方向に貫通する軸孔72Aが設けられている。チルトモータ16から左方向に延びる水平な回転軸16Aは、軸孔72Aに挿入された状態で可動体72に固定されている。
【0042】
チルトモータ16が左側面視で時計回り方向に回転軸16Aを回転させると、可動体72も時計回り方向に回転して、可動体72の開口部71からの突出高さが大きくなる。これに伴って、可動体72が筐体下部5Bの前側部分を上方へ押し上げるため、会議側端末5は上向きに傾斜する。一方、チルトモータ16が左側面視で反時計回り方向に回転軸16Aを回転させると、可動体72も反時計回り方向に回転して、可動体72の開口部71からの突出高さが小さくなる。これに伴って、可動体72に支持される筐体下部5Bの前側部分が下方に移動するため、会議側端末5は下向きに傾斜する。
【0043】
図11および図12に示すように、支持部12は、ローラ受け面81と、筒状部82と、底壁83とを含む本体部80を備える。底壁83は、支持部12の底面を構成する平面視円形の壁部であり、端末設置台10の設置面である。筒状部82は、底壁83の全周に沿って上方に所定高さまで延びる筒状の側壁である。ローラ受け面81は、筒状部82の上端から外側に延びるフランジ状の壁部である。ローラ受け面81の外周形状および大きさは、平面視で、基板70の平面形状および大きさとほぼ一致する。
【0044】
底壁83上には、台座11を回転させるパンモータ15が設けられている。図11には図示しないが、底壁83上には、後述の制御部13、BTインタフェイス14、および電源部19(図13参照)が設けられている。パンモータ15から上方に延びる垂直な回転軸15Aは、ローラ受け面81の高さ位置よりも上方まで突出している。台座11が支持部12に組み付けられる場合、回転軸15Aは軸孔70Aに挿入された状態で基板70に固定される。このとき、基板70の底面に設けられた4つのローラ74が、ローラ受け面81上に配置される。
【0045】
パンモータ15が平面視で時計回り方向に回転軸15Aを回転させると、台座11も時計回り方向に回転する。これに伴って、台座11上に設置されている会議側端末5が、左向きに傾斜する。一方、パンモータ15が平面視で反時計回り方向に回転軸15Aを回転させると、台座11も反時計回り方向に回転する。これに伴って、台座11上に設置されている会議側端末5が、右向きに傾斜する。なお、台座11の回転に伴って、基板70とローラ受け面81との間で4つのローラ74がそれぞれ回転する。これにより、台座11と支持部12との間に生じる摺動負荷が抑制されて、台座11はスムーズに回転する。
【0046】
図13を参照して、端末設置台10の電気的構成について説明する。先述したように、台座11には、チルトモータ16およびスピーカ17が設けられている。支持部12には、制御部13、BTインタフェイス14、パンモータ15、および電源部19が設けられている。電源部19は、図示しないAC電源に接続されて、制御部13、BTインタフェイス14、パンモータ15、チルトモータ16、およびスピーカ17に電力を供給する。制御部13は、BTインタフェイス14、パンモータ15、チルトモータ16、およびスピーカ17を制御するマイコンである。
【0047】
BTインタフェイス14は、BTインタフェイス59と同様に、外部機器とブルートゥース無線通信を行うコントローラである。本実施形態では、BTインタフェイス14がBTインタフェイス59とブルートゥース無線通信を実行して、会議側端末5から音声データおよび遠隔操作コマンドを受信する。音声データおよび遠隔操作コマンドに基づく端末設置台10の動作制御は、別途後述する。
【0048】
図14〜図16を参照して、テレビ会議システム1で実行されるテレビ会議に関する処理について説明する。テレビ会議の実行時には、遠隔側端末3、会議側端末5、および端末設置台10において、以下に説明する処理がそれぞれ実行される。
【0049】
図14を参照して、遠隔側端末3の遠隔会議処理について説明する。本処理は、遠隔側端末3でテレビ会議の開始を指示する入力操作が受け付けられると、HDD33に記憶されている会議処理プログラムに基づいて、CPU30によって実行される。
【0050】
遠隔側端末3の遠隔会議処理では、まず会議参加要求が会議サーバ(図示外)に送信される(S1)。会議参加要求は、テレビ会議システム1で実行されるテレビ会議への参加を要求するコマンドである。本実施形態では、遠隔側端末3と会議側端末5との間で実行予定のテレビ会議「ミーティングA」が、会議サーバに登録されている。ステップS1では、テレビ会議「ミーティングA」に対する会議参加要求が送信される。
【0051】
会議サーバは、ネットワーク2を介して会議参加要求を受信した場合、会議参加要求に含まれる認証情報に基づいてユーザ認証を行う。ユーザ認証が成功した場合、参加許可を要求元の端末装置に返信する。参加許可は、会議参加要求を受けたテレビ会議への参加を許可するコマンドである。ユーザ認証が失敗した場合、参加拒否を要求元の端末装置に返信する。参加拒否は、会議参加要求を受けたテレビ会議への参加を拒否するコマンドである。本実施形態では、テレビ会議「ミーティングA」に対する参加許可が、会議サーバから遠隔側端末3に返信される。
【0052】
ステップS1の実行後、参加許可を取得したか否かが判断される(S3)。会議サーバから参加拒否を受信した場合、参加許可を取得していないと判断される(S3:NO)。この場合、テレビ会議が開始されることなく、遠隔会議処理(図14)が終了される。会議サーバから参加許可を受信した場合、参加許可を取得したと判断される(S3:YES)。この場合、HDD33から割込みプログラムが起動される(S5)。
【0053】
ステップS5で起動された割込みプログラムに基づいて、CPU30はテレビ会議中のデータ処理(具体的には、映像データ送信処理、音声データ送信処理、映像データ受信処理、音声データ受信処理)を行う。具体的には、映像データ送信処理では、カメラ46で取得された映像データが会議側端末5に送信される。音声データ送信処理では、マイク43で取得された音声データが会議側端末5に送信される。映像データ受信処理では、会議側端末5から映像データが受信されて、ディスプレイ41に出力される。音声データ受信処理では、会議側端末5から音声データが受信されて、スピーカ44に出力される。これにより、遠隔側端末3では、会議拠点に存在するユーザの画像および音声が出力されて、テレビ会議が進行する。
【0054】
ステップS5の実行後、キー入力ありか否かが判断される(S7)。例えば、キーボード42またはマウス45の入力操作を受け付けた場合は、キー入力ありと判断される(S7:YES)。この場合、ステップS7で検出されたキー入力が、端末設置台10の遠隔操作であるか否かが判断される(S9)。ステップS9では、ステップS7で検出されたキー入力は、動作対応テーブル90に定義されている操作内容と一致する場合、端末設置台10の遠隔操作であると判断される(S9:YES)。
【0055】
この場合、動作対応テーブル90を参照して、ステップS7で検出されたキー入力に対応する遠隔操作コマンドが生成される(S13)。例えば、ユーザがテレビ会議の実行中にキーボード42の「↑」キーを押した場合、動作対応テーブル90の操作内容「↑」キーに対応する動作内容「上向き」が特定される。この動作内容を実行させる遠隔操作コマンドとして、チルト調整コマンド「+10」が生成される。
【0056】
ステップS13で生成された遠隔操作コマンド(パン調整コマンド、チルト調整コマンド、ズーム調整コマンドのいずれか)は、パケット化されて会議側端末5へ送信される(S15)。以下では、ステップS15で送信されたパケットを、遠隔操作パケットという。ステップS15の実行後、テレビ会議が終了したか否かが判断される(S17)。例えば、遠隔側端末3でテレビ会議の終了を指示する入力操作が受け付けられたり、会議サーバからテレビ会議の終了を指示するコマンドを受信したりした場合、テレビ会議が終了したと判断される(S17:YES)。この場合、ステップS5で起動された割込みプログラムが終了され(S19)、遠隔会議処理(図14)が終了される。つまり、会議側端末5に対する音声データおよび映像データの送受信が中断されて、テレビ会議が終了する。
【0057】
一方、キー入力がない場合(S7:NO)、会議側端末5の遠隔操作でない場合(S9:NO)、およびテレビ会議が終了していない場合(S17:NO)、処理はステップS7に戻る。このように、本実施形態では、割込みプログラムの起動から終了までの間(つまり、テレビ会議の実行中)、ステップS7〜S17が所定間隔(例えば、数ミリ秒周期)で繰り返し実行される。よって、例えばユーザがキーボード42の「↑」キーを押し続けている期間は、チルト調整コマンド「+10」の遠隔操作パケットが連続して出力される。
【0058】
また、例えばユーザがキーボード42の「Y」キーを押した場合、動作対応テーブル90の操作内容「Y」キーに対応する動作内容「同意」が特定される。この動作内容を実行させる遠隔操作コマンドとして、12の連続したチルト調整コマンド「−10」、「−10」、「+10」、「+10」、「+10」、「+10」、「−10」、「−10」、「−10」、「−10」、「+10」、「+10」が、所定間隔(例えば、数ミリ秒周期)ごとに1コマンドずつ生成および送信される(S13、S15)。
【0059】
図15を参照して、第1実施形態における、会議側端末5の遠隔会議処理について説明する。本処理は、会議側端末5でテレビ会議の開始を指示する入力操作が受け付けられると、HDD53に記憶されている会議処理プログラムに基づいて、CPU50によって実行される。
【0060】
会議側端末5の遠隔会議処理では、まず先述のステップS1〜S5と同様の処理が行われる。すなわち、会議参加要求が会議サーバに送信される(S51)。会議サーバから参加許可を受信した場合(S53:YES)、HDD53から割込みプログラムが起動される(S55)。本実施形態では、テレビ会議「ミーティングA」に対する会議参加要求が、会議サーバに送信される(S51)。会議サーバでのユーザ認証が成功した場合、テレビ会議「ミーティングA」に対する参加許可が会議サーバから受信される(S53:YES)。
【0061】
ステップS55で起動された割込みプログラムに基づいて、CPU50はテレビ会議中のデータ処理(具体的には、映像データ送信処理、音声データ送信処理、映像データ受信処理、音声データ受信処理)を行う。具体的には、映像データ送信処理では、カメラ66で取得された映像データが遠隔側端末3に送信される。音声データ送信処理では、マイク63で取得された音声データが遠隔側端末3に送信される。映像データ受信処理では、遠隔側端末3から映像データが受信されて、ディスプレイ61に出力される。音声データ受信処理では、遠隔側端末3から音声データが受信されて、スピーカ64に出力される。これにより、会議側端末5では、遠隔拠点に存在するユーザの画像および音声が出力されて、テレビ会議が進行する。
【0062】
ステップS55の実行後、音声データ受信処理で受信された音声データが、BTインタフェイス59に転送される(S57)。BTインタフェイス59によって、音声データが端末設置台10に無線送信される。ステップS57の実行後、遠隔操作パケットを受信したか否かが判断される(S59)。遠隔操作パケットが受信されている場合(S59:YES)、遠隔操作パケットに含まれる遠隔操作コマンドがチルト調整コマンドであるか否かが判断される(S61)。遠隔操作コマンドがチルト調整コマンドである場合(S61:YES)、チルト調整コマンドはBTインタフェイス59に転送される(S63)。
【0063】
遠隔操作コマンドがチルト調整コマンドでない場合(S61:NO)、遠隔操作コマンドがパン調整コマンドであるか否かが判断される(S65)。遠隔操作コマンドがパン調整コマンドである場合(S65:YES)、遠隔操作コマンドはBTインタフェイス59に転送される(S67)。BTインタフェイス59に転送されたチルト調整コマンドまたはパン調整コマンドは、BTインタフェイス59によって端末設置台10に送信される。
【0064】
遠隔操作コマンドがパン調整コマンドでない場合(S65:NO)、遠隔操作コマンドがズーム調整コマンドであるか否かが判断される(S69)、遠隔操作コマンドがズーム調整コマンドである場合(S69:YES)、ズーム制御信号が生成される(S71)。ズーム制御信号は、ズーム調整コマンドが指示するズーム倍率の拡大率または縮小率に応じて、カメラ66のズーム倍率を調整するモータ(図示外)を駆動する信号である。
【0065】
ステップS71で生成されたズーム制御信号は、USBインタフェイス57に転送される(S73)。USBインタフェイス57によって、ズーム制御信号がカメラ66に送信される。カメラ66では、会議側端末5から受信したズーム制御信号に応じてズーム倍率が変更される。これにより、遠隔側端末3のディスプレイ41に表示されている映像の拡大・縮小が行われる。
【0066】
本実施形態では、遠隔操作コマンドの種別に応じて、端末設置台10または会議側端末5の外部機器(上記の例では、カメラ66)が、コマンド転送先に決定される(ステップS61〜S73)。コマンド転送先が会議側端末5の外部機器である場合は、会議側端末5で外部機器を駆動するための制御信号(上記の例では、ズーム制御信号)が生成される。そのため、遠隔側端末3のユーザは、端末設置台10のみならず、会議側端末5の外部機器についても遠隔操作することができる。
【0067】
遠隔操作パケットが受信されていない場合(S59:NO)、または遠隔操作コマンドがズーム調整コマンドでない場合(S69:NO)、先述のステップS17と同様に、テレビ会議が終了したか否かが判断される(S75)。テレビ会議が終了した場合(S75:YES)。この場合、ステップS55で起動された割込みプログラムが終了され(S77)、遠隔会議処理(図15)が終了される。つまり、遠隔側端末3に対する音声データおよび映像データの送受信が中断されて、テレビ会議が終了する。
【0068】
一方、ステップS63、S67、S73のいずれかの実行後、またはテレビ会議が終了していない場合(S75:NO)、処理はステップS57に戻る。このように、本実施形態では、割込みプログラムの起動から終了までの間、ステップS57〜S73が所定間隔(例えば、数ミリ秒周期)で繰り返し実行される。よって、テレビ会議の実行中は、遠隔側端末3から受信した音声データおよび遠隔操作コマンドが、端末設置台10に転送される。
【0069】
図16を参照して、端末設置台10のメイン処理について説明する。本処理は、端末設置台10に電源が投入されると、制御部13によって実行される。端末設置台10のメイン処理では、まずパンモータ15およびチルトモータ16の原点検出処理が実行される(S101)。パンモータ15の原点検出処理は、パンモータ15が基板70を初期状態の回転位置まで回転させる。チルトモータ16の原点検出処理は、チルトモータ16が可動体72を初期状態の回転位置まで回転させる。
【0070】
本実施形態では、基板70および可動体72が初期状態の回転位置まで回転した状態で、例えば会議拠点のユーザが台座11上に会議側端末5を設置する。原点検出処理(ステップS101)で初期状態に設定された端末設置台10に設置されている会議側端末5の向きを、会議側端末5の初期方向という。ステップS101によって、ユーザがテレビ会議の開始時に会議側端末5の向きを初期方向に変更する手間を省略できる。また、可動体72が初期状態の回転位置まで回転された場合、可動体72の上端が開口部71から数センチ上方に突出する(図6および図10参照)。これにより、可動体72の回転位置を調整することで、会議側端末5を初期方向よりも上向きに傾けるのみならず、初期方向よりも下向きに傾けることが可能となる。
【0071】
なお、基板70の初期状態の回転位置は、パンモータ15が基板70を回転させることが可能な回転角度(つまり、可動範囲)の略中間位置であることが好適である。同様に、可動体72の初期状態の回転位置は、チルトモータ16が可動体72を回転させることが可能な回転角度(つまり、可動範囲)の略中間位置であることが好適である。これにより、初期状態の端末設置台10に設置された会議側端末5の可動範囲(つまり、会議側端末5の初期方向からの可動範囲)を大きく確保することができる。
【0072】
ステップS101の実行後、BTインタフェイス14によってデータ受信が行われたか否かが判断される(S103)。データ受信が行われた場合(S103:YES)、受信されたデータが音声データであるか否かが判断される(S105)。受信されたデータが音声データである場合(S105:YES)、音声出力信号が生成される(S107)。音声出力信号は、デジタルデータの音声データをアナログ変換した信号である。ステップS107で生成された音声出力信号は、スピーカ17へ出力される(S109)。これにより、本実施形態では、遠隔側端末3のマイク43で取得された音声データが、端末設置台10から音声出力される。よって、会議拠点のユーザに対して、遠隔拠点のユーザの声を確実に聞きとらせることができる。
【0073】
受信されたデータが音声データでない場合(S105:NO)、受信されたデータがチルト調整コマンドであるか否かが判断される(S111)。受信されたデータがチルト調整コマンドである場合(S111:YES)、チルト制御信号が生成される(S113)。チルト制御信号は、チルト調整コマンドが指示する回転角度に応じて、チルトモータ16を回転駆動する信号である。ステップS113で生成されたチルト制御信号は、チルトモータ16へ出力される(S115)。
【0074】
チルトモータ16は、チルト制御信号に応じて可動体72を回転させることで、可動体72で支持される会議側端末5の前側部分の高さ位置を変更する。これにより、台座11に設置されている会議側端末5の垂直方向の向きが、下向きまたは上向きに調整される。したがって、会議拠点のユーザが筐体上部5Aの傾斜角や、カメラ66の垂直方向の傾きなどを調整しなくても、遠隔拠点のユーザがカメラ66のチルト調整を遠隔操作で行うことができる。
【0075】
受信されたデータがチルト調整コマンドでない場合(S111:NO)、受信されたデータがパン調整コマンドであるか否かが判断される(S117)。受信されたデータがパン調整コマンドである場合(S117:YES)、パン制御信号が生成される(S119)。パン制御信号は、パン調整コマンドが指示する回転角度に応じて、パンモータ15を回転駆動する信号である。ステップS119で生成されたパン制御信号は、パンモータ15へ出力される(S121)。
【0076】
パンモータ15は、パン制御信号に応じて基板70を回転させることで、台座11上に設置されている会議側端末5を水平方向に回転させる。これにより、会議側端末5の水平方向の向きが、右向きまたは左向きに調整される。したがって、会議拠点のユーザが会議側端末5の水平方向の向きや、カメラ66の水平方向の傾きなどを調整しなくても、遠隔拠点のユーザが遠隔側端末3を使用してカメラ66のチルト調整を遠隔操作で行うことができる。
【0077】
データ受信が行われていない場合(S103:NO)、または、受信されたデータがパン調整コマンドでない場合(S117:NO)、終了指示があったか否かが判断される(S123)。例えば、端末設置台10の電源が切断されると、終了指示があったと判断される(S123:YES)。この場合、メイン処理(図16)が終了される。
【0078】
一方、ステップS109、S115、S121のいずれかの実行後、または終了指示がない場合(S123:NO)、処理はステップS103に戻る。このように、本実施形態では、メイン処理(図16)の実行中は、ステップS103〜S121が所定間隔(例えば、数ミリ秒周期)で繰り返し実行される。よって、テレビ会議の実行中は、会議側端末5から受信した音声データおよび遠隔操作コマンドに基づいて、端末設置台10の音声出力および遠隔操作が実行される。
【0079】
具体的に、図6および図10に示す例では、会議拠点のユーザがテレビ会議の開始前に、初期状態の端末設置台10に会議側端末5を設置し、且つ、撮影方向Aが水平となるようにカメラ66を会議側端末5に固定している。テレビ会議の開始後に、遠隔拠点のユーザがカメラ66の撮影方向Aを下方に傾けたい場合、キーボード42の「↓」キーを押す。すると、会議側端末5を「下向き」にするチルト調整コマンドが端末設置台10に送信される。
【0080】
この場合、図17に示すように、端末設置台10に設置されている会議側端末5が「−10°」傾斜するまで、つまり会議側端末5が「10°」下向きに傾くまで、チルトモータ16が可動体72の突出高さを小さくする。その結果、カメラ66の撮影方向Aも水平方向よりも下向きに傾斜するため、遠隔側端末3のディスプレイ41に映し出される撮影範囲も下側に移動する。
【0081】
さらに、図17に示す状態で、遠隔拠点のユーザがカメラ66の撮影方向Aを右方向に傾けたい場合、キーボード42の「→」キーを押す。すると、会議側端末5を「右向き」にするパン調整コマンドが端末設置台10に送信される。この場合、図18に示すように、端末設置台10に設置されている会議側端末5が「+20°」傾斜するまで、つまり会議側端末5が「20°」右向きに傾くまで、パンモータ15が基板70を平面視で反時計回り方向に回転させる。その結果、カメラ66の撮影方向Aも前後方向よりも右向きに傾斜するため、遠隔側端末3のディスプレイ41に映し出される撮影範囲も右側に移動する。
【0082】
なお、遠隔拠点のユーザがキーボード42の「Y」キーを押した場合は、会議側端末5に「同意」の動作を実行させる遠隔操作コマンド(具体的には、12の連続したチルト調整コマンド)が端末設置台10に送信される。この場合、会議側端末5が「−20」、「+40」、「−40」、「+20」の順に一定速度で垂直方向に傾斜するように、チルトモータ16が可動体72を回転させる。これにより、会議側端末5が「上向き」および「下向き」を交互に繰り返すため、ディスプレイ61に映し出された遠隔拠点のユーザが肯いているような印象を、会議拠点のユーザに与えることができる。
【0083】
同様に、遠隔側端末3のユーザがキーボード42の「N」キーを押した場合は、会議側端末5に「拒否」の動作を実行させる遠隔操作コマンド(具体的には、12の連続したパン調整コマンド)が端末設置台10に送信される。この場合、会議側端末5が「−40」、「+80」、「−80」、「+40」の順に一定速度で水平方向に傾斜するように、パンモータ15が基板70を回転させる。これにより、会議側端末5が「左向き」および「右向き」を交互に繰り返すため、ディスプレイ61に映し出された遠隔拠点のユーザが首を振っているような印象を、会議拠点のユーザに与えることができる。
【0084】
以上説明したように、第1実施形態によれば、遠隔側端末3では、端末設置台10に対するユーザの操作指示を受け付けた場合、操作指示に応じた遠隔操作コマンドが会議側端末5に送信される。会議側端末5では、遠隔側端末3から受信した遠隔操作コマンドが端末設置台10に送信される。端末設置台10では、会議側端末5から受信した遠隔操作コマンドに応じて、台座11に設置されている会議側端末5の向きが変更される。
【0085】
これにより、遠隔拠点のユーザは、会議拠点のユーザを介することなく、会議側端末5の向きを遠隔操作で変更できる。遠隔拠点のユーザは、会議拠点に存在する特定ユーザ(例えば、テレビ会議で発言中のユーザ)に、会議側端末5を向けることが容易である。しかも、遠隔側端末3、会議側端末5、およびこれらに接続される外部機器は、いずれも汎用機器である。そのため、従来よりも低コストで臨場感の高いテレビ会議を実現でき、ひいては遠隔地から会議体に参加するユーザの存在感を高めることができる。
【0086】
より具体的には、遠隔拠点のユーザは、会議側端末5の向きを遠隔操作で変更することで、ディスプレイ61およびカメラ66の向きも変更できる。そのため、遠隔拠点のユーザは、遠隔拠点で行われている会議の様子を正確に把握でき、実際に会議に参加しているような臨場感が得られる。また、会議拠点のユーザは、遠隔拠点のユーザが何を見ているかを、ディスプレイ61およびカメラ66の動きに基づいて察知可能である。そのため、会議拠点のユーザは、遠隔拠点のユーザの存在感を強く感じることができ、遠隔拠点のユーザが実際に会議に参加しているような臨場感を得られる。
【0087】
また、会議側端末5の水平方向および垂直方向の向きを遠隔操作で変更することで、会議側端末5に備えられたカメラ66のパン調整およびチルト調整を実行できる。そのため、ディスプレイ41に表示される映像のズームおよび撮影範囲を、会議拠点のユーザを介することなく、遠隔拠点のユーザが遠隔操作で調整できる。さらに、遠隔拠点のユーザが簡易な操作で、例えば「同意」や「否定」を示す擬人化動作を会議側端末5に実行させることができる。会議側端末5の擬人化動作によって、遠隔地から会議体に参加するユーザの存在感を一層高めることができる。
【0088】
図19〜図22を参照して、第2実施形態に係るテレビ会議システムおよび端末設置台100について説明する。第2実施形態では、端末設置台100に設置される会議側端末5の水平方向の向きと、および端末設置台100が備えるカメラ75の垂直方向の向きを、遠隔側端末3のユーザが遠隔操作で調整する場合を例示する。以下では、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
【0089】
図示しないが、第2実施形態に係るテレビ会議システムは、先述のテレビ会議システム1と同様である。ただし、会議側端末5には、カメラ66(図5参照)が取り付けられていない(図19参照)。一方、会議側端末5のUSBインタフェイス57(図4参照)には、後述のカメラ75がUSBケーブルで接続されている。
【0090】
図19〜図21に示すように、端末設置台100は、先述の端末設置台10と同様に、台座110および支持部120を備える。台座110の基板170は、先述の基板70と基本的に同じであるが、会議側端末5の垂直方向の向きを調整する機構(具体的には、チルトモータ16、開口部71、可動体72)が設けられていない。一方、基板170の前端縁には、水平方向に延びる回転軸75Aを中心に回動可能なカメラ75と、カメラ75を回転させるチルトモータ18とが設けられている。図示しないが、チルトモータ18から右方向に延びる水平な回転軸は、カメラ75に固定されている。
【0091】
図20に示すように、カメラ75は初期状態で撮影方向が水平方向と一致している。チルトモータ18が左側面視で時計回り方向にカメラ75を回転させると、カメラ75が下向きに傾斜するのに伴って、撮影方向も水平方向に対して下側に傾斜する。一方、チルトモータ18が左側面視で反時計回り方向にカメラ75を回転させると、カメラ75が上向きに傾斜するのに伴って、撮影方向も水平方向に対して上側に傾斜する。
【0092】
図22に示すように、端末設置台100は、先述の端末設置台10と同様に、制御部13、BTインタフェイス14、パンモータ15、スピーカ17、および電源部19を備える。さらに、台座11に設けられたチルトモータ18が、電源部19から電力の供給を受け、且つ、制御部13によって制御される。なお、カメラ75で取得された映像データは、USBケーブルを介して会議側端末5に送信される。
【0093】
第2実施形態に係るテレビ会議に関する処理は、第1実施形態(図14〜図16参照)と基本的に同様であるが、以下の点で異なる。端末設置台100のメイン処理では、第1実施形態(図15参照)と同様に、ステップS101〜S121が実行される。ただし、ステップS101では、パンモータ15およびチルトモータ18の原点検出処理が実行される。チルトモータ18の原点検出処理は、チルトモータ18がカメラ75を初期状態の回転位置(つまり、撮影方向が水平方向と一致する位置)まで回転させる。
【0094】
本実施形態では、基板70およびカメラ75が初期状態の回転位置まで回転した状態で、ユーザが台座11上に会議側端末5を設置する。この場合、会議側端末5は、第1実施形態とは異なり、筐体下部5Bが台座11上に水平に設置された状態となる(図20参照)。つまり、台座11上に設置されている会議側端末5の垂直方向の向きは、基板70およびカメラ75の回転位置に拘わらず、ユーザによって筐体上部5Aの傾きが変更されない限り一定である。
【0095】
また、ステップS113では、チルトモータ18を回転駆動するチルト制御信号が生成される。ステップS115では、ステップS113で生成されたチルト制御信号が、チルトモータ18へ出力される。チルトモータ18は、チルト制御信号に応じてカメラ75を回転させることで、カメラ75の垂直方向の向きを変更する。したがって、会議拠点のユーザが筐体上部5Aの傾斜角や、カメラ75の垂直方向の傾きなどを調整しなくても、遠隔拠点のユーザがカメラ75のチルト調整を遠隔操作で行うことができる。なお、カメラ75のパン調整は、第1実施形態と同様に、台座11上に設置されている会議側端末5を回転させることで実現される(S117〜S121)。
【0096】
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、遠隔拠点のユーザは、会議拠点のユーザを介することなく、会議側端末5の向きを遠隔操作で変更できる。遠隔拠点のユーザは、会議拠点に存在する特定ユーザ(例えば、テレビ会議で発言中のユーザ)に、会議側端末5を向けることが容易である。しかも、遠隔側端末3、会議側端末5、およびこれらに接続される外部機器は、いずれも汎用機器である。そのため、従来よりも低コストで臨場感の高いテレビ会議を実現でき、ひいては遠隔地から会議体に参加するユーザの存在感を高めることができる。
【0097】
さらに、端末設置台100に備えられたカメラ75の垂直方向の向きを遠隔操作で変更することで、カメラ75のチルト調整を実行できる。会議側端末5の水平方向の向きを遠隔操作で変更することで、カメラ75のパン調整を実行できる。そのため、ディスプレイ41に表示される映像のズームおよび撮影範囲を、会議拠点のユーザを介することなく、遠隔拠点のユーザが遠隔操作で調整できる。
【0098】
上記実施形態において、遠隔側端末3が本発明の「第1端末」に相当し、会議側端末5が本発明の「第2端末」に相当し、テレビ会議システム1が本発明の「会議システム」に相当する。カメラ46が本発明の「第1撮像手段」に相当し、マイク43が本発明の「第1音声取得手段」に相当し、ディスプレイ41が本発明の「第1表示手段」に相当し、スピーカ44が本発明の「第1音声出力手段」に相当する。ステップS5で起動される割込みプログラムを実行するCPU30が、本発明の「第1会議実行手段」に相当する。カメラ66、75が本発明の「第2撮像手段」にそれぞれ相当し、マイク63が本発明の「第2音声取得手段」に相当し、ディスプレイ61が本発明の「第2表示手段」に相当し、スピーカ17、64が本発明の「第2音声出力手段」にそれぞれ相当する。ステップS55で起動される割込みプログラムを実行するCPU50が、本発明の「第2会議実行手段」に相当する。
【0099】
キーボード42が、本発明の「操作受付手段」に相当する。ステップS13を実行するCPU30が、本発明の「操作信号生成手段」に相当する。通信装置36が、本発明の「操作信号送信手段」に相当する。通信装置56が、本発明の「操作信号受信手段」に相当する。BTインタフェイス59が、本発明の「第1通信手段」に相当する。ステップS63、S67を実行するCPU50が、本発明の「第1通信制御手段」にそれぞれ相当する。パンモータ15およびチルトモータ16、18が、本発明の「駆動手段」にそれぞれ相当する。BTインタフェイス14が、本発明の「通信手段」および「第2通信手段」に相当する。制御部13が、本発明の「駆動制御手段」に相当する。
【0100】
パンモータ15が、本発明の「パン変更手段」に相当する。チルトモータ16が、本発明の「第1チルト変更手段」に相当する。可動体72が、本発明の「可動部」に相当する。ステップS57を実行するCPU50が、本発明の「第2通信制御手段」に相当する。チルトモータ18が、本発明の「第2チルト変更手段」に相当する。通信装置56が、本発明の「音声信号受信手段」に相当する。ステップS13を実行するCPU30が、本発明の「パターン特定手段」に相当する。
【0101】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更が可能である。例えば、上記実施形態では、遠隔側端末3で遠隔操作コマンドが生成されているが、会議側端末5で遠隔操作コマンドが生成されてもよい。例えば、遠隔側端末3から会議側端末5に操作情報(例えば、入力されたキー値)が送信される。会議側端末5では、HDD53に記憶されている動作対応テーブル90を参照して、遠隔側端末3の操作情報に対応する遠隔操作コマンドが生成されて、端末設置台10、100に送信される。
【0102】
また、端末設置台10、100で遠隔操作コマンドが生成されてもよい。例えば、上記の操作情報が、遠隔側端末3から会議側端末5を介して端末設置台10、100に送信される。端末設置台10、100では、制御部13に記憶されている動作対応テーブル90を参照して、遠隔側端末3の操作情報に対応する遠隔操作コマンドが生成され、さらに各種制御コマンドが生成される。
【0103】
また、上記実施形態では、パンモータ15およびチルトモータ16、18を駆動する各種制御信号が端末設置台10、100で生成されているが、これらの制御信号が遠隔側端末3または会議側端末5で生成されてもよい。つまり、遠隔拠点のユーザが端末設置台10、100を遠隔操作できるのであれば、遠隔操作コマンドや制御信号の生成機器を自由に変更できる。
【0104】
また、会議側端末5または端末設置台10、100が、例えば音声方向を特定可能なアレイマイクを備えることで、発話中のユーザを特定してもよい。端末設置台10、100は、特定されたユーザと正対するように会議側端末5の向きを自動調整してもよい。この場合、遠隔拠点のユーザは、発話中のユーザを探すために会議側端末5を遠隔操作する必要がない。その結果、遠隔拠点のユーザが会議内容に集中することができ、ひいては会議の進行がスムーズとなる。
【0105】
また、会議拠点において、会議側端末5とは異なる他の端末装置がプレゼン等で使用されることがある。そこで、会議側端末5に他の端末装置を接続することで、他の端末装置から出力される映像データがネットワーク2経由で遠隔側端末3に転送されてもよい。この場合、会議拠点で使用されている他の端末装置のディスプレイ出力に応じた画像が、ディスプレイ41に表示される。そのため、遠隔拠点のユーザが、会議拠点で使用されている他の端末装置で表示中の画像を正確に把握できる。
【0106】
また、遠隔側端末3、会議側端末5および端末設置台10、100のいずれかが、会議側端末5の向き(つまり、基板70、可動体72、カメラ75の回転位置など)のパターンを示すテンプレートを、予め記憶しておいてもよい。遠隔側端末3または会議側端末5からテンプレートの指定があった場合、端末設置台10、100が指定されたテンプレートに応じて会議側端末5の向きを調整してもよい。テンプレートとしては、端末設置台10、100の遠隔操作が一定時間なかったときの会議側端末5の向きや、会議拠点のテーブルサイズやユーザ数に応じて設定された会議側端末5の向きなどを使用できる。この場合、会議側端末5を簡単な操作で最適な向きに設定することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 テレビ会議システム
2 ネットワーク
3 遠隔側端末
5 会議側端末
10 端末設置台
11 台座
12 支持部
13 制御部
14 BTインタフェイス
15 パンモータ
16 チルトモータ
17 スピーカ
18 チルトモータ
30 CPU
33 HDD
36 通信装置
41 ディスプレイ
42 キーボード
43 マイク
44 スピーカ
46 カメラ
50 CPU
53 HDD
56 通信装置
59 BTインタフェイス
61 ディスプレイ
62 キーボード
63 マイク
64 スピーカ
66 カメラ
72 可動体
75 カメラ
90 動作対応テーブル
100 端末設置台
110 台座
120 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して相互に接続された第1端末および第2端末と、前記第2端末が設置される端末設置台とを含み、前記第1端末と前記第2端末との双方向通信によって遠隔会議を実行する会議システムであって、
前記第1端末は、
第1撮像手段によって取得された映像信号および第1音声取得手段によって取得された音声信号を、前記ネットワークを介して前記第2端末に送信する一方、前記ネットワークを介して前記第2端末から受信した映像信号を第1表示手段に出力し、且つ、前記ネットワークを介して前記第2端末から受信した音声信号を第1音声出力手段に出力することによって、前記遠隔会議を実行する第1会議実行手段と、
前記第1会議実行手段によって前記遠隔会議が実行されている間に、前記端末設置台に対するユーザの操作指示を受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段によって受け付けられた前記操作指示に応じた操作信号を生成する操作信号生成手段と、
前記操作信号生成手段によって生成された前記操作信号を、前記ネットワークを介して前記第2端末に送信する操作信号送信手段とを備え、
前記第2端末は、
第2撮像手段によって取得された映像信号および第2音声取得手段によって取得された音声信号を、前記ネットワークを介して前記第1端末に送信する一方、前記ネットワークを介して前記第1端末から受信した映像信号を第2表示手段に出力し、且つ、前記ネットワークを介して前記第1端末から受信した音声信号を第2音声出力手段に出力することによって、前記遠隔会議を実行する第2会議実行手段と、
前記第2会議実行手段によって前記遠隔会議が実行されている間に、前記ネットワークを介して前記操作信号を受信する操作信号受信手段と、
前記端末設置台と通信を行う第1通信手段と、
前記操作信号受信手段によって受信された前記操作信号を、前記第1通信手段から前記端末設置台に送信させる第1通信制御手段とを備え、
前記端末設置台は、
前記第2端末が設置される台座と、
前記台座に設置されている前記第2端末の向きを変更する駆動手段と、
前記第1通信手段との間で通信を行う第2通信手段と、
前記第2通信手段によって前記操作信号が受信された場合、前記駆動手段に前記第2端末の向きを前記操作信号に応じて変更させる駆動制御手段と
を備えたことを特徴とする会議システム。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、所定のタイミングで前記駆動手段に前記第2端末の向きを初期方向に変更させることを特徴とする請求項1に記載の会議システム。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記台座に設置されている前記第2端末の水平方向の向きを変更するパン変更手段を含み、
前記駆動制御手段は、前記操作信号がパン調整を指示する第1信号を含む場合、前記パン変更手段に前記第2端末の向きを変更させることを特徴とする請求項1または2に記載の会議システム。
【請求項4】
前記台座は、垂直方向に延びる軸を中心に回動可能であり、
前記パン変更手段は、前記台座を前記第1信号に応じた回転角度で回動させることを特徴とする請求項3に記載の会議システム。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記台座に設置されている前記第2端末の垂直方向の向きを変更する第1チルト変更手段を含み、
前記駆動制御手段は、前記操作信号がチルト調整を指示する第2信号を含む場合、前記第1チルト変更手段に前記第2端末の向きを変更させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の会議システム。
【請求項6】
前記台座に設置されている前記第2端末の下面における前後方向の一縁部を支持しつつ上下動可能な可動部を備え、
前記駆動制御手段は、前記第2端末が前記第2信号に応じた傾斜角度となるように、前記第1チルト変更手段に前記可動部を上下動させることを特徴とする請求項5に記載の会議システム。
【請求項7】
前記第2撮像手段は、前記端末設置台に設けられ、且つ、水平方向に延びる軸を中心に回動可能であって、
前記駆動手段は、前記第2撮像手段を回動させる第2チルト変更手段を含み、
前記駆動制御手段は、前記操作信号がチルト調整を指示する第2信号を含む場合、前記第2チルト変更手段に前記第2撮像手段を前記第2信号に応じた回転角度で回動させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の会議システム。
【請求項8】
前記第2端末は、
前記ネットワークを介して音声信号を受信する音声信号受信手段と、
前記音声信号受信手段によって受信された前記音声信号を、前記第1通信手段から前記端末設置台に送信させる第2通信制御手段とを備え、
前記第2音声出力手段は、前記端末設置台に設けられ、且つ、前記第2通信手段によって前記音声信号が受信された場合に、前記音声信号に基づく音声を出力することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の会議システム。
【請求項9】
前記第1端末は、
前記操作受付手段によって受け付けられた前記操作指示が特定の動作パターンである場合、前記動作パターンと複数の前記操作信号の生成順序を示すパターン情報との対応を定義した動作対応テーブルを記憶する記憶手段を参照して、前記動作パターンに応じた前記パターン情報を特定するパターン特定手段を備え、
前記操作信号生成手段は、前記パターン特定手段によって特定された前記パターン情報が示す生成順序で、前記操作信号を所定タイミングごとに時系列に生成することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の会議システム。
【請求項10】
ネットワークを介して第1端末との間で双方向通信を実行可能な第2端末が設置される台座と、
前記台座に設置されている前記第2端末の向きを変更する駆動手段と、
前記台座に設置されている前記第2端末との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段によって前記第2端末の向きの変更を指示する操作信号が受信された場合、前記駆動手段に前記第2端末の向きを前記操作信号に応じて変更させる駆動制御手段と
を備えたことを特徴とする端末設置台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−4778(P2012−4778A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136992(P2010−136992)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】