説明

伸縮可能な搬送コンベアおよび搬送コンベアの伸縮方法

搬送物の両側面を搬送方向に案内する案内面が夫々設けられた一対のガイドレールを搬送方向に延在し、両側面を案内面で案内された搬送物を両側下面で支持し搬送方向に搬送するコンベアベルトを備えた搬送コンベアにおいて、各ガイドレールの一方側端部に伸縮機構を搬送方向に伸縮可能に設け、各伸縮機構の対向面に伸縮位置に拘わらず案内面に連続して同一平面に伸縮案内面を形成し、無端条体の端部を循環可能に支承する複数のプーリを伸縮機構の対向面に設ける。これにより、ガイドレールの端部を伸縮機構により伸縮しても、搬送物の側面を案内する案内面が連続して形成される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、搬送ベルト等の無端条体によりプリント基板等の搬送物を搬送する搬送コンベアに関する。
【背景技術】
従来、搬送物の両側面を搬送方向に案内する案内面が夫々設けられた一対のガイドレールを搬送方向に延在し、両側面を案内面で案内された搬送物を両側下面で支持して搬送方向に搬送する無端ベルトを循環可能に支承する複数のプーリを備えた搬送コンベアは公知である。係る搬送コンベアを備えた電子部品実装装置などは、隣接する搬送コンベアの間隔を数ミリに保持して複数台並設するので、設備の新設、レイアウト変更等をするときに装置の設置、移動時に互いに接触、衝突しないように注意が必要であり、作業が面倒で長時間必要としていた。これに対処するためにガイドレールの端部を伸縮可能とし、装置の移動に容易に対応できるようにした搬送コンベアは公知である。例えば特開2000−142944号公報には、ガイドレールの端部に搬送方向に凹凸部を形成し、該凹凸部に嵌り合う凹凸部を調整用ガイドレールの端部に形成し、ガイドレールの端部に調整用ガイドレールを両凹凸部が嵌り合っている範囲内で位置調整可能に連結し、互いに嵌り合う凹凸部のいずれかの凸部が搬送方向に存在して案内面として搬送物の側面を案内する伸縮可能な搬送コンベアが記載されている。
しかしながら、特開2000−142944号公報に記載の伸縮可能な搬送コンベアでは、伸長時に互いに嵌り合う凹凸部のいずれかの凸部が搬送方向に存在するが、凸部と凹部との間に搬送方向の隙間が生じて不連続になり、またガイドレールおよび調整用ガイドレールの一方の凸部端と他方の凸部端との間に段差が生じ、搬送物を円滑に案内できない問題がある。さらに、プリント基板等のように厚さが薄い搬送物の場合、ガイドレールおよび調整用ガイドレールの端部に搬送物の厚さ内で凹凸部を設けることは困難であった。
特に、プリント基板を搬送する際には、基板側面と案内面との隙間が0.5〜1mmであるので、搬送コンベア全長にわたって案内面が連続して円滑であることが必要である。リフロー処理前のプリント基板はハンダペーストの粘性だけによって電子部品を保持しており、且つ電子部品は狭いスペースで実装されているので、係るプリント基板は衝撃を与えない状態でスムースに搬送しなければならない。しかしながら、従来の伸縮可能な搬送コンベアでは、上述のように案内面が不連続となり、このようなプリント基板の搬送には不適当であった。
本発明は係る従来の不具合を解消するためになされたもので、ガイドレールの端部を伸縮機構により伸縮しても、搬送物の側面を案内する案内面が連続して同一平面に形成される伸縮可能な搬送コンベアおよび搬送コンベアの伸縮方法を提供することである。
【発明の開示】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、搬送物の両側面を搬送方向に案内する案内面が夫々設けられた一対のガイドレールを搬送方向に延在し、両側面を前記案内面で案内された状態で搬送物を両側下面で支持し搬送方向に搬送するフレキシブルな無端条体を駆動装置に連結し循環可能に装架する複数の回転体を備えた搬送コンベアにおいて、前記各ガイドレールの端部に伸縮機構を前記搬送方向に伸縮可能に設け、各伸縮機構の対向面に伸縮位置に拘わらず前記案内面に連続して同一平面に伸縮案内面を形成し、前記無端条体を循環可能に支承する複数の回転体を前記伸縮機構の対向面に設けたことである。
これによれば、ガイドレールの端部に設けた伸縮機構を縮めて隣接するガイドレール等との間隔を広くして装置を配置、移動できるので、隣接装置との接触、衝突の危険性が減少し、作業が容易となり作業時間が短縮する。そして、複数の装置を配列した状態で、伸縮機構を伸ばして隣接する搬送コンベアの間隔を数ミリに調整することができる。このとき、各伸縮機構の対向面には伸縮位置に拘わらず案内面に連続して同一平面に伸縮案内面が形成されるので、無端条体により搬送される搬送物は両側面を案内面および伸縮案内面に円滑に案内される。
また、本発明は、上述の改良された伸縮可能な搬送コンベアにおいて、前記伸縮機構は、前記各ガイドレールの端部に搬送方向に伸縮可能に装架され前記案内面と同一平面に調整案内面が設けられた調整部材と、該調整部材が前記搬送方向に移動されたときに前記ガイドレールの案内面と前記調整部材の調整案内面との間に生じる隙間に入り込み前記調整案内面とで前記伸縮案内面を形成する補完案内面が設けられた補完部材とを備えたことである。
これによれば、ガイドレールの端部に装架された調整部材が搬送方向に位置調整されると、ガイドレールの案内面と調整部材の調整案内面との間に生じる隙間に補完部材が入り込み、補完部材に形成された補完案内面と調整案内面とで案内面と連続した同一平面に伸縮案内面を形成する。これにより、上述の発明の効果に加え、簡単な構成で低コストの伸縮可能な搬送コンベアを提供することができる。
さらに、本発明は、上記2番目の改良された伸縮可能な搬送コンベアにおいて、前記補完部材が前記ガイドレールの端部に前記案内面と前記補完案内面とが連続した同一平面をなして前記搬送方向と交差する補完方向に移動可能に装架され、前記調整部材と前記補完部材とが搬送方向および補完方向に対して傾斜した接合面で接合し、該接合面に沿って前記調整案内面と前記補完案内面とが連続した同一平面に接合して前記伸縮案内面を形成したことである。
これによれば、ガイドレールの端部に装架された調整部材が搬送方向に位置調整されると、ガイドレールの端部に装架された補完部材が補完方向に移動され、補完部材に形成された補完案内面がガイドレールの案内面および調整部材の調整案内面に同一平面で連続して接続される。これにより、最初に記載した発明の効果に加え、簡単な構成で円滑な伸縮案内面をガイドレールの案内面に連続して同一平面に形成することができる。
本発明は、上記3番目の改良された伸縮可能な搬送コンベアにおいて、前記無端条体の水平走行部の一端が掛渡された第1回転体および該第1回転体から繰出された無端条体を下方に屈曲させる第2回転体を前記調整部材に装架し、該第2回転体から繰出された無端条体を水平方向に屈曲させる第3回転体および該水平方向に屈曲された無端条体を略垂直方向に屈曲させる第4回転体を前記補完部材に装架し、該第4回転体から繰出された無端条体を水平方向に屈曲させる第5回転体を前記ガイドレールに装架したことである。
これによれば、ガイドレールの端部に装架された調整部材が搬送方向に位置調整されたとき、調整部材に装架された第1および第2回転体、並びに補完部材に装架された第3および第4回転体が調整部材の移動に応じて移動するので、無端条体の端部を緩みの発生を少なくして循環可能に支承することができる。これにより調整部材が位置調整された場合の無端条体の緩み等を少なくすることができる。
本発明は、上記4番目の改良された伸縮可能な搬送コンベアにおいて、前記補完方向が前記搬送方向に対して直角な垂直方向であり、前記調整部材と前記補完部材とが搬送方向に対して45度傾斜した接合面で接合し、該接合面に沿って前記調整案内面と前記補完案内面とが接合して前記伸縮案内面を構成し、前記無端条体の水平走行部の一端が掛渡された第1回転体および該第1回転体から水平方向に繰出された無端条体を垂直方向に屈曲させる第2回転体を前記調整部材に装架し、該第2回転体から繰出された無端条体を水平方向に屈曲させる第3回転体および該水平方向に屈曲された無端条体を垂直方向に屈曲させる第4回転体を前記補完部材に装架し、該第4回転体から繰出された無端条体を水平方向に屈曲させる第5回転体を前記ガイドレールに装架し、前記第3回転体が前記調整部材に垂直方向に設けたガイドおよび前記補完部材に水平方向に設けたガイドにより拘束されて移動することである。
これによれば、ガイドレールの端部に装架された調整部材が搬送方向に位置調整されると、補完部材が垂直方向に同量だけ移動され、第3回転体は調整部材の搬送方向の調整位置に拘わらず、第2乃至第4回転体間の無端条体が垂直および水平となるように移動される。これにより、調整部材を移動しても無端条体の緩みが発生しないようにすることができる。
本発明は、上記3乃至5番目のいずれかの改良された伸縮可能な搬送コンベアにおいて、前記調整部材を前記搬送方向に移動させる送り装置を設け、前記調整部材の移動に連動して前記補完部材を前記補完方向に移動させる手段を備えたことである。
これによれば、送り装置により調整部材を位置調整してガイドレールの端部を伸縮すると、これに連動して補完部材が移動されて案内面に連続して同一平面に伸縮案内面が形成されるので、簡単な操作により搬送コンベアを伸縮することができる。
本発明は、上記いずれかの改良された伸縮可能な搬送コンベアにおいて、前記搬送物がプリント基板または電子部品を搭載する基材であることである。
これによれば、伸縮機構の対向面に伸縮位置に拘わらずガイドレールの案内面に連続して同一平面に伸縮案内面形成するので、厚さが薄いプリント基板または電子部品を搭載する基材を円滑に搬送することができる。
本発明は、搬送物の両側面を搬送方向に案内する案内面が夫々設けられた一対のガイドレールを搬送方向に延在し、両側面を前記案内面で案内された状態で搬送物を両側下面で支持し搬送方向に搬送するフレキシブルな無端条体を駆動装置に連結し循環可能に装架する複数の回転体を備えた搬送コンベアの伸縮方法にして、前記案内面と同一平面に調整案内面が設けられた調整部材を各ガイドレールの端部に搬送方向に移動可能に装架し、前記案内面と同一平面に補完案内面が設けられた補完部材を前記案内面と前記補完案内面とが連続した同一平面をなして前記搬送方向と交差する補完方向に移動可能とし、前記調整部材と前記補完部材とを搬送方向および補完方向に対して傾斜した接合面で接合させ、該接合面に沿って前記調整案内面と前記補完案内面とを連続した同一平面に接合させて伸縮案内面を形成することである。
この方法によれば、ガイドレールの端部に装架された調整部材を搬送方向に位置調整すると、補完部材が補完方向に移動してガイドレールの案内面と調整部材の調整案内面との間に生じる隙間に補完部材が入り込み、補完部材および調整部材に形成された補完案内面と調整案内面とでガイドレールの案内面と連続した同一平面に伸縮案内面を簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1の実施形態に係る伸縮可能な搬送コンベアを示す斜視図であり、第2図は、伸縮機構部分を拡大して示した斜視図であり、第3図は、伸縮機構を伸ばした状態を示す斜視図であり、第4図は、テンションプーリを示す図であり、第5図は、第2の実施形態を示す図であり、第6図は、第2の実施形態の伸縮機構を伸ばした状態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係る伸縮可能な搬送コンベアの第1の実施形態を図面に基づいて説明する。第1図において、1は例えば電子部品実装装置のベースで、該ベース1上に一対のガイドレール2a,2bが搬送物の搬送方向に延在して固定されている。各ガイドレール2a,2bの対向面3には、プリント基板等の搬送物の両側面を搬送方向に案内する案内面4が夫々設けられている。ガイドレール2a,2bの各対向面3には、搬送物の両側下面を夫々支持して搬送方向に搬送するベルト5、チェーン等のフレキシブルな無端条体が複数のプーリ6等の回転体に掛渡されて循環可能に支承されている。ガイドレール2a,2bは面対称である点以外は同一構成であるので、以降はガイドレール2aのみについて説明する。対向面3には駆動装置としてモータ7が固定され、モータ7の出力軸に固定された歯付きプーリがベルト5内周面に設けられた溝に噛合してベルト5を駆動するようになっている。ベルト5の外周面が上向きになって案内面4に沿って水平に走行する水平走行部は、第2図に示すように、内周面をガイドレール2aの対向面3に水平に固定された支持バー8上を摺動して移動する。
ガイドレール2a,2bの一方側端部には、伸縮機構10が夫々設けられている。ガイドレール2aの端部には内側面11が対向面3より外側に後退し薄肉部12が形成され、内側面11に水平方向に設けられたT溝13に調整部材14の裏面に形成されたT突起15が嵌合され、調整部材14はガイドレール2aの端部に搬送方向としての水平方向に位置調整可能に装架されている。調整部材14には水平方向に対して45度傾斜した接合面16が下向きに形成され、接合面16に溝17が刻設されている。調整部材14には案内面4と同一平面に調整案内面18が設けられている。
薄肉部12端の段部20は案内面4と直角に垂直方向に形成され、段部20には溝21が垂直方向に刻設され、溝21に補完部材22の突起23が嵌合され、補完部材22は補完方向としての垂直方向に移動可能となっている。補完部材22には水平方向および垂直方向に対して45度傾斜した接合面24が上向きに形成され、接合面24に溝17に嵌合する突起25が突設されている。補完部材22には案内面4と同一平面に補完案内面26が設けられている。これにより、調整部材14が水平方向に移動されると、溝17と突起25との嵌合に案内されて調整部材14と補完部材22とが接合面16,24での当接を維持しながら補完部材22が溝21と突起23との嵌合に案内されて垂直方向に移動され、補完部材22の補完案内面26がガイドレール2aの案内面4と調整部材14の調整案内面18との間に生じる隙間に入り込み接合面16、24の接合に沿って調整案内面18と補完案内面26とが接合して案内面4に連続して同一平面に伸縮案内面27を形成する。
調整部材14の下端には送りネジ28の先端が軸線方向の相対移動を規制されて回転可能に支承され、送りネジ28のネジ部29がガイドレール3の下端に突設された雌ネジ部30に螺合されている。送りネジ28及び雌ネジ部30等により調整部材14を搬送方向に移動させる送り装置31が構成されている。ガイドレール2aの段部20には送りネジ28の上方位置にバネ受け32が水平方向に突設され、補完部材22の底面から上方に穿設されたバネ収納穴にはバネ受け32に当接する圧縮スプリング33が介在され、補完部材22を上方に付勢している。圧縮スプリング33、バネ受け32等により調整部材14の移動に連動して補完部材22を補完方向に移動させる連動手段34が構成されている。
ベルト5の外周面が上向きになって案内面4に沿って水平に走行する水平走行部の両端は、ガイドレール2aの他方側端部上方に水平軸線回りに回転可能に装架されたプーリ6aおよび調整部材14の一方側端部上方に装架された第1プーリ6bに掛け渡され、第1プーリ6bから水平方向に繰出されたベルト5は調整部材14に装架された第2プーリ6cにより下方に屈曲され、第2プーリ6cから繰出されたベルト5は補完部材22に装架された第3プーリ6dにより水平方向に屈曲され、第3プーリ6dから繰出されたベルト5は補完部材22に装架された第4プーリ6eにより垂直方向に屈曲され、第4プーリ6eから繰出されたベルト5はガイドレール2aの対向面3の上方に段部20近傍で装架された第5プーリ6fにより水平方向に屈曲され、第5プーリ6fから繰出されたベルト5はプーリ6g、6hによりモータ7の出力軸に固定された歯付きプーリを回ってプーリ6aに掛渡されている。
調整部材14が水平方向に位置調整されると、プーリ6によるベルトの掛渡し距離がベルト5内周面の長さと相異してくる。この相異を吸収するために、第4図に示すように調整部材14に長溝35が水平方向に刻設され、長溝35に摺動可能に保持されたスライダ36に立設された水平軸37に第2プーリ6cが回転可能に支承され、スライダ36が圧縮スプリング38により付勢され、第2プーリ6cがテンションプーリとして機能し第1および第3プーリ6b,6d間でベルト5を押圧しベルト5に適度な張りを与えている。
次に、上記第1の実施形態の作動について説明する。設備を新設或いはレイアウト変更等を行う場合、第2図に示すように調整部材14をガイドレール2a,2bに対して引込めた状態にし、搬送コンベアの端部と隣接する装置との間に十分な隙間を持った状態で装置を設置、移動する。装置の配列位置が決まると、送りネジ29を回転してネジ部29と雌ネジ部30との螺合により調整部材14をガイドレール2a,2bの端から水平方向に引出して隣接する搬送コンベアとの隙間が数ミリになるように位置調整する。調整部材14が水平方向に移動されると、第3図に示すように補完部材22が圧縮スプリング33のバネ力により接合面16と接合面24との当接を維持しながら垂直方向に上昇され、補完部材22の補完案内面26がガイドレール2aの案内面4と調整部材14の調整案内面18との間に生じる隙間内に入り込み接合面16、24の接合に沿って調整案内面18と補完案内面26とが接合し案内面4に連続して同一平面に伸縮案内面27を形成する。調整部材14の移動によるプーリ6間距離の変動は第2プーリ6cの移動により吸収される。この状態でモータ7が回転駆動されると、ベルト5がプーリ6に支承されて循環され、ベルト5の支持バー8上を摺動する水平走行部に載置された搬送物は両側面をガイドレール2a,2bの対向面3に形成された案内面4および案内面4と段差なく同一平面に連続して形成された伸縮機構10の伸縮案内面27に円滑に案内されてスムースに搬送される。
次に、第3プーリ6dが調整部材14に垂直方向に設けたガイドおよび補完部材22に水平方向に設けたガイドにより拘束されて移動するようにした第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と第3プーリ6dの支持が異なるだけで他の構成は同様であるので、同一構成部分には同一の参照番号を付して詳細説明を省略する。第5図、第6図に示すように、調整部材14には第2プーリ6cの近傍で下方に延在する垂下部40が設けられ、垂下部40にガイド溝41が垂直方向に刻設されている。補完部材22には第4プーリ6eと同じ上下方向位置にガイド穴42が水平方向に穿設されている。第3プーリ6dを回転可能に支承する水平軸43が立設されたスライダは、ガイド溝41およびガイド穴42に摺動可能に嵌合され、調整部材14の水平方向の調整位置に拘わらず、第1プーリ6bから水平方向に繰出されたベルト5は調整部材14に装架された第2プーリ6cにより下方に垂直に屈曲され、第2プーリ6cから垂直に繰出されたベルト5は第3プーリ6dにより水平方向に屈曲される。そして、接合面16,24は水平方向および垂直方向に対して45度傾斜しているので、調整部材14の水平方向の移動距離だけ補完部材22が垂直方向に移動し、調整部材14の移動距離の2倍分のベルト掛渡し距離Lの変動が補完部材14の等距離の移動量Lの2倍分のベルト掛渡し距離の変動と相殺され、プーリ6によるベルトの掛渡し距離は調整部材14の位置に拘わらず変化しない。
上記実施の形態では、補完方向が垂直方向であり、調整部材と補完部材との接合面が搬送方向および補完方向に対して45度傾斜しているが、これに限られるものでなく、補完方向が搬送方向に対して交差し、接合面が搬送方向および補完方向に対して傾斜していればよい。
【産業上の利用可能性】
本発明にかかる伸縮可能な搬送コンベアおよび搬送コンベアの伸縮方法は、部品移載装置に設けられた部品吸着ヘッドが電子部品を部品供給装置の取出部から取出し、目標位置に停止されたプリント基板に装着する電子部品実装機において、プリント基板を装着位置に搬送して停止するための搬送コンベアに用いるのに適している。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の両側面を搬送方向に案内する案内面が夫々設けられた一対のガイドレールを搬送方向に延在し、両側面を前記案内面で案内された状態で搬送物を両側下面で支持し搬送方向に搬送するフレキシブルな無端条体を駆動装置に連結し循環可能に装架する複数の回転体を備えた搬送コンベアにおいて、前記各ガイドレールの端部に伸縮機構を前記搬送方向に伸縮可能に設け、各伸縮機構の対向面に伸縮位置に拘わらず前記案内面に連続して同一平面に伸縮案内面を形成し、前記無端条体を循環可能に支承する複数の回転体を前記伸縮機構の対向面に設けたことを特徴とする伸縮可能な搬送コンベア。
【請求項2】
前記伸縮機構は、前記各ガイドレールの端部に搬送方向に移動可能に装架され前記案内面と同一平面に調整案内面が設けられた調整部材と、該調整部材が前記搬送方向に移動されたときに前記ガイドレールの案内面と前記調整部材の調整案内面との間に生じる隙間に入り込み前記調整案内面とで前記伸縮案内面を形成する補完案内面が設けられた補完部材とを備えたことを特徴とする請求の範囲第1項記載の伸縮可能なコンベア。
【請求項3】
前記補完部材が前記ガイドレールの端部に前記案内面と前記補完案内面とが連続した同一平面をなして前記搬送方向と交差する補完方向に移動可能に装架され、前記調整部材と前記補完部材とが搬送方向および補完方向に対して傾斜した接合面で接合し、該接合面に沿って前記調整案内面と前記補完案内面とが連続した同一平面に接合して前記伸縮案内面を形成したことを特徴とする請求の範囲第2項記載の伸縮可能なコンベア。
【請求項4】
前記無端条体の水平走行部の一端が掛渡された第1回転体および該第1回転体から繰出された無端条体を下方に屈曲させる第2回転体を前記調整部材に装架し、該第2回転体から繰出された無端条体を水平方向に屈曲させる第3回転体および該水平方向に屈曲された無端条体を略垂直方向に屈曲させる第4回転体を前記補完部材に装架し、該第4回転体から繰出された無端条体を水平方向に屈曲させる第5回転体を前記ガイドレールに装架したことを特徴とする請求の範囲第3項記載の伸縮可能なコンベア。
【請求項5】
前記補完方向が前記搬送方向に対して直角な垂直方向であり、前記調整部材と前記補完部材とが搬送方向に対して45度傾斜した接合面で接合し、該接合面に沿って前記調整案内面と前記補完案内面とが接合して前記伸縮案内面を構成し、前記無端条体の水平走行部の一端が掛渡された第1回転体および該第1回転体から水平方向に繰出された無端条体を垂直方向に屈曲させる第2回転体を前記調整部材に装架し、該第2回転体から繰出された無端条体を水平方向に屈曲させる第3回転体および該水平方向に屈曲された無端条体を垂直方向に屈曲させる第4回転体を前記補完部材に装架し、該第4回転体から繰出された無端条体を水平方向に屈曲させる第5回転体を前記ガイドレールに装架し、前記第3回転体が前記調整部材に垂直方向に設けたガイドおよび前記補完部材に水平方向に設けたガイドにより拘束されて移動することを特徴とする請求の範囲第4項記載の伸縮可能なコンベア。
【請求項6】
前記調整部材を前記搬送方向に移動させる送り装置を設け、前記調整部材の移動に連動して前記補完部材を前記補完方向に移動させる手段を備えたことを特徴とする請求の範囲第3項乃至第5項のいずれか1項に記載の伸縮可能なコンベア。
【請求項7】
前記搬送物がプリント基板または電子部品を搭載する基材であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか1項に記載の伸縮可能なコンベア。
【請求項8】
搬送物の両側面を搬送方向に案内する案内面が夫々設けられた一対のガイドレールを搬送方向に延在し、両側面を前記案内面で案内された状態で搬送物を両側下面で支持し搬送方向に搬送するフレキシブルな無端条体を駆動装置に連結し循環可能に装架する複数の回転体を備えた搬送コンベアの伸縮方法にして、前記案内面と同一平面に調整案内面が設けられた調整部材を各ガイドレールの端部に搬送方向に移動可能に装架し、前記案内面と同一平面に補完案内面が設けられた補完部材を前記案内面と前記補完案内面とが連続した同一平面をなして前記搬送方向と交差する補完方向に移動可能とし、前記調整部材と前記補完部材とを搬送方向および補完方向に対して傾斜した接合面で接合させ、該接合面に沿って前記調整案内面と前記補完案内面とを連続した同一平面に接合させて伸縮案内面を形成することを特徴とする搬送コンベアの伸縮方法。

【国際公開番号】WO2004/096674
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505948(P2005−505948)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006293
【国際出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】