説明

伝送用コネクタ

【課題】コネクタ接触片が連結誤差を吸収し接触片位置を保ちシールド構造可能な伝送用コネクタの提供。
【解決手段】本コネクタは、複数の第1接触片72と、接触片同士の相対的位置関係を規制
する片72と同数の貫通孔433,725を持つ第1誘電体432,724と、誘電体、接触片を覆う第1
シールド部材42Aからなる第1コネクタ体42、片72と接続される円筒形複数の第2接触片71
と、片71の相対的位置関係を規制し片71を固定する片71と同数の貫通孔41を持つ第2誘電
体40と、誘電体40と片71を覆う第2シールド部材38Aと、からなる第2コネクタ体38、及び
、コネクタ体42,38を覆いコネクタ体の位置規制手段32,43を持つ筐体3を有し、貫通孔725に配置され第1接触片を付勢する弾性体723aを持ち、片72を押すと弾性体の弾撥力に抗し
て片72が移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送用コネクタ、詳しくは、車両間で情報伝送を行うため電気的な分割や連結を行う信号接続装置に用いられる伝送用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
列車においては、列車の目的地の違いに応じて途中駅で分割したり、別々の場所から来た列車同士を途中駅で連結したりすることがある。
さらに、車両の定期検査の時にも、一両単位に切り離して整備する必要から分割が行われ、整備終了後に再び連結される。
このような運用形態に対応するため、車両の前後には、分割や連結を機械的に行う機械式連結器と、車両間で情報伝送を行うため電気的な分割や連結を行う信号接続装置(電気連結器、ジャンパ連結器など)が設置されている。
【0003】
信号接続装置の連結に際しては、連結される各々の車両に取り付けられた信号接続装置の相対的位置関係にばらつき(連結誤差)が生じることから、信号接続装置及び接続装置内に設置される各信号伝達用コネクタのピン(接触片)の相対的な位置関係に、ある程度の許容範囲(集合範囲)を持たせる必要がある。
【0004】
そこで、特許文献1に開示の発明では、対となっている接触片が、互いに接触して押し合う、いわゆる突き当て接点方式が採用されている。突き当て接点方式では接点の接触面の寸法を大きくすることで連結誤差を吸収することが可能になる。また特許文献1では、上下左右斜めの実質的な芯ずれに対応するため、各々のピンの接触可能な範囲が広がるようにピンに首振り機構を採用した。
【0005】
特許文献1に開示の発明により、信号接続装置の接触片の接触可能な範囲をそれまでよりも広げられるようになった。
【0006】
一方、鉄道車両では、制御信号(保守信号を含む)やサービス信号(メディア信号)などのデータ通信を行っている。そのデータ通信を行う通信線は、車両間を前記信号接続装置を介して接続するが、信号接続装置は車両の外に配置されるため、前記通信線に電磁ノイズが印加されて、通信エラーを発生する虞がある。そのため、通信線をシールド構造とすることが一般的となっている。
【0007】
加えて近年では、鉄道車両のデータ通信は、高速大容量化され、通信速度が100Mbpsの伝送能力がある100BASE−TXの高速ブロードバンド・ネットワークが使用されており、高速化に伴って、電磁ノイズの影響を受け易くなっている。
【0008】
高速ブロードバンド・ネットワークの場合、信号接続装置同士の接続には100BASE−TX規格により、信号線であるツイストペア線(撚り対線)を用いており、その信号線間のインピーダンスを管理し、各種コネクタでの接続でもインピーダンス整合をとることによって、電磁ノイズの影響を受け難くすることが求められるが、車両間においてはさらにノイズの影響を考慮し、シールド構造を施すことが求められている。
【0009】
伝送用コネクタにおいてインピーダンス整合をとるためには、伝送用コネクタ内の接触片の距離を一定に保ち、その間にインピーダンスを一定に保つための誘電体を配置する必要があり、この接触片間の距離及び誘電体との位置関係は一定に保つ必要がある。
【0010】
しかし、前述のように車両連結時には連結誤差が生じることから、信号接続装置を構成する伝送用コネクタの接触片においても、連結誤差の吸収ができるような構造を求められる一方で、高速データ通信に対応するために接触片間の距離や誘電体との位置関係を一定に保ち、尚且つシールド構造を構成するという、相反する条件を満たすことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4040258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑みて発明されたものであって、その解決しようとする課題は、少なくとも信号接続装置を構成する伝送用コネクタの接触片が連結誤差を吸収すると同時に、伝送用コネクタ内の接触片の位置関係を一定に保ちつつかつシールド構造が実現可能な伝送用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで本発明の伝送用コネクタでは、突起部を持ち棒状の形状をした複数の第1の接触片とその長手方向の中心軸の相対的位置関係を規制するために接触片の数と同じ貫通孔を持つ第1の誘電体と第1の誘電体が取り付けられ第1の誘電体及び第1の接触片を筒状に覆う第1のシールド部材からなる第1のコネクタ体と、第1のコネクタ体の後方に位置し、第1のコネクタ体の接触片と接続される円筒形状をした複数の第2の接触片とその長手方向の中心軸の相対的位置関係を規制し第2の接触片を固定するために接触片の数と同じ貫通孔を持つ第2の誘電体と第2の誘電体が取り付けられ第2の誘電体と第2の接触片を筒状に覆う第2のシールド部材からなる第2のコネクタ体と、第1のコネクタ体と第2のコネクタ体を筒状に覆いそれぞれのコネクタ体の位置を規制する手段を持つ筐体と、第1の接触片の突起部と第1の誘電体の間に配置され双方を離間するように付勢する弾性体を有し、第1の接触片の前方先端部を押し込んだときに第1の接触片が中心軸方向に移動可能とすることを特徴とする。
【0014】
本発明の伝送用コネクタは、いわゆる突き当て式接点による伝送用コネクタであり、接触面をある程度の面積とすることで、連結誤差があり接触片の芯ずれが生じる場合でも接触片の接続を確保することができる。しかし、突き当て接点方式では接続を保つために接触片に対して接触圧を付加するための付勢が必要であり、そのためには少なくとも一方の接触片は接触圧を受ける方向に移動可能な構造としなければならない。
【0015】
一方で、このような伝送用コネクタを使用する車両間の接続においては、ノイズの影響を受けにくくするためのシールド構造やインピーダンス管理が求められており、そのためには複数の接触片の位置を固定し、接触片及びシールド部材の間にインピーダンスを管理するための誘電体を配置しなければならない。
【0016】
ところがこの誘電体によってシールド部材や接触片の位置関係を固定する必要があるため、従来の構造では接触片が軸方向に移動可能な構造とすることができなくなる。
本発明によれば、接触片と誘電体及びシールド部材を分割して構成することによって接触片の位置関係を固定する機能と接触片を保持しながら移動可能とする機能を両立させることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、伝送用コネクタ間の相対的位置ずれが有る場合でもインピーダンス管
理され、シールド効果を維持できる伝送用コネクタを提供でき、高速ブロードバンド・ネットワーク対応の列車内でもノイズの低減化と伝送信号の劣化抑制が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る実施例1の凹側コネクタを有する電気連結器の斜視図である。
【図2】本発明に係る実施例1の凸側コネクタを有する電気連結器の斜視図である。
【図3】本発明に係る実施例1の電気連結器の連結状態を示す側面図である。
【図4】本発明に係る実施例1の凹側コネクタの斜視図である。
【図5】本発明に係る実施例1の凸側コネクタの斜視図である。
【図6】本発明に係る実施例1の凹側コネクタの分解斜視図である。
【図7】本発明に係る実施例1の凹側コネクタに外力が加わっていない状態における一部きり欠き正面図と左右の側面図である。
【図8】本発明に係る実施例1の凹側コネクタに外力が加わっている状態における一部きり欠き正面図と左右の側面図である。
【図9】本発明に係る実施例1の凸側コネクタの分解斜視図である。
【図10】本発明に係る実施例1の凸側コネクタに外力が加わっていない状態における一部きり欠き正面図と左右の側面図である。
【図11】本発明に係る実施例1の凸側コネクタに外力が加わっている状態における一部きり欠き正面図と左右の側面図である。
【図12】本発明に係る実施例1の電気連結器同士が連結することに伴い凹側コネクタと凸側コネクタとが連結中心上にある場合の一部切り欠き正面図である。
【図13】本発明に係る実施例1の電気連結器同士が連結することに伴い凹側コネクタと凸側コネクタとが連結中心から外れているものの同一軸線上にあることを維持している場合の一部切り欠き正面図である。
【図14】本発明に係る実施例1のインピーダンス−時間線図であり、本発明に係る伝送用コネクタについてTDR法により特性インピーダンスの測定を行った場合の測定結果を示す図である。
【図15】本発明に係る実施例2の凸側コネクタを有するジャンパ栓受け側の斜視図である。
【図16】本発明に係る実施例2の凹側コネクタを有するジャンパ栓側の斜視図である。
【図17】本発明に係る実施例2のジャンパ連結器の連結状態を示す側面図である。図である。
【図18】本発明に係る実施例2の凸側コネクタの斜視図である。
【図19】本発明に係る実施例2の凹側コネクタの斜視図である。
【図20】本発明に係る実施例2の凸側コネクタの分解斜視図である。
【図21】本発明に係る実施例2の凸側コネクタに外力が加わっていない状態における一部きり欠き正面図と左右の側面図である。
【図22】本発明に係る実施例2の凸側コネクタに外力が加わっている状態における一部きり欠き正面図と左右の側面図である。
【図23】本発明に係る実施例2の凹側コネクタの分解斜視図である。
【図24】本発明に係る実施例2の凹側コネクタの一部きり欠き正面図と左右の側面図である。
【図25】本発明に係る実施例2のジャンパ栓受け側とジャンパ栓側とが連結することに伴い凹側コネクタと凸側コネクタとが連結中心上にある場合の一部切り欠き正面図である。
【図26】本発明に係る実施例2のインピーダンス−時間線図であり、本発明に係る伝送用コネクタについてTDR法により特性インピーダンスの測定を行った場合の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を実施するための形態(以下、実施形態)を実施例に基づいて例示的に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状その相対配置などは、特に特定的に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【実施例1】
【0020】
(概要)
図1〜図16は本発明伝送用コネクタの実施例1を示す図である。
本発明に係る伝送用コネクタは、信号接続装置のうち図1〜図3に示すようないわゆる電気連結器に用いられる。電気連結器は、周知の如く複数の編成を連結して1つの大きな編成にする連結や、1つの編成を小さな編成に区分けする分割が行われる際に使用される信号接続装置であり、先頭及び後尾の車両に設置される。
【0021】
本発明に係る伝送用コネクタには、電気連結器の一方1A(図1参照)に組み込まれる図4に示すような凹側コネクタ2Aと、電気連結器の他方1B(図2参照)に組み込まれる図5に示すような凸側コネクタ2Bとがある。
【0022】
そして、車両の連結により、電気連結器1Aと1Bとが連結されると(図3参照)、電気連結器1Aと1Bの各筐体内に設置されている凹側コネクタ2Aと凸側コネクタ2Bとが接続される。電気連結器1Aと1Bは、車両に設けられている図示しない機械連結器に一体化され、機械連結器の連結及び離隔に合わせて、自動的に連結及び離隔がされるようになっている。
【0023】
(凹側コネクタ)
図4、図6〜8を参照して凹側コネクタ2Aを説明する。
凹側コネクタ2Aは、両端開口の中空円筒形状をした筐体としてのスリーブ3と、スリーブ3に内嵌されかつスリーブ3よりも軸方向に長寸のシールド体4と、スリーブ3及びシールド体4の間に位置する弾撥部材の圧縮スプリング5と、シールド体4内に充填された誘電体40、724、432内に配置された4本の接触片としてのピン7と、ピン7とつながれる図示しないケーブル(電線)が接続される側に位置するケーブルクランプ8とからなる。
【0024】
なお、本明細書では、伝送用コネクタにおいて、ケーブルのある側を後方といい、その反対側、つまりピン先側を前方という。また伝送用コネクタのピン先に正対して上側を上方、下側を下方、右側を右方、左側を左方ということにする。これは凹側コネクタ2Aに限らず凸側コネクタ2Bについても同様である。
【0025】
(スリーブ)
スリーブ3は、その長手方向における前端部がスリーブ3の他の部位に比べ厚肉の厚肉部31とされている。そして、厚肉部31には開口端から軸方向に幾分内側に位置する箇所を基点としてそこから後方に向けて口径が広がるテーパー311が形成されている。
【0026】
また、スリーブ3の後端から幾分前方に位置する箇所には、4つの通し孔32が同一円周上に90度間隔で穿孔されている(図4、6参照)。つまり4つの通し孔32は、中心軸C(図6参照)に対し、直交する二本の直交軸(図6において水平及び垂直にそれぞれ延びる垂直軸Cv及び水平軸Chのこと)上にそれぞれ2つずつ対となって形成されている。なお、特に断らない限り、中心軸Cの延びる方向を軸方向という。なお、垂直軸Cv及び水平軸Chは、必ずしも直交している必要はない。また、通し孔32の数が4つに限定されるわけではない、例えば3対以上(6つ)の通し孔を形成してもよい。
【0027】
さらに、スリーブ3の後端部にあっては、その外周面が一部切り欠かれて切欠平面部33が形成されている(図4参照)。スリーブ3に切欠平面部33を形成することで、凹側コネクタ2Aの少なくとも一部分の横断面、すなわちスリーブ3のうち、切欠平面部33の形成されている箇所における横断面は非円形状になる。
【0028】
(シールド体)
シールド体4は、スリーブ3にゆるみ嵌め状態で内嵌されかつ二つの部位を軸方向に組み合わせてなる形状体である。そして、そのうちの一つの部位は、符号38で示す基部であり、別の一つの部位は、基部38(第2のコネクタ体)に対して前記中心軸C方向において弾撥的に往復移動可能な移動部42(第1のコネクタ体)である(図6参照)。いずれの部位も導電性の材料からなるものである。
【0029】
(基部)
図6に示すように基部38は、筒状の第2シールド部材38Aと、第2シールド部材38A内に充填された誘電体40とを有している。第2シールド部材38Aは、軸方向に延びるパイプ形状をしており、長手方向における中央部分411は、縦断面で見て外周面に1以上の段差が階段状に形成された大径部になっている。中央部分411を境に前方側は前方筒部412といい、後方側は後方筒部413という。前方筒部412より後方筒部413の方が内径も外径も大きい。なお、基部38の中空部を符号40aで示す。中空40aは、前方筒部412に形成された前方中空部401aと、後方筒部413に形成された後方中空部401bとからなる。前方中空部401aよりも後方中空部401bの方が径は大きい。このため、中空40a内においては、前方中空部401aと後方中空部401bとの間に段差401cが形成されることになる。
【0030】
中央部分411には、二対のねじ穴411aが形成されている(図面では各対の一方のねじ穴のみ示す。)。その形成箇所は、スリーブ3にシールド体4を内嵌したときにスリーブ3の前記二対の通し孔32と対応する箇所である。また二対のねじ穴411aには、それぞれ止めねじ43が通し孔32を経由した後、螺合される。そして、二対のねじ穴411aに螺合された二対の止めねじ43は、スリーブ3に形成された前記二対の通し孔32にゆるみ状態で挿通されるよう、止めねじ43よりも通し孔32の直径が大きく設定されている(いわゆるばか孔状態)。そして、二対の通し孔32の各対及び二対の止めねじ43の各対が、各々同軸線(図6において水平及び垂直にそれぞれ延びる垂直軸Cv及び水平軸Chのこと)上に置かれるようになっている。なお、止めねじ43は通し孔32と同様、3対(6本)以上あってもよい。
【0031】
また、第2シールド部材38Aの中空40a内において、第2シールド部材38Aの中央部分411よりも幾分後方箇所から前方筒部412の先端に至る部位には、中空40aの形状に合致する形状をした誘電体40が充填されている。よって、誘電体40も中空40aと同様、小径部400aと大径部400bとがあり、このため段差400cを有する。誘電体40を中空40aに入れたときに誘電体40の段差400cと中空40aの段差401cとが当接する。
【0032】
誘電体40のうち中心軸Cの周囲には、前記4本のピン7がそれぞれ挿通される4本の基部孔41が中心軸Cと平行に貫通形成されている。
基部孔41は、大径部41aと、小径部41bと、両者の間に形成された内向きフランジ41cとからなる。大径部41aは、軸方向において、中央部分411のほぼ中央を起点にしてそこから誘電体40の後端に向けて貫通している。内向きフランジ41cは、小径部41bよりも小径な通路を形成し、大径部41aの四分の1程度の長さである。小径部41bは、内向きフランジ41cを起点にしてそこから誘電体40の前端に向けて貫通
している。
【0033】
さらに、後方筒部413の中空内における後端部内面には、その全周に渡り、前記ケーブルクランプ8の後述する締め付け金具を螺合するための螺溝414が形成されている。
【0034】
(移動部)
移動部42は、筒状をした第1のシールド部材42Aと、第1のシールド部材42A内に充填された誘電体432、724とを有している。第1のシールド部材42Aは、軸方向に延びるパイプ形状をしている。そして、第1のシールド部材42Aの長手方向における、フランジ状の中央部分420と前端部422の外径が他の部位よりも大径にされている。他の部分とは、中央部分420と前端部422との間の部分423aと、中央部分420よりも後方の部分423bである。部分423a及び423bは、中央部分420よりも前及び後ろに位置する円筒部分であるので、それぞれ前方円筒部423a及び後方円筒部423bと呼称する。
【0035】
スリーブ3にシールド体4を嵌め合わせたときに、前方円筒部423aにスリーブ3の厚肉部31が位置するようになり、後方円筒部423bに圧縮スプリング5が外嵌されるようになる。また、前方円筒部423aの軸方向における長さ寸法は、厚肉部31の軸方向における長さ寸法よりも長い。
【0036】
中央部分420は、前方円筒部423a及び後方円筒部423bよりも外径が大きく、その前方部分にテーパーが掛けられている。当該テーパーを符号420aで示す。さらに、中央部分420の外径は、基部38の中央部分411の外径と同等である。
【0037】
さらに、第1のシールド部材42Aの前端部422は、第1のシールド部材42Aの開口端から幾分後方寄りの箇所に至るまでの箇所が円筒形状をしている。前端部422の外径は、スリーブ3の厚肉部31の開口径に対してわずかに小径である。
【0038】
なお、第1のシールド部材42Aの中空を符号42aで示す。この中空42aに基部38の第2シールド部材38Aの前方筒部412が内嵌される。これにより、移動部42及び基部38は、中心軸C上でそれぞれ前後に位置しかつ摺動可能な状態で一体化される。
さらにまた、中空42aは、前端部422において、前方に向けて末広がりになるようテーパー状に拡開された案内口424aを有する。
【0039】
加えて、案内口424aの後方には、いずれも中空円筒形状をしかつ同軸心上に位置する第1中空部424b、第2中空部424c及び第3中空部424dが連続して形成されている(図6,7参照)。第1中空部424bよりも第2中空部424cの方が、そして第2中空部424cよりも第3中空部424dの方が内径は大きい。よって、第1中空部424bと第2中空部424cとの間、第2中空部424cと第3中空部424dとの間は、それぞれ段差425及び426となっている(図6、7参照)。
【0040】
加えて、第1中空部424bには、第1中空部424bの内形状に合致する形状、すなわち円筒形状をした誘電体432が充填されている。誘電体432の後方部には、その全周囲に張り出したフランジ部432aが形成されている。また、誘電体432の前方側の端縁はその全周囲にテーパーが掛けられた形状にされている。そして、誘電体432の前面には、凸側コネクタ2Bの後述する各ピンを呼び込めるように先端部分がテーパー状に拡開されかつ中心軸Cに平行な導入孔433を中心軸C周りに同径かつ90度間隔で中心軸Cと平行に4本有する。当該先端部分を拡開部ということにし符号433aで示す。そして、拡開部433aに連続して、導入孔433は、小径孔部433bと大径孔部433cとが形成され、それらは同軸上に位置し、誘電体432を貫通する(図6参照)。
【0041】
このような誘電体432は、移動部42の中空内にその後方から挿入される。そして、誘電体432が第1中空部424bに至ると、フランジ部432aが段差425に当接し、誘電体432の前方への進行を阻止する(図6参照)。
【0042】
次に、第2中空部424cの後端部側には、螺溝427が形成されている(図6参照)。螺溝427については後述する。
第3中空部424dの後端部側には、導電性材料で形成され、かつ第3中空部424dに内接する円筒状をした接触片バネ428が備えられている(図6参照)。接触片バネ428により、移動部42と基部38との前記摺動が妨げられないように、第3中空部424dに接触片バネ428を内嵌したときの内径と、基部38の前方筒部412の外径とが決められている。
接触片バネ428を基部38と移動部42との間に介在させることにより、基部38と移動部42とを組み合わせたときに両者の導通が維持される。
【0043】
(圧縮スプリング)
圧縮スプリング5は、導電性の金属でできており、基部38と移動部42とを組み合わせる前に先に移動部42の後方円筒部423bに外嵌される。そして、基部38と移動部42とが組み合わされると、基部38の中央部分411と、移動部42の中央部分420との間に位置するようになる。
【0044】
(ピン)
4本のピン7は、いずれも導電性材料からできており、各ピン7は、それぞれ分割された二つの部位を軸方向に組み合わせて一体型の棒状体にしたメス型ピンである(例えば図6〜8参照)。メス型ピンを構成する部位の一つは、中空の円筒体である円筒基部71(第2の接触片)であり、別の一つは、円筒基部71に対して前記軸方向に前後動し、凸側コネクタ2Bのピンに当接する棒状をした棒状可動部(第1の接触片)72である。
【0045】
円筒基部71は、誘電体40の基部孔41に挿入されるようになっており、基部孔41の大径部41aと、小径部41b及び内向きフランジ41cとにそれぞれ対応する大径筒部71aと、小径筒部71bとからなる(図6〜8参照)。また、小径筒部71bのうち大径筒部71a寄りの箇所には、内向きフランジ41cに係止する係止バネ711が取り付けられている。円筒基部71を誘電体40の基部孔41に挿入すると、内向きフランジ41cの前縁に係止バネ711が係止するようになっており、これにより、円筒基部71の基部孔41からの抜けが防止され、誘電体40に対して位置が固定される。また、各基部孔41は、これらにそれぞれ円筒基部71が挿入されることで、円筒基部71の長手方向に延びる図示しない中心軸の相対的位置関係を規制する。
【0046】
また小径筒部71bの中空内には、導電性の接触片バネ73が備えられている(図6参照)。
接触片バネ73は、小径筒部71bの中空内にしまり嵌め状態で内嵌される円筒体である。接触片バネ73により円筒基部71と棒状可動部72との導通が維持される。
大径筒部71aは、ピン7をケーブルと接続する箇所である。
【0047】
棒状可動部72は、軸方向に延びる棒状体であり、棒状可動部72の長手方向における前方寄り中央部には、張出しフランジ721が形成されている(図6〜8参照)。そして、張出しフランジ721を境に前方側は、後方側に対して相対的に径の大きな大径棒部722であり、後方側は径の小さな小径棒部723になっている。
【0048】
張出しフランジ721に当接するように小径棒部723には、導電性の圧縮スプリング
723aが外嵌されている。小径棒部723において圧縮スプリング723aが外嵌された部位の径は、張出しフランジ721の径よりもわずかに小さい(例えば図6〜8参照)。
【0049】
大径棒部722の先端は丸みを帯びた丸溝722aが形成され(図12参照)、小径棒部723の後端は半球状をした半球部723bにされている。丸溝722aは、電気連結器1Aと1Bとが連結されることで、凹側コネクタ2Aと凸側コネクタ2Bとが接続された際に、凹側コネクタ2Aのピン7が凸側コネクタ2Bのピン7Bの先端をある程度の接触面積を確保して受ける箇所である。ある程度の接触面積を確保できるピン同士のこのような接点を採用した本発明に係る伝送用コネクタを突き当て接点方式の伝送用コネクタという。
【0050】
(誘電体)
このような棒状可動部72は、円筒形状をした誘電体724に形成した4つの貫通孔725と、前記誘電体432の導入孔433の大径孔部433cと小径孔部433bとに挿入される。これにより、棒状可動部72の長手方向に延びる図示しない中心軸同士の相対的位置関係を規制する。
【0051】
棒状可動部72を備えた誘電体724は、移動部42の中空内にその後方から挿入される。
貫通孔725は、誘電体432の導入孔433同様、中心軸C周りに、90度間隔で中心軸Cと平行に4本形成されている。但し、棒状可動部72及び貫通孔725が4本に限定されるわけではない。棒状可動部72及び貫通孔725の配置が、同一半径の円周上になくてもよい。すなわち、棒状可動部72の数と配置は、ケーブルの仕様に応じて適宜決定すればよい。
【0052】
貫通孔725は、棒状可動部72の小径棒部723に圧縮スプリング723aを外嵌したときの径よりも幾分大きめの径を有する大径孔部725aと、小径棒部723よりもわずかに大きめの径にされた小径孔部725bとが同軸上に位置するように形成されたものである。小径棒部723のうち圧縮スプリング723aが外嵌された部分が大径孔部725aに収納され、小径棒部723のうち圧縮スプリング723aが外嵌されていない部分が小径孔部725bに収納される(図6参照)。
【0053】
また前記誘電体432の導入孔433の大径孔部433cに、圧縮スプリング723aが外嵌された小径筒部723の前端部が張り出しフランジ721とともに収納され、棒状可動部72の大径棒部722が、誘電体432の導入孔433の小径孔部433bに挿入される(図7、8参照)。そして、棒状可動部72が、導入孔433で摺動できるように、棒状可動部72の外径と、導入孔433の内径が設定されている。
【0054】
なお、誘電体724にはその後部に張り出しフランジ状の固定金具726が付いており、これには、螺溝726aが形成されている。螺溝726aは、これを移動部42の中空42aの螺溝427と螺合することで誘電体724を移動部42に固定するためのものである。
【0055】
(ケーブルクランプ)
ケーブルクランプ8は、図6に示すように、前方から順にクランプ81と、密封用のガスケット82と、座金83と、締め付け金具84とが軸方向において前方から順に配置されてなる。締め付け金具84の外周には螺溝841が切ってあり、基部38の中空40a内の後方に形成した螺溝414と既述のごとく螺合する。
【0056】
ケーブルクランプ8を締め付けると誘電体40の後端にクランプ81が当接し、さらに締め付けることにより、誘電体40が基部38の前方に進行しようとする。しかし、中空40a内の段差401cに誘電体40の段差400cが当接するため、誘電体40は、それ以上の進行が阻止される。また、ケーブルクランプ8が誘電体40の後方にあるため基部38の後方から誘電体40が抜け出すのを防止する。
【0057】
(組み立て)
次に、上記した凹側コネクタ2Aの組み立て手順について述べる。
但し、予め、移動部42の第1中空部424bには誘電体432が組み込まれ、後方円筒部423bには接触片バネ428が備えられているものとする。また誘電体724には、ピン7のうち、圧縮スプリング723aが外嵌された棒状可動部72が組み込まれているものとする。
【0058】
同様に基部38にあっても、誘電体40の基部孔41に円筒基部71が挿入された状態で組み込まれ、ケーブルクランプ8を基部38に締め付けて誘電体40の抜けを防止している状態にあるものとする。さらに、各誘電体432、724及び40の周方向における位置は、図示しない位置決めマークを目印にして定められるようになっている。
【0059】
当該周方向の位置が定まることで、誘電体432の導入孔433、誘電体724の貫通孔725及び誘電体40の基部孔41が同軸上に整列し中心軸Cと平行で、ピン7が挿通されるピン孔が4本、中心軸C周りに同径でかつ90度間隔で形成される。
【0060】
まず、誘電体724を移動部42の後方円筒部423bに挿入し、接触片バネ428を通過させた後、誘電体724の固定金具726に形成された螺溝726aと移動部42の中空42a内に形成された螺溝427とを螺合する。これにより、誘電体724の前端が、誘電体432のフランジ部432aの後端を押圧し、フランジ部432aと移動部42の中空42a内の段差425とが強固に当接し、誘電体432がその位置を維持する。
【0061】
こうして、誘電体432と誘電体724とが、中空42a内において中心軸C線上で一体化される。当該一体化したものを第1の誘電体という。また、一体化することで、誘電体432の小径孔部433bには棒状可動部72の大径棒部722が位置する。そして、誘電体432の大径孔部433cには、棒状可動部72の張出しフランジ721と、圧縮スプリング723aが外嵌された、棒状可動部72の小径棒部723の一部と、が位置する。このようにして移動部42の第1シールド部材42Aに対して誘電体432及び724の位置が固定されるとともに、誘電体432及び724に対しては棒状可動部72の位置が固定される。
【0062】
次に移動部42の後方円筒部423bに圧縮スプリング5を外嵌したのち、当該後方円筒部423bに基部38の前方筒部412を内嵌することで移動部42と基部38とを組み合わせる。すると、移動部42に装着されているピン7の棒状可動部72に、基部38に装着されているピン7の円筒基部71が外嵌される。
【0063】
詳しくは、棒状可動部72の小径棒部723が円筒基部71の小径筒部71bに内嵌される。このとき、円筒基部71の接触片バネ73を介して、棒状可動部72と円筒基部71との電気的接触が確実にされる。
なお圧縮スプリング5は、基部38の中央部分411と移動部42の中央部分420との間に位置し、かつ移動部42の後方円筒部423bに外嵌される。
【0064】
さらに、基部38の中央部分411と移動部42の中央部分420との間の間隔よりも圧縮スプリング5の方が幾分長くなるようにしてある。このようにすることで、スリーブ
3の厚肉部31に形成されているテーパー311と移動部42のテーパー420aとが弾撥状態で圧接する。このようにしてシールド体4が組み立てられる。
【0065】
次に、このようなシールド体4はスリーブ3に後方から挿入される。その後、スリーブ3の通し孔32を経由して、基部38の4つのねじ穴411aにそれぞれ止めねじ43を螺合する。このようにすることで、図4に示すような、凹側コネクタ2Aが組み立てられる。これにより、スリーブ3とシールド体4とが中心軸C上で重なり合うようになる(図7参照)。
【0066】
凹側コネクタ2Aは、軸方向において、移動部42内の誘電体432及び誘電体724と、基部38の誘電体40とが中心軸C上で順次配列されるようになる。そして、このとき誘電体724の後面と、基部38の誘電体40の前面との間に間隙Sが置かれるように、移動部42の後方円筒部423bに形成された第3中空部424dの長さ及び基部38の前方円筒部412の長さ並びに圧縮スプリング5の長さや弾性が設定されている(図7、8参照)。
【0067】
この間隙Sは、凹側コネクタ2Aが凸側コネクタ2Bと接続されていないときとされているときとで相違する。接続されていないときは、図7のように移動部42が、圧縮スプリング5の弾力により大きく前方へ突出し、スリーブ3から前端部422と前方円筒部423aとが突き出た状態になるので間隙Sは大きい。
【0068】
反対に接続されているときは、図8のように移動部42が、圧縮スプリング5の弾撥力に抗してスリーブ3内に押し込まれ、前端部422のみがスリーブ3から突き出た状態、つまり前方円筒部423aがスリーブ3内にある状態になるので、その分、間隙Sは小さい。間隙Sが小さいと、圧縮スプリング5の弾撥力が強くなる。
【0069】
また、図7のように移動部42が前方へ大きく突出している状態では、スリーブ3の厚肉部31に形成されているテーパー311と移動部42のテーパー420aとが弾撥状態となりテーパー311とテーパー420aとが確実に当接する。反対に図8のように移動部42が圧縮スプリング5に抗してスリーブ3内に押し込まれている状態では、スリーブ3の厚肉部31に形成されているテーパー311と移動部42のテーパー420aとが離隔する。移動部42を押し込む力を解除すれば、移動部42は前方へ移動し、図8から図7の状態に戻る。
【0070】
このような凹側コネクタ2Aは、電気連結器1Aのコネクタ挿入孔11A(図1参照)に挿入される。凹側コネクタ2Aをコネクタ挿入孔11Aに挿入することで、凹側コネクタ2Aとコネクタ挿入孔11Aとは中心軸Cを共有する。すなわち同心円上に位置するようになる。
【0071】
但し、コネクタ挿入孔11Aには、スリーブ3の切欠平面部33に対応する突起が形成されている。このため、コネクタ挿入孔11Aにあっても当該突起が形成されている箇所の横断面は非円形である。この結果、コネクタ挿入孔11Aに凹側コネクタ2Aを挿入した状態にあっては、たとえ両者が同心円上に置かれていても、凹側コネクタ2Aは、コネクタ挿入孔11Aに対して回転できなくなる。
【0072】
なお、棒状可動部72の小径棒部723が円筒基部71の小径筒部71bに内嵌されるものを例示したが、棒状可動部72の小径棒部723を筒形状にし、円筒基部71の小径筒部71bを棒状にすることで棒状可動部72が円筒基部71に外嵌されるようにしてもよい。
【0073】
(凸側コネクタ)
次に図5、図9〜12を参照して凸側コネクタ2Bを説明する。
凸側コネクタ2Bが凹側コネクタ2Aと相違する点は、凹側コネクタ2Aの移動部42に相当する移動部42Bの第2シールド部材の形状と、凹側コネクタ2Aの誘電体432に相当する誘電体432Bの形状と、凹側コネクタ2Aのピン7に相当するピン7Bの形状と、それらに関連する箇所である。
よって、凸側コネクタ2Bが凹側コネクタ2Aと相違する点について述べることとし、凹側コネクタ2Aと同一箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
凸側コネクタ2Bの移動部42Bは、その第2シールド部材42A’の前端縁にテーパー422Bが先細りに掛けられている。
このテーパー422Bは、凹側コネクタ2Aのテーパー状に拡開された案内口424aの代わりになるものであり、前方円筒部423aの前方に位置する。テーパー422Bが中心軸Cに対する角度と、案内口424aのテーパーが中心軸Cに対する角度とは同じである。
【0075】
移動部42Bがテーパー422Bを有することにより、移動部42Bは、凹側コネクタ2Aにおける移動部42の案内口424aに導入され易くなる。
【0076】
(誘電体)
誘電体432Bの前面には凹側コネクタ2Aの拡開部433aに相当するものがなく、また前端縁にテーパーも掛かっていない。換言すると、誘電体432Bは、円筒部と、その後端部に形成された張り出しフランジ部432aと、を有し、中心軸Cの周囲に導入孔433が90度間隔で4本形成された形状をしている。
【0077】
(ピン)
ピン7Bは、オス型ピンである。そして、凹側コネクタ2Aの棒状可動部72に相当する棒状可動部72Bの先端は、凹側コネクタ2Aの棒状可動部72の丸溝722aに嵌合できる丸状突起722bである(図12参照)。またピン7Bは、この丸状突起722bを含む先端部が誘電体432Bの前端面から突出しているが、移動部42Bの中空42aの第1中空部424b内に収まっている。
【0078】
このような凸側コネクタ2Bは、凹側コネクタ2Aと接続されていないときは、図10のように移動部42Bが大きく前方へ突出し、スリーブ3から前方円筒部423aとテーパー422Bが突き出た状態になるので間隙Sは大きい。
【0079】
反対に接続されているときは、図11のように、移動部42が、圧縮スプリング5の弾撥力に抗してスリーブ3内に押し込まれ、テーパー422Bのみがスリーブ3から突き出た状態、つまり前方円筒部423aがスリーブ3内にある状態になるので、その分、間隙Sは小さい。
【0080】
間隙Sが小さいと、圧縮スプリング5の弾撥力が強くなる。よって、凹側コネクタ2Aの案内口424aのテーパー面と凸側コネクタ2Bの移動部42Bのテーパー422Bとの接触圧が高まる。
【0081】
(作用・効果)
次に図12、13を参照して実施例1の作用・効果を説明する。
電気連結器1A及び1Bが連結するときに、電気連結器1Aに組み込まれている凹側コネクタ2Aと、電気連結器1Bに組み込まれている凸側コネクタ2Bとは、対向して位置する関係になければ、電気的連結ができない。
【0082】
そのため、電気連結器1A及び1Bのうち凹側コネクタ2A及び凸側コネクタ2Bがそれぞれ挿入されるコネクタ挿入孔11A及び11Bの各形成位置は、電気連結器1A及び1Bが連結するときに予め定められた同一軸線上になるようにされている。当該同一軸線のことを符号C1で示し、以後、連結中心C1ということにする。
【0083】
従って、コネクタ挿入孔11A及び11Bにそれぞれ凹側コネクタ2A及び凸側コネクタ2Bを挿入した状態で電気連結器1A及び1Bを連結すると、前記連結中心C1上に凹側コネクタ2Aと凸側コネクタ2Bとが位置した状態で両者は接続されるようになる。
【0084】
そして、電気連結器1Aと1Bとが連結するにあたり、凹側コネクタ2Aの移動部42に、凸側コネクタ2Bの移動部42Bが導入される。詳しくは移動部42の案内口424aに移動部42Bの前端縁に掛けたテーパー422Bが当接することで両伝送用コネクタの中心軸Cが連結中心C1上に位置するようになる(図12参照)。
【0085】
案内口424aは、前方に向けてテーパー状に拡開されており、テーパー422Bは先細りであるので、連結にあたり両伝送用コネクタ2A、2Bの中心軸Cがずれている場合であっても、芯を拾い易くなる。
【0086】
具体的には、凹側コネクタ2A及び凸側コネクタ2Bのうちのいずれかが、又は両方が本来あるべき箇所(連結中心C1)から偏倚していたとしても、車両同士が近づくに連れて、凹側コネクタ2Aの案内口424aのテーパー面と凸側コネクタ2Bの移動部42Bのテーパー422Bとが面接触の状態で滑るようになる。その結果、凹側コネクタ2Aと凸側コネクタ2Bが相互に他方へ向けて接近するようになるため、凸側コネクタ2B及び凹側コネクタ2Aの両方が、連結中心C1上に位置するようになる。
【0087】
両コネクタ2A、2Bが、連結中心C1に位置すると、両コネクタ2A、2Bは電気的に連結される。すなわち、各4本の電気連結器1Aのピン7及び電気連結器1Bのピン7Bが接触する。
【0088】
ピン同士の接触を内部接触といい、凹側コネクタ2Aのテーパー面424aと凸側コネクタ2Bのテーパー422Bとの接触を外部接触ということにする。内部接触により、連結された車両同士の電子機器間で信号のやりとりがなされる。また外部接触により車両間のシールドが接続される。
【0089】
内部接触にあっては、ピン7の丸溝722aにピン7Bの丸状突起722bが突き当たる。いずれのピン7、7Bもそれぞれの圧縮スプリング723aの弾撥力を受けるようになり、外力の大小に応じて、圧縮スプリング723aの弾撥的に抗して、前後方向(ピン7,7Bの図示しない中心軸方向)にストロークする。このようにして、ピン7、7B同士の突き当たり状態が維持される。つまり、当該ストロークが圧縮スプリング723aによって吸収されることにより、ピン7、7Bの接触圧が維持される。
【0090】
そして、外部接触にあっては、スリーブ3、3Bに止めねじ43で取り付けられている基部38に対し、移動部42、42Bが圧縮スプリング5の弾撥力を受けるようになり、外力の大小に応じて弾撥的に前後する。つまり、各伝送用コネクタの圧縮スプリング5によって、移動部42、42Bが相互に他方の移動部42B、42と押し合いながら、ピン7、7B同士の前記突き当たり状態を確保する。なお、ここでいう外力とは、機械連結器同士が連結されそれに伴い電気連結器1A及び1Bが連結されている状態において、列車が走行したり停車したりするときに電気連結器1A、1Bが受ける振動程度の外力をいう。
【0091】
また、各シールド体4は、スリーブ3又は3B内において、中心軸C(図6参照)に対して直交する垂直軸Cv及び水平軸Chをそれぞれ回動中心にして対となっている止めねじ43が、対となっている通し孔32に挿通され、これにより、スリーブ3又は3B内において、各シールド部材4が、上下左右に回動し、中心軸Cに対して非平行な方向に移動するようになっている。
【0092】
よって、当該止めねじ43及び通し孔32を垂直軸Cv及び水平軸Chを中心に回動する回動手段という。なお、シールド部材4が上下左右に回動できる範囲は、止めねじ43が通し孔32において動くことができる範囲に規制される。よって、止めねじ43及び通し孔32を規制手段という。
【0093】
また電気連結器1A、1Bが外力を受けることにより、図13のように、左右又は上下にずれることで、連結中心C1上にあった凹側コネクタ2A及び凸側コネクタ2Bが連結中心C1から外れた場合でも、各伝送用コネクタの圧縮スプリング5によって、移動部42、42Bが相互に他方と押し合って、連結中心C11上で前後方向に移動し合う関係にある。移動部42、42Bが相互に他方を押し合うと、各間隙Sが小さくなり、圧縮スプリング5の弾撥力が強くなる。よって、凹側コネクタ22Aの案内口424aのテーパー面と凸側コネクタ2Bの移動部42Bのテーパー422Bとの接触圧が高まる。
【0094】
したがって、電気連結器1A及び1Bが振動した結果、凹側コネクタ2A及び凸側コネクタ2Bが連結中心C1からずれたとしても、上記のようにシールド体4が、垂直軸Cv及び水平軸Chをそれぞれ回動中心にして上下左右に回動することと、各伝送用コネクタの圧縮スプリング5の弾撥力に抗して移動部42、42Bが相互に他方と押し合う関係にあることとが相俟って、間隙Sが小さな状態を維持する。間隙Sが小さい程、凹側コネクタ2Aの案内口424aのテーパー面と凸側コネクタ2Bの移動部42Bのテーパー422Bとの接触圧が高まり、各伝送用コネクタ2A、2Bのシールド体4同士は、同一軸線C11上にあることを維持するようになる。
【0095】
さらに、中心軸Cと平行なピン孔に挿入される4本のピン7、7Bも中心軸C周りに同径かつ90度間隔で平行に位置するようになる。
そして、電気連結器1Aのコネクタ2Aにあっては、拡開部433aが4本のピン7ごとに形成されているため、電気連結器1Bの凸側コネクタ2Bのピン7Bが、拡開部433aに案内されてピン7と7Bとは同一軸心上で接触し易くなる。
【0096】
また、凹型コネクタ2A及び凸型コネクタ2Bは、突き当て接点方式であり、既述したように、ピン同士の接触面積をある程度確保することができるため、それだけでもピン7、7Bの接続の許容範囲を広げることができる。これに加え、振動により、凹型コネクタ2A及び凸型コネクタ2Bが連結中心C1からずれたとしても、各シールド体4が、垂直軸Cv及び水平軸Chをそれぞれ回動中心にして、スリーブ3内で上下左右に回動することと、各コネクタ2A,2Bの圧縮スプリング5の弾撥力に抗して、移動部42、42Bが相互に他方と押し合い凹側コネクタ2Aの案内口424aのテーパー面と凸側コネクタ2Bの移動部42Bのテーパー422Bとの接触圧が高まることとが相俟って、各コネクタ2A、2Bのシールド部材4同士が、同一軸線C11上において、恰も一本の棒状体が上下左右に動くかのようになる。
【0097】
この結果、凹型コネクタ2A及び凸型コネクタ2Bの各7,7Bピンは、これらが接続された状態において、一層、芯ずれを生じ難くすることができる。したがって、凹型コネクタ2A及び凸型コネクタ2Bの各ピン7,7Bは、実質上、相互に他方のピン7B、7との相対的な位置関係において、許容範囲を一層大きくすることができる。
【0098】
加えて、凹型コネクタ2A及び凸型コネクタ2Bの各ピン7,7Bは、インピーダンスを一定に保つための誘電体40,724及び432に、中心軸Cからの距離が一定に保たれた状態で取り付けられている。したがって、上記コネクタ2A,2Bと接続される各ケーブルにおける信号線間のインピーダンスを管理し、かつインピーダンス整合を取ることによって、電磁ノイズの影響を受け難くすることができる。
【0099】
さらにまた、図14は、縦軸がインピーダンスで横軸が時間を取ってなるインピーダンス−時間線図であり、本発明に係る伝送用コネクタについてTDR法により特性インピーダンスの測定を行った場合の測定結果を示している。
【0100】
TDR(Time Domain Reflectometory:時間領域反射)法とは、被測定物に高速なパルスを加えることで、非測定物の内部でパルスが伝播する際に生じる反射波を観測し、その反射量が特性インピーダンスによって変化することを利用して、被測定物の特性インピーダンスを測定する手法である。
【0101】
簡単にいえば、ケーブルやプリント基板の配線にパルスやステップ信号を印加し、返ってくる反射波形を観測する手法のことである。図14の反射波形は、凹側コネクタ2Aと凸側コネクタ2Bとを接続し、それぞれのコネクタに電線をつないだ状態での伝送路における特性インピーダンスの変化を表す。
【0102】
パルスが伝播され、反射波が帰ってくる時間は、被測定物内でのパルスの伝播速度によるため、時間を追って観測することで、被測定物の中での特性インピーダンスが変化する場所を、反射の発生する時間によって特定することができる。
【0103】
今回の特性インピーダンスの測定は上記のTDR法を用いており、これによって、本来の測定対象であるコネクタ部分の特性インピーダンスの状況を知ることができる。
また、横軸の時間軸が測定区間と同一視できる理由としては、被測定物内でのパルス
の進行速度は一定であることから、時間軸をそのまま距離軸と見なすことが出来る。
【0104】
図14の線図において、両側に下方に突出している箇所は、凹側コネクタ2Aと凸側コネクタ2Bとがそれぞれ電線と接続された状態における電線のインピーダンスを示す。図14より、実施例1の連結器1A及び1Bの凹側コネクタ2A及び凸側コネクタ2Bによれば、測定対象区間、すなわち接続部分を含む伝送路全体のインピーダンスを電線自体のインピーダンス近傍の値に維持できる。
【実施例2】
【0105】
(概要)
次に図15〜図26を参照して、本発明伝送用コネクタの実施例2を説明する。
実施例2に係る信号接続装置はいわゆるジャンパ連結器と称されるものである。
【0106】
ジャンパ連結器は、先頭及び後尾の車両以外の車両に設置される。当該車両は定期検査の時など、一両単位に切り離して整備する必要のある場合を除き、車両同士が切り離されることがない。このため、ジャンパ連結器の用いられる車両は、人の手を介して電気的に繋げられる。
【0107】
実施例1と比較して、実施例2が構成上大きく相違する点は、次の通りである。
実施例1では、対となる凹側コネクタ2A、凸側コネクタ2Bのいずれもが、スリーブ3に対しシールド部材4が垂直軸Cv及び水平軸Chを回動中心にして回動した。また、スリーブ3に対しシールド部材4の構成部材である基部38に対し移動部42が中心軸C
方向にストロークした。
【0108】
これに対し、実施例2では、スリーブに対してシールド体が前後動するものの回動を全くしないことである。
さらに実施例2では、対となる伝送用コネクタのうちの一方は、シールド体の構成部材である基部に対し、同じくシールド体を構成する移動部及び複数のピンが中心軸C方向にストロークするが、他方の伝送用コネクタは、シールド体及びピンがストロークしない。
なお、実施例1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0109】
図15は、車両に取り付けられる信号接続装置であり、いわゆるジャンパ栓受け側と呼ばれるものであり、符号1Cで示す。図16はジャンパ栓受け側に人の手を介して繋げられるジャンパ栓側と呼称され符号1Dで示す。
【0110】
図17はジャンパ栓受け側1Cとジャンパ栓側1Dとを連結した状態を示す。この連結において電気的接続に使用されるのが、本実施例2に係る伝送用コネクタである。ジャンパ栓受け側1Cに使用される伝送用コネクタが、図18に示す凸側コネクタ2Cであり、実施例1に係る凸側コネクタ2Bに相当する。またジャンパ栓側1Dに使用されるのが、図19に示す凹側コネクタ2Dであり、実施例1に係る凹側コネクタ2Aに相当する。
【0111】
以下これら凸側コネクタ2C及び凹側コネクタ2Dについて述べる。
(凸側コネクタ)
図15、図17、18、図19〜図22を参照して、凸側コネクタ2Cを説明する。
【0112】
凸側コネクタ2Cが実施例1に係る凸側コネクタ2Bと相違する点は、既述のようにスリーブに対してシールド体が前後動するものの、垂直軸Cv及び水平軸Chを回動中心にして回動を全くしないことである。なお、凸側コネクタ2Cに係るスリーブを符号3Cで示し、シールド体を符号4Cで示す。
【0113】
上記のようにスリーブ3Cに対してシールド部材4Cが回動しないため、スリーブ3Cにシールド体4Cをはめ込んだときの両者間の隙間は、実施例1におけるスリーブ3にシールド体4をはめ込んだときの両者間の隙間よりも小さくてよい。
【0114】
スリーブ3Cの中空は軸方向における前方部1/4位の箇所に段差311Cが形成されており、スリーブ3Cの後端から幾分前方に位置する箇所には、4つの通し孔32Cが同一円周上に90度間隔で穿孔されている(図20〜22参照)。通し孔32Cは、実施例1の通し孔32よりも直径が小さい(ばか孔でない)。
【0115】
なお、符号301aで示すものは、スリーブ3Cの前端部に設けられたクリップであり、凸側コネクタ2Cをジャンパ栓受け側1Cの筐体内に固定するためのものである。
【0116】
凸側コネクタ2Cは、図15に示すようにジャンパ栓受け側1Cのコネクタ挿入孔11Cに挿入される。凸側コネクタ2Cをコネクタ挿入孔11Cに挿入することで、凸側コネクタ2Cとコネクタ挿入孔11Cとは中心軸Cを共有する。すなわち同心円上に位置する。
【0117】
さらに凸側コネクタ2Cの構成部材として、実施例1の移動部42Bに相当する移動部42Cがある。移動部42Cが移動部42Bと相違する点は、移動部42Bのフランジ形状をした中央部分420が無く、あるのは前方円筒部423a及び後方円筒部423bとである。そして、前方円筒部423aよりも後方円筒部423bの外径は大きい。移動部42Cの中空内の構成は移動部42Bと同じであるので同一符号を付して説明を省略する

【0118】
(凹側コネクタ)
次に図16、図23〜図25を参照して、凹側コネクタ2Dを説明する。
凹側コネクタ2Dは、スリーブを有しない。
凹側コネクタ2Dは、図23に示すように、実施例1の移動部42に類似した形状をしている。詳しくは、凹側コネクタ2Dは、まず移動部42の後方円筒部423bが短くされた中空筒形状の本体部21を有する。そして、移動部42の案内口424aの代わりにクリップ301aを前端部に有する。
【0119】
当該クリップ301aも凹側コネクタ2Dをジャンパ栓側1Dの筐体内に固定するためのものである。
【0120】
本体部21の内部には、中空円筒形状をしかつ同軸心上に位置する第1中空部212a及び第2中空部212bが連続して形成されている(図23参照)。第1中空部212aよりも第2中空部212bの方が内径は大きい。よって、第1中空部212aと第2中空部212bとの間は、段差214となっている。そして、第1中空部212aと第2中空部212bの一部には、誘電体432Cが第2中空部212bの後方から挿入される。また、第2中空部212bの最後尾には螺溝414が形成されている。
【0121】
誘電体432Cは、実施例1の誘電体432と長さが異なるだけでほぼ同じ形状をしている。長さが相違するのは、誘電体432Cに挿入されるピン7Cの形状が異なるからである。よって、誘電体432Cのうち誘電体432と同一部分には、同一の符号を付して説明を省略する。但し、誘電体432Cのうち小径部433bと大径部433cとの段差を符号433dで示す。
【0122】
ピン7Cもピン7と同様、導電性材料からできている。ピン7Cがピン7と相違する点は、ピン7が二つの部位を軸方向に組み合わせて一体型の棒状体にしたメス型ピンであるのに対し、ピン7Cは一つの部位からなるメス型ピンである点にある。ピン7Cにも内向きフランジ41cにバネ711が係止するようになっており、これにより、ピン7Cの誘電体432Cからの抜けが防止される。
【0123】
そして、凹側コネクタ2Dもケーブルクランプ8を有しており、これを螺溝414と螺合すると誘電体432Cの後端にクランプ81が当接し、さらに締め付けることにより、誘電体432Cが誘電体432C中空内を前方に進行しようとする。しかし、中空内の段差214に誘電体432Cの段差433dが当接するため、誘電体432Cは、進行が阻止され、基部38からの誘電体432Cの抜けを防止する。
【0124】
凸側コネクタ2Cの各ピン7Bは、インピーダンスを一定に保つための誘電体40,724及び432Bに、中心軸Cからの距離が一定に保たれた状態で取り付けられている。したがって、上記凸型コネクタ2Cと接続される各ケーブルにおける信号線間のインピーダンスを管理し、かつインピーダンス整合を取ることによって、電磁ノイズの影響を受け難くすることができる。
【0125】
凹型コネクタ2Dの各ピン7Cは、インピーダンスを一定に保つための誘電体432Cに、中心軸Cからの距離が一定に保たれた状態で取り付けられている。したがって、上記凹型コネクタ2Dと接続される各ケーブルにおける信号線間のインピーダンスを管理し、かつインピーダンス整合を取ることによって、電磁ノイズの影響を受け難くすることができる。
【符号の説明】
【0126】
1A 電気連結器
1B 電気連結器
1C ジャンパ栓受け側
1D ジャンパ栓側
2A 凹側コネクタ(伝送用コネクタ)
2B 凸側コネクタ(伝送用コネクタ)
2C 凸側コネクタ(伝送用コネクタ)
2D 凹側コネクタ(伝送用コネクタ)
3 スリーブ(筐体)
3B スリーブ(筐体)
3C スリーブ(筐体)
4 シールド体
4C シールド体
5 圧縮スプリング(弾性体)
7 ピン
7B ピン
7C ピン
8 ケーブルクランプ
11A コネクタ挿入孔
11B コネクタ挿入孔
11C コネクタ挿入孔
11D コネクタ挿入孔
12 凹側コネクタ
21 本体部
31 厚肉部
32 通し孔(規制手段)
32C 通し孔
38 基部(第2のコネクタ体)
38A 第2のシールド部材
40 誘電体(第2の誘電体)
40a 中空
41 基部孔(貫通孔)
41a 大径部
41b 小径部
41c フランジ
42 移動部(第1のコネクタ体)
42A 第1のシールド部材
42B 移動部
42C 移動部
42a 中空
43 止めねじ(規制手段 軸部)
71 円筒基部(第2の接触片)
71a 大径筒部
71b 小径筒部
72 棒状可動部(第1の接触片)
72B 棒状可動部
73 接触片バネ
81 クランプ
82 ガスケット
83 座金
84 金具
211 フランジ
211a 切欠き部
212a 中空部
212b 中空部
214 段差
301 小径部
301a クリップ
302 大径部
311 テーパー
311C 段差
401a 前方中空部
401b 後方中空部
401c 段差
400a 小径部
400b 大径部
400c 段差
411 中央部分
411a ねじ穴
412 前方筒部
413 後方筒部
414 螺溝
420 中央部分
420a テーパー
422 前端部
422B テーパー
423a 前方円筒部
423b 後方円筒部
424a 案内口
424b 第1中空部
424c 第2中空部
424d 第3中空部
425 段差
426 段差
427 螺溝
428 接触片バネ
432 誘電体(第1の誘電体)
432B 誘電体
432C 誘電体
432a フランジ部
433 導入孔(貫通孔)
433a 拡開部
433b 小径孔部
433c 大径孔部
433d 段差
711 バネ
711 係止バネ
721 フランジ
722 大径棒部
722a 丸溝
722b 丸状突起
723 小径筒部
723a 圧縮スプリング(弾性体)
723b 半球部
724 誘電体(第1の誘電体)
725 貫通孔
725a 大径孔部
725b 小径孔部
726 固定金具
726a 螺溝
841 螺溝
C 中心軸
C1 連結中心
C11 同一軸線
Ch 水平軸
Cv 垂直軸
S 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状をした複数の第1の接触片と、
これら第1の接触片の長手方向に延びる中心軸同士の相対的位置関係を規制するために前記第1の接触片の数と同じ数の貫通孔を持つ第1の誘電体と、
前記第1の誘電体が取り付けられ当該第1の誘電体及び前記第1の接触片を筒状に覆う第1のシールド部材と、からなる第1のコネクタ体、
前記第1のコネクタ体の後方に位置し、前記第1のコネクタ体の接触片と接続される複数の第2の接触片と、
当該第2の接触片の長手方向に延びる中心軸の相対的位置関係を規制するとともに第2の接触片を固定するために当該第2の接触片の数と同じ数の貫通孔を持つ第2の誘電体と、
当該第2の誘電体が取り付けられこの第2の誘電体と前記第2の接触片を筒状に覆う第2のシールド部材と、からなる第2のコネクタ体、及び、
前記第1のコネクタ体と前記第2のコネクタ体を筒状に覆い当該コネクタ体の位置を規制する規制手段を持つ筐体、を有し、
前記第1の誘電体の貫通孔に配置されかつ前記第1の接触片を付勢する弾性体を持ち、第1の接触片の前方先端部を押し込んだときに前記弾性体の弾撥力に抗して第1の接触片が中心軸方向に移動可能とすることを特徴とする伝送用コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送用コネクタであって、第1のシールド部材の後方の筒状の空間に第2のコネクタ体の一部を内包させ、第1のシールド部材の内周部と第2のシールド部材の前方外周部を接触させるとともに、第1のコネクタ体と第2のコネクタ体を筒の中心軸方向に互いに離間する方向に付勢する弾性体とを有し、筐体の内径に対して第1のコネクタ体及び第2のコネクタ体の外径を小さくすることで、第1のコネクタ体が前方から押し込まれたときに第1のコネクタ体が中心軸方向に移動可能であるとともに第1のコネクタ体と第2のコネクタ体が中心軸に非平行な方向に移動可能となることを特徴とする伝送用コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の伝送用コネクタであって、前記規制手段は第1のコネクタ体が前方から押し込まれたときに、第1のコネクタ体と第2のコネクタ体が中心軸を中心として回転する量を規制することを特徴とする伝送用コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載の伝送用コネクタであって、回転量を規制する規制手段を筐体に設けた少なくとも2つの孔と第2のシールド部材に形成され前記孔にゆるみ状態で挿通される複数の軸部とで構成することを特徴とする伝送用コネクタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝送用コネクタであって、第1のシールド部材の前方接続面が雌側コネクタではテーパー状に拡開し、雄側コネクタではテーパー状に先細りしており、さらに雌側コネクタの誘電体に接触片を中心として接触片の数だけ形成され且つテーパー状に拡開された導入孔を有することを特徴とする伝送用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−79490(P2012−79490A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222127(P2010−222127)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(591150258)株式会社ユタカ製作所 (12)
【Fターム(参考)】