説明

伸長されたナノ構造体を備えるセンサーデバイス

【課題】流体における少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定するための良好なセンサーデバイス、該センサーデバイスの製造方法、及びセンサーデバイスを使用した成分の存在及び/又は量の決定方法を提供する
【解決手段】本発明は、液体における少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定するためのセンサーデバイス20を提供する。センサーデバイス20は、少なくとも一つのセンサーユニットを備え、該センサーユニットは、少なくとも一つの伸長されたナノ構造体8と、該ナノ構造体を囲む誘電材料9とを備える。誘電材料は、少なくとも一つの成分のうちの一つに関して選択的に透過性であり、誘電材量を通して浸透した成分を検出可能なようなものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーデバイスに関する。特に、本発明は、誘電材料に埋設された、少なくとも一つの伸長されたナノ構造体、例えばナノワイヤーを備える少なくとも一つのセンサーユニットを備えるセンサーデバイスに関し、上記誘電材料は、流体において検出されるべき成分への選択的な透過性を有し、上記少なくとも一つの伸長されたナノ構造体は、誘電材料を通り透過した成分を検出する性質を有する。本発明は、また、そのようなセンサーデバイスを製造する方法、及びそのようなセンサーデバイスを用いて、流体における少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学センサー及びバイオセンサーは、空気中の汚染物質から血液試料あるいは他の試料における特定のDNAセグメントの存在まで、多くの種の検出のため利用されている。より最近では、ナノワイヤー(NW)及びカーボンナノチューブ(CNT)のようなナノ構造体を利用するセンサーが提案されている。これは、Science、287巻、622〜625頁、(2000年1月28日)におけるKong等におけるようないくつかの書類にて詳細に記載されている。
【0003】
US 2005/0053525は、センサー・プラットホーム及び該センサー・プラットホームを作製する関連方法を記述し、センサー・プラットホームは、基板の主表面に対して実質的に平行に配向され、様々な実施形態において対応する分析物への親和性を有することができ、あるいは有するように、形成可能なナノワイヤーのようなナノ構造体を有するナノワイヤー・センサ素子のようなナノ構造体を備える。
【0004】
更に、分子特定センサーつまり種特定センサーとなるように機能的にされた、さもなければ修正されたナノ構造体で作製された化学センサが記述されている(P.Qi等による「Toward Large Arrays of Multiplex Functionalized Carbon Nanotube Sensors for Highly Sensitive and Selective Molecular Detection」 Nano Lett. 3巻、No.3、347〜51頁(2003年)、Dai等による、米国特許出願番号10/175,026、2002年6月18日出願、「Carbon Nanotube Sensing」、を参照)。
【0005】
【非特許文献1】Science、287巻、622〜625頁、2000年1月28日、Kong等。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
残念ながら、ナノ構造体を含むセンサーデバイスが記述され、センサー配置において個々のナノチューブの使用に関して性能が発展しているけれども、より信頼できる媒介物つまりプラットホームが必要であり、換言すると、センサーとして作用するための信頼できる設計が必要である。上述の従来技術のデバイスは、選択性に制限があり、特に低濃度での感度を制限していることから、信頼できない。
【0007】
本発明の実施形態の目的は、流体における少なくとも一つの成分の存在、及び/又はその量を決定するための良好なセンサーデバイス、そのようなセンサーデバイスを製造する良好な方法、及びそのようなセンサーデバイスを使用して流体における少なくとも一つの成分の存在、及び/又はその量を決定するための良好な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によるセンサーデバイスは、良好な感度及び良好な機械的強度を示す。
センサーデバイスは、気体中の少なくとも一つの成分を検出するための気体センサー、あるいは液体の少なくとも一つの成分を検出するための液体センサーとして用いることができる。
上記目的は、本発明によるデバイス及び方法によって達成される。
【0009】
本発明の第1態様において、センサーデバイスは、流体における少なくとも一つの成分の存在、及び/又はその量を決定するために提供される。センサーデバイスは、流体中に配列される少なくとも一つのセンサーユニットを備え、この少なくとも一つのセンサーユニットは、少なくとも一つの伸長されたナノ構造体と、この少なくとも一つの伸長されたナノ構造体を本質的に囲む誘電材料とを備える。誘電材料は、少なくとも一つの成分のうちの一つのために選択的に透過性であり、少なくとも一つの伸長されたナノ構造体は、誘電材料を通り透過した成分を検出することができる。
【0010】
本発明の実施形態によるセンサーデバイスの利点は、それが良好な選択性及び良好な機械的強度を示すということである。
【0011】
少なくとも一つの細長い(伸長された)ナノ構造体は、底部及び上部を有することができ、センサーデバイスは、少なくとも第1及び第2の接点をさらに備えることができ、第1接点は、少なくとも一つのナノ構造体の底部に接続され、第2接点は、少なくとも一つのナノ構造体の上部に接続されている。
【0012】
本発明の実施形態によれば、センサーデバイスは、本質的に同様の直径及び本質的に同様の構成を有する細長いナノ構造体を含む少なくとも2つのセンサーユニットを備えることができる。本質的に同様の直径を有するとは、2つのセンサーユニットの細長いナノ構造体が50%未満、好ましくは10%未満の直径差を有することを意味する。文言「細長いナノ構造体の構造」は、細長いナノ構造体が形成される部材の材料又は組み合わせを意味する。
【0013】
本発明の他の実施形態によれば、センサーデバイスは、構成及び/又は直径において互いに異なる細長いナノ構造体を有する少なくとも2つのセンサーユニットを備えることができる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、センサーデバイスは、少なくとも第1及び第2のセンサーユニットを備えることができ、第1センサーユニットの少なくとも一つの細長いナノ構造体を囲む誘電材料は、構成を異にすることができる。その代わりに、又はそれの上部にて、誘電材料の層の厚さは、第2センサーユニットの少なくとも一つの細長いナノ構造体を囲む。
【0015】
本発明の実施形態によれば、第1接点はドレイン接点であってもよく、第2接点はソース接点であってもよく、センサーデバイスは、ドレイン接点の真下にゲート構造を備えることができる。
【0016】
ゲート構造は、ゲート接点及びゲート誘電体を備えることができ、ゲート誘電体は、ゲート接点とドレイン接点とが互いに接触しないように、ゲート接点とドレイン接点との間に位置することができる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、少なくとも第1及び第2の接点は、例えば金属、合金、ポリSi、金属シリサイド、又は金属酸化物のような導電性材料から形成することができる。
【0018】
少なくとも一つの細長いナノ構造体は、3nm〜300nmの間の直径、あるいは100nm未満、例えば10nm〜100nmの間の直径を有することができる。
【0019】
少なくとも一つの細長いナノ構造体は、検出される成分への選択性を改善するために機能的にされてもよい。
【0020】
本発明の実施形態によれば、少なくとも一つの細長いナノ構造体は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭素(C)及びそれらの二元化合物のようなIV族材料、InP、GaN、GaAs及びそれらの二元、三元、四元の化合物のようなIII−V族材料、ZnSe及びそれの二元、三元、四元の化合物のようなII−IV族材料、又は金属酸化物から選択された材料で形成することができる。
【0021】
少なくとも一つの細長いナノ構造体は、ナノワイヤーあるいはカーボンナノチューブであってもよい。
【0022】
本発明の実施形態によれば、センサーデバイスは、ナノ構造体における少なくとも一つの成分の吸着により少なくとも一つの細長いナノ構造体の物理的性質の変化を測定する検出器をさらに備えることができる。
【0023】
その検出器は、少なくとも一つのナノ構造体の電気伝導の変化を測定する電気的な検出器であってもよいし、あるいは少なくとも一つのナノ構造体のエレクトロルミネセンスの変化を測定するための光検知器であってもよい。
【0024】
さらなる態様において、本発明は、また、気体中における気体分子の存在を検出するための気体センサーとして本発明の実施形態によるセンサーデバイスの使用を提供する。
【0025】
さらに別の態様では、本発明は、液体中における液体分子の存在を検出するための液体センサーとして本発明の実施形態によるセンサーデバイスの使用を提供する。
【0026】
さらに別の態様では、本発明は、流体における少なくとも一つの成分の存在、及び/又はその量を決定するためのセンサーデバイスを製造する方法を提供する。その方法は、少なくとも一つのセンサーユニットを設けることを備える。少なくとも一つのセンサーユニットを設けることは、以下のことを備える:
−少なくとも一つの細長いナノ構造体を設け、そして
−少なくとも一つの細長いナノ構造体が誘電材料により本質的に囲まれるように誘電材料を設け、該誘電材料は、少なくとも一つの成分のうちの一つに関して選択的に透過性であり、上記少なくとも一つの細長いナノ構造体は、上記誘電材料を介して透過した成分を検出可能である。
【0027】
少なくとも一つの細長いナノ構造体を設けることは、以下のことによって達成することができる:
−犠牲層を設けること、
−犠牲層に少なくとも一つの開口を形成するように犠牲層をパターン化すること、
−犠牲層の少なくとも一つの開口の各々にナノ粒子を堆積すること、
−犠牲層を除去すること、及び
−触媒としてナノ粒子を用いて少なくとも一つの細長いナノ構造体を成長すること。
【0028】
少なくとも一つの細長いナノ構造体を設けることは、以下のことを備えることができる:
−少なくとも一つのナノ粒子を電気化学的に堆積すること、及び
−触媒としてナノ粒子を用いて少なくとも一つの細長いナノ構造体を成長すること。
【0029】
本発明の実施形態によれば、方法は、少なくとも一つの成分へのその選択性を改善するための少なくとも一つのナノワイヤーを機能的にすることを更に備えることができる。
【0030】
本発明の実施形態によれば、方法は、ナノ構造体における少なくとも一つの成分の吸着により少なくとも一つの細長いナノ構造体の特性の変化を測定するための検出器を設けることを更に備えることができる。
【0031】
さらに態様において、本発明は、流体における少なくとも一つの成分の存在、及び/又はその量を決定するためのセンサーデバイスを提供し、センサーデバイスは、本発明の実施形態による製造方法によって得られる。その検出器は、電気的な検出器あるいは光学的な検知器であってもよい。
【0032】
さらに本発明の他の態様では、方法は、流体における少なくとも一つの成分の存在、及び/又はその量を決定するために提供される。その方法は、以下のことを備える:
−センサーデバイスへの少なくとも一つの成分を備える流体を提供し、そのセンサーデバイスは、少なくとも一つのセンサーユニットを備え、該少なくとも一つのセンサーユニットは、少なくとも一つの細長いナノ構造体と、この少なくとも一つの細長いナノ構造体を囲む誘電材料とを備え、該誘電材料は、少なくとも一つの成分のうちの一つに関して選択的に透過性を有する、
−上記少なくとも一つの成分を、上記誘電材料を介して通過させ、少なくとも一つの細長いナノ構造体に吸着させ、
−少なくとも一つの細長いナノ構造体の特性の変化を測定し、及び
−この変化から、流体における少なくとも一つの成分の存在、及び/又はその量を決定する。
【0033】
本発明の実施形態によれば、センサーデバイスへの少なくとも一つの成分を含む流体の提供は、検出される少なくとも一つの気体分子を含む気体を提供することにより行なうことができる。
【0034】
本発明の他の実施形態によれば、センサーデバイスへの少なくとも一つの成分を含む流体の提供は、検出される少なくとも一つの液体分子を含む液体を提供することにより行なうことができる。
【0035】
本発明の実施形態によれば、少なくとも一つの細長いナノ構造体の特性の変化における測定は、少なくとも一つの細長いナノ構造体の電気伝導の変化を測定することにより行うことができる。
【0036】
本発明の他の実施形態によれば、少なくとも一つの細長いナノ構造体の特性の変化を測定することは、少なくとも一つの細長いナノ構造体のエレクトロルミネセンスの変化を測定することにより行うことができる。
【0037】
本発明の特定の及び好ましい態様は、独立請求項及び従属請求項に伴い述べられる。従属請求項からの特徴は、独立請求項の特徴と組み合わされ、及び請求項にて明示的なことはもちろん、適切に述べられる他の従属請求項の特徴と組み合わされることができる。
【0038】
この分野におけるデバイスの一定の改良、変化、及び発展がなされているが、本概念は、実質的に新しく新規な改良であり、従来の実施からの新発展を含み、結果としてより効率的な、安定した、信頼できるこの種のデバイスの提供に帰着する。
【0039】
本発明の上述の、並びに他の特性、特徴及び利点は、本発明の原理を例示により図示する添付の図面とともに以下の詳細な記述から明白になるであろう。この記述は、本発明の範囲を制限することなく、例示のみのために与えられる。以下に引用された参照図面は、添付図を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
特定の実施形態に関して、及びある図面を参照して、本発明について説明する。しかしながら、本発明は、それに限定されるものではなく、請求の範囲によってのみ制限される。記述された図面は、単に模式的であり、制限するものではない。図面において、構成要素のいくつかのサイズは、説明の目的のため誇張され寸法通りに描かれていないかもしれない。面積及び相対的な面積は、発明の実施への実際の縮小に対応していない。
【0041】
さらに、実施形態の記述及び請求範囲において、上部、超える、等の用語は、記述的な目的のために使用され、相対的な位置を記述するために必要ではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、また、ここに記述される発明の実施形態は、ここに記載されあるいは図示される以外の配向にて操作可能であるということが理解されるべきである。
【0042】
請求範囲で使用される用語「備える」は、その後に挙げられる手段に限定されるように解釈されるべきではなく、他の構成要素又は工程を排除しないことに注意しなければならない。よって、それは、記述された特徴、完全体、工程、又は構成部分の存在を述べたように明記するように解釈されるべきであり、一若しくは複数の他の特徴、完全体、工程、構成部分、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。よって、表現「手段A及びBを備えるデバイス」の範囲は、構成部分A及びBのみからなるデバイスに限定されるべきではない。それは、本発明に関して、上記デバイスの関連する唯一の構成部分がA及びBであるということを意味する。
【0043】
この明細書を通して「一つの実施形態」又は「ある実施形態」の記載は、実施形態に関して記載された特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれているということを意味する。よって、本明細書内の種々の場所における「一つの実施形態において」又は「ある実施形態において」の文言は、必ずしも全て同じ実施形態を参照するものではないが、そのような場合もある。更に、一若しくは複数の実施形態において、特定の特徴、構造、又は特性は、この記述から当業者の一人に明らかになるであろうように、いずれかの適当な方法で組み合わせることができる。
【0044】
同様に、発明の例示的な実施形態の記述において、開示を合理化し、一若しくは複数の種々の発明の態様の理解を援助する目的で、単一の実施形態、図、又はその記述において発明の種々の特徴は、時々、互いにまとめられるということを認識すべきである。しかしながら、開示のこの方法は、クレームされた発明が各請求項にて明白に述べている特徴よりも多くの特徴を必要とするという意思を反映するように解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明の態様は、単一の前述の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴にて存在する。よって、詳細な説明に従う請求項は、この発明の別個の実施形態としてそれ自身で立っている各請求項と共に、この詳述な説明に明らかに組み入れられる。
【0045】
更に、ここに記述される幾つかの実施形態は、他の実施形態に含まれる他の特徴ではなくいくつかを含んでいるが、異なった実施形態の特徴の組合わせは、本発明の範囲内であり、かつ当業者にて理解されるであろうように、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の請求項において、クレームされた実施形態のいずれかは、いずれかの組合わせの中で用いることができる。
【0046】
ここに提供された記述において、多数の特定の細部が述べられている。しかしながら、本発明の実施形態がこれらの特定の細部なしで実施可能であることが理解される。他の例において、公知の方法、構造、及び技術は、この記述の理解を不明瞭にしないために、詳細には示されていない。
【0047】
以下の用語は、本発明の理解を援助するために単独で提供される。
細長いナノ構造体の「機能化」の用語は、ナノ構造体の表面への化学の官能基の導入のような細長いナノ構造体の表面機能化を意味する。
【0048】
「ナノワイヤー・センサーデバイス」、「センサーデバイス」、及び「細長いナノ構造体を備える検出システム」の用語は、同じシステム又はデバイスを示す。デバイスは、互いに接続されたいくつかのセンサーユニットを備えることができる。
【0049】
本発明は、本発明のいくつかの実施形態における詳述な説明により記述されるであろう。本発明の他の実施形態が、本発明の真の思想又は技術的な教示から逸脱せずに、当業者の知識により構成可能であることは明らかであり、本発明は、添付の請求範囲の用語によってのみ限定されることは明らかである。
【0050】
本発明は、例えば液体又は気体のような流体における少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定する、検出システムとしても言及されるセンサーデバイス、そのようなセンサーデバイスを形成する方法、及びそのようなセンサーデバイスを使用して流体における少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定する方法を提供する。上記流体は、液体又は気体であることができる。
【0051】
本発明の第1態様において、センサーデバイスは、流体における少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定するために提供される。そのセンサーデバイスは、少なくとも一つのセンサーユニットを備え、該少なくとも一つのセンサーユニットは、少なくとも一つの細長いナノ構造体と、該少なくとも一つの細長いナノ構造体を囲む誘電材料とを備える。この誘電材料は、検出される少なくとも一つの成分のうちの一つに選択的に透過性である。
【0052】
本発明の実施形態によるセンサーデバイスは、誘電材料に埋め込まれた少なくとも一つの細長いナノ構造体を備える。該誘電材料は、選択的に透過性であり、即ち、換言すれば、検出される少なくとも一つの成分により、例えば気体及び/又は液体の選択により、選択的に浸透可能である。誘電材料の選択的な透過性のために、流体、例えば気体及び/又は液体は、それが検出され及び/又は測定可能なように、少なくとも一つのナノ構造体に到達することができる。細長いナノ構造体は、検出される成分に関して、それらの選択性を向上させるために機能化可能である(さらに見よ)。
【0053】
誘電材料を適切に選択することによって、制御は、上記誘電材料を介して浸透可能であろう成分にわたり得ることができる。従って、センサーデバイスの選択性に対する制御を得ることができる。
【0054】
本発明の実施形態によるセンサーデバイスは、電界効果トランジスター(FET)であることができ、それぞれ少なくとも一つのソース接点及び少なくとも一つのドレイン接点の、少なくとも一つの第1接点及び少なくとも一つの第2接点を備えることができる。又、上記FETは、ゲート構造を備えることができる。
【0055】
これ以後、本発明の実施形態によるセンサーデバイスは、FETにより記述される。これは、説明を容易にするためのみによるものであり、いずれかの方法で本発明を制限するようには意図されないと理解されねばならない。更に、本発明の実施形態によるセンサーデバイスは、ナノワイヤー及びナノワイヤー・センサーデバイスに関して記述されるだろう。これは、いずれかの方法で発明を制限するようには意図されないということを理解されねばならない。説明内で、用語「ナノワイヤー」(単数)又は「ナノワイヤー」(複数)が述べられたときは、常に、これは、より一般的な術語「細長いナノ構造体」として読まれ及び理解されるべきである。用語「細長いナノ構造体」は、ワイヤー(ナノワイヤー)、チューブ(ナノチューブ)、ロッド(ナノロッド)、及び、類似の、長手軸を有する細長い実質的に円筒状又は多角形のナノ構造体の形態における、2次元的に限られた固体材料片のいずれかを意味する。細長いナノ構造体の断面寸法は、1nm〜500nmの範囲内、3nm〜300nmの範囲内、又は100nm未満にある。本発明の実施形態によれば、有機の細長いナノ構造体、例えばカーボンナノチューブ(CNTs)等、又は無機の細長いナノ構造体、例えば半導体のナノワイヤー(例えばシリコンナノワイヤー)等が使用可能である。更に、用語「ナノワイヤー・センサーデバイス」が用いられるときには常に、これは、少なくとも一つの細長いナノ構造体を備えるセンサーデバイスとして理解されるべきである。
【0056】
図1は、本発明の実施形態によるFETナノワイヤー・センサーデバイス20の平面図を示す。センサーデバイス20は、流体に存在する一若しくは複数の特定成分の存在及び/又は量を決定するために提供される。上記流体は、気体又は液体であってもよく、一方、検出される成分は、また気体又は流体であってもよい。ナノワイヤー・センサーデバイス20は、基板1に形成され、一つのセンサーユニットを備える。示された実施形態は、一つのセンサーユニットを有するが、これは、いずれかの方法で発明を制限するようには意図されないということが理解されねばならない。本発明の他の実施形態によるセンサーデバイス20は、より多くのセンサーユニットを備えることができる。それらは、特定の用途に必要なセンサーユニットのいかなる数も実際備えることができる。
【0057】
図1に示される実施形態において、ナノワイヤー・センサーデバイス20は、誘電材料9に埋設された、換言すると誘電材料9により囲まれた2つの細長いナノ構造体8を備える。誘電材料は、流体内で検出される一若しくは複数の成分に関して選択的に透過性となるように選択される。検出される一若しくは複数の成分への選択的な透過性のために、つまり検出されるこれらの成分を備える、ある所定の流体を透過する誘電材料9の能力のために、それらの成分だけが誘電材料9に埋設されたナノワイヤー8に到達することができ、そしてそれらの成分だけがナノワイヤー8により検出されるだろう(さらに見よ)。図1のナノワイヤー・センサーデバイス20は、例示のためだけに示されていることが理解されねばならない。本発明の実施形態によるナノワイヤー・センサーデバイス20は、特定の用途に必要であるようなナノワイヤー8のいかなる数も備えることができる。
【0058】
図1に図示されたナノワイヤー・センサーデバイス20は、「ドレインを越えたゲート」原理に基づく。ナノワイヤー8は、長手軸と、それらの長手軸に沿った一方の側面に位置する底部及び上部とを規定する。図1のナノワイヤー・センサーデバイス20は、ナノワイヤー8の底部に接続したドレイン接点4と、ナノワイヤー8の上部に接続したソース接点12とを有する。センサーデバイス20は、更に、ナノワイヤー8の底部に接続され、ゲート誘電体3によってドレイン接点4から分離されたゲート接点2を備え、その結果、ドレイン接点4とゲート接点2とは、互いに直接には接触しない。ゲート接点2及びゲート誘電体3は、ゲート構造と呼ばれるかもしれない。しかしながら、代わりの構成がまた可能であることが明らかであるべきである。例えば、本発明の代わりの実施形態によれば、ソース接点12は、ナノワイヤー8の底部に接続可能であり、ゲート及びドレイン接点2,4は、ナノワイヤー8の上部に接続可能である。他の実施形態によれば、センサーデバイス20には、さらにゲート構造がないかもしれない。この場合、センサーデバイス20は、第1の、例えばドレイン接点4、及び第2の、例えばソース接点12を、ゲート接点なしで、備えることができる。本発明のさらに別の実施形態によれば、基板1は、ソース接点として作動可能であり、ナノワイヤー8は、基板1に直接に接触可能である。
【0059】
図1に図示されるナノワイヤー・センサーデバイス20では、ナノワイヤー8は、ドレイン接点4上に設けられる。ナノワイヤー8は、長手軸を有することができる。基板1の主面1aが平面にて形成されているとき、各ナノワイヤー8のそれぞれの長手軸は、その平面に実質的に垂直な方向に延在する。更に、ナノワイヤー8の長手軸は、互いに実質的に平行であってもよい。ナノワイヤー8は、誘電材料9で囲まれ、あるいは、言いかえれば、誘電材料9に埋設され、誘電材料9は、多孔性の誘電材料9であってもよい。本発明の実施形態によれば、誘電材料9は、光学上透明な誘電材料であってもよい。ソース接点を設けた例において、第2接点12は、本例によれば、誘電材料9の上部に位置することができる。
【0060】
誘電材料9を適切に選択することによって、本発明の実施形態によるセンサーデバイス20の選択性は、制御することができる。制御は、誘電材料9の特性を調整すること、即ち、どの成分について誘電材料9を通過させ、どの成分を不可とするか、により得ることができる。多孔性物質の場合には、このことは、例えば、誘電材料9における孔隙率及び/又は孔のサイズを調整することにより得られる。
【0061】
本発明の実施形態によれば、ナノワイヤー8は、機能化されてもよい。即ち、流体内で検出される成分へのそれらの選択性を改善するために、追加の機能性がナノワイヤー8に組み入れることができる。機能化は、ナノワイヤー8の成長後、誘電材料9内へのそれらの埋設前に、あるいは、全集積化アプローチの後つまりナノワイヤー8を成長させて誘電材料9を設けた後、のいずれかで実行可能である。その選択は、機能化プロセスが次のプロセス工程にどれくらい敏感か、及び、ナノワイヤー8が誘電材料9に埋め込まれながら、機能化プロセスをどれくらい容易に行なうことができるかに依存する。
【0062】
本発明の実施形態によれば、ナノワイヤー8、あるいはより一般的に細長いナノ構造体は、例えば、それらの表面での化学的改良、分子の物理的吸着、金属化、あるいはそれらの組み合わせによる、それらの表面の改良により機能化可能である。ナノワイヤー8の化学的改良は、当業者に知られているように、例えばプラズマ処理又は化学処理により、ナノワイヤー8へ分子をグラフティングすることを備える。ナノワイヤー8の、あるいはより一般的に、細長いナノ構造体の化学的改良は、ナノワイヤー8への共有結合の方法でグラフト可能な根本的な前駆体分子の使用を含むことができる。他の実施形態によれば、販売されている機能化されたナノワイヤー8、つまり一般的に細長いナノ構造体がまた使用可能である。例えば、アミノ−、ヒドロキシル−、カルボン酸−、チオール−の機能化されたナノワイヤー8が使用可能である。
【0063】
本発明の実施形態によれば、ナノワイヤー8の機能化は、例えばポルフィリン又はフタロシアニンのような酸化還元反応の活性分子にて行うことができる。電子受容あるいは電子供与気体分子(例えばNO、NH)での錯体形成は、表面で双極子構成を、あるいはセンサーデバイス20のチャネルへの電荷移動を導くことができ、それは電気的に検出することができる。このようなプロセスは、C.M. Drain 等による「A Perspective on Four New Porphyrin-Based Functional Materials and Devices」、 J. Porphyrins Phthalocyanines, 2002, 6, 241、及び J.F. Fernandez-Sanchez 等による「Novel optical NO2-selective sensor based on phthalocyaninato-iron(II) incorporated into a nanostructured matrix」、Sens. Actuators B, 2006, 113, 630 に記載されている。
【0064】
第2接点は、例ではソース接点12であり、ナノワイヤー8に直接に接触することができる。ナノワイヤー8は、同様に、例ではドレイン接点4の上方の第1接点に直接に接触することができる。従って、ナノワイヤー8は、第1、第2の接点、例ではドレイン接点及びソース接点4,12、の間で、直接に接触して位置することができる。このように、本発明の実施形態によるナノワイヤー・センサーデバイス20が、ナノワイヤー8の使用可能性を特徴づける又はテストするための試験デバイスとして使用される場合、センサーデバイスにおいて使用されたとき、成長された位置におけるナノワイヤー8の変化の迅速な評価は、4点の抵抗率又はデバイス特性記述のいずれかによって行なうことができる。従って、これらのテストの目的のため、完全なデバイスは作製してはならず、それは試験時間を縮小する。
【0065】
センサーデバイス20は、また、少なくとも一つのナノワイヤー8への、検出される少なくとも一つの成分の吸着による少なくとも一つのナノワイヤー8の物理的性質の変化を測定するための検出器13を備えることができる。本発明の実施形態によれば、検出器13は、少なくとも一つのナノワイヤーへの、検出される少なくとも一つの成分の吸着による少なくとも一つのナノ構造体の電気伝導の変化を測定するための電気的な検出器であることができる。本発明の他の実施形態によれば、検出器13は、少なくとも一つのナノワイヤーへの、検出される少なくとも一つの成分の吸着による少なくとも一つのナノ構造体のエレクトロルミネセンスの変化を測定するための光学的な検出器であってもよい。
【0066】
本発明の他の実施形態によるセンサーデバイス20は、複数のセンサーユニットを備え、各センサーユニットは、検出される成分の浸透を選択的に可能とする誘電材料9に埋め込まれた少なくとも一つのナノワイヤー8を備える。本発明の実施形態によれば、個々のセンサーユニットは、同様のナノワイヤー8を備える。同様のナノワイヤー8とは、ナノワイヤー8が同様の材料から形成され、同様の直径を有することを意味する。直径は、両者の直径が50%を超えて違わないときには、他方の直径に類似すると解釈される。より厳しい解釈では、用語「類似」は、直径が10%を超えて違わないことを意味する。
【0067】
本発明の他の実施形態によれば、複数のセンサーユニットは、各々、異なったナノワイヤー8、つまり直径及び/又は構成が相違可能なナノワイヤー8を備えることができる。細長いナノ構造体の、用語「構成」は、細長いナノ構造体8が形成される材料の物質又は構成を示すことを意味する。後述の実施形態によるセンサーデバイス20は、同じ流体における異なる成分の存在及び/又は量を決定することを可能にする。
【0068】
本発明の実施形態によれば、成分の浸透速度又は拡散距離が異なる成分間で区別されるように重要なパラメーターになるように、ナノワイヤー8へ誘電材料9を通る特定成分の拡散距離が変更されるように、個々のセンサーユニットは、組み合わせることができる。各々が異なる拡散距離を有するいくつかのユニットを組み合わせることにより選択性を設定することができ、その結果、対応するナノワイヤー8が届く前に所望の拡散距離の範囲を入手可能である。従って、ナノワイヤーの感度自身が重要なだけでなく、誘電材料9による拡散速度も重要な役割を果たすことができ、拡散速度の違いも同じ測定の間に利用することができる。
【0069】
本発明の実施形態によるセンサーデバイス20は、一若しくは複数のアプローチの組合わせにより、流体内で検出されるべき特定成分に関する特異性を提供する。検出されるべき特定の化合物にナノワイヤーの材料が感知可能なように、ナノワイヤー材料は選択することができる。更に、上述したように、ナノワイヤー材料は、機能化することができる。第3に、ナノワイヤー8が埋め込まれている誘電材料9は、検出されるべき成分のみの浸透を可能にするように選択することができる。さらに、多孔性の誘電材料9が選択可能であり、孔の孔隙率及びサイズは、選択性を改善するように選択することができる。最後に、複数のセンサーユニットを備えるセンサーデバイス20を設けることにより、成分の拡散速度は、測定可能であり、それぞれの成分を同定するために用いることができる。
【0070】
本発明の実施形態によるセンサーデバイス20の感度は、一つのセンサーユニット当たりのナノワイヤー8の数及び/又は直径を変更する、つまり増加又は減少することにより、設定することができる。
【0071】
本発明は、また、第2態様において、流体における少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定する方法を提供する。該方法は、以下の項目を備える:
−センサーデバイス20への少なくとも一つの成分を備える、例えば気体あるいは液体である流体を提供し、ここで、センサーデバイス20は、少なくとも一つのセンサーユニットを備え、該少なくとも一つのセンサーユニットは、少なくとも一つのナノ構造体8と、少なくとも一つのナノ構造体8を囲む誘電材料9とを備え、該誘電材料9は、検出されるべき少なくとも一つの成分の少なくとも一つに関して選択的に透過性を有する;
−少なくとも一つの成分を、誘電材料9を通して浸透させ、少なくとも一つの細長いナノ構造体8に吸着させ;
−少なくとも一つの細長いナノ構造体8の特性の変化を測定し;そして
−少なくとも一つの成分の吸着により引き起こされた変化から、流体における少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定する。
【0072】
説明を容易にするため、本発明の実施形態による、流体における特定成分の存在及び/又は量を決定する方法は、ナノワイヤー8を備えるセンサーデバイス20によって記述される。再度、このことは、いずれの方法においても発明を限定するものではなく、上記方法は、流体において検出されるべき特定成分に関して選択的に浸透性を有する誘電材料9に埋め込まれた、言いかえれば囲まれた、細長いナノ構造体8を備えるいずれのセンサーデバイス20にも適用可能である。
【0073】
既に上述したように、センサーデバイス20は、気体中の成分、即ち特定の気体分子を検出するためのガスセンサーデバイスであってもよく、あるいは、流体中の成分、即ち特定の液体分子を検出するための液体センサーデバイスであってもよい。
【0074】
ガスセンサーデバイス20の場合、ガス感知検出器として参照されるときも、ナノワイヤー8が埋め込まれている誘電材料9を通り浸透可能な気体分子のみがナノワイヤー8に到達することができるだろう。従って、ナノワイヤー8に到達したとき、ナノワイヤー8への吸着により気体分子がナノワイヤー8の電気伝導に変化を引き起こすので、センサーデバイス20の誘電材料9に関して透過性である気体分子のみがナノワイヤー8によって検出されるだろう。電気伝導の変化は、ナノワイヤー8に達する気体分子の数に依存するだろう。よって、電気伝導の変化は、全気体相におけるその特定気体分子の濃度に関する測定であってもよい。上述したような、ナノワイヤー8の電気伝導における変化により気体分子の検出が実行される電気的なガスセンサーデバイス20の代わりに、ガスセンサーデバイス20は、検出されるべき気体分子がナノワイヤー8に到達しナノワイヤー8に吸着したとき、ナノワイヤー8のエレクトロルミネセンスにおける変化が検出される光学的なガスセンサーデバイスであってもよい。
【0075】
液体センサーデバイス20の場合には、液体感知検出器として参照されるときも、ナノワイヤー8が埋め込まれている誘電材料9を通り浸透可能な液体分子のみがナノワイヤー8に到達することができるだろう。従って、ナノワイヤー8に到達したとき、ナノワイヤー8への吸着により液体分子がナノワイヤー8の電気伝導に変化を引き起こすので、センサーデバイス20の誘電材料9に関して透過性である液体分子のみがナノワイヤー8によって検出されるだろう。この電気伝導の変化は、ナノワイヤー8に到達可能な対象の液体分子の数に依存するだろう。よって、電気伝導の変化は、液体内のそれら特定の液体分子の相対的濃度に関する測定であってもよい。液体分子を検出するため、ナノワイヤー8の電気伝導における変化が測定される電気的な液体センサーデバイス20の代わりとして、センサーデバイス20は、検出されるべき液体分子がナノワイヤー8に到達しナノワイヤー8に吸着したとき、ナノワイヤー8のエレクトロルミネセンスにおける変化を測定することにより液体分子が検出される光学的な液体センサーデバイスであってもよい。
【0076】
例えば、溶剤に、又は溶剤の混合物内に溶けている分子を決定するために液体センサーデバイス20が用いられるとき、センサーデバイス20は、溶解された分子に敏感であるように、言い換えれば、センサーデバイス20におけるナノワイヤー8が、溶解された分子に関して選択的に透過性である誘電材料9に埋め込まれることができるように、構成することができる。従って、液体内で検出されるべき溶解された分子のみが誘電材料9を通して浸透可能であり、ナノワイヤー8に達することができ、ナノワイヤー8の特性の変化、例えば電気伝導又はエレクトロルミネセンスの変化を引き起こすことができるだろう。この特性、例えば電気伝導又はエレクトロルミネセンス、の変化は、溶剤内に溶解された分子の数に依存し、ナノワイヤー8に到達可能な分子の数に依存するであろうし、溶剤内に存在する溶解された特定分子の濃度に関する測定であってもよい。
【0077】
同じ流体、例えば同じ液体又は気体内のいくつかの異なる成分を決定するために、センサーデバイス20は、いくつかの個々のセンサーユニットを備えることができ、各ユニットは、誘電材料9に埋め込まれた少なくとも一つのナノワイヤー8を備える。異なるユニットにおける各誘電材料9は、互いに異なってもよく、類似あるいは同一であってもよく、他の成分に対して選択的に透過性であってもよい。本発明の実施形態によるセンサーデバイス20は、特定の用途に必要なように、適切な数のセンサーユニットを備えることができる。本発明の実施形態によるセンサーデバイス20に存在するセンサーユニットの数は、流体、例えば気体や液体において検出されるべき異なる成分の数に依存することができる。
【0078】
更に、上述したような、流体における少なくとも一つの成分を検出するためのセンサーデバイス20の製造方法が提供される。該方法は、一つ若しくは複数のセンサーユニットを提供することを備える。センサーユニットの提供は、以下の項目を備える:
−少なくとも一つの細長いナノ構造体8を設け; そして
−少なくとも一つの細長いナノ構造体8が誘電材料9にて囲まれるように誘電材料9を設け、ここで、誘電材料9は、少なくとも一つの成分のうちの一つに関して選択的に透過性である。
【0079】
以下に、本発明の実施形態による方法における各工程を記述する。この記述は、いずれの手法においても本発明を限定する意図ではないこと、及び、上記方法は、より多くの又はより少ない工程を備えることができ、あるいは異なる一連の工程を有することができ、又、他の物質の使用を含むことができるということを理解すべきである。
【0080】
センサーデバイス20の製造に関する本発明の実施形態による方法の一連の工程は、第1の実施形態に関して記述したようなFETトランジスタの製造に関する図2から図12によって記述される。方法は、一つのセンサーユニットを備えるセンサーデバイス20の製造を図示する。本発明の実施形態による方法は、また、特定の用途に必要ないずれの数のセンサーユニットを備えるセンサーデバイス20を製造するためにも適用可能であることが理解されねばならない。
【0081】
第1工程では、基板1が提供される。基板1は、当業者に知られているいかなる適当な材料を備えることができる。本発明の実施形態において、用語「基板」は、使用され、又は素子、回路、あるいはエピタキシャル層が形成可能な、下にあるいかなる物質又は材料を含むことができる。他の別の実施形態では、この「基板」は、例えばドープされたシリコン、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、インジウムリン(InP)、ゲルマニウム(Ge)、又はシリコンゲルマニウム(SiGe)基板のような半導体基板を含むことができる。上記「基板」は、例えば、半導体基板部分に加えて、SiOあるいはSi層のような絶縁層を含むことができる。したがって、用語「基板」は、また、シリコン・オン・ガラス、シリコン・オンサファイヤ基板を含む。よって、用語「基板」は、対象の層又は部分の下にある層のためのエレメントを一般的に定義するために使用される。また、「基板」は、層が形成される、例えばガラス又は金属層が形成される他のいかなるベースであってもよい。本発明の実施形態で使用可能な適切な基板1の例は、基板を備えたシリコン及び/又はゲルマニウム(例えばGe、Si、SiGe、SiO、SiC)、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)、あるいはGOI(ゲルマニウム・オン・インシュレータ)基板、又は、ポリイミド・シートのようなポリマー材料(例えばプラスチック)で作製された(フレキシブルな)基板であることができる。
【0082】
基板1上に、ゲート接点2及びゲート誘電体3を備えるゲート構造を設けることができる。ゲート接点3は、金属、金属酸化物、合金、Si、ポリSi、あるいは金属シリサイドのような導電性材料で形成可能である。ドレイン接点4の材料は、ナノワイヤー8がその上に成長されるとき、ショットキー接点がナノワイヤー8とドレイン接点4との間に形成されるように、選択することができる。ドレイン接点を形成するために本技術の方法で使用される好ましい材料は、Ptであってもよい。しかしながら、これは誘電材料への貧弱な付着を示す。したがって、本発明の実施形態によれば、TiNのような材料を用いることができる。ゲート誘電体3は、ゲート接点2上に設けることができる(図2を参照)。ゲート誘電体3は、通常使用される誘電物質で形成することができ、例えばHfOのような、例えば高−k物質であることができる。ゲート誘電体3上に、図3に図示されるように、ドレイン接点4が形成可能である。これは、当業者に知られたいずれの適切な技術によって行うことができる。ドレイン接点4は、例えば金属、金属酸化物、合金、Si、ポリSi、又はシリサイドのような導電性材料で形成可能である。ゲート誘電体3は、ドレイン接点4とゲート接点2との間に位置することができ、ゲート接点2とドレイン接点4とを互いに直接に接触させないものである。
【0083】
図4に図示される次の工程では、ドレイン接点4の上方に犠牲層5を設けることができる。犠牲層5は、ゲート接点2の上方に存在するドレイン接点4の一部の上方に位置する少なくとも一つの開口6を形成するようにパターン化可能である。犠牲層5は、例えばBARC(底部非反射コーティング)材料、SiLK(登録商標)、ポリアリルスルホン、ポリヒドロキシスチレン系誘導体、ポリイミド、ポリエーテル(例えばポリアリレーンエーテル 例えば、Honeywellから入手可能なFLARE(登録商標)あるいはSchumacherから入手可能なVELOX(登録商標))、ポリアリレーン硫化物、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート、ポリアリレーン(例えばポリフェニレン)、ポリアリレーンビニレン(例えばポリフェニレンビニレン)、ポリビニルカルバゾール、環状オレフィン、及び/又は、ポリエステルのような、スピンオン材料を例えば備えることができる。犠牲層5のパターニングは、例えばリソグラフィー技術のような、当業者に公知のいずれの適切な技術によって行うことができる。リソグラフィーパターニングは、例えば光リソグラフィー(液浸リソグラフィーを含む)、電子ビームリソグラフィーあるいはX線リソグラフィーによって実行可能である。リソグラフィーパターニングは、感光層(例えばレジスト)及び/又は非反射コーティングのような特別の層を例えばドープする追加の工程を備えることができ、又、パターニング後に残っている層を除去すること(例えばレジスト除去)、あるいは犠牲層5におけるパターンをドライエッチングすることを備えることができる。又は、追加工程の量を減少可能なように、犠牲層5は、感光層あるいは非反射コーティング自体として作用してもよい。
【0084】
図5に図示された次の工程では、ナノワイヤーの成長を始めるための触媒ナノ粒子7は、犠牲層5の開口部6に設けることができる。したがって、触媒材料の薄層は、犠牲層5を覆い堆積可能である。触媒材料は、当業者に公知の適切な触媒材料であってもよく、金属や、あるいはシリコンのような半導体材料のような例えば導電性材料、又はSiOであってもよい。後に続く、例えば犠牲層5のウェットエッチング及び/又はドライエッチングのようなリフトオフ・プロセスによる犠牲層5の除去は、ナノワイヤー8が設けられると予想される領域のみに触媒材料を残す。この方法では、ナノワイヤー8は、予め決められた位置に成長可能である。このことは、リソグラフィーの全ての不安定なステップは、ナノワイヤー8が成長する前に実行され、よって、形成されるナノワイヤー8は、さらに加工の間にこれ以上損傷を受けないようにできるということを意味する。犠牲層5における開口6の直径よりも小さな直径で触媒ナノ粒子7を生成するために、小さい直径の粒子において粒子7を砕くために、追加のアニール工程を実行することができる。ナノ粒子7の直径は、それらのナノ粒子7を用いることにより成長されたナノワイヤー8の直径を決定する。図6には、今まで得られ、選択的に堆積された触媒ナノ粒子7を備えた構造が図示されている。
【0085】
別の実施形態によれば、触媒ナノ粒子7は、異なった方法で提供可能である。例えば、第1の別法によれば、ドレイン接点4の上部表面は、ナノワイヤー成長において触媒として用いられる。この場合に使用されるに適切な材料は、シリコンでもよい。他の別法によれば、例えば電気化学析出(ECD)のような選択的な蒸着技術が、所定位置にナノ粒子7を選択的に堆積するために使用可能である。上述の例において、その後、ナノ粒子7は、ドレイン接点4の上部に堆積される。さらに別法の方法によれば、ドレイン接点4に触媒材料の薄膜を最初に堆積し、そしてナノ粒子7を形成するためにこの薄膜をエッチングすることにより、触媒ナノ粒子7を設けることができる。これらの別法の方法によれば、犠牲層5の用意は必要でなく、省略されてもよい。
【0086】
再度、本発明の別法の実施形態により、及び既に上述したように、ソース接点12は、ナノワイヤー8の底部に、即ちセンサーデバイス20が形成される基板1に最も近くに設けることができ、及び、ドレイン接点4は、ナノワイヤー8の上部に、即ちセンサーデバイス20が形成される基板1から最も離れて設けることができる、ということが理解されねばならない。その場合、ナノ粒子7は、上述したように、ドレイン接点4上の代わりにソース接点12上に設けることができる。
【0087】
図7に図示される次の工程では、ナノワイヤー8が成長可能である。例では、2つのナノワイヤー8が成長する。しかしながら、他の実施形態によれば、いかなる数のナノワイヤー8も成長可能である。ナノワイヤー8は、同一又は類似の材料で形成可能であり、同一又は同様の直径及び長さを有することができる。ナノワイヤー8を形成するために使用可能な材料の例は、IV族材料(例えばSi、Ge、C)及びそれの二元化合物、III族及びV族材料(例えばIn、Ga、As、Sb、Al、P、B、N)の組み合わせ及びそれらの二元、三元、四元化合物、II族及びVI族材料(例えばCd、Zn、S、Se、Te、O)の組み合わせ及びそれらの二元、三元、四元化合物、及び金属酸化物から選択することができる。本発明の実施形態で用いることができる適切な材料の例は、GaAs、InP、ZnO、GaAsxPy、AlGaAsでもよい。ナノワイヤー8の直径は、0.3nmと300nmとの間、あるいは100nm未満、例えば10nmと100nmとの間であってもよい。
【0088】
ナノワイヤー8は、例えば化学気相成長法(CVD)、ベーパー・リキッド・ソリッド(VLS)、又はベーパー・ソリッド・ソリッド(VSS)技術のような当業者に公知の適切ないずれの技術によって成長可能である。あるいは、ナノワイヤー8は、最初に犠牲基板に成長可能であり、次にドレイン接点4へ移動可能である。ナノワイヤー8は、ドープされてもよく、例えばn型又はp型のナノワイヤーとなることができる。本発明の実施形態によれば、ナノワイヤー8は、ドーピング断面を有することができ、言い換えれば、例えばそれらの長手軸に沿って変化するドーパント濃度を有することができる。ナノワイヤー8のドーピングは、成長の間、あるいはその成長後に行なうことができる。
【0089】
本発明の実施形態によれば、ナノ構造体は、また、例えばカーボンナノチューブ(CNT)であることができるナノチューブであってもよいことに注目しなければならない。
【0090】
ナノワイヤー8を成長させた後に、誘電材料9は、ナノワイヤー8を埋め込むように、言い換えればナノワイヤー8を囲むように設けられ配置される(図9を参照)。誘電材料は、流体内に存在する特定成分、例えば液体又は気体分子に関して選択的に透過性であるように選択される。本発明の実施形態で使用される適切な誘電材料9は、Nanoclustered Silica(NCS(登録商標))であってもよい。NCSは、選択性(透過性)を提供可能な有機的ポロゲン(porogens)を有するSiO母材を備えるスピンオン誘電材料である。誘電材料9は、例えばスピンオン技術によって設けることができる。例えば、誘電材料9は、低k又は高kの誘電材料であってもよい。さらに、誘電材料9は、検出される又は測定されねばならない成分の性質にその特性を調整可能な限り、いずれの適切な誘電材料であってもよい。誘電材料9は、多孔性の誘電体物質であってもよく、及び/又は光学的に透明な材料であってもよい。
【0091】
その後、誘電材料9は、ナノワイヤー8の上部表面を露出するために部分的に除去することができ、その結果、それは、ソース接点12を挙げた例において第2の接点が設けられたとき、ナノワイヤー8に直接に接触させる(図9を参照)。誘電材料9の部分的除去は、当業者に知られているように、研磨技術、例えば化学機械研磨(CMP)により、あるいはエッチング技術(エッチングバック)により、例えば行うことができる。
【0092】
例えば、多孔性誘電材料9が使用され、それを部分的に除去するためにCMPが使用される場合、CMPスラリーは、多孔性誘電材料9に入り込むことができる。スラリーがナノワイヤー8に接触しそれらの特性を変更可能であり、その後、誘電材料9から除去されねばならないことを意味する。この入り込み、又は有害なプロセス環境へのナノワイヤー8の露出を回避するために、熱処理(熱的アニール)後、誘電材料9内に孔を導入可能ないわゆるポロゲン(porogens)を含む誘電材料9を選択することができる。その結果、有害なプロセス環境への露出後、孔が生成されるように集積化フローの完了後の熱処理によって孔が生成されながら、研磨の間、「非」多孔性誘電材料9は、利用可能である。代わりに、CMP工程、あるいは一般的に誘電材料9の部分的な除去は、完全に除外可能であり、ナノワイヤー8の上部は、CVD又はALDの金属蒸着工程を行なうことに接触可能である。この場合、ナノワイヤー8に取り付けられた金属触媒粒子7に接触させるために、金属前駆体は、十分な深さまで誘電材料9内に入り込むことができる。あるいは、誘電材料9がフィールド領域よりもナノワイヤー8の上方で薄い場合、部分的なエッチバック(etch-back)は、ナノワイヤー8を露出するために考慮することができる。このエッチバックプロセスは、触媒粒子7がエッチングされず誘電材料9のみがエッチングされるので、上部の接触に関して元の金属触媒粒子7を選択的に残すことができる。この目的のために使用されるエッチングプラズマの構成は、当業者に知られているように、触媒粒子7ではなく誘電材料9のみがエッチングされるように選択することができる。
【0093】
誘電材料9は、また、ナノワイヤー8を十分に露出するために、例えばプロセスの終わりにてエッチングされ、実質的に完全に除去することができる。このことは、例えば、ポストプロセッシング機能化テストを容易にするために、又は誘電材料9無しにセンサーの機械的安定性や応答を評価するために行うことができるかもしれない。このことは、誘電材料9が存在せずにセンサーデバイス20が作動することができないとき、実験的目的のみのために行われることが明らかである。
【0094】
次に、ソース接点12が与えられた例において、第2の接点を設けることができる。したがって、最初に、ハードマスク10及び上部接点レジストパターン11が例えば従来のリソグラフィパターニングにより設けることができる(図10を参照)。これは、パターンが誘電材料9にエッチングされる前にレジスト11が除去可能であるので、誘電材料9へのアッシュダメージを最小化するために行うことができる。アッシュダメージは、レジストパターン11がエッチングの間に依然として存在しエッチング後に除去される必要があるので、レジスト11が例えばハードマスクとして働いているときに発生する場合がある。レジスト11を除去するために、レジストストリッピングとしても参照される、アッシングプロセスが使用される。このアッシングプロセスは、損傷を引き起こすかもしれず、又はエッチングされた誘電材料9に残留物を残すかもしれない。
【0095】
次に、ハードマスク10は、ソース接点12を挙げた例において、第2接点を形成するために上部接点レジストパターン11によってパターン化される(図11を参照)。引き続いて、誘電材料9は、ソース接点12のパターンによってエッチングされる(図12を参照)。ソース接点12及びドレイン接点4を形成するための材料は、ショットキー接触がナノワイヤー8とドレイン接点4との間に形成されながら、良好なオーム接触がナノワイヤー8とソース接点12との間に形成されるように、選択可能である。
【0096】
本発明の実施形態によるセンサーデバイス20を製造する方法は、単純化された集積化プロセスフローに基づくことができる。単純化された集積化プロセスフローは、ナノ構造体デバイスの現状技術にて述べられるように、包み込むゲート接点の問題点及び複雑さが解決されるように、ドレイン接点4を越えてゲート接点2を配置することにより得られる。図13は、Pho Ngyen等により示されるように(Nanoletters 4、651、2004年)、ドレインFETを越えたゲートに関するバンド図を示す。そのようなFETの伝達特性は、Vds=0.8Vのドレインバイアスに関して図示されている。図13Aは、Vgs(ゲートバイアス)=Vds=0Vで平衡におけるFETのバンド図を示し、一方、図13Bは、ゲートバイアスが電子密度を変調し、また電子を加速しながら、ドレインバイアスが電子を加速することを示すVgs>>Vds>0Vでの動作におけるFETを示している。したがって、ドレインを越えたゲートのFETは、気体吸着への感度を最大限にするためにしきい電圧に近づくようにナノワイヤーFETを調整するため、包み込むゲートの代わりとして使用可能であるということを結論付けることができる。
【0097】
センサーデバイス20を製造するための本発明の実施形態による方法は、製造プロセスの間の汚染問題を回避しながら、標準の、技術装置の状態を使用して実行可能である。起こりうる汚染、例えばナノ構造体の初期成長に使用される触媒から生じるものを回避するために、ナノワイヤー8の製造の前にゲート接点2及びドレイン接点4が処理可能であり、それは、ゲート接点2及びドレイン接点4が下にあるCMOS及び/又は相互に連結する構造に直接に接続可能であるという付加的な利点を有する。あるいは、センサーデバイス20の初期テストのため、ゲート接点2及びドレイン接点4にボンドパッドを接続することができる。
【0098】
好ましい実施形態、特定の構造及び構成が、材料とともに、本発明による装置のためにここに記載されているが、形態及び詳細において種々の変更又は修正が、添付の請求範囲により規定されるように、この発明の範囲から外れることなくなされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施形態によるセンサーデバイスの平面図を示す。
【図2】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図3】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図4】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図5】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図6】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図7】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図8】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図9】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図10】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図11】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図12】本発明の実施形態による方法における各工程を図示する。
【図13】従来技術(Nanoletters 4,651, 2004におけるPho Ngyen等により示されたような)によるドレイン電界効果トランジスタを越えるゲートに関するバンド図で、平衡状態(図13A)及び動作状態(図13B)におけるバンド図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体内の少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定するためのセンサーデバイス(20)であって、該センサーデバイス(20)は、流体内に配置される少なくとも一つのセンサーユニットを備え、ここで、少なくとも一つのセンサーユニットは、少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)と、少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)を本質的に囲む誘電材料(9)とを備え、
少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)は、底部、上部、並びに少なくとも第1及び第2の接点(4、12)を有し、第1接点(4)は、少なくとも一つのナノ構造体(8)の底部に接続されるドレイン接点であり、第2接点(12)は、少なくとも一つのナノ構造体(8)の上部に接続されるソース接点であり、
少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)は、ドレイン接点(4)の下にゲート構造(2、3)を有し、
誘電材料(9)は、少なくとも一つの成分の一つに関して選択的に透過性であり、細長いナノ構造体(8)は、誘電材料(9)を通して浸透した成分を検出可能である。
【請求項2】
本質的に同様の直径及び本質的に同様の構成を有する細長いナノ構造体(8)を有する少なくとも2つのセンサーユニットを備える、請求項1に記載のセンサーデバイス。
【請求項3】
構成及び/又は直径が互いに異なる細長いナノ構造体(8)を有する少なくとも2つのセンサーユニットを備える、請求項1又は2に記載のセンサーデバイス。
【請求項4】
少なくとも第1及び第2のセンサーユニットを備え、第1センサーユニットの細長いナノ構造体(8)を囲む誘電材料(9)は、第2センサーユニットの細長いナノ構造体(8)を囲む誘電材料(9)と構成が異なる、請求項1から3のいずれかに記載のセンサーデバイス。
【請求項5】
ゲート構造(2、3)は、ゲート接点(2)及びゲート誘電体(3)を備え、ゲート誘電体(3)は、ゲート接点(2)とドレイン接点(4)とが互いに接触しないように、ゲート接点(2)とドレイン接点(4)との間に位置する、請求項1から4のいずれかに記載のセンサーデバイス。
【請求項6】
少なくとも第1及び第2の接点(4、12)は、導電性材料から形成される、請求項1から5のいずれかに記載のセンサーデバイス。
【請求項7】
少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)は、3nmと300nmとの間の直径を有する、請求項1から6のいずれかに記載のセンサーデバイス。
【請求項8】
少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)は、検出されるべき成分への選択性を改善するために機能化される、請求項1から7のいずれかに記載のセンサーデバイス。
【請求項9】
少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)は、IV族の材料及びその二元化合物、III−V族の材料及びその二元、三元、四元化合物、II−IV族の材料及びその二元、三元、四元化合物、又は金属酸化物から選択された材料で形成される、請求項1から8のいずれかに記載のセンサーデバイス。
【請求項10】
少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)は、ナノワイヤー又はカーボンナノチューブである、請求項1から9のいずれかに記載のセンサーデバイス。
【請求項11】
ナノ構造体(8)への少なくとも一つの成分の吸着により少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)の物理的性質の変化を測定するための検出器(13)を更に備える、請求項1から10のいずれかに記載のセンサーデバイス。
【請求項12】
検出器(13)は、少なくとも一つのナノ構造体(8)の電気伝導の変化を測定するための電気的な検出器である、請求項11記載のセンサーデバイス。
【請求項13】
検出器(13)は、少なくとも一つのナノ構造体(8)のエレクトロルミネセンスの変化を測定するための光学検知器である、請求項12記載のセンサーデバイス。
【請求項14】
気体内に存在する気体分子を検出するためのガスセンサーとしての、請求項1から13のいずれかに記載のセンサーデバイスの使用。
【請求項15】
液体内に存在する液体分子を検出するための液体センサーとしての、請求項1から14のいずれかに記載のセンサーデバイスの使用。
【請求項16】
流体内の少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定するためのセンサーデバイス(20)を製造する方法であって、該方法は、少なくとも一つのセンサーユニットを設けることを備え、この少なくとも一つのセンサーユニットを設けることは、
−少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)を設けること、及び
−少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)が本質的に囲まれるように誘電材料(9)を設けること、ここで、誘電材料(9)は、少なくとも一つの成分の一つに関して選択的に透過性であり、少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)は、誘電材料(9)を通り浸透した成分を検出可能である、
を備えた。
【請求項17】
少なくとも一つのセンサーユニットを設けることは、
−犠牲層(5)を設けること、
−犠牲層(5)に少なくとも一つの開口(6)を形成するように犠牲層(5)をパターン化すること、
−犠牲層(5)における少なくとも一つの開口(6)の各々にナノ粒子(7)を堆積すること、
−犠牲層(5)を除去すること、及び
−触媒としてナノ粒子(7)を用いて、少なくとも一つの細長いナノ構造体を成長すること、
により実行される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
少なくとも一つの細長いナノ構造体を設けることは、
−少なくとも一つのナノ粒子(7)を電気化学的に堆積すること、及び
−触媒としてナノ粒子(7)を用いて、少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)を成長させること、
を備える、請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
少なくとも一つの成分への選択性を改善するため少なくとも一つのナノワイヤー(8)を機能化することを更に備える、請求項16から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
細長いナノ構造体(8)への少なくとも一つの成分の吸着により少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)の特性の変化を測定するための検出器(13)を設けることをさらに備える、請求項16から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
検出器(13)は、電気的検出器あるいは光学的検知器である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
流体内の少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定する方法であって、該方法は、
−センサーデバイス(20)への少なくとも一つの成分を備える流体を提供すること、ここで、センサーデバイス(20)は、少なくとも一つのセンサーユニットを備え、少なくとも一つのセンサーユニットは、少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)と、この少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)を囲む誘電材料(9)とを備え、この誘電材料(9)は、少なくとも一つの成分の一つに選択的に透過性である、
−少なくとも一つの成分を誘電材料(9)を通して浸透させ、少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)に吸着させること、
−少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)の特性の変化を測定すること、及び
−上記変化から、流体内の少なくとも一つの成分の存在及び/又は量を決定すること、
を備える。
【請求項23】
少なくとも一つの成分を備える流体を提供することは、検出されるべき少なくとも一つの気体分子を備える気体を提供することにより行われる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
少なくとも一つの成分を備える流体を提供することは、検出されるべき少なくとも一つの液体分子を備える液体を提供することにより行われる、請求項22記載の方法。
【請求項25】
少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)の特性の変化を測定することは、少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)の電気伝導の変化を測定することにより行われる、請求項22から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)の特性の変化を測定することは、少なくとも一つの細長いナノ構造体(8)のエレクトロルミネセンスの変化を測定することにより行われる、請求項22から24のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−31289(P2009−31289A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−191172(P2008−191172)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508223789)
【氏名又は名称原語表記】Stichting IMEC Nederland
【Fターム(参考)】