説明

伸縮テント屋根装置

【課題】降雨時に雨を効果的に防止し、テント屋根の先端部から雨水が流れ落ちることを防止すると共に、店舗の前方を広く開放することができ、通行の妨げとならない伸縮テント屋根装置を提供すること。
【解決手段】先端部が斜め下向きの状態で伸縮されるテント屋根部材TYと、テント屋根部材TYの先端部に設けられた軒樋部材NTと、軒樋部材NTの両端部の雨水導出部NTpに連通されるパイプ樋部材SPと、パイプ樋部材SPを通して導かれた雨水を下方に導く竪樋部材TTとを有し、前記パイプ樋部材SPは、回転ジョイント樋部材RJを介して軒樋部材NT、竪樋部材TTと連通されていると共に、テント屋根部材TYの伸縮に追従して伸縮するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗の軒先等に設けられて、日差しを遮ったり、雨を防いだりするために、伸縮可能に構成してなる伸縮テント屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、店先の陳列商品、来店客等のために、日差しを遮ったり、雨を防いだりするために、伸縮可能に構成してなる伸縮テント屋根が店舗の軒先等に設けられている。
このような伸縮テント屋根装置を設けておけば、日差しが強い場合、雨が降っている場合のように、必要な場合にのみテント屋根を伸長させて、日差しを遮ったり、雨を防いだりすることができ、陳列商品の保護を達成し、来店客の便宜を図ることができる。
【0003】
しかし、雨を防ぐ目的で伸縮テント屋根を伸長させた場合には、先端部が斜め下向きの状態で伸長されることに起因して、伸縮テント屋根の先端部から雨水が流れ落ちることになり、必ずしも十分な雨対策がとれていることにはならない。
特に、通路を挟んで向かい合わせの状態で商店が並んでおり、両側の商店に伸縮テント屋根が設けられている場合には、通路の中央部において両伸縮テント屋根の先端部がほぼ同じ位置に存在することになってしまうので、流れ落ちる雨水の量が2倍になってしまい、かえって雨水による被害が大きくなってしまう。換言すれば、両伸縮テント屋根の先端部から流れ落ちる雨水があたかも白糸の滝のような状態になってしまい、来店客の通行、商売ができる状態ではなくなってしまう。
【0004】
また、オーニングの先端部から雨水が直接に落下することを防止できるものとして、特許文献1に記載されたものが提案されている。
特許文献1に記載されたオーニングは、日除けとなる防水布を配置したオーニング基礎ユニット、横方向の固定座ユニット、導水溝ユニット及び集水ジョイントユニットで構成されている。固定座ユニットは、平行壁面間などにオーニング基礎ユニットを固定し、オーニング基礎ユニットは、巻取軸、巻取装置、伸縮アーム及び防水布からなり、防水布を巻取装置で巻き取る操作によって伸縮アーム及び防水布展開幅を調節可能とし、防水布前縁の導水溝ユニットは、伸縮アームを最大に展開した時に、底部両端のホールから集水ジョイントユニットの位置に対応して雨水を集水ユニットに送るようにしている。そして、導水溝ユニットを備えた前縁を次列のオーニングの固定座ユニットが覆うように、シート式導水伸縮オーニングを複数平行に配置している。
この構成のオーニングを採用すれば、降雨時には、伸縮アームを最大限に展開しておくことによって、雨水が防水布から直接に流れ落ちるという不都合を確実に防止することができる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたオーニングを店舗に適用する場合には、前向きに伸縮させるように設けるのではなく、横向きに伸縮させるように設けることになるので、収縮時にも固定座ユニットが店舗から突出したままの状態になってしまい、店舗の前の空間がすっきりしないことになってしまう。
また、伸縮アームを最大限に展開した状態において導水溝ユニットの底部両端のホールに対応するように集水ジョイントユニットを設けておかなければならないので、雨が降っていない場合には特に集水ジョイントユニットが店舗前方の通行エリアにおける妨害物になってしまう。
さらに、手違いによって、伸縮アームを最大限には展開しない状態が出現した場合には、導水溝ユニットの底部両端のホールから雨水が直接に流れ落ちてしまうことになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−256994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、以下の通りである。
○本発明が解決しようとする第1課題
降雨時に雨を効果的に防止し、テント屋根の先端部から雨水が流れ落ちることを防止することができる伸縮テント屋根装置を提供することである。
○本発明が解決しようとする第2課題
店舗の前方を広く開放することができ、通行の妨げとならない伸縮テント屋根装置を提供することである。
【0008】
○本発明が解決しようとする第3課題
テント屋根の伸縮の程度に拘らず、テント屋根の先端部から雨水が流れ落ちることを防止することができる伸縮テント屋根装置を提供することである。
○本発明が解決しようとする第4課題
テント屋根の伸長長さを長くした場合であっても、十分な支持強度を確保することができる伸縮テント屋根装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するための手段は、本願の[特許請求の範囲]の各請求項に記載の発明である。
特許請求の範囲、明細書、図面等の用語の解釈上の疑義を解消すべく、以下、用語の説明を行うこととする。
<用語の説明>
○テント屋根部材とは、防水処理が施されたテント生地で構成され、簡易型の屋根として使用されるものをいう。
○巻き取りドラム部材とは、テント屋根部材を巻き取るために用いられるドラム状の部材をいい、テント屋根部材の伸縮を可能にするものである。
○先端部材とは、テント屋根部材の先端縁に設けられた部材であり、この先端部材によって、テント屋根部材の先端縁を緊張状態にすることができる。
○伸縮アーム部材とは、先端部材を基端部に対して接近離間可能に連結するためのものであり、伸縮アーム部材によって、伸縮の程度に拘らず、テント屋根部材を緊張状態で支持することができる。
【0010】
○支持梁部材とは、巻き取りドラム部材を支持するための梁部材をいう。
○支持柱部材とは、支持梁部材を支持するための柱部材をいう。
○軒樋部材とは、テント屋根部材の先端部の全幅範囲にわたって、雨水を受けるように設けられる樋部材をいい、両端部に雨水導出部を有している。
○パイプ樋部材とは、パイプ形状の樋部材をいい、軒樋部材の両端部の雨水導出部に連通されて雨水を手前側(支持柱部材側)に導くことができるように構成されている。そして、雨水を漏出させることなく、テント屋根部材の伸縮に追従して伸縮するように構成されている。
○竪樋部材とは、パイプ樋部材により導かれた雨水を下方に導くための樋部材をいい、好ましくは、支持柱部材に沿う状態で取り付けられている。
【0011】
○回転ジョイント樋部材とは、軒樋部材とパイプ樋部材、パイプ樋部材と竪樋部材とを回転自在、かつ雨水の漏出がないように連通するための樋部材をいう。
○支持部材とは、テント屋根部材が最も伸長された状態において、パイプ樋部材の所定位置を吊り下げ状に支持する部材をいい、テント屋根部材の収縮に伴って徐々に折り畳まれるように構成されていることが好ましい。
本発明者は、上記の従来技術が有する各種の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねて、本発明を完成した。
【0012】
本発明者が、本発明が解決しようとする課題の重要性に気付く契機となったのは、従来技術の欠点を生じる最大の原因が、店舗の店先に対して伸縮させられるテント屋根が雨水を受ける樋部材を設ける必要があることに気付いていなかったことである。
また、店舗の店先の空間に通行の妨げとなる物体を設けてはいけないことに気付いていなかったことである。
本発明者は、降雨時においても、店舗の店先の空間を快適に通行することができ、しかも、陳列品に雨による悪影響を殆ど生じさせないものはないかと種々検討・模索を重ねて、本発明を完成した。
課題を解決するための手段は、本願の特許請求の範囲の各請求項に記載の発明であり、その具体的な解決手段は、以下の通りである。
【0013】
○第1の発明(請求項1に記載の発明)
上記の課題を解決するための第1の発明(請求項1に記載の発明)は、
先端部が斜め下向きの状態で伸縮されるテント屋根部材TYと、テント屋根部材TYの先端部に設けられた軒樋部材NTと、軒樋部材NTの両端部の雨水導出部NTpに連通されるパイプ樋部材SPと、パイプ樋部材SPを通して導かれた雨水を下方に導く竪樋部材TTとを有し、前記パイプ樋部材SPは、回転ジョイント樋部材RJを介して軒樋部材NT、竪樋部材TTと連通されていると共に、テント屋根部材TYの伸縮に追従して伸縮するように構成されていることを特徴とする伸縮テント屋根装置である。
【0014】
○第2の発明(請求項2に記載の発明)
上記の課題を解決するための第2の発明(請求項2に記載の発明)は、
パイプ樋部材SPは、内径及び外径が互いに異なる複数のパイプ樋ユニットSPy1、SPy2、SPy3を有し、かつ互いに伸縮可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮テント屋根装置である。
○第3の発明(請求項3に記載の発明)
上記の課題を解決するための第3の発明(請求項3に記載の発明)は、
テント屋根部材TYが最も伸長された状態において、パイプ樋部材SPの所定位置を吊り下げ状に支持する支持部材SA1、SA2を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伸縮テント屋根装置である。
【0015】
○第4の発明(請求項4に記載の発明)
上記の課題を解決するための第4の発明(請求項4に記載の発明)は、
支持部材SA1、SA2は、パイプ樋部材SPの収縮に追従して折り畳まれるものであることを特徴とする請求項3に記載の伸縮テント屋根装置である。
○第5の発明(請求項5に記載の発明)
上記の課題を解決するための第5の発明(請求項5に記載の発明)は、
テント屋根部材は、テント部材TYtと、テント部材TYtの基端部が連結された巻き取りドラム部材TYmと、テント部材TYtの先端部に連結された先端部材TYsと、先端部材TYsを基端部に対して接近離間可能に連結する伸縮アーム部材TYaとを有していることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の伸縮テント屋根装置である。
【0016】
○第6の発明(請求項6に記載の発明)
上記の課題を解決するための第6の発明(請求項6に記載の発明)は、
巻き取りドラム部材TYmを支持する支持梁部材SHと、支持梁部材SHを支持する支持柱部材SHPとを有し、竪樋部材TTは支持柱部材SHPに沿う状態で支持されていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の伸縮テント屋根装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る伸縮テント屋根装置は、上記のような特徴的構成要件から構成され、特徴的構成要件に応じた、以下のような本願発明特有の効果を奏する。
また、上記のような特徴的構成要件から構成された伸縮テント屋根装置によれば、本願発明の課題を解決することができた。
○第1の発明の効果
第1の発明によれば、
先端部が斜め下向きの状態で伸縮されるテント屋根部材と、テント屋根部材の先端部に設けられた軒樋部材と、軒樋部材の両端部の雨水導出部に連通されるパイプ樋部材と、パイプ樋部材を通して導かれた雨水を下方に導く竪樋部材とを有し、前記パイプ樋部材は、回転ジョイント樋部材を介して軒樋部材、竪樋部材と連通されていると共に、テント屋根部材の伸縮に追従して伸縮するように構成されているという特徴的な構成要件により、
降雨時に店先に快適な通行空間を提供することができる伸縮テント屋根装置を提供することができた。
すなわち、本発明が解決しようとする第1課題、第2課題、第3課題を達成することができ、当業者予測不可能な顕著な効果を奏することができた。
【0018】
○第2の発明の効果
第2の発明によれば、
パイプ樋部材は、内径及び外径が互いに異なる複数のパイプ樋ユニットを有し、かつ互いに伸縮可能に連結されているという特徴的な構成要件により、
テント屋根部材の伸縮に追従させて、雨水を漏出させることなく、パイプ樋部材を伸縮させることができた。
すなわち、本発明が解決しようとする第1課題、第2課題、第3課題を達成することができ、当業者予測不可能な顕著な効果を奏することができた。
○第3の発明の効果
第3の発明によれば、
テント屋根部材が最も伸長された状態において、パイプ樋部材の所定位置を吊り下げ状に支持する支持部材を有しているという特徴的な構成要件により、
最も伸長した状態のパイプ樋部材を安定に支持することができた。
すなわち、本発明が解決しようとする第1課題、第2課題、第3課題、第4課題を達成することができ、当業者予測不可能な顕著な効果を奏することができた。
【0019】
○第4の発明の効果
第4の発明によれば、
支持部材は、パイプ樋部材の収縮に追従して折り畳まれるものであるという特徴的な構成要件により、
パイプ樋部材の収縮状態に応じて支持部材を折り畳むことができた。
すなわち、本発明が解決しようとする第1課題、第2課題、第3課題、第4課題を達成することができ、当業者予測不可能な顕著な効果を奏することができた。
○第5の発明の効果
第5の発明によれば、
テント屋根部材は、基端部が連結された巻き取りドラム部材と、先端部に連結された先端部材と、先端部材を基端部に対して接近離間可能に連結する伸縮アーム部材とを有しているという特徴的な構成要件により、
簡単な構成で、テント屋根部材の伸縮を達成することができた。
すなわち、本発明が解決しようとする第1課題、第2課題、第3課題、第4課題を達成することができ、当業者予測不可能な顕著な効果を奏することができた。
【0020】
○第6の発明の効果
第6の発明によれば、
巻き取りドラム部材を支持する支持梁部材と、支持梁部材を支持する支持柱部材とを有し、竪樋部材は支持柱部材に沿う状態で支持されているという特徴的な構成要件により、
テント屋根部材を、支持柱部材により支持される支持梁部材により支持し、しかも、竪樋部材を支持柱部材に沿わせることができ、特別の支持部材を不要にすることができた。
すなわち、本発明が解決しようとする第1課題、第2課題、第3課題、第4課題を達成することができ、当業者予測不可能な顕著な効果を奏することができた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の伸縮テント屋根装置の一実施形態の伸長状態を示す概略側面図である。
【図2】同上の収縮状態を示す概略側面図である。
【図3】回転ジョイント樋の一実施形態を示す概略正面図である。
【図4】向かい合った店舗から伸縮テント屋根装置が伸長された状態を示す概略側面図である。
【図5】向かい合った店舗の伸縮テント屋根装置が収縮された状態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の伸縮テント屋根装置の実施の形態を詳細に説明する。
第1の発明の伸縮テント屋根装置は、
先端部が斜め下向きの状態で伸縮されるテント屋根部材TYと、テント屋根部材TYの先端部に設けられた軒樋部材NTと、軒樋部材NTの両端部の雨水導出部NTpに連通されるパイプ樋部材SPと、パイプ樋部材SPを通して導かれた雨水を下方に導く竪樋部材TTとを有し、前記パイプ樋部材SPは、回転ジョイント樋部材RJを介して軒樋部材NT、竪樋部材TTと連通されていると共に、テント屋根部材TYの伸縮に追従して伸縮するように構成されていることを特徴としている。
【0023】
第2の発明の伸縮テント屋根装置は、
パイプ樋部材SPは、内径及び外径が互いに異なる複数のパイプ樋ユニットSPy1、SPy2、SPy3を有し、かつ互いに伸縮可能に連結されていることを特徴としている。
第3の発明の伸縮テント屋根装置は、
テント屋根部材TYが最も伸長された状態において、パイプ樋部材SPの所定位置を吊り下げ状に支持する支持部材SA1、SA2を有していることを特徴としている。
【0024】
第4の発明の伸縮テント屋根装置は、
支持部材SA1、SA2は、パイプ樋部材SPの収縮に追従して折り畳まれるものであることを特徴としている。
第5の発明の伸縮テント屋根装置は、
テント屋根部材TYは、テント部材TYtと、テント部材TYtの基端部が連結された巻き取りドラム部材TYmと、テント部材TYtの先端部に連結された先端部材TYsと、先端部材TYsをテント部材TYtの基端部に対して接近離間可能に連結する伸縮アーム部材TYaとを有していることを特徴としている。
第6の発明の伸縮テント屋根装置は、
巻き取りドラム部材TYmを支持する支持梁部材SHと、支持梁部材SHを支持する支持柱部材SHPとを有し、竪樋部材TTは支持柱部材SHPに沿う状態で支持されていることを特徴としている。
【0025】
[図1]は、本発明の伸縮テント屋根装置の一実施形態の伸長状態を示す概略側面図である。
[図2]は、同上の収縮状態を示す概略側面図である。
[図3]は、回転ジョイント樋の一実施形態を示す概略正面図である。
[図4]は、向かい合った店舗から伸縮テント屋根装置が伸長された状態を示す概略側面図である。
[図5]は、向かい合った店舗の伸縮テント屋根装置が収縮された状態を示す概略側面図である。
【0026】
この伸縮テント屋根装置は、テント屋根部材TYと、軒樋部材NTと、伸縮パイプ樋部材SPと、竪樋部材TTとを有している。
テント屋根部材TYは、防水布等からなる方形のテント部材TYtと、テント部材TYtの先端部に取り付けられた先端部材TYsと、テント部材TYtを巻き取ることができるように設けられた巻取テントドラム部材TYmと、巻取テントドラム部材TYmが取り付けられた基部部材SH(例えば、支持梁部材SH)に対して先端部材TYsを接近離間可能に連結する伸縮アーム部材TYaとを有している。
【0027】
ここで、伸縮アーム部材TYaは、それ自体が折れ曲がることによって基部部材SHに対する先端部材TYsの間隔を増減させるものであってもよいが、それ自体が伸縮することによって基部部材SHに対する先端部材TYsの間隔を増減させるものであってもよい。
先端部材TYsは、ある程度の剛性があり、かつ、任意の形状を有しているものであればよい。
巻取テントドラム部材TYmは、テント部材TYtを巻き取ることができるドラム部材であればよく、手動操作によって動作されるものであってもよく、モーター等によって駆動されるものであってもよい。
【0028】
軒樋部材NTは、テント部材TYtの幅と等しい長さを有し、かつ、所定の断面形状(例えば、上部が開放された方形形状)を有するものであり、先端部材TYsに連結されているとともに、長手方向の両端部の下面に雨水導出パイプ(雨水導出部)NTpを有している。そして、この雨水導出パイプNTpは、その下部が、長手方向外側に向くように湾曲形成されて、第1回転連結部材NTprを構成している。
伸縮パイプ樋部材SPは、この実施形態においては、3つのパイプ樋ユニットSPy1、SPy2、SPy3を有している。これらのパイプ樋ユニットSPy1、SPy2、SPy3は、互いに内径及び外径が異なるものであり、軒樋部材NTに連結されるパイプ樋ユニットSPy1の内径及び外径が最も小さく、竪樋部材TTに連結されるパイプ樋ユニットSPy3の内径及び外径が最も大きく設定され、雨水を漏出させることなく、伸縮するように構成されている。
【0029】
また、パイプ樋ユニットSPy1の上部には、第1回転連結部材NTprを雨水の漏出を阻止し、かつ回転可能に収容する第2回転連結部材SPy1rが設けられている。すなわち、第1回転連結部材NTprと第2回転連結部材SPy1rで回転ジョイント樋部材RJを構成している。
特には示していないが、パイプ樋ユニットSPy3と竪樋部材TTとの間にも、同様の構成の回転ジョイント樋部材が設けられている。
基部部材(支持梁部材)SHは、少なくともその両端部において、支持柱部材SHPによって支持されている。そして、支持柱部材SHPに沿うように竪樋部材TTが設けられている。
また、一端が基部部材SHに連結され、他端がパイプ樋ユニットSPy2、SPy3の先端部に連結された支持アーム部材SA1、SA2が設けられている。そして、これらの支持アーム部材SA1、SA2は、伸縮パイプ樋部材SPの収縮に応じて折り畳まれ、収納されるように構成されている。
なお、図においては、テント屋根部材TYの構成を理解し易くするために、基部部材SHから離した状態で示している。
【0030】
上記の構成の伸縮テント屋根装置の作用は次の通りである。
テント部材TYtを伸長させれば、先端部材TYsに軒樋部材NTが連結されているとともに、軒樋部材NTに対して回転ジョイント樋部材RJを介してパイプ時ユニットSPy1が連結されているので、伸縮パイプ樋部材SPが追従して伸長する。そして、伸縮パイプ樋部材SPの伸長に追従して支持アーム部材SA1、SA2が伸長して、伸長状態の伸縮パイプ樋部材SPを吊り下げ状に支持することができる。
【0031】
上記の動作を行う間に軒樋部材NTと伸縮パイプ樋部材SPとの相対角度、及び竪樋部材TTと伸縮パイプ樋部材SPとの相対角度が変化するが、軒樋部材NTと伸縮パイプ樋部材SPとが回転ジョイント樋部材RJを介して接続されていると共に、竪樋部材TTと伸縮パイプ樋部材SPとが回転ジョイント樋部材を介して接続されているので、何ら不都合なく、上記の伸長動作を行うことができる。
この結果、テント部材TYtに降った雨水が、軒樋部材NT、伸縮パイプ樋部材SP、及び竪樋部材TTを通して導かれることになり、伸縮テント屋根装置の下の空間を快適に歩ける空間にすることができる。
この結果、雨の日でも、商店は何ら不都合なく営業を行うことができる。
【0032】
図4に示すように、向かい合う商店から伸縮テント屋根装置が伸長された場合にも、それぞれのテント部材TYtに降った雨水が、それぞれの軒樋部材NT、伸縮パイプ樋部材SP、及び竪樋部材TTを通して導かれることになり、両伸縮テント屋根装置の下の空間を快適に歩ける空間にすることができる。
すなわち、軒樋部材がない場合には、両テント部材の先端部から雨水が勢いよく流れ落ちて、歩行の妨げとなり、営業にも差し支えることになっていたのであるが、上記の実施形態によれば、雨水の影響を殆ど皆無にすることができた。
逆に、心地よい晴れの日などには、テント部材TYtを巻き取って、伸縮テント屋根装置を収縮させればよく、店舗の前の空間を、歩行の邪魔になるものが全くない状態にすることができる(図2参照)。
商店が向かい合っている場合には、図5に示すように、商店どうしの間の空間を、歩行の邪魔になるものが全くない状態にすることができる。
【符号の説明】
【0033】
TY テント屋根部材
NT 軒樋部材
SP 伸縮パイプ樋部材
TT 竪樋部材
TYt テント部材
TYs 先端部材
TYm 巻取テントドラム部材
SH 基部部材(支持梁部材)
TYa 伸縮アーム部材
NTp 雨水導出パイプ
NTpr 第1回転連結部材
SPy1 パイプ樋ユニット
SPy2 パイプ樋ユニット
SPy3 パイプ樋ユニット
SPy1r 第2回転連結部材
RJ 回転ジョイント樋部材
SHP 支持柱部材
SA1 支持アーム部材
SA2 支持アーム部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が斜め下向きの状態で伸縮されるテント屋根部材(TY)と、テント屋根部材(TY)の先端部に設けられた軒樋部材(NT)と、軒樋部材(NT)の両端部の雨水導出部(NTp)に連通されるパイプ樋部材(SP)と、パイプ樋部材(SP)を通して導かれた雨水を下方に導く竪樋部材(TT)とを有し、前記パイプ樋部材(SP)は、回転ジョイント樋部材(RJ)を介して軒樋部材(NT)、竪樋部材(TT)と連通されていると共に、テント屋根部材(TY)の伸縮に追従して伸縮するように構成されていることを特徴とする伸縮テント屋根装置。
【請求項2】
パイプ樋部材(SP)は、内径及び外径が互いに異なる複数のパイプ樋ユニット(SPy1)(SPy2)(SPt3)を有し、かつ互いに伸縮可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮テント屋根装置。
【請求項3】
テント屋根部材(TY)が最も伸長された状態において、パイプ樋部材(SP)の所定位置を吊り下げ状に支持する支持部材(SA1)(SA2)を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伸縮テント屋根装置。
【請求項4】
支持部材(SA1)(SA2)は、パイプ樋部材(SP)の収縮に追従して折り畳まれるものであることを特徴とする請求項3に記載の伸縮テント屋根装置。
【請求項5】
テント屋根部材(TY)は、テント部材(TYt)と、テント部材(TYt)の基端部が連結された巻き取りドラム部材(TYm)と、テント部材(TYt)の先端部に連結された先端部材(TYs)と、先端部材(TYs)を基端部に対して接近離間可能に連結する伸縮アーム部材(TYa)とを有していることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の伸縮テント屋根装置。
【請求項6】
巻き取りドラム部材(TYm)を支持する支持梁部材(SH)と、支持梁部材(SH)を支持する支持柱部材(SHP)とを有し、竪樋部材(TT)は支持柱部材(SHP)に沿う状態で支持されていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の伸縮テント屋根装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−58170(P2011−58170A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205539(P2009−205539)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(597025080)株式会社カミムラ (8)
【Fターム(参考)】