説明

位相ノイズが除去される送受信機

【課題】位相ノイズが除去される送受信機を提供する。
【解決手段】発振部、送信部、不要波除去フィルタ、送受信アンテナ、信号分岐素子、抽出信号調整部及び受信部を含む送受信機である。該発振部は、発振信号を発生させ、該送信部は、発振部からの発振信号を使用し、基底周波数帯域の送信信号を無線周波数帯域の送信信号に変換し、該不要波除去フィルタは、送信部からの送信信号の不要波を除去し、該信号分岐素子は、不要波除去フィルタからの無線周波数帯域の送信信号を送受信アンテナに印加し、送受信アンテナからの無線周波数帯域の受信信号を受信し、該抽出信号調整部は、信号分岐素子からの送信信号を抽出し、抽出信号の位相を調整し、該受信部は、抽出信号調整部からの出力信号を使用し、信号分岐素子からの受信信号を基底周波数帯域の受信信号に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送受信機に係り、さらに詳細には、受信モードで、対象送受信機、例えば、RFID(radio frequency identification)のタグに動作電源を伝送する送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、一般的な送受信システムの一例としてのRFIDのシステムを示している。かようなRFIDのシステムは、特許文献1に説明されている。
【0003】
図1を参照すれば、一般的な送受信システムの一例としてのRFIDシステムにおいて、送受信機としてのRFIDリーダ111aないし111mそれぞれは、対象送受信機としての複数のRFIDタグ121aないし121n,191aないし191nからタグ情報を受信し、通信網31を介してホスト装置32に伝送する。
【0004】
前記のような送受信機111aないし111mそれぞれにおいて、隣接チャンネルに及ぼす影響を最小化するための不要波(spurious wave)規格によって、送信部からの送信信号の不要波を除去する不要波除去フィルタが必須的に使われる。従って、不要波除去フィルタの通過周波数バンドは非常に狭い。
【0005】
図2は、一般的な送受信機、例えば、RFIDリーダでの不要波除去フィルタの特性を示すグラフである。図2に例示された特性は、不要波除去フィルタとして、周知のいずれか1つのSAW(surface acoustic wave)フィルタの特性である。図2で参照符号21は、周波数に対する位相の特性曲線を、そして22は、周波数に対する信号損失(loss)の特性曲線をそれぞれ示している。
【0006】
図2を参照すれば、周波数によって、信号損失の変動が激しく、特に周波数によって、位相変動が相当に激しいということが分かる。ここで、急激な位相変動は、遅延時間が急激に長くなるということを意味する。また、かような遅延時間の延長は、位相ノイズ成分が変わることを意味する。
【0007】
発振部から発生した発振信号も、位相ノイズ成分を有する。かような発振信号は、信号分岐素子から漏れたり、送受信アンテナから反射されて受信信号と共に受信されたりする。従って、遅延時間の延長によって変化した位相ノイズ成分を含んだ発振信号の漏れ成分が、基底周波数バンドで、下向(down)変換される場合、受信信号に非常に大きい位相ノイズが存在することになる。
【0008】
例えば、通過周波数バンドが、950[MHz]ないし952[MHz]である場合、測定データを計算式に適用して抽出した遅延時間は、約300[nS]に該当する。かような遅延時間は、除去フィルタを除外したあらゆる素子の遅延時間、及びタグとリーダとの応答遅延時間に比べて、非常に長い時間である。また、周知されているように、送受信機としてのRFIDリーダ111aないし111mそれぞれは、受信モードで対象送受信機としてのRFIDのタグ121aないし121n,191aないし191nにタグ電源用信号を伝送するが、このタグ電源用信号の一部が、信号分岐素子から漏れたり、送受信アンテナから反射されて受信信号と共に受信されたりする。
【0009】
従って、基底周波数バンドに下向変換された受信信号に、位相ノイズ、漏れ及び反射信号が混在するので、送受信機111aないし111mそれぞれの受信性能が低下する。
【0010】
結論として、不要波除去フィルタによる遅延時間の延長が主因になり、下向変換受信信号に位相ノイズ成分が存在するので、認識可能距離が短くなったり、衝突防止(anti-collision)性能が低下したりするという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7,407,110号明細書
【特許文献2】特開2010−008313号公報
【特許文献3】韓国公開特許第10−2006−0022082号公報
【特許文献4】韓国公開特許第10−2008−0056555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、下向変換された受信信号に残っている位相ノイズ成分を効果的に除去することによって、認識可能距離を延長させ、衝突防止性能を向上させることができる送受信機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の送受信機は、発振部、送信部、不要波除去フィルタ、送受信アンテナ、信号分岐素子、抽出信号調整部及び受信部を含む。
【0014】
前記発振部は、発振信号を発生させる。
【0015】
前記送信部は、前記発振部からの発振信号を使用し、基底周波数帯域の送信信号を無線周波数帯域の送信信号に変換する。
【0016】
前記不要波除去フィルタは、前記送信部からの送信信号の不要波を除去する。
【0017】
前記信号分岐素子は、前記不要波除去フィルタからの無線周波数帯域の送信信号を、前記送受信アンテナに印加し、前記送受信アンテナからの無線周波数帯域の受信信号を受信する。
【0018】
前記抽出信号調整部は、前記信号分岐素子からの送信信号を抽出し、抽出信号の位相を調整する。
【0019】
前記受信部は、前記抽出信号調整部からの出力信号を使用し、前記信号分岐素子からの受信信号を基底周波数帯域の受信信号に変換する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の前記送受信機によれば、前記不要波除去フィルタでの長い遅延時間が主原因になり、前記発振部から発生した発振信号の位相ノイズ成分が変わる。
【0021】
しかし、前記受信部が前記信号分岐素子からの受信信号を基底周波数帯域の受信信号に変換する過程で、前記抽出信号調整部からの出力信号が受信信号に合成されることによって、位相ノイズが除去されうる。
【0022】
なぜならば、前記抽出信号調整部からの出力信号は、前記信号分岐素子から抽出された送信信号であるから、位相ノイズ成分が受信信号のものと重複するためである。
【0023】
しかし、単純に前記信号分岐素子から抽出された送信信号だけを周波数下向変換に使用する場合、基底周波数帯域の受信信号に、直流ノイズが発生することを確認した。かような直流ノイズ成分は、位相ノイズ成分のように、一定の周波数帯域を有することになり、基底周波数帯域に下向変換された受信信号に影響を及ぼす。
【0024】
従って、前記抽出信号調整部で、前記信号分岐素子からの送信信号を抽出し、抽出信号の位相を調整することによって、位相ノイズの影響及び直流ノイズの発生が防止されうる。
【0025】
結論として、本発明の前記送受信機によれば、下向変換された基底周波数帯域の受信信号に存在する位相ノイズ成分が効果的に除去されることによって、認識可能距離が延び、衝突防止性能が向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一般的な送受信機としてのRFIDリーダそれぞれが、対象送受信機としての複数のRFIDのタグからタグ情報を受信し、ホスト装置に伝送するRFIDのシステムを示す図面である。
【図2】一般的な送受信機路でのRFIDリーダでの不要波除去フィルタの特性を示すグラフである。
【図3】本発明の第1実施形態による送受信機路でのRFIDリーダの内部構成を示す図面である。
【図4】本発明の第2実施形態による送受信機路でのRFIDリーダの内部構成を示す図面である。
【図5】本発明の第3実施形態による送受信機路でのRFIDリーダの内部構成を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明による望ましい実施形態について詳細に説明する。
【0028】
下記の説明及び添付された図面は、本発明による動作を理解するためのものであり、本技術分野の当業者が容易に具現できる部分は省略されうる。
【0029】
また、本明細書及び図面は、本発明を制限するための目的で提供されたものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決まるものである。本明細書で使われた用語は、本発明を最も適切に表現できるように、本発明の技術的思想に符合する意味と概念とでもって解釈されねばならない。
【0030】
図3は、本発明の第1実施形態による送受信機路でのRFID(radio frequency identification)リーダの内部構成を示している。
【0031】
図3を参照すれば、本発明の第1実施形態による送受信機は、発振部301,302、送信部303,304及び305、不要波除去フィルタ306、送受信アンテナ314、信号分岐素子307、抽出信号調整部309,310及び311及び受信部308,312及び313を含む。
【0032】
発振部301,302は、発振信号Aを発生させる。
【0033】
送信部303,304及び305は、発振部301,302からの発振信号Aを使用し、基底周波数帯域の送信信号Bを無線周波数帯域の送信信号Cに変換する。
【0034】
不要波除去フィルタ306は、送信部303,304及び305からの送信信号の不要波(spurious wave)を除去する。
【0035】
信号分岐素子307は、不要波除去フィルタ306からの無線周波数帯域の送信信号を送受信アンテナ314に印加し、送受信アンテナ314からの無線周波数帯域の受信信号を受信する。
【0036】
抽出信号調整部309,310及び311は、信号分岐素子307からの送信信号を抽出し、抽出信号の位相を調整する。さらに、抽出信号調整部309,310及び311は、抽出信号の大きさ及び遅延時間も調整する。
【0037】
受信部308,312及び313は、抽出信号調整部309,310及び311からの出力信号Dを使用し、信号分岐素子307からの受信信号を、基底周波数帯域の受信信号Fに変換する。
【0038】
本発明による送受信機としての前記RFIDリーダによれば、不要波除去フィルタ306での長い遅延時間が主因になり、発振部301,302から発生した発振信号の位相ノイズ成分が変わる。
【0039】
しかし、受信部308,312及び313が、信号分岐素子307からの受信信号を、基底周波数帯域の受信信号に変換する過程で、抽出信号調整部309,310及び311からの出力信号Dが、受信信号Eに合成されることによって、位相ノイズ成分が除去されうる。
【0040】
なぜならば、抽出信号調整部309,310及び311からの出力信号Dは、信号分岐素子307から抽出された送信信号であるから、位相ノイズ成分が受信信号Eのものと重複するためである。
【0041】
しかし、単純に、信号分岐素子307から抽出された送信信号だけを周波数下向(down)変換に使用する場合、基底周波数帯域Fの受信信号に直流ノイズが発生することを確認した。従って、抽出信号調整部309,310及び311で、抽出信号tR0の位相を調整することによって、直流ノイズが発生することを防止することができる。
【0042】
結論として、本発明による送受信機としてのRFIDリーダによれば、受信信号に含まれた位相ノイズ成分が効果的に除去されることによって、認識可能距離が延び、衝突防止(anti-collision)性能が向上しうる。
【0043】
前記のような第1実施形態の送受信機についてさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0044】
本実施形態の場合、発振部301,302は、信号発生部302及びPLL(phase locked loop)回路301を含む。信号発生部302は、設定周波数の発振信号Aを発生させる。PLL回路301は、信号生成部302と連結され、発振信号Aの周波数を固定させる。
【0045】
信号の大きさを考慮しない場合、発振信号Aは、下記数式1によって定義されうる。
【0046】
【数1】

【0047】
前記数式1で、ωCは、発振角周波数を、そしてΦ(t)は、発振部301,302自体からの位相ノイズ成分を示す。
【0048】
送信部303,304及び305は、デジタル送信部303、上向(up)ミキサ304及びアナログ送信部305を含む。
【0049】
デジタル送信部303は、送信データを符号化し、符号化された送信データをアナログ信号に変換し、基底周波数帯域の送信信号Bを発生させる。
【0050】
受信モードで、基底周波数帯域の送信信号Bは、直流電圧である。従って、信号の大きさを考慮しない場合、基底周波数帯域の送信信号Bは、下記数式2によって定義されうる。
【0051】
【数2】

【0052】
上向ミキサ304は、発振部301,302からの発振信号を使用し、基底周波数帯域の送信信号Bを無線周波数帯域の送信信号Cに変換する。
【0053】
従って、信号の大きさを考慮しない場合、無線周波数帯域の送信信号Cは、基底周波数帯域の送信信号Bの関数と、発振信号Aの関数とを乗じた結果であるから、下記数式3によって定義されうる。
【0054】
【数3】

【0055】
前記数式3で、ωCは、発振角周波数を、そしてΦ(t)は、発振部301,302自体からの位相ノイズ成分を示す。
【0056】
アナログ送信部305は、上向ミキサ304からの送信信号Cを増幅し、不要波除去フィルタ306に入力させる。
【0057】
不要波除去フィルタ306として、周知のSAW(surface acoustic wave)フィルタが使われうる。
【0058】
周知の信号分岐素子307として、方向性結合器、ウィルキンソン(Wilkinson)電力分配器、不等(unequal)ウィルキンソン電力分配器、ラットレース(rat-race)電力分配器などを挙げることができる。
【0059】
抽出信号調整部309,310及び311は、主機能を行う位相調整部311に、遅延部309及び減衰部310が付随して追加される。位相調整部311、遅延部309及び減衰部310の配置順序は、変わっても差し支えない。
【0060】
遅延部309は、位相ノイズの完壁な除去のために、抽出信号を設定時間ほど遅延させた後、減衰部310に入力させる。
【0061】
遅延部309として、マイクロストリップ・ライン構造、ストリップライン構造、同軸線路(coaxial cable)のような分布素子が使われたり、フィルタ、インダクタ及びキャパシタが使われうる。ここで、キャパシタとして、集中定数素子(lumped element)、分布素子が使われたり、バラクタダイオード(varactor diode)及びトランジスタのように、電気的に調整可能な素子が使われもする。これと同様に、インダクタも集中定数素子または分布素子が使われもする。
【0062】
減衰部310は、後の動作のために抽出信号の大きさを縮める。
【0063】
減衰部310を固定減衰部として製造する場合、集中定数素子または分布素子が使われうる。減衰部310を可変減衰部として製造する場合、ピン(PIN)ダイオードのように、電気的に調整可能な素子、集中定数素子または分布素子が使われうる。
【0064】
位相調整部311は、減衰部310からの抽出信号の位相を調整する。
【0065】
位相調整部311を固定位相調整部として製造する場合、集中定数素子または分布素子が使われうる。位相調整部311を可変位相調整部として製造する場合、バラクタダイオードのように、電気的に調整可能な素子、集中定数素子または分布素子が使われうる。
【0066】
信号の大きさを考慮しない場合、位相調整部311からの抽出信号Dは、下記数式4によって定義されうる。
【0067】
【数4】

【0068】
前記数式4で、θは、位相調整部311による調整位相を、tR0は抽出信号Dの総遅延時間を、ωCは、発振角周波数をそれぞれ示す。
【0069】
受信部308,312及び313は、アナログ受信部308、下向ミキサ312及びデジタル受信部313を含む。
【0070】
アナログ受信部308は、信号分岐素子307からの受信信号を増幅し、高調波成分を除去する。
【0071】
信号の大きさを考慮しない場合、アナログ受信部308からの受信信号Eは、下記数式5によって定義されうる。
【0072】
【数5】

【0073】
前記数式5で、ωCは、発振角周波数を、tR0は、不要波除去フィルタが主因になるリーダ内部での遅延時間を、ωmは、タグからの受信信号に含まれた基底周波数帯域の角周波数を、そしてtTは、タグとリーダとの間の距離に比例した応答遅延時間をそれぞれ示す。
【0074】
従って、前記数式5でΦ(t-tRO)は、抽出信号の遅延による位相ノイズ成分を、そしてΦ(t-tRO-tT)は、下向ミキサ312に印加される受信信号の遅延による位相ノイズ成分をそれぞれ示す。
【0075】
下向ミキサ312は、位相調整部311からの出力信号Dを使用し、アナログ受信部308からの受信信号Eを、基底周波数帯域の受信信号Fに変換する。
【0076】
従って、信号の大きさを考慮せずに、位相調整部311による調整位相θを90°として適用する場合、基底周波数帯域の受信信号Fは、抽出信号調整部309,310及び311からの抽出信号Dと、アナログ受信部308からの受信信号Eとを乗じた結果であるから、下記数式6によって定義されうる。この数式6は、tRO>>tTの条件によって近似化された式である。
【0077】
【数6】

【0078】
前記数式6でωmは、タグからの受信信号に含まれた基底周波数帯域の角周波数を、tR0は、抽出信号Dの総遅延時間を、ωCは、発振角周波数を、tTは、タグとリーダとの間の距離に比例した応答遅延時間をそれぞれ示す。
【0079】
従って、数式5及び数式6を比較してみれば、基底周波数帯域の受信信号Fに、位相ノイズ成分だけではなく、直流ノイズ成分まで除去されるということが分かる。前記数式6で、ωCtTとθは、位相自体に該当するので、位相ノイズとして作用するものではない。
【0080】
デジタル受信部313は、下向ミキサ312からの受信信号Fを、デジタル信号に変換して復号化する。
【0081】
図4は、本発明の第2実施形態による送受信機としてのRFIDリーダの内部構成を示している。
【0082】
図4で、図3と同じ参照符号は、同じ機能の対象を示す。従って、図3の第1実施形態に係わる図4の第2実施形態の差異点だけについて説明すれば、次の通りである。
【0083】
図3及び図4を参照すれば、デジタル受信部313は、下向ミキサ312からの受信信号Fのノイズ成分を検出して、ノイズデータを発生させる。
【0084】
これにより、制御部41は、デジタル受信部313からのノイズデータによって、減衰部310、位相調整部311及び遅延部309を制御する。
【0085】
図5は、本発明の第3実施形態による送受信機としてのRFIDリーダの内部構成を示している。
【0086】
図5で、図3と同じ参照符号は、同じ機能の対象を示す。従って、図3の第1実施形態に対する図5の第3実施形態の差異点だけについて説明すれば、次の通りである。
【0087】
図3及び図5を参照すれば、本発明の第3実施形態の送受信機としてのRFIDリーダはノイズ検出用フィルタ51、アナログ−デジタル変換部(ADC)52及び制御部53をさらに含む。
【0088】
ノイズ検出用フィルタ51は、下向ミキサ312からの受信信号Fのノイズ成分を検出する。
【0089】
ノイズ検出用フィルタ51として、低域通過フィルタ(LPF:low pass filter)、高域通過フィルタ(HPF:high pass filter)、帯域阻止フィルタ(BRF:band rejection filter)及び帯域通過フィルタ(BPF:band pass filter)などが使われうる。
【0090】
アナログ−デジタル変換部52は、ノイズ検出用フィルタ51からのノイズ成分をデジタルデータに変換し、ノイズデータを発生させる。
【0091】
制御部53は、アナログ−デジタル変換部52からのノイズデータによって、減衰部310、位相調整部311及び遅延部309を制御する。
【0092】
以上で説明した通り、本発明による送受信機によれば、不要波除去フィルタが主因になって発振部から発生した発振信号の位相ノイズ成分が変わる。
【0093】
しかし、受信部が、信号分岐素子からの受信信号を基底周波数帯域の受信信号に変換する過程で、抽出信号調整部からの出力信号が受信信号に合成されることによって、位相ノイズが除去されうる。
【0094】
なぜならば、抽出信号調整部からの出力信号は、信号分岐素子から抽出された送信信号であるから、位相ノイズ成分が受信信号のものと重複するためである。
【0095】
しかし、単純に信号分岐素子から抽出された送信信号だけを周波数下向変換に使用する場合、基底周波数帯域の受信信号に直流ノイズが発生することを確認した。かような直流ノイズ成分は、位相ノイズ成分のように、一定の周波数帯域を有することになり、基底周波数帯域に下向変換された受信信号に影響を及ぼす。
【0096】
従って、抽出信号調整部で、信号分岐素子からの送信信号を抽出し、抽出信号の位相を調整することによって、位相ノイズの影響及び直流ノイズの発生が防止されうる。
【0097】
結論として、本発明による送受信機によれば、受信信号に混在された位相ノイズが効果的に除去されることによって、認識可能距離が延び、衝突防止性能が向上しうる。
【0098】
以上、本発明について望ましい実施形態を中心に説明した。本発明が属する技術分野で当業者であるならば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態で、本発明を具現できるということを理解することが可能であろう。従って、前記開示された実施形態は、限定的な観点ではなくして、説明的な観点から考慮されねばならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなくして、特許請求の範囲に示されており、特許請求の範囲によって請求された発明、及び請求された発明と均等な発明は、本発明に含まれたものであると解釈されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、レーダ(radio detecting and ranging)システムのように、一般の無線通信で、受信と同時に送信したり、あるいは受信のために送信信号が必要なシステムで、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0100】
31 通信網
32 ホスト装置
41,53 制御部
51 ノイズ検出用フィルタ
52 アナログ−デジタル変換部
111aないし111m RFIDリーダ
121aないし121n,191aないし191n タグ
301,302 発振部
303,304,305 送信部
306 不要波除去フィルタ
307 信号分岐素子
309,310,311 抽出信号調整部
308,312,313 受信部
314 送受信アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振信号を発生させる発振部と、
前記発振部からの発振信号を使用し、基底周波数帯域の送信信号を無線周波数帯域の送信信号に変換する送信部と、
前記送信部からの送信信号の不要波を除去する不要波除去フィルタと、
送受信アンテナと、
前記不要波除去フィルタからの無線周波数帯域の送信信号を、前記送受信アンテナに印加し、前記送受信アンテナからの無線周波数帯域の受信信号を受信する信号分岐素子と、
前記信号分岐素子からの送信信号を抽出し、抽出信号の位相を調整する抽出信号調整部と、
前記抽出信号調整部からの出力信号を使用し、前記信号分岐素子からの受信信号を基底周波数帯域の受信信号に変換する受信部と、
を含んだ送受信機。
【請求項2】
前記抽出信号調整部が、
前記抽出信号の大きさを縮める減衰部と、
前記減衰部からの抽出信号の位相を調整する位相調整部と、
を含んだことを特徴とする請求項1に記載の送受信機。
【請求項3】
前記抽出信号調整部が、前記抽出信号を設定時間ほど遅延させた後、前記減衰部に入力する遅延部をさらに含んだことを特徴とする請求項2に記載の送受信機。
【請求項4】
前記受信部が、
前記信号分岐素子からの受信信号を増幅し、高調波成分を除去するアナログ受信部と、
前記位相調整部からの出力信号を使用し、前記アナログ受信部からの受信信号を基底周波数帯域の受信信号に変換する下向ミキサと、
前記下向ミキサからの受信信号をデジタル信号に変換して復号化するデジタル受信部と、
を含んだことを特徴とする請求項3に記載の送受信機。
【請求項5】
前記デジタル受信部が、前記下向ミキサからの受信信号のノイズ成分を検出し、ノイズデータを発生させることを特徴とする請求項4に記載の送受信機。
【請求項6】
前記デジタル受信部からのノイズデータによって、前記減衰部、位相調整部及び遅延部を制御する制御部をさらに含んだことを特徴とする請求項5に記載の送受信機。
【請求項7】
前記下向ミキサからの受信信号のノイズ成分を検出するノイズ検出用フィルタと、
前記ノイズ検出用フィルタからのノイズ成分をデジタルデータに変換し、ノイズデータを発生させるアナログ−デジタル変換部と、
前記アナログ−デジタル変換部からのノイズデータによって、前記減衰部、位相調整部及び遅延部を制御する制御部と、
をさらに含んだことを特徴とする請求項4に記載の送受信機。
【請求項8】
前記発振部は、
設定周波数の発振信号を発生させる信号発生部と、
前記信号生成部と連結され、前記発振信号の周波数を固定させるPLL回路と、
を含んだことを特徴とする請求項1に記載の送受信機。
【請求項9】
前記送信部は、
送信データを符号化し、符号化された送信データをアナログ信号に変換し、前記基底周波数帯域の送信信号を発生させるデジタル送信部と、
前記発振部からの発振信号を使用し、前記基底周波数帯域の送信信号を、前記無線周波数帯域の送信信号に変換する上向ミキサと、
前記上向ミキサからの送信信号を増幅し、前記不要波除去フィルタに入力するアナログ送信部と、
を含んだことを特徴とする請求項1に記載の送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−239401(P2011−239401A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104238(P2011−104238)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(500548884)三星テクウィン株式会社 (156)
【出願人】(507076931)成均▲館▼大學校 産學協力團 (12)
【Fターム(参考)】