伝送状態表示装置
【課題】ディジタル伝送システムの伝送状態に関する情報を表示する伝送状態表示装置で、BERなどの伝送状態に関する情報の時間変化を効果的に表示する。
【解決手段】変換手段5が受信側により受信されたHD映像をSD映像へ変換し、取得手段4が伝送状態に関する情報を取得し、記憶手段4が取得された情報を記憶し、表示制御手段4〜6が変換されたSD映像の上側又は下側の映像非表示部分の一方又は両方に記憶された情報の時間変化のグラフが配置されるように当該SD映像及び当該グラフを画面に表示する。
【解決手段】変換手段5が受信側により受信されたHD映像をSD映像へ変換し、取得手段4が伝送状態に関する情報を取得し、記憶手段4が取得された情報を記憶し、表示制御手段4〜6が変換されたSD映像の上側又は下側の映像非表示部分の一方又は両方に記憶された情報の時間変化のグラフが配置されるように当該SD映像及び当該グラフを画面に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばディジタル放送システムにおける伝送状態を表示する伝送状態表示装置に関し、特に、ビット誤り率(BER:Bit Error Rate)などの伝送状態に関する情報の時間変化を効果的に表示する伝送状態表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送の一例として、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式について述べる。
近年、ヨーロッパやアメリカ及び日本でディジタル放送が検討されており、その変調方式としてOFDM方式の採用が有力視されている。OFDM方式とは、マルチキャリア変調方式の一種で、多数のディジタル変調波を加え合わせたものを通信する。
具体的に、時間をtとし、キャリアの本数をNとし、各キャリアのディジタル変調波をαk(t)とすると、OFDM信号β(t)は(式1)のように上記信号単位から構成される。
【0003】
【数1】
【0004】
図13には、OFDM変復調装置の基本的な構成例をブロック図で示してある。
本例の伝送システムでは、送信側(変調側)である処理A部1と受信側(復調側)である処理C部2とが例えば無線回線を介して接続されている。
【0005】
送信側の処理A部1において行われる動作の概略の一例を示す。
クロック発振器101から発振される周波数16MHzのクロック信号CKが各部102〜107に供給される。
伝送路符号化部102は、入力されるデータDinを処理してデータDiiとして符号化部103へ出力し、また、他の各部103〜106に、同期シンボル期間の開始を示すFST信号(フレームスタート信号)をフレーム周期である900シンボル毎に出力する。
【0006】
符号化部103は、入力データDiiを符号化し、IとQの2軸にマッピングしたRfとIfを逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)部104へ出力する。
IFFT部104は、マッピングされた入力データRf、Ifを周波数成分と見なして、1024サンプルからなる時間軸信号R、Iへ変換して、ガード付加部105へ出力する。
ガード付加部105は、1024サンプルからなるR、Iの開始期間波形の例えば最初の48サンプルの波形を1024サンプル後に付加して、合計1072サンプルの時間波形Rg、Igを同期シンボル挿入部106へ出力する。この48サンプルは、反射波混入時の緩衝帯となる。
【0007】
同期シンボル挿入部106は、入力されたRg、Igについて、該情報シンボル894個毎に、予めメモリ等に記憶された6シンボルからなる同期波形を挿入してRsg、Isgを作成して、直交変調処理部107へ出力する。
直交変調処理部107では、入力されたディジタル信号Rsg、Isgをアナログ信号へ変換した後に直交変調して出力する。この直交変調の結果の信号(OFDM変調波)は、例えばUHF(Ultra High Frequency)帯若しくはマイクロ波帯を用いて処理C部2へ伝送される。
【0008】
受信側の処理C部2において行われる動作の概略の一例を示す。
AGC(Automatic Gain Control)部201では、伝送されてきたOFDM変調波に対して自動利得制御を行って、直交復調処理部202へ出力する。
直交復調処理部202では、入力信号を復調してベースバンド信号へ変換した後に、A/D(Analog to Digital)変換してR’sg、I’sgの信号を生成して、同期検出&相関部203及びFFT部206へ出力する。
【0009】
同期検出&相関部203は、入力されたR’sg、I’sgの信号について、同期シンボル期間を検出して、シンボル期間の切れ目としてフレームパルスFST’rを各部204、206〜208へ出力する。また、同期検出&相関部203は、入力されたR’sg、I’sgの信号について、相関出力(相関結果)ScをFST補正部204へ出力する。
FST補正部204は、相関出力Scを基に、制御電圧VCを電圧制御クロック発振器205へ出力して、クロック信号CKrcを制御する。
電圧制御クロック発振器205は、基準クロックCKrを用いて、制御電圧VCを基に、クロック信号CKrcを発生して各部203、206〜208、223へ出力する。
【0010】
高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)部206は、入力信号R’sg、I’sgについて、FST’rからFFTとして利用抽出する1024サンプルのデータ期間を決定するゲート信号を作成し、緩衝帯である48サンプルのガード期間を除外し、また、入力信号R’sg、I’sgの1024サンプル分をFFTにより時間波形信号から周波数成分信号R’f、I’fへ変換して、復号化部207へ出力する。
復号化部207は、入力信号R’f、I’fについて、マッピング位置を識別して、その結果D’oを伝送路復号化部208へ出力する。
伝送路復号化部208は、入力D’oを処理して、連続した信号Doutとして出力する。
【0011】
次に、各部の詳細について述べる。
送信側の処理A部1の動作について述べる。
伝送路符号化部102は、伝送中に混入の恐れがある各種エラーによるデータ誤りを防止するために、インターリーブ処理、エネルギー拡散処理、エラー訂正用符号処理等を行う。
符号化部103は、マッピングROM(Read Only Memory)を用いて信号DiiをIQ軸の所定点に変換し、また、不要キャリアに相当する期間の信号を0に置換して、RfとIfを作成する。
【0012】
IFFT部104は、入力信号Rf、IfをCKとFSTとでタイミングを決められたシンボル周期の時間波形R、Iへ変換する。具体的には、例えば、プレッシー社のPDSP16510等を用いることにより実現することができる。
ガード付加部105は、入力されたR、Iを1024サンプル遅延する遅延出力器と、1025サンプル目から1072サンプル目のみ遅延出力を選択する切り替え器からなる。得られる全1072サンプルからなるシンボルでは、1025サンプル目から1072サンプル目には、1サンプル目から48サンプル目の間の時間波形が付加される。これらはCKとFSTによってタイミングを決められる。
【0013】
図14には、同期シンボル挿入部106の構成例を示してある。
CKとFSTによってタイミングを決められたコントローラ301によって制御されるROM303、304は、同期シンボル信号をFSTに応じたタイミングで発生する。同様にCKとFSTによってタイミングを決められたコントローラ302によって制御されるセレクタ305、306は、作成されたガード付時間信号Rg、Igのうちで現段階では無信号期間である1から4シンボルの期間のみ、ROM303、304からの同期シンボル信号に切り替えて出力する。
【0014】
ここで、同期シンボル信号は、例えば、NULLシンボル、1シンボル期間に1本のキャリアにしか信号成分を持たないCWシンボル、SWEEPシンボル、位相の基準を示す基準(RF)シンボルから構成される。
NULL挿入の目的は、無信号であることにより同期シンボル群の存在を大まかに見つけるためであり、NULLシンボル期間は信号を一切出力しない。SWEEP挿入の目的は、シンボル切り替わり点を正確に求めることであり、1シンボル期間に伝送帯域の下限周波数から上限周波数に変化する波形とする。
【0015】
直交変調処理部107は、D/A(Digital to Analog)変換器111、直交変調器112、ローカル発振器113を有している。
D/A変換器111は実数部信号Rsgと虚数部信号IsgのD/A変換を行う。
ローカル発振器113は、所定の周波数fcの信号を発振して直交変調器112へ出力する。
直交変調器112は、実数部信号Rsgに対しては発振器113からの周波数fcのキャリア信号で、一方、虚数部信号Isgに対しては発振器113からの周波数fcのキャリア信号を90°移相した信号で、直交変調を施し、これらの信号を合成してOFDM信号を得る。
【0016】
受信側の処理C部2の動作について述べる。
AGC部201は、増幅器(アンプ)211とレベル制御部212を有しており、受け取った(受信した)信号のレベルを適正レベルに修正するための制御信号Saをレベル制御部212が発生して、当該制御信号Saにより制御される増幅器211がレベルを変更する。
AGC部201により適正レベルとなったOFDMフレーム構成信号が直交復調処理部202に入力される。
【0017】
直交復調処理部202は、電圧制御発振器221、直交復調器222、A/D変換器223を有している。
ここでの処理は、送信側とは逆となる。具体的には、電圧制御発振器221が、復号化部207からの制御により、周波数fc’のキャリア信号を直交復調器222へ出力する。直交復調器222は、電圧制御発振器221からのキャリア信号で復調したものを実数部信号として、当該キャリア信号を90°移相して復調したものを虚数部信号として、取り出す。A/D変換器223は、これら実数部及び虚数部の各復調アナログ信号をディジタル信号へ変換する。
【0018】
同期検出&相関部203は、受信した信号R’sg、I’sgからフレームの区切りを探索してフレームの基準FST’rを出力するとともに相関出力Scを出力する。
FFT部206は、FST’rパルスを基にシンボルを区切りフーリエ変換を行うことでOFDM復調を行い、これにより得られたR’f、I’fを出力する。
復号化部207は、例えばROMテーブル手法にて、R’f、I’fを識別してD’oを算出する。
伝送路復号化部208は、逆インターリーブ処理、エネルギー逆拡散処理、エラー訂正処理等を行う。
【0019】
図15には、同期検出&相関部203の構成例を示してある。
直交復調されたディジタル信号であるR’sg、I’sgは、NULL終了検出器401とSWEEP演算部402に入力される。
NULL終了検出器401は、NULL終了時期から受信ストリーム中のSWEEPシンボル開始時期をタイマー回路にて推定して、SWEEP期間指示パルス(SWEEP期間フラグ)STをSWEEP演算部402及びフレームカウンタ403へ出力する。この場合、NULL終了検出器401は、フレーム構成のシンボル群から同期シンボル中の無信号状態であるNULL期間のおおよその終了時期を検出し、フレームカウンタ403を3シンボル目(SWEEPシンボルに対応する位置)とプリセットする。すなわちシンボルの大まかな位置を検出する。
【0020】
SWEEP演算部402は、SWEEP期間指示パルスSTを参照してNULLシンボルの3シンボル後(SWEEPシンボルに対応する位置)に存在する波形を予想SWEEP波形として取り込み、フレームパルスFST’rを基準に動作するSWEEPパターンメモリ404で発生される基準SWEEPパターンとの一致具合を演算する。
FST補正部204は、フレームパルスFST’rを基準に各シンボルの正確な切り替わりタイミングとの位相ズレを算出し、受信側の基準クロックCKrの補正信号を電圧制御クロック発振器205へ出力し、受信側のフレーム位相を伝送データに一致させる。
【0021】
フレームカウンタ403は、カウント数がフレーム周期を構成する値(例えば、1072×900)に到達すると、値を0に戻すとともにパルスを出力して、再カウント行い、また、以後は、一定カウントすなわちフレーム開始点毎にFST’rパルスを出力して、フレーム開始時期を示す。また、フレームカウンタ403は、所定のタイミングで、スタートパルスをSWEEPパターンメモリ404へ出力する。
SWEEPパターンメモリ404には、予め、SWEEPシンボルのパターンが記憶されている。
フレームカウンタ403は、NULL終了検出器401からのプリセット処理でフレーム位相を粗く揃え、更に、予想SWEEP波形とのズレから演算を行ってフレーム位相を正確に揃える微調を行う。
【0022】
図16には、NULL終了検出器401の具体的な構成例を示してある。
図17には、NULL検出及びSWEEP開始位置推定動作の一例を示してある。なお、例えば、反射波が無く、高CNの場合の例である。
各絶対値部501、502は、入力された各信号R’sg、I’sgを絶対値化して、加算部503へ出力する。
加算部503は、入力された2つの値を加算して、その加算結果を比較部504へ出力する。
【0023】
比較部504は、入力された加算結果と所定の閾値Vthとを比較し、加算結果が閾値Vthを超えない期間(図17におけるT1〜T2のNULLシンボル期間)に相当する比較結果をエッジ検出部505へ出力する。
エッジ検出部505は、入力された比較結果から信号の立ち上がりエッジを検出して遅延部506へ出力する。
遅延部506は、入力された立ち上がりエッジの信号を1シンボル遅延させて、SWEEP期間指示パルス(SWEEP期間フラグ)STを発生させる。
【0024】
SWEEP演算部402の相関出力信号Scを基に、FST補正部204はズレ検出を行って受信側サンプルレートとなるCKrcの速度を調整することで、伝送されてきた同期シンボル位相とのロック処理を行い、この結果、FFTゲートの時間的位置の誤差は消える。なお、反射波があるため、ゲート位置はシンボル期間の後部がベターである。
【0025】
ところで、粗調整にあたる同期シンボルの検出エッジを元に決定するSWEEP期間フラグの時間的位置が正確であれば、 微調整にあたるCKrcの速度を調整して行うFFTゲートの時間的位置の補正量が減少し、その所用時間も減少する。すなわち、より少ない時間で誤差0(ズレ無し)のゲート位置に設定することができ、最良の復号状況を達成することができる。
図18(a)、(b)、(c)には、このような場合における相関信号Scの例を示してある。図18(a)にはFST’rがSWEEP波形と一致した場合を示してあり、図18(b)にはFST’rがSWEEP波形より早い場合を示してあり、図18(c)にはFST’rがSWEEP波形より遅い場合を示してある。図示されるように、鋭いピークが唯一存在する形となる。
【0026】
次に、反射波がある時の動作、NULL検出閾値との関連(高CN時を含む)について説明する。
図19には、反射波があるときの動作の一例を示してある。
図示されるように、反射波が存在すると、検出エッジの時間的位置が遅れるため、粗調整の精度が低下し、微調整で行う補正量も増加し、ひいては微調整に要する時間が増加して、最良の復号状況への到達が遅れる。
【0027】
反射波の影響を低減する場合、閾値Vthを低め(例えば、0.3)に設定すれば、主波によるNULL終了点を検出し易くなり、粗調時のズレ量は少なくなり、上述した微調整の所用時間の延長を防止することができる。
図20には、このような場合(反射波があり、高CNの場合)における相関信号Sc(反射波混入時のSWEEP相関出力)の一例を示してある。図示されるように、主波による山と反射波による山が存在する形となる。
【0028】
以上では、雑音成分の混入が少ない高CNでの状態を前提としていた。
しかしながら、入力電界が低い使用条件では、雑音成分が増加し、比較結果にNULL期間の雑音成分で発生した偽信号が混ざる。
図21には、入力電界が低い使用条件のとき(例えば、反射波が無く、低CNのとき)の動作の一例を示してある。
こうしたことから、粗調整の精度は大幅な低下となる恐れがある。また、更に電界が弱まるとNULL期間の雑音成分が常にVthを越えてしまい、NULL期間の終了を全く検出不能となる場合も生じる。低CNでの動作を確保するためには、閾値Vthは高め(例えば、0.8)が良い。
【0029】
図22には、このような場合(反射波が無く、低CNの場合)における相関信号Sc(低電界時のSWEEP相関出力)の一例を示してある。
受信側で再生したFST’rパルスを基準に取り込んだSWEEP信号に雑音が多く含まれるため、SWEEPパターンメモリ404の位相をずらしながら一致度を演算するが、高CN時ほどには一致度が高まらず、生じる山は緩い形となる。
【0030】
次に、アンテナの方向調整作業について説明する。
マラソン中継等のように、移動しながらの電波伝送の場合、受信側のアンテナを移動中の送信アンテナに正確に向けて強い電波を受けるために、方向調整作業が必要となる。以後、この方向調整を方調(業界の短縮言葉)とも呼ぶ。この方調作業を容易化するために、従来の装置には、電界の強さをAGC部の制御信号Saと見立てて、電界の強さに応じて低周波の周波数が変化する低周波出力部が装備されていた。
【0031】
旧来のアナログ伝送の場合、ほとんどのケースで伝送品質は電界が強い程に良好となる。しかしながら、ディジタル伝送の場合には、電界が強くて反射波の混入が多い状態よりも、多少電界が弱くても反射波が無く主波のみ存在する状態の方が、良好な伝送状態を得られることが圧倒的に多い。
【0032】
従来のアナログ方式は反射波の影響を大きく受けるため、見通しがある状態でのみ使用されていた。これに対して、特に、OFDM変調のディジタル方式は、反射の影響が少なく、見通し外で積極的に利用されることは、前述した。
しかしながら、見通し外からの伝送であるため、受信側の方向調整者は、送信側を目視することができない。このため、移動車の位置を把握する方法として、移動車からの伝送画像をモニタ確認する手法に頼ることとなる。なお、ディジタル化に伴い、受信信号を画像化するには、先ほど述べたOFDM復調で得たディジタルデータをMPEGデコーダなどを用いて画像に復元する必要がある。このため、アナログ方式のように受信ヘッドで画像を復号することは困難である。すなわち、制御部での処理を経由しないと画像信号が得られない。
【0033】
従って、制御部で得た画像を高周波部へ送り返すため、送り返し画像用の同軸ケーブルを敷設する必要がある。通常、受信ヘッドは見晴らしの良い高所に配置されるため、制御部との距離は、100から200mにも達する。その区間に送り返し用の同軸ケーブルを追加敷設することは、大変煩わしい作業である。また、駅伝或いはレースの本番の場合には、実際にオンエア(ON−AIR)されている画像を見ながら、レース展開を把握して複数台の中継車にアンテナを向ける等の操作を行う必要がある。このために必要な画像を送り返す同軸ケーブルとしては、2から3本が必要となる。
なお、昨今では、明確な同期のみを対象としたシンボルも持たない構成のOFDM変調波が多い。
【0034】
以上説明した従来の構成において、伝送状態を把握する手段として電界の強弱やBER状態を参考に方調を行っても、反射波の混入状況は判からず、品質の高い伝送が必ずしも実現できないという欠点が生じている。
【0035】
ここで、既に行われた改良技術(以下で、既改良技術と言う)について説明する。
既改良技術は、遅延波の存在を示す情報を映像信号に変換して表示し、方向調整者が反射波混入の少ない電波を捕捉する操作を容易化して品質の高い伝送を実現することを第1の目的とする。
また、既改良技術は、方向調整者が多数の表示時モニタを見なくても済むように、映像化した遅延情報を他の映像信号に同期させることで、俗に言うスーパーインポーズ状態で表示することを第2の目的とする。
【0036】
前記した第1の目的を達成するため、既改良技術では、例えば反射波の存在を表すために、伝送路復号化部から得られる相関波形、ビットエラー状態、その他を映像信号化する。
また、前記した第2の目的を達成するため、既改良技術では、映像化装置は、遅延波状態信号の更新周期に応じてメモリに取り込み、同期すべき映像信号から抽出したH(水平)&V(垂直)同期に応じて当該メモリを読み出し、画像信号とする。
【0037】
表示画像の例としては、同一映像に、時間目盛とガード期間の範囲を合わせて表示しながら、遅延プロファイル波形を表示する。また、右上にBER状態を中サイズのドットを積み重ねたブロックで配置し、右下に電界レベルを小サイズのドットを積み重ねたブロックで数列、配置する。これらは、伝送状態に応じて変化する。なお、表示の更新は、映像信号の更新周期に依存する。
ところで、昨今、ハイビジョン伝送が主体となっているが、受信点などでのモニタ類のハイビジョン化は未了である。
【0038】
【特許文献1】特開2005−143146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
しかしながら、上記のような表示では、遅延プロファイル情報などに関してそのときの状態のみをリアルタイム表示しており、表示内容が時々刻々更新されるため、一瞬の不具合を見逃してしまうケースも生じ易い。例えば、時間軸が画面フレーム方向であり、少し(例えば、1秒)前の状態は消滅している。このため、過去(例えば、10秒前)の状態については、人の記憶に頼るか、又は、VTR録画すること等が必要であった。
【0040】
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、例えばディジタル放送システムにおける伝送状態を表示するに際して、ビット誤り率(BER)などの伝送状態に関する情報の時間変化を効果的に表示することができる伝送状態表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
上記目的を達成するため、本発明では、ディジタル伝送システムの伝送状態に関する情報を表示する伝送状態表示装置において、次のような構成とした。
すなわち、変換手段が、受信側により受信されたHD(High Definition)映像をSD(Standard Definition)映像へ変換する。取得手段が、前記伝送状態に関する情報を取得する。記憶手段が、前記取得手段により取得された情報を記憶する。表示制御手段が、前記変換手段により変換されたSD映像の上側又は下側の映像非表示部分の一方又は両方に、前記記憶手段に記憶された情報の時間変化のグラフが配置されるように、当該SD映像及び当該グラフを画面に表示する。
【0042】
従って、HD映像からダウンコンバートされたSD映像の上側の映像非表示部分、或いは下側の映像非表示部分、或いは上側と下側の両方の映像非表示部分に、伝送状態に関する情報の時間変化のグラフ(履歴の情報)が表示されるため、例えばディジタル放送システムにおける伝送状態を表示するに際して、ビット誤り率(BER)などの伝送状態に関する情報の時間変化を効果的に表示することができる。
【0043】
ここで、伝送状態に関する情報としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、電界強度、BER、反射波の有無やレベル、遅延プロファイル、リードソロモン(RS)のエラーの有無などの情報を用いることができ、具体例として、方調作業に有用な種々な情報を用いることができる。
また、伝送状態に関する情報を取得する仕方としては、例えば、受信側の受信処理部などにより取得された伝送状態に関する情報を入力して取得する仕方や、或いは、受信信号に基づいて自ら演算などを行って伝送状態に関する情報を取得する仕方などを用いることができる。
また、記憶手段としては、例えば、メモリを用いて構成することができる。
【0044】
本発明に係る伝送状態表示装置では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、受付手段が、前記変換手段により変換されたSD映像が前記画面に表示されるときにおける当該SD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する指示を人から受け付ける。変更手段が、前記受付手段により受け付けられた指示に従って、前記SD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する。
【0045】
従って、画面表示におけるSD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を人により変更することができるため、例えば、下側のみに情報を表示させるときには下側を上側より大きくすることや、或いは、上側のみに情報を表示させるときには上側を下側より大きくすることや、或いは、上側と下側の両方に情報を表示させるが下側により多くの情報を表示させるときには下側を上側より大きくすることなどができ、表示内容を視覚的に見易くすることができる。
【0046】
ここで、例えば、SD映像は画面の垂直方向(上下方向)の中央に位置させられてもよく、また、上側又は下側の映像非表示部分が無い状態にされてもよい。
また、上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する仕方としては、例えば、複数の割合の候補をユーザ(人)に対して提示してその中から選択させる仕方や、或いは、ユーザによる操作部の操作に応じて割合を連続的に又は離散的に変化させる仕方などを用いることができる。
【0047】
本発明に係る伝送状態表示装置では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、送信側から受信側へ伝送されるHD映像は、移動中継の映像である。
異常検出手段が、前記伝送状態に関する情報について、異常を検出する。前記表示制御手段は、前記異常検出手段により異常が検出された場合には、前記グラフにおける当該異常が検出された位置に対応させて、当該異常が検出された前記移動中継における距離の値を前記画面に表示する。
【0048】
従って、例えばマラソンや駅伝競走などのリハーサルにおいて、その移動中継の映像を画面に表示するに際して、伝送状態に異常が検出された場合には、その異常の位置に対応して移動中継における距離の値(例えば、「〜km」)が表示されるため、どの距離において異常が発生したかを容易に把握することができ、方調作業などに役立てることができる。
【0049】
ここで、伝送状態に関する情報について異常を検出する仕方としては、種々な仕方が用いられてもよく、例えば、伝送状態に関する情報について閾値を予め設けておいて、当該情報(値)と当該閾値との大小関係に応じて当該伝送状態が当該閾値よりも劣化したとみなされる場合に、異常が発生したことを検出するような仕方を用いることができる。
また、グラフにおける異常が検出された位置に対応させて距離の値を表示する態様としては、例えば、当該位置にちょうど表示する態様ばかりでなく、当該位置の付近に表示する態様や、或いは、当該位置を色や模様で区別して示しつつ、他の離れた領域に距離の値を表示する態様などを用いることも可能である。
【発明の効果】
【0050】
以上説明したように、本発明に係る伝送状態表示装置によると、例えばディジタル放送システムにおける伝送状態を表示するに際して、ビット誤り率(BER)などの伝送状態に関する情報の時間変化を効果的に表示することができ、方調作業に役立てることなどができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
本実施例では、ディジタル放送システムにおいて、移動中継局である送信側のFPU(Field Pick−up Unit)の処理部(本例では、処理A部)から受信側の処理部(本例では、処理C部)へHD(High Definition)映像の信号を無線により伝送する伝送システムに本発明を適用した場合を示す。
【0052】
図1には、本発明の一実施例に係る伝送システムの全体的な構成例を示してある。
本例の伝送装置は、送信側に、処理A部1を備えており、また、受信側に、処理C部2と、伝送状態映像変換部3と、履歴記憶表示部4と、ダウンコンバート部5と、例えば加算器からなる合成部6を備えている。
【0053】
本例の伝送システムでは、HD映像の信号が、処理A部1に入力されて、当該処理A部1から処理C部2へ例えば無線電波により伝送されて出力される。この出力されるHD映像の信号は、分岐されてダウンコンバータ部5を介して、SD(Standard Definition)映像の信号として合成部6に入力される。
また、処理C部2から伝送状態映像変換部3へ、AGCの制御信号Sa、相関演算信号Sc、BER状態を示すSb信号が出力される。また、処理C部2から履歴記憶表示部4へ、BER状態を示すSb信号が出力される。
【0054】
また、伝送状態映像変換部3は、同期信号C.SYNCを履歴記憶表示部4へ出力し、受信状態映像信号を合成部6へ出力する。また、履歴記憶表示部4は、履歴映像信号を合成部6へ出力する。
合成部6は、入力されたSD映像、受信状態映像信号、履歴映像信号を合成して出力する。
【0055】
ここで、送信側の処理A部1や受信側の処理C部2としては、それぞれ、例えば、図13に示されるものと同様なものを用いることができる。
伝送状態映像変換部3は、本例では、時間目盛と、ガード期間の範囲と、BER状態と、電界レベルの情報を含む受信状態映像信号を合成部6へ出力する。
履歴記憶表示部4は、本例では、BER状態の時間変化の履歴情報を含む履歴映像信号を合成部6へ出力する。
ダウンコンバート部5は、処理C部2から入力されたHD映像の信号をSD映像の信号へ変換(ダウンコンバート)して合成部6へ出力する。
合成部6は、ダウンコンバート部5から入力されたSD映像信号の映像と、伝送状態映像変換部3から入力された受信状態映像信号の映像と、履歴記憶表示部4から入力された履歴映像信号の映像が重ね合わせて表示される(スーパーインポーズされる)ように、これらの合成結果を出力する。
【0056】
図2には、ダウンコンバートした画面に、伝送状態、履歴、その他を表示した状態(表示映像画像)の一例を示してある。これは、合成部6から出力された信号に基づくSD映像や各種の情報がディスプレイなどの表示装置の画面に表示された結果の一例である。
本例の画面表示では、画面の上下方向の中央付近にSD映像が表示されており、そのSD映像の上側と下側に空き領域が存在している。
【0057】
SD映像の表示領域には、時間目盛と、ガード期間の範囲と、遅延プロファイルと、BERと、電界レベルの情報が表示される。具体的には、同一映像に、時間目盛とガード期間の範囲を合わせて表示しながら、遅延プロファイル波形を表示している。また、右上にBER状態を中サイズのドットを積み重ねたブロックで配置し、右下に電界レベルを小サイズのドットを積み重ねたブロックで数列、配置している。
ここで、時間目盛は、右側の方が過去を表しており、例えば、全体で10msなどの時間幅を表している。
また、BER状態や電界レベルは、その値が大きくなるほど、右の方から左の方へブロックの数が増えていく。
【0058】
また、SD映像の下側の空き領域には、BER履歴(BER状態の時間変化の履歴)の情報が表示される。
ここで、BER履歴の情報では、右側の方が過去を表しており、例えば、全体で60秒などの時間幅を表している。
また、BER履歴の情報(グラフ)では、上側の方がBERの値が小さく、下側の方がBERの値が大きい。
【0059】
ここで、ハイビジョンのHD映像と、それがダウンコンバートされたSD映像について説明する。
HD映像は、水平(横)方向16×垂直(縦)方向9の大きさを有する。一方、SD映像は、水平(横)方向4×垂直(縦)方向3(=16×12)の大きさを有する。
このため、HD映像をダウンコンバートしてSD映像用の画面に表示させると、上下方向に(3/12)だけ空き領域ができる。例えば、上下方向の中央にダウンコンバート映像を表示させると、上下のそれぞれに、(1/8)ずつの空き領域ができる。
このような空き領域は、通常は、黒色の映像が表示され(有意な映像は表示されず)、不要な部分となる。そこで、本例では、このような空き領域に、BER履歴の情報を表示させて、有効に利用している。
なお、このようなダウンコンバート映像の表示は、レターボックス(レターBOX)表示となり、映像表示部分と、映像非表示部分(空き領域)が生じる。
【0060】
図3には、伝送状態映像変換部3の構成例を示してある。
制御信号Saは、電界−映像変換部3−1に入力される。電界−映像変換部3−1からの出力は、映像統合部3−4に入力される。
BER状態を表す信号Sbは、BER−映像変換部3−2に入力される。BER−映像変換部3−2からの出力は、映像統合部3−4に入力される。
相関出力を表す信号Scは、遅延プロファイル−映像変換部3−3に入力される。遅延プロファイル−映像変換部3−3からの出力は、映像統合部3−4に入力される。
また、遅延プロファイル−映像変換部3−3には、信号FST’rが入力される。
【0061】
映像統合部3−4からの同期信号C.SYNCは、電界−映像変換部3−1、BER−映像変換部3−2、遅延プロファイル−映像変換部3−3の同期入力端子に接続(入力)され、また、履歴記憶表示部4の同期入力端子に接続(入力)される。映像統合部3−4からは、伝送状態映像信号が出力される。
電界−映像変換部3−1、BER−映像変換部3−2、遅延プロファイル−映像変換部3−3は、C.SYNC信号の入力に従って、それぞれの状態を示す各信号を映像信号に変換する。映像統合部3−4は、映像化された各信号を統合し、映像用の同期信号を付加して、出力する。
【0062】
図4には、履歴記憶表示部4の構成例を示してある。
図5には、各信号の時間変化の一例を示してある。
本例では、映像フレーム毎のBERの値が5段階に離散化されている。
また、フレーム毎に、信号C.SYNCがそれを示し、所定のタイミングパルスW1、R1が発生させられる。
【0063】
BER状態を表す信号Sbは、メモリ4−5に入力されて記憶される。
同期信号C.SYNCは、タイミングパルス発生器4−1に入力される。
タイミングパルス発生器4−1は、信号C.SYNCに基づいて、各種の信号YU、TH、W1、R1を生成し、ゲートを開く位置(タイミング)を表すゲート制御信号YUをゲート4−7へ出力し、5段階の階段状の閾値を表す閾値信号THを比較部4−6へ出力し、メモリライトに関するタイミングパルスW1をカウンタW4−2へ出力し、メモリリードに関するタイミングパルスR1をカウンタR4−3へ出力する。
【0064】
カウンタW4−2は、タイミングパルスW1に基づく書き込みアドレス信号ADDwをメモリ4−5に入力するとともに、当該信号ADDwを読み出しリセット信号RRSTとして加算器4−4に入力する。これにより、メモリ4−5へは、毎フレーム毎のBERのデータDSbが、書き込みアドレス値を増しながら書き込まれる。
カウンタR4−3は、タイミングパルスR1に基づいて、5回分ののこぎり波状の信号を加算器4−4に入力する。
【0065】
加算器4−4は、カウンタW4−2からの入力とカウンタR4−3からの入力を加算して、当該加算結果を読み出しアドレス信号ADDrとしてメモリ4−5へ出力する。これにより、メモリ4−5からは、毎フレーム毎に、過去における所定期間のBERのデータD’Sbが5回分、比較部4−6に読み出される。
なお、本例では、メモリ4−5としては、BERのデータを10分間のフレーム分だけ記憶することが可能なループメモリが用いられている。
【0066】
比較部4−6は、メモリ4−5から入力されたBERのデータの値と閾値THとを比較して、これらが一致したことを示すLE信号をゲート4−7へ出力する。このとき、5段階の閾値THについて、1段階ずつ、走査線を所定数(例えば、1つ)ずつ下へ移動させて行く。この5段階分を重ね合わせることにより、図2に示されるようなBER履歴のグラフ(垂直方向がBERの値を表し、水平方向が時間を表すもの)が形成される。
ゲート4−7は、ゲート制御信号YUに従って、比較部4−6からの比較結果により形成されるBER履歴(BERの時間変化)の映像化信号を出力する。
【0067】
図6には、数フレームにおける、各フレーム毎の状況の一例を示してある。
具体的には、各フレームの位置(タイミング)を表す信号(タイミングパルス)と、メモリ4−5への書き込みアドレスを表す信号ADDwと、メモリ4−5からの読み出しアドレスを表す信号ADDrと、BER履歴(他のものは省略)についての表示画面を示してある。
1フレーム目においては、BER値を番地(N+1)へ書き込む。そして、番地(N+1)〜番地(N−60)を読み出す。2フレーム目においては、BER値を番地(N+2)へ書き込む。そして、番地(N+2)〜番地(N−59)を読み出す。以降も同様に繰り返す。
【0068】
この結果、最新のBER値が左端に読み出されて表示され、以降は、1フレーム前のBER値、2フレーム前のBER値、・・・という順で、読み出しと表示が行われる。
この表示範囲としては、本例では、ダウンコンバートした映像の未表示エリアとしている。
【0069】
次に、短期のBER履歴の情報と長期のBER履歴の情報を同一画面に表示する構成及び動作について説明する。
図7には、履歴記憶表示部(短期&長期対応)4bの構成例を示してある。
図8には、各信号の時間変化の一例を示してある。
ここで、タイミングパルス発生器4b−1、カウンタW4b−2、カウンタR4b−3、加算器4b−4、メモリ4b−8、比較部4b−9、ゲート4b−11により、図4に示されるのと同様な機能が実現されており、短期のBERの履歴の映像化信号(本例では、1分計)が出力される。
【0070】
また、本例では、更に、長期のBERの履歴の映像化信号(本例では、10分計)を出力する機能が備えられている。
タイミングパルス発生器4b−1は、閾値信号THbを比較部4b−10へ出力し、ゲート制御信号YUbをゲート4b−13へ出力し、セレクタの制御信号Sel_ADDrをセレクタ4b−7へ出力する。
カウンタ4b−2からの出力は、加算器4b−6にも入力される。
カウンタ(Rb)4b−5は、高速カウンタであり、所定ののこぎり波状の信号を加算器4b−6へ出力する。当該のこぎり波状の信号は、カウンタR4b−3から出力されるものを高速化したものに相当する。
【0071】
加算器4b−4は、加算結果ADDrをセレクタ4b−7へ出力する。
加算器4b−6は、カウンタ(Rb)4b−5からの入力とカウンタW4b−2からの入力を加算し、当該加算結果を読み出しアドレス信号ADDrbとしてセレクタ4b−7へ出力する。
セレクタ4b−7は、入力される制御信号Sel_ADDrに従って、1分計の読み出しアドレス信号ADDrと10分計の読み出しアドレス信号ADDrbを切り替えて、いずれか一方を読み出しアドレス信号ADDcとしてメモリ4b−8へ出力する。
本例では、このようにして、メモリ4b−8からの読み出しを時分割で制御している。
【0072】
比較部4b−13は、メモリ4b−8から入力されたBERのデータの値と閾値THbとを比較して、これらが一致したことを示すLEb信号をピークホールド部4b−12へ出力する。
ピークホールド部4b−12は、入力信号についてピークホールド処理を行い、その結果LEbhをゲート4b−13へ出力する。ここで、本例では、ピークホールド処理は、一瞬のBER劣化などをディスプレイの解像度まで引き伸ばすために行われている。つまり、時間幅が縮小され過ぎて表示分解能以下となり得るため、時間方向にピークホールドして表示幅を確保している。
ゲート4b−13は、ゲート制御信号YUbに従って、ピークホールド部4b−12からの入力信号により形成されるBER履歴(BERの時間変化)の映像化信号(本例では、10分計)を出力する。
この場合、履歴映像信号には、2つのBER履歴の情報が含まれる。
【0073】
図9には、数フレームにおける、各フレーム毎の状況の一例を示してある。
具体的には、各フレーム毎に、上側に表示される10分計のBER履歴及び下側に表示される1分計のBER履歴(他のものは省略)についての表示画面を示してある。
【0074】
次に、BER履歴の情報と、BERが劣化したときの縮小画像(サムネイル)の情報を同一画面に表示する構成及び動作について説明する。
図10には、履歴記憶表示部4cの構成例を示してある。
ここで、タイミングパルス発生器4c−1、カウンタW4c−2、カウンタR4c−3、加算器4c−4、メモリ4c−5、比較部4c−6、ゲート4c−7により、図4に示されるのと同様な機能が実現されており、BERの履歴の映像化信号が出力される。
【0075】
フレームメモリコントローラ4c−8は、BER状態の信号Sbを入力して、例えば、BER状態が劣化したとき(一例として、BERの値が1になったとき)に、ダウンコンバート後の映像出力(復号映像)をフレームメモリ4c−9に記憶させる。
また、フレームメモリコントローラ4c−8は、比較部4c−6からの出力信号LEを入力して、BER状態が劣化したときのグラフ位置に合わせて、フレームメモリ4c−9に記憶された映像をOR回路4c−10へ読み出す。
【0076】
OR回路4c−10は、複数枚分のフレームメモリ4c−9から出力された映像のOR結果(通常は、ある1枚のフレームメモリからの映像)を縮小復号映像として出力する。
この場合、履歴映像信号には、BER履歴の情報と、サムネイルの情報が含まれる。
【0077】
図11には、数フレームにおける、各フレーム毎の状況の一例を示してある。
具体的には、各フレーム毎に、上側に表示される10分計のBER履歴及び下側に表示される1分計のBER履歴、BERが劣化したときのサムネイル画像(他のものは省略)についての表示画面を示してある。
【0078】
ここで、本例では、短期のBERの履歴の情報と、長期のBERの履歴の情報と、BERが劣化したときのサムネイル画像(縮小映像)の情報を画面に表示するための構成や動作について説明したが、他の種々な情報が画面に表示されてもよい。
具体例として、リードソロモン(RS)の符号に関する誤り有無の情報を画面に表示することも可能である。この場合、例えば、送信側では、送信対象となるデータに対して、リードソロモン符号化、畳み込み符号化を行い、受信側では、受信データに対して、畳み込み復号化を行ってBERを検出した後に、リードソロモン訂正を行ってリードソロモンのオン/オフ(誤りの有無)を検出する。
また、BERやリードソロモン以外にも、例えば、コンスタレーション、遅延プロファイル、電界レベルなどの様々なものに関する評価値について、時間変化(履歴)を表示することが可能である。
なお、これら各種の情報の時間変化を表示させるための機能は、例えば、履歴記憶表示部4や伝送状態映像変換部3などに備えられる。
【0079】
また、例えば、図1に示されるダウンコンバート部5或いは合成部6などにより、SD画像を画面に表示する上下方向の位置を中央以外の位置に設定することも可能である。これにより、画面に表示されるSD画像の上側の空き領域の大きさと下側の空き領域の大きさを所望のもの(例えば、上下で異なる大きさのもの)に設定することができる。
この場合、SD画像を画面に表示する上下方向の位置は、例えば、予め固定的にダウンコンバート部5或いは合成部6などに設定されていてもよく、又は、ユーザ(人)による操作部の操作や外部の装置からの制御信号によりダウンコンバート部5或いは合成部6などを制御することにより、任意に調整することが可能な構成が用いられてもよい。
一例として、ダウンコンバート部5において、出力するSD映像のスタート時点をずらすことで、当該SD映像が表示される上下方向の位置を調整することが可能である。
【0080】
図12には、画面の表示画像の一例を示してある。
本例の画面では、レターボックス表示により、SD映像が上下方向の中央よりやや上方の位置に表示されている。
そして、上側の空き領域には、過去10分程度のBER履歴の情報が表示されている。
また、下側の空き領域には、過去1分間程度について、0(例えば、オフ)又は1(例えば、オン)で表されるリードソロモンエラー(RS−NG)の情報と、BER履歴の情報が表示されている。また、リードソロモンエラー(RS−NG)のとき(アラート時)に対応した位置に、そのときにおける映像のサムネイル画像(左側のサムネイル画像)が表示されている。また、リードソロモンエラー(RS−NG)は出ていないが、BER状態が劣化した位置に、そのときにおける映像のサムネイル画像(右側のサムネイル画像)が表示されている。
【0081】
ここで、例えば、マラソン中継のように、ある地点から他のある地点までを移動しながら映像を撮影して行くような場合には、リードソロモンエラー(RS−NG)のとき又はBERが劣化したときなどに対応した位置に、距離を示すデータ(例えば、「10.0km」や「15.5km」など)を表示するようなことも可能である。この表示例が、図12に示されている。
また、履歴記憶表示部4などに、リードソロモンの判定状態や、又は、BERの値などに応じて、履歴を表示する色や模様などを変化させる機能を持たせることも可能である。これにより、BER等の時間変化を視覚的に見易くすることができ、また、BER等の良否や、BER等の劣化による警告などを見易くすることができる。
【0082】
以上のように、本例のOFDM信号等のディジタル伝送システムの受信側では、受信処理部(本例では、処理C部2)からBERの値等の状態に関する信号を取り出す機能と、BER等の状態を記憶するメモリと、BER等の現在の状態をメモリに書き込む機能と、メモリからBER等の履歴情報を読み出す機能と、読み出した履歴情報を表示画像へ変換する機能と、このような履歴情報を復号映像に重畳して表示する機能を備えた。
【0083】
また、本例の受信側では、受信した映像をダウンコンバートする処理部(本例では、ダウンコンバート部5)を備え、映像未表示相当エリアに対応して、メモリから履歴情報を読み出しするシフト機能付き読み出し部を備えた。これにより、時間の経過毎に、表示が横方向にずれて行く。
具体的には、HD映像からSD映像へ変換(ダウンコンバート)してSDモニタに表示すると、映像の上下に空きができることから、ダウンコンバートしたレターボックスの空き部分に、BER等の過去の履歴状態のグラフ(例えば、20秒、1分、10分など)を、横軸に時間を表して、表示する。例えば、画面左端が現在状態を表し、1cm右は1秒前、2cm右は2秒前などのようになる。
【0084】
また、本例の受信側では、ダウンコンバートしたSD映像をモニタ上に表示する垂直方向(上下方向)の位置をユーザ(人)により選択或いは調整などすることが可能な構成とすることができる。
具体的には、例えば、レターボックスの映像表示部分の位置を垂直方向に任意に移動させることにより、映像非表示部分の上下の割合を任意に変更することができる。
【0085】
また、本例の受信側では、例えば履歴記憶表示部4などに、受信状態が異常になったことを検知する検知器と、受信映像を縮小画像化する生成部を備え、異常状態が発生した時に対応した位置に、それに対応した縮小画像(サムネイル画像)を表示する。
また、本例の受信側では、マラソンや駅伝競走などの移動中継で、異常状態が発生した時に対応した位置に、距離表示(例えば、km表示)を行うことができる。
このように、映像非表示部分に表示される電波受信状況の劣化部分に、その距離のサムネイル映像やその距離の値を表示することができる。
【0086】
また、本例の受信側では、電波受信状況の状態に応じて、映像非表示部分に表示される履歴情報(の該当箇所など)を色や模様などを変えて表示することができる。
また、本例の受信側では、履歴の読み出し範囲を拡大した形で、一旦読み出しを行って、画面の上部などに、表示することができる。具体例として、2種類以上の時間軸スケールを同時に表示することができる。例えば、下部に20秒計或いは1分計などを表示し、上部に3分計或いは10分計などを表示する。
【0087】
従って、本例のディジタル伝送システムの受信側では、例えば、電界状態、反射波の有無及びレベル、BERの状態などを映像信号化したディジタル伝送装置を実現することができ、電界以外の状態についても瞬時に視覚的に把握することができ、過去の履歴状態を把握する作業を容易化することができ、より正確な方調作業を容易に実施することができる。また、映像信号化したことで、表示する装置としては、一般的なVIDEOモニタを使用することが可能であるため、状況に応じて最適なサイズの表示が可能となる。
また、伝送状態を測定収集する際に、映像信号の形態に変換してあるため、VHSやベータカム等のVTRに録画することで、大量のデータを容易且つ安価に記録することができる。
【0088】
具体例として、マラソンや駅伝競走のFPU中継では、予めリハーサルをしてコースの電波受信状況を確認している。
その際、映像を送信できている状況について、従来では、電波受信状況の現在状況のみを表示しており、余裕がある状態であるのか或いは余裕が無く紙一重の状態で送信できているのかが分からなかった。
現在、多くの放送局では、財政的な面から、購入済のSD対応の映像表示モニタを使用しており、HD信号についてはSD信号へダウンコンバートして表示している。
【0089】
そこで、本例では、HD信号(画面表示 横:縦=16:9)からSD信号(画面表示 横:縦=4:3)へダウンコンバートして表示した際に、それぞれの映像の縦横比から画面の上下に黒い映像非表示部分ができるレターボックス形式とし、その映像非表示部分に、右側が過去で左側が現在となるように水平方向を時間軸として、電波受信状況をスーパーインポーズで表示する。
これにより、例えば、FPU移動中継において、電界強度、BER、反射波の有無とレベル、遅延プロファイルなどの履歴情報を、水平方向を時間軸にとって、映像信号化し、スーパーインポーズで表示することで、方調作業を容易に正確に行うことを可能とするができる。
【0090】
なお、本例の伝送システムでは、履歴記憶表示部4やダウンコンバート部5や合成部6や表示画面(例えば、ディスプレイ)の機能により、伝送状態表示装置が構成されている。
本例の伝送状態表示装置では、ダウンコンバート部5がHD映像をSD映像へ変換する機能により変換手段が構成されており、履歴記憶表示部4により受信側の処理C部2からBER状態などの伝送状態に関する情報を取得する機能により取得手段が構成されており、取得された情報をメモリ(例えば、メモリ4−5)により記憶する機能により記憶手段が構成されており、ダウンコンバート部5と履歴記憶表示部4と合成部6によりSD映像とBER状態などの時間変化のグラフを画面に表示させる機能により表示制御手段が構成されている。
【0091】
また、本例の伝送状態表示装置では、例えば、ダウンコンバート部5などに対してSD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する指示を人から受け付けるための操作部の機能により受付手段が構成されており、ダウンコンバート部5などが当該指示に従ってSD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する機能により変更手段が構成されている。
また、本例の伝送状態表示装置では、例えばフレームメモリコントローラ4c−8により伝送状態に関する情報について異常(本例では、BER等の所定の劣化)を検出する機能により異常検出手段が構成されており、異常が検出された場合に、移動中継における対応する距離の値を表示することが行われる。
【0092】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
また、図13以降に示すOFDM変調方式では、特殊シンボルを含むタイプを例として説明したが、標準規格である「ARIB−STD−B33」(社団法人 電波産業会)に記載の特殊シンボルを持たないOFDM変調方式においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施例に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】画面の表示画像の一例を示す図である。
【図3】伝送状態映像変換部の構成例を示す図である。
【図4】履歴記憶表示部の構成例を示す図である。
【図5】各信号の時間変化の一例を示す図である。
【図6】各フレーム毎の状況の一例を示す図である。
【図7】履歴記憶表示部の他の構成例を示す図である。
【図8】各信号の時間変化の一例を示す図である。
【図9】各フレーム毎の状況の一例を示す図である。
【図10】履歴記憶表示部の他の構成例を示す図である。
【図11】各フレーム毎の状況の一例を示す図である。
【図12】画面の表示画像の一例を示す図である。
【図13】OFDM変復調装置の構成例を示す図である。
【図14】同期シンボル挿入部の構成例を示す図である。
【図15】同期検出&相関部の構成例を示す図である。
【図16】NULL終了検出器の構成例を示す図である。
【図17】NULL検出及びSWEEP開始位置推定動作の一例を示す図である。
【図18】(a)〜(c)は相関信号の例を示す図である。
【図19】反射波があるときの動作の一例を示す図である。
【図20】相関信号の一例を示す図である。
【図21】入力電界が低い使用条件のときの動作の一例を示す図である。
【図22】相関信号の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1・・送信側の処理A部、 2・・受信側の処理C部、 3・・伝送状態映像変換部、 4、4b、4c・・履歴記憶表示部、 5・・ダウンコンバート部、 6・・合成部、 3−1・・電界−映像変換部、 3−2・・BER−映像変換部、 3−3・・遅延プロファイル−映像変換部、 3−4・・映像統合部、 4−1、4b−1、4c−1・・タイミングパルス発生器、 4−2、4−3、4b−2、4b−3、4b−5、4c−2、4c−3・・カウンタ、 4−4、4b−4、4b−6、4c−4・・加算器、 4−5、4b−8、4c−5・・メモリ、 4−6、4b−9、4b−10、4c−6・・比較部、 4−7、4b−11、4b−13、4c−7・・ゲート、 4b−7・・セレクタ、 4b−12・・ピークホールド部、 4c−8・・フレームメモリコントローラ、 4c−9・・フレームメモリ、 4c−10・・OR回路、
101・・クロック発振器、 102・・伝送路符号化部、 103・・符号化部、 104・・IFFT部、 105・・ガード付加部、 106・・同期シンボル挿入部、 107・・直交変調処理部、 111・・D/A変換器、 112・・直交変調器、 113・・ローカル発振器、 201・・AGC部、 202・・直交復調処理部、 203・・同期検出&相関部、 204・・FST補正部、 205・・電圧制御クロック発振器、 206・・FFT部、 207・・復号化部、 208・・伝送路復号化部、 211・・増幅器、 212・・レベル制御部、 221・・発振器、 222・・直交復調器、 223・・A/D変換器、 301、302・・コントローラ、 303、304・・ROM、 305、306・・セレクタ、 401・・NULL終了検出器、 402・・SWEEP演算部、 403・・フレームカウンタ、 404・・SWEEPパターンメモリ、 501、502・・絶対値部、 503・・加算部、 504・・比較部、 505・・エッジ検出部、 506・・遅延部、
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばディジタル放送システムにおける伝送状態を表示する伝送状態表示装置に関し、特に、ビット誤り率(BER:Bit Error Rate)などの伝送状態に関する情報の時間変化を効果的に表示する伝送状態表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送の一例として、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式について述べる。
近年、ヨーロッパやアメリカ及び日本でディジタル放送が検討されており、その変調方式としてOFDM方式の採用が有力視されている。OFDM方式とは、マルチキャリア変調方式の一種で、多数のディジタル変調波を加え合わせたものを通信する。
具体的に、時間をtとし、キャリアの本数をNとし、各キャリアのディジタル変調波をαk(t)とすると、OFDM信号β(t)は(式1)のように上記信号単位から構成される。
【0003】
【数1】
【0004】
図13には、OFDM変復調装置の基本的な構成例をブロック図で示してある。
本例の伝送システムでは、送信側(変調側)である処理A部1と受信側(復調側)である処理C部2とが例えば無線回線を介して接続されている。
【0005】
送信側の処理A部1において行われる動作の概略の一例を示す。
クロック発振器101から発振される周波数16MHzのクロック信号CKが各部102〜107に供給される。
伝送路符号化部102は、入力されるデータDinを処理してデータDiiとして符号化部103へ出力し、また、他の各部103〜106に、同期シンボル期間の開始を示すFST信号(フレームスタート信号)をフレーム周期である900シンボル毎に出力する。
【0006】
符号化部103は、入力データDiiを符号化し、IとQの2軸にマッピングしたRfとIfを逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)部104へ出力する。
IFFT部104は、マッピングされた入力データRf、Ifを周波数成分と見なして、1024サンプルからなる時間軸信号R、Iへ変換して、ガード付加部105へ出力する。
ガード付加部105は、1024サンプルからなるR、Iの開始期間波形の例えば最初の48サンプルの波形を1024サンプル後に付加して、合計1072サンプルの時間波形Rg、Igを同期シンボル挿入部106へ出力する。この48サンプルは、反射波混入時の緩衝帯となる。
【0007】
同期シンボル挿入部106は、入力されたRg、Igについて、該情報シンボル894個毎に、予めメモリ等に記憶された6シンボルからなる同期波形を挿入してRsg、Isgを作成して、直交変調処理部107へ出力する。
直交変調処理部107では、入力されたディジタル信号Rsg、Isgをアナログ信号へ変換した後に直交変調して出力する。この直交変調の結果の信号(OFDM変調波)は、例えばUHF(Ultra High Frequency)帯若しくはマイクロ波帯を用いて処理C部2へ伝送される。
【0008】
受信側の処理C部2において行われる動作の概略の一例を示す。
AGC(Automatic Gain Control)部201では、伝送されてきたOFDM変調波に対して自動利得制御を行って、直交復調処理部202へ出力する。
直交復調処理部202では、入力信号を復調してベースバンド信号へ変換した後に、A/D(Analog to Digital)変換してR’sg、I’sgの信号を生成して、同期検出&相関部203及びFFT部206へ出力する。
【0009】
同期検出&相関部203は、入力されたR’sg、I’sgの信号について、同期シンボル期間を検出して、シンボル期間の切れ目としてフレームパルスFST’rを各部204、206〜208へ出力する。また、同期検出&相関部203は、入力されたR’sg、I’sgの信号について、相関出力(相関結果)ScをFST補正部204へ出力する。
FST補正部204は、相関出力Scを基に、制御電圧VCを電圧制御クロック発振器205へ出力して、クロック信号CKrcを制御する。
電圧制御クロック発振器205は、基準クロックCKrを用いて、制御電圧VCを基に、クロック信号CKrcを発生して各部203、206〜208、223へ出力する。
【0010】
高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)部206は、入力信号R’sg、I’sgについて、FST’rからFFTとして利用抽出する1024サンプルのデータ期間を決定するゲート信号を作成し、緩衝帯である48サンプルのガード期間を除外し、また、入力信号R’sg、I’sgの1024サンプル分をFFTにより時間波形信号から周波数成分信号R’f、I’fへ変換して、復号化部207へ出力する。
復号化部207は、入力信号R’f、I’fについて、マッピング位置を識別して、その結果D’oを伝送路復号化部208へ出力する。
伝送路復号化部208は、入力D’oを処理して、連続した信号Doutとして出力する。
【0011】
次に、各部の詳細について述べる。
送信側の処理A部1の動作について述べる。
伝送路符号化部102は、伝送中に混入の恐れがある各種エラーによるデータ誤りを防止するために、インターリーブ処理、エネルギー拡散処理、エラー訂正用符号処理等を行う。
符号化部103は、マッピングROM(Read Only Memory)を用いて信号DiiをIQ軸の所定点に変換し、また、不要キャリアに相当する期間の信号を0に置換して、RfとIfを作成する。
【0012】
IFFT部104は、入力信号Rf、IfをCKとFSTとでタイミングを決められたシンボル周期の時間波形R、Iへ変換する。具体的には、例えば、プレッシー社のPDSP16510等を用いることにより実現することができる。
ガード付加部105は、入力されたR、Iを1024サンプル遅延する遅延出力器と、1025サンプル目から1072サンプル目のみ遅延出力を選択する切り替え器からなる。得られる全1072サンプルからなるシンボルでは、1025サンプル目から1072サンプル目には、1サンプル目から48サンプル目の間の時間波形が付加される。これらはCKとFSTによってタイミングを決められる。
【0013】
図14には、同期シンボル挿入部106の構成例を示してある。
CKとFSTによってタイミングを決められたコントローラ301によって制御されるROM303、304は、同期シンボル信号をFSTに応じたタイミングで発生する。同様にCKとFSTによってタイミングを決められたコントローラ302によって制御されるセレクタ305、306は、作成されたガード付時間信号Rg、Igのうちで現段階では無信号期間である1から4シンボルの期間のみ、ROM303、304からの同期シンボル信号に切り替えて出力する。
【0014】
ここで、同期シンボル信号は、例えば、NULLシンボル、1シンボル期間に1本のキャリアにしか信号成分を持たないCWシンボル、SWEEPシンボル、位相の基準を示す基準(RF)シンボルから構成される。
NULL挿入の目的は、無信号であることにより同期シンボル群の存在を大まかに見つけるためであり、NULLシンボル期間は信号を一切出力しない。SWEEP挿入の目的は、シンボル切り替わり点を正確に求めることであり、1シンボル期間に伝送帯域の下限周波数から上限周波数に変化する波形とする。
【0015】
直交変調処理部107は、D/A(Digital to Analog)変換器111、直交変調器112、ローカル発振器113を有している。
D/A変換器111は実数部信号Rsgと虚数部信号IsgのD/A変換を行う。
ローカル発振器113は、所定の周波数fcの信号を発振して直交変調器112へ出力する。
直交変調器112は、実数部信号Rsgに対しては発振器113からの周波数fcのキャリア信号で、一方、虚数部信号Isgに対しては発振器113からの周波数fcのキャリア信号を90°移相した信号で、直交変調を施し、これらの信号を合成してOFDM信号を得る。
【0016】
受信側の処理C部2の動作について述べる。
AGC部201は、増幅器(アンプ)211とレベル制御部212を有しており、受け取った(受信した)信号のレベルを適正レベルに修正するための制御信号Saをレベル制御部212が発生して、当該制御信号Saにより制御される増幅器211がレベルを変更する。
AGC部201により適正レベルとなったOFDMフレーム構成信号が直交復調処理部202に入力される。
【0017】
直交復調処理部202は、電圧制御発振器221、直交復調器222、A/D変換器223を有している。
ここでの処理は、送信側とは逆となる。具体的には、電圧制御発振器221が、復号化部207からの制御により、周波数fc’のキャリア信号を直交復調器222へ出力する。直交復調器222は、電圧制御発振器221からのキャリア信号で復調したものを実数部信号として、当該キャリア信号を90°移相して復調したものを虚数部信号として、取り出す。A/D変換器223は、これら実数部及び虚数部の各復調アナログ信号をディジタル信号へ変換する。
【0018】
同期検出&相関部203は、受信した信号R’sg、I’sgからフレームの区切りを探索してフレームの基準FST’rを出力するとともに相関出力Scを出力する。
FFT部206は、FST’rパルスを基にシンボルを区切りフーリエ変換を行うことでOFDM復調を行い、これにより得られたR’f、I’fを出力する。
復号化部207は、例えばROMテーブル手法にて、R’f、I’fを識別してD’oを算出する。
伝送路復号化部208は、逆インターリーブ処理、エネルギー逆拡散処理、エラー訂正処理等を行う。
【0019】
図15には、同期検出&相関部203の構成例を示してある。
直交復調されたディジタル信号であるR’sg、I’sgは、NULL終了検出器401とSWEEP演算部402に入力される。
NULL終了検出器401は、NULL終了時期から受信ストリーム中のSWEEPシンボル開始時期をタイマー回路にて推定して、SWEEP期間指示パルス(SWEEP期間フラグ)STをSWEEP演算部402及びフレームカウンタ403へ出力する。この場合、NULL終了検出器401は、フレーム構成のシンボル群から同期シンボル中の無信号状態であるNULL期間のおおよその終了時期を検出し、フレームカウンタ403を3シンボル目(SWEEPシンボルに対応する位置)とプリセットする。すなわちシンボルの大まかな位置を検出する。
【0020】
SWEEP演算部402は、SWEEP期間指示パルスSTを参照してNULLシンボルの3シンボル後(SWEEPシンボルに対応する位置)に存在する波形を予想SWEEP波形として取り込み、フレームパルスFST’rを基準に動作するSWEEPパターンメモリ404で発生される基準SWEEPパターンとの一致具合を演算する。
FST補正部204は、フレームパルスFST’rを基準に各シンボルの正確な切り替わりタイミングとの位相ズレを算出し、受信側の基準クロックCKrの補正信号を電圧制御クロック発振器205へ出力し、受信側のフレーム位相を伝送データに一致させる。
【0021】
フレームカウンタ403は、カウント数がフレーム周期を構成する値(例えば、1072×900)に到達すると、値を0に戻すとともにパルスを出力して、再カウント行い、また、以後は、一定カウントすなわちフレーム開始点毎にFST’rパルスを出力して、フレーム開始時期を示す。また、フレームカウンタ403は、所定のタイミングで、スタートパルスをSWEEPパターンメモリ404へ出力する。
SWEEPパターンメモリ404には、予め、SWEEPシンボルのパターンが記憶されている。
フレームカウンタ403は、NULL終了検出器401からのプリセット処理でフレーム位相を粗く揃え、更に、予想SWEEP波形とのズレから演算を行ってフレーム位相を正確に揃える微調を行う。
【0022】
図16には、NULL終了検出器401の具体的な構成例を示してある。
図17には、NULL検出及びSWEEP開始位置推定動作の一例を示してある。なお、例えば、反射波が無く、高CNの場合の例である。
各絶対値部501、502は、入力された各信号R’sg、I’sgを絶対値化して、加算部503へ出力する。
加算部503は、入力された2つの値を加算して、その加算結果を比較部504へ出力する。
【0023】
比較部504は、入力された加算結果と所定の閾値Vthとを比較し、加算結果が閾値Vthを超えない期間(図17におけるT1〜T2のNULLシンボル期間)に相当する比較結果をエッジ検出部505へ出力する。
エッジ検出部505は、入力された比較結果から信号の立ち上がりエッジを検出して遅延部506へ出力する。
遅延部506は、入力された立ち上がりエッジの信号を1シンボル遅延させて、SWEEP期間指示パルス(SWEEP期間フラグ)STを発生させる。
【0024】
SWEEP演算部402の相関出力信号Scを基に、FST補正部204はズレ検出を行って受信側サンプルレートとなるCKrcの速度を調整することで、伝送されてきた同期シンボル位相とのロック処理を行い、この結果、FFTゲートの時間的位置の誤差は消える。なお、反射波があるため、ゲート位置はシンボル期間の後部がベターである。
【0025】
ところで、粗調整にあたる同期シンボルの検出エッジを元に決定するSWEEP期間フラグの時間的位置が正確であれば、 微調整にあたるCKrcの速度を調整して行うFFTゲートの時間的位置の補正量が減少し、その所用時間も減少する。すなわち、より少ない時間で誤差0(ズレ無し)のゲート位置に設定することができ、最良の復号状況を達成することができる。
図18(a)、(b)、(c)には、このような場合における相関信号Scの例を示してある。図18(a)にはFST’rがSWEEP波形と一致した場合を示してあり、図18(b)にはFST’rがSWEEP波形より早い場合を示してあり、図18(c)にはFST’rがSWEEP波形より遅い場合を示してある。図示されるように、鋭いピークが唯一存在する形となる。
【0026】
次に、反射波がある時の動作、NULL検出閾値との関連(高CN時を含む)について説明する。
図19には、反射波があるときの動作の一例を示してある。
図示されるように、反射波が存在すると、検出エッジの時間的位置が遅れるため、粗調整の精度が低下し、微調整で行う補正量も増加し、ひいては微調整に要する時間が増加して、最良の復号状況への到達が遅れる。
【0027】
反射波の影響を低減する場合、閾値Vthを低め(例えば、0.3)に設定すれば、主波によるNULL終了点を検出し易くなり、粗調時のズレ量は少なくなり、上述した微調整の所用時間の延長を防止することができる。
図20には、このような場合(反射波があり、高CNの場合)における相関信号Sc(反射波混入時のSWEEP相関出力)の一例を示してある。図示されるように、主波による山と反射波による山が存在する形となる。
【0028】
以上では、雑音成分の混入が少ない高CNでの状態を前提としていた。
しかしながら、入力電界が低い使用条件では、雑音成分が増加し、比較結果にNULL期間の雑音成分で発生した偽信号が混ざる。
図21には、入力電界が低い使用条件のとき(例えば、反射波が無く、低CNのとき)の動作の一例を示してある。
こうしたことから、粗調整の精度は大幅な低下となる恐れがある。また、更に電界が弱まるとNULL期間の雑音成分が常にVthを越えてしまい、NULL期間の終了を全く検出不能となる場合も生じる。低CNでの動作を確保するためには、閾値Vthは高め(例えば、0.8)が良い。
【0029】
図22には、このような場合(反射波が無く、低CNの場合)における相関信号Sc(低電界時のSWEEP相関出力)の一例を示してある。
受信側で再生したFST’rパルスを基準に取り込んだSWEEP信号に雑音が多く含まれるため、SWEEPパターンメモリ404の位相をずらしながら一致度を演算するが、高CN時ほどには一致度が高まらず、生じる山は緩い形となる。
【0030】
次に、アンテナの方向調整作業について説明する。
マラソン中継等のように、移動しながらの電波伝送の場合、受信側のアンテナを移動中の送信アンテナに正確に向けて強い電波を受けるために、方向調整作業が必要となる。以後、この方向調整を方調(業界の短縮言葉)とも呼ぶ。この方調作業を容易化するために、従来の装置には、電界の強さをAGC部の制御信号Saと見立てて、電界の強さに応じて低周波の周波数が変化する低周波出力部が装備されていた。
【0031】
旧来のアナログ伝送の場合、ほとんどのケースで伝送品質は電界が強い程に良好となる。しかしながら、ディジタル伝送の場合には、電界が強くて反射波の混入が多い状態よりも、多少電界が弱くても反射波が無く主波のみ存在する状態の方が、良好な伝送状態を得られることが圧倒的に多い。
【0032】
従来のアナログ方式は反射波の影響を大きく受けるため、見通しがある状態でのみ使用されていた。これに対して、特に、OFDM変調のディジタル方式は、反射の影響が少なく、見通し外で積極的に利用されることは、前述した。
しかしながら、見通し外からの伝送であるため、受信側の方向調整者は、送信側を目視することができない。このため、移動車の位置を把握する方法として、移動車からの伝送画像をモニタ確認する手法に頼ることとなる。なお、ディジタル化に伴い、受信信号を画像化するには、先ほど述べたOFDM復調で得たディジタルデータをMPEGデコーダなどを用いて画像に復元する必要がある。このため、アナログ方式のように受信ヘッドで画像を復号することは困難である。すなわち、制御部での処理を経由しないと画像信号が得られない。
【0033】
従って、制御部で得た画像を高周波部へ送り返すため、送り返し画像用の同軸ケーブルを敷設する必要がある。通常、受信ヘッドは見晴らしの良い高所に配置されるため、制御部との距離は、100から200mにも達する。その区間に送り返し用の同軸ケーブルを追加敷設することは、大変煩わしい作業である。また、駅伝或いはレースの本番の場合には、実際にオンエア(ON−AIR)されている画像を見ながら、レース展開を把握して複数台の中継車にアンテナを向ける等の操作を行う必要がある。このために必要な画像を送り返す同軸ケーブルとしては、2から3本が必要となる。
なお、昨今では、明確な同期のみを対象としたシンボルも持たない構成のOFDM変調波が多い。
【0034】
以上説明した従来の構成において、伝送状態を把握する手段として電界の強弱やBER状態を参考に方調を行っても、反射波の混入状況は判からず、品質の高い伝送が必ずしも実現できないという欠点が生じている。
【0035】
ここで、既に行われた改良技術(以下で、既改良技術と言う)について説明する。
既改良技術は、遅延波の存在を示す情報を映像信号に変換して表示し、方向調整者が反射波混入の少ない電波を捕捉する操作を容易化して品質の高い伝送を実現することを第1の目的とする。
また、既改良技術は、方向調整者が多数の表示時モニタを見なくても済むように、映像化した遅延情報を他の映像信号に同期させることで、俗に言うスーパーインポーズ状態で表示することを第2の目的とする。
【0036】
前記した第1の目的を達成するため、既改良技術では、例えば反射波の存在を表すために、伝送路復号化部から得られる相関波形、ビットエラー状態、その他を映像信号化する。
また、前記した第2の目的を達成するため、既改良技術では、映像化装置は、遅延波状態信号の更新周期に応じてメモリに取り込み、同期すべき映像信号から抽出したH(水平)&V(垂直)同期に応じて当該メモリを読み出し、画像信号とする。
【0037】
表示画像の例としては、同一映像に、時間目盛とガード期間の範囲を合わせて表示しながら、遅延プロファイル波形を表示する。また、右上にBER状態を中サイズのドットを積み重ねたブロックで配置し、右下に電界レベルを小サイズのドットを積み重ねたブロックで数列、配置する。これらは、伝送状態に応じて変化する。なお、表示の更新は、映像信号の更新周期に依存する。
ところで、昨今、ハイビジョン伝送が主体となっているが、受信点などでのモニタ類のハイビジョン化は未了である。
【0038】
【特許文献1】特開2005−143146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
しかしながら、上記のような表示では、遅延プロファイル情報などに関してそのときの状態のみをリアルタイム表示しており、表示内容が時々刻々更新されるため、一瞬の不具合を見逃してしまうケースも生じ易い。例えば、時間軸が画面フレーム方向であり、少し(例えば、1秒)前の状態は消滅している。このため、過去(例えば、10秒前)の状態については、人の記憶に頼るか、又は、VTR録画すること等が必要であった。
【0040】
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、例えばディジタル放送システムにおける伝送状態を表示するに際して、ビット誤り率(BER)などの伝送状態に関する情報の時間変化を効果的に表示することができる伝送状態表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
上記目的を達成するため、本発明では、ディジタル伝送システムの伝送状態に関する情報を表示する伝送状態表示装置において、次のような構成とした。
すなわち、変換手段が、受信側により受信されたHD(High Definition)映像をSD(Standard Definition)映像へ変換する。取得手段が、前記伝送状態に関する情報を取得する。記憶手段が、前記取得手段により取得された情報を記憶する。表示制御手段が、前記変換手段により変換されたSD映像の上側又は下側の映像非表示部分の一方又は両方に、前記記憶手段に記憶された情報の時間変化のグラフが配置されるように、当該SD映像及び当該グラフを画面に表示する。
【0042】
従って、HD映像からダウンコンバートされたSD映像の上側の映像非表示部分、或いは下側の映像非表示部分、或いは上側と下側の両方の映像非表示部分に、伝送状態に関する情報の時間変化のグラフ(履歴の情報)が表示されるため、例えばディジタル放送システムにおける伝送状態を表示するに際して、ビット誤り率(BER)などの伝送状態に関する情報の時間変化を効果的に表示することができる。
【0043】
ここで、伝送状態に関する情報としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、電界強度、BER、反射波の有無やレベル、遅延プロファイル、リードソロモン(RS)のエラーの有無などの情報を用いることができ、具体例として、方調作業に有用な種々な情報を用いることができる。
また、伝送状態に関する情報を取得する仕方としては、例えば、受信側の受信処理部などにより取得された伝送状態に関する情報を入力して取得する仕方や、或いは、受信信号に基づいて自ら演算などを行って伝送状態に関する情報を取得する仕方などを用いることができる。
また、記憶手段としては、例えば、メモリを用いて構成することができる。
【0044】
本発明に係る伝送状態表示装置では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、受付手段が、前記変換手段により変換されたSD映像が前記画面に表示されるときにおける当該SD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する指示を人から受け付ける。変更手段が、前記受付手段により受け付けられた指示に従って、前記SD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する。
【0045】
従って、画面表示におけるSD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を人により変更することができるため、例えば、下側のみに情報を表示させるときには下側を上側より大きくすることや、或いは、上側のみに情報を表示させるときには上側を下側より大きくすることや、或いは、上側と下側の両方に情報を表示させるが下側により多くの情報を表示させるときには下側を上側より大きくすることなどができ、表示内容を視覚的に見易くすることができる。
【0046】
ここで、例えば、SD映像は画面の垂直方向(上下方向)の中央に位置させられてもよく、また、上側又は下側の映像非表示部分が無い状態にされてもよい。
また、上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する仕方としては、例えば、複数の割合の候補をユーザ(人)に対して提示してその中から選択させる仕方や、或いは、ユーザによる操作部の操作に応じて割合を連続的に又は離散的に変化させる仕方などを用いることができる。
【0047】
本発明に係る伝送状態表示装置では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、送信側から受信側へ伝送されるHD映像は、移動中継の映像である。
異常検出手段が、前記伝送状態に関する情報について、異常を検出する。前記表示制御手段は、前記異常検出手段により異常が検出された場合には、前記グラフにおける当該異常が検出された位置に対応させて、当該異常が検出された前記移動中継における距離の値を前記画面に表示する。
【0048】
従って、例えばマラソンや駅伝競走などのリハーサルにおいて、その移動中継の映像を画面に表示するに際して、伝送状態に異常が検出された場合には、その異常の位置に対応して移動中継における距離の値(例えば、「〜km」)が表示されるため、どの距離において異常が発生したかを容易に把握することができ、方調作業などに役立てることができる。
【0049】
ここで、伝送状態に関する情報について異常を検出する仕方としては、種々な仕方が用いられてもよく、例えば、伝送状態に関する情報について閾値を予め設けておいて、当該情報(値)と当該閾値との大小関係に応じて当該伝送状態が当該閾値よりも劣化したとみなされる場合に、異常が発生したことを検出するような仕方を用いることができる。
また、グラフにおける異常が検出された位置に対応させて距離の値を表示する態様としては、例えば、当該位置にちょうど表示する態様ばかりでなく、当該位置の付近に表示する態様や、或いは、当該位置を色や模様で区別して示しつつ、他の離れた領域に距離の値を表示する態様などを用いることも可能である。
【発明の効果】
【0050】
以上説明したように、本発明に係る伝送状態表示装置によると、例えばディジタル放送システムにおける伝送状態を表示するに際して、ビット誤り率(BER)などの伝送状態に関する情報の時間変化を効果的に表示することができ、方調作業に役立てることなどができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
本実施例では、ディジタル放送システムにおいて、移動中継局である送信側のFPU(Field Pick−up Unit)の処理部(本例では、処理A部)から受信側の処理部(本例では、処理C部)へHD(High Definition)映像の信号を無線により伝送する伝送システムに本発明を適用した場合を示す。
【0052】
図1には、本発明の一実施例に係る伝送システムの全体的な構成例を示してある。
本例の伝送装置は、送信側に、処理A部1を備えており、また、受信側に、処理C部2と、伝送状態映像変換部3と、履歴記憶表示部4と、ダウンコンバート部5と、例えば加算器からなる合成部6を備えている。
【0053】
本例の伝送システムでは、HD映像の信号が、処理A部1に入力されて、当該処理A部1から処理C部2へ例えば無線電波により伝送されて出力される。この出力されるHD映像の信号は、分岐されてダウンコンバータ部5を介して、SD(Standard Definition)映像の信号として合成部6に入力される。
また、処理C部2から伝送状態映像変換部3へ、AGCの制御信号Sa、相関演算信号Sc、BER状態を示すSb信号が出力される。また、処理C部2から履歴記憶表示部4へ、BER状態を示すSb信号が出力される。
【0054】
また、伝送状態映像変換部3は、同期信号C.SYNCを履歴記憶表示部4へ出力し、受信状態映像信号を合成部6へ出力する。また、履歴記憶表示部4は、履歴映像信号を合成部6へ出力する。
合成部6は、入力されたSD映像、受信状態映像信号、履歴映像信号を合成して出力する。
【0055】
ここで、送信側の処理A部1や受信側の処理C部2としては、それぞれ、例えば、図13に示されるものと同様なものを用いることができる。
伝送状態映像変換部3は、本例では、時間目盛と、ガード期間の範囲と、BER状態と、電界レベルの情報を含む受信状態映像信号を合成部6へ出力する。
履歴記憶表示部4は、本例では、BER状態の時間変化の履歴情報を含む履歴映像信号を合成部6へ出力する。
ダウンコンバート部5は、処理C部2から入力されたHD映像の信号をSD映像の信号へ変換(ダウンコンバート)して合成部6へ出力する。
合成部6は、ダウンコンバート部5から入力されたSD映像信号の映像と、伝送状態映像変換部3から入力された受信状態映像信号の映像と、履歴記憶表示部4から入力された履歴映像信号の映像が重ね合わせて表示される(スーパーインポーズされる)ように、これらの合成結果を出力する。
【0056】
図2には、ダウンコンバートした画面に、伝送状態、履歴、その他を表示した状態(表示映像画像)の一例を示してある。これは、合成部6から出力された信号に基づくSD映像や各種の情報がディスプレイなどの表示装置の画面に表示された結果の一例である。
本例の画面表示では、画面の上下方向の中央付近にSD映像が表示されており、そのSD映像の上側と下側に空き領域が存在している。
【0057】
SD映像の表示領域には、時間目盛と、ガード期間の範囲と、遅延プロファイルと、BERと、電界レベルの情報が表示される。具体的には、同一映像に、時間目盛とガード期間の範囲を合わせて表示しながら、遅延プロファイル波形を表示している。また、右上にBER状態を中サイズのドットを積み重ねたブロックで配置し、右下に電界レベルを小サイズのドットを積み重ねたブロックで数列、配置している。
ここで、時間目盛は、右側の方が過去を表しており、例えば、全体で10msなどの時間幅を表している。
また、BER状態や電界レベルは、その値が大きくなるほど、右の方から左の方へブロックの数が増えていく。
【0058】
また、SD映像の下側の空き領域には、BER履歴(BER状態の時間変化の履歴)の情報が表示される。
ここで、BER履歴の情報では、右側の方が過去を表しており、例えば、全体で60秒などの時間幅を表している。
また、BER履歴の情報(グラフ)では、上側の方がBERの値が小さく、下側の方がBERの値が大きい。
【0059】
ここで、ハイビジョンのHD映像と、それがダウンコンバートされたSD映像について説明する。
HD映像は、水平(横)方向16×垂直(縦)方向9の大きさを有する。一方、SD映像は、水平(横)方向4×垂直(縦)方向3(=16×12)の大きさを有する。
このため、HD映像をダウンコンバートしてSD映像用の画面に表示させると、上下方向に(3/12)だけ空き領域ができる。例えば、上下方向の中央にダウンコンバート映像を表示させると、上下のそれぞれに、(1/8)ずつの空き領域ができる。
このような空き領域は、通常は、黒色の映像が表示され(有意な映像は表示されず)、不要な部分となる。そこで、本例では、このような空き領域に、BER履歴の情報を表示させて、有効に利用している。
なお、このようなダウンコンバート映像の表示は、レターボックス(レターBOX)表示となり、映像表示部分と、映像非表示部分(空き領域)が生じる。
【0060】
図3には、伝送状態映像変換部3の構成例を示してある。
制御信号Saは、電界−映像変換部3−1に入力される。電界−映像変換部3−1からの出力は、映像統合部3−4に入力される。
BER状態を表す信号Sbは、BER−映像変換部3−2に入力される。BER−映像変換部3−2からの出力は、映像統合部3−4に入力される。
相関出力を表す信号Scは、遅延プロファイル−映像変換部3−3に入力される。遅延プロファイル−映像変換部3−3からの出力は、映像統合部3−4に入力される。
また、遅延プロファイル−映像変換部3−3には、信号FST’rが入力される。
【0061】
映像統合部3−4からの同期信号C.SYNCは、電界−映像変換部3−1、BER−映像変換部3−2、遅延プロファイル−映像変換部3−3の同期入力端子に接続(入力)され、また、履歴記憶表示部4の同期入力端子に接続(入力)される。映像統合部3−4からは、伝送状態映像信号が出力される。
電界−映像変換部3−1、BER−映像変換部3−2、遅延プロファイル−映像変換部3−3は、C.SYNC信号の入力に従って、それぞれの状態を示す各信号を映像信号に変換する。映像統合部3−4は、映像化された各信号を統合し、映像用の同期信号を付加して、出力する。
【0062】
図4には、履歴記憶表示部4の構成例を示してある。
図5には、各信号の時間変化の一例を示してある。
本例では、映像フレーム毎のBERの値が5段階に離散化されている。
また、フレーム毎に、信号C.SYNCがそれを示し、所定のタイミングパルスW1、R1が発生させられる。
【0063】
BER状態を表す信号Sbは、メモリ4−5に入力されて記憶される。
同期信号C.SYNCは、タイミングパルス発生器4−1に入力される。
タイミングパルス発生器4−1は、信号C.SYNCに基づいて、各種の信号YU、TH、W1、R1を生成し、ゲートを開く位置(タイミング)を表すゲート制御信号YUをゲート4−7へ出力し、5段階の階段状の閾値を表す閾値信号THを比較部4−6へ出力し、メモリライトに関するタイミングパルスW1をカウンタW4−2へ出力し、メモリリードに関するタイミングパルスR1をカウンタR4−3へ出力する。
【0064】
カウンタW4−2は、タイミングパルスW1に基づく書き込みアドレス信号ADDwをメモリ4−5に入力するとともに、当該信号ADDwを読み出しリセット信号RRSTとして加算器4−4に入力する。これにより、メモリ4−5へは、毎フレーム毎のBERのデータDSbが、書き込みアドレス値を増しながら書き込まれる。
カウンタR4−3は、タイミングパルスR1に基づいて、5回分ののこぎり波状の信号を加算器4−4に入力する。
【0065】
加算器4−4は、カウンタW4−2からの入力とカウンタR4−3からの入力を加算して、当該加算結果を読み出しアドレス信号ADDrとしてメモリ4−5へ出力する。これにより、メモリ4−5からは、毎フレーム毎に、過去における所定期間のBERのデータD’Sbが5回分、比較部4−6に読み出される。
なお、本例では、メモリ4−5としては、BERのデータを10分間のフレーム分だけ記憶することが可能なループメモリが用いられている。
【0066】
比較部4−6は、メモリ4−5から入力されたBERのデータの値と閾値THとを比較して、これらが一致したことを示すLE信号をゲート4−7へ出力する。このとき、5段階の閾値THについて、1段階ずつ、走査線を所定数(例えば、1つ)ずつ下へ移動させて行く。この5段階分を重ね合わせることにより、図2に示されるようなBER履歴のグラフ(垂直方向がBERの値を表し、水平方向が時間を表すもの)が形成される。
ゲート4−7は、ゲート制御信号YUに従って、比較部4−6からの比較結果により形成されるBER履歴(BERの時間変化)の映像化信号を出力する。
【0067】
図6には、数フレームにおける、各フレーム毎の状況の一例を示してある。
具体的には、各フレームの位置(タイミング)を表す信号(タイミングパルス)と、メモリ4−5への書き込みアドレスを表す信号ADDwと、メモリ4−5からの読み出しアドレスを表す信号ADDrと、BER履歴(他のものは省略)についての表示画面を示してある。
1フレーム目においては、BER値を番地(N+1)へ書き込む。そして、番地(N+1)〜番地(N−60)を読み出す。2フレーム目においては、BER値を番地(N+2)へ書き込む。そして、番地(N+2)〜番地(N−59)を読み出す。以降も同様に繰り返す。
【0068】
この結果、最新のBER値が左端に読み出されて表示され、以降は、1フレーム前のBER値、2フレーム前のBER値、・・・という順で、読み出しと表示が行われる。
この表示範囲としては、本例では、ダウンコンバートした映像の未表示エリアとしている。
【0069】
次に、短期のBER履歴の情報と長期のBER履歴の情報を同一画面に表示する構成及び動作について説明する。
図7には、履歴記憶表示部(短期&長期対応)4bの構成例を示してある。
図8には、各信号の時間変化の一例を示してある。
ここで、タイミングパルス発生器4b−1、カウンタW4b−2、カウンタR4b−3、加算器4b−4、メモリ4b−8、比較部4b−9、ゲート4b−11により、図4に示されるのと同様な機能が実現されており、短期のBERの履歴の映像化信号(本例では、1分計)が出力される。
【0070】
また、本例では、更に、長期のBERの履歴の映像化信号(本例では、10分計)を出力する機能が備えられている。
タイミングパルス発生器4b−1は、閾値信号THbを比較部4b−10へ出力し、ゲート制御信号YUbをゲート4b−13へ出力し、セレクタの制御信号Sel_ADDrをセレクタ4b−7へ出力する。
カウンタ4b−2からの出力は、加算器4b−6にも入力される。
カウンタ(Rb)4b−5は、高速カウンタであり、所定ののこぎり波状の信号を加算器4b−6へ出力する。当該のこぎり波状の信号は、カウンタR4b−3から出力されるものを高速化したものに相当する。
【0071】
加算器4b−4は、加算結果ADDrをセレクタ4b−7へ出力する。
加算器4b−6は、カウンタ(Rb)4b−5からの入力とカウンタW4b−2からの入力を加算し、当該加算結果を読み出しアドレス信号ADDrbとしてセレクタ4b−7へ出力する。
セレクタ4b−7は、入力される制御信号Sel_ADDrに従って、1分計の読み出しアドレス信号ADDrと10分計の読み出しアドレス信号ADDrbを切り替えて、いずれか一方を読み出しアドレス信号ADDcとしてメモリ4b−8へ出力する。
本例では、このようにして、メモリ4b−8からの読み出しを時分割で制御している。
【0072】
比較部4b−13は、メモリ4b−8から入力されたBERのデータの値と閾値THbとを比較して、これらが一致したことを示すLEb信号をピークホールド部4b−12へ出力する。
ピークホールド部4b−12は、入力信号についてピークホールド処理を行い、その結果LEbhをゲート4b−13へ出力する。ここで、本例では、ピークホールド処理は、一瞬のBER劣化などをディスプレイの解像度まで引き伸ばすために行われている。つまり、時間幅が縮小され過ぎて表示分解能以下となり得るため、時間方向にピークホールドして表示幅を確保している。
ゲート4b−13は、ゲート制御信号YUbに従って、ピークホールド部4b−12からの入力信号により形成されるBER履歴(BERの時間変化)の映像化信号(本例では、10分計)を出力する。
この場合、履歴映像信号には、2つのBER履歴の情報が含まれる。
【0073】
図9には、数フレームにおける、各フレーム毎の状況の一例を示してある。
具体的には、各フレーム毎に、上側に表示される10分計のBER履歴及び下側に表示される1分計のBER履歴(他のものは省略)についての表示画面を示してある。
【0074】
次に、BER履歴の情報と、BERが劣化したときの縮小画像(サムネイル)の情報を同一画面に表示する構成及び動作について説明する。
図10には、履歴記憶表示部4cの構成例を示してある。
ここで、タイミングパルス発生器4c−1、カウンタW4c−2、カウンタR4c−3、加算器4c−4、メモリ4c−5、比較部4c−6、ゲート4c−7により、図4に示されるのと同様な機能が実現されており、BERの履歴の映像化信号が出力される。
【0075】
フレームメモリコントローラ4c−8は、BER状態の信号Sbを入力して、例えば、BER状態が劣化したとき(一例として、BERの値が1になったとき)に、ダウンコンバート後の映像出力(復号映像)をフレームメモリ4c−9に記憶させる。
また、フレームメモリコントローラ4c−8は、比較部4c−6からの出力信号LEを入力して、BER状態が劣化したときのグラフ位置に合わせて、フレームメモリ4c−9に記憶された映像をOR回路4c−10へ読み出す。
【0076】
OR回路4c−10は、複数枚分のフレームメモリ4c−9から出力された映像のOR結果(通常は、ある1枚のフレームメモリからの映像)を縮小復号映像として出力する。
この場合、履歴映像信号には、BER履歴の情報と、サムネイルの情報が含まれる。
【0077】
図11には、数フレームにおける、各フレーム毎の状況の一例を示してある。
具体的には、各フレーム毎に、上側に表示される10分計のBER履歴及び下側に表示される1分計のBER履歴、BERが劣化したときのサムネイル画像(他のものは省略)についての表示画面を示してある。
【0078】
ここで、本例では、短期のBERの履歴の情報と、長期のBERの履歴の情報と、BERが劣化したときのサムネイル画像(縮小映像)の情報を画面に表示するための構成や動作について説明したが、他の種々な情報が画面に表示されてもよい。
具体例として、リードソロモン(RS)の符号に関する誤り有無の情報を画面に表示することも可能である。この場合、例えば、送信側では、送信対象となるデータに対して、リードソロモン符号化、畳み込み符号化を行い、受信側では、受信データに対して、畳み込み復号化を行ってBERを検出した後に、リードソロモン訂正を行ってリードソロモンのオン/オフ(誤りの有無)を検出する。
また、BERやリードソロモン以外にも、例えば、コンスタレーション、遅延プロファイル、電界レベルなどの様々なものに関する評価値について、時間変化(履歴)を表示することが可能である。
なお、これら各種の情報の時間変化を表示させるための機能は、例えば、履歴記憶表示部4や伝送状態映像変換部3などに備えられる。
【0079】
また、例えば、図1に示されるダウンコンバート部5或いは合成部6などにより、SD画像を画面に表示する上下方向の位置を中央以外の位置に設定することも可能である。これにより、画面に表示されるSD画像の上側の空き領域の大きさと下側の空き領域の大きさを所望のもの(例えば、上下で異なる大きさのもの)に設定することができる。
この場合、SD画像を画面に表示する上下方向の位置は、例えば、予め固定的にダウンコンバート部5或いは合成部6などに設定されていてもよく、又は、ユーザ(人)による操作部の操作や外部の装置からの制御信号によりダウンコンバート部5或いは合成部6などを制御することにより、任意に調整することが可能な構成が用いられてもよい。
一例として、ダウンコンバート部5において、出力するSD映像のスタート時点をずらすことで、当該SD映像が表示される上下方向の位置を調整することが可能である。
【0080】
図12には、画面の表示画像の一例を示してある。
本例の画面では、レターボックス表示により、SD映像が上下方向の中央よりやや上方の位置に表示されている。
そして、上側の空き領域には、過去10分程度のBER履歴の情報が表示されている。
また、下側の空き領域には、過去1分間程度について、0(例えば、オフ)又は1(例えば、オン)で表されるリードソロモンエラー(RS−NG)の情報と、BER履歴の情報が表示されている。また、リードソロモンエラー(RS−NG)のとき(アラート時)に対応した位置に、そのときにおける映像のサムネイル画像(左側のサムネイル画像)が表示されている。また、リードソロモンエラー(RS−NG)は出ていないが、BER状態が劣化した位置に、そのときにおける映像のサムネイル画像(右側のサムネイル画像)が表示されている。
【0081】
ここで、例えば、マラソン中継のように、ある地点から他のある地点までを移動しながら映像を撮影して行くような場合には、リードソロモンエラー(RS−NG)のとき又はBERが劣化したときなどに対応した位置に、距離を示すデータ(例えば、「10.0km」や「15.5km」など)を表示するようなことも可能である。この表示例が、図12に示されている。
また、履歴記憶表示部4などに、リードソロモンの判定状態や、又は、BERの値などに応じて、履歴を表示する色や模様などを変化させる機能を持たせることも可能である。これにより、BER等の時間変化を視覚的に見易くすることができ、また、BER等の良否や、BER等の劣化による警告などを見易くすることができる。
【0082】
以上のように、本例のOFDM信号等のディジタル伝送システムの受信側では、受信処理部(本例では、処理C部2)からBERの値等の状態に関する信号を取り出す機能と、BER等の状態を記憶するメモリと、BER等の現在の状態をメモリに書き込む機能と、メモリからBER等の履歴情報を読み出す機能と、読み出した履歴情報を表示画像へ変換する機能と、このような履歴情報を復号映像に重畳して表示する機能を備えた。
【0083】
また、本例の受信側では、受信した映像をダウンコンバートする処理部(本例では、ダウンコンバート部5)を備え、映像未表示相当エリアに対応して、メモリから履歴情報を読み出しするシフト機能付き読み出し部を備えた。これにより、時間の経過毎に、表示が横方向にずれて行く。
具体的には、HD映像からSD映像へ変換(ダウンコンバート)してSDモニタに表示すると、映像の上下に空きができることから、ダウンコンバートしたレターボックスの空き部分に、BER等の過去の履歴状態のグラフ(例えば、20秒、1分、10分など)を、横軸に時間を表して、表示する。例えば、画面左端が現在状態を表し、1cm右は1秒前、2cm右は2秒前などのようになる。
【0084】
また、本例の受信側では、ダウンコンバートしたSD映像をモニタ上に表示する垂直方向(上下方向)の位置をユーザ(人)により選択或いは調整などすることが可能な構成とすることができる。
具体的には、例えば、レターボックスの映像表示部分の位置を垂直方向に任意に移動させることにより、映像非表示部分の上下の割合を任意に変更することができる。
【0085】
また、本例の受信側では、例えば履歴記憶表示部4などに、受信状態が異常になったことを検知する検知器と、受信映像を縮小画像化する生成部を備え、異常状態が発生した時に対応した位置に、それに対応した縮小画像(サムネイル画像)を表示する。
また、本例の受信側では、マラソンや駅伝競走などの移動中継で、異常状態が発生した時に対応した位置に、距離表示(例えば、km表示)を行うことができる。
このように、映像非表示部分に表示される電波受信状況の劣化部分に、その距離のサムネイル映像やその距離の値を表示することができる。
【0086】
また、本例の受信側では、電波受信状況の状態に応じて、映像非表示部分に表示される履歴情報(の該当箇所など)を色や模様などを変えて表示することができる。
また、本例の受信側では、履歴の読み出し範囲を拡大した形で、一旦読み出しを行って、画面の上部などに、表示することができる。具体例として、2種類以上の時間軸スケールを同時に表示することができる。例えば、下部に20秒計或いは1分計などを表示し、上部に3分計或いは10分計などを表示する。
【0087】
従って、本例のディジタル伝送システムの受信側では、例えば、電界状態、反射波の有無及びレベル、BERの状態などを映像信号化したディジタル伝送装置を実現することができ、電界以外の状態についても瞬時に視覚的に把握することができ、過去の履歴状態を把握する作業を容易化することができ、より正確な方調作業を容易に実施することができる。また、映像信号化したことで、表示する装置としては、一般的なVIDEOモニタを使用することが可能であるため、状況に応じて最適なサイズの表示が可能となる。
また、伝送状態を測定収集する際に、映像信号の形態に変換してあるため、VHSやベータカム等のVTRに録画することで、大量のデータを容易且つ安価に記録することができる。
【0088】
具体例として、マラソンや駅伝競走のFPU中継では、予めリハーサルをしてコースの電波受信状況を確認している。
その際、映像を送信できている状況について、従来では、電波受信状況の現在状況のみを表示しており、余裕がある状態であるのか或いは余裕が無く紙一重の状態で送信できているのかが分からなかった。
現在、多くの放送局では、財政的な面から、購入済のSD対応の映像表示モニタを使用しており、HD信号についてはSD信号へダウンコンバートして表示している。
【0089】
そこで、本例では、HD信号(画面表示 横:縦=16:9)からSD信号(画面表示 横:縦=4:3)へダウンコンバートして表示した際に、それぞれの映像の縦横比から画面の上下に黒い映像非表示部分ができるレターボックス形式とし、その映像非表示部分に、右側が過去で左側が現在となるように水平方向を時間軸として、電波受信状況をスーパーインポーズで表示する。
これにより、例えば、FPU移動中継において、電界強度、BER、反射波の有無とレベル、遅延プロファイルなどの履歴情報を、水平方向を時間軸にとって、映像信号化し、スーパーインポーズで表示することで、方調作業を容易に正確に行うことを可能とするができる。
【0090】
なお、本例の伝送システムでは、履歴記憶表示部4やダウンコンバート部5や合成部6や表示画面(例えば、ディスプレイ)の機能により、伝送状態表示装置が構成されている。
本例の伝送状態表示装置では、ダウンコンバート部5がHD映像をSD映像へ変換する機能により変換手段が構成されており、履歴記憶表示部4により受信側の処理C部2からBER状態などの伝送状態に関する情報を取得する機能により取得手段が構成されており、取得された情報をメモリ(例えば、メモリ4−5)により記憶する機能により記憶手段が構成されており、ダウンコンバート部5と履歴記憶表示部4と合成部6によりSD映像とBER状態などの時間変化のグラフを画面に表示させる機能により表示制御手段が構成されている。
【0091】
また、本例の伝送状態表示装置では、例えば、ダウンコンバート部5などに対してSD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する指示を人から受け付けるための操作部の機能により受付手段が構成されており、ダウンコンバート部5などが当該指示に従ってSD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する機能により変更手段が構成されている。
また、本例の伝送状態表示装置では、例えばフレームメモリコントローラ4c−8により伝送状態に関する情報について異常(本例では、BER等の所定の劣化)を検出する機能により異常検出手段が構成されており、異常が検出された場合に、移動中継における対応する距離の値を表示することが行われる。
【0092】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
また、図13以降に示すOFDM変調方式では、特殊シンボルを含むタイプを例として説明したが、標準規格である「ARIB−STD−B33」(社団法人 電波産業会)に記載の特殊シンボルを持たないOFDM変調方式においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施例に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】画面の表示画像の一例を示す図である。
【図3】伝送状態映像変換部の構成例を示す図である。
【図4】履歴記憶表示部の構成例を示す図である。
【図5】各信号の時間変化の一例を示す図である。
【図6】各フレーム毎の状況の一例を示す図である。
【図7】履歴記憶表示部の他の構成例を示す図である。
【図8】各信号の時間変化の一例を示す図である。
【図9】各フレーム毎の状況の一例を示す図である。
【図10】履歴記憶表示部の他の構成例を示す図である。
【図11】各フレーム毎の状況の一例を示す図である。
【図12】画面の表示画像の一例を示す図である。
【図13】OFDM変復調装置の構成例を示す図である。
【図14】同期シンボル挿入部の構成例を示す図である。
【図15】同期検出&相関部の構成例を示す図である。
【図16】NULL終了検出器の構成例を示す図である。
【図17】NULL検出及びSWEEP開始位置推定動作の一例を示す図である。
【図18】(a)〜(c)は相関信号の例を示す図である。
【図19】反射波があるときの動作の一例を示す図である。
【図20】相関信号の一例を示す図である。
【図21】入力電界が低い使用条件のときの動作の一例を示す図である。
【図22】相関信号の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1・・送信側の処理A部、 2・・受信側の処理C部、 3・・伝送状態映像変換部、 4、4b、4c・・履歴記憶表示部、 5・・ダウンコンバート部、 6・・合成部、 3−1・・電界−映像変換部、 3−2・・BER−映像変換部、 3−3・・遅延プロファイル−映像変換部、 3−4・・映像統合部、 4−1、4b−1、4c−1・・タイミングパルス発生器、 4−2、4−3、4b−2、4b−3、4b−5、4c−2、4c−3・・カウンタ、 4−4、4b−4、4b−6、4c−4・・加算器、 4−5、4b−8、4c−5・・メモリ、 4−6、4b−9、4b−10、4c−6・・比較部、 4−7、4b−11、4b−13、4c−7・・ゲート、 4b−7・・セレクタ、 4b−12・・ピークホールド部、 4c−8・・フレームメモリコントローラ、 4c−9・・フレームメモリ、 4c−10・・OR回路、
101・・クロック発振器、 102・・伝送路符号化部、 103・・符号化部、 104・・IFFT部、 105・・ガード付加部、 106・・同期シンボル挿入部、 107・・直交変調処理部、 111・・D/A変換器、 112・・直交変調器、 113・・ローカル発振器、 201・・AGC部、 202・・直交復調処理部、 203・・同期検出&相関部、 204・・FST補正部、 205・・電圧制御クロック発振器、 206・・FFT部、 207・・復号化部、 208・・伝送路復号化部、 211・・増幅器、 212・・レベル制御部、 221・・発振器、 222・・直交復調器、 223・・A/D変換器、 301、302・・コントローラ、 303、304・・ROM、 305、306・・セレクタ、 401・・NULL終了検出器、 402・・SWEEP演算部、 403・・フレームカウンタ、 404・・SWEEPパターンメモリ、 501、502・・絶対値部、 503・・加算部、 504・・比較部、 505・・エッジ検出部、 506・・遅延部、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディジタル伝送システムの伝送状態に関する情報を表示する伝送状態表示装置において、
受信側により受信されたHD映像をSD映像へ変換する変換手段と、
前記伝送状態に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報を記憶する記憶手段と、
前記変換手段により変換されたSD映像の上側又は下側の映像非表示部分の一方又は両方に、前記記憶手段に記憶された情報の時間変化のグラフが配置されるように、当該SD映像及び当該グラフを画面に表示する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする伝送状態表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送状態表示装置において、
前記変換手段により変換されたSD映像が前記画面に表示されるときにおける当該SD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する指示を人から受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた指示に従って、前記SD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する変更手段と、
を備えたことを特徴とする伝送状態表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の伝送状態表示装置において、
送信側から受信側へ伝送されるHD映像は、移動中継の映像であり、
前記伝送状態に関する情報について異常を検出する異常検出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記異常検出手段により異常が検出された場合には、前記グラフにおける当該異常が検出された位置に対応させて、当該異常が検出された前記移動中継における距離の値を前記画面に表示する、
ことを特徴とする伝送状態表示装置。
【請求項1】
ディジタル伝送システムの伝送状態に関する情報を表示する伝送状態表示装置において、
受信側により受信されたHD映像をSD映像へ変換する変換手段と、
前記伝送状態に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された情報を記憶する記憶手段と、
前記変換手段により変換されたSD映像の上側又は下側の映像非表示部分の一方又は両方に、前記記憶手段に記憶された情報の時間変化のグラフが配置されるように、当該SD映像及び当該グラフを画面に表示する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする伝送状態表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送状態表示装置において、
前記変換手段により変換されたSD映像が前記画面に表示されるときにおける当該SD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する指示を人から受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた指示に従って、前記SD映像の上側と下側の映像非表示部分の割合を変更する変更手段と、
を備えたことを特徴とする伝送状態表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の伝送状態表示装置において、
送信側から受信側へ伝送されるHD映像は、移動中継の映像であり、
前記伝送状態に関する情報について異常を検出する異常検出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記異常検出手段により異常が検出された場合には、前記グラフにおける当該異常が検出された位置に対応させて、当該異常が検出された前記移動中継における距離の値を前記画面に表示する、
ことを特徴とする伝送状態表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−16675(P2010−16675A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175513(P2008−175513)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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