説明

伝送装置及びその障害状況表示方法

【課題】伝送装置及びその障害状況表示方法に関し、起動する過程で障害が発生した場合に、該障害の原因となった処理内容や該障害の対応策等の情報を速やかに表示又は通知可能にする。
【解決手段】伝送装置の立上げ時に実行される各処理(1−4)に対して、該伝送装置内のパッケージに設けた発光素子の点灯、消灯、又は点滅の発光パターンにより、立上げ処理中の処理内容を該処理毎に区別して表示し、該立上げ処理の過程で障害が発生した場合に、該伝送装置の制御を停止させ、発光素子の発光状態を維持したまま表示させる(1−5)。また、シリアルポートに接続された遠隔監視制御端末に、立上げ処理中の障害状況を示すメッセージを通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送装置及びその障害状況表示方法に関する。本発明は、光伝送装置等の電源投入時やパッケージ挿抜時等における装置立上げ処理時の障害状況の表示に好適に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来の光伝送装置は、局内・局間光ファイバを介して接続されるクライアント側接続装置から受信した信号を、対向する装置へ伝送する機能、及びその逆の方向に伝送する機能により、各種信号の伝送を実現する。図5は、このような伝送装置の一例として、波長分割多重伝送装置(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を示している。
【0003】
図5において、波長分割多重伝送装置(WDM)5−1は、イーサ系伝送路5−2、SDH/SONET(Synchronous Digital Hierarchy/Synchronous Optical Network)系伝送路5−3、PDH(Plesiochronous Digital Hierarchy)系伝送路5−4等の伝送路を収容し、ネットワークを介して対向する波長分割多重伝送装置(WDM)5−1との間で双方向に光信号を伝送し、各伝送路間のクライアント側の各種信号を中継する。波長分割多重伝送装置(WDM)5−1は、遠隔監視制御端末5−5が接続され、該遠隔監視制御端末5−5により遠隔監視制御が行われる。
【0004】
このような光伝送装置における障害の監視等の技術は、例えば下記の特許文献1等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−199098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光伝送装置では、電源投入時やパッケージ挿抜時等の立上げ処理の際に障害が発生した場合に、障害が発生した処理内容やその対処法等の調査のために、各機能対応のパッケージの処理内容等の情報を取得する必要があるが、実際にはそれらの情報をすぐに取得することは難しく、再現性の低い障害の場合は、更にそれらの情報の取得が困難であった。
【0007】
本発明は、伝送装置の立上げ処理の際、該伝送装置が起動する過程で障害が発生した場合に、該障害の原因となった処理内容や該障害の対応策等の情報を、速やかに表示又は通知することが可能な伝送装置及びその障害状況表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の障害状況表示方法は、伝送装置の立上げ時に実行される各処理に対して、該伝送装置内のパッケージに設けた発光素子の点灯、消灯、又は点滅の発光パターンにより、立上げ処理中の処理内容を該処理毎に区別して表示するステップと、前記立上げ処理の過程で障害が発生した場合に、前記伝送装置の制御を停止させ、前記発光素子の発光状態を維持したまま表示させるステップと、を含むものである。
【0009】
また、前記立上げ処理の過程で障害が発生した場合に、シリアルポートに接続された遠隔監視制御端末に、前記伝送装置の立上げ処理中の障害状況を示すメッセージを通知するステップを含むものである。
【0010】
また、本発明の伝送装置は、伝送装置の立上げ時に実行される各処理に対して、該伝送装置内のパッケージに設けた発光素子の点灯、消灯、又は点滅の発光パターンにより、立上げ処理中の処理内容を該処理毎に区別して表示する手段と、前記立上げ処理の過程で障害が発生した場合に、前記伝送装置の制御を停止させ、前記発光素子の発光状態を維持したまま表示させる手段と、を備えたものである。
【0011】
また、前記立上げ処理の過程で障害が発生した場合に、シリアルポートに接続された遠隔監視制御端末に、前記伝送装置の立上げ処理中の障害状況を示すメッセージを通知する手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、伝送装置の立上げ処理の際に障害が発生した場合に、該伝送装置内のパッケージに設けた発光素子の点灯、消灯、又は点滅の発光パターンを、保守者が目視することにより、障害が発生した際の処理内容を一目で把握することができ、障害原因や対処法の調査が容易に可能となる。また、遠隔監視制御端末に立上げ処理中の障害状況を示すメッセージを通知することにより、遠方に設置された伝送装置の障害に対して保守者が容易に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による伝送装置の立上げ処理のフローを示す図である。
【図2】本発明の障害発生時における他の実施形態の処理フローを示す図である。
【図3】障害状況及び対処方法の表示文の一例を示す図である。
【図4】本発明の伝送装置の機能ブロック構成の一例を示す図である。
【図5】伝送装置の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に本発明による伝送装置の立上げ処理のフローを示す。まず、装置の立上げが実行されると(1−1)、該伝送装置内のCPUの初期化が行われ(1−2)、起動中の状態を示す発光素子(ACT LED)を点滅させる(1−3)。
【0015】
そして、立上げ処理のプログラムがブートメモリから読み出され、立上げ処理が実施されるが(1−4)、該立上げ時に実行される各処理に対して、伝送装置内のパッケージに設けた発光素子(LED)の点灯、消灯、又は点滅の発光パターンにより、立上げ処理中の処理内容を処理毎に区別して表示する。
【0016】
上述の立上げ処理の過程で障害が発生した場合に、伝送装置の制御を停止させ、発光素子(LED)の発光状態を維持したまま表示させ、ウォッチドッグタイマ(WDT)によるプログラム暴走の監視処理等を実施する(1−5)。立上げ処理の過程で障害が発生しなかった場合、ディップスイッチ(DIPSW)の設定状態に応じて、バックアップ初期化処理(1−6)、ダウンロード処理(1−7)、又はアプリケーションソフトウェア処理のチェック(1−8)を実施する。
【0017】
該アプリケーションソフトウェア処理の各処理に対して、伝送装置内のパッケージに設けた発光素子(LED)の点灯、消灯、又は点滅の発光パターンにより、処理内容を処理毎に区別して表示し、該アプリケーションソフトウェア処理の過程で異常を検出した場合に、該発光素子(LED)の発光状態を維持したまま表示させ、ウォッチドッグタイマ(WDT)によるプログラム暴走の監視処理等を実施する(1−9)。
【0018】
該アプリケーションソフトウェア処理の正常性が検出された場合、オペレーティングシステム(OS)及びアプリケーションソフトウェアをランダムアクセスメモリ(RAM)に展開する(1−10)。そして、オペレーティングシステム(OS)を起動する(1−11)。
【0019】
図2に本発明の障害発生時における他の実施形態の処理フローを示す。電源投入又はパッケージ挿抜等により伝送装置の立上げを行い(2−1)、そのとき障害が発生すると(2−2)、伝送装置の制御を停止し、同時に前述の発光素子(LED)の発光状態をそのまま継続させる(2−3)。ここまでは、前述の実施形態と同様である。
【0020】
次に、遠隔監視制御端末が当該伝送装置のシリアルポートに接続されているか否か判定し(2−4)、遠隔監視制御端末が当該伝送装置に接続されている場合に、該遠隔監視制御端末に障害状況を示すメッセージを通知し、障害に対する対処方法等を表示する(2−5)。遠隔監視制御端末が当該伝送装置のシリアルポートに接続されていない場合は、接続されるまで該障害状況又は対処方法を示すメッセージを保持しておく。図3に遠隔監視制御端末に表示する障害状況及び対処方法の表示文の一例を示す。
【0021】
図4は、本発明の伝送装置の機能ブロック構成の一例を示す。この構成例において、伝送装置4−1は、CPU4−2、メモリ4−3、バックアップ用のメモリ(EEPROM)4−4、ログデータ保存用のメモリ(EEPROM)4−5、これらのメモリ4−4及び4−5とCPU4−2との接続を切替える切替器4−6、プログラマブルロジックデバイス(FPGA:Field Programmable Gate Array)4−7、発光素子(デバッグLED)4−8、シリアルポート(シリアル通信方式のインターフェースRS232C)4−9、シリアルポート4−9とCPU4−2及びプログラマブルロジックデバイス(FPGA)4−7との接続を切替える切替器4−10を備える。
【0022】
立上げ処理時の障害発生時、プログラマブルロジックデバイス(FPGA)4−7により、立上げ処理における各処理毎の発光パターンにより発光素子(デバッグLED)4−8を点灯させる。発生した障害の処理の詳細内容は、ログデータ保存用のメモリ4−5に保持されているため、遠隔監視制御用端末5−5によりCPU4−2経由で確認することできる。
【符号の説明】
【0023】
4−1 伝送装置
4−2 CPU
4−3 メモリ
4−4 バックアップ用のメモリ(EEPROM)
4−5 ログデータ保存用のメモリ(EEPROM)
4−6 切替器
4−7 プログラマブルロジックデバイス(FPGA)
4−8 発光素子(デバッグLED)
4−9 シリアルポート(RS232C)
4−10 切替器
5−5 遠隔監視制御用端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送装置の立上げ時に実行される各処理に対して、該伝送装置内のパッケージに設けた発光素子の点灯、消灯、又は点滅の発光パターンにより、立上げ処理中の処理内容を該処理毎に区別して表示するステップと、
前記立上げ処理の過程で障害が発生した場合に、前記伝送装置の制御を停止させ、前記発光素子の発光状態を維持したまま表示させるステップと、
を含むことを特徴とする伝送装置の障害状況表示方法。
【請求項2】
前記立上げ処理の過程で障害が発生した場合に、シリアルポートに接続された遠隔監視制御端末に、前記伝送装置の立上げ処理中の障害状況を示すメッセージを通知するステップを含むことを特徴とする前記請求項1に記載の伝送装置の障害状況表示方法。
【請求項3】
伝送装置の立上げ時に実行される各処理に対して、該伝送装置内のパッケージに設けた発光素子の点灯、消灯、又は点滅の発光パターンにより、立上げ処理中の処理内容を該処理毎に区別して表示する手段と、
前記立上げ処理の過程で障害が発生した場合に、前記伝送装置の制御を停止させ、前記発光素子の発光状態を維持したまま表示させる手段と、
を備えたことを特徴とする伝送装置。
【請求項4】
前記立上げ処理の過程で障害が発生した場合に、シリアルポートに接続された遠隔監視制御端末に、前記伝送装置の立上げ処理中の障害状況を示すメッセージを通知する手段を備えたことを特徴とする前記請求項3に記載の伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−172034(P2011−172034A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34257(P2010−34257)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】